古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2024年08月

 古村治彦です。

 9月27日の自民党総裁選挙に向けて、既に複数の自民党政治家たちが出馬表明し、もしくは出馬を模索している。小林鷹之、石破茂、河野太郎は既に出馬表明を行っており、その他にも、林芳正、茂木敏光、小泉進次郎、高市早苗といった人々も出馬表明貴社会計をセットしていたり、出馬のための準備を行ったりしている。今回の自民党総裁選挙は、これまでにない大人数の立候補者による選挙ということになりそうだ。

 ここに来て、小泉進次郎元環境相の人気が上がっているとされている。下に掲載した記事にあるように、7月の段階では中位グループにいたのが、8月には石破茂代議士とトップを争うという結果が出ている。SNSでは、小林鷹之元経済安保相と統一教会との関係、河野太郎元外相のパワハラ気質、批判を許さないツイッター(X)での大量ブロックが取り上げられ、厳しく批判されている一方で、小泉進次郎については、そのような厳しい批判は見受けられない。どうも、小泉進次郎を押し上げる空気づくりが着々と進められているようだ。

 小泉進次郎の最大の後ろ盾は、菅義偉前首相だ。菅義偉は、小泉進次郎を全面的にバックアップしているという報道が出ている。また、安倍派や岸田派の若手たちが動いている。菅義偉、小泉進次郎、河野太郎の共通点は、神奈川県内に選挙区を持つということで、「神奈川連合」を形成していると言われている。その神奈川連合から、今回、河野太郎と小泉進次郎が総裁選に出馬するということになった。菅義偉は小泉を支持するということになり、河野太郎は支持を望めないということになるが、既に、総裁選挙後には協力することを公言している。これは、対米従属神奈川連合の枠組みを崩さないということを示している。
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 菅義偉は日本の対米従属の大きな柱と言えるだろう。菅義偉は2019年の官房長官時代に訪米を果たしている。当時のマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンぺオ国務長官と会談を行った。また、アーリントン墓地訪問を行っている。官房長官は政権の扇のかなめとして、総理大臣の女房役として補佐役を務め、外遊を行うということはほぼない。それでも、菅義偉は当時のポスト安倍晋三の一番手、最有力候補として、アメリカが首実検を行い、テストにパスしたということになる。アメリカ軍、特にアメリカ海軍の重要な拠点基地を持つ神奈川県選出の議員でもある。また、日本維新の会との緊密な関係を持ち、カジノを推進させている。どうも、ポスト岸田の自民党総裁、日本の首相に関しては、より露骨な対米従属型をアメリカ側も、日本側も推進しているようだ。アメリカ側では、ラーム・エマニュエルがカマラ・ハリス政権成立を見越して、ワシントンに引き上げる。エマニュエルのお眼鏡にかなっているのが、アホの小泉進次郎である。他の候補者たちはまだ思考力もあり、対米従属の度合いに疑問が残るが、小泉はその点で完璧な存在である。
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 小泉のジャパンハンドラーズとしての養育係だったのが、マイケル・グリーンだ。マイケル・グリーンは現在、シドニー大学におり、ワシントンから左遷されている形である。しかし、小泉進次郎が首相になれば、ワシントンに戻る可能性が高まる。ラーム・エマニュエルと動きを同調させるだろう。

 対米従属神奈川連合・小泉進次郎政権は、ジョージ・W・ブッシュ政権と同じような形になるだろう。父親のジョージ・HW・ブッシュは偉かったが、息子のジョージ・W・ブッシュはアホだった。ブッシュ(子)政権を実質的に取り仕切ったのは、ディック・チェイニー副大統領だった。それと同様に、菅義偉が副総裁や副総理として政権入りして、実施的に采配を振るうということが考えられる。対米従属の度合いが増して、露骨な神奈川連合・小泉政権は、防衛費をさらに増額し、国民に増税を強いていくだろう。その行きつく先は、中国との衝突である。カマラ・ハリス政権が成立して、ラーム・エマニュエルが外交関係の重職に就くことになれば、その可能性が高まる。今回、小泉進次郎政権の可能性が高まっているのは、そうしたアメリカの動きに連動してのことである。日本の属国としての哀しさはここに極まれり、である。

(貼り付けはじめ)

「小泉進次郎首相」誕生に向け、安倍チルドレンが大はしゃぎ! 自民党若手議員の間で囁かれる決選投票「極秘シナリオ」とは

デイリー新潮 20240829

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08291100/?all=1

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08291100/?all=1&page=2

 自民党総裁選が混迷を深めつつある。10名以上が出馬に意欲を示すなか、新たな「対立軸」の出現で、各陣営は戦略の練り直しや支持者の囲い込みに躍起に――。そんななか安倍チルドレンを中心とした若手議員の間で、早くも決選投票に向けた「極秘シナリオ」が囁かれているという。

 ***

826日に出馬表明した河野太郎・デジタル相(61)の爆弾発言が、党内に動揺を走らせているという。全国紙政治部記者が解説する。

「自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、政治資金収支報告書への不記載が発覚した議員に対し、河野氏が不記載額を国庫に全額返納させる考えを表明。それを受け、総裁選にのぞむ他の候補らも事件への対応を明らかにする必要に迫られ、総裁選の新たな争点に浮上しつつあります」

 河野氏の「返納」発言に対し、石破茂・元幹事長(67)が「(議員の処分に関して)1回決めたものを覆すのはあるべきと思わない」と話すと、茂木敏充・幹事長(68)も「過去に遡及することはなかなか難しい」と否定的な考えを示した。

「また“コバホーク”こと小林鷹之・前経済安全保障担当相も『どのような根拠に基づいて、どういう形でどこに返還されるのか、確認していく必要がある』と河野発言に疑問を呈しましたが、その真意について様々な憶測が飛び交っています。というのも、小林氏の推薦人には裏金事件で不記載の誹りを受けた議員も名を連ねる予定とされ、河野発言の影響いかんによっては自身の出馬戦略に影を落としかねないと噂されているのです。河野氏はソレを見越した上で乱立する候補者に向け、新たな“対立軸”をあえて打ち出したと指摘されています」(同)

 裏金事件では最大派閥・安倍派に所属する議員の大半がキックバックを受けていたことが明らかになっており、同派全体では5年間で6億円を超えるパーティー収入の「不記載」が判明。同派所属のアベチルドレン池田佳隆議員の逮捕にまで発展した経緯がある。

 自民党関係者の話。

「そのアベチルドレンを中心とした若手議員の間でいま、河野氏の発言に対する反発が広がっています。(当選回数)34回生以下の議員の多くは小泉進次郎とコバホークを推していて、河野氏の発言はその盛り上がりに『水を差しかねない』と不評を買っている」

 その背景には、こんな呆れた事情があるという。

「安倍元総理という『看板』の力で当選したアベチルドレンや選挙基盤が脆弱な若手にとって、新たにすがる看板がないと“次の選挙で勝てない”との危機感は広く共有されている。その時、〈刷新〉や〈世代交代〉をアピールできる進次郎やコバホークは格好の『選挙の顔』となり得る一方で、河野のいう“裏金事件のケジメ”は、彼らにとって『若手の台頭を妨げ、自分ひとり“清廉さ”をアピールする計略に過ぎない』と映っているようだ」(同)

■「副総裁」候補はアノ人…

現時点で、河野氏の発言に反応を見せていない進次郎氏の動向に注目が集まるなか、

「すでに党の若手の間では『決選投票は進次郎とコバホークになる』と期待含みの予測がひとり歩きを始めている。その熱気に押され、これまで『カラッポの進次郎に首相など務まるはずがない』と否定的な見方をしてきたベテラン議員の間からも『国民が刷新を望むなら、それもアリか……』といった声が出始めている始末だ」(同)

 ただし「懸念もある」と話すのは、前出の政治部記者である。

「進次郎氏に“政策論など何もない”との評は根強く、小林氏にしても“政治家としての実績はないに等しい”との声は多い。つまり仮に進次郎氏と小林氏が決選投票に進めば、『史上稀にみる、空虚で中身のない総裁選になる』と不安視する声が燻っている。そのため進次郎氏が勝ち上がった際は、『副総裁に菅義偉・前首相を据える』ことで、政権の安定化と党内融和を図るとのシナリオがまことしやかに囁かれています」

 これは「悪夢」か、新生・自民の青写真か。出馬に向けた“駆け引き”は今後、ますます激しくなると予想されている。

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●「小泉進次郎氏、96日に立候補を正式表明すると発表 自民党総裁選」

朝日新聞 2024828 1204

https://www.asahi.com/articles/ASS8X0TY4S8XUTFK00CM.html

 自民党の小泉進次郎元環境相(43=衆院神奈川11区、無派閥=28日、総裁選(912日告示、27日投開票)への立候補を96日に正式に表明すると発表した。

 小泉氏は当初、自身が初当選した2009年衆院選の投開票日と同じ830日に表明する方向で調整を進めていた。だが台風10号が日本列島を縦断する予報となっていることから、延期を検討していた。

 同じ神奈川選出の菅義偉前首相(75=無派閥=が全面支援するほか、菅氏に近い議員や岸田派、二階派の中堅・若手議員が支持に動いている。

 朝日新聞が82425日に実施した世論調査では、「次の自民党総裁に誰がふさわしいか」の質問で小泉氏は21%に上り、石破茂元幹事長(67)と並んでトップだった。(藤原慎一)

●「河野氏「総裁選終わればワンチーム」 小泉氏、菅前首相との連携再開に期待」

神奈川新聞 | 2024826() 15:07

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-1105168.html

 自民党総裁選を巡り、河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)は26日の出馬会見で、2021年の前回総裁選で連携した菅義偉前首相(2区)と小泉進次郎元環境相(11区)について、菅氏が今回出馬する見通しの小泉氏の支援に回る方針であることを問われ「総裁選が終わればワンチーム」と述べた。決選投票を見据えて選挙協力を進める可能性も含め、今後の連携再開への期待をにじませた。

 前回総裁選は各種世論調査で「ポスト岸田」候補として上位常連の小泉氏と石破茂元幹事長の支援による「小石河連合」で挑んだ。3度目の挑戦となることを踏まえ、「戦いの構図は毎回違う」と強調。「菅さんも進次郎さんも同じ神奈川。今回もお二人とはここまでいろいろと話をしてきたし、総裁選のさなかは積極的に議論していきたい」と語った。(三木崇、有吉敏)

●「小泉進次郎・元環境相、福島の水産物の安全性PR…総裁選への質問には「今は何も考えられない」」

読売新聞オンライン 2024/07/07 15:00

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240707-OYT1T50055/

 自民党の小泉進次郎・元環境相は6日、自民派閥の政治資金規正法違反事件に関し、「地方の不満が相当寄せられている。払拭(ふっしょく)するためにすべきことをしっかりと考えたい」と述べ、信頼回復に取り組む姿勢を強調した。福島県南相馬市で記者団の質問に答えた。

 小泉氏はこの日、ラーム・エマニュエル駐日米大使と地元で水揚げされたヒラメの刺し身などを味わい、東京電力福島第一原発の処理水の安全性をアピールした。中国による日本産水産物の輸入禁止措置について「非科学的な福島や日本への攻撃に日米ともに立ち向かう」と強調し、総裁選への対応を問われると「今は(福島以外のことは)何も考えられない」と語った。

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●「次の自民総裁、小泉氏23%・石破氏18% 日経世論調査」

日本経済新聞 2024822 22:00 (2024823 10:07更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1973O0Z10C24A8000000/

日本経済新聞社とテレビ東京は岸田文雄首相の退陣表明を受けて2122日に緊急世論調査をした。事実上の首相となる次の自民党総裁にふさわしい人を聞くと小泉進次郎元環境相が23%で首位だった。2位は石破茂元幹事長の18%7月の世論調査から1位と2位が入れ替わった。

高市早苗経済安全保障相が11%と続いた。調査は出馬が取り沙汰される議員11人から1人だけを選んでもらう形で聞いた。

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●「「次の自民総裁」石破氏トップ 小泉・菅氏続く、岸田首相は6位―時事世論調査」

時事通信 編集局202407111732分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071100754&g=pol

 時事通信が5~8日に実施した7月の世論調査で、次の自民党総裁にふさわしい同党国会議員を尋ねたところ、石破茂元幹事長が22.1%で首位だった。小泉進次郎元環境相の10.9%、菅義偉前首相5.2%と続き、「非主流派」が上位3位を占めた。

 岸田文雄首相の党総裁任期は9月末まで。総裁選出馬に意欲を示す河野太郎デジタル相は5.1%、高市早苗経済安全保障担当相は4.0%。再選を目指す首相は3.2%で6位だった。上川陽子外相は3.1%、茂木敏充幹事長と野田聖子元総務相はいずれも1.1%だった。

 自民支持層に限ってみても石破氏は26.2%でトップ。小泉氏10.7%、河野氏9.6%、首相9.1%の順だった。

 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は58.4%。

◇自民総裁にふさわしい議員

(1)石破茂      22.1

(2)小泉進次郎    10.9

(3)菅義偉       5.2

(4)河野太郎      5.1

(5)高市早苗      4.0

(6)岸田文雄      3.2

(7)上川陽子      3.1

(8)茂木敏充      1.1

 野田聖子      1.1

(10)林芳正       0.6

(11)小渕優子      0.4

(12)小林鷹之      0.3

(13)斎藤健       0.2

(14)加藤勝信      0.1

※この中にはいない 18.3

(敬称略、数字は%)。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

アメリカとイスラエルの関係については、非常に複雑になっている。アメリカはこれまでキスラエルを強力に支援してきた。しかし、現在のイスラエルのガザ地区攻撃、戦争拡大路線に対して、アメリカのジョー・バイデン政権は抑制的な態度を取っている。これは、アメリカとイスラエルとの関係の変異店になるのではないかという主張がある。バイデン政権はまた、特に司法改革や人種差別的な政治に対しては懸念を抱いてきた。

下記論稿によれば、今後の関係には深刻な疑問が残り、両国関係は共通の価値観、利益、国内の支持基盤の3つの柱に依存しているが、これらの柱は今まで以上にストレスに晒されている。アメリカの政治情勢も変化しており、共和党と民主党の間で、イスラエル支援に対する意見の対立が激化している。大きく分ければ、共和党はイスラエル支援に前向きで、民主党はイスラエル支援に抑制的となっている。

バイデン政権は、ベンヤミン・ネタニヤフ政権に対して、ガザ地区における人道危機に対処するように求めており、これに対して、ネタニヤフ首相は反対姿勢を取っている。更に、レバノンのヒズボラとの対立を激化させ、ハマスとヒズボラを支援するイランとの全面戦争にまで進みかねないところにまで、状況を悪化させている。対イスラエル問題は、アメリカ大統領選挙においても重要な争点となる。

アメリカからの支援がなければ、イスラエルという国家は成り立っていかない。現在の状況は、イスラエルの国益にとってマイナスになっている。アメリカにとっても、イスラエルへの支援継続は、世界政治において、アメリカの国益にマイナスになる状況になっている。アメリカとイスラエル両国が自国の利益について、再検討し、利益の最大化を図ることが、停戦に向けた第一歩ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

亀裂か分断か?(Rift or Rupture?

-ガザ地区での戦争がアメリカとイスラエルの関係に与えているもの。

アーロン・デイヴィッド・ミラー、ダニエル・C・カーツナー筆

2024年5月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/17/israel-hamas-war-biden-netanyahu-relations-gaza/?tpcc=recirc_featured_alt091023

写真

ガザ地区でのイスラエルの停戦を求める、ワシントンのナショナル・モールでパレスティナ旗を振る親パレスティナデモ参加者(2023年10月21日)。

最近、アメリカとイスラエルの関係における現在の緊張をどう説明すればよいかと人々に質問されることが多くなかった。私たちは簡単な答えを見つけるのに苦労している。私たちは以前にこのようなことを経験したことがあるだろうか? アメリカの軍事援助を一時停止または停止した前例はあるだろうか? そして私たちは、根本的な変化を予感させる関係における何らかの変曲点(inflection point)の頂点に立っているのだろうか?

私たちは長年にわたり、アメリカとイスラエルの関係において、浮き沈みを何度も見てきた。過去に深刻な緊張があった後でも、常に変化よりも継続が優先されているように思われる。時間が経つにつれて、緊張は和らぎ、物事は多かれ少なかれ、伝統的なアメリカとイスラエルの「オペレーティングシステム(operating system)」と呼ばれる通常の過程に戻った。アメリカでは、これは大統領のペルソナ(persona、穏健な親イスラエルから強力な親イスラエルまで)、国内政治(そうしたシンパシーを強く反映し、強化する)、政権の政策(地域の課題を管理するために、イスラエルと対立するよりもむしろ協力することを求めることが多い)によって、緊張の緩和が推進された。

しかし最近、私たちは何か変化を感じている。そして、それが困難な道にあるのか、それとも変革、変曲点なのかは分からない。私たちは現在の状況から重大な結論を出すことには慎重だ。実際、一般に、変曲点という概念は誇張される可能性がある。新型コロナウイルス感染症は私たちの世界を一変させるだろう。ロシアのウクライナ侵攻は国際政治を根本的かつ取り返しのつかないほど変えたと言われている。そして、10月7日は、何らかの形で中東の政治を変えるものだと見る人もいる。しかし、ヘッドラインが必ずしもトレンドラインにつながるとは限らない。そして、変革をもたらすと思われる出来事が、必ずしも変革をもたらすとは限らない。

確かに、イスラエルとバイデン政権の間の現在の緊張は前例のない状況で起こっている。しかし、それらは一時的なものである可能性もある。一方で、アメリカとイスラエルの関係を持続的な違反や亀裂から守る伝統的な運営システムは、10月7日以来機能し続けている。ジョー・バイデン米大統領は例外なく、米国史上どの大統領よりもイスラエルとイスラエルの戦争目的を支持してきた。イランが350発以上の無人機、巡航ミサイル、弾道ミサイルでイスラエルを攻撃した際に、地域的な防空ネットワークを構築し、それを証明した。バイデンとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は定期的に会談し、公の場での衝突の可能性を最小限に抑え、関係を軌道に乗せようとしている。バイデンは、このようなイスラエル支持を維持するために、民主党内を含む国内からの政治的反発を受け続けてきたが、11月の大統領選挙で票を失う可能性がある犠牲を払ってでも、怯むことはなかった。

一方で、今後のアメリカとイスラエルの関係に深刻な疑問を投げかける勢力も存在する。その関係は、共通の価値観(shared values)、共通の利益(common interests)、そして国内の強力な支持基盤(strong base of domestic support)という、密接に結びついた3つの重要な柱の上に成り立っている。今日、これらの柱のそれぞれは、おそらく関係の歴史の他の時期よりも大きなストレスに直面している。

第一に、バイデン政権とほとんどのアメリカ人は、イスラエル史上最も極端な右翼政府と価値観を共有していない。10月7日以前でさえ、ネタニヤフ政権はアメリカの価値観や利益に反する政策、特にイスラエルの司法、特に最高裁判所の権威を厳しく制限する取り組みと見られる司法改革提案(judicial overhaul proposal)を推進していた。バイデン政権とイスラエルの連合の野心は、イスラエルの民主政治体制への取り組みを損なうように見えた。

同時に、ネタニヤフ首相は、人種差別主義者でユダヤ人至上主義者を自称する2人の過激派閣僚に広範な権限を与えた。彼らは、ヨルダン川西岸で併合政策(annexationist policies)を推進し、パレスティナ人に二流市民としての政治生活、亡命、紛争への黙認の選択を強制する意図を公然と宣言した。この取り組みは、権力を維持するために過激派に対応する必要があり、収賄、詐欺、背任(bribery, fraud, and breach of trust)の罪で裁判を抱えるネタニヤフ首相によって歓迎された。

第二に、過去数十年にわたり、アメリカの政治情勢も同様に変化している。イスラエルに対する超党派の支持は依然強いが、どのようなイスラエルを支援すべきかについて共和党と民主党の意見はこれまで以上に分かれている。共和党は概して、「イスラエルは間違いなど犯さない」と主張する政党(Israel-can-do-no-wrong party)になった。ドナルド・トランプとその影響下にある共和党は、ネタニヤフ首相とその右派政府との絆を強めている。民主党は分裂を深めており、パレスティナ人の扱いについて、ネタニヤフ政権に制約とコストを課したいと考えている進歩主義派が少数だがその数を増やしている。10年前には、クリス・マーフィー連邦上院議員、クリス・クーンズ連邦上院議員、クリス・ヴァン・ホーレン連邦上院議員がその方針を公に主張することは想像もできなかっただろう。しかし、今日はそうではない。そして、連邦議会におけるイスラエルの最大の支持者であるチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務は、3月の臨時演説で、新たな選挙と新政府の樹立をイスラエルに対して要求した。アメリカ政治の他の多くの問題と同様に、イスラエルは意見を二分する問題となっており、バイデン政権は、イスラエルへの無条件支援を望む共和党と、支援に条件付きを求める多くの民主党との間で、狭い線の上を歩むことになっている。

第三に、これまでのアラブ・イスラエル戦争とは異なり、そして私たちの持つ直観に反するが、イスラエル・ハマス戦争の独特の性格がアメリカ国内の分断を深めている。抗議活動参加者たちは、ハマスのイスラエルに対する残忍な攻撃、性的暴行、人質(そのほとんどが民間人)のことを忘れているように見える。抗議活動参加者たちは、イスラエルの対応だけに焦点を当てている。バイデン政権にとって、これは問題となっている。なぜなら、バイデン政権は、ハマスについて10月7日のような攻撃を繰り返すことができないようにして、ガザ地区の統治を再開できないところまで弱体化させるという考えを支持しているが、数千人の死者を出したイスラエルの戦略と戦術には強く反対しているからである。イスラエルの戦略と戦術によって、パレスティナ民間人の犠牲者が増え、ガザ地区のインフラの大部分の破壊が行われた。その結果、人道上の悪夢が生じた。イスラエルはこれを予期して対処すべきだったが、イスラエルは、後手、後手に回り、効果のない対応を繰り返してしまった。あれから7カ月が経ち、人道危機は深まるばかりだ。ガザ地区の230万人の大多数が避難を余儀なくされたため、彼らは適切な避難所、水、食料、医療にアクセスできなくなった。

イスラエルの政策と行動の結果、3つの問題がイスラエルとバイデン政権を分断した。それは、民間人の犠牲を最小限に抑える軍事作戦をどのように実施するか、人道的災害を防ぐために十分な支援を確実に提供するにはどのようにしたらよいか、そして戦闘が終わった翌日に何が起こるのか、ということだ。イスラエルは、バイデン政権の計画提示要請に対して不十分な回答を示した。実際、ネタニヤフ首相はラファ、あるいはガザ地区全体に対するいかなる現実的な計画にも反対の姿勢を強めており、ネタニヤフ首相自身の国防大臣やイスラエル軍内の一部が、政府の政策の方向転換に反対する声を上げるよう促している。

おそらく、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムは、特に選挙の年には、関係に継続的な断絶や亀裂を生じさせることなく、これらの問題を管理または解決する方法を見つけるだろう。しかし、そのトレンドラインはどんなものになるだろうか? イスラエルがハマスとの戦争を遂行した結果、アメリカ国内でも国際的にも、イスラエルのイメージとブランドはどの程度根本的に損なわれたのだろうか? 両国を結びつける真の接着剤である価値観の親和性は持続するだろうか? 今や打ち砕かれた共通の価値観に対する認識は、イスラエル政治の右傾化、ヨルダン川西岸と東エルサレムの、イスラエルによる57年間の占領、そして民主政治体制の中で暮らすイスラエルの200万人のパレスティナ国民の多くの不満を乗り越えて生き残ることができるだろうか? 彼らにユダヤ国民と同じ扱いを与えることになるだろうか? アメリカの政治環境は、イスラエルがアメリカの国益にとって利益ではなく、むしろ負担となるのではないかと疑問を抱く若いアメリカ人が増えるまでに進化するだろうか?

良い答えなど出てこない様々な疑問ばかりだ。そして、アメリカ・イスラエル関係の軌跡を確実かつ正確に予測する方法はない。どの要素も決定的なものにはなりえないが、ひとつだけはっきりしていることがある。それは、イスラエル人は、占領の意味を直視しない中で、自分たちにふさわしい平和と安全を手に入れられると信じるというやり方を止める必要があり、パレスティナ人は、イスラエルに苦痛を与えることで、自分たちにふさわしい自決と独立が達成されると信じるのを止める必要がある。10月7日のトラウマと痛み、そして果てしなく続くと思われるイスラエルとハマスの戦争が、彼らにこのような認識をもたらすかどうかはまだ分からない。

※アーロン・デイヴィッド・ミラー:カーネギー国際平和財団上級研究員。歴代の民主党、共和党の各政権で米国務省中東担当分析官、交渉官を務めた。著書に『偉大さの周縁:アメリカはどうしてもう一人の偉大な大統領を持てない(持つことを望まない)のか』がある。ツイッターアカウント:@aarondmiller2

※ダニエル・C・カーツナー:元駐エジプト米大使、元駐イスラエル大使。プリンストン大学公共国際問題研究大学院で外交と紛争解決について教鞭を執る。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 民主政治体制にとって重要なのは、公共圏(public sphere)という考え方だ。これは、市民が政治や経済から離れて、「共通の関心事について話し合う場所」を意味するもので、市民社会(civil society)の基本となる。ドイツの学者ユルゲン・ハーバーマスは公共圏の重要性を私たちが再認識することが重要だと主張している。近代ヨーロッパであれば、町々のコーヒーハウス(coffee house)に人々が集まり、商談をしたり、文学や政治について喧々諤々議論をしたりということがあった。また、金持ちや貴族の邸宅で定期的に開かれたサロン(salon)でも同様のことが行われた。
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ユルゲン・ハーバーマス

 このような人々の集まり、つながりはどんどん希薄になっている。そのことに警鐘を鳴らしているのが、アメリカの学者ロバート・パットナムだ。ロバート・パットナムは、社会関係資本(social capital)という考えを提唱している。これは、「個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、およびそこから生じる互酬性と信頼性の規範」と定義されているが、社会関係資本があることで、民主政治体制がうまく機能するということになる。

今日のドイツでは、テレビのトーク番組や新聞による議論が活発で、公共圏の役割が強調されているが、ハーバーマスは誤った情報を濾過する機能を持つ場の重要性を指摘している。彼は自由民主政治体制を擁護した。

冷戦後、ハーバーマスはドイツ民族主義の復活に懸念を示し、ヨーロッパ憲法の制定を訴えたが失敗に終わった。彼はヨーロッパのアイデンティティを国際法への関与に求め、アメリカの非合理的な政策に対抗する姿勢を強調している。平和主義への関与も彼の思想の中心であり、彼は過去にドイツ連邦軍の再軍備に反対していた。

ハーバーマスはドイツ統一後の外交政策を正当化したが、ウクライナ戦争に対する彼の見解は変化を見せている。彼はショルツ首相の慎重な姿勢を支持するが、彼の呼びかけは批判を受けている。ドイツでは歴史の大きな転換点が訪れており、ハーバーマスの平和と相互理解の主張は時代にそぐわないとされる。彼の思想が変化したのではなく、周囲の世界が変わったことが示唆されている。

批判者はハーバーマスが急進的な民主主義を放棄したと主張し、彼を政治的エスタブリッシュメントの支持者として非難する。しかし、フェルシュは彼の変化は世界の変化によるものであると述べ、極右の台頭や歴史修正主義が彼の懸念を強めていることを指摘している。ハーバーマスの思想は、現在の政治的、道徳的な取り組みにおいて依然として重要であり、彼は新たな政治的要請に適応することを求めている。

 ハーバーマスに関しては、穏健派に転向したという批判がなされているようであるが、彼が変化したと言うよりも、時代が大きく変化して、思想の位置づけもそれによって変化したことで評価が変わったということが言えるかもしれない。

(貼り付けはじめ)

世界はまだハーバーマスを必要としている(The World Still Needs Habermas

-ドイツの哲学者は、彼の自由主義の遺産よりも長生きし始めている。

ジャン=ワーナー・ミューラー筆

2024年6月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/30/revisiting-habermas-book-review-germany/

ドイツ国外の人々に、ユルゲン・ハーバーマスがドイツで果たした並外れた役割を伝えるのは難しい。確かに、彼の名前は、世界で最も影響力のある哲学者の、多かれ少なかれ馬鹿げたリストに必ず掲載される。しかし、60年以上にわたり、あらゆる主要な議論で重要な役割を担い、実際、多くの場合にそのような議論を始めた公的な知識人の例は他にはない。

ベルリンを拠点とする文化史家フィリップ・フェルシュによる新著は、ドイツ語から『哲学者(The Philosopher)』と簡単に翻訳され、「ハーバーマスと私たち」という巧みな副題が付けられているが、ハーバーマスは常に戦後ドイツの政治文化のさまざまな時代と完全に同調していたと主張している。これは、ハーバーマスほど長生きした人物としては驚くべき業績である。ハーバーマスは今年95歳になる。フェルシュが指摘するように、ミシェル・フーコーが、ハーバーマスほど長生きしていたなら、ドナルド・トランプ前大統領についてコメントしていたかもしれないし、ハンナ・アーレントがその年齢に達していたなら、テロリズムに関する考察を911事件まで含めていたかもしれない。

また、この本の最後にある哲学者の告白は、更に注目に値する。フェルシュは、ロシア・ウクライナ戦争に関する自身の記事に対する否定的な反応を受けて、ハーバーマスは初めて、もはやドイツの世論を理解していないように感じたと報告している。ハーバーマスは変わったのか、それとも国(ドイツ)が変わり、この哲学者が何十年も擁護してきた平和主義(pacificism)や「ポストナショナリズム(post-nationalism)」から背を向けているのか?

ハーバーマスは長い間、賛否両論、分かれる人物だった。英語圏の多くの人々にとって、これはいくぶん不可解なことだ。なぜなら、彼らはハーバーマスを、コミュニケーションを成功させ、さらには合意を導く哲学者として知っていると思っているからだ。また、おそらくハーバーマスを、長々とした理解しにくい理論書の著者としても考えているだろう。

皮肉なことに、作家としてのハーバーマスの才能が、彼の考えを翻訳することをしばしば困難にしている。ハーバーマスは学者になる前は、フリーランスのジャーナリストで、彼の公的な発言は、テレビやラジオではなく常に文章で行われ、比喩に富んだ文体で見事な論争となっている。示唆に富んだ比喩は哲学的な働きもするため、学術書の翻訳は難しい。

そのなかには、1962年に出版され、今日に至るまでハーバーマスの著作のなかで最も多くの部数を売り上げている本がある。『公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究(The Structural Transformation of the Public Sphere)』という扱いにくいタイトルだが、その主要なテーゼは単純明快だ。民主政治体制とは、自由で公正な選挙だけでなく、世論形成の開かれたプロセスをも決定的に必要とする。ハーバーマスが様式化した説明によれば、18世紀には、サロンやコーヒーハウスで、小説について自由に語り合うブルジョワの読者が増えていた。やがて議論は政治問題にまで及んだ。君主(monarchs)が民衆(people)の前に姿を現していたのに対し、市民[citizens](少なくとも男性で裕福な市民)は、国家が自分たちの意見を代弁し、自分たちのために行動することを期待するようになった。

ハーバーマスの著作が、衰退と没落(decline and fall)の物語を語っていることは忘れられがちだ。巧妙な広告手法への依存度が高まった資本主義と、複雑な行政国家の台頭が、自由でオープンな公共圏を破壊した。しかし、振り返ってみると、1960年代は、マスメディアの黄金時代だったようだ。ハーバーマスは2022年の『公共性の構造転換』に関するエッセイでその点を認めている。その中で彼は、いわゆる「フィルターバブル(filter bubbles)」と「ポスト真実(post-truth)」の時代と、広く尊敬され経済的に成功した新聞やテレビニューズが特徴で、毎晩国全体が集まる世界とを対比した。

フェルシュが指摘するように、この著作とその後のハーバーマスのコミュニケーションに関するより哲学的な著作は、ナチスの独裁と国家権力への服従という古い伝統から脱却した西ドイツ人が自由に議論する方法を学び始めた戦後の時代に、まさにふさわしいメッセージを含んでいた。左派の多くと同様、ハーバーマスも初期の連邦共和国の雰囲気を茫洋としたものと感じていた。熱狂的な反共主義者であったコンラート・アデナウアー首相は、「実験の禁止(no experiments)」を約束し、旧ナチスを新国家に変化させ、批判的な知識人たちはおろか、批判的な報道機関もほとんど許容しなかった。

今日、ドイツの特徴は、夕方のテレビで異常に多くのトーク番組が放送され、翌朝には新聞が大々的に論評することであり、しばしば国から補助金を受ける公開討論会が実施され、新聞が多くのコラムを割いて教授たちの数週間にわたる討論を掲載することである。ハーバーマスは、議会をセミナールームにすることを理想とする合理主義的熟議哲学者(rationalist philosopher of deliberation)の決まり文句(cliche)とは裏腹に、「荒々しく(wild)」であらゆる意見が発言できる公共圏を明確に求めている。同時に、そのような場は「汚水処理場(sewage treatment plants)」のように機能し、誤った情報や明らかに反民主的な意見を濾過することを意図している。

ハーバーマスは、マルクス主義者から「形式的民主政治体制(formal democracy)」にすぎないとしばしば嘲笑される自由民主政治体制(liberal democracy)の手順を支持したが、それは彼がフランスの戦後の知的潮流に敵対的であった理由であり、それが非合理主義(irrationalism)と規範的基準をまったく欠いた美化された政治(aestheticized politics that lacked all normative standards)を促進していると疑っていた。フェルシュは、1980年代初頭に、ハーバーマスとフーコーがパリで「冷たい雰囲気(icy atmosphere)」の中で食事を共にした時のことを回想している。どうやら、唯一の共通の話題は、ドイツ映画だったようだ。フェルシュによると、ハーバーマスはドイツの過去を確かな教育的手法で扱ったアレクサンダー・クルーゲの映画を好むと公言していたが、フーコーは明らかに非合理的なクラウス・キンスキーを主演に迎えたヴェルナー・ヘルツォークのアフリカとラテンアメリカ探訪における「恍惚とした真実(ecstatic truth)」の称賛を好んでいたという。

ハーバーマスが、伝統的なドイツの天才崇拝(Geniekultcult of the towering genius)、つまり高尚な天才への崇拝のようなものを育てないよう常に注意を払ってきたのは偶然ではない。また、フリードリヒ・ニーチェやマルティン・ハイデッガーと比べると、現代のドイツ哲学は完全に退屈になり、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズが「純粋理性の官僚(bureaucrats of pure reason)」と呼んだものに支配されていると主張するフランスの観察者にとって、ハーバーマスが時折、証拠AExhibit A)となるのも偶然ではない。

しかし、バイエルンにある彼の近代的なバンガローで、この哲学者に2度インタヴューしたフェルシュは、ハーバーマスに驚くべき事実を話してもらうことができた。ハーバーマスの主張によれば、彼の新聞記事は全て怒りから書かれたものだった。実際、啓蒙主義の遺産を衒学的に管理する純粋理性の官僚(bureaucrat of pure reason pedantically administering legacies of the Enlightenment)というよりは、ハーバーマスは完全に政治的な動物、つまり多少衝動的な人間ではあるが、信頼できる左派リベラルの政治的本能を持つ人物として理解するのが一番である。対話と協力(dialogue and cooperation)への一般的な取り組みを超えて、彼の政治的ヴィジョンは、受け継がれてきた民族ナショナリズムの考えを超えて、コスモポリタンな国際法秩序へと進化することを伴う。これらの国際法秩序のそれぞれの側面は、現在ますます脅威に直面している。

1980年代初頭、ハーバーマスの政治的衝動は、それまで「理論化できる(capable of theory)」とは考えていなかった主題、つまり歴史へと彼を導いた。1986年、戦後ドイツで最も重要な議論の1つを引き起こした論争的な記事の中で、彼は4人の歴史家がドイツの過去、そしてドイツの現在を「正常化(normalize)」しようとしていると非難した。彼は、保守派がホロコーストを相対化しようとしても、連邦共和国は「正常な(normal)」ナショナリズムのようなものを採用すべきだと考えているとされるのに抵抗することが極めて重要だと書いた。その代わりに、ハーバーマスが「憲法上の愛国心(constitutional patriotism)」と呼んだものを採用することで、ドイツ人は自分たちの特有の問題を抱えた過去から何か特別なことを学んだかもしれないと彼は示唆した。ドイツ人は、文化的伝統(cultural traditions)や偉大な国民的英雄の英雄的行為(heroic deeds by great national heroes)を誇りに思うのではなく、自由主義民主的な憲法に定められた普遍的原則の観点から、歴史に対して批判的な立場を取ることを学んでいた。

この愛国心は、セミナールームでしか語れない、あまりに抽象的で、特に不適切な比喩で言えば、「無血の(bloodless)」ものだとして保守派からしばしば退けられた。しかし、後にヒストリカーストライト(Historikerstreit、歴史家論争)として知られるようになった論争でハーバーマスが勝利者となり、彼の「国家を超えた政治文化(post-national political culture)」という提案が、名ばかりでなくとも、事実上ますます多くのドイツの政治家に採用されたことは疑いようがない。最終的に、ハーバーマスとアデナウアーは同じ目標に収束した。西側にしっかりと根付いたドイツである。ただし、ハーバーマスは、よりコスモポリタンな未来に向かう動きの中で、ドイツを前衛的な(avant-garde)ものとして捉え始めた。

その功績は、ロシアのウクライナへの本格的な侵攻以前にハーバーマスの政治の世界で起きた最大の衝撃によって疑問視された。それは、訓練を受けた歴史学者ヘルムート・コールが監督した、まったく予想外の東西ドイツの統一であり、ハーバーマスによれば、コールは過去を「正常化(normalizing)」する試みの中心人物だった。ハーバーマスは、社会民主党が冷戦の分断を克服しようとした、1950年代から、統一に懐疑的だった。1989年、ドイツ国民国家の再構築を求める動きは、憲法上の愛国心(constitutional patriotism)という苦労して勝ち取った成果を民族ナショナリズム(ethnic nationalism)に置き換える可能性が高いと思われた。

ベルリンの壁が崩壊したとき、ハーバーマスは東側との「関係(relationship)」をまったく感じていないと告白した。多くの人が見下した態度と見なしたように、彼は中央ヨーロッパの革命は新しい政治思想を生み出したのではなく、単に西側に「追いつく(catching up)」ことだったと主張した。彼はまた、新たに回復した主権(sovereignty)に対する過敏さを増した中央ヨーロッパ諸国が、国際秩序(cosmopolitan order)を深める必要性を弱めるかもしれないと懸念した。

その後、ハーバーマスはヨーロッパ統合の熱烈な支持者となった。1970年代後半、彼は「ヨーロッパのファンではない」と語っていた。当時、ヨーロッパ経済共同体と呼ばれていたものは、アデナウアーなどのキリスト教民主党によって始められ、ほとんどが共通市場として機能していたからだ。しかし、ヨーロッパ連合は、冷戦後のドイツ民族主義の復活(post-Cold War resurgence of German nationalism)を懸念する人々にとって、一種の政治的生命保険(a kind of political life insurance policy)となった。ヨーロッパが政治体制になる限り、多様な国民文化を持つこの共同体は、抽象的な政治原則、つまりヨーロッパ憲法上の愛国心のようなものによってまとめられなければならないと考えるのは合理的に思えた。2000年代初頭、ハーバーマスは、当時のドイツ緑の党の外務大臣ヨシュカ・フィッシャーとともに、ヨーロッパ憲法の制定を訴えたが、その試みは失敗に終わった。

ハーバーマスはまた、ヨーロッパのアイデンティティは国際法への関与(commitment to international law)によって定義できると考えるようになった。そして、911事件以降、規範的な方向性を失ったように見えるアメリカに対するカウンターウェイトとして。2003年、彼はジャック・デリダと共著で、ヨーロッパの統一を求める熱烈な訴えを書いた。デリダはかつて哲学上の敵対者だったが、ハーバーマスは多くのフランスの理論家と同様に、デリダにも非合理主義と保守的な傾向があると疑っていた。ヨーロッパは福祉国家(welfare state)を理由に、法を遵守し人道的であると自らを定義することになっていた。国際法の束縛を破ったジョージ・W・ブッシュのアメリカとは対照的だ。アメリカのネオコンの傲慢さ(hubris of U.S. neoconservatives)は、アレントにニューヨークで歓迎されて以来、アメリカで形成期を過ごしてきた知識人にとっては個人的に失望だった。

ハーバーマスが提案したヨーロッパのアイデンティティのもう一つの中心的な部分は、平和主義への関与だった。フェルシュは、ハーバーマスが1950年代にドイツ連邦軍の再軍備に反対し、1960年代にヴェトナム戦争を批判し、1980年代初頭に核兵器搭載可能なミサイルが配備されていた場所の封鎖を主張するなど、その平和主義的本能において驚くほど一貫していると説得力を持って主張している。ハーバーマスは、道徳的原則の名の下に、違法行為を行うことが極めて疑わしいと思われていた国で、市民的不服従(civil disobedience)を正当化した最初の著名な理論家であった。

同時に、フェルシュは、ハーバーマスがドイツ統一後の重要な外交政策決定の全てを正当化したことを私たちに思い出させる。湾岸戦争への支持、コソボ介入への参加、2002年のアメリカの「有志連合(coalition of the willing)」への社会民主党・緑の党連立政権の参加拒否などだ。ハーバーマスにとって、戦争は、解釈の余地が十分に残された国際的な法秩序を予兆する限り正当化可能だった。少なくとも、国連が承認した軍事行動については、ある程度もっともらしい説明に思えたが、1999年のNATOによるベオグラード爆撃については、はるかに難しいケースだった。

しかし、ハーバーマスの枠組みにおける解釈の余地は、ウクライナ戦争が現在ドイツとヨーロッパの政治文化を変えている方法に対応できないようだ。2022年にロシアがウクライナに侵攻した後、ハーバーマスは中道左派の南ドイツ新聞に、軍事援助に対するドイツのオラフ・ショルツ首相の慎重な姿勢を支持する記事を寄稿した。ハーバーマスは常にショルツの社会民主党と親しい関係にあった。歴代の党首たちは彼に助言を求めたが、時にはヨーロッパ債務危機の際の緊縮政策など、彼が誤った政策と見なすものを再考するよう圧力をかけることもあった。また、党内の特定の派閥とこの哲学者の間には、反軍国主義(anti-militarism)への共通の親和性という点で長い間つながりがあった。

しかし、2023年に、モスクワと交渉すべきというハーバーマスの呼びかけは、左派の一部も含めて広く攻撃された。ウクライナのアンドリー・メルニク外務副大臣は、彼の介入は 「ドイツ哲学の恥(disgrace for German philosophy)」だとツイートした。ドイツはヨーロッパの多くの国々と同様、ツァイテンヴェンデ(Zeitenwende)、ショルツ首相が使った「軍事的自衛への回帰によって示される歴史の大きな転換点(the major turning point in history marked by a recommitment to military self-defense)」という言葉によって、新たな政治的要請に到達したのである。政治は、平和と相互理解(peace and mutual understanding)を模索する側に立つべきだと常に主張してきたハーバーマスにとって、この方向転換を支持することは不可能であった。本書の最後で、ハーバーマスはフェルシュに、ドイツ国民の反応はもはや理解できないと告白している。

ハーバーマスに対する批判者たちは、彼が長年続けてきた急進的な民主政治体制と社会主義の政策への取り組みを放棄したと激しく主張する。彼は単にヨーロッパ連合の応援団として行​​動していたと見られ、マルクス主義の遺産を放棄し、経済の民主化(democratizing the economy)を諦め、そしておそらく最も非難されるべきことに、ドイツ人が「国家の柱(staatstragend)」と呼ぶもの、つまり政治的エスタブリッシュメントの柱(a pillar of the political establishment)になりつつあった。2001年に彼がドイツで最も権威のある文化賞の1つを受賞したとき、連邦内閣の閣僚の大半が出席した。

しかしフェルシュは、ハーバーマスの遺産が本当に失われつつあるとすれば、それはハーバーマスの変化によるものではなく、彼を取り巻く世界の変化によるものだと示唆する。より国家主義的なドイツに対するハーバーマスの懸念は、ヒストリカーストリート(歴史家論争)以降は想像もできないような形で歴史修正主義(historical revisionism)を誇示する極右(far right)の台頭によって裏付けられているようだ。ヨーロッパ連合は、ポストナショナリズムの典型とは程遠く、世界的な「規範的勢力(normative power)」になるというその野望は崩壊し、ハンガリーのビクトル・オルバーンのような極右指導者が自由主義的民主政治体制を弱体化させるのを阻止することさえできない。コスモポリタンな法秩序への希望は、大国間の競争(great-power rivalries)という新しい時代に打ち砕かれた。確かに、ハーバーマスは「歴史の終わり」論(end-of-history thesis)に少しでも似たことを主張したことはなかったが、友好的な共存の世界が現実的なユートピアであるという彼の基本的な衝動は、確かに疑問視されてきた。

しかし、ハーバーマスの思想がかつての西ドイツの「安全な場所(safe space)」でのみ意味を成したと結論付けるのは間違いだろう。憲法上の愛国心のようなものを支持することは、むしろ、極右の復活に直面してより緊急である。ヨーロッパ諸国は、様々な点で失敗しているが、その構造は政治的、道徳的にもっと野心的な取り組みにまだ利用できる。ハーバーマスは、ドイツの指導者たちに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の主権国家ヨーロッパ構築の誘いに応じるよう説得できなかった。ハーバーマスは、アメリカに幻滅しているが(アメリカは長い間彼の世界観の暗黙の保証人[tacit guarantor of his worldview]だったと言いたくなる)、その普遍主義的な建国理念の最良の部分は、ほとんど無効になっていない。

ハーバーマスは、1990年代のナイーブなリベラル派とは決して似ていなかった。歴史は単にアイデアが正しいか間違っているかを証明するものではない。むしろ、歴史は公共圏の荒野での継続的な戦いである。知識人の課題は、ドイツの旧式の反近代主義思想家たち(anti-modern thinkers in Germany)が深みを証明する方法であった楽観的でも悲観的でもない。むしろ、それは苛立たしいものであり続けることだ。

※ジャン=ワーナー・ミューラー:プリンストン大学政治学教授。最新刊に『民主政治体制が支配する(Democracy Rules)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 民主党の副大統領候補に選ばれたミネソタ州知事ティム・ウォルツは、大学院生時代の1980年代後半から中国との関係を保っている。生まれ故郷のネブラスカ州の隣にあるミネソタ州の田舎町(妻の故郷でもある)で高校の社会科教師となってからも、中国との関係が続き、学生のグループを引率して、中国訪問を行っている。そのうちの1回は、妻との新婚旅行を兼ねてのものとなった。
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 ミネソタ州は、アメリカでも有数の農業州である。アメリカの農業は連邦政府からの補助金もあり、かつ大規模農業ということで、世界的な競争力を持つ産業分野となっている。農業州は全体として、共和党優勢州であり、農業州出身の連邦議員たちや州知事たちは共和党所属が多く(ウォルツは民主党ではあるが)、彼らは自由貿易を志向している。最大の貿易相手国である中国との関税をめぐる争いが起きると、農業州は困ってしまう。アメリカ産農産物に高い関税をかけられてしまうと、競争力が落ちてしまい、市場シェアをオーストラリアやブラジルといった競争相手に奪われてしまう。農業州は、共和党支持で、反中国的な気質を持っているが、商売としては、中国との関係を重視している。その代表例がティム・ウォルツということになる。

 カマラ・ハリスが大統領になれば、「ヒラリー2.0」のような存在ということになる。対中強硬姿勢を鮮明に打ち出すことになる。その時に、中国とのパイプとしてウォルツがいるということが重要だ。パイプ役として話ができる人物がいてこそ、対立を「管理する」ことができる。対立をエスカレートさせてしまう一方では、最悪の場合には戦争勃発の危険がある。ウォルツの存在は民主党とハリス陣営からの一種のメッセージである。

 日本でも、ただただあほだら経のように、反中国を唱え続ければよいという単純な思考の人々がいるが、それでは世界政治は動いていかないのだ。日中議連の二階俊博会長が訪中して、中国共産党序列3位の全国人民代表大会常務委員会委員長の趙楽際と会談を持っているが、意見を交換し、チャンネルをきちんと整備しておくこと、それを次世代に引き継いでいくことが重要なのだ。アメリカでも、民主党にリアリズム系統がいて、ウォルツを副大統領候補に選んでいるということを受けて、民主党もまだまだ捨てたものではないということを私は感じている。

(貼り付けはじめ)

ティム・ウォルツは常に中国に関して一貫した姿勢を保っている(Tim Walz Has Always Been Consistent on China

-地元紙は、民主党の副大統領候補となったティム・ウォルツが全国的な注目を集めるずっと前に何を考えていたかを明らかにしている。

ポウル・マスグレイヴ筆

2024年8月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/12/tim-walz-china-record-us-election-harris-trump/

ミネソタ州知事ティム・ウォルツがカマラ・ハリス副大統領の副大統領候補として全国の舞台に登場したことで、彼はにわかに注目を集めた。ウォルツは、舞台裏の戦略が成功し、突然空席となった民主党の2番目の候補者として検討されるまで、全国的な知名度は低かった。

ウォルツの半生の印象的な要素の1つは、中国との大変に深いつながりだ。ウォルツは天安門広場の抗議活動から数カ月後の1989年に初めて中国を訪問し、その後約30回訪問した。教育者として、そして中小企業の経営者として、彼は学生グループの中国旅行を促進した。連邦下院議員として、中国の人権と法の支配を監視する連邦議会対中国執行委員会の委員を務め、民主活動家の劉暁波の釈放と天安門事件の犠牲者への追悼を求める決議案の共同提案者となった。

ウォルツの中国での記録に対する注目が全て肯定的だったことはない。共和党や保守派の人々はウォルツの中国との関係を危険なものとして描写しようとしてきた。例えば、マルコ・ルビオ連邦上院議員はXに投稿した文章の中で、ウォルツが中国にとっての資産のような存在であり、「中国が将来のアメリカ指導者をどのように辛抱強く育てているかの一例(an example of how Beijing patiently grooms future American leaders)」であり、ウォルツが「中国が私たちの雇用と工場を奪い、アメリカに麻薬を氾濫させることを許す(allow China to steal our jobs & factories & flood America with drugs)」ことになるだろうと非難した。

しかし、ルビオの攻撃はまさに実態は逆だ。ウォルツの経歴は、中国共産党に対する慎重な批判者としての経歴であり、誇張や融和の傾向がない。これはスピンドクターがここ数週間で作り上げたイメージでもない。ネブラスカ州の小さな町の新聞記事はウォルツが政治的野心を抱くよりもずっと前に発行されたもので、ウォルツが公言していた中国人民と文化に対する愛情が、中国の支配者に対する長年の批判と一致してきたことを示している。

1980年代と90年代には、地方紙に取り上げられることはそんなに大変なことではなかった。例えばウォルツはかつて、「ボックスビュート郡唯一の家族経営新聞」である『アライアンス・タイムズ・ヘラルド』紙に、町の中心部のゴミ箱の塗装と修理という州兵プロジェクトの写真を撮られたことがある。(写真は説明が示唆するのと同じくらい重要だ。)

集まり、4-Hクラブのイヴェント、教会のお知らせなどは、小さな町のニューズ報道ではお決まりの内容だが、時折、例外的な出来事に関する記事で盛り上がることがあった。マサチューセッツを拠点とする非営利団体「ワールド・ティーチ」が運営するプログラムの一環として、ウォルツが中国派遣に選ばれたを決めたのもそのひとつだった。(当時もその後も、多くのニューズ記事ではワールド・ティーチはハーバード大学が運営するプログラムだと説明されているが、ハーバードの学生たちによって設立されたと言った方が正確だ)。

チャドロン州立大学の4年生だったウォルツは、1989年に『チャドロン・レコード』紙に掲載された派遣決定発表の記事で、「私はいつも旅に興味を持っていて、今回の機会は3000年前の文化を見る絶好の機会だと感じている」と語っている。

ウォルツは、決して華やかとはいえない条件下で教員として派遣され働くことになった。ワールド・ティーチが中国に教員を派遣するのはその年が初めてで、参加者は臨機応変に対応しなければならない、とチャドロン・レコードは報じた。ウォルツは「基本的に自分たちで問題を解決しなければならないと言われました」と語っている。交通費、健康保険、オリエンテーションの費用として2500ドルを捻出しなければならず、中国に入れば、月給は100ドルにしかならないと報じられた。

1989年6月のデモ隊の弾圧で、ウォルツはこの旅が続けられるかどうか不安になったが、プログラムは実施された。香港と広州でオリエンテーションを受けた後、ウォルツは教育現場である中国南部の広東省中部に移動し、当時急速に発展していた佛山の高級中学校に赴いた。チャドロン・レコードの1990年の記事によると、彼はそこで1989年12月から1990年12月まで、65人ずつの生徒に、アメリカの歴史と文化、そして英語を教えた。(1994年の『スコッツブラッフスター・ヘラルド』紙の記事によると、ウォルツの中西部訛りのアメリカ英語は、前の教師がイギリス人だった生徒たちにとっては新鮮な変化になったようだということだ)。

彼の旅行は、ウォルツが海外にいる間にシャドロン州立大学の教員に宛てて書いた手紙の抜粋を新聞が記事とs知恵掲載するほど大きなニューズとなった。ウォルツは自分が「王様のように扱われていた」と書いている。彼は「私はカリキュラムに全責任を負っていて、私が管理している」とも述べている。

帰国後、ウォルツは母校チャドロン州立大学で中国滞在ついての講演のために招待された。ほぼ同じ頃、中国での1年間についてのインタヴューが地元紙に掲載された。彼の熱意は明らかだった。「私がどれだけ長く生きても、私がこれほどよく扱われることは二度とないだろう。素晴らしい体験だった」とウォルツは1990年のチャドロン・レコードに対して語った。(2024年、『ニューヨーク・ポスト』紙はウォルツが「共産主義中国に媚びている」証拠としてこの文章をねじ曲げて報じた。)

しかし、文脈を見れば、ウォルツが騙されたのではないことは明らかだ。チャドロン・レコードによれば、彼は教職に就いていた年に北京を訪れ(鉄道で40時間の旅)、天安門広場を見たという。ウォルツは中国と中国人を愛していたが、中国共産党に対する態度は露骨に批判的だった。ウォルツはチャドロン・レコードに対して、天安門広場は「人々にとって常に苦い思い出となるだろう」と述べた。(ウォルツの配偶者によると、ウォルツはその後、天安門事件の日付を忘れないために、結婚の日取りを6月4日に決めた。)

ウォルツは、中国の問題は国民ではなく政府にあると指摘した。彼は次のように述べている。「適切なリーダーシップがあれば、(中国人が)成し遂げられることに限界はない。彼らはとても親切で、寛大で、有能な人々だ。彼らはただひたすら私に与え、与え、与えてくれた。中国に行ったことは、私がこれまでに行ったことの中で最高のことの1つだ」。

ウォルツは、中国の人々が共産主義社会から離れたがっていると見ている。ウォルツはチャドロン・レコードに対して次のように述べている。「学生の多くはアメリカに留学したがっている。彼らは中国にはあまりチャンスがないと感じている」。当時はまだポルトガルの植民地であったマカオをウォルツが旅行した際、マカオ政府がマカオに不法滞在していた中国人移民に恩赦を与えたため、西側諸国での居住を希望する何万人もの中国人が押し寄せたという。

中国訪問が、ウォルツの教育者としてのキャリアを形成した。帰国後数カ月で、ウォルツは当時人口1万人弱だったネブラスカ州アライアンスで社会科教師の職を見つけた。ウォルツは、自分の生徒と、友人の勤め先であった学校の中国人中学生とのペンパル・プログラムを立ち上げた。このプログラムは1991年の『アライアンス・タイムズ・ヘラルド』紙の一面を飾った。

ウォルツは行動的な教師であったと言えるだろう。ウォルツは文化的なギャップを埋めるだけでなく、当時蜜月であった米中政府関係の利害関係を生徒に示すために手紙のやり取りを利用した。ウォルツは『タイムズ・ヘラルド』紙に対し、当時の両国の貿易不均衡(現在の数分の一の機微)について次のように指摘した。「中国政府は、自分たちが売るものを私たち(アメリカ)に買って欲しいが、私たちが売るものは買ってくれない」。

それからすぐに、ウォルツは学生グループを率いて中国を訪れるようになった。最初の訪問は1993年7月で、アライアンス高校の生徒25人を連れて中国政府から一部資金援助を受けて訪問した。中国共産党ではなく、中国文化の一面を批判した珍しい例として、ウォルツは中国オペラを聴きたいというある学生に対し、他の中国オペラを見るくらいなら「ガラスを食べた方がましだ」と答えたということだ。スター・ヘラルド紙によると、翌年、ウォルツは同僚の教師である妻との新婚旅行で、中国への2回の学生旅行を企画した。その後、彼と彼の妻は同様の交流を促進するためのビジネスを始めることになった。

ウォルツは中国に好意的であったが、中国の人々に関する記述は、時に当時の一般的なステレオタイプを反映していた。1989年にレコード紙に掲載された中国からの手紙の中で、彼は「学生たちは行儀が良すぎるくらいだ」と書いている。中国での新婚旅行を前にした1994年のプロフィールの中で、ウォルツは、スター・ヘラルド紙に対し、生徒の名前を覚え、それぞれを見分けるのが大変だったと語っている。ただし、中国の生徒たちはアメリカ人なら誰でも同じように見えると思っていたとも述べている。1993年のタイムズ・ヘラルド紙の取材に対して、彼は自分の生徒たちを、過度に創造的ではなかったが勤勉だったと語っている。そして、小さな町での生活に慣れていたウォルツにとって、中国のスケールの大きさには驚かされたと述べている。

ウォルツの中国滞在が彼にどのような影響を与えたかについての同時代の(そして驚くほど広範な)記録は、ウォルツが中国滞在中に手なずけられたとか、そうでなければ幻惑されたという考えを明確に否定している。彼は、自分とはまったく異なる社会と政府を真摯に観察する若い観察者であった。しかし、何度も中国に接しているうちに、中国は彼にとってますます身近なものになっていった。中国人とその政府についての彼の意見は、自分の経歴と読書によって濾過された、直接の観察から導き出されたものだ。

タカでもハトでもないウォルツは、生徒であり教師でもある、例えるならフクロウのような存在として中国に近づいた。この初期のインタヴューを通じて、彼は国民と政府の分離を主張し、中国政府を繰り返し批判した。また、民主政治体制の重要性を強調し、アメリカに欠けている部分を認識していた。

人は変わるものであり、高校教師のウォルツがどのように授業に取り組んだかから、ウォルツ副大統領候補がどのように行動するかを探るのは明らかに危険である。それでも、ウォルツが理論やイデオロギーよりも事実、特に経験を重視すること、天安門の時代に確立された中国国民と政府に対する信念を深く持っていること、人権の促進と貿易交渉におけるアメリカの経済的利益への関与が長年にわたるものであることは明らかだ。

このような背景があり、さらにその後の下院議員としての中国問題での経験も加われば、ウォルツが北京との関係について、無条件に敵対することも、徹底的にナイーヴになるということもないだろう。

※ポウル・マスグレイヴ:マサチューセッツ大学アマースト校政治学講師。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 日本はアメリカの属国である。これは厳然とした事実であって、いくら表面上で取り繕ってみても既に多くの日本国民が実感として認識していることだ。アメリカの属国である日本は、アメリカのために存在しなければならない。アメリカのためにアメリカ国債を買い、アメリカに投資し、駐留アメリカ軍に土地を提供し、駐留経費を払わねばならない。アメリカ軍は法律の埒外において、何をされても黙っているしかない。こうしたことは、日本国民の生活を守ること以上に、日本にとって重要なことだ。そして、こうしたことは、日本以外のほぼ全ての外国が認識していることだ。「かわいそうだね」という目で見られている。

 日本の首相を決めているのだって、日本の国会ではない。アメリカである。アメリカが「お前、もういいよ」ということになれば、辞めねばならない。辞めそうになければ、スキャンダルを仕掛けられて辞めさせられる。そのために、日本の野党やマスコミがある。ここまで日本は管理されている。

 岸田文雄首相が次の自民党総裁選挙への不出馬表明を行った。岸田首相はお役御免ということになった。アメリカではジョー・バイデン大統領が選挙不出馬を表明した。バイデンの大統領選挙不出馬は、バイデンが賭けに負けたからだ。私の見立てはこうだ。選挙でも試験でも選ばれない、国家を動かす勢力(ディープステイトと言い換えても良い)が、「お前の年齢と現在の体力では大統領は無理だ。しかし、お前が大統領二期目を務められるただ一つのチャンスをやる。それは、ドナルド・トランプを殺すことだ。それが成功すれば、お前は大統領を続けられる。失敗すれば大統領は続けられない。今のままなら負けるぞ。いちかばちかやってみるか」ということで、見事に失敗して、責任を取って退任させられることになった。

アメリカの日本現地人総督である岸田首相も、最初はアメリカの覚えがめでたい時期もあったが、対中強硬姿勢を打ち出すようなそうでもないような、ウクライナ支援もやる気があるようなないような、曖昧な姿勢を見せて、お金を使わないような動きを見せて、アメリカの不興を買った。更には、アメリカ景気の先行き不透明を強める形で、日銀が利上げを行ったことで、「日本管理の現地人の最高責任者はお前だ、だから辞めろ」ということになった。

 9月27日に実施される自民党総裁選挙に向けて、小林鷹之という4回生議員がお膳立てされて出馬表明を行った。小林代議士はハーヴァード大学ケネディスクールの出身だ。また、在ワシントン日本大使館で勤務した後に、財務省を辞めて代議士になった。アメリカの薫陶を受け、「アメリカ・ファースト」をしっかりと教育されている人物だ。立候補表明の場にいた代議士たちもハーヴァード大学だけでなく、アメリカの大学に留学した人物たちが多く、新時代の「アメリカの傀儡」「従米買弁」のグループである。興味深いのは、解散した清和会を実質的に引き継いだ福田達夫と、小林代議士が所属した二階派(源流は中曽根派)の中曽根康隆代議士がいたことだ。彼らをジャパン・ハンドラーズとして担当しているのは、ケント・カルダーとカルダーの弟子マーク・ナッパー、ジェラルド・カーティスだ。小林鷹之は傀儡に過ぎない。重要なのは福田と中曽根だ。ジャパン・ハンドラーズ内部の争いという観点からすれば、小泉進次郎の芽は小さくなったということだ。小泉進次郎の師匠はマイケル・グリーンであるが、現在はオーストラリアに都落ち、左遷状態である。小泉進次郎は後ろ盾がない状態で、今回の総裁選挙に出るのは苦しいということになるだろう。

 「日本はアメリカの属国である」という観点を獲得すると、日本国内政治の動きもアメリカの動きにリンクし、アメリカの意向に従って動くのだということが見えるようになってくる。

(貼り付けはじめ)

●「【独自】先週金曜の段階で総理側近からアメリカ政府に“立候補しない可能性”伝える 岸田総理 総裁選不出馬」

TBSテレビ 2024814() 21:51

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1359555?display=1

岸田総理の自民党総裁選への対応について、総理側がアメリカ政府に先週金曜の段階で“立候補しない可能性がある”という見通しを伝えていたことがJNNの取材でわかりました。

岸田総理が来月にも予定される自民党総裁選への不出馬を表明したことについて、アメリカ政府関係者はJNNの取材に対し、総理側近から先週金曜の段階で岸田総理が総裁選に立候補しない可能性があるという見通しを聞いていたと明らかにしました。

その上で、「不出馬の表明がこれだけ早いタイミングだったことに驚いた」と明かしました。

また、アメリカのエマニュエル駐日大使は不出馬の表明を受けて、SNSで「岸田総理の揺るぎないリーダーシップの下、日米両国は同盟関係の新時代を切り開いてきました」とのコメントを出しています。

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●「小林鷹之氏を支援する議員は誰? 出馬会見の同席者リスト 自民党総裁選 「われわれは派閥の枠組みで動いていない」」

東京新聞 2024819 1959

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348386

自民党総裁選への立候補を19日、表明した小林鷹之前経済安全保障担当相(衆院4期)。記者会見には、2012年の初当選同期を中心に20人を超える中堅・若手議員が同席した。司会は武部新衆院議員が務めた。

総裁選に立候補するには、党所属国会議員20人の推薦が必要となる。

◆半数近くは安倍派の中堅・若手

小林氏は記者会見で「『脱・派閥選挙』を徹底する。旧派閥に支援は一切求めない。自民党は生まれ変わる。私たちの姿を党員、国民の皆さまに見ていただきたい」と訴えた。出席議員の一人も「われわれはもう、派閥という枠組みで動いていない」と話した。

同席者の顔触れは、解散を決めた安倍派に所属していた議員が半数近くを占めた。小林氏は解散を決めた二階派の所属だったが、2021年の前回総裁選では安倍晋三元首相が推した高市早苗経済安保担当相の推薦人になるなど「タカ派」として知られ、小林氏のスタンスに共鳴する中堅・若手が集まったとみられる。

出席した安倍派議員は本紙の取材に、立候補が取り沙汰される小泉進次郎元環境相への支援を打診されたと明かした上で、「浮気をせずに、保守派の小林さんを支援したい」と力を込めた。

福田達夫元総務会長は、報道陣に「仲間で話をする中で、自然と『小林がいい』という話になってきた。同期も、期が違う人もいる。先輩の方々にもいろいろ話をしている中で、今回小林を押し出そうというふうになった」と語った。(佐藤裕介、近藤統義、宮尾幹成)

     ◇

小林氏の記者会見への同席が確認できた国会議員は次の通り(順不同、麻生派以外は解散を決めている)。

【安倍派】

大塚 拓(衆院5期)

福田 達夫(衆院4期)

細田 健一(衆院4期)

和田 義明(衆院3期)

宗清 皇一(衆院3期)

鈴木 英敬(衆院1期)

塩崎 彰久(衆院1期)

吉田 真次(衆院1期)

松本 尚(衆院1期)

小森 卓郎(衆院1期)

石井 拓(衆院1期)

【二階派】

武部 新(衆院4期)

高木 宏寿(衆院3期)

中曽根 康隆(衆院2期)

岩本 剛人(参院1期)

【麻生派】

山田 賢司(衆院4期)

斎藤 洋明(衆院4期)

務台 俊介(衆院4期)

【岸田派】

岩田 和親(衆院4期)

【森山派】

鬼木 誠(衆院4期)

【無派閥】

大野 敬太郎(衆院4期)

熊田 裕通(衆院4期)

勝目 康(衆院1期)

森 由起子(衆院1期)

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●「「コバホーク」小林鷹之氏、イメージは「刷新」でも隠せなかった「守旧色」 裏金解明はしない、安倍派復権に配慮」

東京新聞 2024820 0600

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348467

 自民党の小林鷹之前経済安全保障担当相(49)は19日、国会内で記者会見し、9月の党総裁選への立候補を表明した。総裁選への正式な出馬表明は初めて。総裁選は小林氏の他にも10人が立候補に意欲を示しており、混戦模様。各議員による推薦人確保などの動きが本格化している。(井上峻輔)

◆改憲「最大限の熱量で取り組む」

 小林氏は会見で、派閥の政治資金パーティー裏金事件について「まずは信頼回復だ」と述べ、政策活動費のさらなる透明化や第三者機関の設置などの政治改革に取り組むと主張した。一方で、事件の実態解明には消極的な姿勢を示した。

 改憲については、緊急事態条項の創設や憲法9条への自衛隊明記が喫緊の課題だと強調。「最大限の熱量で取り組む」と訴えた。選択的夫婦別姓の導入には慎重な考えを示した。

 2022年の党調査で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との接点が確認された件に関しては「選挙支援の依頼や金銭のやりとりも含めて一切関わりはない」と強調した。

 選挙戦について、派閥単位での支援は一切求めないと説明した。小林氏の会見には、党の中堅・若手議員24人が同席した。【同席した議員のリスト】

◆石破氏「20人確保」上川氏「準備している」

 19日、他の議員の動きも相次いだ。石破茂元幹事長は、国会内で記者団に「推薦人20人は昨日の時点で確保できており、今日さらに上積みがあった」と述べた。上川陽子外相は外遊先のインドへの出発を前に記者団に「立候補の準備をしている」と明言した。

 小泉進次郎元環境相は、首相官邸で岸田文雄首相と面会。記者団に総裁選への対応を問われ、「官邸で総裁選に触れるのは適切でない」とコメントを避けた。

 総裁選を巡っては、林芳正官房長官、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安保相、斎藤健経済産業相、茂木敏充幹事長、加藤勝信元官房長官、野田聖子元総務相も出馬に向けて準備を進めている。総裁選の日程は20日の党選挙管理委員会で決定する。(井上峻輔)

   ◇   ◇

◆自民総裁選、「脱派閥」は程遠く

 自民党総裁選には、19日に記者会見して名乗りを上げた小林鷹之前経済安全保障担当相以外にも10人が意欲を示し、これまでにない異例の状況だ。政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田文雄首相が派閥解散を打ち出した結果、派閥重鎮の締め付けが緩くなっていることが背景にある。それでも、立候補を目指す議員が派閥トップに「お伺い」を立てるなど、必要となる20人の推薦人確保に向けて「脱派閥」とは程遠い現実がのぞく。 

 「脱派閥選挙を徹底する。旧派閥に対する支援は一切、求めません」。小林氏は記者会見で、裏金事件によって失われた国民の信頼を回復するため、派閥横断的に幅広い党内の支持を得る方針を示した。

◆推薦人「最大勢力」は安倍派

 元官僚で政策通として知られる小林氏は、2021年に当選3回で閣僚に抜てきされたホープ。会見では「自民党が生まれ変わる」「当選4回・40代」と刷新感や世代交代を強調した。

 だが、真相究明が置き去りの裏金事件に関しては、実態解明に踏み込む考えがないと述べるなど、政治とカネの問題の抜本改革には後ろ向きな姿勢を見せた。さらに、裏金事件で要職を外された安倍派議員らの処遇を念頭に「党で正式に処分されていない議員で役職を外されている人たちがいる」として「適材適所の人事を行うことが大切ではないか」と持論を述べた。

 会見場には小林氏を支持する20人以上の議員が顔をそろえたが、安倍派議員が10人超で最も多かった。小林氏はテレビ番組で、裏金事件で役職を外された議員の処遇見直しに言及して釈明した経緯もあり、安倍派への配慮が垣間見えた。

◆まず「親分」にお伺いを立てて…

 岸田派や二階派などは派閥解散を表明したが、議員同士のつながりは残る。岸田派は20日に会合を予定していたが、再結集との批判を恐れたのか、急きょ取りやめた。麻生派は派閥を存続させたままだ。従来の派閥の枠組みが推薦人集めのよりどころとなる構図は変わらない。

 麻生派の河野太郎デジタル相は派閥会長の麻生太郎副総裁と会談し、総裁選出馬の了承を得て準備を本格化。小林氏も、所属する二階派の会長だった二階俊博元幹事長に報告したことを認めた。

 岸田派では、ナンバー2だった林芳正官房長官や、上川陽子外相がそれぞれ総裁選への意欲を会長だった岸田文雄首相に伝えた後、推薦人集めを急ぐ。そんな一連の動きについて、党のベテラン議員の一人は「脱派閥の動きが感じられない」と嘆いた。(坂田奈央、長崎高大)

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●「小林鷹之氏は政策通の保守派、課題は知名度…出馬会見に閣僚経験者「若い割に刷新感に乏しかった」」

読売新聞 2024/08/20 14:45

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240819-OYT1T50232/

 自民党総裁選への立候補を表明した小林鷹之・前経済安全保障相(49)は、財務省出身の政策通で、保守的な政治信条で知られる。国力低下への危機感から政治の道を志し、当選3回で閣僚に起用された。知名度不足が課題で、いち早く出馬に名乗りを上げ、支持拡大を図りたい考えだ。

 「 鷹たか は古い羽根を新しい羽根に換える習性を持っている。自民党も新しい羽根が必要な時期を迎えている」

 小林氏は19日の記者会見で、自身の名前の「鷹」を引用し、党の再生を訴えた。約1時間の記者会見では「新たな自民党に生まれ変わる」と繰り返し、独自の産業政策や外交・安全保障政策に取り組む考えを強調し、「世界をリードする日本を作る」と語った。

 憲法改正は「先送りできない」と訴え、党内の保守派を中心に慎重論が多い選択的夫婦別姓についても、旧姓併記の制度改正が進んでいるとの認識を示した。

 会見では、当選同期の4期生以下の議員らが会場で小林氏の様子を見守った。

 小林氏は千葉県のサラリーマン家庭に生まれ、東大法学部を卒業後、1999年に大蔵省(現・財務省)に入省した。身長186センチ・メートルの長身で、東大在学中はボート部の主将を務めた。

 「国際社会の中で日本の存在感を感じられず、ショックを受けた」

 政治を志したきっかけは、2007~10年の在米日本大使館勤務時代だ。当時は日本の首相が短期間で交代し、民主党政権下では米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走し、日本の信頼感が失われていく現実に直面した。野党時代の自民総裁だった谷垣禎一氏に手紙を書き、政界への道を自らこじ開けた。公募で12年の衆院選に初当選し、経済安保や宇宙・科学技術分野で頭角を現し、21年には46歳で岸田内閣で初代の経済安保相に就任した。

 ただ、他の「ポスト岸田」候補と比較し、知名度では大きく劣る。読売新聞の7月の世論調査では、次の総裁候補としての期待度は1%程度にとどまる。18日には、記者団に地元の千葉県八千代市でランニングする姿を公開したほか、好きなテレビ番組を披露するなど「若さ」と「親しみやすさ」をアピールした。

 調整力に定評がある反面、発信力も課題となりそうだ。閣僚経験者は19日の記者会見について「若い割には突き抜けた発言がなく、刷新感に乏しかった」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙は、民主党がイリノイ州シカゴで全国大会を開催している。ここで、カマラ・ハリス副大統領が大統領選挙候補者に指名される。ハリスは既に、ミネソタ州知事ティム・ウォルツを伴走者(副大統領候補)に指名している。ウォルツの指名は党内バランスを考え、かつ、アメリカ大統領選挙の主戦場となる五大湖周辺の激戦州を見据えた人選ということになる。
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 ウォルツは極めて一般的な背景を持つ人物である。家業の農業に従事し、大学に進んで、高校の先生となり、アメリカンフットボールのヘッドコーチとしてティームを州チャンピオンに導いたこともあった。州兵に参加して軍務に就いた。カマラ・ハリスのエリート然としたたたずまいと経歴とは対照的な、叩き上げの中西部人である。ウォルツは州知事になる前に、6期12年にわたってミネソタ州選出の連邦下院議員を務めた。ワシントンでの経験と知識も持っている。ハリスに欠けている部分を持っている人物ということになる。

 私は、民主党の副大統領候補について五大湖周辺州の最大の激戦州であるペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ、ケンタッキー州知事アンディ・ベシア、アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリーが有力候補だと考えていた。しかし、シャピロはユダヤ系アメリカ人で配偶者もユダヤ系となり、大統領選挙候補者のカマラ・ハリスの配偶者もユダヤ系となると、3名がユダヤ系で、誰もWASP出身にならないということはある意味で偏りが起きると考えた。また、マーク・ケリーについて経歴は申し分ないが、カリフォルニア州の隣州のアリゾナ州を地盤としているので、西側に偏ってしまうと考えた。

 ティム・ウォルツは党内左派からも歓迎の声が出ている。しかし、カマラ・ハリスがカリフォルニア流のリベラルということで、大統領候補、副大統領候補がともにリベラルに偏ってしまうという欠点が出てしまう。共和党側は既にウォルツについて、「過度にリベラル」と批判している。この点を民主党側は全国大会で払拭していくことになるだろう。アメリカ大統領選挙もいよいよ最終ターンに向かって進んでいく。

(貼り付けはじめ)

ハリスがウォルツを副大統領候補に選ぶ(Harris picks Walz for vice president

エイミー・パーネス、ブレット・サミュエルズ、ブランドン・コンラディス筆

2024年8月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4789021-kamala-harris-vp-tim-walz-minnesota/

カマラ・ハリス副大統領は、11月のドナルド・トランプ前大統領との対決に向けて、ミネソタ州のティム・ウォルツ知事(民主党)を副大統領候補に選んだと火曜日に発表した。

ハリスはインスタグラムへの投稿と支持者へのテキストメッセージで、ウォルツを選んだことを発表し、中産階級家族への支持や州兵として勤務し、教師として働いていたウォルツの経歴を称賛した。

ハリスはインスタグラムへの投稿で、「私が彼の背景を共有するのは、それ自体が印象的であることと、それが彼の記録にどのような影響を与えているかがはっきりと分かるからだ」と書いた。

ハリスは続けて、ウォルツの妻と子供たちについて言及し、「しかし、私がティムについて最も感銘を受けたのは、彼の家族、グウェン、ガス、ホープに対する深い献身だ。ダグと私は、彼とグウェンと協力して、私たちの共通の価値観を反映した政権を構築することを楽しみにしている」と述べた。

ハリスは「私たちは、素晴らしいパートナーシップを築いていく。私たちは素晴らしいティームを作り上げていくつもりだ。私たちはこの選挙に勝つつもりだ」と書いている。

60歳のウォルツは、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)やアリゾナ州選出連邦上院議員マーク・ケリー(民主党)など、知名度の高い候補者の名前が噂される中、ダークホース的な二番手候補として浮上した。

しかし、ミネソタ州知事の知名度はこの1週間で大幅に上昇した。特に、ケーブルニュースのインタヴューで一部の共和党連邦議員を「変人(weird)」と揶揄し、後に全米の民主党議員がこの攻撃方法を採用した。

バイデン大統領が再選を断念し、ハリスが党内の支持を固めて推定候補者となり、副大統領ティームが11月の選挙で、ハリス候補に加わる候補者を急ピッチで吟味した、この2週間の激動の時期を締めくくる人選となった。

この人選は、進歩主義的な民主党員と穏健な民主党員の双方から賞賛を浴びた。

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、ソーシャル・プラットフォーム「X」に「ハリス副大統領は、ウォルツ州知事を伴走者に選ぶという素晴らしい決断を下した。ヘルスケアから学校給食まで、厳しい状況下でも一歩も引き下がらないだろう」と書いた。

バイデンに撤退を求めた最初の民主党連邦下院議員であるロイド・ドゲット連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、ウォルツを「堅実でまともな元同僚議員で、ユーモアもあり、元教師で退役軍人だ。通常は共和党が代表している、ミネソタ州の選挙区を代表していた」と評した。

ドゲット議員はXに、「真面目なティムと仲良くできない訳がない。彼は、知事として、率直で思いやりのあるリーダーとして私たちに必要な進歩をもたらしてくれる」と投稿した。

ハリスは月曜夜の時点では伴走者を決めておらず、最後の数時間まで決断を迷っていた。

ウォルツはまた、彼のリベラルで誠実な姿勢と、他の候補者の一部が左翼の一部から攻撃を受けていたという事実のおかげで、ハリスにとってより安全な選択であると多くの人が考えるようになっていた。シャピロは最近、イスラエル・ハマス戦争後に生じた親パレスティナ抗議デモへの対応をめぐって厳しい追及を受けており、シャピロとケリーはともに労働組合指導者の怒りを買った。

ウォルツの魅力を更に高めているのは、トランプがますます逆転の狙いを定めている中西部州出身という事実だ。2020年のミネソタ州ではバイデンが7ポイント差で勝利し、ミネソタ州の大統領選では50年以上共和党員が勝利したことはないが、トランプと副大統領候補のオハイオ州選出連邦上院議員JD・ヴァンス(共和党)はミネソタ州での選挙活動を強化している。

しかし、ウォルツにも弱点がないということではない。共和党は、ハリスと同様に、中絶やLGBTQ問題に関する、ウォルツの政策的立場の一部を利用して、ウォルツを急進的なリベラル派として描く可能性が高い。

ウォルツはミネアポリスでのジョージ・フロイド殺害後の暴動の最中、ミネソタ州知事を務めており、共和党は激動の時代の映像を強調するのは確実だ。トランプ陣営は以前、フロイドの死後ミネソタ州で逮捕されたデモ参加者への保釈基金を推進したとしてハリスを攻撃していた。

トランプ陣営報道官のキャロライン・リービットは、「サンフランシスコを拠点とするリベラル派のカマラ・ハリスが、西海岸志向のティム・ウォルツを副大統領候補に望んでいることは驚くべきことではない。ウォルツはミネソタ州をカリフォルニア州のイメージに再構築することに知事職の大部分の期間を費やしてきた」と声明で述べた。

リービットは続けて次のように述べている。「ウォルツは、自身の脱炭素政策の提案から、ガソリン車の排ガス基準の厳格化の提案、有罪判決を受けた重犯罪者に投票を許可する政策の採用に至るまで、カリフォルニア州の危険な、リベラルな政策を広範囲に広めることに夢中だ。ウォルツが有権者に真実を語らないなら、私たちはそうするだろう。カマラ・ハリスと同じように、ティム・ウォルツも危険なほどリベラルな過激派であり、ハリス・ワルツのカリフォルニア・ドリームは、全てのアメリカ人にとっての悪夢だ」

ハリスとウォルツは今週、火曜日の夜からフィラデルフィアで激戦州を訪問する。2人は今週後半にウィスコンシン州、ミシガン州、アリゾナ州、ネヴァダ州を訪れる予定だ。ハリケーン「デビー」が南東部に上陸したため、予定されていたノースカロライナ州とジョージア州への訪問は延期されたと伝えられている。

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ウォルツがハリスの副大統領候補としてコンビを完成させる方法(How Walz Completes the Harris Ticket

-カマラ・ハリス副大統領の指名はそれを選ぶ人物について多くを物語っている。

ジュリアン・E・ゼリズナー筆

2024年8月6日

『フォーリン・ポリー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/06/walz-vp-pick-kamala-harris-us-election/

写真

ミネソタ州ブルーミントンの市役所で行われた新しい銃規制に関する記者会見に出席し、講演するミネソタ州のティム・ウォルツ知事(8月1日)

民主党大統領候補で現職の副大統領のカマラ・ハリスは、短縮大統領選挙キャンペーンのパートナーについての数週間にわたる熱狂的な憶測を経て、ついに今日、副大統領候補として、ミネソタ州知事ティム・ウォルツを発表した。

彼女の決断について詳しく知るにつれて、その政治的な影響が明らかになり始めるだろう。副大統領候補の決定は、有権者が見ることのできる、候補者が下す最初の大きな決断である、これは政治の世界における決まり文句だ。しかし、それは本当のことだ。そして、展開が行われるにつれて、その決定の知恵がキャンペーンの過程における主要なストーリーラインになる可能性がある。歴史が示すように、結果は異なる場合がある。

大統領候補者の決定の最も重要な短期的な効果は、彼らが統治パートナーとして誰を側に置きたいのか、そして彼らがその職を果たせなくなった場合に誰に代わってもらいたいのかを私たちに伝えることである。

一部の副大統領選出により、大統領候補がどのように統治するつもりなのかについての認識が高まった。これは、数量が不明な部外者の候補者によく当てはまる。元ジョージア州知事のジミー・カーターは1976年、グレート・ソサエティの重鎮で国会議事堂のインサイダーであるミネソタ州選出連邦上院議員ウォルター・モンデールに頼ってその原型を築いた。カーターは、自分がワシントンの部外者であるという事実、つまりリチャード・ニクソン元大統領のウォーターゲート事件の影響で有権者が信頼できる人物であるという事実を中心に選挙戦全体を構築した後、民主党の政治家や利益団体に対して、自分も信頼できるというシグナルを送る必要があった。連邦議事堂で最も尊敬され、有能なリベラル議員の1人として、カーターがモンデールを選んだことは、彼が党の周囲だけでなく、党内で働く必要性を理解していることを示した。ニューヨーク・タイムズのチャールズ・モール記者は、この選出は「ジョージア州からの部外者を不安な目で見ていたワシントンの政界の多くにとって非常に受け入れられるものだった」と述べた。「ジミー・フー?」と各新聞はこの無名の候補者カーターについて冗談を言ったが、カーターがいつものように政治を非難している一方で、物事を成し遂げることに関しては愚か者ではないという強いシグナルを送っていた。

4年後、共和党員の間でも元カリフォルニア州知事ロナルド・レーガンについて同様の懸念が広がった。レーガン大統領はカリスマ性と大胆なアイデアで保守活動家を興奮させたが、ワシントンの回廊においては、レーガンが効果を発揮できないのではないかという深刻な懸念があった。更に、ワシントンの一部の退役軍人は、レーガンが共和党のエスタブリッシュメントや、財政保守主義や国際的な同盟へのアメリカの関与など、共和党の多くのメンバーが抱いている伝統的な考えを無視するのではないかと懸念した。レーガンの主要な対立候補であった元CIA長官ジョージ・HW・ブッシュは、共和党のエスタブリッシュメントの典型であった。レーガンがブッシュに寝返ると発表したのは、ジェラルド・フォード元大統領の起用交渉が決裂したことを受けての土壇場でのことだったが、この人選によって党員たちは、偉大なコミュニケーターが真面目な政治家でもあるという安心感を得ることができ、党全体がまとまった。

1992年、46歳のアーカンソー州知事ビル・クリントンは型破りな道を選んだ。多くの専門家が、党の権力基盤が沿岸部に移っていることを考えると、クリントンは年配で南部以外の出身者を探さなければならないと予測していた中、クリントンは代わりにその考えを捨てた。クリントンは、もう一人、若くて中道派で、テレビに詳しく、聡明な南部出身者である、テネシー州選出のアル・ゴア連邦上院議員を副大統領候補に選んだ。地域的なバランスよりも、レーガン時代の影から抜け出した民主党を中心に選挙戦を展開しようとした。クリントンの最初の大きな決断は、彼が、国民がいかに新世代のリーダーシップを渇望しているかを本当に理解していることを有権者に示した。

2008年に、イリノイ州選出の連邦上院議員バラク・オバマが有権者に送ったメッセージは、伝統的な白人男性労働者階級の選挙区(traditional white male working-class constituencies)に好意を示し、外交政策における自身の限られた経験を補う必要性を理解しているというものだった。このため、オバマは、デラウェア州選出のジョー・バイデン連邦上院議員に頼った。オバマは、若い有権者、大卒の郊外住民、黒人とラテン系の有権者からの支持を集める中、バイデンの選択で労働者階級の白人有権者への理解と敬意を示し、自分も支持を得るために必要なことはするつもりだと示した。民主党の立法府。オバマ大統領はまた、外交政策の専門知識を強化する必要性を理解していることを示唆した。共和党候補のアリゾナ州選出連邦上院議員ジョン・マケインは、この問題に関する知識で広く尊敬されており、オバマ大統領は自分が知らないことを知っていることを示す必要があった。2008年8月にバイデンが副大統領候補になると発表した際、オバマ大統領は「ジョー・バイデンは理解していると言える。彼は、シーダーラピッズのバーでも、国会議事堂の廊下でも、コンコードのVFWホールでも、国際危機の中心でも、くつろげるユニークな公僕だ」と述べた。この決定は、オバマ氏が単なる扇動者ではなく、選挙に勝つために必要な連立政権について洗練された感覚を持っていることを示唆しており、実際に彼はそれを実行した。

そして、ドナルド・トランプは2016年にも効果的な選択をした。インディアナ州知事マイク・ペンスを選んだことで、トランプは党の保守層が本当に彼を信頼できるのかという懸念を和らげた。トランプは、予測可能で、ありきたりで、信頼できる右派保守派を選ぶことで、一部の神経を落ち着かせた。「クラブ・フォ・グロース」のデビッド・マッキントッシュ会長は、この人選は「マイク・ペンスが共和党の選挙券を経済保守主義と制限された政府の方向へ引っ張るのに効果的であるという希望を与えるものだ」と称賛した。当時、トランプ大統領の任期がどの程度激動することになるかは明らかではなかったが、2016年夏、彼の人選は、舞台裏では、トランプ大統領が権力を手にした後は、保守連合(behind the curtains)、特に福音派(evangelicals)から大きく逸脱することはないだろうという証拠を示していると受け止められた。

そして、候補者擁立に水を差す、あるいは水差されそうになるような人選もあった。現代政治における最初の大失策は、1972年に始まった。サウスダコタ州選出の民主党連邦上院議員ジョージ・マクガヴァンは、連邦上院議員トーマス・イーグルトンを選んだ。イーグルトンは強力な信任を得ていた。しかし、報道陣は彼がうつ病を患い、ショック療法を受けていたことを知った。このニューズが流れると、マクガヴァンの選挙キャンペーンは大混乱に陥り、結果としてイーグルトンは選挙戦から撤退することになった。当時、精神的な問題はタブー視され、対立候補は、彼がいつか「ボタンに指をかける(finger on the button)」ことができるような信頼できる人物なのかという不安をかき立てていた。生き残りをかけた戦いの末、イーグルトンは結局辞退した。それは、マクガヴァンがホワイトハウスにもたらすリーダーシップだったのだろうか? 実際、1976年にカーターがじっくりと時間をかけて選んだとき、マスコミは彼の意思決定スタイルをマクガヴァンのそれと対比させた。

ジョージ・HW・ブッシュ副大統領が1988年にスペル間違いが問題になるとはほとんどの人が考えていなかった。ブッシュ大統領は、若くて人気のあるインディアナ州選出連邦上院議員ダン・クエールを副大統領候補にすると発表した。当初、保守派はこの決定を賞賛した。クエールは共和党の将来の指導者と見なされてきた。しかし、彼の副大統領選はそれほどうまくいかなかった。1988年、クエールの学歴や、コネを利用して州兵への任命によりヴェトナムへの徴兵を避けたという疑惑が浮上した。8月下旬、当時のテネシー州共和党委員長ジェームズ・ヘンリーは次のように述べた。「既にマイナスのようになっている。問題は、どれだけマイナスになるかだ」。

この質問によって、ブッシュの勝利が阻止されることはなかったが、1992年のブッシュの再選キャンペーン中にクエールは再び問題を起こした。ニュージャージー州で開催されたスペリング大会での記念撮影の際、彼はウィリアム・フィゲロアという12歳の少年の 「potato」のスペルを正した。クエールは最後に「e」をつけるべきだと言った。フィゲロアは報道陣に「副大統領に関する噂は本当だ。彼はバカだ」と語って事態を悪化させた。マクガヴァンと同様、1988年と1992年、クエールは、ブッシュが自分の周囲に誰を置くべきかを考える能力がなく、大統領になる準備ができていない若い破天荒な人物に屈服することを厭わないという証拠となった。

2008年を振り返ると、マケインも同じ罠にはまった。高齢のマケインは、共和党の次世代を代表すると考える人もいる、アラスカ州知事サラ・ペイリンと協力することで、オバマが選挙運動にもたらした興奮を少しでも打ち消したいと考えていた。しかし、状況はすぐに悪化した。メディアでの彼女の失敗したパフォーマンスは、マケインがホワイトハウスにはるかに多くの経験と知恵をもたらすことができるという主張を続けていることへの疑問を引き起こした。それが本当なら、どうしてマケインは、ペイリンのような人物を選んだのだろうか、そして彼女が権力の座に就いたら彼の側にいるということは何を意味するのだろうか? こうした疑問が出てくる。更に言えば、ペイリンは集会中、党の極右、周縁分子に訴えた。かつて、マケインが将来を見据えていたことを示唆していた人選は、最終的には共和党の要素を持ち込むことになり、レーガンの型に沿った合理的で立派で穏健な保守派としてのマケインの評判を損なうことになった。

トランプ大統領がオハイオ州選出連邦上院議員JDヴァンスが、重要な瞬間にトランプ大統領がどのように考えるかについて全く間違ったメッセージを送ったと主張する人が出ている。暗殺未遂事件の直後、共和党員の中には、ヴァンスがやや中道寄りに傾くこと、あるいは少なくとも連立を拡大して穏健に行動する意向を示してくれることを期待する者もいた。その代わり、トランプは、共和党全国大会でヴァンスを指名することで、自分が混乱と急進主義(radicalism)に更に深く陥っていることを示した。トランプ大統領の決定は、批判者たちや一部の支持者たちに、核心的な問題に関して大多数の有権者がどのような立場にあるのかを理解する人々をトランプ大統領の周囲に置くことが信頼できないという証拠を提示した。ヴァンスの「プロジェクト2025」への接近や、強権的な統治に関するコメントは、独裁的な統治方法に対するトランプの関心を軽減するどころか、むしろ増幅させた。

副大統領候補を選ぶ過程で、ハリスは自分がどのように統治するかについていくつかのヒントを提供した。この高度に精査された意思決定期間中に重大な漏洩はなかったが、これはハリスが情報を管理しながら厳密に運営することを望んでおり、また実行できることを示唆している。これはスタッフ間の混乱について浮上した話とは対照的である。ハリスはまた、メディアに精通しており、短縮されたキャンペーン期間の中で、1週間以上貴重な注目を集める方法で展開を実施した。彼女はリアリティゲームショーの戦略もプレイできる。マスコミの注目をこれほど効果的に扱うことは、報道を独占することで繁栄するトランプ大統領の前でクリプトナイト(訳者註:スーパーマンの力を吸い取る架空物質)を振るようなものだ。ハリスは、激しいスポットライトの下で、大きな決断を迅速に下す必要に直面しても、疲れ果てることはない。

ハリスはウォルツを選ぶことで、真剣さと安定性のメッセージを送りたいと考えている。ウォルツは知事および米国下院議員としての経験がある。彼は60歳で、他の人々よりも年上だが、そこまで高齢ではない。ウォルツは無愛想な性格にもかかわらず、政策に関しては真剣な指揮を執っている。彼が側にいるということは、ハリスが自分を統治したい経験豊富なパートナーに囲まれたいと思っていることを示している。彼は政府内だけでなく、政府外でも公立学校の教師として経験を積んでいる。

ウォルツの指名は、ハリスが連立政権の幅広さを尊重した決定を下したいと考えていることも示している。ミネソタ州知事ウォルツは誇り高き進歩主義者であり、社会権を擁護し、政府を擁護することに躊躇しない。彼は、既に活性化している基地を活性化するのに役立つ。しかし、ウォルツはこうした価値観を受け入れながら、共和党優勢州に住むアメリカの田舎の人々にも訴えかけているという点で、民主党員としては異例だ。ウォルツはミネソタ州内で、ヴァンスが好んで代表する有権者層の一つである共和党選挙区で好成績を収めてきた経歴がある。重要なのは、ウォルツが自分の政治原則を売り渡すことなく、そのような有権者に訴えていることだ。彼は共和党と対決することを恐れておらず、社会主義に対する標準的な攻撃に直面しても自分の信念を後退させない。彼は、コストと不安に苦しむ働くアメリカ人のために存在する代替手段、つまり現代の共和党にとって必須となっている反動的政治なしで前進する道を体現した人物である。

そして、ウォルツが民主党内で火をつけたレトリックでトランプとヴァンスをフレームワークにしてトップに躍り出た、「変人(weird)」コメントもある。メディアに精通した人材を倍増させることで、展開を補完できる。ハリスは報道陣に対応し、トランプ大統領の攻撃に対抗できるティームを構築する計画だ。民主党は長い間、メッセージングが下手だと不満を抱いてきた。ハリスはこの問題を修正し、人々が自分のやってきたことを評価してくれるだろうと考えるのではなく、大衆に売り込める大胆な政策を可決したいと考えている。

※ジュリアン・E・ゼリズナー:プリンストン大学歴史学・公共政策教授。1月14日に、コロンビア・グローバル・レポーツから新著『党派性の擁護(In Defense of Partisanship)』を出版予定。ツイッターアカウント:@julianzelizer

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ハリスが副大統領候補としてミネソタ州知事ティム・ウォルツを選択(Harris Picks Minnesota Gov. Tim Walz as Running Mate

-この人選は中西部の激戦州で民主党を助けることになるだろう。

ロビー・グラマー筆

2024年8月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/06/harris-tim-walz-presidential-election-minnesota-running-mate-views-israel/

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ウィスコンシン州ミルウォーキーでジョー・バイデン米大統領とカマラ・ハリス副大統領の選挙運動記者会見で話すミネソタ州知事ティム・ウォルツ(7月17日)

副大統領で民主党大統領選挙候補のカマラ・ハリスは、接戦となっている11月の大統領選挙に先立ち、中西部激戦州における民主党の進歩主義派基盤を活性化することを目的として、ミネソタ州知事のティム・ウォルツを副大統領候補に選んだと報じられている。

60歳のウォルツは2期目の知事であり、元高校教師で元連邦下院議員だ。ジョー・バイデン米大統領が突然大統領選挙から撤退し、7月21日にハリスを後継者として支持するまでは、全国の舞台では比較的無名だった。

それ以来、ウォルツは共和党に対する民主党の攻撃路線の主導権を握る存在となり、ドナルド・トランプ元大統領と副大統領候補のオハイオ州選出連邦上院議員JD・ヴァンスを繰り返し「変人(weird)」と呼んだ。

ウォルツは現在、投票日まで100日を切った、始まったばかりの大統領選挙活動において、全米での知名度を高めるという困難な戦いに直面している。対立する民主党と共和党の候補者たちは、世界におけるアメリカの役割についての大きく異なる見解を反映しているが、次期選挙で外交政策が有権者にとってどれだけの要素となるかは不明だ。

トランプとヴァンスは、アメリカの同盟体制に懐疑的な姿勢を表明しており、ヴァンスは特に、対ロシア戦争を戦うウクライナに対するアメリカの援助継続を声高に批判するようになり、アメリカはむしろ中国への対抗に軍事資源を振り向けるべきだと主張している。ハリスはバイデン政権のウクライナ支援政策を継続すると見られる。しかし、中東に関しては、ハリスは、ミシガン州のような激戦州で、アラブ系アメリカ人の投票権を持つ有権者にとって重要な問題である、物議を醸しているガザ地区での戦争を遂行するイスラエルとアメリカの関係を見直すよう、民主党の進歩主義派から高まる圧力に直面している。

進歩主義派団体の一部は、ハリスも副大統領候補として検討していたペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロのイスラエル支持に反対したため、シャピロを民主党の副大統領候補から遠ざけるよう積極的に運動した。

ウォルツは、イスラエルを支持するという民主党主流派の立場を堅持しているが、ガザ戦争へのイスラエルの対応を批判し、3月にはアメリカに停戦(cease-fire)を促すよう求めた。 ウォルツは、その当時にミネソタ公共ラジオに出演し、「私は人々を避難させるために人道的一時停止を要請した。このことは終わりにしたい。停戦が1週間とかその程度続くことは望まない。私たちには恒久的な解決策が必要だ」と語った。

ウォルツはネブラスカ州で育ち、最初は中国で、次にネブラスカ州で、最後はミネソタ州で教師として働いた。また、アメリカ陸軍州兵として24年間勤務し、上級曹長まで昇進した。2007年から2019年までの連邦下院議員時代、ウォルツは連邦下院軍事委員会の委員を務め、アメリカの軍事政策と国防費を監督した。軍事委員会で、所属当初から、イラク戦争を痛烈に批判し、アメリカ軍の追加派遣に反対していた。

2009年、ウォルツはシリアを訪問し、当時ミネソタ州兵が派遣されていたイラクの過激派組織への武器流入を止めるようシリアに圧力をかけようとして失敗した、連邦議会代表団の一員として、シリアの指導者バッシャール・アル=アサドと会談した。

その後、アサドによる化学兵器の使用を受けて、2013年にシリアへの軍事攻撃を命じたバラク・オバマ大統領(当時)の計画には、中東での紛争にアメリカ軍をこれ以上関与させることへの有権者の反対を理由に反対した。「この男(アサド)は怪物であり、状況は恐ろしいが、よく練られておらず、この国にとって最善の利益にならない計画を打ち出すほど説得力はない」と当時のウォルツは語った。

ウォルツは、2018年のミネソタ州知事選挙に出馬するために退任するまで、さらに5回議席を獲得した。

複数の政府高官によると、先週、国務次官(広報外交[pubic diplomacy]担当)を突然辞任したエリザベス・M・アレンは、ウォルツが選挙キャンペーンに移行する際に、首席補佐官になる見込みだという。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当特派員。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次世界大戦後の世界体制において重要なのは米ドル基軸体制である。世界の貿易においてそのほとんどがドルで決済を行われるということだ。アメリカは為替の手間もかからずに、ドルを使って貿易ができるということだ。極端なことを言えば、アメリカはドルを刷りさえすれば、世界中の国々から物品やサーヴィスを買うことができるということだ。世界各国を旅行して、円とドルのお札を出してみて、どちらを取るかと質問されたら、日本以外の国であればほとんどの人がドルを取るだろう。

 この米ドル基軸体制の基本にあるのが、ペトロダラー(petrodollar)体制である。これは、サウジアラビアのアブドゥル・アズィーズ国王とアメリカのフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト大統領の会談の後に決定されたもので、石油取引は、米ドルのみで行うという合意がなされた。その結果、アメリカは最重要物資である石油を自国通貨ドルで買うことができるようになった。産油国は石油と引き換えに手に入れた米ドルで米国債に投資して、利益を得ることができた。アメリカは米国債を使って国内整備を行うことができた。また、日本や西ドイツなどの国々はアメリカに製品を輸出し、稼いだ米ドルで石油や天然資源を買い、戦後復興と経済成長につなげていった。

 米ドルに対する信頼は、アメリカの国力に対する信頼である。アメリカが世界第債の軍事大国であると同時に世界最大の経済大国であることがその基礎にある。それが揺らぐようになっている。アメリカが率いる西側諸国に対して、中露がリードする西側以外の国々が台頭している。これらの国々が「どうして米ドルを使わねばならないのか」ということになっている。米ドル基軸体制に対する疑問が出ている。こうした疑問が出ているだけでも、アメリカの国力の減退が大きいということを示している。

 更に言えば、今年の大統領選挙の結果次第では、アメリカ国内の状況が不安定になり、それがアメリカ経済に大きな影響を与えることになるだろう。アメリカ国内で選挙結果を受けて、暴動や暴力が頻発することになれば、米国債の価値も毀損される。米国債の価値が毀損されれば、米国債崩れということが起きる。そうした事態に備えて西側以外の国々は米国債の保有量を減らし、金の保有量を増やしている。

 米ドルの支配はこれからしばらく続いていくだろう。しかし、その崩壊の足音が聞こえるような状態になっている。私たちはそうした状況に備えなければならない。

(貼り付けはじめ)

米ドルが負ける方になんて賭けるな(Don’t Bet Against the Dollar

-アメリカの競争相手である各国は、米ドルを基軸とするシステム内での自主性の限界に挑戦しているが、真のグローバルな代替手段は存在せず、世界は転換点(inflection)からは程遠い。

ジャレッド・コーエン筆

2024年6月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/10/brics-currency-dollar-yuan-united-states-economy/?tpcc=recirc_trending062921

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地球の玉座の頂上に座るジョージ・ワシントンをドル紙幣から持ち上げる風船として機能するアメリカドルのシンボルが示すイラスト

米ドルが世界経済と米国の経済国家戦略の基軸(central pillar)となったブレトンウッズ会議から80年が経った。そして、80年にわたり、私たちは米ドルの将来の終焉についての予測も目撃してきた。しかし、米ドルの将来に関する議論はほぼ最初から的外れだった。ここで出てくる疑問は、出来事や危機や新技術が米ドルを基軸通貨の台座から追い落とすかどうかではない。むしろ、米ドルが依然優勢であるものの、冷戦後のコンセンサスが崩れつつある世界経済において、アメリカの競争相手、さらにはパートナーがどのようにして金融システムの限界を押し広げているかということである。

数十年にわたり、米ドルの終焉を予感させる出来事は数多く報じられてきた。1971年にリチャード・ニクソン米大統領が米ドルと金のリンクを切り離した(delinked)とき、イギリスのある著名なジャーナリストはそれを「全能の米ドルが正式に廃位された瞬間()」であると宣言した。1990年代のユーロ導入を米ドル終焉の瞬間と見た人も存在した。2010年代の世界金融危機と中国の台頭により、経済学者の多くは人民元(the yuan)が世界の準備通貨(reserve currency)になる可能性があると予測した。最後に、2022年のロシアの本格的なウクライナ侵攻と西側主導の対モスクワ制裁は、きたるべき「ポスト・ドル世界(post-dollar world)」についての疑問を引き起こした。

米ドルには地経学的な逆風(geoeconomic headwinds)が厳しく吹きつけている。各国は貿易における米ドルへの依存を減らし、アメリカの決済システムから距離を置くよう取り組んでいる。しかし、未来は、ドル支配(dollar dominance)と、いわゆる脱ドル化(de-dollarization)の間の二項対立(binary)ではない。アメリカ経済は依然として世界最大であり、最も豊かな資本市場と最も信頼できる金融機関を擁している。米ドルは依然として金融上の安全な避難先(financial safe haven)であり、アメリカだけでなく、世界的に最も信頼できる交換および価値の保存媒体(the most reliable medium of exchange and store of value)である。80年前に米ドルの地位を確立したネットワークと歴史は今も維持されており、米ドルの支配に対する不満の高まりにより、利便性の一部が分かりにくくなっている。変化したのは、アメリカの競合国や一部のパートナー国が、技術の進歩(technological advances)と地経学的修正主義(geoeconomic revisionism)に勇気づけられて、ドルベースのシステム内での金融自主性の限界を押し広げていることだ。しかし、実際にそれを変えるための協調的な取り組みが見られる転換点には程遠い。

米ドルの立場が変わるとしたら、それは革命(revolution)ではなく進化(evolution)によるものとなるだろう。より多くの国が米ドルの到達範囲を制限する措置を試行し、導入するだろう。新興の金融テクノロジーは、新たな変化に関する諸理論と、様々な多国間金融協定を促進するだろう。一方、西側の政策立案者やビジネスリーダーたちは、世界の不安定化でアメリカ経済が多額の債務を負う中でも、米ドルの歴史的な地位を守らなければならないだろう。しかし、米ドルは当面、世界経済を下支えし続けるだろう。

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左:印刷機の彫刻版にシートを敷く米国財務省職員(1935年頃)、右:ニューヨーク連邦準備銀行の金庫室で、国際為替取引に使用される金の延べ棒の計量が行われる(1965年頃)

米ドルのような通貨はかつて存在しなかった。歴史家たちは、スペイン帝国のドル銀貨(Spanish Empire’s pieces of eight)、オランダのギルダー銀貨(Dutch guilders)、または、1920年代まで主要基軸通貨であった英ポンド スターリング(U.K. pound sterling)に米ドルを例えている。しかし、経済学者のマイケル・ペティスが指摘するように、米ドルは「国際通商においてこれほど極めて重要な役割を果たした唯一の通貨(the only currency ever to have played such a pivotal role in international commerce)」だ。米ドルは世界の外貨準備保有額の58%を占めている。全ての外国為替取引の88% に関与している。国際的な影響力により、他国の貿易不均衡は、アメリカの不均衡によって相殺される。

ドルは、アメリカだけでなく世界中の国々と消費者に安定と安全を提供する。アメリカの開かれた市場(open markets)、法の支配(rule of law)、信頼できる諸機関(trusted institutions)、そして深く流動性の高い資本市場(deep, liquid capital markets)により、これは信頼できる資産だ。アメリカ以外では、投資適格資産の供給が限られている。しかし、米ドルに不満がない訳ではない。ここ数年、米ドルを玉座(pedestal)から叩き落とすつもりだと公に表明する世界の指導者たちが増えている。彼らは、世界が分断され、米ドル以外の通貨との取引の効率を高める金融テクノロジーの台頭、財政状況が不透明で経済関係にある国や団体のリストが増え続ける分断されたアメリカを目の当たりにしている。対立が発生し、彼らはそれを利用する立場を公に表明している。

紛争と競争(conflict and competition)が激化する世界では、脱ドル化(de-dollarization)の話は今後も続くだろう。米ドルが世界経済の中心ではなかった場合、敵対者たちはよりうまく制裁を回避でき、より効果的な代替経済圏(more potent alternative economic blocs)が存在する可能性がある。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領が昨年、上海で行った演説で、「私は毎晩、なぜ全ての国が貿易をドルに基づいて行わなければならないのか自問している(Every night I ask myself why all countries have to base their trade on the dollar)」と劇的に述べたのはそのためだ。アメリカの「制度的覇権(institutional hegemony)」の危険性を警告し、中国外務省は、2023年2月に論文を発表し、アメリカは米ドルを通じて「他国にアメリカの政治経済戦略に奉仕するよう強制している(coerces other countries into serving America’s political and economic strategy)」と主張した。中国外務省は更に、「米ドルの覇権が世界経済の不安定性と不確実性の主な原因である(hegemony of [the] U.S. dollar is the main source of instability and uncertainty in the world economy)」と述べた。

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ロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始した2022年2月24日、モスクワ中心部の両替所の前を通り過ぎる女性

ロシアによるウクライナへの全面侵攻とその後の制裁発動からおよそ1年後という声明のタイミングは、その背後にある真の動機を信じがたい。 80年近くにわたる米ドルの支配により、中国などの国の台頭など、歴史上最も偉大な平和と繁栄が見られた。1944年には、米ドルは世界に課せられていなかった。それは、中国とブラジルを含む44カ国が第二次世界大戦後の金融秩序を決定するためにブレトンウッズに集結したとき、戦後の状況と驚くべき程度の国際的合意から生まれた。今日の不安定を引き起こしているのは米ドルではなく、ヨーロッパと中東での戦争、そしてインド太平洋の緊張だ。これらの地政学的な課題は、中国によるロシアへの支援の深化などを通じて結びついている。モスクワは、その経済的寿命をウクライナへの攻撃を維持するために利用してきたが、戦争は世界中のお金の動き方を変えた。ロシアの侵攻から数週間以内に、世界経済の60%以上を占める、37の同盟諸国とパートナーからなるアメリカ主導の連合は、ロシアに制裁と輸出規制を課した。 2022年4月までに、ロシアの輸入額は戦前の中央値を約43%下回った。その結果は、クレムリンが発表しているよりも深刻で、一般のロシア人は政権が引き起こした苦痛を感じている。しかし、ロシアは新たな市場と経済を戦時態勢に置く手段を見つけたため、アジアへの軸足がモスクワを救った。ロシアは現在、GDP6%を軍事に費やしている。

変わったのは、お金がどこから来たのかだけではなく、そのお金がどのようなものであるかだ。これは中央アジアやコーカサスにある旧ソ連諸国でも見られ、西側の技術を米ドルで購入し、ルーブルでロシアに売っている。ロシアの対中国貿易でもそれが分かる。ウクライナへの本格的な侵攻後の最初の9カ月で、ロシアのルーブルと人民元の貿易は40%以上急増した。一方、中国とロシアの二国間貿易は、2023年に過去最高の2400億ドルに達し、わずか1年で26.3%増加した。人民元は最近、ロシアで米ドルに代わって最も取引されている通貨となり、モスクワ取引所で取引される外貨全体のほぼ42%を占めている。その結果、戦争とロシア政府によるアメリカの決済システム(U.S. payment systems)の回避により、世界最大の国ロシアと、第2位の経済大国中国は、主に米ドル以外の通貨で取引されるようになった。

しかし、米ドル以外の通貨の国際化はまだ遠い先の話だ。米ドルの優位性の継続は、政府から企業、家計に至る数百万の市場参加者からの信任投票によるものだ。もっともらしい代替案を生み出すためには、二国間の変化だけでなく、法の支配(rule of law)、透明性(transparency)、説明責任(accountability)に基づいた信頼できる新たな機関と多国間の連携が必要となるだろう。中国主導のクロスボーダー銀行間決済システム(Chinese-led Cross-Border Interbank Payment SystemCIPS)もそのような試みの1つで、1日当たり2万5900件の処理を行っていると報告されているが、その合計は、1日約50万件、総額18億ドルの取引を行う、アメリカの手形交換所銀行間決済システムには大きく及ばない。数兆の価値。そして、CIPS取引のうち80%は、北京ではなくベルギーに拠点を置くシステムであるSWIFTに依存している。過去80年間に米ドルが獲得してきた信頼が、米ドルを際立たせている。

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2022年8月24日、カイロの通貨両替店から出てくる女性

大規模な非ドル化を主張する人々にとっての最も重大な2つの問題は、何かを無に置き換えることは不可能であること、そしてアメリカの競争相手が、時にはそのレトリックが別のことを示唆しているとしても、現時点では米ドルに取って代わる能力も意思も持っていないことである。だからと言って、米ドルの立場を当然のことと考えるべきだという訳ではない。技術革新(innovation)と地経学的断片化(geoeconomic fragmentation)により、その影響は徐々に薄れていく可能性がある。最も重要な新たなトレンドは、新しい技術モデル、セクター固有の取り決め、二国間および多国間連携だ。これらの取り組みはわずかなものだが、将来的には有意義な代替手段となる可能性がある。

アメリカは、ほとんどの主要市場と同様に発達した金融テクノロジーを持っているが、特定の金融テクノロジーの消費者への導入においては、少数の国は遅れている。これらの比較は、あらゆる範囲で行われている。2021年、エルサルヴァドルは、仮想通貨(cryptocurrency)を法定通貨(legal tender)とした最初の国となった。より重要なことは、大西洋評議会が中央銀行デジタル通貨(central bank digital currenciesCBDC)の普及を追跡しており、世界のGDPの98%を占める、134の国と通貨同盟がCBDCの活用事例(use cases)を模索していると報告している(2020年はわずか35カ国だった)。G20加盟国のうち11カ国でプロジェクトが進行中だが、CBDC を本格的に開始しているのは3カ国だけだ。より分断された世界(more divided world)においては、より多くの CBDC が存在する。大西洋評議会の報告によると、2022年2月以来、「ホールセールCBDC の開発は2倍になっている」ということだ。

1970年代と80年代に、アメリカの消費者がクレジットなどの金融テクノロジーを大量に導入したとき、中国経済は、相対的に混乱に陥り、文化大革命からまだ回復途中だった。 1976年の GDP はわずか1540億ドルだった。しかしながら、今日、中国は世界第 2位の経済大国であり、そのデジタル人民元(digital yuan (e-CNY) は、「脱ドル化」に向けたテクノロジー主導の取り組みについて語る多くの専門家の注目を集めている。e-CNYは、銀行口座を持たない中国国民に更なる効率性と金融包摂を提供する可能性があるが、多くの点で、西側諸国のデジタルおよびモバイル決済システムとほとんど違いはない。

それにもかかわらず、中国は米ドルの代替手段として電子人民元を国際化する努力をしており、中国政府はデジタル通貨のデビュー会場として、2022年の北京冬季オリンピックを選んだことでその意図を明確にした。オリンピック期間中、依然として新型コロナウイルス感染症による厳しい規制下にあった首都北京を訪れる訪問者は税関を通過し、すぐに通貨を電子人民元に両替することができた。しかし、これは海外からの信頼を高めるどころか、金融技術における北京のリーダーシップへの懸念を深めるだけでなく、中国共産党による中国社会への支配を強め、中国が世界に対して利用できる新たな地経学的影響力を生み出す可能性があるとして、警戒を呼び起こした。

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2023年9月2日に北京で開催された2023年中国国際サーヴィス貿易交易会で、来場者は中国のデジタル通貨e-CNYを使って支払いを行っている

他国で目立った普及が見られないという事実は、e-CNYが海外では信頼できる代替手段ではないことを示しており、国内でもまだ試験段階にあり、中国のわずか25都市で2億6000万のウォレットに達している。14億人以上の人口のうち。しかし、中国のデジタル通貨の国際化への取り組みは続いている。プロジェクト「mBridge」は、中国本土、香港、タイ、アラブ首長国連邦と25のオブザーバー諸国が参加する国境を越えた CBDCプログラムであり、そのような取り組みの1つだ。中国政府が世界の多くの地域で電子人民元の信頼を高めるための措置をまだ講じていなかったとしても、ドルに依存する決済レールに代わる、より効率的で低コストの代替手段に国際的な関心が集まっている。

しかし、中国は最も近いパートナーとの間で、限定的な脱ドル化の新たな道を見出している。中国は現在、特に東アジア、サハラ以南のアフリカ、資源豊富な新興市場において、120カ国以上の最大の貿易相手国となっている。世界経済の影響力が拡大する中、中国は国際収支の米ドルからの移行に取り組んでおり、現在では中国の商品貿易総額の23%もが人民元で占められている。

その傾向が最も顕著に見られるのは石油取引だ。石油の価格は米ドルで決められており、世界の石油デリヴァティヴ市場の取引量(1日の平均現物原油フローの約23倍)は完全にドル建てだ。しかし、中国政府は、中国の貿易と世界経済における米ドルの役割を減らすことに取り組んでいる。中国は、大国だが資源に乏しく、主に中東からのエネルギー輸入に依存している。昨年の時点で、中国はサウジアラビアから日量約180万バレルの原油を輸入している。この貿易を米ドルから遮断するために、リヤドと中国は、70億ドルの通貨スワップ協定に署名した。そして、毎日の世界の原油量の約14% が制裁対象国から供給されており、この分野での非ドル化へのインセンティヴは明らかだ。

しかしながら、インドとロシアの間の貿易パターンが示すように、ここでは石油市場の脱ドル化を目指す人々の範囲が彼らの理解を超えている可能性がある。西側主導の対ロシア制裁発動を受けて、インドはロシア海上輸送原油の最大の輸出先となり、2023年5月には、日量215万バレルに達した。しかしニューデリーは、両替と決済にインドルピーを使用することを主張した。この立場は、モスクワに対する制裁や禁輸措置と相まって、それ以来摩擦を引き起こしている。ロシアとインド間の石油貿易は当初の増加にもかかわらず、最近12カ月ぶりの低水準となった。

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2022年2月24日、インド・チェンナイのガソリンスタンドで石油バレル(樽)を積み上げる労働者たち

経済全体を「制裁に耐える(sanctions-proof)」方向への動きは、他に様々な形で行われている。ロシア政府は、長年にわたり米ドル保有を着実に減らしており、アメリカ国債の保有額は2017年12月の1022億ドルから半年後にはわずか149億ドルまで減少させた。同様に、2023年に中国は、アメリカ国債保有を減らし、金購入を30%増額した。こうした傾向は、アメリカの敵対諸国や競争相手に限定されている訳ではない。ゴールドマンサックス・リサーチが指摘しているように、ジョージ・W・ブッシュ政権までは核開発計画をめぐり、アメリカの制裁の対象となっていたインドも、自国の金保有量を増やしているが、世界中の埋蔵量に占める金の割合は依然としてわずかだ。

金はある程度の多様化と制裁からの隔離を提供するが、米ドルの代替品ではない。実際の収益ははるかに予測しにくく、金には多額の輸送コストと保管コストがかかり、貿易決済の交換媒体としての金の機能は低い。一方、現物の金の供給は限られており、金先物はわずか約400億ドル相当の貴金属に裏付けられている。この数字は、多くの資産への分散投資や投資の機会を生み出す上場投資信託を含めるとさらに上昇するが、依然として国際通貨市場には遠く及ばない。

テクノロジーは、世界の金融システムにおける金(ゴールド)の用途と役割も変える可能性がある。歴史的に、金は法定通貨よりも優れた価値の保存手段であることが証明されてきた。しかし、同様の機能が欠けており、言うまでもなく、ストレージと移動のコストが高くなる。しかし、既存の保管システムにおける現物の金のデジタル化により、決済機能の効率が向上する。

技術的進歩がどのようなものであれ、真の脱ドル化には多国間合意に裏付けられた説得力のある代替案が必要となるだろう。上海協力機構(Shanghai Cooperation Organisation)、一帯一路構想(Belt and Road Initiative)、BRICS(現BRICS+)などの中国主導の機構は、それぞれのやり方でそのようなフォーラムを創設しようとしている。ブラジル大統領ルラが南アフリカで昨年開催されたサミットでBRICS諸国に共通通貨の創設を呼び掛け、そのような交換媒体は「支払いの選択肢を増やし、脆弱性を軽減する(increases our payment options and reduces our vulnerabilities.)」と仲間の指導者たちに主張したのはこのためだ。

広く宣伝されているこの取り組みにも落とし穴(pitfalls)がある。元々のBRICS諸国には世界人口の42% が住んでおり、国際通貨基金(International Monetary Fund)によると、世界の経済生産高の3分の1を占めている。しかし、経済的、イデオロギー的、地政学的な相違により、政策が統一される可能性は極めて低い。加盟諸国ですら、BRICS主導の脱ドル化という考えを否定しており、インド外務大臣S・ジャイシャンカールは昨年7月に「BRICS通貨という考えはない(There is no idea of a BRICS currency)」と述べた。

データは、ジャイシャンカール大臣の感情を強調している。国際決済銀行(Bank for International Settlements)によると、BRICS貿易の根幹は米ドルである。2022年には、インドルピーに関する全ての外国為替取引の97%、ブラジルレアルに関する全ての取引の95%、人民元に関するすべての取引の84%に関与した。

一部のセクターでは脱ドルへの取り組みが勢いを増しているが、脱ドル化を巡るレトリックは多くの意味で、真剣な政策というよりも、パフォーマンス的な政治に近い。人民元の魅力を高めるために、中国政府は資本規制を緩和したり、監視国家モデル(surveillance state model)から脱却したりする可能性があるが、その兆候はほとんど見られない。ヨーロッパ連合がアメリカの金融システムを動かすような資本市場を創設すればユーロを押し上げる可能性があるが、実際にはそうはなっていない。こうした動きは、中国国民にとってもヨーロッパ人にとっても同様に有益となるだろう。しかし今のところ、米ドルはアメリカだけでなく、世界のほとんどの国にとって、依然として最も信頼されており、多くの点で最も効率的な通貨である。そして、BRICSは新たな国際金融システムを構築したいという願望を持っているかもしれないが、過去25年間に新興市場の出現を可能にしてきた世界経済は米ドルに基づいて構築された。

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アメリカのライヴァル諸国は、世界を米ドルから引き離すことに成功しないかもしれないが、アメリカ政府も世界の他の国々をその軌道から追い出さないように注意すべきである。制裁のための米ドルの使用は、経済国家戦略の貴重な手段となる可能性があり、ペロポネソス戦争に先立ってアテネが近くの町メガラに通商禁止措置をとった紀元前432年以来、西側諸国政府によって制裁が展開されてきた。しかし、それらが過度に使用されたり乱用されたりすると、信頼が損なわれ、武器化された世界経済(weaponized global economy)から自らを守ろうとする世界の他の国々から離れることになる。

制裁の行使に関する議論はここ2年間でより緊急性を増し、新たな形をとってきた。ロシアのウクライナ侵攻直後、アメリカとその同盟諸国は、西側諸国にある約3000億ドル相当のロシアの主権資産を凍結した。これには、ロシアの金と、ユーロ、米ドル、英ポンド、日本円、その他の通貨建ての外貨準備高の相当部分が含まれていた。世界経済は2年間これらの制裁に適応したが、最近、金融の歴史の新たな章に入った。

今年まで、アメリカは戦争状態にない国の海外資産を押収したことはなかった。しかし、4月24日、ジョー・バイデン大統領はウクライナのための経済的繁栄と機会の再建法(Rebuilding Economic Prosperity and OpportunityREPO)に署名し、まさにそれを実行し、ウクライナを支援するためにロシアの資産を押収する手段を確立した。

REPOの主張は、少なくともワシントンとそのパートナーのほとんどにとって、明白かつ説得力のあるものだった。ウクライナ再建の費用は日を追うごとに増大しており、世界経済フォーラムはその額を約4860億ドルと見積もっている。ロシア資産の再利用は政治的に洗練された解決策であり、アメリカやヨーロッパ連合の納税者に直接コストを課さないという利点がある。しかし、ほとんどの政策と同様、これにはトレードオフが関係しており、最近の5月のG7財務大臣会合でもかなりの議論の対象となった。

このポリシー変更は何をもたらす可能性があるだろうか? アメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・ストレインは、ロシア資産の差し押さえにより、いつ自国の資産が差し押さえられるか分からないと他国に不安を与える可能性があると批評家たちが主張していると述べた。そのリスクを考慮すると、彼らは西側経済から距離を置くための予防措置を講じ、米ドルやユーロを保有する意欲が減り、西側諸国への投資さえも行わなくなるだろう。ストレインは、REPOに関してはこれらのリスクは「正当だが、最終的には説得力がない(legitimate, but ultimately unpersuasive)」と考えているが、こうした措置を効果的にするために関与が必要となる同盟諸国と協力する場合も含め、無視すべきではない。

これらの会話は、実際の、あるいはそう認識されている経済的強制力の過剰使用が、米ドルに代わるものを見つけたいという、他国の欲求を増大させるだけである可能性を示している。制裁は、対象を絞った多国間で、特定の目的を達成するために設定された場合に最も効果的だ。慎重に使用すれば、それらはアメリカの経済的立場を強化するが、乱用すると国を弱体化させる。

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1944年のブレトンウッズ会議に出席する米財務長官ヘンリー・モーゲンソーと中華民国財務副部長の孔祥熙

米ドルの終焉は、何十年にもわたって過剰予測されてきた。しかし、米ドルが永遠に最高の地位に君臨すると考える人は、チャールズ・クラウトハマーから謙虚さの教訓を学ぶべきである。1990年1月、冷戦終結でアメリカが最高権力を誇っていたとき、彼は次のように書いた。「冷戦後の世界の最も顕著な特徴は、その一極性(unipolarity)である。間違いなく、やがて多極化(multipolarity)が訪れるだろう」。米ドルの一極性の瞬間は終わっていない。しかし、世界は変わる可能性がある。

第二次世界大戦後、米ドルが世界のコンセンサスとして浮上したとき、アメリカ経済は世界のGDPのほぼ半分を占めていた。それ以来、中国は世界第2位の経済大国になった。中国政府はアメリカ主導の秩序に挑戦している。各新興市場は発展し、より大きな自主性を求めている。新しい通貨とテクノロジーがオンラインに登場した。一方、ワシントンは、米ドルが与える特権を常に守っている訳ではない。不必要な関税は、世界経済におけるアメリカの役割と影響力を縮小させる可能性がある。財政の瀬戸際政策(fiscal brinksmanship)は、債務上限をめぐる度重なる対立やデフォルトの脅威と相まって、信頼を損なう。アメリカの国債発行高は35兆ドルに近づき、財政赤字は平時であっても記録的なペースで拡大している。

しかし、もしドルを批判する人々が本当に代替案を求めているのであれば、根本的に異なる政策の採用を余儀なくされるだろう。中国が現在経験している経済問題は、景気循環的なものというよりも構造的なものであるように見える。中国政府の閉鎖資本勘定は取引に利用できる人民元の額を制限しており、昨年、中国は対外直接投資で史上初の四半期赤字を報告した。中国の貿易相手国の多くは、米ドルからの脱却を望んでいるが、ゴールドマンサックス・リサーチは、自国の通貨が米ドルに固定されていることが多いため、中国でも蓄積できる人民元には制限があると指摘している。アメリカの同盟諸国に関して言えば、EUですら、代替手段としてのユーロの魅力を高める可能性のあるはずの、流動性が高い資本市場を創設するための措置を講じていない。

脱ドル化に向けた動きは依然としてわずかだが、意味があり、感動を与えるものである。米ドルがその地位を失うには、ワシントンで一連の政策が失敗し、米ドルを批判する者たちが権威主義的で国家主導の経済(authoritarian, state-led economies)だけでなく、世界的に魅力的な代替案を生み出す必要があるだろう。世界の金融システムは変化しており、確かなことは何もない。しかし、米ドルが負ける方に賭けるのはやはり誤りだろう。

※ジャレッド・コーエン:ゴールドマンサックス国際研究所国際問題部門責任者兼共同会長。ゴールドマンサックスのパートナー兼経営委員会委員を務めている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン米大統領が選挙戦からの撤退を表明して、即座にカマラ・ハリス選対へと衣替えがなされた。その時間はあまりなかったバイデン選対として、バイデン再選のために働いてきた人々は、バイデン撤退を悲しむ暇もなく、ハリス選対としての活動を始めた。中にはこのスピーディーな移行についていけない人たちもいたようだが、全体としてはすぐに活動が始まったようだ。バイデンとハリスの関係については、政権内での確執、バイデンの妻(ファーストレイディー)ジルが「ハリスを副大統領にすべきではない」という発言をしたという話もあり、一枚岩でがっちりということではないようだ。

 また、選対にバラク・オバマ政権人脈の人々が多く参加すると見られて、こうした人々が選対を支えているようだ。考えてみれば、ジョー・バイデン選対もオバマ政権の人脈で構成されている訳で、この点では非常にスムーズに物事が進むということになる。

 そうして考えると、現在の民主党において最重要人物はバラク・オバマということになる。今回のバイデンの選挙戦撤退についても、バラク・オバマの許に、選挙を控えた現職の連邦議員たちから多数の連絡が入り、「バイデンでは自分たちの選挙も危ないので、バイデンを何とか説得して出馬断念させて欲しい」という懇願が寄せられたそうだ。そして、結局、最後に「猫の首に鈴を付けた」のはオバマであったようだ。オバマは民主党の最高実力者ということになる。ビル・クリントン元大統領、ヒラリークリントン夫妻も有力者であるが、やはりヒラリーが選挙で負けているということ、人気がないことで、オバマには及ばない。

 民主党とは言いながら、民主党内の「名家(王家)」が民主党の党内政治を決めているという状況である。そうした名家の代表格が、ボストンのケネディ家、ニューヨークのクリントン家、そして、シカゴのオバマ家ということになる。これらの都市はまさに民主党の金城湯池だ。ニューヨークにはクオモ家、シカゴにはデイリー家という旧名家があったが、今はそれぞれクリントン家とオバマ家が取って代わっている。民主党自体はボス政治の性質が強い政党であり、名家支配はその一環ということになる。

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ジョー・バイデン選対がハリス選対にどのように変身したのか(How the Biden Campaign Transformed Into the Harris Campaign

-選対内外のスタッフたちは、過去数時間が多忙で圧倒され、感情的だったと述べている。

ケイティ・ロジャース筆

2024年7月23日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2024/07/23/us/politics/biden-harris-campaign-transformation.html

ジョー・バイデン大統領がソーシャルメディアで選挙からの撤退を発表した後、カマラ・ハリス副大統領への陣営転換の呼びかけが、スラックを通じて届けられたのは、ある程度ふさわしいこととなった。

バイデン選対のクリエイティヴ・ディレクターであるケイト・コンウェイは日曜日、バイデン大統領のメッセージから約45分後、「オンラインに接続していて、今すぐデザイン作業ができる場合は、このメッセージに手を振って欲しい。私たちは迅速な方向転換に向けて準備を進めている」とデザイナーティーム宛てに、メッセージアプリでメッセージを送った。

これは控え目な表現となった。

様々な肌の色の手の絵文字が飛び交い、選挙スタッフは夜を徹してバイデンの広告を削除し、カマラ・ハリス副大統領の広告に差し替えた。彼らは「ハリス・フォー・プレジデント(Harris for President)」のロゴを赤、白、青でデザインした。彼らは新しいポスターを何枚も印刷した。そして真夜中ごろ、デラウェア州ウィルミントンの選挙本部で、ウイスキーで乾杯した。

ある選挙運動関係者が言うように、7月の日曜日の午後として、これは簡単な作業という訳にはいかなかった。

コンウェイは電子メールで取材に応じ、次のように述べた。「ハリス選対のクリエイティヴ・ウェブティームが活動を開始し、一夜にしてキャンペーン全体のブランドを変更し、わずか26時間で新しいウェブサイトを立ち上げた。それがどれほど難しい仕事であるかは、いくら強調してもしすぎることはない。このブランドは、庭の看板や集会のプラカードから、ウェブサイト、ソーシャル チャネル、広告に至るまで、あらゆる場所に存在している」。

バイデンが選挙運動を取り止めるという、予期せぬ決定は、2024年の大統領選を一変させただけでなく、全国の選挙事務所はもちろんのこと、選挙対策本部でブランド変更の狂乱を引き起こし、少なからずむち打ち症(whiplash)を引き起こした。

バイデンの再選を目指して活動してきた大勢の選挙運動員たち(中には過去数週間が人生で最も厳しかったと語る人もいる)にとって、バイデンの選挙戦撤退を悲しむ時間はあまりなかった。

6月末の討論会での悲惨なパフォーマンスの後、バイデンが選挙戦の復活を試みたが最終的には失敗に終わった後、「それは本当にほんの数週間前のことだったのだろうか?」という感慨が引き起こされえた。月曜日の午後、ハリスが選挙対策本部に到着したことは、お祝いすべき出来事となった。彼女が到着する直前、スタッフたちはまだ乾燥していないプラカードを持って印刷所から飛び出し電話を切った。

この驚異的なロケットスタートを思い出させるものは他にもいたるところにあった。まず、バイデンはまだ海の家で新型コロナウイルス感染症から回復中だったため、電話する必要があった。

バイデンは、「昨日のニューズが驚くべきものだったことは承知しているが、正しい行動だった」と語った。

そして、数時間前に報告してきたスタッフに「彼女を抱きしめて」と指示した。

選挙まで、残り106日となっており、物思いにふける時間はほんの数秒しかなかった。ハリスがエアフォース・ツゥーで、ウィルミントン(過去半世紀にわたりバイデンの政治的伝承と密接な関係にある町)に到着すると、民主党でバイデンの密接な支持者であるクリス・クーンズ連邦上院議員が出迎えた。その数時間前には、大統領は選挙活動を続けることができると断固主張していた。

陣営関係者たちは本部の内外で、過去数時間は多忙で圧倒され、感情的だったと述べている。バイデンが群衆に向かって話す間、涙を流す人もいた。また、バイデンとハリス(59歳)の数人の支援者たちは、副大統領に対する国民の支持と、身を引いて彼女を支持した、81歳の大統領への感謝の表明とのバランスを取ることが重要だと述べた。

しかし、選対内部では、バイデンが撤退して以降、熱意が高まっていることを否定する人もいた。ハリス陣営は日曜午後から月曜夜までに1億ドルを集め、初めての寄付者から多額の資金が集まった。ハリス陣営の広報担当ケヴィン・ムニョスは記者たちへのメモの中で、ハリス陣営へのヴォランティア登録者は5万8000人を超えたと述べた。ミルウォーキーで開催されたハリスの候補者としての最初の集会は非常に多くの出席者を集めたため、選対は、すぐにより大きな会場を探す必要があったと関係者は述べた。

これらの議論に詳しい関係者によると、舞台裏ではバラク・オバマ大統領の元上級顧問デイヴィッド・プルーフを含む他の民主党の人物たちがハリスのティームに協力を申し出ているという。

ハリスが選挙運動指導部の一部をそのまま維持するという事実、つまり、ジェニファー・オマリー・ディロンを選挙委員長に、ジュリー・チャベス・ロドリゲスを選挙運動部長に据えるという事実は、彼女が現在率いている選挙運動の先頭に立った人物が別の人物であることを思い出させるものだ。

ハリスの支持者たちは、職員間の緊張やバイデンが選挙に勝てるか確信が持てないとの報道にもかかわらず、ハリス副大統領はバイデンの側に固執してきたと長年主張してきたが、職員を鼓舞し、バイデンの指導力を称賛するというハリスの決断が反映されていると述べた。

民主党所属でカリフォルニア州副知事のエレニ・クナラキスは、ハリスはこれまで副大統領時代の大半を、バイデンに対して果たしてきた右腕的な役割を誇りに思って過ごしてきたと語った。

クナラキスは、「バイデンは検察官のスキルを活かして職員を訓練し、意思決定のための情報を大統領に提供するために彼女を信頼していた。彼女は、大統領が、彼女の持つそのスキルを高く評価したと誇らしげに私に語った」と述べた。

実際、ハリスは、共和党の候補者であるドナルド・J・トランプ元大統領に対する、彼女自身の政策の最初の方針を明らかにし、検察官としての過去を誇示した。

ハリスは次のように述べた。「私はあらゆる種類の加害者を相手にしてきた。女性を虐待する凶悪な犯罪者たち、消費者を騙す詐欺師、自分の利益のためにルールを破る詐欺師たち。だから、私の言うことを聞いて欲しい。私はドナルド・トランプのタイプを知っている」。

ハリスがリーダーシップを発揮し、トランプから確実に加えられる攻撃に耐える能力については未解決の疑問が残っている。

しかし、このヴィデオはすぐに拡散した。

※ケイティ・ロジャース:ホワイトハウス特派員。過去10年間、大統領、ファーストファミリー、ワシントンでの生活に関する特集を中心に、内政・外交問題を幅広く取材。ファーストレディに関する著作もある。

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ前大統領が今年の大統領選挙に当選し、二期目の政権を発足させると、前政権に参加していた人物たちが政権入りすると見られている。外交・安全保障関係で言えば、下記論稿にあるように、国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン、国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、前政権で情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルといった人々の名前が挙がっている。彼らはトランプに対して忠誠心を持っている人物たちだ。
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ロバート・オブイエン
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ジョン・ラトクリフ
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リチャード・グレネル
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カッシュ・パテル

 トランプ政権が発足すれば、ウクライナ戦争に関しては、少々強引にでも停戦に持っていくだろう。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の両方と話ができるのはトランプだけだ。ウクライナにしてみれば、自国に不利な条件での停戦を求められる可能性が高い。ゼレンスキー大統領が常々述べている、1991年の独立時点での国土の奪還はもともと無理な話だったが、それを公約にしてしまっている以上、それができずに停戦となれば、ゼレンスキーは退陣するしかない。その後にはゼレンスキーと周辺人物たちの汚職や腐敗が捜査され、逮捕拘留ということにもなるだろう。ゼレンスキーに停戦を飲ませるには、免罪を確約しておく必要もあるだろう。
 イスラエルも似たような状況である。ベンヤミン・ネタニヤフはガザ地区での攻撃を強めながら、同時にレバンンのヒズボラ、更にはイランとの全面戦争という危険な賭けをしている。ネタニヤフも戦争の状況が落ち着いて停戦となれば、自身の汚職スキャンダルのために、逮捕は免れない。ここのところはゼレンスキーと同様だ。
 このように、脛に傷を持つゼレンスキーとネタニヤフという2人の指導者がアメリカの権力の空白、現職大統領の無力化の隙を突いて、戦争の規模を拡大させようとしている。トランプが大統領になれば、この2人に対して圧力をかけつつ、落としどころを見つけるために交渉をすることになるだろう。

 アメリカが世界の警察官であることはもう無理な話になっている。単独で行動することはできない。従って、同盟諸国には過重な負担を強いてくることになる。日本も例外ではない。ここで、日本をはじめとする同盟諸国は負担と自国の国力と周辺環境が見合っているのかということを真剣に考えねばならない。これまではある意味ではアメリカにおんぶにだっこで良いとなって、真剣に考えてこなかった。だから、コスト意識も薄く、簡単に戦争だ、なんだと考えもなく言うことができた。

しかし、今の西側諸国で戦争に耐えられるだけの経済力を持っている国がどれだけあるか。防衛力強化のための増税にどれだけ耐えられるか。それならば、戦争に至らないように、周辺諸国との交渉チャンネルをキープし、対応人材を教育し、「外交(交渉)が主」という意識に変化していくことが重要だ。そのための、アメリカのトランプ政権誕生ということになれば、世界の構造も大きく変わっていく。

トランプという人は、自覚はないだろうが、アメリカ衰退に対応し、何とか幕引きをするための人物である。そして、アメリカ一極から米中二極、更には多極へと向かう中で、アメリカを世界の超大国から普通の大国にしていく過程の中で生み出された人物である。私たちにこれまでの外交の常識に疑問を持たせて、新しい形を考えるきっかけを与える人物なのである。

(貼り付けはじめ)

トランプは中国、NATO、ウクライナに対するアメリカの外交政策を再構築するために忠誠心を持つ人間たちを配置するだろう(Trump would install loyalists to reshape US foreign policy on China, NATO and Ukraine

グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート筆

2023年12月19日

ロイター通信

https://www.reuters.com/world/us/trump-install-loyalists-reshape-us-foreign-policy-diplomats-gird-doomsday-2023-12-18/#:~:text=Those%20advisers%20include%20John%20Ratcliffe,the%20intelligence%20and%20defense%20communities

12月18日、ワシントン発(ロイター通信)。ドナルド・トランプは二期目で、国防総省、国務省、CIAの要職に忠誠心を持つ人物を据える可能性が高く、彼らの主な忠誠はトランプに対してであり、一期目の大統領時代よりも、より自由にアイソレイショニスト的政策や気まぐれな政策を制定できるようになるだろう。20名近くの以前の、そして現役の側近や外交官たちに取材して明らかになった。

その結果、トランプが大統領になれば、ウクライナ戦争から対中貿易に至るまで、アメリカの姿勢を大幅に変更することが可能になり、外交政策を実施する(時には制約する)連邦機関にも変更を加えることができると側近や外交官たちは語った。

トランプは、一期目の大統領時代に、自分の計画の一部を遅らせたり、棚上げしたり、説得して止めさせたりする政府高官に対してしばしば不満を表明した。マーク・エスパー元国防長官は回想録の中で、アメリカの最大の貿易相手国であるメキシコの麻薬カルテルに対するミサイル攻撃というトランプ大統領の提案に二度異議を唱えたと述べた。トランプはこのことに関してコメントしていない。

今年の選挙戦での提案の中で、トランプはメキシコのカルテルに対してアメリカ軍特殊部隊を配備すると述べているが、これはメキシコ政府の賛同を得られそうにない。

もしトランプが再び政権に返り咲けば、トランプはヨーロッパへの国防援助を削減し、中国との経済関係をさらに縮小させるだろうと側近たちは語った。

ロバート・オブライエンは、トランプのトップ外交顧問の一人であり、トランプと定期的に話をしているが、NATO諸国が国内総生産の少なくとも2%を国防費に充てるという約束を守らなかった場合、貿易関税を課すことが、トランプの大統領2期目の任期中に検討される政策の1つになるだろうと述べた。

トランプ陣営はこの記事についてコメントを控えた。

トランプと会話した4人の関係者の話によると、2016年の大統領選に向けての準備段階とは異なり、トランプは定期的に話し合う安定した人々、外交政策の経験が豊富で個人的な信頼を寄せる人々を育ててきたという。

これらの顧問には、トランプ政権最後の国家情報長官ジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、元トランプ政権のスタッフで情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルが含まれる。

これらの人々は誰もインタヴュューの依頼に応じなかった。

これらの非公式な顧問たちの具体的な政策はある程度異なるものの、大半は退任以来トランプを声高に擁護しており、アメリカがNATOとウクライナの両方を支援するために多額の費用を支払っているとして懸念を表明している。

●「終末オプション」("DOOMSDAY OPTION"

トランプは共和党大統領候補指名争いで圧倒的なリードを保っている。トランプが共和党の大統領選挙候補者となり、来年11月に民主党のジョー・バイデン大統領を破れば、国内外で権力の行使方法についてより精通した、より大胆になったトランプを世界が目にする可能性が高いと現・元側近たちは述べた。

この見通しを受けて、外国資本はトランプの2期目がどのようになるかについて情報を求めて争っている。トランプ自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせるといった大まかな主張以外に、次回どのような外交政策を追求するかについてほとんど手がかりを提供していない。

ロイター通信がインタヴューしたヨーロッパ諸国の外交官8人は、トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)同盟諸国を守るという、アメリカの公約を尊重するかどうか疑問があり、ロシアとの戦争が継続中であるが、ウクライナへの援助を打ち切るのではないかとの深刻な懸念があると述べた。

デリケートな問題のため匿名を条件に語ったワシントン駐在の北ヨーロッパの外交官の1人は、トランプ元大統領が2021年にホワイトハウスを去った後も、同僚たちとともにトランプの側近らと会話を続けていたと語った。

この外交官は次のように述べた。「そうした内輪の話の内容は、『私たちには統治する準備ができていなかった。次回は違うやり方をしなければならない』というものだった。2017年に彼らが大統領執務室に入ったとき、一体何をすればいいのか全く分かなかった。しかし、このようなことは二度と起こらないだろう」。

NATO加盟諸国であるこの外交官とワシントンのもう1人の外交官は、彼らの任務が本国の首都に宛てた外交公電で「終末オプション(doomsday option)」の可能性を概説したと述べた。

これらの外交官たちが外交公電で述べた複数の選挙後の仮説のうちの1つである、仮想シナリオでは、トランプは官僚機構の諸要素を解体し、アメリカの抑制と均衡(checks and balances)のシステムが弱体化するほどに、政敵を追及するという公約を実行している。

取材に応じた外交官は、アメリカ政治に対する外交官グループの見解について次のように述べた。「外交官として、自国の首都に説明しなければならない。『バイデンが再選されれば、アメリカは再建を続けているので、事態はむしろうまくいくかもしれない』と私たちは報告する。そして、トランプについては、穏やかなヴァージョンとなる。一期目の政権を繰り返し、攻撃的なニュアンスを加えたものだ。そして、終末の選択肢があるということを報告する」。

●グローバリズムからの撤退(RETREAT FROM GLOBALISM

トランプ政権で中東担当米国防次官補を務めたマイケル・マルロイは、トランプ前大統領はアイソレイショニストな外交政策に賛同し、トランプと対立する可能性が低い人物を任命する可能性が高いと述べた。

米大統領は、国務省、国防総省、CIAを含む連邦官僚の最上級職に政治任命者(political appointees)を指名する権限を持っている。

マルロイは、「それは主にトランプ大統領への忠誠心に基づくものになると思う。彼が信じる外交政策に対する確固たる信念、それはある種のグローバリスト政策ではなく、アメリカにもっと重点を置いている」と述べた。

トランプ大統領は、自身が支持していたトランスジェンダー軍人の入隊禁止から2018年のシリアからのアメリカ軍撤退の決定に至るまで、1期目に国防総省で任命した自らの任命者たちと多くの問題で衝突した。

トランプ政権で1人目の国防長官を務めたジム・マティスが2018年に辞任した時、元四つ星将軍はトランプとは政策的に大きな違いがあると述べた。マティスはそれらについて明確には述べなかったが、辞表の中で、ロシアのような敵に対して武器を持った距離に保ちながら、NATOや他の同盟諸国との鉄壁の絆を維持する必要性を強調した。

トランプ政権下の元駐スイス大使で、現在は選挙資金集め担当者でトランプと連絡を取り合っているエド・マクマレンは、知人のほとんどの外交官はトランプ大統領に忠実に仕えていたと強調した。

しかし、トランプは2期目の外交政策のトップポストには、不誠実、あるいは反抗的な官僚を選ぶことを避ける必要があることを認識しているとマクマレンは述べた。

マクマレンは「トランプ前大統領は、次期政権の成功には能力と忠誠心が重要であることを強く意識している」と述べた。

マクマレンはトランプ陣営の公式政策サイト「アジェンダ47」によると、トランプ大統領の最高顧問団以外では、潜在的なトランプ政権は「ならず者(rouge)」とみなされる国家安全保障コミュニティの下位レヴェルの関係者を排除する計画だという。

どの政権が誕生しても、中立の官僚組織が存在するアメリカでは、このような措置はほとんど前例がないということになる。

トランプ大統領は、1期目の最後の数カ月間に発令したが、完全に施行されることはなかったが、公務員の解雇をより容易にする大統領令を復活させる計画だと述べた。

今年初めにアジェンダ47で公開されたあまり報道されていない文書の中で、トランプは「真実と和解委員会、新しいタブを開く(Truth and Reconciliation Commission, opens new tab)」を設立し、他の機能の中でもとりわけ「ディープステート(Deep State)」の権力乱用に関連する文書を公開すると述べた。トランプはまた、情報収集をリアルタイムで監視することを目的とした別の「監査(auditing)」機関を創設する予定だ。

トランプは今年初めに新しいタブを開いて、政策ビデオの中で、「国務省、国防総省、そして国家安全保障関連政府機関は、私の政権が終わるころには、まったく違った場所になっているだろう」と述べた。

NATO撤退? 新たな貿易戦争(NATO PULLOUT? NEW TRADE WAR

トランプは大統領2期目の任期中に、中国の最も優遇された貿易立国としての地位(一般的に言えば国家間の貿易障壁を下げる立場)を終わらせ、ヨーロッパ諸国に防衛費の増加を促すと約束した。

ウクライナのロシアとの戦争において、トランプがアメリカによる重要な支援を継続するかどうかは、NATOへの継続的な関与と同様に、準備をしようとするワシントンに駐在するヨーロッパ諸国の外交官たちにとって特に重要である。

バルト諸国のある外交官は「トランプがNATOからアメリカを引き離すか、ヨーロッパから撤退したいという噂がある。もちろん心配な内容に聞こえるが、私たちはパニックには陥っていない」と語った。

NATOの将来に対する懸念にもかかわらず、この記事のためにインタヴューした複数の外交官は、トランプ大統領の1期目の圧力が確かに国防費の増加につながったと述べた。

トランプ政権下で、3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、その後トランプを声高に批判するようになったジョン・ボルトンはロイター通信に対し、トランプ大統領がNATOから離脱すると信じていると語った。

このような決定は、75年近く同盟の集団安全保障に依存してきたヨーロッパ諸国にとっては天地を揺るがすものとなるだろう。

他のトランプ政権関係者の3人(うち2人は現在もトランプ氏と連絡を取り合っている)はその可能性を否定し、そのうちの1人は国内政治的な反発に値するものではないだろうと述べた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、このやりとりを知る関係者2人によると、少なくともワシントン駐在の外交官の1人、フィンランドのミッコ・ハウタラ大使が何度もトランプ大統領と直接会話しているということだ。

これらの議論は、フィンランドのNATO加盟プロセスに集中した。ある関係者によると、ハウタラ大使は、フィンランドが同盟に何をもたらし、フィンランドの参加がアメリカにどのような利益をもたらすかについてトランプに正確な情報を確実に伝えたかったということだ。

報道:グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート。追加報道:ジョナサン・ランディ、アーシャド・モハメド、スティーヴ・ホランド。編集:ロス・コルヴィン、ドン・ダーフィー、ダニエル・フリン。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカの景気減速が取り沙汰される中で、日本では利上げが行われ、株価が大きく下がり、その後、戻しているが、乱高下の不安定な状況になっている。アメリカでも株価が下落している。アメリカ国内ではインフレや生活苦で人々の不満が溜まっている。

 2020年の大統領選挙では、当時感染拡大が続いていた新型コロナウイルス感染拡大対策が重視された。もちろん、経済も重要な争点であったが、それよりも新型コロナウイルス感染拡大が主要なテーマとなった。シャットダウンや流通の停滞などで景気は停滞するのは仕方がないという受け止めだった。そして、新型コロナウイルス感染拡大の状況が落ち着けば景気は回復するという見通しが立っていた。

 今回、アメリカの景気後退の見通しがある中で、大統領選挙が戦われている。人々の生活に経済は密着している訳なので、経済問題は大きな争点となる。ここで重要なのは、「経済問題に関してはトランプ」という考えが有権者の間に根強いということだ。2016年の大統領選挙、そして、2020年の大統領選挙で、各種世論調査が実施されたが、その中で、経済に関しての質問で、トランプを支持する有権者が多かった。それは、2024年の大統領選挙でも同様のようだ。

 カマラ・ハリスは現職の副大統領なので、ジョー・バイデンの政策を大っぴらに批判することはできない。そして、彼女自身が何か経済関係で大きな仕事をしたということもない。そうなれば、「経済に弱いハリス」という評価になってしまう。それを覆すためには、新機軸を打ち出さねばならないが、それもできないとなれば、いくら検察官としての経歴が輝かしいものであろうが、何の意味もない。フレッシュだとか、有名人が応援しているとか、そんなものは人々の生活には何の役にも立たず、景気減退の対策にも何の意味もない。「政治とは生活だ」と田中角栄が喝破したが、カマラ・ハリスもそれくらいのことを言えるくらいの経綸を人々に示す必要がある。

(貼り付けはじめ)

民主党はハリスに経済に関する正しいメッセージを見つける必要があると警告(Democrats warn Harris must find right message on economy

エイミー・パーネス、トバイアス・バーンズ筆

2024年8月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business/4819601-harris-economic-message-trump-tie/

民主党は、ドナルド・トランプ前大統領がカマラ・ハリス副大統領を、バイデン大統領が候補者だったときに悩ませた物語と結びつける前に、ハリス副大統領が経済メッセージを確固たるものにする必要があると警告している。 

先月、バイデンが選挙戦から撤退する前は、経済が有権者にとっての主要な争点であり、一連の世論調査では、この問題でトランプが勝利していることが示されていた。調査では、有権者はバイデンよりも経済問題に関して、トランプを信頼していると結論づけた。

しかし、過去6週間、ニュースサイクルは、バイデンの悲惨な討論パフォーマンスを受けた民主党内の不確実性、トランプ暗殺未遂、トランプ前大統領によるJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)を副大統領候補と指名して、そして共和党全国大会で活躍した。

それから1週間も経たないうちに、バイデンからハリスへの政権交代が見出しを飾り、その後2週間にわたってハリスへの熱狂の波が続き、ハリス自身の賭け金に関する注目によって更に加速した。

その間、民主党は政策についてあまり心配する必要がなかったが、共和党はハリスの人種や民族を含むアイデンティティ政治に主に焦点を当ててきた。しかし、民主党は、共和党が経済政策を選挙戦の最前線に戻す前に、ハリスと副大統領候補のミネソタ州知事ティム・ウォルツ(民主党)が経済攻撃に乗り出す必要があると主張している。

民主党のストラティジストであるジョエル・ペインは次のように述べている。「大きな問題は、『そこでメッセージ合戦に勝てるか? 人々の感情を説得できるか、そして、未来についての会話で勝てるのか?』だ。この点では、伝統的に共和党が有利なのは明らかだ。しかし、この3年間を争点にする一方で、経済に関して、『将来的に誰を信頼するのか』という文脈を確認する必要がある」。

ある民主党の大口献金者によると、現時点ではハリスは経済やその他の最重要政策課題に関して「フリーパスを得ている(getting a free pass)」という。この大口献金者は、「しかし、彼らはすぐにしっかりとした経済的議論を行える準備ができている必要がある。バイデンはそのメッセージを明確に表現するのに苦労した」と警告を発した。

新型コロナウイルス感染拡大後のインフレ上昇に対応して、連邦準備制度理事会(FRB)が実施した利上げと量的引き締めの期間を経て、経済は大きな変化を迎える変曲点(inflection point)に近づき、問題としての緊急性が増している。

サーム・ルールとして知られる主要な景気後退指標は、先週、失業率が4.3%に上昇したことによって引き起こされた。市場ではFRBが景気刺激に着手するため次回会合で利下げすると広く予想されている。

バイデンの大統領選挙撤退後に行われた各種世論調査では、ハリスが経済全体の対応に関してトランプとの差を縮めていることが示されている。モーニング・コンサルト社が今月実施した世論調査では、有権者の50%が経済に関してトランプを信頼していると回答し、42%がハリスを信頼していると答えた。この問題に関して、51%がトランプ前大統領を信頼していると答えたのに対し、37%がバイデンを信頼していると答えた今年初めとは大きな違いだ。

最近のマリスト大学世論調査によると、どちらが経済をうまく処理するかについて、トランプが依然としてハリスに対して、51%対48%とわずかなリードを保っていることが明らかになった。

バイデンは、大統領任期中に異例の時期を経験し、経済から政治的勢いを得るのに苦労した。新型コロナウイルス感染拡大の余波は、経済パフォーマンスに関する従来の多くの想定を打ち砕いた。

連邦準備理事会が金利を引き上げ、バランスシートを削減したにもかかわらず、雇用水準は過去最高近くを維持した。中央銀行と多くのエコノミストは、2023年に景気後退が起こると予測したが、それは起こらなかった。企業利益は過去最高に急増し、経済成長は数四半期で予想を上回った。

しかし、高インフレが消費者の心理とバイデンの経済的支持率に重くのしかかり、バイデンはこうした目覚ましい指標を生かすことができなかった。5月時点では、バイデンの経済対応に信頼を寄せているアメリカ人はわずか38%だった。ギャラップ社の調査によると、この数字は、2023年には35%まで低下し、最近の大統領の中でその割合が低かったのは、2008年の金融崩壊直後のジョージ・W・ブッシュだけだった。

対照的に、トランプは、ギャロップ社の世論調査で、経済面での支持率は46%で、大統領任期を通じてほぼ同じ数字となった。トランプ前大統領は、比較的低い失業率とインフレ率を維持した。トランプの選挙陣営は、所得税に代わる可能性のある輸入品に対する10%の一般関税など、いくつかの思い切った経済提案を掲げ、経済に関する見出しを飾った。

トランプはまた、国内の賃金と雇用を増やす手段としての移民に対する深刻な制限についても話しており、ブルームバーグとの最近のインタヴューでは、それが彼自身の経済政策設計における「すべての最大の[要素]the biggest [factor] of all)」であると述べた。投資家たちは、本誌に対し、企業が安価な労働力へのアクセスに抵抗する可能性があると語り、一部の研究者は、トランプ大統領の政策がインフレを招くのではないかと懸念している。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、トランプ大統領の顧問たちは、経済に対して絶大な権限を持つ法的に独立したアメリカの中央銀行であるFRBの力を制限する計画さえ策定しているという。トランプは大統領任期中、ジェローム・パウエルFRB議長を定期的に批判しており、選挙活動でもパウエル議長を激しく非難してきた。

経済や反グローバライゼーションに関するトランプ前大統領のメッセージは、彼の支持者だけでなく、他の共和党候補者への支持を示唆する人々の共感を呼ぶことが証明されている。

JPモルガン・チェイスの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は今年初め、ある経済フォーラムに出席し、「一歩下がって正直になってみよう。NATOについてのトランプの主張はある意味正しかった。彼は移民についてはある意味正しかった。彼は経済を非常にうまく成長させた。貿易、税制改革は効果を発揮した。中国について彼の主張の一部は正しかった」と述べた。

トランプ陣営に近い関係者によると、ハリスは経済メッセージに取り組んでおり、バイデン大統領の顧問を務めたジーン・スパーリングたちを陣営に迎え入れている。

これまでのところ、ハリス陣営の経済スタンスは、バイデン陣営の経済スタンスとほぼ一致しており、保守的な提案を否定しながらも、雇用、医療、インフレ低下については多くの点で一致している。

火曜日にフィラデルフィアで選挙活動を行った際、ハリスは自身の経済メッセージを大々的に発表した。

ハリスは次のように述べた。「私たちは、全てのアメリカ人が家を持ち、起業し、富を築く機会を得る、広範な経済を構築する未来のために戦っている。私たちは、依然として高すぎる物価を引き下げ、アメリカの家族の生活費を引き下げ、彼らがただ暮らしていくだけでなく、出世するチャンスを得ることができる未来のために戦っている」。

ヴェテランの共和党系ストラティジストで、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)の2012年大統領選挙運動で顧問を務めたケヴィン・マッデンは、選挙は依然として「経済に関連した有権者の雰囲気やムードによって決まる可能性が高い。インフレとコスト上昇への懸念により景気は悪化している」と述べた。

マッデンは、ハリスは「バイデン政権の政策と記録を共有すべきだが、それはトランプがそれを確信した場合に限る」と述べた。

マッデンは「トランプとヴァンスがハリスに対する最初の対照的なメッセージでアイデンティティ政治と文化の問題を推し進めたことのマイナス面は、経済という最重要課題で、まだどちらを支持するか決めていない有権者たちの支持を得る機会を無駄にしてしまったことだ」と述べた。

木曜日の記者会見でトランプ前大統領は、経済問題に真っ向から言及し、最近の経済指標を背景に、アメリカは深刻な景気後退の瀬戸際にある可能性があると警告した。

トランプは、「私たちの経済は現在非常に悪い。私たちは文字通り大恐慌の真っただ中にいる可能性がある」と述べたが、経済学者の間で大恐慌を警告する人はほとんどいない。

投資家やエコノミストたちは、本誌の取材に対し、ハリス・ウォルツ陣営は慣れ親しんだ経済の物語から脱却し、ハリスが監督に貢献した予想外に好調な業績を活用すべきだと語った。

ウエストウッド・キャピタルの共同創設者であるダン・アルパートは、本誌の取材に対し、民主党は労働市場のよく知られた過剰パフォーマンスに焦点を当てるのではなく、賃金上昇率について厳しい数字を掲げることで、インフレ高進の物語をかき消しるべきだと語った。

アルバートは、電子メールで「新型コロナウイルス感染拡大前夜の2020年2月における全民間部門の平均週収が979ドルだったことをアメリカ国民に思い出させるべきだ。今日では1200ドルだ」と書いた。

「どれだけの雇用が創出されたかについて話すのは止めよう。アメリカ人は、それが新型コロナウイルス感染拡大後の再雇用によって歪められていることを知っている。彼らのポケットにあるお金に注目すべきだ」とアルバートは続けた。

アルパートはまた、個別の指標や論点を超えて、ハリスは組織労働者に対するバイデンの熱烈な支持に明らかな経済に対する労働者階級のヴィジョンを拡張し、最近のより大局的な政策規範から逸脱すべきだと述べた。

アルバートは次のように述べた。「これは、ハリスとウォルツが無視すれば、トランプが再選されることになる問題だ。それは、人口の下位3分の1の経済的、身体的不安定だ」と同氏は述べた。これはトランプ氏の強みであると同時に、共和党員としてのアキレス腱でもある。民主党は、富と所得の二極化の拡大をもたらしたクリントン時代の新自由主義支持を断固として否定する必要がある」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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