古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2025年06月

 古村治彦です。
※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 中国の若いエリート層(大学生たち)にとって重要なことは、経済の安定だ。若者たちにとって、経済状況の好転は台湾統一よりも重要なことだ。国のことも大事だが、自分の身の回りの生活の方が切実であり、より重要だ。若者たちはよりナショナリスティックではなくなっているということだ。これは、私たちにとっても理解できることだ。

 しかし、アメリカのドナルド・トランプ政権の高関税政策、特に中国を狙い撃ちにした馬鹿げた超高関税政策は、中国に打撃を与えると同時に、中国の若者たちのアメリカへの反感を高め、台湾統一への支持、武力による統一への支持を高める可能性がある。アメリカが反中的な政策を続けるならば、中国国内のナショナリズムを刺激し、国論を硬化させる可能性が高い。これは、東アジアの安全保障環境にとっての大きなリスクとなる。アメリカ国内の対中強硬派であっても、米中戦争を望んでいない。せいぜい、日本が中国に嚙みつくのを見ているという程度のことだ。しかし、不安定な状況はどのような突発的な出来事で、一気に深刻化するかは分からない。米中関係は、トムとジェリーではないが、「仲良く喧嘩をする」ものでなければ、東アジア、アジア、世界全体が大いに迷惑をこうむることになる。
 中国は国内をきちんと管理できるだろうが、アメリカはドナルド・トランプの絶妙なバランス感覚頼りという面がある。トランプ政権内の強硬派が過激な政策を実行に移し、トランプがそれを一時的に止めたり、引っ込めたりということをしている。米中関係は対立しているが、深刻さはない。対話がきちんとなされ、管理された対立という形になることが大事だ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争は中国の若いエリートたちのナショナリズムを高める可能性がある(Trump’s Trade War May Make Elite Young Chinese More Nationalistic

-学生たちは驚くほど台湾に対して無関心だ。

マヤ・ガズダー筆

2025年5月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/21/trump-tariffs-china-trade-war-nationalism-polling/

2025年3月23日に開催された中国開発フォーラムにおいて、李強首相は、個人消費(consumer spending)、技術革新(innovation)、そして外国投資(foreign investment)を重視し、国家経済回復に向けた野心的なロードマップを示した。そのメッセージは明確だった。中国の優先事項は地政学的紛争(geopolitical conflict)ではなく、経済の安定(economic stability)である。多くの若い中国エリートたちにとって、李首相の焦点は、彼ら自身の変化する懸念を反映している。

中国は、新型コロナウイルス感染症後の経済再編が進む中で、成長の鈍化(slowing growth)と若年層の失業率上昇(rising youth unemployment)に苦慮しているが、台湾との統一の緊急性は若いエリートたちの間で薄れつつあるようだ。北京の中国人大学生を対象に行った私の研究によると、党寄り(pro-party)、つまり「赤(red)」の見解から、ますますナショナリスティックな(increasingly nationalistic)「リトル・ピンク(little pink)」になっていると一般的に考えられている若いエリートたちは、実際にはより現実的で内向きになり、戦争や紛争に懐疑的になっていることが示唆されている。これは、私が北京と厦門でインタヴューした労働者階級の中年中国人タクシー運転手たちが唱えるナショナリスティックな見解とは対照的である。

しかしながら、ドナルド・トランプ大統領の絶えず変化する関税政策といったアメリカの新たな政策は、アメリカに対する反感を増大させ、逆説的に防衛的対応としての統一への支持を高める可能性がある。

清華大学の学生たちの意見は習近平国家主席の行動を予見するものではないものの、中国共産党(the Chinese Communist PartyCCP)は、特に過去10年間の経済成長鈍化の中で「愛国教育(patriotic education)」を重視してきたことから、若者の世論醸成に関心を示してきた。

そして、将来の中国共産党指導者となる可能性のあるエリート大学生たち(習近平主席は清華大学の卒業生)と、彼らの態度に影響を与える要因は、アメリカの政策にとって重要な意味を持つ。

2023年春、私はナショナリズムが中国の若者の統一支持を牽引しているという仮説を検証しようと試みた際、北京のエリート大学である清華大学と北京大学の学生たちは、国家の言説に見られる、強まっている強硬姿勢(the growing hawkishness)、つまり、台湾に対する武力行使への意欲の高まりを反映するだろうと予想した。

しかし、私の調査結果は驚くべき現実を明らかにした。学生たちは台湾についてほぼ議論していなかった。

ある学生は、「台湾?そんな話題は重要ではないと思う。地理的にも精神的にも、遠く感じる」と述べた。

こうした考え方は、学生たちに配布された匿名アンケートの結果にも反映されており、140件以上の回答があった。中国が直面している8つの「国内」問題を、緊急性の高いものから低いものの順にランク付けするよう求められたところ、台湾は気候変動(climate change)に次いで最下位から2番目にランクされた。

その他の課題は、緊急性の高いものから低いものの順に、コロナ後の経済回復(post-COVID economic recovery)、社会経済的不平等(socioeconomic inequality)、社会の安定(social stability)、外国直接投資の誘致(attracting foreign direct investment)、汚職対策(combating corruption)、教育の改善(improving education)であった。

一方、私がインタヴューしたタクシー運転手たちは、台湾を国家としての重要性という観点から語り、歴史的な恨み(historical grievances)をしばしば口にした。ある北京の運転手は「私たちが台湾を失えば、私たちは面目を失う(If we lose Taiwan, we lose face)」と言った。しかし、こうした人々でさえ、経済的な懸念は大きな問題となっていた。多くの運転手は、コロナ禍がなかった時代と比べて収入が半減したと語り、学生よりも武力による統一を支持する傾向は強かったものの、最大の懸念事項ではなかった。

学生とタクシー運転手(配車アプリで見つけたのは、主に中年男性のタクシー運転手)の態度の違いは、より広範な世代交代を反映している可能性もある。多くの学生は、両親の世代と比べて台湾に対して「それほどタカ派的ではない(less hawkish)」と感じていると述べた。

中国の若者の意識に関する最近の他の調査も、この反紛争的で台湾に対する無関心な感情を強めており、中国の若者がますますナショナリスティックになっているという一般的な見方とは矛盾している。

ある学生は「私たちの両親は祖先を辿れば台湾とのつながりがあり、中国本土と台湾の交流が盛んだった時代を覚えている。私たちにはそれがない」と言った。他の学生は、中国が計画経済(a planned economy)から脱却したことを例に挙げ、自分たちの世代は経済的に実利的で、イデオロギー的なナショナリズムにあまり動かされていないと主張した。

この見解は人気があるものの、一部の学生は、ハト派的な見解のために、同級生の中では依然として、自分のことを異端者(outliers)だと感じていると認めた。

多くの学生が、キャンパス内やオンラインフォーラムにおいて「政治的に正しくない(politically incorrect)」発言が批判を招く政治環境について語った。ある学生は、「台湾は友人間で話題にされることがほとんどないので、他の人がどう感じているのか、実のところ私には分からない。私たちが目にするのは、オンライン上の投稿や一般のコメントだけだ。最近は武力行使に賛成だと発言する方が政治的に正しいので、戦争に慎重な人が自分の意見を言うことはあまりない」と述べた。

中国開発フォーラムでの李首相の演説は、国内の不安の高まりと、個人消費の拡大の必要性に対する政府の認識を反映していた。世界的な不安定化の高まりにもかかわらず、持続可能な国内経済成長の必要性を強調し、私がインタヴューで繰り返し耳にした「経済難によって若い中国人はより内向きになっている(Economic hardship has made young Chinese more inward-focused)」という認識を強めた。

ある学生は「ゼロコロナ政策はまるで戦時中の政策のようだった。戦争は望んでいないと気づいた」と語った。別の学生は、パンデミック中に経済的困難を直接経験したことで、台湾のような政治的な抽象概念はそれほど重要ではなくなったと説明した。その学生は「うまく暮らしていれば、大局的な見方がしやすくなる」と言った。

ある学生は、統一を「中国にとっての合併と買収(merger and acquisition for China)」と捉え、「統一のコストとメリットを比較検討すると、合理性ではなく政治がこれを推進していることは明らかです。統一に明確なメリットはあまりない」と説明した。

中国の若者の失業率は記録的な高水準で推移しており、都市部の若い中国人(学生を除く統計)の約17%が就職に苦労している。名門大学を卒業したばかりの学生でさえ幻滅しており、多くの人が「横たわる(lying flat)」あるいは「腐らせる(letting it rot)」という、社会的な圧力への受動的な抵抗を表す言葉に捉えられている。このような状況では、台湾をめぐる仮想的な戦争は賢明ではなく、無意味であるように思われる。

中国国内の社会不和(social discord)もこの見方に影響を与えている可能性がある。複数の学生は、2022年11月に清華大学と北京大学が中国で行われた白書抗議運動(China’s White Paper Protests)に参加したことを、中国社会が不安定であり、統一を成功させる準備ができていない証拠だと指摘した。

しかし、統一がアメリカの侵略に対する防衛行動と捉えられると、こうした無関心な感情は消え去った。例えば、台湾が独立を宣言するという仮定のシナリオでは、学生が武力統一を支持する可能性は2倍以上になった。これは、学生が台湾の独立宣言はアメリカの支援に依存していると認識していたためだ。

ある学生は、「台湾海峡の緊張の最大の原因はアメリカであり、台湾ではない。もしアメリカが関与していなければ、統一は時間をかけて平和的に実現するだろう」と述べた。

多くの学生は、台湾を、中国の台頭を抑え込もうとするアメリカの「切り札(card to be played)」の1つに過ぎないと見ていた。香港、チベット、関税と何ら変わらないと彼らは考えていた。

こうした学生の意見は、タクシー運転手たちのよりナショナリスティックな感情を反映するものだった。ある北京の運転手は、1800年代にフランス軍とイギリス軍によって破壊された圓明園を指さしながら、迂回して通り過ぎた。この運転手は「私たち中国人は、あまりにも長い間、外国勢力にいじめられてきた。アメリカのような別の大国が玄関のドアをノックしてきたら、ノックし返さなければならない」と述べた。

中国政府が経済回復を強調していることは、若いエリートたちの考え方と合致しているかもしれない。しかし、今日の中国経済の課題は、2023年の課題とは異なる。その課題とは、主にトランプ大統領による関税と輸出規制の脅威(the threat of tariffs and export controls by Trump)だ。

トランプ大統領が最近、対中関税を90日間引き下げたことは一時的な安堵をもたらしたが、今後の交渉には不確実性がつきまとう。さらに、トランプ政権は依然として、テクノロジーや製造業を含む一部の中国製品への大幅な関税を維持している。これらの関税は、新型コロナウイルス感染症からの回復の鈍化と相まって、消費者信頼感と若年層の失業率をさらに圧迫する可能性がある。

中国の政策担当者たちが引き続き経済成長と国内の安定を優先するならば、中国政府が積極的に統一を推進する可能性は低下するかもしれない。しかし、アメリカの関税はナショナリズムを刺激し、台湾への潜在的な侵略を含む国家主導の行動への支持を高める可能性があります。

今日の若い中国人たちは、台湾との統一を優先事項とは考えていないかもしれない。中国政府が再び経済回復に重点を移すにつれ、若い世代の考え方に同調するようになるかもしれない。しかし、関税、輸出規制、米中関係の緊張といった外的圧力によって、こうした状況は変化する可能性がある。

中国国民がトランプ大統領の対中関税を、アメリカによる台湾独立支援と関連づけて捉え始めれば、アメリカは意図せずして統一への支持を固めてしまうリスクを負う。その中には、本来であれば統一に反対するであろう、理性的で戦争を警戒する若いエリートたちも含まれる。こうした支持は、中国指導部に台湾の主権をさらに圧迫するための国内での隠れ蓑を与えることになるだろうし、あるいは北京が「国旗を掲げて」行動(a rally-around-the-flag moment)を起こすよう誘惑することになるだろう。

米中経済関係は、今後4年間、ますます不安定になる可能性が高い。緊張(そして関税)が高まるにつれ、アメリカ政府当局者にとって、台湾海峡紛争と台湾支援に関して強硬な姿勢を示す誘惑に駆られるだろう。しかし、彼らは貿易に関する言論と台湾に関する言論を区別し、彼らが恐れるまさにその紛争を招かないように注意しなければならない。

緊張が高まる時代において、「若い中国人は台湾のことを気にかけているだろうか?(Do young Chinese care about Taiwan?)」という問いはもはや通用しない。むしろ、「トランプ大統領の関税など、どのようなアメリカの政策が彼らの無関心な考え方を変えることができるだろうか?(What U.S. policy—such as Trump’s tariffs—could change their apathetic mindsets?)」という問いが重要だ。

※マヤ・ガズダー:ワシントンの米国在台湾協会会長特別補佐、台北の米国在台湾協会政治担当を務めた。シュワルツマン奨学金を受けて清華大学で国際問題に関して複数の修士号を取得。Xアカウント:@mayaguzdar

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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第2次ドナルド・トランプ政権が発足して、まだ半年も経っていないが、既に数多くのことが起きており、また、トランプが起こしており、それに右往左往する毎日と言っても過言ではないだろう。こうした状況に少々疲れているというのが本音だ。「トランプ疲れ(Trump Fatigue)」と言ってもよいだろう。

 第2次トランプ政権が発足する前、高関税やウクライナ戦争停戦へ向けた仲介ということは実行するだろうと考えていた。イスラエルとハマス、イランとの戦闘、ガザ地区の状況については、ジョー・バイデン前政権よりも、よりイスラエル側に立った姿勢となるだろうとは考えていたが、ジェットコースターのように、アメリカが攻撃してみたり、停戦の仲介をしてみたりというようなことが起きるとは思っていなかった。

 下記論稿にあるように、国際関係論やあメリカ政治の専門家であっても、第2次トランプ政権の動きを予測することは難しかった。そして、これからどのようになるかということを正確に予測することは難しい。

 私がこれまでのトランプの動きを見ていて、「過激な発言や過激な行動をした後は必ず引く」「最低限の線は越えない」ということがあると考えている。今回のイランの核開発関連施設に対するアメリカ空軍機での攻撃でも世界に衝撃が走ったが、非常に「管理された」攻撃であると考える。アメリカの攻撃はイスラエルとは違い、イランの都市を狙ったものではなかった。また、一部報道では、イラン側は重要な資源や機材は移動させていたということだ。これは、アメリカがイランに対して、事前に攻撃を通知していたことを示唆している。また、イラン側がカタールにある米軍基地を攻撃する際にも、予め通知していたために、死傷者は出なかった。このように、アメリカとイランは大国らしく今回の状況に対応している。

 中東情勢にとって一番の脅威となっているのはイスラエルだ。イスラエルが中東地域を、そして、世界中に戦争の脅威を与えている。イスラエルがイランに対しての攻撃を行わなければ、今回の状況は生まれていない。現在のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、戦争状態が落ち着いて、退陣するとなれば、家族ぐるみで、汚職などのスキャンダルで逮捕され、これから刑務所暮らしをしなければならない。私から見れば、ネタニヤフは戦争に戦争を重ねて、個人の身の安全を確保している。そして、政権内の極右派を利用している。より正確には、お互いが利用し合っている。イスラエルがアメリカの意向を無視して、不羈奔放に行動することは、世界を危機に陥れる許し難い行為だ。私は、イスラエルとネタニヤフ政権を区別すべきと考えている。このような危険な勢力は一掃されるべきだ。同じことは、ウクライナにも言える。

第2次トランプ政権が成立していろいろなことが起きて、私たちはうんざりしながら、不安を感じている。しかし、トランプは、ギリギリのところで行き過ぎないというバランス感覚があると私は考えている。しかし、ウクライナやイスラエルのような、不確定要素があると、不測の事態が起きる可能性がある。両国については、事態をエスカレートさせないために、政権の交代が肝要と考える。
(貼り付けはじめ)
ドナルド・トランプ大統領の二期目について私が間違っていたこと(What I Got Wrong About Trump’s Second Term

-私はこれを完全に予想していなかった。その理由は次の通りだ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年3月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/03/10/walt-got-wrong-trump-second-term/

学者や政治評論家たちは、時折自らの予測を振り返り、何が間違っていたのかを考察すべきだ。トム・フリードマン、ジョー・スカーボロー、レイチェル・マドウ、ジャナン・ガネーシュ、ファリード・ザカリア、グレン・グリーンウォルド、アン・アップルバウムといった著名な評論家たちが、前年の予測を誤解したり、見誤っていたりした点を毎年振り返ることができたら、素晴らしいと思わないだろうか? 誰もが絶対的な存在ではない。フィリップ・テトロックの言うように、知識豊富な専門家たちでさえ未来を予測するのは難しいものだ。自らの過ちを振り返ることは常に有益であり、公に行うことで、誰もがその過ちから学ぶことができる。私は過去にも何度かこうした自己批判を行ってきた。そして今、また1つ、自己批判をすべき時が来た。続きを読んで欲しい。

2024年1月、私は「トランプが再び大統領になっても、アメリカの外交政策は大きく変わらないだろう」という記事を『フォーリン・ポリシー』に書いた。2025年3月時点では、それはかなり愚かな予測に聞こえる。問題の一部はクリックベイトの見出し(私が書いたものではない)にあり、実際、当時私が書いたことの一部は正しかったことが証明された。ドナルド・トランプ米大統領はNATOに対して強硬な姿勢を取り(場合によってはNATOから撤退する可能性もある)、ウクライナの和平合意を推進するだろうと私は述べた。しかし同時に、第2次バイデン・ハリス政権も、より慎重かつ責任ある形ではあったものの、和平合意を模索していただろうとも考えていた。カマラ・ハリス前副大統領が当選していたら、まさにそうしていただろうと私は今でも信じている。

トランプの中東政策はバイデンの政策とよく似ているだろうと思っていたが、今のところ、その通りになっている。ジョー・バイデン前大統領と同様に、トランプはイスラエルのやりたい放題を容認している。唯一の違いは、トランプは公平な姿勢を装うことさえせず、民族浄化を単に見て見ぬふりをするのではなく、公然と容認している点だ。また、トランプは中国に対して強硬な姿勢を取っている。これはバイデンが4年間の在任期間中に行ったこと、そしてハリスもほぼ確実にそうしたであろうことだ。トランプは最終的に北京と何らかのグランド・バーゲン(大いなる取引)を試み、台湾を売り渡すことになるかもしれないが、まだその兆候はない。見出しの裏側を読み、記事そのものを読んでみると、それほど馬鹿げた話には思えない。

そうは言いながら、私がいくつか重要な点を間違えたことは間違いない。

私は、主要な民主政体同盟諸国に対するトランプの敵意を過小評価していた。NATO加盟諸国がアメリカの保護に過度に依存していると考えているのは明らかだった(これは近年の米大統領全員が共有している見解だ)。しかし今や、トランプがこれらの国々が体現する民主政治体制の原則に積極的かつ深く敵対し、それらの国々の内部で非自由主義的な勢力を公然と奨励していることは明らかだ。数週間前に書いたように、政権によるヨーロッパ極右の融和は、ヨーロッパ全土で一種の体制転覆(a form of regime change)を推進し、事実上MAGA化を図り、ヨーロッパ連合を有意義な政治機関として破壊しようとする試みだ。トランプがハンガリーのヴィクトル・オルバン首相のような非自由主義的な指導者と親和性があることは知っていたし、スティーヴ・バノンのような人々が極右運動の国境を越えた連合を築こうとしていることも知っていたが、私はそれらの勢力を十分に真剣に受け止めていなかった。

第二に、トランプが和平合意を推進し、最終的にはウクライナへのアメリカの支援を削減するだろうと考える理由は十分にあったものの、彼がロシアのウラジーミル・プーティン大統領の立場をこれほど熱心に受け入れ、ウクライナが戦争を始めたと非難し、あるいはウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領を公然と攻撃するとは予想していなかった。実際、トランプの行動には何らかの戦略的な根拠があるのか​​もしれない。つまり、戦争を止め、最終的にロシアと中国の間に亀裂を生じさせる唯一の方法は、プーティンの望むものを全て与えることだと、彼は心から信じているのかもしれない。しかし、だからと言って、このアプローチが意図した通りに機能するとは限らない。また、この行動がアメリカの地位とイメージに及ぼす長期的な影響も無視している。ハリス政権であれば、ウクライナに対し、より現実的な目標を掲げ、停戦を求めるよう圧力をかけただろうと私は依然として考えている。しかし、ハリスはウクライナ政府とNATOと協力して、可能な限り最良の合意を導き出し、ウクライナを安易に見捨てることはなかっただろう。

第三に、トランプが極めて型破りな経済政策に賭ける意向を私は過小評価していた。関税の脅威を交渉材料として使うことは予想していたが、貿易戦争を始めればアメリカ経済に打撃を与え、自身の政治プログラム全体を危険に晒すことをトランプ(あるいは彼の顧問たち)は理解していると思っていた。昨年11月の選挙後、トランプの経済ティームの大半が(トランプは理解していないが)、基本的なマクロ経済学を理解している良識ある人々のように見えたので、私は一時的に安心していた。そして、ピーター・ナヴァロのような変人は影響力が薄いだろうと思っていた。しかし今となっては、その考えが間違っていたと思う。より深く理解しているべき当局者たちがトランプのナンセンスを繰り返すばかりで、ナヴァロの主張は大統領の耳に届いているようだ。もしトランプに投票したのであれば、物価上昇、財政赤字の拡大、投資ポートフォリオの縮小、そしてセーフティネットの崩壊を歓迎してくれることを願っている。

最後に、トランプのルールや規範に対する軽蔑は、大統領選挙に出馬するずっと前から既に確立されていたものの、第二次世界大戦後の秩序において最も確立された原則のいくつかを彼が軽視する姿勢には驚かされる。グリーンランドの武力奪取、パナマ運河地帯の再占領、カナダ併合、ガザ地区のパレスティナ人の民族浄化といった脅しは、いずれも数十年にわたり広く受け入れられてきた原則の重大な侵害である。これらの原則は、アメリカが概ね尊重し、頻繁に擁護し、多大な恩恵を受けてきたものでもある。更に言えば、トランプがこれらのルールを破っているのは、アメリカが深刻な国家非常事態に直面しているからではない(そうなれば、他国がワシントンに一時的な猶予を与えやすくなる)。彼は、独裁政治(autocracy)が台頭し、指導者たちがやりたい放題の世界の方がアメリカにとってより良い場所になると考えているため、秩序全体を破壊しようとしている。アメリカを国際秩序の守護者から悪意あるならず者国家に変えるなんて、私の予想外のことだったと率直に認める。

もし過去に戻って以前のコラムを書き直せるなら、別の(そしてもっと力強い)警告を発するだろう。弁明しておくと、トランプがアメリカ国内政治に及ぼす影響は有害だと確かに述べていたし、選挙直前に掲載したコラムでは、トランプをアメリカの憲法秩序と民主政治体制そのものに対する深刻な脅威と評した。しかし、当時でさえ、トランプの国内政策がどれほど過激で自滅的なものになるか、そして連邦議会や多くの企業幹部がどれほど喜んでそれに屈服するかを過小評価していた。また、究極の「選挙で選ばれていない政府高官(unelected government official)」であるイーロン・マスクが、トランプ2.0において、他に類を見ないほど破壊的な役割を果たすとは予想していなかった。

しかし、トランプの再選が大きな問題となることは明らかだった。ああ、もし私がこのことについて間違っていたらどんなに良かったことか。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

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 2025年6月13日に開始された、イスラエルによるイランへの攻撃は一応の停戦が成立した。6月12日の時点で、アメリカとイランとの間での核開発をめぐる交渉は難航し、イランはウラン濃縮施設の新設を発表した。これを受けて、イスラエルは自国の安全保障上の脅威を理由にして、イランの核開発関連施設や軍事施設を攻撃し、イラン革命防衛隊の最高幹部を複数殺害した。イラクは報復として、イスラエルにミサイル攻撃を行った。イスラエルも攻撃対象を拡大して応戦し、中東情勢は一気に不安定化した。双方に多くの死傷者が出ている。

6月22日にはドナルド・トランプ大統領がアメリカの戦闘機を派遣して、イラン国内の3カ所の核開発関連施設を攻撃させた。6月24日には、イランが報復として、カタール国内にあるアメリカ軍基地を攻撃した(事前通告あり)。その後、トランプ大統領がイスラエルとイランとの間の停戦合意が成立したと発表した。しかし、イスラエルは、イランに停戦合意違反があったとして、イランに攻撃を行う意思を表明した。トランプ大統領はイスラエルの姿勢に不快感を示している。
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 今回のイスラエルのイラン攻撃について分析するためには、私は、イスラエルの国内政治状況と中東地域の情勢の2つのステージに分ける必要があると考えている。イスラエルの国内政治状況で言えば、2023年のハマスによる攻撃と人質奪取を受けてのイスラエルによるガザ地区攻撃、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派との戦闘、更にはこれらの勢力を支援するイランとのミサイル攻撃と進んだ事態の連続だと考えている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、自身と家族が関わる汚職やスキャンダルのために、訴追され、最悪の場合は有罪判決を受け、収監される可能性があったところに、ハマスの攻撃があった。こうした戦争状態を利用して、首相の座にとどまっている。また、極右派は、戦争を利用してガザ地区やヨルダン川西岸地域を占領することで、パレスティナ問題を「根本的に解決」しようとしている。イスラエルは、アメリカを利用している。
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 トランプ大統領は事態をエスカレートさせたくない。政権内には核兵器使用まで望む声があるが、そのような強硬なことはできない。そして、イスラエルに対して、一定の統制を行いたいところだ。もちろん、イランの核開発については懸念を持っているが、その懸念を小さくするために、トランプ政権はイランと核開発に関しての交渉を行っていた。第1次トランプ政権時には、バラク・オバマ政権で成立した合意から離脱したが、第2次トランプ政権はその枠組みに復帰しようとしていた。この交渉は頓挫することになる。

 トランプ政権は、イスラエルを支援していることを形で見せるために、イスラエルの顔を立てるために、イラン国内の核開発関連施設3カ所を攻撃し、破壊した。しかし、イラン側は事前に重要な機材や資源を他の場所に移動させていた。これは、アメリカ側が事前に通告していたということが考えられる。イラン側も、アメリカに事前通告をして、カタールにあるアメリカ軍基地を正確に「報復」攻撃した。これで、お互いの面子を立てた形になる。お互いにエスカレートさせたくないということでは、アメリカもイランも一致している。そして、お互いに大国らしい態度を取っている。この状況で一番の不確定要素であり、世界にとっての深刻な脅威となっているのはイスラエルだ。イスラエルが停戦合意を守るかどうかという疑念が広がっている。これは、イスラエルに対する国際社会からの信頼がほぼ喪失していることを示している。そして、イスラエルを統制できないとなれば、アメリカの意向も大いに傷つく。また、中東における最重要プレイヤーとしての存在感も失う。

 このブログでも紹介したが、イランの後ろには、ロシア、インド、中国がいる。イスラエルが火遊びをすることは、世界にとっての深刻な脅威となる。中国をはじめとする「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」はイスラエルを許さないだろう。今回の構図は、ウクライナ戦争と同じ構図となるが、イスラエルの無軌道な攻撃に対しての批判派より大きな説得力と正当性を持つ。そして、イスラエルを支持する西側諸国は、世界から孤立していく。日本の石破茂首相は、イスラエルのイラン攻撃を擁護せず、アメリカのイラン攻撃に対して、即座の支持を表明しなかった(アホで間抜けの小泉純一郎がホイホイとイラク戦争を即座に支持したのとは大違いだ)。このような重厚な姿勢を取れる人物がこの時期に日本の首相であることは慶賀すべきことだ。これから注目されるのは、ベンヤミン・ネタニヤフがどれほどドナルド・トランプを舐めて、不羈奔放な行動をして、どこまでトランプが我慢するかというところだ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプと、イスラエルとベンヤミン・ネタニヤフ首相との緊張が表面化(Trump tensions with Israel, Netanyahu rise to the surface

ラウラ・ケリー筆

2025年6月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/5367708-trump-netanyahu-iran-ceasefire/?tbref=hp

ドナルド・トランプ大統領が火曜日、イスラエルとイランに対し、攻撃を停止し停戦を選択するよう公然と強く求めたことは、平和と交渉の担い手としての自身の姿勢を守るため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と対峙することを恐れていないことを示した。

アメリカの同盟国であるイスラエルと、イランが戦闘を放棄すべきだというトランプ大統領の、冒涜的な言葉まじりの苛立ちは、MAGAワールドに対し、トランプ大統領がネタニヤフ首相の戦争目的に縛られていないというシグナルを送った。

アメリカがイランの体制転覆(regime change)を支援する可能性があるという以前の脅しを撤回した後、トランプ大統領はテヘランとの貿易やイラン産の原油の原油市場への流入の可能性さえ示唆した。

元駐米イスラエル大使のマイケル・オレンは「今日起こっていることは、トランプ大統領がイスラエルに圧力をかけていること、停戦を維持したいこと、これ以上の戦闘は彼の外交に疑問を投げかけるだけでなく、アメリカがより深く、より長期的な軍事的関与に巻き込まれる危険性があることを大統領自身が知っていることだ」と述べた。

予測不可能なトランプ政権は、前例のないアメリカの軍事力の誇示をしたことから、非エスカレーションと平和と協力の話へと大きく舵を切ったことは、保守メディアの大物たちの間で好評を博している。

保守系活動家のチャーリー・カークは、トゥルース・ソーシャルに「歴史的な手腕を発揮したトランプ大統領(President Trump with a historic masterclass)」と投稿し、イランとの戦争激化を回避したトランプを称賛した。

トランプの元顧問で、MAGA運動において今も影響力のある発言者であるスティーヴ・バノンは、ネタニヤフに対するトランプの苛立ちを支持した。

バノンは自身のポッドキャストで、「あなた(ネタニヤフ)が彼(トランプ)に嘘をついたから、彼(トランプ)は激怒している。これほど怒っているアメリカ大統領は見たことがない。考えてみて欲しい。彼があなた方のために尽くしてきたこと、そして彼が受けているプレッシャーのことを考えると、どうしてこれほど怒ることができるのだろうか?・・・これが彼に与えられる感謝なのか?」と語った。

トランプ大統領がイスラエルを支持していることを考えると、こうしたイスラエルへの批判は注目に値する。

トランプ大統領はアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転し、ゴラン高原におけるイスラエルの支配を承認し、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区に対するアメリカの制裁を解除し、ネタニヤフ首相が反対していた2015年のイランとの核合意から離脱し、イスラエル、アラブ首長国連邦、バーレーン間の関係構築(アブラハム合意[the Abraham Accords])を仲介した。

しかし、2020年に、トランプ大統領とネタニヤフ首相との関係は、激しい対立に発展した。ネタニヤフ首相がジョー・バイデン大統領の選挙勝利を認めたことを受けて、トランプは、ある記者にネタニヤフ首相のニックネームを使って「ファック・ビビ(F‑‑‑ Bibi)」と発言した。

また、トランプ大統領によるイランへの軍事攻撃は、イランの核兵器取得阻止において政権がイスラエルと足並みを揃えていることを示したが、トランプ大統領は一連の主要な外交政策課題においてネタニヤフ首相の立場に反対してきた。

2024年の大統領選挙の選挙運動中、トランプはイスラエル問題に関して共和党の典型的な論点を覆し、ガザ地区の破壊を批判した。また、2020年にイランの最高レヴェルの将軍を殺害したアメリカ軍の攻撃にネタニヤフ首相が参加を拒否した際には、イスラエルは「私たちを失望させた(let us down)」と述べた。

トランプはイスラエル各地を回り、ガザ地区でハマスに拘束されていた人質を解放させた。イスラエルの反対を無視して、トランプはシリアに対する全ての制裁を解除した。さらに、ハマスとの戦争が解決しない限り、サウジアラビアがイスラエルとの関係を改善するよう圧力をかけるのを控えている。

2025年4月、ネタニヤフ首相は、トランプがイランの核開発計画をめぐって直接交渉を開始すると発表した際、大統領執務室で静かに座っていた。

トランプ大統領のイランとの会談の目標はイスラエルの利益とは相容れないものだったようだ。イランが核濃縮能力を放棄することだけに焦点を当て、地域全域のイランを代理する民兵グループへの支援、ミサイル計画、世界的なテロ支援には触れなかった。

オレンはエルサレム記者クラブ主催の記者会見で「トランプは平和の使者(peacemaker)、そして交渉の仲介者(dealmaker)になりたい。イスラエルにとっての問題は、イスラエルの重要な利益がどの程度守られるかだ」と述べた。

オレンは「この点では、2015年にバラク・オバマ元大統領がイランと合意を結ぶことになると、イスラエルの利益は守られないのではないかと懸念していた状況と大差ない」と語った。

バイデン政権下で中東問題担当高官を務めたアモス・ホックシュタインは、イスラエルの指導者が安全保障に関して強硬な見解を示し、タカ派の安全保障当局者や強硬な政治的パートナーとともに、アメリカをスケープゴートにしてそれを抑え込むというパターンを説明した。

ホックシュタインは6月19日のポッドキャスト「アンホーリー:トゥー・ジュウイッシュ・オン・ザ・ニューズ」で「少し物議を醸すかもしれないが、私の考えでは、ロナルド・レーガン以来、イスラエルには停止ボタン(a stop button)がない」と述べた。

ホックシュタインは次のように語った。「右派、左派、中道派の首相は皆、その時のどんな人物であっても、軍、諜報機関、あるいは過激派政党に『私はあなたたちの意見に賛成だが、あの忌々しいアメリカ人たちが私に止めさせようとしている』と言う。すると彼らは『分かった、いいだろう、私たちは止めて取引をしよう』と言う。1980年代以降のあらゆる作戦でそうだった」。

トランプのネタニヤフに対する不満は、オバマ政権とバイデン政権で繰り広げられた同様の緊張関係を反映している。イスラエルの長年の指導者であるネタニヤフは、バイデン、トランプ両大統領を重要な安全保障上の課題で試した。

これには、ネタニヤフ首相が2015年に連邦議会で、当時のオバマ大統領によるイラン核合意に反対する演説を行ったことも含まれる。アメリカ主導のイスラエルとパレスティナの和平交渉の決裂も、オバマ政権とネタニヤフ首相の関係を著しく悪化させました。

バイデン大統領とネタニヤフ首相は、イスラエルにおける物議を醸した司法制度改革をめぐって激しい対立を経験し、その後、停戦と人質解放の仲介を試みるアメリカの動きをよそに、ネタニヤフ首相がハマスとの戦争を強行したことで、関係は悪化した。

こうした緊張関係は、外交上の冷淡な対応という形で表面化するのが常態だった。しかし、バイデン大統領は私的な場でネタニヤフ首相を「最低最悪な奴(bad f‑‑‑ing guy)」「クソ野郎(son of a b‑‑‑‑)」と呼んだと報じられている。

ある元政府高官は「ネタニヤフ氏は非常に才能のある政治家であり、非常に才能のある交渉者、雄弁家であり、アメリカについて非常に詳しい。・・・彼はワシントンをまるで楽器でも操るかのように動かすことに慣れている」と語った。

この元高官は「ネタニヤフは概して、アメリカの指導者たちを並外れたレヴェルで圧倒する。ドナルド・トランプが他と違うのは、支持基盤とアメリカに関する自身のヴィジョン以外のことは何も気にしないという点だ」と述べている。

元高官はさらに、ネタニヤフは「これまでどのアメリカ大統領に対しても、大いに神経を逆なでしてきたが、ドナルド・トランプはドナルド・トランプであり、彼は物事を内に秘めない」と述べた。

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●「トランプ氏、発言を修正 イランの体制変更は「望まない」」

6/25() 5:29配信 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/00f5257d56f68bac9b67df250519206439a651e0

 トランプ米大統領は24日、イスラエルとイランの停戦は「引き続き有効で長期間維持されるだろう」という期待を語った。イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議し、イランへの攻撃に向かった戦闘機を引き返させたとも主張。イランの体制変更は望まない考えも示し、自身の発言を修正した。

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(サミット)に出席するためオランダ・ハーグに向かう途中、大統領専用機内で記者団の質問に答えた。

 イスラエルとイランの交戦では、トランプ氏が停戦発効を宣言した後も、イスラエル側はイランがミサイルを発射したとして反撃すると主張していた。トランプ氏はハーグへの出発前、記者団に、イランからの発射物は「おそらく誤射で着弾もしなかった」のに、イスラエルが強硬な反撃を準備し戦闘機が出撃したとして「気に入らない」と不満を述べていた。その後、専用機内では、ネタニヤフ氏との電話協議で「飛行機を引き返せと言ったら彼らはそうした」と主張した。

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●「CNN独自「米軍攻撃はイラン核施設を破壊できず」」

6/25() 6:19配信 テレビ朝日系(ANN

https://news.yahoo.co.jp/articles/e98c724180fda0f3079740db453f7bf161e8cc82

アメリカのCNNは独自ニュースとして、アメリカ軍による攻撃でイランの核施設は破壊できておらず、数カ月の遅延を引き起こした程度だとする情報機関の初期調査結果を報じました。

 CNN24日、関係者3人からの情報として、アメリカ国防情報局が作成した初期調査の結果について報じました。

 これによりますと、イランの核施設への攻撃では重要部分の破壊はできておらず、電気系統など復旧に数カ月かかる程度の被害しか与えられていないということです。

 関係者2人は、濃縮ウランの備蓄は破壊できていないとしていて、もう1人は遠心分離機は「無傷だ」と話しているということです。

 これまでトランプ大統領は「イランの核濃縮施設は完全に破壊された」と主張しています。

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「歴史的勝利」双方主張 停戦合意おおむね維持

6/25() 5:32配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/686d9cc4ea224fbfe3d31e1fee873cbcd189aa4c

 【テヘラン、エルサレム共同】イランのペゼシュキアン大統領は24日、イスラエルとの停戦合意を巡り、イスラエルが一方的に始めた戦闘を「イランの意志で終わらせた」とし「歴史的な大勝利だ」と誇示した。イスラエルのネタニヤフ首相も同日の声明で、核と弾道ミサイルというイランの二つの脅威を排除したとし「歴史的勝利」だったと主張した。停戦合意後も双方の攻撃があったが、停戦はおおむね維持されているもようだ。

 トランプ米大統領は、米東部時間25日午前0時(日本時間25日午後1時)ごろに正式な戦闘終結が実現すると宣言した。

 イランは24日、外交攻勢を強化。ペゼシュキアン氏はサウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会談し「国際的な枠組みに基づき、米国との問題を解決する用意がある」と述べた。アラグチ外相は中国の王毅外相との電話会談で、イランの攻撃は正当防衛だと主張した。イランの立場を説明し、各国の支持を取り付けたい考えだ。

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アメリカ、イランによるホルムズ海峡封鎖の阻止を中国に要請

BBC NEWS JAPAN 2025623

https://www.bbc.com/japanese/articles/cwyg3y4yz99o

アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は22日、世界で最も重要な海路の一つであるホルムズ海峡をイランに封鎖させないよう、中国に対応を呼びかけた。

ホルムズ海峡をめぐっては、イランの議会が封鎖計画を承認したと、同国国営のプレスTVが報じている。ただし、最終決定権は国家安全保障最高評議会にあると伝えている。

石油の輸送路が封鎖され、供給が途絶えれば、経済に深刻な影響が及ぶとみられる。とりわけ中国は、イランの石油の世界最大の買い手で、同国との関係も密接なことから、影響は大きいと考えられる。

アメリカがイランの核関連施設を攻撃したことで、原油価格は急騰している。指標となるブレント原油価格は、過去5カ月で最高値となっている。

原油価格は、ガソリン代や食料品の価格など、あらゆるものに影響を与える。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 ドナルド・トランプ大統領は、イラン国内の3カ所の核開発関連施設攻撃を承認した。中東地域は緊迫の度を高めている。イランがホルムズ海峡の封鎖まで踏み切れば、世界経済に大きなダメージを与えることになる。アメリカが石油を増産しても需要に追い付かないだろう。そして、アメリカは逆にそうした機会(原油価格の急激な高騰)を利用して、高値で同盟諸国に原油を売りつけるだろう。

 トランプ大統領に強くイラン攻撃を進言したのは、マイク・ハッカビー(Mike Huckabee、1955年-、69歳)駐イスラエル米大使だ。マイク・ハッカビーという名前はアメリカ政治に詳しい人だったら名前を知っているだろう。マイク・ハッカビーは1996年から2007年までアーカンソー州知事を務めた。2008年の大統領選挙では、共和党予備選挙に出馬し、善戦した。ハッカビーは福音派の牧師という一面も持つ。娘のサラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders、1982年-、42歳)は2017年から2019年まで、第1次ドナルド・トランプ政権で、ホワイトハウス報道官を務め、2022年からは父と同じ、アーカンソー州知事を務めている。

 福音派(Evangelicals)はキリスト教プロテスタントの一派で、聖書にもとづく信仰を基盤とし、聖書で起きるとされることを信じている。従って、聖書に書かれているパレスティナの地でユダヤ人による国家が建設されることを徹底的に支持している。そして、その後に来るのはハルマゲドン、善と悪の最終決戦で、自分たちが救われて、自分たち以外は地獄に落ちて責め苛まれることになるという信仰を持っている。これを敷衍すれば、彼らはハルマゲドンの到来を待ち望んでいる。彼らの世界観からすれば、核兵器の使用を伴う世界規模での戦争はハルマゲドンにつながるということになる。
 トランプ派、こうした考えを持つ、福音派のハッカビーを駐イスラエル米大使にした。そして、今回のイランに対する攻撃の前に、ハッカビーは、トランプを「激励する」内容の文章を送り、トランプはそれをSNSに投稿した。マイク・ハッカビーの「激励」には、トランプを1945年のハリー・トルーマン大統領になぞらえる描写がある。これはつまり、「あなたはトルーマンがやったように、核兵器使用の決断をする」ということになる。トランプにイランに対する核兵器使用を決断することを示唆している。

 トランプのイラン攻撃は、核開発関連施設に限定されたもので、イランからの報道によると、核開発の原材料などは攻撃前に別の場所に移動してあったということだ。私は今回の攻撃は「管理された」攻撃だと考えている。マイク・ハッカビーを代表とする福音派=キリスト教シオニストたちとイスラエルの顔を立てつつ、事態がエスカレートしないようにしたいということだと考える。しかし、不測の事態が起きればどうなるかは分からない。アメリカでも大きな勢力を持つ福音派をトランプも無視はできなかっただろうが、それ以上のことは望まないだろう。

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ハッカビーがトランプはイランに核攻撃を仕掛け、「天」からの導きに従うべきだと示唆(Huckabee Suggests Trump Should Nuke Iran, Follow Guidance From “Heaven”

-福音派の牧師であり駐イスラエル米大使でもあるハッカビーが、トランプに対し、戦争に関する導きを「天から聞くだろう(will hear from heaven)」と語った。

シャロン・ジャン(『トゥルースアウト』誌)筆

2025年6月17日

『トゥルースアウト』誌

https://truthout.org/articles/huckabee-suggests-trump-should-nuke-iran-follow-guidance-from-heaven/

駐イスラエル米大使マイケル・ハッカビーは、ドナルド・トランプ大統領に対し、イランに対して核爆弾を使用するべきだと示唆し、イスラエルのイラン戦争に関する決定を下す際には「天から聞こえる(hear from heaven)」声に耳を傾け、その導きに従うよう強く求めた。

火曜日、トランプ大統領はSNSのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、ハッカビー大使から送られてきたという長文のテキストのスクリーンショットを投稿した。ハッカビーは福音派(evangelical)でキリスト教シオニスト(Christian Zionist)であり、トランプはハッカビーを「偉大な人物!(Great Person!)」と称賛している。
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ハッカビーは、この文章の中で、トランプが現在、アメリカをイラン攻撃にさらに関与させるべきかどうかという決断を下している現状は、1945年にハリー・トルーマン大統領が直面した決断に似ていると述べている。1945年、トルーマン大統領は広島と長崎に2発の原爆を投下し、日本の何十万人もの罪のない人々を殺害し、2つの都市を壊滅させた。

ハッカビーはさらに、トランプを説得するのではなく「勇気づける(encourage)」のだと述べた。さらに次のように書いた。「神はペンシルヴァニア州バトラーで、あなたをこの1世紀、いやおそらく史上最も影響力のある大統領にするために生かした。私の生涯で、あなたのような立場に就いた大統領はいない。1945年のトルーマン大統領以来だ」。

この支離滅裂なメッセージは、イスラエルがイランの核兵器開発計画を標的として開始した戦争において、トランプがイランに核爆弾を使用するべきだと示唆していることを考えると、極めて皮肉なものだ。ただし、これまでの標的と犠牲者の大半は民間人だ。

ハッカビーはまた、トランプに対し「神の声(HIS voice)」に耳を傾けるよう促し、この問題について「天から聞くだろう(will hear from heaven)」と述べている。これは明らかに神の声を指している。

アメリカの多くの福音派キリスト教徒たち(evangelical Christians)と同様に、ハッカビーもキリスト教シオニストであり、終末の預言(the end-times prophecy)とイエス・キリストの再臨(second coming of Jesus Christ)を実現するためには、イスラエルがパレスティナを支配しなければならないという信念を抱いている。そうなれば、キリストは新時代にイスラエルを統治し、全ての人々がキリストを崇拝するか、滅ぼされて地獄に堕ちるかのどちらかになる。

キリスト教シオニストの一部は、パレスティナの完全支配を目指すイスラエルを破壊しようとするイランのような敵国に対し、イスラエルは優位を主張すべきだと公然と説いている。ハッカビーは、占領下のヨルダン川西岸地区をユダヤとサマリアと呼ぶことや、「パレスティナ人など存在しない」と発言したことで激しく批判されている。

10年以上にわたり米国にイランとの戦争を訴えてきたリンジー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)は、ハッカビー氏の発言を称賛し、「まさにその通りだ」と述べた。

Sen. Lindsey Graham (R-South Carolina), who has spent over a decade urging the U.S. to enter into a war with Iran, praised Huckabee’s text, saying it is “spot on.”

「今こそ中東におけるこの恐ろしい章を終わらせ、新たな章を始める時だ」とグラハム議員は述べ、イランの政権交代という古くからのネオコンの幻想に言及しているようだ。

It is now time to end this terrible chapter in the Middle East and start a new chapter,” said Graham, seemingly referring to an old neo-conservative fantasy of regime change in Iran.

この文書は、トランプ大統領を刺激してイランに極端な武力を行使させようとするものだが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプ大統領にイラン攻撃を公然と促し、現在のアメリカ軍による防衛支援に加えてイスラエルにさらなる支援を与えているという微妙な時期に出されたものだ。

トランプ大統領が火曜日に、イランは核兵器の開発を進めていないというアメリカ情報機関の評価を一蹴した発言と同様に、ハッカビーがより高次の目的を掲げたことは、ジョージ・W・ブッシュ大統領がイラク戦争を開始した際の奇妙な理由を彷彿とさせる。アメリカによるイラク侵攻開始からわずか数カ月後、ブッシュ大統領はイスラエル・パレスティナ首脳会談で、「神からの使命に突き動かされている(driven with a mission from God)」と述べたと報じられている。

トランプ大統領の次の動きは不透明だ。彼は繰り返し、イランに核合意という政権の要求に屈服させることが目標だと述べている。火曜日、彼はトゥルース・ソーシャルに「完全なる降伏(COMPLETE SURRENDER)」と投稿した。

トランプ大統領は、JD・ヴァンス副大統領か、中東担当特使のスティーヴ・ウィトコフを交渉に派遣する可能性があると述べている。『アクシオス』誌が引用した情報源の話によると、トランプ大統領は火曜日にホワイトハウスのシチュエーションルームで国家安全保障ティームと戦争について会議を行う前に、イランへの攻撃を検討していたと伝えられている。

※シャロン・ジャン:『トゥルースアウト』誌政治、気候、労働担当ニューズライター。『トゥルースアウト』誌に参加する前、『パシフィック・スタンダード』誌、『ザ・ニューリパブリック』誌などに記事を掲載してきた。環境学で修士号を取得している。ツイッターとブルースカイでアカウントを持っている。

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 イスラエルがイランに対して攻撃を仕掛け、その後、イスラエルとイランの間でミサイル攻撃の応酬が続いている。両国で既に多数の死傷者が出ている。イスラエルは、イランの核兵器開発を阻止することを大義名分としているが、世界各国の原子力発電所などに査察を行う専門機関である世界原子力機関(IAEA)は、イランの核兵器開発の証拠はないと報じている。そして、2025年6月21日に、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランの核開発関連施設3カ所をアメリカ空軍の戦闘機を使って攻撃を行った。

 イスラエルのイランに対する攻撃に関しては、中国、ロシア、インドが国際法違反だとして非難している。イランは、2023年から上海協力機構(Shanghai Cooperation OperationSCO)に正式加盟し、2024年にはBRICSの正式メンバーになっている。中東地域における大国であり、かつ、私がこれまでの著作で述べてきた「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)対西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の西側以外の国々にとっての重要な国である。イランを攻撃するということは、それらの国々との関係を緊張させるということになる。非常に拙劣な手法であると言わざるを得ない。戦術レヴェルでの攻撃が成功したとして、それだけで、戦略的な成功をそれで引き寄せることはできない。アメリカは中国との間でレアアースの貿易で命綱を握られていると言っても過言ではないが、ホルムズ海峡の封鎖やレアアースの輸入に何かしらの障害となってしまえば、自分で自分の首を絞めることになる。
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 世界を俯瞰して見ると、ウクライナとイスラエルは、私がこれまでの著作で述べてきた「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)対西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の対立構造の最前線である。ウクライナとイスラエルは、アメリカやヨーロッパ諸国(そして、日本も含まれる)が直接関わりたくない「汚れ仕事(dirty work)」をやっている。その上で、姑息なヨーロッパの諸大国(イギリス、ドイツ、フランス)は「まあまあ、落ち着いて。外交で解決しましょう」とにやにやした、したり顔で出てきて、交渉を行って、手柄を持っていく。実力もないくせに大国ぶるという最低最悪の存在だ。

 ウクライナが対ロシア、イスラエルが対イランということになれば、対インドはパキスタンになるだろうし、もっと言えば、対中国は日本ということになる。トランプ政権は、「アメリカ・ファースト」「アイソレイショニズム」を政策の柱に掲げてきたが、政権内部には強硬派が存在する。彼らが暴走してしまえばこういうことになる。私たちが恐れるべきは、日本が中国との戦争をけしかけられることである。そして、アメリカに切り捨てられることである。
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中国がイスラエルとの戦いでイランを支援した(China Backs Iran in Fight Against Israel

-北京の対応はこれまで以上に強力かつ直接的だ。

ジェイムズ・パルマー筆

2025年6月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/17/china-iran-israel-conflict-diplomacy-oil-trade-defense-weapons/

『フォーリン・ポリシー』のチャイナ・ブリーフへようこそ。

今週のハイライト:イラン・イスラエル紛争における中国の立場、習近平国家主席のカザフスタン訪問、そして中国がレアアース元素をめぐるアメリカへの影響力行使。

●中国がイランを支持し、イスラエルを非難した(China Supports Iran, Condemns Israel

中国は、進行中のイラン・イスラエル紛争について明確な立場を表明した。土曜日、王毅外相はイスラエル外相との電話会談で、イスラエルによるイランへの攻撃は「容認できない(unacceptable)」ものであり、「国際法違反(violation of international law.)」であると述べた。

王外相は、イラン外相に対し、「(イランの)国家主権を守り、正当な権利と利益を擁護し、国民の安全を確保する」という点で支援を表明した。習近平国家主席も火曜日の声明で同様の発言を行った。中国の対応は、昨秋のイラン・イスラエル紛争への対応よりも強力かつ直接的なものとなっている。

中国は外交資源を総動員し、イランも加盟している上海協力機構(the Shanghai Cooperation OrganizationSCO)を通じてイスラエルの最新の攻撃を非難する声明を出した。これに対し、上海協力機構加盟国でありイスラエルと強い武器取引関係を持つインドは、声明について協議を受けていなかったにもかかわらず、非難を向けた。

イランは近年、中国との関係を緊密化させており、両国は定期的に軍事演習で協力し、2021年には経済・軍事・安全保障協力協定に署名した。イランの原油輸出の90%以上は中国向けで、制裁を回避するため、西側諸国の銀行や海運会社を迂回し、人民元建て取引を行うといった迂回策が用いられている。

イスラエルがイランの石油産業を混乱させることに成功すれば、中国にとって痛手となる可能性がある。しかし、イランは中国にとって6番目の供給国に過ぎないため、中国は打撃を吸収できるだろう。

中国はイランに対し、強い声明を出しているものの、言葉上の支援以上のことは行わない可能性が高い。中国は中東情勢にこれ以上巻き込まれることを望んでおらず、むしろアメリカにとっての混乱を歓迎している。ワシントンのタカ派は、中国とイランの関係を実際よりも強固に見せかけようとしているが、イランは結局のところ、中国の中核的利益(core interest)にとって重要ではない。

中国が介入するのであれば、おそらくイランが過去に脅迫したようにホルムズ海峡を封鎖しないよう圧力をかけるためだろう。中国の主要な石油供給国はロシアだが、中国の石油輸入の約半分は湾岸諸国から来ている。ホルムズ海峡の封鎖とそれに伴うエネルギー価格の高騰は、既に低迷している中国経済にとって痛手となるだろう。

中国は、2023年のイラン・サウジアラビア和解の仲介を足掛かりに、和平交渉の仲介役を務めることを期待しているかもしれない。しかし、イスラエルが中国を中立的な仲介者として受け入れるとは考えにくい。イスラエルとハマスとの戦争の中で、中国の親パレスティナの立場と中国のインターネット上での反ユダヤ主義の蔓延により、両国の関係は悪化している。中国に合意を求めることは、気難しいアメリカ大統領を遠ざけるリスクもある。

中国にとって、イラン・イスラエル紛争のプラス面は、自国の防衛技術の新たな市場獲得となる可能性がある。パキスタンは最近のインドとの小競り合いで予想を上回る成果を上げており、その成功は主に中国製システム、すなわちこの紛争で初めて実戦投入されたJ-10C戦闘機と、主に中国製の防空システムの使用によるものだ。

これまでイスラエルは、イランの時代遅れの防空システムと空軍を圧倒してきた。余裕ができれば、その改善はイランにとって最重要課題となるだろう。中東のバイヤーはかつてJ-10に懐疑的だったが、イランは今回の紛争以前から関心を示していたようだ。

中国はかつてイランの主要な武器供与国だったが、両国は2005年以降、新たな契約を締結していない。しかし、今や状況は一変する可能性がある。

●注目のニュース(What We’re Following

習近平国家主席は中央アジアに接近している。習近平国家主席はカザフスタンを訪問し、中央アジアの指導者らと会談した。エネルギー資源が豊富な中央アジア地域における中国の貿易拡大を目指している。習近平国家主席は就任以来、ロシアに次いでカザフスタンを最も多く訪問している。その間、中国はロシアに代わりカザフスタンの主要貿易相手国となった。

しかし、カザフスタン国民は隣国に対してそれほど好意的ではなく、自国のエリート層が中国政府に身売りしているという意見を表明する人も多い。中国による新疆ウイグル自治区におけるカザフ族の強制収容はカザフスタンで激しい反発を引き起こしているが、カザフスタン政府は中国政府を宥めるため、新疆ウイグル自治区の人権活動家たちへの弾圧を行っている。

恋愛小説を取り締まりしている。中国警察は、男性同士の同性愛関係を描いた人気のオンライン恋愛小説、いわゆるボーイズラブ小説(boys’ love fiction)の作者を再び逮捕している。日本で生まれたこのジャンルは、主に女性によって、女性向けに書かれている。習近平政権下では、オンライン検閲が繰り返しこのジャンルを標的にしてきた。

この敵意は、同性愛嫌悪、反日感情、そして女性のセクシュアリティに対するますます強まる家父長制的な態度といった、複数の要因が重なり合って生じている。今回の一連の動きは、警察が管轄外で発生した犯罪を探し出し、罰金を科して私腹を肥やす「深海漁業(deep-sea fishing)」の表れでもあるように思われる。

全国で少なくとも100人の作家が、他省の当局から発行されることが多い警察からの召喚状を受け、罰金や懲役の可能性に直面していると推定されている。

スコット・ケネディが『フォーリン・ポリシー』誌に書いているように、中国はこの分野で明らかに影響力を発揮している。レアアース生産のほぼ完全な独占状態は、アメリカの製造業の重要部門を停止させる力を持っている。北京はこれまで、その力を十分に行使することを避けてきた。それは主に、ワシントンがレアアース精錬の国内回帰に追い込まれることを懸念していたためだ。

しかし、この一時停止は、中国が援助の蛇口を閉める用意があることを示していた。ロンドン会合の前に、アメリカ当局は重要な技術輸出に対する新たな制限を課すことを検討したがこのチキンゲームで中国が明らかに勝利した。

ここ数日、ドナルド・トランプ米大統領の発言はますます融和的になり、中国人留学生のヴィザ取り消しの脅しを撤回し、中国とその友好国であるロシアをG7に招待したいという意向を表明した。

香港の労働団体が閉鎖された。中国本土の抗議活動、賃金紛争、ストライキに関する情報を香港に拠点を置いて提供してきた中国労働公報が、財政問題を理由に31年間の活動に幕を閉じた。トランプ政権下でのアメリカの対外援助打ち切りが、中国労働公報に影響を与えた可能性がある。

しかし、中国労働公報の突然の閉鎖とウェブサイトの消失は、香港当局の標的となった可能性を示唆している。2020年に厳格な国家安全法が導入され、香港では言論の自由が事実上排除されたが、一部の団体は生き延びている。

中国労働公報は、天安門事件の反体制活動家で中国本土から亡命した韓東方によって設立された。彼は1989年の民主化運動において、しばしば忘れられながらも極めて重要な役割を果たした労働者の出身だ。中国では、公式労働組合は機能不全に陥っているが、それ以外は労働組合の結成は違法であり、劣悪な労働条件や賃金不払いが蔓延している。

非公式の労働組合や活動家は、移民労働者の労働権擁護において大きな役割を果たしているが、他の市民社会と同様に、習近平政権下では彼らも標的にされている。

※ジェイムズ・パルマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。Blueskyアカウント: @beijingpalmer.bsky.social

(貼り付け終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年6月21日、ドナルド・トランプ大統領はアメリカ軍に命じて、アメリカ空軍の戦闘機にイラン国内の核関連施設3カ所を攻撃させた。中東情勢は緊迫化を増すが、イランがアメリカを攻撃する力はない。イスラエルに対するミサイル攻撃が反撃の柱になるだろう。アメリカとイスラエルは中東地域において完全な敵役となった。イスラエルのイラン攻撃には、中国やロシアが

ヨーロッパ(ウクライナ)、中東(イスラエル、イラン)ときな臭くなっているが、アジア地域は安定し、世界経済のエンジンとなっている。アメリカのトランプ政権は、日本をはじめとするアジア諸国に防衛費の増額を求めている。日米間では、日本の国防費の対GDP比をアメリカ並みの3.5%にせよと求めたという報道が出た。そして、ついには、5%にせよという無茶苦茶な要求まで出た。現在が1.8%程度だが、その2倍、3倍にせよという要求だ。日本の国民生活や経済のことなど何も考えていない。それは当然のことで、アメリカの属国である日本からは搾り取れるだけ搾り取るのがアメリカの国益だ。正確には、アメリカにとって唯一の「競争力のある」製造業である軍事産業の利益である。現在でも重税で苦しんでいるが、日本国民はさらに増税で苦しめられることになる。
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 アメリカは世界最大の防衛費を誇り、最強の軍隊を保有している。防衛費の対GDP比を見てみると、最近になって減少させている。4%を切って、3%台になっている。防衛費もアメリカにとって重い負担になっている。この負担を他に押し付けようというのがアメリカの魂胆でもある。そのターゲットが日本である。日本を中国に対する「番犬」にしようということになる。米国防総省序列第3位の国防次官(政治担当)のエルブリッジ・コルビーの著書は日本でも翻訳が出ているが、日本に「大軍拡」を求めている。それは中国に対する抑止のためだが、アメリカと中国が直接廠とすることは想定しない。ウクライナやイランに比べて、中国は国際社会における存在感が桁違いだ。そこは伸長にならねばならないが、日本に「汚れ仕事」をやらせることで、いざとなれば、「日本が暴走しただけで、自分たちは関係ない、それどころか、日本は米中両国で抑えねばならない」ということになって、日本は切り捨てられることになるだろう。

日本は戦争をしてはいけない。戦争につながる動きにも敏感にならねばならない。アメリカは日本を戦争に巻き込もうとしている、いや、正確には日本を捨て駒にしようとしている。そもそも防衛費を現在の3倍、4倍ににしたら、国民生活は困窮の度を深める。庶民からはこれ以上搾り取れないとなったら、後は富裕層や大企業から取るしかない。「皆さんが安心して金儲けができるためのショバ代ですよ」ということで、増税することになるだろう。海外に逃げることも許されないだろう。私たちは戦後体制についてよくよく再考しなければならない。
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防衛費GDP比5%要求 米政権、日本含むアジア同盟国に

時事通信 外信部202506220747分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062200115&g=int

 【ワシントン時事】トランプ米政権は日本を含むアジア太平洋の同盟国に対し、防衛費を国内総生産(GDP)比5%に増やすよう要求した。国防総省のパーネル報道官が21日、取材に明らかにした。日本政府は2027年度に防衛費をGDP比2%に引き上げる方針だが、トランプ政権は大幅な積み増しを迫った格好で、日本国内でも増額に関する議論が熱を帯びそうだ。

 パーネル氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国がGDP比5%の防衛費目標を協議していると指摘。「中国の大規模な軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発を考慮すると、アジア太平洋地域の同盟国が欧州の水準とペースに迅速に追いつくべきなのは当然だ」と強調した。

 また、「これはアジア太平洋地域の同盟国の安全保障上の利益だ。アジアの同盟国とのより均衡の取れた、より公平な負担分担は米国民にとっても利益となる」と主張。「トランプ大統領のアプローチは、この常識的な考えに基づくものだ」と理解を求めた。

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●「トランプ米政権が日本に防衛費GDP35%要請か 英紙報道、3%から引き上げ」

産経新聞 2025/6/21 06:40

https://www.sankei.com/article/20250621-EVLR2GBOLFIJHE7ABJZUI7V6F4/

【ワシントン=坂本一之】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は20日、トランプ政権が日本の防衛費に関し国内総生産(GDP)比で35%に引き上げることを求めたと報じた。日米関係筋は35%への引き上げ要請について「聞いていない」としている。トランプ政権は北大西洋条約機構(NATO)加盟国にGDP5%を求めていて、オーストラリアには35%を要求するなどアジア太平洋地域の同盟国にも増額を求めている。

同紙によると米側は当初、日本の防衛費に関しGDP3%を主張していたが、最近になって増額規模を引き上げて35%を要請。国防総省ナンバー3として政策立案を担うコルビー政策担当次官のアイデアという。

日本側は、71日に米国で予定していた日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)開催を取りやめたとしている。

コルビー氏は3月、議会の公聴会で日本の防衛費について「少なくともGDP3%を可及的速やかに支出すべきだ」と主張していた。

ヘグセス国防長官は5月末にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ対話)で、NATO5%を「新たな模範」としアジア太平洋地域の同盟国にも増額を呼び掛けていた。同会議に合わせて開いた米豪防衛相会談では、オーストラリアに35%への引き上げを求めている。

国防総省のパーネル報道官は20日、アジア太平洋地域の同盟国の防衛費について「中国の大規模な軍事力増強や北朝鮮の核・ミサイル開発を考えると、欧州の防衛費の水準に追いつくよう迅速に対応することは常識的だ」と述べた。

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米、日本に防衛費3.5%要求 反発で2プラス2見送りか―英紙報道

時事通信 外信部202506210839分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062100227&g=int

 【ワシントン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は20日、トランプ米政権が日本に対し、防衛費を国内総生産(GDP)比3.5%に引き上げるよう要求したと報じた。もともとの要求は3%だったため、日本側は反発し、7月1日で調整していた外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の開催を見送ったという。

 報道によると、米国防総省ナンバー3のコルビー国防次官(政策担当)が最近、3.5%目標を求めた。要求拡大が日本側の「怒りを買った」とされる。

 7月20日に参院選の投開票が見込まれることも、2プラス2開催見送りの一因となった。日本側は2プラス2開催が参院選に与える影響を懸念した。

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『トランプの電撃作戦』
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第2次ドナルド・トランプ政権の最初の100日間の電撃作戦を支えたイーロン・マスクが政権を去った。トランプとマスクの言い合いはややヒートアップしたが、今は沈静化し、関係修復に進んでいるようだ。JD・ヴァンス副大統領とスージー・ワイルズ大統領首席補佐官が仲裁に動いたとされている。
 イーロン・マスクが最近になって、Xに「あいつは蛇みたいなやつだ」と投稿した、トランプ政権高官に注目が集まっている。それがホワイトハウス大統領人事室長セルジオ・ゴオ(Sergio Gor、1986年-、38歳)だ。ゴオはトランプ政権に登用されている人物たち数千名の採用に関する調査や試験を行った人事部門の最高責任者だ。現在、トランプ政権内で実力者となっているのがゴオである。政策面の実力者となっているのはスティーヴン・ミラー大統領次席補佐官だ。ゴオとミラーは共に、学生時代(ゴオはジョージ・ワシントン大学、ミラーはデューク大学)に、「ヤング・アメリカズ・ファウンデイション(Young America’s FoundationYAF)」の活動家として活躍したという共通点を思っている。ゴオという苗字は珍しいが、彼はヨーロッパのマルタで生まれ、少年時代に家族と共にアメリカに移住してきた。そのために、英語とマルタ語を話すことができる。マルタ系と言えば、2020年の米大統領選挙民主党予備選挙に出馬し、ジョー・バイデン政権では運輸長官を務めたピート・ブティジェッジもマルタ系(父親がマルタ出身)だ。
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 拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)でも触れたが、トランプ政権内には、イーロン・マスクに対する不満や反感があった。特にスタッフとして、2016年の大統領選挙から支えてきたような古参の人々にとっては、突然、莫大な選挙資金を寄付して、最も近い相棒の地位を手に入れたマスクは気に入らない存在となる。

 マスクは、自分にとって都合の良いジャレッド・アイザックマンをNASA長官にしようとしていたが、トランプが最終的に指名を撤回することになった。その過程で、ゴオが指名撤回を画策したという報道が出た。また、ゴオとマスクはその前から衝突していたという話もある。政治において重要なのは人事とお金だ。これら2つを握っている人は強い。トランプの長男と親しいゴオはそうした背景もあり、マスクに対抗したということになるだろう。マスクにしてみれば、NASA長官に自分の息がかかった人物をすえれば、スペースXのビジネスにとっても有益であったが、それを邪魔されたのだから怒り心頭になるだろう。
 イーロン・マスクは政権から外れた。これから閣僚になる、もしくはスタッフになるということは考えにくい。これからマスクの影響力は小さくなっていくだろう。そうした中で、実務を担う、スティーヴン・ミラーとセルジオ・ゴオの影響力は増していくだろう。注目していかねばならない。
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マスクはトランプの有力な側近を「彼は蛇だ」と痛烈に批判した(Musk slams influential Trump adviser: ‘He’s a snake’

ブレット・サミュエルズ筆
2025年6月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5359448-elon-musk-sergio-gor-snake/

テスラの最高経営責任者イーロン・マスクは水曜日の夜、マスクともう1人の政府高官の間の不和に関する報道を受けて、ある高官を批判した。

マスクは、自身が所有するソーシャルメディアプラットフォーム「X」の投稿に返信し、セルジオ・ゴオが完全な身元調査書類を提出していないという『ニューヨーク・ポスト』紙の記事へのリンクを貼った。ゴオはホワイトハウスで最も影響力のある高官の1人であり、ホワイトハウス大統領人事室長(head of the Presidential Personnel Office)を務めている。

マスクはゴオについて「彼は蛇だ(He’s a snake)」と述べた。

ゴオはコメント要請にすぐには応じなかった。

ゴオはMAGA運動と強いつながりを持つ、非常に影響力のある補佐官である。彼はドナルド・トランプ・ジュニアの側近であり、トランプ大統領への熱烈な忠誠心も持っている。また、トランプ支持のスーパーPAC「ライト・フォ・アメリカ(Right for America)」の代表も務めている。

人事室長として、ゴオは数千人の政府職員の身元調査と任命を監督し、彼らがトランプ大統領の政策方針に沿っていることを確認している。

ゴオは、先月末に政府特別職員(a special government employee)の職を退いたマスクと大統領の激しい対立の中心人物として、メディアで大きく取り上げられてきた。

マスクとゴオはここ数カ月、閣議で人事上の意見の相違をめぐりマスクがゴオを厳しく叱責するなど、衝突を繰り返していたと報じられている。ゴオはまた、マスクの盟友でNASA長官に指名されていたジャレッド・アイザックマンの辞任を推進した重要人物としても名指しされた。トランプ大統領はマスクの退任直後、アイザックマンの民主党への寄付を「過去の関係(prior associations)」として理由に挙げ、指名を撤回した。

ある政府高官は本誌に対し、アイザックマンの指名撤回の決定は最終的にはトランプ大統領が下したと述べた。また、ゴオとマスクの間により広範な確執があるという噂を軽視した。政権関係者たちは、ゴオが政府効率化省(DOGE)職員の採用を監督していたことを指摘し、2人はDOGEの目標について概ね一致していると主張した。

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セルジオ・ゴオはドナルド・トランプ大統領のホワイトハウスの「極めて重要な」一員としての地位を固めた(Sergio Gor cements himself as ‘vital’ part of Trump’s White House

ブレット・サミュエルズ筆

2025年6月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5342901-elon-trump-maga-controversy/

ホワイトハウス大統領人事室長(head of the White House Office of Presidential Personnel)セルジオ・ゴオは、連邦政府の規模を大胆に再編し、忠実な支持者で固めようとするトランプ大統領の取り組みで、目立たないが中心に置かれている。

ゴオはワシントン政界の関係者以外ではあまり知られていないが、複数の情報源によると、彼はMAGA運動と強いつながりを持つ非常に影響力のある補佐官だということだ。彼はドナルド・トランプ・ジュニアの側近で、大統領に対して熱烈な忠誠心も持っている。

トランプ大統領のある側近が述べるところでは、スティーヴン・ミラー次席補佐官(deputy chief of staff)がトランプ大統領の政策を形作り、ウィル・シャーフ秘書官(staff Secretary)がトランプ大統領の見解を形作り、ゴオが政権の要職を担う人事を形作っている。

ヴァンス副大統領は本誌への声明の中で、「セルジオは、献身的で信念を持ったアメリカ・ファーストの支持者たちを大統領が率いる政府のスタッフに確保する取り組みを主導してきた。彼は素晴らしい仕事をしてきたし、これからもし続けるだろう」と述べた。

ゴオはランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)の元補佐官だが、ポール議員がトランプ大統領の政策の主要部分を盛り込んだ大規模な和解的な予算パッケージに現在反対していること、そしてポールが最近ミラーと論争していることを考えると、これは皮肉な展開と言える。

しかし、ゴオのMAGAとしての資質は疑う余地がない。彼はドナルド・トランプ・ジュニアと共同で出版社を設立し、トランプ大統領やチャーリー・カーク、トランプ大統領の上級通商顧問ピーター・ナヴァロといった保守派の著作を出版している。また、ゴオはトランプ支持のスーパーPAC「ライト・フォ・アメリカ(Right for America)」の代表も務めている。

ゴオはこれまで目立たない存在だったが、先月末に特別職員の職を退いたテスラのCEOイーロン・マスクと大統領の激しい対立の中心人物としてメディアの注目を集めてきた。

マスクとゴオについては、ここ数カ月、閣僚会議で人事上の意見の相違をめぐってマスクがゴオを厳しく叱責するなど、衝突が続いていると報じられている。政府効率化省(the Department of Government EfficiencyDOGE)を率いるマスクは、彼の上級副官たちのアクセスと権限の拡大を推進してきた。

ゴオはまた、NASA長官に指名されていたマスクの盟友ジャレッド・アイザックマンの辞任を推進した立役者としても挙げられていた。トランプ大統領はマスクの退任直後、「過去の関係(prior associations)」を理由にアイザックマンの指名を撤回した。これはアイザックマンの民主党への寄付を指している。

ある政権関係者は本誌に対し、アイザックマンの指名撤回の決定は最終的には大統領の判断だったと述べた。また、ゴオとマスクの間に広範にわたる確執があったという噂を軽視した。この関係者はゴオがDOGE職員の採用を監督していたことを指摘し、2人はDOGEの目標について概ね一致していると主張した。

ゴオは、トランプ大統領の2期目における最大の事業の1つである、連邦政府の再編と支持者による人材確保において、中心的な役割を果たしてきた。

DOGEは連邦政府職員数を大幅に削減することを使命とし、様々な政府機関でレイオフの波を引き起こし、数万人の職員に影響を与えた。これらのレイオフの一部は裁判所によって継続が認められた。

一方、ゴオはホワイトハウス大統領人事室を率いており、ホワイトハウス大統領人事室は連邦政府全体の職員の採用、審査、面接、採用プロセスを担当している。

トランプ大統領の最初の任期中、彼の最も物議を醸した政策や衝動的な提案のいくつかは、彼に反対する閣僚や任命者によって弱められたり、拒否されたりした。その中には、『ニューヨーク・タイムズ』紙に匿名の論説記事を寄稿した者もいた。

しかし、今回、こうした時折のガードレールはほぼ撤廃され、ゴオがその先頭に立って任命者がトランプ大統領の考えに沿っているかを確認している。

ゴオは就任式の直後、全ての政治任命者の採用決定はホワイトハウスを経由すると述べた。応募者は、2024年の選挙運動中にトランプ大統領をどのように支持したかなど、忠誠心を試すような質問を受けた。

ホワイトハウス大統領人事室が先月末に配布した採用ガイドラインには、応募者がトランプ大統領の大統領令をどのように推進するかについての質問と、重要だと考える政策イニシアティヴの事例を挙げるよう求める内容が含まれている。

その結果、「人事は政策(personnel is policy)」という古い格言を忠実に守る政権が誕生し、トランプ支持者たちはほぼ一致団結して、大統領の政策を最初の任期よりも積極的かつ同期したスピードで遂行している。

ホワイトハウスのスティーヴン・チャン広報部長は本誌への声明で次のように述べた。「セルジオはティームの重要なメンバーであり、トランプ大統領が至上の政権を築くのを支えてきた。長年のアドヴァイザーとして、アメリカを再び偉大にするという使命に共感し、大統領の政策実行に取り組む人材を政府職員に確保する上で、彼以上に適任な人物はいない」。

●イーロン・マスク氏の非難でヴァンスとパテルは窮地に陥った(Elon allegations put Vance, Patel on the spot

先週、マスクがソーシャルメディアでトランプ大統領を激しく非難した際、マスクは「本当の大爆弾(really big bomb)」と呼ぶものを投下した。テスラのCEOであるマスクは、これが大統領支持層に波紋を広げることを知っていたのかもしれない。

マスク氏は木曜日、悪名高い金融投資家ジェフリー・エプスタインに対する連邦捜査に関する文書にトランプ大統領の名前が記載されていると主張した。これらの文書とエプスタインの死は、トランプ支持者の間で多くの陰謀説や幅広い関心の的となっている。

この関心は、パム・ボンディ司法長官のような政府高官たちの動きを人々が厳しく監視するようにさせている。暴くべき悪質な陰謀はないというトランプ政権の主張を信じないMAGAワールドの一部の人々からは抗議の声が上がった。

マスクが投稿していたちょうどその時、トランプ政権の最高幹部2人が、エプスタイン事件に関心を持つ視聴者層と重なる影響力のあるポッドキャスターたちと共演していた。

ヴァンス副大統領はテオ・ヴォンのポッドキャストに出演し、FBI長官のカシュ・パテルはジョー・ローガンと共演した。ローガンとヴォンは共に「男らしさ(manosphere、マノスフィア)」と呼ばれる、特に若い男性に訴求力のある番組を制作する層に属している。

ヴァンスは、その後削除されたエプスタインに関する投稿を、ポッドキャスト「ディス・パスト・ウィークエンド(This Past Weekend)」の司会者ヴォンが読み上げた際にリアルタイムで知ることになった。

ヴァンスは「この件に対する私の基本的な反応は次のようになる。まず、ドナルド・トランプはジェフリー・エプスタインとは全く何も関係していない。民主党やメディアが彼について何を言おうと、それは全くの嘘っぱちだ」と述べた。

一方、パテルは、マスクの投稿が話題になった時点で、既にローガンとエプスタインに関するファイルについて長々と話していた。

しかし、パテルは、エプスタインが自殺したと主張してMAGA支持者の一部から既に批判を浴びている。彼は陰謀論をさらに深化させるための餌には食いつくつもりはない。

パテルはローガンに対して、「私はイーロンとトランプの会話には一切加わらない。私は自分のやるべきことを分かっている。会話に参加することは私の仕事ではない」と述べた。
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トランプとマスクの間でのNASAをめぐる争いを激化させたホワイトハウスの補佐官(The White House adviser who fueled the Trump-Musk NASA feud

2025年6月6日

『アクシオス』誌
https://www.axios.com/2025/06/06/trump-musk-feud-nasa-white-house-aide

ドナルド・トランプ大統領が先週末、イーロン・マスクによるNASA長官指名を突然撤回した直後、この衝撃的な決定の背後にいる有力者として、ホワイトハウス補佐官のセルジオ・ゴオの名前が一気に浮上した。

なぜ重要なのか:トランプ大統領は木曜日、ジャレッド・アイザックマンのNASA指名撤回が、アイザックマンと親しいマスクを「動揺させた(upset)」と認めた。これは、かつて大統領の「ファースト・バディ(First Boddy)」であり世界一の富豪であるマスクとの木曜日の衝撃的な不和につながった多くの要因の1つだった。

マスクは午後、SNSXでトランプ大統領を激しく非難した。大統領の側近や補佐官たちは衝撃を受け、中にはゴオに憤慨する者もいた。ゴオとマスクの緊張関係が今回の論争の背景にあったからだ。

共和党所属の連邦上院議員たちはまた、ゴオがホワイトハウス大統領人事室長の運営を批判していたマスクへの報復として、NASAの指名を撤回させたと非難した。

ゴオはコメントを拒否した。しかし、ホワイトハウス高官の1人がゴオに代わって『アクシオス』誌に電話をかけ、ゴオの「才能、努力、そして献身(brilliance, hard work and dedication)」を称賛した。

ズームイン:ゴオはホワイトハウスで最も影響力のあるトランプの補佐官の1人であり、ドナルド・トランプ・ジュニアと共にウィニング・ティーム・パブリッシングを設立した。この出版社はトランプとその支持者たちの著書を出版し、1月6日の連邦議事堂襲撃事件後の隔離期間中、トランプに必要な資金を提供していた。

マール・アー・ラーゴに頻繁に出入りするゴオは、トランプの親友であり大口献金者でもある元マーベル社幹部のアイク・パールマッターと親しい関係にある。

ゴオはトランプの2020年再選キャンペーンで資金調達担当の責任者を務め、2024年選挙キャンペーン中には親トランプ派のスーパーPACを設立し、約7200万ドルを投じた。

ズームアウト:政治任命者(political appointees)の審査責任者として、ゴオは新規採用者がトランプの政策を心から支持し、民主党に献金していないことを確認するため、忠誠度テストを実施した。

トランプ大統領が指名した人物の中で、裕福な起業家であるアイザックマンは、前回の選挙期間中に民主党に寄付をしていたことが注目を集めていた。トランプ大統領は土曜日、アイザックマンの指名を撤回した際に、この点を理由に挙げた。

しかし、トランプ大統領は数カ月前にアイザックマンの寄付について知らされていたにもかかわらず、何も言及していなかった。

政権関係者たちによると、今後、宇宙機関の長官が連邦上院で承認されるまで、少なくとも9カ月以上がかかる見込みとなっている。

フラッシュバック:マスクとゴオの間には緊張関係があり、3月に閣議でマスクがマルコ・ルビオ国務長官と口論になった際に表面化したと『ニューヨーク・タイムズ』紙は当時報じていた。

ニューヨーク・タイムズの記事では、ゴオについて触れられていなかったが、ゴオがマスクの人事への関与に憤慨していたと語る政権高官2人の目には、この不在は際立って映った(a conspicuous absence)。

「ゴオはマスクの態度を気に入らないと公言していた。そして閣僚の前で、(マスクに)指摘されるのも嫌がっていた」と、会議に出席したホワイトハウス関係者の1人は語った。

陰謀:水曜日に「オールイン・ポッドキャスト」で行われた討論で、アイザックマンは自身の運命は、ホワイトハウスにおけるマスクの地位低下と「影響力のある顧問がやって来て、(トランプ氏に)『これが事実だ。こいつはやめた方がいい』と言った」ことに関係していると考えていると述べた。
NASA
長官選考に関わった、あるトランプのアドヴァイザーは、「狂っている(It’s crazy)」と語った。この人物は、「アイザックマンは非常に優秀だ。億万長者で、宇宙にも行ったことがある。民主党員で、まさに私たちが求めているタイプの有権者だ。それなのに今、こんな状況になっている」。

ゴオは、自分には責任がなく、NASAを監督する商務科学運輸委員会の委員長を務めるテキサス州選出のテッド・クルズ連邦上院議員を含む共和党所属の上院議員が責任を負っていると述べている。

クルズ議員を含む、指名に関わった複数の共和党所属の上院議員事務所のアドヴァイザーは、アイザックマンに反対した上院議員やスタッフを知らないと述べている。

実際、クルズ議員は、マスクがトランプ大統領を説得してアイザックマンをNASA長官に指名させた12月に異議を唱えている。クルズ議員は当時、2つの問題を提起した。

アイザックマンは昨年、民主党が共和党のティム・シーヒー連邦上院議員(モンタナ州選出)とバーニー・モレノ連邦上院議員(オハイオ州選出)に反対する動きを助長した。

アイザックマンはマスクと同様に、NASAが火星の植民地化に注力することを望んでいるが、クルズ議員は月探査に重点を置いている。テキサス州選出のクルズ議員は、火星における中国の宇宙開発に対抗し、ヒューストンのジョンソン宇宙センターをアルテミス計画(the Artemis program.)の管制センター(mission control)として運用し続けたいと考えている。

舞台裏:マスクはクルズの反対意見を聞いてクルズに電話をかけた。アイザックマンはアルテミス計画を優先すると約束した。シーヒー議員とモレノ議員はアイザックマンに問題はないと述べた。

クルズは4月20日、アイザックマンの指名承認公聴会を開催し、委員会は19対9でアイザックマンの指名を承認した。

連邦上院関係者3人とホワイトハウス関係者2人は、アイザックマンが連邦上院本会議で70票から80票を獲得すると予想していると述べた。これは、僅差で分裂している連邦上院では異例の数字だ。

クルズ氏は本誌の取材に対し、「今週中に承認されると思っていた」と語った。アイザックマンの承認を阻止する動きがあったかと問われると、「それは正確ではない」と答えた。

一方、ゴオは「寄付について繰り返し言及することで、大統領を翻弄した」とトランプの外部アドヴァイザーは述べた。

5月30日、ホワイトハウスからの退任を発表するマスクとの共同記者会見(当時は友好的な雰囲気だったようだ)の前に、ゴオは大統領執務室でアイザックマンの経歴ファイルをトランプ大統領に提出した。その後、マスクが部屋に入り、トランプ大統領はゴオにアイザックマンについて質問した。

面会に詳しい関係者によると、トランプはマスクに対し、「この男は民主党に寄付した」と述べた。

「イーロンがアイザックマンを擁護した訳ではない。『彼は本当に有能だ』と言ったが、確かに民主党に寄付した」と取材源は語った。

ホワイトハウスのスティーヴン・チャン広報部長は書面の声明で、ゴオは「ティームの重要なメンバーであり、トランプ大統領が偉大な政権を築くのを支えてきた」と述べた。

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130日間の上限とは何か? マスクはドナルド・トランプ政権に「留まる」と補佐官は語る(What 130-day cap? Musk is ‘here to stay’ in the Trump admin, adviser says

-マスクがDOGEにどれくらい長く留まるのか、そして実際にどれくらい在籍するのかという疑問が浮上しているが、トランプに近い関係者たちは、終わりは見えないと述べている。
ジェイク・トレイラー、ダシャ・バーンズ筆

2025年2月28日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2025/02/28/elon-musk-doge-work-limit-023375

ドナルド・トランプ政権のホワイトハウス関係者たちは、イーロン・マスクの破壊的なやり方に辟易し、6週間にわたり、マスクが130日間の任期付き臨時公務員として勤務していることに慰めを見出してきた。

しかし、あるホワイトハウス関係者は、マスクの任期の満了日は未定だと述べている。

ハリソン・フィールズホワイトハウス次席報道官は、「ホワイトハウスの誰もが勝利に飽きていない。大統領はイーロン・マスクに、連邦政府における無駄、不正、そして権力の乱用を根絶するという使命を与えた。この使命は、完了するまで続くだろう」と述べた。

政府効率化省の責任者としてマスクは「特別政府職員(special government employee)」に指定されているため、フルタイムの政府職員と同様の財務情報開示義務は免除される。しかし、勤務日数には上限があり、年間365日のうちの130日に限られる。

この勤務日数制限のため、数千人の公務員を解雇し、他の職員にメールで職務遂行の正当性を示すよう求めるなど、連邦政府の組織を劇的に刷新してきた政府効率化省でマスクがどれだけの期間、そして実際に勤務できるのかという疑問が浮上している。

しかし、ホワイトハウス内では、マスクが130日の期限をはるかに超えて、ドナルド・トランプ大統領が許す限り留任するだろうという見方がますます強まっている。

トランプ大統領に近い外部の政治アドヴァイザーは、内部事情について匿名を条件に、「130日が経過するまで日数を数え、留任に反対する人もいるだろうが、私はそれは負け戦(a losing battle)だと思う」と語った。

この関係者によると、マスクは「今後もここに留まる」ということだ。

ホワイトハウスでのやり取りに深く関わっている人物は、匿名を条件にやり取りについて率直に語った。それによると、マスクの政府効率化省トップとしての役割について「制限(limits)」の話は一切出ていないという。マスクと今後の仕事について議論されたことは全てが長期的な視点で行われているという。

外部の政治アドヴァイザーによると、マスクの退任を待ち望んでいる人物の中には、スージー・ワイルズ大統領首席補佐官、ジェームズ・ブレア大統領次席補佐官、そしてホワイトハウス大統領人事室長セルジオ・ゴオたちがいるという。

ホワイトハウス報道官のキャロライン・リーヴィットはこの表現を否定し、「フェイクニュース」と呼んだ。

マスクが短期的なスケジュールで退任するのではないかとの示唆もいくつかある。今月初めのミュンヘン安全保障会議での演説で、JD・ヴァンス副大統領は、マスクが受けてきた批判について冗談めかして、マスクのタイムラインを認めた。

ヴァンスは「冗談として言うのだが、アメリカの民主政治体制がグレタ・トゥーンベリの10年間の叱責に耐えられるなら、皆さんはイーロン・マスクの数カ月なら耐えられるだろう」と述べた。

しかし、マスクがどれだけ長く政権にとどまるかは、たった1人の人物にかかっているのかもしれない。上級スタッフからの不満はあるものの、トランプ大統領がマスク疲れ(Musk-fatigue)を感じているという明確な兆候はまだ見られない。

ホワイトハウスの幹部スタッフがマスク氏に対して常に抱いている不満の1つは、彼の広範かつ散発的な意思決定(sweeping and sporadic executive decision-making)だ。最近では、ワイルズと部下たちは、政府機関に衝撃波をもたらしたマスクの「5つのこと」メール(“five things” email)について、苛立ちを募らせながらも何も知らされていなかった。ホワイトハウスでのやり取りに深く関わっている人物によると、マスクはホワイトハウスの中核スタッフに事前に通知することなく、政府職員に最後通牒を突きつけた。ホワイトハウスでのやり取りに深く関わっている人物によると、マスクはこれまでにも何度かそうしたことを繰り返している。マスクは今週、事前に大統領の承認を得ていたと述べている。

ワイルズは「ティームプレーヤー(team players)」の信条を掲げており、これはマスクのアプローチとは正反対だとこの関係者は述べている。

マスクが持つ臨時職員の地位は、政府が専門職員を短期的に雇用できるようにするために設けられていた。バラク・オバマ政権下では、フーマ・アベディンが国務省の臨時アドヴァイザーに任命され、130日を超える在職期間だったとして、チャック・グラスリー連邦上院議員(アイオワ州選出、共和党)から追及された。トランプ大統領の最初の任期中は、スコット・アトラスがパンデミック関連の問題で大統領に助言する地位を与えられた。

コロンビア大学法科大学院(ロースクール)教授で政府倫理を研究するリチャード・ブリフォートは次のように語った。「政府特別職員とは、助言を与えるためにやってくる専門コンサルタントのことだが、彼の仕事は助言の域をはるかに超えているように思う。もし彼が部下たちに『5つの要点を箇条書きで送ってくれなければクビだ』と言っているのであれば、それは助言の域を超えていると私は考える」。

今週初めのホワイトハウスでの記者会見で、リーヴィット報道官はホワイトハウスが130日制限を「回避(work around)」しようとするかどうかという質問を避けた。

リーヴィットは「私たちがここに来てから大体35日くらいだと思うので、100日後に質問して欲しい」と述べた。

トランプ政権が130日ルールをどのように回避するかは依然として不明だが、トランプの外部の政治アドヴァイザーは政権が正当化できる理由を求めると予想している。

アメリカ政府倫理局が2024年に出した法的勧告には、1つの可能​​性が詳述されている。文書によると、「予期せぬ事情」により130日制限を超えて勤務する臨時職員は、その状況が「特異で、発生する可能性が低い」場合、翌年も同じ職務を継続することを承認される可能性がある。

130日の期限を超えて勤務するマスクに対する法的措置の可能性がどのような影響を与えるかは未検証であり、依然として不透明だ。しかし、マスクやトランプ大統領が行政府の誰かによって阻止される可能性は低いだろう。

ブリフォートは「現在、政府倫理担当の責任者がいないという事実を考えると、一度滞在期限を超過した場合、次回は滞在期限内に収まるかどうか疑わしいという方針を政府高利化省が強制できるかどうかは明らかではない」と述べた。

トランプ大統領は今月初め、政府倫理室の質長を解任した。現在はシェリー・K・フィンレイソン室長代理が指揮を執っている。

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今日が誕生日:ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)こにゅにケーション部門担当セルジオ・ゴオ(BIRTHDAY OF THE DAY: Sergio Gor, communications director for Sen. Rand Paul (R-Ky.)

ダニエル・リップマン筆

2017年11月30日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/story/2017/11/30/playbook-birthday-sergio-gor-270499

・どのように、そして、どこで、誰と誕生日を祝う?

「ブッシュ大統領の元ホワイトハウス大統領報道部長ナンシー・テイスが自宅で25人ほどの友人を招いて夕食会を開いてくれる。ナンシーは、私が10年ほど前にジョージ・ワシントン大学の学部課程に入学するためにワシントンに来て以来、私のメンターだ!

・政治の世界に入ったきっかけは?

「大学の保守活動だ! 大学の共和党支部から、ジョージ・ワシントン大学の「ヤング・アメリカズ・ファウンデイション(Young America’s Foundation)」の立ち上げ、「GWハチェット」の当時の編集長ジェイク・シャーマンとのスパーリングまで。世間は狭いと実感している。

・今読んでいる、あるいは読み終えた面白い本や記事は何? またその理由は?

ドナ・ブラジールの『ハックス(Hacks)』。前回の選挙の失敗を包み隠さず語る誠実なリベラル派だ。

アメリカ内外で進行しているトレンドで、十分に注目されていないものは何か?

「保守派はリベラル派の間で発展しているエネルギーを過小評価しているが、民主党の全体的な混乱とヴィジョンの欠如は、2018年には我々に有利に働くだろう。」

トランプ大統領の動向は?

「保守派は、彼が行った行政府と司法府の任命に興奮している。彼のアメリカ・ファーストのヴィジョンは、海外への介入を減らすことに非常に合致しており、長年にわたって世界中のあらゆる国に干渉してきた後の前向きな一歩だ」。

ワシントンの人々があなたについて知らないかもしれない楽しい事実は何?

「昨年ローマ教皇庁を訪問した際、教皇フランシスコが頭に被っていた白いスカルキャップを私にくれたこと」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 第2次ドナルド・トランプ政権の重要政策は南部国境警備で、不法移民対策だ。その一環として、政権発足直後から、米移民・関税執行局(ICE)による大規模な捜査、摘発、強制送還を行っている。これに対して、最近になって、ロサンゼルスでの抗議活動が行われ、トランプ政権自体に対する抗議活動が全米に広がっている。トランプの政策は軒並み不支持率が高いが、移民対策だけは支持率が高い。そのために、厳しい取り締まりを続けると私は考えていた。

 しかし、アメリカで生活をしてみると分かるが、不法移民がいなければビジネスが立ち行かないという産業分野がある。レストランの下働きやホテルでシーツを替えたり、部屋の掃除をしたりするメイド、農場で農作業を行う人々、建設現場で働く人々など、低賃金で、長時間の労働を強いられる厳しい労働において、不法移民は重要な労働力となってきた。不法移民が低賃金で働くことで、サーヴィスや物の値段が抑えられている。

私がロサンゼルスに住んでいた時、毎朝、あるホームセンターの一角にヒスパニック系の人々がたむろしている様子を見ていた。それは、その日にそこで仕事を得ようとしている人々だった。彼らは不法移民だった。彼らは偽造されたソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保障番号)のカードを持っていて、それで仕事をしようとしていた。アメリカでは何にでもソーシャル・セキュリティ・ナンバーが必要で、私もティーチング・アシスタントをする際に取得した。

 トランプ大統領はこうした特定のビジネス分野に関して、不法移民の捜査の一時停止を示唆した。それに対して、厳しい取り締まりを行うべきだと主張する政治家たちもいる。第2次トランプ政権の国境問題担当の責任者トム・ホーマンは、「良い暮らしをしたいということで人々がやってくるのは理解できる。ここに仕事がなければ来なくなる」という趣旨の発言をしている。アメリカ人が不法移民と同じ条件で働くならば、事業者たちもアメリカ人を雇うだろう。それでは実際にはどうだろうか。それは無理だ。厳しい労働環境で仕事を続けられる人は少ないだろうし、そもそも低賃金だ。アメリカ人が働いてくれない以上、不法移民に頼らざるを得ない。

 私は、アメリカ大統領選挙期間中、トランプはアメリカ人にきちんと働けということを言っているのだと感じた。トランプは「自分が製造業で仕事を作ってやる。みんなが働きたいと言うから。仕事があるのだから文句を言わずに働いてきちんと生活しろ」と述べていると感じた。しかし、それも限界がある。非常に厳しい仕事をアメリカ人はやりたがらないし、そもそもできない。ここに大きな矛盾がある。大きな声でスローガンだけを叫ぶ時期は過ぎつつある。アメリカ人は楽に稼ぐと考えを改めねばならないだろうが、おそらく無理だろう。そして、そうやって国は衰退していく。近代ヨーロッパの世界支配が始まって、覇権国となった国々に共通しているのは、最後には金融や投資に向かって、衰退していったということだ。アメリカもそうなっているし、日本もそうなっている。そうやって衰退していく。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ政権によるICEの特定産業への捜査一時停止についてコットン議員は次のように述べた:「いかなる種類の執行も撤回すべきではないと思う」(Cotton on Trump ICE pause on select industries: ‘I don’t think we should pull back on any kind of enforcement’

エルヴィア・リモン筆

2025年6月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5351853-tom-cotton-trump-ice-pause-select-industries/?tbref=hp

トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は日曜日、ドナルド・トランプ政権が米移民・関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)に対し、農業、ホテル、飲食業界の労働者に対する強制捜査の一時停止を指示したことを受け、ICEは「いかなる種類の執行も手控えるべきではない」と述べた。

コットン議員はCBSニューズの「フェイス・ザ・ネイション」に出演し、マーガレット・ブレナンに対して、アーカンソー州内の農業産業の状況を考え、この措置に賛成かと問われた際、「職場における強力な執行が必要だ(we need to have robust worksite enforcement)」と述べた。

コットン議員は次のように述べた。「いかなる種類の執行も手控えるべきではないと思う。あらゆる産業における職場における執行は前進していく必要がある。そして、最前線で働くICE職員は、政治指導者たちの支援を必要としている」。

国土安全保障省(Department of Homeland SecurityDHS)は土曜日、ニューズネイション(NewsNation)への声明で、強制送還政策の転換を認めた。これはトランプ大統領がトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で「変化は起こる(changes are coming)」と示唆してから数日後のことだ。

トランプ大統領は木曜日に「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー産業の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、非常に優秀で長年働いてくれる労働者が奪われており、それらの仕事の代わりはほとんど不可能だと主張している」と書いた。

トランプはさらに「これは良くない。農民を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は起きる!」と付け加えた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、国土安全保障省当局者たちは、強制退去と拘留に関してはホワイトハウスの指示に従うと述べた。

国土安全保障省(DHS)のトリシア・マクラフリン報道官は、「大統領の指示に従い、最悪の犯罪者である不法移民たちをアメリカの街から排除するために引き続き取り組んでいく」と述べた。

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トランプ大統領がICEに特定産業への捜査を一時停止するよう指示した(Trump directs ICE to pause raids against certain industries

アシュレイ・フィールズ筆

2025年6月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5350734-trump-ice-hotel-agriculture-restaurant-raids/

ドナルド・トランプ政権は、米移民・関税執行局(ICE)に対し、農業、ホテル、飲食業界の労働者に対する強制捜査を一時停止するよう指示したとニューズネイション(NewsNation)が確認した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙が最初に報じたところによると、ICEの上級職員であるテイタム・キングは木曜日、地域の指導者たちに宛てたメッセージで、「本日より、農業(水産養殖および食肉加工工場を含む)、レストラン、そしてホテル経営における全ての現場強制捜査・捜査活動を一時停止するように」と述べた。

国土安全保障省(DHS)は、トランプ大統領がトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で「変化が起きる」と示唆した数日後、ニューズネイションへの声明で、国外退去政策の転換を認めた。

トランプ大統領は木曜日に「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー業界の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、非常に優秀で長年働いてきた労働者の職が奪われており、それらの仕事の代わりを見つけることはほぼ不可能だと主張している」と書いた。

トランプ大統領は「これは良くない。農民を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は起きる!」と付け加えた。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、国土安全保障省当局者たちは、強制退去と拘留に関してはホワイトハウスの指示に従うと述べた。

国土安全保障省のトリシア・マクラフリン報道官は「大統領の指示に従い、最悪の犯罪者である不法移民たちをアメリカの街から追放するために引き続き尽力する」と述べた。

当局はここ数日、カリフォルニア州全域で複数の職場への家宅捜索を実施しており、一部の従業員が米移民・関税執行局(ICE)によって迅速に拘留されたため、事業主たちは動揺している。

カリフォルニア州の収容施設における非人道的な環境と過密状態への懸念が高まる中、家宅捜索を受けて全米で大規模な抗議活動が勃発している。

トランプ大統領は、ロサンゼルスで騒乱が続く中、州兵と海兵隊をカリフォルニア州に派遣した。
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ホーマンはドナルド・トランプ政権が職場における移民執行を強化すると述べている(Homan says Trump administration to ramp up workplace immigration enforcement

アシュレイ・フィールズ筆

2025年6月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5347195-homan-says-trump-administration-to-ramp-up-workplace-immigration-enforcement/

ドナルド・トランプ大統領の国境担当責任者トム・ホーマンは水曜日、「セマフォー」とのインタヴューで、職場における移民操作執行が「大幅に拡大する(massively expand)」と述べた。

ホーマンの発言は、ロサンゼルスの抗議者たちがトランプ政権による広範な国外追放推進に抗議するデモを続ける中、米移民・関税執行局(ICE)の職員たちがネブラスカ州の食肉加工工場で働いていたとされる不法移民数十人を強制送還した数日後に行われた。

ホーマンはセマフォーに「彼らはより良い生活と仕事を求めてここに来ており、その気持ちは理解できる」と語った。

ホーマンは「こうした磁石を取り除けば取り除くほど、来る人は減る。仕事が見つからなければ、ほとんどの人は来ないだろう」と付け加えた。

移民研究センターによると、合法的な滞在資格を持たない移民のほとんどは、配達ドライヴァー、農業、サーヴィス業などの分野で仕事を見つけることができる。

農家や食品配達会社は、合法的な滞在資格を持たない移民の強制送還に不満を表明し始めており、強制送還は労働力と事業運営を脅かすと主張している。

トランプは木曜日のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー産業の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、優秀で長年働いてきた労働者の職が奪われ、その仕事の代わりはほとんどいないと主張している」と述べた。

「多くの場合、非常に愚かなバイデンの国境開放政策によって我が国への入国を許可された犯罪者が、これらの仕事に応募している。これは良くない。私たちは農家を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は必ずやってくる」と付け加えた。

しかしながら、3月にドアダッシュ(DoorDash)は、移民政策の変更が自社のビジネスモデルに悪影響を及ぼす可能性があると警告した。

ドアダッシュは米証券取引委員会(SEC)への提出書類の中で、「移民法、労働法、雇用法を含む特定の法律や規制の変更、あるいはプラットフォームへのアクセスを制限し、アクセスを低下させるような変更(プラットフォームへのアクセスを制限、または特定の法域におけるダッシュ利用者(Dasher)への柔軟性提供を制限する変更を含む)は、ダッシュ利用者のプール減少につながり、ダッシュ利用者獲得の競争激化や採用・雇用コストの上昇につながる可能性がある」と述べている。

さらに、「ダッシュ利用者の獲得、既存の​​ダッシュ利用者を有利な条件で維持、または既存のダッシュ利用者によるプラットフォームの利用維持・増加に失敗した場合、加盟店や消費者の需要に応えられなくなり、当社の事業、財務状況、および業績に悪影響が及ぶ可能性がある」と付け加えている。

火曜日にICEの強制捜査を受けたネブラスカ州の事業主は、従業員たちの身元確認のため、国土安全保障省が管理するシステムであるE-Verifyを利用して、従業員たちが合法的にアメリカに滞在していることを確認するよう努めていると語った。

しかしながら、当局は家宅捜索の後、システムが「壊れている(broken)」と告げ、求職者たちを適切に処理する方法が分からなくなってしまった。

グレン・バレー・フーズのチャド・ハートマン社長はAP通信の取材に「一体どうすればいいのか? これは政府によって運営されている、あなたたちのシステムだ。なのに、システムが機能していないから私を家宅捜索するのか?」と語った。

米移民・関税捜査局(ICE)の職員は、採用の最善の方法を見つけるのを手伝うと彼に伝えた。一方、トランプ大統領は木曜日、強制送還によって混乱を招く可能性のある農場労働者たちのための「常識的な(common sense)」政策を保証する大統領令に署名すると約束した。

トランプ大統領は記者団に対して、「私たちの農家は大きな打撃を受けている。彼らには非常に優秀な労働者がいる。彼らは20年間、私たちのために働いてきた。彼らはアメリカ市民ではないが、素晴らしい人材に成長した」と語った。

トランプは「農民とその住民全員を連れ戻し、彼らを送還することはできない。なぜなら、彼らは持つべきものを持っていないかもしれないし、持っていないかもしれないからだ」と述べた。
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 古村治彦です。

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 ロサンゼルスで実施された米移民・関税執行局の不法移民一斉摘発に対して、抗議活動が展開され、参加者の一部が暴徒化し、暴力、器物損壊、略奪行為を行い、多くの逮捕者が出た。また、ロサンゼルス市のカレン・バス市長は夜間外出禁止令を出した。

今回のロサンゼルスでの抗議活動を契機にして、全米の拡大都市でも抗議活動が行われているが、これらはICEに対する抗議だけではなく、トランプ政権の施策全般に対する抗議活動となっている。抗議活動を主導しているのは「ノーキングス(No Kings)」という団体だ。
 今回の抗議活動について、アメリカ国内では意見が分かれている。トランプ大統領が州兵を動員したことについては反対が多い。州兵に指揮権は州知事にあるが、特別なケースでは大統領が指揮権を連邦化(federalize)することができる。一方で、抗議活動については、支持が36%、不支持が45%となった。メキシコや他の中南米諸国の国旗を掲げること、略奪が発生するまでに事態がエスカレートしたことが拒否反応を惹起したということが考えられる。

トランプ大統領の支持率について見てみると、興味深い。全体として不支持が高く、重要問題について調べてみても不支持が高いのであるが、移民問題だけは支持が不支持を上回っている。トランプ政権としては移民問題が政権の支持を支えるための重要な要素となっている。そのために強硬な手段を選択しているが、人手不足に陥っている業界もあり、政策の一部変更を示唆している。農業や建設など厳しい肉体労働において、不法移民は重要な労働力となっている。トランプ自身は柔軟性のある対応を行いたいが、政権内の強硬派の存在にも配慮しなければならない。おそらく、犯罪歴がある不法移民やギャングメンバーたちから捜索・逮捕し、強制送還するように変更することになるだろう。内憂外患の状態であり、トランプとしては舵取りが難しいところだ。
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トランプは自分が優位に立っている間は決して辞めることができないように見える。ロサンゼルスの抗議活動がそれを証明している。(Trump never seems able to quit while he's ahead. The L.A. protests prove it.

-トランプは危機を利用できると考えた。しかし、どこまでが行き過ぎなのだろうか?

スーザン・デル・ペルシオ(共和党系ストラティジスト)筆

2025年615

MSNBC

https://www.msnbc.com/opinion/msnbc-opinion/trump-poll-los-angeles-protests-immigration-rcna212751

2008年、バラク・オバマ次期大統領の首席補佐官ラーム・エマニュエルは、「深刻な危機を決して無駄にしてはならない(You never let a serious crisis go to waste)」という有名な言葉を残している。

ドナルド・トランプ大統領の言い方は、「危機を作り出し、煽り立て、そしてその危機を自らの利益のために利用する(Create a crisis, stoke the crisis and then use that crisis to your advantage)」と考えているように見える。

そして、ロサンゼルスで抗議活動が運転者のいない自動車に放火し始めた時、トランプはまさにその危機を利用できると確信した。

今度もまた、トランプは議論の論点を変えようとしている。つい最近、私たちは予算削減とイーロン・マスクとの確執について話していた。しかし、今は違う。

彼は、略奪と混乱という暴力的な映像(比較的限定的だったとはいえ)を用いて州兵を派遣し、続いて700人の海兵隊員を派遣した。明らかにトランプは、ロサンゼルスが実際に支援を必要としていたかどうかに関わらず、軍隊を使って力を見せつけようとしていた。物語は明白だった。アメリカは守られる必要があり、彼はそれを守るためにそこにいるということだ。一方、民主党は弱腰で、アメリカ国民よりも移民のことを気にかけている。今度もまた、トランプは議論を変えることができる。つい最近まで予算削減とイーロン・マスクとの確執について語っていたのに、今はそうではない。

ホワイトハウスのスタッフは、少なくとも当初は、この幸運が信じられなかった。アクシオス誌によると、ホワイトハウスとその支持者たちは、抗議活動をトランプ大統領の移民政策と「大きくて美しい予算案」を推進する政治的機会と捉えていたという。「これは大きくて美しい予算案のマーケティングとしては史上最高だ。国境対策予算の増額と移民執行の重要性を前面に押し出した」と「ターニングポイントUSA」の広報担当者アンドリュー・コルヴェットは述べた。

トム・ホーマンとトランプは、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサムを逮捕すべきかどうかについてアドリブで(ad-libbing)語り始めた。マイク・ジョンソン連邦下院議長はトランプへの忠誠心を示すことに躍起になり、ニューサムに「タールを塗られ、羽根を被せられるべきだ(ought to be tarred and feathered)」と発言した。

しかし、暴力的な抗議活動や路上での略奪行為は民主党にとって勝利をもたらす選挙メッセージではないが、トランプのますます過激化するレトリックとエスカレーションへの執着は、それ自体が政治的リスクを伴う。

移民問題は、少なくとも最近までは、トランプが確実に支持を得ていた問題だった。2025年1月にキュニピアック大学が登録有権者を対象に行った世論調査では、トランプの移民問題への対応を支持する有権者は47%、不支持は46%だった。しかし、先週の木曜日から月曜日にかけて実施されたキュニピアック大学の最新の世論調査では、トランプの移民問題への対応を支持する登録有権者はわずか43%で、不支持は8ポイント上昇して54%に達した。(日曜日にSurveyMonkeyが実施したNBCニューズのDecision Desk Pollでは、国境警備と移民問題への対応を支持する人が依然として51%と、僅差で過半数を占め、トランプがこの問題で優位に立っている。)

一方、YouGov(ユーガヴ)が火曜日に実施した4300人の成人を対象とした世論調査では、トランプ大統領による州兵派遣に反対する人が45%、賛成する人が38%だった。海兵隊派遣には反対する人がさらに多かった。

トランプ大統領はほぼ常に、できる限りのことをしようとしてきた。自らの権力の限界を試すのは彼がいつも選ぶ手段だ。しかし、最初の任期中は、周囲からしばしば抑制されてきた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、2019年の大統領執務室での会合で、トランプ大統領は移民のアメリカ入国を阻止する方法に関する自身のアイデアで側近たちを驚かせ、「移民が石を投げたら兵士が射殺すべきだと公に示唆した後、スタッフからそれは違法だと指摘されると、大統領は撤回した」と報じている。
トランプ大統領の元国防長官マーク・エスパーは、2020年にトランプ大統領がホワイトハウスの外から「ブラック・ライヴズ・マター」の抗議者たちを排除しようとした際、「撃てないのか? 足や他の場所を撃つだけでいいだろう(Can’t you just shoot them? Just shoot them in the legs or something)」と尋ねたと振り返った。

トランプが軍隊を象徴的にも実際的にも強力な道具だと考えていることは疑いようがない。

今回、トランプは自身の意思決定を容認し、容認するイエスマンや追従者たちを周囲に集めている。一方、共和党議員たちは、メイン州選出のスーザン・コリンズ連邦上院議員とアラスカ州選出のリサ・マーカウスキー連邦上院議員というわずかな例外を除き、彼の軍事介入主義(military interventionism)について沈黙を守っている。そうなると、最終的なチェック役は裁判所だけになる。トランプは、自分が実際にどれほどの権力を持っているのかを確かめ、どれだけの権力を行使できるかを見極めようとしている。

トランプが軍隊を象徴的にも実際的にも強力な道具だと考えていることは、疑いようがない。彼はまた、明らかに憂慮すべき新たな権利意識を抱き、最初の任期で示した法と秩序の姿勢をさらに強めている。しかし、強力な象徴でさえも悪用される可能性がある。

中間選挙まで1年以上あり、それから2年も経つと大統領選挙はほぼ不可能に思えてくる。その時までに、この出来事は何か意味を持つのだろうか? 推測することさえ愚かな気がする。しかし短期的には、トランプが先週獲得したはずの政治的資本は、リードしているうちに諦めることができない彼の無力さによって無駄になってしまうかもしれない。

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ある世論調査によると、ICE(米移民・関税執行局)の捜査に対するロサンゼルスの抗議活動を支持するアメリカ人はわずか3分の1にとどまっている(Only a third of Americans are backing the LA protests over the ICE raids, poll finds

-ドナルド・トランプ政権は、週末にロサンゼルス全域で大規模な移民対策に反対する抗議活動が勃発したことを受け、対応を強化している。

ライアン・ルビン筆

2025年6月10日

『インディペンデンス』紙(イギリス)

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/la-protests-response-approval-rating-b2767215.html

最新の世論調査によると、アメリカ人はロサンゼルスの抗議活動を支持しておらず、米移民・関税執行局(ICE)による強制送還強行に反対する人々の側に立つのはわずか3分の1にとどまっている。

YouGov(ユーガヴ)が4200人以上のアメリカ人成人を対象に行った世論調査によると、約3人に1人(36%)がICEに対する抗議活動を支持し、不支持は45%だった。回答者の19%は「分からない」と回答した。

これは、週末にロサンゼルス全域で大規模な移民政策に対する抗議活動が勃発したことを受け、トランプ政権が対応を強化している中でのことだ。

ドナルド・トランプ大統領は、ロサンゼルスでのデモ鎮圧のため、州兵を含む数千人の軍人を派遣し、ピート・ヘグゼス国防長官は最大700人の海兵隊員を動員した。

抗議活動への対応において誰が主導権を握るべきかとの質問に対し、回答者の56%が州および地方当局の責任だと回答し、連邦政府の介入を支持したのは25%だった。

抗議活動参加者の行動が概ね平和的か暴力的かという点でも、回答者の意見は分かれ、平和的だと答えたのは38%、暴力的だと答えたのは36%だった。

トランプ政権がデモへの対応としてロサンゼルス地域に海兵隊を派遣したことについては、不支持が47%、支持は34%だった。

また、今回の世論調査では、民主党支持者の58%が抗議活動を支持しているのに対し、共和党支持者ではわずか15%だった。

多くの民主党員がトランプ政権の抗議活動への対応を非難する中、民主党のジョン・フェッターマン連邦上院議員は、党が暴力行為を非難していないと非難した。

フェッターマン議員はXへの投稿で次のように述べた。「自動車への放火、建物の破壊、そして法執行機関への襲撃を非難しないということは、我が党が道徳的な優位性を失うことを意味する。私は言論の自由、平和的なデモ、そして移民問題を容赦なく支持する。しかし、これはそれではない。これは無政府状態(anarchy)であり、真の混沌(true chaos)だ」。

日曜日、移民を標的とした米移民・関税執行局(ICE)の襲撃に抗議するデモ参加者と法執行機関が衝突した。ロサンゼルスのダウンタウンでは、自動車への放火や略奪(looting)が報告された。抗議活動は月曜日まで続き、100人以上が逮捕された。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年6月13日にイスラエルはイランの核開発関連施設に対する攻撃を行った。イランの革命防衛隊の司令官と参謀総長が死亡した。イランはイスラエルに向けてミサイルを発射し、報復攻撃を行った。その後、イスラエルはイランに対しての空爆を継続し、イランの国防省を攻撃し、イラン国内の油田・石油採掘施設を攻撃するなど攻撃を拡大している。アメリカのドナルド・トランプ政権はイランとの交渉を行っている最中でのイスラエルによる攻撃に不満を持っている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は極右勢力に支えられ、かつ、自身の汚職からイスラエル国内、国外の注目を逸らさせるために、戦争を拡大しようとしている。極め付きは、アメリカにイラン攻撃への参加を求めている。非常に危険な動きだ。イスラエル、正確にはベンヤミン・ネタニヤフと極右勢力には「自分たちにはアメリカがついている、いや、アメリカ国内政治を動かして自分たちの思い通りに動かせる」という思い上がりがある。

 第1次ドナルド・トランプ政権では、前任のバラク・オバマ政権で成立した、イランとの核開発をめぐる合意から離脱した。そのために、イランは核開発を継続した。それが、第2次ドナルド・トランプ政権では姿勢を転換し、イランとの交渉を開始した。そうした中で、イスラエルによるイラン攻撃が実施された。第2次トランプ政権のイランとの関係修復は賢明な動きである。何よりも、バイデン政権後半で、中国の仲介によって、サウジアラビアとイランの関係改善が成功した。アメリカは中東においてその役割を縮小させ、存在感を減らしている。イスラエルにとってアメリカの中東地域における減退・撤退は死活問題である。イスラエルはアメリカのバイデン政権の仲介で、サウジアラビアとの関係改善、国交正常化を目指していた。しかし、イスラエル・ハマス紛争によってその動きは頓挫した。

 こうして考えてみると、中東地域においても、私の分析の枠組みである「西側諸国(ジ・ウエスト、the West)」対「西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」、「グローバル・ノース(Global North)」対「グローバル・サウス(Global South)」の対立が反映されていると考える。イスラエルは核兵器さえも持つ軍事強国であるが、今回の攻撃は、一種の不安からの暴走であると考えている。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が中東で正しく判断したこと(What Trump Got Right in the Middle East

-アメリカ大統領によるイランへの和解(olive branch)は、ワシントンの外交政策におけるパラダイム・シフト(a paradigm shift)となる可能性がある。

ハワード・W・フレンチ筆

2025年5月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/16/trump-middle-east-trip-iran-us-foreign-policy/

あるニューズ・イヴェントの重要性は、主流メディアがそれをどれだけ軽視、あるいは完全に無視するかによって測られることがある。今週、ドナルド・トランプ米大統領が中東歴訪中に、アメリカの外交政策のパラダイム・シフト(a paradigm shift)に繋がりかねない発言をした時、まさにその通りだった。

トランプが二期目初の外遊を開始して以来、メディアの注目は、旧型エアフォースワンの後継機としてカタールから超高級機ボーイング747を受け入れるという決定(批評家たちからは露骨な腐敗の兆候[a breathtaking sign of corruption]だと広く非難されている)と、アメリカがダマスカスに対する長年の経済制裁を解除すると発表した後にシリアの新大統領アハメド・アル・シャラーと電撃会談を行ったことに集中している。

どちらの話題も、真剣に検討する価値がある。しかし、トランプ大統領が裕福なアラブ諸国を次々と訪問する間、アメリカの各報道機関は、いくつかの例外を除き、中東およびその周辺地域に重大な地政学的影響を及ぼす問題、すなわちトランプ大統領がイランに和解(olive branch)の手を差し伸べる決断について、比較的少ない言葉しか割(さ)かなかった。

トランプ大統領は火曜日、アメリカが40年間執拗な敵として扱ってきたイランと直接交渉する決意を表明した。トランプはリヤドでの演説の中で、「繰り返し示してきたように、たとえ両国の間に大きな隔たりがあったとしても、過去の紛争を終わらせ、より良く安定した世界のために新たなパートナーシップを築く用意がある」と表明した。

ワシントンにおいて、イスラエルとの足並みを揃えた同盟関係、ひいては中東地域の大国にイスラエルの宿敵であるイランの封じ込めを支援するよう働きかける必要性ほど、外交政策に関する信念が深く根付いているものは少ない。この戦略を少なくとも部分的にキャリアに重ねてきた多くのアナリストは、今回の訪問後、トランプ大統領がすっかり忘れてテヘランへの働きかけを放棄するか、あるいはイランがホワイトハウスに考えを変えさせるような挑発的な行動に出るかを期待、あるいは信じているかもしれない。

関税を軸とした経済政策が示すように、トランプは一貫性のある人物と見られている訳ではない。そのため、イランとの和解(rapprochement with Iran)に向けた言葉だけの試みが長続きしないと考えるのは愚かなことではない。しかし、アメリカがこの考えを真剣に追求しないのであれば、それは遺憾である。同盟諸国への高関税から、ガザ地区をパレスティナ人を排除した高級不動産開発地とするという提案(トランプは今回の訪問でもこの提案を繰り返したが、ガザ地区におけるイスラエルの壊滅的な懲罰的軍事作戦にはほとんど注意を払っていない)まで、奇妙でしばしば無意味に混乱を招く姿勢に満ちた外交政策の実績の中で、これは今のところトランプが正しかった数少ないアイデアの1つだ。

1979年のイラン・イスラム革命、そして、1979年後半のイラン人質事件に始まる、長年にわたるアメリカのイランに対する敵意が、どのような結果をもたらしたかを考えてみて欲しい。それは醜悪なバランスシートだ。例えば、アメリカはイラクを支援することで、1980年から1988年にかけてのイラン・イラク戦争を助長した。この戦争では、50万人から100万人の死者が出ており、前世紀で最も多くの死者を出した紛争の1つとなっている。

この歴史において、罪のない主体は存在しない。テヘランは、レバノンのヒズボラ、ガザ地区のハマス、イエメンのフーシ派といった過激派組織に武器と資金を提供し、世界最悪の現代独裁政治の1つである、最近打倒されたシリアのアサド王朝を支援してきた。イランはまた、イスラエルの破壊を主張してきた。

テヘランの忌まわしい立場を弁解する訳にはいかないが、そもそもなぜそのような事態に至ったのかを問わなければならない。その答えの1つは、西側諸国がイランの主権を歴史的に軽視してきたことにある。それは、1953年にCIAの支援を受けて民主的に選出されたモハンマド・モサデク首相が打倒され、イラン国王モハンマド・レザー・パーレヴィが親西側の独裁政権を樹立したことに遡る。イランが長らくイスラエルを敵対的なアメリカと西側諸国の代理と見なしてきたのも、当然のことである。

2000年代以降、ワシントンは1979年に初めて導入したイランの核開発計画を理由に、対イラン経済制裁を着実に強化してきた。しかしながら、イランがなぜ核技術の習得を必要としているのかを公に問うアナリストはほとんどいない。イランが核攻撃に対する正当な恐怖感や、究極の抑止力あるいは自衛手段としての核技術を必要としている可能性を考慮しようとしないからだ。イスラエルが、イランが近いうちに核兵器を開発する可能性に脅威を感じるのは当然だが、イスラエル自身も核兵器を保有している。また、シリアへの継続的な爆撃や領土侵攻が示すように、イスラエルは長年にわたり隣国を攻撃してきた。

2000年代を通じて、私は5年間北朝鮮を取材した。北朝鮮の状況は少なくとも部分的にはイランと類似している。北朝鮮による自国民への弾圧はテヘランよりもさらに顕著であり、海外でも挑発的で忌まわしい行動を頻繁に行っている。北朝鮮には、脅威を感じる歴史的な理由もある。専門家を除けば、朝鮮戦争が70年経った今も公式には終結していないことを認識している人はほとんどいない。そして、国際的に交渉された包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of ActionJCPAP)の下で、北朝鮮はイランと同様に、核開発計画の放棄または制限と引き換えに制裁解除を提案されている。

しかし、1980年代に北朝鮮が核兵器開発に真剣に取り組むようになって以来、それ以降のアメリカ大統領の試みは、北朝鮮の核開発を阻止することには繋がっていない。近年の世界史は、北朝鮮のような国が方針転換に抵抗する多くの理由を示している。ウクライナはソ連時代に自国領土に配備されていた核兵器を放棄したが、数十年後にはロシアの侵攻を受けた。リビアの独裁者ムアンマル・アル=カダフィは、違法な化学兵器開発計画を自主的に停止したが、西側諸国の支持を得て打倒され、最終的には暗殺された。今日のリビアは破綻国家であり、暴力と武器密売の氾濫によってサヘル・アフリカの大部分が不安定化している。

トランプ大統領の最初の任期中の北朝鮮へのアプローチは、最近のイランに対する発言の背後にある論理を示唆している。彼は金正恩委員長とハイレヴェルの個人外交を行い、潜在的に破滅的な地政学的状況を打開するため、二国間の緊張緩和に努めた。トランプの外交は、他の多くのことと同様に、不安定で計画性に欠けていた。朝鮮半島情勢を根本的に変えることもできなかった。

だからといって、トランプの行動の根底にある真実が必ずしも否定される訳ではない。際限のない軍備増強と将来の大惨事の可能性を回避する唯一の方法は、時に長年の敵国と交渉し、相互信頼(mutual confidence)と安全保障の保証(guarantees of security)を築く道を見つけることである。それは性急には達成できない。

イランと交渉することさえ、ワシントンの多くの者にとって受け入れ難いことであり、イスラエル政府にとっては考えられないことだろう。イスラエルは、イランの核兵器開発可能性を理由に、イランを存亡の危機とみなしているだけではない。アメリカの永遠の敵国であるイランの存在は、長年にわたり、アメリカによるイスラエルへの揺るぎない政治的支援、そして継続的な重武装の強力な根拠となってきた。トランプは木曜日、アメリカとイランは核合意の条件について「一応」合意したと主張したが、詳細は依然として不明であり、これがどのように展開するかは不透明だ。

しかし、他の地域では状況が変化しつつあるようだ。ドナルド・トランプ大統領の訪問以前から、サウジアラビアをはじめとする地域におけるイランの伝統的なライヴァル諸国は、テヘランとの緊張緩和への意欲を示し始めていた。こうした動きは、イランを好戦的に封じ込める政策は行き詰まりに陥るという確信から生まれたものと考えられる。地域大国は、数十年にわたる戦争によって中東の豊富な資源と人的資源の両方が浪費されてきたことを認識し始めている。この歴史的悪循環に終止符を打つには、人口9000万人、世界第19位の経済大国であるイランを冷遇から救い出し、テヘラン、アラブ諸国、そしてイスラエルの間に新たなポジティヴ・サム(positive-sum)の力学を構築する必要がある。

もちろん、私たちがこれを実現するには程遠く、多くの欠点や特異な点を抱えるトランプ大統領がそれを実現できる可能性は低い。しかし、何かを変えるためには、あるテーマを提起し、議題に載せなければならない。それがトランプ大統領の中東訪問の最も重要な遺産かもしれない。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『黒人として生まれて:アフリカ、アフリカの人々、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War.)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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