古村治彦です。
2025年11月末、私は、拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)を刊行した。その中で、ピーター・ティールが率いるパランティア・テクノロジーズ社、イーロン・マスクが率いるスペースX社、パルマー・ラッキーが率いるアンドゥリル・テクノロジーズ社(ティールとマスクの出資を受けている)が企業コンソーシアムを形成して、ゴールデンドーム計画に参画し、巨額の利益を上げるだろう、そして、彼らがアメリカの「新・軍産複合体」として台頭するだろうということを書いた。
ゴールデンドーム計画は数重兆円規模の巨大プロジェクトであるが、その内容も不透明なのが実際だ。そして、現在、予算承認が進んでいないということだ。しかし、準備段階でも相当な予算が投入される。陸海空に宇宙という多層的なミサイル防衛システムということになると、パランティア社のビッグデータ分析、スペースX社の宇宙開発、ロケット打ち上げ技術、アンドゥリル社のドローン技術の融合が必要となる。そして、ドナルド・トランプ大統領誕生に、ピーター・ティールやイーロン・マスクが重要な役割を果たしたことを考えると、ゴールデンドーム計画は彼らに対する利益供与ということもできる。
中国は、2015年に「中国製造2025」というプロジェクトを発足させ、AI、ドローン、量子コンピュータなどの分野でアメリカに対抗している。同じ年、中国は、「軍民融合(Civil-Military Fusion)」プロジェクトもスタートさせた。これは、民間企業が開発した、最先端技術の中国軍による利用を促進するものだ。アメリカでも同様の軍民融合を行おうということになれば、ゴールデンドーム計画のような形になる。
詳しくは是非拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』を読んでいただきたい。
(貼り付けはじめ)
ドナルド・トランプ大統領はゴールデンドームを愛している。彼自身のホワイトハウスは支出を遅らせている(Trump Loves Golden Dome. His Own White House Is Slow-Rolling
Spending)
-行政管理予算局によって承認された数十億ドルの支出が差し止められている。
サム・スコーヴ筆
2026年2月23日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/02/23/golden-dome-spending-omb-budget-pentagon-trump-missile-defense-drones/
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ピート・ヘグゼス米国防長官(右)がワシントンのホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領とゴールデンドームについて協議している(2025年5月20日)
『フォーリン・ポリシー』誌が入手した国防総省の文書によると、トランプ政権の目玉となる国家安全保障戦略である「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムとドローン生産増強計画への数十億ドル規模の予算が支出されていないことが明らかになった。
ドナルド・トランプ米大統領は2025年5月、ゴールデンドームへの支出を称賛し、政権は「アメリカ本土へのミサイルの脅威を永遠に終わらせる」と約束した。
ミサイル防衛兵器を宇宙に配備するなど技術的な課題を抱えながらも、トランプ大統領はわずか3年、つまり大統領の2期目が終了する前に、迅速にプロジェクトを完遂すると約束した。トランプはプロジェクト費用を1750億ドルと見積もっているが、他の推計ではそれよりかなり高額になるとされている。
この計画の財源として、トランプ大統領は昨年連邦議会で可決された「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(the One Big Beautiful Bill Act)」の一環として、この計画に250億ドルを支出すると発表した。
しかしながら、米国防総省の文書によると、ゴールデンドームに関連する宇宙能力への支出のうち、最大140億ドルが連邦資金を配分する行政管理予算局(OMB)の「承認待ち(pending approval)」となっている。
これには、宇宙ベースセンサーに72億ドル、軍事衛星とその防護に36億ドル、標的捕捉関連の軍事衛星に20億ドル、次世代大陸間弾道ミサイル防衛システムに8億ドル、宇宙指揮統制システムに3億5000万ドル、そして宇宙通信システムに1億2500万ドルが含まれる。
アメリカンエンタープライズ研究所上級フェローのトッド・ハリソンは、この資金繰りの停滞により、トランプ大統領が提案した野心的なスケジュールでのゴールデンドーム配備が遅れる可能性があると述べた。「会計年度のほぼ半分が過ぎていることを考えると、この資金の多くを2026年度に使用することは困難であり、つまり配分は2027年度に繰り越されることになる」とハリソンは述べた。
国防総省もドローンの調達を最優先事項としており、ピート・ヘグゼス国防長官は「ドローン優位性(drone dominance)」の実現を約束している。しかし、文書によると、小型ドローン船に15億ドル、中型ドローン船に21億ドルの予算が承認待ちのまま保留されている。
行政管理予算局(OMB)が資金拠出を保留している理由は不明だが、これは行政管理予算局と国防総省の間で資金配分の最適解をめぐる意見の相違を示唆しているとハリソンは述べた。国防総省はコメント要請に応じなかった。
コメントを求められた行政管理予算局広報部長のレイチェル・コーリーは、「これは事実ではない。誰がそう言っているにせよ、誤解している。ホワイトハウスが競争政策と単独調達契約についてどのような立場を取っているかは秘密ではない」と述べた。
『フォーリン・ポリシー』誌は当初、競争政策や単独調達契約について質問していなかった。その後、フォーリン・ポリシー誌はコーリーに対し、ゴールデンドームやドローンの契約プロセスが競争的でないという懸念から資金拠出を差し控えているのではないと言っているのかと尋ねた。
コーリーは「その資金のほとんどは全く保留されていない。全くのナンセンスだ」と答えた。
現在承認待ちとなっている項目の少なくとも1つは、「空中移動目標指示」衛星システムへの20億ドルの割り当てである。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は以前、スペースXがこの契約を獲得する見込みだと報じていた。ゴールデンドームは、スペースX、アンドゥリル、パランティアによるシステム建設の入札で、以前から世間の厳しい批判に晒されてきた。
※サム・スコーヴ:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Xアカウント:@samuelskove
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トランプ大統領のゴールデンドームは万能薬ではない(Trump’s Golden Dome Is No
Silver Bullet)
-アメリカ最大の防衛計画の1つは発表からほぼ1年が経過した現在も構想の域を出ていない。
アレクサンドラ・シャープ、ジョン・ホルティワンガー筆
2026年1月22日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/01/22/golden-dome-trump-missile-defense-explained-greenland/
ドナルド・トランプ米大統領は、1年足らずで歴代大統領の誰よりも多くのことを成し遂げたと主張している。しかし、「トランプ2.0」の最大の提案の一つである「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムは、発表から12カ月近くが経過した現在も、構想の域を出ていない。トランプ大統領は2期目終了までにゴールデンドームを完成させると述べているものの、その実現はますます困難になりつつある。さらに、グリーンランドへの進出もこの構想と結びつけ、今週スイスのダヴォスで行った演説では、デンマーク領であるこの地こそ「史上最大のゴールデンドームを建設する地(land on which we’re going to build the greatest Golden Dome ever
built)」だと述べた。
このようなシステムが本当に費用に見合う価値があるのか、建設と維持にかかる費用(一部の推計では数兆ドルに上る)と、新たな軍拡競争を煽る可能性の両方において、多くの疑問が残る。一部の専門家は、現在のアメリカのミサイル防衛能力には悪用される可能性のある脆弱性が存在することに同意しているものの、ゴールデンドームが真の解決策となるかどうかについては疑問を呈している。
現在、アメリカは複数のミサイル防衛システムを保有している。その中には、飛行中期段階における中・長距離大陸間弾道ミサイルからアメリカ本土を守るために設計された地上配備型中間段階防衛システム(Ground-Based Midcourse Defense、GMD)、飛行中期段階における短・中距離弾道ミサイルを防御するために地上および海上に配備されたイージス弾道ミサイル防衛システム(the Aegis Ballistic Missile Defense、BMD)、そして飛行最終段階における短・中距離弾道ミサイルを防御するために設計された迅速展開・移動式の最終高高度防衛システム(Terminal High Altitude Area Defense 、THAAD)がある。
しかし、専門家の中には、ロシア、中国、北朝鮮といった主要敵国が兵器の増強と近代化を進めている現状において、極超音速ミサイル、ドローン、先進巡航ミサイルといった新技術がアメリカの防衛体制に危険な隙間をもたらしていると警告を発している人たちもいる。
米国防総省は、小規模で的を絞った取り組みによってこれらの脆弱性(vulnerabilities)に対処しようとしている。しかし、トランプ大統領ははるかに大胆で包括的な解決策を求めている。大統領は、ゴールデンドームによってアメリカ本土へのミサイルの脅威が「永遠に(forever)」なくなると述べている。
ゴールデンドームについて、その目的、期待される能力、潜在的なコスト、開発スケジュール、そして考えられるリスクなど、知っておくべきことを以下に挙げていく。
●ゴールデンドームとは何か、そしてその目的は何か?(What is Golden
Dome, and what is it meant to do?)
ゴールデンドームは、多様な空中脅威を阻止できる多層型ミサイル防衛システム(a
multilayered missile defense system capable of thwarting a wide range of aerial
threats)であるが、特に長距離ミサイルの破壊に重点を置く。多くの点で、これは防衛のために宇宙を兵器化する(weaponizing space for the sake of defense)ということだが、地上、海上、空中の層も含まれることになる。
ゴールデンドームは、1984年にロナルド・レーガン米大統領が提唱した「スターウォーズ(Star
Wars)」の愛称を持つ戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative、SDI)の近代化された拡張版と言えるかもしれない。しかし、この計画が実用化されることはなかったことは注意すべき点だ。
トランプ政権はゴールデンドームを「次世代ミサイル防衛シールド(next-generation
missile defense shield)」と表現している。この構想を主導する米宇宙軍のマイケル・グートライン大将は、これを「マンハッタン計画に匹敵する規模(on the magnitude of the Manhattan Project)」と評した。しかし、プロジェクトの規模はそれよりもさらに大きくなる可能性がある。
ゴールデンドームは、基本的にあらゆるもの、つまり国防総省が2025年5月に発表したプレスリリースにあるように「あらゆる敵からの空中攻撃(aerial attacks from any foe)」から防衛することを目指している。当初の構想は、主にロシアや中国などのアメリカの敵対諸国が発射する大陸間弾道ミサイル(intercontinental ballistic missiles、ICBM)の迎撃に重点を置いていた。ICBMは、核兵器を搭載して宇宙空間に発射され、大気圏に再突入して標的を攻撃する先進的な長距離ミサイルで、射程は通常3400マイル(約5600キロメートル)以上だ。
しかし、ホワイトハウスが2025年1月下旬にこの構想を初めて発表して以来、この防衛システムの提案能力は拡大し、「巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速ミサイル、ドローン(通常兵器か核兵器かを問わず)」を含む、他の多くの潜在的な脅威も含まれるようになったと、ピート・ヘグゼス米国防長官は昨年5月に述べた。
これは、冷戦時代の核への恐怖からドローン技術の実際的な懸念へと現代戦争の変遷に対応するための取り組みの一環だ。ロシアとウクライナの戦争は、偵察から直接的な標的攻撃まで、あらゆる用途における低コストで使い捨て可能なドローンの有効性を特に示した。この戦争における両陣営の死傷者の約70%はドローンによるものと推定されている。
「この分野では、十分な速さで対応できない」と、米陸軍副参謀総長のジェームズ・ミンガス将軍は昨年7月に述べた。その理由として、多くの軍指導者や専門家が、短距離ドローンの脅威への対応においてアメリカは後れを取っている点を強調した。
ゴールデンドームがドローンの脅威に具体的にどのように対処するのかについては疑問が残るものの、国防総省は他の方法でこの問題に取り組んでおり、特に現代の戦場で好んで使用される小型無人航空機(small, unmanned aerial vehicles)への対抗能力をアメリカ軍にいかに強化するかに重点を置いている。このため、陸軍はドローンの訓練にますます力を入れている。昨年8月、国防総省は小型ドローンに対抗する軍の能力強化を加速させるため、新たな省庁間合同タスクフォースを設置した。これは、この問題が軍にとって優先事項となっていることを示す新たな兆候である。
しかし、ゴールデンドーム推進の推進は、音速の5倍(マッハ5)以上で飛行するため迎撃が極めて困難な極超音速ミサイルの開発競争をめぐる世界的な懸念によっても促進されている。
But the push for Golden Dome has also been
catalyzed by concerns over the global race to produce hypersonic missiles,
which travel at five times the speed of sound (Mach 5) or faster, making them
exceptionally difficult to intercept.
●ゴールデンドームは理論上どのように機能するのだろうか?(How will
Golden Dome function in theory?)
ゴールデンドームは、センサーと迎撃衛星を搭載した数百、あるいは数千もの衛星群を用いて、極超音速ミサイルをはじめとする兵器システムを追跡・破壊する。
トランプ政権は、この宇宙配備型システムがブースト段階、つまり発射後約5分間の初期段階にあるミサイルを迎撃できる能力を持つことを想定している。ブースト段階のミサイルは探知が容易ですが、破壊は困難だ。なぜなら、ミサイルを破壊には発射地点付近に迎撃衛星を配置する必要があるからだ。迎撃衛星を低軌道に配備することで、ゴールデンドームは理論的には、ブースト段階、つまり飛行初期段階にある敵ミサイルを破壊する能力をアメリカに提供する可能性がある。
アメリカの現在のミサイル防衛システムは、中間段階(ブースターの燃焼が終わった後、ミサイルが最大20分間宇宙空間を滑空する段階。これはミサイルの飛行の中で最も長い段階であり、大気圏再突入前の迎撃の絶好の機会である)と最終段階(ミサイルが大気圏に再突入し、目標に命中するまでの段階)におけるミサイルの迎撃に重点を置いている。
もし今日、ICBMがアメリカ本土に向けて発射された場合、ワシントンの主要な防衛線は地上配備型の中間段階防衛システムであり、ミサイルが中間段階にある間に迎撃する。しかし、アメリカ西部のカリフォルニア州とアラスカ州に設置されている地上配備型中間段階防衛システム(GMDシステム)の一部として運用されている地上配備型迎撃ミサイルはわずか44基である。GMDシステムは全50州を防衛する設計となっているが、北朝鮮のような敵対国による限定的な攻撃に対抗することを目的としており、ロシアや中国のより大規模で高度な兵器に対する防御は想定されていない。
イージスBMDシステムは信頼性が高いと考えられているが、ICBMの迎撃を目的として設計されている訳ではない。これは地域に特化した防衛システムであり、大規模な攻撃に対抗したり、アメリカ本土全体を防衛したりすることを目的としたものではない。
アメリカには最終高高度防衛システム(Terminal High Altitude
Area Defense 、THAAD)とパトリオットシステムがあり、ミサイルを最終段階で迎撃することが可能ですが、限られた時間(1分未満の場合もあり)やミサイルが標的に近接していることなど、様々な課題から、最終段階はそのような脅威を迎撃するには最も理想的なタイミングとは言えない。これらのシステムは、一般的にICBMや長距離ミサイルの迎撃を目的として設計されていない。
ここでゴールデンドームの出番だ。提案されているシステムは、より高度な技術を持つ敵から発射される様々な射程のミサイルを、ブースト、ミッドコース、そして最終段階の全ての飛行段階で迎撃することができる。
しかし、繰り返すが、これはあくまでも理論上の話だ。
ゴールデンドームの開発には、その機能を果たすために必要な宇宙配備型迎撃ミサイルの膨大な数をはじめ、重大なハードルが存在する。
「核兵器に対処する場合、真に安全だと感じるためには、非常に高い迎撃率が必要だ」と、ブルッキングス研究所の防衛専門家マイケル・オハンロンは次のように述べている。「多層防御が必要だ。そして問題は、多層防御の多くは、大国によって偽装されたり、欺かれたり、あるいは飽和状態に陥ったりする可能性があるということだ」。
つまり、アメリカの敵対国がゴールデンドームの能力を圧倒するには、システムを水浸しにするか、デコイを使うだけで済むということだ。アメリカはまだ、宇宙空間にある弾頭が真の脅威なのか、それとも欺瞞なのかを判断する技術を開発している。
●ゴールデンドームの費用はいくらかかるだろうか?(How much will
Golden Dome cost?)
ゴールデンドーム開発における重大なハードルはおそらく費用となるだろう。トランプ大統領はこのプロジェクトの費用は約1750億ドルだと述べているが、実際の費用ははるかに高額になると推定されている。
宇宙配備型迎撃ミサイルに頼るのは、飛来する飛行体1個を撃墜するのに数十基の迎撃ミサイルが必要となるため、費用のかかる戦略となる。「不在率(the absentee ratio)こそが真の致命的な問題だ。これらの迎撃ミサイルやレーザーミサイルのほとんどは、高度が高いため常に周回しているため、適切な位置に配置できず、適切な位置にある1基に対して10基ほどの迎撃ミサイルを宇宙に配備しなければならない」とオハンロンは述べている。
アメリカンエンタープライズ研究所上級研究員のトッド・ハリソンによると、迎撃ミサイル1基の調達コストは平均440万ドルから890万ドルと推定されている。つまり、ゴールデンドームが最大2発のミサイルに対抗するために全世界を継続的にカヴァーするために1900基の迎撃ミサイルが必要だとすると、総調達コストは86億ドルから172億ドルとなる。しかし、(例えばシステムを氾濫させる戦略の一環として)発射される弾道ミサイルの数が増えると、より多くの迎撃ミサイルが必要となり、調達コストは急騰する。連邦議会予算局の推計によると、限定的な宇宙配備型迎撃ミサイルシステムでさえ5000億ドル以上のコストがかかるということだ。
これはゴールデンドームの総費用を考慮に入れていない。ゴールデンドームの総費用は、どの脅威を優先するか、そしてどこでカヴァーするかによって、20年間で2520億ドルから3兆6000億ドルと推定されている。
これまでに、連邦議会はゴールデンドーム構想に約250億ドルを拠出している。この構想は2026年国防権限法にも漠然と言及されているものの、具体的な支出指示は示されていない。
2025年10月、ロッキード・マーティンのジム・タイクレットCEOは、ロッキード・マーティンは2028年までにゴールデンドーム構想の一部である宇宙配備型ミサイル迎撃ミサイルを少なくとも1基試験する計画だと述べた。
ミサイル防衛プロジェクトのディレクターであり、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級研究員であるトム・カラコは、ゴールデンドームは「システム(system)」ではなく、むしろ「数年にわたって段階的に展開される構想(initiative”
that will be rolled out in phases over a “number of years)」であると述べた。ミサイル防衛へのこのようなアプローチはずっと前から必要だったと述べるカラコは、ゴールデンドームを「会計機能(accounting function)」と表現し、この構想に関する多くの詳細が依然として未確定であることを強調した。
トランプ政権には「計画のコンセプト(concept of a plan)」があると元国防次官(政策担当)のエリック・エデルマンは述べた。エデルマンは続けて次のように語った。「トランプ政権が実際に成果を上げたいのであれば、現状の巡航ミサイルの脆弱性への対処といった、容易に達成できる目標に取り組むだろう。そうでなければ、3年で成果を上げることは難しいだろう。なぜなら、はるかに長い時間がかかるからだ」。
しかし、国防総省は依然として楽観的な姿勢を崩していない。2025年10月、ある国防関係のお当局者は『フォーリン・ポリシー』誌に対し、ゴールデンドームは国防総省にとって依然として「戦略的に不可欠なもの(strategic imperative)」であり、同省は「作戦上の安全保障を最優先に考えている(operational security top of mind)」ため、これ以上の情報提供はできないと述べた。
「私たちは大統領のヴィジョンを実現するために、引き続き尽力していく」と公式コメントを控えたこの当局者は付け加えて述べた。
フォーリン・ポリシーは2025年を通して国防総省に複数回連絡を取り、ゴールデンドームの開発状況について最新情報を求めたが、追加情報は得られなかった。
国防専門家の中には、イスラエルのアイアンドーム・システムをトランプ大統領のゴールデンドーム構想の実現可能性を示す証拠として挙げている。しかし、重要な違いがあるため、この比較は不完全である。
第一に、イスラエルは地理的にアメリカ合衆国よりもはるかに小さく、守るべき領土も多くない。イスラエルの面積はアメリカ合衆国ニュージャージー州とほぼ同じである。さらに、イランの代理組織であるハマスやヒズボラなど、イスラエルの敵対勢力の多くは、単純な軌道と小型の通常弾頭を持つ安価なロケットを主に発射している。アイアンドーム・システムはコストを抑えるため、ネゲブ砂漠のような無人地帯を狙ったロケットも攻撃対象としている。これらの地域は民間人に実質的な脅威を与えないからだ。一方、アメリカは世界最大級の核兵器に対抗することになる。これらの核兵器は大都市圏を標的とする可能性が高く、攻撃を放置する余裕はない。
エデルマンは、「全てを攻撃しなければならない。これが核弾頭漏れ防止防衛の問題点だ」と述べた。
ロシアは5400発以上の核弾頭を保有しており、中国は約600発の核弾頭を保有しているが、2035年までに1500発の核弾頭を保有すると予想されている。北朝鮮の核弾頭の総数は未確認だが、アメリカ科学者連盟は平壌が50発以上を保有していると見ている。(アメリカは約5225発の核弾頭を保有している。)
新アメリカ安全保障センターの防衛プログラムのディレクターであるステイシー・ペティジョンは次のように述べている。「ゴールデンドームは、ロシアや中国が保有する量のミサイルを迎撃できるような防御力場にはならないだろう。中露両国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の兵器規模は大きすぎるからだ。むしろ、限定的な攻撃を迎撃できる盾となることを意図している」。
●ゴールデンドームのリスクは何か?(What
are the risks of Golden Dome?)
効果への懸念に加え、多くの批評家はゴールデンドームが世界的な軍拡競争(arms
race)を誘発するのではないかと懸念している。ペティジョンは次のように語っている。「つまり、敵対国がゴールデンドームを見て、アメリカが先制攻撃を仕掛けてくると想定し、ミサイルの増強、そしてシールドを迂回するためのより高度なミサイルの開発に着手するのではないかという懸念だ。つまり、ゴールデンドームが対処できるものに加えて、さらに強力なミサイルを開発し、さらに新システムの弱点を突こうとする新型ミサイルも開発するだろう」。
これは、オハンロンが懸念した、戦場への電子線(flooding)やデコイの使用という戦略にも繋がる。アメリカにはまだ対抗できる技術力がない。
しかし、一部の専門家は、外国の敵対国がゴールデンドーム構想に不満を抱いていることは良い兆候だと主張する。カラコは次のように述べている。「ミサイル防衛は抑止力に貢献するために存在する。空に浮かぶスピードバンプ(スピードを落とさせるための道路上の段差)のようなものだ。中国人がそれについて不満を言うのを聞くのは、私たちが何か建設的なことをしているという良い兆候となるだろう」。
※アレクサンドラ・シャープ:『フォーリン・ポリシー』誌「ワールドブリーフ」担当ライター。Blueskyアカウント:@alexandrassharp.bsky.social、Xアカウント:@AlexandraSSharp
※ジョン・ホルティワンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@jchaltiwanger.bsky.social、Xアカウント:@jchaltiwanger
(貼り付け終わり)
(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』




