古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2024年10月

古村治彦です。
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2024年10月31日に副島隆彦先生の最新刊『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む』(祥伝社)が発売される。

以下に、はじめに、目次、おわりにを掲載する。是非手に取ってお読みください。
(貼り付けはじめ)

はじめに 副島隆彦(そえじまたかひこ)

大統領選とアメリカンデモクラシーの終焉

この本が出てすぐに、米大統領選挙が行われる(11月5日)。

私は言論の予言者を自ら名乗って、評論業で40年間生きてきた。この本の書名『トランプ勢力の徹底抗戦で アメリカの国家分裂は進む』をパッと見ただけでは、アメリカ政治に相当関心がある人たち以外には理解不可能だろう。

この書名を決めた一歩手前の案は、『米トランプ勢力は貧乏覚悟で 善人(グッドガイズ)の新国家を作る』だった。これもおそらく意味不明であろう。

 この本が出てすぐに、今度の大統領選挙でまたしても大掛かりな不正が行われることで、騒がれるだろう。それは、本当に大騒ぎになる。このことは私にとって、有(あ)り有(あ)りと目に見えるように分かる事態である。なぜなら、私は「トランプは選挙で負ける」と悲観し、悲痛になってこの半年くらいを生きたからだ。

反(はん)トランプ勢力(ディープステイト)は必ず、必ず不正選挙をやると、私は確信している。たったこの一点に共感してくれる人々は、ただちに本書の意味を分かってくれるだろう。

彼らは選挙の得票数を、2020年11月と全く同じように、コンピュータと郵便投票などで6000万票も移し替える。そして、カマラ・ハリスが勝利するよう選挙結果を捏造(ねつぞう)する。こんな巨大で大掛かりな不正が、今の世界で許されるわけがない。ところが、平気でこういうことが行われる。それが今の世界帝国アメリカだ。そして、我が日本国の選挙だって、実際に選挙の得票数の不正操作が行われて来たのである。

 私がこのように書くと、もはや私は普通の政治評論や、社会言論の枠から外れた人間と

いう扱いになる。覚悟の上である。ただでさえ日本のメディア(テレビ、新聞、雑誌)から

長年干(ほ)されて、相手にされずに生きて来た私にとって、今さら臆(おく)することはない。

 大きな真実を誰が本当に書いているのか。そんな不正選挙なんかあるはずがない、バカげた主張だと、頭のてっぺんから私を否定する人たちには、この本の存在意義はない。

それでも私は、こうやって真実暴(あば)き言論でずっと生きてきた。やせ衰えた日本の出版業界で、私は細々(ほそぼそ)ながら単行本を出し続けて、30歳から、40年間生きてきた。私の主張と謎解きに付き合い、それなりに信頼してくれる人々に向かってこの本を書く。

選挙制度はデモクラシーの土台であり、基本である。これが巨大な選挙不正で歪(ゆが)められたら、デモクラシーそのものの死を意味する。

デモクラシーという言葉は、demos(デモス)とcratia(クラティア)から出来ている。このdemosが「民衆、大衆」を意味し、cratiaが「支配体制」を意味する。だから、デモクラシーは民衆一人ひとりの1票から作られる政治体制である。デモクラシーはイデオロギー(イデアのロゴス)ではない。だから×民主主義は誤訳だ。〇民主政体(せいたい)が正しい。

大国のアメリカ合衆国で、こんなに何回も選挙の不正、捏造が行われるようでは、今の世界は本当に暗闇の中で生きているに等しい。中国とロシアを独裁国家であると言い続けて、馬鹿にして、腐(くさ)していればいい、というものではない。自らを民主的でリベラルで、自由な先進国だと信じ込んでいる者たちの責任は重い。アメリカの手先、子分を平気でやり続けている日本人も同様だ。

 私のこのような〝ぶつくさ書き〟は、普通の政治評論とは見なさない、という判定を下されても構わない。私の言論は、ずっとそのように扱われてきた。それでも私は、この世にある本当の真実を書く。こうやって生きてきた。だから最近は、私の本は日本社会で認められている。私はウソを書かないで生きてきた。

 トランプ勢力は、このあともヒドい目に遭(あ)いながらも、じりじりと後退しながら、それでも不屈に戦い続ける。そしてアメリカ帝国は国家分裂をしていく。アメリカの中西部(ミッドウェスト)と南部(サザン)のテキサスを中心にした諸州は、それぞれの州民が決断して、連邦離脱[れんぽうりだつ](セセションsecession)を徐々に州議会で決議していく。

この連邦離脱というのは、現在のアメリカ合衆国から州(state ステイト、これが国)ごとに分離(セシードsecede)し、独立することである。ワシントンとニューヨーク、シカゴを中心とする連邦(れんぽう)政府(フェデラル・ガヴァーンメント)の言うことはもう聞かない、という決断である。

 アメリカが、これから向かう国家分裂は、もはや不可避である。今のアメリカの政治や金融経済を握りしめている大富豪たちの連合体(これがディープステイト)にしてみれば、自分たちがこの先も世界支配を続けたい。そのために必要なアメリカの現在の仕組みそのものが内部から壊れてしまうのは、彼らにとって一番いやなことだろう。

それでも、アメリカの国家分裂・連邦離脱は続いていく。たとえ無理やりドナルド・ト

ランプを再び引きずり下ろしたとしても。

 この本で2つ目に重要な論点は、「もうこれ以上、移民を外国から受け入れない。そんな余裕はアメリカにはないのだ」という、P5に前掲した思想が前面に出て来ていることだ。このことを大きくはっきりと示す。

この反(はん)移民の思想は、日本ではテレビ、新聞などがグズグズ、コソコソと、ヨーロッパへの難民の死亡事件が起きるたびに小さくニューズにするだけだ。しかし、まともなヨーロッパとアメリカの白人たちは、「もう我慢しない。キレイごとは言わない。もうこれ以上、移民、難民は入ってこないでくれ」という思想を、敢然(かんぜん)と表明し実行し始めた。

それが、トランプ勢力が団結する切実な理由である。もっとはっきり書くと、アメリカは白人国家なのだ。「これまでアメリカに入ってきて、白人の言うことを聞いて生きている黒人やヒスパニック、イスラム教徒たちは、このまま生活していい。しかし、そうでない者たちは出て行ってくれ」という考え方である。これは、ヨーロッパの主要国であるフランスもイギリスもドイツもイタリアも同じだ。

ここで白人優越の思想(ホワイト・シュープレマシー white supremacy)を公然と言うと、それは明らかに③人種差別である。人種差別をしてはいけないは、今の世界の、人類の、大スローガンである。しかし、もうそんなことも言っていられない。そこまで欧米の堅実な白人たちは追い詰められている。このことを私たち日本人は、はっきりと受け止めなければならない。そのためにこの本がある。

日本でも、全国の自治体(1700個ある)それぞれに割り当てで50人、100人のネパール人やベトナム人の移民の受け入れ義務の枠があり、それは静かに実行されている。新聞記事にはならない。実情は、関係者が「困ったことだ」とコソコソと話しているだけだ。

カマラ・ハリス政権(ディープステイト側)からすると、日本はなかなか移民、難民を受け入れない人種差別の国だとされている。このことも、あまり新聞記事にならない。でも、私たちはみんな、もう分かっているのだ。今の世界を覆(おお)っているこの大きな真実のことを。

 それを私は、この本ではっきりと書く。近代ヨーロッパが作った偉大なる啓蒙思想(エンライトンメントenlightenment)と、社会契約説(ソウシアル・コントラクトsocial contracts)が打ち立てたのが、①人権の思想、②平等の思想、③人種差別をしない思想、そして④がデモス・クラティア(民主政体 ×民主主義)の制度思想である。

この4つを強く疑う時代に人類はついに突入したのである。それが今、アメリカの国家分裂の問題の主眼、中心にせり上がっている。トランプを強く支持する白人中産階級と下層の白人大衆は、「もう私たちは正直になる」といって戦いを始めた。

 これらのことを、この1冊の本に細かく書いて、凝縮(ぎょうしゅく)して皆さんに教える。この本を、ただのアメリカ政治評論本などと思ってはいけない。人間(人類)を支えているのは思想(ソート)や理念である。それが現実に深く投影されて、この世の中のさまざまな争いや苦しみ、悲しみを作っている。

2024年10月 副島隆彦(そえじまたかひこ)

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はじめに 大統領選とアメリカンデモクラシーの終焉 ──

第1章      トランプ殺害未遂事件の恐るべき真実

トランプ暗殺未遂は「国家犯罪」である ──20

トランプ銃撃事件は安倍晋三殺しと一緒 ──26

性懲りもない2度目のトランプ殺害未遂 ──35

ポピュリストこそがアメリカ政治の伝統である ──37

逃げ腰になったハリウッド ──42

トランプ暗殺計画は、まさにコンスピラシーだ ──44

ボビー・ケネディが見せた真のアメリカ人らしさ ──48

善人と悪人の終わりなき対立 ──52

第2章      アメリカを引き裂く善人と悪人の闘い

トランプ勢力の中心となるヒルビリーたち ──60

ヴァンスはトランプの真の後継者である ──66

仕組まれたカマラ・ハリス新大統領の誕生 ──72

東部諸州との境目で起こる軍事衝突 ──77

悲しみも痛みも感じない悪人たちの本性 ── 82

第3章  トランプ勢力が目指す真のアメリカ革命

レーガン革命と「プロジェクト2025」 ──88

レーガン革命の8割が失敗に終わった本当の理由 ──92

「プロジェクト2025」の4つの重要なポイント ──97

4年前の不正選挙から起きた大きな変化 ──102

トランプを未だ裏で支えるピーター・ティ―ル ──108

トランプ殺害計画の原因は「プロジェクト2025」だった ──112

成り上がりなのにディープステイト側に付かなかった男 ──118

欧米では「権力犯罪」という言葉は使ってはならない ──121

うろたえオロオロするアメリカの司法 ──125

最高裁判所長官の名前も知らない日本人 ──129

第4章 権力とカネを握り続けるディープステイトの恐ろしさ

悪の実行部隊はFBIである ──136

ディープステイトという言葉を作ったのはJBS ──141

反カソリックであるKKKの素晴らしい主張 ──142

ワシントンに結集し官僚国家を解体せよ ──148

アメリカは武力衝突の段階に入った ──152

アメリカで起こっている民族大移動の実態 ──155

教科書では教えない南北戦争の真相 ──158

今後、ズルズルと続くアメリカの国家分裂──164

「プロジェクト2025」とディープステイト ──168

博奕も麻薬もなくならないが金融博奕はなくすべき ──171

第5章  キレイごとがイヤになったアメリカ人の本音

人権、平等、人種差別、デモクラシーをめぐる大分裂 ──176

デモクラシーをぶち壊したディープステイトの大罪 ──180

崩れ落ちる近代ヨーロッパの大思想 ──187

目の前に見えるもの以外信じないベンサムの思想 ──190

人間の不平等の典型例が「親ガチャ・子ガチャ」 ──192

差別はないほうがいいが、現実にはなくならない ──195

悪人でないと繁栄を作れない問題 ──197

ヴォルテールが見抜いたルソーの思想の危険性 ──200

マンガしか読めなくても日本では首相になれる ──204

踊り狂う貴族こそがフランス革命の実態 ──206

アメリカ独立宣言はジョン・ロックの文章のほぼ丸写し ──208

LGBTQとトランプ勢力の闘い ──211

第6章  トランプ側近の重要人物14人の知られざる素顔

トランプを近くで支える真のキープレーヤーたち ──218

トランプの新共和国で廃止される中央省庁 ──232

「プロジェクト2025」の冒頭の恐ろしさ ──236

保守派が考える「アメリカへの約束」 ──239

軍隊と官僚機構を蝕むリベラルイデオロギー ──244

お わ り に ──248

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おわりに 副島隆彦(そえじまたかひこ)

この本は、米大統領選挙(11月5日)の直前、5日前には出版される。だから、ここに書かれているのは著者の予言である。大きく外(はず)れたら、私の言論人としての信用が落ちる。それだけのことだ。

私は、これからいよいよ動乱(どうらん)期に入るアメリカのここまでを、克明に描いた。この本で、これからのアメリカと世界の近(きん)未来を予言すると共に、後世に残す資料性を持たせることに主眼を置いた。

 あとあと、あの時何が起きていたのかの歴史の証拠を正確に書き並べた。

トランプ大統領を、前回の2020年11月の巨大な不正選挙 rigged election リグド・エレクションで打ち倒したのは、アメリカの大富豪の連合体――これがまさしく The Deep State ザ・ディープ・ステイトである。私は、あの時の事件を克明に追いかけた『裏切られたトランプ革命』(秀和システム、2021年3月刊)を書いている。本書はその続刊である。

 トランプは、アメリカ国民の圧倒的支持(本当の支持率は73%。本書で詳述してある)がある。にもかかわらず、無理やりカマラ・ハリス(支持率26%)を勝たせるだろう。トランプは負ける。私はこの予測(予言)を半年ぐらい前からしている。不愉快きわまりないことだが、これが今の世界だ。

 (日本を含めて)先進国のたくさんの国で、選挙の大掛(おおが)かりな不正がコンピュータ・ソフトを使った投票数の移し替え(フリップ、あるいはスイッチと言う)によって行われている。しかし、このことを西側先進国では誰も言わない。アメリカのトランプ支持派は、そのことで今も怒っている。それに関する報道もほとんどない。

 この大きな事実を全く認めないで、何喰わぬ顔をしている者たちは全て悪人(あくにん)だ。悪(ワル)の側に身を売っている者たちだ。アメリカ帝国の属国である日本にもたくさんいる。

 そして今後も、トランプは無理やり負けさせられる。合衆国大統領に復帰できない。そして、そのあとアメリカ全土で、「こんなあからさまな、再度の不正を私たちは認めない。許さない」と立ち上がる者たちが、各州(state ステイト)で出てくる。

 本書で詳細に書いたとおり、アメリカ中西部(ミッドウエスト)と南部(サザン)の30くらいの州[ステイト](国家)が今の連邦(フェデレイション。合衆国)からの離脱(secede セシード)宣言を、次々と開始するだろう。そして、それらの州(国 ステイト)が団結して、アメリカ中央国(セントラル)という新しい共和国(ニュー・リパブリック)を建国するだろう。

 それに、あと4年くらいかかる。これはまさしくアメリカ動乱の始まりであり、それはやがて内乱レヴォルト[]、内戦(市民戦争[シヴィル・ウォー])となる。

この時、ドナルド・トランプが新共和国の大統領に推(お)されて就任するか、分からない。トランプはニューヨーカーであるから、テキサスを中心にした南部人(サザン・ピーポー)となじまない。トランプ(78歳)は、「私は何も間違ったことをしていない」と言いながら、堂々と引退(リタイア)するだろう。

 トランプが、今の合衆国(連邦)の大統領に復帰したくない理由がある。

それは、赤字大企業の社長に再び復帰する者は、企業(会社)が抱えている巨額の累積(るいせき)赤字のもの凄さを知っているからだ。国家も同じである。だからトランプは、本心では返り咲きたくない。社長(大統領)に復帰したら自分の肩にずしりと、その借財の処理の苦しみが即座にのしかかってくるからだ。隠してある損金も膨大である。おそらく1000兆ドル(14京[けい]円)くらいの根雪(ねゆき)となった累積赤字を、今の合衆国は抱えている。

「こんなオンボロの帝国は潰(つぶ)れてしまうほうがいいのだ」と、トランプは商売人(ビジネスマン)だから、冷静に考えている。ついでに、腐り切った何百万人もの官僚たちも一緒に滅べばいい、と。

 それらの巨額負債を引き継ぐことなく、全く新しい国を作って、そっちにみんなで引っ越せばいい。決意ある正義の人々で善人(good guys グッドガイ)のアメリカ人たちは、こうやってアメリカの国家分裂を推し進めてゆく。そして本書で詳しく解説した、新国家建設の大方針(と工程表 roadmap ロウドマップ)であるProject2025「プロジェクト2025」に従って、着々と前進するだろう。

残ったディープステイト(超[ちょう]財界人と軍産[ぐんさん]複合体とエリート官僚たち)は、そのあとに襲ってくるNYを震源地とする金融大恐慌によって、自滅するだろう。

 このようにして、あと4年で世界は大きく変わってゆく。追い詰められたディープステイト側は、計画どおりロシアと中国に戦争を仕掛けて第3次世界大戦を起こしたい。自分たちが生き延びるためである。彼らは戦争が大好きだ。それには核戦争(ニュークレア・ウォーフェア)を含む。日本の場合は、台湾有事(ゆうじ)をアメリカが仕組んで、「中国が攻めてくる」を煽動(せんどう)の標語にして、動乱状況に陥(おとしい)れる。

それに対して私たち日本国民は、「平和憲法を守る。戦争反対。核兵器を持たない。アジア人どうし戦わず」の4つの旗を掲(かか)げて抵抗する。絶対に騙(だま)されない。あいつらの策略に乗らない、という深い知恵こそが大事である。私は、このように近[きん]未来を予言(プレディクト)し、かつ対策を提言する。

 最後に。最速で企画からわずか3週間でこの本を仕上げてくれた編集者の大森勇輝氏と

祥伝社に厚くお礼を言います。

2024年10月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 今回は2つの論稿をご紹介する。1つ目は、ジョー・バイデンが今年9月に国連総会で演説したことを受けて書かれたものだ。創設75周年を迎える国連の総会での演説の中で、バイデンはアメリカの外交努力と成果を強調したが、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス紛争に関しては、聴衆となった各国代表団からの反応は薄かった。世界は既に、アメリカが世界の諸問題解決には無力な存在になっていること、国連もまた形骸化し、第一次世界大戦後から第二次世界大戦直後まで存在した国際連盟のようになっている。国際的な諸問題を解決する場所ではなく、対立を激化するだけの場所になっている。

 2つ目の論稿はジョー・バイデンが大統領選挙を継続し、再選に意欲を見せていた時期に書かれたものだ。重要なのは、大統領の健康状態はアメリカの外交政策に影響を与えるのかということだ。論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは歴史上の具体例を挙げて次のように指摘している。ウッドロー・ウィルソン大統領のように病状が隠され、他国がその無能力を利用することはなかったケースもあれば、フランクリン・ルーズヴェルト大統領のように身体的な衰弱が交渉に影響を与えたケースもある。一方で、アイゼンハワーやケネディのように、病気があっても政策に大きな影響を与えなかった大統領もいる。 これらの事例から、大統領の障害が必ずしも外交政策に影響を及ぼすわけではないということになる。

アメリカの外交政策の立案や実行は大統領個人に依存しておらず、ティームによって支えられている。また、既存の外交政策エスタブリッシュメントによってその意向が制約されることもある。ウォルトは他国が大統領の力の弱さ、健康状態の悪さを利用することがあると指摘している。現在のイスラエルがまさにそうだ。イスラエルは、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、これらの組織を支援するイランに対する戦争に進もうとしている。戦争の段階を引き上げて、最悪の場合には核戦争になるかもしれないという非常に危険な動きをしている。イスラエルはアメリカのジョー・バイデン大統領と政権が動けないことを見越して、このような動きに出ている。これは、バイデン政権のレイムダック化(無力化)がもたらしていることだ、

 国連が既に形骸化し、アメリカが中東の平和を保つことさえ難しいほどに無力化していることは現在の世界構造が大きく変化していく前兆を示している。私たちはそのことをきちんと認識しなければならない。

(貼り付けはじめ)

バイデンを置き去りにする世界(The World Is Leaving Biden Behind

-ジョー・バイデン大統領は国連(United Nations)での祝辞の中で、中心の維持を宣言した。しかし、物事は彼が追いつくよりも速く崩壊している。

マイケル・ハーシュ筆

2024年9月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/09/24/the-world-is-leaving-biden-behind/

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ニューヨーク市の国際連合本部での国連総会で壇上から降りる際に手を振るジョー・バイデン米大統領(9月24日)

演壇のどちらの側でも、特に温かい別れはなかった。

火曜日に国連総会(U.N. General Assembly)で祝辞を述べたジョー・バイデン米大統領は、自身の半世紀に及ぶ公務について語り、自分の年齢について今ではもう聞き飽きたジョークを飛ばし、ほどほどの笑いを誘った。「自分がまだ40歳にしか見えないのは分かっている」とバイデンは言った。しかし、楽しかったのはそれだけだった。バイデンはその後、今後の世界的な課題についてぼんやりと話し始め、各国の国連代表団はほんのわずかな拍手でそれに応えた。彼がウクライナの防衛と中東戦争の終結について語ったとき、彼がアフガニスタンからの撤退を擁護したとき、沈黙があった。

バイデンのスピーチで最も印象に残ったのは、間違いなく終盤、81歳での再出馬を断念したことを示唆し、次のように宣言した場面だろう。「仲間の指導者たちの皆さん、政権を維持することよりも重要なことがあることを決して忘れないで欲しい。バイデンはこの台詞に持続的な拍手を受けたが、会場にいた多くの国の代表が、どんな犠牲を払っても権力の座に留まろうと必死な独裁者に率いられている現状を考えると、これはむしろ皮肉なことだった。

しかしその後、バイデン大統領がタートルベイの実際の舞台であり、同時に世界の舞台でもある舞台から降りるよう案内されると、別のことが明らかになった。バイデンが大統領として回復し再活性化することを望んでいた、破綻した世界システムは、ほぼ彼を追い越したのだ。それだけではない。大統領就任まで残り4カ月となったバイデンには、現在激化している血なまぐさい紛争を解決する見込みがほとんどない。アメリカの外交官がヒズボラの抑制をほぼ諦めている中、イスラエルがレバノンのヒズボラを攻撃し、紛争は日に日に激化している。ウォルター・ラッセル・ミードは月曜日、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に「バイデンは外交が大好きかもしれないが、外交は彼を愛してくれない(Biden may love diplomacy, but diplomacy doesn’t love him back)」と書いた。

そうではなく、国連そのものが、そして国連がかつて象徴していたもの全てが、かつての国際連盟(League of Nations)のように無用の存在になりつつあるということだ。一方はアメリカ、もう一方はロシアと中国である。つまり、国連安全保障理事会(U.N. Security Council)の拒否権(veto)を持つ5カ国のメンバーのうち3カ国が、国連を再び大国のサッカーのフィールドであり、対立と果てしない膠着状態の場としている。この状況は、ソ連がほとんど全てに拒否権を発動していた冷戦の最盛期を彷彿とさせる。(マーシャル・プランと朝鮮戦争決議ではソ連代表団は両日とも欠席し、キプロスなどでの小規模な停戦監視任務など、いくつかの重要な例外はあるが、拒否権発動が多く行われた。

国連総会に関しては、かつて人類の議会(the Parliament of Man)として神格化されていた(apotheosized)この組織は、地域政治や小国の演説や些細な馴れ合い、そしてしばしば反イスラエルの暴言によって、これまで以上に機能不全に陥った場所となっている。かつては、1975年にアラブ諸国がシオニズムを人種差別と決めつけた決議案がその象徴だった。火曜日、バイデンに続いて登壇したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と彼の「大量殺人ネットワーク(mass murder network)」をアドルフ・ヒトラーになぞらえた暴言を吐いた。エルドアンはまた、安全保障理事会とその常任理事国5カ国を非難し、「世界は5カ国よりも大きい(The world is bigger than five)」と述べた。

バイデンは自身のスピーチで、今日の不安定な世界情勢を、彼が29歳で初めて連邦上院議員に当選し、ヴェトナム戦争と冷戦がまだ続いていた頃と比較しようとした。バイデンは次のように述べた。「アメリカと世界はあの時を乗り越えた。簡単でも単純でもなかったが、大きな失敗もなかった。しかし、軍備管理を通じて核兵器の脅威を減らし、冷戦そのものを終結させることができた。イスラエルとエジプトは戦争に突入したが、その後歴史的な和平を結んだ。私たちはヴェトナム戦争を終結させた」。

「私は歴史の驚くべき広がりを見てきた」とバイデンは宣言し、公職に就いたときと同じように楽観的に公職を去ると語った。そしてバイデンは、ウィリアム・バトラー・イェイツの有名な詩「再臨(The Second Coming)」を引用し、「単なる無政府状態(mere anarchy)」が「世界に放たれ(loosed upon the world)」、「中心(the center)」が保てなかった第一次世界大戦の時代よりは、今日の混乱があっても状況はましだと述べた。

バイデンは「決定的な違いが見られる。私たちの時代でも、中心は維持されてきた」と述べた。バイデンは、自身のリーダーシップの下、世界はここ100年で最悪のパンデミックに対して、「ページをめくった」と述べ、ウクライナにおける国連憲章を擁護し、アメリカは気候変動とクリーンエネルギーに対して史上最大の投資を行ってきたと述べた。バイデンは「私たちを引き離す力よりも、私たちを結びつける力の方が強いことを確認して欲しい」と述べた。

それは、現在のところ、バイデンと彼のティームが追いつくよりも早く、物事がバラバラになっているように見えるからだ。

国連創設に関する著書『創造の行為(アクト・オブ・クリエイション)』の著者スティーヴン・シュレジンジャーは、「これは遺産となる演説だった。バイデンは、政権が国連憲章への関与を精力的に示してきたことを強調し、最も重要なのは、ロシアによるウクライナへの残酷かつ違法な侵略に対するウクライナの防衛を支援することだった」と語った。伝統的なリベラルな民主党大統領として、バイデンはまた、世界の保健福祉、食料不安、干ばつ、貿易とテクノロジー、サイバースペースに関する規範、企業に対する世界最低税(global minimum tax)、インド太平洋の安全保障など、組織内での主要優先事項のリストにチェックを入れた。また、枠組み、サプライチェーン、債務免除、人権、テロリズムを重視した

しかし、結局のところ、「バイデンは新しい政策を提示しなかった」とシュレジンジャーはEメールで語った。彼は続けて次のように述べた。「ウクライナでもガザ地区でも、和平解決についての新しいアイデアを提示することはなかった。また、国連がこれらの危機に対処できなかったことを非難することもなかった。バイデンの演説は何かを変えるものではなく、世界の舞台における組織の重要性をアメリカ人に再認識させ、将来のアメリカ大統領に目印を残すための努力の行為であった」。

実際、軍事的覇権(military hegemony)から外交に移行しようとするバイデンの努力は、ほとんどの戦線で失敗しており、ミードが指摘するように、中東以外の分野では失敗している。 「アメリカの歴史上、これほど中東外交に力を入れた政権はない」とミードは書いた。ミードは続けて次のように書いている。「しかし、アメリカの歴代政権の外交官がこれほど成功しなかったことがかつてあっただろうか? バイデンはイランをアメリカとの核合意に戻そうと試みたが失敗し、イスラエルとパレスティナの新たな対話を軌道に乗せようとしたが失敗した。彼はスーダンの内戦を止めようとしたが失敗した」

一部の外交筋によれば、特にネタニヤフ首相はもはやバイデンらの言うことなどまったく聞いていない。その代わり、イスラエルはカマラ・ハリスであれ、ドナルド・トランプであれ、次の米大統領が就任するまでエスカレートした戦争を続けるだろうとの見方が中東には強いという。イスラエル人にとってもアラブ人にとっても、ある外交官が言うように「バイデンに何らかの勝利を与えても政治的利益はない(here is no political gain in giving Biden any kind of victory)」のだ。

国連そのものについては、追悼記事(obituaries)を書くにはまだ早すぎる。国際連盟は第二次世界大戦の勃発とともに休止状態に入ったが(正式に解散したのは1946年)、国際原子力機関や国連開発計画など、国連の諸機関は今も世界の安定を守るために重要な役割を果たしている。毎年開催される国連気候変動会議もまた、不可欠なフォーラムである。そして、国連が果たすべき役割、つまり世界的な集団安全保障の維持という、国際主義者の一部が信じている役割において、国連が完全に失敗していることは事実であるが、世界機関は第三次世界大戦を防ぐために一役買ってきたし、またそうするかもしれない。

シュレジンジャーはそのように主張する。「国連は、過去75年間で最大かつ最も危険な対立、キューバ危機の解決に直接的な役割を果たした」と、彼は2020年の国連創設75周年に際してのインタヴューで私に語った。実際、当時のアドレイ・スティーヴンソン米国連大使は、キューバにロシアのミサイルがある証拠を突きつけ、安全保障理事会でソ連国連大使に「あなたは今、世界世論の法廷に立っている」と言い放ち、米ソ間の核戦争を回避することに貢献した。

現在、ロシアや中国とそのような対立が差し迫っている訳ではないが、ホワイトハウスは今週発表したファクトシートで次のように指摘している。「私たちは国連総会で141カ国を集め、ロシアの国際法違反を非難した。私たちは国連安全保障理事会の討論を利用して、ロシアの違法な戦争と残虐行為にスポットライトを当てた。国連人権理事会からロシアを追い出すよう国連総会に迫った。私たちは、国連の幹部人事を拒否し、国連諸機関への選出を阻止することで、ロシアを孤立させた」。

シュレジンジャーは、より大規模な戦争に発展しかねない地域紛争や地方紛争を防ぐため、国連が平和構築の役割を果たした事例を、その歴史の中で30件ほど数えている。アンゴラ、カンボジア、クロアチア、グアテマラ、モザンビーク、ナミビア、セルビア、南アフリカなどである。国連はまた、ワシントンが指揮を執ることに関心がなく、めったに話題にならないような人道支援プロジェクト(ガザ地区における評判の悪い国連救済事業機関など)のための連絡機関としての役割も果たしている。

しかし、11月5日に誰が次期米大統領に選出されるかに大きく左右されるだろう。ハリスは一貫して国連憲章に具体化された国際ルールや規範の擁護を主張してきたが、トランプはそれを軽視する傾向にある。好むと好まざるとにかかわらず、国連は、将来の中国、イラン、ロシアを国際システムに取り込むための、あるいは少なくとも国際システムに残された唯一の現実的なフォーラムである。

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはどのようにしてアメリカの未来をウォール街に渡し、我々自身と戦争を行ったのか(How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street and At War With Ourselves)』と『何故アメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にしているのか(Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の本の著者でもある。ツイッターアカウント:@michaelphirsh

=====

バイデンの弱さはアメリカを危険に晒すことはない(Biden’s Frailty Doesn’t Endanger America

-大統領の体の弱さが国家をより脆弱にしない理由を挙げる。

スティーヴン・M。ウォルト筆

2024年7月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/11/bidens-old-frailty-election-national-security-america/

彼はやるのか、それともやらないのか? 最近のアメリカ政治で最も注目されているのは、ジョー・バイデン大統領が2024年の大統領選挙から撤退するのかどうかということだ。バイデンはこれまでその呼びかけに反抗してきたが、彼と民主党が最終的にどう決断するか、あるいはそれが11月の選挙にどう影響するかは誰にも分からない。政治評論家たちは、この騒動の主な受益者であり、今や悪名高い6月27日の討論会以来、政治的なスペクトルを超えたコメンテイターたちが残業して走り書きをしている。

バイデンの討論会でのパフォーマンスを受けて、あまり注目されなくなった疑問は、彼の身体的・認知的な限界が、現実のものであれ、認識されているものであれ、アメリカの外交政策そのものに何らかの影響を与えるかどうかということである。彼がカマラ・ハリス副大統領を支持して大統領職を辞任しないと仮定すると(私はその可能性は極めて低いと考えている)、バイデンは少なくとも2025年1月20日までは大統領であり続けることになる。その間におよそ6カ月、つまり大統領任期の8分の1がある。敵対国、さらにはアメリカの同盟国の一部が、もはや最善の策を提示していないと信じている大統領を利用しようとする可能性があるだろうか?

歴史を見てみると、その判断は様々だ。ウッドロー・ウィルソン大統領(当時)は1919年10月に体を衰弱させる脳卒中を患ったが、彼の妻と医師はその病状を隠しており、外国がウィルソンの無能力を利用しようとすることはなかった。

一方、フランクリン・ルーズヴェルト大統領は、1945年4月に致命的な脳卒中で倒れるまでの数年間、明らかに衰弱しており、その2ヵ月前に開催されたヤルタ・サミットでは、力の衰えによって交渉の効率が大幅に低下していた可能性がある。ドワイト・アイゼンハワーは1955年9月に深刻な心臓発作に見舞われたが、政府運営に影響はなく、1956年に再選を果たし、2期目を成功のうちに終えた。ジョン・F・ケネディはアジソン病とその他いくつかの深刻な病気を患っていたが、この隠れた病気は公私ともに彼の活動に支障をきたすことはなかったようだ。

リチャード・M・ニクソン大統領は、1973年のアラブ・イスラエル戦争中、当時のエドワード・ヒース英首相からの電話に出ることができず、キッシンジャー米国務長官や他の高官に重要な決断を委ねたと伝えられている。また、ロナルド・レーガンは2期目の任期中にアルツハイマー病の初期段階にあったかもしれないが、その病状がアメリカの政策や他国の行動に大きな影響を与えたという証拠はほとんどない。

これらの例を見ると、大統領の障害は、人々が当初考えていたほど深刻な問題ではないことが分かる。アメリカの大統領が重要な存在であることは言うまでもないが、政策の立案や実行は決して大統領1人だけの責任ではない。全ての大統領にはティームがあり、様々なシナリオに対する政策の選択肢や可能性のある対応は、多くの場合、実施に先立って議論される。また、大統領に多少の障害があっても、部下(例えば、国務長官や国防長官、国家情報長官、国家安全保障会議議長など)が後を引き継ぐ。

また、若くて精力的な大統領であっても、外交政策機構のあらゆる側面を手なずけることはできない。「ブロブ(Blob)」(国家の外交政策分野のエスタブリッシュメント)には、大統領がやろうとすることを薄めたり、抵抗したり、方向転換させたりする、様々な方法がある。その結果、たとえ大統領が100%以下の力で行動していたとしても、敵対勢力はアメリカが直接的な挑戦に応じないと確信することはできない。実際、政権が挑発に過剰反応する可能性は、過小反応する可能性と同じくらい高く、単に大統領の状態が悪用されないことを示すだけである。

バイデンの状況がどうであれ、他の国家が既にヘッジをかけている(リスクを回避する)ため、バイデンの状況はそれほど重要ではない。アメリカの二極化(polarization)の現状と、いくつかの重要な外交政策問題についての民主党と共和党の間の鋭い相違を考えると、バイデン政権が今から11月までの間に行うかもしれない公約を重視する外国の指導者はいないだろうし、特にそれが共和党の推定候補者であるドナルド・トランプ前大統領の方向性と対立するものであればなおさらだ。

バイデンは明日、ホワイトハウス記者団全員の前で腕立て伏せを50回行い、円周率の小数点以下の最初の50桁を暗唱することもできるだろうし、他の政府もアメリカの保証に基づいて約束をする前に11月を待つことになるだろう。そして、たとえバイデンが30歳若かったとしても、今から選挙までの間に政権が大きな外交政策に着手するとは予想できないだろう。

十分に機能していない大統領が大きな影響を及ぼす可能性のあるシナリオを2つ考えてみよう。アメリカが、1962年のキューバ・ミサイル危機のような長期化し、大きなリスクを伴う課題に直面し、大統領が、ケネディ大統領が暫定的な「国家安全保障会議執行委員会(Executive Committee of the National Security CouncilExComm)」を通じて行ったような、長期化し、激しい審議を主導することができなかったと想像してみて欲しい。

あまり関与していない大統領であれば、最終的に異なる選択をするかもしれない(例えば、キューバに海軍の検疫を課すというケネディの決定は、空爆を開始するという最初の考えよりもはるかにエスカレートしていなかった)が、そのような選択がどうなるかを予測することは不可能である。先ほどの繰り返しになるが、潜在的な挑戦者は 潜在的な挑戦者は、もし大統領が内部の議論を積極的に誘導していなければ、アメリカの対応がより強硬になる可能性を考慮しなければならない。大統領が弱体化したからといって、必ずしも対応が弱くなるとは限らない。そうでないと考えるのは、大統領は常に、その大統領に仕える人々よりもタカ派で毅然としていると思い込むことであり、賢明な敵対者はそう思い込むべきでない。

精力的でなく、集中力も、有能でもない大統領は、より多くの努力を部下に委任する必要があり、現CIA長官ウィリアム・バーンズのような経験豊富で有能な交渉人でさえ、大統領と全く同じ権限で話すことはできないだろう。ただし、この違いは程度の問題である可能性がある。たとえ大統領が電話対応に多くの時間を費やすことができなかったとしても、アメリカ外交が行き詰まるわけではない。

更に言えば、トップの人物は不安定であるという認識が利点となる場合もある。もしアメリカの交渉担当者が相手に譲歩させようとしているなら、「大統領は年老いて自分のやり方に凝り固まっているし、この問題に関する彼の見解は決して変わらないだろう。あなたが私にもっと何かを与えない限り、私が彼を動かせる方法はない」と述べることができる。したがって、場合によっては、大統領が全盛期を過ぎたという認識をアメリカの外交官が利用できる巧妙なものになる可能性がある。

最後に、バイデンの今後6ヶ月間の職務遂行能力に対する疑念は、トランプがアメリカの外交政策を監督した際に示した資質とのバランスを取る必要がある。トランプ大統領の1期目に関するインサイダーたちの証言によれば、彼は不規則で、気まぐれで、細部に関心がなく、ほとんどの外交問題に持続的な注意を払うことができないと言われている。中国と対決する必要性、アフガニスタンからの撤退、ヨーロッパに国防を強化させる必要性など、いくつかの直感は正しかったが、その他の問題(環太平洋パートナーシップ、イラン核合意など)に対する彼の見解は不見識であり、彼が採用した政策の多くは約束通りに実現できなかったか、アメリカを弱い立場に追いやった。

「認知能力」が大統領の職務遂行能力を測るリトマス試験紙だとするなら、要するに、有力な候補者2人、トランプとバイデンのどちらにも熱意を持つのは難しいことになる。これが非常に多くのアメリカ人(1月時点で67%)が候補者たちを支持できないと答えた理由であり、更には民主党が支持者たちに選択肢を提供するくらいに賢明であることの理由である。もちろん、この選択肢にロバート・F・ケネディ・ジュニアは入っていない。良いニューズは、大統領の病弱さが、今から2025年1月までの間にそれほど大きな違いを生むことはないということだ。それ以降は、11月にどの政党が勝とうとも、全てはギャンブルのようなものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 本日、2024年10月29日、『著世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(秀和システム)が発売になりました。

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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 本書では、私が佐藤先生の胸を借りる形で、アメリカ政治、特に大統領選挙とウクライナ戦争、イスラエル・ハマス紛争について分析しました。大きな流れは全く外していません。アメリカ大統領選挙でカマラ・ハリスの勢いが落ちることを予見し(このブログで何度もご紹介している通りハリスの勢いは落ちています)、イスラエルが戦争の段階を上げていくであろうことに警告を発しています。私たちの対談では、私たちがそれぞれ持つ「型」を使って、状況をどのように分析しているかが分かります。

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 このブログでも宣伝を開始し、まえがき、目次、あとがきを公開しています。予約が伸びていないという厳しい状況です。今回もまえがき、目次、あとがきを公開します。参考にしていただき、是非本書を手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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2024年10月29日付『朝日新聞』朝刊3面から
(貼り付けはじめ)

まえがき 佐藤 優

 本書は、私とアメリカ政治を中心に国際関係に通暁した古村治彦氏(愛知大学国際問題研究所客員研究員)との初の共著だ。古村氏は、私がとても尊敬する異能の知識人・副島隆彦氏の学風を継承する優れた専門家だ。国際問題の現象面だけでなく、その内在的論理を理解して、はじめて分析が成立するという点で私と古村氏は認識を共有している。

 本書の記述は、岸田文雄前政権時代の事象を中心に論じているが、現時点で特に改める事柄はないと考えている。なぜなら、現下国際政治ゲームにおいて日本が外交の主体的プレイヤーとして活動できる閾値(いきち)が狭いからだ。

 本書の特徴は、通常の国際政治学者が重視しない宗教に着目している点だ。この点に関して、9月27日の自民党総裁選挙で同党総裁に選出され、10月1日の衆議院本会議と参議院本会議で第102代日本国内閣総理大臣に指名され、就任した石破茂氏に特別の注意を払う必要がある。

 石破氏の履歴やエピソードを伝える記事はたくさん報じられているが、なぜか同氏の宗教に言及したものが少ない。宗教が個人の内面に留まっているならば、政治分析の上で考察の対象にならない。しかし、石破氏の場合は、信仰が明らかに政治に影響を与えるタイプだ。

  石破氏は自らの信仰を公にしており、キリスト教系のメディアにも登場している。

《自民党総裁選の投開票が27日、東京・永田町の党本部で行われ、石破茂元幹事長(67)が第28代総裁に選出された。現在、自民党は衆議院で過半数の議席を保持しているため、石破氏が岸田文雄首相の後継として、第102代首相に就任することになる。

 同志社の創立者である新島襄から洗礼を受け、後に牧師となった金森通倫(みちとも)を曽祖父に持つ石破氏は、プロテスタントの4代目のクリスチャン。クリスチャンが日本の首相に就くのは、第92代首相を務めた麻生太郎副総裁(84)以来、15年ぶりとみられる。

 (中略)石破氏の父である石破二郎は、鳥取県知事や参議院議員時代に自治相(当時)などを務めた政治家。浄土真宗の仏教徒でクリスチャンではなかったが、金森以来、プロテスタントの家系の母が通っていた日本基督教団鳥取教会で石破氏は洗礼を受けた。幼少期は、同教会の宣教師によって始められた愛真幼稚園に通った。鳥取大学教育学部附属中学卒業後、上京して慶應義塾高校に進学。東京では日本キリスト教会世田谷伝道所(現世田谷千歳教会)に通い、教会学校の教師も務めた。》(9月27日、 Christian Today

 石破氏が洗礼を受けた日本基督教団鳥取教会は、同志社系(組合派)だ。組合系にはさまざまな考え方がある。他方、石破氏が東京で通っていた日本キリスト教会世田谷伝道所は長老派(カルヴァン派)の教会だ。カルヴァン派では、各人は生まれる前から神によって定められた使命があると考える。どんな逆境でも試練と受け止めれば、必ず選ばれた者であるあなたは救われると教える。この教会で、石破氏は教会学校の教師(聖書の先生)をしていたのだから、聖書や神学についても勉強しているはずだ。

 学生時代に洗礼を受けた人でもその後はキリスト教から離れたり、信仰が薄くなってしまう人もいる、石破氏は信仰が強い方だと思う。現在も日本基督教団鳥取教会の会員だ。ちなみに私も石破氏と同じくかつてはカルヴァン派の日本キリスト教会に属していたが、現在は日本基督教団の組合派系教会に属しているプロテスタントのキリスト教徒だ。だから石破氏の信仰を皮膚感覚で理解することが出来る。

 キリスト教関係のメディアで石破氏は、2018年8月30日、渡部信氏(クリスチャンプレス発行人)と山北宣久氏(前日本基督教団総会議長)の取材でこんなやりとりをしている。

―― クリスチャン議員として、どのような思いで政治に向き合っておられますか。

 私は、神様の前に自分の至らなさ、誤っているところをお詫び申し上げるようにしています。そして、「過ちを正してください」、「ご用のために用いてください」という思いでお祈りしています。

 ―― 特に政治家として強調したい点は。

 ヨーロッパにしろ、アジアにしろ、米国もそうですが、同じ信仰を持つ人は多いはずです。にもかかわらず、世の中は争いが絶えない。いかに争いをなくしていくか。いかに互いが神の前には無力であることを共通認識し、自分だけが正しいという思いを持たず、弱い人のために働き、祈ることができるか。それをできるだけ共有したいと思っています。常にこの思いをもって、平和な世界を作りたいと考えています。

 ―― 世界にはさまざまな緊張が存在します。日本が韓国などと平和外交するためにはどうすればいいと思いますか。

 韓国の近現代史、韓国と日本が過去にどういう関係にあったのかを知らないまま、外交努力をしても説得力がありません。慰安婦問題、領土問題など、一致できない点もありますが、共にやれることもたくさんあるはずです。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政

権と共にできることは何なのか。これを考えていくことが重要だと私は思います。(中略)

 ―― 最後に、日本のクリスチャンに向けてメッセージを。

「共にお祈りください」とお願いをしたいです。》(2018年9月5日 、Christian Press

 石破氏は、自民党員の選挙によって総裁に選ばれただけではなく、神の召命によって自民党総裁、内閣総理大臣になったと一人のプロテスタントのキリスト教徒として確信しているのだと思う。本書では、ドナルド・トランプ氏に長老派(カルヴァン派)の価値観が与えている影響の重要性について言及した。石破氏に関してもそのことが言える。11月の米大統領選挙でトランプ氏が当選すれば、宗教的価値観を共有する石破氏との間で興味深い外交を展開することができると思う。

 本書を上梓するにあたっては(株)秀和システムの小笠原豊樹氏、フリーランスの編

集者兼ライターの水波康氏にたいへんにお世話になりました。どうもありがとうござい

ます。

2024年10月2日、曙橋(東京都新宿区)の自宅にて、 佐藤 優

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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』目次

まえがき(佐藤 優) 1

第1章 再選を大きく引き寄せたトランプ暗殺未遂事件 13

銃撃事件で明らかになった〝神に選ばれたトランプ〟 14

トランプ聖書は「アメリカが宗教で分断されることも辞さず」の表れ 19

トランプは自らの使命を明確に自覚した 25

トランプ暗殺未遂はディープステイトの画策 28

ディープステイトの正体とは? 33

老人いじめにならないようにトランプが賢く振舞った第1回テレビ討論会 38

中絶問題とLGBTQが大統領選の争点になる 41

トランプ政権の本質は雇用にある 48

USスチールの買収と中国への対応 52

民主党はエリートの党、共和党は庶民の党 54

平和への志向が希薄なアメリカ政治。だがトランプだけは平和を志向している 58

後退戦を展開するトランプの歴史的な役割 62

第2章 民主党の反転攻勢とアメリカで進む分断 67

バイデン撤退からカマラ・ハリスへの交代劇 68

ハリス旋風の陰で核のボタンの不安 74

国家権力を背景に仕事をしてきた弱点 80

異論を認めないハリスに外交はできない 84

ヒラリーがロールモデルだと世界戦争になる 88

民主党の副大統領候補は誰になるのか 92

内戦へと向かうアメリカの危機的な現実 96

内在する差別の実態と移民のリアル 103

苦しいアメリカ国民の生活と雇用 108

ペンシルべニア州で大統領選は決まる 113

第3章 ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争から見える世界の変化 117

イスラエル・ハマス紛争はいつ終わるのか 118

イスラエルは不思議な国 122

アメリカはウクライナを勝たせる気がない 126

日本のウクライナへの軍事支援は高速道路4キロ分 133

ハマスはネタニヤフが育てた 137

イスラエルは北朝鮮に近い 144

イスラエルの論理 146

イスラエルには多方面で戦争する力がない 150

イスラエルは反アラブにも反イスラムにもなれない 153

ユダヤ人は3つに分けられる 155

キリスト教シオニストは本質において反ユダヤ的 158

イスラエルとこの世の終わり 162

ユダヤ人理解には高等魔術が役に立つ 163

第4章 ドル支配の崩壊がもたらす世界覇権国の交代 169

ハマス最高指導者・ハニーヤ暗殺の影響 170

ヨーロッパで蔓延する反ユダヤ主義 176

中東全面戦争と核拡散の恐怖 179

アメリカ離れが進み、世界構造は変化する 184

アメリカの衰退でドル支配は崩壊する 189

トランプ再選後、世界はどうなるのか 195

平和を求めない戦後アメリカ体制の欠陥 199

失われた公共圏と共同体としての世界 204

グローバル・ノースが失う世界の主導権 209

第5章 米中覇権戦争は起きるのか 215

中国は次の覇権国になれるのか 216

世界は民主主義同士で争っている 220

揺らぐデモクラシー 224

変なのしか残らない先進国の選挙 228

今日のウクライナは明日の日本 231

日本外交の未来図 236

あとがき(古村 治彦) 241

=====

あとがき 古村 治彦

 今回、佐藤優先生との対談が実現した。佐藤先生には、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店、2023年)を2回書評で取り上げていただいた。そのご縁で、今回、光栄な機会をいただくことができた。佐藤先生に厚く御礼を申し上げます。

 対談は、2024年7月16日、25日、8月1日の3回行われた。私にとっては対談自

体が初めてのことで、しかも、その相手が憧れの佐藤優先生ということもあり、1回目の対談は緊張しっぱなしであまり話せなかった。それでも、先生の温かいお人柄のおかげで、回を重ねるごとに緊張もほぐれて、自分らしく話すことができた。

 対談では、ドナルド・トランプ前大統領暗殺事件を手掛かりにして、宗教の面からアメリカ政治全体を分析した。私もごく一般的な知識しかない中で、必死に佐藤先生の話に食らいつきながら、政治学や国際関係論の知識で、私なりのアメリカ政治分析を披露した。また、大きな世界政治の流れについても、ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス紛争を入り口にして、ユダヤ教やイスラム教の面から分析をすることができた。また、インテリジェンス関係のお話を伺うこともできた。対談を通じて、アメリカの衰退と世界構造の大変動が起きているという共通認識で一致した。

 私たちの対談は、様々に起きる事象についてどのように考えるか、分析するかについて、私たち2人の手法、方法論を明らかにしたものとなった。読者の皆さんが様々な事象について、自分なりに分析する際の手助けとなれば幸いだ。

 対談の期間中、そして、対談後に、アメリカ政治は大きく動いた。2024年7月21日にジョー・バイデン米大統領が大統領選挙からの撤退、再選断念を表明した。そして、同時に、カマラ・ハリス副大統領を大統領選挙候補者として支持すると発表した。8月上旬には慌ただしく、カマラ・ハリスが大統領候補に、ミネソタ州知事のティム・ウォルズが副大統領候補に決まった。

 8月19日から22日にシカゴで開催された民主党全国大会をきっかけにして、上げ潮に乗って、カマラ・ハリスが支持率を伸ばし、選挙戦を優位に展開しているというのが日米の主流派メディアの報道だ。ところが、重要な激戦州では五分五分、トランプがややリード

という結果が出ている。主流派メディアの肩入れがありながら、ハリス支持は伸びていな

い。なにもこれは私の希望的観測ではない。アメリカ政治情報サイト「リアルクリアポリ

ティックス( RealClearPolitics )」が各州レヴェルの世論調査の結果を集計し、それを大統

領選挙の選挙人数に当てはめた結果では、10月1日の段階で、「トランプ281人、ハリス257人」となっている( https://www.realclearpolling.com/maps/president/2024/no-toss-up/electoral-college )。米大統領選挙はデッドヒートを続け、終盤に向かう。

 ウクライナ戦争の状況は大きく動いていない。ウクライナ側はロシア国内への攻撃を行っている。しかし、戦況を有利に展開出来ていない。9月中旬開会の国連総会出席に合わせて、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は訪米し、バイデン大統領、ハリス副大統領、民主、共和両党首脳部、トランプ前大統領と会談し、「勝利計画」を提示したようだが、相手にされなかったようだ。ウクライナ情勢は停滞したままだ。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、対談で佐藤先生と私が危惧したように、戦争を拡大させようとしている。ガザ地区でのハマスとの戦いに加え、レバノンでのヒズボラとの戦闘を激化させようとしている。9月17日にはレバノンのヒズボラのメンバーが使用していたポケベル(イスラエルが細工をして輸出)がイスラエルの遠隔操作により爆発し、12名が死亡し約2800名が負傷する事件が起きた。9月27日にはヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師がイスラエルの空爆によって死亡した。イスラエルは10月1日にレバノンへの地上攻撃も開始した。また、イエメンのフーシ派への空爆(9月29日)も開始した。アメリカで権力の空白が生まれている中で、イスラエルのネタニヤフ政権は、中東での戦争の段階を引き上げようとしている。世界にとって非常に危険な動きだ。

 日本政治は、岸田文雄首相が2024年8月14日に退陣表明してから、慌ただしく動き始めた。9月27日に、自民党総裁選挙が実施され、石破茂氏が高市早苗氏を破って総裁に選出された。主流派マスコミは、小泉進次郎氏が先行し、高市氏が激しく追い上げと報じていたが、最後の大逆転で、石破氏が勝利を収めた。岸・安倍系清和会支配の弱体化、自民党保守本流政治の復権、日中衝突の回避のために、まことに慶賀すべき結果となった。日本も少しずつ、アメリカの属国からの方向転換を図る動きになっていく。これは、対談の中でも詳しく触れた世界の大きな流れ、アメリカの衰退と中国の台頭、西側支配の終わりとグローバル・サウスの勃興に合致している。

 対談の終わりの雑談の中で、佐藤先生から「守破離(しゅはり)」という言葉について伺った。私は落語鑑賞を趣味としている。この「守破離」という言葉は、落語協会の二階の広間に額に入れて飾ってある。伝統的な芸道や武道で大事にされている言葉だ。「守破離」とは、「剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。『守』は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。『破』は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。『離』は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階」(『大辞林』から)という意味だ。佐藤先生は神学、私は政治学や国際関係論という「型」を大事にしながら評論を行っている。

 佐藤先生は私に、「型がなければただの言いっぱなしですよ」とおっしゃった。佐藤先生は既に「離」の境地に達しておられるが、対談を通じて、改めて基本の大切さを私に教えて下さった。私も先生の言葉を肝に銘じて、型を大事に「守り」ながら、「破」「離」へ進んでいきたい。

 最後に、対談実現のために橋渡しをしてくださった、師である副そえじまたかひこ島隆彦先生に御礼を申し上げます。対談のアレンジ、調整を行い、まとめ役を務めた水波ブックスの水波康氏、全体編集を担当した秀和システムの小笠原豊樹編集長には大変にお世話になりました。記して感謝申し上げます。

2024年10月 古村 治彦(ふるむらはるひこ)

(貼り付け終わり)

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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

(終わり)

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 昨日、2024年10月27日に第50回総選挙の投開票(期日前投票は前から)が実施された。衆議院465議席で争われ、自民党が単独過半数(233議席)を失い、公示前247議席から191議席となった。公明党は24議席(公示前32議席)となり、自公連立政権でも215議席(公示前279議席)となった。与党系無所属6議席を入れても、221議席にとどまり、過半数を失った。

私が令和版大政翼賛会(憲法の変更を行おうとする勢力)の構成要員である日本維新の会は38議席(公示前44議席)となり、微減となった。国民民主党は28議席(公示前7議席)となり大躍進となった。立憲民主党は議席を増やし148議席となり(公示前98議席)、議席を増やした。共産党は8議席(公示前10議席)と減少し、代表質問ができないということになった。れいわ新撰組は9議席(公示前3議席)と増加し、社民党は1議席を確保した。日本保守党、参政党はそれぞれ3議席を獲得した。

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朝日新聞デジタル版から

 慶賀すべき一つ目の点は、令和版大政翼賛会勢力が281議席にとどまったことだ(無所属を入れても287議席)。公示前は330議席もあり、衆議院の3分の2以上を占める大勢力であった。憲法の変更を発議できる3分の2の議席310議席を大きく上回っていた。今回、自民党から減らした分の一部を国民民主党が吸収する形になったが、4党で大きく議席を減らすことになった。これで、立憲民主党の野田代表が裏切らなければという条件は付くが、一安心だ。立民も国民の反発を受けてまで、この勢力に加わることはないだろう。「東アジアの安全保障環境が厳しさを増す」という煽情的な物言いをNHKでもするようになっているが、それだからこそ、このような憲法変更を目指して、アメリカの下働きを進んで行い、中国との対決を望むような勢力は小さくしておくことが何よりも大事なことである。
  国民民主党の躍進は警戒すべき動きだ。彼らは自民党よりも「右」であり、昔で言えば、核武装論すら展開した民社党のような存在である。同盟を基盤とした民社党と連合を基盤としている国民民主党は共通している。尊厳死発言や世代間分断の政策を主張することで、若者たちの不満を吸い上げて議席を伸ばしたが、このような動きは危険である。

 慶賀すべき二つ目の点は、自民党の安部派清和会系の候補者たち(非公認や離党も含む)が多く落選したことだ。安倍派57名の内、落選が36名(当選21名)という結果になった。これは喜ばしいことだ。彼らは統一教会・裏金の問題を抱え、今回の選挙で厳しい戦いとなり、落選した。保守傍流の岸・安倍の流れが一気に縮小したことはまことに喜ばしいことだ。保守本流(宏池会系や田中派の流れを汲む経世会系)がこれまで安倍派系に虐げられてきたが、その流れが逆転することになった。森喜朗政権・小泉純一郎政権から続いた流れが変わることになる。

 石破茂首相(自民党総裁)に対しては、選挙で過半数を取れなかったことについて責任を問う声が出てくるだろう。しかし、石破氏が総理総裁として行ったことは、「殺身為仁(身を殺して仁を為す)」であったと思う。首相になってそのまま過ごせば約1年間は安泰でいられた。しかし、安倍派清和会の勢力削減は一つの内閣を吹っ飛ばしてもやらねばならないことだ。対米隷属の買弁たちの総本山である(外見は日本の伝統保守のふりをする)安倍派、統一教会との関係が深く、裏金問題に象徴されるように政治資金の面でも問題があり、また、安倍派の威光を笠に着て傲岸不遜な態度を取り続けた保守傍流の腐りきった政治家たちを排除する、「ドレイン・ザ・スワンプ(drain the swamp)」をしたということになる。安倍派勢力は力を失うだろう。安倍的なものは有権者に拒否された。そして、安倍晋三元首相の後継者を自認する高市早苗代議士にも大きな痛手となるだろう。

 今回の人事の妙は、小泉進次郎代議士を選対本部長にしたことだ。選挙に関しては、選対本部長がまず責任を持つ。今回の選挙での敗北はまず小泉本部長の責任ということになる。小泉氏にとっては大きな痛手となる。今年9月の自民党総裁選挙から小泉氏の「馬脚が表れる」ということになって、大した人物ではないということが国民共通の理解となった。これは、小泉を使ってキングメイカーたろうとした菅義偉元首相にも痛手だ。菅氏の選挙期間中の様子が映像で流れていたが、健康状態に不安がある状態で、キングメイカーとして力を振るえるのか不透明だ。

 こうして見ると、一番「勝った」と言えるのは、岸田文雄前首相だろう。自分の政敵、ライヴァルたちの力を落とすことに成功した。麻生太郎副総裁は派閥を維持し、力を堅持しているが、年齢のこともあり、そう長くは活動できない。大宏池会復活構想に従って、じっくりと待つということになるだろう。

 石破茂首相は、連立の枠組みに国民民主党を加えて(もしくは閣外協力を得る)、政権維持を行おうとしている。自公国民民主の枠組みになれば243議席となり、過半数(233議席)は越えるが、安定多数(244議席)には足りない。与党系無所属議員6議席があるので、これらを加えて249議席となる。日本維新の会がどのような姿勢で臨むかだが、これで何とか政権維持ができることになる。しかし、小泉選対本部長、森山裕幹事長が責任を取っただけでは住まず、石破茂首相が退陣しなければならないということにもなるだろう。

 そうなったら、新総裁ということになるが、前回の総裁選で2位となった高市氏か、4位となった林芳正官房長官ということになる。ここで、安倍的なものに時計の針を逆戻りさせるのは間違っている。高市氏を支える議員たちがどれほど残っているかということもあるが、政権の安定ということもあり、林官房長官に禅譲ということが望まれる。

 今回の選挙は「政治とカネ」問題で自公が負けたという分析になるだろうが、それは表層的だ。「政治とカネ」という問題の基底には、人々の生活の苦しさがある。はっきり言えば、人々の生活を豊かにしているならば、政治家が汚職をしようが、どうでもよい。自公の政治家たちは、人々の生活を良くすることができなかった上に、一丁前に汚職だけはしっかりやっていたという判断になって、落選させられたのだ。「お金にきれいだけど無能よりも、お金に汚いけど有能の方が良いでしょ」という自公の政治家たちを擁護する声もあったが、「一体にどこにお金に汚いけど有能な政治家がいるのか、いるのはお金に汚くて無能な政治家ばかりではないか」というのが実感である。また、日本国民の中に、「いつまでもアメリカの家来、属国をやっていて良いのか」という不安もあると思う。世界構造の巨大な変化を感じて、日本政治の構造を変えねばという意識(無意識)があったのではないかと思う。

 立憲民主党はほぼ何もせずに、敵失で議席を得た。野党共闘が進んでいればもう少し議席の上積みができたと思うが、問題はこれからだ。躍進したと言っても148議席だ。過半数には遠く及ばない。ここは自公の敗北をよく分析し、国民が何を望んでいるかを把握することだ。その中には消費税減税は当然含まれる。消費税増税容認派の野田佳彦を代表をはじめとする執行部はこの点をよく考えねば、次の選挙で2012年の二の舞となることもある。「消費増税」でよもや自公と大連立を組むということはさすがに考えにくいが、野田佳彦代表は「国民の生活が第一」路線を打ち捨て、国民を裏切った過去を持つ。立民には国民の厳しい目が注がれねばならない。

投票率は前回の約55%から約53%に低下した。人々は自公に「お灸をすえる」ことすら関心を持たないほどに、政治不信が進んでいる。それほどに、安倍支配のマイナス面は大きく、後遺症は深い。今回の選挙では安倍的なものを排除することができたことは慶賀すべきことだが、前途は多難である。

(貼り付けはじめ)

●「衆院選の全議席確定、自民党は結党以来2番目に低い191議席…立憲民主党は50議席増の148議席」

10/28() 10:58配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/a60d2201f1164252f47ad6b9ce62a7274dddbf23

 衆院選は28日午前、全ての議席が確定した。

 自民党は公示前から56議席減の191議席で、1955年の結党以来2番目に少ない当選者にとどまった。公明党も24議席と公示前から8議席減らした。

 野党は明暗が分かれた。立憲民主党は公示前から50議席を上積みする148議席を獲得したほか、国民民主党は28議席を獲得し、公示前の7議席から4倍に増えた。一方、日本維新の会は公示前から6議席減の38議席だった。

 れいわ新選組は6議席増の9議席、共産党は2議席減の8議席。参政党と諸派の日本保守党がそれぞれ3議席を獲得した。社民党は小選挙区で1議席を得た。

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玉木氏、自公連立参画の考えないと伝達

10/28() 10:56配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/7059fbb63a9aabe564246a36c1a21c7682085c21

 国民民主党の玉木雄一郎代表は28日、連合の芳野友子会長と会い、自民、公明両党との連立政権に参画する考えはないと伝えた。自民、立憲民主党を含む各党との政策協議に応じる考えも示した。会談後、玉木氏が記者団に明らかにした。

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石破首相、辞任せず国民民主に協力呼びかけ政権維持図る意向

10/28() 5:00配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6030d284a4871436eb7e0521d59be54a25bf972d

https://news.yahoo.co.jp/articles/6030d284a4871436eb7e0521d59be54a25bf972d?page=2

 第50回衆院選は27日投開票された。自民党は「政治とカネ」の問題を受けて大敗し、公明党を合わせた与党で総定数465の過半数(233議席)に届かなかった。立憲民主党は、公示前から議席を大幅に増やした。今後、政権の枠組みを巡って与野党の攻防が始まり、政局が流動化する可能性もある。日本維新の会や、公示前から議席を伸ばした国民民主党の動向も焦点となる。

 与党の過半数割れは2009年衆院選以来だ。自民は第1党は維持した。

 与党での過半数確保を勝敗ラインに掲げていた石破首相(自民総裁)は27日夜、NHK番組で「非常に厳しいご審判をいただいたと認識している。謙虚に厳粛に受け止めている」と語った。その上で、野党の協力を得て自民中心の政権を維持する考えを強調した。

 首相は28日未明、周囲に対し、辞任せず政権維持に向け国民民主に協力を呼びかける意向を示した。

 自民は衆院選にあたり、政治資金問題に関わった前議員ら44人のうち10人を公認せず、34人は比例選との重複立候補を認めなかった。自民、公明両党は選挙戦で、経済政策や外交・安全保障政策の実績を強調して自公政権の継続を訴えたが、選挙戦終盤には、自民が非公認となった候補側に2000万円の政党交付金を支給していたことが発覚し、逆風が強まった。

 公明の西田幹事長は27日夜、BS朝日の番組で「『政治とカネ』を含め与党への怒り、厳しい反応が如実に表れている。公示後に『2000万円問題』が急浮上したこともだめ押しになっている」と語った。

 公明は21年の前回選で9選挙区に候補を擁立して全勝したが、今回は11人が小選挙区選に出馬し、当選は4人にとどまった。

 立民は与党の過半数割れを目標として、選挙戦では自民の政治資金問題を徹底的に批判した。野田代表は28日未明の記者会見で、「目標を達成できたことは大きな成果だ」と語った。他の野党との連携に向けては27日のフジテレビ番組で「自公政権継続がダメという立場と、政治改革を推進するという点で一致するなら対話はしていきたい」と意欲を示した。

 衆院選後は30日以内に特別国会が召集され、首相指名選挙が行われる。与党が過半数割れしたことで、維新や国民を含めて与野党の駆け引きが活発化するとみられる。

 維新の馬場代表は27日夜、NHKの番組で、自公両党との協力について「全く考えていない。『政治とカネ』の問題で国民の怒りに火がついている」と否定した。一方、立民との連携についても、大阪市での共同記者会見で「(立民は)外交・安全保障、エネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」と消極的な姿勢を示した。

 国民の玉木代表も文化放送のラジオ番組で、自公との協力について「考えていない」と否定しつつ、「政策を実現できるよう、協力できるところとは協力していきたい」とした。

 衆院選は21年10月以来3年ぶりに行われ、衆院小選挙区の「10増10減」を受けた新区割りが初めて適用された。小選挙区選289、比例選176の総定数465議席を争った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙まで約10日を残すのみになった。昨年から始まった選挙戦は、民主党のジョー・バイデン大統領が7月末に選挙戦からの撤退(再選断念)を発表し、カマラ・ハリス副大統領が代わりに候補者となり、ハリスが優勢と報道されてきた。しかし、10月に入って、ドナルド・トランプ前大統領が支持率で盛り返し、大接戦となっている。7つの激戦州ではトランプがリードしているという状況だ。

 アメリカ大統領選挙では全国規模での世論調査が実施される。これはあまり意味がない。なぜならば、アメリカ大統領選挙の結果は一般投票の獲得総数で決まるものではないからだ。各州レヴェルで選挙人が設定され(上院議員2名+会員議員数、ワシントンDCは最小の3名)、各州の一般投票獲得数で1票でも多い候補者が選挙人を全て獲得する「勝者総取り(winner-take-all)」となっているからだ。既に全米で40以上の州では勝者は決まっている状態だ。共和党優勢州(「赤い州」、レッドステイト)ではトランプ、民主党優勢州(「青い州」、ブルーステイト)ではハリスの勝利が決まっている。重要なのは激戦州である。
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 最新の世論調査では全国規模の世論調査の数字でトランプとハリスがタイという結果になった。これまで全国規模の世論調査の数字ではハリスがリードしていた。それが追い付かれるようになっている。これは、トランプが支持率を上げており、ハリスが伸び悩んでいることを示している。激戦州では文字通り、激戦を展開しているが、トランプが僅差でリードいう結果が出ている。加えて、連邦上院と連邦下院の選挙も実施されるが、これらも接戦が展開されているが、両院の選挙で、共和党が僅差でリードという結果が出ている。
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 このような民主党ふりの展開になっている状況について、まだ詳しい分析離されていないが、大まかに言えば「民主党が有権者の声を無視してきたからだ」「傲慢さが招いた結果だ」という主張が出ている。アメリカ国民にとって重要な問題は高いインフレと移民問題となっている。これらについて、現職のジョー・バイデン政権(ハリスは副大統領で参加している)は無策であったという評価になっている。民主党の政治家たちはドナルド・トランプの悪口を言っていれば安心感を得られているが、それでは意味がないということになる。
  私は佐藤優先生との対談『世界覇権国交代劇の真相』の中で、民主党の副大統領候補について、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロが最有力と考えていると主張した。結果的にはミネソタ州知事ティム・ウォルツが選ばれたが、ウォルツは選挙戦に貢献できていないようだ。

 残り10日、民主党が劣勢から挽回するためにはオクトーバーサプライズが必要になる。その中にはドナルド・トランプの暗殺も含まれる。共和党側はトランプ暗殺を懸念しているようだ。アメリカ大統領選挙はいよいよ佳境に入っていく。

(貼り付けはじめ)

ハリスはニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジの最新世論調査で不安を感じる兆候を見る(Harris sees troubling signs in latest New York Times/Siena poll

アレックス・ガンギターノ筆

2024年10月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4953020-harris-trump-poll-deadlock/

『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジが実施した大統領選挙投開票日前最後の全国世論調査は、民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領にとって不安を感じる、厄介な兆候を示している。

今回の世論調査では、ハリス副大統領が10月に実施された以前の調査では、ドナルド・トランプ前大統領を3ポイントリードしていたが、今回はトランプ前大統領と拮抗している。

この新しい世論調査は、ハリスが実際にトランプに一般投票獲得数で負ける可能性があるという話を呼び起こしている。

過去4回の選挙と過去8回の選挙のうち7回で民主党の切符が一般投票獲得数で勝利しているが、そのうち1992年と1996年の2回の選挙戦では独立系候補ロス・ペローによる第三党の強力な支持が含まれていた。

2024年の選挙をめぐる話題の多くは、主要7州の世論調査の厳しさから、ハリスが一般投票獲得数で勝利しても、選挙人獲得数ではトランプに敗北する可能性についてだ。

しかし、ニューヨーク・タイムズの世論調査によれば、ハリスは、各激戦州を制する可能性を示唆するような、一般投票での圧倒的なリードを築き上げてはいない。

今回の世論調査では、トランプ、ハリス両候補は共に48%の得票率だった。10月初旬には、ハリスはトランプに対して49%対46%のリードを持っていた。世論調査の変化は誤差の範囲内だ。

ハリスにとってもう1つの悪い兆候として、アメリカという国が正しい方向に向かっていると答えた回答者はわずか28%だった。ハリスは現職の副大統領であり、現職の政権がこの数字を克服するのは難しいことを考えると、彼女にとっては厳しい数字だ。

有権者にとって経済は依然として今回の選挙における最大の争点であり、ハリスは、この争点に対処するのに有利な候補は誰かという点で、トランプとの差を縮めている。

このテーマでのハリスに対するトランプの優位は6ポイントに縮小した。先月のニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジの世論調査では、トランプはハリスに対して13ポイントの差をつけてリードしていた。

今回の世論調査によると、有権者の48%がハリスを好意的に見ており、バイデン大統領が選挙戦から脱落し、ハリス副大統領に交代した時点から2ポイント上昇している。

トランプも48%から好意的に見られており、同じ時期より1ポイント上昇している。

今回の世論調査では、女性有権者の支持率ではハリスが54%を獲得し、トランプの42%に対して大きくリードしているが、男性有権者ではトランプが55%、ハリスが41%となり、リードの幅が大きくなっている。

トランプにとって重要な争点である移民問題が、今回の選挙で最も重要な問題であると答えた回答者は15%で、前回調査の12%から上昇した。移民問題で有権者が誰を信頼するかという質問では、トランプがハリスを11ポイントリードしている。

81歳のバイデンは、その年齢と大統領としての適性について懸念を持たれ、最終的には大統領選から除外されたが、78歳のトランプは大統領になるには年を取りすぎていると考える有権者は41%に過ぎない。これは7月の世論調査と同じ結果となった。

加えて、この世論調査では、15%の有権者が誰に投票するかを最終的には決定していないことが分かった。そうした有権者の間で、ハリスは42%の有権者を獲得し、トランプの32%を上回った。

今回の世論調査は10月20日から23日にかけて、アメリカ全土の有権者2516人を対象に実施された。誤差はプラスマイナス2.2パーセンテイジポイントだ。

これまで数週間、大統領選挙がトランプ氏に傾きつつあることを示唆する世論調査の結果が相次いでおり、民主党の間で不安が高まっている。

大統領選挙投票日まであと1週間余りとなり、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州、アリゾナ州、ジョージア州、ネヴァダ州、ノースカロライナ州の各州を中心に戦いが続いている。

7つの州全てでトランプ、ハリス両候補間の世論調査は依然として大変な大接戦であり、この選挙戦がアメリカ史上最も接戦の1つになる可能性があることを示唆している。

ハリスは、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州の「青い壁(blue wall)」州を維持することに全力を注いでいる。ハリスがこれらの州を制覇すれば、他の4つの激戦州で何が起ころうと、彼女が選挙人団の過半数を制する可能性は高い。

『ザ・ヒル』誌とディシジョン・デスクHQが集計した世論調査平均では、ウィスコンシン州とペンシルヴァニア州でトランプがハリスを0.5ポイント以下リードしているのに対し、ミシガン州は引き分けとなっている。

ネヴァダ州ではトランプが0.1ポイントリードしているが、ジョージア州、アリゾナ州、ノースカロライナ州の他の3つの激戦州では1ポイント以上のリードをしている。

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なぜ民主党は負けるのか? それは傲慢さだ。(Why are the Democrats losing? Hubris.

キース・ノウトン筆

2024年10月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/4949797-why-are-democrats-losing-its-simple-hubris/

民主党の政治家たちは、ドナルド・トランプに再び負けるかもしれないことが信じることができない。彼らは「どうしてあんな奴に投票できるだろう? あの野郎は無作法すぎる!」と不平を述べている。

ある意味、彼らの言うことを首肯できる。トランプは無作法だ。アーノルド・パーマーに関する彼の最近の放言は、不可解な発言や即興の長いシリーズの最新作である。しかし、その奇妙さに混じって、トランプは賢い選挙運動を行っている。

トランプのマクドナルドでの大胆な動きは非常に鋭い動きだった(天才的ではないが、標準的な政治的なアピールとしてはかなり良い)。そしてもちろん、トランプがいかに品位に欠け、安っぽかったか、民主党議員を再び憤慨させた。

民主党のエリートたちはトランプに呆れ果て、彼に何か評価を与える気にもなれない。しかし実際には、トランプ前大統領はカマラ・ハリスやジョー・バイデンとは違って、自己宣伝の勘が鋭い。トランプの遅延、遅延、遅延の法廷戦略はうまくいった。トランプは問題環境を味方につけた。そしてトランプは現在、勝利の有力候補である。

民主党の最大の問題は、その偏狭さ(insularity)が共和党よりもはるかに悪いことだ。そう、両党はそれぞれのイデオロギーに基づいたメディアのバブルの中で生きている。しかし、民主党は共和党よりも酷い。そのバブルの中では、自分たちの趣味の馬を追い求め、否定が支配している。

有権者の懸念に対処する代わりに、民主党の政治家たちとその友人である既成メディアは、トランプの民主政治体制への脅威、彼の奇妙な行動、そして自分たちが被害者であることに焦点を当て続けている。要するに、民主党は有権者が関心を寄せる問題ではなく、自分たちが関心を寄せる問題で進んでいる。ハリス陣営は、不安で当惑している政治家たちの慰めになっている。

これはどれもニューズではない。アメリカ国民はトランプの異様さと衰えについてよく知っている。国民は2021年1月6日に何が起こったかを知っているが、それを認めていない。トランプはトランプであることで、彼を抑えてきた。しかし、それもここまでだ。

この2年間、有権者たちは民主党に対し、インフレが最大の関心事であることを伝えてきた。ジョー・バイデン大統領と民主党の政治家たちは、有権者の声を無視し続けた。直近のYouGov世論調査では、回答者の96%がインフレを「非常に」または「ある程度」重要だと答えた。2023年10月では95%、2022年10月は95%だった。いずれの調査でも、インフレは群を抜いて最重要課題だった。

 

また、有権者たちはバイデンの再出馬を望んでいなかった。2022年10月には、バイデンの再出馬を望む有権者はわずか21%、無党派層ではわずか10%だった。その1年後、この数字はそれぞれ27%と16%だった。YouGovがこの質問をやめた2024年4月頃には、民主党員たちはバイデンにいくらか支持を集め、30%まで上昇した。しかし、無党派層は依然としてバイデンの出馬に反対で、反対が70%、賛成が16%だった。

その間ずっと、バイデンは非常にマイナスな支持率に苦しみ、大多数がこの国は間違った道を進んでいると考えていた。

しかし、バイデン政権と民主党の政治エスタブリッシュメントは国民を無視した。インフレに関する特別委員会は存在しなかった。財政拡大を抑制したり、(どちらもインフレの一因となっている)規制を撤回したりする提案もない。更に悪いことに、民主党は、討論会での失敗でバイデンの立候補が不可能になるまで、ぐらぐらするリーダーの周りに群衆を寄せ付けなかった。そしてその時でさえ、支配層は彼が投票用紙に残ることを望んでいた。

その代わり、民主党の政治家たちは、昔も今も、実質よりも形式やスタイルを重視している。トランプを支持する者は皆、妄想か、カルトの一部か、あるいはただの愚か者なのだ。その一例が、比較的最近になって政治に関与することを決めたイーロン・マスクを酷評する『ワシントン・ポスト』紙の論説である。

マスクは、世界で最も成功したオンライン決済システムの創設に携わった。ニッチな自動車メーカーであるテスラを世界的な電気自動車会社に育て上げ、スペースXでアメリカの宇宙開発計画を救った。しかし、今や彼は酷評されている。トランプのために金を使うマスクは悪だが、国際為替市場で、ギャンブルで財を成したジョージ・ソロスは善だ。どんなに優れていても、トランプに賛成しているのであれば、あなたは嫌なやつだ。

何百万人ものアメリカ人にとって、高インフレは手の届かない家賃、家を買えないこと、貯蓄の目減り、老後(引退)の繰り延べを意味する。これらは、個人や家族が日々直面しなければならない現実的で困難な課題である。しかし、トランプ政権下では、インフレ率は低く、住宅はより手頃になり、実質家計所得は上昇していた。

大多数のアメリカ人にとって、経済的利益に投票することはトランプに投票することを意味する。形にとらわれない人々にとっては、中身が重要なのだ。

偏狭さは傲慢さ(hubris)を生み、それが民主党の問題をさらに深刻にしている。異論の声や政治的現実から自分たちを切り離すことで、トランプに再び負けることはあり得ないと確信した。その結果、誤った政策と政治的判断が生まれた。EPA(環境保護局)の新排出ガス規制と、カマラ・ハリスの伴走者(副大統領候補)にティム・ウォルツを選んだことだ。

3月に発表されたEPAの新ルールは、2032年までに内燃エンジン車の台数を大幅に削減するというものだ。この決定は、中西部、特に激戦州であるミシガン州における何千もの自動車関連雇用に、事実上の死を告げるものである。

アメリカの自動車労働者たちを苦しめるために、バイデンはより悪い選択をしたのだろうか? 彼らは何を考えていたのだろうか?

トランプは現在、この問題に取り組んでおり、カマラ・ハリスを支持したUAW指導部を攻撃している。そしてその効果は出ており、直近の世論調査でトランプは浮上している。

ハリスは、民主党全国大会で自信過剰になった。世論調査で安堵の声が上がる中、ハリスは8月に勝利する勢いがあると考えた。そこで彼女は、世論調査の継続的な厳しさも、依然として劣悪な争点環境も無視した。

ハリスは、州全体の選挙において大差で3回当選しているペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロ(民主党)を副大統領候補に選ばなかった。シャピロへの一斉攻撃に直面して、学校選択への反対が不十分でイスラエル支持が強すぎるとして撤退した。その結果はどうなっただろうか?

最後の最後でウォルツに鞍替えしたハリスは完全に不発に終わった。ウォルツはしばしば演説でつまずき、自分の家族にさえ投票してもらえない。ウォルツは、リチャード・ニクソン以来共和党に投票したことのない州を補強するかもしれないが、ミネソタ州知事は必勝のペンシルヴァニア州では何の役にも立たない。

副大統領候補は大した足しにはならないが、ペンシルヴァニア州でトランプからハリスに0.6%でも票を振ることができれば、バイデンの2020年の票差よりも大きいので、人気のあるシャピロを選ぶ価値はあっただろう。

結局のところ、2024年は、有権者の声に耳を傾けようとしない凡庸な候補者を擁立した2つの選挙戦が、ゴールに向かって躓きながら進んでいくことになる。しかし、カマラ・ハリスと民主党が負けるならば、彼らは自身を責めるしかない。

※キース・ノウトン:公共問題・規制問題コンサルティング会社「サイレント・マジョリティ・ストラティジーズ」共同創設者。ペンシルヴァニア州で政治運動コンサルタントを務めた経験を持つ。

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 古村治彦です。
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 私はこれまでアメリカ民主党について批判してきた。特に民主党主流派、エスタブリッシュメント、ヒラリー・クリントン一派についてはこのブログでも書いてきた。その際に、「心ある、誠実な」民主党の連邦議員として、トゥルシー・ギャバードについて紹介してきた。このブログの右側にある「記事検索」の下にある四角の欄(□)に「ギャバ―ド」という言葉を入れて検索して欲しい。たくさんの記事が出てくる。

 ギャバードは、2016年の米大統領選挙の時期に、民主党全国委員会の副委員長を務めていた。彼女は自身がヒラリー・クリントンに対抗して出馬して、人気を集めていたバーニー・サンダースの応援をするために、筋を通して副委員長を辞任した。この時期、民主党全国委員会は、委員長のデビー・ワッサーマン=シュルツを中心に、ヒラリー・クリントン当選のために、ヒラリー陣営にアドヴァイスを送ったり、討論会でヒラリーが有利になるように画策したりしていた。そのことが暴露され、ワッサーマン=シュルツは委員長を辞任せざるを得なくなった。民主党は内部が腐敗しきっているのだ。ギャバ―ドはそのことを批判して、堂々と辞任した。そして、2020年には自身が大統領選挙民主党予備選挙に出馬した。
 彼女の主張で重要なのは、アメリカ軍の世界各地からの撤退だ。ヒラリーたちが仕掛けてきた世界各地での戦争を批判してきた。それは、彼女自身がハワイ州兵として、イラクとアフガニスタンに派遣されたという経験があるからだ。彼女の戦争を批判する言葉は経験に裏打ちされて重たい。
 その後、ギャバードは民主党を離党して無所属となった。保守系のFOXニューズに出演して、古巣の民主党を厳しく批判してきた。それは、彼女自身が古き良き民主党を思慕するが故の行動だ。そして、今回の大統領選挙運動終盤に来て、ついに共和党入党ということになった。ヒラリーや主流派を支持できない民主党支持者や民主党員も多いと思うが、ギャバードのこの決断は大きな影響を持つだろう。
(貼り付けはじめ)
トゥルシー・ギャバ―ドがノースカロライナ州でのトランプの選挙集会で共和党に参加すると発言(Tulsi Gabbard says she’s joining the GOP at Trump rally in North Carolina

サラ・フォーティンスキー筆

2024年10月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4948241-tulsi-gabbard-joining-gop-trump-rally-in-north-carolina/

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グリーンズボロ・コロシアムでの選挙集会で共和党の大統領候補者ドナルド・トランプ前大統領が民主党所属の元連邦下院議員トゥルシー・ギャバ―ドとハグをしている(2024年10月22日)

民主党所属の連邦下院議員を務めたトゥルシー・ギャバード(ハワイ州選出)は火曜日、共和党への入党を表明し、わずか4年前に大統領候補を目指した党からの離脱を決めた。

ギャバードは、8月に2024年大統領選挙でトランプ前大統領を支持すると表明したが、トランプ前大統領の集会でこの発表を行った。

「我が国への愛と、とりわけトランプ大統領が共和党を変革し、国民の党、平和の党に戻すためにもたらしたリーダーシップのおかげで、私は今日、トランプ大統領とともにここに立ち、共和党への入党を発表できることを誇りに思う」とギャバードは集会のステージで、トランプ大統領の数メートル後方で語った。

選挙集会の聴衆たちは盛大な拍手で応え、トランプも笑顔で拍手を送った。

「私は人民の党、平等の党、この国で奴隷制と闘い、奴隷制を終わらせるために設立された共和党に加わる。常識の党であり、平和のために戦う勇気と強さを持った大統領が率いる党だ」とギャバードは続けた。

ギャバードは2020年に再び連邦下院議員選挙に立候補せず、混迷した民主党予備選挙に参加することを選択し、その結果としてバイデン大統領が指名を勝ち取り、最終的には大統領の座に就いた。

ギャバードは中東地域で2度任務に就いたハワイ州兵の退役軍人で、長年にわたり民主党政権、特に中東地域での戦争へのアメリカの関与を批判してきた。

ギャバードは、トランプが2019年に初めて弾劾された際、民主党で唯一「出席した上での棄権(present)」に投票した。2016年の大統領選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出)を支持し、2020年には最終的にバイデンを支持した。

ギャバードは2年後に民主党を離党し、無所属となった。彼女は著名な共和党所属の議員たちの選挙運動を続け、保守系メディアのコメンテーターとしても頻繁にメディアに登場している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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 アメリカは20世紀後半から現在まで、世界の超大国であり、世界を支配する覇権国家だ。それに対して、中国が台頭し、経済力で肉薄し、遠くない将来には逆転するという見通しになっている。米中間で覇権国の地位の交代が起きる。私たちは覇権国交代、西洋支配の終焉という世界の大きな構造転換に備えなければならない。

 アメリカとしてはもちろんのことだが、中国の強大化を阻止したい。覇権国であり続けたい。しかし、状況はかなり厳しい。アメリカが選択できる手段は限られている。「中国への投資と中国からの投資を制限し、中国からの輸入を制限する」ことで中国の経済成長を抑えようというのは、アメリカの経済成長にも影響を与える。アメリカ国内への投資を増やすということにつながるかと言えばそうではない。アメリカは既に工業生産力は減退し、世界の5%に過ぎない。アメリカはもうものつくりの国ではない。そうした中で、中国との経済的な関係を遮断する(デカップリング)は自殺行為である。

 ドナルド・トランプ政権の通商担当者たちは中国との貿易戦争を開始したが、彼らの短慮だったと言わざるを得ない。中国からの投資をアメリカに引き寄せねばならないところで、そのようなことをしてしまったのだから。そして、ジョー・バイデン政権もトランプ政権と同様の、中国製品に対する高関税政策を取っている。アメリカの対中国政策は選択肢の幅が狭まっている。

 アメリカ大統領選挙が近づいている。現在のところ、ドナルド・トランプ前大統領(共和党)とカマラ・ハリス副大統領(民主党)との間で大接戦が演じられていると報じられている。大統領選挙の帰趨を決する激戦州ではトランプが支持率を挙げている状況だ。トランプが大統領に当選すれば、保護政策を実施し、鉱工業分野を復活させ、雇用を増大させようとするだろう。ドル安を誘導し、アメリカの輸出力を増大させようとするだろう。しかし、アメリカがこれから生産力の面で復活することは難しい。アメリカが対中政策において劇的に立場を良くする施策はない。これは誰が大統領になっても同じだ。大きな流れ、トレンドに逆らうことはできない。

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大統領は中国に対する冷戦を主導する必要がある(The President Needs to Lead the Cold War on China

-北京の機先を制することが可能となる包括的な経済戦略。

ランディ・シュライヴァー、ダン・ブルーメンソール、ジョシュ・ヤング筆

2024年6月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/17/united-states-china-competition-biden-trade-tariffs/

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オーストラリア・キャンベラにて、李強中国首相がオーストラリア国会議事堂の外で儀仗兵を視察する際の銃礼(2024年6月17日)。

アメリカは、中華人民共和国と冷戦中であり、勝利するためには大統領自身が主導し指揮する戦略が緊急に必要である。そのようなリーダーシップがなければ、中国に対するアメリカのアプローチは断片的で矛盾し、焦点の合っていないままになるだろう。リーダーシップの欠如は、中国共産党の習近平総書記と、習近平が2022年の第20回党大会で打ち出した、中国権力のあらゆる手段に「長期にわたる闘争(protracted struggle)」を遂行するよう指示するアプローチとは全く対照的である。言い換えれば、アメリカに対する冷戦だ。

アメリカは、中国の経済攻撃への対応において特に臆病だ。中国は数十年にわたり、「軍民融合(military-civil fusion)」戦略と「双循環(dual circulation)」戦略、つまり、国内経済成長と軍事近代化の両方に向けて国の技術力と産業力を構築する中国共産党の取り組みを通じて、地経学的影響力を構築してきた。世界のサプライチェインにおける中国政府の支配的な地位は、重要な鉱物、半導体、そして今や次世代エネルギー技術などの重要な経済要素の生産の中心に中国を置くことで、各国を人質に取ろうとする政策の意図的な結果でもある。

中国共産党は、一帯一路構想(Belt and Road Initiative)を通じて、地政学的な影響力を獲得し、東南アジア、アフリカ、中南米、中東、さらにはヨーロッパの一部に至るまで、北京の意向に沿った新たな経済ネットワークの基礎を築いた。

逆に、アメリカは制裁を除けば、外交政策や国家安全保障上の利益を促進するために経済力を活用することにあまり積極的ではなかった。対外経済政策における数十年にわたる怠慢に対処しようとするワシントンの今日の取り組みは、依然として不定期で一貫性がない。財務省の中国軍産複合体企業(Chinese Military-Industrial Complex CompanyCMIC)リストや司法省の現在の破壊的技術攻撃部隊など、米政府機関による中国の経済犯罪の取り締まりや先端技術の輸出の厳格化などの試みはこれまでにもいくつかあったが、大統領自らが主導権を握り、中国の悪性の経済的影響力を弱体化させる戦略を指示しない限り、こうした取り組みは不十分なままだろう。

ジョー・バイデン大統領か、新たに就任するドナルド・トランプ大統領(来年1月に政権に返り咲く可能性がある共和党の候補者)のいずれかが、中国政策を掌握する上でロナルド・レーガン元大統領の例を参考にすべきだ。レーガン政権の1期目において、ソ連の脅威が彼の最優先課題の1つであったことは、一連の国家安全保障決定指令(National Security Decision DirectivesNSDD)で示された明確かつ実行可能な指針からも明らかである。

ソヴィエト連邦に対する冷戦に勝利するという意図は、「アメリカの国家安全保障(U.S. National Security Strategy)」と題された NSDD32号文書を含むレーガン時代の文書に反映されている。「アメリカの国家安全保障戦略」は、全ての外交政策と国家安全保障活動を米ソ対立の文脈の中で適切に位置づけたものだ。更に言えば、レーガン政権は「アメリカの対ソヴィエト連邦関係(U.S. Relations with the USSR)」と題したNSDD75号文書も発表した。「アメリカの対ソヴィエト連邦関係」では、アメリカが政治、軍事、経済の各領域でソ連と競争し、世界的にソ連の影響力に対抗するための包括的な国家戦略にどのように取り組むかについて明確な戦略を定めた。

トランプ政権もバイデン政権も、今や戦略的競争者(strategic competitor)となった中国に対する根本的な政策転換を監督したこと、そして、中国共産党との長年にわたる無為無策な関わりからアメリカ経済を解き放つために、関税の賦課や輸出規制を始めようとしたことは、一定の評価に値する。しかし、ワシントンが中国との競争をようやく認識してから8年近くが経過し、何億ドルもの関税と一連の禁止的な輸出規制・投資規制を実施した後でも、アメリカは中国との競争に勝利するために必要な強度のレヴェルに達するのにまだ苦労している。

例えば、バイデン政権の「小さな庭、高いフェンス」という輸出規制の対象分野を限定するリスク回避のアプローチは、中国の経済的脅威の深さと広さに対処できていない。

大統領は、このような狭いアプローチを追求する代わりに、レーガンがソヴィエトに対して行ったように、この新たな冷戦を戦うために、アメリカの全ての関連政府機関に指示を出さなければならない。「アメリカ対中経済競争戦略(U.S. Economic Competition with China Strategy)」を策定するには、大統領のリーダーシップが必要である。レーガンのNSDD75号文書が軍事、経済、外交の各分野にわたる包括的な戦略的アプローチを提供したのに対し、中国の世界経済に与えている歪みは、アメリカがこの挑戦の複雑さに対処するための専用の経済戦略を持たなければならないことを要求している。「アメリカ対中経済競争戦略」は、ワシントンがどのようにアメリカ経済を守り、中国の競争力を低下させ、新たな世界経済パワーセンターを構築するかについて、明確な政策指針を示すものでなければならない。

アメリカ経済の安全確保は新しい戦略の中核でなければならない。不公正な貿易慣行、不公平な競争条件を作り出すための中国企業への大規模な補助金による非工業化、知的財産の窃盗などを通じて、北京がその経済を弱体化させることに成功していることは、トランプ、バイデン両政権と連邦議会によって既に十分に文書化されている。NSDDを通じて、大統領はその経済的侵略に対処する枠組みを提供しなければならない。新たな政策指針は、中国の対米投資およびアメリカの対中投資を制限する上で、より積極的なものでなければならない。さらに、アメリカ政府の官僚たちは、輸出管理政策、二国間貿易の範囲、中国の永続的な正常貿易関係の地位の将来について明確な指針を必要としている。

大統領は、中国とのデカップリング(decoupling)を目標とするワシントンのアプローチについて明確な指針を示さなければならない。バイデン政権の輸出管理政策は、現在、半導体と人工知能を可能にするチップに焦点を絞っており、良いスタートを切っている。しかし、もっと多くのことが必要だ。新しい経済競争戦略は将来を見据えたものであるべきで、アメリカの全体的な健康、繁栄、安全保障の基礎となる、より多くのセクターを特定すべきである。考慮すべきセクターには、製薬、バイオテクノロジー、情報・データ技術、重要素材などがある。

これらの選ばれたセクターについてのアプローチは、中国経済から完全に切り離されるべきだ。アメリカは、これらの分野の重要なコンポーネントや投入物を中国に依存してはいけない。バイデンはこの問題で主導権を握り、政府が計画を確実に実行するようにしなければならない。さもなければ政治的、官僚的な抵抗の餌食になる危険がある。このような力強い大統領のリーダーシップは実現していない。

例えば、バイデンの対外投資に関する大統領令では、どの「国家安全保障技術(national security technologies)」が新たな投資規制の対象となるべきかを特定する責任を財務省に負わせた。このアプローチのリスクは、経済的・政治的影響を考えると、財務省が政権の狭義の「小さな庭、高いフェンス」のアプローチを超えることをためらうことである。その代わりに大統領は、既に存在する「重要・新興技術リスト(Critical and Emerging Technologies List)」を活用し、より明確な規定を設ける必要がある。このリストには、アメリカ資本を使って中国が開発することをアメリカが支援すべきではない、より強固な技術が列挙されている。

更に言えば、財務省と商務省は、中国との経済的な関わりを継続するインセンティヴを依然として持っている。これらの省庁の主な仕事は、アメリカのビジネスと世界金融の安定を促進することである。この視点は彼らのアプローチを歪め、既存の対立に勝つことよりも、健全な中国経済を可能にすることに重点を置いていることを意味する。これは近視眼的なアプローチである。新型コロナウイルス感染拡大後の環境、中国の経済成長が著しく減速する一方で、アメリカの経済成長の好調さは、アメリカが多くの人が考えているほど中国への依存度が高くないことの証拠となっている。ワシントンは、中国経済にどんな犠牲を払わせようとも、アメリカの経済を略奪から守る必要がある。

アメリカは、中国の侵略を抑止し、可能であればアメリカの利益を害する中国の能力を破壊するために、国防総省の軍事プランナーの努力と協調しながら、経済行動で攻勢をかける余裕を持っており、またそうすべきだ。

ワシントンは、アメリカの国家安全保障を損なう中国の能力を否定し、低下させるキャンペーンを行う必要である。例えば、官僚機構は、中国の軍事的近代化を助ける可能性のある全ての中国からの、および中国向けの投資、輸出、データの転送を特別に対象とする指導を拡大する必要がある。さらに、経済的措置は軍事的抑止力を高めることができる。中国が台湾、フィリピン、その他の地域で攻撃的であることを考えると、アメリカは経済的「フェイル・ポイント(fail points)」やその他の金融ターゲットを特定し、中国共産党にコストを課し、アメリカやその同盟国に対して軍事攻撃を仕掛ける自信を失わせるような経済的抑止計画が必要である。

中国共産党に代わって活動する中国の悪質な行為者たちをターゲットにするために法制度を動員することも、大統領が義務づけるべき行動方針である。フェンタニルの生産、知的財産の窃盗、制裁忌避、人権侵害、その他の犯罪行為における中国共産党の役割に対する責任を追及するために、アメリカの現行法制度を最大限に活用すべきである。

これは、ウイグル強制労働防止法、多国籍犯罪組織制裁規則、財務省のCMICリストの拡大と施行、ByteDanceが売却しない場合のTikTokの禁止に続き、既に導入されている政策ツールを活用することで実現できるだろう。トランプ大統領がファーウェイに対して行ったように、他の悪者に対する法律も同様だ。中国共産党に対するこれほど大規模なアメリカ大​​統領の法的戦略はまだ実行されておらず、間違いなく中国最大の国有企業や金融機関の一部に対する行動が必要となるが、その措置は中国政府の激しい反応を招くことになるだろう。

アメリカ大統領は、ワシントンの国際的な同盟諸国やパートナーとの協力が、新たな世界経済力の中心を作るために不可欠であることを明確にしなければならない。バイデンは、貿易協定、援助、開発手段といった対外経済工作を優先的に活用し、中国との対立においてワシントンを有利にするために必要な国々との経済的関与を最大化するよう、政権に指示する必要がある。

このアプローチの核となる原則には、中国共産党の経済的影響力の更なる拡大を防ぐこと、志を同じくする国々とのアメリカの関与を優先すること、アメリカが得意とする公正な経済的・法的枠組みを推進すること、中国の経済的影響力に対抗するために緊密な同盟国と提携することなどが含まれるべきである。

相互に繁栄を分かち合うことが、成功する世界経済戦略の基盤であり、志を同じくする国同士の強固な貿易関係ほど、それをもたらすものはない。その結果、アメリカ大統領はアメリカ通商代表部に権限を与え、アメリカがデカップリングの努力を達成し、かつ世界経済のパートナーとして選ばれる地位を強化するのに役立つ二国間貿易協定を追求する必要がある。政治資金がより包括的な貿易協定を追求できるようになるまで、重要鉱物、半導体、製薬など分野別の貿易協定から始めることもできる。

同様に、アメリカ大統領は開発と金融援助を担当し、アメリカ国際開発庁(United States Agency for International Development)と開発金融公社(Development Finance Corporation)に対し、米中対立の鍵となる被援助諸国に戦略的価値を提供するプロジェクトを支援するよう指示し、アメリカがその投資から利益を得られるようにする必要がある。

アメリカは最初の冷戦に勝利した。しかし、そのためには強力な軍事力とともに積極的な経済行動が必要だった。アメリカが中国共産党の世界的な経済的野心を否定し、今後数十年にわたってアメリカンドリームと世界経済の自由を再び確保しようとするならば、今こそ大統領のリーダーシップが必要である。

※ランディ・シュライヴァー:プロジェクト2049研究所理事長。2018年1月8日から2019年12月31日までインド太平洋安全保障問題担当国防次官補を務めた。

※ダン・ブルーメンソール:アメリカ・エンタープライズ研究所アジア研究部門上級研究員兼部長。著書に『中国の悪夢:衰退する国家の偉大な野心(The China Nightmare: The Grand Ambitions of a Decaying State)』がある。

※ジョシュ・ヤング:プロジェクト2049研究所上級部長。

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 いよいよ10月27日に総選挙(衆議院議員選挙)の投開票日が迫ってきた。解散前に290議席あった自民党と公明党の連立与党は厳しい状況で、過半数の233議席を確保できるか厳しい状況だ。保守地盤である地方でも苦戦が続いている。日本維新の会は人気下下落しており、解散前の43議席を割り込むと見られている。立憲民主党(98議席)と国民民主党(7議席)は大幅な議席増、日本共産党(10議席)やれいわ新選組(3議席)の議席の上積みもある状況だ。日本保守党は複数議席獲得、社民党は1議席を守る戦いとなっているようだ。

 報道では、自民党の森山裕幹事長が連立の枠組み拡大について可能性を否定しない発言をしている。これはつまり、日本維新の会や国民民主党を連立政権に加えるということだ。公明党と日本維新の会は大阪で激しく戦っている状況で、維新が連立に加わることについて、公明党側に大きな抵抗感があると見込まれる。

また、国民民主党の玉木雄一郎代表は「いまのところは考えていない」という発言をしている。玉木氏は東大卒のキャリア官僚出身であり、霞ヶ関話法の使い手である。都民ファーストにすり寄ってみたり、立民に近づいてみたり、政治的なマヌーヴァー的な動きをする。国民民主の議席増も自民党支持者の票を集めているということを考えると、連立への参加のハードルは維新に比べて低いように思われる。

 維新や国民民主の存在は簡単に言えば自民党補完勢力であり、自公維国民民主の令和版大政翼賛会は憲法の変更を目指しているという大きな目標では一致している。平和の党として、庶民の党として活動してきた公明党が変質したことで、この大政翼賛会は強固なものとなっている。解散前はこの4党で340議席(全体が465議席)であり、憲法の変更を発議できる3分の2(312議席)を軽く超えている。この大政翼賛会勢力をまず3分の2以下にすることが最重要だ。自公維で60議席以上減らし、国民民主の議席増を10議席くらいに抑えて、大政翼賛会勢力の議席数を300議席、できれば280議席台に抑えたいところだ。

 更に言えば、立憲民主党の大幅議席増を抑制したい。何よりも、民主党政権時代に「国民の生活が第一」を弊履のように捨て去り、国民を騙して裏切り、消費増税を行った野田佳彦議員を代表に迎えた立憲民主党の「増え過ぎ」には反対する。野田佳彦を代表に据えるということ、「消費税は25%に」という発言を行った小川淳也議員を幹事長に据えているということは、立憲民主党が「消費増税」で「財務省の意向が第一」路線であることを私たちに国民に明確に示してくれている。先日、私の家の郵便受けに立憲民主党の広報ビラが入っており、それには野田佳彦代表の顔写真と共に、「政治不信に決着をつける」と書かれていた。そもそも国民を裏切り、安倍晋三政権を誕生させ、ここまでの酷い状況を生み出し、それでも国民が政治に無関心になっているという状態を生み出したのは、つまり、政治不信を生み出したのは民主党政権時代の野田佳彦とその一派だ。この者たちに何かを云々する資格はない。

 私の考えでは、「小選挙区では自民、公明、維新、国民民主の候補者に入れない、そして、比例区では自民、公明、維新、国民民主に加えて、立憲民主党にいれない」ということが投票の前提になる。賛政党や保守党についてはあまり言いたくない。比例区では、名前を挙げた政党以外の政党に入れるということになる。それぞれの有権者の判断ということになるが、自公連立政権、令和版大政翼賛会勢力、立民を抑制するということで、非常に複雑な投票が求められると思う。

(貼り付けはじめ)

●「衆院選、与党過半数は微妙 自民苦戦、単独割れも」

10/22() 6:00配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a3ae96bba01e555a0d63d8b97e0f79f300292816

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各党などの推定獲得議席

 共同通信社は第50回衆院選について2021両日、全国の有権者19万人を対象に電話調査を実施し、取材も加味して終盤情勢を探った。自民党は派閥裏金事件の影響を受け、序盤調査(1516両日)時に続き苦戦。単独で定数465議席の過半数(233)を割る可能性がある。公明党も伸び悩んでおり、与党過半数確保は微妙な状況だ。

 自民は、野党などと競り合う選挙区を抱え、先行する小選挙区は140を割り込んでいるもようだ。比例代表も厳しく、大幅減となる可能性がある。

 立民は、小選挙区で100議席の獲得を視野に入れる。比例も増やすとみられる。

 維新は比例で支持が広がらず、全体で公示前43議席から減らしそうだ。

 公明は大阪府、兵庫県で維新と対決。北海道10区などで苦しい戦いを続けている。

 国民民主党は比例で支持を拡大。「日本保守党」は比例を中心に複数議席を獲得しそうだ。

 共産党は公示前の10議席を上回る勢い。れいわ新選組も比例での上積みが見込める。社民党は、小選挙区での1議席確保を射程に入れる。参政党の議席獲得は見通せない。

 1選挙区当たり固定電話と携帯電話で計600サンプルを目標にし、全289選挙区で計19556件の回答を得た。

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 アメリカ大統領選挙投開票日まで約2週間となった。現状では、ドナルド・トランプ前大統領支持が増えており、ハリスは厳しい状況になっている。ジョー・バイデン大統領撤退によって、カマラ・ハリス副大統領待望論が醸成され、激戦州が多い中西部の代表的な男性像を示しているミネソタ州知事ティム・ウォルツを副大統領候補として選ばれた8月から9月にかけて、ハリスが支持率でトランプを逆転し、激戦州でも軒並みハリスが優位な立場に立った。
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それが、メディアに出てのハリスの受け答えなどが放送されると、「当意即妙さがない(頭が良くない)」ということがばれ始め、支持を減らしていった。「あの人がアメリカ合衆国初めての女性大統領で良いのか、大丈夫なのか」という否定的な疑問が有権者の中で芽生えている。そこに「経験不足」が加わっている。経験不足という点では、ビル・クリントンも、ジョージ・W・ブッシュも、バラク・オバマもワシントン政治の経験はほとんどなかった。ハリスに対してだけ経験不足を理由にするのは間違っているが、ハリスはそれを言わせてしまう能力の欠如が明らかにされつつある。

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『ザ・ヒル』誌の勝利可能性のグラフ(青:ハリス、赤:トランプ)

 下に紹介した記事は1カ月前の記事で、まだハリスの勢いがあった頃のものだ。それでも、選挙結果予測で有名になったネイト・シルヴァーは、自身がハリス支持であるにもかかわらず、トランプ当選の可能性が高いと危惧し、トランプ当選に備えよと述べている。シルヴァーは有能な選挙予測のプロとして、ハリスの人気が落ちていること、トランプの人気が上昇していることを掴んでいるのだろう。

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「FIveThirtyEight」での予測(赤:トランプ、青:ハリス)

 五大湖周辺州のウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州での支持率の数字は接戦となっているが、8月と9月にハリスに遭った勢いは落ちている。トランプが追い上げて逆転している。民主党のジョー・バイデン政権がハリスの援護射撃のために、オクトーバーサプライズを仕掛けることが考えられるが、経済政策では投開票日までに効果が出る施策は難しい。また、ウクライナ戦争や中東紛争で停戦ということも考えにくい。このままの状況で進むとなると、トランプが勝利を収めるということになりそうだ。また、現状から逆転してハリスが勝利ということになれば、選挙後に不満を持った有権者たちが暴力に訴えるということも起きる可能性がある。目を離せない展開となるだろう。

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「人々は今すぐに不測の事態の発生に備えるべき」:トランプ勝利の可能性について、アメリカ有数の予測者がそのように語っている

-ネイト・シルヴァーの選挙モデルは、何百万人もの有権者に再び注目されている。ギャンブラーから統計学者に転身したシルヴァーが、ホワイトハウス争奪戦、我々の文化を再定義するリスクを取る冒険者たち、そして神の確率について語っている。

デイヴィッド・シャリアトマダリ筆

2024年9月21日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/us-news/2024/sep/21/people-should-be-making-their-contingency-plans-like-right-away-americas-leading-forecaster-on-the-chances-of-a-trump-win

ロンドンはネイト・シルヴァーにとって少し穏やかな場所だろうか? 多大な影響力を持つアメリカの選挙モデルで知られる統計の専門家は、リスクに関する新しい本の宣伝のためにロンドンを訪問しており、大西洋のこちら側で安全策を講じるあらゆる方法に注目せずにはいられない。シルヴァーは「ロンドンの地下鉄に行くと、ガードドアがあるが、ニューヨークの地下鉄には何もない」と述べている。彼は明らかにエリザベス線に乗ったようだ。あるいは、「ウーバーで呼んだ車に乗っているのに、後部座席でシートベルトをしていないと、イギリス式の非常に礼儀正しいビープ音が鳴り響く」と、彼は不安をかき立てるような高速の笑い声で言う。シルヴァーはそれほど気にしている訳ではない。彼が学生時代に1年間過ごしたこの街が気に入っているという印象を受けるが、そしていずれにせよ「両国は異なるトレードオフを行っている」と述べている。つまり、アメリカは規制が少なく、より高い成長を遂げている。しかし平均余命は低い。まさに生き急いで若くして死ぬということだ。

しかし、シルヴァーが最もくつろげる場所はロンドンであることは明らかだ。「この本を書いている間、カジノで多くの時間を過ごした」と彼は著書『魅了されて(On the Edge、オン・ザ・エッヂ)』の冒頭で告白し、「200のゲームテーブル、1275の客室、3000台のスロットマシン、そして20000フィート上空からネオンブルーの光を放つギターの形をしたきらびやかなホテル」を誇るフロリダのカジノについて述べている。王立芸術協会(Royal Society of Arts)の落ち着いた魅力からかけ離れた彼は、野球帽にTシャツという出で立ちで、広報が持ってきたチョコレートをムシャムシャと食べながら、必要な血糖値を上げている(「今日は8時間ぶっ通しで働きづめだ」)。彼の新しい現代パワーの分類法によれば、私たちはまさに「ザ・ヴィレッジ(The Village)」にいる。これは、彼が説明したあのドーパミンまみれのカジノは「ザ・リヴァー(The River)」の一部だ。

リヴァーは自由に流れ、バラバラで、エキサイティングな急流や激流に満ちている。ヴォーカー・トーナメント、ヴァガス、ヴェンチャー・キャピタル、シリコンバレーを網羅し、そこに住む人々(彼は彼らを「リベリアンズ(Riverians)」と呼ぶ)は、匿名のブラックジャック・プレイヤーからイーロン・マスク、暗号通貨詐欺師のサム・バンクマン・フリードまで、少なくとも後者がカリフォルニアの矯正施設に居を構えるまでは多岐にわたる。その考え方は高度に分析的で、やや逆張りで、スリルを求めることが多い。しかし、シルヴァーによれば、それは先進資本主義の奇妙な産物以上のものであり、猛烈な技術革新の時代において、社会の形、そして私たちの集団の未来を決定する上で、非常に大きな役割を果たすことになるということだ。

「ザ・ヴィレッジ」の方が理解しやすい。堅苦しく、動きが鈍く、規範や正統性、古いメディア、大学、政府省庁の本拠地である。ヴィレッジャーたちは、『ガーディアン』紙や『ニューヨーク・タイムズ』紙を読む。シルヴァーは、経済学を学んだ後、プロのポーカー・プレーヤーになり、その後政治評論家になった。彼は自分は両方の陣営に足を踏み入れていると考えている。『魅了されて』は、そんな彼のガイドであり、溝を埋めようとする試みでもある。「私はヴィレッジとリヴァーがお互いをもっと理解し合えるようにさせたいと思っている」と彼は取材に答えて述べた。

しかし、彼とヴィレッジの関係は複雑だ。シルヴァーは2008年の大統領選挙で、彼の選挙モデルが50州中49州で勝敗を的中させたことで注目を集めた。2010年にはニューヨーク・タイムズ紙が彼を起用し、2012年のオバマとミット・ロムニーの戦いでは、彼は50点満点を獲得した(統計的思考に関するありそうでなかったベストセラー『シグナルとノイズ』も執筆)。2016年になると、彼のウェブサイト「FiveThirtyEight.com」はスポーツネットワークESPNに買収され、絶望的な不安の中で、予言的な力を持つものとして扱われるようになった。実際、心配性のリベラル派が彼の選挙人団地図を常に更新したおかげで、「人気が出すぎた」とシルヴァーは書いており、分析会社のチャートビートが彼の予測を「英語圏のインターネットで文字通り最も魅力的なコンテンツ」と評価したことを指摘している(2位はBBCの「Brexit Liveblog」)。彼のモデルは、ヒラリー・クリントンが勝利する確率を71%と、他の誰よりもずっと低い確率で予想したが、クリントンが勝利しなかったとき、「政界の多くの人々の反応は『ネイト・シルヴァーはくそったれの馬鹿野郎だ』というものだった」。ネイト・シルヴァーからすれば、彼のやっていることが理解できなかっただけなのだ。確率で言えば、トランプの勝利は青天の霹靂という訳ではなかった。

私たちは今、非常に不透明な選挙の真っただ中にいることに気づき、政治ジャンキーたちは再びシルヴァーに政治情報を求めている。今回は彼のサブスタックである「Silver Bulletin」であるが。(FiveThirtyEight」ブランドは現在ABCの所有だが、シルヴァーは彼のモデルの権利を保持している。「私はニュースレターで他のものよりはるかに多くの収入を得ている」と述べている。 私たちのインタヴューの数日後、ドナルド・トランプ大統領は記者会見を開き、「ネイト・シルヴァーはとても尊敬できる人物だが、私は彼を知らない。しかし、彼は私を大いに助けてくれた」と述べた。

今回、人々が自分の予測を誤用したり誤解したりしているのではないかとシルヴァーは心配しているのだろうか? 「いいえ」と彼は躊躇なく答えた。シルヴァーは次のように述べている。「いいえ。つまり、人々はこれらの世論調査をどのようにでも解釈するつもりだが、私たちはそれを行うための経験的に適切な方法を持っており、16年以上の実績を持っている。私は強権的な態度ではないと思っているがどうだろうか? 私は有益な情報をお届けしている。私たちはそれについて多くのコンテキストを提供する。私は昔ながらの伝統主義者で、人々に良い情報を提供し、それによって人々がより良い意思決定を行えるようになると確信している」。

大統領選の討論会を1週間後に控えた今朝、予測モデルはトランプが選挙人投票で勝つ確率を58%、ハリスが一般投票で勝つ確率を60%としている。しかし、ここまで来ると、実質的には五分五分(toss-up)だ。統計オタクはロボットのような博識者という一般的なイメージを考えると、驚くべきことかもしれないが、『魅了されて』で、シルヴァーは直感を重視している。「私は、直感や感情的な判断は、ただ押し返さなければならないものではなく、むしろ実際に付加価値を与えるものだと考えている」と彼は私に述べた。これは『シグナルとノイズ』からの転換であり、『シグナルとノイズ』では「データをもっと活用すれば問題は解決するという、ある種ナイーブな考え方をしていた」とシルヴァーは述べた。

では、彼は誰が勝つか直感(gut feeling)を持っているのだろうか? 「そうかもしれない」と彼は言うが、その前に、「選挙キャンペーン中は、誰もが脳が非常に政治的になる」ので、この文脈ではあまり信頼できないだろうとハリス支持者である彼らしい込み入った説明を始めた。彼はハリス支持者である。おそらく彼は、自分のモデルを否定するような発言はしたくないのだろう。シルヴァーは「もし私に強い直感があれば、そうだろうと言うだろう。しかし、今のところはそうではない」と述べた。

今回のような大接戦の選挙(knife-edge election)において、予想がどれほど役に立つだろうか? どちらに転ぶかわからないという洞察でさえ役に立つとシルヴァーは主張する。シルヴァーは次のように述べている。「五分五分だという予測があることの潜在的な利点の1つは、人々がすぐにでも不測の事態に備えた計画を立てるべきだということだ。弾薬やピーナツバターの備蓄が必要だということではない。あるいは、2028年(あるいは2032年)には、トランプのような共和党が、もしかしたらトランプよりも効果的かもしれない。例えば、私がリベラル派の献金者なら、必要以上の資金を持っているカマラ・ハリスにまた10万ドルを献金するのではなく、そのような事態に備え、制度を守るために今、資金提供を始めたいと思うだろう」。

そして、シルヴァーはトランプの勝利を恐れているが、「前回は完全かつ完全な惨事を防ぐために多くのガードレールが設置されていたが、そのガードレールは弱体化したということだろうか?」と述べている。シルヴァーは、それを民主政治体制に対する実存的脅威として、少なくとも政治戦略として描くことに対して警告している。シルヴァーは次のように述べている。「その意味で基本的に有権者を人質に取るという考えは非常に魅力的ではない。バイデンはこう言った、『分かった、確かに、私は86歳まで大統領をするために立候補しており、現状ではかろうじて完ぺきな文章を書けるくらいかもしれない。しかし、もし私に投票しなければ、それがやってくる』。これは有権者に投票してもらうには非常に魅力のないアピールだった。一方、ハリスはより多くの喜びをもたらし、明らかに非常に才能のある女性だ」。しかし、シルヴァーは、ハリスが「バイデンを続投させるのが得策だと考えるバイデン派の人々をあまりにも多く引き留めてしまった」ことを懸念している。「彼女はそうする必要があったのだと思う」とシルヴァーは述べている。

全てのリベラル派がハリスの立候補に熱狂している訳ではない。そのなかにはイーロン・マスクもいる。彼は、トランプが支出や規制を削減するための「政府効率化委員会」という彼のアイデアを採用したことについてコメントし、フォロワーに「機会があればアメリカに貢献することを楽しみにしている」と語った。シルヴァーの見解では、ツイッター、そして現在のXを買収したことが、彼の頭をよぎったようだ。「経済的にはかなり悪い賭けだったと思う。しかし、文化的な影響力という点では、エリートの間でアメリカの言説をかなり右傾化させた。イーロン・マスクがリベリアンとして最も分かりやすい人物でなければよかったのだが。イーロンは 「ああ、僕はただの穏健派なんだ 」と言えた時代だ。彼は右翼のミーム(中には彼自身が作り出したものもある)にとても騙されている。知らないかもしれないが、「Pilled」とは極めてオンライン的な専門用語で、ここでは「改宗した(converted)」というような意味である)。

このサイトの利用頻度が非常に高いユーザーとして、シルヴァーはこのサイトの変化についてどう感じているのだろうか? 彼は「パンデミック時代のヴァージョンに比べれば、それほど酷いものではないと思う。反対意見を取り締まるために、ヴィレッジによって利用され、非常に合理的な立場を持つ人々を本当に批判していた」と述べている。新型コロナウイルスに対する彼のスタンスは、ワクチン推進派であり、ロックダウン懐疑派であった。「イーロンの前の時代には、集団思考(group thinking)が蔓延していた。そのために絶対に非難された。今は少なくとも、より多元的だった」と述べた。彼はまた、「政治的に不都合な考えを誤報(misinformation)だとレッテルを貼る」人が多すぎることから、「誤報というのは、少なくとも第一近似値ではでたらめだ」とも考えている。彼は、「ジョー・バイデンの年齢に関する懸念に誤報や深いフェイクであるというレッテルを貼る」試みと同様に、新型コロナウイルスの研究室リーク説に対しては冷ややかに却下している。

しかし、これは本当にヴィレッジなのだろうか? それとも単なるソーシャルメディア上の接近戦なのか? 私は、研究所のリーク説は主流派の学者たちによって堂々と調査されたことを指摘する。FBI(リヴァーの前哨基地とは言い難い)は、それが最も可能性の高い説明であると結論づけた。「彼らは12年後には修正する」と彼はヴィレッジの機関について言い、民主党も最終的にはバイデンを交代させたと指摘する。シルヴァーは「しかし、ある種の機敏さが欠けていると彼は明らかに感じている」と述べている。

そして、誤報に関しては、最近のイギリスで暴動事件が起きた際にマスクが『デイリー・テレグラフ』紙の扇動的な(そして偽造された)見出しをツイートしたことについてはどうだろうか? シルヴァーは「だからこそ、政治的党派性を理解し、強権ではなく、自分自身にレンズを向けることのできる人々が必要なのではないか?」と述べた。何かを否定する閾値(threshold)を高く保つことは、実際に信頼を高めると彼は主張する。「暴動に関する嘘の映像、アメリカの選挙陰謀説、QAnonやワクチン陰謀説、これらは誤報として適切に分類されるものだと思う。完全にもっともらしい、研究室からのリーク説を否定したり、『ああ、ハンター・バイデンのラップトップだ』と言ったりするのは、ヴィレッジの信頼性を非常に損なうものだ」。(当初はロシアのフェイクとして却下されたが、ハンター・バイデンの放置されたノートパソコンから発見された証拠となる電子メールは、後に本物であることが判明した)。

シルヴァーは特にXに対して辛辣で、彼のモデルや実践を軽視する人々に対して攻撃的になる。スタンフォード大学のジャスティン・グリマー教授が、政治予測(political forecasting)についてよくある批判を行った時、選挙の頻度が低すぎるため、いかなる精度で確率を計算することもできない(あるいは、彼の言葉を借りれば、「結果データが不足しているということは、選挙予測者が予測をしなければならないことを意味している統計モデルを構築する方法についての知識に基づいた推測」)、シルヴァーはグリマーを「たわごとのモデルを作成できない退屈な学者」の1人として非難した。私たちが会った時、彼は攻撃の言葉を少し変えて、「統計的推論の実際のスキルを全然持たない退屈な学者」と呼んだ。

このようなことは人間関係を腐らせるのではないだろうか? シルヴァーは次のようになっている。「人々がツイッターをあまり深刻にとらえなければ、もっと良くなると思う。私たちはただふざけて楽しんでいるだけのことだから。これは、いかにもアメリカ的で、イギリス的ではないのではないか? 私は、このような怠惰な悪意のある批判をする人々に対して偽の善意で行動することを信じていない。80%の場合は無視するが、20%の場合は反撃する」。

いかにもイギリス人らしいと言われるかもしれないが、多くの人々が、そしてシルヴァーもその1人かもしれないが、X上で見るよりも実際に会った方が80%ほど素敵に見えるという事実は、私たちを立ち止まらせるべきだと思う。ソーシャルメディアが、人類が直面する最大の問題でないことは明らかだが、イーロン・マスクの指導は、リヴァーの権力に内在する問題を物語っている。投獄された起業家サム・バンクマン・フリードについて、シルヴァーは何度もインタヴューしている(「彼は奇妙な人物で、リスクに対する考え方が 『非合理的で、ある種狂っている』」)。SBFとして知られるバンクマン=フリードは、彼の暗号通貨取引プラットフォーム「FTX」を利用した投資家から数十億ドルを盗んだ罪で、最終的に投獄された。シルヴァーは検察側証人の証言を引用する。SBFは、「コインが裏になって世界が破滅しても、表が出れば世界が2倍以上良くなるのであれば、喜んでコインをはじくだろう」と証言している。

結果的には、この強引な態度がSBF自身の破滅を招いただけだった。しかし、その影響はもっと広範囲に及んでいた可能性がある。シルヴァーは、SBFが人工知能企業Anthropicに多額の投資をしていたことを指摘している。この技術が社会を一変させ、破壊する可能性さえあるのではないかという懸念が真剣に議論されている今、彼が大手AI企業のCEOになっていた可能性も考えられる。「シリコンバレーは、非常に自信過剰な創業者、つまり、本質的に成功する確率の低い逆張りのアイデアに大きな賭けに出ようとする人を選ぶ」と、シルヴァーは『魅了されて』の最後に書いている。それは技術革新にとってはいいことかもしれない。ヴェンチャー・キャピタルにとっても、賭けたものがうまくいったときにはいいことだ。しかし、私たちにとっては必ずしも良いことではないかもしれない。「SBの運は、ある時点でほぼ必然的に尽きることになる。しかし、その運がすぐに尽きてしまったことは、我々全員にとって幸運だった」とシルヴァーは述べている。

シルヴァーの内なる「ヴィレッジャー」たる所以は、このリスクの高さにある。彼はAIの危険性がかつてほど 「無視(neglected)」されていないことを喜んでいるが、それでもリヴァーの覇権がもたらす結果があまりにも悲惨で、規制の必要性を否定できない分野であることに変わりはない。彼は他の危険な技術に例えて言う。「自宅の裏庭に原子炉は建てられないだろう? 政府の役割は必要だと思う」。

このような実存的な疑問について考えることが、シルヴァーをヴィレッジの緑を越え、比喩的な教会へと導いたのかもしれない。このように尋ねると、シルヴァーは「私は無神論者(atheist)よりも不可知論者(agnostic)に近いかもしれない」と答えた。そのことを話すのが少し恥ずかしいのか、彼はくすくす笑い出した。しかし、彼が少しウジウジしてきたと思っていたが、統計学者の面がすぐに戻ってきた。「ベイズ的な見地から言えば、宇宙の起源や性質についての疑問に対する良い答えを持っていないと思うんだ。明らかに、キリスト教神学やそのようなものに低い確率を置くと思うんだ。でも、人々はもっと心を開くべきだと思う」。

「今回の本は3冊目の本になるかもしれない」と彼はつぶやいている。ネイト・シルヴァーは神の存在にオッズをつけることになるかもしれない? それに賭けてはいけない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプの主張は突き詰めれば、「アメリカ・ファースト(America First)」だ。このブログでも何度も書いているが、これは「アメリカが一番!」という単純な話ではない。「アメリカ国内の抱える深刻な諸問題を解決することを最優先しよう」ということであり、「アメリカ国内(問題解決)優先主義」と訳すべき言葉だ。これに関連して、「アイソレイショニズム(Isolationism)」という言葉もあるが、これも「孤立主義」と簡単に訳すのは間違っている。アメリカが完全に孤立することはできない。こちらもやはり「国内優先主義」と訳すべきだ。だから、「アメリカ・ファースト」と「アイソレイショニズム」はほぼ同じ意味ということになる。

 「アメリカ国内優先主義」ということになれば、アメリカが現在、世界中に派遣しているアメリカ軍をアメリカ国内に戻す、世界経営から手を引くということになる。これに困ってしまうのはヨーロッパである。ヨーロッパは第一次世界大戦、第二次世界大戦と20世紀の前半で二度の破壊を極めた戦争を経験した。戦後ヨーロッパは統合と、アメリカによる安全保障への関与という方向に進んだ。ヨーロッパ諸国はお互いが戦わないように、調停者・仲裁役・抑え役・お目付け役としてアメリカを必要とした。そして、対外的には、具体的には、ソ連、そしてロシアに対しては、アメリカ軍の存在を前提とした軍事力の軽度の整備(軽い負担で済んできた)を行ってきた。それが、アメリカが手を引くということになったらどうなるか。ヨーロッパ域内での調和は乱れ、ロシアに対しては足並みが乱れ、各国の判断で、より軍事力を強化する方向に進む国と、ロシアとの友好関係を重視する国に分かれるだろう。

 ヨーロッパは戦後の制度設計をアメリカの存在を前提にして築いてきた。そして、協調が進み、繫栄することができた。しかし、その良い面とは裏腹に、アメリカの力が衰えた場合、アメリカが手を引く場合の備えができていなかった。そして、現在は、アメリカの国力の衰退が現実のものとなっている。アメリカが手を引けばヨーロッパは混乱状態になる。私たちがヨーロッパから学ぶべきことは、アメリカを関与させない、対等な地域統合組織を作ること、そして、それをアジアで実現することだ。時代と状況の変化はここまで来ている。いつまでも、世界一強のアメリカ、超大国のアメリカということをのんきに信じ込んでいる訳にはいかない。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプの復帰はヨーロッパを変貌させることになるだろう(Trump’s Return Would Transform Europe

-ワシントンが掌握しなければ、ヨーロッパ大陸は無政府的で非自由主義的な過去に逆戻りする可能性がある。

ハル・ブランズ筆

2024年6月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/26/europe-security-eu-nato-alliances-liberal-democracy-nationalism-trump-us-election/

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どっちが本当のヨーロッパだろうか? 過去数十年間、ほぼ平和で民主的で統一された大陸? それとも、それ以前に何世紀にもわたって存在していた、断片化され、不安定で、紛争に満ちたヨーロッパ(fragmented, volatile, and conflict-ridden Europe)? 11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが勝利すれば、こうした疑問の答えはすぐに分かるかもしれない。

トランプは大統領としての最初の任期中に、アメリカをNATOから離脱させることに執心した。彼の元側近の中には、もし二期目に当選したら本当にやってくれるかもしれないと信じている人もいる。そして、このように語っているのはトランプ大統領だけではない。アメリカ・ファーストの有力信奉者の一人であるJD・ヴァンス連邦上院議員は、「ヨーロッパが自立する時が来た([The] time has come for Europe to stand on its own feet)」と主張している。アメリカ・ファーストの精神に明確に賛同していない人々の間でも、特にアジアにおいて、競合する優先事項への影響力はますます強くなっている。ポストアメリカ(アメリカ後)のヨーロッパについてより考慮されるようになっている。それがどんな場所になるかを聞いてみる価値はある。

楽観主義者たちは、たとえ7月にワシントンで開催されるNATO加盟75周年記念首脳会議で、NATO首脳たちが祝賀するアメリカの安全保障の傘を失ったとしても、ヨーロッパが繁栄し続けることを期待している。この見方では、アメリカは自国に引き上げることになるかもしれないが、過去80年間で豊かになり、安定し、確実に民主政治体制を築いてきたヨーロッパは、多極化した世界において建設的で独立した勢力として行動する用意ができている。

しかし、おそらくポスト・アメリカのヨーロッパは、直面する脅威に対抗するのに苦労し、最終的には過去のより暗く、より無秩序で、より非自由主義的なパターンに逆戻りする可能性すらある。「今日の私たちのヨーロッパは死に向かっているようだ。死に至る可能性がある」とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は4月下旬に警告した。アメリカ・ファーストの世界では、そうなるかもしれない。

第二次世界大戦後、ヨーロッパは劇的に変化したため、多くの人々、特にアメリカ人は、この大陸がかつてどれほど絶望的に見えたかを忘れている。古いヨーロッパは、歴史上最も偉大な侵略者や最も野心的な暴君を生み出した。帝国の野心と国内の対立が紛争を引き起こし、世界中の国々を巻き込んだ。飛行家で、著名な孤立主義者でもあったチャールズ・リンドバーグは1941年、ヨーロッパは「永遠の戦争(eternal wars)」と終わりのないトラブルの土地であり、アメリカは、そのような呪われた大陸に近づかないほうが良いと述べた。

根本的な問題は、限られたスペースにあまりにも多くの強力なプレイヤーたちが詰め込まれている地理にあった。この環境で生き残る唯一の方法は、他者を犠牲にして拡大することだった。この力関係により、ヨーロッパは壊滅的な紛争のサイクルに陥ることになった。 1870年以降、この地域の中心部に、産業と軍事の巨大企業としての統一ドイツが出現したことにより、このビールはさらに有毒なものになった。ヨーロッパ大陸の政治は、ヨーロッパ大陸の地政学と同じくらい不安定だった。フランス革命以来、ヨーロッパは、自由主義と歴史上最もグロテスクな形態の暴政(tyranny)の間で激しく揺れ動いた。

1940年代後半、第二次世界大戦によって、こうした争いのサイクルが壊れたと考える理由はなかった。古い対立が残ったままとなった。フランスは、ドイツが再び蜂起して近隣諸国を破壊するのではないかと恐れていた。ソ連とその支配下のヨーロッパ共産主義者という形で、新たな急進主義が脅威に晒される一方、ポルトガルとスペインでは右翼独裁政権が依然として力を持っていた。多くの国で民主政治体制が危機に瀕していた。経済的貧困が対立と分裂(rivalry and fragmentation)を加速させた。

新しいヨーロッパの誕生は、決して必然ではなかった。長い間大陸間の争いを避けようとしていた同じ国(アメリカ)による、前例のない介入(unprecedented intervention)が必要だった。この介入は冷戦によって引き起こされ、遠く離れた超大国にとってさえヨーロッパにおける均衡(European equilibrium)の更なる崩壊が耐え難いものになる恐れがあった。1940年代後半から1950年代前半にかけて、しばしば混乱した状況の中、ヨーロッパは徐々に統合されていった。そして、それは革新的な効果をもたらす一連の連動した取り組みを特徴としていた。

最も重要なのは、NATOを通じたアメリカの安全保障への取り組みと、それを裏付ける軍隊の派遣であった。アメリカ軍による保護は、西ヨーロッパをモスクワから、そして西ヨーロッパ自身の自己破壊的な本能から守ることで、暴力の破滅のループを断ち切った。アメリカがこの地域を保護することで、宿敵同士はもはや互いを恐れる必要がなくなった。1948年に、あるイギリス政府当局者は、NATOが「ドイツとフランスの間の長年にわたるトラブルは消滅するだろう」と述べた。西ヨーロッパ諸国はついに、他国の安全を否定することなしに、安全を達成することができるようになった。その結果、この地域を悩ませていた政治的競争や軍拡競争が回避され、NATO加盟諸国が共通の脅威に対して武器を確保できるようになった。

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マーシャル・プランのポスターには、ヨーロッパ各国の国旗をシャッターに、アメリカ国旗を舵に見立てた風車が描かれている

こうしてアメリカの政策は、前例のない経済的・政治的協力という第二の変化を可能にした。マーシャル・プランを通じて、アメリカは復興支援の条件としてヨーロッパ域内の協力を積極的に推し進め、後にヨーロッパ経済共同体(European Economic CommunityEEC)やヨーロッパ連合(European UnionEU)となる国境を越えた構造を生み出した。アメリカ軍の存在は、かつての敵同士が安全保障を損なうことなく資源を出し合うことを可能にし、この協力を促進した。1949年、西ドイツのコンラート・アデナウアー首相は「アメリカ人は最高のヨーロッパ人だ」と述べた。言い換えれば、ワシントンの存在によって、ヨーロッパの同盟諸国は過去の対立関係を葬り去ることができたのである。

第三の変化は政治的なものであった。侵略が独裁政治に根ざしているとすれば、ヨーロッパの地政学を変革するには、その政治を変革する必要があった。その変革は、連合諸国の占領下にあった西ドイツの強制的な民主化(forced democratization)から始まった。この変革には、脆弱な民主政治体制国家を活性化させ安定させるためにマーシャル・プランによる援助が用いられた。この変革もまた、アメリカの軍事的プレゼンスによって可能になった。アメリカの軍事的プレゼンスは、ヨーロッパの民主政治体制を消し去ろうとするソ連の覇権(hegemony)を食い止めると同時に、急進的な左派や右派を疎外する寛大な福祉プログラムに投資することを可能にした。

これは、ヨーロッパの問題に対するアメリカ独自の解決策だった。アメリカだけが、ヨーロッパを敵から守るのに十分な力を持ち、しかもヨーロッパを征服して永久に従属させるという現実的な脅威をもたらさないほど遠い存在だった。アメリカだけが、荒廃した地域の再建を支援し、繁栄する自由世界経済をもたらす資源を持っていた。民主的自由を守りながら、そしてより強化しながら、ヨーロッパの対立を鎮めることができるのはアメリカだけであった。実際、西ヨーロッパにおけるアメリカのプロジェクトは、冷戦が終結すると、単純に東へと拡大された。

アメリカの介入は、歴史家マーク・マゾワーがヨーロッパを「暗黒の大陸(dark continent)」と呼んだように、拡大する自由主義秩序の中心にある歴史後の楽園(post-historical paradise)へと変えた。それは世界を変えるほどの偉業であったが、今ではそれを危険に晒すことを決意したかのようなアメリカ人もいる。

アメリカのヨーロッパへの関与は、決して永遠に続くものではなかった。マーシャル・プランを監督したポール・ホフマンは、「ヨーロッパを自立させ、私たちの背中から引き離す(get Europe on its feet and off our backs)」ことが彼の目標だったと口癖のように語っていた。1950年代、ドワイト・D・アイゼンハワー米大統領は、ワシントンが 「腰を落ち着けていくらかリラックスできる(sit back and relax somewhat)」ように、ヨーロッパがいつ一歩を踏み出せるかと考えていた。アメリカは何度も、駐留部隊の削減、あるいは撤廃を検討した。

これは驚くべきことではない。ヨーロッパにおけるアメリカの役割は、並外れた利益をもたらしたが、同時に並外れたコストも課した。アメリカは、核戦争の危険を冒してでも、何千マイルも離れた国々を守ることを誓った。対外援助を提供し、広大な自国市場への非対称的なアクセスを可能にすることで、アメリカはヨーロッパ大陸を再建し、外国がアメリカ自身よりも速く成長するのを助けた。

フランスのシャルル・ド・ゴール大統領など、アメリカが提供した保護に対して積極的に憤慨しているように見える同盟諸国の指導者を容認した。そしてワシントンは、最も尊敬されてきた外交の伝統の1つである邪魔な同盟への敵意を捨てて、長らく問題でしかなかったヨーロッパ大陸の管理者となった。

その結果、両義的な感情が冷戦の必要性によって抑えられ、また批評家たちがアメリカ抜きで実行可能なヨーロッパ安全保障の概念を提示できなかったからである。しかし今日、古くからの苛立ちが根強く、新たな挑戦がワシントンの関心を別の方向へと引っ張っているため、アメリカのヨーロッパに対する懐疑論はかつてないほど強まっている。その象徴がトランプである。

トランプは長い間、ワシントンがNATOで負担している重荷を嘆いてきた。彼は、ただ乗りしているヨーロッパの同盟諸国に対して、襲撃してくるロシアに「やりたいことを何でもやらせる(whatever the hell they want)」と脅してきた。トランプは明らかにEUを嫌っており、EUを大陸統一の集大成としてではなく、熾烈な経済的競争相手として見ている。非自由主義的なポピュリストとして、彼はヨーロッパの自由民主主義の運命に無関心である。私たちの間には海があるのに、なぜアメリカ人がヨーロッパの面倒を見なければならないのか? トランプがアメリカ・ファーストの外交政策を謳うとき、それはアメリカが第二次世界大戦以来担ってきた異常な義務を最終的に放棄する外交政策を意味している。

はっきり言って、トランプ大統領が就任後に何をしでかすかは誰にも分からない。NATOからの全面的な脱退は、共和党に残る国際主義者たち(Republican internationalists)を激怒させるだろうし、政治的代償に見合わないかもしれない。しかし、トランプが大統領の座を争い、彼の信奉者たちが共和党内で勢力を伸ばしていること、そして中国がアジアにおけるアメリカの利益に対する脅威をますます強めていることから、アメリカがいつか本当にヨーロッパから離脱するかもしれないという可能性を真剣に受け止め、次に何が起こるかを考える時期に来ている。

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2023年5月16日、アイスランドのレイキャビクで開催されたヨーロッパ評議会首脳会議で演説するウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領

楽観的なシナリオでは、ヨーロッパは民主政治体制を維持し、結束し、敵に対抗するために団結する。アメリカが撤退すれば、EUは現在の戦争中もウクライナを支援し、和平後もキエフに意味のある安全保障を与え、ロシアや、これまでアメリカが防いできたその他の脅威を撃退するために、自らを世界的な軍事的主体へと変貌させることができる。こうしてヨーロッパは、自由主義的な世界秩序の強力で独立した柱として台頭することになる。ワシントンは他の優先事項に集中することができ、民主政体世界においてより効率的な分業が構築される。

ヨーロッパには自活するだけの資源がある。1940年代後半のような脆弱で没落した場所ではなく、民主政治体制と協力が規範となった、豊かで潜在的な力を持つ共同体なのだ。EUGDPはロシアの約10倍である。2022年以降、EU諸国は共同してアメリカを上回る軍事援助やその他の援助をウクライナに与えており、冷戦後に萎縮した防衛産業への再投資もようやく進みつつある。さらに、ヨーロッパの指導者たちは、ポーランドがそうであるように、自国を本格的な軍事大国へと変貌させたり、パリで長年の優先事項となっているヨーロッパの戦略的自立を再び推し進めることを提唱したりして、すでにポスト・アメリカの未来に備えている。「より団結し、より主権があり、より民主的な」大陸を構築する時期は過ぎたとヨーロッパのポスト・アメリカの展望について最も強気であると思われる指導者マクロンが4月に宣言した。

楽観的なシナリオの問題点は、簡単に見出せる。マクロンは、アメリカのリーダーシップに代わるものとしてヨーロッパ統合を喧伝しているが、ヨーロッパが統一され、まとまってきたのは、まさにワシントンが安心感を与えてきたからだということを忘れているようだ。例えば、1990年代初頭のバルカン戦争の始まりのように、アメリカが一歩引いてヨーロッパ勢力の前進を許した過去の例では、その結果、戦略的な結束よりもむしろ混乱が生じることが多かった。EUは2022年2月まで、ロシアの侵略をどう扱うかについて深く分裂していた。この教訓は、利害や戦略文化が異なる数十カ国の間で集団行動を調整するのは、誰かが優しく頭を叩いて覇権的なリーダーシップを発揮しない限り、非常に難しいということだ。

独立した、地政学的に強力なヨーロッパが素晴らしく聞こえるとしても、誰がそれを主導すべきかについては誰も同意できていない。フランスは常に自発的な活動に積極的だが、パリに自国の安全を扱う傾向や能力があるとは信じていない東ヨーロッパ諸国を不快にさせている。ベルリンには大陸をリードする経済的素養があるが、その政治指導者階級は、そうすればドイツの力に対する恐怖が再び高まるだけだと長年懸念してきた。おそらく彼らは正しい。冷戦後のドイツ統一が近隣諸国にとって容認できたのは、アメリカとNATOに抱きしめられたベルリンがヨーロッパの優位性を追求することは許されないと彼らが保証されていたからだ。アメリカがヨーロッパの一員ではないからこそ、ヨーロッパ人たちがアメリカのリーダーシップを容認してきたという結論から逃れるのは難しい。アメリカはヨーロッパの一員ではないため、かつて大陸を引き裂いた緊張を再び高めることなく権力を行使できるのだ。

このことは、最後の問題と関連している。自国の安全保障問題を処理できるヨーロッパは、現在よりもはるかに重武装になるだろう。国防支出は多くの国で2倍、3倍に増加せざるを得ないだろう。ヨーロッパ各国は、ミサイル、攻撃機、高度な戦力投射能力など、世界で最も殺傷力の高い兵器に多額の投資を行うだろう。アメリカの「核の傘(nuclear umbrella)」が失われることで、ロシアを抑止したいと願う最前線の国々、とりわけポーランドは、独自の核兵器を求める可能性さえある。

仮にヨーロッパが本格的な武装を行ったとしよう。アメリカの安全保障という毛布がなければ、ヨーロッパ諸国が外からの脅威に立ち向かうために必要な能力を開発するという行為そのものが、域内での軍事的不均衡が生み出した恐怖を再び呼び起こす可能性がある。別の言い方をすれば、アメリカの力に守られたヨーロッパでは、ドイツの戦車は共通の安全保障に貢献するものである。ポスト・アメリカのヨーロッパでは、ドイツの戦車はより脅威的に映るかもしれない。

二つ目のシナリオは、ポスト・アメリカのヨーロッパが弱体化し、分裂するというものである。このようなヨーロッパは、無政府状態(anarchy)に戻るというよりは、無気力状態(lethargy)が続くということになるだろう。EUはウクライナを解放し、自国の東部前線国家を守るための軍事力を生み出すことができないだろう。中国がもたらす経済的・地政学的脅威に対処するのに苦労するだろう。実際、ヨーロッパは攻撃的なロシア、略奪的な中国、そしてトランプ大統領の下では敵対的なアメリカに挟まれることになるかもしれない。ヨーロッパはもはや地政学的対立の震源地ではなくなるかもしれない。しかし、無秩序な世界では影響力と安全保障を失うことになる。

これこそが、マクロンや他のヨーロッパ各国の首脳を悩ませるシナリオだ。既に進行している、または検討中のヨーロッパの防衛構想の多くは、これを回避するためのものである。しかし、短期的には、ヨーロッパが弱体化し分裂することはほぼ確実だろう。

なぜなら、アメリカの撤退はNATOの根幹を引き裂くことになるからだ。NATOは、その先進的な能力の大部分を有し、その指揮統制体制を支配している国である最も強力で最も戦いを経験した加盟国アメリカを失うことになる。実際、アメリカは NATO の中で、ヨーロッパの東部戦線やその先の戦線に断固として介入できる戦略的範囲と兵站能力を備えている唯一の国だ。このブロックに残るのは、主にアメリカ軍と協力して戦うように設計されており、アメリカ軍なしでは効果的に活動する能力に欠けているヨーロッパ各国の軍隊の寄せ集めとなるだろう。これらは、脆弱で断片化した防衛産業基盤によって支えられることになる。ヨーロッパのNATO加盟諸国は、170を超える主要兵器システムを重複して寄せ集めて配備している。この基盤は、迅速かつ協調的な増強を支援することができない。

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ポーランドのノヴァ・デバで多国籍軍の訓練に参加するポーランド兵(2023年5月6日)

アメリカの撤退後、軍事的に弱体化したヨーロッパは、ここ数十年のどの時期よりも高い動員ピッチに達したロシアと対峙することになるが、ヨーロッパがすぐに弱体化を是正する選択肢はほとんどない。

アメリカの力なしでロシアと均衡を図るには、ヨーロッパの軍事費の膨大で財政的に負担の大きい増額が必要となるだろうが、ロシアがウクライナを制圧し、その人口と経済をクレムリンの軍事機構に統合することに成功すれば、更にその必要性は高まるだろう。巨額の赤字を永久に続けるという米国政府の「法外な特権(exorbitant privilege)」がなければ、ヨーロッパ諸国は不人気な巨額の増税を課すか、社会福祉プログラムを削減しなければならないだろう。ポーランドやバルト三国などの一部の国は、独立を維持するためにその代償を払うかもしれない。また、軍事的な準備は社会契約を破る価値はなく、攻撃的なロシアに従う方が賢明だと判断する人もいるかもしれない。

あるいは、ヨーロッパ諸国はどのような脅威に対抗すべきかについて意見が対立するだけかもしれない。冷戦時代でさえ、ソ連は西ドイツを、たとえばポルトガルを脅かすよりもはるかに厳しく脅していた。EUが成長するに従って、脅威に対する認識の相違という問題はより深刻になっている。東部と北部の国々は、プーティン率いるロシアを当然恐れており、互いに防衛のために力を合わせるかもしれない。しかし、西や南に位置する国々は、テロや大量移民など非伝統的な脅威のほうを心配しているかもしれない。ワシントンは長い間、NATO内のこのような紛争において誠実な仲介役を果たし、あるいは単に、大西洋を越えた多様な共同体が一度に複数のことを行えるような余力を提供してきた。このようなリーダーシップがなければ、ヨーロッパは分裂し、低迷しかねない。

それは酷い結果だが、最も醜い結果ではない。三つ目のシナリオでは、ヨーロッパの未来は過去によく似ているかもしれない。

このヨーロッパでは、弱さは一時的なものであり、EUの安全保障のような集団行動(collective-action)の問題を克服できないのは、その始まりに過ぎない。ワシントンの安定化への影響力が後退するにつれ、長い間抑圧されてきた国家間の対立が、最初はゆっくりとかもしれないが、再燃し始めるからである。ヨーロッパ大陸における経済的・政治的主導権をめぐって争いが勃発し、ヨーロッパ・プロジェクトは分裂する。国内のポピュリストや外国の干渉に煽られ、離反主義的な行動(revanchist behavior)が復活する。穏健な覇権国が存在しないため、古くからの領土問題や地政学的な恨みが再び表面化する。自助努力の環境の中で、ヨーロッパ諸国は自国の武装を強め始め、核兵器だけが提供できる安全保障を求める国も出てくる。非自由主義的で、しばしば外国人嫌いのナショナリズムが暴走し、民主政治体制は後退する。数年、あるいは数十年かかるかもしれないが、ポスト・アメリカのヨーロッパは、急進主義と対立の温床(hothouse of radicalism and rivalry)となる。

これは、1990年代初頭に一部の著名な専門家たちが予想していたことである。バルカン半島での民族紛争、ドイツ再統一をめぐる緊張、ソ連圏崩壊後の東ヨーロッパにおける不安定な空白地帯(vacuum of instability)の全てが、このような未来を予期していたのである。冷戦終結後、アメリカはヨーロッパの影響力を縮小させるどころか拡大させた。ボスニアとコソヴォに介入して民族紛争を消し去ると同時に、EUが東方拡大(eastward expansion)について逡巡し遅滞する中で、東ヨーロッパをNATOの傘下に収めたからだ。しかし、だからといってヨーロッパの悪魔が二度と戻ってこない訳ではない。

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2019年11月7日、ブダペストでハンガリーのヴィクトール・オルバン首相と会談するトルコのレジェップ・エルドアン大統領(左)

今日、バルカン半島では激しいナショナリズムの炎が揺らめいている。トルコやハンガリーでは、修正主義的な不満(revisionist grievances)と独裁的な本能(autocratic instincts)が指導者たちを動かしている。2009年のヨーロッパ債務危機とそれに続く数年にわたる苦難と緊縮財政(austerity)は、ドイツの影響力(この場合は経済的影響力)に対する恨みが決して深く埋まらないことを示した。ウラジーミル・プーティンがヨーロッパ諸国に協力するあらゆる理由を与えている今日でさえ、ウクライナとポーランド、あるいはフランスとドイツの間に緊張が走ることがある。

懸念すべき政治的傾向もある。ハンガリーのヴィクトール・オルバン首相は何年もかけてハンガリーの民主主義を解体し、「非自由主義国家(illiberal state)」の台頭を喧伝してきた。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も自国で同様のプロジェクトを進めている。フランスの国民連合(National Rally)のような政党は世論調査で上昇し、何世紀にもわたる歴史的不満が覚醒する準備を整え、ゼロサムの地政学的思考に陥りやすい硬直したナショナリズムを売りにしている。極右の「ドイツのための選択肢(Alternative for GermanyAfD)」は、より過激になりながらも、政治的な競争者であり続けている。こうした運動の勝利は、ヨーロッパ諸国を互いに対立させようと躍起になり、政治戦争を繰り広げるロシアによって助長されるかもしれない。

分裂したヨーロッパが古代の悪魔(ancient demons)に支配されるというのは悪夢のシナリオであり、悪夢は通常、実現しない。しかし、理解すべき重要なことは、ポスト・アメリカのヨーロッパは、私たちが知っているヨーロッパとは根本的に異なるということである。アメリカのパワーとヨーロッパに対する傘によってもたらされた地政学的ショックアブソーバーはなくなる。地位と安全保障をめぐる不安定な不確実性が戻ってくる。各国はもはや、以前の時代を特徴づけていたような行動(軍備増強や激しい対立)に頼らなくても、自分たちの生存を確保できるという自信を持つことはないだろう。今日のヨーロッパは、アメリカが作り上げた歴史的にユニークで前例のないパワーと影響力の構成の産物である。75年もの間、旧態依然とした悪習を抑制してきた安全策が撤回されれば、旧態依然とした悪習が再び姿を現すことはないと、私たちは本当に言い切れるのだろうか?

ヨーロッパが今日の平和なEUへと変貌を遂げたことは、決して元に戻せないと考えてはいけない。

ヨーロッパが今日の平和なEUへと変貌を遂げたが、決して以前の状態に戻らないと考えてはいけない。結局のところ、ヨーロッパは1945年以前、例えばナポレオンが敗北した後の数十年間、比較的平和な時期を過ごしたが、勢力均衡(balance of power)が変化すると平和は崩壊した。見識を持ったように見える大陸に悲劇が起こることはあり得ないと考えてはならない。アメリカが関与する以前のヨーロッパの歴史は、世界で最も経済的に先進的で、最も近代的な大陸が、自らを引き裂くことを繰り返してきた歴史であった。実際、ヨーロッパの過去から学ぶことがあるとすれば、それは、現在想像できるよりも早く、そして険しい転落が訪れる可能性があるということだ。

1920年代、自由主義の勢力が台頭しているように見えた。しかし、イギリスの作家ジェイムズ・ブライスは、「民主政治体制が正常かつ自然な政治形態として普遍的に受け入れられた(universal acceptance of democracy as the normal and natural form of government)」と称賛した。新しく創設された国際連盟(League of Nations)は、危機管理のための斬新なメカニズムを提供していた。それからわずか10年後、大陸が再び世界大戦に突入する勢いを作り出したのはファシズム勢力だった。ヨーロッパの歴史は、物事がいかに早く完全に崩壊するかを物語っている。

アメリカ第一主義者(America Firsters)たちは、アメリカはコストを負担することなく、安定したヨーロッパの恩恵を全て受けることができると考えているかもしれない。現実には、彼らの政策は、ヨーロッパにはもっと厄介な歴史的規範があることを思い起こさせる危険性がある。それはヨーロッパにとってだけでなく、災難となる。ヨーロッパが弱体化し、分裂すれば、民主政体世界がロシア、中国、イランからの挑戦に対処することが難しくなる。暴力的で競争過剰な(hypercompetitive)ヨーロッパは、世界的な規模で影響を及ぼす可能性がある。

ここ数十年、ヨーロッパが繁栄する自由主義秩序の一部であることで利益を得てきたとすれば、その自由主義秩序は、平和的で徐々に拡大するEUを中核とすることで利益を得てきた。ヨーロッパが再び暗黒と悪意に染まれば、再び世界に紛争を輸出することになるかもしれない。アメリカが大西洋を越えて後退する日、それはヨーロッパの未来以上のものを危険に晒すことになるだろう。

※ハル・ブランズ」ジョンズ・ホプキンズ大学国際高等大学院(SAIS)ヘンリー・A・キッシンジャー記念特別国際問題担当教授兼アメリカン・エンタープライズ研究所上級研究員。ツイッターアカウント:@HalBrands

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