古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙で最初に予備選挙となる党員集会が実施されるアイオワ州での最新の情勢についての記事を紹介する。現在のところ、ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で大接戦が展開されている。支持率を伸ばし、いくかの世論調査でトップに立っていたインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは数字を落とし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)も伸び悩んでいる。

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 進歩主義派・左派を代表するサンダース対穏健派・中道派を代表するバイデンの戦いという構図になっている。最大の争点は医療保険制度だ。サンダースは国が全てを管理するメディケア・フォ・オールを提唱している。バイデンは自身が副大統領を務めたバラク・オバマ前政権で成立したオバマケア(民間保険会社も利用した国民皆保険に近い制度)の改善を主張している。下のグラフにある最新の世論調査の結果では、メディケア・フォ・オール(サンダースとウォーレン)に対する支持がやや多いが、中道派(バイデン、ブティジエッジ、クロウブシャー)への支持も4割以上を超えている。

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 また、このブログでも紹介したIT実業家のアンドリュー・ヤンが主張している「18歳以上のアメリカ国民全員に毎月1000ドルを支給する」というベイシックインカムについても評価が分かれている。53%が支持し、30%が反対、17%が良く分からないと答えている。ベイシックインカムの議論ではそれでは社会保障制度はどうなるのかという点に注意を払いながら行われるべきだと私は考えている。

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来週月曜日にアイオワ州での党員集会が実施されるが、現在、ワシントンではドナルド・トランプ大統領に対する弾劾が中心的テーマとなっている。トランプ大統領は、「ウクライナが問題であるならば、ジョー・バイデンと息子ハンター・バイデンの問題はどうなるのか」という点で反撃することが予想される。これが民主党予備選挙に与える影響は小さくはないだろう。特に大接戦となっている状況ではこの点で1位となるか、2になるか、分かれてくると思う。

しかし、予備選挙全体で見れば、バイデンが有利であることは変わりがない。アイオワ州、続くニューハンプシャー州でサンダースが連勝しても勢いはそこまでということになるだろうと思われる。バイデンはどちらでも2位に入っていれば良いということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:アイオワ州でサンダースがバイデンを9ポイントリードする(Poll: Sanders leads Biden by 9 points in Iowa

ジョン・バウデン筆

2020年1月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/480026-poll-sanders-leads-biden-by-9-points-ahead-of-iowa-caucuses

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が最新の世論調査の結果、民主党予備選挙においてアイオワ州でトップに立った。アイオワ州ではあと数日で全米の中で最初に党員集会が実施される。

日曜日夜に発表されたエマーソン大学の世論調査の結果によると、有権者登録済の民主党員と左派に共感する無党派層の有権者たちの中で、30%が党員集会でサンダースを支持すると答え、ジョー・バイデン前副大統領(民主党)の支持率は21%だった。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は支持率が11%となり、支持率13%のエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)に抜かれて第4位となった。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは支持率10%で第5位となった。

上記5名以外の候補者で支持率5%を超える人はいなかった。同日に発表された『USAトゥディ』紙とサフォーク大学の共同世論調査では、バイデンが僅差でサンダースをリードしているという結果が出た。

エマーソン大学の世論調査は固定電話とインターネットを通じてアイオワ州在住の民主党支持者と無党派の有権者450名を対象に調査が行われた。誤差は4.6ポイントだ。

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Sanders, Biden in statistical dead heat in Iowa: poll

BY JUSTINE COLEMAN - 01/26/20 11:21 AM EST 101

https://thehill.com/homenews/campaign/479968-sanders-biden-almost-tied-in-iowa-poll

アイオワ州での党員集会が近づく中、日曜日に発表された世論調査の結果、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とジョー・バイデン前副大統領は、アイオワ州での2020年米大統領選挙民主党予備選挙における支持率の数字でトップを争ってデッドヒートを演じしている。

サンダースの支持率は26%で、バイデンを1ポイント上回っている。この差は「YouGov」が実施したCBSニュースの世論調査の誤差の範囲内である。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジが2人に続き、支持率22%で3位に入った。ブティジェッジに続くのがエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)で、それぞれ支持率は15%、7%だった。

アイオワ州では、党員集会での得票率で15%以上を得ることが代議員を獲得するための条件であり、締切までに自分が支持した候補者が15%の得票率を記録できなければ、支持する候補者を変更することができる。クロウブッシャーやその他の候補者たちの支持者たちがバイデン支持に回る可能性が高いとCBSは報じている。

ウォーレンが代議員獲得条件を上回らない場合、彼女の支持者たちはサンダース支持に回る可能性が高いとCBSニュースは報じている。

世論調査の調査対象者の3分の1強は自分が第一に支持する候補者を既に決めていると答えた。サンダース支持者の48%、バイデン支持者の40%は考えを変えることはないと答えた。

今回の世論調査は2020年1月16日から23日にかけて実施された。アイオワ州在住の有権者登録済の有権者2500名が調査対象となった。その中には民主党支持、民主党寄りの無党派有権者1041名が含まれている。誤差は3.9ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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