古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2026年05月

 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 イラン戦争は、停戦合意が大詰め段階だとドナルド・トランプ大統領が発表しながら、同時に「合意を急がないように」と述べたと発表し、トランプらしさ全開で状況が進んでいる。アメリカとしては、イランの政権転覆(体制転換)が望めない中で、核兵器開発につながるウラン濃縮の廃棄を求めている。イランとしては、戦争の被害の賠償と体制の保証、ホルムズ海峡の管理権を求める。イスラエルとしては、中東地域の混乱が続けば良いということなので、和平は静観しているようだ。イスラエルは、既にUAEという「魚の小骨」をイランの喉(ペルシア湾)に刺すことに成功しているので、これ以上のことは望んでいないだろう。
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 下記論稿において、著者ファリード・ザカリアは、イスラム革命後のアメリカは、イランについてディレンマを抱えてきたと指摘している。それは「イランの体制を転換させるのか、イランの政策を転換させるのか」ということだ。

 イランの体制を転換するためには、アメリカはイランに対して軍事攻撃をするしかない。しかし、それは実態としては不可能であった。今でもそうだ。今回のイラン戦争は、規模で見れば大規模な戦争ではない(犠牲となった人たちには非常に申し訳ない表現になってしまって心苦しいが)。範囲も期間もそこまでではない。しかし、ペルシア湾、ホルムズ海峡というチョークポイントがそこに含まれることで、世界規模で影響を受け、大きくなってしまった。逆に、ホルムズ海峡がなければイランはここまで持ちこたえることはできなかっただろう。アメリカはイランほどの大国を攻撃して体制転換させるほどの力をすでに失っている。第二次世界大戦の時期とはもう違う。しかし、公式的には、イランとの国交はないし、外交関係はない。

 しかし、アメリカとイランは実際には交渉はしなければならないし、イランは国連にも加盟している。実質的には国家として認めている。しかし、外交関係はない。それでも、バラク・オバマ大統領時代には核開発に関して合意が結ばれた。建前とは違うのだ。今回、イラン側がアメリカ側に体制の保証を求めている。これをアメリカ側が認めてしまうと、アメリカは建前が崩れてしまう。国家として認めてしまうことになる。それはそれでアメリカにとっては良いことかもしれないが、今回のイラン戦争の失敗はこの点にある。「イランと交渉して、体制保障をしてしまわねばならない」ことで歴史は動くが、アメリカの建前は崩れる。これこそがアメリカの敗北である。このアメリカの敗北を世界に喧伝してしまうことになってしまう。アメリカ帝国の崩壊をここに明白に示すことになる。アメリカの終わりの始まりということになる。

(貼り付けはじめ)

ワシントンが解決を拒むイランに関するディレンマ(The Iran Dilemma Washington Refuses to Resolve

-アメリカの政策において2つの目標が半世紀近くにわたり対立し続けている。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/08/iran-war-united-states-nuclear-weapons-regime-change-donald-trump-foreign-policy/

世界で最も強力な国家が、経済制裁と軍事攻撃によって荒廃した、はるかに小さく弱い国家に対して、なぜ思い通りにできないのだろうか? イラン戦争におけるアメリカの抱える問題を理解する最も簡単な方法は、ゲーム理論(game theory)を用いることだ。ドナルド・トランプ大統領はイランと「チキン」ゲーム(a game of “chicken”)を仕掛けた。まるで2台の車が互いに真っ直ぐに突進し合うようなものだ。このような状況では、一方の存亡に関わる利害が他方の利害がはるかに低い場合、利害の大きい方がたいてい勝つ。イラン政権にとって、負ければ政権が崩壊し、国民が虐殺される可能性が高い。一方、ドナルド・トランプ大統領にとっては、マール・ア・ラーゴでの週末が台無しになる程度だろう。イラン側がこのチキンゲームでハンドルを握りしめることを厭わない理由が容易に理解できる。

しかし、アメリカがイランへの対応にこれほど苦しんでいるのには、トランプ大統領と今回の拙速な戦争(ill-conceived war)だけではない、より広範な理由がある。イランでイスラム政権が樹立されて以来、アメリカはイランに対して相反する態度(two minds)を取り続けてきた。一方では、人質解放から核兵器制限に至るまで、アメリカが解決を望むいくつかの課題があった。他方では、単に交渉するだけでなく、政権を打倒したいと考えている。この2つの姿勢の間には、半世紀近くにわたってアメリカの外交政策を貫いてきた緊張関係が存在する。ワシントンはイランの特定の政策を変えたいのか、それともイランそのものを変えたいのか?(Does Washington want to change certain policies of Iran or does it want to change Iran?

ワシントンがテヘランと交渉すれば、ギヴ・アント・テイクがあり、必然的に双方の譲歩(concessions on both sides)があり、敵対関係はいくらか緩和される。何よりも、アメリカ政府はイランと関わることで、イスラム共和国に一定の正当性を与え、真剣な交渉相手として扱い、国際舞台でイランを代表する存在として認めることになる。しかし、この容認は一部のアメリカのエリート層にとっては受け入れがたいものだった。彼らは、イラン・イスラム共和国は非合法であり、存在すべきではなく、ワシントンがイランに対して取るべき唯一の政策は、イランを打倒することだと考えているからだ。それでも、ワシントンが望むものの中には、イランでしか実現できないものもある。だからこそ、ロナルド・レーガン大統領でさえ、公にはイランの聖職者たちを非難しながらも、密かに彼らと交渉していた。

トランプ大統領のイラン政策には、ほぼ毎日、矛盾した態度が見られる。あるソーシャルメディアの投稿では、イラン文明を破壊し、47年にわたる悪行に終止符を打つと脅迫する一方で、同じ日に別の投稿では、イランとの交渉が進展していると述べている。トランプ大統領は交渉に臨み、イランとの合意に楽観的な姿勢を見せたかと思えば、交渉の合間にテヘランとの戦争を始め、イラン国民に政府打倒を促す。そして1週間も経たないうちに、イランが要求に応じれば明るい未来が待っていると約束する。

アメリカはソ連に対しても同様に矛盾した態度をとっていた。1917年に共産党がロシアを掌握すると、ワシントンはソ連との国交を断絶し、小規模ながらソ連打倒を試みたことさえあった。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領がソ連の存在を認め、モスクワと大使を交換するまでには、それから約16年もの歳月を要した。この緊張関係は第二次世界大戦後に再び表面化した。1970年代、ヘンリー・キッシンジャーのソ連との交渉政策は、悪の帝国(evil empire)の地位を強化するものとして右派から激しく非難された。キッシンジャーは常に、アメリカはソ連とはイデオロギー的に対立しているものの、核兵器管理(the control of nuclear weapons)など、モスクワとの合意なしには解決できない国益も抱えていると主張した。

イラン問題におけるキッシンジャーの立場に相当するのが、バラク・オバマ大統領である。オバマ政権は、イランに別の政権を望むかもしれないが、アメリカの国益に対する最大の脅威(ソ連の場合と同様、核兵器問題)に対処するためには、現政権と向き合わなければならないと判断した。イラン核合意は、イランの外交政策における最も危険な要素を無力化(neutralize)するための試みであり、実際にその目的は達成された。しかし、多くの右派にとって、その代償は、ある意味でイラン政権を正当化(legitimized)してしまったことだった。トランプ大統領はアメリカを核合意から離脱させたが、これはハサン・ロウハニ大統領の失脚とテヘランの強硬派の復権を招き、彼らはイランのウラン濃縮計画を加速させた。そしてトランプ大統領は再び同じディレンマに陥った。合意を結ぶべきか、それとも毅然とした態度を取るべきか?(Does he make a deal or take a stand?

現時点で、トランプ大統領が合意を望んでいることは明らかだ。しかし、合意に至れば、イラン・イスラム共和国が47年間求め続けてきたもの、つまりアメリカ国内の最も強硬な勢力からも無制限の承認(unqualified acceptance)を得ることになるかもしれない。テヘランにとって、それは多くの譲歩に値するほどの大きな報酬となるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最新刊に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 2026年5月14日から15日にかけて米中首脳会談、20日に中露首脳会談が北京で実施された。アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領が北京を訪問し、習近平中国国家主席が出迎える形となった。20世紀の第二次世界大戦後の世界を二分し、冷戦を戦った超大国である米露(旧ソ連)の最高指導者たちが21世紀の覇権国となる中国を訪問したことは歴史の皮肉である。中露首脳会談後、今度は中朝首脳会談の話が出てきた。習近平主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と会談を持つということだ。トランプとプーティンを北京に来させた習近平がわざわざ北朝鮮を訪問するというのは、北朝鮮と金正恩委員長を尊重しているという外形を取りながら、中身は厳しい対処を行うということではないかと私は考えている。
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 それは、「北朝鮮は誰のおかげで存続できているのか」ということを改めて認識させるということだ。最近でいえば、ロシアと北朝鮮の接近ぶりが際立つ。北朝鮮はウクライナ戦争に北朝鮮人民軍を派遣し、多数の戦死者と負傷者を出している。その代わりにロシアから武器開発や資源などの支援を受けている。北朝鮮とロシアは北朝鮮の核開発でも旧ソ連時代から協力関係にある。ロシア(旧ソ連)は北朝鮮を中国に対する一種の牽制要員として利用している。しかし、実際に北朝鮮が国家として存続できているのは中国からの支援が大きい。そもそもが朝鮮戦争で鴨緑江まで追い詰められた北朝鮮に中国が人民義勇軍による支援を行ったことで、38度線付近まで押し返すことができた。中国側の膨大な死傷者や武器の犠牲があって北朝鮮の存立は守られた。北朝鮮のロシアへの接近は中国を苛立たせる。北朝鮮がロシアと接近することで中国の影響から脱しようという動きは中国としては許せないことになる。そのために、あくまで北朝鮮のメンツをつぶさない形で、北朝鮮に釘を刺すということになる。
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 中朝露の関係が今は中国とロシアが接近していることで二等辺三角形になっている。これでは下がぐらつくことで関係が安定しない。あくまで正三角形にならねばならない。そのための動きであると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

習近平国家主席がトランプ退任後を見据えて外交攻勢を加速させている(Xi’s Flurry of Post-Trump Diplomacy

-中国の習近平国家主席は異例かつ重要な北朝鮮訪問の準備を進めている可能性がある。

リシ・イエンガー筆

2026年5月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/22/xi-north-korea-putin-trump-beijing-visit/

中国の習近平国家主席は、ドナルド・トランプ米大統領と(多額の費用をかけずに[without breaking the bank])北京での初会談を行った(breaking the ice)わずか数日後、より長年のパートナーとの関係に目を向けた。

習主席は火曜日、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領を北京に迎え、実質的でより友好的な会談を行った。中露両首脳は、中国とロシアの「永遠に続く友情(everlasting friendship)」をテーマにした写真展に出席し、原子力エネルギーからヒョウ、パンダ、サルなどの保護に至るまで、あらゆる分野で「協力を深化させる(deepen cooperation)」ことを誓う長文の共同声明を発表した。また、トランプ大統領が提案したゴールデンドームミサイル防衛システムを「戦略的安定に対する明白な脅威(clear threat to strategic stability)」と名指しし、米露核兵器条約(新戦略兵器削減条約[New START])の失効を容認したトランプ大統領の「無責任な政策(irresponsible policy)」を非難した。

しかし、この包括的な会談は、全く予想外という訳ではなかった。習近平国家主席は、プーティン大統領の中国公式訪問が25回目であることに触れ、中露両国が築いてきた緊密なパートナーシップを強調した。

しかしながら、習主席はプーティン大統領の訪問に続き、さらに稀で重要な外交的行動を計画している可能性がある。複数の報道によると、習主席は数日中、早ければ来週にも北朝鮮を訪問する準備を進めているという。中国は公式には訪問を発表しておらず、在ワシントン中国大使館もコメントを拒否している。

もし実現すれば、習主席の北朝鮮訪問は、中国の最高指導者となって2度目、そして7年ぶりとなる。中朝両国は何十年にもわたり緊密なパートナーシップを築いてきた。北朝鮮の貿易のほぼ全ては中国とのものであり、北朝鮮は中国が相互防衛条約(a mutual defense pact)を結んでいる世界で唯一の国である。

しかし、北朝鮮とロシアの緊密化、特にウクライナにおけるロシアの戦争への軍事支援は、中国の立場をやや後退させている。北朝鮮の金正恩委員長とプーティン大統領は2024年に独自の相互防衛条約を締結した。

ワシントンのブルッキングス研究所の上級研究員で、SK-コリア財団韓国研究講座担当のアンドリュー・ヨーは、「習近平国家主席は、モスクワと平壌の強固で深まる関係にあまり乗り気ではないという見方がある。北朝鮮に対する影響力を失うリスクがあるため、中国は自国の存在感を維持したいと考えている」と述べている。

ヨー続けて次のように述べている。「中国は不安定性(instability)も懸念している。独自の路線を歩む北朝鮮にロシアの兵器や技術が渡れば、不安定化を招く可能性がある。中国が最も恐れているのはまさにその点であり、だからこそ北朝鮮が自国の勢力圏(orbit)に留まるようにしたいと考えている」。

中国が北朝鮮との関係強化を図る動きは、昨年1年間で勢いを増している。昨年9月には習近平国家主席が北京で行われた軍事パレードに金正恩委員長(プーティン大統領も同席)を迎え入れた。また、王毅外相も先月、北朝鮮の首都平壌を訪問し、金委員長と会談した。その中で、中朝両国が「主要な国際問題および地域問題について意思疎通と連携を強化する」必要性を強調した。

北朝鮮外交に関心を示す最近の訪問客は、プーティン大統領だけではない。トランプ大統領は政権復帰後、2019年の金委員長との歴史的な会談を再現したいと繰り返し示唆してきた。昨年、トランプ大統領は何度か金委員長と「会いたい」と述べ、先週、北京で習主席と北朝鮮問題について話し合ったことを記者団に明らかにした(ただし、会談内容の詳細は明らかにしなかった)。

しかし、北朝鮮はトランプ政権1期目、金正恩委員長がトランプ大統領と3度会談した時よりもはるかに自信に満ち、強硬な姿勢を見せている。この自信は、ロシアからの支援に加え、サイバー攻撃で数十億ドル相当の仮想通貨を奪取し、国際的な制裁を乗り切るための資金源としていることも一因だ。バイデン政権の国家安全保障会議で東アジア・オセアニア担当上級ディレクターを務めたミラ・ラップ=フーパーは、こうした状況も平壌と北京の関係に影響を与えるだろうと指摘する。

ラップ=フーパーは次のように語っている。「北朝鮮はここ2年間、ここ数十年で最も自信に満ち、制約の少ない立場にある。近年、北朝鮮にはほとんど焦りの兆候が見られない。北朝鮮が望んでいるのは、中国との関係をより強固なものに再構築することだろう。つまり、北朝鮮はもはや従属的なパートナー(a junior partner)や副官(a sheriff’s deputy)のような存在ではなく、中国・ロシア間のパートナーシップにおいて、より対等な立場に立つことを目指している」。

一方、中国の野心ははるかに広範で、よりグローバルなものだ。習近平国家主席の活発な外交活動は、世界における中国の地位と国際社会における台頭を示すシグナルを送るためだ(彼は将来のアメリカ軍の北京訪問についても強硬な姿勢を示している)。

オバマ政権、第一次トランプ政権、バイデン政権を通じて、国家安全保障会議や国務省などでアジア担当の政府高官や外交官を務めたダニエル・クリテンブリンクは、「ここで重要なのは、中国が世界の舞台でリーダーシップを発揮しようとしていることであり、個々のやり取りに焦点を絞りすぎるのは避ける必要がある」と述べた。

現在、ワシントンに拠点を置く地政学コンサルティング会社であるアジア・グループのパートナーを務めるクリテンブリンクは、3月の北京訪問時にその雰囲気を肌で感じたと述べ、トランプ大統領とプーティン大統領による相次ぐ首脳会談によってその思いはさらに強まったと述べた。クリテンブリンクは次のように述べている。「中国の自信はかつてないほど高まっている。国際情勢が中国に有利に働き、中国の時代が到来し、中国はそのチャンスを活かさなければならないという確信を持っている。こうした変化の多くは不安を掻き立て、混乱を招くものだが、それでも中国指導部からは公私ともに、中国はこれらの課題全てに対する解決策を持っており、その解決において中国が中心的な役割を果たすだろうというメッセージが伝わってきたように感じた」。

習近平国家主席の平壌訪問は、主に二国間関係の強化とロシアとの関係調整を目的としたものとなるだろうが、同時に、中国が不可欠なグローバルプレーヤーとしての地位を確立しようとする、より広範な動きの一環でもある。

ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター所長ライアン・ハスは次のように述べている。「2026年前半、北京は世界外交の中心地(the center of gravity for global diplomacy)となった。北京は、国際秩序の維持に努める予測可能な主体として自らを位置づけている。中国は、世界の舞台で外交的影響力を蓄積するために、アメリカとの対比を巧みに利用している」。

※リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@iyengarish.bsky.socialXアカウント:@Iyengarish Instagram: @iyengar.rishi

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 アメリカとイスラエルによる攻撃から始まったイラン戦争は正式な最終和平が達成されずに3カ月が過ぎようとしている。4月7日にパキスタンの仲介により、2週間の一時停戦が合意され、4月22日からは停戦が継続しているが、お互いにホルム海峡を封鎖し合い、にらみ合っている状況だ。5月24日には、60日間の停戦合意間近という報道が出た。アメリカのドナルド・トランプ大統領は再攻撃を検討しているが、ペルシア湾岸諸国が攻撃をしないように依頼しているという報道も出ているが、アメリカはウクライナ戦争も抱え、思うように武力行使ができない状況にある。
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 イラン戦争に関しては、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカのドナルド・トランプ大統領に戦争を「売り込んで」、トランプをやる気にさせて始まったことは、このブログですでにご紹介した。イスラエルにとっての最大の利益は「イランを弱体化させること」であり、中東地域を一種の混乱状態にすることで、自分たちに攻撃を向けないようにして、「目立たない」うちに、「パレスティナ処分」を行うということだ。それが現在はうまくいっている。アメリカを中東地域から撤退させないで、泥沼に足を取られるようにするということにも成功した。さらには、「保険」として、ペルシア湾を挟んでのイランの隣国UAEを味方に引き入れ、依存させ、イランと敵対させることで、「喉に刺さった魚の小骨」のようにすることにも成功した。イスラエルはペルシア湾に対イラン橋頭保(bridgehead)を確保したと言える。

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ:UAE(アラブ首長国連邦)のOPEC離脱は中東地域の不安定化を助長する↓ https://suinikki.blog.jp/archives/90508844.html

 しかし、アメリカと中東諸国にとっては良い迷惑である。平和と安定がなければ、ビジネスもうまくできない。石油が輸出できなければ、他に主要な産業がないは干上がってしまう。他の産業として、金融や観光を発展させようとしてきたが、これらの産業分野こそは平和と安定が必須条件となってくる。危険な場所に投資はしないし、人は観光に行こうとは思わない。中東諸国が石油を売って儲けたお金(ドル)でアメリカへの投資も行われていた訳だが(ペトロ・ダラー体制)、この投資の流れが細くなれば、アメリカの利益にもならない。このように考えると、イラン戦争はアメリカの国益には適わない。そのことを痛感し、じりじりとしているのがトランプ大統領だろう。一日も早い停戦と和平達成こそがイスラエル以外の世界にとって望ましいことだ。

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イラン内戦はアメリカの国益にはならない(An Iranian Civil War Is Not in America’s Interest

-イスラエルは政権崩壊(regime collapse)による混乱を歓迎するかもしれない。しかし、アメリカとその同盟諸国は歓迎できない。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/06/iran-civil-war-united-states-allies-regime-collapse/

「ジャズの即興演奏による政権転覆(Regime change by jazz improvisation)」。イラン研究の権威であるカリム・サジャドプールは、トランプ政権がイランとの戦争で用いた戦略をこう評した。残念ながら、これはワシントンから発せられる、散漫で、変化に富み、不確実なアプローチを最も的確に表現した言葉と言えるだろう。

トランプ大統領はこの戦争を、イラン国民に政府打倒を呼びかけることで開始した。おそらく彼は、政権が即座に崩壊すると想定していたのだろう。しかし、そうならなかったため、わずか1、2日で方針転換した。政権内部の潜在的な指導者への対処を検討し始め、ヴェネズエラへのアメリカの介入を模範とすべき「完璧な(perfect)」事例だと称賛した。なぜなら、ヴェネズエラへの介入は政権転覆とは程遠く、逮捕したのはたった2人だったからだ。ピート・ヘグセス国防長官は、この戦争が「政権転覆[体制転換]戦争(regime change war)」であることを明確に否定し、側近のエルブリッジ・コルビーも同様の見解を示した。両者とも、目標はイランの軍事力を弱体化させることだけだと述べていた(昨年6月、ステルス爆撃機を含む12日間の爆撃で、イラン軍の多くはすでに「壊滅(obliterated)」していた)。しかしその後、事態は一転し、ドナルド・トランプ大統領はイランとイラクのクルド人指導者に接触し、イランの軍事力を弱体化させるためではなく、テヘラン政権の転覆、ひいてはイランの国境線の変更さえも視野に入れ、戦闘に参加するならば支援を約束した。トランプ大統領は現在、イランの「無条件降伏(UNCONDITIONAL SURRENDER)」なしには合意はあり得ないと宣言している。

つまり、目標は政権交代ではない―ただし、時折そうなることもある。

しかし、この戦争で最も危険な要素は、主役がサックス奏者のように即興で行動していることではない。戦争を遂行する2国が、それぞれ異なる、そしておそらく相容れない目的を持っていることだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にとって、この戦争の目的は明らかにイスラム共和国の破壊である。彼は、この戦争が40年来の夢の集大成であることを認めた。また、この機会を利用してヒズボラを根こそぎ排除しようとしている。

イスラエルの軍事戦略は、的確かつ巧みに実行され、その目標に完全に合致している。イスラエルの攻撃は、イラン指導部を壊滅させ、軍事力を弱体化させ、指導部施設を攻撃し、さらには警察施設までも標的にしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じたように、イスラエルはイランの抑圧的な国家体制を組織的に破壊し、政権崩壊の危機をもたらしている。そして、現状のままでは、イスラエルは目的を達成する可能性が高い。そうなれば、イラン国内に権力の空白が生じ、反乱を招く恐れがあるが、ほぼ確実に内戦へと発展するだろう。誰が権力を握ろうとも、この政権は必ず抵抗するだろう。ここで適切な具体例は、10年以上内戦に苦しみ、数十万人が死亡し、数百万人が難民となったシリアである。

トム・フリードマンが指摘したように、イランは容易に崩壊する可能性のある国だ。クルド人、アルメニア人、アゼルバイジャン人など、近隣諸国と繋がりを持つ民族集団が多数存在する。彼らはこれまで平和的に共存してきたが、歴史が示すように、バルカン半島からイラクに至るまで、秩序が崩壊し力の空白(a power vacuum)が生じると、人々は部族集団に引きこもり、他者への信頼を失う。そして、こうして内戦が始まるのだ。この戦争を煽る要因は、イラン政府が、いかなる新政府や新勢力に対しても戦う覚悟のある、武装した献身的な兵士を多数擁しているという事実である。革命防衛隊は推定20万人規模で、さらに数十万人規模の準軍事組織であるバシジも存在する。そして、約40万人の正規軍も存在する。サダム・フセインの軍隊がアメリカの侵攻後に崩壊し、その多くが反乱軍として再び姿を現したように、革命防衛隊も別の装いで戦い、いかなる新政府も国を支配できないようにするだろうと想像できる。リビアでは、カダフィ政権崩壊から14年以上経った現在もなお、国全体を掌握する単一の勢力は存在しない。国家を破壊することは、再建するよりもはるかに容易なのだ。

イスラエルにとって、これはおそらく受け入れられる結果だろう。最大の敵を排除できたのだから、イラン(とレバノン)に混乱が生じても仕方がない。シリア内戦は、イスラエルが、イスラエルと戦うことを使命とする主要なアラブ国家と対峙しなくてよくなったため、実際にはイスラエルの安全保障を向上させた。しかし、イラン内戦はアメリカの国益にはならず、石油、物資、資金、そして人々の自由な往来を可能とするために、地域の安定と予測可能性に依存しているアメリカの最も緊密なアラブ同盟国にとっても国益にはならない。

ワシントンは、イランを内戦に陥れることなく、この戦争で得た成果―武装解除され、牙を抜かれたイラン―を確実に維持する方法を見つけ出す必要がある。

成果を強化し、この戦争を終結させる方法はまだ残されている。いつものように、カタールは仲介者として有益な役割を果たすことができるだろう。しかし、時間は刻々と過ぎている。いずれこの戦争は転換点(a tipping point)に達し、誰もその波及効果(the spillover)を制御できなくなるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最近では『革命の時代(Age of Revolutions)』を著した。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 日中関係は冷え込んでいるという表現が生温いほどに悪化している。2025年11月の高市早苗首相の不要な台湾に関する発言から、すでに半年ほどを経過し、改善の努力は続けられていると思うが、成果は見られない。これは、近衛文麿首相の「爾後国民政府を対手(あいて)とせず」並みの日中関係における重大なマイナス発言として、後世の歴史家たちから評価されるだろう。あの時に謝って撤回しておけばここまでのことにはならなかった。高市首相は国益を毀損した首相である。


 米中首脳会談(5月14~15日)、中露首脳会談(5月20日)が行われ、ここで、日本の「新型軍国主義(Neo-Militarism)」について、中国の習近平国家主席が警告を発したという報道がなされている。米中首脳会談では議題に出る予定ではなかったのに、習主席が激しい言葉遣いで日本の新型軍国主義を非難したことに、アメリカ側が驚いたということだ。トランプ大統領は北朝鮮の脅威があるので日本の防衛費は増加しているという趣旨の発言をしたということだが、そもそも、どうしてアメリカ大統領が日本の弁護をしなければならないのかと大いに不満を持ったと思う(実際にはアメリカが大幅増額を要求しているのであるが)。「アメリカが増額するように命令しているからですよ」とはいくらトランプ大統領でも言えなかったようだ。「日本はあなたのところの属国だ。しっかり管理をしてくれなければ困る」ということになったようだ。トランプ大統領は帰りの飛行機から高市首相に15分間電話をしたそうだが、その内容は伝わっていない。「まぁ何とかとりなしておいたから」と言ったと考えられるし、「少しはおとなしくしろ」と言った可能性もある。

 中露首脳会談後の共同声明では、日本の「新型軍国主義」への非難の言葉が記載されている。米中首脳会談での話はあくまでメディアによる取材で出てきた話であるが、中露首脳会談の共同声明はきちんとした証拠となる。中国とロシアが日本の「軍国主義」傾向に警戒感を持っているということを公に示した。国連常任理事国で、日本の隣国である中国とロシアがそのような態度となっている。この状況は非常にまずい。これで日本国内に核武装の機運が高まるということになれば、国連憲章第53条や第107条にある「敵国」認定される可能性もある。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を発動してくれて、日本が攻撃されることはないだろうが、今の日本は非常に危うく外側からは見えている。

 中国側が使う「新型軍国主義(xin xing jung guo zhu yi)」という言葉は、新型コロナウイルスの中国語訳である「新型冠状病毒(xin xing guan zhuang bing du)」を連想させる。ある意味では、ここに救いがある。「日本は新型軍国主義ウイルスに感染している状態で病気なのだからその治療をすれば元に戻る」と中国側は見てくれていると考えることもできる。

 日本は少子高齢化が世界で最も進み、経済力は衰え、国力研究会に今更研究をしてもらわなくても国力は大きく衰退している。日本は21世紀の「東亜病夫(sick man of East AsiaDōngyà bìngfū)」である。この言葉は19世紀末に衰退していた清朝に対して使われた言葉である。病気から目を逸らすために、病気の痛みや苦しさから目を逸らすために、「排外主義」や「過激なナショナリズム」に走り、果てには核武装を言い出す人たちが出てくる。それを外側から煽り立てる勢力がいる。現在のような状況が続けば、日中間の不測の事態、思いがけない武力衝突の可能性が高まるばかりだ。日本が東アジアと世界の不安定要因にならないためにも現在のような極右的志向を改めることが重要だ。
 しかし、日本人は全体として新型軍国主義というウイルスを避けるための「免疫システム(immune system)」である「知性」や「思考力」が極端に低下している。このウイルスとの戦いに勝てるかどうかは甚だ悲観的にならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で日本の「再軍備」を激しく非難した(Xi Jinping railed against Japan’s ‘remilitarisation’ at Donald Trump summit

-習主席は、アメリカの同盟国である日本の防衛費増額を批判する際に、激しい口調で発言した。

デメトリ・セヴァストプロ(ワシントンDC)、ジョー・リーヒー(北京)、レオ・ルイス(東京)筆

2026年5月25日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/70e922b3-c423-40f2-9c9d-1c64a38e026b?syn-25a6b1a6=1

北京で行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、習近平中国国家主席は高市早苗首相に対し、日本の「再軍備(remilitarisation)」を激しく非難した。会談に詳しい7人の関係者が明らかにした。

習主席は日本について語る際、声を荒げ、感情的(vocal and agitated)になった。首脳会談前には中国側との協議で日本問題が取り上げられていなかったため、アメリカ政府当局者たちは驚いた。複数の関係者によると、習主席の激しい非難は、2日間にわたる首脳会談の中で最も白熱した場面(the most heated part)だったという。

習主席が高市首相と日本の防衛費増額を厳しく批判した後、トランプ大統領は、北朝鮮の脅威の高まりを理由に、日本はより積極的な安全保障姿勢を取る必要があると応じた。トランプ大統領が、日本の最大の安全保障上の懸念事項である中国について、同じ文脈で言及したかどうかは不明である。

元ホワイトハウス対日担当高官のクリストファー・ジョンストンは、習主席の日本に対する「辛辣なアプローチ(caustic approach)」と、トランプ大統領の米中関係安定への願望を利用しようとする試みは、安全保障における自立を目指す日本の姿勢を改めて裏付けるものだと述べた。

「習近平の自己認識の欠如は驚くべきものだ。彼自身の行動が、より強力な日本の台頭を加速させている」とジョンストンは述べた。

「中国の反日的なレトリックは、自国国境の外では支持を得ていない。・・・東京は、オーストラリア、フィリピン、そして韓国を含む地域全体のパートナー諸国との安全保障関係を強化している。これらの国々は皆、『再軍備(remilitarizing)』を進める日本よりも、攻撃的な中国をはるかに懸念している。」

日本は毎年発表する防衛白書において、北朝鮮よりも中国の脅威を優先的に挙げてきた。2023年以降、中国の軍事活動と対外姿勢を「最大の戦略的課題(greatest strategic challenge)」と位置づけている。2026年版防衛白書の草案では、中国による近年の軍事的強硬姿勢の高まりに焦点を当て、北京とモスクワの軍事協力の深化に「深刻な懸念(serious concern)」を表明している。

北京と東京の関係は、昨年11月、高市首相が台湾への中国の攻撃は日本にとって「存立の危機(existential threat)」となり、自衛隊の派遣を正当化する可能性があると発言したことに対し、中国が激しく反発して以来、急激に悪化している。高市首相の発言は政策変更を意味するものではないものの、中国からの非難を招いた。

中国はその後も日本に対する攻撃を繰り返し、レアアースの軍民両用輸出制限といった具体的な措置と、言葉による攻撃を織り交ぜながら攻撃を続けている。中国外務省は金曜日、日本が2025年までに防衛費を9.7%増額したと発表した。

中国外務省は続けて、「日本の防衛予算は14年連続で増加しているにもかかわらず、日本の右派勢力は依然として防衛費増額を声高に要求している。これは、日本の『平和国家(country for peace)』という仮面が剥がれ落ち、新軍国主義(neo-militarism)へと傾きつつあることを改めて示している」と述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界第2位の軍事費支出国である中国は、昨年、防衛費を7.4%増の3360億ドルに引き上げた。これは31年連続の増額となる。一方、日本の防衛費は620億ドルだった。

高市首相は台湾に関する発言後、トランプ大統領やアメリカ政府高官からほとんど支持を得られなかった。この状況は、米中首脳サミットを前に、トランプ大統領が日本についてどのような発言をするのかという不安を東京にもたらした。

トランプ大統領はワシントンへの帰路、エアフォースワン機内から高市首相に電話をかけた。しかし、ホワイトハウスと日本政府は、大統領が高市首相に何を話したかについて詳細を明らかにしていない。

習近平国家主席との首脳会談について、あるアメリカ政府高官は、トランプ大統領が「日本国民への深い敬意と高市首相との親密な個人的関係を強調した(emphasised his deep respect for the Japanese people and his close personal relationship with Prime Minister Takaichi)」と述べた。

この高官はさらに、「アメリカ代表団は、在日アメリカ軍の大規模な駐留について中国側に改めて注意を促した(The US delegation reminded Chinese counterparts about the large US military presence in Japan)」と付け加えた。

日本政府は、トランプ大統領による同盟諸国への関税賦課から、イラン核戦争によって対中米軍事抑止力が弱体化しているとの懸念まで、日米同盟の現状について不安を抱いている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は土曜日、アメリカが今月、日本に対し、中国への「反撃(counterstrike)」力として日本が2024年に発注したトマホークミサイル400発の納入が大幅に遅れる可能性があると伝えたと報じた。

トランプ大統領が北京で、台湾への140億ドル規模の過去最高額の武器売却案は中国との交渉において有効な「交渉材料(negotiating chip)」になると述べたことを受け、同盟国やパートナー国はワシントンの台湾への関与について懸念を表明している。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は金曜日、中国が、アメリカが台湾への武器売却案を承認するかどうかを明確にするまで、国防総省の政策担当高官(国防次官)であるエルブリッジ・コルビーの北京訪問を保留していると報じた。

在米中国大使館は習近平国家主席の発言についてコメントしなかったものの、日本の「右派勢力(right-wing forces)」が「地域平和の基盤を・・・揺るがそうとしている()shake the...foundation of regional peace」と非難した。

駐米中国大使館はさらに、「日本はまず何よりも、台湾に関する誤った言動を改め、無謀な再軍備の動き(reckless remilitarisation drive)を止め、良き友好関係(good neighbourliness)と友情(friendship)平和的発展(peaceful development)という正しい軌道に戻り、具体的な行動によってアジア諸国や世界の信頼を得るべきだ」と付け加えた。

日本の首相官邸はコメントを拒絶した。

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習近平氏、高市首相に言及し激高…中国外務省は否定

5/25() 18:15配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b59e21248db3cac7208c4a5c9920c91eaec724f

 【ワシントン=栗山紘尚】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、北京で14~15日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、高市首相が「再軍備」を進めているとして声を荒らげて激高したと報じた。複数の関係者からの情報として伝えた。

 報道によると、習氏は会談で日本の防衛費増額の取り組みが話題になった際、口調を強めた。トランプ米大統領は日本の防衛強化策について、北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「日本は積極的に防衛力強化を進めざるを得ない」と擁護したという。2日間の会談で、「最も緊迫した場面」だったと伝えている。

 報道について、中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は25日の記者会見で「中米首脳会談については、既に発表している。報道は中国が把握している内容とは異なる」と否定した。

 トランプ氏は3月に高市首相と会談した際、「習氏との会談では、日本を称賛するつもりだ」と話していた。習氏は今月20日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者発表でも「軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」と日本を批判した。

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中露が共同声明で「再軍備加速」と日本を名指し批判 プーチン氏、2日間の訪中終え帰国

5/21() 11:34配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/69fe43d836f28814268b07ea0cbe4dcf09759a7b

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は20日夜、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が同日の会談後に署名した「全面的戦略協力のさらなる強化と善隣友好協力の深化」に関する共同声明の内容を伝えた。共同声明は「日本で加速する『再軍備』が、地域の平和と安定を深刻に脅かしている」と主張し、日本を名指しして批判した。

中国は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に対日姿勢を硬化させており、ロシアと対日圧力でも連携を強化する可能性がある。

共同声明は、中国が主張する「新型軍国主義」という言葉も使い、日本側に「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第二次大戦の全ての結果を認める」ことを求めた。日本で非核三原則の見直しを求める意見が出ていることに触れ、「日本の右翼勢力の容認できない野心と極端な挑発行為」への「警戒」を表明した。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃に関しては、「国際法などに違反し、中東情勢の安定を甚だしく損なう」との認識で一致した。名指しを避けつつも米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。

ロシアが侵略したウクライナに関する問題については、「対話と交渉を通じた解決策の追求を継続することを支持する」と表明した。

新華社は、「世界の多極化と新型国際関係」に関する共同声明の内容も伝えた。中露両国で「多極世界と、より公正な新型国際関係の形成に向けた共通ビジョンの構築を継続する」としている。

プーチン氏は20日夜、2日間の中国訪問日程を終えて帰国の途に就いた。同日夜には習氏とプーチン氏が北京の人民大会堂でお茶を飲みながら会談した。中国外務省によると、習氏は、中露関係について「高い質の発展を続け、さらなる高みへ至ると信じている」と強調した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 ドナルド・トランプ大統領は融通無碍だ。自分の過去の行動や決定、発言に縛られない。これはトランプの強みだ。謝ることはしないが、これは違うと思えばさっと行動を変える。これだと発言や決定に信頼性を欠くことになるが、この柔軟性は事態をそこまで悪化させない。この柔軟性はほかの政治家ではなかなか持てない。

 ドナルド・トランプ大統領は中国を批判し、実際には極端な高関税政策など、厳しい対応を行ってきた。米中貿易戦争という言葉は、第一次トランプ政権の頃から使われている。中国もアメリカに対して厳しい対応を取るということを行ってきた。同時に、製造業での優位を確保し、最先端分野、AI(人工知能)、量子コンピュータ、ドローン、電気自動車などの分野でアメリカと肩を並べ、追い抜くというところまできた。また、レアアース分野における優位性も確保していた。そして、第二次トランプ政権で、このレアアースの優位性を利用して、アメリカに対抗し、アメリカからの譲歩を引き出した。

 今回の米中首脳会談では、具体的な内容はあまり伝わっていないが、中国側が「建設的戦略的安定性(constructive strategic stability)」の堅持で合意した。米中はお互いに緊張関係を欲しないし、競争と協調をミックスした関係を望んでいる。台湾問題にしても、武力衝突までエスカレーションすることを両国が望まない。アメリカにも、台湾にも、日本にも、そして、中国にも、米中日台湾の間で武力衝突をしたい、させたいと狂信的に望む人間や勢力がいる。しかし、実際には、トランプもアメリカも中国戦争をしたいとは望まないし、できない。そんなことをすれば、アメリカの衰退が加速し、国家が立ち行かなくなるからだ、そして、世界の敵と認定されてしまうからだ。

 トランプは対中強硬姿勢から見事に、華麗に変身した。トランプ政権内には対中強硬派が多く入っているが、親分が以前は白と言っていたが、今は「これは黒だよな」と言ったら、「そうですね、真っ黒ですよ」と答えるのが子分だ。裏では「何を言ってやんでぇ」と思っていたとしても、だ。トランプ政権の間は中国に融和的な姿勢とならざるを得ない。それが嫌ならトランプ政権から離れねばならない。トランプは根っからのビジネスマンであり、「金にならない」「損になる」ということを嫌うという本能で生きている。その本能が正しく機能して、中国に対して融和的になっているというのは、それだけで大きな価値があるということになる。そして、対中強硬姿勢を馬鹿みたいに続けるほど馬鹿ではないということだ。それでは、日本の指導者、高市早苗首相はどうだろうか。その答えは明らかだ。

(貼り付けはじめ)

トランプの対中政策における実用主義は歓迎する(Trump’s China Pragmatism Is Welcome

-北京とのライヴァル関係は避けられない。経済の断絶(economic rupture)は壊滅的な事態を招くだろう。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/18/trump-xi-meeting-china-united-states-economics-trade-great-power-competition/

このコラムの読者の皆様さんは、私がドナルド・トランプ大統領の2期目の外交政策を支持してこなかったことを知っている。グリーンランドの併合やカナダの併合をちらつかせたり、一方的に関税を急激に引き上げたり、イラン戦争の失敗に終わったりと、トランプは無謀で(reckless)、混乱させ(chaotic)、深刻な不安定化(deeply destabilizing)をもたらしてきた。しかし、ある重要な分野、すなわち米中関係においては、彼は正しい直感(the right instincts)、そしておそらくは正しい政策さえも持ち合わせているのかもしれない。

トランプが最近、中国の習近平国家主席と会談した際、普段はなかなか見られない一面が見られた。彼は敬意を払い、ほとんど恭順を示し(almost deferential)、二人の個人的な親密さを強調しようと努めていた。一方、習主席は終始形式的で(formal)、規律正しく(disciplined)、決して温かみのある様子を見せなかった。この非対称性は、実態をよく示している。

トランプ氏は権力に執着している。イデオロギーや価値観よりも、彼は影響力と支配力という観点から物事を考えている。トランプはヨーロッパの同盟諸国を侮辱するが、それは彼らが依然としてアメリカの軍事的保護とアメリカ市場へのアクセスにどれほど依存しているかを理解しているからだ。トランプ氏は弱点を見抜き、それを巧みに利用する(Trump senses weakness and exploits it)。

しかし、中国に関しては、ワシントンの多くの人々が未だに感情的に受け入れられずにいる事実をトランプは理解するようになった。それは、北京が経済、技術、産業、軍事において独自の強大な力を持っており、それを効果的に行使できるということだ。従って、トランプは、好戦的な姿勢(belligerence)から、ライヴァル関係と協力関係(rivalry and cooperation)が複雑に絡み合った関係へと変化した。この関係こそ、まさに今求められているものなのかもしれない。

トランプ氏の今回の訪問を、2021年にアンカレッジで行われたバイデン政権関係者と中国側関係者の初会談と比較してみよう。アメリカ側はテレビ中継で、人権問題、サイバー攻撃、国際秩序を巡って中国を激しく非難した。中国側の外交官たちも同様に激しく反論した。それは真剣な外交的対話というより、ケーブルニューズでの罵り合い合戦(a cable news shouting match)に過ぎなかった。

多くの中道派民主党連邦議員たちは、「中国に弱腰だ(soft on China)」と見なされることを恐れている。そのため、彼らはしばしば過剰なレトリックを用い、極端な表現を使い、象徴的な対立をエスカレートさせる。ジョー・バイデン大統領は、トランプ政権の対中関税に懐疑的な姿勢を示し、撤廃を約束したにもかかわらず、ほぼ全ての関税を維持した。また、バイデンは大統領として中国を訪問したことはなく、習近平国家主席をワシントンに招待することもなかった。

バイデン陣営は、トランプ政権が最初に主張した、中国の新疆ウイグル自治区における行為は大量虐殺(ジェノサイド、genocide)に当たるという主張を支持した。ジェノサイドという言葉は、ホロコーストや1994年のルワンダ虐殺のような、組織的な大量虐殺(extermination campaigns)を想起させる。中国の新疆ウイグル自治区の刑務所や再教育キャンプは残虐で恐ろしいものであり、数十人の学者がウイグル族に対する中国の行為をジェノサイドと呼んでいる。しかし、『エコノミスト』誌が指摘したように、それは多くの人がこの言葉を思い浮かべたときに連想するものとは異なる。

トランプの最大の強みは、右派からの攻撃を受けないことだ。2016年の大統領選挙後、彼は北京を激しく非難し、製造業の雇用喪失、貿易不均衡、そしてアメリカの産業衰退の責任を中国に押し付けて政権を握った。ある意味、これは「ニクソン大統領が中国へ向かった」というよりは、リチャード・M・ニクソン大統領よりも右派に位置する超タカ派のロナルド・レーガン大統領がソ連へ向かったという構図に近い。トランプが同様の方向転換を成し遂げられる可能性があるのは、彼の支持層が彼の先導する方向に従うからに他ならない。トランプがイランへの軍事介入を支持する姿勢を示した途端、多くのMAGA支持者がいかに迅速に態度を翻したかを見れば明らかだ。

なぜ中国とのより協調的なアプローチが理にかなっているのだろうか? それは、中国はソ連ではないからだ。ある指標によれば、冷戦終結時のソ連経済規模はイタリアよりも小さかった。一方、中国は世界第2位の経済大国であり、120カ国以上にとって最大の貿易相手国であるだけでなく、電気自動車やバッテリーからドローン、先端製造業、人工知能に至るまで、幅広い分野で技術大国としての地位を確立している。製造業の生産高は、米国、日本、ドイツを合わせた額を上回る。

このような国に対して本格的な冷戦を仕掛けようとすれば、世界が既に分断されていたソ連との闘争とは全く異なるものになるだろう。冷戦を仕掛けることは世界経済そのものを崩壊させることを意味する(It would mean tearing apart the global economy itself)。アメリカの消費者は物価上昇と供給ショックに直面するだろう。アメリカ企業は世界最大級の市場へのアクセスを失うだろう。大学は多くの優秀な学生を失うだろう。危険は単なる経済的苦痛にとどまらない。それは、敵対する2つの技術・地政学的ブロックが生まれ、対立が激化するという事態を招くことになるだろう。

もちろん、アメリカと中国はライヴァル関係にある。二極化した世界(a bipolar world)において、それは避けられないことだ。米中両国は今後数十年にわたり、経済、軍事、戦略のあらゆる面で競争を繰り広げるだろう。しかし、ライヴァル関係は必ずしも完全な断絶(total rupture)を意味するものではない。ヘンリー・キッシンジャーは亡くなる数週間前、私に次のように語った。「米中両国の指導者は、1914年に国家主義的な競争が結果を顧みずに追求された結果、世界秩序を根底から覆す世界大戦が勃発したことを心に留めておくべきだ(leaders of both countries should keep in mind how in 1914, nationalist competition pursued with no concerns of its consequences led to a world war that upended the entire global order)」。

人工知能、サイバー戦争、核兵器の時代において、協力関係を維持することはこれまで以上に重要だ。米中両国は激しく競争しながらも、核兵器の安定(nuclear stability)、AIの安全性(AI safety)、パンデミック(pandemic)、金融危機(financial crises)といった分野で、可能な限り取引、対話、協力関係を維持すべきである。冷戦時代、ワシントンとモスクワは激しい敵対関係の最中でも軍備管理交渉を継続した。それは、米ソ両国が制御不能なライヴァル関係が破滅的な結果を招くことを理解していたからだ。

それは今日においても変わらない。そして、もしトランプが、哲学(philosophy)というよりはむしろ本能的(instinct)な理由から、この基本的な現実を認識するに至ったのだとすれば、少なくともこの問題に関しては、彼の実用主義(Pragmatism)は理にかなっていると言えるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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 古村治彦です。

 日本の経営コンサルタントの草分けである故船井幸雄先生が創設された船井本社が発行する月刊誌『ザ・フナイ』(出版はビジネス社)に論考を掲載していただきました。

今回の『ザ・フナイ』2026年7月号(2026年6月1日発売予定)は、アメリカ建国250周年(7月4日が建国記念日)にちなみ、「建国250周年の黙示録 アメリカ帝国の崩壊とトランプの蹉跌(さてつ)」をテーマにするということで、論稿の寄稿をご依頼いただいた。師である副島隆彦先生が毎月『ザ・フナイ』に論考を掲載しており、今回、お口添えをいただいた。副島先生と『ザ・フナイ』編集部に厚く御礼を申し上げます。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 私は、「トランプとネタニヤフが始めたイラン戦争の後始末 JD・ヴァンス副大統領が『アメリカ・ファースト』の灯を灯す」という題で論稿を寄稿し、掲載していただきました。

 私の論考の内容は、アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が主導し、2026年2月28日に開始されたイラン戦争(現在は一時停戦中だがホルムズ海峡は封鎖中)について、攻撃決定までの内幕、JD・ヴァンス副大統領が主導している和平交渉までを、資料にもどいて描き出した。そして、トランプの後継者はヴァンスであり、ヴァンスこそがアメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内問題解決優先主義)を引き継ぐことも合わせて書いている。
 ヴァンスを拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体』(ビジネス社)で取り上げたピーター・ティールがしっかりと支えており、2028年の大統領選挙に向けて動いていることはこのブログでもすでにご紹介している。ブログと合わせてお読みいただければ、皆さまにアメリカ政治の理解を深めていただけるものと著者として確信を持っている。

 是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権のトゥルシー・ギャバード国家情報長官が2026年6月30日付での辞任を発表した。その理由として、夫君エイブラハム・ウィリアムズが珍しい骨肉腫を発症し、闘病を支えるためとしている。このブログでは、トゥルシー・ギャバードについては長年にわたり、詳しく紹介してきた。以下のアドレスにギャバード関連記事が掲載されている。ご興味がある方は是非お読みください。

※トゥルシー・ギャバードに関する記事は以下のアドレスからお読みください↓

https://x.gd/85bqo

 ギャバードは、民主党所属の連邦下院議員(ハワイ州選出)時代の2016年、大統領選挙の民主党予備選挙で、当時の民主党全国委員会がヒラリー・クリントンを勝たせようとして不公正な選挙運営を行っていたことに抗議して、副委員長を辞任し、バーニー・サンダース連邦上院議員を応援したことで名前が知られるようになった。また、シリアやイランを訪問し、指導者たちと会談を持つなど独自の活動を展開した。連邦下院議員を4期務め、2021年に任期満了で退任してからはテレビでのコメンテイターを務めていた。そして、2022年には民主党を離党した。2024年の大統領選挙期間中、ドナルド・トランプの選挙集会に登場し、トランプ支持を表明し、更に共和党への入党を表明し、トランプを驚かせる一幕もあった。そして、第二次ドナルド・トランプ政権では国家情報長官に指名され、連邦上院での人事承認を受けて、就任した。国家情報長官になっても独自の活動は続いていて、昨年には広島を訪問し、核兵器廃絶を訴えた。

海外への介入に反対する姿勢を貫いてきたので、2026年1月のヴェネズエラ攻撃、2月末からのイラン戦争に対して反対とみられ、トランプ大統領とは意見が合わなくなっているという見方もされるようになっていた。そのために、トランプから更迭されるのではないかという観測もあったが、今回、私的な理由での辞任となった。クリスティ・ノーム前国土安全保障長官、ロリ・チャヴェス=デレマー前労働長官のようなスキャンダルによる更迭ではなかった。この点は非常に重要である。なぜなら、政治的に復活できる可能性があるからだ。2028年の大統領選挙には、JD・ヴァンス副大統領が出馬する可能性がある。副大統領候補になるかどうかは分からないが、当選後に政権入りすることは十分に考えられる。それまでに、夫君エイブラハム・ウィリアムズが快癒していることを祈るばかりだ。ちなみに、ヴァンスのウーシャ夫人はインド移民の娘ということで、トゥルシー・ギャバードと共通点がある。以下の写真は2026年2月28日のイラン戦争開戦時のもので、ヴァンス副大統領の隣にいるのがトゥルシー・ギャバードである。
jdvancetulsigabbardscottbessent20260228001

エイブラハム・ウィリアムズ、トゥルシーギャバード夫妻の闘病生活がうまくいくこと、エイブラハムの病気が快癒することを心から祈念する。

(貼り付けはじめ)
トゥルシー・ギャバードの夫とどんな人物か? 珍しいがんの診断を受けたエイブラハム・ウィリアムズについて知っておくべきこと(Who Is Tulsi Gabbard's Husband? What to Know About Abraham Williams amid Rare Cancer Diagnosis

-5月22日、トゥルシー・ギャバードは夫の「極めて珍しい骨肉腫」を理由に、ドナルド・トランプ大統領政権での役職を辞任した。

ジョーダナ・コミター筆

2026年5月22日

『ピープル』誌

https://people.com/who-is-abraham-williams-tulsi-gabbard-husband-11982549

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ロサンゼルスでのショーン・ペン・・コア・ガーラに出席のエイブラハム・ウィリアムズとトゥルシー・ギャバード(2019年1月5日)

●知っておくべきこと(NEED TO KNOW

・ドナルド・トランプ大統領の国家情報長官トゥルシー・ギャバ―ドは2015年4月にエイブラハム・ウィリアムズと結婚した。

・ウィリアムズはハワイ出身の撮影監督。

・5月22日、ギャバードは夫のがんの診断を受け、トランプ政権からの辞任を発表した。

トゥルシー・・ギャバードが、夫のエイブラハム・ウィリアムズを支えるため、ドナルド・トランプ大統領政権の役職辞任を発表した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、トランプ政権下で国家情報長官を務めたギャバードは2015年4月にウィリアムズと結婚した。

5月22日、ギャバードは国家情報長官辞任を申し出て、その理由として夫が「極めて珍しい骨肉腫」と診断されたことを挙げた。

ギャバードはトランプ大統領宛の辞任書簡の中で、「この度、夫の傍に寄り添い、この闘いを全面的に支えるため、公職を離れることを決意した」と述べ、辞任は6月30日付で発効するとした。

ギャバードは次のように書いている。「11年間の結婚生活において、エイブラハムは私の支えだった。彼の強さと愛は、あらゆる困難を乗り越える力となってきた。私がこの重責と時間のかかる職務を続けながら、彼に1人で闘病生活を送るよう求めることは、良心に照らしてできない」。

それでは、トゥルシー・ギャバードの夫エイブラハム・ウィリアムズとはどんな人物なのか? これからエイブラハム・ウィリアムズについて書いていく。

●エイブラハムはハワイで育った(He was raised in Hawaii

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トゥルシー・ギャバードとエイブラハム・ウィリアムズ

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ウィリアムズはハワイで母親のアニャ・アンソニーと継父のティモシー・S・アンソニーに育てられた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙が2015年に報じた当時、母親はホノルルにあるギャバード議員の選挙区事務所のマネージャーを務めており、継父はカラカウア中学校で社会科教師と英語学習者向けプログラムの運営を担当していた。

●エイブラハムは撮影監督(He is a cinematographer

ウィリアムズは、自身のウェブサイトによると、コマーシャル、長編映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、短編映画などを手掛けてきた撮影監督だ。

IMDbによると、2023年にはテレビシリーズ「私立探偵マグナム」シーズン5の1エピソードで撮影監督を務めた

●仕事を通じて2人は知り合った(They got to know each other through work

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ワシントンDCで国家情報長官の就任宣誓する前のトゥルシー・ギャバードと夫のアブラハム・ウィリアムズ(2025年2月12日)

ウィリアムズの仕事によって、ギャバードと知り合うことになった。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、2人は以前から知り合いだったが、2012年にウィリアムズがギャバードの選挙広告の撮影にヴォランティアとして参加したことがきっかけで親しくなったとギャバードは語っている(当時、彼女は連邦議会議員選挙に出馬していた)。

ギャバードはメールの中で、「それから約1年半後、共通の友人が私のために開いてくれた誕生日パーティーで、彼から初めてデートに誘われた。お互いのことを知るにつれて、共通点がたくさんあることに気づいた」と書いている。

ギャバードは、2人の友情と関係は「海とサーフィンへの共通の愛」を通して深まったと書いている。

●エイブラハムはサーフボードの上でギャバ―ドにプロポーズ(He proposed to Gabbard on a surfboard

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トゥルシー・ギャバードと夫のエイブラハム・ウィリアムズ

ギャバードは『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して、ウィリアムズはギャバ―ドにサーフボードの上で結婚の申し込みをしたと答えた。

ギャバードは次のように語った。「ワシントンDCから帰省していて、感謝祭の前日、彼が『夕方、サウスショアで夕日を見ながらサーフィンに行きたい』と言ってきた。その日は一日中会議で、出発する頃にはもう日が沈み始めていた。すごく長い赤信号で渋滞に巻き込まれて、エイブラハムはすごくイライラしていた。何がそんなに大騒ぎすることなのか、私には全然分からなかった」。

太陽が完全に沈む直前、2人は海に出た。その時、ウィリアムズは指輪を取り出し、彼女にプロポーズした。

●2人は10年以上の期間結婚を継続(They've been married for over a decade
『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ギャバードとウィリアムズは2015年4月にハワイでヒンズー教の古い儀式(Vedic ceremony)で結婚式を挙げた。

ギャバードは結婚式の翌朝、『ピープル』誌の取材に対して、次のように答えた。「エイブラハムと私にとって大きな意味のある、深くスピリチュアルで伝統的な儀式だった。これから共に人生を歩むための重要な要素となった」。
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共和党連邦上院議員がエリス・ステファニクをトゥルシー・ギャバードの後任として国家情報長官に推すという考えを示す(GOP senator floats Stefanik to replace Gabbard as DNI

ソフィー・ブラームス筆

2026年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5892105-gop-senator-floats-stefanik-to-replace-gabbard-as-dni/

ジム・バンクス連邦上院議員(インディアナ州選出、共和党)は金曜日、退任するトゥルシー・ギャバード国家情報長官(Director of National IntelligenceDNI)の後任候補として、エリス・ステファニク連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の名前を挙げ、ステファニク議員は承認手続きを難なく通過するだろうと述べた。

「ステファニクはトゥルシー(・ギャバ―ド)の後任として国家情報長官にふさわしい人物だ。承認通過も容易だろう」とバンクス議員はソーシャルメディアプラットフォームXに投稿した。

ギャバードは金曜日、夫が珍しい骨肉腫と診断されたことを理由に、6月30日付で辞任すると発表した。

『ザ・ヒル』誌が入手した辞任書簡の中で、ギャバ―ドは次のように記している。「夫は今後数週間、数ヶ月にわたり、大きな挑戦に直面するだろう。この時期、私は公職を離れ、夫の傍らに寄り添い、この闘いを全面的に支えなければならない」。

ギャバードは、トランプ政権2期目の閣僚として、この春に辞任した4人目の閣僚になる。これまでに辞任したのは、パム・ボンディ前司法長官、クリスティ・ノーム前国土安全保障長官、ロリ・チャヴェス=デレマー前労働長官だ。

トランプ大統領はギャバードの辞任発表まもなく、自身のソーシャルメディア「トゥルー。ソーシャル」で、ギャバードの辞任に伴い、アーロン・ルーカスが国家情報長官代行を務めると発表した。

しかし、彼女の後任として誰が指名されるのかという憶測がすぐに飛び交い始め、ソーシャルメディア上でステファニクの名前が挙がった。

現在の任期満了(2027年1月)で連邦議会を引退予定のニューヨーク州選出の共和党連邦下院議員であるステファニクは、トランプ大統領の最も熱烈な擁護者の一人であり、当初は2024年の大統領選挙後に国連大使に指名されていた。

しかし、ホワイトハウスはその後、ステファニクの国連大使指名を撤回した。連邦下院議員を辞任させることで、すでに僅差で過半数を維持している連邦下院での共和党の議席配分が複雑化するとの懸念からだった。

ステファニクは昨年3月、フォックスニューズの番組「ハニティ」のインタヴューで「これはティームとして力を合わせることであり、私はリーダーとして、この負託を確実に受け止め、歴史的な成果を上げるために尽力している」と、語った。

その後、一連の特別選挙での敗北、議員の死去や辞任により、共和党の議席はさらに縮小した。全議員が出席することを前提とすれば、党の方針に沿った投票で数人の離反者が出ることさえ許容できない状況だ。

ステファニクは、昨年4月に連邦議会に復帰した際、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)によって連邦下院共和党指導部議長に任命され、党内で要職を務めている。

ステファニクは、国連大使に指名された際に、連邦下院共和党指導部で4番目に高い地位である連邦下院共和党指導部議長の職を辞任した。

また、ステファニクは、情報特別委員会、連邦下院軍事委員会、連邦教育労​​働委員会の上級委員でもある。

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トゥルシー・ギャバードがドナルド・トランプ政権の情報・諜報役職を辞任(Tulsi Gabbard to resign from Trump Intel post

レベッカ・ベイッチ筆

2026年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5891647-intelligence-chief-gabbard-resigns/?tbref=hp

トゥルシー・ギャバード国家情報長官が金曜日、夫が珍しい骨肉腫の闘病中であることを理由に辞任を発表した。

ギャバ―ドは辞任書簡(『ザ・ヒル』誌が入手)の中で「夫のエイブラハムは先日、極めて珍しい骨肉腫と診断された。今後数週間、数カ月にわたり、彼は大きな挑戦に直面するだろう。この度、私は公職を離れ、夫の傍に寄り添い、この闘いを全面的に支える必要がある」と述べている。

彼女の勤務最終日は6月30日だ。

ドナルド・トランプ大統領は「残念ながら、素晴らしい仕事をしてくれたトゥルシー・ギャバードが政権を去ることになる」とトゥルース・ソーシャルに投稿し、ギャバードの夫の早期回復を祈るメッセージを送った。

トランプ大統領は「トゥルシーは素晴らしい仕事をしてくれた。私たちは寂しくなるだろう」と述べ、副長官アーロン・ルーカスが国家情報長官代行を務めると明らかにした。

ギャバードは、国家情報・諜報機関のトップを務めていた間、常に物議を醸す人物だった。

彼女は、この役職に選ばれた多くの人々が持つような伝統的な経歴を持っておらず、ロシアの主張をそのまま繰り返した発言や、大量の機密文書を漏洩したエドワード・スノーデンへの恩赦を求めたことなどで、厳しい批判を浴びた。

ギャバードはまた、バラク・オバマ政権時代の情報・諜報機関関係者を「反逆的な共謀(treasonous conspiracy)」で告発し、2016年の大統領選挙に関する情報操作を民主党の指導者たちが行ったと非難する報告書の中で、指導部を非難した。

ギャバードのメモと、その他114ページに及ぶ関連文書は、主にロシアが実際の投票結果を直接操作しようとした形跡はないという主張に基づいていた。

しかし、これは情報・諜報機関や連邦上院の報告書の結論と矛盾するものではない。これらの報告書は、「投票が改ざんされた、あるいは投票機が操作されたという証拠はない」と結論付けている。オバマ政権は、ハッカーが選挙結果を改ざんした証拠は確認されていないと述べている。

ギャバードはまた、FBIがジョージア州フルトン郡の選挙センターを捜索した際に現場に居合わせ、トランプに電話をかけ、後にスピーカーフォンにして現場の捜査官にトランプが感謝の意を伝えられるようしたことで批判を浴びた。

国家情報長官室(the Office of the Director of National IntelligenceODNI)は金曜日、ギャバードが「捏造されたロシア疑惑の真実と、オバマ政権当局者がトランプ大統領の2016年の勝利を阻害するために情報機関を武器化した方法」、そして「情報機関内部の勢力による組織的な取り組みが、2019年にトランプ大統領を弾劾する根拠として利用された陰謀を捏造した」ことを暴露したと評価した。

長官室はまた、ギャバードが兵器化作業部会を設置したこと、そして現職および元情報・諜報機関職員37人の機密情報取扱資格を取り消したことにも言及した。

リストに挙げられた職員の中には、民主党政権下で要職を務めた者も複数含まれており、彼女は証拠もなく、彼らを政治利用や情報漏洩の疑いで告発した。

「国家情報長官室(ODNI)では、前例のない透明性の向上と情報機関の信頼性回復という大きな進歩を遂げてきたが、まだやるべき重要な課題が残っていることを認識している」とギャバードは辞任書簡の中で述べている。

連邦上院情報委員会の民主党側筆頭委員であり、ギャバードを声高に批判してきたマーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、彼女と夫に同情の意を表したが、彼女の職務遂行については直接的なコメントは避けた。

しかし、ワーナー議員は、この役職はホワイトハウスから独立していなければならないという点を強調した。

「国家情報長官は、政府において最も重要な責任の一つを担っている。それは、政治的な思惑やホワイトハウスからの圧力に左右されることなく、政策立案者とアメリカ国民に対し、客観的で事実に基づいた情報を提供することだ。検証済みの情報と政治的に都合の良い主張との境界線が曖昧になりがちな現状、国家情報長官室が事実、独立性、そして法の支配に根ざした存在であり続けることが極めて重要だ」とワーナー議員は述べた。

ワーナー議員は「次期国家情報長官は、国家情報機関への信頼回復、情報活動の健全性の保護、そして国家情報専門家が恐れや干渉を受けることなく権力に対して真実を語れる環境の確保に尽力しなければならない」と続けた。

元連邦下院情報委員長のアダム・シフ連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、より厳しい反応を示した。

「彼女の辞任を巡る状況には同情の余地があるが、はっきりさせておきたいことがある。トゥルシー・ギャバードが国家安全保障にもたらした唯一の貢献は、彼女の辞任だけだ」とシフはXに投稿した。

「彼女は情報活動を政治化し、アメリカ国民の安全を守る重要な機関を解体し、根拠のない選挙不正疑惑を追及するために情報機関を武器化した。他にも多くの問題があった」と述べ、ギャバードの在任期間は「国家情報長官における恐ろしい例外(a terrible exception)であって、新たな常態(the new normal)であってはならない」と付け加えた。

ギャバードは辞任を発表後、共和党所属の連邦議員たちから称賛を受けた。

「彼女は、情報機関においてこれまで多くの人が拒否してきたことを率先して成し遂げた。国家情報長官在任中、ギャバード長官はトランプ大統領の優先事項の多くにおいて大きな進展を遂げ、情報機関の兵器化と政治化に対処するために必要な改革を実施するとともに、国民への透明性と情報機関内の説明責任を高めるための具体的な措置を講じた」と連邦下院情報・諜報委員会のリック・クロフォード委員長(アーカンソー州選出、共和党)は声明の中で述べた。

「ロシア共謀疑惑に関する2017年の多数派スタッフ報告書を機密解除し、国民の手に届けるために、連邦下院情報委員会が彼女の重要な支援を受けたことに感謝する。彼女は国家情報長官室に確固たる功績を残した」

ギャバードは、ここ数週間で辞任した複数の高官の一人である。

国土安全保障長官クリスティ・ノームと司法長官パム・ボンディは、今年初めにトランプ大統領によって解任された。

国家対テロセンター所長でギャバードの側近ジョー・ケントは、イラン戦争を巡り3月に辞任した。

国境警備隊の元「特命全権司令官(commander at large)」グレッグ・ボヴィーノと、米移民・関税執行局(ICE)のトッド・ライオンズ長官代行も最近辞任した。

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ギャバード米国家情報長官、6月末に辞任へ 夫のがんが判明と

BBC JAPAN 5/23() 14:08配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a78dd00c4b8d80196e3b7574d23840e452be220f

アメリカのタルシ・ギャバード国家情報長官が22日、辞任の意向を示した。夫が骨のがんと診断されたためとしている。

辞任を表明した書簡の中でギャバード氏は、「夫の強さと愛が、あらゆる困難の時に私を支えてきた」、「私がこの多忙で時間を要する仕事にとどまる一方で、彼にこの闘いに一人で挑むよう求めることは、良心に照らしてできない」と述べた。

ドナルド・トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、ギャバード氏は「驚くべき仕事をしてきた。我々は彼女を惜しむだろう」と述べた。

ギャバード氏は630日付で辞任する予定。トランプ氏は、アーロン・ルーカス主席副長官が長官代行として職務を引き継ぐと述べた。

ギャバード氏は、2024年の大統領選でトランプ氏を忠実に支持し、トランプ政権発足後、アメリカの情報収集体制において最も強力な人物の一人となった。しかし今年に入り、アメリカがイランに対して軍事行動を取り、キューバに圧力をかけ、さらにヴェネズエラの大統領を排除した中で、公の場にほとんど姿を見せていなかった。

今年に入ってトランプ政権を離れた閣僚は、クリスティ・ノーム氏(国土安全保障長官)、パム・ボンディ氏(司法長官)、ロリ・チャヴェス=デリーマー氏(労働長官)ギャバード氏は4人目となる。

■不介入主義の退役軍人、民主党からトランプ氏支持へ

ギャバード氏は政治キャリアを通じて、海外での戦争への介入に反対する立場を取ってきた。トランプ氏が今年2月にイランへの攻撃を決定したことで、同氏との間で緊張が生じた。

アメリカとイスラエルによる攻撃後、ギャバード氏はその決定への支持を避け、3月に行われた議会公聴会でも、この紛争がもたらし得る影響について政権が認識していたかどうかという質問を、慎重に回避した。

また、野党・民主党が、ホワイトハウスと情報機関がイランの核濃縮能力について主張した内容に不一致があると指摘した点についても、質疑の中で厳しく問われた。

ギャバード氏は昨年、議会でイランは核兵器開発を目指していないと証言したが、トランプ氏はこの発言を退ける姿勢を示していた。

「彼女が何を言ったかは気にしない」とトランプ氏は当時、記者団に述べ、「彼らは兵器を保有する寸前だったと思う」と主張した。トランプ氏は、アメリカがイランと戦争状態に入った理由として、イランの核能力を繰り返し挙げている。

2カ月前には、ギャバード氏の側近だったジョー・ケント氏が、イランへの攻撃に抗議して国家テロ対策センターの所長職を辞任。大統領に対して「方針転換」を求めた。

ケント氏の辞任後、ギャバード氏は公にトランプ氏のイランに関する決定を支持。大統領には、何が差し迫った脅威かを判断する責任があると述べていた。

ギャバード氏はイラクに医療部隊と共に従軍した退役軍人であり、その政治キャリアでいくつかの「初」を達成している。

2002年に21歳でハワイ州議員に初当選。これは同州史上、最年少の選出だった。1期務めた後、州兵部隊がイラクに派遣されたことを受けて議員職を離れた。

2013年には民主党から出馬し、初のヒンドゥー教徒の連邦下院議員となった。2020年には、反介入主義の外交政策を掲げて大統領選の予備選に出馬したが、途中で撤退した。

2022年に民主党を離党し、当初は無所属として登録した。その後、FOXニュースのコメンテーターとして活動する中で、ジェンダーや言論の自由といった問題について積極的に発言し、共和党に加わる前からトランプ氏の強い支持者となった。

2024年の大統領選でもトランプ氏を支持し、選挙戦を共に展開し、選挙後には政権移行チームの一員を務めた。

ギャバード氏が国家情報長官に就任して以降、アメリカの情報機関コミュニティーの規模は縮小した。昨年、職員をほぼ50%削減する計画を発表した際、同氏はこの機関が過去20年で「肥大化し非効率になっていた」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 現在の世界経済をけん引しているのは、アジア諸国である。20世紀後半の日本、21世紀の中国は、歴史上類を見ない、長期にわたる高度経済成長を達成したし、韓国もまた、「漢江(はんがん)の奇跡」と呼ばれた経済成長に成功した。これら以外のアジア諸国はこれから経済成長を進めていくだろう。世界は西側諸国(the West、ジ・ウエスト)と西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)の2つに分かれているが、西側諸国は先進諸国(developed countries)、非西側諸国は発展途上国(developing countries)となる。先進諸国は経済発展がひと段落した国々となるが、どちらかと言えば、これから縮小、衰退していく。その先頭を走っているのが日本だ。発展途上諸国はこれから経済発展をしていく。そのためには、いくつかの条件があり、それを満たしている。

 経済成長の基盤となるのは「教育」だ。教育は質の高い労働力を生み出すためには必要不可欠だ。アジア諸国は歴史的に、教育の重要性を理解し、社会全体として教育を重視してきた。高い識字率や正確な計算能力は質の高い労働力となるためには必須だ。ヨーロッパ諸国においても、経済成長と一般教育の普及は相関関係を持っている。また、社会の近代化にとっても教育の普及は必要である。

女性の教育向上については否定的な見方をする人が日本でも多くいるが、子育てをするにしても知識が必要であり、子供が初めて教育を受ける相手である母親が賢いことは子供の教育にとって良いことである。21世紀の日本になっても、一部地域、特に九州で女性に教育はいらないなどと述べる時代遅れの無知蒙昧の中年男性、高齢男性が多く存在することは悲しむべき恥辱である。自分たちの努力不足、研鑽不足、才能不足を補うために、自分たちよりも劣る存在を作ろうという、さもしい考えでしかない。

アジア諸国では、教育重視が行き過ぎて、「受験地獄」と呼ばれるような、試験偏重の教育システムとなっているのはデメリットである。また、日本、中国、韓国では難関大学に進学するためには、学校以外にも予備校や塾に通い、多くの参考書や問題集を買わねばならないので、富裕層に有利になっているのは間違いない。

しかし、入学試験を突破すれば難関大学に進学でき、襲来の選択肢が増えるということは、一種の平等が担保されており、社会流動性を生み出すことにもつながっていた。現在の富裕層が資金力を使って子供に勉強させて難関大学に入れるという一種の金銭ゲームのようになっている状況は改善されねばならない。

 専門家たちはアフリカ諸国の経済成長に注目している。アフリカ諸国の経済成長にとっても、必要なのは教育であり、人的資源である。識字率の向上と知識の普及は地道な作業である。世代を超える数十年単位の、非常に困難な営為である。しかし、世界には成功例が数多くある。日本はその輝かしいモデルだ。表面的な資金や物資の支援ではなく、根本的な支援がなされることが重要だ。

 

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アフリカが中国の台頭から学ぶべきこと(What Africa Can Learn From China’s Rise

-アフリカ大陸の人的資本は最大の資源である

ハワード・フレンチ筆

2024年6月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/12/africa-economy-wealth-poverty-development-growth-history/

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ナイジェリアのラゴスにあるモボラジ・ジョンソン駅で列車から降りる乗客たち(2024年3月2日)

1960年にアフリカ大陸を席巻したヨーロッパからの独立の波以来、アフリカ大陸のどの国も、世界で最も裕福な国々の仲間入りを果たしていない。

この点において、アフリカは決して例外ではない。第二次世界大戦後、富裕国へと成長した国々のほとんどは、マーシャル・プランの恩恵を受けたヨーロッパ諸国、オーストラリアやニュージーランドといった西ヨーロッパ諸国の植民地、そしてアジア沿岸部の少数の国々である。例外はごくわずかで、石油と天然ガスに恵まれた国々だ。

それでも、アフリカは世界の最貧国リストの上位を占めている。天然資源の豊富さだけで経済的成功が予測できるのであれば、コンゴ民主共和国やギニアなど、世界で最も経済状況が劣悪な国々を含む多くのアフリカ諸国は、今頃は上位中所得国にランクインしているか、あるいは先進国に加わっているだろう。しかし実際には、控えめな成功例がいくつか見られる。下位中所得国が数十カ国、上位中所得国がボツワナやナミビアなど数カ国あるだけだ。

アフリカがしばしば最下位に位置づけられるのは、経済実績だけが理由ではない。長年アフリカについて執筆してきた私にとって、アフリカ大陸は世界の他の地域から最も著しく不十分な注目しか受けていない大陸であると常に感じてきた。これは、海外投資、政治的関与、危機管理における外交努力、そして報道においても同様だ。例えば、スーダンは昨年、壊滅的な内戦に陥り、飢餓、1000万人の難民、そして数えきれないほどの犠牲者を出したが、世界の注目をほとんど集めることはなかった。

しかし、どれほど軽視されていようとも、アフリカの経済成長を促進することは、今世紀最大の課題の1つだ。今後数十年間、世界の人口増加の大部分はアフリカで起こるだろう。多くの先進国で急速な高齢化(rapid aging)が進む時代において、アフリカは世界最大の若年労働力供給源となる。アフリカ大陸が強固な中間層を構築できるかどうかは、世界の消費市場の規模を決定づける大きな要因となるだろう。アフリカの中間層が成長しなければ、アフリカは国際的な移民のますます大きな発生源となり、西側諸国におけるそれに伴うパニックを引き起こすことになるだろう。さらに、地球規模の気候目標を達成するには、西側諸国、あるいは近年では中国やインドのような規模の炭素排出をすることなく、アフリカの人々のために大幅に多くのエネルギーを生産する方法を見出す必要がある。今日、アフリカ大陸の多くの地域では、一人当たりの年間平均電力消費量は、アメリカの一般的な冷蔵庫の消費量よりもはるかに少ない。

アフリカの経済的困難のかなりの部分は、破壊的な外国の影響に起因している。それは、奴隷貿易(trade in enslaved peoples)が何世紀にもわたって行われ、主にヨーロッパ人によって行われた、深く極めて悲劇的な搾取と支配(exploitation and subjugation)の歴史にまで及ぶ。約1200万人のアフリカ人が、西側諸国の富の創造のためにアフリカから連れ去られた。私の最新著書『黒人として生まれて:アフリカ、アフリカ人、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans, and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War)』は、この歴史に焦点を当てている。この歴史が西側諸国の台頭に与えた重要性は、いまだに深く誤解され、過小評価されている。

19世紀末のヨーロッパによるアフリカの完全な支配と、それに続く比較的短い植民地化の時代には、もう一つの深い悲劇の流れが流れている。これは、私の近刊予定の著書の主題でもある。この時代、ヨーロッパの焦点は資源の搾取にある。ゴム、カカオ、貴金属といった天然資源に加え、ヨーロッパはアフリカ人労働力を大規模に搾取した。第二次世界大戦後も、人々が奴隷に近い状況で強制労働を強いられ、ヨーロッパの戦争で多数のアフリカ人が戦場に送られたり、荷役動物のような物資輸送に従事させられたりしたという事実を、西側諸国で理解している人はほとんどいない。

アフリカ大陸の独立後も、経済発展の停滞には他の外的要因が影響している。その1つが、過去40年以上にわたる中国の台頭だ。中国は、当初は非常に安価な労働力を用いて大規模な工業化を進めたため、いわゆる発展途上国(underdeveloped countries)の中で、中国に追随して急速な発展を遂げた国はほとんど存在しない。植民地時代の遺産である、主に小規模で内陸国が多い54カ国に深く分断されたアフリカは、この点において特に大きな制約を受けてきた。

しかし、このコラムの残りの部分で私が焦点を当てたいのは、アフリカが直面している内部的に課された障害(the internally imposed impediments)だ。(「内部的」という言葉を使うのは、どの国もその歴史から切り離して考えることはできないことを十分に認識しているからだ。)アフリカ諸国がより大きな繁栄への道を見出すためには、これらの問題に取り組む必要がある。皮肉なことに、アフリカ大陸についてほとんど、あるいは全く言及していない3人の学者の著作は、アフリカが現在抱えている国内問題の特異性と、アフリカ大陸が経済状況を変革できる可能性について、示唆を与えてくれる。

私が先日書評したワン・フェン著『中国の豊穣の時代:起源、台頭、そしてその後(China’s Age of Abundance: Origins, Ascendance, and Aftermath)』は、アフリカが抱える問題について興味深い考察を与えてくれる。カリフォルニア大学アーヴァイン校の社会学者であるワンは、本書の中で、1979年から2019年にかけて中国が驚異的な繁栄を成し遂げたのは、政治的な安定性と経済発展計画の一貫性の高さによるものだと間接的に論じている。これは主に、経験豊富で世慣れた改革派の鄧小平の後を継いだ2人の指導者が鄧小平のロードマップを忠実に踏襲したことによるものだ。

貧困からの脱出は、たとえ長期政権であっても、一人の指導者の責任ではなく、世代を超えた取り組みとなる。アフリカは、複数の問題に加え、まさにこのような世代を超えた一貫性(transgenerational consistency)を欠いてきた。概して、これらの国々は、安定した統治と制度構築を阻害する停滞した権威主義的政権に苦しめられてきたか、あるいはクーデターとその後の軍事政権という形で不安定な状態に陥ってきたかのどちらかだ。

カリフォルニア大学バークレー校の経済学者J・ブラッドフォード・デロングは、著書『ユートピアへの緩慢な歩み:20世紀の経済史(Slouching Towards Utopia: An Economic History of the Twentieth Century)』の中で、回転式政府(turnstile government)のコストについて雄弁に論じている。ニッコロ・マキャヴェッリの思想を引用しながら、デロングは、弱体で発展途上国において権力を掌握または保持する者たちの最優先事項は、食糧暴動や首都における主権の象徴に対するあらゆる攻撃を回避することだと主張する。例えば、国営テレビ局や大統領官邸が占拠された後に、弱体化した政府はしばしば崩壊する。彼らの第二の優先事項は、定期的な給与、昇進、ボーナスに加え、新型兵器、制服、その他の装備品を提供することで軍を買収し、満足させることだとデロングは述べている。三番目に挙げられるのは、官僚機構や政治家を沈黙させておくことであり、そのためにはしばしば金銭的な誘惑を用い、反対派内部の混乱を煽る。

そもそも、ほとんどの指導者は自分がその職務に最も適任だと確信している。中には、自国を発展させ、国民の繁栄を確かなものにしたいという真の希望を抱いている者もいるかもしれない。しかし、デロングが指摘するように、こうした希望は優先順位のずっと低い位置に置かれる。「政権の座が確固たるものになって初めて、開発政策に関する議論が始まる。しかし、権力の安定維持に、支配者の時間、エネルギー、資源はほぼ必ず費やされる。平均的な政権の存続期間は短すぎるため、合理的な歴史家や批評家であれば、政権が長期的な経済発展に注力することを期待することはできないだろう」。

デロングはアフリカに特化して論じている訳ではないが、こうした傾向は、おそらくアフリカで最も不安定な地域であるサハラ砂漠の南に広がるサヘル地域において、まさに顕著に表れている。サヘル地域では、2020年以降、8件ものクーデターが成功裏に発生している。

ニューヨーク市立大学のブランコ・ミラノヴィッチ教授は、著書『グローバル不平等:グローバル化時代の新たなアプローチ(Global Inequality: A New Approach for the Age of Globalization)』の中で、アフリカがさらなる発展を遂げられなかった謎を解き明かそうとしている。1960年代と1970年代にはまずまずの経済成長を遂げたアフリカ大陸だが、1990年代には大規模な経済的後退(an enormous economic setback)に見舞われた。この10年間、多くのアフリカ諸国で経済成長は事実上停止し、一部の国では実際にマイナス成長に転じた。ミラノヴィッチ教授によれば、2000年までに、アフリカ大陸の実質一人当たりGDPは1980年の水準を20%も下回るという壊滅的な落ち込みを見せた。

わずか13年後、アフリカの1人当たりGDPは1970年の水準の1.9倍にまで上昇した。これは一見素晴らしい数字に思えるかもしれないが、他の大陸と比較するとそうでもない。例えば、アジアの1人当たりGDPは同時期に5倍に増加している。

「アフリカにおける複数の問題は、これらの数字が示すよりもはるかに複雑だ」とミラノヴィッチは述べている。「アフリカ諸国はしばしば急激な成長とその後の急激な衰退を繰り返しており、長期的な成長率を控えめに維持することさえできないことが、根本的な問題となっているようだ。成長における変動は、政治的紛争、内戦(civil wars)、そしてアフリカの生産と輸出の多くを支える天然資源に影響を与える景気循環的な価格変動によって引き起こされている」。

こうした状況を踏まえると、ワンによる中国の歴史的な高成長期に関する分析に立ち返ることになる。多くの外部の人々はアフリカの腐敗を嘆くが、中国をはじめとする多くの経済的に成功した国々にも腐敗(corruption)が蔓延していたことをほとんど考慮に入れていない。実際、北京は長年にわたり、不正蓄財で有罪判決を受けた官僚たちを処刑または投獄することを公然と行ってきた。政府高官の多くは、巨額の私財を築いた者が少なくない。

中国の官僚たちが汚職(graft)に手を染めている一方で、彼らが委託または監督するプロジェクトは、割り当てられた資金が横領された後に忘れ去られるのではなく、圧倒的に建設される傾向にある。アフリカ各地で長年耳にしてきた暗いジョークに、「橋や高速道路、その他の大規模プロジェクトさえ実現すれば、たとえ官僚の不正蓄財もそれほど悪いことではない(even flagrant official enrichment wouldn’t be so bad if only the bridges, highways, and other big projects were brought to fruition)」というものがある。

しかし、ワンは、物理的なインフラ整備以上に、中国が短期間でこれほどまでに力強く発展できた要因は、一部の経済学者が「人的インフラ(physical infrastructure)」と呼ぶものへの継続的な投資にあると説得力をもって論じている。1976年の毛沢東時代終焉以前から、中国は国民の健康状態の改善において目覚ましい進歩を遂げていた。これにより、感染症(infectious diseases)や妊産婦死亡率(maternal mortality)、乳幼児死亡率(infant mortality)など、予防可能な死因による死亡者数が大幅に減少し、生産性の高い人口構成(a more productive population)へとつながった。

毛沢東の死後に始まった新たな富の創造時代は、医療の絶え間ない改善をもたらし、その成果はあらゆる統計データに表れている。例えば、平均寿命は現在78.99歳で、はるかに豊かなアメリカ合衆国の平均寿命に匹敵する。マラリアなどの熱帯病(tropical diseases)が蔓延するアフリカは、どの大陸よりも健康指標が劣悪である。都市部の水道や農村部の水道システムを改善・拡張するといった単純な政策でも、多くの命を救い、寿命を延ばすことができるだろう。

ワンの著書は、鄧小平時代に始まった中国変革のための世代的プロジェクトのもう1つの側面、すなわち教育(education)により注目している。「小学校以上のあらゆるレヴェルの就学率は飛躍的に増加した。全国の中学校の年間就学率は、1990年から2000年の間に60%以上増加し、1370万人から2260万人に達した」とワンは述べている。「高等教育機関に在籍する学生の総数は、1990年の210万人から2000年には560万人、2010年には2230万人、そして2020年には3290万人へと、それに応じて増加した」。中国は、この教育システムの飛躍的な拡大を通じて、労働力の質を劇的に、そして継続的に向上させてきた。

今日のアフリカは、教育水準においてさらに低い出発点に立たされている。非識字状態は依然として多くのアフリカ諸国で蔓延しており、多くの国で女子の就学率は男子に比べて著しく低いのが現状だ。今後数十年で経済状況を変革していくためには、アフリカ大陸は人的インフラへの投資を大幅に増やす以外に選択肢はない。アフリカの人々は、他の地域の人々と同様に生まれながらにして優れた才能を持っているが、グローバル経済においてより実りある形で参画するためには、アフリカ大陸からの知的生産を大幅に増やす必要がある。そして、アフリカの問題に対するアフリカ独自の解決策を見出すためにも、それは教育を通してのみ可能となる。

今日のアフリカの教育水準の低迷は、植民地支配の遺産と言える。当時、ヨーロッパ諸国は、教育を受けたアフリカ人の大規模な集団が、アフリカの人々と資源に対する支配を脅かすことを恐れた。今日の課題は、アフリカの指導者たちが、アフリカの人々とその知性こそが大陸最大の資源であることを理解できるかどうかだ。教育革命が全ての問題を解決するということはないが、教育革命なしには、アフリカが直面する他の多くの課題に対処することは不可能なのだ。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『第二の解放:高潮期のンクルマ、汎アフリカ主義、そしてグローバル・ブラックネス(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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アフリカはアジアの発展モデルを追いかけられるか?(Can Africa Follow Asia’s Development Model?

-アジアに関する著作で知られる経済記者が最も急速に成長している大陸に目を向けている。

ハワード・フレンチ筆

2026年4月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/24/how-africa-works-joe-studwell-review-development-economics-asia/

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エチオピアの首都アディスアベバで建設中の高層住宅ビル群(2018年11月20日)

多くの著者が知っているように、書籍の企画はしばしば偶然の出来事、つまり生い立ちや個人的な背景から生じる予期せぬ出会いや経験から生まれる。そうした基準から見ても、ジョー・スタッドウェル著『アフリカはどのように機能するか(How Africa Works)』の誕生秘話は実に印象的な物語だ。

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本書の冒頭で、スタッドウェルは、もともとは、このテーマについて書くつもりは全くなく、執筆は偶然の産物だったと述べている。確かに偶然だったかもしれないが、決してありふれた偶然ではない。スタッドウェルによれば、2016年、彼はエチオピアとルワンダの両政府からそれぞれ招かれ、両国の開発戦略(development strategies)を評価し、その結果を政府高官に報告するよう依頼された。両国の関心は、スタッドウェルが2000年代初頭から執筆してきた、東アジア(特に中国)の経済成長に関する一連の人気書籍によって高まっていた。彼は当時、ビジネス担当ジャーナリストとして中国で活動していた。

アフリカで最も急速に成長している2カ国から依頼を受けた同じ年の2016年、スタッドウェルはビル・ゲイツと偶然出会った。ゲイツはすでに彼の著作を知っていた。ゲイツは彼にこう言った。「私が本当に知りたいのは、あなたがアフリカについてどう考えているかだ」。スタッドウェル氏は当時、このことについて深く考えたことはなかったと述べているが、「2年後、博士論文を書き終え、アフリカに関する文献を少し読んだ後、この大陸について何か有益なことを言えるかもしれないと思い立った」と語っている。彼はアフリカを「グローバル開発における最後の偉大なフロンティア(the last great frontier of global development)」と呼んでいる。

その結果はしばしば興味深く、アフリカが抱える数多くの課題と真摯に向き合おうとする一貫した努力がうかがえるものの、その出来栄えにはばらつきがある。しかし、読者の皆さんはこの指摘に気後れする必要はない。これほど野心的な課題に取り組むには、数多くの困難が伴う。まず、著者のアフリカに関する知識が限られているという大きなハンディキャップがあるほか、歴史的背景、経済状況、開発戦略が国ごとに大きく異なる国々で構成されるこの大陸の、その広大さと多様性が大きな障壁となっている。

こうした考察に加え、経済学者たちでさえ、現実世界の無限の複雑さに耐えうる、国家の経済発展のための確実な青写真――ましてや大陸全体のためのものなど――を策定することには限界があることを、ますます認めるようになっているという事実がある。しかし、それにもかかわらず、彼らも、そしてスタッドウェルも、人類が直面する最大の課題に取り組むことを止めることはしていないし、そうあるべきでもない。

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1月1日、タンザニアのダルエスサラームで、人々が歩道橋に集まり新年を祝った。

『アフリカはどのように機能するか』の冒頭部分は、その試みが詰め込まれている、数十年前から続くアフリカ大陸に関する最も有名な研究成果の多くに依拠している。そのほとんどは、植民地時代から現在に至るまでのアフリカ大陸の変遷に関する西洋の考え方だ。本書のこれらの部分は、要約版のような印象を受ける。著者の視線が地域から地域へ、国から国へと移るにつれ、簡潔な記述の中に詰め込まれた事実情報の密度の高さに、まるで年鑑や百科事典を読んでいるような感覚を覚える瞬間がある。

しかし、本書の冒頭部分においても、スタッドウェルは重要な仕事ぶりを見せており、アフリカを本格的に研究したことのない読者には馴染みのない貴重な背景情報を提供している。そして、アフリカ大陸は欧米諸国の報道、教育、公共政策、外交において表面的な扱いしか受けていないため、これはまさに大多数の読者に当てはまるだろう。

冒頭近くで、スタッドウェルはアフリカ専門家の間では広く知られている(しかし一般には知られていない)、2つの根本的な事実を、アフリカの経済発展の遅れの主な原因として提示している。アフリカ大陸に関する国際的な報道を読んでいる多くの読者は、スタッドウェルが汚職も紛争も決定的な要因として上位に位置づけていないと明言していることに驚くかもしれない。

スタッドウェルによれば、第一の原因は、近年までアフリカ大陸は、熱帯病の蔓延(endemic tropical disease)と半世紀に及ぶ奴隷貿易(the half-millennium apocalypse of the slave trade)という二重の災厄によって、世界の他の地域と比べて人口密度が著しく低かったことである。

第二に、アフリカはヨーロッパ列強による、著者が「低予算」植民地主義(“low budget” colonialism)と呼ぶものにも直面した。これは、ヨーロッパ列強は教育や一般的なインフラ整備にほとんど資金を投入せず、アフリカ大陸の独立に向けた準備もほとんど行わなかった。1950年代後半にアフリカに自由が訪れた時、識字率と計算能力の低さは世界のどの地域よりも低かった(its rates of illiteracy and innumeracy were lower than any other part of the world)。

スタッドウェルは本書の冒頭で、アフリカだけでなく世界全体の未来に関わる根本的な事実を明らかにしている。それは、アフリカの人口密度がようやくアジアに追いつき始めたということだ。2030年までに、アフリカの人口密度は1960年のアジアと同レヴェルにまでなる。今世紀末には、アフリカの長きにわたる追いつき段階は完了するだろうと彼は述べている。世界の人口上位10カ国のうち5カ国がアフリカ諸国となり、アジアとアフリカを合わせると、それぞれ約40億人の人口を抱え、世界の人口構成において支配的なブロックとなる。

スタッドウェルが提示する人口動態の見通しは、アフリカに関する欧米諸国の見方にありがちな不安を煽るような要素が一切なく、実に清々しい。実際、彼は今後数十年間におけるアフリカ大陸の急速な人口増加を概ね肯定的に捉えている。そして、この人口増加によって、アフリカ大陸の多くの地域が発展を深め、より豊かになり、世界経済においてより重要な地位を占めるようになるだろうと繰り返し主張している。

スタッドウェルは、開発戦略の前提を実に明快に提示している。彼は、いわゆるアジア経済モデルの支持者であり、アフリカ諸国への提言もこのモデルから直接導き出されている。このモデルによれば、国民の福祉と繁栄の追求は、農業生産の最大化から始まるべきである。そして、これを成功させた国は、農業よりも付加価値の高い製造業に投資と起業家精神を向けるべきである。

最後に、混合経済(mixed economies)の発展において成功を望む国家は、国民貯蓄の増加(increase national savings)、資本逃避の抑制(limit capital flight)、経済の戦略的セクターへの優遇融資条件の提供(provide preferential lending terms to strategic sectors of the economy)といった施策を実施できるよう、金融システムを厳格に管理すべきである。スタッドウェルによれば、これらのセクターには輸出企業が含まれるべきである。輸出は外貨獲得につながるだけでなく、国際競争力を持つ企業は信用リスクが許容範囲内であり、効率性の向上と技術革新を推進する可能性が高いからである。

しかし、このような単純な青写真であっても、現実世界における困難は容易に想像できる。全ての政府は政治の制約と誘惑にさらされており、金融システムに対する国家の統制や強い影響力は、融資へのアクセスを決定する際に、縁故主義(cronyism)が厳格さを凌駕するという深刻なリスクを伴う。

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ルワンダの首都キガリで行われた集会でポール・カガメ大統領が支持者に手を振る(2024年7月12日)

スタッドウェルの著書は、アフリカ諸国の事例研究(case studies)へと進み、それらの国々が経済成果において大陸の他の国々とは一線を画し始めていると主張する。しかし残念ながら、多くの一般論が、読者にどの教訓が他の地域にうまく応用できるのかという疑問を抱かせる。

彼が最初に挙げる例は、南アフリカの北に位置する内陸国ボツワナである。ボツワナは1966年にイギリスから独立して以来、世界でも有​​数の経済成長率を誇っている。ボツワナは、いわば「近隣効果(the neighborhood effect)」の恩恵を受けている。アパルトヘイト時代に南アフリカの解放運動を受け入れなかったことで、ボツワナは平和と安定だけでなく、はるかに裕福な南の隣国からの投資も享受できた。

他にも、この国を重要な点で際立たせる2つの特徴がある。スタッドウェルが指摘するように、ボツワナの人口はアフリカ大陸のほとんどの国と比べて民族的多様性(ethnic diversity)が著しく低い。つまり、ツワナ族が圧倒的に多いことが、アイデンティティに基づく深刻な政治的分裂を回避するのに役立っている。少なくとも同じくらい重要なのは、ボツワナが1976年に世界で最も収益性の高いダイヤモンド鉱床の発見から恩恵を受けたことである。この鉱床は世界のダイヤモンド生産量の約3分の1を占めている。こうした鉱山からのダイヤモンド生産は比較的財政的に透明性が高く、生産量と収益の記録と管理が容易である。

そのため、スタッドウェル自身が述べているように、「資源に乏しい東アジア諸国で必要とされたほど、ボツワナでは経済変革の戦略を立てる必要はなかった」。こうした理由から、なぜボツワナが本書に取り上げられているのか疑問に思う。

スタッドウェルが次に詳しく挙げているのは、インド洋に浮かぶ島国モーリシャスだ。砂糖プランテーション経済から軽工業・専門産業へと見事に転換を遂げたこの国は、スイスの時計メーカーへの下請け業務を皮切りに、繊維、水産加工、金融サーヴィスへと多角化(diversification)を進めてきた。

しかし、モーリシャスは人口120万人の島国で、長さは約65キロ、アフリカ大陸からは約2000キロも離れている。ヨーロッパによる植民地化以前は無人島だった。こうした事実だけでも、モーリシャスがアフリカ全体とどれほど関連しているのか疑問に思うかもしれないが、さらに、人口の3分の2はインド系だ。また、少数ながらも重要な中国系住民やフランス人入植者の子孫も存在する。アフリカ系住民はわずか約30%に過ぎない。

スタッドウェルは、モーリシャスをアフリカに含める理由として、彼が「複雑な民族的多様性(fractious ethnic diversity)」と呼ぶものを根拠に挙げている。確かに、モーリシャスは大陸規模のグループやフォーラムにおいて、自らをアフリカと結びつけて活動している。しかし、経済的な観点から言えば、私は異論を唱えたい。モーリシャスはアフリカ大陸にあるとはいえ、この大陸の中でも極めて異質な存在だ。

著者が最後に挙げた2つの事例研究、エチオピアとルワンダはより詳細な検討に値する。両国とも力強く持続的な経済成長と発展を遂げた事例として描かれているが、綿密に検証すると、他のアフリカ諸国への適用には大きな限界があることが明らかになる。

長期間の内戦を経て、エチオピアは1991年から2012年まで続いたメレス・ゼナウィ政権下で目覚ましい発展を遂げた。もともと医師だったゼナウィは経済学に傾倒し、政権を握った後も大学院で学び続け、韓国の戦後の驚異的な成功からエチオピアに活かせる教訓を学ぼうとした。

彼の真摯さと決意は、世界銀行などの開発援助機関の指導者や専門家、例えばジョセフ・スティグリッツらをすぐに感銘させ、スティグリッツは国際金融機関の中でメレス・ゼナウィを擁護し始めた。1990年代初頭には世界で最も貧しい国の1つだったエチオピアは、ゼナウィ政権下で急速に発展を遂げた。スタッドウェルの東アジアモデルと同様に、その発展は農業の発展から始まった。農民には普及サーヴィスとマイクロファイナンスが提供され、新たな道路網が整備された。そして、2004年以降、穀物の平均収穫量は年率5%増加した。間もなく極度の貧困は激減し、平均寿命は飛躍的に延びた。私がアフリカにおける中国の存在に関する書籍を執筆する中で目にしたように、エチオピアはその後製造業に転換し、外国投資を歓迎する工業団地を創設した。これらの工業団地のほとんどは中国企業が運営していた。『フィナンシャル・タイムズ』紙はエチオピアとその成功を「ナイルの奇跡(miracle on the Nile)」と称した。

スタッドウェルは、東アジアでもアフリカと同様に、こうした成果は通常、政府が強力な開発連合(strong development coalitions)を構築できた場合にのみ可能になると主張する。メレス・ゼナウィは確かにそうした連合を構築したように見えるが、彼の体制は、比較的少数派であるティグレ人に不均衡な権力を与え、彼自身のカリスマ性を強く反映したものでもあった。2012年にメレス・ゼナウィが死去すると、権力の空白が生じ、それ以来、エチオピアは武力紛争の再発を含む危機に次々と見舞われている。エチオピアはこうした混乱にもかかわらず、驚異的な経済成長を維持してきたが、次の戦争がいつ起こるか分からないという不安が常に付きまとう。これは、エチオピアの歴史において、他の多くのアフリカ諸国とは大きく異なる特徴があることに起因する。すなわち、現代のエチオピア国家は、国全体に対する支配力が長らく不安定で揺らいできた古い帝国の、不安定な基盤の上に築かれたのである。

スタッドウェルが最後に挙げる例は、1994年に民族虐殺の舞台となった、ベルギーの旧植民地である小さな内陸国ルワンダだ。それ以来、ポール・カガメが政権を握り続けているルワンダは急速な経済成長を遂げ、2000年から2019年までのGDP成長率は年平均7.8%を記録している。スタッドウェルは次のように述べている。「カガメを惹きつけたのはシンガポール・モデルだった。31年間首相を務めた、実務的で清潔さにこだわり、やや強引なリー・クアンユーと、リー率いる人民行動党(PAP)は、政敵の足元をくり抜き、シンガポールの優秀な人材をPAPと政府のために引き抜いた」。

カガメは、政敵を文字通りに排除する以上のことを成し遂げている。彼はメレス・ゼナウィよりもはるかに中央集権的な体制を敷き、一切の批判を許さず、容赦なく権力を振るっている。これには、非常に効果的で威圧的な監視国家(surveillance state)体制の構築や、国外で政権の「敵(enemies)」を誘拐・殺害することさえ含まれる。

それにもかかわらず、カガメ大統領率いるルワンダの経済実績は、アフリカで多くの支持者を集めている。支持者たちは、自国の形式的ではあるものの、しばしば腐敗し経済的に非効率な民主政治体制を、カガメ大統領のような啓蒙的な独裁者による厳しく制限された権利体制(a regime of strictly limited rights under an enlightened dictator, as they perceive Kagame)と交換したいと私に語った。しかし、アフリカの独裁政権は概して芳しくない結果に終わっている。そして、エチオピアの例は、さらなる警戒を促すべきである。権力の極端な集中は、必然的に制度を弱体化させる。いずれはどの指導者もそうであるように、カガメ大統領が政界を去れば、大きな空白が生じるだろう。これは暴力と政治的混乱のリスクを高め、ルワンダの多くの経済的成果を危険にさらすことになる。

​​ルワンダが他のアフリカ諸国にとって建設的な模範とならない理由は他にもある。まず、先に述べた近隣効果(neighborhood effect)である。ルワンダは長年、軍事力と民兵組織を代理として利用し、コンゴ民主共和国の広大な鉱物資源地帯を支配し、隣国の重要な富を搾取してきた。驚くべきことに、カガメ大統領がこうした政策を実行してきた結果、ルワンダは「他のほとんどのアフリカ諸国よりも一人当たりの援助額が多い」という。言い換えれば、ほとんどのアフリカ諸国が夢にも見ないような資源の流れから恩恵を受けているのだ。

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チャドのオウレ・カッソーニにあるスーダン難民キャンプに食糧援助物資が到着した(2月24日)

『アフリカはどのように機能するか』で最も示唆に富むと感じたのは、国別調査とは直接関係のない2つの点だった。それは、西側諸国の開発援助に対する健全な懐疑(its healthy skepticism toward Western development assistance)と、アフリカの未来に対する慎重ながらも楽観的な見方(its cautiously optimistic view of the African future)である。

スタッドウェルは、援助は金の無駄遣いだというよく聞かれる主張が根拠のないものであると同時に、西側諸国のアフリカ援助(特に二国間援助)は歴史的に不安定で、時には無意味に意地悪なものであったことを、見事な筆致で論じている。

批評家たちはしばしば、アフリカ諸国が国際システムの保護下に置かれるようになったと考える。スタッドウェルは、アフリカ大陸のほとんどの国の経済発展にとって外国援助が全体的にどれほど重要であるかを過大評価するという、西側諸国によく見られる誘惑に抵抗している。同時に、スタッドウェルは、2000年以降、「1歳の誕生日を迎える前に死亡するアフリカの子どもの割合(the share of African children dying before their first birthday)」が半減し、4%になったと述べている。マラリアの発生率も同様の割合で減少した。これらの進歩を示す指標は、いずれも国際的な医療支援と密接に関係している。

さらに広く言えば、2000年以降、「援助と成長の間にはアフリカ全土で関連性があるが、成長は援助の唯一の目的ではない」とスタッドウェルは主張する。アジアでの経験を持つスタッドウェルにとって、これは驚くべきことではなかった。毛沢東時代後の改革期において、中国は世界銀行の譲許的融資の最大の受給国であり、同時に大規模な技術支援も受けていた。 「中国よりもずっと以前、アメリカは1946年から1978年の間に、韓国に総額60億ドル、台湾に24億ドルの援助を行った」とスタッドウェルは述べている。「当時としては巨額の援助であり、1950年代の韓国のGDPの15%、台湾のGDPの6%をアメリカからの援助が占めていた」。

長年アフリカについて執筆してきた私は、西側援助機関の流行に左右される姿勢をしばしば批判してきた。貧困国に対する彼らの優先事項や助言は、10年ごとに劇的に変化する。説明責任(accountability)は他者には適用されるものの、自分たち自身には決して適用されないようだ。スタッドウェルもまた、このパターンを認識している。スタッドウェルは西側援助の世界を「流行ビジネス(fashion business)」になぞらえ、「開発の特効薬を見つけようとする人間の自然な欲求に突き動かされているが、そのようなものは存在しない(driven by a natural human desire to identify a developmental magic bullet, even though none exists)」と指摘する。さらに彼は、「これは、援助国が開発の複雑さという現実よりも、単純で整然とした解決策に反応しやすいという事実を反映している(reflects the fact that donors are more responsive to simple, tidy solutions than to the reality that development is complex)」と付け加える。

より深刻な問題は、西側援助の多くに深く根付いたイデオロギー的基盤である。スタッドウェルはこの点について特に鋭く指摘している。

農業支援を謳う西側二国間援助機関の全てにおいて、左派的な政策を支持していると見なされることへの政治的な懸念から、土地改革、農民への融資、農民組合への支援といった取り組みは一切行われていない。農業協同組合の場合、これは、ほとんど全ての先進国において、農業資材の調達と販売が、コスト削減と収益最大化を実現する共同体に依存しているという事実にもかかわらず起こっている。

さらに悪いことに、西側諸国はアフリカ諸国政府との協力を拒絶し、劣悪な統治と腐敗の解決策は非政府組織との連携にあると考えているとスタッドウェルは主張する。西側の援助機関や、国連のミレニアム開発目標のような多国間枠組みは、「開発途上国政府からの意見をほとんど反映させることなく」戦略を策定してきた。しかし、こうした政府との連携を避けることのリスクの1つは、国家能力の弱さという問題を悪化させる可能性があることだ。

スタッドウェルの最も斬新な論点は、本書の終盤、アフリカの未来に目を向けた部分にある。彼が見る未来は、多くの人が想像するよりも明るいが、ナイーヴな楽観主義の兆候は一切見られない。

スタッドウェルは次のように書いている。「アフリカはかつてないほど世界の注目を集めている。今後10年間で、4%の成長率を維持すれば、アフリカ大陸の経済規模は1,5倍に拡大するだろう」。しかし、大陸の成長に伴い、その経済状況はますます地域によって異なると彼は主張する。スタッドウェル「東アフリカや西アフリカの沿岸地域などは、数億人の人口を抱える成長の中心地となるだろう。一方、サヘル地域の内陸国、特に西アフリカ諸国の北部地域は、政治的不安定と貧困に苦しむことになるだろう」と述べている。

スタッドウェルは次のように述べている。「今後、先進諸国はアフリカについて問題を抱えた大陸としてではなく、問題を抱える地域と将来有望な地域とに分けて語るようになるだろう。アフリカ大陸以外、つまりアメリカ大陸、ヨーロッパ、アジアに住んでいる人にとって、アフリカは生活の中でより大きな存在となるだろう。貿易、投資、観光、文学、音楽といった分野において、アフリカの世界システムへの統合は、半世紀以上前にアジアで起こったのと同じように始まっている」。

これは変革の青写真とは言えないだろうが、十分に根拠のある予測と言えるだろう。そして、今世紀末までに人類の約3分の1がアフリカに住むことになることを考えると、アフリカの分析を正しく行うことは、これまで以上に重要になっている。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『第二の解放:高潮期のンクルマ、汎アフリカ主義、そしてグローバル・ブラックネス(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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 古村治彦です。

 2026年2月28日のイラン攻撃に関して、このブログでは何度も文章を投稿してきた。その中で、攻撃開始決定において重要なポイントになったのは、2月11日のベンヤミン・ネタニヤフ首相のホワイトハウス訪問とプレゼンテーションであったことは既にご紹介した。このプレゼンテーションの場に、JD・ヴァンス副大統領はいなかった。いることができなかった。それは、アゼルバイジャンとアルメニアを訪問していたからだ。
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 日本にいると、これらの国々についてはなじみが薄い。地図でどこにあるかを指し示すことも難しい。しかし、地図を見ていただくと分かる、ロシア、イラン、トルコ、イスラエルなど、国際関係において非常に重要な国々に隣接、もしくは近隣に位置している。
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 アゼルバイジャンとアルメニアには民族紛争が存在し、アゼルバイジャン国内で、アルメニア系住民が多いナゴルノカラバフ自治州の独立をめぐり、緊張関係が続いていた。それでも、2025年に、ドナルド・トランプ大統領が両国の指導者を招いて、関係改善を促し、実現した。2026年2月のヴァンス副大統領の訪問は、この関係改善を確かなものとするためのものとなった。また、南コーカサス地方というロシアと中東を結ぶ「回廊(corridor)」と言うべき重要な地域におけるアメリカの存在感を増大させるということになる。
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 ここで私が疑問に思うのは、ネタニヤフ首相はヴァンスの「留守」中にプレゼンテーションを行ったのはどうしてかということだ。なぜなら、翌日2月12日にはヴァンスはアメリカに帰国していたからだ。ヴァンスにもプレゼンテーションを見てもらって、売り込めばよかったのだ。ここからは私の推測になるが、ヴァンスがイラン攻撃に反対するだろうということは容易に予測できる中で、プレゼンテーションの場所で、ヴァンスが強硬な反対論を唱えることで、トランプ大統領に影響を与える可能性があり、それを排除するためだったのではないか。そのために、「ヴァンスの居ぬ間に」プレゼンテーションをして、逃げ帰ったのだろうと思う。

 アゼルバイジャンとアルメニアの和平を確かなものとする裏で、イラン攻撃で地域と世界に不安定をもたらす試みをしていたベンヤミン・ネタニヤフ首相こそは世界にとって、退場してもらうべき存在ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

ヴァンス副大統領の時宜を得た南コーカサス訪問(VP Vance’s timely TRIPP to the South Caucasus

-今週のアルメニアとアゼルバイジャンでの会談は、2009年にバイデン副大統領がジョージアを訪問して以来、南コーカサス地域への最高レヴェルの訪問となった。

アルティン・デルシモニアン筆

2026年2月11日

『レスポンシブル・ステイとクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/trump-tripp/

今週、JD・ヴァンス副大統領がアルメニアとアゼルバイジャンを訪問した地域訪問ツアーは、2009年にジョー・バイデン副大統領(当時)がジョージアを訪問して以来、アメリカ政府高官による南コーカサス地域への最高レヴェルの訪問となった。これは、ワシントンがイェレヴァン(アルメニアの首都)とバクー(アゼルバイジャンの首都)を無視しているのではなく、両国の国交正常化プロセスに積極的に関与していることを示している。

ヴァンス副大統領のアルメニア訪問中、イェレヴァンが1100万ドル相当のアメリカ製防衛システムを調達したことが発表された。これはアメリカ初の事例であり、特にシールドAI社のISR(情報収集・監視・偵察)無人航空機システムであるV-BATが含まれる。また、アメリカを拠点とするAIクラウド・インフラ企業であるファイアバードが主導する画期的なAIスーパーコンピュータープロジェクトの第2段階が開始されることも発表された。これは、NVIDIA GB300グラフィックス処理ユニット4万1000個の販売・納入に関するアメリカでのライセンス契約が締結されたことを受けてのことである。

さらに、副大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相は、アメリカとパートナー国間の平和的な原子力協力のための法的拘束力のある枠組みを確立する「123協定」の交渉完了に関する共同声明に署名した。アメリカは、アルメニアの老朽化したソ連時代の原子力発電所を小型モジュール炉(small modular reactors)に置き換える有力候補として浮上しており、この協定はワシントンに有利な決定への道を開くものとなる。ヴァンス副大統領によると、潜在的な取引には、初期合意で「最大50億ドル」、さらに「燃料および保守契約を通じた長期支援として40億ドル」が含まれる可能性があるという。

アゼルバイジャン訪問中、ヴァンス副大統領はイルハム・アリエフ大統領と、地域連携、経済投資、安全保障および防衛問題を網羅するアメリカとアゼルバイジャンの戦略的パートナーシップ憲章(Strategic Partnership Charter)に署名した。ヴァンス副大統領は公式発言の中で、アメリカは領海保護を支援するため、「アゼルバイジャンに新型船舶を数隻送る」計画であると述べた。

ヴァンス副大統領の訪問は、ドナルド・トランプ大統領が昨年8月にホワイトハウスでパシニャン首相とアリエフ大統領を招き、歴史的な首脳会談を開催してから約6カ月後に実施された。この首脳会談の成果として、アメリカは訪問団それぞれと覚書(MOU)を締結し、アルメニアとアゼルバイジャンの外相は既に合意済みの和平・国交正常化協定の本文に署名した。

先月ワシントンでは、マルコ・ルビオ米国務長官とアルメニアのアララト・ミルゾヤン外相が、TRIPPTrump Route for International Peace and Prosperity、トランプ国際平和繁栄ルート)実施枠組みに関する共同声明を発表した。この枠組みは、アゼルバイジャンとトルコをアルメニア南部経由で結ぶ貿易回廊の技術的・規制的要素を概説するものである。

この枠組みでは、新たな回廊の輸送、貿易、エネルギー、通信インフラを建設する共同開発会社の初期契約期間を49年間と定めている。アメリカは74%の株式を保有し会社をコントロールし、アルメニアは残りの26%を保有する。在イェレヴァン米大使館によると、アメリカのエンジニアリングコンサルティング会社AECOMが最近アルメニアを訪問し、TRIPPプロジェクトの実現可能性調査を開始した。この調査は「アルメニアの長期的な経済成長、連結性、地域統合を支援する」ことを目的としている。

昨年8月の発表以来、このプロジェクトはワシントンとこの地域との関わりと関心を再び高めてきた。今週のヴァンス国務長官の地域訪問中も、こうした協議は継続された。

ワシントンの視点から見ると、TRIPPは、中央アジアとトルコ、そしてヨーロッパを結ぶアメリカ主導の戦略的動脈(an American sponsored strategic artery linking Central Asia to Turkey and Europe)として機能する、相互に連結された南コーカサスという、より広範な戦略的ヴィジョンに合致する。これは、ロシアとイランの領土を迂回しながら、ユーラシア大陸を横断する重要な貿易とエネルギーの流れにとって重要な回廊となる可能性が高い。

これらの合意は既に地域に一定の成果をもたらしている。昨年8月の会談でトランプ大統領が和平プロセスに個人的な影響力を及ぼして以来、アルメニアとアゼルバイジャンの間で戦争が再開される可能性、あるいは暴力的な衝突が起こる可能性は低下した。イェレヴァンとバクーはともに、TRIPPプロジェクトから自国が経済的、政治的に大きな利益を得られることを認識しており、ワシントンを怒らせることは戦略的に賢明ではないことも理解している。

最近、アゼルバイジャンからジョージア経由でアルメニアへの輸送が行われたが、これは主に象徴的な意味合いを持つものの、ささやかな突破口であり、互いのインフラネットワークへの直接的かつ相互的なアクセスが認められれば、将来的にさらに大きな利益につながる可能性がある。 1993年以来閉鎖されていたアルメニアとトルコの国境再開は、地域間の相互連結性を拡大する上で重要な一歩となるだろう。

南コーカサス地域は30年以上にわたり、地域といっても名ばかりになっており、繁栄を促進し、治安悪化を緩和するような統合が欠如していた。かつて南コーカサスにおけるアメリカの関与の旗手であったジョージアを、発展途上にある地域経済構造に再び組み込むことは、その長期的な成功にとって極めて重要である。最近のジョージア代表団のワシントン訪問は、トビリシとワシントンが実務的な協力関係を再構築する可能性を示唆する、心強い兆候である。昨年、ジョージアの首都トビリシで開催されたアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアの外務次官による三者会談は、前向きな進展であり、外務大臣レヴェルで継続されるべきものだ。

まとめると、2025年1月の政権復帰前に好ましい条件が整っていたとはいえ、トランプ政権は最終的に、過去の政権が成し遂げられなかったことを実現した。こうした過去の成功を、南コーカサスにおける長期的かつ安定したアメリカの政策へと転換させることは、同様に重要である。また、このデリケートな地域へのアメリカの関与が、さらなる不安定化を招かないようにすることも、極めて重要である。

その過程で、細心の注意を払って対処しなければならない多くの外部的な落とし穴が間違いなく存在するだろう。中でも、南コーカサスにおけるロシアとイランの利害関係、そして特にTRIPP協定に関する懸念は、極めて重要である。

ワシントンが旧ソ連全域にわたってロシアに勢力圏を「付与する(grant)」準備をしているという懸念とは対照的に、アメリカはむしろ、自国の経済的・政治的利益を放棄することなく、他の大国の安全保障上のレッドラインを尊重する姿勢を示しているように見える。実際、あるロシア人コラムニストはこう書いている。「モスクワでは失望、苛立ち、そして無力感が蔓延している。なぜなら、まさにこの地域において、近年ロシアの立場は著しく低下しているからだ」。

アメリカにとって、これはまさに綱渡りのような状況であり、その成否は、冷戦後の世代のアメリカの政治エリートにはほとんど馴染みのない、慎重な政治手腕にかかっている。ヴァンス副大統領のアルメニアとアゼルバイジャンへの訪問は、アメリカが南コーカサス地域とその周辺地域に新たな重要性を見出し、それが今後何年も続くであろうという強いメッセージを発信している。

※アルティン・デルシモニアン:クインシー責任ある国家運営研究所のユーラシア・プログラムのジュニア・リサーチ・フェロー。2022年にグラスゴー大学でロシア、東欧、ユーラシア研究の修士号を取得。修士論文では「1878年から1890年までの帝政末期ロシアにおける親ドイツ外交政策の衰退」をテーマとした。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 昨日に続いて、UAEをテーマにした文章を掲載する。UAEOPECを離脱したことを昨日ご紹介した。UAEはイランに対して強硬な姿勢を保ち、イスラエルに近づいている。その象徴が、2026年5月13日のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のUAE公式訪問である。UAE側はネタニヤフ首相訪問を否定しているが、これは事実としてすでに報道されている。イランはUAEを厳しく非難している。
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 イスラエルは対空防衛システム「アイアンドーム」をUAEに供与しているということだ。これは、UAEにイスラエルの軍事要員が駐留していることを示している。アイアンドームの効果は限定的であろうが、アメリカ軍の役立たずぶりよりはだいぶお役に立ったということになるだろう。UAEは対イラン強硬姿勢が転じて、親イスラエルとなっている。イスラエルに接近している。そして、親イスラエルであることで、アメリカからの支援を受けようとしている。中東地域のイスラム教国の団結は崩れつつある。
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ムハンマド・ビン・ザイドUAE大統領

 イスラエル側からすれば、UAEを手駒として使えるようになる。UAEはイランの隣国である。UAEにアイアンドームを配備することができれば、更に「UAEの安全のためにイスラエル製のミサイルも配備しましょう」ということになる。このミサイルはイラン攻撃に使える。UAEがイスラエル製のミサイル攻撃をすれば、イランの報復はUAEに向かう。UAEもそこまで馬鹿ではないから、ミサイル配備は断るだろう。しかし、アイアンドームという「防御」システムで発射された迎撃ミサイルがペルシア湾を超えて、イランに着弾するということはある。「迎撃に失敗して、そのままイランに飛んでいってしまった」ということもできる。
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 イランを抑え、イスラム教国を分断し、中東地域を不安定化させるというのがイスラエル、正確にはネタニヤフ首相が望む姿である。そのためにUAEを利用している。中東知己の不安定化は世界にとって不幸である。石油価格が安定しない、石油自体を確保しにくいということになれば経済にも悪影響が出る。イスラエルの好戦的、独善的な姿勢が改められない限り、世界の不幸は続く。

(貼り付けはじめ)

イランとの戦争の中、UAEはイスラエルとの関係強化を選択し、サウジアラビアとの関係悪化のリスクを冒している(UAE chooses to deepen ties with Israel amid war with Iran, risking rift with Saudis

-専門家たちは、UAEはイスラエルを「他の国と同様(like any other country)」と捉え、安全保障上のパートナーと見なす現実的な見方をしている一方、リヤドをはじめとする湾岸諸国はイェルサレムをならず者国家(a rogue state)と見ている。

AFP通信、『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙スタッフ

2026年5月15日

『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙

https://www.timesofisrael.com/uae-chooses-to-deepen-ties-with-israel-amid-war-with-iran-risking-rift-with-saudis/

アラブ首長国連邦ドバイ発-イランからのミサイル攻撃によって経済的未来が脅かされたアラブ首長国連邦(UAE)は、イスラエルとの関係を強化し、かつての同盟国でありライヴァルとなったサウジアラビアとの溝を深め、テヘランに対して強硬な姿勢を取っている。

この賭けにより、人口の9割が外国人である観光大国UAEは、2800機以上のドローンとミサイルを迎撃するためのイスラエル製防空システムへのアクセスを得た。アナリストたちは、これは安定を基盤とした国家モデルを維持するために、防衛を最優先事項としたことを意味すると指摘する。

しかし、イスラエルとの協力強化は、UAEが最大の脅威と見なすイランをさらに刺激するリスクを孕み、湾岸諸国の多くと同様にイスラエルを地域における重大な存在のならず者と見なすサウジアラビアとの関係をさらに悪化させる恐れがある。

●安全保障協力(Security cooperation

UAEは将来を見据えており、経済復興を支える最良の安全保障パートナーとしてイスラエルを位置づけている」と英チャタムハウスの中東・北アフリカプログラム責任者サナム・ヴァキルは述べた。

安全保障と防衛の面において、この判断は功を奏したようだ。

火曜日、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使は、イスラエルが戦争中にアイアンドーム防空システムと人員をUAEに派遣したことを認めた。

戦争中、UAE当局は、攻撃が降り注ぐ中で空虚な連帯(hollow solidarity)を示すアラブ諸国を名指しこそしなかったものの、激しく非難してきた。

「建国以来、これほど深刻な脅威に直面したことはないのに、危機感が足りなかった」とUAE政府に近いレバノン系UAE人のメディア幹部で政策顧問のナディム・コテイチは語っている。

「しかし、この戦争では、イスラエルは必要な時にUAEのために姿を見せた」。

イスラエル軍やイスラエルの指導者たちは、アメリカと共同でイランに対する作戦を開始した目的は、イラン政権の軍事力を弱体化させ、核兵器や弾道ミサイル計画を含むイランの脅威を遠ざけ、イラン国民が政権を打倒するための「条件を生み出す(create the conditions)」ことだったと述べている。

トランプ大統領が4月に宣言した停戦は、戦争の主要な目標をほぼ達成しないまま終わった。

●微妙な問題が残り続けている(Sensitivities remain

UAE当局者は、戦後の湾岸地域におけるイスラエルとの協力関係を模範として挙げることがある。

先月、UAE大統領顧問のアンワル・ガルガシュは、イランの地域戦略の結果、湾岸地域におけるイスラエルとアメリカの影響力は増大する一方だと述べた。

しかし、今のところ、イスラエルと国交を正常化した湾岸諸国はバーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)のみであり、アラブ諸国にとってこれは非常にデリケートな問題である。

水曜日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イラン戦争中にUAEを秘密裏に訪問したと述べたが、アブダビ側はこれを即座に否定した。

アブラハム合意は当初、国交正常化の動きに勢いを与えたものの、2023年10月7日にハマス主導のテロリストがガザ地区で虐殺事件を起こし、戦争が勃発したことで、その流れは急停止した。この事件はアラブ世界全体に怒りを巻き起こし、ネタニヤフ首相はその怒りの対象となった。

キングス・カレッジ・ロンドンのアンドレアス・クリーク教授によると、ネタニヤフ首相がUAE訪問を公表したのは、イスラエルにおける、「選挙を控えた政治家としての力と才能(statesmanship in the run-up to the elections)」をアピールするためだったという。

前述のヴァキルはAFP通信に対して、「イスラエル側は両国関係を過剰に宣伝しようとしている。これはどちらかというと、実質的な安全保障と経済のパートナーシップに近い」と述べた。

ヴァキルはまた、UAEは今後もパートナーシップの多様化を進め、防衛と経済にとって重要なヨーロッパおよびアジアの同盟諸国との関係を拡大していくと述べた。

UAEとサウジアラビアの分裂(UAE-Saudi rift

中東地域での戦争勃発以来、UAEとイスラエルの関係は、この湾岸諸国サウジアラビアにとって課題となっている。

国際的な金融ハブとしての地位と、アメリカ軍の拠点を擁しイスラエルとの関係も深いアメリカにとっての主要同盟国としての地位のために、UAEはイランにとって格好の標的となっているとアナリストは指摘する。

イスラエルとの関係強化は、湾岸地域の安定に対する脅威としてイスラエルとイランのどちらがより大きいかをめぐるUAEとサウジアラビアの意見の相違を浮き彫りにし、昨12月のイエメン問題での対立以来、両国間の溝をさらに深めている。

アブダビは、たとえそれが伝統的な同盟関係を断ち切ることを意味するとしても、独自の道を歩む姿勢を示している。今月、サウジアラビア主導のOPECから離脱し、以前にはアラブ連盟(the Arab League)を激しく非難した。

また、イランに対してはより強硬な姿勢を取り、イランを敵とみなし、いかなる和平合意においても最大限の要求を表明している。

コテイチはUAEの立場について、「イスラエルの卓越性という考えに固執する人もいれば、より現実的で、イスラエルを他の国と同様に捉え、・・・地域に統合できると考える人もいる」と述べた。

サウジアラビアはアブラハム合意後、イスラエルとの関係正常化を検討していたが、ガザ戦争によってその努力は突然頓挫した。

現在、サウジアラビア王国は、湾岸諸国の多くと同様に、イスラエルをならず者とみなしている。

イスラエルは、2023年10月7日にハマスがガザ地区で約1200人を殺害し、251人を人質に取った虐殺事件を受けて、ガザ戦争を開始した。その後、イランの代理勢力であるレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派とも戦闘を繰り広げた。両組織はイランを支援するために戦闘に参加した。

イスラエルはさらに、イランの核・ミサイル脅威を排除するため、イランとの二度の戦争も経験している。

しかしながら、イスラエルが自国の存立に対する脅威を受け入れようとしない姿勢は、地域の一部の国々から強い反発を招いている。

最近の論説で、元情報機関長官のトゥルキ・アル・ファイサル王子は、イスラエルが「地域に自国の意思を押し付ける(to impose “its will on the region”)」ために、サウジアラビアとイランの間で「戦争を引き起こそうとしている(planning to “ignite war”)」と非難した。

=====

ベンヤミン・ネタニヤフ首相がイスラエルとUAEの関係を強調する一方で、UAEの指導者たちは慎重な姿勢を崩さない(As Netanyahu spotlights Israel’s ties to the UAE, its rulers prefer to be discreet

ジュリア・フランケル筆

2026年5月16日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/2026/05/16/israel-uae-netanyahu-gaza-palestinians/9fa7ffea-50e4-11f1-97e7-22c6c29ff0d8_story.html

イェルサレム発(AP通信)-イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の緊密な関係は、通常は秘密裏に管理されている。しかし今週、その関係が公になり、イラン核戦争が地域全体を巻き込む中で、同盟関係の根底にある緊張が浮き彫りになった。

イスラエルとUAEの関係強化に最初に注目を集めたのは、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使だった。イスラエルがUAEをイランの攻撃から守るため、アイアンドーム防空システムと運用要員を派遣したことを明らかにした。

その後、ネタニヤフ首相は、戦争中にUAEを密かに訪問していたと発言。これに対し、UAEは慌てて公式に否定した。

ネタニヤフ首相とトランプ政権は、地域における反イラン勢力を強化する一環として、両国間の同盟関係を大々的に宣伝しているが、湾岸諸国はこうした関係を控えめに扱う傾向にある。これは、イスラエルとの公的な関係が、この地域において依然として大きな論争の的となっていることを示している。

イスラエルとUAEの関係について知っておかねばならないことを如何に掲載する。

UAEは何故ネタニヤフ首相の訪問を否定したのか?(Why would the UAE deny Netanyahu’s visit?

ネタニヤフ首相が戦時中にアブダビを訪問していたことを明らかにしたことは、特にハッカビー大使がイスラエルとUAE両国間の軍事協力を確認した直後だったこともあり、波紋を呼んだ。イスラエルの治安責任者も訪問したとの報道が飛び交った。

UAEの国営通信社WAMは、訪問に関する「流布している報道(reports circulating)」を否定する記事を掲載した。WAM通信社は、イスラエルとの関係は「周知の、公式に宣言されたアブラハム合意の枠組みの中で行われており、不透明な、あるいは非公式な取り決めに基づくものではない」と述べた。

また、この記事では、イスラエル軍代表団がUAEを訪問したという事実も否定した。

「この件は、アブダビの戦時体制という姿勢を公然と覆すことになり、事態を複雑化させる。だからこそ、否定声明はこれほど迅速に、そして慎重に言葉を選んで発表されたのだ」とマルコム・H・カー・カーネギー中東センターに所属するサウジアラビア在住の研究員ヘシャム・アルガナムは述べた。

アラブ首長国連邦(UAE)は2020年にイスラエルとの国交を正常化したが、UAEの指導者たちはこの同盟関係をある程度秘密にしておきたいと考えている。

中東地域のアラブ諸国やイスラム諸国では、ユダヤ国家に対する反感が根強く残っている。こうした反感は、イランの支援を受けた武装組織ハマスが2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取ったガザ紛争によってさらに増幅された。

イスラエルによるガザ地区への攻撃は、ガザ地区の大部分を壊滅させ、ガザ保健省によると7万2700人以上のパレスティナ人を殺害した。ガザ保健省は民間人と戦闘員の死者を区別していない。この紛争は地域全体に波及し、イスラエルはレバノンとイエメンでイランの支援を受けた武装勢力に対し、死傷者と甚大な被害をもたらす作戦を展開し、カタールとシリアの武装勢力の標的を攻撃した。

「私たちは中東地域の醜いアヒルの子(the ugly duckling)だ」と、イスラエルの保守系シンクタンクであるイェルサレム安全保障外交センターのダン・ディカー所長は述べた。

アブラハム合意加盟国と広範な協議と関係を築いてきたディカーは、自身が頻繁に交渉する地域当局者は常に、物事を秘密裏に進めるよう求めたと語った。

●イスラエルとUAEの同盟関係はどのような基盤に基づいているのか?(What is the Israel-UAE alliance based on?

イスラエルとUAEは、イランとの戦争中に軍事的に協力した。イスラエルは、宿敵イランに地理的に近い国家であるUAEに防衛拠点を確保できたことで恩恵を受けた。一方、アラブ首長国連邦(UAE)は、アイアンドーム防空システムなどのイスラエル製軍事技術へのアクセスを得た。

この同盟は両国の経済にも恩恵をもたらしており、2020年以降、両国間の貿易は着実に増加している。

中東地域で長らく孤立していたイスラエルは、アラブ諸国とのパートナーシップによって正当性を獲得した。そしてUAEはワシントンにおける影響力を強めた。

UAEは、エジプト、ヨルダンに次いで、イスラエルと正式な外交関係を樹立した3番目のアラブ国家となった。

●ネタニヤフ首相は何故今回の訪問を公表したのか?(Why did Netanyahu publicize his visit?

ネタニヤフ首相は、イスラエルで選挙シーズンを控え、国内で激しい反対に直面している。中東地域における影響力のある仲介者(power broker)としての地位を支持層に示すことができれば、自身のイメージ向上につながると考えている。

イラン戦争は、ネタニヤフ首相の国内支持率向上にはほとんど貢献しなかった。支持率向上につながり、同時にトランプ大統領との緊張感のある関係を強化する可能性のある要因の1つは、アラブ首長国連邦(UAE)に倣って、より多くの地域大国がUAEに加わることだろう。イスラエルは現在、アブラハム合意への参加を目指し、アゼルバイジャンと協議中である。

しかし、ネタニヤフ首相がイスラエルとUAEの緊密な関係を公表することで、他国にとって模範となることを期待していたとしたら、あまり期待しない必要があるかもしれない。

アブラハム合意への参加を拒否してきた地域の大国であるサウジアラビアは、イラン戦争を通して異なるアプローチを採用してきた。サウジアラビア在住の学者アルガナムによると、サウジアラビアはテヘランとの対話ルートを維持し、パキスタンによる両国間の仲介を支持してきたという。

「その目的は、イスラエルに対して明確な立場を示すことではない。リヤドが主導権を握っておらず、制御もできない戦争に巻き込まれることを拒否することだ」とアルガナムは述べた。

アルガナムは更に次のように述べた。「リヤドがパートナー国とあらゆる選択肢をオープンに議論し、一つの路線に固執しないこと自体が戦略的なシグナルだ。地域安全保障体制は、ワシントンとテヘランが二国間交渉で合意した内容から引き継ぐのではなく、地域レヴェルで構築されるべきだ」

※イェルサレムを拠点とするフランケルは、イスラエル全土とイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区から報道を行っている。彼女の報道は、戦争、人権、避難民問題、刑事司法に焦点を当てている。

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