古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2025年12月

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 2025年1月20日に第二次ドナルド・トランプ政権が発足した。あと3週間ほどで1年が経とうとしている。トランプ政権は、ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争の停戦を期待されていたが、ウクライナ戦争については停戦に至らずに2025年を終えようとしている。イスラエル・ハマス紛争は紆余曲折、途中でイランとの紛争もありながら、一応の停戦が実現した。トランプ政権はナイジェリアのイスラム国勢力へのミサイル攻撃や、ヴェネズエラの船舶への攻撃と圧力を強めている。これは、「西半球(Western Hemisphere)」はアメリカの勢力圏だという「モンロー主義」に基づいた行動だ。西半球から反米的矢要素と中国やロシアの影響を駆逐しようという動きだ。これは「ヨーロッパからは撤退する」ということでもある。問題はアジアである。中国がアメリカの強力なライヴァルとなっているが、既にアメリカが単独で中国を楽にいなして勝利するということはできない。中国はアメリカと直接軍事的にぶつからないようにしながら、アメリカの弱体化を待っている。そして、最終的にはアメリカに対して無理せずに勝利を収めるという方向を定めている。トランプ政権も中国には強硬姿勢を取っていない。その代わりに、対中強硬姿勢を強めているのは、日本の高市早苗政権である。その裏には、エルブリッジ・コルビー米国防次官がいる。最新刊でも書いたが、コルビーが圧力をかけて、日本の防衛予算増額を進め、東アジアの不安定化を演出している。日本政府は「東アジアの安全保障環境の悪化」ということを言うが、悪化の一番の要員は日本であり、高市早苗首相の存在である。高市首相の支持率が高いという点で、日本国民に失望している。戦後80年の営為は、このようなアホナ国民しか生まなかったということになる。

 下記論稿は、第二次ドナルド・トランプ政権における外交政策において重要な人物たちを紹介している。私としては、最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)で取り上げた、J・D・ヴァンス副大統領とダン・ドリスコル陸軍長官の関係である。下記論稿には、「またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた」と書かれている。ドリスコル長官については拙著をお読みいただきたいが、ヴァンス副大統領とはイェール大学法科大学院時代からの友人で、軍歴を持ち、ヴァンスが連邦上院議員を務めていた時には補佐官となっている。また、あまり目立たないところで、メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)やスージー・ワイルズ大統領首席補佐官が裏で影響力を持っているということは意外だった。

 来年のアメリカ政治を見ていく上でも参考になる記事なので、是非お読みいただき、できれば繰り返し読むようにしていただきたい。

(貼り付けはじめ)

トランプ2.0の重要な外交政策プレイヤーたち(The Key Foreign-Policy Players of Trump 2.0

-第二次トランプ政権が1年目の節目を迎える中、主要政策に影響を与えているのは誰か。

『フォーリン・ポリシー』誌

2025年12月22日

https://foreignpolicy.com/2025/12/22/trump-administration-key-players-witkoff-miller-hegseth-rubio-bessent-vance/?tpcc=recirc_more_from_fp051524
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ドナルド・トランプ米大統領が第二期目の最初の100日を終えた時、私たちは彼の外交政策の推進役と受動役のリストを公開した。この論稿は、就任初期に最も影響力のある側近として台頭した人物と、脇に追いやられた人物を検証した内容となっている。

大統領就任から約1年の節目が近づくにつれ、そのリストの良い面を改めて検証することにした。その結果、第二期トランプ政権では第一期に比べて人事異動が比較的少なかったことを反映して、その好調さは概ね維持されていることが分かった。また、過去8カ月間で政権内での影響力を拡大した高官も数名存在する。

以下は、トランプの外交政策を形成し、そして発信することに貢献した人物たちのリストだ。

(1)スティーヴ・ウィトコフ(Steve Witkoff)、サム・スコーヴ筆
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ドナルド・トランプ大統領の親友で、億万長者の不動産開発業者スティーヴ・ウィトコフは、中東問題からロシア・ウクライナ紛争に至るまで、幅広い案件を手掛け、大統領の最重要外交交渉担当者として台頭してきている。外交経験は乏しいものの、ウィトコフはロシアで拘束されていたアメリカ人教師の釈放決定(2025年2月)をはじめ、いくつかの成果を上げている。また、ウィトコフはトランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーと共にガザ地区での停戦交渉にも成功し、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を契機に始まったイスラエルとハマス間の紛争を事実上終結させた。

しかし、ロシア・ウクライナ戦争の終結となると、ウィトコフはほとんど成功していない。2025年8月には、トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領との間で行われた和平首脳会談(アラスカ)は、合意なく終了した。ブダペストで予定されていた新たな首脳会談も、ロシア側の譲歩(concessions)の用意がないことが明らかになったため、頓挫した。

ウィトコフは、ロシアとウクライナとの新たな外交ラウンドを主導しており、これはウィトコフとクシュナーが28項目の和平案を共同で作成することから始まった。この取り組みがどれほど成功するかは不透明だ。ウクライナとそのヨーロッパの同盟諸国が当初の案に難色を示したため、既にいくつかの項目が提案から削除されており、ロシアも妥協の用意がないことを改めて示唆している。

ウィトコフの経験不足は、数々の失策や論争を招いている。2025年8月には、ロシアのウクライナ問題における交渉姿勢を誤解し、ロシアが大幅な譲歩を提示しているとウィトコフは主張したとみられるが、実際にはそうではなかった。これがアラスカ首脳会談の失望を招いた結果の一因となったと報じられている。また、2025年11月下旬には、ウィトコフとプーティン大統領の側近との会話の記録が流出し、ウィトコフがロシアに対しトランプへのロビー活動の方法について助言していたとみられることから、辞任を求める声が高まった。

(2)マルコ・ルビオ(Marco Rubio)、ジョン・ホルティウィンガー筆
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トランプ大統領の二期目の最初の100日間、マルコ・ルビオ国務長官はしばしば脇に追いやられているように見えた。特にウィトコフが、通常はアメリカ外交官のトップである国務長官が担う役割を担い、様々な主要課題に関する協議の陣頭指揮を執るよう繰り返し指名されたことがその要因だ。しかし、ルビオは現在、政権内で最も影響力のあるメンバーの1人であり、トランプ大統領が彼を信頼していることは明らかだ。12月初旬、トランプ大統領はルビオがアメリカ史上「最高の国務長官」として記憶される可能性があると述べた。

ルビオは国務長官に加えて国家安全保障問題担当大統領補佐官も務めており、ヘンリー・キッシンジャー以来、両方の役割を兼任する初の人物だ。また、ルビオは米国公文書保管担当官代理でもあり、2月から8月末までは、アメリカ国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSIDA)の解体を監督する間、アメリカ国際開発庁の長官代理を務めた。

トランプからの称賛の言葉や数々の肩書きを越えて、ルビオの政権内での影響力は、ラテンアメリカで進行中のアメリカ軍の作戦にも顕著に表れている。2025年9月初旬に始まり、これまでに80人以上が死亡したラテンアメリカ地域での麻薬密売船とされる船舶への一連の攻撃は、ヴェネズエラの政権交代を促すためのより広範な取り組みの一環と広く見なされており、ルビオはこの取り組みの原動力となっていると考えられる。

ルビオの影響力はロシア・ウクライナ交渉でも顕著に表れており、ロシアの意図をより信頼する傾向にあるウィトコフとトランプ氏に対し、ルビオはロシア懐疑派(Russia-skeptical)としてバランス役として行動している。例えば、2025年10月、トランプ大統領とプーティン大統領の電話会談後、トランプ大統領はルビオに、ハンガリーのブダペストでプーティン大統領と今後開催される首脳会談の詳細を詰める任務を与えた。しかし、ルビオがロシアの同僚と会談した後、計画されていた首脳会談は突然中止された。

そして先月(11月)、ルビオは、ウィトコフとクシュナーによる当初の28項目の和平案がモスクワに過度に有利とみなされたことを受けて、ヨーロッパにおけるアメリカの同盟諸国の不安を和らげるのに貢献したと報じられている。ルビオはトランプ政権において、ヨーロッパとキエフの懸念をより深く考慮するよう働きかけ、和平案はウクライナにとってより受け入れやすい形に修正されたと評価されている。

ウクライナ和平交渉については依然として多くの不透明な点が残っているが、ルビオは依然として議論の中心にいる。

(3)ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)、ジョン・ホルティウィンガー筆
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ピート・ヘグゼス国防長官は、兵士の殺傷能力の向上に重点を置くことで、軍に「戦士の精神」を取り戻すことを誓った。その取り組みの一環として、彼は国防総省、そしてより広範なアメリカ軍における大規模な改革を監督してきた。これらの中には、メディアへのアクセス制限、多様性・公平性・包摂性(diversity, equity, and inclusion)に関する取り組みの廃止、トランスジェンダーの入隊禁止といった物議を醸す措置も含まれている。ヘグゼス長官はまた、自身の肩書きを「戦争長官」に変更し、国防総省を「戦争省」に改称する動きを見せているが、この名称変更には連邦議会の承認が必要となるため、まだ正式には発表されていない。

ヘグゼス長官のトランプ政権における影響力は、彼が巻き込まれた数々の重大スキャンダルからも測ることができる。最初の事件、いわゆる「シグナルゲート」として知られる3月の事件では、ヘグゼスはメッセージアプリ「シグナル」上で、イエメンのフーシ派に対するアメリカ軍の作戦に関する機密計画について、他のアメリカ政府高官とのグループチャットで議論した。このグループチャットには、著名なジャーナリストも不注意にも含まれていた。国防総省監察官による最近の報告書によると、不正行為を否定しているヘグゼスは、自身の行動によって軍人を危険にさらすリスクを負っていたことが明らかになった。

国防長官は、9月2日にカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶に対して行われた作戦についても厳しい視線に晒されている。この事件では、アメリカは最初の攻撃で生き残った2人の男性に対して、追い打ちの2度目の攻撃を行い、2人とも殺害したが、批判者たちはこれを戦争犯罪(a war crime)に相当すると指摘している(ただし、ほとんどの法律専門家は、麻薬密輸船とされる船に対するアメリカの作戦全体が違法であるとしている)。ヘグセス国防長官が直接2度目の攻撃を命じたのか、それとも作戦を監督した特殊部隊司令官が国防長官の指示に従って行動しただけなのかなど、事件の詳細については未解決の問題が残っている。トランプ政権は、これまでに攻撃の対象となった船が麻薬密輸に関与していたという主張を裏付ける証拠を公には一切提示していない。

ヘグセスをめぐる論争は、国防長官としての彼の任期も長くは続かないのではないかという憶測を呼んでいるが、彼は依然として謝罪もせず、反抗的な態度を崩していない。12月初旬の演説で、ヘグセスは船舶攻撃を擁護し、トランプ大統領は「我が国の国益を守るために、適切と判断すれば断固たる軍事行動を取ることができるし、また取るだろう」と述べた。

しかし、一部の共和党員でさえもこの攻撃について国防長官を批判していることから、ヘグセス長官がこの嵐を乗り切ることができるかどうかは、まだ分からない。ヘグセスは陸軍州兵の退役軍人であるが、国防長官に就任するまでは政府での経験がなく、トランプ政権の閣僚の中で最も不適格な人物の1人と見なされていた。一方、トランプは、ヘグセスがこの職務に不向きであると内部から指摘されても、反論することを止めたと報じられている。

(4)JD・ヴァンス(J.D. Vance)、レイチェル・オズワルド筆
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J・D・ヴァンス副大統領は、連邦上院議員時代の実績の通りに、政権内で発言力を持つ存在として台頭し、大西洋横断関係においてアメリカの寛大さや保護主義を緩和し、国内外で強硬な反移民政策を主張している。

今年初め、ヴァンス副大統領は、大統領執務室を訪問した、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアとの戦いにおけるアメリカの支援への感謝が不十分だと公然と非難した。またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた。

ヴァンス副大統領は、トランプ政権第二期の初めにミュンヘン安全保障会議で注目を集める演説を行い、長年のヨーロッパの同盟諸国が移民の受け入れを過剰に受け入れ、台頭する極右ポピュリスト政党への包摂性に欠けていると非難し、ヨーロッパに衝撃を与えた。ヴァンスはまた、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の「正当性を失わせようとしている」として、ドイツ政府を繰り返し批判してきた。ドイツ情報機関はAfDを過激派グループに指定しており、一部のドイツ政治家はAfDの活動禁止を求めている。

自分の考えを伝える手段としてXポストをよく利用する副大統領は、最近、カナダの政治指導者たちを痛烈に批判し、「移民の狂気」と称する行為によって多様性を推進することで、カナダの生活水準を損なっていると非難した。

ウクライナ防衛のためにワシントンがどれだけの費用を負担すべきかといった問題に関して、ヴァンスが示す孤立主義的な見解と、西側諸国の民主政治体制国家の内政に積極的に介入しようとする姿勢は、ホワイトハウスが今月初めに発表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」に典型的に見られる、極めて取引的でしばしば一貫性のない「アメリカ・ファースト」の外交政策を象徴している。

(5)エルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby)、レイチェル・オズワルド筆
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(左から)小泉進次郎防衛相、玄葉光一郎衆院副議長、小野寺五典元防衛相、コルビー、小野田紀美経済安保担当相(2025年4月30日、ワシントンDCにて)
米国防総省の政策責任者が、エルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)の就任後8カ月でこれほどの影響力を発揮するのは異例だ。これは、彼の上司であるヘグゼスが国防総省規模の官僚組織運営の経験がほとんどないこと、そしてヘグゼスがコルビーの官僚的影響力を弱めるはずだった多くの上級将官を解雇したことが一因となっている。

国防次官就任前、第一次トランプ政権で国防次官補(戦略担当)を務めたコルビーは、対中強硬派として知られ、ヨーロッパを犠牲にしてインド太平洋地域におけるアメリカ軍資源の優先を主張してきた。それでもなお、ウクライナへの武器輸出の一部の一方的停止や、広く支持されているオーストラリア・イギリス・アメリカの防衛連携の見直し再開といった行動を含め、コルビーが自らの政策を実行に移す際の精力的な姿勢は、多くの人々を驚かせた。

連邦議会の民主党と共和党は共に、コルビーがルーマニアから800人の兵士を撤退させるという国防総省の最近の決定など、監視責任を果たすために必要な基本的な防衛関連情報を隠蔽していると非難している。コルビーと連邦議会防衛監視当局者との間で高まる超党派的な緊張は、その多くがアメリカによるヨーロッパ・中東への軍事的関与維持を支持する立場にあることから、公の場へと波及している。その結果、コルビーの事務所に指名された複数の連邦政府上級職員候補者の任命が、連邦議会からの十分な支持を得られないまま停滞している。

(6)スティーヴン・ミラー(Stephen Miller)、レイチェル・オズワルド筆
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スティーヴン・ミラーは、ホワイトハウスで外交政策の実務に携わる立場ではないものの、トランプ大統領の大統領次席補佐官として、積極的かつ包括的な反移民政策の実行における信頼できる窓口として、アメリカへの移民を送っている多くの国々との二国間関係に直接的な影響を与えてきた。

ミラーは、難民、亡命希望者、一時的保護ステータスまたは人道的仮釈放中の者、H-Bヴィザの専門職労働者、季節労働者、そして特に不法移民労働者に対する政権の厳しい取り締まりを公に訴えてきた。2025年11月にワシントンで、今年初めにアメリカ政府から正式な亡命を認められたアフガニスタン人男性が州兵2人を射殺する事件が起きた後、ミラー氏は、2021年にアフガニスタンがタリバンに陥落した後、多数のアフガニスタン国民のアメリカへの移住を許してきた政策の終結を、痛烈かつ外国人排斥的な言葉で訴えた。

ミラーはまた、ルビオと緊密に協力し、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の追い落としを目指す政権の取り組みを支援してきたほか、カリブ海と東太平洋の麻薬密輸船とされる船舶に対するアメリカのミサイル攻撃を強く擁護してきた。

(7)ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)、リシ・イエンガー筆
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トランプ大統領の義理の息子であるクシュナーは、第二次政権では表舞台に立つことは少なく、第一次政権のような正式な「特別補佐官(special advisor)」の役職も担っていない。しかし、クシュナーはウィトコフと共に、トランプ政権が今年行った2つの主要な外交交渉に取り組んだ。

10月初旬には、20項目からなるガザ和平合意の最終決定を支援するためイスラエルを訪問し、11月には単独でイスラエルのネタニヤフ首相と交渉を続けた。また、12月初旬にはモスクワでプーティン大統領と数時間にわたり対面し、その後にゼレンスキー大統領と2時間にわたる電話会談を行ったと報じられている。この電話会談では、ウクライナにおけるロシアの戦争終結に向けた、現在も継続中の交渉の進展が追求された。

ウィトコフと同じく、クシュナーも自身の事業における利益相反について懸念が持たれている。彼の企業は、中東地域でアラブ湾岸諸国と数十億ドル規模の取引を行っており、ガザ地区の戦後における彼の役割について疑問が持たれている。

しかし、ガザ和平合意が発表された直後、クシュナーは(再びウィトコフと共に出演した)、テレビ番組「60ミニッツ」でのインタヴューで、こうした懸念を一蹴した。「人々が利益相反と呼ぶものを、スティーヴと私は世界中で培ってきた経験と信頼関係と呼んでいる」とクシュナーは述べた。

(8)スコット・ベセント(Scott Bessent)、キース・ジョンソン筆
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スコット・ベセント米財務長官は、歴代の前任者の多くと同様、政権の外交政策における中心的な役割を担う人物の1人となっている。そして、トランプ政権第二期目の2年目には、その役割はさらに大きな影響力を持つものになる可能性がある。

ベセント長官は、トランプ政権の貿易戦争(trade wars)について真っ先に批判してきた。長年、関税や貿易障壁に対して合理的な懐疑論を唱えてきたウォール街のヴェテランにとって、これは意外な役割かもしれない。しかし、ベセント長官は今、他国の行動を強制するために輸入税を引き上げることの賢明さを認めている。トランプ政権の数々の貿易戦争は目的を達成していない。アメリカの貿易赤字は今年最初の8カ月間で昨年よりも大幅に拡大し、ヨーロッパ、中国、イギリスとの「貿易合意(trade deals)」は未だに最終決定ではなく、あくまでも願望段階にとどまっている。しかし、少なくとも彼らには強力な応援団がもう1人いる。

ベセントは、2025年12月初旬に行われた会談を含め、中国との進行中の貿易交渉においても主導的な役割を果たしてきた。ワシントンと北京は、貿易休戦(trade truce)を貿易合意のようなものに変化させようと模索を続けている。これは重要な意味を持つ。なぜなら、トランプ政権にとって、中国は国家安全保障上の課題というよりも、はるかに経済的な課題だからだ。

ベッセントはまた、アメリカの国家統治術(U.S. statecraft)をトランプの政治的目的に利用することにも尽力してきた。特に、イデオロギー的な同盟国であるアルゼンチンへのアメリカの救済は、数十億ドル規模の賭けであり、いずれ報われる可能性もある。

しかし、既に強力な影響力を持つ米財務長官ベセントは、来年さらに影響力を強める可能性がある。トランプは依然として、新議長の任命を含む連邦準備制度理事会(FRB)の改革を計画している。その結果、大統領はケヴィン・ハセットを大統領経済担当補佐官に指名し、ベセントを財務長官と大統領補佐官の兼任をさせる可能性がある。そうなれば、トランプ政権の政治課題を支配するであろう、アメリカの国内および海外の経済政策の立案者となる可能性が出てくるだろう。

■特別賞(HONORABLE MENTIONS

(9)Melania Trump、クリスティーナ・リュー筆
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メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)は、ロシア・ウクライナ戦争という重要な例外を除けば、外交政策の注目を浴びないように避けてきた。スロヴェニア出身のメラニア夫人は、ロシアに拉致された数千人ものウクライナの子供たちとその家族の再会を促進する外交努力に積極的に関与してきた。ウクライナ政府は、ロシアが2022年2月に本格的な侵攻を開始して以来、少なくとも1万9000人のウクライナの子供たちを拉致して、強制移送したと非難している。ロシア政府は、この行動は子供たちの安全確保が目的だったと主張している。

メラニア夫人は子供たちの解放を公に求め、プーティン大統領に手紙を書いたと彼女は述べ、その手紙は夫である大統領が個人的に届けたとしている。最終的に、彼女はロシアの指導者と直接連絡を取り、数カ月にわたって裏でやり取りしたと2025年10月に述べている。

注目すべきは、トランプ自身の発言が、メラニア夫人がこの戦争について、夫であるトランプ大統領に助言を与え、時にはプーティン大統領に対する彼の見解に異議を唱えたことさえ示唆していることだ。「家に帰ってファーストレディに『実は今日、ウラジーミルと話した。素晴らしい会話ができた』と言ったら、『えっ、本当に? ウクライナの別の都市が攻撃されたばかりなのに』と言われた」とトランプは7月に大統領執務室で振り返った。

(10)スージー・ワイルズ(Susie Wiles)、クリスティーナ・リュー筆
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大統領首席補佐官として、スージー・ワイルズはトランプ大統領の側近の中核的存在であり、権威ある存在でもある。しかし、彼女は主に影で活動し、舞台裏で重要な役割を果たしてきた。ワイルズがアメリカの外交政策を指揮して注目を集めることは滅多にないが、トランプ大統領は彼女の影響力を称賛し、「世界で最も力のある女性」と公に称賛してきた。

トランプ大統領は7月、「彼女はたった一本の電話だけで国を壊滅させることができる」と明言した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプという人物が常に人々の注目を集めるのは、それが不動産開発業者として大成功して巨万の富を築いても、テレビ番組の有名人になっても、そして大統領になっても(しかも2期)、「融通無碍」であるからだ。その点では一貫している。変化を恐れない。「あの時と言っていることが違うじゃないか」「やっていることがでたらめだ」と非難されても、そうした批判に苦しむことなく、言動や姿勢を軽々と変更する。それがトランプの強さである。そんなことに苦しんでいても何にも物事が進まない、良いことはないということをトランプは分かっているようだ。最たる例は、エプスタイン文書公開をめぐる態度だ。選挙期間中は公開を主張し、政権を担ってからは、パム・ボンディ司法長官からトランプの名前があったという報告もあり、「顧客名簿のようなものない」「公開しない」と姿勢を変え、それに支持基盤の有権者たちから反発を受けると「弱虫ども」と批判した。それが再び、公開に姿勢を変えた。

 外交政策の面では、ウクライナ戦争をすぐに終わらせると主張してきたが、現在、先週終結の目途は立っていない。戦争勃発後、満4年となる2026年2月24日に何か動きがあるかもしれないと考えるが、ロシアは戦争継続可能な状況で、ウクライナが大反抗をすることができない中で、状況が膠着し、無駄に時間だけが過ぎており、死傷者が増えていく。ウクライナ国内のヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の支持率も下がっており、停戦の潮時ではないかと思う。トランプ支持の有権者たちはウクライナ支援に否定的であったが、トランプは大統領就任直後の会談ではゼレンスキー大統領を叱責したが、その後の会談ではウクライナ支援の継続を発表した。ここでも、トランプの融通無碍さが発揮されている。

 トランプの「融通無碍さ」は学術研究の対象になりにくいが、後の歴史家たちがどのような評価をするのかが楽しみだ。私のトランプに対する評価は「衰退するアメリカ帝国の墓堀人」である。

(貼り付けはじめ)

トランプが支持基盤を裏切り続ける理由(Why Trump Keeps Betraying His Base

-専門家集団(The Blob、ザ・ブロブ、既成の外交政策エリートや広範な官僚機構、学識経験者、シンクタンクなどの総体)が帰ってきた-そしてトランプ政権の外交政策の二転三転の理由を説明する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年7月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/07/21/trump-betray-base-foreign-policy-epstein-putin-ukraine-iran-syria-war/
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ドナルド・トランプ米大統領は2025年3月4日、ワシントンの米連邦議会議事堂で上下両院合同会議の演説を終えた後、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員にキスをした

トランプ政権とMAGA派支持者にとってこれは奇妙な瞬間だ。私が言っているのは、ジェフリー・エプスタインのスキャンダルのことではない。このスキャンダルは、この奇妙な政治カルトの少なくとも数名のメンバーに、深刻な欠陥を抱えた指導者トランプへの奴隷的な忠誠心を疑問視させるに至った。むしろ、トランプの外交政策における最近の転換について述べている。それは、彼がこれまでとってきた立場とは明らかに異なるものだ。

トランプは、2024年の大統領選で約束したように、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と合意し、ウクライナ戦争を「24時間以内(within 24 hours)」に終結させるどころか、ウクライナへのアメリカの援助を永久に停止するどころか、今やキエフへの軍事支援を増強すると約束し、さらにはウォロディミール・ゼレンスキー大統領にモスクワへの直接攻撃を促した(この助言は、このストーリーが発覚後、撤回された)。トランプはバイデン政権時代のようなレヴェルの支援を約束しておらず、この新政策が続くかどうか疑問視する十分な理由もあるが、それでもこれは衝撃的な変化であり、以前は忠実なMAGA派だった扇動的な連邦下院議員マージョリー・テイラー・グリーンやトランプ元側近のスティーヴ・バノンなどから厳しい批判を招いている。

同様に、エルブリッジ・コルビー国防次官などの当局者が長らく主張してきたように、ヨーロッパから手を引いてアジアに急激に軸足を移すのではなく、トランプはNATOへの新たな愛着も表明している。中東問題も放棄していない。イスラエルのやりたいことを何でもさせている(これは最近の歴代米大統領たちがしてきたことだ)。しかし先月、イスラエルの要請でイランとの戦争に突入し、アメリカ軍にイランの核開発計画を廃棄する試みとして爆撃を命じたが、失敗に終わった。ビル・クリストルなどトランプ支持者ではないネオコン派は当然ながら大喜びしたが、タッカー・カールソンなどかつてのトランプ支持者は落胆した。最後に、トランプは最近、NVIDIAが中国への最新チップ販売を再開することに同意した。これは、輸出規制によって中国の技術進歩を抑制しようとした過去の試みから手を引いていることを示唆している。

トランプが新人だと言っているのではない。彼は依然として経済に疎く、関税戦争(tariff war)に固執し、中国とのバランスを取るためにアメリカが必要とする主要同盟諸国との関係を依然として損なっており、かつて優位に立っていたアメリカの科学界を骨抜きにし、一流大学を弱体化させようとする、息を呑むほど愚かな試みを続けている。中国の指導者たちは、きっと大喜びしているに違いない。科学技術の優位性が世界覇権の鍵となる時代に、トランプ政権は一方的な軍縮行為(act of unilateral disarmament)に手を染めている。

トランプは、個人的に敵とみなした者への復讐を続け、認知能力の低下の兆候が顕著になりつつあり、アメリカ史上最も腐敗した政権を平然と率いている。高齢であるトランプが別人のようになることはないだろう。しかし、彼の最近の行動は、彼が約束した外交政策や支持者が期待していた外交政策とはかけ離れている。

こうした変化をどのように説明できるだろうか? 少なくとも3つの可能性が考えられる。

明白な説明の1つは、トランプが外交政策の「ブロブ(Blob)」を抑え込もうとしたにもかかわらず、再びトランプを打ち負かしているということだ。私の前著で述べたように、外交政策のエスタブリッシュメントはトランプの最初の任期中、政府の仕組みを理解しておらず、エスタブリッシュメントを打破するための明確な戦略も、自身のヴィジョンを忠実に実行に移す忠実な官僚集団も持たなかったため、トランプの努力の大半を阻んだ。したがって、貿易政策を除けば、アメリカの外交政策の本質はトランプの最初の任期中、ほとんど変化しなかった。いつも通り、トランプは自身の多くの失敗をいわゆる「ディープステート(deep state)」のせいにし、もし次の機会があれば改善すると誓った。

今回、トランプは、ピート・ヘグゼス国防長官のような写真映えする忠実な支持者や、マルコ・ルビオ国務長官やトゥルシー・ギャバード国家情報長官のような簡単に操れる日和見主義者たち(easily manipulated opportunists)を、閣僚の主要ポストやその他の影響力のある役職に任命することで、専門家集団を克服しようとした。

しかし、主要省庁のトップに従順な部下を置くことは、トランプの期待通りには機能していない。第一に、トランプは部下に明確で一貫性のある、一貫した指示を与えることができない、無能な管理者だ。第二に、多くの人が懸念していたように、ヘグセスは資格も能力もない無能な行政官であり、度重なる失態を犯し、彼のオフィスは機能不全に陥っていると、元側近は語っている。ルビオはネオコン的な傾向が強いイデオローグで、上司に逆らうことはしないものの、危険な方向に導こうとするだろう。

さらに言えば、元司令官たちを解任し、多くの文民職員を解雇することで主要機関の人員が不足し、効率が低下することはあっても、残留した人々の世界観を変えることも、トランプの本能に反する可能性のある政策の推進を阻止することもできない。結局のところ、専門家集団に対抗するには、大統領は賢く、経験豊富で、知識豊富な人材を重要なポストに多く配置し、彼らと協力して、異なる原則を反映した一貫した戦略を策定する必要がある。大統領にはこの目標を達成する機会が2度あったが、いずれも失敗に終わった。

別のより納得のいく説明は、トランプが現実に適応しているだけだというものだ。プーティンとの友好関係は、ロシアの指導者に対する自身の影響力をそれほど強めておらず、プーティンがトランプの意向で戦争を終わらせるつもりもないことにも気づいた。トランプは、プーティンは邪悪な指導者であり、決定的に打ち負かすべきだとするジョー・バイデン前大統領の見解には賛同しないだろうが、プーティンは最終的な勝利を確信している限り真剣に交渉しないだろうと認識し、バイデンのアプローチに近づいている。ウクライナへのアメリカの援助再開は、プーティンに合意を迫る圧力となるはずだが、トランプが約束している援助の規模は、その目的を達成するにはおそらく不十分だろう。それでも、この解釈では、トランプの最近の態度の変化は、彼が学びつつある証拠であり、ディープステートの影響力の残存を示すものではない。

中東についても同様のことが言えるだろう。バイデンと同様に、トランプもイスラエルに本格的な圧力をかけるつもりはなかった。だからこそ、ガザ地区に対するジェノサイド的な戦争は、アメリカの積極的な支援を受けて今もなお続いている。イランは、トランプとルビオが要求する核濃縮能力の放棄に決して同意するつもりはなかった。外交が凍結されていたため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、空爆によってイランの核開発計画を完全に排除し、イスラエルの地域的優位を確固たるものにできるとトランプを説得することに成功した。

しかしながら、この戦争はこれらの目的を達成することができず、イスラエルは依然としてこの地域で真の覇権を確立するには小国すぎる。しかし、この確かに寛大な解釈によれば、トランプは地域の情勢の進展に合わせてアメリカの政策を現実的に調整し、長期にわたる空爆作戦や地上軍のプレゼンスの増強を求める声に抵抗していたと言えるだろう。

中国に関して言えば、トランプ大統領と補佐官たちは、北京との全面的な経済戦争はアメリカ経済に甚大な打撃を与えるものの、中国の技術進歩を阻止することはできないと認識していたのかもしれない。もしそうであれば、NVIDIA製チップの輸出禁止を解除し、何らかの暫定的な貿易協定を交渉することは理にかなっていると言えるだろう。

この説明が正しく、トランプが変化する状況に適応しようとしていると信じたい。しかし、そこにはある程度の一貫性と戦略的ヴィジョンが暗示されているが、その内容は見極めが難しい。イスラエルによるガザ地区住民の殺害を支援し、フーシ派、レバノン、シリアへの爆撃をイスラエルが望む時に許しても、アメリカやイスラエルの安全保障は強化されない。イランへの爆撃は、イランの指導者たちに、潜在的な核兵器国のままでいるのではなく、核爆弾へと突き進むよう促す可能性が高い。ウクライナにパトリオットミサイルシステムやその他の兵器をさらに送っても、戦場の状況やプーチティンの政治的計算は変わらない。そして、政権は両陣営が受け入れ可能な政治的解決策を提示することも、解決策がないことを認めて歩み寄ることもしていない。(トランプ大統領は今年初めに後者の選択肢をほのめかしたが、最終的には撤回した。)確かに、トランプ大統領のホワイトハウスは(全ての大統領がそうであるように)出来事を考慮して政策を修正したが、そのさまざまな対応の背後にある十分に練られた戦略を見るにはかなり目を凝らさなければならない。

残る選択肢は3つ目のものだ。トランプ大統領の外交政策における最近の変化は、主に大統領のエゴによるものだ。ウクライナへの武器供与を増やしているのは、ウクライナの独立に新たな決意を固めたからではなく、プーティン大統領のせいで自分のイメージが下がったからだ。NATO事務総長マーク・ルッテから中世の廷臣並みのおべっかを浴びせられた後、NATOは問題ないと判断した。中東で無意味な戦争に突入したのは、結果に関わらず、何かを爆破すれば自分が主導権を握っているように見えるからだ。

トランプ大統領の関税に対する断続的なアプローチも、この説明と完全に一致している。彼が関税を好むのは、皆の注目を自分に釘付けにできるからだ。関税は上がったり下がったりし、一時停止されたりしてまた導入される。そのたびにメディアは大騒ぎし、再びトランプについて語り始める。

『フィナンシャル・タイムズ』紙のジャナン・ガネーシュをはじめとする一部の観察者たちは、トランプの一貫性や首尾一貫した世界観の欠如と、自身のイメージへの執拗なこだわりこそが、MAGA支持層に共通する教条主義的な過激主義(the doctrinaire extremism)よりも好ましいと考えている。なぜなら、関税と貿易赤字への執着を除けば、真の政策的信念や深く根付いた政策志向が欠如しているため、必要に応じて方針転換が容易になるからだ。

私はそうではないと考える。トランプは国益(the national interest)と彼の個人的利益(personal interest)を切り離すことができず、人材を見極める目も依然として乏しく、おべっかに弱いことでも知られているため、トランプ政権下でのアメリカの外交政策は、これまで以上に不安定で、内部的に一貫性がなく、逆効果になっていることが証明されている。

ワシントンは、かつて唯一の超大国だった頃は(様々な愚行[follies]で多大な代償を払ったとはいえ)これで済んでいたかもしれない。しかし、今日の世界情勢ははるかに容赦ない。大国としての歴史上、最も手強い競争相手と対峙している現代において、衝動的で気まぐれな指導者が、能力ではなく忠誠心で選ばれた部下に命令を下すようなことは、成功への道筋とはなり得ない。

アメリカ人は、ドイツ首相オットー・フォン・ビスマルクが「神は酔っ払い、愚か者、そしてアメリカ合衆国のために特別な摂理を持っている(God has a special providence for drunkards, fools, and the United States of America)」と言ったとされる言葉が正しかったことを願うしかない。アメリカはまさにそれを必要としているだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をお願いいたします。

 最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)の第2章では、アメリカの軍産複合体を生み育てた「現在の危機委員会(the Committee on the Present Dange)」について詳述した。同名の委員会はこれまで4回設立され、アメリカの戦後の外交政策や軍事政策に多大な影響を与えた。特に、第一次現在の危機委員会と第二次現在の危機委員会は、冷戦期のアメリカでソ連と共産主義の脅威を声高に主張し、人々にアピールし、軍事予算の増額を行うことに成功した。軍産複合体を肥え太らせるための存在が「現在の危機委員会」であった。第四次現在の危機委員会のターゲットは中国であり、中国の脅威を声高に喧伝することで、軍事予算の増額を狙っている。

 日本でも「東アジアの安全保障環境の悪化」、簡単に言えば「中国が怖いぞ、攻めてくるぞ」という大義名分で、国防予算の対GDP比の上昇が決定している。短期間で2%から3%、更には3.5%へと進む。高市早苗政権はアメリカの要求を嬉々として受け入れ、可及的速やかに防衛予算の大幅増額を進めようとしている。「愛国増税」でその財源を賄おうとしている。私に言わせれば、「東アジアの安全保障環境の悪化」の原因は日本であり、高市早苗という人物はその象徴である。結果として、中国からは実質的な経済制裁を受ける状況になっている。この状態が長期間継続すれば、日本経済は悪化していくことになる。

 日本にも「現在の危機委員会」のような、中国の脅威を煽り立て、人々の不安に付け込んで防衛予算を増額し、肥え太ろうという勢力がいる。高市早苗という人物もその勢力の一員だ。私たちはそのような過剰な煽り立てに乗じられてはならない。しかし、日本国民の馬鹿さ加減を見れば、騙され続けてもう一度国土を焼け野が原にしてしまうかもしれないという不安感しかない。

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アメリカの対中国恐怖キャンペーン(The US Scare Campaign Against China

-冷戦時代から現在に至るまで、「現在の危機(present danger)」を誇張する背後にある政治的計算について語る。

デイヴィッド・スキッドモア筆
2019年7月23日
『ザ・ディプロマティック』誌

https://thediplomat.com/2019/07/the-us-scare-campaign-against-china/

成熟した国家運営の指標は、国際的な課題を評価し、慎重さ、冷静さ、そして均衡(proportionality)の取れた対応策を講じる能力である。しかしながら、数十年にわたる世界的なリーダーシップにもかかわらず、アメリカの外交は依然として思春期のヒステリー(adolescent hysteria)に陥りやすい。こうした熱狂的な運動は、冷戦期における過剰な核兵器増強や、ヴェトナム戦争とイラク戦争における悲惨な戦争など、アメリカ外交政策における最も高くつく誤り(the costliest mistakes)を生み出してきた。

この反射的な行動は、国際競争の現実というよりも、むしろ国内政治に関係している。政治学者セオドア・ローウィが指摘したように、アメリカの指導者たちは日常的に外国の脅威を誇張し、提案された解決策を民主政治の束縛から逃れる手段として過大評価している。

ドナルド・トランプ政権による中国に対する警戒的な言辞がその好例である。2018年の国家防衛戦略は、中国の指導者たちが「世界的な優位性を獲得するためにアメリカに取って代わろうとしている」と断言している。マイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官はそれぞれ、大国間の新たな対立の要求に備えさせるため、中国の脅威についてパニック的な評価を発表した。

ローウィに呼応する形で、ディック・チェイニー副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めたアーロン・フリードバーグは最近、トランプ政権が中国との冷戦に向けた国内の支持を動員することに真剣であるならば、「イデオロギー的な観点から挑戦を提起する」必要があると助言した。「アメリカ国民を動かし、動機づけてきたのは、彼らのシステムの基盤となっている原則が脅威にさらされているという認識である」からだ。

ハリー・トルーマン大統領は、1947年3月12日、連邦上下両院合同会議での演説で冷戦勃発の鐘を鳴らし、「空が落ちてくる(sky is falling)」というレトリックの典型を確立した。演説を仕上げる中で、トルーマンはソ連との壮大な闘争に国民をどう結集させるかに苦慮していた。結局のところ、アメリカ国民は国際紛争からの休息と戦前のアイソレイショニズムへの回帰を切望していた。トルーマンはアーサー・ヴァンデンバーグ連邦上院議員に相談し、ヴァンデンバーグ議員から明確な答えを得た。それは、アメリカの価値観に対する共産主義の脅威を強調することで、「国中を恐怖に陥れる(scare the hell out of the country)」必要があるというものだった。

ヴァンデンバーグの助言を受け、トルーマン・ドクトリンはアメリカの新たな世界における役割について包括的なヴィジョンを提示した。トルーマンは「武装した少数派や外部からの圧力による征服の試みに抵抗する自由な人々を支援することが、アメリカ合衆国の政策でなければならない」と述べた。

それは功を奏した。連邦議会はギリシャとトルコへの援助パッケージを承認しただけでなく、冷戦時代の必需品として提案された、はるかに野心的なマーシャル・プランも承認した。

●(常に)現在の危機委員会Committees on the (Ever) Present Danger

しかし、対立的な外交政策に対する国民の支持をかき立てる任務は、ホワイトハウスだけに委ねられた訳ではない。超党派の外交政策エスタブリッシュメント―ドワイト・アイゼンハワー大統領がかつて「軍産複合体(military-industrial complex)」と呼んだもの―は、重要な局面で軍事費増額への支持を集めるために動員されてきた。これらのグループは、志を同じくする大統領と連携して活動することが多いが、過度にハト派的と見なされる大統領の外交政策に異議を唱えることもあった。

これらの中で最も有名なのは、現在の危機委員会(the Committee on the Present DangerCPD)。1950年12月に設立された最初の現在の危機委員会は、国家安全保障の専門家からなる高官グループで構成され、アメリカの国防費を3倍に増額することを求めた戦略計画文書であるNSC-68の勧告に対する議会の支持を求めました。現在の危機委員会メンバーたちによる社説、講演、議会証言、専門家報告書といったキャンペーンを経て、連邦議会は国防費の大幅な増額でこれに対応した。

最初の現在の危機委員会の目的はトルーマン政権の目的と一致していたが、1976年に発足した2番目の現在の危機委員会は、ジェラルド・フォード大統領とジミー・カーター大統領のハト派的姿勢と見なされたことに対抗して設立された。復活した現在の危機委員会は、ソ連との緊張緩和(détente)を弱め、ヴェトナム戦争後の軍事力削減を反転させることを目指した。このグループは報道関係者とのつながりを築き、メンバーを講演ツアーに派遣し、防衛、軍備管理、米ソ関係に関する一連の声明を作成した。

最初の声明は次のように宣言した。「我が国、世界平和、そして人類の自由に対する主要な脅威は、比類なき軍備増強に基づくソ連の支配欲である」。

第二の現在の危機委員会は設立直後に大きな成果を上げた。現在の危機委員会のメンバーたちは、CIAが毎年作成している国家情報評価がソ連の危険性を過小評価していると主張した。こうした批判に憤慨したジェラルド・フォード大統領は、退任間際の大統領は異例の措置を取り、政府外部の保守派防衛専門家たちで構成された「チームB」を任命し、CIAの通常の活動に匹敵する報告書を作成させた。第二の現在の危機委員会のメンバーが中心となったチームBは、ソ連の能力と意図について、CIAの通常の「チームA」が作成したものよりもかなり悲観的な評価を作成した。その後、ジョージ・HW・ブッシュCIA長官はチームAに対し、「草稿を大幅に改訂(substantially revise its draft)」し、「全ての重要な点でチームBの立場と一致する評価」を作成するよう命じた。1983年のCIAの再評価によると、この出来事が、ソ連の脅威を誇張した一連の扇動的な情報報告書の土台を作ったという。

同様に、カーター大統領は現在の危機委員会メンバーをPRM10と呼ばれる世界戦略レヴューへの参加に招き入れることで、タカ派の批判者を取り込もうとした。また、カーター大統領は現在の危機委員会の幹部メンバーをホワイトハウスに招集し、政権の軍備管理への攻撃を控えるよう訴えた。その見返りとして、カーター大統領はメンバーに対し、ズビグニュー・ブレジンスキー国家安全保障問題担当大統領補佐官とハロルド・ブラウン国防長官への非公開の面会を約束した。

しかし、現在の危機委員会が「幻想に基づく政策を追求し、ソ連が権力と帝国を拡大する一方で、我々は漂流し、不確実な状況に陥っていた(Pursuing a policy built on illusion, we have been adrift and uncertain while the Soviet Union expanded its power and empire)」と警告する中、保守派からの批判は消えなかった。

SALT II条約をめぐる激しい論争が繰り広げられた。第二の現在の危機委員会のメンバーは連邦上院委員会でSALT IIに反対する証言を行い、479件ものテレビ・ラジオ番組、記者会見、公開討論、有力者への説明会、演説に参加した。委員会は20万部のパンフレットを配布した。批准の見込みが薄れると、カーター大統領は連邦上院での審議から条約を撤回した。元国務長官サイラス・ヴァンスは次のように述べた。「現在の危機委員会がSALTの弱体化に大きく関与していたことは疑いようがない」。

現在の危機委員会の第3期は2004年に誕生し、「アメリカ国民と自由を尊ぶ何百万もの人々の安全を脅かす過激イスラム主義者」に対抗し、アメリカ国民を結集させるという使命を掲げた。100人を超えるメンバーの多くは、イラク戦争の根拠構築に大きな役割を果たした「新アメリカ世紀プロジェクト(the Project for the New American CenturyPNAC)」と密接に連携していた。

このグループの最新版(第4)である「現在の危機委員会:中国(the Committee on the Present Danger: ChinaCPDC)」は、2019年4月9日にワシントンDCで開催された記者会見で発表され、テッド・クルーズ連邦上院議員、ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長、そしてトランプ大統領の元大統領顧問であるスティーヴ・バノンが発言した。CPDCは、2011年から2017年にかけて国防予算が横ばいだった時期を経て、中国に対する強硬な政策と持続的な軍備増強に対する政治的支持を確立することを目指している。

CPDCは、中国の指導者たちが「世界覇権(global hegemony)」への道を切り開くために、「アメリカを弱体化させて最終的には打ち負かし(weaken and ultimately defeat America)」、「西側諸国の民主政治体制を転覆させようとしている(subvert Western democracies)」と主張している。「数十年にわたるアメリカの誤算、不作為、そして宥和政策(decades of American miscalculation, inaction and appeasement)」の後、CPDCはアメリカに対し、「国家権力のあらゆる手段を動員(mobilizing all instruments of national power)」してこの課題に立ち向かうよう求めている。中国指導部との妥協を求める人々に対して、CPDCは「共産党が国を統治する限り、中国との共存の希望はない(no hope of coexistence with China as long as the Communist Party governs the country)」と警告している。

●脅威を過剰に売り込むことの危険性(The Danger of Overselling Threats

中国の台頭がもたらす困難な課題にもかかわらず、ホワイトハウスとCPDCから発せられる反中国キャンペーンは、過去の恐怖煽動と比較しても依然として誇張されすぎている。今日、中国がもたらす軍事的・イデオロギー的脅威は、旧ソ連がもたらした脅威と比べれば取るに足らないものであり、中国はかつてのソ連よりもはるかに深く世界経済と国際機関に統合されている。中国は革命の輸出(to export revolution)や既存の国際秩序の転覆(overturn the existing international order)などではなく、むしろその秩序の改革とその中での地位と影響力の拡大(reform of and greater status and influence within that order.)を目指している。中国の台頭は誇張されているが、内外における課題は過小評価されている。一方、アメリカ自身の継続的な強みは、あまりにも過小評価されがちである。最後に、冷戦時代とは対照的に、アメリカの同盟諸国がアメリカに倣って、中国を弱体化させ封じ込めようとする野放図な試みに走る可能性は低い。

しかし、政治的に見れば、再び「国を恐怖に陥れる(scare hell out of the country)」ような試みは完全に理にかなっている。軍事費増額を主張する強硬派は、国民の外的脅威に対する認識を増幅させることで国内の支持を得ている。

しかし、こうした定期的な恐怖キャンペーンは真の危険をはらんでいる。最も明白なのは、国際紛争を不必要に悪化させることだ。脅威を誇張するレトリックは、たとえ国内向けに意図されたものであっても、ライヴァル諸国の恐怖を煽り立てる可能性がある。さらに、他国を悪者扱いするレトリックは、妥協が可能な具体的な利益相反(conflicts of interest)という対立の構図を、解決がはるかに困難なイデオロギー対立へとすり替えてしまう。

さらに、国民が完全に動員されると(fully mobilized)、大統領が都合よく恐怖を和らげる必要があると判断したとしても、その恐怖を和らげるのは困難になり得る。冷戦(the Cold War)を善と悪の闘争(a struggle between good and evil)と定義したトルーマン大統領は、中国国共内戦における共産党の勝利をアメリカは阻止できないと現実的に結論づけたことで、反逆罪(treason)の非難を浴びた。同様に、共産党の白熱した言辞は、ジョセフ・マッカーシー連邦上院議員が赤狩り(a Red Scare)を仕掛け、最終的にアイゼンハワー政権をも標的にすることで政治的影響力を獲得する土台を作った。

現在のところ、アメリカ国民が中国との二元論的な(マニ教的)闘争(a Manichean struggle with China)に賛同する用意があるという兆候はほとんど見られない。しかし、共産党の歴史が示唆するように、警鐘はしばしば効果を発揮する。最近の米中関係の冷え込みは、米中両国国民に不利益をもたらす深刻な冷え込みへと転じる可能性がある。

※デイヴィッド・スキッドモア:アメリカ合衆国アイオワ州デモインにあるデューク大学政治学部教授。

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 ジェフリー・エプスタイン事件の文書が新たに公開され、著名人の写真が多く含まれ、話題となっている。いささか食傷気味であるが、「こんな人物もか」という驚きが一定程度あるようだ。エプスタイン事件については全ての文書が公開された訳ではなく(これから公開される予定だ)、また、被害者のプライヴァシー保護のために、黒塗りで公開されているものも多い。これでは完全な公開ではないと連邦議員たちの間には不満が募っているようだ。

 これからも新しい写真が出てきて、意外な有名人が関係していたということで、人々の関心を集めるだろう。しかし、より重要なのは、さらに上の、ウォール街の大富豪たちやイギリスの貴族や王室とも関係があり、その中には、エプスタインと一緒になって、未成年の女性たちと関係を持った(性加害を行った)人物たちがいる可能性である。彼らの写真や名前が出てくれば、騒動は深刻になる。アメリカとイギリスの政財界を揺るがす大事件となる。

 ここからは私の推測になる。トランプは「エプスタイン文書」をアメリカとイギリスの大富豪や貴族、上流階級の人物たちとの取引材料に使おうとしていると考えられる。今回公開された文書の多くは黒塗りにされている。「被害者のプライヴァシー保護」を名目にして、前面を黒塗りにすることができる。ここで、取引材料が成立する。トランプ政権側は、名前が出ては都合の悪い人物たちの名前や写真を黒塗りにする。その見返りとして、報酬を受け取るということになる。私の想像力が乏しいため、その報酬は裏金(表に出せない金、現金でやり取りする)ということになるだろう。逆に言えば、トランプが自由に使える金ということになる。政治に金がかかるのは世界共通である。トランプがトランプ支持の有権者や連邦議員たちをつなぎとめておくためには金を配ることが一番だ。

 イギリスでは根強い王室廃止論がある。現在のチャールズ国王は不行跡もあり、国民からの人気がない。既に弟のアンドルー元王子は、エプスタインとの「深いつながり」と裁判で和解したが、関わりの責任を問われて王室から追放された。アンドルー元王子に責任を負わせて事件を終わらせようとしている。しかし、エプスタインの恋人で側近だったギレーヌ・マクスウェル(イギリスのメディア王の娘でオックスフォード大学卒)の存在が鍵となる。マクスウェルは、スコットランドのバルモラル城やアスコット競馬場のロイヤルボックスでアンドルー王子と写真を撮り、更にはダウニング街十番地(イギリス首相官邸)前で写真を撮っている。マクスウェルの行動を見る限り、彼女とエプスタインはかなりイギリス王室や政財界に食い込んでいたということが容易に推測できる。投資家だったエプスタインの裏家業である性的サーヴィス部門の顧客に誰もいなかったと考えるのは不自然である。彼らがトランプに懇願して、自分たちの名前を消してもらっているということも自然な推測となる。イギリス王室のメンバーや貴族のメンバーが顧客名簿に入っていたら、王室廃止論が燃え上がる可能性が高い。これだけは何としても阻止したい、イギリス王室や上流階級の弱みをトランプが利用するということは容易に考えられる。トランプが頑なに情報公開を拒んでいたのに、姿勢を転換したことも、弱みを利用する目途がついたからではないかと私は考える。エプスタイン事件の本丸はビル・クリントン元大統領やミック・ジャガーではない。彼らは目くらましに過ぎない。これが私の見立てである。

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エプスタイン文書には誰がそして何が含まれているか?(Who and what are in the Epstein files?

クリスタル・ヘイズ筆

BBC

2025年12月22日

https://www.bbc.com/news/articles/c8r38ne1x2mo

米司法省は、ジェフリー・エプスタインに関連する文書の初期段階分を公開した。

写真、動画、捜査文書を含むこれらの文書は、連邦議会が金曜日までに全ての文書を公開することを義務付ける法律を可決したことを受けて、大きな期待を集めていた。

しかし、民主党と一部の共和党連邦議員たちは、司法省が期限までに全ての文書を公開できないと表明したことを受け、司法省が法的義務に違反していると非難した。数千に及ぶ文書の多くの詳細は大幅に編集されている。

土曜日には、少なくとも13のファイルが司法省のウェブサイトから削除された。トッド・ブランシェ司法副長官は後に、これは被害者のプライヴァシー保護のためだと述べた。

初期段階の一連のファイルには、ビル・クリントン元米大統領、アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(アンドルー王子)、ミュージシャンのミック・ジャガーとマイケル・ジャクソンなど、多くの著名人が含まれている。

ファイルに名前や写真が掲載されているからといって、不正行為の証拠にはならない。ファイルやエプスタインに関する過去の発表で特定された人物の多くは不正行為を否定している。

●プールと温水浴槽で撮影されたビル・クリントン(Bill Clinton pictured in pool and hot tub

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公開された複数の写真に、ビル・クリントン元米大統領の姿が写っている。

1枚の写真には、クリントンがプールで泳いでいる様子が、もう1枚の写真には、温水浴槽と思われる場所で仰向けに寝て両手を頭の後ろで組んでいる様子が写っている。

クリントンは、1990年代から2000年代初頭にかけて、悪名高き金融業者エプスタインが初めて逮捕される前に、エプスタインと何度か写真を撮られていた。エプスタインの虐待被害者から不正行為を告発されたことはなく、性犯罪行為についても知らなかったと否定している。

クリントンの広報担当者は、ファイルが初めて公開された翌月曜日に、この件について2度目のコメントを発表し、司法省が「誰か、あるいは何か」を守っていると非難した。

アンヘル・ウレーニャはソーシャルメディアに、「誰が、何を、なぜ守っているのかは私たちには分からない。しかし、私たちが確かに分かっていることは、私たちにはそのような保護は必要ないということだ」と投稿した。

 

クリントンの広報担当者は残りのファイルの公開を求め、「もし公開を拒否すれば、司法省のこれまでの行動は透明性ではなく、ほのめかしであるという広く信じられている疑念を裏付けることになる」と述べ、司法省が「既に繰り返し潔白が証明されている個人について不正行為をほのめかしている」と非難した。

先週、ウレーニャは新たに公開された写真は数十年前のものだと述べた。ウレーニャは「20年以上前の粗い写真をいくらでも公開できるが、これはビル・クリントンに関することではない。これまでも、そしてこれからもそうではない」とソーシャルメディアに投稿した。

「ここに2種類の人間がいる。1つ目のグループは何も知らず、エプスタインの犯罪が明るみに出る前は彼との関係を断った。2つ目のグループはその後も彼との関係を続けた」。

「私たちは1つ目のグループだ。2つ目のグループの人々がどれだけ引き延ばしても状況は変わらない」。

「誰もが、特にMAGA勢力は、スケープゴートではなく、説明を求めているのだ」。

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●エプスタイン氏はトランプを14歳の少女に紹介したとされている(Epstein allegedly introduced Trump to 14-year-old girl)

司法省が公開した一連のファイルには、トランプ大統領の名前も記載されている。

裁判所の文書には、エプスタインがフロリダ州にトランプの邸宅「マール・ア・ラーゴ」で14歳の少女をトランプに紹介したとされる容疑が詳述されている。

1990年代にエプスタインがトランプを肘で突き上げ、「いい子だろ?(this is a good one, right?)」と「冗談めかして尋ねた」と文書には記されている。

2020年にエプスタインの遺産管理団体とギレーヌ・マクスウェルを相手取って提起された訴訟によると、トランプはこの質問に対して、微笑んでうなずき、同意したという。

文書には、「二人ともにやにやと笑い」、少女は居心地が悪かったものの、「当時は幼すぎてその理由を理解できなかった」と記されている。

被害者は、長年にわたりエプスタイン氏から仕組まれ、虐待されたと主張している。

裁判所への提出書類の中で、被害者女性はトランプを非難するいかなる発言もしていない。

裁判所文書に関するコメント要請に対し、ホワイトハウス報道官アビゲイル・ジャクソンは、トランプ政権は「史上最も透明性が高い」と述べた。

「数千ページに及ぶ文書を公開し、連邦下院監視委員会の召喚状要請に協力し、トランプ大統領が最近エプスタインの民主党の友人たちに対する更なる調査を求めたことで、トランプ政権は被害者のために民主党がこれまで行ってきた以上に多くのことを行った」とジャクソンは付け加えた。

この疑惑のエピソードは、金曜日に公開された数千枚のファイルの中で、トランプ大統領に言及している数少ないものの1つだ。トランプ大統領は数枚の写真に写っているが、その内容は極めて少ない。

これらの写真のうち1枚は、土曜日にファイルから削除された10枚以上の画像の中に含まれていた。BBC Verifyの調査によると、この画像は後に再び追加されたということだ。

大統領の政治活動のためのXの公式アカウント「トランプ・ウォー・ルーム」は、公開後、代わりにクリントンの写真を掲載した。

トランプの報道官も「おやまあ!」と述べ、クリントンの写真を再投稿した。

しかし、これから公開されるページが残っている。

トッド・ブランシュ司法副長官は、「数十万ページ」に及ぶ文書が現在も審査中で、未だ公表されていないと述べた。

トランプ大統領は以前、エプスタイン被告とは長年の友人だったと述べていたが、2004年頃、つまりエプスタイン被告が初めて逮捕される何年も前に仲が悪くなったと述べている。

トランプ大統領は、エプスタイン被告に関するいかなる不正行為への関与を一貫して否定している。

●写真にはアンドルーが膝の上に横たわっている様子が写っている(Photo appears to show Andrew lying across laps

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公開されたファイルの写真には、アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(アンドルー元王子)が5人の上に横たわっている様子が写っている。5人の顔は編集されている。

エプスタインの共謀者で有罪判決を受けたギレーヌ・マクスウェルが写真の中で彼らの後ろに立っている。

アンドルーは写真には写っていないエプスタインとの過去の友情について長年にわたり批判を受けてきた。

アンドルーはエプスタインに関する不正行為への関与を繰り返し否定し、「その後の逮捕と有罪判決につながったような行為を、私は見たり、目撃したり、その存在について疑ったりしていない」と述べている。

●マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス、クリス・タッカー、そしてミック・ジャガー(Michael Jackson, Diana Ross, Chris Tucker and Mick Jagger
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新たに公開された文書には、エプスタイン関連のファイル公開の中で、これまでで最も幅広い著名人が含まれている。

元投資家のエプスタインは、エンターテインメント、政界、ビジネス界に幅広い人脈を持つことで知られていた。

司法省が公開した写真の中には、マイケル・ジャクソン、ミック・ジャガー、ダイアナ・ロスといった著名人と並んで写っているものもある。

 これらの写真がいつ、どこで、どのような状況で撮影されたのかは不明だ。エプスタインがこれらの人物全員と関係があったのか、あるいはこれらのイヴェントに出席していたのかどうかも不明だ。エプスタインの遺産管理団体から以前に公開された写真の中には、彼が撮影していない、彼が出席していないイヴェントの写真も含まれている。

新たに公開された写真の1枚には、エプスタインがマイケル・ジャクソンと写っている。ポップアイドルのマイケル・ジャクソンはスーツを着ており、エプスタインはジップアップのパーカーを着ている。

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ジャクソンの別の写真には、ビル・クリントン元大統領とダイアナ・ロスが写っている。2人は狭い場所で一緒にポーズをとっており、他の複数の顔は隠されている。

数千枚のファイルの中にある別の写真には、ローリング・ストーンズの伝説的ミュージシャンであるミック・ジャガーがクリントンと、顔が隠されている女性とポーズを取っている写真が写っている。彼らは全員カクテルパーティー用の服装をしている。

数枚の写真には俳優のクリス・タッカーが写っている。1枚は、ダイニングテーブルでクリントンの隣に座り、ポーズを取っているタッカーの写真だ。もう1枚は、エプスタインの有罪判決を受けた仲間のギレーヌ・マクスウェルと飛行機の駐機場でタッカーが写っている写真だ。

BBCはミック・ジャガー、タッカー、ロスにコメントを求めて連絡を取った。クリントンは以前、エプスタインの性犯罪について知らなかったと否定しており、広報担当者は金曜日、これらは数十年前の写真だと述べた。

「これはビル・クリントンに関することではない。これまでも、そしてこれからも決してそうではない」と広報担当者は語った

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●ダウニング街でのマクスウェル(Maxwell at Downing Street)

昨日公開された文書には、ギレーヌ・マクスウェルがダウニング街10番地(イギリスの首相官邸)の前でポーズをとる写真も含まれていた。

彼女は1人で写っており、なぜそこにいるのか、いつ撮影されたのかといった情報は提供されていない。
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写真が撮影された当時の首相が誰だったのか、またマクスウェルがどのような立場でダウニング街を訪れたのかは不明だ。

●エプスタイン被告が自宅に火をつけると脅迫したと告発者が主張(Epstein threatened to burn down house, accuser says

エプスタイン被告を最初に告発した人物の1人がこのファイルに含まれている。

エプスタイン被告のために働いていたアーティストのマリア・ファーマーは、1996年のFBIへの報告書の中で、12歳と16歳の姉妹の個人的な写真をエプスタイン被告が盗んだと述べている。

彼女は告発状の中で、エプスタイン被告が写真を潜在的な購入者に販売したと確信しており、もし誰かに話したら自宅に火をつけると脅迫されたと述べている。

ファイル内では彼女の名前は伏せられているが、ファーマーはアカウントが彼女のものだと確認した。

彼女は報告書の中で、エプスタインがプールにいる少女たちの写真を撮るよう彼女に依頼したと主張している。

報告書には「エプスタインは現在、(伏せ字)に対し、写真のことを誰かに話したら家を燃やすと脅迫している」と記載されている。

ファーマー氏は、30年近く経ってようやく潔白が証明されたと感じていると述べた。

ファーマーは「努力が報われたと感じている」と語った。

●数十万ページもの文書が未だ公開されていない(Several hundred thousand pages still have not been released

金曜日に公開された文書の中には、警察の声明、捜査報告書、写真など、多くの文書が編集されている。

BBCのアメリカでのパートナーであるCBSによると、金曜日に公開されたファイルのうち550ページ以上が完全に編集されていた。これには、大陪審の捜査に関する文書も含まれており、100ページが完全に黒塗りされている。

法律で定められているように、当局は被害者の身元保護や進行中の刑事捜査に関連する事項のために資料を編集することが認められているが、法律ではそのような編集の理由を説明することが義務付けられており、その理由はまだ説明されていない。

日曜日、金曜日の期限までに全てのファイルを公開しなかった理由について問われたブランシェは、「非常に単純かつ明確だ。法律では、被害者を保護することも義務付けられている」と述べた。

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司法省によると、金曜日に公開された数千ページは、今後公開される資料のほんの一部に過ぎないということだ。

ブランシェは、司法省が金曜日に「数十万ページ」を公開し、今後数週間で「さらに数十万ページ」が公開される予定だと述べた。

ブランシェ副長官はFOX & Friendsに対し、司法省は資料の各ページを厳重に精査し、「すべての被害者氏名、身元、経歴が、保護が必要な範囲で完全に保護される」ようにしていると語った。これは時間のかかるプロセスだとブランシェは主張した。

土曜日に司法省のウェブサイトから削除されたファイルについて、ブランシェはNBCニューズに対し、「金曜日に公開された後、削除された写真が多数存在する」と述べた。

これは、ニューヨークのある判事が、被害者や被害者権利団体が懸念を抱いている場合は、その声に耳を傾けるよう命じたためだ」と述べた。

追加資料が公開される時期は不明であり、民主、共和両党の連邦議員たちは不満を表明している。

ロウ・カンナ連邦下院議員をはじめとする民主党連邦議員たちは、司法省高官たちに対し、遅延を理由に弾劾や訴追を含む措置を取ると警告している。

カンナ議員は共和党のトーマス・マシー連邦下院議員と共に、エプスタイン文書透明性法案の採決を進め、当初民主党に反対票を投じるよう促していたドナルド・トランプ大統領に反抗した。

カンナ議員はソーシャルメディアで「司法省による数十万ページに及ぶ文書の流出は法律違反だ」と述べ、動画ではあらゆる選択肢が検討されており、マシー議員と対応を検討中だと付け加えた。

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エプスタイン文書:写真に写っているのはどの王族、政治家、ミュージシャン、俳優か?(Epstein files: which royals, politicians, musicians and actors are in the photos ?

-公開された写真は、ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルが重要人物と築いていた関係を浮き彫りにしている。

ジェラルディン・マッケルヴィー(上級特派員)筆

2025年12月20日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/us-news/2025/dec/20/epstein-files-which-royalty-politicians-musicians-and-actors-are-in-the-photos

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スコットランドのバルモラル付近で撮影されたアンドルー・マウントバッテン=ウィンザー、ジェフリー・エプスタイン、ギレーヌ・マクスウェル(日付不明)

児童性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関する膨大な文書が、米司法省によって公開された。数千点に及ぶファイルからなるこの文書には、故エプスタインとその共犯者である英国社交界の名士ギレーヌ・マクスウェル、そして前世紀の重要人物たちの写真が掲載されている。

これらの写真は、エプスタインとマクスウェルがイギリス王室、政治家、ミュージシャン、俳優と築いた関係を浮き彫りにしている。

マクスウェルは性的児童人身売買の罪で懲役20年の刑に服しており、エプスタインは2019年に裁判を待つ間に獄中で亡くなった。彼は2008年に別の事件で性的児童犯罪で有罪判決を受けた。

●アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(Andrew Mountbatten-Windsor

金曜日に公開されたファイルの中には、マウントバッテン=ウィンザー(アンドルー元王子)の写真が複数枚含まれており、彼がエプスタインとマクスウェルにイギリス上流社会へのアクセスをどのように提供したかを示しているようだ。

日付不明の写真の1枚には、現在65歳の元王子が5人の女性の脚に寄りかかり、マクスウェルが彼を見下ろして微笑んでいる様子が写っている。スカイニューズは土曜日、この写真はチャールズ国王一家が今週クリスマスを過ごすノーフォークの王室領地サンドリンガムで撮影されたと報じた。スカイニューズは、この写真とそこで撮影された他の写真を比較したと報じた。

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スカイニューズはこの写真はイギリス王室の邸宅サンドリンガムで撮影されたとみられると報じた

2000年6月に撮影されたとみられる別の写真には、アスコット競馬場のロイヤルボックス席に座る3人が写っています。3枚目の写真は、イギリス王室のスコットランド本拠地であるバルモラルで狩猟をしている様子を捉えたものと思われるが、撮影時期は不明だ。

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アスコット競馬場のロイヤルボックスでのエプスタイン、マウントバッテン=ウィンザー、マクスウェル

●ビル・クリントン(Bill Clinton

1993年から2001年までアメリカ合衆国大統領を務めたビル・クリントンは、金曜日に公開された写真のいくつかに写っている。79歳のクリントンは、温水浴槽でくつろいだり、プールで泳いだりしている。他の写真では、マックスウェル、ミュージシャンのマイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス、ミック・ジャガー、俳優のケヴィン・スペイシーとポーズを取っている。公開された複数の文書に含まれる多くの写真と同様にこれらの写真にも日付は記されていない。

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クリントンはエプスタインが初めて逮捕される前の1990年代後半から2000年代初頭にかけてエプスタインと交流していた。

クリントンは、エプスタインが初めて逮捕される前の1990年代後半から2000年代初頭にかけて、エプスタインと交流していた。クリントンは、エプスタインによる虐待の被害者たちから不正行為を告発されたことはなく、故エプスタインによる性的児童虐待については一貫して知らなかったと否定している。

クリントンの広報担当者アンヘル・ウレーニャは、写真は20年以上前のものであり、エプスタインの犯罪が発覚した時点でクリントンは彼との交友関係を断ったと述べた。

ウレーニャは次のように語った。「2種類の人間が存在する。最初のグループは何も知らず、エプスタインの犯罪が明るみに出る前までに彼との関係を断ち切った。2番目のグループはその後も彼との関係を継続した。我々は最初のグループだ。2番目のグループの人間がどれだけ引き延ばしても状況は変わらない」。

●ピーター・マンデルソン(Peter Mandelson

エプスタインとの親交が明るみに出た後、最近駐米英大使を解任されたマンデルソンは、エプスタインが大きなバースデーケーキのろうそくを吹き消す様子を見守っている。この写真は金曜日に公開された一連の文書の一部だが、以前にも公開されている。

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マンデルソンはエプスタインへの50歳の誕生日メッセージでエプスタインを「私の親友」と表現した

72歳の労働党貴族院議員は、2000年代初頭からエプスタインと親しかったとされ、50歳の誕生日メッセージでエプスタインを「私の親友(my best pal)」と表現している。エプスタインは2002年5月、元国会議員で閣僚のマンデルソンが仲介したとみられる会合で、当時の英首相トニー・ブレアに紹介された。

マンデルソンは、2008年にエプスタインが児童性犯罪で有罪判決を受けた後も、エプスタインとの友情を継続することを選択した。「早期釈放のために戦う(fight for early release)」よう促した。9月、大使職を解任される直前、マンデルソンは「エプスタインとの付き合いを、そうすべき機関よりもずっと長く続けてきたことを、本当に深く、深く後悔している」と述べた。

●マイケル・ジャクソン(Michael Jackson

金曜日に公開された写真では、ジャクソンはエプスタインと大きな絵画の横でポーズを取っている。また、一連の文書の一部として公開された別の写真では、ジャクソンはクリントンと同じく歌手のダイアナ・ロスの隣に写っている。

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一連の文書は司法省によって公開された

司法省はジャクソンの写真の撮影日を記載しておらず、撮影場所も不明である。ジャクソンがエプスタインの犯罪について知っていた、あるいは関与していたという証拠はない。

●ミック・ジャガー(Mick Jagger

ローリング・ストーンズの82歳のリードヴォーカルであるミック・ジャガーは、クリントンと身元不明の女性と並んで写真に写っている。女性の顔は編集されているが、3人はカクテルパーティー用の服装をしているように見える。米司法省は、写真が撮影された場所と日時を明らかにしていない。

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ジャガーとクリントンが身元不明の女性と写真に収まっている

ジャガーはこの発表に対してまだ反応していないが、ジャガーがエプスタインの犯罪に関与していた、あるいはその犯罪を知っていたという示唆はない。

●ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey

俳優ケヴィン・スペイシーは、第二次世界大戦中の英国内閣の秘密の地下会議場であったウィンストン・チャーチルのウォールームで、マクスウェルとクリントンと共に写真に収まっている。この写真は、クリントンが労働党大会で演説するために英国を訪れた2002年に撮影されたとみられる。

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スペイシー(右から2番目)、クリントン(右)、マクスウェル(中央)、その他の人々Spacey,

66歳のスペイシーがマクスウェルとエプスタインの犯罪に関与していた、あるいはそのことを知っていたことを示す情報はなく、スペイシーもこの文書についてまだコメントしていない。

一方、スペイシーは2023年の刑事裁判で性的犯罪9件について無罪となった。

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エプスタイン文書公開には、ミック・ジャガー、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロスなど多くのスターの写真が掲載されている(Epstein file release features photos of Mick Jagger, Michael Jackson, Diana Ross and more stars

-金曜日に司法省が公開した数千ページにわたるファイルには、ケヴィン・スペイシーとクリス・タッカーの写真も掲載されている。写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

ロリ・A・バシアン筆

フォックスニューズ

2025年12月20日

https://www.foxnews.com/entertainment/epstein-file-release-features-photos-mick-jagger-michael-jackson-diana-ross-more-stars

2025年11月19日にトランプ大統領が署名した「エプスタイン文書透明性法」により、パム・ボンディ司法長官はエプスタインに関連する全ての非機密記録、通信、捜査資料を30日以内に公開するよう義務付けられ、司法省は大量の文書を公開した。

司法省は金曜日、ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの性的人身売買事件に関する数千ページに及ぶ文書を政府のウェブサイトに掲載した。これらのファイルは、エプスタイン文書透明性法によって定められた期限内に公開された。

司法省が公開した文書の写真には多くの著名人が写っているが、写真に写っているからといって必ずしも不正行為が示唆されるものではない。

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司法省は政府のウェブサイトにエプスタインとマクスウェルに関する数千ページの文書を公開した。

●マイケル・ジャクソンとダイアナ・ロス(Michael Jackson and Diana Ross

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12月19日(金)に新たに公開されたエプスタイン関連の文書にはビル・クリントン、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロスの写真が掲載されている。ファイルに掲載されているからといって、必ずしも不正行為が行われたとは限らない。

モータウンの伝説的人物ダイアナ・ロスも司法省が金曜日に公開した写真の1枚に写っている。

元大統領のビル・クリントンも、マイケル・ジャクソンの肩に寄り添って立っている写真が掲載されている。

スカイニューズによると、司法省が新たに公開した写真には、ジャクソンがエプスタインと絵画の前でポーズを取っている写真もある。

文書に掲載されているからといって、必ずしも不正行為が行われたとは限らない。

フォックスニューズ・ディジタルは、ジャクソンの遺産管理団体とロスの代理人に接触しコメントを求めている。

クリントンの代理人は、『ピープル』誌に対し、クリントンのアンヘル・ウレーニャ広報担当がXに投稿した声明を紹介した。

声明には次のように書かれている。「ホワイトハウスはビル・クリントンを守るため、何カ月もこれらのファイルを隠しておきながら、金曜日の夜遅くに公開した訳ではない。これは、これから起こること、あるいは彼らが永遠に隠そうとすることから身を守るためだ。だから、20年以上前の粗い写真をいくらでも公開できる。しかし、これはビル・クリントンに関する問題ではない。これまでも、そしてこれからもそうだ。スージー・ワイルズでさえ、ドナルド・トランプがビル・クリントンについて間違っていたと言っている」。

声明はさらにこう続けている。「ここには2種類の人間がいる。1つ目のグループは何も知らず、エプスタインの犯罪が明るみに出る前に彼との関係を断った。2つ目のグループはその後も彼との関係を続けた。我々は1つ目のグループだ。2つ目のグループの人々がどれだけ引き延ばしても、状況は変わらない。誰もが、特にMAGAは、スケープゴートではなく、説明を求めているのだ」。

●ミック・ジャガー(Mick Jagger

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新たに公開されたエプスタイン関連のファイルに掲載された写真には、ビル・クリントン元大統領とジェフリー・エプスタインの写真が写っている。ファイルに掲載されているからといって、必ずしも不正行為が行われたという訳ではない。

金曜日に公開された写真には、ミック・ジャガーの姿も写っている。

写真の1枚には、ローリング・ストーンズのフロントマンであるミック・ジャガーがエプスタインとクリントンの間に座っている姿が写っている。もう1枚の写真には、ジャガーがクリントンと、顔が黒く塗りつぶされた身元不明の女性と一緒にポーズをとっている姿が写っている。

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新たに公開されたエプスタインのファイルには、ミック・ジャガーとビル・クリントンの写真が含まれている。ファイルに含まれているからといって、必ずしも不正行為を意味する訳ではない。

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新たに公開されたエプスタインのファイルに掲載された写真に写っているミック・ジャガーとギレーヌ・マックスウェル。ファイルは12月19日(金)に公開された。ファイルに掲載されているからといって、必ずしも不正行為が行われたという訳ではない。

写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

フォックスニューズ・ディジタルはジャガーの代理人に接触しコメントを求めた。

●クリス・タッカー(Chris Tucker

スカイニューズによると、金曜日に公開された写真の1枚には、映画「ラッシュアワー」に出演したスター俳優のクリス・タッカーがマックスウェルと一緒に写っている。

写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

フォックスニューズ・ディジタルはタッカーの代理人に接触しコメントを求めた。

●サラ・ファーガソン(Sarah Ferguson

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新たに公開されたエプスタイン関連ファイルの写真に写っていた、作家で元ヨーク公爵夫人サラ・ファーガソン。ファイルに掲載されているからといって、必ずしも不正行為を意味するわけではない。

新たに公開された写真の中に2枚に元ヨーク公爵夫人(アンドルー元王子の元妻)サラ・ファーガソンが写っていた。

写真の1枚では、ファーガソンが路上で見知らぬ女性の隣に立っており、もう1枚の写真では、ファーガソンさんが部屋で顔が黒く塗りつぶされた女性の隣に座っている様子が写っている。

写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

フォックスニューズ・ディジタルはファーガソンの代理人に接触しコメントを求めた。

●アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(Andrew Mountbatten-Windsor

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司法省が最近公開したエプスタイン関連のファイルで見つかったアンドルー王子とギレーヌ・マクスウェルの写真。ファイルに含まれているからといって、必ずしも不正行為が行われたという訳ではない。

ビル・ゲイツの隣に立つアンドルー・マウントバッテン=ウィンザーの写真は、今月初めに公開された写真に既に含まれていた。

最新の公開写真には、元王子の別の写真も含まれている。この白黒写真では、アンドルー王子は5人の顔が黒く塗りつぶされた人々の膝の上に横たわっており、その後ろにはマクスウェルと顔が黒く塗りつぶされた身元不明の6人目の人物が立っている。

ファイルに含まれているからといって、必ずしも不正行為が行われたという訳ではない。

4月に41歳で自殺したヴァージニア・ジュフリーは、性的人身売買の容疑でエプスタイン被告を告発した最も著名な人物の1人であり、共犯者の有罪判決を受けたマクスウェル、そして友人のアンドルー元王子も告発していた。

ジュフリーは2021年にアンドルー元王子を性的搾取で告発したことで知られている。アンドルー元王子は2022年にジュフリーさんとの訴訟で和解したが、告発内容は否定している。

フォックスニューズはアンドルー元王子の代理人に接触しコメントを求めた。

●ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey

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12月19日金曜日に新たに公開されたエプスタインのファイルに掲載された写真に写るビル・クリントンとケヴィン・スペイシー。ファイルに掲載されているからといって、必ずしも不正行為が行われたとは限らない。

俳優のケヴィン・スペイシーは公開された写真の中に移っていた。その中の1枚では、スーツを着たスペイシーがクリントンの後ろを歩いていた。

2枚目の写真では、スペイシーとクリントンが隣同士に立ち、身元不明の複数の男性たちと写っている。

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ビル・クリントン元大統領と俳優のケヴィン・スペイシーとその他数名が撮影された写真が新たに公開されたエプスタイン文書の中に含まれていた。写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

写真に写っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。

フォックスニューズ・ディジタルはスペイシーの代理人に接触しコメントを求めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をお願いいたします。

 

 アメリカで公開中のドキュメンタリー映画「ザ・デーティング・ゲーム」の紹介記事が興味深かったのでご紹介する。監督は中国系の女性で、中国国内に住む結婚したいのに、出会いに苦労している若い男性たちとそのような男性たちの「コーチ」を登場させている。中国でも日本と同様、正確には日本よりもスピード感を持って、少子高齢化が進んでいる。そして、若者たち、特に男性たちにとって深刻なのは「男余り」だ。記事によると、中国の申請時の男女比は、男性116対女性100となっている。日本やその他の国々では、だいたい男性105対女性100となっている。日本でもそうであるが、伝統や文化の面で、男の子を望む傾向が強く、中国の場合には一人っ子政策という縛りもあり、「1人しか産めないなら男の子」ということになって、男性が多くなっている。そうなると、単純な算数で考えても、結婚適齢期になると、男性が余ってしまう。容姿が良かったり、実家が富裕であったり、学歴が高かったりであれば結婚できるが、「何の取り柄もない」男性は振り向いてもらえない。仄聞するところでは、中国では結婚する際に、男性側が家(マンション)を用意しなければならないということだ。そうなると、経済力がない若い男性は結婚相手に選んでもらえない。

 そこで、結婚相手探しに苦労している若い男性たちに女性と出会って結婚まで持ち込むための技術を教える「コーチ」が登場する。彼らは女性を振り向かせるための技術を持つ、日本語で言えば「ナンパ師(pickup artists)」である。SNSに掲載するプロフィール写真やSNSでのやり取りについてアドヴァイスをする。また、国家が主催するお見合いパーティーも開催されている。日本で言えば、「婚活」が中国でも盛んなようだ。しかし、人口統計的に見れば、どうしても女性と出会えない男性が出てくる。結婚は同い年同士ですることは少ない、年齢差があるのが一般的だが、上下数年で見ても、男性が偏って多い以上、対象を拡大しても厳しい状況は変わらない。私はそのうち、中国でも、外国からお嫁さんを連れてくるということが起きるだろう、いや既に起きているのではないかと考える。日本でも、特に農村部で同様の問題があり、東南アジアの女性を結婚するということがあった。中国もそのようなことになるだろう。

 こうなると、社会に対して不満を持ち、女性を攻撃するマンスフィア(男性優位志向ネットワーク[と私は訳した])が発生する。自身が持つ不安を社会や女性にぶつけるということになる。これは社会にとって大きな不安定要因となる。日本でも、氷河期世代(1970年代から80年代初頭くらいまでに生まれた人たち)も同様の境遇にある。日本の氷河期世代の場合は人口統計上の問題ではなく、経済や社会、政治上の失敗が原因であるが。記事に書かれているが、中国では結婚をすることを諦める若者たちが多く出ている。日本もそうであったが、不満をため込みながら、社会から退くことを選ぶ人たちが多く出ると、社会の運営効率は落ち、社会は崩壊に向かう。身も蓋もない表現をすれば、中国の問題は、最終的には金で解決できるかもしれない。外国から女性に来てもらうということで(そのために経済力や高い生活水準が必要であるが)、解決ができるかもしれない。2024年の新生児出生数が過去最低を記録したという報道を見ながら、日本の場合には既に回復は望めないと悲観的になってしまう。

(貼り付けはじめ)

中国の余剰男性に何が起きているのか?(What Happens to China’s Surplus Men?
-一人っ子政策(one-child policy)による性別間の不均衡(gender imbalance)は、絶望的な独身男性(desperate bachelors)、疑わしい教祖(dubious gurus)、そして男性優位志向ネットワークの台頭(a rising manosphere)を生み出した。

ドリュー・ゴーマン筆

2025年12月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/12/china-gender-dating-demographic-population-documentary/

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中国・重慶で、デーティング・ブートキャンプの一環として独身の周がハスキー犬たちとポーズを取り、デーティング・コーチのハオが写真を撮っている(ドキュメンタリー映画「ザ・デーティング・ゲーム」)

恋愛がうまくいかない時は、イメージチェンジが容易に始められる場所となる。問題は、何を変える必要があるのか​​、必ずしも分からないことだ。中国の独身男性、周、呉、李に対し、デート・コーチのハオは率直に次のように答える。「全てを変える」。

ヴァイオレット・ドゥ・フェン監督のドキュメンタリー映画『ザ・デーティング・ゲーム(The Dating Game)』(現在ニューヨークで公開中)は、かつての中国の一人っ子政策を受けて、デートライフを刷新しようとする男性たちの姿を追っている。長年続いた男児優遇政策は、世界でも最も顕著な性別間の不均衡を生み出した。「中国には女性がいない」とハオは語る。実際、この政策が終了に至った2015年には、中国では女児100人に対し男児が約116人が出生しており、おそらく男児のほぼ5人に1人が生涯独身(a lifetime of singledom)を強いられていることになる。

フェンが取り上げる登場人物たちは、恋愛の見込みのなさに自己不信と不安(self-doubt and anxiety)に苛まれている。結婚へのプレッシャーはあらゆる方面から押し寄せてくる。家族、友人、そして若者に結婚と出産を公然と迫る国家さえも。

デート・コーチのハオは3000人以上の顧客を抱えていると言い、そのほとんどが労働者階級の男性だ。アパートを所有することが結婚の必須条件とされるこの国では、妻を見つける可能性が最も低い層だ。ハオは彼らを失敗者(failures)と切り捨てながらも、愛を得るチャンスは与えられるべきだと言う。しかし、独身男性たちの旅が展開するにつれ、視聴者はハオのやり方に疑問を抱き始めるかもしれない。そして、約束された成功をもたらさないデート・システムがもたらす社会的影響を懸念するかもしれない。デート・システムは、男性たちを危険な怨恨政治(the dangerous politics of resentment)へと駆り立てる可能性がある。

私たちは中国・重慶のショッピングモールで初めて、女たらし志願の男たちに出会う。ハオは1週間かけて、現代のデジタル時代に女性を惹きつける方法を教えると約束する。36歳の周は最も懐疑的だ。ハオのファッションアドヴァイスに難色を示し、故郷の人たちは自分が太字のピンクのシャツを着ているのを見たら驚くだろうと言う。美容院では、周が「私はハンサムじゃない。スタイリングする意味がどこにある?」と発言する。スタイリストは「顔の形による弱点を目立たなくしてしまう」と答える。こうした率直な発言は、登場人物たちの尊厳を何度も傷つける。独身男性たちが中国の金銭中心のデート文化について語るのも同様に率直だ。周は、女性をディナーに連れて行き、プレゼントを買い、仲人に料金を払うと、月収の半分にあたる300ドルもかかることを嘆く。その後、ある女性は理想のパートナーは「月に1500ドル以上」稼いでくれる人だと語った。

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独身の李はデートのためのプロフィール写真でポーズを取る

経済的な不利を補うため、ハオは独身男性たちに事実上、偽りの自分を見せることを教え、時にはあからさまに嘘をつくよう助言する。例えば、男性たちが高級高層ビルでデートのプロフィール写真のためにポーズを取る場面が見られる。そして、周は明らかに犬を怖がっているにもかかわらず、ふざけた瞬間に12匹ほどのハスキー犬を連れている場面も見られる(大型犬は中国の多くの都市で厳密には違法であり、ステータスシンボルとなっている)。周は新しいプロフィール写真を使うのをためらう。なぜなら、そこには自分が経験したことのない経験が写っているからだ。女性は見抜くだろうと彼は主張する。ハオは、誰もがオンラインでは騙されていると反論する。呉は「私は偽るのは好きじゃない。私は私だ」と反論する。ハオはただ、本物かどうかなんて気にするなと彼らに告げる。

ハオが男性たちに、路上で見知らぬ女性に声をかけWeChatのアカウント情報を聞き出すなど、過酷なデートの練習を指導するにつれ、視聴者はハオの能力不足を疑い始める。男性たちは昔ながらの方法で真の繋がりを切望しているにもかかわらず、一日中、見境なく右にスワイプして相手を探すように指示されるのだ。

映画監督のフェンは彼らの失敗(そして稀に起こる衝撃的な成功)を一切コメントなしで紹介し、視聴者がハオのやり方について独自の意見を形成できるようにしている。しかし、やがて、これらのいわゆるテクニックは、実際には単なるナンパ師(pickup artistPUA)の行動であることが明らかになる。

1960年代に遡るアンダーグラウンドムーヴメントのようなピックアップ・アートは、ニール・ストラウスの2005年の著書『ザ・ゲーム』の出版をきっかけに、爆発的に主流へと躍り出た。心理操作と安っぽいテクニックで女性を誘惑するナンパ師たちは、女性を物のように扱い、男性に常識的な境界線をはるかに超えた恋愛や性的欲求を抱かせるとして、広く非難されてきた。

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ハオがスプレーを使って髪の毛を整えている

近年、ナンパ師たちは「男性優位志向ネットワーク(manosphere)」という異形の類縁関係を生み出している。男性優位志向ネットワーク(マノスフィア)とは、女性蔑視的な見解を唱え、より狂信的なケースでは、伝統的なジェンダー階層の復活を目的とした暴力を擁護する、緩やかなオンラインコミュニティの集合体のことだ。調査ジャーナリストのジェイムズ・ブラッドワースが著書『ロストボーイズ:マノスフィアを巡る個人的な旅(Lost Boys: A Personal Journey Through the Manosphere)』で記録しているように、男性の権利団体、ナンパ師組織、「非自発的独身(involuntary celibate)」フォーラム、そして過激な女性蔑視的インフルエンサーといった広範なネットワークが相互に関連している。例えば、2014年に殺人事件を起こす前、イギリス系アメリカ人の殺人犯エリオット・ロジャーは恋人ができないことを嘆き、恋愛における失敗の原因の一部はナンパ師のテクニックの失敗にあると非難していた。

ナンパ師からマノスフィアへのパイプラインは、ネガティヴな態度、派手な仕草、あるいは挑発的なタッチなど、適切な条件を揃えればガールフレンドを「獲得(acquire)」できるという、薄汚い思い込みで覆われている。しかし、どれだけ気取った振る舞いをしようと、最初の一言がどれだけウィットに富んでいようと、最終的には他の人間との真の紐帯(a genuine bond with another human being)を築かなければならないのだ。

このことを最も強く裏付ける証拠は、独身男性の試練ではなく、ハオと自身もデート・コーチであるウェンとの結婚生活にある。2人の関係は映画の意外な感情的中心となり、ブートキャンプを覆い隠すほどだ。ブートキャンプが気まずく滑稽な一方で、フェンとハオ、ウェンの接点は親密で緊張感に満ち、ほとんどスキャンダラスだ。私たちは本当にこんな光景を目にするべきなのだろうか?

ウェンは多くの点でハオとは対照的な存在だ。指導する女性たちに、ウェンは本物であることと自己改善(authenticity and self-improvement)を説く。それは勤勉と内省(hard work and introspection)を必要とする。それとは対照的に、ハオのやり方は暗く、醜く、破滅的な印象を与える。ウェン自身も、こうしたやり方こそがハオの当初の嫌悪感であり、不誠実だと感じていた部分だと述べている。この2人のアプローチとメンタリティの乖離は、悲劇的で不可解だ。視聴者として、ウェンがハオの泥沼のようなナンパの嵐をかき分けて彼の良い面を見ようとした理由も、この2人を結びつけている理由も、ほとんど理解できない。2人はデートの仕方だけでなく、人間関係の理解や個人としての尊重の仕方についても、正反対の考え方を持っているように見える。この軋轢は耐え難いものとなり、私は何度も目をそらさざるを得なかった。

この展開を目の当たりにしている視聴者にとって、なぜ何千人もの男性がこのひどいアドヴァイスに賛同しているのか、いささか不可解な点がある。

ハオの主張が魅力的な理由の1つは、農村部の労働者階級の男性の多くが、少女との交流をほとんど持たずに育ったことだ。24歳の李は、自分の村では「少年12人に対して少女は数人しかいない」と語る。一方、多くの親は急速な国家工業化政策に携わるため都市部へ移住し、子供たちは祖父母に育てられた。あるアーカイヴ映像では、当時の指導者である鄧小平が国民に対し、中国を速やかに近代化するよう訴えている。国民に豊かな生活を提供できなければ、国は行き詰まってしまうからだ。

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(左から)ハオ、呉、李、周がモールの中を歩く 

中国が経済減速に直面し、若者の間で不満が広がっている現状を考えると、フェンがこの映像をこの時期に取り上げたことは、非常に的を射ているように感じられる。都市部の若者の公式失業率は約17%、2026年には過去最大の大学卒業者数が見込まれる中、若い中国人は独特の倦怠感(a distinctive malaise)を抱えながら労働力として働き始めている。こうした経済的な課題は、世代全体の恋愛の見通しに暗い影を落としている。そして、「996」労働制度(“996” work system)で悪名高い中国では、これまで必死に追い求めてきたものはすべて幻だったという感覚が広がっている。若者の中には、経済的・社会的に無力感を抱き、収入と恋愛の成功があまりにも密接に結びついているため、恋愛から完全に身を引く男女もいる。

デートのプールにとどまり続ける人々は、型破りな手段に訴えることもある。ハオのコーチングはそうしたアプローチの1つに過ぎないが、フェンはまた、成人した子供たちのパートナーを見つけることを望む親たちの、かなり憂鬱な集まりなど、さまざまなお見合い(matchmaking)の試みも紹介している。

別の場所では、国家が主催するお見合いイヴェントで、共産党代表が集まった独身者たちに「あなたたちは未来だ」と語りかける。参加者たちは、将来のパートナーに求める条件―「従順であること(obedient)」「仕事を持っていること([has] a job)」「太りすぎていないこと(not too fa)」―を挙げ、ぎこちないアイスブレイクゲームで盛り上がる。男女が無事にカップルになると、司会者は2人に抱き合い、手を繋ぐように促し、幸せな結婚を祈る。出生率が急落する中、奥ゆかしさはもはや通用しない。

フェンはここに怒りを露わにしている。一人っ子政策、今や幻想としか思えない経済的利益のために引き離された家族、そして中国の若者の孤独を少しでも和らげようとする努力を妨げる構造への怒りだ。しかし、現代社会を生き抜くのに苦闘する人々への真の同情が、その怒りを和らげている。彼女は主に、国家の失策を繊細に批判している。それらを記録すること自体が、十分な非難なのだ。

彼女の最も直接的な政治的発言は、映画の終盤で現れる。「歴史的に、社会における男性の過剰は、国内および地政学的な不安定化を招いてきた」とスクリーン上のテキストは述べている。この映画の慎重な抑制は、登場人物たちの実体験や、より広く中国におけるデートの苦悩を浮き彫りにする上で素晴らしいものだが、この特定の点は、繊細さだけでは提供できない何かを求めている。「デーティング・ゲーム」は、不満を抱えた何百万人もの男性が社会全体に及ぼす潜在的な危険に言及しているものの、国家がどのようにしてそのような状況に陥ったのかという切実な問いを、あまり時間をかけて検証していない。

中国人男性に押し付けられる恋愛プレッシャーは深刻だ。なぜなら、恋に破れた男性は時に暴力に訴えるからだ。それは、挫折感や憤りを根源的に払拭するための手段であり、今日では、アメリカ、トルコ、イギリスなど、極右運動の旗印の下に長年結集してきたマノスフィア(男性融資志向ネットワーク)のインフルエンサーやライフスタイルの教祖によって、ソーシャルメディア上で育まれている。

この男性の憤りという生態系(ecosystem)は、中国のみならず世界中で勢力を拡大しており、ナンパ技術はその始まりに過ぎない。男性融資志向ネットワーク(マノスフィア)は確かに扱いにくく、支離滅裂な怪物だが、「デーティング・ゲーム」はその毒性に満ちた鉱脈に触れており、それと同等の深掘りを必要とする。

※ドリュー・ゴーマン:『フォーリン・ポリシー』誌版権担当副編集長。

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