古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2024年08月

 古村治彦です。

 9月27日の自民党総裁選挙に向けて、既に複数の自民党政治家たちが出馬表明し、もしくは出馬を模索している。小林鷹之、石破茂、河野太郎は既に出馬表明を行っており、その他にも、林芳正、茂木敏光、小泉進次郎、高市早苗といった人々も出馬表明貴社会計をセットしていたり、出馬のための準備を行ったりしている。今回の自民党総裁選挙は、これまでにない大人数の立候補者による選挙ということになりそうだ。

 ここに来て、小泉進次郎元環境相の人気が上がっているとされている。下に掲載した記事にあるように、7月の段階では中位グループにいたのが、8月には石破茂代議士とトップを争うという結果が出ている。SNSでは、小林鷹之元経済安保相と統一教会との関係、河野太郎元外相のパワハラ気質、批判を許さないツイッター(X)での大量ブロックが取り上げられ、厳しく批判されている一方で、小泉進次郎については、そのような厳しい批判は見受けられない。どうも、小泉進次郎を押し上げる空気づくりが着々と進められているようだ。

 小泉進次郎の最大の後ろ盾は、菅義偉前首相だ。菅義偉は、小泉進次郎を全面的にバックアップしているという報道が出ている。また、安倍派や岸田派の若手たちが動いている。菅義偉、小泉進次郎、河野太郎の共通点は、神奈川県内に選挙区を持つということで、「神奈川連合」を形成していると言われている。その神奈川連合から、今回、河野太郎と小泉進次郎が総裁選に出馬するということになった。菅義偉は小泉を支持するということになり、河野太郎は支持を望めないということになるが、既に、総裁選挙後には協力することを公言している。これは、対米従属神奈川連合の枠組みを崩さないということを示している。
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 菅義偉は日本の対米従属の大きな柱と言えるだろう。菅義偉は2019年の官房長官時代に訪米を果たしている。当時のマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンぺオ国務長官と会談を行った。また、アーリントン墓地訪問を行っている。官房長官は政権の扇のかなめとして、総理大臣の女房役として補佐役を務め、外遊を行うということはほぼない。それでも、菅義偉は当時のポスト安倍晋三の一番手、最有力候補として、アメリカが首実検を行い、テストにパスしたということになる。アメリカ軍、特にアメリカ海軍の重要な拠点基地を持つ神奈川県選出の議員でもある。また、日本維新の会との緊密な関係を持ち、カジノを推進させている。どうも、ポスト岸田の自民党総裁、日本の首相に関しては、より露骨な対米従属型をアメリカ側も、日本側も推進しているようだ。アメリカ側では、ラーム・エマニュエルがカマラ・ハリス政権成立を見越して、ワシントンに引き上げる。エマニュエルのお眼鏡にかなっているのが、アホの小泉進次郎である。他の候補者たちはまだ思考力もあり、対米従属の度合いに疑問が残るが、小泉はその点で完璧な存在である。
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 小泉のジャパンハンドラーズとしての養育係だったのが、マイケル・グリーンだ。マイケル・グリーンは現在、シドニー大学におり、ワシントンから左遷されている形である。しかし、小泉進次郎が首相になれば、ワシントンに戻る可能性が高まる。ラーム・エマニュエルと動きを同調させるだろう。

 対米従属神奈川連合・小泉進次郎政権は、ジョージ・W・ブッシュ政権と同じような形になるだろう。父親のジョージ・HW・ブッシュは偉かったが、息子のジョージ・W・ブッシュはアホだった。ブッシュ(子)政権を実質的に取り仕切ったのは、ディック・チェイニー副大統領だった。それと同様に、菅義偉が副総裁や副総理として政権入りして、実施的に采配を振るうということが考えられる。対米従属の度合いが増して、露骨な神奈川連合・小泉政権は、防衛費をさらに増額し、国民に増税を強いていくだろう。その行きつく先は、中国との衝突である。カマラ・ハリス政権が成立して、ラーム・エマニュエルが外交関係の重職に就くことになれば、その可能性が高まる。今回、小泉進次郎政権の可能性が高まっているのは、そうしたアメリカの動きに連動してのことである。日本の属国としての哀しさはここに極まれり、である。

(貼り付けはじめ)

「小泉進次郎首相」誕生に向け、安倍チルドレンが大はしゃぎ! 自民党若手議員の間で囁かれる決選投票「極秘シナリオ」とは

デイリー新潮 20240829

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08291100/?all=1

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08291100/?all=1&page=2

 自民党総裁選が混迷を深めつつある。10名以上が出馬に意欲を示すなか、新たな「対立軸」の出現で、各陣営は戦略の練り直しや支持者の囲い込みに躍起に――。そんななか安倍チルドレンを中心とした若手議員の間で、早くも決選投票に向けた「極秘シナリオ」が囁かれているという。

 ***

826日に出馬表明した河野太郎・デジタル相(61)の爆弾発言が、党内に動揺を走らせているという。全国紙政治部記者が解説する。

「自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、政治資金収支報告書への不記載が発覚した議員に対し、河野氏が不記載額を国庫に全額返納させる考えを表明。それを受け、総裁選にのぞむ他の候補らも事件への対応を明らかにする必要に迫られ、総裁選の新たな争点に浮上しつつあります」

 河野氏の「返納」発言に対し、石破茂・元幹事長(67)が「(議員の処分に関して)1回決めたものを覆すのはあるべきと思わない」と話すと、茂木敏充・幹事長(68)も「過去に遡及することはなかなか難しい」と否定的な考えを示した。

「また“コバホーク”こと小林鷹之・前経済安全保障担当相も『どのような根拠に基づいて、どういう形でどこに返還されるのか、確認していく必要がある』と河野発言に疑問を呈しましたが、その真意について様々な憶測が飛び交っています。というのも、小林氏の推薦人には裏金事件で不記載の誹りを受けた議員も名を連ねる予定とされ、河野発言の影響いかんによっては自身の出馬戦略に影を落としかねないと噂されているのです。河野氏はソレを見越した上で乱立する候補者に向け、新たな“対立軸”をあえて打ち出したと指摘されています」(同)

 裏金事件では最大派閥・安倍派に所属する議員の大半がキックバックを受けていたことが明らかになっており、同派全体では5年間で6億円を超えるパーティー収入の「不記載」が判明。同派所属のアベチルドレン池田佳隆議員の逮捕にまで発展した経緯がある。

 自民党関係者の話。

「そのアベチルドレンを中心とした若手議員の間でいま、河野氏の発言に対する反発が広がっています。(当選回数)34回生以下の議員の多くは小泉進次郎とコバホークを推していて、河野氏の発言はその盛り上がりに『水を差しかねない』と不評を買っている」

 その背景には、こんな呆れた事情があるという。

「安倍元総理という『看板』の力で当選したアベチルドレンや選挙基盤が脆弱な若手にとって、新たにすがる看板がないと“次の選挙で勝てない”との危機感は広く共有されている。その時、〈刷新〉や〈世代交代〉をアピールできる進次郎やコバホークは格好の『選挙の顔』となり得る一方で、河野のいう“裏金事件のケジメ”は、彼らにとって『若手の台頭を妨げ、自分ひとり“清廉さ”をアピールする計略に過ぎない』と映っているようだ」(同)

■「副総裁」候補はアノ人…

現時点で、河野氏の発言に反応を見せていない進次郎氏の動向に注目が集まるなか、

「すでに党の若手の間では『決選投票は進次郎とコバホークになる』と期待含みの予測がひとり歩きを始めている。その熱気に押され、これまで『カラッポの進次郎に首相など務まるはずがない』と否定的な見方をしてきたベテラン議員の間からも『国民が刷新を望むなら、それもアリか……』といった声が出始めている始末だ」(同)

 ただし「懸念もある」と話すのは、前出の政治部記者である。

「進次郎氏に“政策論など何もない”との評は根強く、小林氏にしても“政治家としての実績はないに等しい”との声は多い。つまり仮に進次郎氏と小林氏が決選投票に進めば、『史上稀にみる、空虚で中身のない総裁選になる』と不安視する声が燻っている。そのため進次郎氏が勝ち上がった際は、『副総裁に菅義偉・前首相を据える』ことで、政権の安定化と党内融和を図るとのシナリオがまことしやかに囁かれています」

 これは「悪夢」か、新生・自民の青写真か。出馬に向けた“駆け引き”は今後、ますます激しくなると予想されている。

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●「小泉進次郎氏、96日に立候補を正式表明すると発表 自民党総裁選」

朝日新聞 2024828 1204

https://www.asahi.com/articles/ASS8X0TY4S8XUTFK00CM.html

 自民党の小泉進次郎元環境相(43=衆院神奈川11区、無派閥=28日、総裁選(912日告示、27日投開票)への立候補を96日に正式に表明すると発表した。

 小泉氏は当初、自身が初当選した2009年衆院選の投開票日と同じ830日に表明する方向で調整を進めていた。だが台風10号が日本列島を縦断する予報となっていることから、延期を検討していた。

 同じ神奈川選出の菅義偉前首相(75=無派閥=が全面支援するほか、菅氏に近い議員や岸田派、二階派の中堅・若手議員が支持に動いている。

 朝日新聞が82425日に実施した世論調査では、「次の自民党総裁に誰がふさわしいか」の質問で小泉氏は21%に上り、石破茂元幹事長(67)と並んでトップだった。(藤原慎一)

●「河野氏「総裁選終わればワンチーム」 小泉氏、菅前首相との連携再開に期待」

神奈川新聞 | 2024826() 15:07

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-1105168.html

 自民党総裁選を巡り、河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)は26日の出馬会見で、2021年の前回総裁選で連携した菅義偉前首相(2区)と小泉進次郎元環境相(11区)について、菅氏が今回出馬する見通しの小泉氏の支援に回る方針であることを問われ「総裁選が終わればワンチーム」と述べた。決選投票を見据えて選挙協力を進める可能性も含め、今後の連携再開への期待をにじませた。

 前回総裁選は各種世論調査で「ポスト岸田」候補として上位常連の小泉氏と石破茂元幹事長の支援による「小石河連合」で挑んだ。3度目の挑戦となることを踏まえ、「戦いの構図は毎回違う」と強調。「菅さんも進次郎さんも同じ神奈川。今回もお二人とはここまでいろいろと話をしてきたし、総裁選のさなかは積極的に議論していきたい」と語った。(三木崇、有吉敏)

●「小泉進次郎・元環境相、福島の水産物の安全性PR…総裁選への質問には「今は何も考えられない」」

読売新聞オンライン 2024/07/07 15:00

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240707-OYT1T50055/

 自民党の小泉進次郎・元環境相は6日、自民派閥の政治資金規正法違反事件に関し、「地方の不満が相当寄せられている。払拭(ふっしょく)するためにすべきことをしっかりと考えたい」と述べ、信頼回復に取り組む姿勢を強調した。福島県南相馬市で記者団の質問に答えた。

 小泉氏はこの日、ラーム・エマニュエル駐日米大使と地元で水揚げされたヒラメの刺し身などを味わい、東京電力福島第一原発の処理水の安全性をアピールした。中国による日本産水産物の輸入禁止措置について「非科学的な福島や日本への攻撃に日米ともに立ち向かう」と強調し、総裁選への対応を問われると「今は(福島以外のことは)何も考えられない」と語った。

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●「次の自民総裁、小泉氏23%・石破氏18% 日経世論調査」

日本経済新聞 2024822 22:00 (2024823 10:07更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1973O0Z10C24A8000000/

日本経済新聞社とテレビ東京は岸田文雄首相の退陣表明を受けて2122日に緊急世論調査をした。事実上の首相となる次の自民党総裁にふさわしい人を聞くと小泉進次郎元環境相が23%で首位だった。2位は石破茂元幹事長の18%7月の世論調査から1位と2位が入れ替わった。

高市早苗経済安全保障相が11%と続いた。調査は出馬が取り沙汰される議員11人から1人だけを選んでもらう形で聞いた。

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●「「次の自民総裁」石破氏トップ 小泉・菅氏続く、岸田首相は6位―時事世論調査」

時事通信 編集局202407111732分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071100754&g=pol

 時事通信が5~8日に実施した7月の世論調査で、次の自民党総裁にふさわしい同党国会議員を尋ねたところ、石破茂元幹事長が22.1%で首位だった。小泉進次郎元環境相の10.9%、菅義偉前首相5.2%と続き、「非主流派」が上位3位を占めた。

 岸田文雄首相の党総裁任期は9月末まで。総裁選出馬に意欲を示す河野太郎デジタル相は5.1%、高市早苗経済安全保障担当相は4.0%。再選を目指す首相は3.2%で6位だった。上川陽子外相は3.1%、茂木敏充幹事長と野田聖子元総務相はいずれも1.1%だった。

 自民支持層に限ってみても石破氏は26.2%でトップ。小泉氏10.7%、河野氏9.6%、首相9.1%の順だった。

 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は58.4%。

◇自民総裁にふさわしい議員

(1)石破茂      22.1

(2)小泉進次郎    10.9

(3)菅義偉       5.2

(4)河野太郎      5.1

(5)高市早苗      4.0

(6)岸田文雄      3.2

(7)上川陽子      3.1

(8)茂木敏充      1.1

 野田聖子      1.1

(10)林芳正       0.6

(11)小渕優子      0.4

(12)小林鷹之      0.3

(13)斎藤健       0.2

(14)加藤勝信      0.1

※この中にはいない 18.3

(敬称略、数字は%)。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

アメリカとイスラエルの関係については、非常に複雑になっている。アメリカはこれまでキスラエルを強力に支援してきた。しかし、現在のイスラエルのガザ地区攻撃、戦争拡大路線に対して、アメリカのジョー・バイデン政権は抑制的な態度を取っている。これは、アメリカとイスラエルとの関係の変異店になるのではないかという主張がある。バイデン政権はまた、特に司法改革や人種差別的な政治に対しては懸念を抱いてきた。

下記論稿によれば、今後の関係には深刻な疑問が残り、両国関係は共通の価値観、利益、国内の支持基盤の3つの柱に依存しているが、これらの柱は今まで以上にストレスに晒されている。アメリカの政治情勢も変化しており、共和党と民主党の間で、イスラエル支援に対する意見の対立が激化している。大きく分ければ、共和党はイスラエル支援に前向きで、民主党はイスラエル支援に抑制的となっている。

バイデン政権は、ベンヤミン・ネタニヤフ政権に対して、ガザ地区における人道危機に対処するように求めており、これに対して、ネタニヤフ首相は反対姿勢を取っている。更に、レバノンのヒズボラとの対立を激化させ、ハマスとヒズボラを支援するイランとの全面戦争にまで進みかねないところにまで、状況を悪化させている。対イスラエル問題は、アメリカ大統領選挙においても重要な争点となる。

アメリカからの支援がなければ、イスラエルという国家は成り立っていかない。現在の状況は、イスラエルの国益にとってマイナスになっている。アメリカにとっても、イスラエルへの支援継続は、世界政治において、アメリカの国益にマイナスになる状況になっている。アメリカとイスラエル両国が自国の利益について、再検討し、利益の最大化を図ることが、停戦に向けた第一歩ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

亀裂か分断か?(Rift or Rupture?

-ガザ地区での戦争がアメリカとイスラエルの関係に与えているもの。

アーロン・デイヴィッド・ミラー、ダニエル・C・カーツナー筆

2024年5月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/17/israel-hamas-war-biden-netanyahu-relations-gaza/?tpcc=recirc_featured_alt091023

写真

ガザ地区でのイスラエルの停戦を求める、ワシントンのナショナル・モールでパレスティナ旗を振る親パレスティナデモ参加者(2023年10月21日)。

最近、アメリカとイスラエルの関係における現在の緊張をどう説明すればよいかと人々に質問されることが多くなかった。私たちは簡単な答えを見つけるのに苦労している。私たちは以前にこのようなことを経験したことがあるだろうか? アメリカの軍事援助を一時停止または停止した前例はあるだろうか? そして私たちは、根本的な変化を予感させる関係における何らかの変曲点(inflection point)の頂点に立っているのだろうか?

私たちは長年にわたり、アメリカとイスラエルの関係において、浮き沈みを何度も見てきた。過去に深刻な緊張があった後でも、常に変化よりも継続が優先されているように思われる。時間が経つにつれて、緊張は和らぎ、物事は多かれ少なかれ、伝統的なアメリカとイスラエルの「オペレーティングシステム(operating system)」と呼ばれる通常の過程に戻った。アメリカでは、これは大統領のペルソナ(persona、穏健な親イスラエルから強力な親イスラエルまで)、国内政治(そうしたシンパシーを強く反映し、強化する)、政権の政策(地域の課題を管理するために、イスラエルと対立するよりもむしろ協力することを求めることが多い)によって、緊張の緩和が推進された。

しかし最近、私たちは何か変化を感じている。そして、それが困難な道にあるのか、それとも変革、変曲点なのかは分からない。私たちは現在の状況から重大な結論を出すことには慎重だ。実際、一般に、変曲点という概念は誇張される可能性がある。新型コロナウイルス感染症は私たちの世界を一変させるだろう。ロシアのウクライナ侵攻は国際政治を根本的かつ取り返しのつかないほど変えたと言われている。そして、10月7日は、何らかの形で中東の政治を変えるものだと見る人もいる。しかし、ヘッドラインが必ずしもトレンドラインにつながるとは限らない。そして、変革をもたらすと思われる出来事が、必ずしも変革をもたらすとは限らない。

確かに、イスラエルとバイデン政権の間の現在の緊張は前例のない状況で起こっている。しかし、それらは一時的なものである可能性もある。一方で、アメリカとイスラエルの関係を持続的な違反や亀裂から守る伝統的な運営システムは、10月7日以来機能し続けている。ジョー・バイデン米大統領は例外なく、米国史上どの大統領よりもイスラエルとイスラエルの戦争目的を支持してきた。イランが350発以上の無人機、巡航ミサイル、弾道ミサイルでイスラエルを攻撃した際に、地域的な防空ネットワークを構築し、それを証明した。バイデンとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は定期的に会談し、公の場での衝突の可能性を最小限に抑え、関係を軌道に乗せようとしている。バイデンは、このようなイスラエル支持を維持するために、民主党内を含む国内からの政治的反発を受け続けてきたが、11月の大統領選挙で票を失う可能性がある犠牲を払ってでも、怯むことはなかった。

一方で、今後のアメリカとイスラエルの関係に深刻な疑問を投げかける勢力も存在する。その関係は、共通の価値観(shared values)、共通の利益(common interests)、そして国内の強力な支持基盤(strong base of domestic support)という、密接に結びついた3つの重要な柱の上に成り立っている。今日、これらの柱のそれぞれは、おそらく関係の歴史の他の時期よりも大きなストレスに直面している。

第一に、バイデン政権とほとんどのアメリカ人は、イスラエル史上最も極端な右翼政府と価値観を共有していない。10月7日以前でさえ、ネタニヤフ政権はアメリカの価値観や利益に反する政策、特にイスラエルの司法、特に最高裁判所の権威を厳しく制限する取り組みと見られる司法改革提案(judicial overhaul proposal)を推進していた。バイデン政権とイスラエルの連合の野心は、イスラエルの民主政治体制への取り組みを損なうように見えた。

同時に、ネタニヤフ首相は、人種差別主義者でユダヤ人至上主義者を自称する2人の過激派閣僚に広範な権限を与えた。彼らは、ヨルダン川西岸で併合政策(annexationist policies)を推進し、パレスティナ人に二流市民としての政治生活、亡命、紛争への黙認の選択を強制する意図を公然と宣言した。この取り組みは、権力を維持するために過激派に対応する必要があり、収賄、詐欺、背任(bribery, fraud, and breach of trust)の罪で裁判を抱えるネタニヤフ首相によって歓迎された。

第二に、過去数十年にわたり、アメリカの政治情勢も同様に変化している。イスラエルに対する超党派の支持は依然強いが、どのようなイスラエルを支援すべきかについて共和党と民主党の意見はこれまで以上に分かれている。共和党は概して、「イスラエルは間違いなど犯さない」と主張する政党(Israel-can-do-no-wrong party)になった。ドナルド・トランプとその影響下にある共和党は、ネタニヤフ首相とその右派政府との絆を強めている。民主党は分裂を深めており、パレスティナ人の扱いについて、ネタニヤフ政権に制約とコストを課したいと考えている進歩主義派が少数だがその数を増やしている。10年前には、クリス・マーフィー連邦上院議員、クリス・クーンズ連邦上院議員、クリス・ヴァン・ホーレン連邦上院議員がその方針を公に主張することは想像もできなかっただろう。しかし、今日はそうではない。そして、連邦議会におけるイスラエルの最大の支持者であるチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務は、3月の臨時演説で、新たな選挙と新政府の樹立をイスラエルに対して要求した。アメリカ政治の他の多くの問題と同様に、イスラエルは意見を二分する問題となっており、バイデン政権は、イスラエルへの無条件支援を望む共和党と、支援に条件付きを求める多くの民主党との間で、狭い線の上を歩むことになっている。

第三に、これまでのアラブ・イスラエル戦争とは異なり、そして私たちの持つ直観に反するが、イスラエル・ハマス戦争の独特の性格がアメリカ国内の分断を深めている。抗議活動参加者たちは、ハマスのイスラエルに対する残忍な攻撃、性的暴行、人質(そのほとんどが民間人)のことを忘れているように見える。抗議活動参加者たちは、イスラエルの対応だけに焦点を当てている。バイデン政権にとって、これは問題となっている。なぜなら、バイデン政権は、ハマスについて10月7日のような攻撃を繰り返すことができないようにして、ガザ地区の統治を再開できないところまで弱体化させるという考えを支持しているが、数千人の死者を出したイスラエルの戦略と戦術には強く反対しているからである。イスラエルの戦略と戦術によって、パレスティナ民間人の犠牲者が増え、ガザ地区のインフラの大部分の破壊が行われた。その結果、人道上の悪夢が生じた。イスラエルはこれを予期して対処すべきだったが、イスラエルは、後手、後手に回り、効果のない対応を繰り返してしまった。あれから7カ月が経ち、人道危機は深まるばかりだ。ガザ地区の230万人の大多数が避難を余儀なくされたため、彼らは適切な避難所、水、食料、医療にアクセスできなくなった。

イスラエルの政策と行動の結果、3つの問題がイスラエルとバイデン政権を分断した。それは、民間人の犠牲を最小限に抑える軍事作戦をどのように実施するか、人道的災害を防ぐために十分な支援を確実に提供するにはどのようにしたらよいか、そして戦闘が終わった翌日に何が起こるのか、ということだ。イスラエルは、バイデン政権の計画提示要請に対して不十分な回答を示した。実際、ネタニヤフ首相はラファ、あるいはガザ地区全体に対するいかなる現実的な計画にも反対の姿勢を強めており、ネタニヤフ首相自身の国防大臣やイスラエル軍内の一部が、政府の政策の方向転換に反対する声を上げるよう促している。

おそらく、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムは、特に選挙の年には、関係に継続的な断絶や亀裂を生じさせることなく、これらの問題を管理または解決する方法を見つけるだろう。しかし、そのトレンドラインはどんなものになるだろうか? イスラエルがハマスとの戦争を遂行した結果、アメリカ国内でも国際的にも、イスラエルのイメージとブランドはどの程度根本的に損なわれたのだろうか? 両国を結びつける真の接着剤である価値観の親和性は持続するだろうか? 今や打ち砕かれた共通の価値観に対する認識は、イスラエル政治の右傾化、ヨルダン川西岸と東エルサレムの、イスラエルによる57年間の占領、そして民主政治体制の中で暮らすイスラエルの200万人のパレスティナ国民の多くの不満を乗り越えて生き残ることができるだろうか? 彼らにユダヤ国民と同じ扱いを与えることになるだろうか? アメリカの政治環境は、イスラエルがアメリカの国益にとって利益ではなく、むしろ負担となるのではないかと疑問を抱く若いアメリカ人が増えるまでに進化するだろうか?

良い答えなど出てこない様々な疑問ばかりだ。そして、アメリカ・イスラエル関係の軌跡を確実かつ正確に予測する方法はない。どの要素も決定的なものにはなりえないが、ひとつだけはっきりしていることがある。それは、イスラエル人は、占領の意味を直視しない中で、自分たちにふさわしい平和と安全を手に入れられると信じるというやり方を止める必要があり、パレスティナ人は、イスラエルに苦痛を与えることで、自分たちにふさわしい自決と独立が達成されると信じるのを止める必要がある。10月7日のトラウマと痛み、そして果てしなく続くと思われるイスラエルとハマスの戦争が、彼らにこのような認識をもたらすかどうかはまだ分からない。

※アーロン・デイヴィッド・ミラー:カーネギー国際平和財団上級研究員。歴代の民主党、共和党の各政権で米国務省中東担当分析官、交渉官を務めた。著書に『偉大さの周縁:アメリカはどうしてもう一人の偉大な大統領を持てない(持つことを望まない)のか』がある。ツイッターアカウント:@aarondmiller2

※ダニエル・C・カーツナー:元駐エジプト米大使、元駐イスラエル大使。プリンストン大学公共国際問題研究大学院で外交と紛争解決について教鞭を執る。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 民主政治体制にとって重要なのは、公共圏(public sphere)という考え方だ。これは、市民が政治や経済から離れて、「共通の関心事について話し合う場所」を意味するもので、市民社会(civil society)の基本となる。ドイツの学者ユルゲン・ハーバーマスは公共圏の重要性を私たちが再認識することが重要だと主張している。近代ヨーロッパであれば、町々のコーヒーハウス(coffee house)に人々が集まり、商談をしたり、文学や政治について喧々諤々議論をしたりということがあった。また、金持ちや貴族の邸宅で定期的に開かれたサロン(salon)でも同様のことが行われた。
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ユルゲン・ハーバーマス

 このような人々の集まり、つながりはどんどん希薄になっている。そのことに警鐘を鳴らしているのが、アメリカの学者ロバート・パットナムだ。ロバート・パットナムは、社会関係資本(social capital)という考えを提唱している。これは、「個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、およびそこから生じる互酬性と信頼性の規範」と定義されているが、社会関係資本があることで、民主政治体制がうまく機能するということになる。

今日のドイツでは、テレビのトーク番組や新聞による議論が活発で、公共圏の役割が強調されているが、ハーバーマスは誤った情報を濾過する機能を持つ場の重要性を指摘している。彼は自由民主政治体制を擁護した。

冷戦後、ハーバーマスはドイツ民族主義の復活に懸念を示し、ヨーロッパ憲法の制定を訴えたが失敗に終わった。彼はヨーロッパのアイデンティティを国際法への関与に求め、アメリカの非合理的な政策に対抗する姿勢を強調している。平和主義への関与も彼の思想の中心であり、彼は過去にドイツ連邦軍の再軍備に反対していた。

ハーバーマスはドイツ統一後の外交政策を正当化したが、ウクライナ戦争に対する彼の見解は変化を見せている。彼はショルツ首相の慎重な姿勢を支持するが、彼の呼びかけは批判を受けている。ドイツでは歴史の大きな転換点が訪れており、ハーバーマスの平和と相互理解の主張は時代にそぐわないとされる。彼の思想が変化したのではなく、周囲の世界が変わったことが示唆されている。

批判者はハーバーマスが急進的な民主主義を放棄したと主張し、彼を政治的エスタブリッシュメントの支持者として非難する。しかし、フェルシュは彼の変化は世界の変化によるものであると述べ、極右の台頭や歴史修正主義が彼の懸念を強めていることを指摘している。ハーバーマスの思想は、現在の政治的、道徳的な取り組みにおいて依然として重要であり、彼は新たな政治的要請に適応することを求めている。

 ハーバーマスに関しては、穏健派に転向したという批判がなされているようであるが、彼が変化したと言うよりも、時代が大きく変化して、思想の位置づけもそれによって変化したことで評価が変わったということが言えるかもしれない。

(貼り付けはじめ)

世界はまだハーバーマスを必要としている(The World Still Needs Habermas

-ドイツの哲学者は、彼の自由主義の遺産よりも長生きし始めている。

ジャン=ワーナー・ミューラー筆

2024年6月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/30/revisiting-habermas-book-review-germany/

ドイツ国外の人々に、ユルゲン・ハーバーマスがドイツで果たした並外れた役割を伝えるのは難しい。確かに、彼の名前は、世界で最も影響力のある哲学者の、多かれ少なかれ馬鹿げたリストに必ず掲載される。しかし、60年以上にわたり、あらゆる主要な議論で重要な役割を担い、実際、多くの場合にそのような議論を始めた公的な知識人の例は他にはない。

ベルリンを拠点とする文化史家フィリップ・フェルシュによる新著は、ドイツ語から『哲学者(The Philosopher)』と簡単に翻訳され、「ハーバーマスと私たち」という巧みな副題が付けられているが、ハーバーマスは常に戦後ドイツの政治文化のさまざまな時代と完全に同調していたと主張している。これは、ハーバーマスほど長生きした人物としては驚くべき業績である。ハーバーマスは今年95歳になる。フェルシュが指摘するように、ミシェル・フーコーが、ハーバーマスほど長生きしていたなら、ドナルド・トランプ前大統領についてコメントしていたかもしれないし、ハンナ・アーレントがその年齢に達していたなら、テロリズムに関する考察を911事件まで含めていたかもしれない。

また、この本の最後にある哲学者の告白は、更に注目に値する。フェルシュは、ロシア・ウクライナ戦争に関する自身の記事に対する否定的な反応を受けて、ハーバーマスは初めて、もはやドイツの世論を理解していないように感じたと報告している。ハーバーマスは変わったのか、それとも国(ドイツ)が変わり、この哲学者が何十年も擁護してきた平和主義(pacificism)や「ポストナショナリズム(post-nationalism)」から背を向けているのか?

ハーバーマスは長い間、賛否両論、分かれる人物だった。英語圏の多くの人々にとって、これはいくぶん不可解なことだ。なぜなら、彼らはハーバーマスを、コミュニケーションを成功させ、さらには合意を導く哲学者として知っていると思っているからだ。また、おそらくハーバーマスを、長々とした理解しにくい理論書の著者としても考えているだろう。

皮肉なことに、作家としてのハーバーマスの才能が、彼の考えを翻訳することをしばしば困難にしている。ハーバーマスは学者になる前は、フリーランスのジャーナリストで、彼の公的な発言は、テレビやラジオではなく常に文章で行われ、比喩に富んだ文体で見事な論争となっている。示唆に富んだ比喩は哲学的な働きもするため、学術書の翻訳は難しい。

そのなかには、1962年に出版され、今日に至るまでハーバーマスの著作のなかで最も多くの部数を売り上げている本がある。『公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究(The Structural Transformation of the Public Sphere)』という扱いにくいタイトルだが、その主要なテーゼは単純明快だ。民主政治体制とは、自由で公正な選挙だけでなく、世論形成の開かれたプロセスをも決定的に必要とする。ハーバーマスが様式化した説明によれば、18世紀には、サロンやコーヒーハウスで、小説について自由に語り合うブルジョワの読者が増えていた。やがて議論は政治問題にまで及んだ。君主(monarchs)が民衆(people)の前に姿を現していたのに対し、市民[citizens](少なくとも男性で裕福な市民)は、国家が自分たちの意見を代弁し、自分たちのために行動することを期待するようになった。

ハーバーマスの著作が、衰退と没落(decline and fall)の物語を語っていることは忘れられがちだ。巧妙な広告手法への依存度が高まった資本主義と、複雑な行政国家の台頭が、自由でオープンな公共圏を破壊した。しかし、振り返ってみると、1960年代は、マスメディアの黄金時代だったようだ。ハーバーマスは2022年の『公共性の構造転換』に関するエッセイでその点を認めている。その中で彼は、いわゆる「フィルターバブル(filter bubbles)」と「ポスト真実(post-truth)」の時代と、広く尊敬され経済的に成功した新聞やテレビニューズが特徴で、毎晩国全体が集まる世界とを対比した。

フェルシュが指摘するように、この著作とその後のハーバーマスのコミュニケーションに関するより哲学的な著作は、ナチスの独裁と国家権力への服従という古い伝統から脱却した西ドイツ人が自由に議論する方法を学び始めた戦後の時代に、まさにふさわしいメッセージを含んでいた。左派の多くと同様、ハーバーマスも初期の連邦共和国の雰囲気を茫洋としたものと感じていた。熱狂的な反共主義者であったコンラート・アデナウアー首相は、「実験の禁止(no experiments)」を約束し、旧ナチスを新国家に変化させ、批判的な知識人たちはおろか、批判的な報道機関もほとんど許容しなかった。

今日、ドイツの特徴は、夕方のテレビで異常に多くのトーク番組が放送され、翌朝には新聞が大々的に論評することであり、しばしば国から補助金を受ける公開討論会が実施され、新聞が多くのコラムを割いて教授たちの数週間にわたる討論を掲載することである。ハーバーマスは、議会をセミナールームにすることを理想とする合理主義的熟議哲学者(rationalist philosopher of deliberation)の決まり文句(cliche)とは裏腹に、「荒々しく(wild)」であらゆる意見が発言できる公共圏を明確に求めている。同時に、そのような場は「汚水処理場(sewage treatment plants)」のように機能し、誤った情報や明らかに反民主的な意見を濾過することを意図している。

ハーバーマスは、マルクス主義者から「形式的民主政治体制(formal democracy)」にすぎないとしばしば嘲笑される自由民主政治体制(liberal democracy)の手順を支持したが、それは彼がフランスの戦後の知的潮流に敵対的であった理由であり、それが非合理主義(irrationalism)と規範的基準をまったく欠いた美化された政治(aestheticized politics that lacked all normative standards)を促進していると疑っていた。フェルシュは、1980年代初頭に、ハーバーマスとフーコーがパリで「冷たい雰囲気(icy atmosphere)」の中で食事を共にした時のことを回想している。どうやら、唯一の共通の話題は、ドイツ映画だったようだ。フェルシュによると、ハーバーマスはドイツの過去を確かな教育的手法で扱ったアレクサンダー・クルーゲの映画を好むと公言していたが、フーコーは明らかに非合理的なクラウス・キンスキーを主演に迎えたヴェルナー・ヘルツォークのアフリカとラテンアメリカ探訪における「恍惚とした真実(ecstatic truth)」の称賛を好んでいたという。

ハーバーマスが、伝統的なドイツの天才崇拝(Geniekultcult of the towering genius)、つまり高尚な天才への崇拝のようなものを育てないよう常に注意を払ってきたのは偶然ではない。また、フリードリヒ・ニーチェやマルティン・ハイデッガーと比べると、現代のドイツ哲学は完全に退屈になり、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズが「純粋理性の官僚(bureaucrats of pure reason)」と呼んだものに支配されていると主張するフランスの観察者にとって、ハーバーマスが時折、証拠AExhibit A)となるのも偶然ではない。

しかし、バイエルンにある彼の近代的なバンガローで、この哲学者に2度インタヴューしたフェルシュは、ハーバーマスに驚くべき事実を話してもらうことができた。ハーバーマスの主張によれば、彼の新聞記事は全て怒りから書かれたものだった。実際、啓蒙主義の遺産を衒学的に管理する純粋理性の官僚(bureaucrat of pure reason pedantically administering legacies of the Enlightenment)というよりは、ハーバーマスは完全に政治的な動物、つまり多少衝動的な人間ではあるが、信頼できる左派リベラルの政治的本能を持つ人物として理解するのが一番である。対話と協力(dialogue and cooperation)への一般的な取り組みを超えて、彼の政治的ヴィジョンは、受け継がれてきた民族ナショナリズムの考えを超えて、コスモポリタンな国際法秩序へと進化することを伴う。これらの国際法秩序のそれぞれの側面は、現在ますます脅威に直面している。

1980年代初頭、ハーバーマスの政治的衝動は、それまで「理論化できる(capable of theory)」とは考えていなかった主題、つまり歴史へと彼を導いた。1986年、戦後ドイツで最も重要な議論の1つを引き起こした論争的な記事の中で、彼は4人の歴史家がドイツの過去、そしてドイツの現在を「正常化(normalize)」しようとしていると非難した。彼は、保守派がホロコーストを相対化しようとしても、連邦共和国は「正常な(normal)」ナショナリズムのようなものを採用すべきだと考えているとされるのに抵抗することが極めて重要だと書いた。その代わりに、ハーバーマスが「憲法上の愛国心(constitutional patriotism)」と呼んだものを採用することで、ドイツ人は自分たちの特有の問題を抱えた過去から何か特別なことを学んだかもしれないと彼は示唆した。ドイツ人は、文化的伝統(cultural traditions)や偉大な国民的英雄の英雄的行為(heroic deeds by great national heroes)を誇りに思うのではなく、自由主義民主的な憲法に定められた普遍的原則の観点から、歴史に対して批判的な立場を取ることを学んでいた。

この愛国心は、セミナールームでしか語れない、あまりに抽象的で、特に不適切な比喩で言えば、「無血の(bloodless)」ものだとして保守派からしばしば退けられた。しかし、後にヒストリカーストライト(Historikerstreit、歴史家論争)として知られるようになった論争でハーバーマスが勝利者となり、彼の「国家を超えた政治文化(post-national political culture)」という提案が、名ばかりでなくとも、事実上ますます多くのドイツの政治家に採用されたことは疑いようがない。最終的に、ハーバーマスとアデナウアーは同じ目標に収束した。西側にしっかりと根付いたドイツである。ただし、ハーバーマスは、よりコスモポリタンな未来に向かう動きの中で、ドイツを前衛的な(avant-garde)ものとして捉え始めた。

その功績は、ロシアのウクライナへの本格的な侵攻以前にハーバーマスの政治の世界で起きた最大の衝撃によって疑問視された。それは、訓練を受けた歴史学者ヘルムート・コールが監督した、まったく予想外の東西ドイツの統一であり、ハーバーマスによれば、コールは過去を「正常化(normalizing)」する試みの中心人物だった。ハーバーマスは、社会民主党が冷戦の分断を克服しようとした、1950年代から、統一に懐疑的だった。1989年、ドイツ国民国家の再構築を求める動きは、憲法上の愛国心(constitutional patriotism)という苦労して勝ち取った成果を民族ナショナリズム(ethnic nationalism)に置き換える可能性が高いと思われた。

ベルリンの壁が崩壊したとき、ハーバーマスは東側との「関係(relationship)」をまったく感じていないと告白した。多くの人が見下した態度と見なしたように、彼は中央ヨーロッパの革命は新しい政治思想を生み出したのではなく、単に西側に「追いつく(catching up)」ことだったと主張した。彼はまた、新たに回復した主権(sovereignty)に対する過敏さを増した中央ヨーロッパ諸国が、国際秩序(cosmopolitan order)を深める必要性を弱めるかもしれないと懸念した。

その後、ハーバーマスはヨーロッパ統合の熱烈な支持者となった。1970年代後半、彼は「ヨーロッパのファンではない」と語っていた。当時、ヨーロッパ経済共同体と呼ばれていたものは、アデナウアーなどのキリスト教民主党によって始められ、ほとんどが共通市場として機能していたからだ。しかし、ヨーロッパ連合は、冷戦後のドイツ民族主義の復活(post-Cold War resurgence of German nationalism)を懸念する人々にとって、一種の政治的生命保険(a kind of political life insurance policy)となった。ヨーロッパが政治体制になる限り、多様な国民文化を持つこの共同体は、抽象的な政治原則、つまりヨーロッパ憲法上の愛国心のようなものによってまとめられなければならないと考えるのは合理的に思えた。2000年代初頭、ハーバーマスは、当時のドイツ緑の党の外務大臣ヨシュカ・フィッシャーとともに、ヨーロッパ憲法の制定を訴えたが、その試みは失敗に終わった。

ハーバーマスはまた、ヨーロッパのアイデンティティは国際法への関与(commitment to international law)によって定義できると考えるようになった。そして、911事件以降、規範的な方向性を失ったように見えるアメリカに対するカウンターウェイトとして。2003年、彼はジャック・デリダと共著で、ヨーロッパの統一を求める熱烈な訴えを書いた。デリダはかつて哲学上の敵対者だったが、ハーバーマスは多くのフランスの理論家と同様に、デリダにも非合理主義と保守的な傾向があると疑っていた。ヨーロッパは福祉国家(welfare state)を理由に、法を遵守し人道的であると自らを定義することになっていた。国際法の束縛を破ったジョージ・W・ブッシュのアメリカとは対照的だ。アメリカのネオコンの傲慢さ(hubris of U.S. neoconservatives)は、アレントにニューヨークで歓迎されて以来、アメリカで形成期を過ごしてきた知識人にとっては個人的に失望だった。

ハーバーマスが提案したヨーロッパのアイデンティティのもう一つの中心的な部分は、平和主義への関与だった。フェルシュは、ハーバーマスが1950年代にドイツ連邦軍の再軍備に反対し、1960年代にヴェトナム戦争を批判し、1980年代初頭に核兵器搭載可能なミサイルが配備されていた場所の封鎖を主張するなど、その平和主義的本能において驚くほど一貫していると説得力を持って主張している。ハーバーマスは、道徳的原則の名の下に、違法行為を行うことが極めて疑わしいと思われていた国で、市民的不服従(civil disobedience)を正当化した最初の著名な理論家であった。

同時に、フェルシュは、ハーバーマスがドイツ統一後の重要な外交政策決定の全てを正当化したことを私たちに思い出させる。湾岸戦争への支持、コソボ介入への参加、2002年のアメリカの「有志連合(coalition of the willing)」への社会民主党・緑の党連立政権の参加拒否などだ。ハーバーマスにとって、戦争は、解釈の余地が十分に残された国際的な法秩序を予兆する限り正当化可能だった。少なくとも、国連が承認した軍事行動については、ある程度もっともらしい説明に思えたが、1999年のNATOによるベオグラード爆撃については、はるかに難しいケースだった。

しかし、ハーバーマスの枠組みにおける解釈の余地は、ウクライナ戦争が現在ドイツとヨーロッパの政治文化を変えている方法に対応できないようだ。2022年にロシアがウクライナに侵攻した後、ハーバーマスは中道左派の南ドイツ新聞に、軍事援助に対するドイツのオラフ・ショルツ首相の慎重な姿勢を支持する記事を寄稿した。ハーバーマスは常にショルツの社会民主党と親しい関係にあった。歴代の党首たちは彼に助言を求めたが、時にはヨーロッパ債務危機の際の緊縮政策など、彼が誤った政策と見なすものを再考するよう圧力をかけることもあった。また、党内の特定の派閥とこの哲学者の間には、反軍国主義(anti-militarism)への共通の親和性という点で長い間つながりがあった。

しかし、2023年に、モスクワと交渉すべきというハーバーマスの呼びかけは、左派の一部も含めて広く攻撃された。ウクライナのアンドリー・メルニク外務副大臣は、彼の介入は 「ドイツ哲学の恥(disgrace for German philosophy)」だとツイートした。ドイツはヨーロッパの多くの国々と同様、ツァイテンヴェンデ(Zeitenwende)、ショルツ首相が使った「軍事的自衛への回帰によって示される歴史の大きな転換点(the major turning point in history marked by a recommitment to military self-defense)」という言葉によって、新たな政治的要請に到達したのである。政治は、平和と相互理解(peace and mutual understanding)を模索する側に立つべきだと常に主張してきたハーバーマスにとって、この方向転換を支持することは不可能であった。本書の最後で、ハーバーマスはフェルシュに、ドイツ国民の反応はもはや理解できないと告白している。

ハーバーマスに対する批判者たちは、彼が長年続けてきた急進的な民主政治体制と社会主義の政策への取り組みを放棄したと激しく主張する。彼は単にヨーロッパ連合の応援団として行​​動していたと見られ、マルクス主義の遺産を放棄し、経済の民主化(democratizing the economy)を諦め、そしておそらく最も非難されるべきことに、ドイツ人が「国家の柱(staatstragend)」と呼ぶもの、つまり政治的エスタブリッシュメントの柱(a pillar of the political establishment)になりつつあった。2001年に彼がドイツで最も権威のある文化賞の1つを受賞したとき、連邦内閣の閣僚の大半が出席した。

しかしフェルシュは、ハーバーマスの遺産が本当に失われつつあるとすれば、それはハーバーマスの変化によるものではなく、彼を取り巻く世界の変化によるものだと示唆する。より国家主義的なドイツに対するハーバーマスの懸念は、ヒストリカーストリート(歴史家論争)以降は想像もできないような形で歴史修正主義(historical revisionism)を誇示する極右(far right)の台頭によって裏付けられているようだ。ヨーロッパ連合は、ポストナショナリズムの典型とは程遠く、世界的な「規範的勢力(normative power)」になるというその野望は崩壊し、ハンガリーのビクトル・オルバーンのような極右指導者が自由主義的民主政治体制を弱体化させるのを阻止することさえできない。コスモポリタンな法秩序への希望は、大国間の競争(great-power rivalries)という新しい時代に打ち砕かれた。確かに、ハーバーマスは「歴史の終わり」論(end-of-history thesis)に少しでも似たことを主張したことはなかったが、友好的な共存の世界が現実的なユートピアであるという彼の基本的な衝動は、確かに疑問視されてきた。

しかし、ハーバーマスの思想がかつての西ドイツの「安全な場所(safe space)」でのみ意味を成したと結論付けるのは間違いだろう。憲法上の愛国心のようなものを支持することは、むしろ、極右の復活に直面してより緊急である。ヨーロッパ諸国は、様々な点で失敗しているが、その構造は政治的、道徳的にもっと野心的な取り組みにまだ利用できる。ハーバーマスは、ドイツの指導者たちに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の主権国家ヨーロッパ構築の誘いに応じるよう説得できなかった。ハーバーマスは、アメリカに幻滅しているが(アメリカは長い間彼の世界観の暗黙の保証人[tacit guarantor of his worldview]だったと言いたくなる)、その普遍主義的な建国理念の最良の部分は、ほとんど無効になっていない。

ハーバーマスは、1990年代のナイーブなリベラル派とは決して似ていなかった。歴史は単にアイデアが正しいか間違っているかを証明するものではない。むしろ、歴史は公共圏の荒野での継続的な戦いである。知識人の課題は、ドイツの旧式の反近代主義思想家たち(anti-modern thinkers in Germany)が深みを証明する方法であった楽観的でも悲観的でもない。むしろ、それは苛立たしいものであり続けることだ。

※ジャン=ワーナー・ミューラー:プリンストン大学政治学教授。最新刊に『民主政治体制が支配する(Democracy Rules)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 民主党の副大統領候補に選ばれたミネソタ州知事ティム・ウォルツは、大学院生時代の1980年代後半から中国との関係を保っている。生まれ故郷のネブラスカ州の隣にあるミネソタ州の田舎町(妻の故郷でもある)で高校の社会科教師となってからも、中国との関係が続き、学生のグループを引率して、中国訪問を行っている。そのうちの1回は、妻との新婚旅行を兼ねてのものとなった。
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 ミネソタ州は、アメリカでも有数の農業州である。アメリカの農業は連邦政府からの補助金もあり、かつ大規模農業ということで、世界的な競争力を持つ産業分野となっている。農業州は全体として、共和党優勢州であり、農業州出身の連邦議員たちや州知事たちは共和党所属が多く(ウォルツは民主党ではあるが)、彼らは自由貿易を志向している。最大の貿易相手国である中国との関税をめぐる争いが起きると、農業州は困ってしまう。アメリカ産農産物に高い関税をかけられてしまうと、競争力が落ちてしまい、市場シェアをオーストラリアやブラジルといった競争相手に奪われてしまう。農業州は、共和党支持で、反中国的な気質を持っているが、商売としては、中国との関係を重視している。その代表例がティム・ウォルツということになる。

 カマラ・ハリスが大統領になれば、「ヒラリー2.0」のような存在ということになる。対中強硬姿勢を鮮明に打ち出すことになる。その時に、中国とのパイプとしてウォルツがいるということが重要だ。パイプ役として話ができる人物がいてこそ、対立を「管理する」ことができる。対立をエスカレートさせてしまう一方では、最悪の場合には戦争勃発の危険がある。ウォルツの存在は民主党とハリス陣営からの一種のメッセージである。

 日本でも、ただただあほだら経のように、反中国を唱え続ければよいという単純な思考の人々がいるが、それでは世界政治は動いていかないのだ。日中議連の二階俊博会長が訪中して、中国共産党序列3位の全国人民代表大会常務委員会委員長の趙楽際と会談を持っているが、意見を交換し、チャンネルをきちんと整備しておくこと、それを次世代に引き継いでいくことが重要なのだ。アメリカでも、民主党にリアリズム系統がいて、ウォルツを副大統領候補に選んでいるということを受けて、民主党もまだまだ捨てたものではないということを私は感じている。

(貼り付けはじめ)

ティム・ウォルツは常に中国に関して一貫した姿勢を保っている(Tim Walz Has Always Been Consistent on China

-地元紙は、民主党の副大統領候補となったティム・ウォルツが全国的な注目を集めるずっと前に何を考えていたかを明らかにしている。

ポウル・マスグレイヴ筆

2024年8月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/12/tim-walz-china-record-us-election-harris-trump/

ミネソタ州知事ティム・ウォルツがカマラ・ハリス副大統領の副大統領候補として全国の舞台に登場したことで、彼はにわかに注目を集めた。ウォルツは、舞台裏の戦略が成功し、突然空席となった民主党の2番目の候補者として検討されるまで、全国的な知名度は低かった。

ウォルツの半生の印象的な要素の1つは、中国との大変に深いつながりだ。ウォルツは天安門広場の抗議活動から数カ月後の1989年に初めて中国を訪問し、その後約30回訪問した。教育者として、そして中小企業の経営者として、彼は学生グループの中国旅行を促進した。連邦下院議員として、中国の人権と法の支配を監視する連邦議会対中国執行委員会の委員を務め、民主活動家の劉暁波の釈放と天安門事件の犠牲者への追悼を求める決議案の共同提案者となった。

ウォルツの中国での記録に対する注目が全て肯定的だったことはない。共和党や保守派の人々はウォルツの中国との関係を危険なものとして描写しようとしてきた。例えば、マルコ・ルビオ連邦上院議員はXに投稿した文章の中で、ウォルツが中国にとっての資産のような存在であり、「中国が将来のアメリカ指導者をどのように辛抱強く育てているかの一例(an example of how Beijing patiently grooms future American leaders)」であり、ウォルツが「中国が私たちの雇用と工場を奪い、アメリカに麻薬を氾濫させることを許す(allow China to steal our jobs & factories & flood America with drugs)」ことになるだろうと非難した。

しかし、ルビオの攻撃はまさに実態は逆だ。ウォルツの経歴は、中国共産党に対する慎重な批判者としての経歴であり、誇張や融和の傾向がない。これはスピンドクターがここ数週間で作り上げたイメージでもない。ネブラスカ州の小さな町の新聞記事はウォルツが政治的野心を抱くよりもずっと前に発行されたもので、ウォルツが公言していた中国人民と文化に対する愛情が、中国の支配者に対する長年の批判と一致してきたことを示している。

1980年代と90年代には、地方紙に取り上げられることはそんなに大変なことではなかった。例えばウォルツはかつて、「ボックスビュート郡唯一の家族経営新聞」である『アライアンス・タイムズ・ヘラルド』紙に、町の中心部のゴミ箱の塗装と修理という州兵プロジェクトの写真を撮られたことがある。(写真は説明が示唆するのと同じくらい重要だ。)

集まり、4-Hクラブのイヴェント、教会のお知らせなどは、小さな町のニューズ報道ではお決まりの内容だが、時折、例外的な出来事に関する記事で盛り上がることがあった。マサチューセッツを拠点とする非営利団体「ワールド・ティーチ」が運営するプログラムの一環として、ウォルツが中国派遣に選ばれたを決めたのもそのひとつだった。(当時もその後も、多くのニューズ記事ではワールド・ティーチはハーバード大学が運営するプログラムだと説明されているが、ハーバードの学生たちによって設立されたと言った方が正確だ)。

チャドロン州立大学の4年生だったウォルツは、1989年に『チャドロン・レコード』紙に掲載された派遣決定発表の記事で、「私はいつも旅に興味を持っていて、今回の機会は3000年前の文化を見る絶好の機会だと感じている」と語っている。

ウォルツは、決して華やかとはいえない条件下で教員として派遣され働くことになった。ワールド・ティーチが中国に教員を派遣するのはその年が初めてで、参加者は臨機応変に対応しなければならない、とチャドロン・レコードは報じた。ウォルツは「基本的に自分たちで問題を解決しなければならないと言われました」と語っている。交通費、健康保険、オリエンテーションの費用として2500ドルを捻出しなければならず、中国に入れば、月給は100ドルにしかならないと報じられた。

1989年6月のデモ隊の弾圧で、ウォルツはこの旅が続けられるかどうか不安になったが、プログラムは実施された。香港と広州でオリエンテーションを受けた後、ウォルツは教育現場である中国南部の広東省中部に移動し、当時急速に発展していた佛山の高級中学校に赴いた。チャドロン・レコードの1990年の記事によると、彼はそこで1989年12月から1990年12月まで、65人ずつの生徒に、アメリカの歴史と文化、そして英語を教えた。(1994年の『スコッツブラッフスター・ヘラルド』紙の記事によると、ウォルツの中西部訛りのアメリカ英語は、前の教師がイギリス人だった生徒たちにとっては新鮮な変化になったようだということだ)。

彼の旅行は、ウォルツが海外にいる間にシャドロン州立大学の教員に宛てて書いた手紙の抜粋を新聞が記事とs知恵掲載するほど大きなニューズとなった。ウォルツは自分が「王様のように扱われていた」と書いている。彼は「私はカリキュラムに全責任を負っていて、私が管理している」とも述べている。

帰国後、ウォルツは母校チャドロン州立大学で中国滞在ついての講演のために招待された。ほぼ同じ頃、中国での1年間についてのインタヴューが地元紙に掲載された。彼の熱意は明らかだった。「私がどれだけ長く生きても、私がこれほどよく扱われることは二度とないだろう。素晴らしい体験だった」とウォルツは1990年のチャドロン・レコードに対して語った。(2024年、『ニューヨーク・ポスト』紙はウォルツが「共産主義中国に媚びている」証拠としてこの文章をねじ曲げて報じた。)

しかし、文脈を見れば、ウォルツが騙されたのではないことは明らかだ。チャドロン・レコードによれば、彼は教職に就いていた年に北京を訪れ(鉄道で40時間の旅)、天安門広場を見たという。ウォルツは中国と中国人を愛していたが、中国共産党に対する態度は露骨に批判的だった。ウォルツはチャドロン・レコードに対して、天安門広場は「人々にとって常に苦い思い出となるだろう」と述べた。(ウォルツの配偶者によると、ウォルツはその後、天安門事件の日付を忘れないために、結婚の日取りを6月4日に決めた。)

ウォルツは、中国の問題は国民ではなく政府にあると指摘した。彼は次のように述べている。「適切なリーダーシップがあれば、(中国人が)成し遂げられることに限界はない。彼らはとても親切で、寛大で、有能な人々だ。彼らはただひたすら私に与え、与え、与えてくれた。中国に行ったことは、私がこれまでに行ったことの中で最高のことの1つだ」。

ウォルツは、中国の人々が共産主義社会から離れたがっていると見ている。ウォルツはチャドロン・レコードに対して次のように述べている。「学生の多くはアメリカに留学したがっている。彼らは中国にはあまりチャンスがないと感じている」。当時はまだポルトガルの植民地であったマカオをウォルツが旅行した際、マカオ政府がマカオに不法滞在していた中国人移民に恩赦を与えたため、西側諸国での居住を希望する何万人もの中国人が押し寄せたという。

中国訪問が、ウォルツの教育者としてのキャリアを形成した。帰国後数カ月で、ウォルツは当時人口1万人弱だったネブラスカ州アライアンスで社会科教師の職を見つけた。ウォルツは、自分の生徒と、友人の勤め先であった学校の中国人中学生とのペンパル・プログラムを立ち上げた。このプログラムは1991年の『アライアンス・タイムズ・ヘラルド』紙の一面を飾った。

ウォルツは行動的な教師であったと言えるだろう。ウォルツは文化的なギャップを埋めるだけでなく、当時蜜月であった米中政府関係の利害関係を生徒に示すために手紙のやり取りを利用した。ウォルツは『タイムズ・ヘラルド』紙に対し、当時の両国の貿易不均衡(現在の数分の一の機微)について次のように指摘した。「中国政府は、自分たちが売るものを私たち(アメリカ)に買って欲しいが、私たちが売るものは買ってくれない」。

それからすぐに、ウォルツは学生グループを率いて中国を訪れるようになった。最初の訪問は1993年7月で、アライアンス高校の生徒25人を連れて中国政府から一部資金援助を受けて訪問した。中国共産党ではなく、中国文化の一面を批判した珍しい例として、ウォルツは中国オペラを聴きたいというある学生に対し、他の中国オペラを見るくらいなら「ガラスを食べた方がましだ」と答えたということだ。スター・ヘラルド紙によると、翌年、ウォルツは同僚の教師である妻との新婚旅行で、中国への2回の学生旅行を企画した。その後、彼と彼の妻は同様の交流を促進するためのビジネスを始めることになった。

ウォルツは中国に好意的であったが、中国の人々に関する記述は、時に当時の一般的なステレオタイプを反映していた。1989年にレコード紙に掲載された中国からの手紙の中で、彼は「学生たちは行儀が良すぎるくらいだ」と書いている。中国での新婚旅行を前にした1994年のプロフィールの中で、ウォルツは、スター・ヘラルド紙に対し、生徒の名前を覚え、それぞれを見分けるのが大変だったと語っている。ただし、中国の生徒たちはアメリカ人なら誰でも同じように見えると思っていたとも述べている。1993年のタイムズ・ヘラルド紙の取材に対して、彼は自分の生徒たちを、過度に創造的ではなかったが勤勉だったと語っている。そして、小さな町での生活に慣れていたウォルツにとって、中国のスケールの大きさには驚かされたと述べている。

ウォルツの中国滞在が彼にどのような影響を与えたかについての同時代の(そして驚くほど広範な)記録は、ウォルツが中国滞在中に手なずけられたとか、そうでなければ幻惑されたという考えを明確に否定している。彼は、自分とはまったく異なる社会と政府を真摯に観察する若い観察者であった。しかし、何度も中国に接しているうちに、中国は彼にとってますます身近なものになっていった。中国人とその政府についての彼の意見は、自分の経歴と読書によって濾過された、直接の観察から導き出されたものだ。

タカでもハトでもないウォルツは、生徒であり教師でもある、例えるならフクロウのような存在として中国に近づいた。この初期のインタヴューを通じて、彼は国民と政府の分離を主張し、中国政府を繰り返し批判した。また、民主政治体制の重要性を強調し、アメリカに欠けている部分を認識していた。

人は変わるものであり、高校教師のウォルツがどのように授業に取り組んだかから、ウォルツ副大統領候補がどのように行動するかを探るのは明らかに危険である。それでも、ウォルツが理論やイデオロギーよりも事実、特に経験を重視すること、天安門の時代に確立された中国国民と政府に対する信念を深く持っていること、人権の促進と貿易交渉におけるアメリカの経済的利益への関与が長年にわたるものであることは明らかだ。

このような背景があり、さらにその後の下院議員としての中国問題での経験も加われば、ウォルツが北京との関係について、無条件に敵対することも、徹底的にナイーヴになるということもないだろう。

※ポウル・マスグレイヴ:マサチューセッツ大学アマースト校政治学講師。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 日本はアメリカの属国である。これは厳然とした事実であって、いくら表面上で取り繕ってみても既に多くの日本国民が実感として認識していることだ。アメリカの属国である日本は、アメリカのために存在しなければならない。アメリカのためにアメリカ国債を買い、アメリカに投資し、駐留アメリカ軍に土地を提供し、駐留経費を払わねばならない。アメリカ軍は法律の埒外において、何をされても黙っているしかない。こうしたことは、日本国民の生活を守ること以上に、日本にとって重要なことだ。そして、こうしたことは、日本以外のほぼ全ての外国が認識していることだ。「かわいそうだね」という目で見られている。

 日本の首相を決めているのだって、日本の国会ではない。アメリカである。アメリカが「お前、もういいよ」ということになれば、辞めねばならない。辞めそうになければ、スキャンダルを仕掛けられて辞めさせられる。そのために、日本の野党やマスコミがある。ここまで日本は管理されている。

 岸田文雄首相が次の自民党総裁選挙への不出馬表明を行った。岸田首相はお役御免ということになった。アメリカではジョー・バイデン大統領が選挙不出馬を表明した。バイデンの大統領選挙不出馬は、バイデンが賭けに負けたからだ。私の見立てはこうだ。選挙でも試験でも選ばれない、国家を動かす勢力(ディープステイトと言い換えても良い)が、「お前の年齢と現在の体力では大統領は無理だ。しかし、お前が大統領二期目を務められるただ一つのチャンスをやる。それは、ドナルド・トランプを殺すことだ。それが成功すれば、お前は大統領を続けられる。失敗すれば大統領は続けられない。今のままなら負けるぞ。いちかばちかやってみるか」ということで、見事に失敗して、責任を取って退任させられることになった。

アメリカの日本現地人総督である岸田首相も、最初はアメリカの覚えがめでたい時期もあったが、対中強硬姿勢を打ち出すようなそうでもないような、ウクライナ支援もやる気があるようなないような、曖昧な姿勢を見せて、お金を使わないような動きを見せて、アメリカの不興を買った。更には、アメリカ景気の先行き不透明を強める形で、日銀が利上げを行ったことで、「日本管理の現地人の最高責任者はお前だ、だから辞めろ」ということになった。

 9月27日に実施される自民党総裁選挙に向けて、小林鷹之という4回生議員がお膳立てされて出馬表明を行った。小林代議士はハーヴァード大学ケネディスクールの出身だ。また、在ワシントン日本大使館で勤務した後に、財務省を辞めて代議士になった。アメリカの薫陶を受け、「アメリカ・ファースト」をしっかりと教育されている人物だ。立候補表明の場にいた代議士たちもハーヴァード大学だけでなく、アメリカの大学に留学した人物たちが多く、新時代の「アメリカの傀儡」「従米買弁」のグループである。興味深いのは、解散した清和会を実質的に引き継いだ福田達夫と、小林代議士が所属した二階派(源流は中曽根派)の中曽根康隆代議士がいたことだ。彼らをジャパン・ハンドラーズとして担当しているのは、ケント・カルダーとカルダーの弟子マーク・ナッパー、ジェラルド・カーティスだ。小林鷹之は傀儡に過ぎない。重要なのは福田と中曽根だ。ジャパン・ハンドラーズ内部の争いという観点からすれば、小泉進次郎の芽は小さくなったということだ。小泉進次郎の師匠はマイケル・グリーンであるが、現在はオーストラリアに都落ち、左遷状態である。小泉進次郎は後ろ盾がない状態で、今回の総裁選挙に出るのは苦しいということになるだろう。

 「日本はアメリカの属国である」という観点を獲得すると、日本国内政治の動きもアメリカの動きにリンクし、アメリカの意向に従って動くのだということが見えるようになってくる。

(貼り付けはじめ)

●「【独自】先週金曜の段階で総理側近からアメリカ政府に“立候補しない可能性”伝える 岸田総理 総裁選不出馬」

TBSテレビ 2024814() 21:51

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1359555?display=1

岸田総理の自民党総裁選への対応について、総理側がアメリカ政府に先週金曜の段階で“立候補しない可能性がある”という見通しを伝えていたことがJNNの取材でわかりました。

岸田総理が来月にも予定される自民党総裁選への不出馬を表明したことについて、アメリカ政府関係者はJNNの取材に対し、総理側近から先週金曜の段階で岸田総理が総裁選に立候補しない可能性があるという見通しを聞いていたと明らかにしました。

その上で、「不出馬の表明がこれだけ早いタイミングだったことに驚いた」と明かしました。

また、アメリカのエマニュエル駐日大使は不出馬の表明を受けて、SNSで「岸田総理の揺るぎないリーダーシップの下、日米両国は同盟関係の新時代を切り開いてきました」とのコメントを出しています。

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●「小林鷹之氏を支援する議員は誰? 出馬会見の同席者リスト 自民党総裁選 「われわれは派閥の枠組みで動いていない」」

東京新聞 2024819 1959

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348386

自民党総裁選への立候補を19日、表明した小林鷹之前経済安全保障担当相(衆院4期)。記者会見には、2012年の初当選同期を中心に20人を超える中堅・若手議員が同席した。司会は武部新衆院議員が務めた。

総裁選に立候補するには、党所属国会議員20人の推薦が必要となる。

◆半数近くは安倍派の中堅・若手

小林氏は記者会見で「『脱・派閥選挙』を徹底する。旧派閥に支援は一切求めない。自民党は生まれ変わる。私たちの姿を党員、国民の皆さまに見ていただきたい」と訴えた。出席議員の一人も「われわれはもう、派閥という枠組みで動いていない」と話した。

同席者の顔触れは、解散を決めた安倍派に所属していた議員が半数近くを占めた。小林氏は解散を決めた二階派の所属だったが、2021年の前回総裁選では安倍晋三元首相が推した高市早苗経済安保担当相の推薦人になるなど「タカ派」として知られ、小林氏のスタンスに共鳴する中堅・若手が集まったとみられる。

出席した安倍派議員は本紙の取材に、立候補が取り沙汰される小泉進次郎元環境相への支援を打診されたと明かした上で、「浮気をせずに、保守派の小林さんを支援したい」と力を込めた。

福田達夫元総務会長は、報道陣に「仲間で話をする中で、自然と『小林がいい』という話になってきた。同期も、期が違う人もいる。先輩の方々にもいろいろ話をしている中で、今回小林を押し出そうというふうになった」と語った。(佐藤裕介、近藤統義、宮尾幹成)

     ◇

小林氏の記者会見への同席が確認できた国会議員は次の通り(順不同、麻生派以外は解散を決めている)。

【安倍派】

大塚 拓(衆院5期)

福田 達夫(衆院4期)

細田 健一(衆院4期)

和田 義明(衆院3期)

宗清 皇一(衆院3期)

鈴木 英敬(衆院1期)

塩崎 彰久(衆院1期)

吉田 真次(衆院1期)

松本 尚(衆院1期)

小森 卓郎(衆院1期)

石井 拓(衆院1期)

【二階派】

武部 新(衆院4期)

高木 宏寿(衆院3期)

中曽根 康隆(衆院2期)

岩本 剛人(参院1期)

【麻生派】

山田 賢司(衆院4期)

斎藤 洋明(衆院4期)

務台 俊介(衆院4期)

【岸田派】

岩田 和親(衆院4期)

【森山派】

鬼木 誠(衆院4期)

【無派閥】

大野 敬太郎(衆院4期)

熊田 裕通(衆院4期)

勝目 康(衆院1期)

森 由起子(衆院1期)

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●「「コバホーク」小林鷹之氏、イメージは「刷新」でも隠せなかった「守旧色」 裏金解明はしない、安倍派復権に配慮」

東京新聞 2024820 0600

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348467

 自民党の小林鷹之前経済安全保障担当相(49)は19日、国会内で記者会見し、9月の党総裁選への立候補を表明した。総裁選への正式な出馬表明は初めて。総裁選は小林氏の他にも10人が立候補に意欲を示しており、混戦模様。各議員による推薦人確保などの動きが本格化している。(井上峻輔)

◆改憲「最大限の熱量で取り組む」

 小林氏は会見で、派閥の政治資金パーティー裏金事件について「まずは信頼回復だ」と述べ、政策活動費のさらなる透明化や第三者機関の設置などの政治改革に取り組むと主張した。一方で、事件の実態解明には消極的な姿勢を示した。

 改憲については、緊急事態条項の創設や憲法9条への自衛隊明記が喫緊の課題だと強調。「最大限の熱量で取り組む」と訴えた。選択的夫婦別姓の導入には慎重な考えを示した。

 2022年の党調査で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との接点が確認された件に関しては「選挙支援の依頼や金銭のやりとりも含めて一切関わりはない」と強調した。

 選挙戦について、派閥単位での支援は一切求めないと説明した。小林氏の会見には、党の中堅・若手議員24人が同席した。【同席した議員のリスト】

◆石破氏「20人確保」上川氏「準備している」

 19日、他の議員の動きも相次いだ。石破茂元幹事長は、国会内で記者団に「推薦人20人は昨日の時点で確保できており、今日さらに上積みがあった」と述べた。上川陽子外相は外遊先のインドへの出発を前に記者団に「立候補の準備をしている」と明言した。

 小泉進次郎元環境相は、首相官邸で岸田文雄首相と面会。記者団に総裁選への対応を問われ、「官邸で総裁選に触れるのは適切でない」とコメントを避けた。

 総裁選を巡っては、林芳正官房長官、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安保相、斎藤健経済産業相、茂木敏充幹事長、加藤勝信元官房長官、野田聖子元総務相も出馬に向けて準備を進めている。総裁選の日程は20日の党選挙管理委員会で決定する。(井上峻輔)

   ◇   ◇

◆自民総裁選、「脱派閥」は程遠く

 自民党総裁選には、19日に記者会見して名乗りを上げた小林鷹之前経済安全保障担当相以外にも10人が意欲を示し、これまでにない異例の状況だ。政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田文雄首相が派閥解散を打ち出した結果、派閥重鎮の締め付けが緩くなっていることが背景にある。それでも、立候補を目指す議員が派閥トップに「お伺い」を立てるなど、必要となる20人の推薦人確保に向けて「脱派閥」とは程遠い現実がのぞく。 

 「脱派閥選挙を徹底する。旧派閥に対する支援は一切、求めません」。小林氏は記者会見で、裏金事件によって失われた国民の信頼を回復するため、派閥横断的に幅広い党内の支持を得る方針を示した。

◆推薦人「最大勢力」は安倍派

 元官僚で政策通として知られる小林氏は、2021年に当選3回で閣僚に抜てきされたホープ。会見では「自民党が生まれ変わる」「当選4回・40代」と刷新感や世代交代を強調した。

 だが、真相究明が置き去りの裏金事件に関しては、実態解明に踏み込む考えがないと述べるなど、政治とカネの問題の抜本改革には後ろ向きな姿勢を見せた。さらに、裏金事件で要職を外された安倍派議員らの処遇を念頭に「党で正式に処分されていない議員で役職を外されている人たちがいる」として「適材適所の人事を行うことが大切ではないか」と持論を述べた。

 会見場には小林氏を支持する20人以上の議員が顔をそろえたが、安倍派議員が10人超で最も多かった。小林氏はテレビ番組で、裏金事件で役職を外された議員の処遇見直しに言及して釈明した経緯もあり、安倍派への配慮が垣間見えた。

◆まず「親分」にお伺いを立てて…

 岸田派や二階派などは派閥解散を表明したが、議員同士のつながりは残る。岸田派は20日に会合を予定していたが、再結集との批判を恐れたのか、急きょ取りやめた。麻生派は派閥を存続させたままだ。従来の派閥の枠組みが推薦人集めのよりどころとなる構図は変わらない。

 麻生派の河野太郎デジタル相は派閥会長の麻生太郎副総裁と会談し、総裁選出馬の了承を得て準備を本格化。小林氏も、所属する二階派の会長だった二階俊博元幹事長に報告したことを認めた。

 岸田派では、ナンバー2だった林芳正官房長官や、上川陽子外相がそれぞれ総裁選への意欲を会長だった岸田文雄首相に伝えた後、推薦人集めを急ぐ。そんな一連の動きについて、党のベテラン議員の一人は「脱派閥の動きが感じられない」と嘆いた。(坂田奈央、長崎高大)

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●「小林鷹之氏は政策通の保守派、課題は知名度…出馬会見に閣僚経験者「若い割に刷新感に乏しかった」」

読売新聞 2024/08/20 14:45

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240819-OYT1T50232/

 自民党総裁選への立候補を表明した小林鷹之・前経済安全保障相(49)は、財務省出身の政策通で、保守的な政治信条で知られる。国力低下への危機感から政治の道を志し、当選3回で閣僚に起用された。知名度不足が課題で、いち早く出馬に名乗りを上げ、支持拡大を図りたい考えだ。

 「 鷹たか は古い羽根を新しい羽根に換える習性を持っている。自民党も新しい羽根が必要な時期を迎えている」

 小林氏は19日の記者会見で、自身の名前の「鷹」を引用し、党の再生を訴えた。約1時間の記者会見では「新たな自民党に生まれ変わる」と繰り返し、独自の産業政策や外交・安全保障政策に取り組む考えを強調し、「世界をリードする日本を作る」と語った。

 憲法改正は「先送りできない」と訴え、党内の保守派を中心に慎重論が多い選択的夫婦別姓についても、旧姓併記の制度改正が進んでいるとの認識を示した。

 会見では、当選同期の4期生以下の議員らが会場で小林氏の様子を見守った。

 小林氏は千葉県のサラリーマン家庭に生まれ、東大法学部を卒業後、1999年に大蔵省(現・財務省)に入省した。身長186センチ・メートルの長身で、東大在学中はボート部の主将を務めた。

 「国際社会の中で日本の存在感を感じられず、ショックを受けた」

 政治を志したきっかけは、2007~10年の在米日本大使館勤務時代だ。当時は日本の首相が短期間で交代し、民主党政権下では米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走し、日本の信頼感が失われていく現実に直面した。野党時代の自民総裁だった谷垣禎一氏に手紙を書き、政界への道を自らこじ開けた。公募で12年の衆院選に初当選し、経済安保や宇宙・科学技術分野で頭角を現し、21年には46歳で岸田内閣で初代の経済安保相に就任した。

 ただ、他の「ポスト岸田」候補と比較し、知名度では大きく劣る。読売新聞の7月の世論調査では、次の総裁候補としての期待度は1%程度にとどまる。18日には、記者団に地元の千葉県八千代市でランニングする姿を公開したほか、好きなテレビ番組を披露するなど「若さ」と「親しみやすさ」をアピールした。

 調整力に定評がある反面、発信力も課題となりそうだ。閣僚経験者は19日の記者会見について「若い割には突き抜けた発言がなく、刷新感に乏しかった」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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