古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2024年01月

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界政治について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 櫻井よしこが自身のSNSで「祖国のために戦えますか」という、戦争を煽るような発言を行い、それに対して、「最前線に出ない人間が戦争を賛美するな」「お前がまず戦争に行け」という反応が出ている。ここしばらく日本はおかしな方向に進められてきたが、実際に戦争の可能性があるとなれば、実際に最前線に連れていかれる人たちを中心に批判が出るようになっているのだろう。これは良い兆候だ。

 戦争賛美者こそは真の平和ボケだ。今の日本に生きている人たちの圧倒的大多数は、戦争について知識を得ることはあっても、実際に経験していない。1945年の敗戦からもうすぐで80年が経過しようとしているが、その時に20歳だった人も100歳になる。日本は超高齢社会であり、100歳以上の高齢者も多いとは言っても、実際の戦場を知っている人はかなり少ないと言ってよい。

そうした中で、戦争を経験しておらず、戦争の悲惨さも知らず、頭でっかちの知識だけで、戦争を賛美している者たちこそが、「戦争を知らない子供たち」だ。平和の中で生まれ育ち、生きてきて、老齢を迎えて、自分は安全な場所にいて(戦争には行かないことが確実だと分かっていて)戦争を賛美する姿は老醜と言う他はない。平和のおかげを受けながら、戦争を賛美する姿は平和ボケだ。本当に戦場を知っている者、国家指導者として重い決断をする者、国家の利益について本当に考えているものは戦争を賛美しない。

 「祖国のための戦争に行けますか?」とは、より正確に書くならば、「少数の指導者が影響力を持つ財界や利益団体などの影響を受けて開戦を決めた、虚構として祖国のためと宣伝をして、それに考えが足りない人間から連れていかれる、“祖国のための戦争”にあなたは行けますか?」ということだ。

 前置きが長くなったが、このブログでよくご紹介しているハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトの論稿を今回もご紹介する。ウォルトは国際関係論という学問分野の中のリアリズムという学派に属している。リアリズムは日本語に訳せば現実主義となるが、今回、ウォルトは、平和の実現という、戦争扇動者たちからすれば「夢想的」「ユートピア的」なテーマについて書いている。ここで大事なことは、人間は完璧ではない、人間は果然無欠ではない、人間は間違うということを肝に銘じておくことだ。これは国家指導者から一般国民まで共有すべきだ。

 戦争はいったん始まってしまえば、開戦した時の意図とは全く違う方向に進むことがほとんどであるし、人間が状況をコントロールすることはできない。何よりも自分たちが勝つと思って初めて負けることがどんなに悲惨かは歴史が証明している。戦争ということを簡単に決断すべきではないし、言葉を弄して、戦争を賛美し、煽動することは間違っている。戦争について正確に知り、自分たちが知りたいことだけを知るとか、捻じ曲げてそれを知識とするとかといった行為を戒め、自分たちは安全な場所にいながら、他人に戦争に行くことを促し、強制するというような人物を国家指導者の地位に就けないこと、そうした言説に対しては徹底的な批判をして対抗していくこと、これが極めて重要である。
 日本を中国にぶつけようと表や裏で暗躍している人物や勢力はいくらもいる。私たちは常に警戒し、そのようなことが起きないように努力しなければならない。そのためには、まず知識を増やし、自分の頭で考えることである。

(貼り付けはじめ)

恒久的な平和実現のための実践的なガイド(A Practical Guide to Perpetual Peace

-よりユートピア的な世界秩序に向けて、現実的な(そしてリアリスト的な)一歩を以下に踏み出すか

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年12月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/12/19/realist-guide-world-peace/

世界の多くの国では、年末の休暇時期を迎え、より良い世界のヴィジョンの実現に思いをはせる人たちも多いことだろう。あちらこちらの教会で平和を賛美する讃美歌が歌われ、説教壇からは敬虔な感情がこもった言葉が響き渡り、宗教的指導者も世俗的指導者も同様に未来への希望を表明して新年を迎えるだろう。しかし、ガザでの残忍な殺戮、ウクライナでの容赦ない破壊、スーダンの無意味な内戦、その他世界中で進行中の血で血を洗うような出来事を思えば、そのような暖かな感情など空虚にしか思えない。言うまでもなく、各国が他の人間を殺すより効率的・効果的な方法を見つけるために、莫大な資源を費やし続けている。

私たちは平和の実現について一体何かできるのだろうか? 数週間前、私は宇宙開発に関する興味深いセミナーに出席した。セミナーの講演者は、人類を宇宙の軌道に乗せ、月に送り、そしていつの日か火星に送ることは、人類を鼓舞するために新しく困難な挑戦を必要とするため、やる価値があるかもしれないと述べた。

彼のコメントを聞いて、私は考えさせられた。無人の宇宙探査(unmanned space exploration)は、軌道や月に人を送り込むよりも理にかなっていると私は信じている。もしそうなら、同じように奇跡的なことでも、もう少し身近なことを目標にしたらどうだろうか。火星に人類を移住させる代わりに、地球を平和にするのはどうだろう?

私は、このユートピア的なヴィジョンを阻む全ての障害を認識している。中央権力のない世界(world with no central authority)では、国家は安全保障を心配し、自国を守るための手段を講じる。そのための努力はしばしば他国を脅かし、時には暴力につながる。不確実性(uncertainty)、無知(ignorance)、さまざまな形の認知バイアス(cognitive bias)が、回避できたはずの、そして回避すべきであったはずの戦争へと国々を導く。指導者の中には、自らの権力を維持するため、あるいは歴史に名前を残すために戦争を始める人もいる。長年の不満を抱える国々は、それを覆そうと武力を行使することもあり、様々な種類の利益団体が影響力を高めたり、自国の利益を水増ししたり、あるいは自国の特別な大義を推進したりするために戦争を推進することもある。社会を統治するための唯一の真の方法を発見したと確信しているイデオローグは、自分たちの信念を他の人に押し付けるために野心的な十字軍(crusades)を進軍させることもある。

何千年もの間続く戦争は、解決策を模索すると当時に、謙虚さ(humility)を求めている。戦争の惨劇を終わらせる魔法の杖はないが、多少なりともより平和な世界を築くためのささやかなアイデアのいくつかをこれから紹介しよう。

第一に、世界の指導者たち(そして一般国民たち)は、リアリズムの教訓をより真剣に受け止め、戦争を永遠に終わらせる鍵を見つけたと主張するイデオロギーに対して、より懐疑的な目を向けることから始めることだ。マルクス主義者たちは、資本主義(capitalism)を打倒すれば戦争の誘因がなくなり、平穏な社会主義の楽園が訪れると考えた。リベラル派は、民主政治体制(democracy)を広めることで同じ奇跡が起きると考えている。たとえ民主政体を輸出する方法が分からずに、最初に「戦争を終わらせるためのいくつかの戦争(“wars to end war)」をしなければならないとしてもそれが重要だと考えている。リバータリアンは国家を縮小することを望み、ファシストは国家を崇拝するように言い、アナーキストは国家を完全に破壊することを望んでいる。宗教を信仰している人たちの中には、誰もが正しい神を崇拝すれば平和が訪れると考える者もいるし、無神論者の中には、どんな神であっても崇拝するのを止めればもっと平和な世界が訪れると主張する者もいる。これらの提案はいずれも、政治的信条(political beliefs)を受け入れたがらない他者に押し付ける必要があるため、問題を改善するどころか悪化させるのが一般的だ。

対照的に、リアリズムは謙虚さを奨励する。リアリズムは、人間の誤謬性[間違いやすさ]human fallibility)、チェックされていない権力の危険性(the dangers of unchecked power)、理性の限界(the limits of reason)、そして強い者や特権を持った者が容易に傲慢(arrogant)になり、自信過剰(overconfident)になることを明らかにしている。リアリズムは、政治生活を悩ませる避けられない不確実性と、人間の存在の避けられない部分である悲劇的な要素を認識している。政治上のリアリズムは、白か黒かで決まることはほとんどないが、通常は多くの灰色の色合いを含む世界、つまり意図しない結果が蔓延し、今日の成功が明日の問題の種を植え付ける世界を描き出す。

このような理由から、リアリストのほとんどは、国家が戦争に踏み切るのは、自国の生存、もしくは死活的利益が危機に瀕している場合という、切迫した必要性のある場合に限られるべきであると考えている。少なくともここ数十年間、リアリズムと制限(restraint)に基づく外交政策が実行されていれば、ほぼ間違いなく平和がより広まっていただろう。

リアリズムはまた、人類が共通して持つ人道的思いやり(our common humanity)に訴えても世界は平和に近づかないと示唆している。人間は社会的な動物(social animals)であり、集団に分かれ、異質と見なされる者を警戒する傾向が深く根付いている。いざとなれば、たいていの社会集団は自分たちの利益を優先し、たとえそれが他者を傷つけるものであったとしても、自分たちの利益を優先する。草の根平和運動やその他の反戦活動も十分ではない。民主政体国家であっても、戦争の決定は一握りのトップによってなされるからだ。このような理由から、指導者たちとその支持者たちに、戦争に踏み切れば自分たちの地位がより安全になる訳でも、自国がより安全で豊かになる訳でもないことを納得させることでしか、平和を促すことはできない。

つまり、よりリアリズム的な平和へのアプローチとは、バランス・オブ・パワー(balance-of-power)を重視することである。つまり、アナーキー(anarchy、中央政府がない状態)である国際社会においては、国家は、他国が強くなりすぎると必ず心配し、自国の安全を守るために均衡(balance)を保とうとする。このため、他国を犠牲にしてまで自国の力を強化しようとする執拗な努力は、通常、自滅的(self-defeating)となる。なぜなら、他国は最終的に力を合わせて強大な国家を牽制し、その野心を封じ込めるからである。

この原則の副次的な意味は、大国の重要な利益、とりわけ自国の領土付近を脅かすことは、厳しい反応を引き起こすに違いないということである。このような傾向を理解する指導者が増えれば、永続的に有利な立場を得ようとする無分別な試みは少なくなるだろう。さらに、鋭い共感能力(keen sense of empathy)、すなわち、必ずしも賛成しなくても、相手の立場に立って物事を見る能力を身につけた指導者であれば、誤ってレッドラインを越えてしまうことも少なくなり、全ての当事者がより良い状態を保てるような解決策を見出す能力も高まり、愚かな選択による戦争につまずくことも少なくなるだろう。

第二に、ほとんどの政治指導者は、一般市民の愛国の誇り(sense of national pride)に訴えることで権力を獲得し、維持しているが、他国にも同様の力が存在することをしばしば忘れている。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領は、ウクライナのナショナリズムの力を軽視したために過ちを犯し、最終的な結果がどうであれ、予想以上に犠牲の多い戦争に身を投じることになった。ナショナリズムの力はまた、なぜ強大な国が他国を爆撃して永久に服従させることができないのか、なぜ脆弱な国家が制裁や他の形態の強制に抵抗するのか、たとえそうすることが非常に高くつくとしても、その理由も説明する。世界政治のこの側面をもっと多くの指導者が理解していれば、他国を強制したり、弱体化させたり、破壊したりするための実のない努力は少なくなっていただろう。

第三に、戦争を考えている指導者は、いったん戦闘が始まれば、もはや自分たちの運命をコントロールすることはできないということを思い起こすべきだ。戦争を始めると、複雑で予測不可能な要素が膨大に発生するため、ほとんどの戦争は、開戦者の予想以上に長引き、多くの犠牲を出すことになる。イギリスのウィンストン・チャーチル首相は平和主義者(pacifist)とは言い難かったが、世界政治のこの永続的な特徴を把握していた。チャーチルは自伝『わが半生』の中で「戦争熱(war fever)に屈する政治家は、ひとたびその合図が下されれば、もはや政策の主人ではなく、予測不可能で制御不能な出来事の奴隷であることを理解しなければならない」と書いている。ジョージ・W・ブッシュは大統領在任中、執務室にチャーチルの胸像を飾っていた。しかし、彼がその小さな知恵の核である本を読んだとはとても思えない。もし読んでいたら、2003年にイラク侵攻する前に、もっと真剣に考えていたかもしれない。

そして、チャーチルの話題が出たついでに続けると、チャーチルの浩瀚な第二次世界大戦史の巻頭言には次のように書かれている。「戦争においては解決が必要だ。敗北においては反抗が必要だ。勝利においては寛大さが必要だ。平和においては善意が必要だ」。これは悪くないカテキズム(catechism、訳者註:キリスト教の教理をわかりやすく説明した要約ないし解説)であり、私は最後の2つのフレーズに注意を向けて欲しいと考える。勝者が一方的に平和を押し付けることは、特にかつての対戦相手が敗戦から立ち直る可能性が高い場合、後々より多くの問題を引き起こすことになる。アメリカは第二次世界大戦後、博愛の精神(sense of philanthropy)からドイツと日本の再建を支援した訳ではないが、一部の政府関係者が提唱したカルタゴになされたような和平(Carthaginian peace)を押し付けた訳でもない。第一次世界大戦を終結させた懲罰的な(punitive)ヴェルサイユ条約との対比は、これ以上ないほど際立っている。同様に、ロシアを敗戦国のように扱い、その正当な懸念にその後何年も注意を払わなかったことは、多くの先見の明のある専門家が繰り返し警告したように、米露関係を悪化させ、今日の問題への道を開くきっかけとなった。

第四に、戦争は常にコストがかかり予測不可能であるため、賢明な指導者は大きな賭けに出る前に、あらゆる選択肢を尽くす。ロシアのウクライナ侵攻を食い止める外交的駆け引きがあったかどうか、あるいは2022年3月に進められていた和平調停活動が戦争を迅速に終結させ、ウクライナを分割や甚大な破壊から救えたかどうかは、誰にもわからない。しかし現在、西側の指導者たち、とりわけ西側のトップたちが、代替策を必要なほど徹底的に追求しなかったことを示す証拠が増えつつある。そのような努力は失敗に終わったかもしれないが、戦争を未然に防ぐ、あるいは戦争の芽を摘むためのより真剣な努力は、起きてしまった戦争よりも望ましいものであっただろう。

最後に、平和を促進するための努力は、平和をより普及させ、強固なものにするために何をするつもりなのかを説明するよう、指導者を目指す人々に求めれば、さらに進むかもしれない。国家の指導者を目指す人たちは通常、国をどのように強くしていくのかについて多くを語るが、私たちが彼らに問うべき本当の質問は、同胞をどのように安全にしていくのかということだ。真剣に考えて欲しい、大統領や首相になろうとする人は誰でも、戦争の可能性を減らし、平和をより強固なものにするために何をしようとしているのかを説明するべきではないだろうか? もし彼らが、問題はみんなのせいであり、トラブルメーカーを滅ぼして初めて平和が実現すると答えるなら、その人は本当に平和に関心のない人だと分かるだろう。もし彼らが単純化された決まり文句(「強さによる平和(peace through strength)」「ミュンヘンを思い出せ(remember Munich)」など)しか口にできないのであれば、世界政治が実際にどのように機能しているのかについて、より洗練された理解を持つ候補者を別に探すべきだ。もし平和の重要性が彼らの頭に浮かんだことがなく、何も語ることがないのであれば、取材記者はその理由を尋ねるべきだ。また、戦争は歓迎すべき、偉大で輝かしい活動だと言ったり、潜在的な敵は張り子の虎(paper tiger)で倒すのは簡単だと主張したりする候補者がいたら、食料庫(pantry)に非常用の食料を備蓄するか、近くの防空壕(bomb shelter)に向かうことだ。

これまで明らかにしてきたように、戦争という問題に簡単な解決策はない。しかし、もし人類が本当に新たな挑戦を必要としているのであれば、戦争の発生可能性(likelihood)と破壊(destructiveness)を減らすための持続的だが現実的な努力は、数人の勇敢な人間を遠い宇宙に送り込むよりも、はるかに人類に利益をもたらすだろう。そして、その手始めとして、戦争を始めることが望ましい結果を生むことはほとんどなく、しばしば予期せぬ非常に厄介な事態を招くことを、指導者たちに常に思い起こさせることが必要だ。

おそらくこの教訓は、2024年には昨年よりも良い結果をもたらすだろう。私はハードルを低く設定した。指導者たちがこのハードルをクリアすることを皆で祈ろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界政治について詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。


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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 バブル経済崩壊以降、日本は経済成長のない国となった。この状態が30年も続いている。英語の「generation」、日本語では世代と訳すが、これは約30年を意味する。一世代、経済成長がないということになる。1990年代に生まれて、現在20代中盤から30代中盤の若い人たちは、日本が縮小する時代を生きてきた人たちだ。日本はデフレーション(物価の継続的な低下)の中にある。

 そうした中で、安倍晋三政権下、日本銀行は異次元の量的緩和を行い、日本国債を引き受けて、日本銀行券(紙幣)を発行し、現金を市中に流そうとしてきた。市中に流れる現金の量が増えれば、物価が自然と上がる、そうすれば経済成長ということになる、というものだった。日本銀行の黒田東彦総裁(当時)は就任当時、2年間で2%の物価上昇を実現すると宣言したが、それを達成することができないままで、日銀総裁を退任した。現在の植田和男総裁も2%の物価上昇を目標として掲げている。

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 世界的に見ると、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、経済活動が復活する中で、ウクライナ戦争が起き、更にはパレスティナ紛争も始まった。結果として、石油や食料品の輸入価格が高騰し、物価は上昇することになった。これは政府の考えていた道筋とは違うだろうが、とりあえず物価は上昇した。
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しかし、一般国民の給料や報酬は実質的には下がっており、生活は苦しい。物価の上昇率よりも給料の上昇率が高ければ生活は楽になるが、その逆だと生活は苦しくなる。現在の状況は、給料が上がらずに、物価が高いという状況だ。統計で見れば、物価は下がっているが、実質賃金も下がり続けている。このような状況は厳しい。

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 何よりも給料が上がることが重要であるが、それができないということであるならば、生活者としてはデフレの方がありがたいということになる。そのような考えが出ないようにするために賃上げを伴ったインフレが実現することを望む。

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日本はついにインフレーションに突入した。それについて誰も喜んでいない(Japan Finally Got Inflation. Nobody Is Happy About It.

-25年間続いたデフレーションの後、物価上昇に一般国民は怒っている。

ウィリアム・スポサト筆

2024年1月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/15/japan-economy-inflation-deflation/?tpcc=recirc_latest062921

過去25年間、日本の中央銀行と政府は、経済成長の足かせとみなされてきたデフレーション圧力(deflationary pressures)を終わらせることに共通の大義を見出してきた。そして今、それは成功しつつある。しかし、人々はそれを好まない。

標準的な経済理論によれば、高レヴェルの財政赤字(high levels of deficit spending)と超低金利(ultra-low interest rates)は、ほぼ必然的にインフレ率の上昇につながるはずであり、通常、ほとんどの経済にとって問題となる結果となる。しかし、日本は、持続的な物価と賃金のデフレーションという、逆の問題のリスクの代表的な存在となっている。

ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、日本銀行(Bank of JapanBOJ)の行動を強く支持した。バーナンキは、まだFRB理事に過ぎなかった2003年5月、日本金融学会での講演で、「デフレ問題に対処することは、日本経済に実質的・心理的な利益をもたらし、デフレを終わらせることは、日本が直面している他の問題を解決することをより容易にする」と述べた。危機に瀕しているのは日本経済の健全性だけでなく、「かなりの程度、世界の他の国々の繁栄でもある」とバーナンキは言った。彼が後にFRB議長として、2007年から2008年にかけての世界金融危機後に大規模な量的緩和(quantitative easingQE)プログラムを提案した理由の一つは、アメリカにおける同様のデフレの罠(deflationary trap)に対する彼の懸念だった。

これを達成するため、日銀はまず超低金利を試み、それが失敗するとゼロ金利、そして最終的にはマイナス金利を導入した。さらに、成長が見込まれる中小企業に融資する銀行への特別資金供給や、融資を一定額増やした銀行への資金供給など、融資を奨励するさまざまな制度が設けられた。貸出促進策は、主に2つの障害にぶつかった。1つは、日本の銀行は資金を必要としない企業にしか資金を貸したがらないこと(日本の大企業は巨額の現金を保有している)、そして、このような低金利では、融資の開始とサーヴィシングにかかるコストが利払いの利益を上回ってしまうことである。

2013年、安倍晋三首相によって日銀総裁に任命された黒田東彦は、周囲から好かれる人物だった。大蔵省出身で中央銀行内ではアウトサイダーだった黒田総裁は、逆風に警戒心を持っていた。黒田総裁は、日銀のバランスシートを倍増させることで、2年以内に2%のインフレを実現すると約束した。

FRBQEを超え、日本はQQEを導入することになる。QQEとは、量的緩和に質的(qualitative)という考え方を加えたもので、国債だけでなく、よりリスクの高い資産も買い入れることを意味する。その結果、バランスシートは大幅に拡大し、事実上、毎年予算総額の約30%に相当する政府の安定した財政支出を現金化することになった。黒田総裁の10年間の任期中にバランスシートが4倍以上に膨れ上がったにもかかわらず、賃金上昇が物価上昇を促すという「好循環(virtuous cycle)」のアイデアは黒田総裁の在任中ほとんどずっと実現せず、消費者物価指数はゼロ近辺にとどまった。

変化は起きたが、それは中央銀行の政策によるものではなかった。その代わり、主に最近の世界にとってのナンバーワンのゲームチェンジャーによるものだった。それは、新型コロナウイルス(COVID-19)である。輸入コストの上昇とサプライチェーンの混乱により、世界標準から見れば小幅なレヴェルではあったが、物価上昇が経済のほぼ全ての分野で目に見えるようになった。2023年1月までに消費者物価指数は4%跳ね上がり、1981年以来の高水準となり、日本銀行が設定した目標の2%を大きく上回った。この中で、外国人観光客が再び東京や京都の中心部に押し寄せたため、ホテル価格は急騰し、63%上昇した。日本の買い物客にとっては、食品メーカーがコスト上昇を隠そうとするため、「シュリンクフレーション(shrinkflation)」という形で多くの影響が出ている。東京の中心部では、コーヒー1袋がまだ4ドル前後で売られている。大手食品包装会社の昨年の収益が33%急増したのも不思議ではない。

その結果、労働力の減少、良好な経済成長、技能不足が給与を高騰させる中、停滞していた賃金がようやく動きの兆しを見せ始めた。 2023年10月の賃金は前年比1.5%上昇し、春季労使交渉で組合員は平均3.6%の上昇を記録した。

では、なぜ皆が喜んでいないのか? 現実は、この2つの成長の道筋によって、インフレ調整後の実質賃金が着実に低下しているのだ。政府の数字によれば、実質賃金は2023年11月まで20ヶ月連続で減少し、前年同月比で3%の減少を記録した。

マネックスグループのグローバル・アンバサダーであり、日本で最も有名なエコノミストの一人であるイェスパー・コールは、「国民は愚かではない。30年にわたるデフレは終わりを告げたが、日本国民は望むようなインフレを手にしているのだろうか?」と語った。

実際、デフレは日本が相対的に貧しくなるにつれて、政策立案者を歯ぎしりさせたが(技術職のなかには、現在の日本よりヴェトナムの方が給料の良いものもある)、物価が毎年1%前後下落する一方で給料が小幅に上昇するサラリーマンにとっては好都合だった。新しいシナリオはもっと複雑だ。インフレ経済下で働く労働者が証言しているように、賃金はほとんどの場合、小売価格よりもゆっくりと上昇する。黒田総裁が誕生する前の2012年、ある日銀関係者は、中央銀行がデフレを阻止しようとしているにもかかわらず、国民はデフレを好んでいるという調査結果が出たと内々に語っていた。

物価上昇による価格ショックは、岸田文雄首相にとって不本意な打撃である。岸田首相は明確な理由もなく信任の危機に直面している。岸田首相とジョー・バイデン米大統領は、その点ではお互いを同情できるに違いない。

昨秋、政府の支持率が「危険水域(danger zone)」の30%(党が首相として新たな顔を模索する前兆となる数字)を下回ったとき、岸田氏は補助金を提供して政府が持っていない現金を配り始めた。これはエネルギーや公共料金の高騰による影響を抑えるためだった。しかし、これさえも裏目に出て、人気回復を狙っているのではないかとの疑念が出てきた。

コールは、「国民が不満に思っているのは、岸田首相は常に支出を増やしているが、国民がお金を使うためのプログラムがないことだ。日本人はお金に対して合理的で、散財したりはしない」と述べている。

2021年10月に就任した岸田首相は現在、ほとんどの世論調査で20%をわずかに上回る支持を得ており、回答者の3分の2が岸田政権を支持しないと答えている。これにより、通常であれば、与党自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)を実質的に支配する党の長老たちによって解任される機会が出てくるだろう。これは1955年の党創設以来のモデルであり、結党以来以来、6年間を除いて自民党が政権を維持するのに役立った。

しかし、岸田首相はしばらくの間生き残るかもしれない。一連のスキャンダルの最新のものには、違法な資金調達の可能性を巡る自民党の他の幹部も関与しており、潜在的な後継者層の縮小に影響を与えている。また、そもそも岸田首相が首相になった理由の1つは、党内のリベラル派とタカ派の両方を満足させる明確な後任もいないということだ。

もう1つの未解決の問題は、岸田首相、あるいは後継者が実際に25年間にわたるデフレ圧力に終止符を打つことができるかどうかだ。最新のインフレ統計は物価上昇の鈍化を示しており、2023年11月のコアインフレ率(生鮮食品価格を除く)はわずか2.5%上昇と、16カ月ぶりの低水準となった。これは消費者にとっては朗報かもしれないが、一部のエコノミストは、経済が本当に自律的な賃金・物価上昇に向けて舵を切ったのか、あるいは新たな数字が景気後退につながる消費者の低迷を示しているのかどうかについて懐疑的な見方をしている。焦点は今春の労働組合の賃金交渉であり、労働者と政府の両者は、少なくとも現時点では、賃金引き上げによって最終的に労働者がインフレを上回ることができると期待している。この費用を支払わなければならない企業はあまり熱心さを示していない。

しかし、一部のエコノミストは依然として懐疑的だ。野村総合研究所のエコノミストで元日銀理事の木内登英は11月の報告書で、「来春交渉での賃上げは予想される水準に達しないと考えている」と述べた。このため、日銀はマイナス金利の変更を控える可能性があると述べた。他の先進国がインフレ率の急上昇を受けて金融引き締め政策に切り替えている中、日本は依然として超低金利を維持する唯一の国である。

同時に木内は、量的緩和をあまりに長引かせることは、利回りをゼロかそれ以下に保つために国債を購入する日銀のバランスシートが増え続けることを意味すると指摘する。これは、将来金利が上昇した場合、膨大な保有資産の価値が急落するため、日本銀行の財務状況に対するリスクを高めることになる。バランスシートは今や日本の年間GDPを上回っており、その影響は深刻なものになる可能性がある。もしそうなれば、政府は救済を余儀なくされるだろう。しかし政府はすでに、日本銀行を使って自国の金融の行き過ぎを補填している。

平均的な日本人にとって古き良きデフレの日々を懐かしむようになってしまう。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリスト、2015年から『フォーリン・ポリシー』の寄稿者を務めている。20年以上にわたり、日本の政治と経済を追いかけており、ロイター通信と『ウォールストリート・ジャーナリスト』紙に勤務していた。2021年にカルロス・ゴーン事件とそれが日本に与えた衝撃についての共著の本を刊行した。
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治と世界政治について俯瞰し、分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。


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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 本日(2024年1月19日)、東京地検特捜部は、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者たちを起訴し、立件した。既に逮捕された国会議員、起訴されている議員たちもいるが、これ以上の事件の拡大はないということになりそうだ。会計責任者たちが起訴された、3つの派閥の幹部たちが起訴されないということで、国民感情としては「ふざけるな」ということになっている。
 ここでより俯瞰的な見方をしてみたいと思う。特捜検察はどうして重要な国会議員たちを逮捕しないのかということであるが、特捜検察の目的は法律に基づいて、正義を行うということではない。特捜検察は、簡単に言えば、権力者にとって都合の良い、切れ味鋭い「刀」である。権力者の刀だというのなら、どうして岸田首相の派閥である岸田派が立件されたのか、ということであるが、それは、究極的には、日本の首相は日本の権力者ではないということだ。それでは、日本の権力者は誰であるが。それはアメリカだ。特捜地検はアメリカにとっての刀である。

 アメリカの日本支配を強めるため、より効率的、直接的に行うために、アメリカは日本政治と自民党の整理を行おうとしている。派閥という、アメリカからすれば訳の分からない機関が自民党を動かすのではなく、アメリカが育てた、教育した、息のかかった議員たちが主流派になり、当選回数や経験などに関係なく、指導的な立場に就けるようにする、そのために、派閥を解消するということがアメリカの意向であり、特捜検察はそのために動いた。政治家の逮捕など大きなことではないのだ。

 特捜検察の源流は、戦後直後の混乱期に、旧日本軍や官庁が個別に物資を隠匿していた事件(隠退蔵物資事件)を摘発する捜査部隊(隠匿退蔵物資事件捜査部)であり、この捜査部隊を作らせたのは、連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied PowersGHQ/SCAP)の民政局(Government SectionGS)次長を務めたチャールズ・L・ケーディスである。それ以来、特捜検察はアメリカの刀であった。田中角栄や小沢一郎といった、アメリカに唯々諾々と従うことをしなかった政治家たちは、特捜検察に襲い掛かられた。私たちは日本の戦後の属国としての歴史について知り、その現実を改善するための方策を国民的な議論の中で見出していかねばならない。

 アメリカは、中国の台頭という脅威に直面している。アメリカは中国に対峙するにあたり、日本を最前線だと考えている。その点で、日本の重要性は増している。アメリカが直接中国と戦うという訳にはいかない。そこで、日本を中国にぶつけて様子を見る、いざとなれば、日本を切って、中国との関係改善のために、共通の敵とするということまでやりかねない。日本にとって極めて重要なのは、中国と絶対に武力衝突を起こさないことだ。そのための人材として二階俊博元幹事長がいた訳だが、派閥解消で力を失う。アメリカにとっては狙い通りの動きである。

 アメリカの日本政治、自民党の整理は、安倍晋三元首相の暗殺が契機となった。安倍晋三元首相はアメリカにとって単純に称賛できない存在だった。アメリカにべったり、アメリカ従属の政治家であるが、同時に、太平洋戦争に関して修正主義、靖国神社参拝を行う、アメリカに反対する立場の政治家でもあった。安倍元首相の後ろ盾はマイケル・グリーンであったが、グリーンがワシントンDCからシドニーに都落ちをして、アメリカの対日管理の空気感が変わってきた。これが行きつく先が、安倍派にばかりスポットが当たった裏金問題である。

こうしたことは自民党所属の国会議員たちの大多数には知らされていない。最高幹部層だけの話だ。普通の自民党議員たちは、あれっと思っているうちに、裏金問題が大きくなり(マスコミを使って大ごとのように宣伝された)、選挙区に帰って有力な支持者たちとどうしてこうなったのかなどと話しているうちに、派閥解消まで話が進んで呆然としているという状態だ。これは「ショック・ドクトリン」の応用だ。災害などが起きて、人々が呆然としているうちに、新しい制度などが素早く導入されるというものだ。自民党議員たちは気づいたらこのようなことになっていた。金曜日なので選挙区に帰る議員たちがほとんどだろうが、皆、説明する言葉もなく、有権者たちと同様に呆然とするしかない。

 アメリカとしては、派閥という訳の分からないもので人事が決まるのではなく、親米派の議員たちが主流派を形成して、そこから指導者が出てくることが望ましい。派閥があることで物事がスムーズに進まないということがないようにしたい。こうしたことから、特捜検察を使って、自民党の整理の仕上げとして、派閥解消を実現させた。特捜検察は忠実にその目的のために動いた。自民党の派閥がなくなって嬉しい、と単純に喜べない状況にあると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

●「安倍派幹部7人、立件断念 パー券問題で東京地検特捜部」

毎日新聞 1/19() 15:40配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/cb08c3775adc3c475e55c9734fe3faa20611a482

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)の幹部議員7人について政治資金規正法違反容疑での立件を断念した。パーティー券収入のノルマ超過分を派閥や自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載していない疑いが持たれていたが、いずれも会計責任者との共謀が立証できないと判断したとみられる。

 松野、西村、高木、世耕、萩生田の5氏は安倍派の「5人衆」と称され、座長の塩谷氏とともに派閥の集団指導体制をとるメンバー。下村、松野、西村、高木の4氏は公訴時効にかからない2018年以降に派閥の事務を取り仕切る事務総長を務めた。

 一方、特捜部は、安倍派と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を同法違反で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「安倍、二階、岸田3派閥の会計責任者らを立件 政治資金規正法違反」

毎日新聞 1/19() 14:22配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/30040cadf66ce588899df6217a5cdcfc23af5a18

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、パーティー券収入のノルマ超過分に関する収支を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。

 一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

 在宅起訴されたのは、安倍派の会計責任者の松本淳一郎被告(76)と、二階派の元会計責任者の永井等被告(69)。略式起訴されたのは、岸田派の元会計責任者の佐々木和男元職員(80)。3派閥とも幹部議員は刑事訴追されなかった。

 起訴状によると、安倍派では2018年からの5年間でパーティー券に関する収入約67500万円、支出約67600万円が記載されず、二階派では18年からの5年間で収入約26400万円、支出約11600万円が不記載になっていたとされる。岸田派では18年からの3年間で収入約3000万円が不記載になっていたとしている。

 3派閥ではパーティー券収入のノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)する運用が続けられていたとされる。安倍派では還流資金に関する収支が派閥側と議員側の両方の収支報告書に記載されておらず、二階、岸田両派では議員側への支出は記載されているものの、パーティー券収入の総額が過少記載されていた疑いが持たれていた。

 安倍、二階両派ではノルマ超過分を派閥に報告せず、事務所でプールしていた議員が複数いるとされていた。【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「岸田派解散検討 首相他派閥の対応 言及する立場にない

NHK 2024119 1406

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014326701000.html

自民党岸田派の解散の検討を表明したことをめぐり、岸田総理大臣は19日午前、ほかの派閥の対応に言及する立場にないとした上で党としては、国民の信頼回復に向けた派閥のルールの議論を続ける考えを示しました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受け、岸田総理大臣が、18日夜、みずからが会長を務めていた「宏池会」=岸田派の解散を検討していることを明らかにしたのを受け、今後は、ほかの派閥に同様の動きが広がるかが焦点となる見通しです。

岸田総理大臣は19日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「政治の信頼回復のために『宏池会』を解散するということを申し上げた。ただ他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」と述べました。

また、自民党の政治刷新本部で議論の焦点となっている派閥のあり方について、どう道筋をつけていくのか問われ「国民から派閥がカネやポストを求める場になっているのではないかとの疑念の目が注がれている。こうした疑念を払拭して、信頼を回復するため、政策集団のルールについては考えていかなければならない」と述べました。

一方、一連の政治資金をめぐる問題の実態解明などへの対応について「現在、検察の捜査が続けられている。その結果を見た上で適切なタイミングで対応を考えていきたい」と述べました。

林官房長官「総理の判断 重く受け止めた」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「きのう、岸田総理大臣から『宏池会』の解散を検討していると伝えられ、私としても総理の判断を尊重したいと申し上げた」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣とは日頃より密に意思疎通を行っていて、『宏池会』への思いの強さはじゅうじゅう承知している。そのうえでの判断ということで重く受け止めた」と述べました。

一方、記者団から自民党のほかの派閥はどうあるべきか問われ「それぞれの政策集団のありようについて申し上げる立場にないが、自民党の政治刷新本部で政策集団の在り方に関するルール作りを含めて議論が深められるものと考えている」と述べました。

また、派閥を離脱した岸田総理大臣が今回の判断に関わったプロセスを問われたのに対し「現在『宏池会』の会長が不在な中で、直近まで会長を務めていた岸田総理大臣が、私を含む派閥のメンバーに考えを述べ、その考えで一致したということだ」と説明しました。

木原防衛相「政治資金の透明性高めることが必要」

自民党茂木派に所属する木原防衛大臣は閣議の後の記者会見で「一部の政策グループの政治資金パーティーの収支で不適切な会計処理が行われたことが発端だと理解している。政策グループの存在自体に問題があるのか、政策グループの不適切な行為に問題があるのか、私の所属するグループが対象ではないので判断がつかないが、政治資金の透明性を高めることが必要で、不適切な行為に対しては厳格な責任体制を確立することも必要だ」と述べました。

松本総務相「信頼回復へ強い決意で発言したのでは」

自民党麻生派に所属する松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「私も国民の政治不信には強い危機感を抱いている。岸田総理大臣も何としても信頼を回復しなければならないという強い決意を持って、自民党総裁として発言したのではないか」と述べました。

そのうえで「具体的な信頼回復の道筋については、自民党の政治刷新本部で議論が重ねられている。方向が定まれば所属議員として従っていく」と述べました。

齋藤経産相「大変重い発言 深い感慨で受け止め」

岸田総理大臣が自民党岸田派の解散の検討を表明したことについて、齋藤経済産業大臣は、19日の閣議のあとの会見で「長い伝統ある宏池会を解散することを検討しているという昨晩の発言については、大変重い発言であったと、自民党の一国会議員としてある種の深い感慨を持って受け止めている」と述べました。

そのうえで「政策集団の在り方についても党の政治刷新本部において議論が深められていくということで、期待しながら見守っていきたい」と述べました。

盛山文科相「派閥の解散 信頼を得るために必要かも」

自民党岸田派に所属する盛山文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「大臣の立場でコメントすることはない」としたうえで「きのうの岸田総理大臣の発言を夜のニュースで見たが、『とうとうここまで言ったのか』と思った。一議員として、国民の政治に対する信頼を取り戻していくことは不可欠で、実効性のある対策を講じることが重要だと考える」と述べました。

また、派閥の解散が実効性のある対策なのかと記者団から問われ「派閥はあっておかしくないと私は思う。ただ国民からすると、派閥があるからこういう事態が起こっているという批判もあると思う。いったん派閥を解消して活動していくというのも、国民の信頼を得るために必要なやり方かもしれない」と述べました。

高市経済安保相「改革への強い思いで述べたのでは」

かつて安倍派の前身の派閥に所属し、今は無派閥の高市経済安全保障担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「岸田総理大臣は自民党総裁の立場にもあり、改革への強い思いとして述べたのではないか。国民の信頼を得られるよう党の政治刷新本部で議論が行われており、私の立場としては、閣僚として一つでも成果を挙げ、岸田内閣の実績を作れるようコツコツと働いていきたい」と述べました。

公明 石井幹事長「潔い判断」

公明党の石井幹事長は記者会見で「岸田総理大臣は宏池会に強い思い入れがあると思うので、そういう意味では潔い判断だ。岸田総理大臣の判断がほかの派閥にどれだけ影響を及ぼすか見守っていきたい。派閥の問題は自民党自身が考えることで今回の再発防止策のすべてではなく、あわせて政治資金規正法の改正が必要になる」と述べました。

立民 泉代表「指導力も責任感もない」

立憲民主党の泉代表は記者会見で「岸田総理大臣は自分の派閥のことしか言っておらず、他の派閥のことを言わないなら自民党総裁としての責任を全く果たしていない。各派閥で億円単位の裏金が発覚しても、とりつぶしをしようとせず、指導力も責任感もない」と述べました。

また「岸田総理大臣は派閥を離脱していたのではないか。離脱はフェイクであり、実際の運営権は岸田総理にあったことが今回の『岸田派解散宣言』で明らかになった」と述べました。

一方、東京地検特捜部が、安倍派や二階派の幹部について立件しない見通しとなっていることに関連して「東京地検には捜査権限があり、国民が納得する結果を出してもらいたい。収支報告書に記載されていない金額が4000万円や5000万円だったら立件され、1000万円だったら大丈夫という理屈があるのか。納得できないという人がほとんどではないか」と述べました。

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●「【速報】志帥会・二階元幹事長「派閥を解消したい」派閥の政治資金事件受け議員総会で言及」

TBS NEWS DIG 1/19() 15:54配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a826d7ec7fe6cc1ae8c23c0b4db3871ceddfce3c

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、二階派の会長を務める二階俊博元幹事長は議員総会で「派閥を解消したい」と話したことが分かりました。議員総会に出席した議員が明らかにしました。

二階派の政治資金パーティーをめぐっては、おととしまでの5年間でおよそ2億円が裏金となり、政治資金収支報告書に記載されていなかった疑いがもたれています。

東京地検特捜部は二階派の元会計責任者を政治資金規正法違反の罪で在宅起訴したほか、二階氏の事務所では派閥に納めていない「中抜き」とよばれる不記載の資金が3000万円以上あったとして秘書が略式起訴されています。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年アメリカ大統領選挙がスタートした。前半は、民主、共和両党の大統領選挙候補者を決める予備選挙(primary)が始まった。アイオワ州での党員集会(caucus)が実施された。気温がマイナス20度(摂氏)まで下がる厳しい天候の中で、10万人以上が参加し、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。2位にフロリダ州知事ロン・デサンティスが2位、3位に元サウスカロライナ州知事・米国連大使ニッキー・ヘイリーとなった。デサンティスとヘイリーは僅差の結果となった。以下のとおりである。
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 事前の各種世論調査で、トランプが大量リードしていたため、今回の結果に驚きはない。予備選挙においての当面の話題は、ロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーのどちらが生き残るかということだ。デサンティスは各種世論調査においてトランプに次いで2位となっていたが、今回のアイオワ州の結果をどう見るべきなのかは難しい。2位に入ったのは大きいが、3位のヘイリーとの差が小さかったことが問題だ。ヘイリーはこれから実施されるサウスカロライナ州知事を務めていたこともあり、サウスカロライナ州では、トランプに2位となると予想されている。また、次週実施されるニューハンプシャー州予備選挙でもヘイリーが2位に入るという予想もされており、デサンティスには厳しい状況が続く。

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 私は、共和党予備選挙は、ニッキー・ヘイリーが生き残る可能性が高いと見ている。ヘイリーが勢いをつけていくだろうと考えている。しかし、トランプ優位は動かないだろう。トランプとしてはどれだけの差をつけて勝利できるかということがこれからのテーマということになるだろう。
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(貼り付けはじめ)

アイオワ州での大統領選挙共和党予備選挙に関する5つのポイント(5 takeaways from the Iowa GOP caucuses

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410502-iowa-gop-caucuses-donald-trump-vivek-ramaswamy-ron-desantis-nikki-haley-takeaways/

月曜日のアイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、共和党有権者に対する前大統領の優位性を示す最初の大きなテストとなった。

現在、すべての注目は早くもニューハンプシャー州に集まっており、ニューハンプシャー州ではトランプ前大統領がフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)や元国連大使ニッキー・ヘイリーをリードしており、両候補ともにニューハンプシャー州でトランプに大差をつけられている。

各種世論調査によると、ヘイリーはニューハンプシャー州ではアイオワ州よりも良い結果を得ており、ニューハンプシャー州での争いを維持できる可能性があるが、サウスカロライナ州とネバダ州など他の序盤戦については、その実力が疑問視されている。

一方、デサンティスは、多くの資金を投入したアイオワ州で2位に甘んじることになり、厳しい問いに直面している。

トランプの期待が高まる中で、月曜日の夜、ヴィヴェク・ラマスワミは選挙活動を中止し、トランプを支持すると発表した。これによってトランプ前大統領はヴィヴェク・ラマスワミ氏から後押しを受けることになった。

極寒のアイオワ州で行われた共和党党員集会の5つのポイントをこれからご紹介する

(1)予想通りのトランプの圧勝(Trump dominates, as expected

東部標準時午後8時に投票が開始してから1時間も経過しないうちにトランプはアイオワ州党員集会で簡単に大勝した。

ディシジョンデスクHQは、午後8時46分にトランプをアイオワ州の勝者と予想し、その後、デサンティスが大差をつけられての2位と予想すると発表した。

アイオワ州は大統領候補指名争いが行われる最初の州に過ぎないが、トランプの勝利は予想されていたとはいえ、彼が共和党を掌握していることを浮き彫りにした。また、これから予備選挙が実施される数州でのヘイリーとデサンティスの苦戦の可能性を高めることとなった。

トランプの大勝利は、アイオワ州の極寒の気温が投票数にどのような影響を与えるかという疑問の中でもたらされた。アメリカ国立気象局デモイン支局は、かつてツイッターとして知られていたウェブサイト「X」に、月曜日は「1972年までさかのぼると、アイオワ州の投票日としては史上最も寒い日になりそうだ」と投稿した。

しかし、厳しい天候でさえトランプ支持者を集会から遠ざけることはできなかった。火曜日早朝時点のディシジョンデスクHQの開票速報では、トランプは50%をはるかに超える票を獲得していた。

(2)アイオワ州でヘイリーは彼女が必要としているものを獲得した(Haley gets what she needs in Iowa

ヘイリーはアイオワ州で3位となった。最近の世論調査では2位とされていたものの、その予想がだいたい当たる結果となった。

しかし、メディア各社がデサンティスが2位になると予想した後でも、ヘイリーは支持者たちに3位という結果を誇らしげに報告した。

ヘイリーは「この選挙戦では、一時、私を含めて14人が立候補しているという状況になった。世論調査で私の支持率が2%ということもあった。しかし今夜、アイオワはアイオワがいつもやっていることをやってくれた」と述べた。

「有識者たちはあらゆる角度から結果を分析するだろう。それは理解できる。しかし、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、そしてそれ以降の状況を見ると、今夜、アイオワ州は共和党予備選を2人の対決の構図にしてくれたと断言できる!」と彼女は付け加えた。

このコメントは、ヘイリーが既にデサンティスよりもはるかに強力な候補と見られているニューハンプシャー州に軸足を移していることを示している。ニューハンプシャー州での世論調査では、ヘイリー候補はトランプ前大統領に次ぐ2位につけている。

ディシジョンデスクHQと『ザ・ヒル』誌がまとめたニューハンプシャー州の調査の平均では、トランプが42%、ヘイリーが31%、デサンティス氏が7%となった。しかし、初期の州世論調査と全国世論調査の両方で元大統領が依然としてライヴァルをリードしていることを考えると、ヘイリーがトランプに対抗するにはまだ長い道のりに直面している。

(3)デサンティスは選挙戦に留まるかについての厳しい決断に直面(DeSantis faces tough decision on staying in race

デサンティスが選挙戦から離脱する気配はない。日曜日、CNNの取材に対し、デサンティスは、選挙戦がこれから長期戦になるだろうと語った。

デサンティスは月曜日の夜に開票速報視聴パーティーにおいて、支持者たちに対して次のように語った。「彼らは、私たちがここアイオワで敗北し選挙に留まることはできないだろうと予測していたという事実にとても興奮していた。しかし、私が言えるのは、彼らが私たちに投げかけた全てにもかかわらず、皆さんの支持のおかげで、私たちは選挙に留まることができた。みんなが私たちを攻撃していたが、それを振り払うことができた」。

それでも、この先の地図は、アイオワ州に多くのエネルギーを注いできた知事にとって難しいものとなる。ザ・ヒルとディシジョンデスクHQが出した、各種世論調査の数字の平均によると、デサンティスは、ニューハンプシャー州において6.6%で3位に甘んじている。また、サウスカロライナ州でも、デサンティスは9.4%で、大差をつけられての3位となっている。

ヘイリー陣営はニューハンプシャー州とサウスカロライナ州に重点を置いており、デサンティスは、更に不利な立場に置かれている。デサンティスは、主にトランプ支持層と同じ保守層にアピールしようとしていることを考えると、現実的にどうすれば指名を獲得できるのかという厳しい問題に直面している。

(4)早い段階での結果発表は反発を招いた(Early race calls draw backlash

トランプがアイオワ州共和党党員集会の勝者であると夜の早い段階から発表されたが、この事実はデサンティスの支持者たちの怒りを招き、一部のメディア関係者からの批判を招いた。

AP通信は午後8時31分(東部標準時)、NBCニューズは午後8時33分(東部標準時)頃、ザ・ヒルが提携しているディシジョンデスクHQは午後8時46分(東部標準時)にトランプ勝利を報じた。

デサンティス選対広報部長のアンドリュー・ロメオは、メディアの勝利者確定報道に対する声明の中で、「何万人ものアイオワ州人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのは、まったくもって言語道断である。メディアはトランプの味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と述べた。

デサンティス陣営のジェイムズ・ウスマイヤー選対本部長も、NBCニューズとのインタヴューにおいて、早期の勝利者報道を「ぞっとする」と非難した。

一方、デサンティスを支援するスーパーPACは、CNNAP通信、ABCニューズ、NBCニューズの早い段階でのトランプ勝利確定報道を批判し、勝者確定に関するそれぞれの方針の誤りを指摘するメールを送った。

しかし、早期にトランプの勝利者報道をしたことについても、一部のジャーナリストから疑問の声が上がっている。

セマフォーのデイブ・ワイゲル記者はXに「非常に非常に初期の段階でトランプが大勝しているが、初期のネットワーク各局の勝利者確定は少し疑わしい。人々はまだ党員集会会場にいて、電話を持っている。どれだけの数の人が確定報道を見て、考えを買えただろうか?」と投稿している。

『ナショナル・ジャーナル』誌のカーク・バド記者「AP通信は、どのようにして早い段階で党員集会でのトランプの勝利について短い説明をしているが、有権者がまだ多くの選挙区で投票している最中に確定報道をしたことについての論争には触れていない」とはXに投稿した。

早い段階での選挙戦の勝者確定報道が選挙戦の行方を大きく左右した可能性は低いが、メディアが報じているように既に選挙結果を疑う傾向にある一部の国民の間で懐疑的な見方を引き起こす可能性がある。

(5)極寒の中、投票率に打撃を受けた(Turnout takes a hit amid frigid conditions

アイオワ州が極寒状況に見舞われたため、投票率は予想を下回ると予測された。

ディシジョンデスクHQは、月曜日の夜に投票率の予想を下げたと発表し、「投票が完了したと報告している郡の投票数は、投票開始時の予想を一貫して下回っている」と指摘した。

ディシジョンデスクHQは、午後10時(米国東部時間)以降、約11万人の有権者が集会に参加したと推定しているが、「IA GOPからのデータがかなり変動しているため、変更される可能性がある」と注意を発している。

2016年の選挙では18万人以上が投票した。

投票率は、アイオワ州の凍てつくような気温に影響された可能性が高く、天候が候補者にどのような影響を与えるかについて、各候補者に疑問が投げかけられていた。

ジュリア・マンチェスターがアイオワ州からこの論稿の作成に貢献した。
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アイオワ共和党党員集会の結果を説明する5つの数字(Five numbers that explain the Iowa caucus results

ジュリア・ムラー、ジャレッド・ガンズ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410536-five-numbers-that-explain-the-iowa-caucus-results/

ドナルド・トランプ前大統領は月曜日のアイオワ州共和党党員集会で容易に勝利し、来週のニューハンプシャー州予備選挙に向けて、選挙戦が加速するための最初の州で、共和党のライヴァルであるニッキー・ヘイリーやフロリダ州知事ロン・デサンティスを破った。

アイオワ州で共和党党員集会の投票が始まってから1時間も経たないうちに、マスコミ各社はトランプ勝利を報道した。票の集計はまだ続いているが、最新の集計の時点で、トランプが30ポイントの差で勝利する準備ができているようだ。

しかし、トランプの勝利のために他の候補者たちにつけた差は、2024年の選挙の最初の投票で得られた注目すべき数字の1つにすぎない。

アイオワ州共和党党員集会に関する数字で見ると次のようになる。

(1)トランプの得票率:51%(Trump’s percentage: 51 percent

東部標準時午前12時25分現在、ディシジョンデスクHQの集計によるt約10万9000票が投票され、トランプは51%の得票率を誇っている。

ディシジョンデスクHQによると、トランプ前大統領は2位の候補に30ポイント近くリードしている。デサンティスが2位、ヘイリーが3位と予測されている。

トランプは、各種世論調査でライヴァルに二桁の差をつけてアイオワ州党員集会に臨み、アイオワ州での勝利で、来週ニューハンプシャー州で行われる全米初の共和党予備選を前に勢いを増している。

トランプのリードを削ごうと数カ月間努力してきたトランプ以外の候補者たちにとっては、良い兆候ではない。

トランプは2016年、2020年にアイオワ州の共和党予備選挙で勝利したが、2016年のアイオワ州党員集会ではテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に敗れ、その後ニューハンプシャー州で勝利し、大統領選挙候補者指名を受けた。 

トランプ前大統領は月曜日、アイオワでの選挙戦は「とてつもない夜」になるだろうと予想していた。

(2)勝利者確定報道時間:30分(Time the race was called: 30 minutes

アイオワ州での投票開始からわずか30分後、各メディアからトランプの勝利を宣言する最初の報道があった。AP通信が午後8時31分にトランプを勝者と予想し、他のメディアもすぐにこれに続いた。

本誌のパートナーであるディシジョンデスクHQは、約15分後の午後8時46分に勝利者確定報道を行った。

投票開始後、まだ投票をしていない人もいる中で、極めて早く勝利者予測・確定報道が出た。CNNのキャスターであるジェイク・タッパーは、CNNの予測を発表した後、「このような早期の確定報道をしたのは記憶にないほど早い」と、報道の早さを指摘した。

党員集会に至るまでの世論調査や出口調査ではトランプが大幅にリードしており、選挙戦が召集される前の初期の結果はトランプ氏が容易に勝利することを示しているように見えた。タッパーは、CNNは投票前調査と初回投票におけるトランプの「圧倒的な」リードに基づいて予測を立てる可能性があると述べた。

しかし、早期の勝利者確定報道では、多くの投票がまだ行われていない中で予測を行ったことに対して批判が生じた。党員集会にかかる時間はさまざまで、30分で結果が出るものもあれば、数時間かかるものもある。

デサンティス選対の反応は特に激しく、選対広報担当のアンドリュー・ロメオは「選挙妨害(election interference)」だと主張した。

ロメオは「何万人ものアイオワ人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのはまったく言語道断の好意である。メディアはトランプ前大統領の味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と語った。

親デサンティスのスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウン」の戦略コミュニケーション・ディレクターを務めるマット・ウォーキングは、投票が終わる前に確定報道に対する複数の報道機関の方針をツイートした。

(3)2位と3位の差:2ポイント(Margin between second and third place: 2 points

月曜日の夜の党員集会に先立ち、専門家たちは選挙サイクルがスタートする中、候補者の強さを示すシグナルとしてアイオワ州の1位、2位、3位の間の差に注目していると述べた。

発表時点では、デサンティスがアイオワ州で2位を確保し、ヘイリーが3位と予想されている。

発表時点のディシジョンデスクHQによると、デサンティスとヘイリーの差はわずか2.1ポイントで、得票率はそれぞれ21.2%対19.1%だった。

この接戦は、アイオワ州党員集会の8日後に投票が行われるニューハンプシャー州予備選挙において、事前の各種世論丁でデサンティスを大きく引き離しているヘイリーにとっては良い兆候と言えるだろう。

また、フロリダ州知事デサンティスはアイオワ州を選挙戦の最重要課題としていたため、デサンティスの勢いを削ぐハードルとなるだろう。デサンティスは、アイオワ州の全99郡を訪問するという目標を達成し、アイオワ州では他のどの早期投票州よりもはるかに強力な世論調査の結果を得ていた。

アイオワで多くの時間を費やしたデサンティスは、今後の各州で本気で戦えるよう、選挙運動のインフラを構築する作業が待っている。

起業家のヴィヴェク・ラマスワミとアーカンソー州知事アサ・ハッチンソンは上位3位に入れず、これが選挙運動の終了をもたらす可能性があると専門家たちは長年指摘してきた。ラマスワミは月曜日の夜の記者会見で選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明した。

(4)投票数:11万(Turnout: 110,000

アイオワ州民は4年に1度の党員集会に熱心なことで知られ、全国で最初の投票に参加するために定期的に多くの人々が集まる。しかし、1月の寒さに慣れた有権者にとっても、歴史的に悪天候が障壁となった。

アイオワ州共和党のジェフ・カウフマン委員長は、本誌の取材に対し、道路の除雪が進み、雪も止んだことから、投票率については楽観的な見方を示し、参加者数については「いい感じ」だと語った。カウフマン委員長は、18万7000人という記録的な数字に達するとは予想していなかったが、早朝時点では「いい感じ」だったと語った。

ディシジョンデスクHQは、約11万人の有権者が投票に参加したと予測した。この数字は、記録を打ち立てた2016年の党員集会からは大きな減少となったが、2012年と2008年にそれぞれ投票した約12万人からはわずかな減少にとどまった。

月曜日の夜の党員集会終了に関する声明の中で、カウフマンは「アイオワの人々は、数日前に吹雪に見舞われた後、記録的な低温に耐えながら、自分たちのコミュニティーのメンバーと国の将来について話し合い、真の草の根民主政治体制(grassroots democracy)に参加した」とカウフマンは夜の終わりに向けて声明で述べた。

(5)風冷指数:50度(Wind chill: 50 degrees

月曜日、アイオワ州民は凍えるような寒さと厳しい冬の天候に直面した。国立気象台は、デモインの風冷指数をマイナス30度と発表した。

選挙戦までの数日間、一部の選挙計画が複雑な状況となったことを受け、候補者らは支持者らに雪の中でも勇敢に党員集会に行くよう呼び掛けた。党員集会に先立って複数の対面イヴェントを中止し、代わりにヴァーチャルで開催することを余儀なくされた。

デサンティスは党員集会開始前、支持者たちに「寒さに負けずアイオワ州共和党党員集会に参加して、私を応援して欲しい。あなたの一票が、今夜ほど大きな影響を与える機会はない!」と述べた。

ラマスワミは、アイオワ州の支持者たちに「私たちの国を救うために、寒さに耐えていただきたい」と呼びかけた。

アイオワ州共和党党員集会が州内の各選挙区で始まった、デモインの午後8時の気温はマイナス20度(摂氏)にまで下がった。

ウエザー・チャンネルとアキュウエザーによると、月曜日の日中の最高気温はマイナス17度(摂氏)だった。
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アイオワ州共和党党員集会の勝者と敗者(Winners and losers of the Iowa caucuses

ナイオール・スタンジ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410571-winners-and-losers-of-the-iowa-caucuses/

アイオワ州デモイン発。有権者は月曜日、2024年の大統領選挙期間で初めて意思表示をする機会を持ち、その結果、アイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。

トランプは2位に約30ポイントを付けて圧勝した。

党員集会に向けて大きな注目は、2位争いを中心に展開していた。フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が元国連大使ニッキー・ヘイリーを抑えて残念賞(consolation prize)を受賞した。

党員集会では、実業家のヴィヴェック・ラマスワミが4位という最低の成績で選挙戦を中止するなど、これまでと同じく候補者たちが絞られた。ラマスワミは予想通りトランプを支持した。

極循環によってアイオワ州の気温が氷点下にまで下ったため、天候が今年の選挙戦の大きな要因となった。月曜日はこれまでで最も寒い投票日となった。

約11万2000人のアイオワ州民が投票を行ったが、2016年に記録された約18万6000人には遠く及ばなかった。

以下に、月曜日の夜の勝者と敗者について見ていく。

●勝者たち

・ドナルド・トランプ前大統領(Former President Trump

トランプにとって、これ以上ない夜となった。

トランプは世論調査が予想していた通りの大差で勝利したが、支持者の間に態度が弱くなったり、満足したりする兆しは見られなかった。

トランプの得票率は50%の大台をクリアしたと見られる。これにより党員集会参加者の大多数がトランプに反対しているという、ライヴァルたちの主張の正当性がなくなる。

同じく重要なことは、デサンティスとヘイリーの僅差の結果により、今後しばらくは両者が選挙戦に残る可能性が高く、非トランプ票が確実に二分される状態が続くことになる。

トランプは、支持者を前に行った約20分間の勝利演説では、彼の基準からすると珍しく穏やかだった。ライヴァルたちに対しては、「みんな一緒に楽しい時間を過ごしてきた。ヘイリーとデサンティスはふたりともよくやった」とささやかではあるが賛辞を贈った。

トランプはまた、「今こそ全員が団結する時だ」と主張したが、この発言は現代で最も二極化を進めた、とトランプ前大統領を批判する人たちには違和感があるだろう。

しかし、この穏やかな口調は、ライヴァルたちを退かせようとするトランプ・チームの全般的な働きかけの一部だった。

2022年のアリゾナ州知事選に敗れ、現在は同州の上院議員候補であるトランプの忠実な支持者であるカリ・レイクは本誌の取材に対し、他の候補者の立候補はもはや「虚栄のプロジェクト(vanity projects)」に過ぎないと語った。

レイクは次のように語っている。「彼らに勝ち目はない。アイオワ州とニューハンプシャー州に何億ドルもつぎ込んで、強敵の候補者トランプを追い落とそうとしているのは残念なことだ。彼らが少し立ち止まって、考え直し、トランプ大統領がアメリカを救う手助けをする人物であることを認識することを願っている」。

・世論調査会社や組織・団体(Pollsters

世論調査会社は物事を誤ると大きな非難を浴びるが、アイオワ州では堅実な結果を残した。

本質的に世論調査と予想が難しい党員集会ではこれは並大抵のことではなく、今回の場合は荒天が新たな不確実要素となった。

トランプが30ポイントを付けてリードしていることは、開票率98%で、ほとんどの世論調査会社の予測の範囲内だった。

専門家たちたちは、党員集会前の最終世論調査のいくつかで、ヘイリーがデサンティスを抜いて2位になっていたことに注目するだろう。

しかし、公平を期すために、優秀な世論調査会社のいくつかは、ヘイリー支持者の一部から明らかに情熱が感じられないという理由で、これらの結果に注意書きを入れていた。

高く評価されているデモイン・レジスター世論調査の中心人物であるJ.アン・セルザーは、党員集会の2日前に、ヘイリー支持のレヴェルには「根底にある弱さ(underlying weakness)」があり、「ヘイリーの支持者の大きな割合が、集会に参加せずに家にとどまるかもしれない」と述べた。

まさにその通りになったようだ。

・アイオワ州共和党党員集会(The Iowa caucuses

アイオワ州共和党は、困難な状況にもかかわらず党員集会自体がスムーズに行われたことで、安堵のため息をつくことができている。

投票率がかなり低かったこと認めざるを得ないが、それでも天候を考えれば十分評価できるレヴェルだった。

重大な不正の報告もなく、結果に疑問を呈する候補者もいなかった。

これは、4年前の民主党アイオワ州党員集会の大失敗を考えれば、より重要なことだった。

あの時は、結果を報告するシステムが故障した。結局、民主党全国委員会はアイオワ州から予備選における全米最初の地位を剥奪したのである。

●勝敗つかず

・ロン・デサンティス(Ron DeSantis

結論を述べるならば、デサンティスは生き残った。

もし3位に転落していたら、フロリダ州知事デサンティスは選挙戦から退くべきだという声が大合唱になっていただろう。それは、世論調査で3位につけているニューハンプシャー州や、ヘイリーの地元サウスカロライナ州という、あまり歓迎されない地域に向かうからだ。

2位になったことで、デサンティスは期待以上の結果を残したと主張できる。デサンティス候補は、投票日の夜に支持者を前に行った演説で、「私たちに投げつけられた全てのもの、私たちに反対するすべての人たちの存在にもかかわらず、私たちはアイオワ州で認められた」と語った。

とはいえ、一時はアイオワ州がトランプ氏を逆転する理想的な地形だと考えていた候補者にとって、アイオワ州でのダントツの2位は自慢できるものではない。

デサンティス陣営はまた、メディア各社による早期の勝利者確定報道に激怒した。フロリダ州知事デサンティスの支持者たち、これが彼の票を押し下げた可能性があるという正当な主張をしている。

とは言え、一時はアイオワ州がトランプを逆転する理想的な地形だと考えていたデサンティスにとって、アイオワ州での大きく引き離されての2位は自慢できるものではない。

前途は極めて険しいが、デサンティスはまた新たな一日を戦うために生きている。

●敗者たち(Losers

・ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley

ヘイリー選対は、アイオワ州の結果は彼女の道徳的勝利であると熱心に主張している。

それは本当のことではない。

ヘイリー自身も党員集会後の演説で、「今夜、アイオワ州はこの​​共和党予備選を2人の選挙戦にしてくれた」と主張した。

これは良い表現だ。しかし、これを述べた候補者ヘイリーが3位に沈み、勝者から32ポイントの差をつけられており、説得力を持つ表現とはなっていない。

結果をより深く分析すると、根強い問題も示されているように考えられる。ヘイリーの支持者の圧倒的多数は大学教育を受けた有権者であり、党内ではそうした人々の数は大学の学位を持たない有権者よりも少ない。

とにかくヘイリーは選挙戦から撤退しなかった。

ヘイリーはニューハンプシャー州で力強く復活することだろう。デサンティスよりも、ヘイリーの方が共闘大統領候補者指名獲得への道筋を想定しやすい。

しかし、ヘイリーは単純にアイオワでは敗者となった。それは、彼女がどうしても2位になることを望んだのだが、それを成し遂げることができなかったからだ。

・マスコミの予測(Media projections

共和党党員集会が始まってから30分後にトランプ氏を勝者と予想したことを受けて、メディア各社はまたしても独自の騒ぎに陥っている。

勝利者確定報道は多くのアイオワ州住民が投票を行う前になされた。

AP通信と複数の全国ネットワークを持つテレビ局は、それまでに行った有権者調査と最初期の開票状況を合わせて勝利者確定報道を行った。

しかし、それまでは、投票がまだ実施されている間は、結果の予測は行わないというガイドラインが一般的に受け入れられていた。その経験則(rule of thumb)が月曜日に破られた。

デサンティスを支援する主要なスーパーPACの創設者であるケン・カチネリは、本誌の取材に対してテキスト・メッセージで、早期の確定報道は「非常に言語道断な行為だ」と語った。

カチネリは「ネットワークテレビは投票が始まった途端に勝利者確定報道を行った」と抗議の意を表した。

もちろん、デサンティス陣営は、デサンティスの得票率はもっと高かったはずだと主張する権利を持っている。

しかし、合理的な基準からすれば、極めて早期の勝利者確定報道は、またしてもメディアにとって疑わしい瞬間となってしまった。

・ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

彼は選挙戦から撤退した。

党員集会で約8%の投票率で4位につけた後、ラマスワミの前途は存在しなかった。

この結果は、世論調査が以前から示していた通りのものだった。インターネット上の熱狂的なファン層がいたとしても、ラマスワミの魅力は極めて限定的なものだった。実際、彼に好感を持たない有権者の割合は、選挙期間中に上昇した。

ラマスワミは選挙戦からの撤退を発表したが、同時にトランプに「完全な支持」を表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界構造の大きな転換について詳述しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2023年1月15日に「名目GDPで日本がドイツに抜かれて世界4位に転落」という報道がなされて話題になった。1968年に当時の西ドイツを抜いて世界第2位に躍進したが、2010年に中国に抜かれて第3位となり、今回ドイツに抜かれて4位に転落となった。このことは昨年から既に言われていたことだ。何故なら、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)にこのことを書いたからだ。「日本は経済成長がない国であり、ドイツは高々2%の経済成長率なのに日本を抜く」ということを書いた。そのことを今更声高に叫ぶ必要もない。5位のイギリスに抜かれることはないだろうが、現在6位のインドにも抜かれて、5位に転落するのはここ10年から20年以内の出来事となるだろう。日本は残念なことだが衰退の道を着実に歩んでいる。
worldgdpranking2021501

(貼り付けはじめ)

●「日本のGDP4位転落、ほぼ確実に ドイツに抜かれる見通し」

朝日新聞 1/15() 18:13配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/3477c4492a7de21be7d26064cb879c2c9606c716

 2023年の名目国内総生産(GDP)で日本がドイツに抜かれ、世界4位に転落することがほぼ確実になった。米ドル換算で比べるため、日本のGDPが円安で目減りする一方、ドイツは大幅な物価高でかさ上げされることが要因だ。ただ、長期的にドイツの経済成長率が日本を上回ってきた積み重ねの結果という面もある。

 名目GDPはその国が生み出すモノやサービスなどの付加価値の総額。経済規模を比べる時に使う代表的な指標で、1位は米国、2位は中国だ。

 ドイツが15日発表した23年の名目GDPは、前年比63%増の41211億ユーロ。日本銀行が公表している同年の平均為替レートでドル換算すると、約45千億ドルとなる。

 大幅に伸びた要因は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰などで、日本以上に激しい物価上昇に見舞われたことだ。物価の影響を除いた実質成長率は03%減と、3年ぶりのマイナス成長になった。

 一方、日本の23年の名目GDPは来月発表されるが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算では591兆円(約42千億ドル)とドイツを下回る。円ベースでは前年比で57%増えるが、円安が進んだことでドル換算では12%減ると予測されている。

 日本はすでに19月期の実績で、ドイツに約2千億ドル(約28兆円)の差をつけられている。追いつくには1012月期に約190兆円を積み上げる必要があるが、前年同期が約147兆円だったことを踏まえると、実現はほぼ不可能だ。

 長期的にみるとドイツの成長率は日本を上回っており、経済規模の差は縮まってきていた。国際通貨基金(IMF)のデータから0022年の実質成長率を単純平均すると、ドイツの12%に対し、日本は07%にとどまる。

 各国の経済規模をめぐっては、日本は1968年に西ドイツ(当時)を国民総生産(GNP)で上回り、世界2位の経済大国となった。だが2010年にGDPで中国に抜かれて3位になっていた。(寺西和男=ダボス、米谷陽一)

(貼り付け終わり)

 日本はこれから貧しくなっていく。二極化が進むが、外国から見れば、いくら日本で勝ち組だ何だと威張ってみても、「負け組の船に乗るかわいそうな人たち」というひとくくりの評価だ。私の母方の曽祖父は戦前、アメリカのロサンゼルスに出稼ぎに行って、仕送りをして、子供たちを育て学校に行かせた。ガーデナーといわれる庭師、肉体労働をしていたそうだ。ハリウッドの映画スターの家で働きぶりが良いということで、お菓子をもらったり、子供たちの洋服のおさがりをもらったりして、それを日本に送ってもらって、それを皆で食べた、お古とは言えきれいな洋服を着て目立ってしまったという話を祖母から聞かされた。

そういうことがまた起きるだろう。しかし、今の日本人に何ができるだろう。外国語(英語や中国語など)ができなければ、デスクワークなどはできない。それなら肉体労働はどうだろうか。今の日本人に肉体労働ができるだろうか。はなはだ心もとない。そうなれば、使えない人間ということになる。元先進国の国民で体が動かないというのは、江戸幕府瓦解後の武士階級みたいなものだ。

 各国の経済力や経済成長を見てみると、やはり、非西側諸国(the Rest、ザ・レスト)の勢いが凄まじい。その中核であるBRICSのさらに中核BRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)は、名目GDPで見てみると世界トップ20位以内に入っている。更に、ジョコ・ウィドド大統領の下で進境著しいインドネシアも躍進している。

 名目GDP以外に、購買力平価(purchase power parity)によるGDPという指標もある。購買力平価とは「一つの物品の価格は一つ(一物一価)」という考えから、例えば、ハンバーガーがアメリカでは1ドルで買えて、日本では120円で買えるとすると、1ドル=120円という為替価値が妥当だとする考えだ。購買力平価は短期的な為替ではなく、長期的な動きを示すということになる。そして、この購買力平価によるGDPの評価ということもなされている。こちらの方が実態に近いという説もあるが、名目GDPの方がまだよく使われる指標になっている。購買力平価GDPで見てみると、名目GDPよりもより驚くべき順位が出る。中国がアメリカを抜いて世界第1位であること、インドが既に世界第3位で、日本は4位であること、7位にインドネシアが入っていること、トップ10にBRICが全ては言っていることなど、下記の順位を見て驚く人も多いだろう。これがある側面で見た世界の現実である。
worldgpdbycountriesppp511
 ここで重要なのは、インドネシアである。インドネシアは、世界第4位の2億7000万の人口を誇り、名目GDPは世界16位、購買力平価GDPは世界7位となっている。名目GDPが1兆ドル(約143兆円)を突破し、「1兆ドルクラブ」入りを果たした。インドネシア国民の平均年齢は約31歳(日本は約48歳)、これから消費者、生産者として活発に活動していく人々が多く存在する。これを「人口ボーナス」と呼ぶ。一方日本は「老人ホーム」となっていく。日本はこれから旺盛な経済活動を行う、西側以外の国々に抜かされていくだろう。ドイツに抜かされたくらいで悲観的になっていては身が持たない、これからこのようなニューズに何度も何度も接することになるのだから。
indonesianeconomicgrowthgdp001
trilliondollarclub001

(終わり)


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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。2023年を回顧し、2024年、その先を見通す内容となっています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 新刊でも取り上げたが、2023年10月7日からパレスティナ紛争が続いている。ハマスによるイスラエルに対する攻撃とそれに対するイスラエルの大規模な報復攻撃によって、多くの民間人が犠牲になっている。1948年にイスラエルが建国されて以来、パレスティン紛争は、強弱はありながらも継続中で、もうすぐで75年が経過しようとしている。問題は親から子へ、子から孫へと引き継がれて、より複雑化しているようだ。どうしてパレスティナ紛争は解決しないのか。1993年にパレスティナ解放機構(PLO)とイスラエルの間で成立したオスロ合意に基づく、二国家共存解決策(two-state solution)は破綻寸前なのはどうしてか。

 ハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトはその主要な理由を5つ挙げている。ウォルトは、妥協不可能な目的、イスラエルが拡大すればするほど国内が脆弱になってしまう安全保障のディレンマ、無責任な部外者の介入、過激派の存在、アメリカに存在するイスラエル・ロビーが主要な5つの理由として挙げている。

 興味深いのは、イスラエルが拡大を続けて、アラブ人、パレスティナ人が住む領域を国土に編入していくと、イスラエル国民の構成がユダヤ人とアラブ人で半々になってしまう、そうした場合に、アラブ人にユダヤ人と同等の政治的権利を与えるべきかどうかということが大きな問題になるということだ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はアパルトヘイト政策を実施して、アラブ系のイスラエル国民に政治的権利を認めないということを実行しているが、それでは、イスラエルが建国の理念として掲げる民主政治体制の公平性を毀損することになる。これは国家の存在理由を毀損することになる。イスラエルを拡大し、二国家共存路線を否定すればするほど、イスラエルの建国の理念は毀損され、イスラエル国家の正統性は失われていく。

 イスラエルの過激派は、二国家共存路線を放棄させようとして、パレスティナの過激派であるハマスと手を結んだ。彼らは共通の目的である「二国家共存路線の放棄」のために共闘できた。その結果が現在である。この過激派同士が手を組むというのはよく見られる現象である。ここで重要なのは、穏健派同士が手を組んで主導権を握ることだ。そうすることで、問題解決の糸口が見つかるだろう。パレスティナ紛争の解決(もしくは小康状態)は世界にとっても重要である。そして、それを75年間も成功させられなかったアメリカは、仲介者や保護者の役割を降りるべきではないかと私は考えている。パレスティナとイスラエル、双方と話ができる、非西側諸国(the Rest、ザ・レスト)の旗頭である中国に任せてみたいとなどと言えば、反発を受けるだろうが、サウジアラビアとイランの国交正常化交渉合意を取り付けた実績がある。アメリカの失敗を土台にしてそこから学び、方法を見つけることができるのではないかと考える。

(貼り付けはじめ)

イスラエルとパレスティナの紛争がすぐには終わらない5つの理由(5 Reasons the Israel-Palestine Conflict Won’t End Any Time Soon

-過激派、ロビイスト、お節介な部外者、そしてより深い構造的問題の存在は、この問題が未解決のままであることを意味するものだ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年1月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/08/israel-palestine-conflict-gaza-hamas/

関連する歴史にあまり馴染みがなく、今現在のように何か酷いことが起きている時にしかこの問題に注意を払わない傾向があるのなら、あなたは自問するかもしれない。それは次のような一連の疑問だ。「何が問題になっているのだろうか? なぜイスラエルとパレスティナは和解し、うまくやっていくことができないのだろう? アメリカは第二次世界大戦後、ドイツや日本と和解したし、アメリカとヴェトナムの関係は現在友好的だ。南アフリカや北アイルランドのような問題を抱えた社会でさえ、正義と平和に向かって進んできた。それなのになぜ、これらとは別の紛争を終わらせるための多種多様な努力が失敗に終わり、1948年にイスラエルが誕生して以来最悪のイスラエルとパレスティナの血を見ることになったのだろうか?」

私は疑問解消の手助けをするためにここにいる。イスラエルとパレスティナの紛争が、罪のない人々の命を奪い続け、地域を不安定化させ、ワシントンの政治的処理能力(Washington’s political bandwidth)を不釣り合いなほど消費し、恐怖、苦しみ、不正義を永続させ続けている理由のトップ5を紹介しよう。

(1)割り切れない目的(Indivisible objectives)。紛争の核心には、深い構造的問題がある。イスラエルとパレスティナの民族主義者・ナショナリストたちはともに、同じ領土に住み、その支配を望んでおり、それぞれがそれを自分たちの正当な権利だと確信している。両者はそれぞれ主張の根拠を持っており、それぞれが自分の立場が相手の立場を打ち負かすべきだと熱烈に信じている。国際関係学者たちはこのような状況を「不可分性(indivisibility)」問題と呼ぶ。紛争を解決するためには、当事者双方が納得できるような方法で問題を分割する必要がある。さらに、三大宗教の聖地であるイェルサレムの複雑で争いの絶えない地位が加われば、紛争が繰り返されることになる。過去100年にわたり、土地の共有に関するいくつかの提案がなされてきたが、妥協を求める声は、係争中の領土の全てを求める人々によってかき消され、あるいは排除されてきた。悲しいことに、ナショナリズムとは通常このように機能するものだ。

(2)安全保障のディレンマ(The security dilemma)。1つ目の問題と、紛争地域の狭さが相まって、2つの共同体は安全保障上の深刻なディレンマに直面している。シオニストの指導者たちは当初から、アラブ人が多数派どころかかなりの少数派として存在する、ユダヤ人が支配する国家を作ることは困難か不可能であると認識していた。その信念が、1948年のアラブ・イスラエル戦争、そして1967年にイスラエルがヨルダン川西岸を占領した際の民族浄化行為(acts of ethnic cleansing)につながった。しかし、このような行為は、アメリカを含む、他の多くの場所で国家建設の努力が同じような性質の行為に及んでいるように、決して特異なものではなかった。当然のことながら、追放されたパレスティナ人もイスラエルのアラブ近隣諸国も、この事態に激怒し、結果を覆そうと躍起になった。

更に悪いことに、イスラエルは人口が少なく、地理的に脆弱なため、指導者たちは国境を拡大することで国の安全性を高めようとする強力な動機を持っていた。ダヴィド・ベン=グリオン(David Ben-Gurion)首相は、1956年のシナイ戦争(Sinai War[第二次中東戦争]でイスラエルが占領した土地の一部を保持することを一時的に望んだが、アメリカからの確固とした圧力により、この計画を断念せざるを得なかった。その11年後、同じ拡張主義的な衝動によって、イスラエルは1967年の6日間戦争(the Six-Day War[第三次中東戦争]後もヨルダン川西岸とゴラン高原を支配し、1967年から1979年のエジプト・イスラエル和平条約調印まで、シナイ半島の大部分を支配し続けた。

残念なことに、ガザ地区を支配しながらヨルダン川西岸を保持し定住するということは、数百万人のパレスティナ人が永久にイスラエル支配下に置かれることを意味し、事実上、建国者が避けようとしていた人口動態の問題(demographic problem)、つまりイスラエルが支配する領域でユダヤ人とパレスティナ人の数がほぼ同数になるという問題を引き起こすことになる。「大イスラエル(Greater Israel)」という目標を追求すれば、その指導者たちは、ほぼ同数のパレスティナ人従属民に完全な政治的権利を与えるか、彼らの大半を追放する別の口実を見つけるか、イスラエルの民主政治体制と人類への公約とは相容れないアパルトヘイト制度(apartheid system)を導入することを強いられるだろう。元イスラエル外務大臣シュロモ・ベン=アミは2006年に、「民主政治体制とユダヤ国家の地位と領土拡大とを両立させることはできない」と書いた。最も悪くない選択肢は、イスラエルが現在支配している領土のかなりの部分を放棄し、パレスティナ人が独自の国家を持つことを認めるという選択肢だ。この目標は、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そして現在のジョー・バイデン政権が掲げた政策である。

しかし、安全保障のディレンマは、「2つの民族のための2つの国家(two states for two peoples)」を交渉する努力を複雑にしている。イスラエルの交渉担当者たちは、パレスティナの国家がイスラエルを深刻に脅かすことがないよう、イスラエルが国境と領空を実質的に支配したまま、将来のパレスティナの実体(あるいは国家)を事実上非武装化しなければならないと主張している。しかし、そのような取り決めをすれば、パレスティナ人はイスラエル(そしておそらく他の国家)に対して永久に脆弱な立場に置かれることになる。それぞれの安全意識を向上させ、最終的な和解を促すような取り決めを想像することは可能だが、絶対的な安全は到達不可能な目標である。残念なことに、10月7日のハマスの犯罪と、現在ガザで罪のないパレスティナ人に加えられている犯罪は、当面の間、2国家解決を達成することをより困難にするだろう。

(3)役に立たない部外者。 この2つの人々の間の対立は、利己的な介入(self-interested interventions)が通常は逆効果である一連の第三者によっても煽られ、維持されてきた。イギリスは1917年のバルフォア宣言(Balfour Declaration)によって問題が始まり、戦間期(the interwar period)には国際連盟(League of Nations)の任務を誤って管理し、第二次世界大戦後は問題を国際連合(United Nations)に突きつけることになった。1948

年以降、繰り返される一連のアラブ間対立の一環として、競合するアラブ諸国はパレスティナ内部の別々の派閥を支援し、パレスティナの統一を損なった。

冷戦時代、アメリカはイスラエルを、ソ連はいくつかのアラブの重蔵国を、それぞれ利己的な理由から武装させたが、どちらの大国も問題解決の糸口が見つからないパレスティナ問題や、ヨルダン川西岸一帯に入植地(settlements)を建設するというイスラエルの決定を覆すことには十分な関心を払わなかった。そしてイランは、ハマス、パレスティナを根拠とするイスラム聖戦、レバノンを根拠とするヒズボラを支援することで、主にテヘランが脅威とみなす方法でこの地域を再編成しようとする、アメリカの努力を頓挫させようとしてきた。こうした外部からの介入はいずれも、イスラエル・パレスティナ紛争の解決には役立たず、むしろ悪い状況をより悪化させる傾向にあった。

(4)過激派。中東でも他の地域と同様、少数の過激派が、困難な問題を解決しようとする善意の努力(well-intentioned efforts)を頓挫させることがある。1990年代のオスロ和平プロセスは、両陣営がこれまでで最も紛争終結に近づいたものだったが、両陣営の過激派がこの希望に満ちた和平への道を台無しにした。ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦による一連の自爆テロはイスラエルの和平派を弱体化させ、1994年にはイスラエル系アメリカ人入植者が和平努力を阻止するために意図的にパレスティナ人29人を殺害し、その後、別のイスラエル人狂信者がイツハク・ラビン首相を暗殺し、ベンヤミン・ネタニヤフが首相に就任するのを間接的に助けた。

二国家解決(two-state solution)への反対はネタニヤフ首相の政治キャリア全体の道標であり、二国家解決を実現させることに関心を持っていた穏健派パレスティナ自治政府(moderate Palestinian Authority)を弱体化させるという明確な目的のために密かにハマスを支援したほどだ。その政策の悲惨な結果は10月7日に明らかになった。

(5)イスラエル・ロビー。AIPAC、名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League)、クリスチャンズ・ユナイテッド・フォー・イスラエル(Christians United for Israel)のような諸団体が紛争を長引かせていると考える人もいるだろうが、紛争を長引かせている唯一の責任があるとは思わない。しかし、彼らや他の志を同じくするグループや個人が問題解決にとっての重大な障害となっている。彼らの行動の詳しい説明については、『イスラエル・ロビー』の第7章を​​参照するか、ピーター・ベイナートの最近の論稿を読んで欲しい。

これらのグループは、アメリカの政治家に紛争に対する一方的な見方を教え込むだけでなく、紛争を終結させようとするアメリカ大統領の真剣な試みをことごとく妨害することに積極的に取り組んできた。ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの各大統領は、いずれも二国家による解決を公に約束し、クリントンとオバマはそれを実現しようと真剣に試みた。それはなぜか? オバマが言うように、2つの民族のための2つの国家は「イスラエルの利益、パレスティナの利益、アメリカの利益、そして世界の利益(Israel’s interest, Palestine’s interest, America’s interest, and the world’s interest)」だからである。しかし、大きな影響力を行使できるにもかかわらず、どの大統領もイスラエルに深刻な圧力をかけようとはしなかった。イスラエルが入植地建設を中止し、占領地のアパルトヘイト体制を解体し始めることを条件に、アメリカの援助や外交的保護を行うことさえできなかった。

Jストリートやアメリカンズ・フォー・ピース・ナウのような、二国家間解決を支持する著名な親イスラエル団体でさえ、アメリカの指導者たちにこの措置をとるよう公然と呼びかけたり、イスラエルに意味のある圧力をかけることを支持するよう連邦議会議員に圧力をかけたりすることはなかった。イスラエルはその主要な後援者であり庇護者(principal patron and protector)であるアメリカから責任を追及されることがなかったため、歴代のイスラエル政府は妥協する必要性を感じることもなく、自分たちの行動の長期的な影響を考慮することもなかった。その結果、ジョン・ミアシャイマーと私が(そして他の多くの人々が)何年も前に警告したように、イスラエルとパレスティナ人が今日直面しているような災難が起こった。

これら5つの要因はそれぞれ、単独でも和平への困難な障害となるだろうし、このリストから外した他の障害も間違いなく存在する。こうしたことが物語っているのは、残念なことだが、この紛争はすぐには終わらないということだ。それは、イスラエル人にとってもパレスティナ人にとっても悲劇(tragedy)である。パレスティナ人が最大の損失を被っているとおりそれは悲劇であるが、イスラエル人にとっても悲劇である。

更に言えば、現在のガザ戦争におけるイスラエルの行為は、反ユダヤ主義(antisemitism)を煽ることによって、世界中のユダヤ人を危険にさらすかもしれない。バイデン政権は、イスラエルのガザにおける残忍かつ大量虐殺の可能性のある作戦に積極的に加担しているため、アメリカはこの惨事(disaster)における役割のために、道徳的にも戦略的にも深刻な代償を払うことになるだろう。「ルールに基づく国際秩序(rules-based international order)」の指導者であると自称するアメリカの信用を失墜させようと躍起になっている世界の指導者たちにとって、これ以上素敵な休暇のプレゼントはないだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 世界は、「西側諸国(ザ・ウエスト、the West)」と「西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」の分立構造になっている。中国は西側以外の国々の旗頭(はたがしら)になっている。中国は、自国の政治モデルや経済モデルを他国に宣伝し広めるということも視野に入れている。「魅力攻勢(charm offensive)」という言葉になるが、外交には厳しく対応する面と、相手を取り込もうとする面が存在する。

 中国の外交では「戦狼外交(せんろうがいこう、Wolf warrior diplomacy)」という言葉が有名である。これは中国版「ランボー」と呼ばれる映画のタイトルから引っ張ってこられた言葉だ。外交部長(外相)にまで昇進したがその後失脚した秦剛や最近まで外交部報道局副局長を務めた趙立堅がこの戦狼外交の代表的な外交官だった。

 中国の外交姿勢は鄧小平以来の「韜光養晦(とうこうようかい)」、爪を隠して低姿勢で時期が来るのを待つというのが基本だった。しかし、21世紀に入り、日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、アメリカにも迫ろうという状況で、攻撃的、積極的な外交姿勢を取るということになり、これが戦狼外交である。アフリカへの積極的な進出や経済面での圧力など、これまでの中国にはなかった外交姿勢である。

 そうした中で、重要なのは、「魅力攻勢」である。厳しいだけ、経済面だけの外交進出だけでは、他国を中国になびかせることは難しい。より包括的な、より多方面の外交姿勢が重要である。そのためには、中国の芸術文化やスポーツなどの進出も必要である。これは、アメリカの学者ジョセフ・ナイが提唱した「ソフト・パワー」にも通じる考え方である。更に言えば、中国の成功、発展をアピールし、政治モデルや経済モデル、社会モデルを積極的に外国に売り込む、そのために海外からの留学生を積極的に受け入れ、手厚く遇するということも重要になっている。中国は実際に留学生の受け入れを拡大している。ここで重要なのは、アメリカがやる「押し付ける」方法は駄目だということだ。

 中国はその点で、自国の価値観を押し付けるということは少ない。それは西側以外の国々、様々な政治体制を保持する国々にとって魅力的である。日本はアメリカの一部となって、価値観外交を行おうとしているが、それは時代遅れのものとなりつつある。

(貼り付けはじめ)

中国は「魅力攻勢」を成功させられるか?(Can China Pull Off Its Charm Offensive?

-北京の外交リセットはなぜうまくいくのか、あるいはなぜうまくいかないのか。

スティーヴン・M・ウォルト筆
2023年1月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/01/23/can-china-pull-off-its-charm-offensive/

独裁国家の利点の1つは、状況の変化に応じて急対応できることだと言われている。1人の人間が最高の権力を持ち、官僚の硬直性(bureaucratic rigidity)、厄介な報道機関、国内の反対勢力、影響力のある利益団体、独立した司法機関、その他民主政治体制に付随する厄介なもの全てを心配する必要がないのであれば、理論的には、ただ新しい勅令を発し、国家という船を新たな航路に進ませることができる。

俊敏で順応性のある独裁者というこのイメージは、おそらく間違いか、少なくとも不完全なものだろう。一見無敵に見える独裁者でも、潜在的なライヴァルや権力中枢の競合、遠く離れた役人たちが指示を実際に効果的に実行するかどうかなどを心配するのが普通だ。専制君主は、部下が本当のことを教えてくれないために、時には失敗した政策に行き詰まることもあるし、弱いと思われたくないために軌道修正を拒むこともある。さらに、ナマケモノのように機能不全に陥っているはずの民主政治体制国家が、特に緊急時には驚くほどの活力と迅速さで行動することもある。

これらの注意点はともかく、習近平国家主席が最近行なった変革の範囲とスピードには目を見張るものがある。2022年10月に開催された中国共産党第20回全国代表大会で権力を固めた習近平は、予期せぬ国民の抗議デモの発生に対応するため、それまで支持してきた硬直的でコストのかかる新型コロナウイルス・ゼロ政策を突然放棄した。習近平は中国経済に対する国家主義的、レーニン主義的アプローチを部分的に緩和し、貧弱な経済成長とアリババ社のような飛ぶ鳥を落とす勢いのある中国企業の翼を切り取ろうとした過去の努力に直面して、中国の民間部門を安心させ、再活性化させようとしている。(これらの措置の詳細については、アジア・ソサエティの有益な論文を参照されたい)。

私たちの目的にとって最も重要なことは、中国は現在、世界的なイメージを向上させ、経済成長を再燃させ、いくつかの主要国を緩やかな反中連合にまとめようとするアメリカの努力を妨害するための広範な努力の一環として、外の世界と仲直りしようとしていることである。この最新の「魅力攻勢(charm offensive)」はうまくいくだろうか?

習近平がなぜこのような行動をとるのか、天才でなくとも理解できるだろう。習近平の外交政策に対する基本的なアプローチがうまくいかなかっただけなのだ。今世紀半ばまでに(世界一ではないにせよ)世界をリードする大国になるという目標を公然と宣言したのは間違いだった。それは立派な目標かもしれないが、そのような大胆な自慢は確実にアメリカを警戒させ、他の多くの国も警戒させた。大規模な軍備増強と南シナ海での軍事化された「島建設(island-building)」を組み合わせたのは間違いだった。この重要な水路における中国の領有権主張を退けた国際法廷の判決を拒否したのは近視眼的であり、紛争地域に飛行機や船を送り込んで台湾や日本を脅したのは逆効果だった。中国軍が人里離れたヒマラヤ山脈でインド軍と衝突するのは、ほとんど意味がない。ロシアがウクライナに侵攻する前夜に、中国をロシアと密接に連携させたのは間違いだった。習近平が騙されたのか(ロシアのプーティン大統領が習近平に計画を伝えていなかったとすれば)、それとも習近平が考えていたよりも能力も実力もないことが判明した残忍なパートナーを黙認する道を選んだのか。いずれにせよ、良い印象ではない。最悪なのは、こうした懸念すべき政策が、攻撃的で超戦闘的な「戦狼(wolf-warrior)」外交によって追求し、擁護されてきたことだ。外国の外交官や政府高官を繰り返しいじめ、侮蔑することで、友好国を獲得し、中国の影響力を高めることができるという奇妙な考えに基づいている。

習主席の外交政策の対応の結果はあまりにも明白だ。アメリカでは「中国の脅威(China threat)」に対抗することを支持する超党派の合意が得られた。中国のハイテク産業を阻害することを目的とした輸出規制を含む、ますます激化するハイテク貿易戦争が起きている。アメリカ、日本、インド、オーストラリアのいわゆるクアッド連合(Quad coalition)の強化も進んでいる。日本は、2027年までに防衛費を倍増させ、アメリカと更に緊密に協力するという決定をした。韓国は核兵器を取得する可能性をほのめかしているが、これは部分的には北朝鮮の行動への反応であるが、中国に対する懸念の反映でもある。そして欧州連合、オーストラリア、その他いくつかの場所における中国の公的イメージの劇的な悪化が起きている。

リセットの必要性は明らかであったため、中国はこのところ仲良くしている。習近平とジョー・バイデン米大統領はバリG20サミットでそれなりに友好的な会談を行った。習近平はドイツのオラフ・ショルツ首相を国賓として北京に迎え、習近平自身も東南アジアの国家元首と会談し、サウジアラビアの指導者ムハンマド・ビン・サルマンが企画した一連の首脳会談のためにサウジアラビアを訪れた。中国の劉鶴副首相はダボス会議の聴衆に「中国は復活した」「ビジネスのために開かれている」と語り、党の中央経済工作会議は経済成長を促進することを目的としたビジネスに優しい指針を発表している。劉はまた、ジャネット・イエレン米財務長官と面会し、彼女を北京に招待した。

短期的には、狼戦外交を放棄し、中国が他国との緊密な経済関係を望んでいることを改めて表明すれば、多くの地域で受け入れられよう。今日の中国の世界における地位と影響力は、その経済規模と高度化する技術力によるものである。対照的に、その軍事力の増大は他国を神経質にさせている。アメリカの親密な同盟国でさえ、中国の人権慣行や地域の現状に挑戦しようとする努力には異論があるにもかかわらず、中国との経済的関係を断ち切ろうとはしていない(はっきり言って、多くのアメリカ企業も同様である)。オランダのマーク・ルッテ首相が先週のダボス会議の聴衆に語ったように、「『正当な安全保障上の懸念』が存在するとしても、中国は『巨大な可能性を秘めた巨大な経済であり、巨大なイノベーションの基盤』である」。フランスのブリュノ・ルメール財務相もこの意見に賛同し、「アメリカは中国に対抗したがっているが、私たちは中国に関与したい。私は、世界のゲームにおいて、中国は参加しなければならず、中国は参加できないことはないと強く信じている」と述べている。

この言葉から分かるのは、中国は無理に変化のペースを上げようとするのを止め、戦略的忍耐の政策を採用すべきだということだ。特に先端技術という重要な分野での国内経済発展に重点を置くべきで、そうすることで他国は中国との緊密な関係を維持したいと思うようになり、ワシントンが中国の成長を減速させるために展開しているアメリカの輸出規制やその他の措置に全面的に参加することを思いとどまるだろう。中国はまた、既存の国際機関の中で影響力を構築する努力を続けるべきである。この努力は、他の国家が北京の影響力強化を将来どのように利用するかを心配しなければ、成功する可能性が高くなる。

このアプローチは、ウェストファリア式の国民主権に対する中国の強いコミットメント(完全に一貫しているわけではないにせよ)を利用するものでもある。中国独自の政治モデルは普遍的な魅力に乏しいが、他国に内政のあり方を指図することはほとんどなく、自国がどのように統治されたいかは各国が自ら決めるべきだという考え方を明確に受け入れている。対照的にアメリカは、他国がどのように統治すべきかについて説教するのが大好きで、他国にリベラルな価値観を受け入れさせようとし続けている。他の条件が同じであれば、二国間関係に対する北京のあまり押しつけがましくないアプローチは、他の非民主政体国家にとって特に魅力的であろう。ここで、今日の世界では非民主政体国家が真の民主政体国家をかなりの差で上回っていることを覚えておく価値がある。

しかし、中国が以前の「平和的台頭(peaceful rise)」戦略に近いものに戻ることができなければ、中国が現在試みているリセットは失敗に終わるだろう。習近平が存命中に特定の目標(台湾との統一など)を達成することに全力を注いでいるため、台湾への軍事攻撃は危険な提案であり、中国に対する恐怖心を新たな高みへと押し上げることになるにもかかわらず、リセットは失敗するかもしれない。あるいは、中国の指導者たちが、中国の力はピークに達しており、人口動態、経済の停滞、地域の均衡が重なって手が届かなくなる前に、必要な現状変更(necessary changes in the status quo)を達成し、それを強固なものにする必要があると考えているために、失敗するかもしれない。

ここには、すべての大国(および一部の小国も)の指導者が熟考すべき、より広範な教訓がある。外国経済が急速に成長している場合、国際システム内の国家が強く否定的な反応を示すことはほとんどない。それどころか、経済的機会の拡大から恩恵を受けることができるため、歓迎することが多いものだ。この政策により、挑戦者が他の政策よりも早く立ち上がることができるのであれば、近視眼的かもしれないが、依然として広く普及している傾向であるようだ。台頭する大国が新たに獲得した勢力を振りかざし始めたとき、特に、ロシアが現在ウクライナで試みているように、力による現状変更を試みることによって初めて、他の国々が完全に警戒し、問題に対して直接行動をとり始めるのである。問題を含んでいる。

アメリカは非常に幸運だった。19世紀のアメリカの台頭は、他の大国から遠く離れていたため、敵対的な反応を引き起こすことはなく、諸大国はお互いをより心配しており、アメリカは諸大国と戦う必要がなく、北米全域に拡大することができた。現在の中国の立場はそれほど好ましいものではなく、台湾の国民は依然として北京による統治に強く反対しており、軍事行動を通じてのみ統一を強いられる可能性がある。中国政府の最新の魅力攻勢が成功するかどうかは主に、習主席とその仲間たちがこの問題を認識し、国家主義的な野心を抑制し、国内の経済力の構築を継続することに努力を集中するかどうかにかかっている。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt
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 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界を大きく見るための枠組みを提示しています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年は中国にとっても厳しい年となりそうだ。経済が減速し、若者たちは就職で苦労し、結果として、社会に対する幻滅や国家に対する信頼が揺らぐということになる。中国は経済運営に関して、人類史上でも類を見ないほどにうまく対応してきた。日本の戦後の成長は「奇跡の経済成長」と賞賛されてきたが、中国の経済成長は期間とその規模で日本を上回っている。

 2024年の中国に関する5つの予測という記事が出た。この記事によると、中国の2024年は暗いようだ。不動産価格の下落、若者の就職が厳しい状態、若者たちの幻滅はすでに起きており、今年も続くということだ。中国の不動産価格は下落するだろう。日本の都市部の不動産価格の高騰は中国マネーが入ってきているからであり、中国の富裕層は日本に目を向けている。中国の若者たちの厳しい現実と幻滅に中国政府は本格的に対処することになるだろう。

 中国の政治指導部で複数の閣僚の更迭が起きたが、これは、アメリカとの不適切なつながりがあったためだ。中国の最高指導層はこの点を非常に厳しく見ている。敵と不用意にかつ不適切につながっている人物を排除するということで、非常に厳しい態勢を取っている。それだけ米中関係のかじ取りが難しいということも言える。お互いに、敵対的な関係にはなりたくないが、好転するという状況にはない。ジョー・バイデン政権はウクライナとイスラエルという2つの問題を抱えて、更に中国と敵対することは不可能だ。何とか宥めながら、状況を悪化させないようにしようとしている。

 台湾の総統選挙は民進党の候補が勝利すると見られている。これで何か起きるということは米中ともに望んでいない。現状がそのまま続くことになる。台湾に関しては、バイデン政権が超党派の代表団を送り、台湾の代表もアメリカで活発に動いているようであるが、大きな変化はないだろう。アジアで何かを起こすことは、アメリカにとっても致命傷になってしまう。アジアの平穏は世界にとっても重要だ。日本も中国とは敵対的な関係にならないように配慮していく2024年になるだろう。

2024年の中国に関する5つの予測(5 Predictions for China in 2024

-台湾に関する小さな危機から若者層で拡大する幻滅まで、来年(2024年)に中国が直面するであろう5つの問題について見ていく。

ジェイムズ・パーマー筆

2023年12月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/12/26/china-predictions-2024-taiwan-economy-xi-jinping/

2020年代は今のところ、中国の失われた数十年のように感じられる。経済は減速し、若者は幻滅して、職を失い、彼らの親は資産価値の暴落を目の当たりにしている。経済は減速し、若者たちは幻滅し、職を失い、親たちは資産価値の暴落を目の当たりにしている。2023年は北京にとって困難な1年であり、次の1年もそれほど幸せなるとは見えない。以下に、2024年の中国に関する5つの予測をまとめた。

(1)台湾の小規模な危機(A Taiwan Mini-Crisis

台湾では1月13日に総統選挙が行われ、今年は海峡における小さな危機から始まる可能性がある。蔡英文(Tsai Ing-wen)総統の下で働き、民進党(Democratic Progressive PartyDPP)に所属する現台湾副総統、頼清徳(Lai Ching-te)が、世論調査の結果では僅差でリードしている。彼の選出は北京を激怒させるだろう。彼はより独立した台湾の擁護者であり、中国共産党 Chinese Communist Party (CCP) に強く反対しています。

頼は、北京の最終防衛線(レッドライン)である台湾の正式な独立や中華民国を名乗ることはないと述べているが、台湾の主権は「事実(fact)」であり、北京の基準では候補者全員が独立派であることを念押ししている。

頼が勝利すれば、海軍の作戦行動や領空侵犯など、北京の積極的な動きが予想される。先週、習近平が11月にジョー・バイデン米大統領と会談した際、台湾との統一について発言したという報道があり、ワシントンはパニックに陥ったが、侵攻の可能性は極めて低い。特に中国が他の危機と闘っているときには、それは危険で困難なことだろう。

1月13日に台湾の野党・国民党(KuomintangKMT)が勝利したとしても、いくつかの問題が生じる可能性がある。国民党は民進党よりも親中派だが、この島の鍵を中国政府に渡すことはまずないだろう。中国当局者は、国民党の選挙勝利を台湾における中国の影響力の表れとみなして、その重要性を過大評価している可能性がある。最近の調査では、台湾の有権者の17%が中国を主な関心事だと答えたが、その2倍以上が経済を選んだ。

(2)拡大する不動産苦境(Growing Property Woes

中国の住宅価格は何年にもわたって危険な状態に陥っていたが、2024年はついに危機の瀬戸際に立たされる年になるかもしれない。今年の不動産開発業者たちの危機は、カントリー・ガーデン(Country Garden)のような、かつては比較的安全と考えられていた企業にまで及んだ。しかし、中国政府が本当に恐れているのは住宅価格の下落だ。結局のところ、中国の家計資産の70%は不動産に投資されている。

政府はデータを改ざんし、解説者たちを脅迫して、中国経済が実際にどれだけ厳しい状況にあるのかについて人々が語るのを阻止しようとしているようだ。現在、公的な住宅価格指数と実際に市場で売れる不動産価格の間には大きな乖離がある。多くの都市では価格が少なくとも15%下落し、北京では最大30%下落している。

こうした傾向が広がるにつれ、公式の数字ですら現実をよりよく認識する必要が生じる可能性があり、そうなるとより広範囲にわたる信頼の危機を引き起こすことになるだろう。

(3)政治指導者の交代(Political Leadership Shake-ups

2023年には、秦剛(Qin Gang)外交部長と李尚福(Li Shangfu)国防部長という2人の最高指導層の指導者たちが失脚した。両者の解任の全容は依然として不透明だが、習近平が昨年トップポストに忠実な人物を詰め込んだにもかかわらず、中国共産党の最高指導部の政治は新年を迎えても不安定なように見える。

それは驚くべきことではない。習近平は政党政治において有能であるが、彼の統治は、特に過去3年間、中国にとって酷いものとなった。義務的な崇拝によっても、彼は不安を感じたり、多くの人がこの国の現状について自分を責めていることを認識したりするのを止めることはできない。この不安は、習近平の気まぐれに生命、富、自由が左右される他の指導部にも影響を与える。こうした緊張が来年、劇的な政治な結果を生み出す可能性が高い。

派閥や協力者たちについて語られることはあっても、中国共産党の政治はある意味で組織犯罪の力学に似ている。もし習近平に対して重大な動きがあるとすれば、それは習近平が推し進め、後援してきた人々から起こるかもしれない。

(4)若者たちの幻滅(Youth Disillusionment

先週、AP通信のデイク・カン記者は、過去3年間の中国における大衆の気分の変化を捉えた2つの微博(Weibo)メッセージを自身のアカウントで共有した。2020年6月、見知らぬ人が彼に「中国から出て行きやがれ(Get the fuck out of China)」とメッセージを送った。 今月(2023年12月)、同じアカウントから「申し訳ありません」というメッセージが届いた。

中国の若者の多くがここ数年で同じ道をたどった。国家主義的な教育は、2020年の夏に新型コロナウイルス感染症に対する明らかな勝利とともにもたらされた誇りと勝利の感情を彼らに呼び起こし、世界の他の国々が緊急体制を取る一方で、中国は比較的正常な状態に戻った。その感情は西側諸国、特にアメリカに対する敵意(hostility)の高まりと融合し、アメリカを非難するパンデミックに関する、複数の権力者共同謀議論(conspiracy theories)が定着した。

しかし、2021年と2022年の中国の新型コロナウイルス感染ゼロ政策への不満と経済危機が相まって、国民、特に若者の感覚は大きく変化している。この変化の兆候の1つは、中国の対米世論が急上昇していることである。これは、中国政府の方針に対する不満を表現する暗号化された方法である。 2024年には、2020年代の初めに既に明らかだった将来に対する悲観が更に悪化する可能性が高くなる。

民衆の間にあるナショナリズムの低下と若い新卒者たちの悲惨な経済見通しが、中国の18歳から24歳のうつ病の増加につながっているようだ。若者の失望と怒りは2022年12月に爆発し、中国は新型コロナウイルス感染ゼロ政策に反対する過去数年で最大の大規模抗議デモを経験した。来年(2024年)はそのようなことはないだろうが、虚無主義と他国への逃亡願望(そうする資力のある人々の間での)は、2024年もいわゆる逃避学(runology)を煽り続けるだろう。

10年前、中国共産党が反体制派潰しに走った主な理由の1つは、党が若者の支持を失っているという確信だった。この新たな恨みに対する政府の対応は、強制的な愛国心の誇示とネット空間の検閲強化を主張することだろう。2023年には、別のゲーム機性が終わったが、中国政府に中国の若者が望むような未来を提供する能力はほとんどない。

(5)米中関係の崩壊はないが、回復もない(No Collapse in U.S.-China Relations, but No Recovery Either

2023年11月にサンフランシスコで行われた習近平とバイデンの首脳会談は成功し、双方はこれを勝利とみなしたようだが、長年下り坂だった関係に一時的な冷却期間をもたらした。重要なのは、北京とワシントンのハイレヴェル軍事協議が再開されたことだ。中国の国営メディアでは、反米的な言動は比較的控えめだが、それでも絶え間なく流れ続けている。

それが長続きするとは思わない方がいい。両大国間の構造的緊張は十分に激しく、何らかの新たな危機が中国をいわゆる狼戦士モードに戻すことは避けられないだろう。しかし、この態勢が2020年のような高みに達することはないだろう。中国には、しばらくの間、あまり大きな問題を起こすリスクを避けるために十分な他の問題がある。

選挙期間中、ワシントンの反中レトリックが関係を悪化させるという懸念は常にある。しかし実際のところ、アメリカの有権者たちは投票箱を前にして中国を気にしていないようだ。本当に危険なのは、中国による選挙干渉の試みかもしれない。選挙干渉は、中国系有権者の多い地域の特定の政治家を狙ったものだろうが、おそらくはドナルド・トランプ支持路線に沿ったものとなるだろう。

※ジェイムズ・パーマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。ツイッターアカウント:@BeijingPalmer

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行いたしました。アメリカ政治についても分析を行っています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 日本では、ベビーブーム世代、団塊の世代、新人類、団塊ジュニア、ゆとり世代、さとり世代といった言葉で、年齢層で人々をグループ分けすることがある。アメリカでも同じようなことがあり、戦後生まれのベビーブーム世代、X世代(1960-1979年に生まれた人たち)、Y世代(1980-1995年に生まれた人たち、ミレニアル世代とも呼ばれる)、Z世代(1995-2010年に生まれた人たち)ということになっている。X世代は既に中年期に入り、Y世代とZ世代は若者世代ということになる。それぞれに特徴づけがされているが、アメリカの若者世代の共通認識は、「自分たちは親やその上の世代よりも良い目を見ることはない」というものだ。
 今回ご紹介する記事では、20代の政治進出とアメリカ政治の高齢化に焦点が当てられている。日本でもよく似た議論がなされるが、日本では「老害」という言葉が良く使われる。アメリカでは、ジョー・バイデン大統領が史上最高齢、81歳で世界で最も激職とも言われるアメリカ大統領を務めていて、更に次の任期を目指そうとしている。しかし、これは誰にでもあることで仕方がないが、衰えは隠せない。そうした中で、バイデン大統領の健康や年齢に対する懸念は高まっている。これは最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)でも詳しくご紹介した。

 そうした中で、若者たちが政治に参加しようとしている、実際に20代で、連邦議員になった人物、今年の選挙に立候補している人物たちがいる。2019年に、ニューヨーク市の選挙区で、有力議員を破ったアレクサンドリア・オカシオ・コルテス(AOC)連邦下院議員は、20代で政治家となったが、この時はY世代が政治参加しつつあるということを言われた。それから数年経ち、彼女よりも若い、Z世代の人たちが政治を目指し始めている。

 人間は生老病死、順番である。今の70代、80代の人も若者だったし、今の20代、30代も老人となっていく。一概に世代や年齢で語るというのはあまり良いことではないと思う。「老壮青」という言葉があるが、このバランスが取れていること、そして、若者たちが政治参加しやすい環境が重要だと考える。アメリカや日本の政界の状況を見ると、高齢化しているということは否めない。ここに若い力が参加する、そのための健全な競争があることが何よりも重要だが、そのためには有権者の考えや意識も重要だ。

(貼り付けはじめ)

アメリカ連邦議会においてZ世代が地位を上げようとしている(Gen Z seeks to grow ranks in Congress

ジュリア・ムラー筆

2024年1月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4370027-gen-z-congress-maxwell-frost/

政治家の高齢化に対して不満が高まる中、今年もまたZ世代の立候補者が増えている。

マクスウェル・フロスト連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は、2022年の中間選挙後、Z世代(1997年以降に生まれた年齢層)に属する最初の連邦議員となった。

Rep. Maxwell Frost (D-Fla.) became Congress’s first member belonging to Gen Z — the age bracket considered to begin with people born in 1997 or later — after 2022’s midterms.

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マクスウェル・フロスト(1997年-、26歳)とバイデン

現在、少なくとも2名のZ世代に属する民主党員が、連邦下院において、自分たちの世代の存在感を高めるために、今年の選挙でフロストの同僚になろうとしている。連邦下院議員の中央値は約58歳である。

カリフォルニア州第45選挙区に立候補している26歳の民主党員で、弁護士のシャイアン・ハントは、「若者たちは、私たちが政治に関わるようになって、私たちが受け継いでいる政府の現状、そして、私たちがこの仕事を真に受け止め、ばらばらになっているピースを元に戻す努力をしなければならないことに、率直に言って打ちのめされている」と語った。

ハントは、気候危機、民主政治体制、女性の権利に関する懸念を、権力を握っている上の世代が、若いアメリカ人が感じているような切迫感を持って取り組んでいないとして、これが「実存的脅威(existential threats)」であると述べている。

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シャイアン・ハント

ハントは「若者たちはこの状況を深刻に受け止めており、待ったなしの状況だと分かっているので、かつてない勢いで政治に飛び込んできている」と述べた。

ハントは、2022年の中間選挙で、わずか数ポイント差で再選を果たした現職の共和党議員ミシェル・スティール(共和党)と対決することになりそうだ。もし勝てば、ハントは初のZ世代に属する女性議員となる。

そして、選挙運動をする中で「若い女性の政治進出に対する無数の障壁(a myriad of barriers to young women in politics)」にぶつかったハントは、自分と同年代の女性がこの分野に飛び込んでこないことに驚きはないと語っている。

「何事においても、最初の、そして唯一の存在になろうとすることは常に、本当に難しい経験だ。率直に言って、本当にイライラさせられました」とハントは語り、選挙運動で目にしたジェンダー・バイアス(性別による偏向)を引き合いに出した。彼女は「私を支持することに躊躇する人たちを見たし、その大きな部分が内部化された性差別(internalized sexism)であることを露呈するような会話もした」と述べた。

動画共有アプリTikTokで9万3000人以上のフォロワーを誇るハントは、政治において人口動態を真剣に考えることに抵抗がある人もいる中、若者に対する思い込みを打ち破ろうとしているとも語った。

ハントは「若い女性であっても、ソーシャルメディアを持っていれば、単なるインフルエンサー以上の存在になれるのです」と述べた。

カリフォルニア州とは反対にある、メリーランド州では、州議会議員ジョー・ヴォーゲル(民主党)が、Z世代初のLGBTQを公言する連邦下院議員となるべく、出馬している。ジョー・ヴォーゲル(民主党)は、Z世代初のLGBTQ公認議員となるべく立候補している。

ヴォーゲルは、2012年にコネチカット州サンディフック小学校で銃乱射事件が起きた後、政治の世界に足を踏み入れたが、その理由は、近年多くのアメリカの若者の学校生活に直接影響を与えている銃暴力などの問題に対する「無策に不満(frustrated by the inaction)」だったからだと語った。

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ジョー・ヴォーゲル

フロスト同じ26歳のヴォ―ゲルは、「私たちの世代全体が、そのエネルギーを、その緊急性を、問題に関してより多くの政治的代表を持つことに注ぎ込む瞬間を迎えているのだと考えている」と語った。

ヴォーゲルは、メリーランド州議会初のZ世代議員の1人として州議会議員に選出され、話題になった。彼は現在、連邦上院議員選挙に立候補しているデビッド・トローン連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)の後継者として連邦下院議員を目指している。

もし当選すれば、ヴォーゲルは連邦上下両院で14人目のLGBTQを公言した議員となる。

ヴォーゲルは、選挙で選ばれた公職において若い視点が重要であると主張し、2050年頃までに起こる可能性のある壊滅的な気候影響の予測を指摘した。

ヴォ―ゲルは「2050年になっても、私は平均的な議員よりもまだ若くなるだろう。ですから、このような視点が連邦議会の場ではどうしても必要なのだ」と述べた。

ハントとヴォーゲルはともに、連邦下院議員の年齢が25歳以上でなければならないという憲法上の規定ギリギリに達している。

ピュー・リサーチによると、ここ数回の議会で下院は若干若返ったものの、ベビーブーム世代(baby boomers)と1964年より前に生まれたサイレント世代(Silent Generation)が依然として全体の約半数を占めている。

最低年齢が30歳となっている連邦上院では、ベビーブーム世代とサイレント世代が連邦上院議員のほぼ4分の3を占めている。

ピューリサーチセンターのデータによれば、ミレニアル世代は連邦下院議員の12%程度を占めるに過ぎず、Z世代はフロストだけである。

しかし、連邦議会で働くには最低年齢が定められているが、上限はない。この事実は、議員や他の指導者の年齢や健康状態に関する言説の中で、批判の的になっている。

高齢や健康に関する問題は、81歳のミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(ケンタッキー州選出)に対する懸念の高まりや、30年間連邦上院議員を務めたダイアン・ファインスタイン連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の90歳での死去によって、ここ数カ月の間、大きな話題となってきた。

各種世論調査では、75歳以上の政治家に対する精神能力テスト(mental competency test)や、大統領選挙候補者の年齢制限のアイデアを、ほとんどのアメリカ人が支持している。

進歩主義的な候補者の発掘に力を入れている進歩主義的団体「ラン・フォー・サムシング」の全国本部報道担当フアン・ラミロ・サルミエントは「アメリカ政府は老人たちによって運営されており、若い人たちの存在感が圧倒的に不足している」と語っている。

現在の経済的・社会的緊張の下で、若者たちは年配者たちとは「まったく異なる(vastly different)」アメリカを経験しているとサルミエントは語った。

「私たちは、より問題に近接している、詳しい人々を必要としている。そして、若者たちの政治参加は解決策となるものだ」。

バイデン大統領は2024年の選挙で再選を目指しているが、ホワイトハウスで更に4年を過ごそうとする彼の年齢への懸念に悩まされている。81歳のバイデンは史上最高齢の現職大統領であり、共和党の最有力候補である77歳のトランプ前大統領も彼に遠く及ばない。

しかし、ヴォーゲルはバイデンの擁護に回り、2024年に若い有権者の価値観を代弁するには現職のバイデンが最良の選択肢だと主張した。

ヴォ―ゲルは、「バイデン大統領の経験と若者のための実績を見て欲しい。彼が再選されるのを見るのが楽しみだ。それは、ドナルド・トランプの再選という選択肢は、私たちの世代にとって本当に破滅的なシナリオだからだ」と述べている。

フロスト議員は昨年9月にホワイトハウスで、バイデンは「若者の力を理解する大統領になりたいと望んでいるし、実際にそれができている」と述べた。

政治的に活動的な人々は最近のサイクルで民主党の要とみなされており、「AP VoteCast」によると、2020年には若い有権者がバイデン氏の勝利に貢献し、30歳未満の有権者グループの約10人のうち6人がバイデンに投票した。

しかし、アメリカの若者にとって重要な問題に対して行動を起こすよう権力者に働きかけるだけでなく、多くの人々が自分たちの世代を代表する候補者となって選挙に立候補している。

タフツ大学の市民学習・参加に関する情報・研究センターの広報担当者であるアルベルト・メディナは、「私たちは、若者の立候補への関心が高まっていることを目の当たりにしている」と語っている。

しかし、経済的および社会的参入障壁は、年長の候補者よりも、選挙運動を考えているZ世代やミレニアル世代のほうに、より大きな影響を与える可能性があるとメディナは指摘している。また、人種的および性別的不平等が立候補への抵抗感を増幅させている可能性があると指摘した。

しかし、気候変動や妊娠中絶といった問題は、アメリカの若者が政治に参加する「原動力になっている(really the driving force)」ともメディナは述べている。

2022年のタフツ大学の調査によると、選挙に出馬を希望する若者の割合は過去10年間で上昇し、出馬を検討すると答えた若者の割合は20%を超えている。

11月下旬のタフツの調査によれば、アメリカの若年層が政党離れを起こしているというデータもある中で、18歳から34歳のアメリカ人の57%が、今年投票する可能性が「非常に高い」と答えている。

投票する可能性が極めて高い人のうち、51%が民主党候補を支持すると答えている。

ヴォーゲルは「人々は新しい人物の登場を求めている。あらゆる世代の人々が新世代のリーダーを求めているが、それは若いというだけではなく、新しいスタイルの政治を提供しているからだ」と語った。

ヴォーゲルは続けて「結局のところ、年齢は関係ないのだ。現状維持を求める気持ちによって誰もが足を引っ張られている」と述べた。

(貼り付け負わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。アメリカ政治についても分析しています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ大統領選挙に関しては、現在のところ、各種世論調査を見てみると、トランプが僅差で優勢、バイデンが追う展開となっている。私は2024年大統領選挙はジョー・バイデンが勝利するが、それによってアメリカは混乱に陥る、分断が深刻化すると考えている。そのことを最新刊でも書いた。バイデンがやはり現職大統領であり、政治の世界でのキャリアが長く、政治の裏も表も知り尽くしているということは、合法・非合法あらゆる手段を取ることができるということになる。

 しかし、バイデンの不人気ぶりは目を覆うばかりだ。問題は、2020年の大統領選挙で、バイデンの当選に貢献した有権者層や有権者グループでの支持率が落ちていることだ。このブログでもご紹介したが、バイデンを大統領に押し上げたマイノリティ、特にアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックの支持率が落ちている。また、若者層での支持も落ちている。
 そのことの理由について、下に掲載した論稿では分析をしており、元々トランプを支持している若者たちは「経済に関してはやはりトランプ」という考えを変えていない。問題は、民主党系、進歩主義的な若者たちで、彼らはバイデンが社会変革に消極的、能力不足ということで「幻滅」しているために、支持できないと考えているということだ。民主党系の若者有権者たちがトランプに投票するということはあまりないであろうが、前回の大統領選挙では、大差でバイデンを支持する人が多かった若者層で、トランプが支持を伸ばすとなると、バイデンとバイデン陣営にとっては大きな痛手となる。

 1月15日には、アイオワ州で大統領選挙予備選挙が始まる。アイオワ州の予備選挙の方法は、党員集会(Caucus)である。民主党はバイデン以外に有力候補は出ていない。一方、共和党は複数の候補者が出ているが、トランプが圧倒的な人気を誇っている。これから、民主党系の市民団体などが、「トランプには大統領選挙に出る資格がない」ということを訴えての裁判戦術が本格化するだろうが、トランプが共和党の大統領選挙候補者になるのは確実である。

(貼り付けはじめ)

メモ:バイデンに対する幻滅が蔓延する中で、トランプに対して、若者層有権者たちの間で驚くべき支持拡大が起きている(The Memo: Trump gets surprise boost with young voters amid Biden disillusionment

ナイオール・スタンジ筆

2023年12月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4368796-the-memo-trump-gets-surprise-boost-with-young-voters-amid-biden-disillusionment/'/

ジョー・バイデン大統領が直面する現在の問題は、ただ単に世論調査の炊事が悪いということではない。

バイデンが直面している問題は、民主党の主要な支持層から支持が離れていること、そして宿敵であるドナルド・トランプ前大統領が驚くほど順調に支持を伸ばしていることだ。

最も顕著な例は、若い有権者の間で起こっている。

火曜日に発表された『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジの共同世論調査では、30歳以下の登録済有権者の間で、トランプ支持がバイデン支持を6ポイント上回った。

この結果が実際の選挙に反映されれば、トランプ勝利は確実なものとなる。

2020年の大統領選挙では、主要な出口調査の結果によると、30歳以下の有権者の間で、バイデンはトランプに24ポイント差をつけて圧勝していた。そして、選挙人獲得において勝利を収めた。

最新の世論調査の結果を異常値(outliner)として片付けることはできない。

先月(2023年11月)のNBCニューズの調査でも、35歳以下の有権者では、46%対42%と、4ポイント差でトランプがバイデンを上回っており、よく似たパターンを示していた。バイデン大統領就任後初のNBCニューズの世論調査であり、2ポイント差という僅差ではあったが、トランプが現職大統領であるバイデンを総合的に上回った。

こうした調査結果は、2つの絡み合った疑問を提起している。なぜバイデンは若い有権者の間で支持が減っているのか? そして、トランプはどうしてうまく言っているのか?

1つ目の質問は答えやすい。

81歳のバイデンは、比較的穏健派であるが、頑固な制度主義者であり、若い有権者にとって特に刺激的な人物であったことはない。

若い進歩主義者たちは、彼が気候変動から選挙権まで、優先課題に対してより広範な行動を取らなかったことに失望している。学生ローンの返済は、多額の学生負債を免除しようとしたバイデンの努力が最高裁によって阻止された後、10月に再開された。

そのため、バイデンは脆弱な立場に置かれたが、10月7日のハマスの襲撃でイスラエル人約1200名が死亡した後、イスラエルがガザに猛烈な攻撃を開始したことで状況は急激に悪化した。

アメリカの若い世代は全体的に、上の世代よりもパレスチナ人にはるかに同情的である。世論調査によれば、そのような有権者の多くは、パレスチナ人の死者が増える中、バイデンがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を強力に支持していることに反発している。

ニューヨーク・タイムズの世論調査では、30代以下の有権者は、バイデンの中東紛争への対応について、不支持72%対支持20%となっており、不支持が大差をつけている。

左派団体の「ジャスティス・デモクラッツ」の広報担当者ウサマ・アンドラビは、「それが明らかに全体像の一部であるにもかかわらず、何よりも若い有権者をバイデンから遠ざけているのはこのことだ」と語った。

バイデンは先週、イスラエルは「無差別爆撃(indiscriminate bombing)」のせいで支持を失い始めていると発言するなど、最近はイスラエルに対してより厳しい発言をするようになっている。

しかし、アンドラビのような進歩主義者にとっては、それでは不十分なのだ。

アンドラビは「“無差別爆撃”を慎重に批判するのは、200万人近いパレスチナ人を避難させることになった容赦ない作戦が始まって2カ月半も経ってからすべきことなのだろうか? 慎重になるには少し遅すぎる。現時点では、強い最終防衛線(red lines)、つまり強い反対を表明すべきだ」と語った。

だからと言って、バイデンの政策に対する左派の嫌悪感が、トランプの好調ぶりを完全に説明するものではない。結局のところ、トランプ大統領の誕生によってパレスチナ人により同情的なアプローチをアメリカ政府が採用するとは考えづらい。

さらに、トランプ前大統領はバイデンと同世代で、4つの刑事事件で91の罪に問われ、2021年1月6日の連邦議事堂暴動に関与したことで弾劾訴追された。

火曜日(2023年12月19日)の午後、コロラド州最高裁判所は、トランプの2020年16日前後の行為について、選挙資格を剥奪する判決を下し、コロラド州の共和党予備投票からトランプを除外する決定を下した。

この判決については、上告する期間が認められており、トランプ陣営のスポークスマンであるスティーヴン・チャンは、「アメリカ合衆国最高裁判所への上告を速やかに行う」ことを約束する声明を発表した。

しかしながら、トランプを支持する若者たちは、支持の理由としていくつかの異なる要素を挙げている。

彼らが強調するのは、低迷する経済が日常生活や経済的な階段を上る希望に与える影響、トランプの破壊力への好感、バイデンの下でアメリカが弱体化し、より分断されているという感覚である。

カムリン・キンゼイは、彼女が選挙権を持つ年齢になった最初の大統領選となった2020年にトランプを支持した。彼女は現在もトランプ前大統領を支持している。

キンゼイは「トランプが今、若い有権者の世論調査でリードしている理由は、経済的な懸念だと思う。若い有権者は自分の経済状況を考えて投票している。家の購入から食料品の値段に至るまで、バイデン大統領の下では、持続不可能なライフスタイルだ」と語った。

「若い有権者は、トランプが抱える様々な問題のせいで彼から遠ざかることが予想されるという議論にどう反論するか」と質問されたキンゼイは、「私たちがバイデン政権によって得ているものは、アメリカにとって望ましい結果ではない」と答えた。

キンゼイは、経済だけでなく、国家安全保障やグローバルな舞台でのアメリカの強さに対する尊敬の喪失など、様々な懸念について説明した。そして彼女は、若者のトランプ支持を、「若い有権者が自分たちの国を健全に愛している(young voters have a healthy love for their country)」ことの証拠であるとし、愛国的な言葉を使って表現した。

若い進歩主義者は、キンゼイのようなトランプ支持者とは正反対の世界観を持っている。しかし、バイデンによる真の変革の欠如(lack of real change)がトランプに隙を与えたと主張する点で、彼らは意外な共通点を持っている。

若者向けの進歩主義的組織である「サンライズ・ムーヴメント」の政治担当責任者ミシェル・ワインドリングは「より大きなリスクは若者が選挙に参加しないことだが、このニューヨーク・タイムズの世論調査では、その代わりにトランプに投票する割合が示されている。そこから読み取れるのは、若者たちは民主党が過去4年間、自分たちの生活に具体的な変化をもたらすことができなかったと感じているということだ」と述べた。

ワインドリングは、国家と自分たちの世代が複数の危機に直面していると考える若い有権者は、「システムを揺るがしたい(to shake up the system)」という衝動を感じており、今彼らはその衝動を「どのように扱えば良いのか分からない」のだと語った。

さらにワインドリングは、バイデンのイスラエル問題(「戦争支援」)やエネルギー問題(「掘削賛成」)などが、若い進歩主義派を幻滅させていると主張した。彼女は、ホワイトハウスは「幻滅の深刻さ(severity of the disillusionment)を見過ごし続ける」ことに満足しているようだと警告した。

ジャスティス・デモクラッツのアンドラビは、トランプ支持は、トランプ前大統領への実質的な支持というより、むしろバイデンに対する反射的な拒否反応であると主張している。

アンドラビは、「トランプ以外の人物であっても同じ結果のはずだ」と述べた。

しかし、ホワイトハウスにとっては何の安心材料もない。特にガザでの戦争が続いており、国内では経済に対する先行きが不透明なままだ。

アンドラビは、「若者たちは、バイデン大統領は自分たちが望んでいる人物ではないと言っている。バイデン大統領の行動は、私たちが望んでいるものではないのだ」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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