古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2024年06月

 古村治彦です。

 2024年6月27日に開催された米大統領選挙候補者討論会での、ジョー・バイデンの酷い状態を受けて、民主党内はパニック、お通夜状態になっている。「敗北だ」という雰囲気は理解できるが、ついには、「バイデンが死んでくれなえれば、自分たちが死んでしまう(誇張表現ではあるが)」という言葉まで出てきている。日本でも、リベラル派、民主党びいきのニューヨーク・タイムズが論説委員室から、バイデンに選挙からの撤退を求める内容の論稿を発表したと報じられた。

 ドナルド・トランプ陣営は、リベラル派のCNNが「自分たちを非常に公正に扱った」と高く評価している。トランプ前大統領は通常運転であったが、それだけで、バイデンとのコントラストが大きくなって、「討論会はトランプがバイデンに圧勝」ということになった。民主党側からすれば、「バイデンは高齢ではあるが元気で、トランプをやっつけた」ということにしたかったが、期待以下、最低線以下の最悪の結果となった。討論会中、トランプが何度か、バイデンの発言中に怪訝そうな表情を浮かべ、「何かおかしいぞ」という感じになり、発言を手加減しているように私には見えた。いつもよりエンジンをかけてやってしまうと、「トランプが高齢のバイデンを虐めている」という構図になりそうだったのを抑えたように見える。高齢者はトランプにとっての大事な選挙基盤だ。

アメリカ大統領は、アメリカ軍最高司令官(Commander-in-Chief)であり、やはり体力や活力が必要というのがコンセンサスだ。バイデンのあの弱弱しさでどうやって最高司令官たり得るかといいうことになる。共和党側からは、マイク・ジョンソン連邦下院議長などから、合衆国憲法修正第25条4項の規定に基づいて、バイデン大統領に職務続行不能を宣言し、カマラ・ハリス副大統領が職務代行せよという声が上がっている。この憲法の規定では、副大統領と閣僚の過半数が申し立てれば、大統領の職務続行不能が認められ、副大統領が代行となる。バイデン大統領の討論会の様子は、そのような懸念を引き起こすのに十分であった。

 もう7月で、8月の候補者指名のための全国大会まで1カ月半ほど残されていない。バイデンと交代して候補者となり得る人物の名前が多く出ているが、ここはやはりカマラ・ハリス副大統領しかいないだろう。負ける公算が大きい以上、大事な候補者は民主党としても出せない。カリフォルニア州は民主党の金城湯池であるにもかかわらず、これまで大統領選挙候補者は出てこなかった。かえって、共和党側からカリフォルニア州出身の大統領候補・大統領が出ている(リチャード・ニクソンやロナルド・レーガンなど)。ここは、カマラ・ハリスが民主党初のカリフォルニア州出身の大統領選挙候補者になるというのも良いのではないかと思う。

(貼り付けはじめ)

重要な転換となったトランプ・バイデン討論の5つのポイント(5 takeaways on a pivotal Trump-Biden debate

ジャレッド・ギャンズ、ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル、ブレット・サミュエルズ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745219-five-takeaways-on-a-pivotal-trump-biden-debate/

ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領は木曜日、4年ぶりにアトランタで討論会の舞台で相まみえた。この討論会は大統領選挙の選挙戦において極めて重要な瞬間になった。

90分間の討論会終了までに、左派と右派は共に、この夜がゲームチェンジャー(game changer)となった、バイデンにとって有益な夜ではなかったということで一致したようだ。

両候補は経済、中絶、移民、外交政策をめぐって対立したが、この夜はバイデンのつまずきのスタート(stumbling start)として最もよく記憶されることになるだろう。ホワイトハウスはその原因の一部を風邪のせいだと主張した。

これから5つのポイントを見ていく。

(1)バイデンは彼の年齢に対する懸念の払しょくに失敗した(Biden fails to dispel worries about his age

現在81歳で大統領任期2期目の終わりには86歳になるバイデンは、大統領職をあと4年間続けるための準備ができていないのではないかという有権者の懸念を和らげることが何もできなかった。

バイデンが2024年の選挙戦を通じて直面し続けてきた主な懸念の1つは年齢であり、バイデン陣営が求めていた討論会でのスロースタートぶり(slow start)は6月の討論会を進めるというバイデン自身の決断に疑問を投げかけた。

連邦下院少数党(民主党)院内総務のハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州選出、民主党)の元広報担当のマイケル・ハーダウェイはSNSXに投稿し、「あのような状態で自分のボスを全国テレビ放送に送り出すようなことを私ならしない」と書いた。

バイデンは言葉につまずき(stumbled over)、時には発言が不明確になるなど、いくつかのミスに苦しんだ。彼の声は討論会の間中、ずっとかすれていて(hoarse)、特に静かな調子で討論を始めた。

バイデンがつまずいた最も注目すべき事例の1つは、討論会序盤における、メディケアに関する討論だった。

「私が新型コロナウイルスに対して私ができたことを、全ての人たちに確実に受けられるようにすることだ。失礼、私たちが関係しなければならない全てのことに対処している」とバイデンは時折言葉に詰まりながら発言した。「よろしいか・・・私たちはついにメディケアを完全に打ち倒した(we finally beat Medicare)」と述べた。

トランプ陣営は、バイデンにはあと4年間ホワイトハウスに留まる用意ができていないと主張しようとしてきた。トランプ自身は、このバイデンの言い間違いの機会を利用してバイデンが「メディケアを徹底的に打ち負かした」と述べたことへ反応しようとしたが、止まってしまった。

複数の関係筋が本誌や他のメディアに語ったところによると、バイデン大統領は風邪をひいており、それが「スロー」スタートの理由ということであった。しかし、バイデン大統領の能力についての疑問を払拭するのに、この釈明はバイデンが必要としていたものではなかったことは確かだ。

トランプはひよっこ(spring chicken)ではない。トランプは78歳になったばかりで、二期目を務めれば史上最高齢の大統領となる。しかし、トランプの年齢に関する疑問は、バイデンほどには根強く残っておらず、木曜日の夜の彼のパフォーマンスがこの状況を変える可能性は低かった。

討論会が進むにつれてバイデンの様子は改善し、トランプの様々な発言についてトランプと対立することが増えた。注目に値する例の1つは、2018年に大統領としてトランプが退役軍人を「間抜け」や「負け犬」と呼んだ発言を非難したことだ。これについて、トランプは否定している。

民主党系ストラティジストのジョン・ライニッシュは、バイデンは時間の経過とともに改善したと主張した。

ライニッシュは「大統領は、スロースタートだったが、勢いを取り戻した(picked up stream)。彼のティームは、喉に効く2つの自家製治療薬、ハチミツとレモンについて調べる必要がある」と述べた。

(2)トランプは比較的規律正しく行動した(Trump is relatively disciplined

2020年の大統領選挙選挙戦の最初の討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスは、バイデンに対する度重なる妨害と攻撃的な口調のために酷評された。木曜日にはそのような問題はなかった。

トランプ大統領の回答には、バイデンが国民全員の税金を4倍にする計画があると主張したときのように、誤解を招く発言や虚偽が頻繁に含まれていた。トランプは2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件についての発言最小限にとどめ、2024年の選挙結果を受け入れるかどうかについては曖昧な態度を取った。

しかし、バイデンが特定の話題について蛇行し、時には思考回路(train of thought)がうまく機能しなかったため、過去にトランプを悩ませたような爆発は避け、厳しい試験に合格することができた。

トランプ元大統領の側近と共和党系のストラティジストたちは木曜日の対決に向けて、トランプには自傷行為による傷(self-inflicted wounds)を一切負わせず、その夜の焦点をバイデンに集中させることが責務であると主張した。

マイクをミュートにして、候補者の発言の番ではないときに候補者の声が聞こえないようにしたことも、一部にはトランプに対する助けになったかもしれないが、共和党は夜の終わりまでにトランプの果たすべき使命は達成されたと感じた。

共和党系ストラティジストのフォード・オコネルは本誌の取材に対して次のよう述べた。「トランプにとって、今回の討論会のMVPは、トランプとバイデンの分割画面の視覚的なコントラストだ(split screen visual contrast)。トランプは20歳若くシャープに見えたが、バイデンはぼんやり(dazed)していて、あと4年など務められそうにないように見えた。今夜以降、トランプとバイデンの間で再び討論会が行われる可能性はゼロ以下だ」。

(3)司会者たちはファクトチェックに失敗した(Moderators fail to fact-check

司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーは候補者たちが時間制限を守るように努めたが、討論会の間でリアルタイムでのファクトチェックを行わなかった。これは、専門家の一部から、事前にトランプとバイデンの責任ある発言を引き出すために必要だと主張していたにもかかわらず、ファクトチェックを行わなかった。

討論会の場で行われる主張に異議を唱えないという決定は、候補者たちが真実を拡大解釈して非難の応酬を行う余地を残した。 

これは、トランプにとって有利となった可能性がある。討論会終了後、CNNのファクトチェッカーであるダニエル・デールは、トランプの虚偽主張が少なくとも30件、バイデン側では少なくとも9件あったと主張した。しかし、デールの努力は多くの視聴者が討論を見終えた後に示された。

ある時点で、トランプは先月有罪判決を受けたマンハッタン口止め料事件を通じて、バイデンに対して、「基本的に政敵を追いかけ回した(basically went after his political opponent)」と示唆したようだ。

4年前、2020年の討論会でのトランプ大統領の突飛な主張により、幕が閉まった後に厳しいファクトチェックが行われた。 

バイデン陣営とバイデンの補佐官たちは一晩中、ソーシャルメディアへの投稿でトランプ大統領の発言に関するチェックをシェアし、様々な報道機関は、両候補の動向を把握しようと努めた。

物議を醸した討論会は、両方の候補者を遮断するミュートボタンと、無観客によって部分的に制御された。これは、2020年の騒々しい両者の対決の繰り返しを避けるためのCNNが苦心して決めたものだ。

しかし、司会者らは候補者に任務を遂行させるのに苦労し、虚偽や逸脱の両方に扉を開いた。ある時点で、トランプは保育料の料金に関する質問を無視し、その代わりにバイデンを「史上最悪の大統領(“the worst president ever)」と叩きのめすことに時間を費やした。 

他の専門家たちが批判する中、長年ニューヨーク・タイムズのコラムニストを務めるニコラス・クリストフ氏はSNSXに「CNNの司会者たちがもっとファクトチェックをして、全くの虚偽の発言があった場合には視聴者に知らせて欲しかった。事実を装った虚偽を送信することがプラットフォームにとってどのように役立つのかは分からない」と投稿した。 

一方、保守派コメンテイターのアン・コールターは、司会者たちを「驚くほど素晴らしい」、「まったく不公平ではない」と評価した。

共和党系ストラティジストのブライアン・セイティックは、司会者たちは抑制的なアプローチでスポットライトを避けることに成功したと述べた。民主党系ストラティジストのライニッシュは、司会者がもっと介入すべきだったと述べた。

(4)2020年に行われた灯篭会ではなかったが、個人的・感情的になった(It wasn’t 2020, but it got personal

2020年のトランプとバイデンの1回目の討論会は、会場を支配した混乱と両候補が激しい口論になったことで評価が低かった。

木曜日の討論会はそこまでの緊張レヴェルには達しなかったが、それでも時として個人的・感情的なものになった。

バイデンは討論会の後半で発言を強め、トランプが亡くなった退役軍人について発言したと伝えられていることに言及し、トランプを「間抜け(sucker)」で「負け犬(loser)」と呼んだ。

「彼は四つ星の将軍と一緒に立っていてこう言った、『彼らは負け犬で間抜けの集団だから、あそこ(墓地)には入りたくない』と」とバイデンは語った。バイデンは続けて、「私の息子は負け犬ではない。彼は間抜けではない。あなたが間抜けだ。あなたが負け犬だ」と述べた。

トランプ大統領は、バイデンを「洗脳されている(Manchurian candidate)」と呼び、中国に立ち向かわないとして非難した。

両候補は、様々な政策問題に関して討論する中で、相手が嘘をついた、または真実ではないと非難した。

注目すべきことに、候補者たちは討論会の前後に握手をしなかった。最後にバイデンは妻のジル・バイデン大統領夫人に出迎えられ、トランプはただ立ち去った。

(5)民主党は懸念と不満を高めて夜を終えた(Democrats left the night worried and frustrated

集中力を失い、言葉が出てこないバイデンのパフォーマンスは、討論会が終わる前から民主党をパニック状態に陥らせた。

本誌に記事を寄稿している、民主党系ストラティジストで、オピニオンライターのマックス・バーンズはXに次のように投稿した。「私はバイデン陣営のスタッフでも、バイデンワールドの腹心でもない。バイデンの懸念すべきパフォーマンスについて今、最高幹部レヴェルで話し合いが行われているかどうかは分からないが、今夜バイデンの選挙戦が前進したかのようなふりをするのは政治的不正(political malpractice)となるだろう」。

バーンズは別の投稿で次のように述べた。「2012年にバラク・オバマがミット・ロムニーに対する最初の討論会で大失敗したとき、何がうまくいかなかったのか、それを修正するには何が必要なのかについて真剣に議論することになった。オバマは船の進先を修正した。 同じような話し合いが今すぐ、幹部たちとバイデンとの間で行われる必要がある」。

民主党にとって、今回のCNN主催の討論会は、トランプとバイデンの対照がどのようなものか有権者に示す最初の機会となるはずだった。民主党はバイデンが今年の一般教書演説で示したような活力を発揮してくれることを期待していた。

その代わりに、当初は動きが鈍かったバイデンの討論パフォーマンスが、年齢に対する有権者の懸念を強調する内容となった。

ハリス副大統領の元上級補佐官シモーネ・サンダース・タウンゼントはXに投稿し、「バイデンのスタートは悪かった(皆さん、他に言い方はない)。彼は討論会を通じて改善したが、これはバイデンの支持者たちが期待していたものではなかった。大統領が風邪をひいているようだと指摘するのはもっともだが、討論となると、内容と同じくらいパフォーマンスも重要だ」と述べた。

アリゾナを拠点とする共和党系ストラティジストであるバレット・マーソンは、「#ReplaceBiden(バイデン交代)」というハッシュタグがネット上で流行し始める可能性についてXでつぶやいた。「認知症(dementia)」という言葉もXでトレンドになっていた。

バイデンは、9月に行われるABCニューズ主催の討論会でトランプと対決し、パフォーマンスを大幅に向上させる機会をもう1度得ることになる。しかし、バイデン大統領はそれまでに多くのことを改善しなければならないだろう。

=====

トランプが集会で討論司会者を称賛:「彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」(Trump lauds debate moderators at rally: ‘They treated me very fairly’

ロウレン・アーウィン筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4747126-trump-lauds-debate-moderators-they-treated-me-very-fairly/

ドナルド・トランプ前大統領は金曜日の集会で、木曜の夜、CNNの大統領選挙討論会司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーが自分を「非常に公平に(very fairly)」扱ってくれたと思うと述べた。

メディアイトが切り抜いて拡散した映像の中で、トランプはヴァージニア州の聴衆に対して、「昨夜、CNNが私を非常に公平に扱ったと実際に思ったので、CNNを批判すべきではない。2人ともとてもプロフェッショナルだった。ジェイクとデイナ、彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」と語った。

トランプ大統領は聴衆に対し、CNNが何年にもわたって自分を虐待していたと語ったが、木曜日にタッパーとバッシュがトランプ氏を「公平に(fairly)」扱ってくれたことは「素晴らしい(great)」と思うと述べた。

リベラル派の一部は、司会者たちが2人の候補者に対してファクトチェックを行わず、それぞれが虚偽の発言を許していたと批判している。

トランプ元大統領は金曜日午後、選挙集会を実施し、バイデン大統領とその不安定なパフォーマンスを批判し、その夜のニューズのテーマになった。バイデンの討論は民主党員の間で広範な不安を引き起こしており、今秋に新たな人物がトランプに対抗できるようバイデンに退くよう求めている。

しかし、バイデンのパフォーマンスを受けて、共和党はCNNと彼らの討論会の進め方を賞賛した。

アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン知事(共和党)はオンラインで、今回の討論会は「公正で有益かつ統制された最高級の討論会(a top-notch debate that was fair, informative and controlled)」だったと述べた。

ハッチンソン知事は「このフォーマットはうまくいった。激しいやりとりがたくさんあるが、視聴者にとってはより見応えのあるものだった。よくやった」と語った。

トランプ元大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニアは、候補者が発言していないときはマイクをミュートにするなどの形式が気に入ったと述べた。

「実は父にとってこのフォーマットが気に入っている。このフォーマットによって、彼を規律正しく集中させ続ける。彼はバイデンの悲惨で失敗した政策について、1つ1つ解体している」とSNSXに投稿した。

ハイテク億万長者のイーロン・マスクもCNNの放送に意見を述べた。

マスクは次のように述べた。「@CNN は討論会の管理について良い仕事をしたと言わざるを得ない。質問は合理的であり、党派に偏らないものだった。どちらの候補者に対しても贔屓が見られなかった。これが国民がメディアに求めていることだ」。

=====

アクセルロッドが共和党のストラティジストたちに次のように発言:バイデンが交代となったら「あなたたちは問題を抱える」(Axelrod to GOP strategists: If Biden is replaced, ‘you guys are in trouble’

タラ・サッター筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745498-biden-debate-trump-challenge/

民主党系ストラティジストのデイヴィッド・アクセルロッドは、討論会後のパネルディスカッションにおいて、共和党側のストラティジストたちに対して、もしジョー・バイデン大統領が交代となれば、彼らとドナルド・トランプ前大統領は、「問題(trouble)」に直面するだろうと述べた。

アクセルロッドは木曜の討論会後、CNNに出演し、「何らかの理由で、大統領選挙候補者に変更があれば、皆さんはドナルド・トランプに関して問題を抱えることになる。なぜなら、今夜そこにいた男は人々にインスピレーションを与えるような男ではないからだ」と述べた。その映像はメディアイトが切り抜き映像にして拡散した。

アクセルロッドは続けて「バイデンは、人々が非常に好意的に評価する人物から何も変わっていない。これは納得できることだ」と述べた。

バイデンの討論会でのパフォーマンスは、声がかすれ、言葉に詰まり、党内での懸念を引き起こした。民主党の幹部やコメンテイターたちは討論会後、選挙前にバイデンが辞任することについて議論が行われていると示唆した。

アクセルロッドはCNNのテレビ番組の中で、次のように述べた「実際、この討論会の初めのバイデンの言動や様子にはショックを受けたと思う。彼の声はどう聞こえたか。彼は少し混乱しているようだった。討論が進むにつれて彼は確かに強くなった。どのような結果になるか私にも分からない議論を聞くことになると思うが、彼が続投すべきかどうかについては議論が行われるだろう」。

あるホワイトハウス当局者によると、バイデンは討論会中に風邪を引いており、民主党候補のトップとしてのバイデンの立場をめぐって疑問が渦巻く中、陣営はバイデンを擁護した。

バイデンの補佐官の1人は、「バイデン大統領はこれまでにドナルド・トランプを破った唯一の人物だ。彼はまたやるだろう。ドナルド・トランプは今夜、有権者に自分に投票する理由を何も与えなかった。この問題に関して、アメリカ国民はジョー・バイデンを支持している」と語った。

討論会を視聴した登録有権者を対象としたCNNの即時世論調査では、67%はトランプが勝利したと答え、33%はバイデンが勝利したと答えた。

=====

スヌヌがバイデンの討論会での酷いパフォーマンスについて「民主党エリート」を非難(Sununu blames ‘Democratic elite’ for Biden’s poor debate performance

ヤシュ・ロイ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4746941-chris-sununu-joe-biden-debate-performance-2024-presidential-election/

ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)は金曜日のインタヴューで「民主党エリート」を非難し、討論会でのバイデン大統領のパフォーマンスの低調さは民主党指導部の責任だと非難した。

スヌヌは、ニューハンプシャー州の予備選をスキップし、まずサウスカロライナ州に焦点を当てるという民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の民主党予備選挙序盤の流れに関する決定を強調した。

スヌヌは「ニューズネイションナウ」の司会者であるコネル・マクシェーンに対して次のように語った。「これはジョー・バイデンの失敗ではないことを忘れないようにしよう。これは民主党のエリートの責任だ。彼らは、ニューハンプシャー州の全米で最初に実施される予備選挙をスキップしようとしたし、ジョー・バイデンが問題を抱えていると分かっていながら、大統領選挙の候補者にさせるつもりだった」。

スヌヌ知事は続けて「彼らにはチャンスがあった。彼らが良好な予備プロセスを実行させるのではなく、基本的にゲームをしようとした。そして、こういう結果になった」と述べた。

スヌヌのコメントは、サウスカロライナ州および地元の民主党員からの呼びかけを受け、党の多様な有権者をより代表すると考えられる州(サウスカロライナ州)で、最初の予備選を実施するとした、民主党全国委員会の決定に言及している。スヌヌやニューハンプシャー州の他の政治家たちは、民主党とバイデン大統領のこの決定を非難した。

ニューハンプシャー州での予備選挙では、投票用紙に名前が記載されていなかったにもかかわらず、結家者たちは投票用紙に名前を書き込み、その結果、予備選の勝者と宣言された。それでも州は彼に代議員を与えなかった。

スヌヌは、木曜夜のアトランタでの討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスを称賛し、トランプ前大統領は討論会で「まさにやるべきことをやった(did exactly what he had to do” at the debate)」と述べた。

スヌヌは金曜日、「トランプは有能さを示した。彼は昨夜、強硬になりすぎず、やるべきことを正確にやった。彼は明らかにその部屋にいる唯一の大人だった。バイデンは全くもって酷かった」と述べた。

スヌヌは、民主党が優勢なアメリカ北東部の各州の中で、ただ1人の共和党所属の知事だ。彼は、共和党予備選挙ではニッキー・ヘイリー元国連大使を支持していた。3月にヘイリーが選挙戦から撤退すると、トランプが共和党の候補者となるための道が開かれた。

過去にトランプを「負け犬」と呼んだこともあったが、スヌヌは誰が共和党の候補者になっても糖尿することを示唆していた。

金曜日に行われたインタヴューで、スヌヌ知事は昨年の段階でバイデンを候補者から交代させるように訴えたとし、現段階では、それはもう手遅れだと確信していると述べた。

スヌヌのコメントは、木曜日の討論会でのバイデンのパフォーマンスが酷かったことを受けて、民主党内でパニックが起き、現職のバイデンが選挙から撤退し、8月の民主党全国大会で、オープン・コンヴェンションの開催を許可すべきかどうかの議論が巻き起こったことを受けて出された。バイデンと選対は、大統領はどこにも行かないとし、この呼びかけを拒否した。

スヌヌは、オープン・コンヴェンション開催の要求を「馬鹿げたアイディア」と呼んだ。

スヌヌは次のように語った。「バイデンは候補者に選ばれるだろう。約4カ月で5億ドルを調達しなければならない状況で、誰が彼に代わって選挙戦を行うだろうか? これは難しいことだ。候補者になることができるかもしれないが、バイデンと同じか、名前が知れ渡ればバイデンよりも敗北の程度は低くなるかもしれないが、負けてしまうことになるのだから」。

しかし、バイデンが「2回目の討論会で強さを示し、有能さを出すことができれば、アメリカは、1回目の討論会をバックミラーに戻し、リセットボタンを押すことができるだろう」とスヌヌは付け加えた。

木曜日の討論会の冒頭、バイデンの声はかすれており、バイデンのティームはすぐに風邪のせいだと説明した。金曜のノースカロライナ州での集会中、バイデンの声は正常に戻り、エネルギーも増し、言葉に詰まることもあまりなかった。

司会のマクシェーンは、これからの討論会や集会での好転についてスヌヌに質問した。スヌヌは、テレプロンプターの効力があることを認めながら、そのようなことはないと指摘した。

スヌヌは次のように述べた。「バイデンがテレプロンプターを持っている場合、発言時間の80%で、バイデンは原稿をまとめてテレプロンプターから読むことができる。だから、プロンプターがない状態であれば、私たちは最も当惑させられることになると思う。それが、昨夜私たちが見たものだ。昨夜のジョー・バイデンこそが明らかに本物のジョー・バイデンだ」。

スヌヌ知事は「バイデン大統領のパフォーマンスは多くの人を神経質にさせ、心配させるものとなっている。これが、私たちが経済危機に陥っている理由であり、これが、制御不能な移民危機に見舞われている理由だ」と述べた。

スヌヌは続けて、「アメリカ国民がそのような心配をするのは当然のことで、彼らは変化を望んでいるだけだ」と述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2024年アメリカ大統領選挙は一晩にして急展開を見せている。6月27日夜(アメリカ時間)に、ジョージア州アトランタで開催されたCNN主催の大統領選挙候補者討論会で、民主党のジョー・バイデン大統領が高齢問題の懸念を払しょくできず、それどころか懸念を大きく強めてしまうパフォーマンスをしてしまった。一方の、共和党のドナルド・トランプ前大統領は、いつも通りの意気軒昂で、3歳しか違わないが、元気さ、健康さをアピールした。討論会終了後、民主党側は「お通夜状態」になり、SNS上で、あらゆるネガティヴな単語が飛び交った。「悲劇(tragedy)」「災厄(disaster)」「パニック(panic)」「痛み(pain)」「悪夢(nightmare)」などなど、民主党員と支持者の間には驚き(バイデン大統領の状態はあそこまで酷かったのか)と怒り(それでよく再選などと言ってここまで引っ張ってくれたな)が渦巻いている。

 民主党側からは既に候補者交代(replacement)を求める声が上がっている。「バイデンでは戦えない」という悲鳴が上がっている。現職大統領が二期目を目指して敗れるということは過去にもあったが、今回の討論会の様子を見て、バイデンを支持できないとする有権者は増えていき、このままの状態で選挙戦を進めれば、民主党優勢のブルーステイトは獲得できても、激戦州では軒並み敗れ、惨敗という結果になる。同時に行われる連邦上院議員選挙(約3分の1の議席)と連邦下院議員選挙(全議席)にも大きな影響が出て、民主党がホワイトハウスを失い、上下両院で過半数を失いという、民主党にとっては非常事態が起きる可能性が高まった。一晩のたった90分間の出来事で、いや最初の1分間アメリカ政治の潮目が大きく変わった。

 各種世論調査では、バイデン大統領が劣勢を伝えられていたが、最近になって、徐々に盛り返す展開になっていた。それが、今回の討論会で全てご破算、それどころか、バイデンに引退、撤退を求める声が民主党側から出るまでになった。今のところ、バイデン陣営は撤退を表明しておらず、「王様は裸だ(the emperor with no clothesThe Emperor's New Clothes)」状態になっている。

 問題は8月後半に民主党全国大会が開催される日程になっており、今から予備選挙をやり直す時間はない。もしバイデンが撤退を表明するならば、8月の全国大会で新しい候補者を決めることになる。「ブローカード・コンヴェンション(brokered convention)」「全ての候補者に開かれた全国大会(open convention)」と呼ばれる手続きがあるが、戦後になってこのような、非常事態の全国大会は開かれていない。バイデンが撤退した場合の新しい候補者の候補には、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー、副大統領のカマラ・ハリスなどの名前が挙がっているが、どう見ても負け戦確実な選挙に進んで手を挙げる人はいないだろう。このままバイデンで突っ込んで大惨敗するか、他の候補者を今から立てて惨敗に押しとどめるか、くらいの選択肢しかない。

 まだ救いとしては、これが7月直前に分かったことだ。まだ、候補者交代は可能だ。全国大会の後に正式に候補者指名を受けてしまえば、万事休すで、その後に討論会があって、どんなに醜態をさらしても、どうしようもない。7月の一カ月間でできることがある。バイデンの側近たちは、バイデンの状態を見て、自発的な引退を促したのではないかと私は考える。しかし、バイデンとジル夫人がそれを強硬に拒絶したので、異例のこの時期の討論会を受け入れて、大統領と夫人に引導を渡そうとしたのだろうと私は考える。バイデン陣営と民主党執行部は、民主党に対して大きな傷を残した。ヒラリー・クリントンよりもその罪は重いと言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

民主党は考えられないことを考える:バイデンが退陣する時が来た(Democrats consider the unthinkable: It’s time for Biden to go

-民主党大統領選挙候補者になり得る人物3人に近い、3人のストラティジストたちは、テキストメッセージの攻撃を受けたと述べている。

エレーナ・シュナイダー、アダム・ウレン・ローレン・イーガン筆

『ポリティコ』誌

2024年6月27日

https://www.politico.com/news/2024/06/27/biden-democrats-replacement-00165672

民主党はジョー・バイデン大統領の討論会の低調なパフォーマンスに非常にパニックに陥っており、かつては口にできなかった事柄、つまりバイデンの後任を指名することについて積極的に議論し始めている。

民主党大統領選挙候補者になり得る人物3人に近い、ストラティジスト3人は匿名を条件にして取材に応じ、討論会中ずっとテキストメッセージが送り続けられたと述べた。あるストラティジストは、自分たちの候補者がバイデンの代替候補として名乗りを上げるよう嘆願(pleas)を受けたと述べた。

別のストラティジストは、「6人以上の主要な献金者たちから“災害(disaster)”というメッセージが送られてきたので、党は何かをする必要がある」と述べたが、バイデンが撤退しない限り「多くのことは不可能だ(not much is possible)」と認めた。

ある民主党の大口献金者でバイデン支持者は匿名を条件に取材に応じ、バイデン大統領は選挙運動を終える時が来たと語った。この人物はバイデンの夜を「史上最悪のパフォーマンス(the worst performance in history)」と形容し、バイデンは「トランプの嘘には誰も注意を払わないほど悪かった(bad that no one will pay attention to Trump’s lies)」と述べた。

この人物は「バイデンは撤退する必要がある。それについては疑問の余地はない」とテキストメッセージで述べ、メリーランド州とミシガン州の知事が代替で候補者になることを提案した。

2028年大統領選挙の有力な有力候補者である2人、イリノイ州のJB・プリツカー知事とカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、バイデンのパフォーマンス後もバイデンを支持すると述べた。

ニューサム知事はMSNBCでバイデンが撤退すべきかと問われ、その話は「役に立たない」「不必要」だと述べた。

ニューサム知事は「一度のパフォーマンスのせいで背を向けることなどない。そんなことをするのはどんな政党なのか?」と述べた。

バイデンは討論会の大部分を通じて苦戦した。今回の討論会は、2024年大統領選挙でバイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領が初めて対決する機会となった。 81歳のバイデン大統領は長年、大統領としての適性について疑問に直面しており、現代政治史上、この種の総選挙での最も早い対決であるこの討論会は、選挙戦をめぐる物語をリセットするためのバイデン陣営の策略(gambit)だった。

民主党は数週間にわたり、討論会でバイデンが良好なパフォーマンスができれば、バイデンの年齢に対する懸念が和らぐのではないかと期待していた。しかし、その代わりに、それは逆のことが起きた。

バイデン政権下でホワイトハウス高官を務めたある人物は、「ノー・ラベルズとディーン・フィリップスがこの討論会で勝利した」と述べ、トランプやバイデンではない別の候補を大統領選挙に立候補させようという外部の取り組みについて言及した。

党内からの嘆願は、実際に候補者変更につながる可能性は低いものの、選挙運動の大きな転換を反映している。現職の大統領は伝統的に、最初の討論会では大統領としての仕事に追われ、準備に多くの時間を割けないことが多く、良い評価を得ることができない。しかし、木曜日の討論会は、バイデンの売り込み討論会を経て、多くの有権者の間で、バイデンが売り時を過ぎた候補であるという既存の先入観が肯定される結果になったという点でこれまでにないものとなった。

民主党の大口献金者の顧問の1人は、木曜夜にアトランタで開かれた献金者の会合において、テキストメッセージを送っている人たちが多くいて、中には「なんてことだ(wtf)」と書いている人もいたと語った。

この人物は「我々の唯一の希望は、バイデンが撤退するか、話し合いで候補者を決める全国大会を開くか、バイデン死ぬかだ。そうでないと、私たちは死んでしまう」と述べた。

それにもかかわらず、候補者が決まらないまま全国大会に突入して全国大会での話し合いで候補者決まることやバイデンが撤退する可能性は低く、バイデンのパフォーマンスについて個人的に不満を抱いていた人々さえもそれを認めているのが現実である。

匿名を条件に自由に発言できるある民主党系ストラティジストは匿名を条件に取材に応じ、「決定できるのはただ1人、それは彼だ」と語った。

バイデン陣営のジェン・オマリー・ディロン選対委員長は声明で、バイデン大統領が「アメリカの将来について前向きで勝利に満ちたヴィジョンを提示した」一方、トランプは「もしバイデンがホワイトハウスから去ったら、アメリカがどうなるかについて、暗くて後ろ向きな窓を提供した」と述べた。

ある州で選挙に出た経験を持つある民主党員は、「全体的に良くなかった。私たちの大統領は言語障害を持ち、風邪を患っていて、81歳だ」と述べた。

民主党最高幹部の上級顧問を務めるある人物は匿名を条件に取材に応じ、次のように語った。「ジョー・バイデンからディベートのマスタークラスを伝授されるとは誰も期待していなかったが、今回の急降下も誰も予想していなかった。彼はメッセージもダメ、内容もダメ、カウンターパンチもダメ、プレゼンテーションもダメ、非言語表現(non-verbals)もダメだった。今回の討論会において、バイデンにとって明るい材料はなかった。唯一の明るい材料は、討論会が10月ではなく6月に行われたことだ」。
=====
バイデンの討論会でのパフォーマンスは民主党側にとって「悪夢」となった(Biden debate performance is ‘nightmare’ for Democrats

エイミー・パーネス筆

2024年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745090-biden-debate-disaster-democrats-concerned/

木曜夜の討論会で民主党の人々がバイデン大統領から見せてもらいたかったものがあるとすれば、それは強さだった。

彼らは、バイデン大統領がトランプ前大統領に対して、1月6日の反乱や、ロウ対ウエイド裁判の判決の覆しについて叩くのを見たかったのだ。「有罪判決を受けた重罪人(convicted felon)」という呼び名(moniker)でトランプを打ちのめすことを望んでいたのだ。

民主党員のほとんどは木曜日、バイデンがノックダウンされたことを認めた。

しかも激しく倒されたことを。

バイデンの声はかすれていた。唇は震えていた。討論会開始後、ホワイトハウスはバイデンが風邪をひいたと発表した。

バイデンは言葉につまずいた。時には話題を逸らし、間違った方向に進んだ。ある瞬間、バイデンは「私たちはついにメディケアを打ち負かした(We finally beat Medicare)」と宣言し、給付金について脱線した。

バイデンの支持者の1人は「これは正直言って悪夢だ。自分が見ているものが信じられない。私は今回の選挙で私たちが負けるのをスローモーションで見ている」と語った。 「自分が見ているものが信じられない。私は今回の選挙で私たちが負けるのをスローモーションで目撃している」。

別の民主党系のストラティジストは「政治的自殺」と表現した。

ある民主党議員は、暗い瞬間においてブラックユーモアを言うのが精いっぱいだった。「ジャマール・ボウマン(予備選挙で敗北した現職下院議員)が近くにいて火災警報器を鳴らしてくれたらよかったのに」と、ニューヨーク州選出の連邦下院議員に言及しながら述べた。

民主党はバイデンがトランプの責任を追及しなかっただけでなく、トランプが中絶や新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関して虚偽を吐くのを傍観して見ていたことを認めた。そして、トランプがバイデンを「我が国史上最悪の大統領(the worst president in the history of our country)」と非難し続けたとき、ある民主党員が述べたように、バイデンは「ほとほと当惑していた(almost bewildered)」と振り返った。

バイデンの広報担当を長年務めたケイト・ベディングフィールドは討論会の後にCNNに出演し、「これに関しては2つの方法は存在しない。今回の討論会はジョー・バイデンにとって良いものではなかった」と語った。

バイデンの上級補佐官を務めたデイヴィッド・アクセルロッドは、同じくCNNのパネルディスカッションで、「人々の恐怖を裏付けた一夜だった(It’s the one night that confirmed people’s fears)」と述べた。

討論会が進むにつれ、民主党側はますます不安を募らせ、バイデンが撤退するには遅すぎるのではないかと考える人もいた。彼らは他の候補者についても考え始めた。

ある民主党系のストラティジストは、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサムについて「私たちの周囲ではニューサムについて多くの話がなされている」と語った。

激戦州出身の民主党連邦下院議員は次のように述べた。バイデンのティームは、バイデンに撤退し、候補者を決めるための、公開された全国大会を開催するよう説得する必要がある」。

民主党の献金者の一人も討論会を見て激怒した。

この民主党の献金者は「この状況がどうなっていくのか、真剣に議論する必要がある。年齢に関する議論を無視することはもはやできない。真剣にならねばならない。ここでは非常に多くのことが危機に瀕しているが、私たちは一体何をしているのか?」と述べた

討論会の間、バイデンは時折トランプに反撃しようとした。ある時には「あなたは子供だ」と述べた。そして別の機会では、彼はトランプの体重について非難した。

バイデンはまた、2020年にトランプ前大統領が敗北したことを指摘し、トランプを「負け惜しみが強い敗北者(sore loser)」と呼んだ。

バイデンは「あなたは敗北には耐えられない。前回負けたとき、何かがはじけたのだ」と述べた。

バイデンの長年の盟友の一人は、夜が更けるにつれてバイデン大統領は「少し良くなった(a little better)。トランプと真実の関係は、本当に素晴らしいものだ(皮肉を込めて)」と語った。

リアルタイムでトランプ大統領の事実確認をほとんど行わなかったCNNの司会者ジェイク・タッパーとダナ・バッシュにも多くの不満が集まった。

しかし、民主党の人々の多くは激怒し、今後の数週間について懸念していた。討論会後、バイデン大統領はジル・バイデン大統領夫人とともにウォッチパーティーに登場した。そして一部の民主党員はバイデンが前進することを期待していた。

金曜日の午後、バイデン大統領はノースカロライナ州で選挙イヴェントを開催した後、今週末はニューヨークとニュージャージーで3回に分けて資金集めを行う予定だ。

今現在、民主党側の人々は今晩起こったことについてきれいに忘れてしまいと望んでいる。

ある民主党関係者は今回の討論会ではなく、選挙戦について「私たちは今夜で敗北した」と述べた。

=====

「バイデンの討論会パフォーマンスに激怒する民主党:「バイデンは破滅だ」」(Dems freak out over Biden’s debate performance: ‘Biden is toast’

-ある著名な民主党活動家はテキストメッセージで「開かれた全国大会(open convention)の時だ」と送った。

リサ・カシンスキー、アダム・カンクリン、ユージン・ダニエルズ筆

2024年6月27日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2024/06/27/biden-debate-opening-concerns-00165595

ジョー・バイデンに必要だったのは、一般教書演説でのパフォーマンスの再現だけだった。

その代わりに、バイデンは言葉に詰まった。つまずいた。そして、11月まで5カ月を切った今、彼は民主党が最も恐れていること、つまり、不器用な失敗をして、ドナルド・トランプにこの選挙での勝利を譲ってしまうことをそのまま行ってしまった。

バイデンがつかえながら、かすれた声で話し始めた瞬間から、民主党に対する警鐘は鳴り始めた。討論が始まって数分後、バイデンは自身の監督下にある経済について効果的な弁明をするのに苦労し、再選を目指す上で中心となっている主要な医療政策について「私たちは最終的にメディケアを打ち負かした(we finally beat Medicare)」と言ったり、自身の政権がインシュリンの価格をどれだけ引き下げたかを間違えて説明したりした。アフガニスタン問題では、自分の政権の撤退の失敗を何の脈絡もなく持ち出し、自分自身を窮地に追い込んだ。「10億」と「100万」を何度も間違え、90分の討論の長い間、弁明に追われた。

また、発言していない時間は、演壇の後ろに固くなって立ちすくみ、口をとがらせ、目を大きく見開き、まばたきもしない状態が長く続いた。

ニューハンプシャー州出身の弁護士で民主党活動家のジェイ・サードゥコウスキーは「バイデンは破滅だ。今がその時だ」と述べた。サードゥコウスキーは、2016年の大統領選挙で、マーティン・オマリー前メリーランド州知事の大統領選挙の選対の共同委員長を務めた。

本誌とのテキストメッセージのやり取りの中で、民主党員たちは、討論会の最初の数分間を見て、混乱と懸念を表明した。バイデン政権下でホワイトハウスに勤務し、選対にも参加したある人物は、「全くもって酷い(terrible)」と言い、何度も、「彼はいま何を言ったのか? おかしくなっている」と自分に問いかけたほどだったと述べている。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は「良いところがない」と書いた。

本誌は6名ほどの民主党員に取材した。彼らの中には匿名を条件に、バイデンのパフォーマンスについて議論することを了承した人たちがいた。

バイデンのティームはすぐに大統領のパフォーマンスを擁護した。まず彼らは、バイデンが風邪をひいていたと言った(そして、新型コロナウイルスは陰性だったと述べた)。そして、バイデンの大統領としての記録を侮辱することで、トランプは自らを傷つけていると主張した。

バイデンは、トランプが戦死した兵士たちを「アホと負け犬(suckers and losers)」と呼んだことを利用して、前大統領を本当の「アホ」であり、「負け犬」だとして、激しく非難する場面もあった。また、トランプがニューヨークで有罪判決を受けたことを非難する場面もあった。

バイデンは「私が今見ている男、このステージにおいて、重罪で有罪判決を受けた唯一の人物だ」と語った。

しかし、第一印象は重要であり、特に選挙を意識し始めたばかりの有権者にとっては、9月に予定されている第2回討論会よりも第1回討論会を見る可能性が高い。そして、バイデンの不安定なパフォーマンスは、大統領選挙戦の次の段階の基盤を作るどころか、有権者がバイデンをホワイトハウスに再び送ることについて、精神力を体力の面を最も懸念している中で、バイデンは11月まで党を引っ張ることさえできないかもしれないという懸念を民主党員の間に再燃させた。

ある著名な民主党活動家はテキストメッセージで「開かれた全国大会(open convention)の時だ」と送った。

バイデンのティームは、この討論会を自分に有利になるように仕組もうとした。そして大統領は、11月に勝てるかどうかという民主党の神経を落ち着かせるために、今回の討論会の開催に同意した。

その後、民主党はバイデンのパフォーマンスの酷さをごまかそうとはせず、トランプが依然として国内外におけるアメリカの利益にとって脅威であることを強調しようとした。

カマラ・ハリス副大統領は、討論会が終わった1時間後、CNNのアンダーソン・クーパーに対して次のように語った。「スロースタートだったのは誰の目にも明らかだ。その点について議論するつもりはない。私は11月の選択について話している。私たちの生涯で最も重要な選挙の1つについて話している。11月がもたらすものを見て、民主政治体制を破壊へと進むアメリカの道を歩みたいのか?」

民主党員の一部はバイデンの失策をすぐに隠そうとした。ヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は、バイデンは「テレビのショーマンではなく、仕事人間だ」と述べた。しかし、選挙戦の方向性は劇的に変化したように見える。

クレア・マッカスキル元上院議員(ミズーリ州選出、民主党)はMSNBC次のように語った「今の私の仕事は、本当に正直であることだ。ジョー・バイデンには、今夜やらなければならないことが1つあった。そして、彼はそれをしなかった。彼には成し遂げなければならないことが1つあった。それは、この年齢でこの仕事をこなせるのだとアメリカを安心させることだった。そして今夜、彼はそれに失敗した」。

民主党員の一部は、バイデンは選挙戦を終えるべきだと公言していた。ある民主党の大口献金者でバイデン支持者は、「バイデンは撤退すべきだ。それは疑問の余地がない」と述べた。

バイデンは、選挙戦の最大のセールスポイントのいくつかについて、強い主張を明確にするのに苦戦し、医療保険制度に関する記録でつまずいたり、妊娠中絶の権利の支持について返答につまずいたりした。

バイデンは「私はロウ対ウエイド判決を支持する。妊娠には3つの時期がある。1回目は女性と医師の間で。2回目は医師と極端な状況との間、3回目は医者と、つまり女性と国家との間だ」と述べた。

トランプもつまずいた。ナンシー・ペロシ前下院議長の娘でドキュメンタリー映画制作者のことを "映画製作者 "と呼んだ。彼は、民主党は「生まれた後(after birth)」の「子どもの命を奪う(take the life)」ことを望んでいると非難した。トランプは自身の大統領就任期間の経済の強さを誇張した。

トランプは、1月6日の暴徒を再び擁護し、2020年の選挙結果を覆すために連邦議事堂を襲撃した数百人のトランプ支持者の有罪判決に対する長い世迷言に入った。また、勝者が誰であれ選挙結果を受け入れるのかと何度も質問されたが、トランプはまともに答えようとせず、最終的には、「選挙が公正で自由であれば(if the election is fair and free)」受け入れると明言した。

しかし、トランプは共和党が望んでいたことをほぼ実行した。バイデンの弱点をさらけ出しながら、適度な自制(modicum of restraint)を示したのだ。ことあるごとにバイデンを「眠い」「不正をしている」と罵倒して喜ぶトランプ前大統領は、民主党の最初の不安定なパフォーマンスに注目させるため、20分も待った。

トランプは、バイデンが移民に関する質問に対してたどたどしく答えた後、「彼があの発言の最後で何を言ったのか、本当に文からない。彼も自分が何を言ったのか文かっていないと思う」と発言した。

そして、比較的静かで地味な討論会で、最も低い期待にさえ届かなかったのがバイデンだった。

あるヴェテランの民主党活動家は「バイデンにはウォームアップに数分必要だったようだ。哀れな男にはお茶が必要だ。たぶんウィスキーも」と述べた。もう1人の活動家は、バイデンにのど飴(throat lozenge)を勧めた。

バイデンも、バイデンよりわずか3歳若いトランプも、討論会の終盤には、あと4年の大統領任期への適性についての質問に直面した。

バイデンは咳き込みながら、有権者に対し、自分の力量を記録に基づいて判断するよう促し、トランプを「3歳若いが、能力はかなり劣っている(three years younger and a lot less competent)」と攻撃した。

バイデンは「記録を見て欲しい。私がしてきたことを見て欲しい」と、選挙戦でよく使うセリフを繰り返した。

そしてトランプは、2つの認知テストに「好成績で合格(aced)」していると主張し、スタミナがある証拠として自身のゴルフコースで優勝したゴルフトーナメントを挙げ、自分の適性を主張した。

このやりとりはすぐに優勢を競うゲームに発展し、バイデンはある時点で「自分のゴルフバッグを自分で持ってプレーするのであれば、喜んでゴルフをする」と言い返した。しかしその時点で、多くの視聴者の意見は既に固まっていただろう。

元ニューハンプシャー共和党委員長でバイデン氏への投票を検討している「反トランプ派(Never Trumper)」のファーガス・カレンは、木曜日のバイデン大統領のパフォーマンスが悪ければ民主党は候補者について再検討する必要があると警告した。

討論会の後、カレンは次のように語った。「親が年をとり、弱くなり、霧がかかったような認知になっているのを見てきた人なら誰でも、自分が見ているものを認識し、ここからは状況が加速度的に悪化するだけであることが分かる」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 日本では太平洋戦争以後、徴兵制度はなくなった。私の祖母は終戦時に女学校を卒業して働いていた世代で、徴兵制度のことを覚えていて、私が成人の年齢(20歳)になった時に、「昔は徴兵検査を受けていたよ」と言っていたことを思い出す。男性は徴兵検査を受けて初めて一人前、という風潮があったそうだ。
 アメリカに留学中に、韓国や台湾からの留学生たちと親しくなったが、彼らは徴兵され、軍務に着いた経験を持っていた。陸軍や海軍、空軍の話をたまに聞くことがあった。ある女性の留学生からは彼女のお兄さんが生まれつき体が弱く、徴兵に適さない健康状態で、どうしても徴兵に行って一人前に見られたいと言って聞かなかったという話を聞いた。戦前の日本と同じく、徴兵されて一人前という風潮がまだまだ根強いようだ。

 アメリカではヴェトナム戦争までは徴兵が行われていた。徴兵忌避者(draft dodgers)は国内や外国に逃げるということもあったそうだ。ヴェトナム戦争後に徴兵は停止となったが、1980年にジミー・カーター政権下で、選抜調整システムが導入され、18歳から26歳までの男性は名簿に登録するということになった。アメリカ軍は志願制を取っているが、志願兵だけでは足りないという状況になったら、この名簿に載っている人々から徴兵されるということになる。2004年には一般徴兵制(男女の名簿登録)の導入が連邦議会で提案されたが、法案の議論まで至らずに、導入されなかった。

 民主党側は徴兵名簿への女性の登録に積極的であり、共和党の一部も賛成しているが、社会的保守派と呼ばれる共和党議員たちは強硬に反対している。民主党側は、「軍務の範囲が拡大し、語学担当は情報諜報分析担当まで広がっており、女性の能力も必要だ」と主張している。反対派は「女性たちは望んでいない」「危険すぎる」ということで反対している。アメリカ軍は既に女性が軍務に就き、最前線にも配属される場合があり、戦死や戦傷を追う人も実際にいる。ヨーロッパではウクライナでの戦争もあり、各国で徴兵制度の導入や復活の動きが始まっている。ヨーロッパの場合は、男女ともに徴兵されるようだ。イスラエルも徴兵制度であり、女性が徴兵されている。

 ウクライナやロシアでは徴兵によって若者たちが軍務に就いており、その数が足りなくなって、対象が拡大していると言われている。そして、徴兵を逃れようと国外逃亡を図る人々も多く出ているようだ。国家はある意味で非常に怖い存在だ。「完全動員(full mobilization)」という号令がかかれば、国民はひったくられるようにして、集められ、強制的に国家のために働かされることになる。日本では日本国憲法によってそのようなことを国家(政府)に禁止しているが、憲法を変えるということはそういうことができる範囲を広ゲルということも含まれており、私たちは気を付けるべきだ。現在の日本でも、自民党の政治家たちやそれらに近い人々があらゆる理屈をこねて徴兵制度導入を目論んでいるが、私たちは注意しておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

女性に徴兵を義務付けることをめぐり炎上騒動が勃発(Firestorm erupts over requiring women to sign up for military draft

アレクサンダー・ボルトン筆

2024年6月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/4730560-senate-democrats-require-women-draft/

連邦上院民主党は、年次国防権限法案(annual defense authorization bill)に女性の徴兵登録を義務付ける文言を追加したため、共和党や社会保守派の反発を招き、11月の投票日までに法案を連邦上院議場で可決する可能性が複雑になっている。

ロジャー・ウィッカー連邦上院議員(ミシシッピ州、共和党)が率いる保守派が、女性に徴兵登録を義務付ける規定を削除しようとするのは確実で、その場合、ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)とジャッキー・ローゼン連邦上院議員(ネヴァダ州選出、民主党)、他の民主党所属の連邦議員たちは再選レースを戦っている中で、厳しい投票となる。

ローゼンの対抗馬として、連邦上院議員選挙に立候補している共和党のサム・ブラウン候補は、ネヴァダ州の選挙運動で、既にこの問題を争点にしている。

即席爆発装置(improvised explosive device)の爆発により重度の火傷を負った退役軍人であるブラウンは、女性の徴兵への参加を義務付ける投票について、ヴィデオでローゼンを非難した。

ブラウンは、最近ソーシャルプラットフォームXに投稿し、「私の顔を見て欲しい。これは戦争の高額な代償だ(Look at my face. This is the high cost of war)」と書いた。

ブラウンは妻に対して「エイミーと私は軍務を志願した。そして、奉仕する全ての人に敬意を表したい」と述べた。そして、続けて、「しかし、アメリカの娘たちに徴兵登録を強制することはとても“容認できない”。ジャッキー・ローゼンは恥を知るべきだ」と述べた。

これらのコメントの下に投稿されたヴィデオの中で、ブラウンは戦場で女性が直面するだろう危険性の証拠として、自身の顔の傷を挙げた。

ブラウンは、「私の顔を見て欲しい。これは戦争の高額な代償であり、今週、ジャッキー・ローゼンが私たちの娘たちに徴兵への参加を義務付けることに投票したことを知った。この件について、皆さんは、また私から話を聞くことになるだろう」と述べた。

ジョシュ・ホウリー連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は、法案に女性への参加を義務付ける規定は「馬鹿げている(insane)」だと批判した。

ホウリー議員は、バイデン政権が国防総省で起きている、ウォーク議題(woke agenda、訳者註:リベラルな議題)を実行しようとしていると非難した。

ホウリー議員はフォックス・ニューズに出演し、「徴兵に女性を入れるべきではない。女性たちが望んでいないのに軍務を強制されるべきではない」と語った。ホウリー議員は、民主党が軍隊を使っての実験(experiment with the military)を望んでいることを批判し、「普通の人々は、“娘たちを放っておけ”と考えている」と語った。

ホウリーは、2021年と2022年の国防権限法案から女性の登録を義務付ける文言を削除する取り組みを主導した。

マイク・ペンス前副大統領の関連団体も水曜日、この問題について介入した。

「アメリカの自由推進(Advancing American Freedom)」というグループは、ミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(ケンタッキー州選出)とマイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)に書簡を送った。その中で、「戦争を戦うために女性に徴兵登録を義務化するというアメリカ合衆国の考えは、全く支持できず、何としても反対しなければならない」と主張した。

連邦上院軍事委員会の共和党側のトップであるウィッカー議員は、法案から女性の徴兵登録の文言を削除するよう努めると述べた。

ウィっか―議員は、「私は女性の徴兵登録義務化に反対だ。今は、それについて、連邦議会の両院の議場で、議論を始める時期ではないと思う。私たちの現状は、徴兵の実施には程遠いし、差し迫った本当の問題について話し合う必要があるときに、枝葉末節にかまけることになると私は考える」と述べた。

ウィッカー議員は、「議場での討論や委員会の出会議で、そうした文言が法案からなくなることを願っている」と続けて述べた。

しかし、連邦上院軍事委員会のジャック・リード委員長(ロードアイランド州選出、民主党)は政策変更案を擁護し、女性は最前線の歩兵として勤務しなくても、多くの種類の軍務に就くことができると主張した。

リード議員は、「今日、我が国の軍隊では、女性が目覚ましい活躍をしている。もし、徴兵が必要な状況になったとしたら、18歳以上の健康な国民全員が必要になると考える」と語った。

リード議員は、「徴兵が実際に行われるということは、私たちが非常に深刻な状況にあることを意味する」と付け加えた。

リード議員は「大量の歩兵が必要だった第二次世界大戦当時とは違う。私たちは、サイバー専門家、情報諜報アナリスト、言語学者などを必要としている。ちょっと待って欲しい、男性よりもこの仕事ができる女性はたくさんいます」と主張した。

リード議員は、共和党がこの提案に激しく反対しているのは、「筋が通らない(just doesn’t make any sense)」と述べた。

連邦上院の補佐官たちは、この問題は党派を超えていると指摘し、共和党所属の議員の一部は、女性が18歳になったときに男性と同様に選択兵役制度(Selective Service System)に登録することを義務付けることに概ね賛成している。

連邦上院共和党は既に、11月の選挙までの議会日程が減りつつあることを考慮すると、チャック・シューマー連邦上院多数院(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)が法案を近いうちに議場に提出するかどうかについて疑問の声を上げている。

ウィッカー議員は「法案が議場に提出されることを願っている。公の場で議論することは非常に重要だ。民主党執行部がこの法案を提出しないのではないかという噂を耳にするが、それを覆してほしい」と述べている。

共和党側のマコーネル院内総務は月曜日、民主党側のシューマー院内総務に対し、国防権限法案を「遅滞なく(without delay)」提出するよう求めた。

共和党側の指導者であるマコーネル院内総務は、今月初めに、連邦上院軍事委員会が国防権限法案を取りまとめたことを称賛したが、その後、民主党が法案を審議するプロセスを長引かせる可能性があると示唆した。

マコーネルは「しかし委員会の行動直後、連邦上院民主党幹部たちは国防の要件を真剣に受け止め始める用意があるという期待を打ち砕いた」と述べた。

女性に徴兵資格を求める投票は、モンタナ州やネヴァダ州といった共和党優勢の州や激戦州の民主党に再び打撃となる可能性がある。

共和党連邦上院議員委員会委員長のスティーブ・デインズ議員(モンタナ州選出、共和党)は前回議会で、女性に選抜兵役制度への登録を義務付ける規定を国防権限法(NDAA)から削除する2022年の修正案を支持した際、この問題を取り上げた。

デインズ議員は「モンタナ州の勇敢な男女は、自発的に我が国の軍隊に加わり、モンタナ州が持つ、豊かな軍務奉仕の遺産を受け継いでいる。私たち国の娘たちに徴兵を強制する必要はない」と述べている。

ホウリー議員は、2021年の国防権限法の女性の徴兵に関する文言を無効にする修正案を提案した。ホウリーの行動は民主党に対し、2021年12月の修正案の採決を行わずに最終的にこの問題を法案から削除するよう圧力をかけた。

ホウリー議員はまた、2022年には、共和党のテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出)、マイク・リー上院議員(ユタ州選出)、マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)、ロジャー・マーシャル(カンザス州選出)、ジョン・ブーズマン(アーカンソー州選出)、ジェームズ・ランクフォード連邦上院議員(オクラホマ州選出)、デインズ上院議員(モンタナ州選出)が共同提案した、女性に選抜兵役制度への登録を義務付ける文言を削除する国防法案修正案を提案した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 改革開放以降の中国の経済発展は、あらゆる人々の予測を超えるものとなった。一世代(30年間)で年率10%以上の成長を達成したのは人類史上でも例を見ないほどだ。1984年、私は地元の新聞社が企画した、子供たちだけの訪中団(「こども遣唐使」という企画名だった)に参加し、上海と無錫を訪問した。当時の中国はまだまだ貧しかった。私たちは何も上等の服を着ていた訳ではないが、私たちの後をぞろぞろと、ついてくる中国の子供たちの格好はランニングに半ズボンで、「写真や映像で見る戦後すぐの子供たちのようだ」と妙に大人びていた私は感じていた。

 あの当時に見た、私たちと同年代の上海の子供たちは、今頃どんな生活をしているんだろうか、と考えることがある。あれから40年近く経過し、上海の彼らは怒涛の経済発展と開発を、私たちはバブル崩壊と深刻なデフレ経済を経験した。今は、私が彼らを驚きの目で、仰ぎ見る方になっているだろう。実際、私は遅ればせながら、中国語の勉強を始めている。

 中国の奇跡の経済成長はどのようにしてもたらされたのかについては多くの研究がなされている。最近、カリフォルニア大学アーヴァイン校の王丰[王豊](ワン・フェン)という社会学者が『中国の豊かさの時代:起源、隆盛、そして余波(China’s Age of Abundance: Origins, Ascendance, and Aftermath)』を出版した。これがアメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌で取り上げられていた。

 中国の経済発展は農村部における初期工業化によって始まった。私が小学校で習った言葉に「万元戸」という言葉がある。農村部で市場経済が導入され、個人の農産物生産ができるようになり、才覚のある農民たちが生産を拡大し、農産物の売り上げを拡大して、年に1万元を稼ぐ農家が出るようになったというものだ。そして、万元戸は製造業に従事するようになり、農村部で初期工業化が始まった。そして、そこで経験を積んだ農民=労働者たちはより高い賃金を求めて、都市部に流入し、質の高い労働者となった。

 『中国の豊かさの時代』の著者の王丰[王豊]は、文化大革命の重要性について指摘している。以下の論稿から引用する。

「文化大革命の暴力と混乱(violence and disarray of the Cultural Revolution)が、1976年以降の急速な成長を促進する上で強力な役割を果たしたと説得力を持って主張する。王は次のように述べている。「毛沢東の死で終わったこの激動の10年間の終わりに、中国国民はひどく混乱し、失望し、完全に疲れきっていた。彼らは変化、より物質的な豊かさ、社会の安定、そして人間の礼儀を備えた生活を切望していた」。私たちが見てきたように、鄧小平もこうした考えに大まかに同意したようだ。王は、文化大革命についての鄧小平の発言を「文化大革命は悪いことのように見えた。しかし、結果的にはそれが良かったのだ。それは人々に考えさせ、私たちが抱えている問題を認識させた。私たちが1970年代と1980年代に政策を実施できたのは、まさに当時の教訓を学んだからだ」と引用している」。

日本では中国の経済発展は嘘だ、あんなものはすぐに崩壊するという主張が20年以上にわたって続いている。私たちは中国の経済発展についてより冷静に分析していくことが必要なのだろうと思う。

(貼り付けはじめ)

何が中国の奇跡を生み出したのか?(What Produced the China Miracle?

-北京の台頭における国家の役割について、従来の常識に挑戦する力強い新著。

ハワード・フレンチ筆

2024年5月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/22/china-economic-rise-state-deng-xiaoping-history-beijing-state-future-demographics/?tpcc=recirc062921

chineseeconomicmiracle001

中国の驚異的な台頭、その巨大な世界的野心、そしてその将来について、息を呑むような台頭の第一段階が終わりを迎え、重力が人口の高齢化とますます時代遅れになりつつある経済モデルと政治モデルに結びついている今、中国をどう評価すべきか? 今日の世界には、これより重要な疑問はほとんどないし、答えるのが難しい疑問もほとんどない。

私がここ数年で遭遇した、これらの疑問に対処する最も印象的な試みの1つは、予想されるような経済学者、歴史家、政治学者の作品ではない薄い新著だ。この著作『中国の豊かさの時代:起源、隆盛、そして余波(China’s Age of Abundance: Origins, Ascendance, and Aftermath)』は、カリフォルニア大学アーヴァイン校の、中国生まれの社会学者である王丰[王豊](ワン・フェン)によって書かれており、これら全ての分野からの情報が網羅されている。

王の新著を読んで、私は謙虚な思いになった。私は今世紀最初の10年間、『ニューヨーク・タイムズ』紙の特派員として中国に住み、その後も中国を訪れ、中国に関する本を書き、中国問題に関する無数の著作を読み、しばしば書評も書いてきた。しかし、『中国の豊かさの時代』には驚かされた。この本では間接的に述べられているが、王が最近、私が勤務するコロンビア大学で行った公開講演では正面から述べられているのは以下の主張だ。1976年に毛沢東が死去してから、中国が経済的に飛躍したことは、ルネサンス、啓蒙主義、産業革命と並んで、過去1000年で最も衝撃的な現象の1つとして考察に値する、人類にとって重要な出来事だ。

最近グッゲンハイム・フェローシップを受賞した王が、この主張の先頭に立っているという証拠を踏まえると、この枠組みがこれまで、人々のイメージに定着していなかったことは、私自身だけでなく、私自身の職業にとっても少し恥ずかしいことだと感じている。これほど広範囲の人類に良い影響を与えた出来事が他にどれだけあるだろうか?  1978年に始まった改革期間を通じて、中国は世界人口の約5分の1を占めた。そして、一人当たり所得の25倍の増加など、中国の発展のスピードを考慮すると、西洋の歴史的類似点でさえ不十分であるように見え始める。

chineseeconomicmiracle002
上海の少年宮(Children’s Palace)で誕生日を祝うピクニックに集まる若者たち(1987年5月)。

王は社会学(sociology)という学術的ルーツに基づいて、GDPの測定にどうしてもつきまとう、特有の精度の疑わしさや抽象性をはるかに超えて、中国経済の台頭が一般の人々の生活に及ぼしてきた影響について、より具体的なベンチマークを読者に提供しており、それらは息を呑むほどのものだ。

王は本の冒頭で、著者自身ではないかと思われる名前のない子供の物語について語る。1972年、この少年は空腹を感じ、泣き叫ぶ祖母が捕まえる前にゆで卵をひったくって飲み込み、小さな家族危機を引き起こした。その後、その子供は、その卵が肝臓病に苦しむ父親のために処方された栄養補助食品として入手されたものであることを知った。当時、人口のおよそ80%が農業に従事していたが、中国は国民を養うために毎週1人あたり 、1個未満の卵しか生産できなかった。

王は、生活必需品の供給が次から次へと爆発的に増えていく様子を記録し、彼の人生の初期がいかに厳しい状況であったか、そしてそれ以降、国の大部分に、豊かに供給され、あるいは彼が書いているように、それが当たり前になったことで、当たり前のように暴飲暴食(commonplace gluttony)の状況にまで至ったかを描いている。卵に関しては、1978年から1983年の間に、消費量が50%増加したことから始まり、1988年までに更に 3倍に増加し、その後も増加し続けた。他の主要な食品についても同様だった。王が提示したデータによると、1978年から1983年にかけて、1人当たりの豚肉消費量は61%、植物油消費量は151%、家禽肉消費量は268%増加し、その後それぞれの物品の消費量(そして他のほとんど全ての食料生産)は急激に増加し続けた。

この豊かさは、全体的な健康状態の大まかな指標である中国人の平均身長に明らかな影響を与えた。毛沢東時代に既に大幅に伸びていた平均寿命は、中国が急速に豊かになるにつれて伸び続けた。「わずか20年の間に、中国の子どもたちは歴史的なペースで成長しました」と王は書いている。王は続けて「7歳で小学校に入学した時点で、中国の都市部では、2002年の男子の身長は、1992年よりも5.2センチ高く、女子の身長は5.7センチ高かった。あまり裕福ではない田舎の子供たちの身長の伸びはより際立ったものとなっている」と書いている。

1981年、平均的な中国人は、1.3足の靴下と1組の下着と一緒に、安い綿の靴を一足購入したと王は書いている。しかし、2000年の段階で、中国は15億6000万足の靴を輸出しており、その半分以上が革製でした。5年後、その数字は24億8000万に達し、中国は世界最大の衣料品製造者への道を順調に進んでいた。

今日では、専門家も素人も、中国が世界の支配的な製造大国であることはほぼ誰もが知っている。しかし、国の隆盛を示すあまり馴染みのない指標について考えてみよう。1980年代の終わりには、中国には約62万マイルの道路があったが、高速道路はほとんどなかった、と王は書いている。2000年までに、1万100マイルの高速道路が建設された。20年後、中国は10万マイルの高速道路網を誇っている。現在、これらの高速道路では、過去1年間で世界最大のEVメーカーの座をテスラと交換した中国企業BYD製のものも含め、電気自動車が走行している。現在、アメリカや他の西側諸国は電気自動車などの安価な(そして多くの場合多額の補助金を受けている)中国製品から身を守ろうとしており、第二の「チャイナ・ショック(China shock)」が起きると警戒している。

chineseeconomicmiracle003
2017年2月11日、中国東部福建省の古田村付近の畑で、高速道路下のトンネルを、龍を掲げて練り歩く村民たち(2017年2月11日)。

北京の地下鉄は、中国に数多くある新しい都市交通システムの1つであり、2010年代には、ロンドンの地下鉄が150年間をかけて達成した以上の成長を遂げた。今世紀の最初の10年間は、中国の歴史における成長と変革のピーク期であったが、私は世界有数の大都市である上海が完全に生まれ変わるのを目の当たりにした。毎週毎週、古くからの住民が住む古い町並みが取り壊され、息をのむような速さできらびやかな高層ビルが立ち並ぶ新しい地区に変わっていく様子を私は撮影した。そして、それらの写真をまとめて本として出版した。

1980年、人口約10億人に対して年間航空旅客数がかろうじて350万に達していた頃、ほとんどの中国人は飛行機を見たこともなかったと王は書いている。1990年までに、航空旅行の総数は1660万回に増加した。航空旅行は増加を続け、2017年の段階で、中国人航空旅客数は5億5200万に達した。この結果の1つは、海外旅行の爆発的な増加だった。私が初めて中国を訪れた1990年代には、海外旅行はまだ非常にまれだった。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの前年である2019年、中国からプライヴェートの海外旅行に出発したのは延べ1億6200万人となった。

王は、旅行の機会が拡大したことが中国人の思考を開放することに貢献したと確信しており、中国の並外れた成長とそれに伴う社会変革にとって、従来の経済政策よりも、更に重要であると考えている。

英国人ジャーナリストのタニア・ブラニガンが、中国に関するもう1つの印象的な近著『レッド・メモリー:中国文化大革命後の生活(Red Memory: The Afterlives of China’s Cultural Revolution)』で詳細に詳しく述べているように、暴力的で政治的に混乱した毛沢東の時代は、息苦しい政治的・社会的服従(political and social conformity)によって特徴付けられていた。ブラニガンは、当時の中国を毛沢東の思考というただ1つの思考によって支配された国家として描写した、中国の哲学者である徐友漁の言葉を引用している。ブラニガンが引用した、当時よく話された皮肉は、毛沢東主義による芸術に対する息苦しいイデオロギー統制のせいで、人口8億の国で承認されたオペラはわずか8本しかなかったというものだ。

毛沢東の死後、教育と思想の流通が本格化した。王は、年間出版される本の数が、1977年の1万3000冊弱から、 1982年には約3万2000冊に増加し、1990年までに再び2倍以上に増加したと書いている。学校への入学者数も爆発的に増加した。高校入学者数は、1995年から2010年の間に、300%以上増加し、職業教育も急速に成長したと王は書いている。しかし、最も印象的だったのは、高等教育における中国の成果だ。 1995年から2005年のわずか10年間で、大学の年間入学者数は5倍に増加し、500万人に達した。今世紀初頭、大学進学年齢に達した若い中国人の中で、高等教育に進んだのは50人に1人だけだった。それが、2020年までに、その数字は世代の半分以上にまで増加した。

ある情報提供者がブラニガンに語ったところによると、中国は毛沢東の肖像が入った小さなアルミのラペルピンを何十億個も生産しており、その製造に使われる金属の量は、4万機の航空機を製造するのに十分な量になるという。

chineseeconomicmiracle004

深圳の羅湖地区で撮影された鄧小平の肖像画(2015年1月30日)。

中国の貧困と低開発からの脱却(China’s breakout from poverty and underdevelopment)に関する、各種の伝統的な説明は、決して完全に満足のいくものではなく、時には知的怠惰(intellectual laziness)に近いものもある。私はその要素を自分自身で引き出している者としてこれを言っている。アナリストの一部は、1980年代以降に他の主要経済大国を上回り、中国は長期的な歴史的軌道(longer-term historical trajectory)に戻り、世界経済における主導的地位を取り戻しているだけだと主張している。それは19世紀初頭まで、過去 1000年の大部分にわたって維持されてきた。しかし、そこで止まるということは、目的論(teleology)、つまり決定論(determinism)を信じることを意味し、私(そしてほとんどの歴史家)にとって、それではまったく説明ができていないということになる。

もう1つの一般的な説明は、毛沢東の死後、中国共産党は、多くの深刻な間違いを犯すのを止め、経済発展の邪魔をしなくなっただけだというものだ。この主張の一般的な変形は、南部の都市深圳などにおける経済特区(special economic zonesSEZ)の創設を含む、有名な政府改革を評価するものだ。 1980年に鄧小平が深圳を経済特区に指定して以来、この目立たない漁村が中国最大かつ最も裕福な都市の1つとなり、近隣の香港にますます影響を与える大都市となったことについては際限なく語り継がれている。この理論の支持者たちは、1980年代初頭に初めて着手された、外国投資の誘致と輸出の創出を伴う他の象徴的な改革にも言及している。

他の多くの分析は、中国の歴史的幸運(historical good fortune)を強調している。1980 年頃、西側企業が海外の安価な場所に製造拠点を置こうとしていたのと同じように、中国は人口ボーナス(demographic dividend)、簡単に言うと若者の増加(youth bulge)が始まっていた。中国は繊維、プラスティック、単純な組み立てなどのアウトソーシング産業を発展途上国の中でいち早く受け入れたことで、この新たなグローバライゼーションの流れの最大の受益者となった。そして、設計されたものであるかどうかにかかわらず、中国の優位性により、中国のような発展を望む他の国々が、中国の影響によって、同じ開発のはしごを上がることが非常に困難になった。

確かに、これらの説明の中には真実の要素も含まれている。しかし、完全に間違っている訳ではないにしても、それらがあまりにも安易に行われている理由を理解するために、王は、改革時代の初期に中国の成功の範囲を予測することがいかに困難だったかを実証している。彼はその一部として、2004年に世界有数の経済学者の多くの予測を共有することによってそのことを明らかにした。その年、ウォールストリート・ジャーナルは12人のノーベル経済学賞受賞者に、75年の2079年に、アメリカ、ヨーロッパ連合、または中国のどれが世界最大の経済大国になると思うかどうかを質問した。中国経済が既に20年以上にわたって好況を呈してきたが、中国を勝者として挙げたのは経済学者の半数だけだった。他の経済学者たちは、中国が西側諸国との差を縮めることができるかどうかについて、曖昧なこたえをするか、疑念を抱いていたかであった。

偶然にも、特定の国で通貨単位で買える金額を示す富の尺度である購買力平価(purchasing power parity)から判断すると、2004年のウォールストリート・ジャーナルの調査からわずか12年で中国は世界最大の経済大国になった。より広く引用されているものの、おそらく精度が低い名目 GDP を基準にすると、中国は現在でもアメリカに次いで世界第2位に位置している。しかし、その経済規模は米国経済の約64%であり、その差は劇的に縮まった。比較すると、ソ連経済は1970年代半ばに米国経済の約57% に達した。
chineseeconomicmiracle005

深圳市の陵定陽橋の建設現場で吊り上げられる鋼鉄製箱桁(2023年2月22日)。

世界銀行や多くのジャーナリストの説明では、しばしば何億人もの人々を貧困から「引き上げた(lifting)」と称賛する中国自身の指導者たちでさえ、自国の経済実績を一貫して過小評価しており、そうすることで中国の驚異的な成長についてほとんど理解を裏切ってきた。この誤った判断の記録は、中国の台頭を設計したとほぼ広く認められている指導者、鄧小平自身によって始まったが、決して終結した訳ではない。

1979年、鄧小平は、多少の困難はあるものの、中国は今世紀末までに一人当たり所得1000ドルを達成できるだろうと推測した。中国が先進国の地位に近づくには、さらに30年から50年かかるだろうと鄧小平は考えた。しかし、1982年までに、彼はすでに2000年の目標が高すぎると公の場で懸念を表明していた。そして、これは決して無意味な歴史的事実ではない。1980年代後半に中国ではインフレが制御不能になりかけ、1989年の天安門事件とその致命的な弾圧につながる主な原因となった。

1992年、87歳になった鄧小平は再び未来を見つめようとした。中華人民共和国建国100周年となる2049年までに、中国は中所得国(middle-income countries)の仲間入りをすることができ、それは目覚ましい成果となるだろうと鄧小平は述べた。王が辛辣に指摘しているように、57年間待つ代わりに、5年後に亡くなった鄧氏は生きてこの目標が達成されるのを見届けた。1980年から1997年にかけて、中国の一人当たり所得は4倍以上に増加した。

中国の指導者たちは中国の経済発展に影響を与える変化の力を過小評価する傾向を持っている。鄧小平時代以降も長く続いた。例えば、1995年に中国政府は2000年から2010年の間にGDPを倍増させるという目標を発表した。しかし、その10年間に、中国は経済規模を2兆7700億ドルから、7兆5500億ドルへと270%以上成長させた。一人当たりの収入は2194ドルから​​5647ドルへと2.57倍も増加し、目標を29%上回ったと王は書いている。中国の指導者たちは、国運を変えた最大の原因は中国の政策ではなかったため、現実を把握するのに非常に苦労した。王は、北京にはこれほどの経済的成功を達成するための一貫したロードマップがなかったと主張する。

chineseeconomicmiracle006
北京南郊外に最近建設された製造組立工場の端まで続く土地で働く農民(2008年10月14日)。

それでは、中国の驚異的な成功は何によって説明できるのか? ここが王の仕事が最も価値を持つところだ。著書『中国の豊かな時代』は、単一の要因を強調するのではなく、複雑かつ予期せぬ形で国の躍進に貢献した一連の相互に絡み合った原因を明らかにしている。

中国の有名な農業分野における実験は、農民を農村部の共同体(コミューン、communes)、人民公社のためだけに生産する義務から解放するもので、重要な改革として長らく喧伝されてきた。これに、王は、あまり注目されていないもう一つの決定的な変化を加えている。それは、農村部における初期工業化の恐るべき波(formidable wave of early industrialization in the countryside)だ。王は、第一段階では工業化が「現場で始まった(took off in situ)」と書いている。農民たちは都市に移住するのではなく、村で産業労働者(industrial laborers)として働き始めた。王は次のように書いている。「1990年代半ばまでに、中国の農村労働力の40%が中国の田舎で工業製品を生産していた。1995年、中国の農村労働者は中国の工業生産高の半分以上を生み出した」。 1987年、鄧小平はユーゴスラビアからの訪問者にこのことへの驚きを明かした。鄧小平は「農村改革における私たちの最大の成功は、そしてそれは我々が全く予想していなかったことであったが、村や郡区が運営する多数の企業が出現したことだ。彼らは自然発生的に生まれた新しい力のようなものだ」と述べた。

中国の都市への人口流出が本格的に始まったのは、地方の工業化が始まってからずっと後の1990年代後半に入ってからのことだった。歴史的に、都市化(urbanization)は、日本やそれ以前のアメリカを含め、経済発展の重要な特徴だった。しかし、中国の都市化には 2つの固有の特徴があった。都市への新参者の多くは産業経験を持っていたため、工場での仕事に直接取り組む準備がはるかに整っていた。第二に、中国は戸口(hukou)制度、戸籍制度(長年の都市居住者を優遇する一種のソフト・アパルトヘイト[soft-apartheid])に基づく二重構造の社会構造を強制しているため、地方から移住してくる新たな産業労働者には、より低い賃金が与えられる可能性がある。既存の都市居住者よりも手厚い社会保障。更には、工場労働者は、歯が立たず政府の管理下にある労働組合からの保護をほとんど享受できなかった。

ここまで述べてきたことは、中国が離陸期(takeoff period)に、膨大な安価な労働力を保有してだけだという理論と一致する。しかし、王は、これは物事を非常に単純化しすぎている(oversimplifies things)と正しく指摘している。戸籍制度が裕福な大都市の出身でない人々を差別していることは否定できない。しかし、それでも都市部への新参者たちは、高い識字率と概して良好な健康状態を誇ったという、国の急成長を促進する上で極めて重要な特別な属性を持ってやって都市部にやって来た。

これらはいずれも、毛沢東時代の懲罰的な時代に、社会的平等(social equality)を重視したことの目に見える成果だった。王にとって、これは中国の都市部への新参者が単なる安価な労働力源ではなかったことを意味する。また、彼らは複雑なタスクを実行することもできた。これは、コストと同じくらい重要な要素であると彼は考えている。これは、2010年代後半に中国で先進的な製品を製造する企業であるアップル社とその製造パートナーで働いていた約300万人の人々(そのほとんどが都市部への新参者)であったことを説明するのに役立つ。

これらの変革はいずれも国家によって開始されたものではない。王は次のように書いている。「むしろ、それらは全て、自分たちの生活を改善しようと必死で決意した人々の強い願望から生まれた。このような草の根の取り組み(grassroot initiatives)は、受け入れられる前に、最初は政府に抵抗されることがよくあった」。「中国の奇跡(China miracle)」を生み出したのは中国人民であり、指導者ではないと王は何度も主張する。

私が特に興味深いと思っているのは、中国の台頭における他の2つの要因は、歴史と文化に関係している。王は、文化大革命の暴力と混乱(violence and disarray of the Cultural Revolution)が、1976年以降の急速な成長を促進する上で強力な役割を果たしたと説得力を持って主張する。王は次のように述べている。「毛沢東の死で終わったこの激動の10年間の終わりに、中国国民はひどく混乱し、失望し、完全に疲れきっていた。彼らは変化、より物質的な豊かさ、社会の安定、そして人間の礼儀を備えた生活を切望していた」。私たちが見てきたように、鄧小平もこうした考えに大まかに同意したようだ。王は、文化大革命についての鄧小平の発言を「文化大革命は悪いことのように見えた。しかし、結果的にはそれが良かったのだ。それは人々に考えさせ、私たちが抱えている問題を認識させた。私たちが1970年代と1980年代に政策を実施できたのは、まさに当時の教訓を学んだからだ」と引用している。

王の説明パズルの最後のピースには、中国の改革期に相対的に栄えた、新しいアイデア、議論、様々な言説に対する寛容さが含まれている。王は、中国の経済成長は2007年にピークに達し、その開放性と寛容さ(openness and tolerance)はその後の10年間にピークに達したと書いている。2012年に習近平が権力の座に就いて以来、成長と知的自由の両方が急激に低下している。
chineseeconomicmiracle007

中国中部湖南省衡陽で、旧正月を控えた旅行のピーク時に鉄道駅に到着する乗客たち(2024年1月31日)。

 中国社会の原動力としての政党国家の圧倒的な復活と、一種の中国の啓蒙活動の時期尚早な縮小は、この国の将来にとって良い前兆ではない。王の本の中で今後数十年を展望した比較的短い部分は、中国が強い逆風に直面することを明らかにしている。これは崩壊や衰退を予測するものではない。しかし、王は、高い成長率は過去のものだと確信している。最も重要な逆風の1つは、王の専門分野である人口動態(demographics)に直接当てはまる。人口減少への記念碑的な傾向を逆転させることはできないだろう。国連人口部の予測中央値によれば、現在約14億人の中国の人口は2100年までに8億人未満に減少するだろう。

高齢化の加速により、退職、慢性疾患、高齢者の介護に関連する膨大な社会的コスト(social costs)が発生する。王の予測では、これらのプログラムへの人々の寛大な支出が増えないと仮定すると、中国政府は2030年までに全歳入のほぼ半分を教育、医療、年金に費やす必要があるだろう。たとえば、中国が経済協力開発機構加盟国(Organization for Economic Cooperation and Development)の2009年の平均に匹敵する水準の医療と年金支援を提供したいと考えた場合、2030年までに政府歳入の3分2をこれらのサーヴィスだけに充てる必要があるだろう。巨大な高速鉄道網の旅客運賃を大幅に値上げするという中国の最近の決定が予告しているように、人口とともに利用者層が縮小する中、新たな交通インフラの維持費さえも大きな財政的負債になる可能性がある。

この人口動態の将来とその過酷な結果は、私が何年も書いてきたテーマだが、国民に情報を提供せず、有意義な議論を妨げる極めて非民主的な制度を痛烈に試す、気の遠くなるような政治的決定を暗示している。

最近、私が勤める大学のキャンパスで、中国人学生たちから、私が中国に住んでいた時代のこと、特に、今ではほとんど想像もできないような、表現と結社の相対的な自由について不思議そうに質問された。インターネット(中国のような厳しく取り締まられたものでさえ)、高等教育への幅広いアクセス、海外旅行によって、かつて毛沢東にはできたことだが、1人の指導者が一国の人々の心を完全に支配するような状況に戻ることはありえない。しかし、それが習近平の挑戦を妨げている訳ではない。かつて、中国の指導者たちは、自分たちの社会とその成長の可能性を把握するのが遅かった。今、どちらかといえば、王は、中国の指導者たちが支配的な国家の復活がもたらすマイナス面をひどく過小評価していると考えているようだ。

王は次のように結論付けている。「ほんの一世代前には想像もできなかった物質的豊かさのレヴェルを達成した中国は、豊かさの時代(age of abundance)を経て、自己満足の新たな段階(new phase of complacence)に入った。法的・合理的な権限が欠如すると、不透明な政策設定を伴う国家権力の官僚化(state power bureaucratization)は停滞を招くことになる。これは、中国の歴史を通じて繰り返されてきたテーマである。神のような指導者である毛沢東に別れを告げてからほぼ半世紀が経った今、この国は再びカリスマ的権威の時代(era of charismatic authority)に耐える用意をしているように見える」。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり海外特派員を務めた。最新作に黒人として生まれて:アフリカ、アフリカの人々、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War.)』がある。ツイッターアカウント:@hofrench

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回は、私が関係している「副島隆彦の学問道場」の仲間である藤森かよこさん(福山市立大学名誉教授)の最新刊『舌はがしから始める平井メソッド健康革命』(秀和システム)をご紹介します。2024年7月5日から発売となります。アマゾンで予約受付が開始されています。

shitahagashikarahajimeruhiraimethodkennkoukakumei001

『舌はがしから始める平井メソッド健康革命』

 今回の藤森氏の著書のテーマは「平井メソッド」という「舌はがし」を行う健康法です。藤森氏が2017年に出会って、それから実践している健康法だそうで、これで体の調子が良くなっているとのこと。お金をかけずに自己流でも効果があるというのは大きいですね。私も中年になって(おじさんになって)、体の不調を感じるようになり、一丁前に薬を処方されるようになってしまいました。食べ過ぎず、適度な運動(ウォーキングやストレッチなど)をすれば良いのでしょうが、億劫がってしまいます。ですが、不調もあり、健康法には興味があります。藤森さんがやっておられる、舌はがしがどんなものか、ちょっと試してみようかという気持ちになっています。

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載します。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

★本書の目的

本書の目的は、福岡市の「七星(ななほし)スパルタ鍼灸院」院長の平井幸祐(ひらいこうすけ)氏の提案を紹介することだ。平井氏は、「地球上で楽(らく)に私たちが生きる方法」を広める活動をしている。

言い換えると、「引力と地球の自転による遠心力の合力(ごうりょく)である重力によって過剰回転し捻(ねじ)れやすい人間の身体を、まっすぐに伸ばして生きる方法」を広める活動をしている。               

その提案は、「舌はがし」(「したはがし」とも、「ぜつはがし」とも読む。特に決まっていない。歯科医は「ぜつはがし」と読むことが多い)と「舌上げ」と「咀嚼(そしゃyく)と嚥下(えんげ)」と「左右交互片鼻片肺呼吸」と「身体の捻れを解く姿勢と方法」に分けることができる。平井氏の同志の方々や信奉者の方々は、これらの提案をまとめて、いつの頃からか「平井幸祐メソッド」とか「平井メソッド」と呼ぶようになった。それに倣(なら)って本書でもそう呼ぶことにする。

★平井メソッドとは何か!    ここだけは読んでください!

私が、この「平井メソッド」の一端に触れたのは2017年だった。私は、2011年3月から2017年3月末まで広島県福山市に単身赴任していた。福山市では、歯の治療に関して「歯科室むつてっせん」院長の松永心子(まつながしんこ)氏にお世話になっていた。

その心子先生が、「舌はがし」啓蒙活動をしている平井幸祐氏を「歯科室むつてっせん」に招聘(しょうへい)するから、「フジモリさんも舌はがしの施術を受けてみませんか?」と誘ってくださった。舌はがし???

で、気楽に受けてみた。64歳のときだった。それがきっかけとなり、私は平井メソッドという「未知なる道」に踏みこむことになった。

平井メソッドは舌はがしから始める。なぜ、舌はがしから始めるのか?

ほとんどの人は舌と下顎(したあご)が癒着しているので、まず舌を下顎からはがすことが必要だ。では、なぜ舌を下顎からはがすことが必要なのか?

人間は肛門から舌にいたる一本の管(くだ)である。その管の先端である舌(舌根[ぜっこん])がきちんと上口蓋[じょうこうがい](上顎)をまっすぐ推(お)して(押してではない)いないと、人間は「引力と地球の自転による遠心力の合力(ごうりょく)である重力」に拮抗(きっこう)できない。

ここで、ちょっと小学校の理科のおさらいをします。地球は自転しながら太陽の周りを公転している。地球の自転の速さは秒速約460メートルである。なのに、私たちがその回転を感じないのは、私たちも秒速約460メートルで回転しているからだ。

いつも回転している丸い地球から、私たちが宇宙に放り投げられないのは、なぜか?それは地球の強い引力のおかげである。地球上にあるものは、みな地球に引っ張られている。地球が私たちに及ぼしている力は、引力以外にもある。地球の回転による遠心力だ。引力と遠心力を合わせた力が重力だ。

地球の引力と遠心力を合わせた重力と地球の回転と、それに伴う地球上の生物の回転の 関係については、物理学的には「コリオリの力」という用語で詳しく説明できるものらしい。物理学など、私にはわかりません。物理学的説明はスルーさせていただきます。

ともかく、重力に拮抗するためには、舌(舌根)が上口蓋(上顎)をまっすぐに推進することによって頭(脳)を支えていないといけない。肛門から舌に至る一本の管がしっかりまっすぐに伸びていなければならない。

そうしないと重力に拮抗できずに、人間の身体は過剰回転し、捻(ねじ)れてしまう。肛門から舌に至る一本の管の周囲にある内臓もその他の組織も捻(ねじ)れて捩(よじ)れてしまう。人間の身体は、過剰回転することによって捻れることがなければ、上に向かって螺旋(らせん)を描くように方向づければ、その身体はまっすぐ伸びていく。そうなれば、内臓もその他の組織もあまり捻れないので、不調も起きない。

だから、舌を下顎からはがして、口蓋(上顎)を常にまっすぐに推進できるように舌を上げることが身体のありようとして基本となる。

また、舌はがしをして舌を上げないと、歯が舌に当たる。上の歯と下の歯があうこと(歯の食いしばり)が起きる。上の歯と下の歯がギシギシと音をたてるほどにあうこと(歯ぎしり)が起きる。上の歯と下の歯は通常は2ミリから5ミリほどの「安静間隙(あんせいかんげき」」と呼ばれる隙間があるのが正常だ。

歯が舌に常に当たっていると舌(ぜつ)ガンになりかねない。歯の食いしばりや歯ぎしりは、無駄に身体に圧力をかける。そうなると、無駄に身体に力が入り、伸びやかになれない。頭痛の原因になる。その他の身体の不調も生み出す。十分な咀嚼ができなくなるし、嚥下障害も起きる。食いしばりの害は大きい。

身体の過剰回転や歯の食いしばりを防ぐことができる舌はがしや舌上げは、意図的に努力してキープする必要がある。舌はすぐに下がるから。

舌が上がっている状態をキープするには、呼吸方法によっても可能になる。その呼吸方法が「左右交互片鼻片肺呼吸法」だ。この呼吸法は、誰でもできるけれども、ちょっと練習が必要になる。しかし、どの呼吸法よりも、身体に酸素を送り、脳にもいっぱい酸素を送ることができる。そうすれば脳も正常に機能する。この呼吸法は、身体から無駄な力を抜き、緩(ゆる)ませる。

ただし、舌はがしにせよ舌上げにせよ、左右交互片鼻片肺呼吸法の実践にせよ、ここまでできれば免許皆伝(めんきょかいでん)とかいう類のものではない。この地球上で生きる限りは死ぬまで意識して実践すべきものだ。

そのためには、日常の姿勢というものに意識的である必要がある。過剰回転による捻れを解く姿勢を知っているほうがいい。

★本書の構成

ということで、本書の構成は以下のようになっている。

第1章では、実際に平井メソッドを体験した5人の方々の言葉を紹介する。

第2章においては、なぜ平井メソッドなる健康法が生まれたのかについて書く。メソッド創始者の平井幸祐氏と、平井氏の最強弟子で最強同志であり、かつ独立した身体研究家でもある秋保良子氏について紹介する。

第3章においては、舌の重要性そのものは従来から歯科医師などによって指摘されてきたが、その根拠についての説明が足らなかったことを指摘する。意外なほどに、舌に関する書籍は多く出版されてきている。しかし、その理由について根本的に考えて説明しているのは、私が知る限り平井氏だけだ。

第4章は、妊婦の方々や乳幼児の養育者の方々にとって必読だ。舌はがしと舌上げは、乳幼児時代の子どもにとって最も効果があるのだから。平井メソッドは、もともとは子どもの健(すこ)やかな成長を促すために考案されたものだからだ。

第5章において、自分でできる舌はがしと舌上げ方法を紹介する。一見難しそうだけれども、テキトーに実践し続けていれば慣れます。章のまとめとして、舌はがしや舌上げの諸効能について、あらためて整理してみた。

第6章においては、舌はがしと舌上げができていてこそ可能な適切な咀嚼と嚥下法について紹介する。せっかく歯があるのにきちんと咀嚼せずに丸飲みしてしまうことが多い。もったいない、もったいない。適切な咀嚼と嚥下を習慣にすれば、いかに大きな恩恵があることか。

第7章においては、左右交互片鼻片肺呼吸法について紹介する。平井氏によると、この呼吸法を実践できれば、舌は自動的に上がる。脳にも酸素が十分に行き渡る。実は最も大切なのが呼吸法だそうだ。この章は高齢者の方々にとって必読です。

第8章においては、身体の捻れを解く姿勢と方法を紹介する。平井氏や秋保氏は、舌が上がっていないからこそ起きる身体の過剰回転による捻れを解く方法をいろいろ考えてき                 た。捻れを解くための道具なども手作りしてきた。

この章も、妊婦の方々や乳幼児の養育者の方々にとって非常に有益だと思う。子どもや           身体がまだ柔らかい若い人々にとっても実に有益だと思う。

私のような身体の硬い類の高齢者は、なかなか効果が感じられないかもしれないが、じっくり実践して行けば望ましい変化がある。

本書の最後には、平井メソッドを理解し、舌はがしを施術できる歯科医院や鍼灸院や整          体院や健康サロンのリストを載せた。また、平井氏が考案した身体の捻れを解く足板や手板(第8章で詳しく述べる)を製作販売している工房も紹介した。

★人間はまだ予備機能しか使っていない

平井氏はこう言う。

「人間って、いまだかつて正常な身体の動かし方をしていないです。間違った使い方ばかりしてきています。まるで予備機能だけで動いているみたいです。予備機能だけで生きていて、ここまで歴史を作ってきたのだから、人間はすごいといえばすごいですよ。ほんとうに人間が正常に身体を使いだしたら、どんな素晴らしい世界が出現することか。80歳くらいになったら健康寿命が尽きて寝たきりになるなんて、本来の人類のポテンシャルを考えたら、ありえないんですよ」と。

どういうわけか、人類は自分の身体の取り扱い方を間違えてきてしまったらしい。正しい身体の取り扱い方は、門外不出(もんがいふしゅつ)の一子相伝(いっしそうでん)的な秘密になってしまってきたらしい。

平井メソッドは、そこそこいい加減に実践しても、ある程度の効果はある。しかも無料                 だ。平井氏や秋保氏のセミナーを受講するなら、なにがしかの受講料はかかる。あたりまえである。しかし、基本的には自分で実践できる。

★平井メソッド紹介本を私が書いた理由

ところで、医療系や健康産業系にはまったく素人の私がなぜ平井メソッド紹介本を書いたのか。その直接的な理由としては、自分たちは実践活動で忙しく書いている時間がないので代わりに書いてくださいと平井氏や秋保氏に依頼されたということがある。

しかし、一番の理由は、私自身が、2017年に平井メソッドに出会い、その内容を少しずつ知るにつれて、また自分なりに実践を続けるにつれて、その効用を感じるようになったからだ。平井メソッドは理にかなっていると思うからだ。

私には、平井メソッドが現行の科学や医学においてどう評価されるのか、説明されるものであるかについて語ることができるほどの専門的知識がない。エビデンスを出せだの、データを出せなど言う人は多いが、そんなものいくらでも捏造(ねつぞう)できるではないか。そういうことを言い立てる人々は、これからも医薬業界やメディアに騙され続けるのであろう。そもそもが、科学や医学の知見は、ある時代の知識の枠組みの中で、学問的権威とされる人々が提示しているものである。それ以上でもそれ以下でもない。その知見は真理であるかもしれないし、真理ではないかもしれない。事実であるかもしれないし、事実でないかもしれない。科学や医学の知見は常に更新されていく。今日の科学や医学の常識は20年後には迷信になっている(かもしれない)。

私は、非常に猜疑心(さいぎしん)の強い人間である。「常識」とか「良識」というものの多くも、ある時代やある環境における支配的な思い込みでしかないと思っている。時代が変わり、環境が変われば、常識も良識も変わる。

私は、医師や看護師や薬剤師や医療業界の人々から受ける具体的な助言でさえ、「まあ、そういう意見もあるよな」と考える。人間の身体は個人差も大きい。現行の医学界が正しいと提供する標準的医療行為を受けて効果がある人間もいれば、効果がない人間もいる。ややこしい病気ほどそうだろう。

そういう私は、だから「平井メソッド教」の信者にはなり得ない。ですから、読者の方々は、安心してください。本書は平井メソッド紹介本ではあっても、「平井メソッド教」カルト本ではありません。

もともと、私は自分の身体について、ろくに考えたこともなかった人間だ。だからと言って、私が非常に健康な人間であったわけではない。若い頃から身体の不調には常に悩まされてきた。ただ、そういう数々の不調を気にする暇がなかった。今の社会で、少しでも安全な立場を築こうとする競争に勝たずとも負けないためには、いろいろとすべきことは多かったから。

加えて、私は、若い頃から肉体嫌悪の傾向があった。不便で思うようにならない身体など邪魔だと思っていた。人体などサッサとサイボーグ化されればいいと思っていた。脳のデータベース化ができれば、それが自分自身であり、経年劣化する人体など機械で代替可能(だいたいかのう)だと思ってきた。『攻殻機動隊』のヒロインに憧れていた。私という情報さえあればいいのであり、身体は要らないと思ってきた(まあ、かなり先の未来にはそうなっているだろうが)。

そういう人間をして、初めて身体について強く意識させてくれたのが平井メソッドだった。身体という自分の唯一の資本について意識し、正常に機能できるように自分自身をケアすることの意義と責任と面白さを感じさせてくれたのが平井メソッドだった。

そのために、私の読書範囲の中に、身体研究本やセラピー本などが大いに混じるようになった。安保徹(あぼとおる)医師の著作や、野口整体の創始者の野口晴哉(のぐちはるちか)氏の著書や、健昴会(けんぼうかい)・FPM整体体操研究所代表の宮川眞人(みがわまこと)氏の著作や、さとう式リンパケアの佐藤青児(さとうせいじ)氏の著作など、いろいろと読んできた。

自分の唯一の資本である自分の身体を、どうして私は邪険(じゃけん)に扱ってきたのだろう。もっとも私が仲良くすべきは、誰よりも自分自身の身体であるのに。自分の不細工な身体を直視することから逃げていたのだろうか。それとも、霊肉の二項対立論や、肉体よりは精神が大事であるといった類の精神論に、私自身も毒されていたのだろうか。

★平井メソッドは依存心が根深い人には適していない

本書には、「すべての不調が3日で解決する!」とか、「この方法で一生健康!」とか、「この方法でガンが治る!」とか、そのような安直なことは書いていない。

何にしても、一度や二度の実践で身体の状態が良くなるなどということはない。整体院に行けば、調子は良くなる。しかし数日も過ぎれば元に戻る。そういうものだ。整体院に定期的に通ってはいられない。カネもかかるのだから。

結局は自分で何とかするしかない。自分で何とかするための方法が平井メソッドである。 だから、本書は依存心が根深い人間には適していない健康本です。

私は、できうる限り正直に平井メソッドの事実を書いた。根気よく実践を続けないとダメですよ、何事も。

平井メソッドは、優れた健康法であるが、単なる健康法を超えている。平井メソッドを実践すること自体が、自分の身体感覚を鋭くさせるから。自分と身体の関係を考え直させるから。知って実践し始めると、常に思い出して、自分の身体の変化に意識的になれるから。

この意味において、平井メソッドは認識革命と呼べる。身体が捻れっぱなしで、平井メソッドの実践を怠けがちな私にとっては「呪い」に思える時もある。いや、「祝福」と言うべきか。

ともあれ、死ぬまでに、自分の身体と相棒になれて良かった。平井メソッドを独学で構築してきた平井氏に感謝します。平井氏のお弟子さんたちにも感謝します。平井メソッドを知る機会を提供してくださった「歯科室むつてっせん」院長の心子先生に感謝します。

(備考)「舌はがし」は商標登録済みです。

=====

『舌はがしから始める平井メソッド健康革命』 ◆目次

まえがき 1

★本書の目的 1

★平井メソッドとは何か!    ここだけは読んでください! 2

★本書の構成 5

★人間はまだ予備機能しか使っていない 8

★平井メソッド紹介本を私が書いた理由 9

★平井メソッドは依存心が根深い人には適していない 12

第1章  平井メソッドでこうなった! 25

1・1 まずは5人の方々が感じた平井メソッドの効能を列挙 26

1・2 青木レイノさんの体験(REINOタロットスクール代表) 30

1・3 岩元星龍さんの体験(目黒スパルタ七星整体院代表) 35

1・4 井出万紀子さんの体験(健康トレーニング整体・セルフケアサロン経営) 38

1・5 和田貴美恵さんの体験(holistic助産院 MOON LODGE運営) 43

1・6 中嶋朋美さんの体験(主婦、二児の母) 48

第2章 平井メソッドはいかに生まれたか? その創始者とその最強同志 53

2・1 平井幸祐氏の経歴 54

2・2 顎が長く前に突き出ていることに悩んだことが始まりだった 57

2・3 舌が下顎に癒着しているのが問題だ! 58

2・4 平井メソッドは舌はがし啓蒙活動から始まった 60

2・5 なぜピンク色を常に身に着けるのか? 61

2・6 秋保良子氏の経歴 63

2・7 秋保氏がキャリアウーマンを経て鍼灸を学んだ理由 64

2・8 平井氏と秋保氏の出会い 65

2・9 平井氏も秋保氏も超能力者なのか 66

2・10 秋保氏は妊娠し出産し育児しながら平井メソッドを検証 67

2・11 養育者が平井メソッドを実践することが子どもの成長を育む 69

2・12 発展途上の身体 71

第3章 舌はがしをして舌を上げる! 75

3・1 舌が大事であることは従来から多くの人が指摘してきた 76

3・2 なぜか2018年以降に多く出版されている舌に関する本 79

3・3 YouTube にも舌の重要性に関する動画はいっぱい 80

3・4 石塚ひろみ著『舌はがし健康法』は必読書 82

3・5 低位舌は認知症になりやすく不細工にもなりやすい? 84

3・6 人間は肛門から舌に至る一本の管(くだ) 87

3・7 映画『キングコング 髑どくろ 髏島の巨神』のコングの勝利の理由 89

3・8 内臓も皮膚も筋肉も血管も神経も骨も捻れやすい 90

3・9 舌の推進力こそが重力に拮抗する 92

3・10 舌が上がれば肛門も膣も締まる 94

3・11 日本文化は歯の食いしばりを促進する? 98

3・12 舌が上がると歯のくいしばりがなくなり身体が緩む 102

第4章 妊婦さんと乳幼児の養育者のみなさま必読! 105

4・1 胎児が辛いので子宮に圧力がかかる姿勢を妊婦は避けるべき 106

4・2 妊婦が舌を上げると胎児が嬉しい 108

4・3 妊婦の安全と胎児の健やかな成長を脅かす現代 109

4・4 当事者意識の希薄な妊婦たち 111

4・5 すべての養育者に知って欲しい赤ちゃんの授乳法 113

4・6 すべての養育者よ、赤ちゃんは縦抱きせよ! 垂直に抱こう! 116

4・7 赤ちゃんの顔は外向きに脚がまっすぐ伸びるように胸側におんぶする! 117

4・8 赤ちゃんにも整体が必要だ! 120

第5章 舌はがしと舌上げの方法 125

5・1 自己流でも効果はある 126

5・2 第1段階はうなじを伸ばし、てっぺん吊り【図1】 130

5・3 第2段階は下顎を落とす【図2】 132

5・4 第3段階はツボを軽くさわる(押すのではない)【図3】 132

5・5 第4段階は口周りの筋肉をはがしほぐす【図4】 134

5・6 第5段階は顎を広げて歯ぐきを立てる【図5】 136

5・7 第6段階は舌をほぐす【図6】 138

5・8 第7段階は、いよいよ舌はがし!【図7】 140

5・9 第8段階は舌をつまみ上げる【図8】 142

5・10 第9段階は舌ベロトントン【図9】 144

5・11 第10段階は舌プレス【図10】 146

5・12 舌はがしと舌上げは生きている限り続けよう 148

5・13 まとめ ── 舌はがしや舌上げの効能 150

5・14 なぜ舌はがし舌上げの重要性が常識になっていないのか? 156

第6章 適切な食べ方(咀嚼)と飲みこみ方(嚥下) 161

6・1 舌は内臓の状態のバロメーター 162

6・2 海老蔵のお茶の飲みかた 167

6・3 平井メソッドが推奨する咀嚼方法と嚥下方法 168

6・4 平井メソッドが薦める咀嚼法は唾液も良く出る 172

6・5 舌が上がっていれば適切な嚥下ができる 174

6・6 食事中に水分を必要とするのは嚥下ができていないから 176

6・7 平井メソッドの咀嚼法は便秘と過食による肥満を防ぐ 178

6・8 番外編 ── 乳酸菌WB21で口腔内の善玉菌を増やす! 180

第7章 左右交互片鼻片肺呼吸法のすすめ 189

7・1 口呼吸の弊害はすでに常識だけれども 190

7・2 舌をはがして舌上げすれば鼻呼吸になる 193

7・3 ふたつの鼻孔で交互に呼吸しているという「交代制鼻閉」説 193

7・4 ヨガの片鼻呼吸法と左右交互片鼻片肺呼吸法は違う 196

7・5 左右交互片鼻片肺呼吸こそ合理的な呼吸法 197

7・6 あなたの呼吸は脳に酸素を送ることができているか? 200

7・7 左右交互片鼻片肺呼吸のしかた 202

7・8 湯船に浸かり左右交互片鼻片肺呼吸をすると身体が浮く? 205

7・9 高齢者こそ左右交互片鼻片肺呼吸法を習慣にしよう 206

第8章 身体の捻れを解く姿勢と方法 209

8・1 寝相が悪いのは過剰回転により身体が捻れているから 210

8・2 身体の捻れを解く姿勢 212

8・3 針金のハンガーを頭にかぶってみよう 214

8・4 ハンガー反射(Hunger Reflex) 217

8・5 両脚を縛る 219

8・6 平井メソッドの紐縛りと「ヒモトレ」 225

8・7 平井氏考案の就寝用足板の威力 228

8・8 腰掛け用足板 236

8・9 椅子の座り方 238

8・10 手板 242

あとがき 245

参考引用文献(初出順) 248

舌はがし施術を受けることができる施設リスト(順不同 2024年4月現在) 252

=====

あとがき

まさか、自分が健康法に関する本を書くことになるとは思いもしなかった。おかげで大いに勉強になった。物事の見方が大きく変わった。

平井さんや秋保さんを通じて、さまざまな整体師さんや鍼灸師さんや、心と身体の関係を考えるセラピストさんたちにお会いできたことも面白かった。その体験は私の狭い視野を大いに広げてくれた。

 私は面倒くさがりで、人間関係を広げることには消極的である。だから、異業種の方々との交流もしたことはなかったが、世の中は、実にいろいろな方々によって支えられているのだなと、あたりまえのことに気がついた。

私は妊娠したこともなく、子どももいないので、産婦人科や小児科に行ったこともない。だから、妊婦さんのこと、胎児のこと、授乳のこと、乳幼児のことについて、言語道断なほどに無知だった。

本書を書くために、取材と称して、平井さんや秋保さんが主宰するセミナーや施術会に参加し、助産師さんのお話をうかがったり、乳幼児と接したり、その養育者の方々(主にお母さん方) とお話ししたりしたことも、私にとっては新鮮な体験だった。

このようなことがすべて、本だけ読んできたような私の狭い生活の殻を破ってくれた。本書を書くということは、私にとっては決して容易なことではなかったが、意義の大きいことだった。

本書の第1章のために平井メソッド体験を語ってくださった青木レイノさん、岩元星龍さん、井出万紀子さん、和田貴美恵さん、中嶋朋美さんに感謝いたします。

お名前をすべて挙げることはしませんが、本書の中で言及させていただいた、整体師の方々や歯科医の方々に感謝いたします。

また、本書にあるイラストや、表紙のイラストの作成者のさがわかすみさんに感謝いたします。さがわさんは、平井さんや秋保さんと相談を重ねながら、平井メソッドを理解するための図を描いてくださいました。注文の多さに応えてくださり、ありがとうございました。

装幀については、また大谷昌稔(まさとし)さんにお願いいたしました。大谷さんには、アイン・ランドの小説の拙訳『水源』(ビジネス社、2004年) や、私が編著者を務めた文学研究の論集や、『ニーチェのふんどし いい子ぶりっこの超偽善社会に備える』(秀和システム、2023年)を含む単著5冊の装幀など、2004年以来ずっとお世話になっております。ありがとうございます。

 最後に、本書の出版にあたり、数々のご助言をくださり、ご尽力いただいた秀和システムの編集者小笠原豊樹さんにお礼を申し上げます。小笠原さんには、拙著『ニーチェのふんどし』のときにも、随分とお世話になりました。なのに、またもや厚かましく本書の原稿を送りつけて「読んでください!」と強引にもお願いさせていただきました。ご迷惑をおかけいたしました。ありがとうございました。

2024年5月

藤森かよこ

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ