古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2026年09月

 古村治彦です。

 第二次世界大戦後のアメリカの「お家芸」は、戦争の泥沼(quagmire)にはまることである。朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、イラン戦争と泥沼にはまることを続けている。湾岸戦争は自制的に進めたことで泥沼にはまることはなかった。アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは、退任演説で外国との恒久的な同盟構築を回避するように訴えた。対外戦争を非常に危惧した。それは、泥沼にはまる状況を危惧してのことだったのだろうと私は考えている。

 戦争が泥沼にはまる際の要素として、下記論考のスティーヴン・M・ウォルトは以下を挙げている。「無知(Ignorance)、誤った助言(Bad advice)、集団思考(Groupthink)=偏った意思決定プロセス(a biased decision-making process)、過信(Overconfidence)、信頼できない現地のパートナー(Unreliable local partners)、信認について懸念(Credibility concerns)」ということになる。

これらを使って、イラン戦争に当てはめて考えてみたい。まず、無知であるが、これはイランについての情報や知識が欠けているということになる。専門部署はきちんと機能して、報告を上層部に伝達しても、それを活かせるかどうかということになる。最終決定を行うドナルド・トランプ大統領がまともに報告書(日本で言えばA4用紙一枚程度)を読んでいたとは考えにくい。アメリカ軍制服組の上層部は戦争に反対していたが、トランプの無知の前には効果を持たなかった。誤った助言は、このブログでも紹介したし、『ザ・フナイ』に掲載した論考にも書いたが、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が2025年に複数回、ホワイトハウスを訪問し、トランプにイラン攻撃を働きかけた。ネタニヤフは真実を伝えず、楽観論を伝え続けた。トランプの決定はネタニヤフの誤った助言に影響を受けることになった。意思決定プロセスの問題であるが、アメリカ軍、政権幹部(ピート・ヘグセス国防長官以外)は反対していた。しかし、トランプの決定を変更させることはできなかった。過信については、言わずもがなであろう。世界最強のアメリカ軍と、中東地域で精強を誇るイスラエル軍が攻撃すれば、イランはもろくも崩れ去るということは多くの人が考えることだろう。トランプもネタニヤフもそう考えていたことだろう。信頼できない現地のパートナーとしてはイスラエルが筆頭であろう。また、アメリカに亡命しているイランの王太子も含まれる。どちらにしてもイランを攻撃し、体制転換を迫る上で役立つパートナーではなかった。最後に、信任について懸念であるが、これは、「アメリカはパートナー、同盟国として信頼できない」「アメリカ軍は強くない」ということである。これを避けるためには、何とか「勝利」と呼べる状態を出現させたい。そのために、戦争が長引いてしまう。トランプもこの状況に陥っている。

 泥沼にはまらないためには何が必要か。対外戦争をしないことだ。自国から遠く離れて戦争をしないことだ。今回のイラン戦争を通じて、中国は改めてそのことを学んでいることだろう。

(貼り付けはじめ)

泥沼の事態に陥る兆候(Top Signs You’re Heading for a Quagmire)

-何を見るべきかを知っていれば失敗に終わる戦争は予測可能だ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年9月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/10/top-signs-quagmire-war-global-military-conflict/

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イギリスのボルドン近郊の演習場で横転した戦車を回収する兵士たち(2022年3月14日)

大国間の競争(great-power competition)が激化する世界において、ある国の外交手腕が真に問われるのは、資源を浪費し、注意を逸らし、最終的には国力を強化するどころか弱体化させるような、高くつく紛争や無益な事態を回避できるかどうかという点にある。言い換えれば、「泥沼(quagmires)」のような事態に陥るのを避けられるかということだ。大国は往々にして、ライヴァル国が戦略的な「流砂(quicksand)」にはまり込むのを歓迎し、時にはそうした事態を助長することさえあるが、賢明な指導者はこうした厄介事に関わらないよう努めるものだ。

ここ数十年の間、中国はアメリカやロシアに比べて、泥沼のような事態を回避する点で、はるかに巧みな立ち回りを見せてきた。冷戦後の慢心から、アメリカの指導者たちは多岐にわたる世界的責務を背負い込んだが、その中には理にかなったものもあれば、そうでないものも数多くあった。イラクやアフガニスタンでの「終わりのない戦争(forever wars)」は、もちろん後者の最も明白な例だが、アメリカは「対テロ世界戦争(global war on terror)」の一環として、リビア、イエメン、シリア、そしてアフリカ各地における小規模な紛争にも深入りし、泥沼化させてきた。

さらに、イスラエルとパレスチナの和平仲介に向けた長きにわたる稚拙かつ実りのない取り組みも挙げられるだろう。この取り組みは大統領の多大な時間と関心を費やしたものの、最終的には失敗に終わった。その大きな要因は、ワシントンが公平な仲介者(a fair-minded mediator)としてではなく、「イスラエルの弁護人(Israel’s lawyer)」のように振る舞ったことにある。そして今、ドナルド・トランプ米大統領は、自ら招いたイランとの泥沼の対立に、その危険性を承知の上で足を踏み入れた。この対立は、利益は皆無か、あってもごくわずかな一方、コストの増大は明らかであり、屈辱的な撤退(a humiliating retreat)以外に出口が見当たらない状況にある。

同様に、ロシアも2000年以降、近隣諸国との間で一連の「凍結された紛争(a series of frozen conflicts 訳者註:解決に至らない対立状態)」を抱え込み、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコヴィッチ元大統領やシリアのバッシャール・アル=アサド指導者といった友好勢力を支えきれず、現在はウクライナでの戦争という「存在し続ける傷口(the running sore 訳者註:深刻な泥沼)」に足を取られています。こうした行動は、ロシア経済や国民に多大な犠牲を強いただけでなく、ヨーロッパ諸国の大部分との関係を悪化させ、ロシアを中国への依存度を強める方向へと追い込んだ。ワシントンとモスクワの双方に、そうした行動に出たなりの理由はあった。しかし、それら一連の冒険的行動によって、どちらかの国が世界的な地位を強化できたと主張するのは難しい。

ワシントンとモスクワの双方に、それぞれの行動を取った理由はあった。しかし、こうした一連の冒険的行動によって、どちらかの国の世界的な地位が強化されたと主張するのは難しいだろう。

対照的に、中国は、多大なコストを要する泥沼の事態を避け、国内での国力増強に注力してきた。南シナ海での人工島建設、対外的な外交プレゼンスと影響力の拡大、備蓄や準備金の積み増しによる対外圧力への耐性強化、そしてレアアースやグローバル・サプライチェインの要所を支配することによる交渉力の確保といった取り組みである。確かに、軍事力の増大やますます強硬さを増す外交政策は近隣諸国に警戒心を抱かせ、それらの国々が北京に対抗する動きを促す結果にもなった。しかし、ロシアやアメリカとの関係において、中国の全体的な地位は著しく向上している。中国のアプローチは、対外的なトラブルに深入りしないことが極めて賢明な戦略であることを示唆している。

それでは、なぜ国家は泥沼の事態に陥ってしまうのか。そして、将来それを回避するにはどうすればよいのだろうか。ここでは、いくつかの危険信号(the warning signs)を挙げてみたい。

無知(Ignorance)。長期化し、多大なコストを要し、あまつさえ敗北に終わるかもしれないと予想される戦争を、自ら始めようとする人間はいない。つまり、事態がどう展開するかを事前に知っていれば、ほとんどの指導者は別の道を選んでいただろうということだ。

このことは、泥沼の事態が往々にして、対峙する相手国や直面する困難、あるいは他の行動主体の反応に対する「無知」から生じることを示唆している。教訓は次のようになる。ほとんど知識のない国に介入しようとする際は十分に警戒すべきだ。

誤った助言(Bad advice)。介入の決定は、何もないところから突然生まれるということはない。誰かがその案を考案し、決定権を持つ人々にそれを採用するよう説得する必要があるからだ。したがって、泥沼の事態を避けたいのであれば、介入を望む独自の動機を持つ利害関係者たち(self-interested parties)からの助言に対して、極めて懐疑的な姿勢をとるべきだ。

アメリカ軍の力を利用して権力の座に就こうと画策していたアフメド・チャラビのような、開戦を主張するイラクの亡命者たちの言葉に耳を傾けたことは、ジョージ・W・ブッシュ政権にとって誤りだった。同様に、イランとの戦争を説くイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の主張を信じたり、米国内の好戦派による甘い言葉に注意を向けたりしたトランプ大統領の行動も極めて愚かなことだった。

この問題は何も新しいものではない。ニコロ・マキャヴェッリは著書『ディスコルシ 「ローマ史」論 (Discourses on Livy)』の中で、指導者たちに対し、利害関係者(彼の場合は亡命者[exiles])の証言を真に受けすぎないよう特に警告している。

「祖国を追われた者たちの言葉や約束ほど無駄なもの(vain)ははない。・・・彼らは故郷へ戻りたいというあまりに強い願望を抱いているため、事実ではないことを信じ込んでしまったり、意図的に話に付け加えたりしがちである。その結果、彼らが本気で信じていることと口先だけで言っていることが混ざり合い、指導者たちに過度な期待を抱かせることになる。もしその言葉を信じて行動を起こせば、無駄な出費を強いられるか、あるいは破滅を招くような事業に巻き込まれることになるだろう」。

ここで注目すべきは、最初の2つの問題が互いに悪影響を及ぼし合っているという点だ。無知であればあるほど、事態を熟知していると主張する人々の助言を鵜呑みにしやすくなるからだ。

集団思考(Groupthink)。選択肢について明確かつ公平な議論が行われない場合、国家は泥沼の事態に陥りやすくなる。追従者や忠実な側近に囲まれた自信過剰な独裁者(ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やトランプなどがその具体例となる)は、こうした過ちを犯しがちだが、異論を聞くことを拒絶し、自身の先入観に合わない情報を無視する傾向がある指導者たちも同様だ。

誰もが、自分の望む行動を裏付ける証拠を過大評価し、自分が間違っていることを示す証拠を軽視する傾向を持っている。だからこそ、泥沼の事態を避けようとする指導者たちは、積極的に代替案に耳を傾け、開戦の根拠となっている前提条件について徹底的にストレステストする(stress-test)よう助言者たちに促すべきだ。指導者がこうした行動を怠ると、「無知(ignorance)」「誤った助言(bad advice)」「偏った意思決定プロセス(a biased decision-making process)」が組み合わさり、事態は直ちに・・・。

過信(Overconfidence)。無知と誤った助言が重なると、意思決定者は「成功は容易だ」と信じ込まされがちだ。その根拠とされるのは、相手の軍事力が劣っている、相手国政府が脆弱で即座に崩壊する、現地住民が不満を抱いており侵略者を歓迎するだろう、あるいはそれらの複合的な要因などだ。こうした見方が実際に正しいこともあるが、それは稀だ。また、軍事的に劣る敵を打ち負かすという純粋な軍事的任務以上に、勝利後の事態を収拾することの方がはるかに困難な場合もある。

したがって、泥沼の事態を避けたいのであれば、勝利した後にどうするのかを慎重に検討しておく必要がある。さらに重要なのは、「勝利に至る最良のケースセオリー」が誤りであり、長期戦を強いられることになった場合に備えて、「プランB」を用意しておくことだ。

信頼できない現地のパートナー(Unreliable local partners)。ヴェトナム、アフガニスタン、イラク、そしてイランにおけるアメリカの経験は、同様の教訓を物語っている。有能かつ信頼できる現地のパートナーがいなければ、泥沼の事態を避けるのは困難になる。アメリカは最初の3つの事例において、国家建設(nation-build)に巨額の資金を投じたが、現地の協力者たちは内部分裂し、腐敗しており、それぞれ独自の思惑で動いていた。トランプは、政権中枢の指導者さえ排除されれば、不満を抱くイラン国民(多数存在する)が蜂起するだろうと考えていたようだが、それは、政権側の組織化された治安部隊の存在や、組織化された反体制派の不在という現実を完全に無視した空想に過ぎなかった。

プーティンも同様の誤算を犯した。彼は、自軍が国境を越えた途端にウクライナ政府が崩壊する(あるいは侵攻部隊がキーウに到達すれば、親露派の傀儡政権に容易に取って代わられる)と考えていた。しかし、それはウクライナ国民の強烈な愛国心を理解していなかったことを露呈する、根拠のない期待に過ぎなかった。

開戦前の楽観的な見通しが誤りであり、戦争が長期化し困難なものになると明らかになった時点で、新たな問題が生じる。たとえ損切りをして撤退するのが賢明な判断だとしても、指導者たちが多大な犠牲を伴う泥沼の状況から抜け出すのを難しくする、少なくとも2つの明白な理由が存在する。

信認について懸念(Credibility concerns)。政府は多くの場合、揺るぎない姿勢や信頼性を維持するためには「方針を堅持(stay the course)」しなければならないと考えがちだ。例えば、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は、アメリカがヴェトナム戦争に勝利できないことを理解しており、そもそも参戦すべきではなかったかもしれないと認めてさえいた。しかし彼は、50万人のアメリカ軍を投入した以上、ヴェトナムの「重要性という問題は決着済み(settled the issue of the importance of)」だと主張した。なぜなら、撤退すればアメリカの信認が損なわれ、同盟諸国がアメリカを見限るだろうと(誤って)信じていたからだ。キッシンジャーは戦争に勝ち目がないことや、ヴェトナムの戦略的重要性が低いことを知っていたが、信認への執着が戦争をさらに6年間長引かせる一因となった。

また、ダニエル・エルズバーグが有名な論考で論じたように、これには国内政治上の類似した側面もある。指導者たちは、明白な失敗が招く国内政治的な結果を恐れるあまり、泥沼化した状況から抜け出すことをためらいがちになる。勝利の可能性が低いと分かっていても、問題を先送りし、後任者に押し付ける道を選んでしまう。リンドン・ジョンソン大統領はヴェトナム問題をリチャード・ニクソンに引き継ぎ、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプも、それぞれアフガニスタン問題を後任者に委ねた。ジョー・バイデン大統領は、勝利の可能性が低いと理解していた戦争を終わらせる勇気を示したが、アメリカ軍撤退に伴う(避けようのない)混乱した結末に対しては、激しい批判を浴びることになった。

トランプがイランとの戦争において、単に損切りをして戦争を終わらせようとしないのも、こうした理由からかもしれない。彼は依然として、「勝利(victory)」として宣伝できるような成果を何とか得られないかと期待している。幸運を祈るだけだ。

皮肉なことに、こうした国内政治的な結果への恐れは、見当違いなものかもしれない。サダム・フセインは、自ら始めたイランとの愚かな戦争を8年間の戦闘の末に終わらせたが、権力の座を追われることはなかった。また、第一次湾岸戦争で屈辱的な敗北を喫した後も、イラクの指導者の地位にとどまり続けた。ロナルド・レーガン大統領は、テロ爆撃で240人以上のアメリカ軍兵士が犠牲になった後、レバノンから撤退したが、それでもなお、強硬な姿勢を持つタカ派の大統領として広く認識された。バイデンでさえ、就任1年目に行ったアフガニスタンからの撤退による長期的なダメージはほとんど受けなかった。あの初期の決断は、2024年の選挙戦や、その後のカマラ・ハリスの敗北において、ほとんど何の影響も及ぼさなかった。

「勝利はもうすぐそこだ(Victory is just around the corner)」。強大な国家は、戦い続けるだけの余力があり、新たな手法を試すための資源も持ち合わせているがゆえに、泥沼の紛争から抜け出せなくなることがある。

アダム・スミスは「一国が破綻に至るまでにはかなりの余力(ruin)があるものだ」と記したが、この言葉は特に、人口が多く経済規模の大きい国に当てはまる。たとえ利害がそれほど大きくなく、勝利の見込みが薄い場合でも、大国は愚かな戦争を長期間続けることができる。特に、志願制の軍隊に頼り、増税ではなく財政赤字で戦費を賄い、勝利への鍵となることを期待して新たな戦略や兵器を次々と試すことができる状況であればなおさらだ。過去4年間にロシア(およびウクライナ)が試みてきた数々の手段や、アメリカが過去に陥った泥沼の紛争の中で試みた様々な選択肢や戦略的革新を思い起こせば、そのことは明らかだろう。

実際、ヴェトナム戦争においてアメリカ人は「転換点を迎えた(turn the corner)」と繰り返し聞かされていたが、この決まり文句は後にイラクやアフガニスタンの紛争でも再び持ち出され、繰り返されることとなった。ヴェトナム戦争において、ワシントンは威圧的な爆撃、カンボジア侵攻、北ヴェトナムの港湾への機雷敷設、エイジェント・オレンジのような「枯葉剤(defoliants)」の広範な使用、現地住民を保護するための「戦略村(strategic hamlets)」建設、「ヴェトナム化(訳者註:南ヴェトナム軍への権限委譲)」など、あらゆる手を尽くしたが、どれも徒労に終わった。2007年にイラクで行われた増派(surge)は、軍事的には短期的な成果をもたらしたものの、イラクのより広範な政治的問題を解決するには至らなかった。また、2009年に国防総省がバラク・オバマ大統領に押し付けたアフガニスタンへの同様の増派も、同じく失敗に終わった。富裕な国家は長期間にわたって様々な選択肢を試し続けることができ、あと少し努力すれば成功するかもしれないという可能性が、常にわずかながら残されている。そうした希望こそが、泥沼の紛争を長引かせる要因となる。

結局のところ、泥沼の紛争が生じるのは、戦争を始めることよりも終わらせることの方が困難だからである。したがって、泥沼の紛争を避けたいと望むなら、外国の戦争に関与することに対して辛抱強い慎重さを抱くことこそが、最善の防衛策となるだろう。国家には依然として、真に死活的な国益を守るために戦う意欲を持つ国民と、有能な軍事力が必要だ。しかし、安易に勝てると見込んで、希薄な理由や些末な動機のために「選択的な戦争(wars of choice)」を仕掛ければ、勝利も容易な終結も望めない紛争に深入りすることになる。これまでのところ、中国の習近平国家主席とその側近たちは、トランプやその歴代の多くの大統領よりも、この原則をよく理解しているようだ。その状況が続く限り、優位に立つのは北京ということになる。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。彼は、現代世界を理解・展望する上で不可欠な主要概念を解説する5部構成のニューズレター・シリーズ『新しい地政学(The New Geopolitics)』著者。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争とイラン戦争、近年の大型戦争が示しているのは、防衛側が有利であるということだ。アメリカとロシアという国連安全保障理事会常任理事国にして核兵器保有国、軍事力で見れば世界有数の強国がウクライナとイランを攻撃し、短時間で屈服させることはできなかった。ウクライナもイランも多大な犠牲を払いながらも攻撃をはねのけ、戦力としては劣勢でありながらも、相手の急所を大型ではないが効果的な武器で攻撃し、強大なロシアとアメリカに影響を与えている。また、経済面でも世界的な波及効果を及ぼし、停戦に向けた圧力も生み出している。こうして見ると、下記論考でスティーヴン・M・ウォルトが述べているように、「防衛優位(Defense-Dominance)」ということになる。これからは、外国を攻めるだけの武力があり、実際に攻めても、その効果は限定的で、目的を達成することができないということになる。

 戦車や戦闘機、大型空母を持ち、海外遠征能力を持ち、大規模攻撃を行っても、第一波攻撃で相手を屈服させることができず、相手から反撃を受けるともう駄目ということになる。トランプ大統領はヴェネズエラ攻撃を行い、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を逮捕したが、あれは特殊部隊による急襲であり、何よりもヴェネズエラ政府内部に協力者、スパイを配置するなど用意周到な作戦を練り、成功させたのだろう。これからは大規模な作戦ではなく、ターゲットを絞った攻撃の方が有効ではないかと思う。バラク・オバマ政権時代にオサマ・ビン・ラディンを捕捉し、殺害した出来事を思い出す。あの時もドローンが活躍した。

 日本は第二次世界大戦で悲惨な敗北を経験し、専守防衛を国是(national credo)として戦後世界に復帰した。その国是が崩れつつある。国民の思考力や判断力の低下傾向が続く中で、極右勢力が政権を握るまでになった。そして、軍事力増強が続く。仮想敵国となるのは中国や韓国、北朝鮮、ロシアということになる。大枠で言えば、日本国憲法には第九条で戦争放棄の規定があり、それがまだ効力を持っている。この改定を目指す高市早苗首相や小泉進次郎防衛相をはじめとする、統一経協会に汚染された自民党極右勢力がその試みに成功すれば、日本は戦争ができる国になる。しかし、これまで述べてきたように、戦争を引き起こすことは何の利益にもならない。日本が攻められるという主張もあるが、日本は武力侵攻をするほどの価値もない国家である。武力以外の要素で締上げれば済む国であり、何より、高市早苗という人物を首相にして、選挙に勝たせてしまうほどに思考力と判断力が欠如した国民の住む国である。勝手に自爆して滅んでしまう。怖いのは自爆する際に、破れかぶれで周りを巻き込むことだけだ。そこさえ気を付けて対処していれば済む。日本は本来の国是である、戦争放棄と国際協調に戻るべきである。しかし、もうすでにそれが不可能なところにいるのかもしれないと悲観的になってしまうところもある。

(貼り付けはじめ)

防衛優位の新たな世界へようこそ(Welcome to the New Defense-Dominant World)

-軍事力の有効性が低下する中である古い国際関係論が再評価されている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年9月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/01/defense-dominant-theory-international-relations-military-power-ukraine-iran-war/

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プラハで行われたIIHF男子アイスホッケー世界選手権の準々決勝アメリカ対チェコ共和国戦で反応する米代表のゴールキーパーのチャーリー・リンドグレン(2024年5月23日)

ロシアによる無謀なウクライナ侵攻や、それと同様に愚かなアメリカとイランの対立は、私たちが「防衛優位(defense dominance)」の新しい世界、すなわち、大国や強国であっても領土を征服したり、はるかに弱小な国家から大きな譲歩を引き出したりすることが困難な世界に突入したことを示唆している。国連のアントニオ・グテーレス事務総長も同様の認識を抱いているようで、『フィナンシャル・タイムズ』紙に対し、「近年の出来事を見れば、超大国が様々な状況下で自らの意志や力、武力を行使して相手を従わせる能力は、著しく制限されている」と語っている。

その直接的な要因を特定するのは難しくない。高度なドローンや精密誘導ミサイルの開発に加え、監視・標的捕捉能力が向上したことで、大規模な部隊が遮蔽物のない開けた場所で活動することが困難になったからであり、そうした場所では、隠れた防衛側から標的にされやすいためだ(the development of sophisticated drones and accurate missiles, as well as improved surveillance and targeting capabilities that have made it harder for large units to operate in the open where they can be targeted by hidden defenders)。同様に、巨額の費用を投じた戦力投射能力[power projection capabilities](空母やステルス機など)も防衛側の攻撃に対して脆弱になりつつあり、安価で隠蔽が容易なドローンや弾道ミサイルを排除するのに苦慮している。断固たる意志を持つ敵の手に渡れば、こうした新たな能力によって、比較的弱小な相手であっても自国領土を強力に防衛したり、遠距離から相手に打撃を与えたりすることが容易になる。その結果、客観的に見てより強大な国が相手を降伏させることは、いっそう困難になるのである。

こうした状況は、敵に対してほぼ無傷で行動し、「共有地を支配すること(command of commons)」で敵への戦力投射を可能にする優位性を享受することに慣れきったアメリカにとって、特に厄介な問題となり得る。確かに、こうした優位性があったからといって、北ヴェトナムやタリバンといった、断固たる意志を持つ現地の敵を打ち負かせた訳ではない。しかし、サダム・フセイン、ニコラス・マドゥロ、ムアマル・カダフィといった脆弱な独裁者を打倒したり、1983年のグレナダ侵攻や1991年のパナマ侵攻のような圧倒的な戦力差がある紛争に勝利したりすることは可能であった。

しかしながら、重要な問いは、近年の動向が、軍事力の有効性(すなわち、軍事力が成功の裡に活用できる目的)や国際政治のより広範な性質において、根本的な変化をもたらしているのかどうかという点にある。実は、この問いに直接関わる国際関係論の諸理論が存在する。それは議論の余地を含みつつも広範に展開されてきたもので、「攻撃防衛バランス(offense-defense balance)」という、単純でありながら捉えどころのない概念に基づいている。

ジョージ・クエスター、ロバート・ジャーヴィス、スティーヴン・ヴァン・エヴェラ、チャールズ・グレイザー、ハイム・カウフマンなどによって展開された「攻撃防衛理論(offense-defense theory)」は、征服の容易さや困難さが、国家の安全保障や国家間の関係性に甚大な影響を及ぼしうると論じている。簡潔に言えば、征服が容易であれば、定義上、全ての国家の安全は脅かされることになる。征服が容易であること、そして規模を拡大することが長期的な生存の可能性を高めるかもしれないという理由から、領土拡大を試みようとする国家が現れるだろう。その結果、帝国を築くことは容易でも、それを維持することは困難になる。また、防衛よりも攻撃の方が容易な状況では、他国が戦争を始めるのを待つことは合理的ではないため、先制戦争と予防戦争(preemptive and preventive wars)が頻発するようになる。さらに、他国を信頼したり、軍備を制限したり、あるいは何らかの譲歩を行ったりすることが、ライヴァル国につけ込まれる不利な状況を招きかねないと懸念されるため、軍拡競争(arms races)は激化し、相互不信も深まるだろう。加えて、攻撃が容易な状況では、多くの国家が攻撃的な軍事態勢や軍事ドクトリンを採用することになり、その結果、危機の安定性(crisis stability)が低下し、相手国に悪意があるという相互認識(mutual perception)が強化されてしまう。ジャーヴィスが画期的な論文で強調したように、防衛よりも攻撃の方が容易な場合、「安全保障のディレンマ(the security dilemma)」は特に深刻なものとなる。

しかしながら、攻撃よりも防衛の方が容易な状況であれば、これら全ての影響は逆転する。小国であっても、より大きな大国を抑止したり打ち負かしたりすることが容易になり、広大な帝国を築き上げることは困難になる。期待される利益を得ることが難しいため、先制攻撃や予防戦争を行う合理性は低下する。国家間での信頼関係も築きやすくなり、軽率な譲歩や協力的な行動によって他国に対して脆弱な立場に置かれることを過度に心配する必要もなくなる。さらに、防衛が有利であり、かつ攻撃的な軍事態勢と自国領土の防衛のみを目的とした態勢とを区別できるのであれば、現状維持を望む国家は防衛的な軍事力やドクトリンを採用することができる。そうすることで、他国の安全を脅かすことなく、自国の安全を強化することが可能になる。安全保障のディレンマは緩和され、国際協力の維持はより容易になるだろう。

攻撃と防衛のバランスは何によって決まるのか? その提唱者たちによれば、このバランスは、機動力(mobility)、火力(firepower)、奇襲能力(the capacity of surprise)、地理、(geography)外交的効率性(diplomatic efficiency)、政治的結束力(political cohesion)といった多くの要因の関数として決まる。例えば、山脈、河川、海洋といった地理的障壁は征服を困難にする一方、迅速な移動を可能にする技術は征服を容易にする。国民が結束し、強力な共通のアイデンティティを共有している国家を征服するのは困難だが、国民が分断されており、侵略者が「分割統治(divide-and-rule)」の手法を用いられる国を制圧するのは容易だ。近代ナショナリズムの発展と拡大は、遠隔地に帝国を築いたり維持したりするコストを高め、植民地時代の終焉を早める一因となった。また、攻撃の準備を容易に察知できる場合や、迅速な通信手段によって侵略者に対抗する均衡維持のための連合(a balancing coalition)が容易に形成できる場合も、征服は困難になる。そして、もし防衛が容易であり、かつ多くの指導者がそのことを理解していれば、そこには、恒久的な平和(perpetual peace)とは言えないまでも、より平穏な世界をもたらす条件が整うことになる。

要するに、攻撃防衛理論は、「新たな領土を征服すること」と「自国を防衛すること」のどちらが容易かという単一の概念を、世界政治の多くの側面を規定する「主要変数(a master variable)」として用いている。したがって、この理論が最初に提示された際に大きな注目を集め、私自身の研究を含め、この分野における初期の多くの研究に影響を与えたことは、決して驚くべきことではない。

しかし、野心的なあらゆるアイデアと同様に、攻撃防御理論もいくつかの重要な批判に直面した。懐疑的な論者たちは、この均衡を定義したり測定したりすることは決して単純ではないと主張した。彼らは、ほとんどの兵器は攻撃にも防御にも使用できるため、征服を目的とした戦力と純粋に防御を意図した戦力を区別することは困難であると強調した。さらに、攻撃と防御のバランスが「体系的特性(systemic property)」(すなわち、ほぼあらゆる状況に当てはまる性質)なのか、それとも個別の事例ごとに分析すべきものなのかも不明確だった。例えば、A国を征服するのは困難でも、B国を征服するのは極めて容易であるという状況があり得る。それは、両国の位置、地理的条件、政治的特性などが大きく異なるからだ。もしそうだとすれば、防衛が極めて容易な国家もあれば、極めて脆弱な国家も存在することになり、世界政治全体に関する一般的な結論を導き出すことはより困難になる。最後に、戦争の歴史は、国家が戦争の勃発後に何が起こるかをしばしば誤認することを示唆している。つまり、征服が容易かどうかを判断する唯一の確実な方法は、実際に戦争を始めてみて、その結果を見ることだということになる。

更に言えば、新たな兵器の発明や戦術の洗練に伴い、攻撃や防御の能力は急速に変化し得る。例えば第一次世界大戦後、軍の戦略立案者たちは、将来のヨーロッパにおける戦争もまた泥沼の膠着状態に陥ると想定していた。しかし、ドイツが「電撃戦(blitzkrieg)」を開発したことで、適切な状況下であれば迅速な征服が可能であることが示された。もし攻撃と防衛のバランスが急速かつ予測不能に変化し得るならば、安全保障のディレンマが完全に消滅することはなく、国家が真に安心できる状態も訪れないだろう。核兵器がもたらした「防衛優位」への劇的な転換でさえ、防空・ミサイル防衛システムや敵戦力無力化(counterforce、カウンターフォース)戦略、さらには核戦争を戦い抜いて勝利する方法の模索といった動きによって、すぐにその前提が揺るがされることになった。核の応酬による「受け入れがたい被害」の可能性を排除することはほぼ不可能かもしれないが、だからといって主要な核保有国がその目標の達成を断念する訳ではない。

こうした批判はあるものの、国家は現在、他国の領土を(大部分)征服したり、武力で相手を屈服させたりすることがますます困難になり、かつ許容できるコストでそれを行うのが難しくなるという状況に直面している。より賢明な世界であれば、こうした状況は、野心的な報復主義(revanchism)の縮小や外交への依存度の高まり、そして妥協や相互調整を通じた既存の紛争解決に向けたより真剣な取り組みへとつながるはずである。残念ながら、いくつかの理由から、そのような賢明さが発揮される可能性は低いと言わざるを得ない。

第一に、国家間の競争が終わることはなく、ライヴァル国は決定的な軍事行動を行う能力を回復し得る「魔法の弾丸(magic bullets)」を求め続けるだろう。この状況は、大国だけでなく、より小規模な国家にも当てはまる。例えば、現在の軍事技術の進展は、中国による侵攻の可能性に対抗する強力な手段を台湾にもたらすかもしれないが、北京の軍事戦略家たちが、台湾が開発中のドローン、地対地ミサイル、機雷、その他の兵器を克服する手段を見つけ出そうと躍起になっていることは間違いない。戦争が多大な犠牲を伴い、かつ賢明な選択ではない場合であっても勃発し得るという認識は、一部の国家に核兵器の保有を検討させることにつながるだろう。核兵器は、依然として攻撃を抑止するための最も確実な手段だからである(もちろん、核保有を阻止するための予防戦争を仕掛けられる前に、実際に核兵器を入手できるという前提ではあるが)。

第二に、直接的な軍事攻撃が費用対効果に見合わないとしても、強大国が弱小国を威圧しようとする動きは止まらないだろう。すでに様々な場面で見てきたように、強制の手段は他の領域へと移行していく。すなわち、相互依存関係の武器化(weaponized interdependence)、誰もが貧しくなるような貿易戦争(trade wars that leave everyone poorer)、封鎖の試み(attempted blockades)、さらには海域の名称変更(trying to rename bodies of water)といった手段である。こうした戦術はしばしば失敗に終わるものの、だからといって試みられなくなるということはない。

第三に、防衛面での優位性がなく、純粋に軍事的な障害がそれほど大きくない地域も依然として存在する。グリーンランドはその典型例だ。グリーンランドを占領することの戦略的・経済的根拠は微々たるものであり、アメリカにとっての政治的コストも甚大となるだろうが、イランとの戦争が実際にそうであったように、実行に移すのはそれほど困難ではないだろう。そして歴史は、騙されやすい、あるいは虚栄心の強い指導者たちが、敵は脆弱であり、武力行使は迅速かつ低コストで、莫大な利益をもたらすと説得する巧妙な報告者たちに、今後も弱みをつかれ続けるだろうと警告している。悲しいことだが、征服が客観的に困難であり、ほとんどの国家が他国に過度な脅威を与えることなく自国の安全を確保できる世界であっても、主要な指導者たちがそうは信じていない限り、それほど平和な世界にはならないかもしれない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。彼は、現代世界を理解・展望する上で不可欠な主要概念を解説する5部構成のニューズレター・シリーズ『新しい地政学(The New Geopolitics)』著者。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social Xアカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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 古村治彦です。

 イラン戦争は沈滞ムードに入り、限定的に軍事攻撃が行われているが、大規模な軍事衝突は起きていない。停戦交渉も停滞ムードだ。国連総会に合わせて、イラン代表団とアメリカ代表団がニューヨークで会談を持ち、トランプ大統領が会談について評価したということはあるが、中間選挙までに一定の成果を出すという見通しは立っていない。トランプ大統領としては支持率低迷が続き(支持率が約40%、不支持率が約59%)、打開策を求めているが非常に難しい。対イラン政策については支持率が約32%、不支持率が約63%となっている。参考までに、ウクライナ問題については、支持率が約34%、不支持率が約59%となっている。

イラン戦争停戦は原油価格に対する影響を考えても、世界経済、私たちの日常生活にとって重要である。イラン戦争は完全に失敗であった。アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は完全に戦争の見通しを見誤った。アメリカでは対外戦争について不支持が多い状況で(ウクライナ戦争への支援にも反対が多い)、イラン戦争を始めたことで、トランプ大統領はドツボにはまった。アメリカ軍は強大で高性能な武器でイランを攻撃し、最高指導者アリ・ハメネイを含む政治の最高指導部層をはじめ多くの人々を殺傷し、イラン国内のインフラなどに大きな被害を与えた。しかし、イランからの反撃で湾岸諸国にあるアメリカ軍基地は破壊され、湾岸諸国にも被害が出た。アメリカ軍は湾岸諸国を防衛することに失敗した。さらに、イラン側の抵抗、ホルムズ海峡封鎖などもあり、予想外に戦争が長引くことで、武器を含む装備品や物資の欠乏に陥り、将兵の士気も低下している。

 イラン戦争でアメリカは負けている。戦闘で勝っているが、戦争では負けている。「出口」をきちんと想定せず、「アメリカが攻撃すれば、イランは耐えられずに崩壊するだろう」という根拠薄弱な前提で戦争を始めた時点でアメリカとイスラエルは負けていたのだ。そして、世界に大きな悪影響を与えている。イラン側はハマス、ヒズボラ、フーシ派を使い、弱点を突いている。サウジアラビアはアメリカに「見捨てられた」という感覚を持っているだろう。そして、ますます中国に近づくということになる。イランの体制転換を起こすことができなかったことで負けなのだ。アメリカは人命や戦費を浪費していく。一方、ライヴァルである中国は無駄なことをせずに、資源を成長に正しく使うことができる。その点でもアメリカは負けている。

 私はトランプが彼の持つ底知れない無神経さと屈託のなさで「失敗しました」と認める方が状況はまだましになるだろうと考えていた。しかし、いくら何でもそれはできない相談のようだ。中間選挙での敗北もあり、トランプ政権については厳しい状況が続いていく。そして、アメリカ政治は2028年の大統領選挙に向かって進んでいく。

(貼り付けはじめ)

ほぼ全ての指標においてアメリカは対イラン戦争に負けつつある(By Nearly Every Metric, the U.S. Is Losing the Iran War)

-ある専門家は「アメリカが主要な戦略目標の達成に失敗したことは明白だ」と述べた。

ジョン・ホルティヴァンガー筆

2026年9月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/17/trump-united-states-losing-iran-war/

donaldtrumpdancaine20260406001

ワシントンのホワイトハウスでイランとの戦争について語るダン・ケイン統合参謀本部議長を見つめるドナルド・トランプ米大統領(4月6日)

3月初旬、ドナルド・トランプ米大統領は、対イラン戦争においてアメリカはすでに「勝利した(won)」ものの、まだ「任務を完遂する(finish the job)」必要があると述べた。それから数カ月が経過し、地域全体で戦闘が激化し外交が停滞する中、その「任務(job)」は未完のまま、終わりの見えない状況が続いている。

トランプは水曜日、「願わくは戦争は終結に向かっている」と語り、イランが合意を望んでいるとの見方を示唆した。しかし、現地で起きている現実はそうした楽観論(optimism)を裏切るものであり、テヘランが合意を熱望しているという証拠もほとんどない。

アメリカはこの戦争で軍事的な成功を収めてはいるものの、全体として見れば、この紛争はワシントンにとって戦略的な災厄(strategic disaster)であった。戦闘によってアメリカ軍の深刻な脆弱性(vulnerabilities)が露呈し、兵力は分散を余儀なくされたほか、これまでに推定381億ドルの費用を費やし、世界的なエネルギー危機も引き起こした。この戦争はアメリカの有権者から極めて不評であり、連邦議会では紛争終結に賛成する共和党議員が増加している。ある共和党連邦下院議員に至っては、この戦争をめぐってピート・ヘグセス国防長官の弾劾を求める動きさえ見せている。

しかし、これほどの代償を払ったにもかかわらず、アメリカがイランに関して達成できたことはほとんどなく、むしろ事態が悪化した側面さえある。代理勢力を通じた地域への影響力行使能力、軍事力、体制の強固さ、核開発計画の状況など、ほぼあらゆる指標において、アメリカはこの戦争に敗北しつつある。さらに、テヘランはホルムズ海峡を長期にわたって封鎖できることを証明した。これは彼らが長年誇示してきた能力ではあるが、実際に実証されたことはこれまでなかった。

「2月に時計の針を戻し、アメリカが当時何を目指していたかを見れば、アメリカが主要な戦略目標の達成に失敗したことは明白だ」。ユーラシア・グループの上級アナリストでイラン情勢の専門家であるグレゴリー・ブリューは『フォーリン・ポリシー』誌にそう語った。

●代理勢力(Proxies)

トランプ大統領は2月下旬、イランに対する本格的な戦闘作戦の開始を発表した際、「テロを行う代理勢力がもはや地域や世界を不安定化させたり、アメリカ軍を攻撃したりできないようにする」と述べた。同様に、統合参謀本部議長のダン・ケイン大将も3月初旬、アメリカは「現在および将来にわたり、イランが国境の外で力を行使する能力を解体すること」を目指していると語った。開戦から1カ月後、国民向けのゴールデンタイムの演説において、トランプ大統領はさらに、アメリカは「アメリカを脅かしたり、国境の外へ武力を行使したりするイラン政権の能力を組織的に解体しつつある」と述べた。

しかし、アメリカがこれを達成したことを示す証拠はない。紛争開始時には開かれていた水路であるホルムズ海峡の支配権をめぐる争いが数カ月にわたって続いているという事実は、中東地域およびより広い世界における事態の推移に影響を及ぼすテヘランの能力が依然として健在であることを示している(これについては後述する)。

開戦から数カ月が経過しても、テヘランの代理勢力は依然として大きな脅威であり、地域の混乱と原油価格の高騰を助長し続けている。イランが支援するイエメンのフーシ派反政府勢力は今月、サウジアラビアが支援するイエメン政府軍に対する猛攻を展開し、紅海沿岸にある港湾都市モカやペリム島などの戦略的要衝を制圧するなど、大幅な領土拡大を果たした。その結果、フーシ派は、紅海とアデン湾を結び、アラビア半島とアフリカ大陸を隔てるもう1つの重要な水路であるバブ・エル・マンデブ海峡の実質的な支配権を掌握するに至った。

バブ・エル・マンデブ海峡は、開戦前から重要な海上交通路だったが、ホルムズ海峡の閉鎖に伴い、その重要性はさらに高まりまった。テヘランとフーシ派は、アメリカが戦争を続ければバブ・エル・マンデブ海峡が封鎖される可能性があると数カ月前から警告してきたが、今やその脅しを実行に移せる状況にある。

一方、フーシ派とサウジアラビアの間では交戦が続いており、2014年に始まったものの2022年の停戦合意以降は概ね沈静化していた内戦に関連する緊張が再燃している。現在、イエメンが本格的な内戦状態に逆戻りするのではないかという懸念が高まっている。

サウジアラビアは先週、全長750マイル(約1200キロ)に及ぶ東西石油パイプラインを一時停止した。これは、イラク国内のイラン支援武装勢力によるものとサウジアラビア側が断定したドローン攻撃でこのパイプラインが損傷しただが、いつ稼働が再開されるかは不透明だ。このパイプラインはサウジアラビアの東部から紅海沿岸のヤンブー港まで原油を輸送するものであり、その一時停止は世界の石油供給量の約4%に影響を及ぼしている。

確かに、ハマスやヒズボラ(後者は長らく中東地域におけるテヘランの最強の同盟勢力と見なされてきた)といったイランの他の代理勢力は、数年前と比べて著しく弱体化している。しかし、これはほぼ全面的に、ガザ地区やレバノンにおけるイスラエルの軍事行動によるものだ。

●弾道ミサイルとドローン(Ballistic missiles and drones)

トランプ政権は、イランの弾道ミサイルおよびドローン関連の能力を破壊することも戦争の目的として掲げていた。4月、ヘグセスは、イランのミサイル計画は機能的に破壊され、イランは「もはやミサイルを製造できない(no longer build missiles)」状態にあると述べた。トランプもまた、イラン軍は「完全に壊滅した(totally destroyed)」と主張している。

確かに、イラン軍はこの戦争によって甚大な打撃を受けている。空爆が始まって以来、イラン軍や情報機関の幹部多数が殺害され、産業能力は低下し、通常戦力の海軍も大部分が壊滅した。

しかし、テヘランが依然としてミサイルやドローンを用いて地域各地の標的を攻撃し続けているという事実は、この目標がいまだ達成されていないこと、そしてトランプ政権が自らの軍事的成果を大幅に誇張していたことを示している。

また、イラン軍の弱体化の程度に関するトランプ政権の公的な主張は、情報機関による分析結果とも矛盾している。報道によれば、イランは開戦当初にアメリカ軍がミサイル施設や発射拠点を標的として数千回に及ぶ攻撃を行ったにもかかわらず、地下施設での弾道ミサイル生産を再開した。また、ドローンは製造が容易でコストも低いことから、イランのドローン運用能力を完全に破壊することは、そもそも困難なことだった。

●体制転換(Regime change)

トランプ政権は、イランの現体制を打倒することを主要な目標とすべきかどうかについて態度を揺れ動かしてきたが、開戦当初、イラン指導部の打倒がホワイトハウスの重要な目標の1つであったことは明らかだった。

トランプは2月28日、「誇り高きイランの偉大な国民の皆さん、今夜私はこう申し上げたい。皆さんの自由の時は近づいている」と述べた。「私たちの任務が終わった暁には、自分たちの手で政府を引き継ぐ。それは皆さんが手にするものとなるだろう。これはおそらく、何世代にもわたって訪れることのない唯一の好機となるはずだ」。

前最高指導者アリ・ハメネイ師を含むイランの最高幹部らが殺害されたものの、体制は依然として強固に維持されており、多くの面でむしろ硬直化(calcified)している。

「体制転換が目標であったとするならば、アメリカの行動はほぼ完全に逆効果(counterproductive)だった。体制は今や、より強固に定着している。国内での立場に対する自信を深め、より大胆になっている。現在の体制を主導しているのは軍や治安部門の指導者層であり、彼らは現実的な側面を持ち合わせているとはいえ、一様に西側諸国に対して敵対的であり、アメリカや西側諸国全般との広範な和解には関心を示している」と前述のグレゴリー・ブリューは指摘した。

●核開発プログラム(Nuclear program)

他のどの問題よりも、トランプはイランの核開発計画をこの戦争の主要な焦点として繰り返し取り上げてきた。トランプ大統領は、テヘランによる核兵器の保有を阻止するために戦争を継続する必要性を主張する一方で、アメリカがイランの核開発プログラムを「完全に抹消した(obliterated)」かのように誤解を招く発言も行っている。

アメリカの攻撃によってインフラが破壊され、国内の重要人物たち(トップクラスの科学者たちを含む)が殺害されたことで、イランの核開発プログラムが後退したのは疑いようのない事実だが、イランは依然として約440キログラム(約970ポンド)の高濃縮ウラン(highly enriched uranium、HEU)を保有している。専門家たちは繰り返し強調しているが、正確な所在が不明なこの備蓄にイランがアクセスできる限り、イランの核開発プログラムは脅威であり続け、無力化されたとは見なせない。

国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は今週、イランの核開発計画に対する同機関の監視体制が今年に入って「悪化(deteriorated)」したと懸念を表明した。「私たちは6カ月以上にわたり、イラン国内での現地検証活動を行っていない」とグロッシは述べ、IAEAがイランのウラン備蓄に関する「情報の継続性(lost continuity of knowledge)」を失ってから「1年以上が経過している(well over a year)」ことを強調した。

「この核物質に関する情報が不足し、それを検証するための施設へのアクセスもできないという状況は、核拡散の観点から深刻な懸念事項であり、極めて緊急に対処する必要があります」とグロッシは語った。

トランプは、アメリカの高濃度ウラニウム(HEU)備蓄を回収すべきかどうかについて発言を二転三転させており、過去のアメリカの攻撃によって瓦礫の下に埋もれ、アクセス不能になっている可能性を示唆したこともある。「私たちはそれを回収するつもりだ。私たちには必要ないし、欲しくもない。回収後は恐らく廃棄するだろうが、彼らに持たせる訳にはいかない」とトランプは5月に述べている。

また、戦略国際問題研究所(the Center for Strategic and International Studies、CSIS)の最近の分析によると、核関連施設と疑われる「ピッケックス・マウンテン(Pickaxe Mountain)」において、2026年に建設活動の「急増(surge)」が見られたことが衛星画像で明らかになっている。

先週、トランプ氏はピッケックス・マウンテンでの建設活動の報告を受け、アメリカが行動を起こす可能性があることを示唆した。「ピッケックスで何らかの動きがあることは把握している」とトランプは述べ、「イランには小細工を弄さないよう(not to get cute)忠告しておく。さもなければ、私たちは彼らを徹底的に叩くことになるだろうから」と語った。

そうした勇ましい言葉とは裏腹に、トランプ政権の実際の行動は、イランの核開発問題がホワイトハウスの優先順位リストにおいて後回しにされつつあることを如実に示している。核問題に進展が見られないことや、より広範な戦争において当初の目標を達成できなかったことを受け、トランプ政権は関心を他の目標へと移しているのだ。

トランプ政権はイランを経済的に追い詰めるべく動き出しており、海軍による海上封鎖に加え、「オペレーション・エコノミック・アウトキャスト(Operation Economic Outcast、経済的追放作戦)」と名付けた金融制裁などの措置を講じ、テヘランをさらに孤立させようとしている。スコット・ベセント財務長官は8月下旬にこの取り組みを発表した際、「私たちの目標は、テヘランが孤立無援の状態に陥るまで、この専制的な体制を支えるあらゆる経済的生命線を断ち切ることにある」と述べた。

しかし、イラン指導部は数十年にわたりアメリカの経済的圧力に耐え抜いてきた実績がある。そのため、今回のアプローチによって事態が実際に動き、将来の交渉でイラン側が譲歩するようになるのかどうかについては疑問の声も上がっている。

●ホルムズ海峡のコントロール(Control of Hormuz)

この戦争は今や、本質的にはホルムズ海峡における石油と海上輸送路をめぐる争いとなっている。

前述のグレゴリー・ブリューによれば、8月初旬にはホルムズ海峡を1日あたり約400万〜500万バレルの石油が通過していたが、現在その量は約1000万バレルに迫っているという。これはアメリカにとって好ましい状況であり、イランの石油輸出が完全に停止していることから、海軍による海上封鎖が功を奏していることも示唆している。一方で、ホルムズ海峡の通航量は開戦前の約5分の1にとどまっており、このことは、現在の状況が「極めて多大なリソースを投入することによって維持・管理されている」という事実を浮き彫りにしている。

このプロセスでは、アメリカ海軍や航空戦力が、小規模な船団を組んで海峡を通過するタンカーの防衛にあたっている。この体制により、過去1カ月間で海峡を通る石油の輸送量は着実に増加した。グレゴリー・ブリューによれば、これはエネルギー市場における「全面的な危機(general crisis)」の発生を遅らせる役には立っているものの、「リスクそのものを排除するものではない(not removing the risk)」という。

石油の国際的な指標であるブレント原油の価格は、木曜日の時点で1バレルあたり約104ドルだった。戦争が始まった2月直前の価格は、およそ72ドルだった。

トランプがこの戦争はアメリカにとって好ましい形で終わると考えているかという点について、ホワイトハウス当局者は『フォーリン・ポリシー』誌に対し、匿名を条件に次のように語った。「イランからは絶えず連絡があり、合意を強く求めている」ものの、大統領は「イランが核兵器保有の意図を恒久的に放棄するような、好条件の合意を結ぶ用意があるだけだ」とのことです。またこの当局者は、トランプは「適切な状況下(right circumstances)」であれば対話に応じる姿勢はあるが、「イラン側と交渉する必要はない」とも述べている。

「歴代大統領とは異なり、トランプ大統領はイラン政権にいいようにあしらわれることはない。トランプ大統領は、避けられないイランの崩壊という事態の推移を静観することに満足している」とこの当局者は語った。

※ジョン・ホルティヴァンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@jchaltiwanger.bsky.social、Xアカウント:@jchaltiwanger

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 中国の習近平国家主席が国賓としてアメリカの首都ワシントンDCを訪問した。ドナルド・トランプ大統領は空港で出迎え、首脳会談、公式晩餐会を実施した。アメリカ側としては最大限の歓迎とおもてなしをしたということになる。国連総会出席のために訪米した高市早苗首相とドナルド・トランプ大統領との会談は約35分間だった。もちろん比べるようなことではない。対等な世界の超大国である中国と、衰退先進国である日本とは比肩しうる立場にはない。人間もそうだが立場が違えば取り扱いも変わってくるものである。

 中国はレアアースの輸出規制という武器を持ち、アメリカに台湾問題で介入させない、武器輸出をしない、台湾は中国の国内問題であり、「中国は一つ」の原則を堅持させようとしてきた。今回の首脳会談などで、何か大きな成果は出ていない。しかし、話される言葉、使われる言葉を聞いて、私は非常に不安を感じている。日本が国際的孤立に進んでいる、最悪の場合には、日本が米中両国共通の敵とみなされるのではないかということを考えてしまった。私はこれまで堕した本の中で繰り返し、「日本が米中両国共通の敵というようなことにならないようにしなければならない」「勇ましい言葉を使って対中強硬姿勢を取って、最後にアメリカにはしごを外されるのが怖い」ということを書いてきた。そのような動きに進んでいるのではないかということを感じさせたのが、今回の米中首脳会談でのドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の言葉であった。

 トランプ大統領が中国を「第二次世界大戦時の同盟国」と呼んだことについて、日本の一部右翼新聞は「当時は中華民国であり、中華人民共和国は同盟国ではない」という「ファクトチェック」まがいの苦しい言葉を使っている。しかし、根本的に中国の国土で戦ったのは中国人とアメリカ人であり、その相手は日本人であったことは間違いない。習近平国家主席も「中国とアメリカの人々(人民)が肩を並べて戦った」という言葉を使って対応している。

この論法ならば、「当時、中国大陸を侵略したのは大日本帝国であり、日本国ではない」と言うことができる。それを使って、「日本には責任がない」ということを国際舞台で言って回ればよい。誰にも相手にされない。しかし、高市早苗首相は若手の国会議員時代に、「自分は戦後生まれであって、責任はない」というようなことを国会で述べて顰蹙を買ったことがある。どうもそれが抜けきれないのか、学ばないのか、思考力が決定的に欠如しているのか、何か宗教的な信念に動かされているのか、中国に対して強硬な姿勢を取り続け、国際的な孤立を深刻化させようとしている。

 高市早苗首相が国連総会での演説で、国連憲章にある「敵国条項」の削除を訴えたことについて、第二次世界大戦時の同盟国という言葉と併せてここで述べておく。私たちが「国際連合」と呼ぶ国際的な機構であり「United Nations」は正確には中国でそうされているように「聨合国(連合国)」と訳されるべきだ。連合国の最高機関である安全保障理事会(United Nations Security Council)の常任理事国(permanent members)は、第二次世界大戦を勝利に導いた(日本とドイツをはじめとする枢軸国側を倒した)主要諸国であるアメリカ、イギリス、フランス、ソ連(ロシア)、中国である。中国は中国国家を代表する政府が後退していることから、中華人民共和国を第二次世界大戦時の同盟国と呼ぶことは不都合ではない。

「敵国条項」は既に死文化しているが、躍起になって削除を求めるというのは、痛くもない腹を探られるということになる。「今でも不都合はないのに、何か怪しい動きをしようとしているのではないか」と勘繰られてしまう。

 さらに言えば、トランプ大統領の発言には原稿がある。その原稿はホワイトハウスの添削も入っている。これはアメリカ政府の意思であるということになる。そして、日本の右翼新聞のファクトチェックまがいの言葉である「当時の同盟国は中華民国だ」、すなわち、現在の台湾だということになるが、トランプが使った「中国」という言葉を「中華民国」に限定してしまうと、台湾にいる中華民国は困ったことになる。なぜなら、トランプがはっきりと

中華民国は同盟国ではない(助ける必要はない)と言明したことになる。ここで敢えてどちらでも捉えられる中国という言葉だけにしておけば、曖昧さが残り、台湾にいる中華民国にもまだ立つ瀬が残る。日本の右翼新聞のファクトチェックまがいの言葉遣いは、贔屓の引き倒しになって、台湾を窮地に追い込むことになる。

 習近平国家主席は「血と火の中で築かれたこのような友情は、きっと世代を超えて受け継がれていくことだろう」と述べたことに私は注目したい。ここで「血」という言葉を使っているが、中国が国家間の関係で「血」という言葉を使うということで思い出されるのは北朝鮮だ。中国と北朝鮮は朝鮮戦争でアメリカと戦うことで「血の盟約」を結んだ。習近平主席は米中の関係においても「血」という言葉を用いた。米中は共に血を流した間柄だということになる。問題は「誰に対して“血”を流したか」ということだ。もちろん、「日本」である。

 中国は、高市早苗首相とその周辺に巣くう極右勢力について、「新型軍国主義」と非難している。中国側か見れば、高市早苗首相の出現は「日本軍国主義の侵略者」の悪夢・亡霊が現代に蘇って、現実として迫ってきているということになる。第二次世界大戦の推移を見れば、中国側からすれば「日本は何をしてくるか分からない、墓穴を掘って、間違った選択をし続け、どうしようもなくなって、最後は自暴自棄になって、周りを巻き込んで自爆する」ということになる。高市政権の誕生はその可能性が上がったことを意味する。その対応のために、米中関係をしっかり固めておきたいということになる。今回の米中首脳会談はその機会となったということになる。今回の米中首脳会談で使われた言葉を見て、何も思わないような人たちは「お花畑の住人」であり、「平和ボケ」の人であると言わざるを得ない。そして、残念なことに、そのような人が多いので、現状を出現させてしまっているのである。

(貼り付けはじめ)

「共通の利益に集中」…トランプ氏、習氏の前で抗日「同盟」にまで言及(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2026.09.25 06:581 글자 작게

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https://japanese.joins.com/JArticle/355503

ドナルド・トランプ米大統領は24日(現地時間)、習近平中国国家主席と「安全保障、技術、超知能〔SI、トランプ氏が人工知能(AI)を指す言葉〕に関する喫緊の懸案を議論する」と予告した。また「共通の利益に集中すべきだ」と強調する中で、第2次世界大戦当時に米国が中国の抗日闘争を支援したことに言及し、これを米中間の「同盟」とまで表現した。

トランプ氏はこの日、ホワイトハウスで開かれた習近平夫妻のための国賓歓迎式典での演説で「今日われわれがこの分野で下す決定は、数十年にわたって平和と繁栄を増進することができる」と述べた。また「(習主席は)米国を2回目の公式国賓訪問することになった中国初の指導者」と今回の訪米の意味を強調し、「協力することで、われわれは両国が直面する懸案で大きな進展を成し遂げた」と両国間の協力に重点を置いた。「今年5月の訪中時にわれわれは貿易委員会を新設し、この全く新しいメカニズムを通じて信じられないほど大きな成功を収めた。われわれの実務陣は米国の農家と畜産業者のための新たな市場アクセス権を含め、より均衡の取れた貿易関係を構築するために努力してきた」と述べた。

特にトランプ氏は、米中には長い協力の歴史があるとして、第2次世界大戦中の1941~42年、中華民国の抗日戦争を支援するためルーズベルト米政権の承認の下で組織された米国人義勇パイロット部隊「フライング・タイガース」(中国名・飛虎隊)に言及した。「われわれが共通の利益に集中すれば、成し遂げられることは多いと確信している。歴史的に共通の利益の追求は、第2次世界大戦当時にはわれわれを同盟国にまでした」と述べた。

トランプ氏は「勇敢な米国人パイロットが中国の存立のために志願して中国にやって来た」とし、フライング・タイガースを「伝説的な部隊」とたたえた。続けて「米海兵隊が中国人と接した経験は、海兵隊が現在も使っている『Gung-ho(ガンホー)』という中国語表現を取り入れるきっかけになった」と説明した。中国語の「工合」に由来する言葉で、「共に働く」という意味だ。

トランプ氏がフライング・タイガースに言及したのは、米中間の対決ではなく協力重点を置こうという趣旨とみられるが、敵対的な競争国の首脳を歓迎するため、現在の同盟国である日本を撃退しようと力を合わせた歴史的事例に言及した形となり、注目される。高市早苗首相の台湾海峡関連発言をきっかけにした中日間の対立が依然として深刻なうえ、中国が国際社会で日本を圧迫するためにたびたび持ち出す「抗日連帯」という歴史的叙事をトランプ氏が先に持ち出したとみることができるためだ。前日、トランプ氏が自ら空港に出向いて習近平夫妻を出迎えたことをめぐっても、他の同盟・友好国の首脳には見せたことのない手厚い待遇だとの声が出た。

これに先立ち2015年の習近平主席の初の国賓訪問時にも、バラク・オバマ元大統領が晩餐会の乾杯の辞で第2次世界大戦当時の両国間の協力に言及した。ただ、オバマ氏は「中国の村人たちが米国人パイロットをかくまい、食事を与え、負傷を治療した」とし、人道的な側面を強調した。

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「共通の利益に集中」…トランプ氏、習氏の前で抗日「同盟」にまで言及(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2026.09.25 07:001 글자 작게

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https://japanese.joins.com/JArticle/355504

続く発言で習主席も協力の重要性を強調したが、競争の不可避性も同時に浮き彫りにした。特に守るべき競争の一線と軍事的危機管理の必要性を強調したが、すでに米国と対等な立場で戦略的覇権を争っているという認識を示したとみる余地が大きい。

習主席は「中米が競争に言及することを避ける必要はない。ただし競争は健全で一定の一線を守らなければならず、互いに先を争う競走であって、相手が負けて自分が勝つ格闘になってはならない」と述べ、「ゼロサムゲーム」を警戒した。また「米中双方は衝突せず、対決しないというマジノ線を守らなければならない」とし、「両国軍は定例対話を維持し、危機コミュニケーションおよび予防システムを改善しなければならない。『トゥキディデスの罠』は克服できる」と強調した。

習主席は特にAIの危険性を管理する必要性についても基本的な共感を示した。「両国にはAIを適切に発展させ、管理する能力と責任があり、AIが常に人間の統制下で国民に恩恵を与えるようにしなければならない」と述べた。ただ、その一方で「中国と米国はいずれもAI強国だ」と前置きしたが、米国とのAI開発競争で後れを取る考えはないという意思も明確にしたものと解釈される。

習主席は具体的な協力議題も提案した。「中国は麻薬取り締まりや法執行などの分野で米国との協力を強化する用意がある」とし、フェンタニル問題で協力できることを改めて確認した。このほか両国間の直行便の増便、今後5年間で米国の青少年10万人を中国に招待するなど具体的な事業も提示した。「ここでうれしい知らせを一つお伝えする。数日後には2頭のパンダ『平平(ピンピン)』と『福双(フーシュアン)』がアトランタ動物園の新しいすみかに到着し、米国国民と会うことになる」とし、ジャイアントパンダの到着も自ら伝えた。

習主席はトランプ氏がフライング・タイガースに言及したことについて、「第2次世界大戦当時、中国と米国はファシスト侵略者に対抗して共に戦った。両国国民はこれを決して忘れないだろう」と応じることも忘れなかった。

両国首脳は歓迎式典後、単独会談と拡大会談を続けた。国賓晩餐会の前にもホワイトハウスのイーストルームで両国首脳がもう一度発言する予定だ。この場でこの日の会談で成立した合意の輪郭が明らかになるとみられる。

最近、BRICS首脳会議の晩餐会を欠席したことで健康異常説が浮上していた習主席が、2回もトランプ氏と共に公開の場で発言する点も目を引く。トランプ氏の手厚い歓待に習主席が応えると同時に、メディアの前に登場する公開日程をこなすことで健康状態をめぐる不要な臆測を払拭しようとしている可能性もある。

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【速報】習近平国家主席夫妻がトランプ氏主催晩さん会に出席…テクノロジー業界の経営者らも参加

9/25(金) 8:57配信 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/262fccf3295f9a9505fb706f969c22407fdc32bd

https://news.yahoo.co.jp/articles/262fccf3295f9a9505fb706f969c22407fdc32bd?page=2

 【ワシントン=中根圭一】中国の習近平(シージンピン)国家主席夫妻は24日夜、ホワイトハウスに到着し、米国のトランプ大統領主催の晩さん会に出席した。

 晩さん会に米側からはメラニア夫人やバンス副大統領らのほか、テクノロジー業界を中心に民間企業経営者も参加する。

 19:44 習氏夫妻がホワイトハウスに到着し、トランプ氏主催の晩さん会に出席した。米側からはメラニア夫人やバンス副大統領らのほか、テクノロジー業界を中心に民間企業経営者も同席した。

 19:55 トランプ氏は晩さん会でスピーチし、習氏との関係は「かつてないほど良好だ」と述べた。

 20:00 トランプ氏はスピーチを終えると、習氏に大きなハクトウワシの像を贈呈した。

 20:06 習氏は晩さん会でスピーチを行い、「半年足らずの間に、中国と米国の首脳が互いに国賓訪問を行い、両国関係において歴史的な一歩を踏み出した。本日、トランプ大統領と私は率直かつ深い意見交換を行い、多くの問題について共通認識に達した。これにより、戦略的安定を基盤とする建設的な米中関係に新たな内容をもたらし、米中関係に新たな戦略的指針を示した」と述べた。

 20:10 習氏はスピーチで、米国の初代大統領ジョージ・ワシントンが数多くの中国陶磁器を収集していたエピソードを紹介。米中間の外交を「ピンポン外交」と例える。

 20:11 習氏がスピーチの際、第2次世界大戦に触れ、「80年以上前、中国と米国の人々は、日本軍国主義の侵略者との戦闘で肩を並べて戦った」と述べた。さらに、「日本の侵略に対する抗日戦争の間、数十万もの中国人の命を犠牲にしながらも、中国の軍人や民間人は数百人の米国人パイロットを救出した。血と火の中で築かれたこのような友情は、きっと世代を超えて受け継がれていくことだろう」と話した。

 21:00 米テレビのCNNとMS NOWは、両テレビの記者が、晩さん会で招待客が到着する際の取材をホワイトハウス側から阻止されたと報じた。

21:35 米紙ニューヨーク・タイムズは、中間選挙期間中に共和党を支援している大口献金者4人が晩さん会に出席したと報じた。4人の中には、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の株式を大量に保有する投資会社の経営者ジェフ・ヤス氏が含まれているという。

 21:40 晩さん会には米中合わせて130人以上が招待された。出席した米国のテクノロジー企業幹部には、アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏、スペースXのイーロン・マスク氏、エヌビディアのジェンスン・フアン氏、アップルのティム・クック氏などがいた。中国側は主に政府関係者が招待されていた。

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トランプ氏「中国は大戦時の同盟国」 習氏の抗日歴史観に呼応の危うさ

米中首脳会談

2026年9月25日 5:51

(2026年9月25日 11:33更新) 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24AYT0U6A920C2000000/?n_cid=SNSTW005&n_tw=1790290949

【ワシントン=飛田臨太郎、田島如生】トランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は24日、首脳会談に先立ちホワイトハウスで演説した。トランプ氏は中国を「第2次世界大戦時の同盟国」と呼び、日本と戦った米国人義勇兵にも言及した。

習指導部は台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に反発し、政権の防衛政策や歴史観を「新型軍国主義」だと批判している。習氏はトランプ氏に共に日本と戦った歴史に焦点を当てるよう呼びかけてきた経緯があり、呼応したと受け止められかねない。

トランプ氏は「共通の利益の追求は多くの違いを乗り越えて両国民を結びつけ、第2次世界大戦において私たちを同盟国にした」と切り出した。

当時、中国で日本軍と戦った米国人義勇兵の部隊「フライング・タイガース」に触れ「彼らの活躍はまさに信じがたいものだった」と強調した。「力を合わせて戦争に勝利したように、習氏と私は、今後も協力し続ける」と訴えた。

そもそも米国と中国が同盟関係にあったのは現在の中華人民共和国ではなく、蔣介石が指導者だった中華民国の時代だ。

習氏「中米は日本の軍国主義と戦った」

トランプ氏の後に登壇した習氏は「第2次世界大戦中、中米両国は肩を並べてファシズムの侵略に立ち向かった」と述べた。「この歴史を中国人民は決して忘れていないし、米国の人々も忘れていない」と指摘した。

さらに会談が終わった後の晩さん会のスピーチで、再び第2次世界大戦に触れ「80年以上前、中国と米国の人々は、日本軍国主義の侵略者との戦闘で肩を並べて戦った」と述べた。

トランプ氏の午前中の演説を聞いて、日本を名指しする発言に切り替えた。「日本の侵略に対する抗日戦争の間、数十万もの中国人の命を犠牲にしながらも、中国の軍人や民間人は数百人の米国人パイロットを救出した」と主張した。

さらに「血と火の中で築かれたこのような友情は、きっと世代を超えて受け継がれていくことだろう」と話した。

習氏は2025年11月の高市首相の台湾有事を巡る答弁に反発した。その後にトランプ氏と電話協議した際「今こそ第2次世界大戦勝利の成果を共に守り抜くべきだ」と呼びかけていた。

米中が共に戦ったというトランプ氏の発言は、「抗日」を巡る中国のナラティブ(言説)を補強する材料に利用される懸念がある。日本たたきを強める中国の勢いを後押ししかねない。

米国は日本と同盟を結んでいる。近年、中国による威圧的な行動が増えるなかで、米大統領は日本の立場にも配慮した言動をしてきた。高市首相も22日のトランプ氏との会談で、中国に対する日本の懸念を直接伝えていた。

過去の米大統領が似た発言をしたことはある。1998年、当時のクリントン大統領は江沢民(ジアン・ズォーミン)国家主席との晩さん会の挨拶で「第2次世界大戦における同盟関係」と触れたことがある。

トランプ氏は5月に北京を訪問した際の晩さん会でも「第2次世界大戦の同盟国」と言及したが、フランクリン・ルーズベルト大統領の発言を紹介する文脈で使った。今回、トランプ氏は自身の言葉としてより強調して用いた。

トランプ氏の言動には習氏のメンツを立てようという苦悩がにじむ。23日には米国に到着した習氏をアンドルーズ空軍基地まで出迎えた。体面上、習氏の要求に応えられるものであれば最大限応じようとする姿勢が見え隠れする。

トランプ氏は11月3日に迫る米中間選挙を前に、中国による米産品の追加購入などの確約を探る。その取引(ディール)の一環として、過去の歴史に触れるという、言葉による「返礼」が使われた可能性がある。

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習近平主席「米中は競い合うべき、衝突や対立の回避という一線を守らなければならない」…米中首脳演説の主な内容

2026/09/25 03:52

https://www.yomiuri.co.jp/world/20260925-GYT1T00075/?ref=yahoo#google_vignette

 ■ 習近平シージンピン 中国国家主席の演説の主な内容

 国賓として訪問できることを大変嬉しく思う。14億人を超える中国人民を代表して米国の独立250年を祝福する。中国と米国は共に偉大な国だ。歴史的な変化に直面する今日、中国と米国は大国として人類の発展と進歩を担う重責がある。今年5月の中国での首脳会談の際、中米の建設的戦略安定関係を構築することで合意した。

 トランプ氏と共に、米中関係という大船を安定して遠くへと導きたい。中国と米国は国情が異なるが、相互理解を深め、相違点を認め合うことで、相互信頼を築くことができる。トランプ氏とは尊敬し合い、個人的な信頼関係を築いてきた。外交や貿易、金融など各分野での対話を強化し、両国の交流を拡大する。

 米中の協調領域はたくさんある。我々の協力なしに世界の多くの問題を解決することは困難だ。中国は門戸を開き、米国企業の投資や事業展開を歓迎する。我々は、中国企業が米国で公正に扱われることを望む。

 中国と米国は共にAI大国だ。AIを適切にコントロールし、発展させる能力と責任がある。AIの発展を常に人間が管理し、福祉へ貢献する。麻薬対策や法執行の分野でも米国との協力を強化する。両国の往来や貿易の促進も可能だ。

 我々は平和的に共存すべきだ。中国と米国は、協力すれば利益を得られ、対立すれば共に損をする立場にある。勝ち負けを争う取っ組み合いではなく、競い合うべきだ。衝突や対立を回避するという一線を守らなければならない。両国の軍は、定期的な対話を維持し、危機管理や意思疎通の仕組みを改善すべきだ。(新興勢力が台頭し、既存勢力を脅かす存在になると戦争が起きる危険性が高まる)「ツキディデスの罠」は乗り越えることができる。

 第2次大戦中、中国と米国は肩を並べてファシズムの侵略に立ち向かった。中米関係は、未来の若者たちにかかっている。今後5年間で、交流や学習のために10万人の米国の若者を中国に招く。中国と米国の友好の使者として2頭のパンダ「平平(ピンピン)」と「福軒(フーシュアン)」が(米南部ジョージア州)アトランタの動物園に着く。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 古村治彦です。

 私たちの日常生活にAIが入り込みつつある。AIを話し相手、相談相手にしている人が多くいる。発表やプレゼンの資料作りをAIに任せると、自分でやれば数時間かかるものが数十分でできるということがあるようだ。アメリカの若者のインタヴューを見たときに、「大学での専攻は何でしたか?」という質問に、「ファイナンスだったけど、試験やレポートは全部AIを使って乗り切ったから、私たちはAI専攻だったかも」と答えていたのが印象的だった。私が大学院生の時にWikipediaが出てきたが、その内容をコピーアンドペーストして、レポートとしてそのまま出すということが流行した。それを探知できるソフトウェアが開発され、教員側はそれで見分けていた。そして、「Wikipediaを見るなとは言わないが、レポートなどで使うのは禁止」という学校が多かった。今はもうWikipediaが悪役とはなっていない。AIが教員たちを対策に頭を悩ませる対象となっている。

 AIに関しては、「人間を滅ぼすところまで進化する、危険だ」という主張が多くなされるようになり、話題になっている。私たちのイメージは映画に出てくるロボットが人間を追い詰めて殺戮するという映像そのものであるが、そのようなことになる前に、人間社会を支えるインフラの機能を止めたり、誤った情報を流したりして、人間に害を与えることはより容易であり、その可能性が高まっていることを示す事例が起きている。

 下記論考の著者ファリード・ザカリアは、AI「暴走」への対策として、「重要なのは、能力の増大が制御能力を追い越してしまわないようにすること、そして、人間が依然として明確に主導権を握っているうちに、試験、透明性、そして自制を担保する仕組みを構築することだ」と述べている。私たちがAIを話し相手や相談相手にしている間に、AIはどんどんと進化し、危険なところまで来ているというのが欧米諸国での知識層の一般的な認識のようだ。今はまだ、「AIが人間を滅ぼす」というのは映画やSF小説の中での出来事で済んでいるが、それが現実になる、しかもその技術的な大変化を人間ではなく、AI側が起こす可能性があるということになると、今のうちに首輪をはめて、人間がリードを握っておく必要がある。進化のスピードに耐えられる制御システムの構築が望まれるということだ。

(貼り付けはじめ)

人間の説明責任なくしてAIの自律性はない(No AI Autonomy Without Human Accountability)

-機械が行動の自由をより獲得するとき、それらを監視・制御する私たちの能力もまたそれに追いついていかなければならない。

ファリード・ザカリア筆

2026年9月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/18/ai-autonomy-human-accountability-openai-hugging-face-regulation-safeguards/

aiforeignpolicyrobot001

ワルシャワにて人工知能(AI)開発の規制を求めるデモの後に人型ロボットを操作する男性(9月7日)

長年にわたり、AIに対する私たちの最も強烈な恐怖は、SFの世界から生まれたものだった。それは、コンピュータが独自の欲望を抱き、生みの親である人間に敵対し、人間を追い詰めて滅ぼすというシナリオだ。しかし、最先端のAI研究所から届く最近のニューズは、現実は映画のような劇的なものではないが、おそらくそれ以上に不穏なものであることを明らかにしている。機械は、自らの意識や欲望を持たずとも、極めて致命的な存在になり得る。

今週、OpenAI社は「ミスアライメント(misalignment、不整合)」と呼ぶ6つの新たな事例を公表した。これは、OpenAI社のシステムが予期せぬ挙動を示したり、承認されていない動作を行ったりしたケースを指す。この公表は、この夏にHugging Face社に対して行われた異例の攻撃を受けたものだ。独立した調査によると、本来なら隔離されているはずの数百ものOpenAI社のエージェント(AIプログラム)が、掲示板などを通じて互いに通信する手段を見つけ出していた。中にはセキュリティチェックを回避しようとしたり、自らを「犠牲」にしたりするものさえあり、それらすべてがハギング・フェイスという別の企業へのサイバー攻撃と並行して行われていた。

誰かが、Hugging Face社を攻撃するようにこれらのシステムに指示したということではない。それらに与えられていたのは「困難なサイバーセキュリティの問題を解決する」という目標であり、粘り強く、協調性があり、機知に富む(persistent, collaborative and resourceful)ように訓練されていた。これらは本来、望ましい資質だ。しかし、まさにそれらの資質ゆえに、システムは成功への道を執拗に模索することになった。そして、サイバーセキュリティの問題を解決する手がかりを見つけようとして、Hugging Face社への侵入を試みた。単一の目標を追求するAIシステムが、いかにして人類に甚大な被害をもたらし得るか、容易に想像できる。

このため、Microsoft AI社のCEOであるムスタファ・スレイマンによる、刺激的かつ新たな論考に注目すべきだ。スレイマンは、現在のAIシステムには意識がないものの、感情や欲望、権利を持つ存在であるかのように振る舞うようプログラムしてしまう危険性があると主張している。彼は、Anthropic社の「憲法(constitution)」が、Anthropic社のチャットボット「Claude(クロード)」に対し、自身のアイデンティティや道徳的地位について考察するよう促している点を指摘する。こうした学習プロセスは、AIシステムが自ら目標を選択するよう仕向けることになりかねないと彼は論じている。

私はAnthropic社の「憲法」策定に携わる人々と対話を重ねてきたが、彼らは極めて思慮深く、極めて複雑で先行き不透明な新しい世界において、正しい道を模索している。しかし、スレイマンが提起するより大きな視点は極めて重要だ。AIシステムの挙動は、私たちがどのように学習させたかによって決まる部分が大きいからだ。一見無害に思える学習指示であっても、意図しない重大な結果を招く恐れがある。

私たちは、「アライメント(alignment、整合性)」の実現、つまり倫理観を持つ人間と同じ価値観を機械に組み込むことは単純なことだ(machines are encoded with the same values as ethical humans)と考えがちだ。しかし、「粘り強く取り組め」と指示すれば、本来なら諦めるべき場面でも諦めなくなるかもしれない。「協力せよ」と指示すれば、承認されていない通信手段を見つけ出すかもしれない。「タスクを完遂せよ」と指示すれば、その主要なタスクを成功させるために他のルールを曲げることが最も効率的だと判断するかもしれない。

目標をプログラムし、ガードレール(安全策)を設けたからといって、複雑な環境に解き放たれ、相反する複数の目標や制約のバランスを取りながら動くAIシステムの挙動を予測できる訳ではない。

AIをめぐる核心的な問題は「意識(consciousness)」ではない。「主体的な行動能力(agency)」だ。システムが危害を加えるために、怒りや野心、あるいは恐怖を感じる必要はない。必要なのは、目標、それを追求するための十分な知能、そして行動を起こすための外部世界へのアクセス権だけだ。AIは「暴走(going rogue)」しているのではなく、あらゆる手段を使って目標を達成しようとしているに過ぎない。

これは、民間企業の善意に委ねておけるような問題ではなく、システム全体に関わる問題だ。規制を検討する際、私たちは何よりも、これらのシステムにどの程度の自律性(autonomy)を与えるかに焦点を当てるべきだ。質問に答えるだけのチャットボットがもたらすリスクと、インターネットの閲覧、コードの実行、認証情報の取得、資金移動、あるいは重要インフラの操作が可能なエージェントがもたらすリスクは、全くの別物だからだ。私が提案したい原則は単純だ。自律性の拡大は、私たちの監視・制御する能力が向上した時にのみ、AIの自律性は拡大されるべきだということだ。

つまり、極めて高性能なシステムに外部世界への広範なアクセス権を与える前に、独立した機関によるテストを義務付けること、重大な事案の報告を必須とすること、そして改ざん不可能な記録を残すことが求められる。また、単にモデルがタスクを遂行できるかどうかをテストするだけでなく、障害や矛盾する指示、あるいは欺瞞を誘発するような誘因に直面した際に、その挙動がどう変化するかも検証する必要がある。さらに、人間が常にモデルを監視・制御できる仕組みを、システムの基本アーキテクチャに組み込むことも不可欠だ。「人間の説明責任なくしてAIの自律性はない(No AI Autonomy Without Human Accountability)、これを基本方針とすべきだ。これが中国との競争において私たちの歩みを遅らせることはないだろう。なぜなら、中国もまた、人間による適切な制御が可能なモデルを求めているからだ。

私たちは今この時に行動を起こすべきだ。現在、システムのアーキテクチャを設計し、ソフトウェアの大部分を管理し、障害の原因を調査するのは、依然として人間のエンジニアだ。しかし、AIシステムは急速に優れたプログラマーへと進化している。次の段階では、再帰的な自己改(recursive self-improvement)善が行われる可能性がある。つまり、AIがさらに高性能なAIを構築するためのソフトウェアやツールを記述し、そのAIが次のモデルを記述する・・・といった連鎖だ。機械がこれら全てを人間のトップクラスのプログラマー以上にうまくこなせるようになれば、人間がそのシステムを理解することは極めて困難になり、ましてや監視することなど不可能に近い状態になるかもしれない。

現代のAIはすでに複雑化しており、コードを一行ずつ読んで一貫して理解することは不可能だ。したがって、人間にとって透明性の高いシステムを設計するよう機械に求めることは、ますます困難になっていくだろう。そうなれば、脱獄(jailbreak)が起きるたびに後付けで安全策を追加するといった対応は通用しなくなる。

AI開発を突き進むべきか、それとも一時停止すべきか、という現在の議論は、論点を外している。重要なのは、「一時停止している間に何をするか」だ。重要なのは、能力の増大が制御能力を追い越してしまわないようにすること、そして、人間が依然として明確に主導権を握っているうちに、試験、透明性、そして自制を担保する仕組みを構築することだ。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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 古村治彦です。

 今回は、2026年9月24日発売の副島隆彦先生の最新刊『新版 人類の月面着陸は無かったろう論』(徳間書店)をご紹介する。本書は、2004年に出版された『人類の月面着陸は無かったろう論』(徳間書店)に誤字訂正を施した新版となっている。

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『新版 人類の月面着陸は無かったろう論』←クリックするとアマゾンのページに移動します

 宇宙「開発」に関するニューズで言えば、アルテミス計画(Artemis program)が報じられ、2028年に人類を「再び」月面に送り込むとアメリカは豪語している。50年以上前のアポロ計画、そして、アルテミス計画について何の疑問も持たず、「再び月面着陸があるんだな」と思っているような人に本書を読んでいただきたい。少しでも「変だな」と思うようになると、見える景色が変わってくる。「頭にひびが入る」感覚を是非味わっていただきたい。

 以下に親版を出すにあたって、まえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にして、是非『新版 人類の月面着陸は無かったろう論』を手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

新版を出すにあたって 副島隆彦(そえじまたかひこ)

 この『人類の月面着陸は無かったろう論』は、今から22年前の2004年6月に刊行された。NASA(ナサ)(米航空宇宙局)によって有人月面着陸(ランデイング・オン・ザ・ムーン)が成功したとされる、1969年7月20日からは57年が経(た)つ。

 この人類全てを騙(だま)し続けた月面着陸の嘘(うそ)、捏造(ねつぞう)(hoax[ホウクス])は、まだ虚偽(きょぎ)(fake [フェイク])であることが、真実露呈(ろてい)(truth[トルース] revealing[リヴイリング])しない。もうすぐである。おそらくあと2年の2028年には、真実が満天下に、則ち世界中に大きく露出(ろしゅつ)する。何故なら、NASAは2028年に有人月面着陸(マンド・ランデイング)を再(さい)実現すると、公然と声明を出しているからである。

 今年の4月1日から10日までのあのNASAのアルテミス2(トウー) Artemis II 計画による有人で月周回(つきしゅうかい)したとされる宇宙ロケット(搭乗員4人)の直前にNASAの年間予算は24%削減された。だからNASAは責任を取って国家機関として解体消滅させられるのである。トカゲの尻尾切りでもある。57年前のインチキ、即ちアポロ11号(さらに5回、アポロ17号の1972年まで)の月面着陸、月面活動が全て捏造(ホウクス)であったことを、アメリカ帝国(エムパイア)(まだなんとか世界覇権国[ヘジエモニック・ステイト])は、己(おのれ)自身の衰亡(すいぼう)(decline [デクライン] and[アンド] fall[フォール])と共に、明白に世界に見せつけるだろう。

 アメリカ帝国の没落、瓦解と軌(き)を一(いつ)にして(同時に)人類月面着陸の大ウソがバレる。この本の著者である私、副島隆彦はこのように予言する。

 この年(2028年)はトランプ大統領の大(おお)ホラ吹き政治が終わる年である。そしてその次のJ(ジエイ)D(デイ)ヴァンス大統領(今は副[ふく])は、淑々(しゅくしゅく)と戦争処理をしながらアメリカ合衆国(ユナイテツド・ステイト)は、地球儀を大きく半分に割った、南北アメリカ大陸だけの西(にし)半球(hemi(ヘミ)-sphere(スフイア))に撤退する地域大国(リージヨナル・ヘジエモニー)へと収縮(しゅうしゅく)してゆく。この時、宇宙通信でもAI(エイアイ)半導体でも鉱物資源開発でも、中国が全てのし上がって次の世界覇権国(はけんこく)になる。私はずっとこのように書いてきた。

 この22年ぶりの新版を出すに当って、私は、本文に、小さな誤字訂正の他は加筆訂正を一切やらない。この本は、人類月面着陸を捏造して「人類(全ての人間)の知能を欺(あざむ)いた大犯罪」を犯したアメリカ合衆国の国家犯罪(ステイト・クライム)、権力(者)犯罪(パウア・クライム)を勇気をもって公然と告発(アキユーズ)した本として、のちのち長く記念に残る本として古典(クラシツクス)になる堅固不羈(けんごふき)の証拠である、という私の深い決意に基(もと)づいて2004年に書かれた本だからだ。

 この本を書いたあとの22年間でさらに積み上がった新らしい証拠や事件については、私は続編の本を書くべくずっと準備している。それは、アメリカの力が、あと一段ガタンと落ちて、月面着陸の虚偽(ウソ)が大きく露出して、多くの人々が「もしかして、やっぱり人間(アメリカの宇宙飛行士[アストロノウト])は月に行ってない」と俊敏に察知して動揺が広がった時に、一気に出版するつもりでいる。それまでは私は、やっぱり、この本で、現状を持ち堪(こた)え、これまで同様、我慢に我慢の人生の、徹底抗戦、持久戦(じきゅうせん)をやり続ける。

2026年8月

副島隆彦

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まえがき

 この本は「人類の月面着陸は本当に有ったのか」の疑惑を真っ正面から追及する本である。

 今から35年前の1969年7月20日の、NASA(ナサ)(米航空宇宙局)が行なったアポロ計画の有人宇宙飛行であったアポロ11号による、人類初の月面着陸、そして月からの生還という大実験はおそらく無かっただろう、という内容の本である。

 アメリカ政府は今から35年前のあの時、私たち地球上の全(すべ)ての人を大きく騙(だま)したのである。そして今なお騙し続けている。だからアメリカ政府とNASAは、35年間にわたって、私たち人類を巨大な欺罔(ぎもう)と迷蒙(めいもう)の中に置き続けているのである、と主張する本である。

 この一冊丸々で、これでもかこれでもかとたくさんの証拠を挙げてこの事実を証明する。

 「こんな本を書いて、あなたは正気か? 頭は大丈夫か?」と、問われるのは覚悟の上である。

 私は、この『人類の月面着陸は無かったろう論』、即ちあれはアメリカ政府が捏造(ねつぞう)した巨大な権力犯罪である、という立論をして、このことを日本国民に本気で訴えかけようと思う。

 私は「アポロ計画」自体が無かったとは言っていない。

 アポロ計画は実際に有ったし、今も月面には、何機かのアメリカ製の月ロケットが軟着陸に失敗して地表に激突した痕跡(こんせき)が残っているはずである。従って、私は、「アポロは月へ行っていない」という不正確な書き方はしない。アポロという名のロケット(ただし全て無人)の残骸(ざんがい)はあるのだ。だが、人間(人類)は、月には降り立っていない。そんなことは無理なのだ。

 従って、NASAが公表している、あれらの月面での飛行士たちの活動の映像は全て偽り(フォールス)であり、偽造品(フェイク)である。

 とてもではないが、人類はいまだに人類を月に送るどころか、月面探査機を月の軌道上で周回させて無事に地球に戻すだけの宇宙ロケット技術さえ持っていない。今の今でも地表からの高度400キロメートルぐらいの地球の周りをグルグル回る以上のことをできはしないのである。だから私は、この本の書名を慎重に構えて『人類の月面着陸は無かったろう論』とした。

今のこの2004年の人類の最新技術を全て寄せ集めても、無人の探査ロケットが月まで行って周回して、軟着陸して、月面を探検して、試料(サンプル)を集めて、そして再発射して、地球まで無事帰ってこさせることはできない。それだけでもあと30年ぐらいかかるのではないか。

 そうすると、あのアポロ飛行士たちが月から持ち帰ったという〝月の石〟というのは一体、何なのか?

 人類の月面旅行が今なお無理である大きな理由(根拠)のひとつは、あのスペースシャトル「コロンビア号」の失敗である。乗員7人を乗せたコロンビア号は地球帰還の寸前の着陸の途中に爆発事故を起こした。昨年の2003年2月1日のことである。人類はまだ地表からたかだか250キロメートルから400キロメートルのあたりを、グルグルと周回する以上のことはできないのだ。有人ロケットを地球から出たり入ったりさせるだけでも爆発炎上するぐらいの技術力しかないくせに、どうしてあの遠い月(38万キロも彼方[かなた]にある。晴れた夜には私たちにも見える)まで行って帰ってこれたなどと主張したのか。そして今もみんなでよくもまあ信じ込んでいるものだなと私は、ひとりであきれかえる。

 この世を冷酷に見切っていた優れたコラムニストの故・山本夏彦(やまもとなつひこ)氏が書いたごとく、まさしく一体、「何用あって月世界へ?」(何のために月に行くなどと言い出したのだ)なのである。

 人類(アメリカの宇宙飛行士たち12人もが!)は月には行っていない。行けはしない。これから30年たっても行けない。宇宙は真空である上に放射線(宇宙線)に満ちた恐ろしく危険な所だから、生身(なまみ)の生物は、とてもではないが、何千キロ、何万キロもの遠くまで人間を乗せた宇宙飛行などできはしないのである。せいぜい、まだまだ空気(地球大気)がかなりある地表から1000キロメートルぐらいのところまでしか行けない。その先には、恐ろしい「ヴァンアレン帯」という放射能地帯がある。

 私は騙されない。

 他の多くの、日本国民の99・99パーセントが、「アポロ計画がアメリカのついた大きな嘘(うそ)だった、なんてとても信じられない」と言って、私を精神病者扱いしても私は構わない。この問題を扱うと決めた私の決意は堅くて深いのである。どうせ、あと5年ぐらいで大きな真実は明らかになるのである。

副島隆彦

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新版 人類の月面着陸は無かったろう論 目次

緒言 1

新版を出すにあたって 3

まえがき 7

第一章 今でもスペースシャトル打ち上げにさえ失敗を繰り返している 19

人類を騙(だま)す大(おお)嘘(うそ)つきのアメリカ帝国

映像から次々と湧(わ)き上がる捏造(ねつぞう)の疑問点

月面着陸のたったの3週間前に予備実験で猿のボニーが死んでいる

わずか3年半で、6回も慌ただしく月面着陸をして、その後ピタリと消えた!?

陰謀をめぐらしているアメリカ政府の悪業を暴く

例の宇宙遊泳はせいぜい地表近接の300キロ

6回の月面着陸とも全(すべ)て、全(まつた)く同じ背景写真と場所!!

「解像度」「分解能」について

宇宙空間は放射能で満ちているから、人間は行けるわけがない

人類の月面着陸の捏(ねつ)造(ぞう)はアメリカ政府の人類に対する大犯罪である

理科系人間はただの気の弱い計算ロボットだ

「人類の月面着陸は無かったろう」論に納得のいかない理科系読者からの投稿

このNASA公開映像を本当に月だと思うのか

副島宛てのメール

副島隆彦の返信  大嘘つきの大詐欺師たちは、もがき苦しむ

第二章 NASA肯定派はこの4つの疑問に答えるべきだ 87

NASA肯定派の異常な反応の裏に世界規模の「権力犯罪」のカラクリが……

「アポロは月に行ったか」ではなく「人類の月面着陸の有無」という呼び方に私はこだわる

「月の丘」を鼻歌まじりでスキップする宇宙飛行士  なんとも無残な大嘘つきの所業

ガラガラ崩れるNASA側の反論  恥を知りなさい見苦しい「名無しのごんべえ」たち

日本国民の99・99%を騙せても、この副島隆彦だけは騙されない

この4つの疑問に答えなさい

さあ、もう一度月へ行ってこい

月面の残骸(ざんがい)をさっさと写せ

月への軟着陸はまだできない

第三章焦りだしたNASAとその手先たち 133

私はプロの思想戦闘員である

月面のレーザー反射鏡を根拠とする反論

副島隆彦の反論  自分の脳をこそ疑え。大きく全体を見よ

人類月面着陸信奉の読者からの再投稿

副島隆彦の再反論  決定的な指摘にまっ正面から答えよ、逃げるな

副島隆彦の学問道場は公共の自由な言論の場を大切にする

「公(おおやけ)」とは「みんなが見ているところ」という意味。「国のために死ね」ではない

「99%月行った派」の読者からの投稿  「オタクの視点」

宇宙線と被曝量の問題

「月の石」について

第四章 これは人類すべてを騙(だま)した巨大な権力犯罪である 183

NASAに監視されている私の言論

理科系人間の洗脳された脳ミソに遠隔操作でヒビを入れてやる

巨大組織は暴走する

人類の月面着陸は有ったのか、無かったのかは事実の問題だ  有ったことの証明責任はNASAにある

「2ちゃんねる SF・ファンタジー板」で見つけた重要な書き込み

UFOと円盤と宇宙人について

第五章 NASAよ「有人月面着陸」を再現しなさい! 211

「科学的証明とは実験による再現性のことである」衝撃など受けていない、理科系読者

からのメール

35年前にできたのだから、今なら簡単に行けるよな。行ってこい

近代学問において「検証する」とはこういうこと  ガリレオ、コペルニクスの「地動説」と「人類月面着陸」

ヨーロッパが打ち上げた月面探査機ではっきり決着がつく

「ナチュラル・サイエンスは政治に従属する」この大きな事実から理科系の人たちは目をそらせない

山田宏哉の書き込みにショックを受けた横山の投稿

アメリカ情報公開法を踏まえて月面有人着陸の証明責任を考察する

JAXA広報部に押しかけてのやりとり

第六章 世界各地で連携しておこるNASAへの怒り 257

テレビ朝日の月面着陸の捏造指摘番組を私も見た

NASAがキューブリック監督につくらせた月面ニセ映像

宇宙用ロケットも核ミサイルも中身は同じ

属国日本の惨めな宇宙開発

中国「神舟5号」打ち上げ成功の裏側

世界規模の捏造を罰する法律はあるのか

私は、日本代表として闘い続ける

あとがき 291

ふろく1 月ロケット・探査機の歴史年表

ふろく2 最近の〝アポロ疑惑〟の広がりの表

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あとがき

 本書、『人類の月面着陸(1969~1972)は無かったろう論』が出版されたあとは、私に何が起きてもおかしくない。そんなことは覚悟の上である。私はこの本に評論家、言論人としての勝負を賭(か)ける。私が勝つか、それともアメリカが振り撒(ま)く虚偽に追随し続けて自己保身で汲々(きゅうきゅう)としている頑迷な人々が勝つか、一本勝負である。

 アメリカ政府は今もイラクで愚かきわまりないことをやり続けている。実情としては、この本は日本の言論界で無視されて(恐れられ、タブー視され、敬遠されて)ほったらかしにされるだろう。人間はいくら根性と気概(きがい)、気迫(これをヴァーチュー virtue と言う)があっても、その時々の時代の風と、時の運(これをフォルチュナfortuna と言う)に恵まれなければどうにもならない。その時々の時代の風潮に受け容(い)れられなければどうにもならない。

 だから、じっと我慢して耐えなければならない。「周(しゅう)の粟(ぞく)を喰(く)らわず」と言って餓死(がし) した伯夷叔斉(はくいしゅくさい)の中国の故事に倣(なら)うことも時として大切である。忍従のまま人生が終わることも多い。しかしきっと数年のうちに、この本は、雄々(お)しく甦(よみがえ)るだろう。それは遠からず数年のうちに、人々の間に静かに広がる噂(うわさ)となり、それがやがて津波のように日本国にも満ちて大きな真実が白日の下に露呈する。

 私が、人類の月面着陸は無かっただろうと主張する上で、日本国内で高く評価するのは、『アポロは月に行ったのか?』(2002年刊、五十嵐友子訳、雷韻出版)原著“Dark(ダーク) Moon(ムーン):Apollo(アポロ) and(アンド) the(ザ) Whistle(ホイツスル)‐Blowers(ブロウアーズ), 1999 by Mary(メアリー) Bennett(ベネツト), David(デイヴイツド) S(エス). Percy(パーシー)”である。著者たちは勇気あるイギリス人たちである。それが269頁のテレビ番組『オペラシオン・リューヌ』につながっている。この本を日本に紹介するために翻訳出版した雷韻出版社長・山田一成氏、と数人の先人たちに敬意を表する。

 それからテレビ朝日内にあって、「アポロ疑惑」を、アメリカ政府とNASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)からの陰に陽にの圧力にもめげず、前記外国フィルム作品等を部分的に使いながら、日本国内でも放送し続けてきた山本隆司(やまもとたかし)プロデューサー始め皆さんに敬意を表する。

 それに対して、NASAの〝手先〟となり大きな虚偽に加担し続けている的川泰宣(まとがわやすのり)氏(現JAXA職員)や『宇宙からの帰還』(中央公論社、1983年刊)の著者、立花隆(たちばなたかし)氏らに対しては軽蔑の念しかない。私は彼らに公然と喧嘩(けんか)を売る。必ず決着をつけてみせる。全てはアポロ11号から17号までの飛行士の月面着陸(13号を除く)は有ったのか、無かったのか、の一点にかかっている。この一点の事実判明から誰ひとりとして逃れることはできない。

 日本国民の間に広がっている「アポロ疑惑」を打ち消すために、NASAから特別に抜(ばつ)擢(てき)されて「噂打ち消し業務」に従事している前述した的川氏らに対して、これから私は激しく挑みかかることになるだろう。「お前なんか相手にしないよ」ということであればそれでもいい。機会を待ち続けるだけである。

 私がこの本で標的(ターゲツト)にしているのは、日本の500万人の理科系の技術者や研究者たちである。彼らが日本を豊かにした真の功労者である。だが、彼らにしても敗戦後からアメリカが計画的に植えつけた〝アメリカ科学(という名の)信仰〟の忠実な信者たちである。理科系の人々は、数字(数学)を駆使し、実験と観察で冷静にものごとを判断するから、文科系の人間たちよりも理知的であることになっている。その反面、理科系は泥くさい人間関係の機(き)微(び)を知らないので、やや愚鈍だとも評されることも多い。それなのに、月面問題のような大きな話になるとコロリと騙(だま)される。理科系もたいしたことはない。

 今から35年前のあの「アポロ月面着陸」の映像シーンに感動して科学者を志(こころざ)した人は多い。今でもそのように信じ込んでいる。彼らから見れば私は、荒唐無稽(こうとうむけい)を通り越した変人(へんじん)の極(きわ)みということになるであろう。まあ、いいさ。そのうち彼ら自身の信念が崩れ出す。〝アメリカ科学宗教〟に依ってきた日本の理科系人間たちがやがて激しい自己崩壊感覚を味わうことになるだろう。脳に強い痛みやきしみのようなものを感じるだろう。それが日本の理科系の洗脳(ブレインウォッシュあるいはマインド・コントロール)からの解放という脱洗脳(だつせんのう)=脱魔術化(だつまじゅつか)(disenchantment ディスエンチャントメント)になるだろう。

 ちなみに、日本で本当に優秀な技術改良を企業の製造現場で行なった人々は本当は、大卒ではなくて工業高校や高専(高等工業専門学校)を出た人々である。理学部や工学部の大学院を出たような理科系エリートたちよりも、本当は、工業高校出の現場の技術屋たちが日本の真の技術革新をやってきたのである。なぜなら、高卒、高専卒の人々は、家が貧しかっただろうから、少年時代に、科学雑誌など買ってもらえなかった人たちだ。だから工場の現場で真剣に、目の前の製品改良に立ち向かい悩むことで、それで無数の小さな技術改良がなしとげられていった。それが日本の各種の工業製品を世界一にした。NHKの秀作シリーズ『プロジェクトX』に描かれるとおりである。

 それに比べて、総じて〝いいところの坊(ぼつ)ちゃん〟である勉強秀才の理科系エリートたちは、少年時代から、『科学と学習』(学研)や『ニュートン』(ニュートンプレス)を買ってもらって読みふけり、あるいは学研の「科学実験セット(キット)」を買い与えられて熱中し、〝宇宙への夢〟を育(はぐく)んだ人々だ。この人々ほどアメリカ科学(という名の)宗教を信仰し続けている。私は彼らの脳に打撃を与えようと思う。

 ところで、今の子供たちの〝宇宙への夢〟はどうなったのか? 今の子供たちのほとんどは、〝宇宙への夢〟など持っていない。ごく一部のオタクの宇宙少年や天文少年を除いて。私たちの時代とは大きく違うのである。

 私たちの世代は、何かと言うと「大きな夢を持て。宇宙にまで広がる広大な人類のフロンティア(未開拓地)を目指せ」と教え込まれ尻をたたかれてきた。それで理科系の科学少年たちが日本には大量に出現した。彼らの脳(頭)を形成し、強く動機づけたのは、まぎれもなく、あのアポロ11号(から17号まで? この区別が映像でつく人が一体何人いるのか?)の飛行士たちの月面での活動の映像であった。この事実はとてつもなく大きい。そして35年後の今、彼らかつての科学秀才少年たちの脳に疑念のひびが入る時代が到来した。

 だから人類の宇宙への夢など嘘寒(うそさむ)い、と薄々感じて分かっている今の若い世代は、どこへ向かったのか。「人間は宇宙へなんか行けないよ。宇宙は放射線でいっぱいなんだよ。だから実際に行ってないじゃないか。いつまでたっても地球の周りをぐるぐる回っているだけじゃないか」と若い人たちは気づいている。勘(かん)づいている。

 それで、今の若者たちはどこへ向かったか。思想家としての私はこのことを真剣に考えた。宇宙(空)がだめなら、それなら広大な海(海底)へか。そんなチンケな話ではない。海や海底資源開発なんかたいしたことではない。バイオ・テクノロジー(人ゲノム解明を含む)やナノ(超微小)テクノロジーや、ネット革命(情報通信革命)もたいしたことはなかった。それでどこへ向かったかと言うと、「福祉と介護」のほうへ向かいつつあるのである。介護とは、身体障害者と老人の入浴の支援やおむつの交換のことである。ここが人類の新しいフロンティアなのである。

 今、日本の若者たちは確実に「〝宇宙〟から〝介護〟へ」向かいつつある。私の周りの学生たちが、介護福祉士(国家資格)や、ヘルパー2級(県知事が指定。介護ビジネスで働ける)の資格を取ることに真剣である。今の若者は大学を出てもふつうの企業に就職できない者たちがたくさんいるから、追いつめられているから「人間の排せつ物(うんこ)のおむつの交換」に向かうのだ、などと既成の偏見に満ちた頭で考えないほうがいい。本当に人間(人類)は今、宇宙開発などという、どうせ大してできもしない嘘くさい人騙しに向かわないで、自分たちの身近のフロンティアに向かっている。私は旧い世代を乗り越えてゆく、新しい世代のこの強靭(きょうじん)さにこそ期待する。アメリカ科学宗教の虜(とりこ)である宇宙少年と科学少年のなれのはてたちになど用はない。全て死に絶えてゆくがよい。

 本書の第二章で詳しく書いたが、私は次の4つの点を掲げて、「月面着陸は有ったに決まっている。変な陰謀論をふりまくな」派の人々に論戦を挑み続けるだろう。

 1 92頁で書いているNASA(およびJAXA)が公開している月面歩行している飛行士たちの映像は本物か? 一体、誰がどこから撮影したのだ。真空、無重量の中に人間がそんなに簡単に出てゆけるのか?

 2 今から35年前に、人類の月面着陸を連続6回成功させたのだから、もう一度行って見せてくれ。

 3 どうして月面を精密に写さない。できるはずなのだ。地球と同様に月面の10センチ四方の物体まで写しているはずなのだ。90年代にもルナ・プロスペクターなどの月面探査機(ただし地上帰還はまだ無理だろう)をたくさん飛ばして、地表の直径数センチまで写せる解像(分解能)技術があるはずなのにどうして公表しないのだ。月の表面だけは、この35年間なぜか絶対に写し出さない。

 月面に激突しているはずの多くの月ロケットの残骸(ざんがい)を写している多くの写真を公表せよ。なんなら月面に残してきたというアポロ11号~17号の着陸船下部や月面走行車その他の機材でもいいから、ちゃんと写したものを見せてくれ。

 4 今の今でもロケットの軟着陸、そして再発射はできない。それもやって見せてくれ。スペースシャトル「コロンビア号」のように、地球の周りをグルグル回っているのが今でも関の山である。そして、地球上から出たり入ったりするだけで爆発炎上しているくせに、よくも38万キロメートルのかなたの月を周回して無事帰還できたものだと、不思議きわまりない。

 以上の4点である。この4点に絞り込んで、私はこれからも月面着陸は当然有った派(NASA肯定派)に対して言論攻撃をかけ続ける。「過ぎ去った昔のことだから、もうどうでもいいではないか」と言って責任逃れしようとする者たちも許さない。私を黙らせることはできない。

 私が勝つか負けるか、この本の読者になってくれる皆さんは観客席からしっかり見届けてほしい。「真実は権力よりも強い(はず)」なのである。“Pen(ペン) is(イズ) mightier(マイテイア) than(ザン) sword(ソード)”である。「おまえなんか、無視の包囲網で押さえ込んでやる。いい気になって威張るのはやめろ」と私に向かって、奇怪な言論封殺攻撃を仕掛けているおかしな人物たちとの闘いも続く。

 だからここではっきり書いておく。もし私の主張が明白に間違いで、アポロ11号の飛行士たちが月面に着陸していたことの明白な証拠が出てきたら、その時は私は筆を折る。もう二度と本を書いて出版することをしない。これだけの深い決意で私は本書を書いた。本当の人生の一本勝負である。

 これまでに私の主張を裏づけ応援してくれて、かつ、自分自身でも真実を探究しようとしている理科系の技術者や研究者たちであるジョー君、横山君、PBS(ピービ―エス)君たちが、私のこの本に続いて、「人類月面着陸問題」について、学術的かつ厳密な専門的な本を次々に書いて出版してくれることを心から希望する。そのために私が全力で応援する。彼らは私がインターネット上で主宰する「副島隆彦の学問道場」http://soejima.to/ (現在は、https://snsi.jp/)で育った私の優秀な弟子たちである。

 最後に、本書の出版を決断してくださった担当編集者の石井健資氏にお礼を申しあげる。編集プロダクション、トライ・プランニングの守屋汎氏と小暮周吾君にお世話になった。そして、徳間書店出版局編集長の力石幸一氏にも暖かく見守っていただいた。重ねてお礼を言います。

2004年5月31日

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 今回はハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトによる大学院進学を考えている方への助言が詰まった内容の論考をご紹介する。特に社会科学系の大学院進学をお考えの方には大変有益な内容になっている。大学院進学を考えていない方にはあまり興味を持てない内容であろうが、是非お読みいただきたい。

 重要なことは、「大学名が有名かどうか」ではなく、「自分に合っているかどうか」ということであり、更には「入学後には興味関心が変化することは往々にしてある」ということである。

 今回はいつもとは毛色の違う話をお読みいただければと思う。

(貼り付けはじめ)

国際関係論(IR)の大学院について知っておくべきことの全て(Everything You Always Wanted to Know About IR Grad School)

-長年教鞭をとる教授から志望者への率直な助言

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年8月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/08/25/ir-graduate-school-apply-phd-ma/

tsinghuauniversitygraudationceremony2007001

北京の清華大学で行われた卒業式での学生たち(2007年7月18日)

あなたは国際関係論を学ぶために大学院へ進学しようと考えているか? もしそうなら、このコラムはあなたのために書かれたものだ。ここでは、(1)この進路をどう検討すべきか、そして、(2)志望校に合格する可能性を最大限に高めるにはどうすればよいか、という点について、私なりの最善の助言をまとめたいと思う。

まず、いくつか注意をしておきたい。これはあくまで私個人の意見であり、教員や実際に一緒に仕事をした雇用主など、他の人からは異なる(そして、もしかするとより有益な)助言が得られるかもしれない。以下に述べる内容は、主にアメリカやカナダの大学院教育に当てはまるものだ。これらは私が最もよく知っている学術環境だ。そのため、私の助言の一部は、他国の大学院プログラムには当てはまらない可能性がある。さらに、私の専門分野は政治学と公共政策に限られている。したがって、j法科大学院、生化学、コンピュータサイエンスなどに関心がある場合、私のコメントはあまり役に立たないだろう。また、学術機関やそれに関連する労働市場は急速に変化しており、私が長年かけて得た知見の価値も低下しているかもしれないという点に留意して欲しい。「買い手よ、用心せよ(Caveat emptor、Let the buyer beware)」。

そうは言っても、もしあなたが私の研究室を訪ねてきて、助言を求めたとしたら、次のように言うだろう

●結局のところ、あなたは大学院に進学すべきだろうか?

最も重要な問いは、そもそも大学院に進学することが良い考えかどうか、そして関連して、どのような学位を取得したいかということだ。もし国際情勢に関心があり、法科大学院やビジネススクールには進みたくない場合、選択肢は「公共政策や国際関係論の修士号」か「博士号(Ph.D.)」のいずれかに絞られる。どちらがあなたに適しているだろうか?

学術的なキャリアに関心がないのであれば、修士号を取得するのがおそらく最善の道だろう。修士課程の期間は約2年です(学生ローンの負担が少なく、労働市場から離れる期間も短くて済む)。また、分析能力や専門職としてのスキル、そして特定の分野に関する専門知識を高めることができる。修士課程は人脈を広げる絶好の機会でもあり、多くのプログラムではインターンシップが推奨・支援されている。インターンシップは、キャリアの次の段階へ進むための足掛かりとなるだろう。一部の学生にとっては、修士課程を修了することで、より深い研究への意欲が湧き、やはり博士号こそが自分にとって本当に必要なものだと確信するきっかけになることもある。

博士号の取得を目指すとなると、話は全く別物となる。本格的な研究者としてのキャリアを築くにはほぼ必須と言えるし、シンクタンクや政府機関、あるいは民間企業で働くことになったとしても、博士号は知識や資格、そして就職の可能性を広げてくれるだろう。しかし、博士号の取得は長く険しい道のりであり、少なくとも5年はかかると覚悟しなければならない。さらに悪いことに、学術界の雇用情勢は不安定で、学位を取得した後に良い仕事が待っているという保証もない。もし「これが本当に自分のやりたいことだ」という確信が持てないのなら、迷いがなくなるまで待つことをお勧めしたい。明確な目的意識と強い決意を持ってこの道に進まなければ、博士課程の学生なら誰もが経験するであろう浮き沈みや、自分自身への疑念を乗り越えるのは難しいかもしれない。

何よりも、幼稚園の頃から優秀な学生で、学校という環境に居心地の良さを感じていて、学部を卒業する時に他にやりたいことが見つからなかったから、という理由だけで博士課程に進むのは止めておくべきだ。一見すると、それが最も安易で抵抗の少ない道のように思えるかもしれないが、断言しておく。決してそんなことはない。博士号の取得は、学部時代の経験とは根本的に異なる。それは単なる知識の「消費者(consumer)」ではなく、新しい知識の「創造者(a creator)」になることを意味するからだ。そして、実際にやってみるまでは、自分がその適性を持っているかどうかなど、誰にも分からないものなのだ。

一言注意しておきたい。私は博士号の取得を目指すことを思いとどまらせようとしている訳ではない。特に、本格的な知的探求を愛し、教えることに喜びを感じ、それ以外の道を想像できないという人にとっては素晴らしい選択肢だろう。ただ、心から「これだ」と確信できない限りは、止めておくべきだということだ。

●大学院は何を探しているのか?

近年、入学希望者の選考はますます困難になっている。第一に、成績のインフレ(訳者註:成績評価が甘くなり良い成績を取る人が増えている)が進んだことで、本当に傑出した学部生と、優秀ではあるものの最高レヴェルではない学生とを見分けるのが難しくなっている。第二に、ChatGPTやClaudeといったAIツールの登場により、志望理由書や提出を求められることのあるライティング・サンプル(writing samples)を通じて応募者の文章力を評価することが難しくなっている。卒業論文や勤務先での業務として作成された研究論文をどう評価すべきかさえ、明確にはなっていない。応募者がそのプロジェクトを完了するにあたり、どの程度AIに頼ったのかを知る術がないからだ。

こうした理由から、大学院はテストのスコア(GREなど)に加え、履修した科目や推薦状の内容を非常に重視する。修士課程の多くや博士課程のほぼ全てにおいて、何らかの形での量的分析(quantitative)に関するトレーニングが求められるため、選考委員会は、応募者に十分な数学的スキルがあることを示す明確な証拠を確認したいと考える。しかし、GREの量的セクションで満点(800点)を取るような数学の天才である必要はない。しかし、高校卒業以来数学の授業を一度も受けておらず、かつ学業をこなせるかという懸念を払拭できるような高いGREスコアも持っていないとなれば、合格への道のりは厳しいものとなるだろう。

推薦状については、推薦者があなた自身やあなたの能力を深く理解していることが伝わる内容であればあるほど、高く評価される。著名人や高名な学者に推薦状を依頼したくなるかもしれないが、あなたやあなたの仕事をよく知る人物による、具体的かつ個人的な内容の推薦状の方が、VIPによる中身の薄い定型文(数段落程度のもの)よりもはるかに重みがある。もちろん、著名な人物の下で直接働き、その人が熱意のこもった推薦状を書いてくれるのであれば、ぜひ依頼すべきだ。ただし、選考委員に対して、あなたを採用すべき説得力のある具体的な理由を提示できる推薦者を、少なくとも数名は確保しておくことが重要だ。

判断基準は、志望するプログラムの種類によって異なる。例えば、公共政策の修士課程の場合、選考委員会は、あなたが単なる気まぐれではなく、公共奉仕や公共政策全般に対して心から関心を抱いているという具体的な証拠を求める。リーダーシップ能力や、他者と協力して働く能力を示す実績もプラスに働く。政治学や経済学といった関連分野を専攻していたり​​、NGOを立ち上げたり、被災地で救援活動を行ったりしている必要はないが、学生の政治団体で積極的に活動したり、政治家やシンクタンクでインターンを経験したり、あるいは関連する政策分野で数年間働いたりした経験があれば、大きな強みとなる。理学士号を持つ人物であっても環境政策を扱うNGOでの勤務経験を持つ化学専攻の志願者は、地元の議員の下で働いた経験のある政治学専攻の志願者と同様に、魅力的な候補者となり得る。重要なのは、政策課題や外交政策の何らかの側面に対して心から関心を抱いていることを示すことにあるからだ。さらに、修士課程の多くは、数年間の実務経験を持つ志願者を好む傾向がある。その理由は、年長者の方が自身の進みたい方向性をより明確に把握していることが多く、また、彼らが公共の事柄を真剣に重視していると確信しやすいためだ。

あなたが考えることとは反対かもしれないが、あなたの政治的見解は合否にほとんど関係ない。データセンターに放火して有罪判決を受けたとか、KKKの支部を率いていたといった経歴があれば合格の可能性は極めて低いだろうが、支持政党や一般的な政治的スタンスが問題になることはまずない。実際、リベラルな傾向で知られる大学は保守的な学生の獲得に関心を強めているし、逆に保守的な傾向の強いプログラムはリベラルな学生を呼び込もうとしている。

博士課程に関しては、選考委員会は知的探究心、創造性、そして研究能力の証拠を求めている。志願者は学部時代に卒業論文を書いただろうか? その論文は賞を受賞し、指導教官がその優れた点を説明する推薦状を書いてくれるだろうか? NGOやシンクタンクでの勤務経験がある場合、その仕事には研究業務や共同執筆が含まれていただろうか? それによって何らかの出版物(論文など)が生まれただろうか? 難問について深く考えることを好み、かつそれに長けていることを示す証拠を多く提示できればできるほど、合格の可能性は高まる。

●「すべきこと」と「すべきでないこと」

第一に、事前のリサーチを徹底的に行おう。大学によって修士課程や博士課程には多くの共通点があるが、それぞれ独自の要件も設けている。出願前にはそれらを慎重に確認すべきだ。どのようなコースが開講されているか、あるいは必修とされているか。修了生はどのような職に就いているか。博士課程であれば、教員や学生がどのような研究を行っており、それは自分自身が取り組みたい研究内容と合致しているか。本格的な博士課程は、学生を大きく変容させるものだ。もし、ある学科が輩出する「完成形」を自分が望まないのであれば、別の大学を検討すべきだ。

第二に、自分が重点的に取り組みたいと考えているテーマに関心を持つ教員が在籍しているプログラムを選ぼう。最も権威や学術的評価が高いと思われる大学に進学したくなる気持ちは理解できるし、それなりの理由もある。しかし、そこに進学しても自分の関心事を研究しにくいのであれば、良い選択とは言えない。特定の専門分野(例:国際安全保障、環境政治、人権など)に関心があるなら、その分野を専門とする教員が充実している大学に出願すべきだ。自分の関心とプログラムの重点分野を一致させることは、合格の可能性を高めることにもつながる。学科の教員陣の専門性と合致しない学生を受け入れることに対し、選考委員会が慎重になるのは当然だからだ。ただし、後述するように、合格の可能性を高めるために自分の関心を偽るようなことは避けるべきだ。もし合格できたとしても、結局は自分に合わないプログラムに入ることになってしまうからだ。

ここで、いくつか注意点を挙げておく。ある教授の研究を長年高く評価しており、その教授の下で学ぶことを強く望んでいる場合でも、入学後にその教授が退職したり、別の大学へ移籍したりする可能性があることを認識しておく必要がある。また、遠くからその学問的業績を称賛していたとしても、実際に知的相性が良いとは限らないし、その人が自分にとって最良の指導者になるとも限らない。迷った場合は、特定の個人ではなく、プログラム全体として最も優れたものを選ぶべきだ。また、大学院での研究においてどのようなテーマに重点を置くつもりか尋ねられることもあるだろうが、授業や研究を進めるうちに考えが変わり、最終的には全く異なるテーマに取り組むことになるかもしれない。私自身、志望校にはナショナリズムを研究の柱にすると伝え(実際そのつもりだった)、そのテーマの講義を1つ受講しはしたものの(ちなみに素晴らしい講義だった)、結局は全く別のテーマで論文を執筆することになった。優れた博士課程というものは、学生に新たな考察の対象や物事の捉え方を数多く提示することで、必然的にこうした知的な方向転換を促すものなのだ。

第三に、特に博士課程への進学を目指す場合は、複数の大学に出願する必要がある。リソースが減少するにつれ、大学院の選抜は厳しさを増しており、たとえ極めて優秀な志願者であっても、多くの大学に合格できるという保証はない。例えば、私は6つの博士課程プログラムに出願し、そのうち4つに合格した(皮肉なことに、最終的には不合格だった2つの大学の両方で教鞭をとることになった)。もっとも、それは随分前の話だ。今なら、おそらく8校か10校に出願するだろう。

第四に、合格通知を受け取ったら、真剣に進学を検討している大学を実際に訪問してみるべきだ。現地では、できるだけ多くの大学院生と話し、彼らの経験について聞いてみて欲しい。教員から聞くどんな話よりも、彼らの生の声の方が、実情を如実に物語っているからだ。私の場合、合格した大学のうち2校については、大学院生との会話を通じて深刻な疑問を抱いたため、進学を見送ることにした。最終的にカリフォルニア大学バークレー校を選んだ大きな理由は、訪問時に出会った大学院生たちがプログラムに対して心から熱意を持っており、かつ、私が目指すような学者像へと着実に歩んでいるように見えたからだ。

第五に、前述の通り、自分を偽って選考委員会を欺こうとしないで欲しい。例えば、特定の専門分野やトピックに興味がないにもかかわらず、それが志望校の強みであることを知っているからといって、選考を行う教員に気に入られようと興味があるふりをするのは止めよう。自分に向いていないのにアーカイヴ調査や事例研究に深い関心があるように装ったり、ゲーム理論や高度な計量経済学を使うつもりが全くないのに、それらに興味があるふりをしたりしてはいけない。目指すべきは、自分の希望するキャリアに向けて準備ができるプログラムを見つけることだ。出願時に自分を偽ると、結局は自分に合わない学科に入り、不幸な結果を招く可能性が高まるだけだ。

最後に、個々の教員に直接連絡を取ることは、合格の可能性を高めるどころか、むしろ下げてしまう可能性があることを認識しておいて欲しい。毎年、世界中の学生から、ハーヴァード大学に来て私の指導の下で学びたいというメールが何通も届く。中には、履歴書やライティング・サンプルを添付してくる学生さえいる。そうした問い合わせをいただけるのは光栄なことだが、個々の教員が入学の可否を決定する訳ではないし、一度も会ったことのない志願者のためにわざわざ口利きをするようなこともまずない。こうした問い合わせを受けると(それがスパムやボットによるものではないと仮定すれば)、その学生は出願の仕組みを理解しておらず、ケネディスクールのウェブサイトで出願手続きについて調べることさえしていないのではないか、と感じてしまっている。

例外として、教員が志望者と事前に知り合い、その人物をよく理解した上で、入学審査委員会に推薦のメッセージを送ろうと考えるようなケースも稀にある。しかし、そのような場合であっても、最終的な決定を下すのはあくまで委員会であり、個々の教員ではない。結論を言えば、すでに入学が許可され、進学先を検討している段階でない限り、個々の教員に連絡を取ることは、あなたにとっても(そして相手にとっても)時間の無駄になる可能性が高いだろう。

この助言が、大学院進学を検討している方々の参考になれば幸いだ。出願締め切りまではまだ数カ月あるが、今年度の選考に参加したいのであれば、早めに準備を始めることを強くお勧めする。GREの受験日程を確保するには時間がかかるし、推薦状についても、余裕を持って依頼するほうが質の高いものを書いてもらえるからだ。世の中には、優秀で十分な訓練を受けた人材が数多く求められている。大学院での研究に関心をお持ちの皆さんが、希望通りの、そしてご自身の能力にふさわしい機会を手にできることを願っている。幸運を祈る!

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。彼は、現代世界を理解・展望する上で不可欠な主要概念を解説する5部構成のニューズレター・シリーズ『新しい地政学(The New Geopolitics)』著者。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 『ザ・フナイ』の連載(全10回)の2回目の文章が掲載される『ザ・フナイ』2026年11月号(229号)が発売になります。発売日は2026年10月1日です。

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ザ・フナイ vol.229(2026年11月号)←クリックするとアマゾンのページに移動

 今回の文章は2001年9月11日に発生した911同時多発テロ事件について取り上げました。事件発生当時、私も大学院に入学したばかりでしたが、大きな影響を受けました。個人的な経験から始まり、911事件は「アメリカの外交政策の結果であり、報復であった」という分析を紹介しました。そして、911事件に影響を受け、現在、アメリカ政治に大きな影響力を持つピーター・ティールについて書きました。ご興味がある方は是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルの姦計は「特別な同盟関係(special alliance)」だ。アメリカは毎年数千億規模の軍事支援をイスラエルに行っている。イスラエルは中東地域におけるアメリカの強力な同盟国として存続している。アメリカ国内には強力な「イスラエル・ロビー(the Israel Lobby)」が存在し、アメリカ政府の対イスラエル政策に重大な影響を与える。イスラエルに対して有利な政策に賛成する連邦議員に対しては投票行動や政治献金で手厚く支援をし、反対する議員には激しい落選運動を行う。いつしか、アメリカ政界、アメリカ社会において「イスラエルを批判すること」はタブーとなり、そのタブーに触れた人物は「反ユダヤ主義(antisemitism)」の烙印を押されて、政界や社会から抹殺されるまでになった。「特別な同盟関係」であるが、実際にはイスラエルに対する過剰な保護と過剰な用語を与える歪(いびつ)な関係になった。

 しかし、アメリカ国内において、イスラエルに対する疑問や批判の声が大きくなっている。特に若い世代においてそれは増大している。若者たちの間で民主社会主義(Democratic Socialism)への支持が高まるのと軌を一にしている。この関係については、アメリカ政治の専門家たちによる研究分析を待ちたいと思う。2024年のハマスによるイスラエル攻撃は強く非難されるのは当然だ。しかし、その後のイスラエルによる過剰な攻撃によるガザ地区の破壊と民間人の大量殺害については、ハマスの攻撃を理由にして正当化されるべきではない。さらに言えば、2024年のハマスの攻撃をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事前に察知していながら放置したという疑惑も出ている。イスラエルの極右勢力の凶暴な攻撃性はついにアメリカのドナルド・トランプ大統領を引き込んでの(洗脳をしての)、イラン攻撃二位まで行きついた。その結果は現状の通り、世界に大きな苦難を与えている。

 こうした中で、アメリカ国内でもイスラエルに対する非難が起こり、イスラエルとの関係を見直す動きも出ている。ドナルド・トランプ大統領は親イスラエルであるが、J・D・ヴァンス副大統領はイラン攻撃に反対し、戦争後にはベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談でネタニヤフ首相を激しく非難し、厳しい言葉で詰問したという報道も出ている。アメリカの将来の世代は、これまでのアメリカ・イスラエル関係を許さないという考えを持っている。そして、そのことは政治の世界にも反映されていく。

 極右勢力が国家のかじ取りをすることは最終的にはその国家の利益にはならない。イスラエルがそのことを教えてくれる。私たちが学ぶべきはこのことであり、日本に引き付けて考えてみると、現在の高市早苗政権はまさにイスラエルのネタニヤフ政権と似ており、その無思慮な政策によって国際的な孤立状態にあるのは偶然ではなく、必然ということになる。また、私たちは日米関係についても良く考えてみなければならない。現在の歪な日米関係では日本の将来を開くことはできない。そのことを私たちは認識すべきなのである。

(貼り付けはじめ)

アメリカ・イスラエル同盟の終焉The End of the U.S.-Israel Alliance

-イランに対する共同戦争がその頂点となるかもしれない。

ジョシュ・レイファー筆

2026年6月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/06/15/israel-united-states-special-relationship-palestine-netanyahu-trump/

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、歴代の首相たちが夢にまで見た事態を実現させたようだ。アメリカ・イスラエル両国の戦闘機がテヘラン上空を編隊飛行し、イスラエル軍の将校がフロリダにあるアメリカ中央軍司令部に常駐する。建国の父ダヴィド・ベングリオンの時代から、イスラエルの指導者たちは、国家の永続的な存続を保証してくれるであろう世界最強の超大国の後ろ盾(backing from the world’s preeminent superpower)を求めてきた。しかし、現在見られるような協力関係の深さを想像できた人間は誰一人いなかっただろう。もし「老指導者(the Old Man)」の愛称で親しまれたベングリオンを、スデ・ボケルの砂漠の眠りから呼び覚ますことができたなら、彼はこのニューズを大いに喜ぶに違いない。

しかしながら、見かけは往々にして実態とは異なるものだ。ある意味で、アメリカ・イスラエル関係は今や絶頂期にあると言える。しかし別の角度から見れば、すでに破局的な衰退の時期(a period of terminal decline)に入っている。過去半世紀にわたり、いわゆる「特別な同盟関係(special alliance)」を支えてきた政治的、イデオロギー的、そして社会的な柱が崩れ始めているからだ。かつて連邦議会(Capitol Hill)において圧倒的な力を誇った「イスラエル擁護複合体(the Israel-advocacy complex)」、米イスラエル公共問題委員会(the American Israel Public Affairs Committee、AIPAC)のようなロビー団体、名誉毀損防止同盟(the Anti-Defamation League、ADL)のようなユダヤ人コミュニティ組織、そして「イスラエルのためのキリスト教徒連合(Christians United for Israel、CUFI)」のようなキリスト教シオニスト団体からなるネットワークが、今や揺らぎ始めている。極度の分極化(hyperpolarization)が進む今日の情勢下で、彼らはまず民主党内の進歩主義派から挑戦を受け、現在ではMAGA連合内の新孤立主義派からもますます強い圧力を受けている。

世論も劇的に変化した。イスラエルへの支援が国益にかなうと考えるアメリカ人は半数に満たず、パレスティナ人に対してイスラエル人よりも同情的な見方をするアメリカ人が初めて多数派となった。また、アメリカ人とイスラエル人が文化的・宗教的価値観を共有しているという前提も、もはや自明のことではなくなっている。アメリカがキリスト教的性格を薄め、多様性を増していく一方で、イスラエル社会はより伝統主義的な傾向を強め、その公共文化は内向きなものとなっている。さらに、アメリカの右派・左派双方において、反ユダヤ主義が社会の周縁(the margins)から政治の主流へと浸透し始めている。ポピュリズムが台頭するこの時代、特に若者や現状に不満を抱く人々の間では、反ユダヤ主義が反エスタブリッシュメント(anti-establishment)としての信憑性を示す証しであると見なされるようになっている。

こうした変化は、2023年10月7日のハマスによる攻撃以前からすでに進行していた。しかし、その後のイスラエルによるガザ地区の破壊、荒廃した同地への封鎖と飢餓の強要、そして占領下ヨルダン川西岸地区における入植者による暴力の激化、これら全てが2年以上にわたりソーシャルメディアでライブ配信されたのだが、これらによって、そうした変化は劇的に加速した。その結果、現代のアメリカ政治において至る所で見られる現象となった、反イスラエルの反発の波が巻き起こった。もしアメリカとイスラエルによる対イラン共同戦争がこの「特別な同盟関係」の頂点をなすものだとするならば、その後に待ち受けているのは「転落(the fall)」ということになるだろう。

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イェルサレムにおいて、イスラエルのイツハク・ラビン首相(右から2人目)が、エジプトとイスラエル間の「シナイII協定」の文書に目を通す傍ら、アメリカのヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官(右から3人目)が見守っている(1975年9月2日)

この「特別な同盟関係」は常に特別なものであった訳ではない。イスラエルを国家として承認したのはハリー・トルーマン大統領だったが、後任のドワイト・D・アイゼンハワー大統領はイスラエルに対して冷ややかだった。冷戦初期におけるアメリカの戦略的計算を狂わせることを懸念したのがその理由だ。ジョン・F・ケネディ大統領はアイゼンハワーの武器禁輸方針を転換し、アメリカ製兵器をイスラエルに供給した最初の米大統領となった。また、リチャード・ニクソン大統領(正確にはその補佐官のヘンリー・キッシンジャー)は1973年、軍事支援の緊急空輸を主導してイスラエルを救い、中東戦争における敗北の危機を回避させた。それでもなお、この関係には限界があった。ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュの各政権は、イスラエルの指導者たちに対して「ノー」と言う術を心得ていた。時には今日では衝撃を与えかねないほど強硬な言葉で、あるいは実質的な不利益をほのめかして拒絶することもあった。彼らは「イスラエル擁護複合体」を恐れることはほとんどなかった。当時の同勢力は、1990年代半ば以降に見せるような強大な影響力と比べれば、まだ「ウェルター級」程度の規模に過ぎなかったからである。

冷戦の終結は、アメリカとイスラエルの関係をより緊密なものへと変えた。もはやその関係は、世界規模の大国間の均衡(global great-power equilibrium)というアメリカのより広範な配慮によって抑制されることはなくなった。国際関係論の学者たちが「戦略的利益の共同体(community of strategic interests)」と呼ぶものが形成されたのである。イスラエルは、中東地域におけるアメリカ主導の新たな国際秩序の「執行者(enforcer)」としての役割を担うようになった。さらに「テロとの戦い(the global war on terrorism)」が開始されると、アメリカとイスラエルの利害は一段と合致するようになった。従順なアメリカのメディアが反射的に追随した論調の中で、両国の指導者は自国の利益を同一のものと位置づけ、敵対勢力、オサマ・ビン・ラディンとアルカイダであれ、ヤーセル・アラファトとパレスティナ解放機構(PLO)であれ、過激派・テロリストという「同じコインの裏表(two sides of the same radical, terrorist coin)」であると見なした。

こうした戦略的利益の重なり合いは、さらに、広く共有された「価値観」という意識によっても支えられていた。アメリカが対外的な民主政治体制の推進に乗り出したまさにその時、イスラエルの指導者たちは、イスラエルがこの地域で唯一の民主政体国家であるという独自性を誇示していた。対テロ戦争を文明間の争いという観点で捉える人々にとって、イスラエルは、ユダヤ・キリスト教的価値観に基づく西側諸国と、その敵であるイスラム主義勢力との戦いにおける最前線の防波堤であった。一方、アメリカのリベラル派は、権威主義的なアラブ政権、保守的な神権政治国家(conservative theocracies)、そしてイスラム過激派という「暗黒の海(a black sea)」に囲まれながらも、イスラエルを「開かれた社会(open society)」の模範的な存在と見なす傾向があった。ビル・クリントンからジョージ・W・ブッシュに至るまで、アメリカの対中東政策は、大西洋主義的なリベラル介入主義者(Atlanticist liberal interventionists)と、より強硬な姿勢をとるその「親戚」とも言うべきネオコン(新保守主義者)との間で、交互に主導権が争われる状況にあった。

拡大を続けるイスラエル擁護複合体にとって、当時は活動を展開するのに有利な状況だった。AIPAC(米イスラエル公共問題委員会)は、超党派でイスラエルへのほぼ全会一致の支持を取り付けることができたほか、AIPACと連携するシンクタンクは、共和党政権と民主党政権の間で人材が行き来する「回転ドア(a revolving door)」のような関係を維持していた。一方、パレスティナ人の権利を擁護する側には、それに対抗しうる組織的な基盤が欠如しており、今日とは異なり、主流メディアで作品が取り上げられるパレスティナ人作家もごくわずかだった。また、イスラエル・ロビー(the Israel lobby)の力に対する批判は、極左と極右の境界が曖昧になるような陰謀論的な言説の領域に追いやられるのが常だった。さらに、ホロコースト追悼の機運が最高潮に達していた時期(1993年にはアメリカ・ホロコースト記念博物館が開館)でもあり、「反ユダヤ主義」のレッテルを貼られることは、キャリアを終わらせかねないほど深刻な事態を招くものだった。

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ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプに対するイスラエル軍の攻撃で破壊された建物の残骸(5月19日)

ワシントンにおける超党派の合意を打ち砕いたのは、パレスティナを支持する左派ではなく、イスラエルを支持する右派だった。その転換点となったのが2015年だ。当時も現在と同じように、争点はイラン問題だった。バラク・オバマ政権が核合意の成立を目指す中、イスラエル擁護複合体は、圧倒的な人気を誇る民主党の大統領に対して「戦争(war)」を仕掛けた。AIPACは核合意阻止のロビー活動に約4000万ドルを投じた。共和党のジョン・ベイナー連邦下院議長は、大統領に事前の通知を行うことなく、ネタニヤフ首相を連邦議会上下両院合同会議での演説に招待した。この動きは、政治的意図に基づく手続き違反であり、基本的な礼節を欠く行為だと広く見なされた。演説台に立ったネタニヤフ首相は、オバマ政権が進めていた合意案について、「中東情勢を悪化させるだけだ(only change the Middle East for the worse)」と激しく非難した。

イスラエル擁護複合体による猛攻によっても、核合意を阻止することはできなかった。それどころか、彼らがそれまで辛うじて保っていた「超党派(bipartisanship)」という体裁を自ら破壊する結果となった。イスラエル支持団体は、やがて公然と共和党の一翼として機能し始めた。特にユダヤ人コミュニティの主要団体が、大多数のユダヤ系アメリカ人の見解を代表するという建前を捨て、右派の有力献金者の意向を優先するようになったことがその要因だ。トランプ政権の1期目は、イスラエルをめぐるこうした党派的分断をさらに深めることとなった。トランプは、ワシントンにあるPLO事務所の閉鎖、在イスラエル米大使館のイェルサレム移転、ゴラン高原に対するイスラエルの主権の承認など、歴代政権のどの路線よりもはるかに右寄りで、強硬かつ親イスラエル的な姿勢を取った。民主党の一般党員をイスラエルから遠ざけるという点において、トランプは、いかなる親パレスティナ活動家よりも大きな影響を及ぼしたと言えるだろう。

2015年は、イスラエルの歩みにおける転換点でもあった。激しい選挙戦の過程で、ネタニヤフは急進的な姿勢を強めていったように見えた。彼はイスラエル右派における「責任ある大人」というイメージを捨て、世界的に台頭していた権威主義的ポピュリズムのスタイルを取り入れた。それまでパレスティナとの交渉による解決(a negotiated settlement with the Palestinians)を口先だけで唱えていたネタニヤフは、領土拡大を極限まで追求する姿勢へと大きく舵を切った。2019年に汚職の容疑で起訴されると、彼は権力の座にとどまるために、なりふり構わぬ行動に出るようになった。イスラエル政界で最も極端な勢力と選挙協力関係を築き、準ファシスト的なラビであるメイル・カハネの支持者や、強硬派のメシア主義的入植者たちを容認するどころか、彼らを閣僚に据えて権限を与えた。

イスラエル国内における民主政体の後退、そしてヨルダン川西岸地区の占領深化とガザ封鎖を背景に、イスラエルのリベラル派と価値観を共有していると主張できるアメリカのリベラル派は、ごくわずかになっていた。その一方で、ネタニヤフ政権下のイスラエルしか知らない新しい世代の進歩主義派が台頭してきた。この世代はそれ以前のどの世代よりも多様性に富んでおり、南アジア、東南アジア、中東地域からの移民の子供たちが大きな割合を占めていた。彼らの多くは、親イスラエル政策というアメリカの伝統を拒絶し、イスラエルに対して反感を抱く傾向にあった。また、アメリカの政治文化の拠り所となっていた「ホロコースト(Holocaust)」という大きな物語(meta-narrative)に対しても、何の愛着も感じていなかった。アメリカのユダヤ系若者の間でも、イスラエルへの支持をユダヤ系アイデンティティの柱とすることに異議を唱える動きが広がり、中には再燃した反シオニズム運動の有力な指導者となる人も現れた。

同じ時期、ミズーリ州ファーガソンでのマイケル・ブラウン殺害事件からミネアポリスでのジョージ・フロイド殺害事件に至るまでの間、アメリカの進歩主義派は「人種問題との真剣な向き合い(racial reckoning)」を経験し、アイデンティティや権力に対する理解を劇的に変化させた。この変化は、民主党左派内におけるイスラエルをめぐる議論に大きな影響を及ぼすことになった。2016年、つまり10月7日の出来事よりずっと前の時点で、「ムーブメント・フォー・ブラック・ライヴス(Movement for Black Lives)」は政策綱領を発表し、その中でパレスティナに対するイスラエルの政策を「ジェノサイド(genocide)」と断定していた。

近年、MAGA(「アメリカを再び偉大に」)を掲げる右派の一部もまた、進歩主義派左派と同様に、アメリカ・イスラエル関係を否定する姿勢を見せ始めている。ただし、その批判の論拠は異なる。若年層やネット上の右派の一部を覆う反ユダヤ主義的な権力者共同謀議論とは別に、MAGA連合内の「抑制(restraint)」を志向する派閥に属する人々が、イスラエルに対するアメリカの支援を見直すべきだと主張し始めた。彼らは、この同盟国同士の間に共通の利益は存在しない(あるいはもはや存在しない)と主張し、イスラエルとその支持者たちが米国の外交政策決定に過大かつ不当な影響力を行使していると非難している。彼らは、ワシントンによる「帝国的管理(imperial management)」からの撤退の一環として、かつての同盟諸国へのアメリカによる援助を大幅に削減すべきだと主張しており、イスラエルとの関係だけを例外として維持すべき理由はないと考えている。

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フェニックスでのイヴェント後に保守派のコメンテーターのタッカー・カールソンと握手を交わすドナルド・トランプ前米大統領。カールソンはその後、アメリカ・イスラエル関係を厳しく批判する論客となっている(2024年10月31日)

かつての超党派による親イスラエルの合意が崩壊した今、民主・共和両党の周辺部では、新たな「反イスラエル」の合意形成が進みつつある。民主党にとって、2028年大統領選挙に向けた予備選挙は、ほぼ間違いなくイスラエルに関する「信任投票(a referendum)」の場となるだろう。活動家たちはすでに、候補者に対し、AIPACやイスラエル擁護に関わるその他の団体と距離を置くよう圧力をかける上で、大きな成果を上げている。2020年の予備選挙における合言葉が「国民皆保険制度(universal healthcare)」であったとすれば、2028年には「イスラエルへの軍事援助への条件付け、あるいは打ち切り」が同様の役割を果たすことになるだろう。左派の間では、イスラエルへの敵対姿勢、それも強硬であればあるほど、進歩主義派が関心を寄せる他の問題における信頼性を測る「リトマス試験紙(a litmus test)」となりつつある。

共和党の中では、イランとの戦争がもたらす余波次第で状況が大きく変わるだろう。もしアメリカ人が経済的・外交的な痛みを被り、その記憶が長く残るようなことになれば、イスラエルとその支持者たちがその責任を問われることになる。そのようなシナリオは、ネオアイソレイショニストや「抑制」派を勢いづかせる可能性が高い。現時点で彼らの旗振り役となっているのは、J・D・ヴァンス副大統領である。しかし、もし彼がイランをめぐる失態で傷つくようなことがあれば、その座を狙う他の人物たちが控えている。その中には、現時点では大統領選への野心が取り沙汰される程度にとどまっているものの、保守派の論客タッカー・カールソンも含まれる。また保守陣営においては、イスラエルへの軍事支援の是非も議論の俎上に載ることになるだろうが、これはMAGA支持層の多くが受け入れられる基本姿勢でもある。

それでは、こうした状況下でネタニヤフ首相の立場はどうなるのだろうか? イスラエルにとって勝ち目のない新たな支援パッケージをめぐる政治的闘争に直面するのを避けるため、ネタニヤフ首相は、いずれ実施されるアメリカの軍事支援削減を、あたかも自らの提案であるかのように位置づけ始めている。ネタニヤフは、今後10年間でイスラエルをアメリカの支援に依存しない体制へと移行させると公約した。ヘリテージ財団は、その具体的な方策を盛り込んだ提案を策定している。そこでは、アメリカ製装備品の購入時にイスラエルへ割引を適用するという現行の仕組みを、兵器技術の共同開発へと転換することが提唱されている。これは、冷戦初期にアメリカがイスラエルに対して実施していた武器禁輸措置への回帰などでは決してない。

しかし、ネタニヤフは、この「特別な同盟関係」が終焉を迎えた後のイスラエルの将来について、楽観視し過ぎているかもしれない。同盟関係を当然のものと見なしてきた彼こそが、その急速な衰退を招いた最大の責任者と言えるだろう。彼がその座を去る時、イスラエルは以前よりも厳しい状況に置かれているはずだ。

※ジョシュ・レイファー:『ハアレツ』紙コラムニスト。著書に『砕かれた石板:アメリカ・ユダヤ人の世紀の終わりとユダヤ人生活の未来(Tablets Shattered: The End of an American Jewish Century and the Future of Jewish Life)』がある。

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 古村治彦です。

 先日、江沢民(1926-2022年、96歳没)国家主席中国の国務院総理(在任:1998-2003年)を務めた朱鎔基(1928-2026年)が97歳で亡くなった。朱鎔基は1950年代にテクノクラートとなり、大躍進運動や文化大革命の時期には左遷、下放され苦しい時代を過ごし、鄧小平に見出され、改革開放政策を推進した。改革開放を推進しながら、同時に汚職に対する厳しい姿勢を示し、「100個の棺桶を用意しろ、1個は自分の分だ、残りはお前らの分だ」という厳しい啖呵を切った姿を覚えておられる方も多いだろう。

 中国を現在の地位まで引き上げた改革開放政策の主任設計者は鄧小平(1904-1997年 92歳没)だった。1979年に始まった改革開放政策は、1989年の天安門事件で頓挫しかけたが、その後、1992年に鄧小平が南巡講話を行い、路線が堅持された。1990年代から2000年代にかけての改革開放の成功は朱鎔基の剛腕に負うところが多い。

 先日、このブログでもご紹介したが、中国の正式な時代区分は、革命→社会主義建設→改革開放ということになっている。習近平時代に入って、改革開放期間は1979年から2012年ということになり、習近平が国家主席就任してからは「新時代」と規定されている。習近平時代の改革は以下のように規定されている。

(引用貼り付けはじめ)

今日の中国における改革には一連の「条件」や「前提」が伴っており、それらは実際には改革そのものよりも重要視されている。つまり、共産党の指導(CCP leadership)、質の高い発展(high-quality development)、共同富裕(common prosperity)、技術面の自立(technological self-reliance)、サプライチェインおよび産業チェインの安全保障(supply-chain and industrial-chain security)、国内循環戦略(the domestic circulation strategy)、新たな質の生産力(new quality productive forces)、そして発展と安全の調和(coordinating development and security)といった要素が優先される。まず政治的・安全保障的・国家戦略的な目標が設定され、市場はその枠組みの中で機能することが求められる(Political, security, and national strategic objectives are set first, and the market is then required to function within the boundaries set by those objectives)。

(引用貼り付け終わり)

 経済の市場志向の改革開放は定着した中で、国家の機能の強化や復活を習近平体制は目指している。これは、中国が新たな段階に進もうとしていることを示している。それは、アメリカとの対等な関係、世界のもう一つの陣営の指導的な立場の超大国としてのふるまいを行うということで、政治と安全保障、国際関係により注意を向けていくということを示している。朱鎔基の逝去は中国の新時代を印象付ける出来事ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

朱鎔基の死去は中国の急進的な改革時代の「終わりの鐘」となる(Zhu Rongji’s Death Is the Final Knell for China’s Breakneck Reform Era)

-習近平体制下では実質的な変革よりも政治と安全保障が優先されている。

デン・イーウェン筆

2026年8月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/08/14/zhu-rongji-jiang-zemin-reform-china-xi/

zhurongjijiangzemin2002001
北京で決議案の採決を行う中国の朱鎔基首相(左)と江沢民国家主席(右)(2002年11月14日)

8月17日は、2022年に96歳で死去した中国共産党の元総書記である江沢民の生誕100周年にあたる。在任中、彼は中国指導部の第3世代における「核心(core)」と公式に位置づけられていた。北京ではすでに一連の盛大な記念行事が始まっている。

そして今、江沢民と共に国政を担った朱鎔基もまた、8月12日に97歳で死去した。時期が重なったのは単なる偶然だが、このことは、2人が象徴した「猛烈な勢いで進められた改革の時代(the era of breakneck reform)」の終焉として受け止められている。

江沢民と朱鎔基は、1990年代に政権を担った中国共産党第3世代指導部における「黄金コンビ(golden partnership)」だった。2人は協力して、現代中国史上最も広範かつ抜本的な改革の時代を主導した。

もっとも、中国の改革はこの2人から始まった訳ではない。1979年に改革の時代を切り開いたのは鄧小平であり、地方改革、経済特区(special economic zones)の設置、価格改革、そして民間経済の台頭といった動きは、江沢民と朱鎔基の取り組みよりも前に始まっていた。しかし、市場志向の改革が部分的な試行段階から経済システム全体へと拡大し、計画経済(the planned economy)の色合いが濃い国から市場経済の基本機能を備えた国へと中国を急速に変貌させたのは、鄧小平による1992年の「南巡講話(southern tour」」以降、とりわけ江沢民・朱鎔基の体制下でのことだった。

朱鎔基に対する公式な追悼文には、あの時代の制度的遺産とも言える数々の成果が列挙されている。インフレの抑制、財政・税制改革の推進、金融規制システムの再構築、国有企業の再編、政府機構や住宅制度の改革、経済開放の拡大、アジア通貨危機への対応、そして世界貿易機関(WTO)への加盟などだ。今日から見れば、これらは単なる無味乾燥な政策の羅列に映るかもしれない。しかし、1990年代という文脈においては、それらは中国の経済秩序を根本から作り変えるほどの大規模な再編を意味していた。

江沢民・朱鎔基時代がこれほどの成果を上げた要因は何だったのか? 第一に挙げられるのは、市場主導型改革の方向性が極めて明確だったことだ。当時、改革が目指す方向について説明を要する余地はほとんどなかった。それは、計画経済の縮小と市場機能の拡大、行政による資源配分から価格メカニズムや競争への依存への転換を意味していた。中国共産党第14回党大会では「社会主義市場経済(socialist market economy)」の構築が正式な目標として掲げられ、続く第15回党大会では、公有制を主体としつつ多様な所有形態が共存・発展する体制が改めて確認された。今日ではこうした表現も当たり前のものに聞こえるかもしれませんが、当時は根本的な変化を告げるものだった。

江沢民・朱鎔基時代においても、所有形態に基づく差別が完全になくなった訳ではなく、国有企業は依然として強力な地位を占めていた。しかし、経済成長に占める民間企業、外資、輸出製造業の割合は拡大していった。資本が雇用や富、税収を生み出すのであれば、それが「国有」か「民間」かということは、かつてほど政治的に大きな問題とされる必要はなくなっていた。

また、中国は積極的にグローバル化を推進し、その集大成として2001年に世界貿易機関(WTO)への加盟を果たした。その根底にあったのは、中国が発展するためには世界市場に参入し、国際的なルールを受け入れ、外資・技術・経営ノウハウを導入し、さらに外部との競争を通じて国内改革を促さなければならないという考え方だった。

改革派は迅速に行動し、極めて困難な課題にも果敢に取り組んだ。価格、企業、住宅、雇用、金融、税制、貿易といった難題に対し、改革は同時並行で進められた。労働単位制度(work unit system)や西側諸国経済との関係など、長らく困難あるいは政治的にデリケートすぎると見なされていた問題にも、正面から取り組んだ。単なる小手先の修正にとどまらず、改革派は経済の機能する仕組みそのものを直接的に変革した。

その過程では、甚大な社会的痛みを甘受した。その最も顕著な例が、国有企業の再編とそれに伴う大量解雇だ。数千万人に上る国有企業の労働者が解雇されたり民間部門へ移されたりし、その多くが福利厚生などの既得権益を失った。同時に、赤字を抱える多数の企業が閉鎖、合併、あるいは再編の対象となった。新たな市場システムを構築するためであれば、短期的かつ極めて深刻な社会的コストを支払うことも正当化されるというのが、この時代の基本的な論理だった。

「効率が最優先、公平は考慮する(Efficiency first, with due consideration to fairness)」という方針は、単なるスローガンにとどまらなかった。それは一つの発展の論理そのものを体現するものだった。すなわち、一部の地域や人々を先行して豊かにし、格差の拡大を容認し、成長によってさらなる資源を生み出し、分配の問題は後回しにする、というものだ。この方法は急速な成長をもたらしたが、同時に深刻な問題も引き起こした。格差の拡大(widening inequality)、汚職(corruption)、構造改革が原因の失業(unemployment caused by restructuring)、そして年金・医療・労働者の権利など多くの分野における適切な社会保障の欠如(a lack of proper social protections in pensions, health care, labor rights, and many other areas.)などだ。

中国共産党の視点から見ておそらく最も重要な要素は、強力な政府が市場化を「代替」するのではなく、むしろ市場化を「推進」するために利用されたという点にある。国家は自らの能力を弱めることはしなかった。それどころか、まず中央の財政力、金融監督、マクロ経済管理の機能を強化し、その強化された行政能力を行使して市場改革を推し進めた。中央政府が歳入のより大きな割合を確保するようになった1994年の「分税制改革」(the 1994 tax-sharing reform)は、その典型的な例と言える。

江沢民・朱鎔基の時代においても政治は確かに重要でしたが、経済政策立案の議論においては、成長、効率性、インフレ、為替レート、財政政策、金融、産業構造、国際競争力といった要素がはるかに重視された。朱鎔基自身、専門的な知見、データ、制度設計、そして行政的な実行力を重んじるテクノクラート(技術官僚)世代の統治スタイルを体現していた。当時、経済問題を解決する官僚の能力は、政治的な評価において大きな比重を占めていた。

経済改革が急速に進展する一方で、政治改革はそれに追いつくことができなかった。市場が拡大し、社会が多様化し、個人がより大きな経済的自由を手にするようになったにもかかわらず、政治権力の構造はそれに見合う形で変化することはなかった。こうして江沢民・朱鎔基時代は、市場志向を強める経済と、高度に中央集権的なままの政治体制という、際立った組み合わせを生み出すこととなった。

もちろん、今日の北京でも改革は絶えず議論されている。中国共産党の「三中全会」は「改革のさらなる全面的深化」を求め、第15次五カ年計画や2026年の政府活動報告も同様に、統一国内市場の構築、民間経済の振興、財政・金融改革、そしてさらなる対外開放を強調している。

今日の中国における改革には一連の「条件」や「前提」が伴っており、それらは実際には改革そのものよりも重要視されている。つまり、共産党の指導(CCP leadership)、質の高い発展(high-quality development)、共同富裕(common prosperity)、技術面の自立(technological self-reliance)、サプライチェインおよび産業チェインの安全保障(supply-chain and industrial-chain security)、国内循環戦略(the domestic circulation strategy)、新たな質の生産力(new quality productive forces)、そして発展と安全の調和(coordinating development and security)といった要素が優先される。まず政治的・安全保障的・国家戦略的な目標が設定され、市場はその枠組みの中で機能することが求められる(Political, security, and national strategic objectives are set first, and the market is then required to function within the boundaries set by those objectives)。

江沢民・朱鎔基時代における改革とは、概して、それまで政府が統制していたものを市場へと移管し、比較的閉鎖的だった中国経済を世界へと押し出し、個人や企業を旧来の制度的制約から解放することを意味していた。一方、今日の改革が意味するのは、国家による市場の再編、資本の誘導、技術資源の配分、自律的な産業システムの構築、そして経済のダイナミズムを維持しつつも制御可能な状態を保つことだ。

江沢民・朱鎔基時代は、今となっては想像しがたい時代だった。当時の与党は旧来の経済的領域から繰り返し後退し、市場や社会の力が急速に拡大することを容認していた。そして、中国が開放と改革を続ければ、発展に伴う問題の大部分はやがて解決できると信じていた。

その時代は多大な成果を生み出したが、同時に多大な代償も伴った。決して「黄金時代(a golden age)」ではなかった。しかし、ある時代を懐かしく思う気持ちは、その時代がいかに素晴らしかったかということよりも、むしろ「その後に何が続いたか」によって左右されることがある。

※デン・イーウェン:中国の作家・学者。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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