ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、バイデン副大統領の大統領選挙出馬に対する期待と失望の声が交錯しているという記事をご紹介します。

 

 バイデンがヒラリーとの違いを明らかにするためには、国内政策ではほぼ違いはないのですから、外交政策での違いを強調しなければなりません。そうなると、オバマ路線の継承となります。これは副大統領だったのですから当然のことです。しかし、個のオバマ路線、現実主義は、アメリカの偉大な力を使わずに逃げ回っているように見えて、人気がないことは前回書きました。これを売りにしてしまうと、バイデンは人気を得ることが出来ずに敗退してしまうことになるでしょう。また、バーニー・サンダースとの争いでも消耗してしまうことになるでしょう。

 

 こうした包囲網を敷かれた閉塞状況を打破するためには、思い切った新機軸を打ち出すことが必要で、これに手間取っていると思われます。また、ベンガジ委員会でのヒラリーの公開証言が今週木曜日に行われますが、この時に何かが起きることを待っているのではないかと思われます。今週末が大きな山場となります。

 加筆します。この記事は数日前に準備をしたものです。本日、バイデンは大統領選挙への不出馬を表明しました。この記事にもあるような、バイデン包囲網はかなりきついものになっていました。

 

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バイデンは決断を下そうとしているが、疑いは深まっている(Biden closes in on decision, but doubts multiply

 

ニアール・スタネイジ筆

2015年10月15日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/257104-reports-biden-closes-in-on-decision

 

ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙に出馬するかどうかの決断を下そうとしている。

 

CNNは木曜日午後遅く、バイデンの家族は副大統領の大統領選挙出馬に賛成したと報じた。また、NBCニュースは、匿名の人物に発言を紹介しながら、バイデンが政界を揺るがすような質問に答えるための「最終段階」にあると報じた。

 

 しかしながら、バイデンが大統領選挙に出馬しないだろうという疑いの声は数日前から大きくなっている。木曜日の夜にラスヴェガスで行われた最初の討論会でヒラリー・クリントンが成功したことを受けて、バイデンに対する悲観論が大きくなってきている。

 

 ヒラリーが国務長官在任時に個人的なEメールアドレスとサーヴァーを使用したことが大統領にふさわしくないという考えから、バイデンが大統領選挙に出馬することになるという主張がなされるようになった。大統領選挙でヒラリーは勝てないだろうから、バイデンが出るべきだと考える人たちが増えていったのだ。

 

 しかし、ヒラリーは民主党内部のこうした懸念を抑え込んだ。そのために、バイデンに対する期待はしぼんでしまっている。

 

 民主党への大口献金者の一人は、『ザ・ヒル』誌の取材に対して、バイデンとバイデンの側近たちに対して、待ちくたびれた、出馬を検討するのに長い時間を使いすぎたということを伝えている人々がいると語った。

 

 この人物は次のように語った。「数週間前であれば、私もこうしたことを言わなかったでしょうが、ドアはもう閉まってしまっていると私は考えます。ヒラリーの討論会の成功の後にドアは閉まってしまったようです」。

 

 彼は続けて次のように語った。「彼に決断を促す声は出ていますが、少し遅すぎたと思います」。

 

 バイデンは出馬を決断すべき時だ、とする声の中で最も大きなものは、ヒラリー陣営の最高幹部、選挙対策本部委員長のジョン・ポデスタのものであった。

 

 ポデスタは水曜日、MSNBCのアンドレア・ミッチェルの取材に対して、「今はもう決断の時だ」と答えた。

 

 民主党内部では、バイデンの出馬に果たして大義名分が立つのかどうかを懸念する声が広がっている。バイデンはヒラリーと中道左派的な立場を共有している。その点ではリベラリズムを掲げて対抗しているバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)よりも近い立場にある。それなのにヒラリーを倒すために選挙に出馬するのに大義名分が立つのかという声が出ているのだ。

 

 民主党のコンサルタントであるヒラリー・ローゼンは『ザ・ヒル』誌の取材に対して、民主党員と支持者たちは、バイデンが出馬することを望んでいる、なぜならそれは「彼が選挙戦について正々堂々と戦うという考えを持っているからだ。彼はヒラリー・クリントンがつまらないことで躓くことを望んでいないのだ」と答えた。

 

 バイデンが出馬を決めて選挙運動をして、勝つための時間がのこっているだろうかという質問に対して、ローゼンは「もちろん、しかし、窓は閉まりつつある。私は、問題は2つあると考えている。1つは兵站の問題。彼が決断を遅らせれば遅らせるほど、支持を減らしてしまう。もう1つは彼の目指す大統領像を明確に示すことだ」。

 

 バイデン周辺と付き合いがある、匿名のあるストラティジストはローゼンよりも厳しい現状認識を示した。

 

このストラティジストは「彼のための道は残っていないと思う。これが問題だ」と述べた。

 

 木曜日の段階で、マスコミはバイデンが大統領選挙への出馬寸前であるという報道をするなど揺れ動いていた。CNNは、バイデン自身が予備選挙や党員集会が最初に行われる3州それぞれを拠点にしているストラティジストたちに電話をかけ、「選挙戦に出るか出ないかではなく、選挙戦をどのように始めたら良いかを聞きたい」と話したと報じた。

 

 CNNはまた、「バイデンが複数のストラティジストに電話をかけたということは、家族が出馬に賛成しているのだ」と報じた。家族の意向はバイデンと側近たちにとって極めて重要だ。今年5月にバイデンの息子ボウが脳腫瘍のために亡くなり、家族はその痛手を抱えている。

 

 現在のところ、バイデン自身も含めて、誰も彼がどうするか分かっていない状況だ。

 

 NBCニュースのクリスティン・ウォーカーは木曜日、副大統領官邸で韓国大統領を迎える式典に出席したバイデンに対していくつかの質問をした。ウォーカーは離れた場所にいたために叫ぶことになった。

 

ウォーカーはまず、大統領選挙に出馬するのかと質問した。それに対して、バイデンは「それには韓国語で答えることにするよ」と冗談を飛ばした。

 

 ウォーカーは続けて、「まだ決心はしていないのですか?」と叫んだ。

 

 「聞こないなあ」とバイデンは笑顔で答えた。

 

(終わり)





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2014-05-23