古村治彦です。
先週金曜日に自民党総裁選挙が実施され、石破茂新総裁が選出された。それから週末にかけて、人事構想が報道されるように、明けて9月30日月曜日には、なんと、10月27日に投開票となる、解散総選挙が実施されることが決まった。何とも慌ただしい数日間となった。今回の人事は、安倍派清和会を排除するものとなった。麻生太郎元首相は最高顧問就任の打診を受諾する方向であるという。総裁選挙で子分の河野太郎を見捨てて、結局負けるという大失態を演じた麻生は静かに引退させてもらえずに、晒し者になる。「最高顧問だって(笑)」と鼻で笑われながら、じろじろと見られることになるだろう。菅義偉元首相は副総裁になる。自民党の機構上、副総裁には何の力もないが、肩書だけは立派だ。自民党執行部に入った以上、石破を支える立場ということになり、倒閣運動などをする場合にはその座から去らねばならない。自分の持ち球である小泉進次郎の出来が悪すぎて、半分失敗したようなものだから、しばらくは静かにしているだろう。
驚きだったのは森山裕議員の幹事長就任、小泉進次郎議員の選対本部長就任である。森山議員が石破新総裁に進言して、早期の解散総選挙が実現したということで、森山幹事長は、選挙を仕切って、石破で勝たせるということに全力だろう。ここで勝利すれば、森山議員の自民党内での影響力も増す。実質的に選対を仕切るのは森山氏だ。選対本部長の小泉進次郎議員は厳しい立場だ。裏金議員や統一教会関係議員の公認をどうするか、で血刀をぶら下げて同僚議員の首を切らねばならないことになる。小泉議員に恨みが集中する。ここをうまく乗り切れば、小泉復権ということになるが、うまくいかなければ、弊履の如く捨てられてしまうだろう。正念場である。
重要なのは林芳正議員の官房長官続投である。林氏は今回の総裁選挙でも豪雨対策で公務優先し、評価を上げた。岸田派宏池会として林芳正議員が後継者となり、ポスト石破ということになる。官房副長官には青木一彦参議院議員が選ばれた。茂木派は茂木敏光議員が総裁選挙で敗北し、力を失っていく。既に退会している小渕優子議員と青木一彦参議院議員が小渕派経世会(七日会)を再建していく。小渕優子議員は組織運動本部長ということで、自民党の政治運動全般、様々な団体や組織との交渉などを統括する立場となる。ここで、人脈を広げておくこと将来の総理総裁候補となるためには重要だ。
私が興味を持っていたのは、総裁選挙で小林鷹之代議士を支援した福田達夫議員の処遇だった。安倍派清和会の次期プリンスという位置づけだった。清和会は、岸-安倍系と福田系の2つの流れがあり、昭和時代は特に跡目相続の際に争いが絶えない派閥だった。福田達夫議員は幹事長代行ということで、森山幹事長を支える執行部入りということになった。これは、安倍派との分離を示している。総裁選挙で最下位だった加藤勝信議員は財務大臣に就任。加藤議員の岳父加藤六月は、安倍派の相続争いで、森喜朗に敗れて苦杯をなめたという経験を持つが、これは森喜朗への当てつけかと思うほどだ。
石破執行部・政権は、裏金問題や統一教会問題を利用しての安倍派清和会弱体化を意図したものだ。それがよく示されている。
(貼り付けはじめ)
●「麻生氏が最高顧問、過去に岸信介氏らの名も 党役員・閣僚人事の全容」
9/29(日) 21:20配信 朝日新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/585915f4721464642bb833192781d6c825e1ee9a
自民党の石破茂新総裁による党役員・閣僚人事の全容が29日、判明した。党最高顧問に麻生太郎副総裁(84)を充て、総務会長には鈴木俊一財務相(71)を起用する。1日に発足する新内閣の閣僚のうち初入閣は13人、女性は2人。いずれも防衛相経験者の岩屋毅衆院議員(67)を外相に、中谷元衆院議員(66)を防衛相に起用する。
【チャート図】固辞相次ぐ石破人事 船出は分断消えぬまま
■組織運動本部長に小渕氏、小泉氏は選対委員長
幹事長に内定している森山裕総務会長(79)が29日、都内で麻生氏と会談した。関係者によると、森山氏から最高顧問を打診し、麻生氏は応じる意向を示したという。総裁選の決選投票で高市早苗経済安全保障相(63)を支持した麻生氏を処遇し、党の最高意思決定機関である総務会のトップに麻生派の鈴木氏を充てることで挙党態勢を演出する。過去には首相経験者の岸信介氏や福田赳夫氏らが最高顧問を務めた。
また、国会対策委員長に坂本哲志農林水産相(73)、組織運動本部長に小渕優子選挙対策委員長(50)を充てる。平井卓也広報本部長(66)は続投する。副総裁に菅義偉前首相(75)、政調会長に小野寺五典元防衛相(64)、選対委員長に小泉進次郎元環境相(43)はすでに内定している。
■文科相に阿部俊子氏、三原じゅん子氏も初入閣
今回の人事では、裏金問題で政治資金収支報告書の不記載が発覚した議員は起用しない方向だ。
閣僚のうち外相の岩屋氏、防衛相の中谷氏はいずれも石破氏に近く、防衛政策に詳しい。外交・安全保障を重視する石破氏の姿勢を反映した形だ。石破氏が主張する日米地位協定の改定やアジア版NATO創設の実現に向けた交渉を担当する。
女性閣僚は、こども政策担当相に三原じゅん子・元厚生労働副大臣(60)、文部科学相に阿部俊子・文科副大臣(65)を起用する。
総裁選で石破氏の推薦人だった議員が多く登用される。村上誠一郎元行政改革相(72)は総務相、小里泰弘首相補佐官(66)は農林水産相、平将明党広報本部長代理(57)はデジタル相、赤沢亮正財務副大臣(63)は経済再生相、伊東良孝元農水副大臣(75)は沖縄・北方担当相となる。
法相に牧原秀樹(53)、厚生労働相に福岡資麿(51)、経済産業相に武藤容治(68)、環境相に浅尾慶一郎(60)、復興相に伊藤忠彦(60)、国家公安委員長に坂井学(59)、経済安保相に城内実(59)の7氏が就く。
安全保障担当の首相補佐官には長島昭久衆院議員(62)が就く。官僚トップの事務の官房副長官は佐藤文俊・元総務事務次官(67)を起用する。政務の官房副長官は橘慶一郎衆院議員(63)と青木一彦参院議員(63)が内定している。
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●「森山氏進言受け石破氏、衆院選「10月27日」短期決戦へ決断…立民・野田氏は「ひょう変」批判」
9/30(月) 6:26配信 読売新聞オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab
https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab?page=2
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[スキャナー]
自民党の石破茂新総裁が衆院選を「10月15日公示―27日投開票」で行うのは、政権発足の勢いに乗り、短期決戦で勝利を収めたいとの思惑からだ。森山裕新幹事長らも強く進言した。党役員・閣僚人事は総裁選の論功行賞と首相経験者への配慮の色合いが濃く、世論の評価につながるかどうかは不透明だ。(政治部 森藤千恵、阿部真司)
「新政権の信を問うのはやっぱり早い方がいいと思っている」
29日のフジテレビの番組で石破氏はこう強調した。
10月1日に召集される臨時国会の審議については、党首討論を挙げ、「(国民に)判断いただける材料をきちんと調える」と述べた。
4日の衆参両院での所信表明演説とそれに続く各党代表質問を終えた後、党首討論で野党側との論戦に応じたうえで、衆院解散に踏み切る意向を示したものとみられる。
石破氏は9日に衆院を解散し、ラオスで10~11日に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で首脳外交デビューを果たしたい考えだ。
ひょう変
石破氏は総裁選の論戦では、「世界情勢がどうなるか分からないのに『すぐ解散する』という言い方はしない」(9月14日)と語るなど、早期解散に慎重姿勢を示すこともあった。
衆院解散を巡っては、憲法69条に内閣が不信任となった場合、解散か総辞職を選ぶ規定があることから、解散はこれに限るべきだとの主張がある。一方、憲法7条には内閣の助言と承認による天皇の国事行為の一つとして解散が書かれており、これを根拠にした「7条解散」が定着しているのが実情だ。
石破氏は元々、首相がタイミングを選べる「7条解散」に否定的で、自身のブログでも「解散は政権の延命や党利党略目的で行われるべきものではない」(2023年6月9日)と指摘していた。
この日の番組では、石破氏は「国民の審判を経ないまま、新政権ができた。どうですかと判断を求めるのも69条の趣旨には合致する」と説明したが、立憲民主党の野田代表から「全く納得できない。これまでおっしゃってきたことと違う」と、ひょう変ぶりを突っ込まれる場面があった。
メリット
石破氏が早期解散に傾斜したのは、森山総務会長が幹事長ポストを引き受けるにあたり、衆院選をできる限り急ぐことで、総裁選の盛り上がりを活用できるメリットを説いたことが大きいとみられる。
岸田首相や菅前首相も森山氏と同じ考えだった。さらに、公明党も来年夏の参院選を見据え、早期の衆院選を求めていたことが石破氏の背中を押した。
内閣支持率は発足直後に最も高まり、閣僚らの不祥事などで徐々に低下していくことが多い。
2008年9月に就任した麻生首相は当初、高い支持率を誇ったが、解散のタイミングを逸し、衆院議員の任期満了直前の解散を迫られ、選挙に惨敗して政権交代を許した。
今の衆院議員の任期満了は25年10月に迫っており、自民党内では「麻生政権の二の舞いは避けたい」との懸念が強い。
党役員・閣僚に内定した顔ぶれを見ると、石破新総裁と関係が近い議員や、総裁選の決選投票で石破氏支持に回った議員が目立つ。
「私の政策に真っ向反対と言われると、閣内不一致や執行部不一致が起こるので、なかなかつらい」
石破氏は29日のフジテレビ番組でこう述べ、自身と考え方が近い議員の起用を重視する考えを示した。
石破氏の思い入れが強い要所には古くから親交がある同じ防衛相経験者から、総裁選で石破氏の選挙対策本部長を務めた岩屋毅氏が外相、中谷元氏が防衛相、小野寺五典氏が党政調会長に就く。経済再生相の赤沢亮正財務副大臣、デジタル相の平将明・元内閣府副大臣は、旧石破派で長く石破氏を支えてきた面々だ。
決選投票で石破氏の支持に回った旧岸田派や菅義偉・前首相のグループへの配慮もにじむ。
一方で、決選投票を争った高市経済安全保障相の取り込みにも気を配った。石破氏は29日の番組で、高市氏について「今まで色んなキャリアを経てきた。党全体、国全体のためであれば起用したい」と語った。
だが、高市氏は、党の意思決定を仕切る総務会長の打診を断り、距離を置く姿勢を鮮明にした。総裁選で5位となった小林鷹之・前経済安保相も党広報本部長を固辞した。
そこで石破氏が「挙党態勢」を演出するために頼ったのは麻生副総裁だった。
幹事長に就く森山総務会長は29日、東京都内で麻生氏と面会し、党最高顧問への就任を依頼し、麻生氏は受諾した。
唯一、派閥を維持する麻生派(54人)は決選投票で高市氏支持に回ったが、総務会長に鈴木財務相が就き、武藤容治・元経済産業副大臣と、浅尾慶一郎・参院議院運営委員長が初入閣することになった。ただ、旧安倍派からの入閣はゼロで、「のけ者扱いだ」(同派若手)との反発も出ている。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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