古村治彦です。
昨年出した拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年)で、シリコンヴァレーを拠点とした「新・軍産複合体(Neo Military-Industrial Complex)」が作られているということを明らかにした。私がアメリカで新・軍産複合体の形成が進んでいるということを本として発表したのは、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(終話システム、2021年)からだ。それから数年が経過し、その姿が明らかになりつつある。書籍へのリンクはページの下にあるので、そこで是非お買い上げいただき、お読みください。
新・軍産複合体は戦車やミサイル、戦闘機ではなく、ドローンとソフトウェア、AIが主力製品である。そして、アメリカ国家も大きな防衛システムにテック産業を中心に参画させようとしている。それが、ドナルド・トランプ大統領がぶち上げた「ゴールデンドーム計画」である。これは、アメリカの国全体を1つのドームで覆うようにして(物理的にではなく)、防衛システムを構築するということであり、そのためにはビッグデータ解析などのプログラムが必要になる。そこに、トランプ大統領を支持し、2016年の大統領選挙で当選させたピーター・ティールのパランティア社やトランプと就かず離れずの盟友イーロン・マスクのスペースX社、VR開発の若き天才と称賛され、ティールやマスクの支援を受けてドローン開発企業を立ち上げ成功したパルマー・ラッキーのアンドゥリル社が参画することがすでに決まっている。
先週、ピート・ヘグセス国防長官が現役将校を前にした演説(「軍の現状」という題名)を行い、」その中で、将官クラスの人員を20%削減するという内容があり、日本でも報道された。重要なことは、「プロジェクト・メリディアン(経線、子午線の意味)」の立ち上げを発表したことだ。これは、自律型(AI)兵器や最先端技術の兵器利用の開発・試験。実践配備のための大枠を答申することを目的としている。
このプロジェクトの共同座長に、イーロン・マスク、パルマー・ラッキー、そして、ニュート・ギングリッジ元連邦下院議長が就任し、120日後に報告書を発表するといとになった。マスクとラッキーについては繰り返さないが、ギングリッジは下院議長を退いて長いが、アメリカ政界に隠然たる影響力を保持している。共同座長にマスクとラッキーが任命されていることの意味は大きい。なぜならば、アメリカ軍と共同で兵器開発やソフトウェア開発を行うのは彼らの創業した企業群であり、そこにはピーター・ティールのパランティア社も絡んでくるのは理の当然だからだ。ここから「自律型戦軍」が立ち上がると、マスクやラッキーの影響力も大きく働く部隊が誕生するということになる。シリコンヴァレーのテック企業が国家プロジェクトに参画し、大きな利益を得る。それが新・軍産複合体の構造ということになる。
シリコンヴァレーの起業家たちはリバータリアンと呼ばれる、市場と自由を至上とし、国家の介入を嫌う、国家に関わることを嫌うとされてきた。しかし、実際には国家と深く結びつくことで技術開発を進め、巨額の利益を得るという形になっている。新自由主義時代の次は国家の時代が戻ってくる。それをシリコンヴァレーが先取りしていると言えるだろう。
(貼り付けはじめ)
ピート・ヘグセス国防長官が軍事兵器開発プロジェクトにイーロン・マスクを起用(Pete
Hegseth Taps Elon Musk For Military Weapons Development Project)
アントニオ・ペケーノ四世(『フォーブス』誌スタッフ、テック産業などの特報担当ニューズ記者)筆
2026年9月30日
『フォーブス』誌
https://www.forbes.com/sites/antoniopequenoiv/2026/09/30/pete-hegseth-taps-elon-musk-for-military-weapons-development-project/
●重要事項(Topline)
ピート・ヘグセス国防長官は、スペースX社の経営者であるイーロン・マスクを「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian[子午線・経線・頂点の意味])」の共同リーダーに指名した。この億万長者である実業家は、アメリカ軍向けの新たな兵器や技術の開発について調査・特定・提案を行うこの新イニシアティヴにおいて、主導的な役割を担うことになる。
●重要な事実(Key Facts)
・ヘグセス長官は、マスクが、アンドゥリル(Anduril)社およびオキュラス(Oculus)社の共同創業者であるパルマー・ラッキー、そして、元連邦下院議長ニュート・ギングリッチ(ジョージア州選出、共和党)と共に、このプロジェクトを共同で主導する。
・「プロジェクト・メリディアン」の立ち上げに関する覚書には、このプロジェクトが「将来の戦場を研究し」、アメリカ軍将兵が「そうした環境で優位に立つ」ための兵器や技術を特定し、さらに「それらの能力の開発、試験、実戦配備を開始する(start developing, testing and fielding these capabilities)」ための解決策を提案すると記されている。
・覚書の中でマスクの名は明示されていないが、「プロジェクト・メリディアン」は「国防総省外の重要な視点を活用し、トップクラスの技術者、イノヴェーター、ビジネスリーダー、政策立案者、国家安全保障の専門家からなるグループの知見を取り入れる」としている。
・このプロジェクトの調査結果と提言は2027年1月28日までにヘグセス長官のオフィスへ提出される予定だ。
●注目すべきポイント(What To Watch For)
アメリカ国防総省のウェブサイトによると、このプロジェクトの提言は、機密指定されていない報告書として一般に公開される予定だ。
●重要な背景(Key Background)
国防総省によるこのプロジェクトは、昨年「政府効率化省(Department of
Government Efficiency、DOGE)」を率いたことに続く、マスクとトランプ政権との新たな関わりを示すものとなる。DOGEにおいて、マスクは「特別政府職員」として組織を主導したが、法的に定められた130日間の任期満了をもって退任した。「プロジェクト・メリディアン」におけるマスクの役割は、公式な役職というよりは、むしろ助言を行う立場に近いものと見られる。マスクは2024年の大統領選挙でドナルド・トランプを支持・献金し、トランプの2期目の初期には自ら「親密な相棒(First Buddy、ファースト・バディ)」という呼称を受け入れていた。しかし、連邦財政赤字を拡大させると主張してトランプの「一つの美しい予算案(Big Beautiful Bill)」を激しく批判したことで、両者の関係は決裂した。マスクが新党結成を示唆し、さらにこの予算案への批判を続けたのに対し、トランプはテスラ社やスペースX社への連邦補助金を打ち切ると警告した。両者の対立は2025年6月に決定的となった。当時、マスクは未公開の「エプスタイン文書」にトランプの名前が含まれており、それこそが文書が公開されない理由だと主張した。その後、両者の関係は修復に向かい、今週ホワイトハウスで開催されたハイテク・サミットでは、マスクが重要な役割を果たした。このサミットは、人工知能(AI)とそれが人類にもたらす短期的な存続の危機に対する懸念が高まる中で開催された。
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ニュート・ギングリッチが国防総省の「将来の戦争」に関する120日間のタスクフォースで共同リーダーに指名される(Newt Gingrich Tapped by Pentagon to Co-Lead 120-Day Future of
Warfare Task Force)
コリン・ラッグ筆
2026年10月1日
『コリン・ラッグ・ニューズ』
https://www.collinruggnews.com/newt-gingrich-tapped-by-pentagon-to-co-lead-120-day-future-of-warfare-task-force/
この戦略パネルは、21世紀型の防衛能力を開発・試験・実戦配備するための、実行可能な提言をまとめることを目指している。ヘグセス長官は、軍事戦略の抜本的な見直しの一環としてこの諮問プロジェクトを立ち上げ、ロボット工学、人工知能(AI)、最先端の作戦用ハードウェアを軍がどのように運用すべきか、そのあり方を再構築する任務を民間出身のリーダーたちに託した。
「プロジェクト・メリディアンは、イーロン・マスク、パルマ―・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチという、我が国屈指の英知を持つ3名によって共同主導される」。
●プロジェクト・メリディアンの内部:現代の戦闘に向けた120日間の青写真(Inside
Project Meridian: The 120-Day Blueprint for Modern Combat)
「プロジェクト・メリディアン」の使命は、高強度紛争においてアメリカ軍が直面し得る具体的な作戦上のギャップを特定することにある。単なる理論的な研究にとどまらず、この諮問グループは即座に実行可能な導入プロセスを確立しなければならない。ヘグセス長官は、この委員会が全軍にわたり重要技術を試験・実戦配備するための実行可能な計画案を提示し、最終的に包括的な公開報告書と機密扱いの付録を作成することになると述べた。
このタスクフォースは、軍の指揮系統における大規模な構造改革と並行して活動する。ヘグセス長官は、戦闘軍全体にロボット・自律型システムを迅速に展開・拡大させることを目的に、「Autowarcom(オートウォーコム)」と称される新たな4つ星大将級の統合戦闘軍「自律型戦軍」を創設した。これにより、自律型システムに関するドクトリンが、高レヴェルの戦闘計画策定に直接組み込まれることになる。
●何故ギングリッチなのか? 政策のヴェテランがテック業界の巨人たちに合流(Why
Gingrich? Policy Veteran Joins Tech Industry Giants)
イーロン・マスクやパルマー・ラッキーといったテック業界の有力者が、スペースX社やアンドゥリル・インダストリーズ社(両社とも国防総省と最大41億6000万ドル規模の契約を締結)を通じて防衛産業で大きな存在感を示す一方で、ニュート・ギングリッチは、数十年にわたる国家安全保障戦略および連邦議会工作の経験をもたらしている。ギングリッチはテック業界との直接的なビジネス上のつながりこそないが、軍事政策や防衛プロジェクトには長年関与し続けており、空軍大学(Air University)から名誉博士号も授与されている。
ギングリッチは長年にわたり、積極的な外交政策の姿勢を提唱してきた。その一例として、2005年当時からイランの脅威に対して一貫して厳しい態度を取ってきたことが挙げられる。ギングリッジが加わることで、政治・ドクトリン面での経験と民間セクターの迅速な開発能力が融合し、政策面での実績と商業的な製造力がバランスよく組み合わされることになる。
●防衛技術の優先順位をめぐるバランス調整(Balancing Defense Tech
Priorities)
国防総省が防衛生産、ソフトウェア統合、無人プラットフォームのあり方を検討する中、このイニシアティヴは極めて重要な戦略的バランスの調整を迫られている。
・実戦配備の迅速化:数年を要する調達サイクルを短縮し、最前線の戦闘員向けに迅速な試作・実証(prototyping)を行う。
・自律型システムの大量展開:陸・海・空にまたがる多正面紛争シナリオに対応するため、自律型ハードウェアを大量に配備する。
・宇宙・サイバー領域での優位性確保:通信やリアルタイムの標的捕捉を支える軌道上での作戦上の優位性を維持する。
●再編をめぐる対立:文民改革派 vs. 軍上層部The Restructuring Divide: Civilian Reformers vs. Senior Brass
国防総省の主要な見直しは常に職業軍人が主導するものだという誤解が広く存在しますが、「プロジェクト・メリディアン」はこの前例を覆すものだ。共同リーダー3名はいずれも現役軍人としての経歴を持たず、ギングリッチはヴェトナム戦争時に学生および父親であることを理由とした徴兵猶予を受けており、マスクとラッキーは民間産業を通じて影響力を築いてきた。
今回の任命は、国防総省全体で大規模な組織・人員削減が進められる中で行われた。ヘグセスは、軍の将官(陸・空・海兵隊の将軍および海軍の提督)のポスト約800のうち20%を1月までに削減する計画を発表した。これは当初示唆されていた10%削減の倍にあたる。ヘグセスは、こうした将官の整理・削減は、肥大化した官僚機構や重複する階層を排除し、作戦上のヴィジョンを民間セクターのイノヴェーターや信頼できる政治家へと転換するために不可欠であると説明している。
■ニュート・ギングリッチ:防衛政策のドクトリン、長期的地政学戦略、そして、立法・行政間の連携調整
■イーロン・マスク:民間ロケット打ち上げシステム、宇宙領域での作戦、および軌道上防衛インフラ
■パルマ―・ラッキー:自律型兵器システム、AI搭載戦闘プラットフォーム、および巡航ミサイルの拡張可能な生産体制
提言策定までの期間はわずか120日間であり、ギングリッチをはじめとする共同リーダーたちは、1月に予定される指揮官ポストの削減が実施される前に、軍の近代化の優先順位を抜本的に見直すという極めて厳しいスケジュールに直面している。
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ピート・ヘグセス国防長官による将校への演説から得られる7つのポイント:戦争の未来、信仰、そして新たな地盤(7 takeaways from Hegseth’s address to officers: Warfare’s future,
faith and a new base)
フィリプ・ティモティジャ、エレン・ミッチェル筆
2026年9月30日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/defense/6121765-pete-hegseth-takeaways-command-warfare-base/
ピート・ヘグセス国防長官は水曜日、現役の将校たちに向けた広範な演説の中で、矢継ぎ早にいくつかの発表を行った。
演説の冒頭、長官は自身の「十八番(bread and butter)」とも言えるテーマに終始した。すなわち、文化戦争(culture-war)をめぐる不満の表明、国防総省(DOD)からの「ウォーク(woke:社会正義や多様性に過度に配慮する姿勢)」の排除、イランとの戦争に関する報道をめぐるメディアへの批判、そして「戦士精神(warrior ethos)」の復活とアメリカ軍の「再建(rebuilt)」の宣言だ。
しかし一方で、長官は注目すべき発表もいくつか行った。それらは、信仰を重視する自身の姿勢を反映したものや、新たな戦闘軍(combatant command)の創設、大学との連携、そして各州知事が誘致を競い合うことになるであろう国内の新規軍事基地の構想などが含まれていた。
ヴァージニア州クワンティコ海兵隊基地で行われたヘグセス長官の52分間にわたる演説の要点は以下の通りだ。
(1)自律型戦闘に特化した新たな統合軍(New combatant command
focused on autonomous warfare)
ヘグセス長官は、ドローンや防衛用ロボット技術といった自律型戦闘能力(autonomous
warfare)の開発に特化した、新たな4つ星大将が指揮する戦闘軍の創設を発表した。
ヘグセス長官によると、この組織は「現代の軍事史上、平時における最も迅速な転換」として、戦闘軍全体に自律型・ロボット技術の能力を拡大・展開するための「軍種(陸・海・空軍など)に匹敵する権限」を持つことになる。運用開始は来年10月1日を目指している。
「自律型戦闘軍」、通称「AutoWarCom(オートウォーコム)」は、当初、元海兵隊員で現在は国防総省の「国防イノヴェーション・ユニット(Defense Innovation Unit、DIU)」を率いるオーウェン・ウェストと、海軍特殊部隊SEALsの上級曹長であるマックス・ストラサイザーが主導する。その後、4つ星大将の指揮官が発表される予定だ。
「この司令部は、専任の人員、予算、調達権限を有し、将校および下士官・兵のための専門的な軍務キャリアパスを構築することになる」と、ヘグセスは水曜日の覚書で述べた。
ヘグセス長官は覚書の中で、この新しい司令部が演習や過酷な環境下で「現実的な対抗勢力(realistic
opposition)」を相手に装備や部隊編成の試験を行い、戦場で何が有効かを見極めることになると説明した。
(2)「プロジェクト・メリディアン」と戦争の未来(Project Meridian
and warfare’s future)
ヘグセス長官は、戦争の未来を検討する国防総省の新たな取り組み「プロジェクト・メリディアン」を、スペースX社およびxAI社のCEOであるイーロン・マスク、アンドゥリル社の共同創業者パルマー・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチ元連邦下院議長(ジョージア州選出、共和党)が主導することを明らかにした。
ヘグセス長官は、このプロジェクトの目的は、アメリカのイノヴェーター、上級指導者、技術者らの力を結集し、数十年先を見据えて「明日の紛争に向けた独創的な解決策を予測すること」にあると述べた。
「意図的に未来志向のものにしている」とヘグセスはこのプロジェクトについて語り、新たな戦略や政策を策定するためのものではないことを明確にした。
「将来の紛争を最も的確に予測できる人々が、必ずしも国防総省内にいる訳ではないということを認める謙虚さを持つべきだ」とヘグセスは述べた。「自ら問いを立て、自らそれに答えることには、明白なバイアスやリスクが伴うからだ」。
ヘグセス長官によると、マスク、ラッキー、ギングリッチは、エミール・マイケル国防次官(研究・工学担当)の指揮の下、「地下から月の彼方に至るあらゆる将来の戦場において、私たちの子供や孫の世代が必要とする兵器やシステムを、創造的な制約や制限にとらわれることなく発見、開発、実戦配備すること」に注力することになる。
ヘグセス長官が発表を行った際、これら3人の男性は全員ペンタゴン(米国防総省)に同席しており、ヘグセス長官は「プロジェクト・メリディアン」に関する最初の会合を、このイヴェントの直後に同省内の機密情報取扱施設(SCIF)で行うと述べた。
(3)各州に対して「次なる偉大なアメリカ軍基地」の誘致を求める(States
invited to bid for ‘next great American’ base)
ヘグセスは各州知事に対し、「次なる偉大なアメリカ軍基地」の受け入れ先となるための誘致提案を行うよう呼びかけた。
「我々は全米の知事および州兵総監に対し、この偉大な共和国のために立ち上がり、最高の提案を提示するよう呼びかける」とヘグセス国防長官は述べた。
「もしもあたなの州が、1万5000人から2万5000人の偉大なアメリカ軍将兵を受け入れる名誉を望むなら、その理由と具体的な実現方法を示して欲しい。煩雑な手続きを排除し、用地を提供し、軍人の家族を最大限に歓迎する体制を整える」と、彼は演説の中で語った。
ワシントン州のエヴェレット海軍基地は1990年代に開設された、アメリカ国内で最後に建設された基地である。この基地には、複数の誘導ミサイル駆逐艦や沿岸警備隊の艦船が配備されている。
ヘグセス長官は、新しい基地は「無機質な政府施設」にはならないと述べ、ペンタゴンは「ダイナミックかつ自立した戦力投射の拠点」を計画・設計していくと主張した。
ペンタゴンによると、この基地は商用電力網から独立し、独自の発電設備、自律型システム、高度な防空機能を備えたものになるということだ。
「自家発電、近代的な防空システム、最先端技術を備えた、数十万エーカー(数千平方キロメートル)規模の施設だ。まさに要塞(fortress)だと考えていただきたい」とヘグセス長官は語った。将兵には「最高級の兵舎や世界水準の訓練施設」が提供され、その家族には「質の高い住宅、学校、保育、医療施設を備えた活気あるコミュニティ」が用意されることになる。
ヘグセス長官は、国防総省のエネルギー・施設・環境担当次官補であるデール・R・マークスに対し、国防総省が進める基地の最適地の特定、評価、選定、および準備に向けた取り組みを主導するよう指示した。
「破壊的技術の急速な進歩、対等な敵対国間での戦略的連携の強化、そして国防や国土の重要インフラに対する執拗かつ巧妙なサイバー攻撃の継続、これらにより、現代的かつ強靭な態勢の構築が不可欠となっている」とヘグセス長官は水曜日の覚書で述べた。
(4)基地を民間送電網から切り離す「フォートレス・アメリカ」構想(‘Fortress
America’ takes bases off civilian grid)
水曜日に明らかにされたもう1つの新たな取り組みが「要塞化されたアメリカ(Fortress
America、フォートレス・アメリカ)」構想である。ヘグセス長官はこの構想について、「アメリカ本土のための国家的な保険(a national insurance policy for the American homeland)」になると主張した。
「フォートレス(Fortress)」とは、「強靭性、部隊リソース、エネルギー供給、生存性のための連邦業務(Federal Operations for Resilience, Troop Resources, Energy Supply
and Survivability)」の頭文字をとったものであり、ヘグセス長官によれば、この構想の下ではアメリカ内の全ての主要軍事施設が、民間の送電網から独立して独自の電力を供給することになるという。
「敵対勢力がサイバー攻撃や破壊工作、あるいはその他の手段で送電網を停止させたとしても、私たちの基地の明かりは消えない。航空機は飛び続け、指揮センターの機能が停止することもない」とヘグセス長官は語った。
この取り組みはまた、レアアース(希土類)、特殊金属、半導体、推進剤といった重要なサプライチェインを国内回帰させることも意図している。これらは全て「アメリカで採掘され、米国で精製され、米国の労働者によって米国で製造される」ものとなる。
加えて、ヘグセス長官は、弾薬、燃料、医薬品、血液といった極めて重要な物資について、国防総省が戦略的備蓄を積み増すと述べた。その備蓄量は、「世界の供給網が寸断されたとしても、実際の戦争では間違いなく寸断されるものだが、アメリカが戦い続けられるほど十分な規模」にするという。
これを実現するため、ヘグセス長官は、アメリカ軍が「アメリカ国内のあらゆる施設をサイバー侵入、破壊工作、ドローン攻撃に対して強靭化し(hardening)、高地や電波領域、衛星、周波数帯といった優位性を確保している」と語り、国防総省こそが「国家全体の保険(the insurance policy for the entire nation)」になるだろうと主張した。
(5)士官候補生のための非アイヴィーリーグ大学と連携(New non-Ivy
League partnerships for cadets)
ヘグセス国防長官はまた、士官候補生の層を拡大するために、新たに5つの大学と提携すると発表した。
「アメリカズ・コア・オブ・カデッツ(America’s Corps of Cadets)」と呼ばれるこの軍事訓練プログラムには、ルイジアナ州立大学、リバティ大学、タスキーギ大学、ミシシッピ州立大学、ヒルズデール・カレッジが参加する。
ヘグセス長官は、「私たちには、士官学校や上級軍事大学といった教育機関から輩出される士官がさらに必要であり、今日、それを実現する」と述べた。
ヘグセス長官によれば、各校は「卓越した軍事大学(distinguished
military college)」として位置づけられ、「士官候補生の規律、戦術教育、軍事組織のあり方において、極めて高い水準を維持すること」が求められるという。
アメリカ軍の士官の多くは、陸軍士官学校(ウェストポイント)、海軍兵学校(アナポリス)、空軍士官学校といった士官学校から任官しており、テキサスA&M大学やシタデル(サウスカロライナ州の軍事大学)などの上級軍事大学がそれに続いている。
水曜日に公表された国防総省の覚書によると、ヘグセス長官のオフィスは30日以内に実施に着手し、4カ月以内には、アンソニー・タタ国防次官(人事・即応担当)がこのプログラムの主導的な担当部署へと移行することになる。
「アイヴィーリーグからリベラルアーツ・カレッジに至るまで、私たちの大学は、反米的かつDEI(多様性・公平性・包摂性)を崇拝する『ウォーク(Woke)』思想の工場(anti-American DEI [diversity,
equity and inclusion] worshipping woke factories)と化してしまった。不屈の精神や勇気といった資質は、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)や社会正義に取って代わられた」とヘグセス氏は述べた。「神と国家は、チェ・ゲバラやクリティカル・セオリー(批判理論)と置き換えされたのだ」。
(6)宗教問題担当室の設置(Creates Office of Religious
Affairs)
ヘグセス長官は最後の宣言の中で、国防総省内に「トップに直属する」宗教問題担当室を設置すると表明した。
「最先端技術、新たな基地や駐留体制、そしてより優れた教育の仕組み、これらは全て、私たちの共和国にとって最も不可欠な要素である『信仰(faith)』がなければ不完全なものに過ぎない」とヘグセス長官は集まった軍人たちに語りかけた。
ヘグセス長官は、部隊がどこに派遣されようとも「最高水準の宗教的支援(first-class
religious support)」を提供することは国防総省の「神聖な責務(a sacred duty)」であると述べ、この問題を二の次として扱ってきた過去の政権を厳しく批判した。
「ポリティカル・コレクトネスや世俗的ヒューマニズムは発言権を得たが、従軍牧師(chaplains)はそうではなかった。予算は削減され、資源や人員の必要性は無視され、基地内の礼拝所は荒廃した」とヘグセス長官は主張した。「信仰や宗教に関する決定は、個室にこもる世俗的なキャリア官僚や、お役所仕事の規則を振りかざす弁護士たちによってなされてきた」。
ヘグセス長官は、水曜日から「宗教問題担当室(Office of Religious
Affairs)」が「長官への直通ルート」を持つことになり、この部局は「予算の確保、インフラ整備の要求、そして宗教的支援の強化」を行うことになると述べた。
ヘグセス長官は頻繁に自身の信仰について言及しており、軍人の精神的な健康は、身体的・精神的な健康と「同等に重要である」と明言している。
ヘグセス長官は今年初め、アメリカ軍の従軍聖職者団(Chaplain Corps)の制度を刷新し、聖職者である将校が階級章を着用するのを廃止し、代わりに自身の宗教的所属を示す記章を着用すると発表した。これは従軍聖職者団組織に対する2つの大きな変更点の1つだ。
(7)ヘグセス長官が将官の削減を擁護(Hegseth defends officer
cuts)
演説の冒頭で、ヘグセス長官は国防総省における将官(陸軍・空軍の将官および海軍の提督)の20%を削減するという自身の計画を擁護し、国防総省においてこの大規模な刷新は長らく必要とされていたものだと主張した。
「メディアはこれを粛清(a purge)と呼ぶが、私はこれを説明責任(accountability)であり、長らく遅れていた措置、率直に言えば、最低限必要なことだと捉えている。いつものことだが、メディアが非難の言葉として投げかけるものを、私はむしろ成果(an accomplishment)として誇りに思っている」とヘグセス長官は述べた。
ヘグセス長官は「私は申し上げたい、その組織文化を助長してきた当の本人たちを使って、文化を変えることなどできない。どの階層においても、人事はすなわち政策そのものなのだ」と語った。
この動きは陸軍、海軍、空軍の全軍にわたる上級幹部職に影響を及ぼすものであり、ヘグセス長官が将官の数を10%削減する措置を主導してから1年を経て実施されるものとなる。
彼はすでに各軍種にわたり20人以上の高級将校を解任または退任に追い込んでおり、こうした人事異動は、与野党双方の連邦議会議員に動揺を与えている。
ヘグセス長官は演説の中で次のように述べた。「昨年の演説は、あの将軍たちに向けたものではなかった。あれはあなた方、つまり私たちの軍の屋台骨であり、最前線に立つ現在および将来のリーダーたちに向けたものだった」
(貼り付け終わり)
(終わり)

『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』









