古村治彦です。
2015年から始まりましたアメリカ大統領選挙もいよいよ投開票日を迎えました。今回の大統領選挙は、ドナルド・トランプというこれまでにないタイプの人物が出馬、快進撃で共和党の予備選挙を勝ち抜き、共和党の大統領選挙候補者となりました。
民主党のヒラリー・クリントンは盤石の体制で、スタッフと資金の面で圧倒するはずでしたが、自身の問題、Eメール問題とクリントン財団の問題、健康問題があり、最後までアップアップしながら選挙戦を何とか戦い抜きました。
アメリカ国内は東部と西部で3時間の時差があります。また、アメリカは夜遅くまで開票所が開いていますので、西海岸で選挙が終わるのがだいたい日本の明日のお昼頃です。既に東部の州ではその頃開票作業が始まっていますから、だいたいお昼ごろには選挙の大勢が判明すると思います。それは、後述するように、今回の選挙のカギを握る各州は東側に多く存在しているからです。
アメリカ大統領選挙は、各州で割り当てられた選挙人を奪い合う選挙になります。一般投票で一票でも多く獲得した候補者がその週に割り当てられた選挙人を全て取ることになります(メイン州とネブラスカ州は例外)。選挙人は各州の自治と独立の意識が高く、まず各州の代表を決めるということになっているからですし、昔は各州で名望家たちが州代表として選ばれて、大陸を横断するような苦しい旅行をして大統領を選びに行くという制度であった名残りです。
選挙人数は全部で538名、過半数は270名となります。270名を獲得した候補者が勝利者となります。選挙人は各州の人口を勘案して割り当てられています。
現在のところ、私が考えるヒラリー、トランプが獲得確実な州の地図は以下の通りです。
カギを握るのは、接戦となって予断を許さない状況になっているニューハンプシャー州(4名)、ノースカロライナ州(15名)、フロリダ州(44名)、ペンシルヴァニア州(20名)、オハイオ州(18名)、ネヴァダ州(6名)です。これらの合計92名を除いて、ヒラリー、トランプそれぞれが獲得確実な票を合計すると、ヒラリー:248名、トランプ:198名となります。
①6州全部をヒラリーが制した場合:340対198でヒラリー勝利。2012年のオバマ大統領の波の獲得選挙人数となる。
②6州全部をトランプが制した場合:290対248でトランプ勝利。トランプが勝つなら接戦という予測通りの結果(これ以上の数字での勝利はないので)。
ということになります。
アメリカ時間の日曜日(日本時間の月曜日)にジェイムズ・コミーFBI長官が、10月28日に連邦議会に提出した書簡で示唆したEメール問題の再捜査について、「新しい証拠は見つからなかったので、7月に刑事訴追すべきでないという結論を出したがそれに変更を加えない」ということを発表しました。これで最終的には流れはヒラリーに行くことになったと思います。
アメリカ時間の日曜日(日本時間の月曜日)にジェイムズ・コミーFBI長官が、10月28日に連邦議会に提出した書簡で示唆したEメール問題の再捜査について、「新しい証拠は見つからなかったので、7月に刑事訴追すべきでないという結論を出したがそれに変更を加えない」ということを発表しました。これで最終的には流れはヒラリーに行くことになったと思います。
ヒラリーは既に248名を確保していますから、270名まで残り22名、フロリダ州かペンシルヴァニア州を押さえたらほぼ勝ちは見えてきます。ネヴァダ州でもヒラリーが有利となっていますから、かなり有利です。一方、トランプはどうしてもフロリダ州とノースカロライナ州を取らないと、勝負になりません。この2つを取るということはかなり厳しい状況です。この第一段階がかなり厳しいし、第二段階でも、オハイオとニューハンプシャーを両方取ることもまたかなり厳しいのです。そう考えると、ヒラリーが322名、トランプが216名獲得で、ヒラリー勝利という結果になる確率が高いものと思います。322という数字は過半数270を52超えていますから、多少ブレはあっても、ヒラリーの優位は変わらないと思います。
次に私がこうなったら面白いというシナリオを今から書いていきたいと思います。最後の最後の世論調査の結果でも上記のカギを握る州ではそれぞれ、ヒラリーとトランプの差が1、2ポイントで誤差の範囲内ということになっており、ヒラリー有利、トランプ有利と出ていても、どちらに転ぶかはもう分かりません。
①トランプはノースカロライナとフロリダ、ネヴァダを制することで50名の選挙人を獲得となり、ヒラリー248名、トランプ248名と並ぶ。トランプがフロリダ州を落とすと他で勝っても過半数の270名には届かない。
②トランプにとっては、フロリダ州は必ず取らねばならない州。ここを落としたら選挙の結果はヒラリー勝利で決定してしまう。フロリダ、ノースカロライナ、ネヴァダ州全てを取って、獲得基礎人数で並ばねばならない。トランプがフロリダ州を獲得して、ノースカロライナ州を落とした場合、ヒラリー263対トランプ233となり、ヒラリーが圧倒的有利となる。だから、トランプはどうしてもノースカロライナ、フロリダ両方を取って、ヒラリー248名、トランプ248名で並ばねばならない。ネヴァダ州だけ落とした場合は、ヒラリー254名、トランプ242名となって、接戦となる。
③ヒラリーとトランプが248名で並ぶ、もしくはヒラリー254名、トランプ242名という状況になったら、決戦場はペンシルヴァニア(20名)、オハイオ(18名)、ニューハンプシャー(4名)となる。
④ヒラリー(248名)、トランプ(248名)がそれぞれペンシルヴァニア、オハイオ両方(38名)を獲得したら、合計が286名となってその時点で勝利が決まる。ネヴァダをトランプが落とした場合でも、これは変わらない。
⑥ヒラリー、トランプが248名ずつだった場合、それぞれオハイオ、ペンシルヴァニアを分け合った場合は、268対266となる。
⑦そしてニューハンプシャー州の結果次第となる。ペンシルヴァニアを取った方がニューハンプシャーも取ったら、合計272名で勝利、オハイオ州を取った方がニューハンプシャーを取ったら、270名で勝利ということになる。
⑧現在の情勢では、オハイオ州はトランプ有利、ペンシルヴァニア州はヒラリー有利となっている。もし、前述のシナリオ通り(ヒラリー248名、トランプ248名)に進んだ場合には、ヒラリー:268名、トランプ:266名となる。最後の最後で選挙結果を決定するのは、ニューハンプシャー州の4名ということになる。
⑨ニューハンプシャー州の情勢は全くの五分と五分。ただ、若干ヒラリーがリードと数字も出ている(誤差の範囲内)なので、ヒラリーが勝つ可能性が高い。
⑩トランプがニューハンプシャー州勝負にまで持ち込むことができる場合は、ほぼ全米でトランプ支持が伸びている時だろうから、トランプの勝利の可能性もある。
以上が、私が楽しみにしているシナリオです。しかし、このシナリオのためには、トランプがフロリダ、ノースカロライナ、オハイオを獲得することが条件となるので、かなり厳しいと思われます。これをクリアできるとしたら、情勢はトランプ有利となっているでしょうから、トランプが最終的に勝利することになるでしょう。
どのような結果になるでしょうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦と申します。皆さん、寛大な心でご寛恕をいただけますように宜しくお願い申し上げます。
(終わり)
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