古村治彦です。

 

 2020年の米大統領選挙民主党予備選挙に、エイミー・クロウブッシャー(Amy Klobuchar、1960年―)連邦上院議員選挙(ミネソタ州選出、民主党)が出馬することが明らかになりました。雪が降りしきる中、クロウブッシャーは出馬宣言を行いました。


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 ドナルド・トランプ大統領はこの演説について、「なんて悪いタイミングだ。地球温暖化対策を訴えているのに、雪の中の演説になって、最後の方は雪だるま(snowman[woman])みたいになっている」とツイッター上で冷やかしました。クロウブッシャーはロシア疑惑に関する委員会入りを熱望した人物で、トランプ大統領は特に気に入らない人物ということになるでしょう。

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 これに対して、クロウブッシャーは「大統領選挙の討論会で、気候変動について討論が出来ることを楽しみにしている」と切り返しました。クロウブッシャーがトランプ大統領と討論をするためには、民主党の予備選挙を勝ち上がらねばなりません。既に多くの人々が立候補を表明していますが、今のところ、5名の女性(連邦上院議員4名、連邦下院議員1名)が立候補を表明しており、女性の数や割合はアメリカ史上最も多いものとなるでしょう。

 

 クロウブッシャーはイェール大学卒業後に、シカゴ大学法科大学院を修了し、弁護士となりました。その後、地区検察官などを務め、2006年からはミネソタ州選出の連邦上院議員を務めています。2018年の中間選挙の際の連邦上院議員選挙でも圧勝して、現在は3期目となります。

 

 2020年の大統領選挙に関しては、クロウブッシャーの名前も有力候補として早くから挙がっていました。中道的な主張や前回の大統領選挙でヒラリーが敗北した中西部、ラストベルト出身ということが有利な材料となると見られています。

 

 しかし、全国的な知名度が低く、また資金集めもうまくない、また、スタッフに対して厳しく当たるという評判が立っているということがマイナス材料になりそうです。

 

 民主党は左に寄っている、という評価の中で、中道派であるという点がどのように作用するのか、これからの推移に注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

クロウブッシャーが2020年の大統領選挙レースに参加表明(Klobuchar jumps into 2020 race

 

リサ・ヘイゲン筆

2019年2月10日

https://thehill.com/homenews/campaign/429215-klobuchar-decision-2020  

 

エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は日曜日、2020年の米大統領選挙への出馬を表明した。トランプ大統領を倒すためのレースに参加する5人目の連邦上院議員となった。

 

ミネアポリスのブームアイランド公園に設置されたステージは雪に覆われていた。気温は凍り付くほど寒いマイナス10度であった。その中でクロウブッシャーは、自身の家族が中西部に根付き、自分はそのルーツを背負っていることを訴えながら、大統領選挙出馬を表明した。中西部は民主党にとって重要な激戦区である。民主党はミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴァニアを再び民主党優勢州とすることを狙っている。

 

クロウブッシャーは歓声を上げる聴衆を前にして次のように語った。「今日、偉大なミシシッピ川の中ほどにある島の上で、私は皆さん方の前で、鉄鉱石鉱山の鉱山夫の孫娘として、教師と新聞記者の娘として、ミネソタ州で初めて連邦上院議員に選ばれた女性として、アメリカ合衆国大統領選挙への立候補を表明する」。

 

連邦上院議員として三期目を務めるクロウブッシャーは、アメリカを改善することを目標として、いくつかの政策分野における彼女の考えを訴えた。彼女は「銃器ロビー」と対決し、政治の世界における企業献金を廃止し、環境保護を目指す政策を実施し、医療や健康にかかるコストを引き下げ、投票権が守られることを再確認し、プライヴァシー保護に関する法律を制定すると公約した。

 

クロウブッシャーはトランプ大統領の名前を出すことはなかったが、「ツイッターによって表明され、動かされる外交政策」はアメリカにふさわしくないと発言し、トランプ大統領を皮肉った。

 

クロウブッシャーは次のように発言した。「アメリカ全土で共同体という認識が壊れつつある。我が国の政治の惨めで邪悪な特徴のために分裂させられている。私たちは政府機能閉鎖が続いていることに飽き飽きしている。停滞とスタンドプレーにうんざりしている。本日、雪に覆われたこの島の上で、私たちは“もうたくさんだ”と言おう」。

 

クロウブッシャーが大統領選挙出馬を表明したことで、中西部地域からの出馬表明者は2人目となった。

 

クロウブッシャーは大統領選挙出馬を検討してきて、2019年2月21日にアイオワ州で開催される民主党の集会に出席するという報道が出たことで、立候補するだろうと見られるようになった。

 

クロウブッシャーは既に多くの人々が立候補表明をしている2020年米大統領選挙民主党予備選挙に立候補を表明した。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が既に立候補を表明している。

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その他の連邦上院議員も立候補すると見られている。その中には、頑固な進歩主義者であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、シェレッド・ブラウン連邦上院議員(オハイオ州選出、民主党)も含まれている。ブラウンもまたクロウブッシャーと同じくラストベルトのルーツを強調している。

 

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブッティギーグ(民主党)も大統領選挙出馬の意思を表明している。彼もまた選挙運動の柱として中西部とのつながりを強調している。

 

2020年米大統領選挙民主党予備選挙は史上最大の規模となると見られている。そして、最も多様性に富むものとなるとも予想されている。これはトランプ大統領を倒したいと熱望している民主党支持者たちを反映した形である。しかし、これまでのことで明らかになっているのは、民主党が更に左に寄り続けているということである。

 

2018年、クロウブッシャーは連邦上院議員選挙で圧勝して議員として3期目を迎えた。2年前の2016年の米大統領選挙本選挙で、当時の民主党候補者ヒラリー・クリントンはミネソタ州でようやくのことでトランプ対して勝利を収めた。

 

クロウブッシャーは中西部のルーツを強調し、「誰にでも優しいナイスなミネソタ流」と揶揄される穏やかな選挙手法を採用して選挙運動を行うだろうと見られている。

 

2018年11月、クロウブッシャーは『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材を受けた。その際、2016年の米大統領選挙でミッシェル・オバマが「相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちは高尚な態度を保持すべきだ」と述べたことをもじりながら、“相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちも同じことをやる”と言う考えに私は同意しない。私は相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちは毅然とした態度でそれに対応するべきだと考えている」と発言した。

 

クロウブッシャーは更に「しかし、毅然と対応するというのは、ドナルド・トランプが行く先々にあるウサギの穴に逃げて隠れることではない。毅然と対応するということは対応することであって、自分たちの考えや政策を、相手の存在を無視して訴え続けるということではない。私たちは卑劣な攻撃をするという戦術を採用したいとは思わないし、毎朝悪口をツイッターに書き込むようなこともしたくない」と述べた。

 

連邦選挙管理委員会が公開した最新の情報によると、2019年初頭の段階で、クロウブッシャーには2018年の連邦上院議員選挙で集めた選挙資金の残りが390万ドルあることが分かっている。

 

クロウブッシャーはこの手元資金を大統領選挙運動に転用することが出来る。しかし、この金額は、ウォーレンやギリブランドの持つ1000万ドルという金額には及ばない。

 

クロウブッシャーは選挙運動を始めるにあたり、彼女のスタッフに対する取り扱いに関するマイナスの報道内容を払しょくしなければならない。

 

『ハフィントンポスト』紙は、クロウブッシャーの大統領選挙運動の責任者として3名の名前が挙がったが、スタッフに対する取り扱いを理由に、3名ともに責任者の仕事に就くことを断った

 

『バズフィード』誌はこの内容をさらに掘り下げ、クロウブッシャーの連邦上院議員選挙にスタッフとして参加した人物たちを取材した。彼らは一様に、クロウブッシャーが短気であること、実際に書類を投げつけたり、スタッフを侮辱する内容のEメールを送ってきたりしたことを批判した。

 

バズフィード誌の記事では、現在のスタッフたちがクロウブッシャーを思慮深く、思いやりがある上司であると述べて擁護していることも掲載されている。

 

日曜日の出馬表明の中で、クロウブッシャーは支持者たちに向けて、「真心を持ってリードする」、生真面目な大統領になることを約束した。

 

クロウブッシャーは「皆さん方の大統領として、私は常に皆さん方を見守るだろう。私は自身の考えを皆さんに語るだろう。私は自分の仕事を成し遂げることだけに集中するだろう」と語りかけた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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