古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2024年07月

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙投開票日まで100日を切った。アメリカや日本の主要メディアでは、「民主党のカマラ・ハリス副大統領が急速に追い上げている」「共和党のドナルド・トランプ前大統領は、副大統領候補のJ・D・ヴァンス連邦上院議員の失言問題もあり苦戦している」という報道がなされている。それは一面では正しいが、一面では正しくない。

 アメリカ大統領選挙は有権者の投票数の合計ではなく、各州の選挙人獲得数で争われる。各州の選挙人は勝者総取り形式で配分される。例えば、カリフォルニア州でA候補が100万1票、B候補が100万票を獲得した場合には、A候補が54人の選挙人全員を獲得する。

 全米50州と首都ワシントン・コロンビア特別区のうち、40以上は既に結果が見えている。分かっている。民主、共和両党のイメージカラーから、民主党優勢州は「ブルーステイト(Blue State、青い州)、共和党優勢州は「レッドステイト(Red State、赤い州)」」と呼ばれている。40以上の州とワシントンDCはきれいに色分けされている。そして、残りの約10州は激戦州(Battleground State)とか、「パープルステイト(紫の州)」などと呼ばれる。大統領選挙の結果を決めるのはこれらの激戦州だ。今回の選挙では、激戦州(Toss-up)は、以下の地図にあるおうど色の州だ。赤と青はそれぞれ、共和党のトランプと民主党のハリスが「固めた」州と言えるだろう。基礎票はトランプ235対ハリス226となる。ここからスタートとなる。

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 おうど色の州で重要なのは、ペンシルヴァニア州とジョージア州だ。この2州をトランプが制すれば、270となって、選挙人538名の過半数を獲得することになり、大統領に当選ということになる。この2州は、2016年の選挙ではトランプが勝利し、2020年の選挙ではバイデンが勝利した。目まぐるしく勝者が変わる州である。この2州が非常に重要ということになる。トランプ銃撃事件が起きたのが、ペンシルヴァニア州バトラーだったことを考えると、トランプ陣営としては、ペンシルヴァニア州を是が非でも取りたい。ウィスコンシン州やアリゾナ州でも勝利できれば、より盤石な勝利ということになる。

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 ハリス陣営としては、この2つの州を明け渡す訳には行かない。何とかどちらか1つの州を取りたいところだ。ネヴァダ州は2016年も、2020年も民主党が取っているので、ここは激戦州だが大丈夫という計算をしているだろう。アリゾナ州選出のマーク・ケリー連邦上院議員を副大統領候補にすれば、アリゾナ州も民主党が取れる可能性が高まる。しかし、そうなると、大統領候補のハリスがカリフォルニア州出身、副大統領候補のケリーがアリゾナ州出身となって、ロッキー山脈より西の西部に偏り、五大湖周辺州や南部にはなじみがない顔ぶれとなってしまう。やはり重要なのは、五大湖周辺州、ペンシルヴァニア州だ。そして、アフリカ系アメリカ人有権者の多いジョージア州だ。ジョー・バイデンはアフリカ系アメリカ人の政治家やコミュニティリーダーと長年にわたり、深い関係を築いていた。ハリスは、父親がジャマイカからのアフリカ系アメリカ人移民ということで何とかアピールしたいところだ。

 激戦州の戦いでは、現在、トランプがやや有利となっている。各州を細かく見ていくと、アメリカや日本の報道とはまた違う姿が見えてくる。

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 私は、「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)」対「それ以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の対立構造が世界を変化させると主張している。グローバルノースとグローバルサウスという分裂もこれに似ているが、地理に関する言葉が入っているため、ロシアや中国といった北半球に位置する国々がグローバルサウスに入っていることに違和感を持つ人がいるだろうと考え、これらの言葉を使う際には気を付けている。しかし、マスメディアでは、グローバルノース対グローバルサウスという言葉が良く使われている。

西潟諸国対それ以外に国々という分裂が明らかになったのがウクライナ戦争だった。ウクライナ戦争が発生し、ロシア非難決議について、強制力を持つ国連安保理決議はロシアが拒否権を持っているので、そもそも可決成立しないことは分かっていた。強制力を持たない国連総会決議では、反対5カ国、棄権35カ国、意思を示さずが12カ国となった。人口比で言えば「賛成15対反対85」ということで、世界の大きな分断が明らかになった。以前であれば、西側・欧米諸国の意向に唯々諾々と従っていた国々が、ある程度自分たちの意向で動けるようになっている。それだけ欧米諸国の力が落ちているということが明らかになっている。

その代表格がBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)であり、G20のうちの、西側諸国のG7加盟諸国以外の13カ国である。この13カ国は、BRICS以外では、アルゼンチン、オーストラリア、インドネシア、メキシコ、韓国、サウジアラビア、トルコである。これらの地域大国・二番手国がこれから重要になってくる。以下の論稿では、

ブラジル、インド、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコを重要な「どちらにも肩入れしない国々(swing states)」「中規模大国(middle powers)」と規定している。これらの国々は、地域のリーダーとしての役割を果たし、国際政治においても重要な役割を果たしている。トルコとサウジアラビアは中東地域の大国であり、地域の安定において重要な存在である。トルコは東西をつなぐ地理的な位置、ロシアとの関係もあり、ウクライナ戦争において和平の仲介を行おうとしている。ブラジルやインドネシア、南アフリカは資源大国としての存在感を示しているが、工業化を目指している。
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 西側諸国の衰退とそれ以外の国々の台頭は大きな世界の流れである。私たちは、そのことをしっかりと理解して、世界の変動に備えねばならない。日本にとって、最も馬鹿らしいのは、アメリカと心中する覚悟で、中国に突っかかり、戦争をしてしまうことだ。

(貼り付けはじめ)

6つのどちらにも肩入れしない国々が地政学の将来を決定する(6 Swing States Will Decide the Future of Geopolitics

-これらのグローバルサウスの中規模大国がアメリカの政策の焦点となるべきだ。

クリフ・カプチャン筆

2023年6月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/06/06/geopolitics-global-south-middle-powers-swing-states-india-brazil-turkey-indonesia-saudi-arabia-south-africa/

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2018年7月27日、南アフリカのヨハネスブルグで開催されたBRICS首脳会議で挨拶するロシアのウラジーミル・プーティン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領

先月、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は異例の形でウクライナを飛び出し、サウジアラビアのジッダと日本の広島でほぼ1週間を過ごした。彼の目標は、ロシアのウクライナ戦争を擁護する4大国であるブラジル、インド、インドネシア、サウジアラビアの支持を獲得することだった。これらおよびその他のグローバルサウス(global south)の主要諸国は今日、かつてないほど大きな力を持っている。彼らが新たに発見した地政学的影響力(geopolitical heft)の理由は、彼らがより多くの主体性(agency)を持ち、地域化(regionalization)の恩恵を受け、そして米中間の緊張を利用できることだ。

今日の中規模大国(middle powers)は、第二次世界大戦後、これまで以上に多くの主体性を持っている。これらの国々は、地政学(geopolitics)において大きな影響力を持っているが、世界の2つの超大国であるアメリカと中国ほど強力ではない。グローバルノースには、フランス、ドイツ、日本、ロシア、韓国などが含まれる。ロシアを除いて、これらの国々は米国と幅広く連携しているため、権力と影響力の変化についてはあまり語られていない。

もっと興味深いのは、ブラジル、インド、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコというグローバルサウスの主要な中規模大国6カ国だ。グローバルサウスのこれらどちらにも肩入れしない国々(swing states)は、米中どちらの超大国とも完全に連携していないため、自由に新たな権力関係を生み出すことができる。これら6カ国は、G―20のメンバーであり、地政学と地経学(geoeconomics)の両方の面で活発に活動している。これら6つの国は、グローバルサウスにおけるより広範な地政学的傾向を示す、良いバロメーターとしても機能している。

これら6つの国の重要性が高まっている理由は多くあるが、長期的な歴史的発展と、より最近の世界的な傾向という2つの要素に分類できる。最初のバケツに関しては、冷戦(Cold War)以来の発展により、これらの中規模大国は、国際関係においてより多くの主体性を得ることができるようになった。冷戦により、対立するブロックへのより厳格な分離が必要となり、今日のどちらにも肩入れしない国々の一部が取り込まれた。その後のアメリカの一極支配(unipolarity)の時代では、ほぼ全ての国がワシントンに対して一定の忠義(fealty)を示す必要があった。今日の中国とアメリカの二極性(bipolarity)は弱まり、全ての中規模大国はより自由に行動できるようになった。

歴史のバケツの2つ目は次の通りだ。過去20年間、世界は重要な形で脱グローバル化(deglobalizing)し、その結果、地域レヴェルで新たな地政学的・地経済的関係が形成されつつある。その結果、地域レヴェルで新たな地政学的・地理経済的関係が形成されつつある。どちらにも肩入れしない中規模大国は全て、地域のリーダーであり、力が地域に委譲されるにつれて、その重要性は増していく。ニア・ショアリング [near-shoring](サプライチェインを自国の近くに移動させること)やフレンド・ショアリング [friend-shoring](敵対国から志を同じくする国へと移動させること)の過程で、一部の企業や貿易関係は中国から他の地域(主にグローバルサウス)へと徐々に移動している。グローバルサウスの、どちらにも肩入れしない中規模大国のいくつかは、地域貿易のハブとして、更に忙しくようになるだろう。インドがその最たる例で、アメリカ企業の一部は、インドに生産拠点を置き、新たなサプライチェインを構築している。エネルギー市場はより地域的なものになりつつあり、サウジアラビアに利益をもたらしている。同様に、サウジの首都リヤドは地域金融のハブとして台頭しつつある。また、国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は、世界は分断化(fragmenting)しつつあり、分断化した世界では地域の中規模大国が論理的により重要な役割を果たすと強調している。

第三に、冷戦時代、インドとインドネシアは植民地支配から脱したばかりだった。そのため、米ソ冷戦二極時代の世界的な役割は限られていた。今日、どちらにも肩入れしない中規模大国6カ国は完全に自立したアクターである。しかし、彼らは、非同盟運動(Non-Aligned Movement)や、G―77やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のようなグローバルサウスが支配する他のグループの新しい姿ではない。これらのグループは全て、イデオロギー的な親和性(ideological affinity)を持っているか、あるいは持っている。イデオロギー的な親和性がないため、これらの国家は外交政策において強硬な取引主義的アプローチ(hard-core transactional approach)をとることができ、その結果、国際情勢への影響力を高めている。

どちらにも肩入れしない中規模大国の力を高めるその他の要因は、最近の世界的な傾向から生じている。どちらにも肩入れしない中規模大国の力は、米中関係を明確に特徴づける競争と対立(competition and confrontation)から得られる影響力によって強化される。それぞれの超大国は、どちらにも肩入れしない中規模大国が自国に同調することを望んでおり、どちらにも肩入れしない中規模大国が他方を翻弄する機会を作り出している。例えば、中国のバランスをとるための、アメリカ主導の最も重要な取り組みである日米豪印四極安全保障対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)に参加して以来、インドの力と影響力は劇的に増大した。ブラジルとインドネシアは、特にリチウム、ニッケル、アルミニウムといった重要な鉱物資源に関する取引を封じ込めようとする中国の熱意から利益を得ている。最近の調査によると、6カ国は、それぞれ特定の問題で、アメリカや中国に傾斜することはあっても、そのほとんどは比較的バランスの取れた忠誠を保っている。今のところ、6カ国は多くの分野で大国を翻弄する自由を手にしている。半導体(semiconductors)、人工知能(artificial intelligence)、量子技術(quantum technology)、5G通信(5G telecommunications)、バイオテクノロジー(biotechnology)などの基盤技術は唯一の例外である。

同様に、グローバルサウスのどちらにも肩入れしない中規模大国は、経済規模が大きく成長しており、国際的な気候政策の影響力を持っている。これらの国々の参加なしに、汚染や気候への影響による課題を解決することはできない。炭素市場(carbon markets)は、排出量への実際の影響に関係なく、これらの中規模大国に更に資源をもたらすことになるだろう。なぜなら、西側企業はネットゼロの地位を追求する際にオフセットを購入する必要があるからである。より広範に、森林破壊と脱炭素化に関する政策には、森林破壊に関してはブラジルとインドネシア、脱炭素化、特に石炭の利用に関する脱炭素化に関しては主にインドとインドネシアといった激戦州の建設的な参加が必要である。最後に、「ジャスト・エネルギー・トラン十ション・パートナシップス」は、気候変動目標に資金を提供するための創造的な解決策を見つけることに重点を置いており、南アフリカとインドネシアが最初の資金提供先となる。このプログラムの結果は今のところまちまちだが、これは2つの中規模大国が気候政策において指導的役割を担う例である。

どちらにも肩入れしない中規模大国6カ国は、制裁(sanctions)とウクライナ戦争の構図作りにおいて重要な役割を果たしてきた。彼らは当初から、西側諸国によるウクライナへの軍事援助や対ロシア制裁に同調することを拒否してきた。彼らは、この戦争は、ヨーロッパのみに影響を及ぼし、世界の安全保障には影響を与えず、開発(development)、債務削減(debt reduction)、食料安全保障(food security)、エネルギー安全保障(energy security)などの分野における国益を促進するものではないと主張している。

しかし、これらの国々が戦争に与えた最も重要な影響は、西側諸国の対ロシア制裁に反対し、場合によってはそれを弱体化させるというリーダーシップの役割を果たしたことである。トルコは、大量の軍需品のロシアへの輸出に関与しており、西側諸国の制裁の精神に違反し、おそらくはその規定にも違反している国の一つである。こうした活動に対し、アメリカは既にトルコ企業4社に制裁をしている。南アフリカはロシアに傾いているものの、他の中規模大国のほとんどは断固として中立を保っている。6カ国はいずれも、戦争開始以来、ロシアとの貿易その他の関係を維持または強化してきた。

国際通貨基金の予測によれば、ロシア経済の今年の成長率は0.7%で、西側諸国が期待していたような、経済を完全に麻痺させる影響はほとんどない。どちらにも肩入れしない中規模大国が、ロシアが経済制裁の影響を弱め、それを続けるために支援をしている。この数字は、クレムリンが、貿易を南と東に向けることで生計を立てられると信じている理由の一つでもある。

グローバルサウスの中規模大国の影響力が大幅に増していることは、彼らの調停イニシアティヴにも表れている。トルコは、ウクライナ戦争に関して最も影響力のある唯一の対外勢力である。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、穀物取引の主要な交渉者であり、戦争開始時の和平交渉にも関与した。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は、自らのイニシティヴで名乗りを上げた。一方、インドはより静かに、将来の和平を仲介する立場にある。これらの国家は現在、他の紛争も調停できる立場にある。この点でのインドの地位は特に高く、2月の時点ですでに国連平和維持活動(U.N. peacekeepers)の8%を担っているからだ。インドネシアや南アフリカも調停役や平和維持要員として活躍している。

最後に、これらの国々に見られる科学や工学の専門知識は、将来の核拡散リスクを高めている。仮に次に核兵器が拡散するとすれば、それはグローバルサウスの国々である可能性が高い。近い将来、特にサウジアラビアとの和解が実現した後は、その可能性は低いものの、イランは依然として世界で最も危険な核拡散リスクである。イランが潜在的な核保有国になるには、技術的にあと数歩のところまで来ている。リヤドとの関係が急激に崩壊し、テヘランがダッシュで爆弾製造に乗り出すというシナリオでは、サウジやおそらくトルコも爆弾(核兵器)を求める可能性がある。サウジアラビアがイスラエルとの国交樹立と引き換えに、アメリカに核保証を要求したとされるのはそのためである。

西側支配に対抗する主役として、BRICS諸国が注目されることは、グローバルサウスの興味深い点の多くを見えにくくしている。なぜなら、BRICSに中国とロシアが加わることで、どちらにも肩入れしない中規模大国の重要な台頭が覆い隠されてしまうからだ。

中国とロシアが拡大したBRICSを、そしてBRICSを通じてグローバルサウスを共同支配することは、対処すべき真の脅威である。

中国は今日、二極化した世界における2つの大国のうちの1つである。中国をグローバルサウスの一員と考えるのは大げさだが、それは中国の経済力と広範な地政学的野心が、中国を異なるタイプの国家にしているからである。ロシアは中規模大国だが、衰退しつつある。ロシアはまた、世界へのアプローチにおいて高度修正主義的(hyper-revisionist)であり、これは、グローバルサウスのどちらにも肩入れしない中規模大国にはない見方である。そのため、地政学的に最も活発なBRICSの2カ国の政策は、どちらにも肩入れしない中規模大国とは異なる論理で説明する必要がある。

しかしながら、BRICS諸国が中国の指導の下、グローバルサウスを代表すると主張する、より正式な機関になるのかどうかという疑問は残る。特に、他の19カ国がすでにBRICSへの加盟に関心を示していることを考えれば、この見通しは西側諸国に対する明確な挑戦ということになる。しかし、その脅威が現実のものとなる可能性は低い。インドはBRICSの有力国であり、BRICSを共同支配しようとする中国の動きに断固として反対するだろう。サウジアラビア、ブラジル、トルコ(NATO加盟国)、インド、そして南アフリカでさえも、安全保障や貿易の面で、アメリカやその他の主要な西側諸国と重要な関係を保っている。これらの国々は、アメリカから離れているかもしれないが、それは中国が主導し、ロシアが支援する、アメリカに積極的に反対する組織に参加することとは異なる。現在のところ、BRICSは共通のアジェンダを策定し、実施する能力を示していないため、中国が共闘するための組織的な力はほとんどない。最後に、BRICSはコンセンサスに基づいて運営されている。独自の利害を持つ新メンバーが加わる可能性が高いため、コンセンサスを得るのはさらに難しくなるだろう。

これら6つのどちらにも肩入れしない中規模が注目すべき大国であるという考えに同意しない人もいるかもしれない。これらはいずれもまだ新興市場(emerging markets)であり、近年は世界経済のその部分にとっては好ましい状況ではない。インドを除いて、どちらにも肩入れしない中規模大国の成長率は予想を下回っている。このグループは法の支配(rule of law)を支える制度の発展が遅れている。AIを含む技術革命は、先進工業民主政体諸国(advanced industrialized democracies)よりもグローバルサウスに大きな打撃を与えるだろう。前者は生成型AIの政治的に危険な影響に対抗するためのリソースが少ないからだ。そして、気候目標によって激戦州に影響力が与えられるとしても、気候関連の影響はこれらの国々の一部に重大な損害と苦痛を与えることになる。

しかし全体として、これらの勢力は地政学的にますます強力になっており、今後もさらに強力になるだろうという主張は依然として強い。彼らは最も強力な世界的トレンドの一部から影響力を引き出すことができ、彼らの新たな力はすでに明確に現れている。

最も重要な政策的意味は、世界の力の均衡における、アメリカの地位の大幅な弱体化を防ぐために、ワシントンは、6つのどちらにも肩入れしない中規模大国に対するゲームをアップする必要があるということである。ロシア・ウクライナ戦争や中国との競争において、どちらにも肩入れしない中規模大国がアメリカの後ろ盾になることを拒否しているため、これらの主要国の多くは既に離れつつある。拡大したBRICS、そしてそれを通じたグローバルサウスと中露両国が共闘するという脅威は現実であり、それに対処する必要がある。

ワシントンは、主要6カ国それぞれに対してだけでなく、より広くグローバルサウスに対して、練り上げられた外交戦略を持つ必要がある。先日のG7にどちらにも肩入れしない中規模大国の大半を招待したことは有益なスタートであったが、もっと多くのことが必要となる。より良い戦略は、アメリカの主要外交官によるハイレヴェルの訪問を増やすことから始まるだろう。政策の改善には、アメリカ市場へのアクセスという難題を解決する、より機敏な貿易戦略も含まれる。より広く言えば、アメリカは、アメリカの重要な政策決定に対する、6つのどちらにも肩入れしない中規模大国とグローバルサウスの反応をよりよく予測できるようになる必要がある。例えば、ロシアの戦争に対する西側の政策がグローバルサウスに疎外感(alienation)をもたらした度合いは、ワシントンを驚かせた。2022年2月の侵攻開始以来、アメリカは、追いつ追われつを繰り返している。このような予測能力を持つには、グローバルサウスの多くの国々における感情やエリートの信条をよりよく理解する必要がある。

第二に、米中間の緊張が劇的に高まり、冷戦型の対立に発展した場合、どちらにも肩入れしない中規模大国、更には全ての中堅国の力と影響力は打撃を受けるだろう。デカップリング(decoupling)は拡大し、どちらにも肩入れしない中規模大国はどちらか一方により接近せざるを得なくなるだろう。

最後に、どちらにも肩入れしない中規模大国の台頭により、地政学的な結果に対して影響力を持つ国が世界に増えた。こうした国々の間では、自国の国益を集中的に追求する以上の明確な行動パターンは見られない。地政学上のあらゆる問題で、より多くのドライヴァーが存在するようになった。そのため、ただでさえ困難な地政学的結果の予測がさらに難しくなっている。

※クリフ・カプチャン:ユーラシア・グループ会長。

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(終わり)

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 古村治彦です。

 2024年7月24日夜、ジョー・バイデン大統領は選挙戦からの撤退を表明する演説を行った。具体的な撤退理由は述べなかった。もし、健康に不安がある、認知機能に不安があるということになれば、「それならば大統領職を務めることができないだろうから、辞職して、カマラ・ハリス副大統領に大統領職を譲れ。そもそも、自分は元気だ、大丈夫だと散々言って選挙戦を続けてきたのは嘘をついていたということになるではないか」という批判が出てくるということも考えられる。
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 バイデンの演説の後半は、自分の業績と残りの人気でやりたいことを述べていたが、去ることが確定の大統領は、「レイムダック」と呼ばれ、力は落ちる。これ以上、バイデンのために無理をして尽力しようという人は出てこなくなる。自分の次の仕事の求職活動にいそしむという人も出てくる。その点は院政を敷くこともなく、ドライでシビアというのはアメリカらしくて良いところだ。

 バイデンは選挙戦からの撤退の理由を次のように述べている。「自分のこれまでの大統領としての業績、世界における自分の指導力、アメリカの未来に対する自分のヴィジョンは、いずれも私が2期目を目指すにふさわしい材料だった。しかしながら、絶対に、絶対に、どんなことも、私たちの民主政治体制を守ることを妨げてはならない。個人の野心もそこに含まれる。従って、前に進むための最善の道は、トーチを新しい世代に引き継ぐことだと私は決断した。この国を団結させる最善の方法だ。長年の公職経験が役にたつ時と場所があるのと同様、新しくフレッシュな声、より若い声が役にたつ時と場所がある。そしてその時と場所は、まさに今だ」。自分は大統領として2期目を務めるのにふさわしいと述べながら、「民主政治体制を守る」ために「若い人にバトンを渡すこと、若い声を聞くことが必要」だと述べている。

これでは、バイデン自身が2期目を目指すことが民主政治体制を守ることの邪魔なのだということを認めているようなものだ。それならば、どうして、バイデンが二期目を目指すことが民主政治体制を守ることの邪魔になるのか、ということを述べねばならない。しかし、そこまで追い詰めると、民主党内部やバイデン・ハリス陣営に亀裂を生じさせることになる。だから、ふわっとした、聞こえの良い言葉「民主政治体制を守る」を使ったということになる。更に言えば、「自分ではドナルド・トランプには勝てない」ということをはっきり述べることができないので、このような言葉遣いになった。

 バイデン引きずりおろしには、民主党エリート層、エスタブリッシュメント派が総出で加わり、かなりの圧力をかけたようだ。連邦議員たちは自分たちの選挙が危ない、民主党の選挙の顔である大統領候補がバイデンは自分たちが危ないということになって引きずりおろしに狂奔した、民主党は今年2月から始まった予備選挙の結果を無視している。これまでの選挙で誰一人として、「カマラ・ハリス」と書いた人はいないのだ。民主党は、非民主的な方法で現職大統領ジョー・バイデンを選挙戦から撤退させ、カマラ・ハリス副大統領を、政治家たちの支持で作り出した雰囲気だけで大統領候補に祀り上げた。これは一種のクーデターである。良識ある民主党員ならば、民主党大会でそのことについて言及し、民主的な手続きを求め、全国委員会の責任を追及しなければならない。そのために、反エスタブリッシュメント派の諸グループが民主党全国大会の会場であるシカゴでデモを行うという計画も話し合われているということだ。

 民主党大会前に大統領選挙候補、副大統領候補を決めるという動きにもなっている。全国大会が平穏に終わるかどうかが注目される。

(貼り付けはじめ)

バイデン大統領が大統領執務室で演説を行い民主党を団結させるために辞任したと発言(Biden in Oval Office speech says he dropped out to unite Democrats

アレックス・ガンギターノ筆

2024年7月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4791617-joe-biden-democrats-unite-kamala-harris/

ジョー・バイデン大統領は大統領執務室での演説で、数週間にわたる党内の混乱と退陣への圧力の高まりを経て、民主党を結束させる方法が明らかになったため、再選への挑戦を中止する決断を下したと述べた。

バイデン大統領は、再び出馬することについて考えを変えることができるのは、より高い権力以外に何もないと断言した。しかし、特に連邦議会指導部から、撤退するか、さもなければ民主党が11月に連邦上下両院を失う危険を冒すよう懇願した後、バイデンは最終的に妥協した。

バイデンは「ここ数週間で、この重要な取り組みにおいて私の党を団結させる必要があることが明確になった」と述べた。

バイデンは「何ものも、何物も私たちの民主主義を救うのを妨げるものはない。それには個人的な野心も含まれる。そこで私は、今後の最善の方法は、新しい世代にトーチを引き継ぐ(pass the torch)ことだと明らかになった。それが我が国を団結させる最善の方法だ」と付け加えた。

「国家の大義(cause)は私たちの誰よりも大きい」とバイデンは述べた。

大統領執務室には、ジル・バイデン大統領夫人、子供たち、自分の子供たちの配偶者と子供たち、長年の政治顧問たちのほか、ホワイトハウスの職員も同席した。

バイデンは、ハリス副大統領への支持を表明しており、民主党はハリス副大統領のおかげでエネルギーが活性化され、トランプ前大統領を破る可能性が高まる可能性があると主張している。同行記者たちによると、ハリスはテキサス州ヒューストンからバイデンの演説を観戦した。

日曜日にソーシャルメディアに投稿した書簡の中で、バイデンは立候補ソを取り下げると発表した。この発言は、オバマ前大統領やナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)など、最も注目を集めている民主党議員の何人かが、トランプ大統領に勝利する可能性が消えつつあることをバイデンに説得しようとしたとの報道を受けてのものだった。

バイデンは演説の中で「公的生活における長年の経験には時と場所がある。新しい声、新鮮な声のための時間と場所もある。そう、若い声です。そしてその時は今だ」と述べた。

バイデンの撤退を求める声は、6月下旬の討論会のパフォーマンスが酷かったことを受けて起きたもので、その最中、81歳のバイデンは考えをまとめるのに苦労し、低くガラガラの声で話していた。彼は、撤退するまで3週間かけて選挙戦に残り、選挙運動を続けると主張した。

バイデン大統領は演説の中で、2020年にトランプ大統領を破った後、政権の継続的なテーマである民主政治体制の維持(preserving democracy)を訴えた。

「この瞬間、私たちは意見の合わない人たちを敵としてではなく、友人、同じアメリカ人として見ることができる。それができるだろうか? 公の場での人格は依然として重要だろうか?」とバイデンは述べた。

バイデンは、オフィスに飾っているベンジャミン・フランクリンの言葉に言及し、建国の父たちはアメリカに「共和国が維持できるのか?」という言葉を与えたと述べた。

バイデンは「私たちが私たちの共和国を維持できるかどうかは、今や皆さんの手にかかっている」と言った。

バイデンは続けて「歴史はあなたの手の中にあり、権力もあなたの手の中にある。アメリカの理念は皆さんの手中にある」と述べた。

バイデンは大統領職を辞任せず、今後6カ月間任期を全うするつもりであることを明らかにした。

バイデン大統領は、ガザ地区におけるイスラエル・ハマス紛争の終結、最高裁判所の改革、性と生殖の権利のための取り組みの継続、癌ムーンショット構想など、1月に退任するまでの計画を概説した。

また、ハリスを「経験豊富」「タフ」「有能」と称賛した。バイデン大統領は、トランプ大統領の名前を決して言及しなかった。

加えて、バイデンは、50年間の政府勤務について感謝の意を表した。

バイデンは、「ペンシルヴァニア州スクラントンやデラウェア州クレイモントでささやかに生まれながら吃音を抱えた子供が、ある日大統領執務室の毅然としたデスクの後ろに座ることは地球上のどこにもない。私は他の多くの人たちと同じように、自分の心と魂をこの国のために捧げてきた。私が皆さんにどれだけ感謝しているか、少しでも分かっていただければ幸いだ」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 古村治彦です。

 2024年7月4日のイギリスの総選挙で、労働党が地滑り的な勝利を収め、キア・スターマー党首が首相となった。イギリスの総選挙は、労働党の勝利というよりも、保守党の自滅という面が強い。度重なるスキャンダルにインフレ対策の失敗といった面で国民から愛想をつかされた。また、保革二大政党制であったイギリスでも第三党が存在感を増しており、そのために、二大政党の得票率が大きく下がっている。全体で見れば、労働党は前回選挙と得票率は変わらなかったが、保守党はほぼ半減となり、自由民主党、スコットランド国民党、リフォームUKといった諸政党が存在感を増す結果となった。

 イギリスの労働党の勝利を、進歩主義派・左派・リベラル勢力(社会民主勢力)と位置づけ、世界各国のこうした勢力にとっての勝利のモデルとなるというのが下の論稿の著者の主張である。私は、労働党が勝利したというよりも、保守党が勝手に躓いたという考えであるので、世界的に通じるモデルケースになるとは考えていない。論稿の著者は各国の左派勢力に対する教訓を次のように述べている。

(貼り付けはじめ)

「まず、文化戦争の問題は、ほとんどの有権者にとって中心的な動機ではない。あらゆる主要な文化戦争問題に関して、労働党は保守党ほど人気のない立場にある。しかし、住宅ローン金利が2%から5%に上昇すると、「問題は経済なんだよ、愚か者」ということになる。進歩主義者はポピュリスト右派の非難を恐れる必要はない。有権者はより賢明な答えを必要としている。

第二に、ルール違反や汚職とみなされる行為は有権者にとって強力な動機となり、世界各国での世論調査がこれを証明している。進歩主義派は、利益相反、企業ロビー活動、世界の世界都市の最高級不動産の海外の国富を横領している政治家たちによる買い占め、そして政治的支配によって存在する新興独占企業への対処に対して、より強力な路線を必要としている。そうすることでポピュリスト右翼に真っ向から対抗することになる。

第三に、左翼のオンライン空間におけるアイデンティティ政治の優位性は、この形態の政治に対する国民の理解や関心と一致していない。階級は理解されるが、交差性は理解されない。階級は、様々な場所の進歩主義者にとって最も重要な境界線である場合もあれば、そうでない場合もある。しかし、進歩主義者が勝つためには、上流・中産階級以外の出身で、幻滅し取り残されたと感じている人々の心に響く、生きた経験を持つメッセンジャーが必要だ。つまり、アメリカの民主党にはアンジェラ・レイナーが必要なのである」

(貼り付け終わり)

 教訓としては、経済問題を重視すること(特に人々の生活に関連する)、腐敗やルール違反に対する断固とした態度、中流階級より下の階級出身者へのアピールができる個人的体験を持つ政治家の出現ということになる。日本で考えれば、立憲民主党に対する教区員ということになるが、物価高や国民負担率の増大への対処のための効果的な政策を訴えること、自民党の裏金問題に端を発する現在の与党への不信感の受け皿になることということは考えられやすい。立憲民主党の執行部や幹部の政治家たちに若い人は少なく、また、キア・スターマーやアンジェラ・レイナーのようなタイプはいない。頭が良くて人生の苦労をあまりしていないようなエリートタイプが揃っている。この点が、立憲民主党にとって、これから改善し、アピールしていくポイントということになるだろう。しかし、イギリス労働党の勝利がそのまま世界的な左派リベラル派の躍進の流れにつながるということはないだろうと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

世界の左派にとってイギリス労働党の勝利が意味すること(What a U.K. Labour Win Means for the Global Left

-キア・スターマーの勝利はイギリスのイメージを大きく返るだろう。そして、世界中の社会民主主義者を元気づける可能性がある。

マイク・ハリス筆

2024年7月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/02/uk-election-labour-keir-starmer-sunak-class-supermajority-social-democracy-global-left/
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2022年9月24日、リヴァプールでの遊説の後に支持者たちを写真を撮るキア・スターマー労働党党首

私は世間話が苦手なので、大きな話をしたい。2022年後半、私はキア・スターマーと数人のアドバイザーたちとの個人的な会合の際に次のように言った。「あなたはおそらく、地球上のあらゆる議会の中で、最大多数を占める社会民主主義の指導者になるだろう。どんな感じか?」

スターマー氏の側近たちは苛立ちの表情を浮かべた。一方、イギリスの次期首相になる可能性が高かったスターマーは一瞬話を止めて、話題を逸らそうとした。そして、「何事も当然だと思ってはいけない(We can’t take anything for granted)」と語った。労働党の総選挙キャンペーンの非公式のモットーとなっていた。

しかし、スターマーは選挙での大成功に戸惑っているにもかかわらず(彼は本当に謙虚な人物だ)、75日の朝にはスターマーが世界の社会民主主義のスーパーヒーローとして目覚める可能性が高い。議会を持つ主要経済国の唯一の中道左派指導者となる。超多数派(supermajority)を獲得し、世界中の進歩主義者たちにとって大きな希望だ。

歴史的に間違いなく地球上で最も成功した政党である与党保守党は、現在選挙で忘却に直面している。2019年、ボリス・ジョンソンは労働党の中心地、いわゆる赤い壁(red wall)を破壊した。当時の指導者ジェレミー・コービンが政治的過激主義(political extremism)のサイレン音を受け入れた後、労働党はその基盤から切り離され、脱産業化の中心地で崩壊した。コービンは、バトル・オブ・ブリテンの記念式典での国歌斉唱を拒否し、党を財政逼迫の状況に追い込み、金融資産を持つ者たちを怖がらせた。

労働党は赤い壁を取り戻すだけでなく、ロンドンを取り囲む裕福なロンドン通勤者地区や、昔から保守に投票してきた田舎の選挙区など、青い壁(blue wall)で守られてきた、保守の堅固な議席を獲得し、進歩主義者の夢を実現しようとしている。例えば、イースト・ワーシング・アンド・ショアハムは、1780年に初めて保守党が議席を獲得し、それ以来一貫して保守党が支持を受ける選挙区の1つである。世論調査では、労働党がこの議席を獲得する勢いだ。

イギリスで起きていることは、控えめに言っても中道左派政党にとっては異例な現象だ。労働党はイギリス下院の全議席の70%を獲得する可能性があり、この勝利は1997年のトニー・ブレア元労働党党首・首相の選挙での勝利をも上回る可能性があり、あらゆる国の進歩主義派に教訓を与えることになる。政治的に支配的なスターマーは、高い不支持率に直面し統治課題の追求に苦戦しているフランスとドイツのエマニュエル・マクロンとオラフ・ショルツとは対照的に、完全な政治支配を行うリーダーとしてG7に出席することになるだろう。

イギリスでの労働党の勝利は、3つの主要な点で重要となるだろう。それは、進歩主義派が国政選挙でどのように勝利できるかを再検討し、社会民主党が達成できる最高水準を設定することになる。それは、勝利そのものよりも重要になる可能性のある、新しく予想外の方法でイギリスの政治を再構築するだろう。そしてそれは、イギリスに対する外部の認識を一変させ、イギリスとその将来に対する国際的な見方をリセットするだろう。

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ロンドンのダウニング街でボリス・ジョンソン首相の辞任を求めるプラカードを掲げるデモ参加者(2022年4月13日)

イギリスの政治階級がアメリカの政治階級に対して、病的なほどに執着を抱いているにもかかわらず、アメリカの民主党は池の向こう側を見て、労働党の成功から教訓を得るべき時なのかもしれない。

スターマーの成功の一部は、オーストラリア労働党がそうであったように、文化戦争問題(culture war issues)でオメルタ(omertà、神聖なる誓い)を立てたことである。それらの諸問題には、トランスジェンダーの権利、イギリスの植民地支配の過去、移民などが含まれ、イギリスの右派が利用しようとしてきた問題だ。元人権派弁護士であるスターマーは、論争の的となったルワンダからの強制送還計画を廃止することを約束したが、それはより広範な道徳的声明としてではなく、現実的な理由によるものだった。より広い移民問題に関しても、党は非常に慎重な姿勢で臨んでいる。これは確かに勇敢ではないが、うまくいっている。今回の選挙で文化戦争に火をつけようとしたあらゆる試みがあったが、労働党はそれらの争点について、焦点を絞ったままでうまく対応した。

保守党は文化戦争を引き起こそうとしてきているが、イギリスの有権者たちにとってより顕著なのは、力を持った保守党の汚職と規則違反の認識であり、選挙日を賭けるために、インサイダー情報を利用したという、選挙によって選出された政府職員たちが関与する現在のスキャンダルで人々の怒りは頂点に達した。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に国民保健サーヴィス(National Health ServiceNHS)向けの保護用具の優先契約を含むスキャンダルや、そこでは驚くべき40億ポンド(50億ドル)相当の欠陥のある機器が調達された(一部は与党とつながりのある企業からのものとされている)スキャンダルなどが起きた。その後、ジョンソンとリシ・スナック現首相が新型コロナウイルス時代の法律違反で警察から罰金を科せられた「パーティーゲート(Partygate)」が登場した。同じく元首相デイヴィッド・キャメロンが関与したロビー活動スキャンダルも国民の大きな怒りを引き起こした。エリートのルール破りは、終わりのない文化戦争とは異なり、有権者の怒りに火をつけた。

並行して、労働党はコービン党首下のアイデンティティ政治の一形態(a form of identity politics)から、階級について非常に積極的な立場(a very proactive position on class)へと方向転換した。スターマーは自身の貧しい生い立ちをイギリスの選挙戦の表舞台に据え、イギリス社会の「階級の天井(class ceiling)」について誠実に語った。スターマーが純資産8億2200万ドルで、民主政治体制国家の指導者の中で最も裕福な指導者となっているスナクと争っていることから、これは特に有権者の共鳴を得ている。

スター魔の定番の演説は次のようなものだ。

「父は工場で工具製造者として働き、母は看護師だった。私たちが育った頃は何もなかった。現在の何百万もの労働者階級の子供たちと同じように、私も生活費の危機(cost-of-living crisis)の中で育った。カーペットがボロボロで窓がひび割れていて、友人たちを家に連れて帰るのが恥ずかしい気持ち、私にはよく分かる。実際のところは、私がサッカーボールを室内で蹴ったのでそのようなことになったので、責任は私にあるのだが」。

このように階級を重視するのは、現代イギリス政治においては異例なことだ。実際、最近の労働党指導者たち、ブレアからゴードン・ブラウン、エド・ミリバンド、コービンに至るまで、様々な点でイギリス労働者階級の部外者だった。ブレアとコービンは比較的裕福な(そして私立学校教育を受けた)生い立ちで、ブラウンとミリバンドは中産階級出身だった。 -階級的背景、そして部分的には、ミリバンドの父親はこの国で最も著名なマルクス主義学者の一人だった。保守党にとって、食料品店の娘だった首相の時代はとうの昔に過ぎ去った。キャメロンとジョンソンは、2年違いで同じエリート私立学校 (イートン校) に通っていた。それだけではない。彼らは同じ大学(オックスフォード大学)に通い、同じプライベート・ダイニング・クラブ [private dining club](最も特権的な人々のための)のメンバーだった。

スターマーは階級政治(class politics)を重視しており、それがうまく機能している。ほとんどの商品やサーヴィス(20%)に適用されるのと同じ付加価値税を私立学校の授業料に課すという約束は、子供を私立学校に通わせている、イギリスの親の6%である非常に裕福な人々からの怒りの爆発につながった。 スターマーにとって有利なことは、私立学校で教育を受けた人たちは保守派に投票する傾向があることが多い。一方、私立学校の税収を州立学校の94%の子供たちの教育に投資するという労働党の公約は、一般の有権者からの支持を集めている。

この階級重視の取り組みにより、他国では右派や極右に囚われてしまった有権者のグループを取り戻した。労働党は現在、得票率の38~42%で労働者階級の有権者の間でリードしており、保守党の22~24%とは対照的である。学歴が最も低い層については、50歳以上を除く全ての年齢カテゴリーで労働党がリードしている。

労働党とイギリス労働者階級との再関与を推進した立役者の1人が、副首相就任を目前に控えているアンジェラ・レイナーだ。レイナーは労働者階級出身であり、16歳で母親になり、37歳で祖母になった。自分の意見にとらわれず、強いお酒を好んで悪びれることのない喫煙者である彼女は、労働組合運動を通じて急速に手腕を発揮し、名前を上げていった。労働党の下院議員選挙候補者になるまで介護施設で働いていた。ライナーの物語は、優れた人々を議会政治に昇格させる方法についての教訓だ。彼女の成功は彼女自身のものだが、組合が彼女を育て、組合員は彼女を副リーダーとして支持した。彼女には真のスターとしての力があり、アメリカの民主党支配層の上層部には彼女のような人は事実上存在しない。

驚くべきことに、階級の側面はイングランドの中間階級を疎外していないように見える。幻滅した郊外派(surbubanites)や中道リベラル派(centrist liberals)は、ますます急進的で機能不全に陥っているように見える保守党によって切り捨てられてきた。スターマーの元首席検察官としての経歴と、正式には「サー・キアー」と呼ばれるナイト爵位は、保守党がポピュリスト右派の主張を悪びれることなく受け入れ、その支持を高めているのと同じように、スターマーに幅広い魅力を与えている。

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2022年10月24日、保守党党首選の勝者として発表され、レベッカ・パウ議員と同僚たちに迎えられるリシ・スナック(中央、右)

労働党の成功の一部は、保守党政権のここ数年間に起こった組織的な集団的混乱によるものである。保守党は2010年以来、5人の首相を国民に推挙してきたが、そのうち4人は国民全体ではなく、白人が大半を占める約17万人の男性党員によって選出された。経済成長は貧弱だ。イギリスだけでもNHSの待機リストには800万人近くの人がいる(この国では民間医療の利用は一般的ではない)。そして、刑務所や地方自治体を含む不可欠な公共サーヴィスはシステム失敗の危機に瀕している。

しかし、より根本的な変化が起こっている可能性を示す兆候は存在する。 65歳以上を除く全ての年齢層で労働党がリードしている。就労していれば、労働党に投票する可能性が高くなる。45歳未満の有権者の45%は労働党に投票する可能性が高いが、保守党を支持しているのは10人のうち1人に過ぎない。今回の選挙ではミレニアル世代がイギリス最大の投票層となる。彼らの主要な問題には、壊滅的な気候変動を防ぐ政策(イギリスの政治的スペクトル全体でよく支持されている)、住宅の建設、交通網の改善(特に自家用車を所有していない都市部のミレニアル世代の多く)、および家族寄りの政策が含まれる。これら全てが今回の選挙に影響を及ぼした。

西側諸国の高齢の住宅所有者たちは、ミレニアル世代向けの新築住宅の建設に反対することで、潜在的には世界最大のカルテル(the world’s largest cartel)を運営することに成功している。労働党は、現在持続可能な開発を妨げている計画規制を大幅に緩和することで、イギリスにおけるこうした状況に終止符を打つことに尽力している。

労働は勤労者への課税を排除しているが、不労所得(unearned income)についてはそのような公約はなされていないため、キャピタルゲイン税(capital gains taxes)の引き上げと、地主層を含む大富豪向けの抜け穴を減らすことで税制のバランスを再調整するのではないかという憶測が広がっている。農地は世代間で、非課税で引き継がれる。労働者には地主に対する愛情も無い。ロンドンの不動産市場が世界中の、国富を横領する政治家たち(kleptocrats)による投機的投資によって膨張してきた約20年を経て、外国人による不動産所有に対する新たな制限や新たな税金を求める国民の欲求が高まっている。

労働党はまた、テクノクラート的な実証主義者のエリート(technocratic positivist elite)で囲まれている。このグループには、スターマーの側近と緊密に連携する野心的な知的シンクタンクである「レイバー・トゥゲザー(Labour Together)」と、生命科学と人工知能における国の比較優位に沿ったテクノ未来主義を受け入れているトニー・ブレア研究所(Tony Blair Institute)が含まれる。スターマー政権の下での公共部門改革は、例えばNHSのデータの宝庫(7000万人分)を医療分野の革新を推進するために利用する可能性を想像すれば、重要なものとなる可能性がある。

労働党が未来に焦点を当てているのとはまったく対照的に、高齢化する右派有権者層は現在、保守党と、民間企業、政党、そしてナイジェル・ファラージの個人的なプラットフォームを組み合わせたような手段である、リフォームUKに二分されている。ファラージは、ドナルド・トランプがイギリスの高級な舞台小道具小道具として持ち出した、EU離脱支持(pro-Brexit、プロ・ブレグジット)の政治家とし闊歩している。イギリス議会保守党は既に右傾化している。保守党の議員たちはヨーロッパ人権条約を非難する複数の声明を出しているが、この中の1つの文書は、保守党議員でニュルンベルクのナチス検察官を務めた、デイヴィッド・マクスウェル=ファイフが共同起草した文書だ。この文書は、ウィンストン・チャーチル首相の戦後ヨーロッパに対するヴィジョンに触発された内容となっている。

一方、保守党議員の一部は既に、このほぼ確実な敗北を、党がポピュリスト的右派に十分に軸足を移していなかった証拠としようとしている。右派が分裂したことで、物議を醸すファラージの保守党入りが現実味を帯びてきており、労働党はこの見通しに歓喜している。言うまでもなく、保守党の次期党首が穏健派になる可能性は低い。党が右傾化すれば、ファラージ主義の器(essel for Faragism)となり、トランプ運動の弱いイギリス版となる日も近いかもしれない。

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2022年8月17日、党首選に先立ち、北アイルランドのベルファストで、保守党の候補者スナク(左)とリズ・トラス(右)を描いた壁画の仕上げを行うアーティストのキアラン・ギャラガー

最後に、大きな動き(vibes)がある。英国政治の進歩主義的な描き直しは、イギリスをめぐる物語を変えるだろう。国民の物語は一瞬にして反転する可能性がある。バラク・オバマからドナルド・トランプに至るまで、あるいは中国経済の優位性の思い込みが、習近平国家主席の下での縮小と衰退の感覚に至るまでの、外国人のアメリカに対する認識を考えてみよう。最近の記憶では、イギリスは大西洋中部のどこかに停泊している、かなり安定した政治的に鈍い島だと思われていた。EU離脱、ボリス・ジョンソン、そしてリズ・トラスがそれに終止符を打った。認識されている実際の混乱と反乱を引き起こす右派から進歩主義的な超多数派への移行により、態度は再び変化する可能性がある。

この大きな変化は、英国経済にとって特に重要だ。イギリスは伝統的な大国ではなくなったかもしれないが、依然として国際的にその地位を大きく上回る文化的地位を保っている。イギリスの GDPの6%は、イギリス音楽の成功からプレミアリーグ、急成長する映画やテレビ産業、ファッション、芸術に至るまで、クリエイティブ産業によるものだ。これはドイツの水準の2倍であり、ドイツの自動車生産のドイツ経済全体の貢献(4.5%)よりも大きい。雰囲気(vibes)を売りにし、創造性の輸出に依存しているこの国にとって、ブレグジット(Brexit)と孤立(isolation)は大きなダメージとなっている。

今では忘れ去られて久しいが、1997年から2008年の金融危機までの最後の労働党政権の間、英国はG7の中で最も急速に成長し、クリントンやブッシュ時代のアメリカを上回る経済成長を遂げた。現在停滞している国の経済を考慮すると、次の議会は更に困難になるだろうが、高度にオープンな社会においては、消費者の信頼感と投資家の信頼感の役割を過小評価することはできない。

2019年の総選挙で労働党が歴史的な敗北を喫した後、本誌に掲載した記事の中で、私は次のように書いた。「急進左翼主義(radical leftism)は、政党として服用すれば、翌朝には元に戻るような薬ではない」。私は選挙については正しかったが、翌朝については間違っていた。

労働党がわずか5年で歴史的敗北を歴史的勝利に変えるとは誰も予想していなかった。保守党が直面した状況は異常だったが、スターマーは厳格な党運営、イデオロギーではなく有権者重視、階級に基づく政治の散りばめが社会民主主義政治を活性化できることを示した。

これは他の中道左派政党にとってどのような教訓となるだろうか?

まず、文化戦争の問題は、ほとんどの有権者にとって中心的な動機ではない。あらゆる主要な文化戦争問題に関して、労働党は保守党ほど人気のない立場にある。しかし、住宅ローン金利が2%から5%に上昇すると、「問題は経済なんだよ、愚か者」ということになる。進歩主義者はポピュリスト右派の非難を恐れる必要はない。有権者はより賢明な答えを必要としている。

第二に、ルール違反や汚職とみなされる行為は有権者にとって強力な動機となり、世界各国での世論調査がこれを証明している。進歩主義派は、利益相反、企業ロビー活動、世界の世界都市の最高級不動産の海外の国富を横領している政治家たちによる買い占め、そして政治的支配によって存在する新興独占企業への対処に対して、より強力な路線を必要としている。そうすることでポピュリスト右翼に真っ向から対抗することになる。

第三に、左翼のオンライン空間におけるアイデンティティ政治の優位性は、この形態の政治に対する国民の理解や関心と一致していない。階級は理解されるが、交差性は理解されない。階級は、様々な場所の進歩主義者にとって最も重要な境界線である場合もあれば、そうでない場合もある。しかし、進歩主義者が勝つためには、上流中産階級以外の出身で、幻滅し取り残されたと感じている人々の心に響く、生きた経験を持つメッセンジャーが必要だ。つまり、アメリカの民主党にはアンジェラ・レイナーが必要なのである。

最も重要なことは、社会民主勢力には一度政権を握ると時間的余裕がないということだ。インフラの崩壊、公共サーヴィスの機能不全、生活水準の低下、住宅不足は全て、1960年代後半のアメリカの偉大なる社会プログラム(Great Society programs)や、イギリスの同時代の同様の政策以来見られない規模で国家が直接介入することを示している。しかし、勢いを増しているポピュリズム右派によって、更なる挑戦を受けることになるだろう。

ジョー・バイデン米大統領のインフレ抑制法は、ロンドンとブリュッセルで進歩主義派の話題となっており、バイデンの大胆さはもっと評価されるべきだ。超過半数を獲得したスターマーには、より大胆な計画を立てる余地がある。進歩主義的なイギリス政府は、この国に対するヨーロッパ人の見方をリセットするだけでなく、成功すれば、緊縮財政(austerity)と財政化(fiscalization 訳者註:税務上の金融取引を電子的に登録するプロセス)は、経済成長や社会の安定を生み出さないという欧州内の進歩的な議論を助けることができる。

スターマーの勝利は、世界の社会民主勢力にとって、裕福な民主政体国家における選挙での成功への最高水準となるだろう。スターマーにとっての課題は、スターマーにとっての挑戦は、多くの危機的状況が同時に起きている(polycrisis)時代における信じられないほどの希望の重さである。労働党が成長を実現し、住宅を建設し、賃金を引き上げることに成功すれば、他の国でも真似できる、そして真似すべき青写真を提供することになる。

※マイク・ハリス:世界的な通信機関である「89up」 の最高経営責任者であり、元労働党議員 3人の議会顧問を務めていた。ロンドンのルイシャム地区評議会の労働党副委員長でもあった。ツイッターアカウント:@mjrharris

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が訪米し、ジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領(民主党の大統領選挙候補者にほぼ内定)と会談し、金曜日には共和党の大統領選挙候補者ドナルド・トランプ前大統領とフロリダ州で会談を持つことになっている。ネタニヤフ首相は米連邦議会で通算4度目の演説を行った。連邦議会での演説は、ひじょうに政治的な意味を持つ。今回、連邦下院のマイク・ジョンソン議長(共和党)が招待を主導したが、ネタニヤフ首相に批判的な連邦議会民主党に踏み絵を踏ませる形で、もし招待に反対したら、「反イスラエル的」として攻撃材料にするつもりだった。

 アメリカ政治で大きく見れば、共和党側はイスラエル支持・ネタニヤフ首相支持となり、民主党側はイスラエル支持・ネタニヤフ首相不支持ということになる。共和党側は、民主党内の根強いネタニヤフ首相不支持を利用しようとしている。

 今回のネタニヤフ首相の演説では終始、イスラエルの自己弁護が行われたが、私が気になった言葉は「proud Irish American Zionist」という言葉だった。これは、ネタニヤフ首相が自分とバイデン大統領とは50年近く友人であり、バイデンがネタニヤフ首相に対して、自分は「アイルランド系アメリカン人シオニストであることに誇りを持っている」と述べたと紹介している。ネタニヤフ首相は歴代の民主党所属の歴代大統領とは相性が悪く、バイデン大統領とはまだ相性が良かった。
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 ネタニヤフ首相の連邦議会演説では、民主党所属の連邦議員の半分近く135人が結成した。ナンシー・ペロシ元連邦下院議長やエリザベス・ウォーレン連邦所運議長など有力議員が欠席した。パレスティナ系アメリカ人唯一の連邦議員で、民主党進歩主義派のラシダ・タリブ連邦下院議員は演説に出席し、「戦争犯罪人(War Criminal)」「大量虐殺の罪(Guilty of Genocide)」と書かれたプラカードを掲げていた。カマラ・ハリス副大統領も欠席した。その後のハリス・ネタニヤフ会談で、ハリスは「イスラエルの自衛権は認めるが、今回の攻撃は過剰だ」と述べたと報じられている。
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 ネタニヤフ首相はトランプ前大統領にも目配りをして、「彼がやったことに感謝している。暗殺未遂があったが生き残ったことは素晴らしかった」と賞賛している。金曜日にトランプ前大統領との会談も予定されている。トランプの協力を得るということも、ネタニヤフにとっては重要だ。ネタニヤフは自身に関する汚職に関するスキャンダルを抱えている。紛争が落ちつけば、訴追は免れない。そのために、停戦に関して、非常に高い条件をつけている。考えてみると、トランプもバイデン、ハリスも早期の紛争停止を主張している。その邪魔をするということになれば、ネタニヤフに対する支持もなくなることになるだろう。

 今回のネタニヤフ訪米・連邦議会演説は高度に政治的なものであり、アメリカ政治、イスラエル政治、国際政治に複雑に絡んでいるということになる。

(貼り付けはじめ)

ネタニヤフ首相が米連邦議会演説から得たもの(What Netanyahu Got From His Speech in Congress

-イスラエルの指導者はガザ地区での戦争を擁護したが、彼の訪問はアメリカの政治の影に隠れた。

アダム・デイヴィッド・ミラー、アダム・イスラエレヴィッツ筆

2024年7月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/25/netanyahu-congress-speech-biden-israel-trump-republicans-democrats/

イスラエルのネタニヤフ首相は、10ヶ月近くも親イスラエルの大統領に反抗し、屈辱を与え、親イスラエルの民主党の大部分とアメリカ国民のかなりの部分を疎外させたにもかかわらず、長い間保留されていたホワイトハウスでの会談を実現させ、さらに、ウィンストン・チャーチル英首相が米連邦議会合同会議で行った3回の演説に勝るとも劣らない4回目の演説を行った。また、ジョー・バイデン大統領が2024年の大統領選から撤退することを決めたことで、イスラエル国内でもネタニヤフ首相の訪問は影を潜めた。

実際、この訪問は、実際に何を達成したかというよりも、それが何を反映したかという点でより重要なものとなった。それが今回の訪問と演説だ。私たちがアメリカとイスラエルのオペレーティングシステムと呼んでいるものは、まだ稼働している。アメリカの国内政治と政策は依然として、敵対的な近隣地域におけるユダヤ人国家の安全保障への深い関与によって形成されており、それがアメリカに対するイスラエルの影響力を維持し、アメリカのイスラエルに対する影響力を弱める現実となっている。しかし、ネタニヤフ首相のイスラエルがアメリカ政治において党派間の対立が深まり、分裂を招く問題となっているため、この体制は深刻なストレスに直面している。ハリス政権が樹立した場合に、特にパレスティナ人に対する政策に関して、イスラエルに対してより厳しいアプローチを取るかどうかはまだ分からない。しかし、共和党と同盟を結んだネタニヤフ首相にとって、ドナルド・トランプとの関係修復はこれまで以上に重要になっている。

(1)「イスラエルは間違いを犯さない」党(The Israel-can-do-no-wrong party

現在、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムの主力は共和党だ。これは明確にしておきたい。イスラエルに絶対に悪いことをしない共和党がいなかったら、ネタニヤフ首相はワシントンに招待されなかっただろう。そして共和党が現在トランプの政党になっているとすれば、共和党はネタニヤフのお気に入りの政党であるということだ。実際、アメリカとイスラエルの関係を扱い、管理するためのネタニヤフ首相の戦略の大部分は、彼の様々な任期中に右傾化してきたイスラエルと、民主党とは異なりイスラエルを支持するだけでなく支持する共和党との絆を強固にすることにかかっている。無批判に、さらには盲目的に。ネタニヤフ首相がその関係を築いたのは、共和党がホワイトハウスを支配している間に親イスラエル政策を促進するためだけでなく、民主党が政権を握っているときに、民主党から支持を得るためにでもあった。ネタニヤフ首相と民主党所属の各大統領との関係は、控えめに言っても波瀾万丈だった。ビル・クリントンは、誕生したばかりのネタニヤフ首相の生意気さと説教癖に激怒し、初の公式会談後、側近らに対し「ここにいるクソ大国気取りの野郎はなんて奴だ?(Who’s the fucking superpower here?)」と怒りを爆発させた。

そして間違いなく、ネタニヤフ首相と共和党との関係は共生関係(symbiotic)にある。共和党は福音派(evangelicals)の好意を集めるために、イスラエルに熱心に言い寄っており、できる限り親イスラエルの強い信条でアメリカ系ユダヤ人を引きつけようとしている。2015年、オバマ政権の核交渉とイランへの対処を弱体化させないにしても妨害するために、ネタニヤフ首相を連邦議会演説に招待したのは、共和党のジョン・ベイナー連邦下院議長だった。そして、マイク・ジョンソン現連邦下院議長が今年、ネタニヤフ首相を連邦議会での講演に招待したのは、共和党を確実に親イスラエルな唯一の政党として描き、民主党を攻撃しようとする試みであったことには、ほとんど疑いの余地はない。ジョンソン議長はつい先週、共和党が唯一の親イスラエル政党であると主張し、ネタニヤフ首相の演説を妨害した者は全員逮捕すると脅迫した。

それでも、共和党員全員がネタニヤフ首相に満足しているわけではない。実際、トランプ大統領は2020年、ネタニヤフ首相が2020年米大統領選挙が盗まれたという主張を支持しなかったことや、ヴィデオメッセージでバイデンを祝福したことに対して激怒していたと伝えられている。トランプ大統領は、インタヴューで『アクシオス』記者のバラク・ラビッドに対し、ヴィデオについて不満を述べ、「くそ野郎はくたばれ(Fuck him)」と発言した。トランプ大統領はガザ地区について多くを語っていないが、準備不足で泥沼状態に陥ったイスラエルを非難し、戦争を早く終わらせるよう促し、イスラエルが広報戦争に負けていると不満を述べた。ネタニヤフ首相は自分に問題があることを承知しているため、新たなヴィデオメッセージを作成し、今回は最近の暗殺未遂事件を受けてトランプ大統領への支持と祈りを表明した。金曜のマールアラーゴでの二人の会談は、多くの利益をもたらす可能性が低いこの旅行の中で最も重要な成果かもしれない。ネタニヤフ首相は、トランプ大統領の1期目の経験から、安全保障問題に関してはトランプ大統領がイスラエルに圧力をかける傾向が薄れ、イスラエルに自由裁量を与えたがるであろうことを分かっている。しかし、トランプ大統領がパレスティナのマフムード・アッバス議長から受け取った書簡を投稿し、称賛したことは、ネタニヤフ首相に、トランプ大統領は非常に予測不可能な(unpredictable)人物であることを思い出させるはずだ。

(2)民主党:イスラエルを非難するが、決して排除するわけではない(Democrats: Down on Israel but by no means out

民主党は、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムを維持する上でも重要な役割を果たしている。チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務は、3月にネタニヤフ首相の罷免を要求する内容の演説を行ったにもかかわらず、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務とともに、ネタニヤフ首相の連邦議会演説への共和党の招待状に結局のところ署名した。民主党は親イスラエル支持層の多くを疎外することを明らかに恐れており、大した戦いもせずにジョンソン連邦下院議長の罠にはまった。イスラエルが人質を取って虐待する過激派と戦っている中、民主党指導部は、ネタニヤフ首相に対する共和党の懸念にもかかわらず、ジョンソン連邦下院議長の招待に関して反対し、共和党から反イスラエルという批判を受けるつもりはなかった。

そして、進歩主義的な民主党議員の間だけでなく、多くの留保がなされている。クリス・ヴァン・ホーレン連邦上院議員、クリス・マーフィー連邦上院議員、クリス・クーンズ連邦上院議員などの民主党主流派は、ネタニヤフ政権に対してより厳しい政策を求めている。(この3人はいずれも、イスラエルへの軍事援助を一部制限することを提案している。ほとんどの民主党所属議員は、特にハマスとの戦いにおいて、以前からのイスラエル支持者であり続けている。更新された民主党の綱領は基本的に主流派的であり、より進歩主義的な党員が望むような批判は避けられている。それにもかかわらず、ネタニヤフ首相の議会演説に欠席した民主党議員の数はおよそ135人(2015年の演説の欠席者数58人の2倍以上)と推定され、ネタニヤフ首相のイスラエルに対する深い不満と疎外感を反映している。

(3)要素としてのハマス(The Hamas factor

アメリカの国内政治が、政権がイスラエルに対して圧力や影響力を行使することを制約する傾向があるとすれば、イスラエルとハマスの紛争の性質は、それを更に制限し、イスラエルの余裕を高める役割を果たす。イスラエルは、アメリカが外国テロ組織として指定したグループとの持続的な紛争(現在10カ月を数える)に従事している。ハマスの2023年10月7日の攻撃は、1200人のイスラエル人の命を奪い、連続的な性的暴力、レイプ、切断、拷問、人質の奪取と虐待を伴った。ハマスの急増は、同じくアメリカが指定したテロリスト集団であるヒズボラがもたらす脅威とともに、20万人のイスラエル人を避難させる結果となり、大統領と選挙で選ばれた議員の大多数が既に持っていた親イスラエル的な感覚をさらに強める結果となった。実際、バイデンがこの紛争に反応する様子を見れば明らかなように、彼はパレスティナ人が被った損失よりもイスラエル人が被った損失の方にはるかに深い共感を示している。そして、この強い親イスラエル、反ハマスの感情は、戦争遂行におけるイスラエルの戦術をめぐって、ワシントンが本格的な圧力をかけることに消極的であることを形作っている。

シューマーは3月の演説で、ネタニヤフ首相の交代を全面的に求めながら、ハマスの行動を「純粋で計画的な悪(pure and premeditated evil)」と表現し、罪のないパレスティナ市民がこれほど多く死んだのはハマスのせいだと非難した。ジョンソンも同様に、ハマスのことを「野蛮で邪悪(barbaric and evil)」であり、イスラエルとハマスの対立を「善と悪、光と闇の対立(between good versus evil, between light versus darkness)」と表現した。1973年、エジプトがシナイ半島でイスラエルを攻撃した際、アメリカがその影響力を行使して戦争開始から3週間後に停戦を迫ったのとは異なり、ハマスの攻撃と8人のアメリカ人を含む人質拘束は、バイデン政権をイスラエルの戦争目的に縛り付け、反対していたイスラエルの政策を変更する影響力を低下させた。イランがハマスの最強の支援者であるという事実は、イランに対するタカ派的な見解で悪名高い連邦議会の多くを味方につけることで、戦争継続を求めるイスラエルの主張を更に強める。

(4)ネタニヤフ首相のゲーム:時間稼ぎと政権維持のために動く(Netanyahu’s game: Buy time and remain in power

ネタニヤフ首相は、停戦の可能性について交渉したり譲歩したりするためにワシントンに来たわけではない。それどころか、国内での政治的地位を高め、バイデンやカマラ・ハリス副大統領との緊張関係を管理し、トランプとの関係を修復するために来たのだ。連邦議会での演説は、イスラエル国内の聴衆の前で自身の政治的持続力を示すための自己満足的な勝利の小道具となった。ネタニヤフ首相の演説にサプライズはなかった。それは、イスラエルの戦争目的に対する厳しく憤怒に満ちた擁護であり、右派の支持基盤を確保し、共和党の有力者を喜ばせ、イスラエルの敵を管理し立ち向かうためには彼一人が不可欠であることを強調するためのパフォーマンス的な演説だった。もともと、それ以外は誰も期待していなかったはずだ。

この訪問はネタニヤフ首相が望んでいたようにはならなかった。民主党大統領選挙候補者としてのハリスの台頭と、バイデンの撤退の影に隠れて、彼はアメリカではその日のメインイベントの主人公にはなれなかったし、おそらくイスラエル国内でもそうではなかった。 2期目を求めない理由を説明したバイデンの大統領執務室での演説は、ネタニヤフ首相の演説ではなく、その日の歴史を作った演説だった。ワシントンでの公式会談に関してネタニヤフ首相は、退任する大統領との機能的な関係の維持と、可能性のある新大統領との関係構築の間で微妙な針を通すことを強いられているが、その一方で、前大統領であるトランプの恩寵を取り戻そうと迎合している。

ネタニヤフ首相が成功するかどうかは、おそらく重要ではないかもしれない。彼の戦略は時間を稼ぐことだ。今週末、イスラエルの議会であるクネセト(Knesset)は夏季休会に入り、10月末にかけてユダヤ人の祝日が明けると再開される。ネタニヤフ首相が停戦協定に同意する意向があるなら、その時がそうする時だろう。国会休会により、ネタニヤフ首相は連立パートナーのイタマール・ベン・グヴィルやベザレル・スモトリヒによる不信任決議案から逃れられるが、両者は合意があれば、ネタニヤフ首相の連立政権を崩壊させると脅迫している。ネタニヤフ首相は、合意の第1段階(6週間の停戦期間中)で、できるだけ多くの人質を救出しようとするかもしれないが、その後、ハマスが合意を破棄するという非常にありそうな想定に基づいて、次のような選択肢を持つことになるだろう。右翼パートナーを連立に引き留めるために戦争を再開する。目標は、アメリカが大統領選挙と議会の選挙に気を取られている間に、ネタニヤフ首相が立場を強め、僅差の議会過半数を維持することだろう。

野心的だろうか? 確かにそうだが、問題外ということではない。ネタニヤフ首相が国会休会期間中も連立政権を維持できる限り、新たな選挙の実施が最も早く求められるのは、2025年初頭となり、イスラエルとアメリカの政治日程が都合よく一致することになる。実際、ネタニヤフ首相は次期米大統領が誰になるかに基づいて戦略と戦術を調整する立場に立つことになる。

※アダム・デイヴィッド・ミラー:カーネギー国際平和財団上級研究員。歴代の共和党、民主党政権で米国務省中東分析官・交渉担当を務めた。著作に『偉大さの終焉:なぜアメリカは偉大な大統領をもう一人も持たない(そして望んでいない)のか(he End of Greatness: Why America Can’t Have (and Doesn’t Want) Another Great President)』がある。ツイッターアカウント:@aarondmiller2

※アダム・イスラエレヴィッツ:カーネギー国際平和財団初級研究員。

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ネタニヤフは団結を訴えが、連邦議事堂の内と外で火の暴流が吹き荒れた(Netanyahu urges unity, but stirs a firestorm inside and outside Capitol

ラウラ・ケリー、マイク・リリス筆

2024年7月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/4791213-netanyahu-delivers-fiery-speech-congress/

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は水曜日、連邦議会で激しい演説を行い、連邦議事堂内で民主党所属の連邦議員たちのボイコットを誘発し、外で大規模な抗議活動を引き起こし、11月の選挙まで継続することが見込まれているイスラエル・パレスチナ関係をめぐる党派間の争いを激化させた。

異例の連邦議会合同会議に出席したネタニヤフ首相は、2023年10月7日にハマスが犯した残虐行為を暴力的に詳細に語った。イランや他の地域の敵対国によってもたらされている継続的な脅威について警告した。そして、これらの脅威を完全に根絶するために、アメリカの政策立案者たちにイスラエルの後ろで団結するよう訴えた。

ネタニヤフは、「文明の力が勝利するためには、アメリカとイスラエルが団結しなければならない。バイデン大統領の“イスラエルとの半世紀にわたる友情(half a century of friendship to Israel)”に感謝した。

ネタニヤフ首相は、イスラエルを中東におけるアメリカの最強の同盟国であり、防衛国(defense)と位置づけ、バイデンが一部の重火器を差し控えたり、反対派や抗議活動参加者たちがアメリカの軍事支援を停止するよう呼びかけたりすることに反対し、アメリカの軍事支援の継続と加速を求めた。

ネタニヤフ首相は、「今回の戦争を含め、アメリカの支援に深く感謝しているが、これは例外的な瞬間だ。アメリカの迅速な軍事援助は、ガザ戦争の終結を劇的に早め、中東における広範な戦争の防止に役立つ可能性がある」と述べた。

ネタニヤフ首相のワシントン訪問とそのメッセージを取り巻く雰囲気は、2015年にネタニヤフ首相が連邦議会で行った最後の大規模な演説で、テヘランと核合意を結ぶ努力をめぐってバラク・オバマ政権を非難したときとは一線を画したものとなった。

ネタニヤフ首相は戦争中のバイデン大統領の支援に感謝する一方、金曜日にフロリダ州で共和党大統領候補であるトランプ前大統領との会談に先立って、トランプにも敬意を表し、11月の選挙に向けて、ネタニヤフ首相が共和党と民主党の間で慎重な立場を取っていることが浮き彫りとなった。

「アメリカ人と同様に、イスラエル人もトランプ大統領があの卑劣な攻撃、アメリカの民主政治体制に対する卑劣な攻撃から無事生還したことに安堵した」とイスラエルの指導者は7月13日のペンシルヴァニア州での選挙集会での暗殺未遂事件について語った。

しかし、ネタニヤフ首相が連邦議事堂に登壇しただけで、彼の極右的な政策課題、特にガザ地区でのハマスとの戦争への対応をめぐって、共和党と民主党の間の、そして民主党内部の既に起きている鋭い溝がより深まることになった。

連邦議事堂周辺では、こうした緊張を見逃すことはできなかった。何千人もの活動家がナショナル・モールに集まり、戦争犯罪者とみなされている人物に抗議した。民主党の大統領候補となる可能性が高いカマラ・ハリス副大統領は、通常は外国指導者を歓迎するために立つネタニヤフ首相の背後の壇上にいなかった。

また、ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)を含む多数の民主党所属連邦議員は、ネタニヤフ首相が過激な極右派を増長させ、ヨルダン川西岸のパレスティナ人に対する暴力を煽り、二国間解決(two-state solution)の可能性を妨げているとして、演説をボイコットした。

これらの批判者たちは、ネタニヤフ首相がハマスの排除という目標を追求する中で、ガザ地区全域に広範な破壊が発生し、戦闘で数万人のパレスティナ人が死亡するという人道的大惨事の責任があると見ている。

ネタニヤフ首相は水曜日、イスラエルは市街戦史上、戦闘員と比較して民間人の死亡数を最少に抑えたと述べ、こうした批判者たちを一蹴した。これに対して控え目な拍手が起きた。これが、ネタニヤフ首相を最悪の人物と批判したジェリー・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の発言のきっかけとなった。ナドラーはユダヤ人の歴史における最悪の指導者だと述べた。

ナドラー議員は演説後、MSNBCに出演し、演説におけるネタニヤフ首相の不誠実(dishonesty)を非難した。ナドラーは「彼は平和を望んでいると言っているが、彼の政治的関心は戦争をできるだけ長く続けることだ」と語った。

演説に出席した数十人の民主党連邦議員はネタニヤフ首相の発言の間、ほとんどが着席したままだった。

唯一のパレスティナ系アメリカ人の連邦議員であるラシダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は更に一歩進んで、片面に「戦争犯罪者(War Criminal)」、もう片面に「大量虐殺の罪(Guilty of Genocide)」と書かれたプラカードを掲げ、議場にいた共和党議員の一部からブーイングを浴びた。彼女は、ガザ紛争で150人の家族親族を失ったパレスティナ系アメリカ人、ハニ・アルマドホンをゲストに招いていた。

また、出席した人質となっている人たちの家族たちは、ネタニヤフ首相のメッセージにほとんど熱意を示しておらず、アメリカ人8人を含む​​ハマスに拘束されたままの120人を帰国させるための停戦協定締結に向けたあらゆる努力が挫折したと非難した。

伯父がいまだハマスの人質となっているザヒロ・シャハール・モールは、水曜日のネタニヤフ首相の演説に先立ち、民主党連邦議員団を前にして次のように語った。「生きている人質より死んだ人質のほうがましだと考える人がいることは、イスラエルではよく知られている。生きている人質より死んだ人質の方が、はるかに恥が少ないと考えるそのような人物の一人が、アメリカ連邦議会を自分のひねくれた策略に巻き込もうとする大胆さを持っている」。

あるいは、107日に母親が殺害され、妹が今もガザに拘束されているガットは、ネタニヤフ首相が自分の記録を擁護している間に、頭を抱えることもあった。

ガットは「彼の話を聞くのは、イスラエルを引き裂いている9カ月の戦争について、ネタニヤフが話すのを聞くのと、連邦議会で人々が彼よりも人質のために多くの仕事をしたことを称賛するのを聞くのは、私にとっては残念なことだ。怒りを感じている」と述べた。

しかし、ネタニヤフ首相の最も鋭敏な批判者たちが出席していなかったこともあり、議場にいた議員たちは圧倒的にネタニヤフ首相のメッセージを受け入れ、首相が反イスラエル抗議活動の一環として星条旗を燃やすことを非難したとき、何度もスタンディングオベーションと「USAUSA」の大合唱が起こった。また、大学のキャンパスを襲撃し、連邦議事堂の外で起きている抗議活動に怒りを向けた。

ネタニヤフ首相はデモ参加者たちに「あなた方は正式にイランにとって有益な働きをする、愚か者(idiots)になった」と語り、イランがアメリカを脅かす一歩としてイスラエルの破壊を応援しているという発言の共通テーマを強調した。

ネタニヤフ首相は「中東の中心で、イランの前に立ちはだかっているのは、一つの誇り高き親米民主政体国家、私の国、イスラエル国家です」と述べた。

連邦議事堂からわずか数ブロックのところで、戦争犯罪容疑でネタニヤフ首相の逮捕を求めるデモ参加者が結集していた。ネタニヤフ首相の演説後、デモ参加者のグループがユニオン駅の外でアメリカの国旗を降ろし、パレスティナ国旗を掲げたことで、警察と衝突した。

水曜日の演説は、特に2023年10月7日の同時多発テロをきっかけに、ネタニヤフ首相の指導力をめぐる数カ月にわたる連邦議会での議論の集大成となった。

民主、共和両党の連邦議員たちは、イスラエルの自衛権を支持することで事実上一致しているが、民主党連邦議員の多くは、人道的危機を引き起こしたガザでのネタニヤフ首相の積極的な軍事対応と、国際法に違反するヨルダン川西岸でのイスラエル入植地の拡大を率直に非難してきた。

今年3月には、アメリカ史上最高位のユダヤ系政策立案者であるチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(民主党)が議場で爆発的な演説を行い、ネタニヤフ首相のリーダーシップは和平の障害であると非難し、彼に代わる新たな選挙をイスラエルで実施するよう求めた。

シューマーの厳しい言動を受けて、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は数日以内に、ネタニヤフ首相の連邦議会演説への招待状の草案を作成した。この草案は、最終的にシューマー上院院内総務と連邦下院少数党(民主党)院内総務ハキーム・ジェフリーズ(ニューヨーク州選出、民主党)によって支持されたが、署名は草案を受け取ってから数週間後に行われた。

この遅れは、民主党内の亀裂を反映しており、ネタニヤフ首相の攻撃的な軍事戦略を支持する民主党内の親イスラエル派と、パレスティナ人の窮状により同情的でネタニヤフ首相が民間人の命を守るのにあまりにも少なすぎると非難する議員たちと対立している。

バイデンは人質を奪還し、パレスティナ国家への交渉を行う最善の方法として、イスラエルとハマスの段階的な停戦合意を推進している。ネタニヤフ首相を批判する人々は、ネタニヤフ首相が協定署名の障害になるとみているが、一つの難点は、ハマスが戦後のガザ地区の統治に自らも含めることを主張していることであり、アメリカはこれに反対している。

ネタニヤフ首相はこうした主張に短くうなずき、「私たちが述べているように、私たちは彼らの釈放を確保するために集中的な努力をしている。私はこれらの取り組みのいくつかは成功すると確信しており、そのうちのいくつかは現在実施されている」と述べた。

しかし、彼はそれに続いて、パレスティナの文民政権(civilian administration)が統治する「非武装化され、非急進化された(demilitarized and deradicalized)」ガザ地区を求めた。

「ハマスが武装解除し、降伏し、人質全員を返還すれば、戦争は明日終わる可能性がある。しかし、もしそうでなければ、イスラエルはハマスの軍事能力を破壊し、ガザ地区での支配を終わらせ、人質全員を帰国させるまで戦うだろう」とネタニヤフ首相は述べた。

ネタニヤフは「それが完全な勝利を意味するものであり、私たちはそれ以上のことでは妥協しません」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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 民主党の大統領候補となったカマラ・ハリスに副大統領候補の名前が色々と出てきている。候補者コンビのバランス(対照的なアイデンティティの人が良い)や、選挙戦術(激戦州で勝利をもたらしてくれそうな人が良い)を考えると、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、知事以外では、アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー、バイデン政権の運輸長官を務めているピート・ブティジェッジ(インディアナ州サウスベンド市の市長を務めた)といった名前が挙げられる。彼らは白人、男性、東部や中西部出身、激戦州出身といった条件に当てはまっている。
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ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
roycooperkamalaharris001
ロイ・クーパーとカマラ・ハリス

 人気の高い、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは、ハリスと同じカリフォルニア州を地盤としているために法律上、副大統領候補となるのは難しい。ミシガン秦のグレッチェン・ウィットマーは女性コンビとなってしまうことがネックとなってしまう。また、アフリカ系などのマイノリティ出身者もこの場合はバランスが悪いということになる。アメリカ大統領選挙は長く、女性やマイノリティが候補者に選ばれにくい状況が続いてきたが、これから少しずつ変化していくだろう。

 共和党の副大統領候補が激戦の五大湖周辺のオハイオ州を地盤とするJD・ヴァンスを選んできたということは、五大湖周辺州を取りたいという意図が明確である。そのために、貧しい白人家庭(母親は離婚下シングルマザーで麻薬中毒になっていた)で育ったヴァンスを持ってきた。ペンシルヴァニア州知事シャピロはその点では好敵手ということになる。シャピロは夫婦そろってユダヤ系であり、ハリスの配偶者ダグラス・エムホフもユダヤ系となると、民主党系にはWASPが一人もいないという状況になる。この点は注目される。ロイ・クーパーはいかにも南部人ということで好感を持たれるタイプだが、ノースカロライナ州以外の人気や知名度は低い。経歴や知名度アピールできるとすれば、ケリー上院議員(元海軍パイロットで宇宙飛行士)やブティジェッジ長官(同性愛者、若さ、頭脳明晰さ、軍務に志願したこと)ということになる。
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マーク・ケリーとカマラ・ハリス
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ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス
 ハリスとのバランスと激戦州への効果ということを考えると、ペンシルヴァニア州知事シャピロ、ケリー上院議員といったところの可能性が高いのではないかと考えられる。

(貼り付けはじめ)

民主党はハリスに対して副大統領候補を激戦州から選ぶように促す(Democrats urge Harris to look to battleground states for VP pick

アル・ウィーヴァー筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786852-harris-vice-president-pick-midwest-governors/

民主党はカマラ・ハリス副大統領に対し、大統領選への立候補で民主党内の支持を固める中、副大統領候補として激戦州や党の知事たちから選ぶよう求めている。

ジョー・バイデン大統領が日曜日に民主党候補者から撤退し、ハリスを後継者として支持して以来、ハリスは速やかに党を味方につけた。

この急速な動きを受けて、民主党は副大統領候補として誰が彼女の後継者となるべきかに注目しており、多くの人は、彼らが言うところの「荷物が乗ったベンチ(loaded bench、候補者が多いという意味)」をどのように利用して、コンビのバランスを最も良くするかに注目している。

ブライアン・シャッツ連邦上院議員(民主党、ハワイ州)は、「これはハリス副大統領にとって初めての大統領としての決定であり、彼女には多くの良い選択肢が揃っている」と連邦議事堂で記者団に対し、多くの民主党知事の名前を挙げながら語った。その中には、ペンシルヴァニア州のジョシュ・シャピロ、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー、ノースカロライナ州のロイ・クーパーが含まれていた。更にピート・ブティジェッジ運輸長官とマーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も候補者として挙げられている。

シャッツは、「リストは続く。おそらく大事な人を挙げるのを忘れていて、誰かを怒らせていると思う。でも、私たちは今、たくさんの候補者を持っている」と述べた。

党のストラティジストや議員たちは、ハリスがカリフォルニア州出身で法曹界の経歴を持ち、黒人およびアジア系アメリカ人女性として初めてその職に就く大統領候補と釣り合える候補者を探す必要があるかもしれないことを認めている。

そうした選択肢の大部分を占めているのは、中西部や激戦州出身の男性で、その多くは知事で、ハリスがペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の「青い壁(Blue Wall)」を維持するのを支援する任務を負うことになる。

ある民主党関係者は、「海岸地域出身でなく、政府機関を運営したり、州を運営したり、市長を務めたりしている、もしくはしてきた人物はバランスが取れているだろう」と語った。

複数の民主党議員は、ノースカロライナ州知事としての2期目の任期を終えようとしているクーパーを、選挙戦を後押しする可能性がある人物として挙げており、トランプ前大統領が2020年にノースカロライナ州をリードしたのはわずか7万5000票未満だったと指摘している。

ある連邦下院民主党議員は「副大統領をイメージできるとしたら、クーパーによく似ているだろう。彼は基本的に中心的なキャスティングの1人だ」と述べた。

クーパー知事は月曜日のテレビインタヴューで、日曜日にハリスと電話で話したと語った。クーパーは、会話では「このレースに勝つこと」に焦点が当てられていたと述べたが、副大統領候補についての具体的な話は避けた。

67歳のクーパーは、「人々が私のことを話してくれることはありがたい。でも今週は今、彼女に焦点を当てる必要があると思う」と述べた。

バイデンの閣僚の中で、唯一検討対象と言われているピート・ブティジェッジには有利な点があり、それは、ブティジェッジが、共和党の副大統領候補のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)との討論会で、最も良いパフォーマンスを発揮するだろうと主張している民主党関係者がいる。

ブティジェッジは、インディアナ州出身でもあり、大統領選に立候補した後に名前が挙がった人物の中で最も有名になっている。

しかし、彼の潜在的な弱点は、有権者がアフリカ系とアジア系アメリカ人の女性と、同性愛者の男性からなるコンビを支持するかどうかに集中している。

一部の民主党議員は懸念を無視している。

ある民主党関係者は、「そんなことに腹を立てるような人たちは、どうせ私たちに投票しないだろう」と語った。

ケリー議員は、近年選挙で比類のない勝利を収めている、激戦州出身の退役軍人で元宇宙飛行士という輝かしい履歴書を民主党が注目しており、副大統領候補の明らかな有力候補となっている。

しかし、彼には明らかな弱点がある。ハリスが勝てば議席を離れ、激戦州で、後任を決める特別選挙を実施する必要があり、連邦上院で民主党が過半数を維持するために、困難をもたらす可能性がある。

激戦州のある民主党関係者は、「ケリーを引き抜いておいて、アリゾナ州で連邦上院の議席を維持することはできない」と語った。

そして、シャピロ知事はかなりの話題を呼び、2028年の大統領候補として広く考えられているが、彼が適任であることを警戒する、一部の進歩主義者からの厳しい監視にさらされている。

連邦下院民主党によると、シャピロ知事はヴィープステークス(veepstakes、訳者註:副大統領候補選出の手続き)の唯一の候補者だが、就学援助やイスラエルへの熱烈な支持など、数々の政策上の立場を理由に進歩主義派議員から「強い反発(strong pushback)」を受けているということだ。

「進歩主義派が会いたくないということを内密に話し合っている事実がある。進歩主義派が会いたくないと言っているのはシャピロだけだ」とこの議員は語った。

一方、深刻な争いを繰り広げている唯一の女性であるウィットマーは、ミシガン州で記者団に対し、「ミシガン州を離れない」し、「どこへも行く」つもりはないと語った。

予期せぬヴィープステークスの分野は決着からは程遠い現状であるが、団結を目指す政党の最前線に立つ候補者が現れるまで、今後数週間のうちに他の名前が浮上するのは確実で、指名を迅速に行うことになる。

シャッツ議員は「これによって明らかになったものの一つは、民主党にはステップアップする準備ができている次世代の指導者がいることを証明することだ」と述べた。

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

 8月19日からの民主党の全国大会でのジャンプアップを目指して、民主党内では「団結」を求めて、カマラ・ハリスに候補者を一本化しようという動きが加速している。民主党の有力者たちや議員たちが次々とハリス支持を表明している。その中で、昨日までハリス支持を表明していない有力者がバラク・オバマ元大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人(ファーストレイディ)だ。先週末の報道では、オバマがジョー・バイデンへの撤退について話しをし、ハリスには自身の大統領選挙の選対スタッフ出身者たちを集めて(デイヴィッド・プルーフ元大統領上級顧問など)、ハリス選対を助けるという報道が出ていた。オバマは、バイデンの撤退決定については称賛したが、ハリス後継には支持をしなかった。
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連邦議会民主党の重鎮クラスも即座のハリス支持を明言しなかったが、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務は、民主党所属の議員団の動きを受けて、ハリス支持を表明している。

 今回のバイデンの撤退決定とハリス後継支持で、民主党周辺は盛り上がっているが、「バイデンが後継に指名したということだけで、ハリスをそのまま候補者にして良いのか」という「そもそも論」が出ている。舞台裏でバイデンに様々な撤退圧力をかけて、「自発的な形を整えて」、バイデンを引きずり下ろして、ハリスを後継に据えるというのは見方によっては、全くもって「民主的」ではない。ハリスをきちんとした形で候補者に指名するプロセスをこれからやっていくことは難しいと誰でも分かるが、できるだけのことをするのが民主党の責務だ。民主党の予備選挙をハリスは戦わないままで候補者になる。これは、ハリス大統領の正統性をかなり弱めることになる。各州の予備選挙や党員集会で誰も名前を書いていない人物がいきなり候補者になるということになる。この点は民主党として、きちんと対処しなければ、流血の事件となった1968年の民主党全国大会を繰り返すことになる。奇しくも、今年の会場も1968年と同じくシカゴだ。

 シカゴは、オバマ家の地盤である。ここで、流血の惨事とまではいかなくても、紛糾するような事態が起きれば、オバマ家の意向に傷がつく。その点で、オバマは非常に慎重に動いているのだろうと思う。また、自身が最後に支持を表明して、「誰が最高実力者なのか」ということを示したいということもあるだろう。

 「ハリスでやるぞ」「新規まき直しだ」という浮かれた雰囲気が民主党内や支持者の間で出てきている。しかし、選挙は厳しいし、ハリスは「張り子の虎(paper tiger)」である。オバマはその点で、そうした雰囲気を払拭しようとしているのだろうと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

後継指名されたハリス米副大統領、女性初・黒人初・アジア系初で脚光…実績乏しく民主党内に不安

7/22() 15:00配信 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=1

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=2

 【ワシントン=田島大志】11月の米大統領選からバイデン大統領(81)が撤退表明したことを受け、民主党は共和党のトランプ前大統領(78)に対抗できる後任選びに入った。バイデン氏が事実上の後継指名をしたハリス副大統領(59)が本命だが、党内が一枚岩でまとまるかどうかは不透明だ。

 「トランプを打ち負かすため、民主党、我が国を団結させるために全力を尽くす」。ハリス氏は21日の声明で、党の正式指名を得ることに強い決意を示した。

 民主党のビル・クリントン元大統領と妻のヒラリー・クリントン元国務長官は21日、連名の声明でハリス氏の支持を表明した。「今こそハリス氏を支援し、全力を尽くして当選のために闘う時だ」と結集を訴えた。

 大統領選まで4か月弱と時間が限られる中、バイデン氏を支えてきた経緯もあり、党所属議員や支持団体の間ではハリス氏での一本化を図る動きが始まっている。バイデン氏が集めた選挙資金もハリス氏への引き継ぎは容易とみられている。

 ハリス氏は、上院議員などを経て21年に女性初、黒人初として副大統領に就任した。母親はインド移民でアジア系としても初めてで、就任当初は脚光を浴びた。ただ、移民問題などを担当したバイデン政権では目立った実績に乏しく、国民的な人気は低迷している。

 米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」がまとめた、トランプ氏との対決を想定した世論調査の平均支持率は、トランプ氏が43・5%に対し、ハリス氏は38・5%にとどまっている。

 バイデン氏の撤退論が浮上する中、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56)やミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(52)らを推す声も出た。

 21日に声明を出したオバマ元大統領も「党が傑出した候補者選びのプロセスを用意できると自信を持っている」としつつ、ハリス氏には触れなかった。党内ではトランプ氏に「勝てる候補」としてハリス氏に対する不安もくすぶる。

 党大会直前での撤退は前例がないだけに、後継候補の選出も手探りとなる。

 党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は21日の声明で「団結した党として前進するための透明で秩序あるプロセスに着手する」と表明しつつ、具体的な選出方法は明らかにしなかった。米メディアによると、8月上旬にオンラインで代議員による指名投票を行う案のほか、8月19~22日の党大会の投票で選出する方法などが検討されている。

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ペロシがハリスを民主党の大統領選挙候補者として支持(Pelosi endorses Harris as Democratic nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786197-pelosi-endorses-harris-democratic-nominee/

ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は、ジョー・バイデン大統領が再選を望まないと発表した翌日に、カマラ・ハリス副大統領を民主党の大統領候補に正式に支持し、支援を表明した。

(依然として党内で重鎮である)ペロシ前議長の支持は、カリフォルニア州民主党がバイデンに水面下で選挙戦残留の決定を再考するよう圧力をかける上で重要な役割を果たしたため、ペロシの支持は重要だ。ペロシはバイデンが撤退発表した直後にハリスへの支持を差し控えたが、ペロシは月曜日に全面的な支持を表明した。

ペロシは声明の中で、「本日、私はこの国の将来に対する計り知れない誇りと限りない楽観をもってカマラ・ハリス副大統領をアメリカ大統領として支持する」と述べた。

昨年トップの座から退くまで、約20年にわたり、連邦下院民主党を率いてきたペロシは、ハリスが11月に党を勝利に導くと「全面的に確信している(full confidence)」と述べた。

ペロシは次のように述べた。「公式には、私はカマラ・ハリスが勤労者家庭(working families)の擁護者として、特に女性の選択権のために闘う強さと勇気を見てきた。個人的には、カマラ・ハリスが強い価値観、信仰、公共奉仕への取り組みに根ざしていることを何十年も前から知っている。政治的には、誤解しないで欲しいのだが、政界の女性としてのカマラ・ハリスは非常に洞察力があり、私は彼女が11月に私たちを勝利に導いてくれると確信している」。

月曜日遅く、民主党全国大会のカリフォルニア州代表団の会議中に、ペロシはシカゴでの全国大会で、同団体がハリス氏を支持することを求める動議を提出した。

ペロシはハリスの初期の大統領選挙活動を支持した最新の連邦下院民主党議員となった。この選挙運動は、日曜日にバイデンが撤退した直後に開始され、選挙戦のトップの座を埋めるためにハリスを支持すると発表した。

しかし、カリフォルニア民主党は、バイデン大統領が選挙戦からの撤退を発表した直後に、ハリスへの支持を保留した数少ない著名な民主党員の一人だった。ペロシ、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれも、撤退のニューズを受けての声明でバイデンを称賛したが、ハリスを支持するまでには至らなかった。

他のヴェテランの民主党議員3人はまだハリスを支持していない。しかし、ハリスは、月曜日、連邦上院民主党ナンバー2のディック・ダービン上院多数党(民主党)幹事長(イリノイ州選出、民主党)、連邦下院民主党のナンバー2とナンバー3である、連邦下院少数党(民主党)幹事長のキャサリン・クラーク、民主党議員団長のピート・アギラール議員(カリフォルニア州選出、民主党)からの支持を獲得した。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日の短いインタヴューで本誌に対し、何人かの民主党幹部は、何者かではなく、ハリスを候補者とする何らかのプロセスを展開することを可能にするために、今のところ支持を保留している可能性があると語った。これは、彼女にとっては戴冠式のようだ。その戦略がハリスを「より強力で正当な(stronger and more legitimate)」候補者にするだろうと彼らは考えているのかもしれない。

ハフマン議員は「私はハリス副大統領が候補者になると完全に確信している。100%の確信を持っているが、これが多少の展開を許しても問題ない」と述べた。

ペロシは、先月の討論会での悲惨な成績を受けてバイデンが選挙戦に残留するという決断を再評価するよう圧力をかける上で、舞台裏で重要な役割を果たしたが、バイデンは撤退決定をするまでその決意を堅持していた。

今月初め、形勢がバイデン有利に傾き始めたとき、ペロシは大統領のお気に入り番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデンが選挙戦継続を明らかにしていたが、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

多くの連邦下院民主党議員は、ペロシのテレビ出演を受けてバイデンの撤退を求めるようになった。

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オバマはハリス支持にまで至っていない(Obama stops short of backing Harris

サラ・フォーティンスキー筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4784831-obama-stops-short-of-backing-harris/

バラク・オバマ元大統領は、バイデン大統領が再選に向けて立候補しないとの報道を受けて、バイデン大統領を「最高クラスの愛国者(patriot of the highest order)」と称賛したが、後任としてカマラ・ハリス副大統領を支持するまでには至らなかった。

オバマは声明の中で、「ジョー・バイデンはアメリカで最も影響力のある大統領の一人であり、私にとって親愛なる友人でありパートナーでもある。今日、私たちはまた、彼が最高クラスの愛国者であることを改めて認識している」と書いた。

オバマ元大統領は、ハリスには言及せず、党が「今後数日で前人未到の海域を航行する(navigating uncharted waters)ことになる」と予想しているが、党の前進する能力に信頼を表明した。

オバマ大統領は声明文の後半で、「私たちの党の指導者たちが優れた候補者を生み出すプロセスを作り上げることができると、私は大いなる信頼を持っている。全ての人に機会を提供する、寛大で豊かで団結したアメリカというジョー・バイデンのヴィジョンは、8月の民主党全国大会で完全に明らかになるだろうと私は確信している。そして、私たち一人ひとりが希望のメッセージを伝え、11月以降も前進する準備ができていることを期待している」と述べた。

オバマは続けて、「今のところ、ミッシェルと私は、この危険な時期に、有能さと勇気をもって私たちを導いてくれた、そして、この国の建国の基礎となった自由と平等の理想への献身をしてくれたジョーとジルに対して、愛と感謝の気持ちを表したい」と述べた。

オバマは、バイデンがホワイトハウスで一緒に働いていた頃、バイデンと緊密な関係にあったことで有名だが、バイデンにとってこれがいかに難しい決断だったかを指摘し、バイデンが国にとって何が正しいかを考えていると確信していると付け加えた。

オバマはさらに次のように書いている。「ジョーが戦いから決して一歩も引かなかったことも知っている。彼にとって、政治情勢を見つめ、新たな候補者にトーチを引き継がなければならないと決断することは、間違いなく彼の人生の中で最も困難なことの一つだろう。しかし、それがアメリカにとって正しいと信じない限り、彼がこの決定を下さないことを私は知っている。これは、ジョー・バイデンの祖国愛の証であり、真の公僕が再び自分の利益よりもアメリカ国民の利益を優先した歴史的な例であり、将来の世代の指導者も見習うべきだろう」。

オバマ元大統領は、新型コロナウイルス感染拡大終結への貢献から雇用創出の記録、処方薬コストの引き下げ、気候変動への投資、労働組合への支援まで、バイデンの在任中の実績を称賛した。オバマは世界舞台でのバイデンのリーダーシップと、ロシアのウクライナ侵略に対してNATO諸国を団結させる役割を宣伝した。

オバマはバイデンの人柄を称賛した。オバマは、「彼の深い共感力と苦労して獲得した回復力、彼の基本的な良識と、誰もが大切だという信念がある。ドナルド・トランプ政権の特徴だった4年間の混乱、虚偽、分断から国を救い出したのはバイデンだ」と述べた。

オバマは次のように書いている。「この優れた実績が、バイデン大統領に再選に立候補し、彼が始めた仕事をやり遂げる権利を与えた。ドナルド・トランプを再びホワイトハウスに迎え入れ、共和党に連邦議会を支配させれば、彼が生涯をかけて闘ってきたこと、そして民主党が掲げることのすべてが危険に晒されることをバイデンは理解している」。

オバマ元大統領は次のように述べた。「ジョーは彼の政策と模範を通じて、私たちが最高の状態にあること、つまり信頼と誠実さ、優しさと勤勉といった昔ながらの価値観を大切にする国であることを思い出させてくれた。民主政治体制、法の支配、責任を信じている国だ。誰であろうと誰もが発言権を持ち、より良い生活を得るチャンスを得る権利があると主張する国だ」。

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ペロシ、ジェフリーズが2024年大統領選挙民主党候補者としてハリスを支持するに至っていない(Pelosi, Jeffries stop short of backing Harris as 2024 nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4784903-pelosi-jeffries-endorsement-harris/

ジョー・バイデン大統領が再選を目指さないと発表したことを受けて、日曜日、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、カマラ・ハリス副大統領を党の新たな候補者として支持するまでには至っていない。民主党が前途未踏の道に進む中、支持を表明しなかった。

ペロシとジェフリーズは、先月の討論会での悲惨な結果を受けて。バイデンの立候補に懸念を表明したと伝えられているが、両議員は大統領を称賛したが、ハリスの名前には言及せず、11月の大統領選挙で、誰を候補者に据えたいのかについても言及しなかった。

ペロシは声明で次のように述べた。「ジョー・バイデン大統領は、常に我が国を第一に考えてきた(put our country first)愛国的なアメリカ人だ。彼が残したヴィジョン、価値観、リーダーシップにより、彼はアメリカ史上最も影響力のある大統領の一人となった。常にアメリカの約束を信じ、人々にその約束を果たす機会を与えてくれたバイデン大統領に愛と感謝を捧げる。神はジョー・バイデンの偉大さと善良さでアメリカを祝福した」。

ジェフリーズもペロシの意見に同調し、バイデンを「アメリカ史上最も功績があり、影響力のある指導者の一人」と称賛し、その後、バイデンの大統領としての数々の功績を列挙した。

「ジョー・バイデン大統領が知性、品格、威厳をもって私たちを導いてくれたので、今日のアメリカはより良い場所になった。私たちは永遠に感謝するだろう」とジェフリーズは付け加えた。

ジェフリーズとハリスは日曜日の夜に話した。

チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)とオバマ前大統領も、党の新しい候補者としてハリスへの支持を明確に表明しない声明を発表し、これに驚いた人々もいた。

民主党幹部の動向に詳しいある関係者は本誌に対し、日曜日は感傷的な日となり、連邦議員たちはこのニューズに対処していると語った。彼らは、その日はバイデンにとっての日であり、議員たちはその日その時に問題に対処していると付け加えた。

しかし、有力者たちからの支持の欠如は注目に値する。それは、ペロシのような民主党の有力者たちが、バイデンに選挙戦を続けるという決断について再考を促すように舞台裏で努力をしたからだ。

ペロシは今月初め、潮目がバイデンの方向から傾き始めたとき、バイデンのお気に入りのニューズ番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデン大統領が大統領選を続けると決断していることが明らかだったにもかかわらず、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

本誌の調査では、ペロシとバイデンは1週間以上会話していないことが分かった。

民主党トップからの支持がないことは、すぐにハリスへの支持を表明した連邦下院民主党議員団の他のメンバーとは対照的である。

民主党指導部の一員を務めた経験を持ち、2020年の大統領選挙でバイデンを支持したことが勝利の鍵となった、ジェームズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は、プラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州選出、民主党)と同様に、ハリスを新しい候補者として支持した。ジャヤパル議員は、連邦下院進歩主義派議員連盟の会長を務めている。また、連邦下院歳出委員会の民主党側幹部メンバーであるローザ・デラウロ連邦下院議員(コネチカット州出身、民主党)もハリス支持を表明した。前述のクライバーン議員は以前、バイデンが選挙戦から撤退した場合には、ハリスを支持すると述べていた。

民主党幹部たちは、バイデンの撤退発表直後、ハリスへの支持を表明するまでには至らなかったが、近い将来、ハリスへの支持を表明する可能性がある。たとえば、ジェフリーズは、通常、大きな決断を下す前に、連邦下院民主党議員団のメンバーと会って話をするのが通例だ。

このグループは火曜日に毎週開かれている定期会合に集まる予定だ。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日夜、本誌の短いインタヴューに対し、民主党の幹部の一部は、ハリスの支持を急いでいないかもしれないと語った。彼らは、何らかのプロセスが展開されることを容認すれば、ハリスがより強力な候補者になると感じているからである。ただし、そのプロセスがどのようなものであるかは不明だ。

ハフマンは次のように述べた。「少しのプロセスがあれば、カマラはより強く、より正当なものになると信じている人もいる。しかし、そのプロセスの終わりに彼女が候補者にならないだろうと示唆する人は私の知る限りでは誰もいない。この急速な団結がリアルタイムで起こっているのを目の当たりにしている」。

ハフマンは、「私はハリス副大統領が私たちの候補者になると完全に自信を持っている、あるいは200%の確信を持っているが、これが多少なりとも展開することを許容しても問題ない」と付け加えた。

ハフマンは、議員たちからよりオープンなプロセスを求める声が出ていることについて、「ハリスに反対しているという意味ではない」と指摘した。

ハフマンは、そのプロセスは民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の規則委員会の判断に委ねられ、「完全にオープンな大会にはならない(less than a wide-open convention)」と予想していると述べた。

民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は、日曜日に発表した声明の中で、「今後数日以内に、党は11月にドナルド・トランプを破ることができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための、透明性があり、かつ秩序あるプロセスに着手する」と述べた。

ハリソン委員長は「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と続けて述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領の選挙戦撤退と、カマラ・ハリス副大統領への後継指名があり、ご紹介しようと思っていた、共和党全国大会最終日に関する記事をご紹介できないでいた。今回、間隙を縫って、ご紹介したいと思う。最終日のクライマックスは、何と言っても、共和党大統領選挙候補者指名受諾演説だった。1時間以上もある大演説であった(通常はもっと短い)。前半のトランプは、暗殺未遂事件について語り、しんみりとした雰囲気だった。彼は、「神が私のそばにいて下さった(I had God on my side)」「全能の神の恩寵(grace of almighty God)」「神の摂理の瞬間(providential moment)」といった、信仰に絡んだ言葉を選んだ。トランプは自分自身が「神に生かされた」「神に選ばれた」という「確信」を得て、「回心(改心)」したと考えられる。
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 しかし、後半はだんだん調子が出てきて、原稿からどんどん離れていった。ジョー・バイデンという名前は原稿にはなかったが、1度だけ言うとして、「アメリカの最低の大統領10人を集めたよりも、酷い損害をアメリカに与えた」という発言を行った。この激しい言葉遣いは一度で十分である。

 ヴァンス副大統領候補と配偶者のウーシャさんを紹介した時には、「イェール大学で知り合った」ということまで述べた。これは、「自分たちは白人至上主義ではない、きちんとした移民とその子供で、きちんとした教育を受けた人は自分たちの仲間だ」ということを示そうとしている。トランプ陣営やトランプ支持者は白人至上主義者と見られたり、白人氏至上主義グループから支持を受けたり、ということがあり、無党派に懸念を持たれる部分であるが、そのイメージを払拭しようとしている。その点で、ヴァンスの人選は良いものとなった。

 今回の共和党全国大会は大きな失点がないどころか、盛り上がりを見せ、共和党全体を勢いづけることになった。この盛り上がりもあり、バイデン大統領は撤退を決断したということもあるだろう。6月27日の討論会でバイデンが酷いパフォーマンスを見せ、その後、トランプの暗殺未遂事件が起きた。バイデンと民主党は追い込まれた。そこで、起死回生のバイデン撤退表明となった。来月には民主党大会があり、そこで、どれくらいの勢いをつけることができるが勝負ということになる。これからも目を離すことはできない。

(貼り付けはじめ)

選挙集会での銃撃事件後のトランプが戦うために出てきた:昨夜の共和党全国大会の5つのポイント(Trump comes out fighting after rally shooting: 5 takeaways from RNC’s last night

ジャレッド・ギャンズ、ジュリア・ミュラー筆

2024年7月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4781271-donald-trump-rnc-joe-biden-jd-vance/mlite/

ドナルド・トランプ前大統領は、暗殺未遂事件から生還して以来初の演説で、2024年共和党全国大会を選挙集会と変化させ、銃撃事件では神が味方だった(God was on his side)と主張し、「この国を救う(save this country)」ために党が団結するよう呼びかけた。

トランプは、ミルウォーキーで数千人の聴衆を前に演説し、正式に共和党の大統領候補指名を受けた際に、自身の臨死体験(near-death experience)の詳細を明かした。

以下で、共和党全国大会最終日の夜の5つのポイントを挙げる。

(1)トランプは暗殺未遂について詳しく話す(Trump went into detail about assassination

4日間の緊張の後、トランプは党全国大会の締めくくりの演説(convention-capping speech)で、ペンシルヴァニア州での土曜日の集会で起きた暗殺未遂事件の体験を語った。この事件では、銃撃犯が耳をかすめ、集会参加者1人を殺害、2人を負傷させた。

トランプは、「皆さんも既にご存知のとおり、暗殺犯の銃弾は私の命を奪う寸前まで迫っていた。非常に多くの人が私に、『何が起きたのか? 何が起きたのか教えて欲しい』と尋ねてきた」と述べた。

トランプは参加者たちに「何が起こったのか正確に(exactly what happened”)」話すと約束したが、「話すのがあまりにも辛いので(because it’s actually too painful to tell.)」二度と話さないと誓った。

トランプは、その日の観衆について、「夕方の暖かく美しい日(warm, beautiful day in the early evening)」と、ペンシルヴァニア州の「歓声を上げていた(cheering)」と詩的に語ったが、その後「大きな、ヒューという音(loud, whizzing sound)」と「本当に、本当に激しく(really, really hard)」耳に当たった弾丸の感覚で、歓声が途切れたと語った。

トランプは事件で傷ついた耳に白い包帯を巻いていた。共和党全国大会の参加者の中にも同じように耳に包帯をしている人がいたが、ある女性は、それは元大統領への「連帯感(in solidarity)」からだと話した。

トランプは「ひどい夜(terrible evening)」であり、「多くの弾丸(many bullets)」が発射され、死と隣り合わせの緊張感があったと表現したが、「穏やか(serene)」な気分だったと語った。彼は生き延びたことを神に感謝し、「おそらく」「神の摂理の瞬間(providential moment)」だったと語った。

参加者たちはトランプの話に釘付けになり、シークレットサービスに囲まれ拳を突き上げるトランプ元大統領の写真が背後のスクリーンに映し出されると、「ファイト(fight)」の掛け声をあげた。

(2)トランプは以前からの彼自身だった(Trump was his old self

トランプ以前の演説者たちは、よりソフトなヴァージョンのトランプが登壇するための下地を作っているようだった。

水曜日の夜、トランプの孫娘カイ・マディソン・トランプが登場し、前大統領を 「普通のおじいちゃん」で「両親が見ていないときにキャンディやソーダをくれる 」し、「いつも学校での様子を知りたがる」と述べた。

木曜日、トランプ政権の中小企業庁長官を務めたリンダ・マクマホンは、マーアラーゴでのトランプ大統領と4歳の孫娘の逸話を披露した。孫娘が「彼の髪の毛をぐちゃぐちゃにした時」に「彼は祖父だけが持つことのできる愛をもって微笑んだ」と述べた。

マクマホンは、この逸話は「典型的なドナルド・トランプ・ストーリではないだろう」と認め、前大統領は「ライオンのハートと戦士の魂」を持つ「素晴らしい人物」と述べた。

しかし、木曜夜に演説​​したトランプは、2015年に選挙運動を開始して以来、あらゆる集会で見られたのと同じ人物だった。

事前に発表された演説原稿の主な内容は、トランプの2期目の可能性に関する計画と、トランプがこの国が直面していると考える問題についての議論に焦点が当てられていたが、トランプは予定されていた発言から頻繁に逸脱し、代わりに味方を称賛し、敵を攻撃する方向に転じた。

書かれた原稿には、バイデン大統領の名前は含まれていなかったにもかかわらず、トランプ大統領は敵対者への直接的なジャブを浴びずにはいられなかったようだ。トランプは、「アメリカ史上最悪の大統領10人を数えて、全員を合わせても、バイデンが与えたような損害は与えられなかっただろう」と述べた。

また、トランプはナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)を批判し、「クレイジーなナンシー」と呼び、聴衆からはブーイングが出た。ペロシの広報担当者は後に、トランプは一部の人が予想したような「新しいトーン(new tone)」を取らず、以前のトランプと同じトランプだったと述べた。

トランプはまた、中国などの外国に雇用が流出しているとして、全米自動車労働組合(United Auto Workers)の指導者を非難し、「恥じるべき(ashamed)」、「解雇されるべき(fired)」と述べた。

同時に、トランプは今週のテーマである「団結(unity)」に傾倒し、特にスピーチの終盤で原稿通りの発言をし、人々が互いに争うことにエネルギーを費やせば、国の「運命(destiny)」は手の届かないものになると述べた。

トランプは、「私たちはそのエネルギーを、国の真の可能性を実現するために使わなければならない。そして、アメリカの歴史のスリリングな章を私たち自身で書いていかなければならない」と述べた。

(3)イヴェントはロックコンサートのようだった(The event was like a rock concert

木曜日の夜のラインナップには、音楽スターのキッド・ロック、格闘技プロモーターのデイナ・ホワイト、レスリング界のレジェンドであるハルク・ホーガンなどの著名人たちも登場し、参加者は熱狂した。

ホーガン(本名テリー・ボレア)は、トランプと新たに副大統領候補に指名されたオハイオ州選出の連邦上院議員JD・ヴァンスを「私が人生で見た中で最高のタッグチーム(he greatest tag team of my life)」と称賛する発言をし、その間に「USA」の連呼を参加者に促した。

彼はまた、大声で歓声を送る参加者についても称賛した。   

「今夜ここに来たとき、この場所にはとてもエネルギーが溢れていて、もしかしたらマディソン・スクエア・ガーデンで次のタイトルを獲得する準備をしているのかもしれないと思ったほどだった。しかし、私が気づいたのは、私が本物のアメリカ人でいっぱいの場所にいるということだった、兄弟たちよ」と述べた。

一方、キッド・ロックは自身の曲「アメリカン・バッド・アス」を歌い、参加者は「ファイト」や「トランプ」と叫んだ。

夜の終わりに、トランプはリー・グリーンウッドの「ゴッド・ブレス・ザ・USA」のライヴパフォーマンスに乗って、派手に登場した。そしてステージを歩き回り、曲が終わると参加者に手を振り、手を叩いてから演壇に向かった。 

その夜は、トランプ大統領の家族もステージ上に登場し、ファイサーヴ・フォーラムの参加者が熱狂する中、報道によると、10万個以上の赤、白、青、金の風船が映画の1シーンの

ように降下して終了した。

(4)ハルク・ホーガンが注目を集めた(Hulk Hogan almost stole the spotlight

トランプよりも目立つということは難しい仕事であるが、ホーガンはそれをほぼやってのけた。

トランプ前大統領を称賛する演説をしている間、プロレスラーのハルク・ホーガンはミルウォーキーの会場を大いに沸かせた。

ホーガンが登壇するとすぐに、参加者たちは「USA」という言葉を一緒に叫んだ。

しかし、おそらく彼の登場で、最もスリリングな瞬間は、レジェンドレスラーが参加者に向かって話しているときに、シャツを引きちぎった時で、ほとんど耳がつんざくような大歓声が起きた時だ。

「彼らがアメリカの次期大統領を殺そうとしたとき、もうそれだけで十分だった。私はトランパマニアを野に放ってくれと言ったんだ、兄弟たちよ」と、自身のキャッチフレーズ「ハルクマニア」をもじって述べ、ホーガンは満場の拍手を浴びた。

その後、ホーガンは元大統領の家族とともにトランプのボックス席に座り、トランプ自身もホーガンがどれほど参加者を元気づけたかについて、その力を認めているようだった。

トランプは演説中にも「ハルクスターはどうだった?」と質問し、出席者は歓声で応えた。

(5)バイデンの苦境は静かに進行(Biden’s woes were an undercurrent

共和党が銃撃事件後の最初のトランプの演説に歓喜し、党の指名を正式に受諾したことを祝う一方で、民主党では、バイデンと2024年の候補者指名をめぐる内部争いが続ている。

共和党全国大会の期間中、モンタナ州選出のジョン・テスター連邦上院議員は、バイデンに大統領選挙から撤退するよう求めた2人目の民主党所属の連邦上院議員となった。

共和党支持が強い州で再選を目指す民主党所属の議員で、危うい立場にあるテスターは、現職のバイデンの「公務と国家への献身(commitment to public service and our country)」を評価するが、バイデンは「再選を目指すべきではない(should not seek reelection to another term)」と述べた。

モンタナ州選出の連邦上院議員の動きは、選挙集会でのトランプ銃撃事件を受けてやや沈静化していた、民主党内部のドラマに拍車をかけるものだったが、今週初め、党のより著名な人物がこの動きに続々と加わったことで、ドラマは再燃した。

水曜日、アダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、11月にバイデンがトランプに勝つ能力について、「深刻な懸念(serious concerns)」を表明し、ジム・コスタ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)もこの呼びかけに加わり、バイデンが「トーチを渡す(pass the torch)」時が来たと述べた。

トランプは共和党全国大会の演説でバイデンの名前を一度だけ挙げたが、事前に発表された原稿には入っていなかった。

「バイデン、この言葉を一度だけ使う。これ以降はその名前は使わない。一度だけだ」とトランプは述べ、演説は政権を批判したものの、共和党の反対側の党で繰り広げられているドラマについては語らなかった。

カマラ・ハリス副大統領が自分のボスであるバイデンに代わって候補者リストのトップに立つ可能性についての話が高まっており、民主党内部の関係者たちは、8月の党全国大会が近づくにつれ、バイデンの政治的将来に関する決定が数日のうちに下される可能性があると囁き合っている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領が大統領選挙からの撤退と、カマラ・ハリス副大統領を大統領選挙候補者として支持すると表明したことを受けて、アメリカ大統領選挙は急速な動きを見せている。今回の大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領、民主党のジョー・バイデンが早々に事実上の候補者に内定して、静かに推移していた。それを大きく揺るがしたのが、先月末のCNNが主催した大統領選挙候補者討論会だった。バイデンが体調不良や言い間違い、言いよどみなどで、「酷いパフォーマンス」を見せてしまい、バイデンに対する人々の不安が一気に加速することになった。その後も状況は好転せず、民主党エリート層を中心に撤退論が大きくなっていった。通常であれば、大統領選挙候補者討論会は、民主、共和両党が全国大会を開催し、指名候補を決定した後、9月から開催される。逆の見方をすれば、その時期まで、討論会がなくて、うまくごまかしていれば、9月の討論会で酷い状況になっても、もうどうしようもなかったということも言える。6月末の討論会は、バイデン外しのための「出来レース」「宮廷内クーデター」という可能性も考えられる。
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 民主党は、カマラ・ハリスを候補者とするということで、「心機一転」「気分を変えて」、これからやるぞという雰囲気づくりに躍起になっている。ハリスは、政治的な実績はあまりないが、バイデンからの交代で「フレッシュさ」をアピールし、党内をまとめようとしている。バイデン選対をそのまま使いつつ、自分の側近たちを重要なポジションに就けるだろう。バラク・オバマ元大統領がハリスを支援する動きがあるということだが、現在のところ、ハリス支持を明言していない。

 ハリスの副大統領候補という話が出ているが、既に多くの名前が挙がっている。ハリスとは対照的なアイデンティティの人物、例えば、男性、白人、東部から中西部出身、更に言えば、選挙戦術で言えば、激戦州となる、五大湖周辺のラストベルト出身、できれば、労働課の家庭出身という条件が考えられる。以下に9名の名前が挙がっているが、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、大統領候補と同じ州出身というのは法律上不可能ということで、候補から外れるようだ。女性同士というのもバランスが悪い(これまで男性同士ばかりだったからこの表現が良くないと思うが現実的に)ということもあり、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事も厳しいだろう。

イリノイ州のJB・プリッツカー知事は、世界的なホテルグループのハイアットの一族であり、大富豪で、選挙資金は全て自己資金で賄えると言われているが、中西部の州知事と言っても、これでは、貧しい白人労働者たちから嫌われてしまうだろう。そう考えると、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロが有力候補ということになるだろう。アリゾナ州のマーク・ケリー連邦上院議員も、男性、白人、アメリカ海軍パイロット、宇宙飛行士という経歴からユニークで、こちらも有力候補だと思う。2020年の大統領選挙で、善戦した、ピート・ブティジェッジ運輸長官は、中西部インディアナ州出身で、軍務に就いていたことや同性愛者であることを公表していることなどもアピールポイントであるが、副大統領候補には難しいかもしれない。
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ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
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マーク・ケリーとカマラ・ハリス(右)
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ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス

 トランプ陣営としては、敵をカマラ・ハリスに設定し直すという作業を強いられることになる。ハリスが副大統領としては不法移民対策で成果を挙げなかったことくらいしか攻撃材料がない。後は、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員(1期目の途中で副大統領に)としての仕事ぶりも攻撃材料になるだろう。民主党側は、「ハリスを“鬼検察官”として、“重罪人”トランプを討論会で徹底的に追い詰める」という目論見もあるようだ。しかし、これは逆効果になることもある。そもそも討論会は法廷ではなく、政策を討論する場所だ。もちろん、トランプの裁判の状況などについて話が及びことはあるだろうが、それは一部であるべきだ。また、検察官が法廷で被告を攻撃するならば、被告には代理人としての弁護士を立てる権利がある。それは認められていない討論会で、裁判ごっこをやるというのは、民主党の選挙に勝ちたい余りの過剰な行動と捉えられてしまう可能性がある。

 そもそも、副大統領は、名前は知られているが、その人柄などは全く知られていない。副大統領の仕事は、大統領に何かあった時のために健康で生きていることだ。まずは、ハリスの人物像を明らかにすることが何よりも最初にやるべきことだ。
 民主党では「ハリスで決まり」「ハリスで一本化」という流れになっており、他に候補者は出ない状況を演出している。しかし、考えてみれば、バイデンが自発的に降りたことになっているが、かなりの圧力をかけられ、甘い言葉や脅しの言葉をさんざんにかけられたことは容易に想像がつく。まずは、「バイデン降ろし」が民主的だったのか、ということ、ハリスの選ばれ方が民主的かどうか、ということを疑問に思う民主党員や支持者も一定数存在すると思う。そこをどのように折り合いをつけていくかが重要である。

 静かに動いていたアメリカ大統領選挙がバイデン撤退で動き始めた。これからも何が起きるか分からない。目が離せない状況になっている。

(貼り付けはじめ)

バイデンが大統領選挙から撤退:知っておくべき5つのこと(Biden withdraws from presidential race: 5 things to know

サラクシ・ライ、ブランドン・コンラディス筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4784618-joe-biden-drops-out-what-to-know-kamala-harris-trump/

ジョー・バイデン大統領は再選に向けて立候補しないと述べたが、これは民主党内多数からの圧力の高まりを受けての歴史的な決定となった。

バイデンは2025年に終了する残りの任期を全うすると述べた。

バイデンは「大統領を務めることができたことは私の人生最大の光栄だ。再選を目指したのは私の意向だが、私が辞退し、残りの任期は大統領としての責務を果たすことだけに専念することが党と国にとって最善の利益になると信じている」と述べた。

ドナルド・トランプ前大統領と支援者たちが共和党全国大会のためにミルウォーキーに集まった数日後に、この発表は大統領選挙を一変させることになった。

バイデンの退任の決定について知っておくべきことは次のとおりだ。

(1)バイデンは圧力増大を受けて選択を下した(Biden made the choice after growing pressure

過去数日間でバイデンの辞任を求める議員や献金者の数が増えたため、結局バイデンは党内からの圧力に屈した。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州出身、無所属)は日曜早朝、CNNのジェイク・タッパーに対し、バイデン大統領は「新しい世代にトーチを引き継ぐべき」と発言し、バイデンに撤退を要求した最新の注目議員となった。

マンチンは、ピーター・ウェルチ連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)、ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)、シェロッド・ブラウン連邦上院議員(オハイオ州選出、民主党)、マーティン・ハインリッヒ連邦上院議員(ニューメキシコ州選出、民主党)を含む民主党議員のリストに加わった。

本誌は木曜日、バイデンの決定が差し迫っており、ハリス副大統領がバイデンの後任となった場合、副大統領候補が誰になるかに既に注目が集まっていると報じた。

しかし金曜日になっても、バイデン陣営は大統領が再選に向けて出馬する決意を持っていると主張していた。

(2)ハリスが後継者となる可能性が高い(Harris becomes likely successor

バイデンは日曜日、ほぼ即座にハリス副大統領を次期民主党候補者として支持した。

バイデンは「今日、私はカマラが今年の我が党の候補者となることに全面的な支持を表明したい。民主党の皆さん、団結してトランプを倒す時が来た。やってやろう」と述べた。

バイデンの発表は、バイデンが新型コロナウイルス感染から回復中のデラウェア州の自宅で自己隔離している間、今週土曜日にハリスがケープコッドで200万ドルの募金活動を行った後に行われた。

ハリスは後に自身の声明を発表し、「支援を受けてこの指名を勝ち取る」と述べた。

バイデンがハリスを支持する決定を下すことは予想されていた。どれだけ多くの人が彼女を彼の有力な後継者とみなしているかを示すように、共和党全国大会のためにミルウォーキーに集まった共和党員たちは、既に彼女への攻撃を開始している。

ハリスは日曜の声明で、大統領の支持を得ることができて「光栄だ」とし、「私の意図は、大統領の支援を得て、指名を勝ち取ることだ」と述べた。

(3)彼女の副大統領候補の人選が行われている(The hunt is on for her possible running mate

バイデンがハリスへの支持を全面的に表明した今、誰が彼女の副大統領候補となり得るかが注目されている。

今のところ、彼女と一緒に選挙戦を戦う、副大統領候補への関心を公的に表明している人は誰もいないが、この状況は変わるだろう。既に名前が挙がっているのは、ケンタッキー州知事のアンディ・ベシア(民主党)、イリノイ州知事のJB・プリッツカー(民主党)、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロ(民主党)、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー(民主党)、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、そして、アリゾナ州連邦上院議員マーク・ケリー (民主党)である。

もう一人の著名人としてカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)も含まれているが、カリフォルニア州から二人の候補者を選出することができないことを考えると、彼が副大統領候補に選ばれる可能性は低い。

(4)バイデンの決断は大統領選挙を未知の領域に進めた(Decision throws election into uncharted territory

バイデンの決定により、選挙は激動の新たな段階に突入するが、このような事態は過去半世紀以上のアメリカ大統領選挙では見られなかった。

明確なことは、これは、大統領に辞任を求める多数の民主党関係者や寄付者にとっても安心材料となるだろう。

しかし、それは潜在的な混乱への扉を開くことにもなる。バイデンはハリスを後継者として支持したが、情報筋はこの時点からプロセスがどのように展開するのか完全には確信していない。

バイデンに支持を誓約した代議員たちは、ハリスに投票する必要はない。つまり、別の候補者を支持し、競争全国大会(contested convention)となる高まる可能性がある。

十分な数の代議員が本質的にバイデンに反抗することを選択する可能性は依然として低いが、民主党が誰を新しい候補者にするべきかをめぐって対立していることに気付いた場合、更なる混乱が生じる可能性はある。

ジム・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)を含む一部の民主党議員は、たとえハリスが後任候補になっても、彼女が正式に選ばれる前に党は「ミニ予備選(mini primary)」を開催すると強調している。

しかし、民主党議員が実際に彼女に挑戦し、黒人およびアジア系アメリカ人女性初の副大統領を飛び越えて将来の政治的キャリアを損なう危険を冒すかどうかはまだ分からない。

(5)トランプの支援者たちは既に攻撃対象をハリスに変更し始めた(Trump allies have already started pivoting toward Harris

バイデンの撤退発表前から、共和党はハリスがバイデンの後任候補となる場合に備えて、既にナイフを研ぎ始めていた。

トランプの支援者たちは、ミルウォーキーで過去1週間、ハリス副大統領を頻繁に追及し、特にバイデンの「国境の皇帝(border czar)」として彼女を叩き、バイデン政権の移民政策に結び付けた。

トランプ大統領は既にハリスと対決する可能性を考慮しており、バイデン大統領の撤退決定直後にCNNに対し、ハリスを打ち負かすのは容易だと語った。そして、トランプ元大統領の副大統領候補であるJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)は、土曜日にミシガン州で行われた初の共同集会中でハリスを攻撃した。

それにもかかわらず、共和党もまた、主要な敵対者が突然姿を消し、新たな敵対者がまだ確認されていないため、自分たちが未知の領域(uncharted territory)にいることに気づいている。トランプ大統領と支援者たちは、民主党が最終的に誰を指名するか見極めるまで、常に警戒を怠らず、新たな攻撃陣を形成する必要があるだろう。

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ハリスの副大統領候補に選ばれ得るのは誰か?(Who could be Harris’s running mate?

ジュリア・マンチェスター、ジュリア・ミュラー筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4784748-kamala-harris-pete-buttigieg-gretchen-whitmer-josh-shapiro-running-mate/

ジョー・バイデン大統領は日曜、2024年大統領選挙戦から撤退し、ハリス副大統領を後任候補として支持した。これは歴史的な動きであり、ハリスが承認された場合、副大統領候補は誰になるのかという疑問が浮上している。

それが起こるという保証はない。ハリスが正式な候補者になるためには、来月の民主党全国大会に向けて十分な数の代議員の支持を獲得する必要がある。しかし、現副大統領であり、バイデンに明確に選ばれた後継者として、彼女は明らかに本命(clear favorite)である。

彼女の副大統領に誰が選ばれるかというと、潜在的な候補者は数多くいる。

考えられる選択肢のいくつかをこれから述べていく。

(1)アンディ・ベシア(Andy Beshear

ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)が共和党優勢の州の民主党知事として成功を収めたことで、都市部と農村部の二極化が進む中で、民主党が将来に向けて取り組む中、民主党の知名度は更に高まった。

ベシアは2016年と2020年にケンタッキー州がトランプ前大統領に圧倒的な票を投じたにもかかわらず、2019年に当選し、2023年の再選競争でトランプが支援する共和党の挑戦者を破った。 

ケンタッキー知事は今月初め、現職知事ベシアは、バイデンが民主党候補であり続ける限り再選を支持すると述べ、後任を考えたかどうかという質問を避けた。 

ベシアは日曜、声明でバイデンの画期的な決断は国と党の「最善の利益(in the best interest)」であると述べ、「結果をもたらす大統領(a consequential president)」と称賛した。 

ベシアは「今日の彼の決断は簡単ではなかったかもしれないが、それは我が国と我が党にとって最大の利益となる。彼の指導力と優しさ、そして大きく重要なことを成し遂げた大統領職の成功に感謝したい。今こそ私たちの国が団結する時だ。私たちは怒り、恨み、騒音を抑える必要がある」と述べた。

(2)ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg

インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジは、2020年の大統領選挙でバイデン氏と対戦して知名度を上げ、「ピート市長(Mayor Pete)」というあだ名で絶大な支持者を獲得した。 

バイデンがブティジェッジを運輸長官として政権に迎え入れたとき、ブティジェッジは同性愛者であることを公にした初の閣僚として歴史に名を残した。彼の成功は、将来の大統領選への疑問や、2024年の大統領選挙でハリスの副大統領候補となることができるかどうかについての疑問を引き起こした。

ブティジェッジはバイデンの発表後、ソーシャルプラットフォームXでの声明で次のように述べた。「ジョー・バイデンはアメリカ史上最も優れ、最も影響力のある大統領の一人としての地位を獲得した。彼のリーダーシップの下で奉仕できることをとても誇りに思うし、我が国にとって何が最善かという彼の揺るぎない焦点に感謝している」。 

42歳のブティジェッジの若さは、特に年齢に基づく批判がバイデンの歴史的な選挙戦からの撤退につながったため、特にトランプ大統領の新たな副大統領候補に39歳のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州)が指名されたことを受けて、ハリスの選挙戦で、若狭対決ということで目立つことになるだろう。

(3)ロイ・クーパー(Roy Cooper

2016年と2020年の2回の大統領選で、トランプが勝利したにもかかわらず、ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)が当選した。 

クーパーの指導の下、ノースカロライナ州は民主党の激戦区として浮上しており、逆転の可能性があると注目されている。このため、クーパーに2024年に副大統領候補となれば、州の役割がさらに高まるのではないかと示唆する人もいる。 

今月初め、クーパーはバイデン撤退の話を「現時点では必要のない類の憶測(the kind of speculation we do not need right now)」として一蹴したと伝えられている。木曜日、クーパーはフェイエットヴィルでの集会でハリスと合流し、両者は党のドラマについて直接語らなかったが、地元放送局WNCNが報じたところによると、ノースカロライナ州知事は副大統領を「仕事をやり遂げる(gets the job done)」人物として称賛した。

クーパーは日曜の発表後、バイデンへの感謝の声明を発表し、バイデンを「我が国で最も優れた大統領の一人」と称賛した。

(4)マーク・ケリー(Mark Kelly

アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー(民主党)は、2020年から連邦上院議員を務め、全国民主党の影響力のある代弁者となっている。民主党のストラティジストや献金者たちは、ハリスの副大統領候補として最適な有力候補の一人としてケリーの名前を挙げている。 

民主党が資金提供する世論調査団体「ブルーラブス」のメモによると、ケリーはそれぞれの州でバイデンよりも良い成績を収めている激戦区の民主党議員数名のうちの一人である。

しかし、連邦上院民主党にとってケリーの副大統領候補指名にはある程度のリスクが伴う可能性がある。アリゾナ州の民主党知事ケイティ・ホブズは、ケリーの後任に民主党員を任命するのがほぼ確実だが、その場合、その民主党員は2026年に出馬し、2028年に再び任期を全うする必要がある。

このシナリオは、ケリーが2018年に任命されたマーサ・マクサリー元連邦上院議員(共和党)に対する特別選挙に立候補した際に経験したことを反映している。ケリーは2020年にマクサリーを破り、2022年に任期満了で再選を果たした。

(5)ウェス・ムーア(Wes Moore

民主党のもう一人の有力な新星であるメリーランド州のウェス・ムーア知事(民主党)は、激戦州のノースカロライナ州とウィスコンシン州でバイデンの選挙活動を展開してきた。ムーア知事は今月初め、討論会の成績について民主党の各州知事とバイデンが会談した後、ホワイトハウスの外でも先頭に立った。

1期目の知事は、ボルティモア橋崩落事故への対応でもニューズに取り上げられ、全国の舞台に登場した。 

しかしながら、他の多くの新しいスターである民主党知事と同様に、ムーアも全国的な知名度を高める必要があるだろう。更に、ムーアには連邦レヴェルの選挙活動の経験があまりない。

(6)ギャヴィン・ニューサム(Gavin Newsom

カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は今回の大統領選挙で、バイデンの有力な代理候補として浮上し、現職の最有力候補としてハリスと並んで名前が浮上している。

ニューサムのバイデン用語と、昨年FOXニューズで討論したフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)など共和党員らとの公開スパーリングは、ニューサムを党のスターダムに押し上げ、2028年の野心についての噂をかき立てた。 

しかし、ニューサムは、バイデンの後任の話は「役に立たず不必要(unhelpful and unnecessary)」だとし、ニューサムとミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)の両者が、ハリスの副大統領候補を務めることに興味がないと伝えたと伝えられている。

ニューサムとハリスはともにリベラルな民主党優勢州のカリフォルニア州出身で、こうした切符はカリフォルニア州に批判的な共和党議員からの批判に晒される可能性がある。また、同じ州からの大統領候補と副大統領候補に対する憲法の制限による障害にも直面するだろう。

ニューサムはバイデンの選挙戦撤退後の声明で、バイデンは「最も影響力があり、無私無欲な大統領(impactful and selfless presidents)の一人として歴史に残るだろう」と述べた。

(7)JB・プリッツカー(JB Pritzker

イリノイ州のJB・プリッツカー知事は日曜日、バイデン大統領を称賛し、11月にトランプが勝利しないように「毎日取り組む(work every day)」と誓った。

プリッツカーは「バイデン大統領に感謝の意を表し、彼の多くの功績を振り返る中で、ドナルド・トランプのホワイトハウス復帰の可能性がもたらす脅威を無視してはならない」と語った。

バイデンの有力な代理人であり、民主党優勢州(blue state)の二期目の知事を務めるプリッツカーは、バイデンの後任候補として話題になった人物の一人だ。 

プリッツカーは推定35億ドルの純資産を誇り、選挙資金を簡単に自己資金で賄うことができる。そして、中絶の権利に焦点を当てたプリッツカーの政策擁護団体は、この秋、一部の州で中絶の権利を法制化する取り組みに数十万ドルを投資していることは注目に値する。 

プリッツカーは来月シカゴで民主党全国大会が開催される州の知事も務める。AP通信によると、民主党全国委員会委員長は日曜日、新たな候補者を選出するための「透明性があり、かつ秩序あるプロセス(transparent and orderly process)」を約束した。

(8)ジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro

バイデンが選挙戦から撤退するのではないかとの憶測が高まる中、ハリスの候補としては、一期目のペンシルベニア州知事を務めるジョシュ・シャピロ(民主党)への注目が高まっている。ハリスと同様、シャピロも以前はペンシルヴァニア州の司法長官を務めていた。シャピロはまた、2022年に共和党のダグ・マストリアーノを破り、激戦州の人気知事としての地位を確立した。

シャピロ知事は先週、ペンシルヴァニア州バトラーで起きたドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件を受けての統一的な論調で称賛を受けた。シャピロ知事はまた、昨年ペンシルヴァニア州に影響を与えたオハイオ州イーストパレスチナ列車脱線事故への対応でも話題になった。 

シャピロはペンシルヴァニア州ではよく知られているが、11月までに全国的な知名度を高めるには多くの努力が必要だろう。ウィットマー知事やニューサム知事とは異なり、シャピロは全国的なスーパーPACを持たず、連邦レヴェルでの選挙運動の経験も無い。

(9)グレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer

バイデン・ハリス陣営の共同議長を務めるミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)は、ハリスの副大統領候補者として繰り返し言及されてきた。

ウィットマーは、2016年にトランプが州をひっくり返してから2年後の2018年にミシガン州知事に初当選した。それ以来、ウィットマーはミシガン州および全米各地で民主党の有力者であることを証明してきた。ウィットマーは、州内の他の各選挙の民主党候補者とともに、2022年の選挙で、トップで再選を果たした。それ以来、ウィットマーは連邦選挙で民主党を選出することに専念する「ファイトライクヘルPAC」を設立した。 

ニューサム知事と同様、ウィットマーもバイデンの後任候補として考えられている民主党政治家のトップの一人だが、日曜日にバイデンが撤退した後の声明で、ウィットマーは自身の役割は「変わらない(will remain the same)」と示唆した。

ウィットマーは「今回の選挙における私の仕事はこれまでと同じだ。それは、民主党の候補者たちを当選させ、ドナルド・トランプを止めるためにできることは何でもするということだ。トランプは、有罪判決を受けた重罪犯だ。彼の公約は、家族の生活費の高騰、中絶の全米での禁止、そして自らが抱える問題解決のためにホワイトハウスの権限を乱用することで、ミシガン州にとって、彼がやろうとしていることは間違いだ」と述べた。

ウィットマーはまた、バイデンに対して、「偉大な公僕」と賞賛した。公僕として、消費者薬価、サプライチェイン、気候変動、そして世界における指導力に関して、「素晴らしい仕事」をしたと述べた。

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領が現地時間の日曜日夜、声明を発表し、再選を目指さないこと、党の候補者としてカマラ・ハリス副大統領を支持すると述べた。先週後半から、バイデン撤退を求める声が大きくなり、マスコミの論調もトーンが上がっていたことは、このブログでも既にご紹介していたが、それが現実となった。投開票日まで残り110日を切り、民主党全国大会まで1カ月を切った段階での慌ただしい交代劇となった。
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ジョー・バイデンとジル夫人
 バイデンが発表した声明を読み、私は彼の無念さを感じた。相当な圧力を受けて、嫌々ながら撤退を決断したのだろうと思う。彼自身は、自分はまだまだ元気で大丈夫だと思っていただろうが、周囲の認識との差は大きかっただろう。人間は自分自身のこととなると分からないことが多くなるものだ。

声明文の中でバイデンは、「Democratic Party」という言葉を使わなかった。怒りのあまり、使えなかったのだろう。「my party」という言葉を使っている。バイデンの気持ちはこのようなものだろう。「いくら他の候補者が立たなかったとは言え、予備選挙で私は勝利して代議員を獲得している。その私をお前たち民主党の最高幹部たちは、引きずりおろそうとあの手この手で、脅したりすかしたりして説得、脅迫してくる。自分はそれに疲れたのだ。民主党が民主的ではないとは。カマラがいいというのなら、それでいいよ」ということが読み取れる。声明文の中で、「Democracy」とわざわざ強調しているところもあるのに、「Democratic Party」とは使っていない。バイデンの無念は相当なものだろう。

 ハリスは早速、連邦議会の民主党議員たちと話をして、支持を得ている。議員たちは11月に選挙があり、民主党に勢いがないと、選挙が厳しいということになる。民主党全体に勢いがないと見られると、選挙運動は停滞し、資金集めも難しくなる。議員たちにしてみれば、「バイデンじゃなければ何とかなる」ということになるだろう。

 今回の撤退・交代劇は見方を変えれば、「民主党内のエリートたちが自分たちの利益のために、リーダーを無理やり引きずりおろした(表面上は円満に)」ということになる。バイデンはワシントン政治家として老獪な人物であり、喧嘩をしても得策ではないときは引くということができる人物である。民主党は禍根を残すことになる。なぜなら、民主党全国委員長は「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」を経て、候補者を選ぶと述べており、それならば、バイデン撤退についても「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」で明らかにしなければ、ハリスの候補者としての「正統性(legitimacy)」が完全に認められないということになるからだ。

 カマラ・ハリスには、バラク・オバマとミシュエル・オバマから多大な支援が行われる。2008年、2012年のオバマ選対のスタッフ出身者が集められて、ハリス陣営が作られるという話が出ている。バイデンに対して、「猫の首に鈴を付ける(説得して撤退させる)」役を最終的に引き受けたのは、オバマだろう。バイデン陣営の政治資金については、ハリスはバイデンが指名した人物であり、ランニングメイトなのでバイデンに集まったお金が使えるということになりそうだが、一部には異論がある。「ハリスに対して出した訳ではないのだから返金すべき」という意見もある。今回のケールは極めて異例であり、まだ予断を許さない。

副大統領候補には何人か名前が挙がっているが、まだ決定打はない。マーク・ケリー上院議員(アリゾナ州)の名前が出るようになっている。ケリーは白人男性で、海軍のパイロットから宇宙飛行士になった人物。党は違うが、海軍パイロット出身で故ジョン・マケイン(共和党)の後釜的存在でもある。ハリスとは好対照な人物であり、注目される。

ハリスにはヒラリー・クリントンも支援をするという話も出ているが、これは逆効果だろう。ミシェルもあまり表に出ない方が良いかもしれない。有能な弁護士出身でセレブの大統領夫人経験者コンビがしゃしゃり出ると、格差が大きくなっているアメリカでは嫌われる。そして、何よりも、民主党内のニューヨーク王朝クリントン家、シカゴ王朝オバマ家の女王様方がご入来と捉えられる危険もある。

民主党は党綱領を発表しているが、ハリスらしさを出すために修正は必要となる。ハリスはカリフォルニア州司法長官(検事総長のような感じ)時代に、厳しい犯罪対策を行って、評価を上げたが、民主党内左派からは「厳し過ぎる」という批判が集まった。党内左派は支持しているが、ハリスに対して、反感を持っている人たちも多い。

カリフォルニア州は民主党にとって金城湯池の州だ。興味深いことに、それなのに、民主党出身の大統領でカリフォルニア州を地盤にした人はこれまで出ていない。共和党の側では、最近では、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンはカリフォルニア州を地盤にしていた。このジンクスが破れるかどうか、注目される。

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ハリスはバイデンが辞任後、支持を固めようと躍起になっている(Harris races to lock down support after Biden drops out

マイケル・シュニール筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4785030-harris-support-biden-drops-out/

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ミシガン州カラマズーの選挙イヴェントに到着したカマラ・ハリス副大統領(2024年7月17日)

ジョー・バイデン大統領が再選をもう望まないと発表してからわずか数時間後、カマラ・ハリス副大統領はホワイトハウスへの立候補への支持を固めようと急いでいる。

ハリスは日曜日、連邦議事堂で、3つの主要な議員連盟(派閥)の会長たちと面会した。連邦下院進歩主義派議員連盟のプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)、連邦下院ヒスパニック議員連盟のナネット・バラガン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ニュー・デモクラット連合のアン・マクレーン・カスター連邦下院議員と会談した。3人全員がハリスを大統領選挙の指名候補として支持している。

ハリスは、マーク・ポーカン連邦下院議員(ウィスコンシン州選出、民主党)とも話した。ボーガンは、Xでの投稿で「彼女はウィスコンシン州で勝つ準備ができている!!!」と述べた。そして、ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ハリスのスタッフから話を聞いたと述べた。

ハフマンは日曜、本誌の短いインタヴューに対して。「彼女のティームは完全に活性化されており、電話は鳴り響き、電子メールのやり取りは爆発的に増加しており、この事態は順調に進んでいる。これはロケット・シップのように飛び立った」と述べた。

会話の感想を尋ねられ、ハフマンは「さあ、反撃開始だ(Let’s roll)」と答えた。

バイデンがもはや党の指名を求めないと発表したことを受け、ハリスが初期の大統領選挙活動を加速させようとしている中で、連邦議事堂での活発な全面的活動(full-court press)が行われた。

バイデンは、先月の討論会での悲惨なパフォーマンスをしたことで、懸念が高まる中、民主党から出馬の決断を再考するよう圧力が強まっていた。バイデン大統領は当初、自ら撤退はしないと一貫して反抗的だったが、日曜日に態度を翻し、ハリスの候補者指名を即座に支持した。

バイデン大統領はXへの投稿の中で、「2020年の民主党大統領選挙候補者としての私の最初の決断は、カマラ・ハリスを副大統領候補に選ぶことだった。そして、これは、私にとって最良の決断だった。今日、私はカマラが今年の民主党の候補者となることに全面的な支持を表明したい」と述べた。

ハリスはバイデンからの支持を歓迎し、声明で次のように述べている。「大統領の支持を得られたことは光栄なことであり、私の意図はこの指名を得て、勝ち取ることだ」。

今回の件に詳しい複数の関係者によると、ハリスはここ数カ月と同様、強行軍の遊説スケジュールを維持するとみられる。「AAPI勝利基金」、「コレクティヴPAC」、「ラティーノ勝利基金」などの主要な民主党PACは日曜日にハリス支持を表明しており、バイデン選挙運動のインフラはハリス支持に軸足を移している。

ハリスの支持拡大に向けた全速力の疾走(sprint)は、シカゴで開催される民主党全国大会まで1カ月を切った時点で始まっている。民主党所属の連邦議員の多くがハリスを指名候補として支持しているが、一部の主要人物は判断を保留している。ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれもバイデン氏を称賛したが、ハリス氏を支持するまでには至らなかった。このことに驚いている人たちもいる。

今後の道筋は依然として不透明なままだ。民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は日曜日、「党は今後数日以内に、11月にドナルド・トランプを倒すことができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための透明性があり、かつ秩序あるプロセス(transparent and orderly process)に着手する」と述べた。

ハリソンは続けて、「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と述べた。

ジャヤパルは日曜日、ハリスとの電話で「あなたが大統領になることを1000%確信している!」と伝えたと述べた。

ジャヤパルは続けて、「彼女は、11月に私たちを勝利に導く知性、経験、実績を持っている、そして、解決すべき課題を分かっている。さあ行こう!」と述べた。

バラガンもその意見に繰り返し、Xで次のように投稿した。「副大統領と話し合って、私は全力で取り組むと繰り返し述べた」。

「今日から、私と一緒にカマラ・ハリス副大統領を寄付で支援してください!」とバラガンは付け加えた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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