古村治彦です。
2020年2月29日にサウスカロライナ州でのアメリカ大統領選挙民主党予備選挙が実施される。2月の予備選挙はこれで終わりだ。初めての南部での投開票、アフリカ系アメリカ人有権者が過半数を占めるという特徴がある中で、その結果が注目される。
現在のところ、バイデンがリードを保っている。サンダースもかなり支持率を上げているが、バイデンはアメリカ初のアフリカ系アメリカ人大統領バラク・オバマに副大統領として8年間仕えた実績を繰り返し強調し、アフリカ系アメリカ人の支持を得てきている。
サンダースとしては、最初からサウスカロライナ州での勝利は期待しておらず、バイデンがどれほどの勝利を収めるかを高みの見物
ネヴァダ州での討論会、サウスカロライナ州での討論会で、エリザベス・ウォーレンが舌鋒鋭くマイケル・ブルームバーグを攻め立てたことは、サンダースとバイデンにとってありがたいことであった。自分たちの手を汚さずに、目下の敵を引きずりおろしてくれるし、ウォーレンはそうした攻撃をしたところで人気が上がることはなく、自分たちの脅威にならないという、ある種の鉄砲玉を自分から買って出てやってくれたということになる。ウォーレンが本当に叩くべき存在はサンダースなのであるが、彼を攻撃する材料はない。
ブティジェッジとクロウブシャーは共にアフリカ系アメリカ人有権者からの支持が弱く、ウォーレンと共に3位争いということになるが、ブティジェッジが一歩リードというところだろう。
アメリカでも新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。3月3日には全米15州で予備選挙がスーパーチューズデーであるが、選挙自体には影響はないだろう。出入り口でのアルコール消毒の徹底ということくらいだろう。アメリカも高齢化は進んでおり、肥満率の高さから基礎疾患を持つ
ウイルス感染拡大を受けて、サンダースの「メディケア・フォ・オール」に俄然注目が集まるだろう。アメリカでは国民皆保険になっておらず、保険がないために医療を受けられない人たちが多くいるということはずっと言われてきた。新型コロナウイルスのように感染力が強いウイルスは誰にでも感染のリスクがあり、かつ予防のワクチンや特効薬もないとなると、社会全体を守るためには、全員が医療を受けられるようにすることが、全員を守ることになる。現在のアメリカではそれができていない、ということであり、社会のためにはメディケア・フォ・オールが良いと考える人たちも多くなっている。社会主義だとか独裁者を擁護したとか、そう言う言葉遊びはどうでもよい、という危機感がサンダースへの期待を大きくすることになるだろう。
(貼り付けはじめ)
民主党討論会での5つの特徴(Five takeaways from the
Democratic debate)
ジョナサン・イーズリー筆
2020年2月25日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/484660-five-takeaways-from-the-democratic-debate
大統領選挙民主党予備選挙の有力候補たちは、火曜日に開催された民主党全国委員会主催の10回目となる討論会で、何とか頑張りぬいた。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は土曜日のサウスカロライナ州での予備選挙を前にして、一斉攻撃を受けた。
サウスカロライナ州チャールストン市での白熱した討論会の5つの特徴について挙げる
(1)サンダースを阻止するためにライヴァルたちが必死になった(Rivals
desperate to stop Sanders)
サンダースは壇上の中心でスポットライトを占めた。ライヴァルたちが彼を止めるには後数日しか残されていないと考える中で先頭走者に攻撃が集中するのは明らかであった。
サンダースはネヴァダ州とニューハンプシャー州で勝利を収め、アイオワ州でも僅差の2位に入ったことで、サウスカロライナ州でもトップを狙っている。対抗馬たちは、次週のカリフォルニア州とテキサス州でもサンダースの世論調査での支持率の数字が良いことから、スーパーチューズデーが終わった段階で、サンダースは逆転することが難しい代議員を獲得するだろうと警戒感を強めている。
ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは火曜日の夜の討論会でサンダースに対する攻撃を始めた。討論会のスタートと同時に、ロシアはサンダースに民主党の指名候補になって欲しいと望んでいる、それはサンダースが民主党の候補者になれば、本選挙でトランプ大統領に敗れるからだ、と述べた。
エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はブルームバーグに続き、サンダースを攻撃した。ウォーレンは、サンダースがあまりにも分裂を招いてしまう人物であるために、たとえ大統領になれたとしても、彼の掲げる進歩主義的な政策は実行できないだろうと述べた。
ジョー・バイデン前副大統領は、これまでに数多く起きた銃による大量殺人を受けての銃規制法案に対してサンダースが反対票を投じたことを非難した。
インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、サンダースが「1960年代に吹き荒れた革命志向の政治への郷愁」にとらわれているのだと発言した。これは、サンダースがキューバの共産党支配のフィデル・カストロ政権を称賛した発言を受けてのものだった。
サンダースは「今日はなんだか私の名前をいささか多く耳にしています。どうしてそんなことが起きているのか不思議ですが」と皮肉を述べた。
恐らくサンダースの対抗馬たちが最も訴えたかった、サンダースについての疑義は、彼の当選可能性についてでああろう。
民主党主流派の中には、民主社会主義者を自認する人物が民主党の代表になる見込みが大きくなっていることでパニックになっている。
サンダースの対抗馬たちは火曜日の夜にはっきりと明言した。無所属の進歩主義派の人物を民主党の大統領選挙候補者に指名することは、トランプ大統領に2期目を与えることであり、連邦下院での民主党の過半数を失わせる可能性もある、と対抗馬たちは述べた。
ブティジェッジは、「トランプ大統領に更に4年間をホワイトハウスで過ごさせることになりますし、ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)を連邦下院議長に据えることにもなるでしょう。また、連邦上院で民主党が過半数を取ることもできないでしょう」と述べた。
サンダースは反撃に出た。全国規模の世論調査で架空の一対一の戦いに関する質問(「トランプ大統領とサンダース議員で今日選挙があったらどちらに投票しますか」)で、自分が50%、トランプ大統領が47%とリードする結果が出たことを指摘し、民主党がホワイトハウスを奪還するために必ず勝利を得なければならない中西部の各州で自分が強いことを主張した。
(2)ウォーレンはブルームバーグを引きずりおろすことに必死だった(Warren is
hellbent on sinking Bloomberg)
2回続けて、ウォーレンはブルームバーグに対してノックアウトパンチを繰り出そうとした。選挙に送れて参加した元共和党員の超大富豪であるブルームバーグを進歩主義派のウォーレンは嫌っている。
ウォーレンはブルームバーグの過去の発言を取り上げて攻撃した。2008年の金融崩壊で人種的な少数派をブルームバーグが非難した。その発言を取り上げた。
ウォーレンはブルームバーグが資金面で支援してきた共和党の政治家たちのリストを取り上げた。その中にはウォーレンが2012年の連邦上院議員選挙で直接戦ったスコット・ブラウン元連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、共和党)も入っていた。
ウォーレンは秘密保持条項に関する問題を再び取り上げた。ブルームバーグが部下の女性に対して酷い処遇を行ったと批判し、秘密保持条項に署名した女性たちの情報をハ票するように求めた。
そして、ウォーレンは、トランプ大統領と結びつけながら、ブルームバーグが納税申告書を公開していないことを攻撃した。
ウォーレンは「私は彼がどのくらいのお金を持っているのか、興味はありません。民主党の熱心な支持者たちは彼を決して信頼しないでしょう。彼はこの壇上に立っている候補者の中で最もリスクの高い候補者です」と述べた。
ブルームバーグは、ラスヴェガスの時ほどには今回はそこまで弱点を突かれなかった。ブルームバーグは、黒人が多く住む地区への融資を手控える行為を支持したという批判に反論し、自分の部下の女性が妊娠した際に、「それを殺せ」と発言したことを否定した。
しかし、ウォーレンの攻撃は激しかった。ウォーレンはサンダースよりもブルームバーグに対してより激しい攻撃を行ったことは特筆されるべきだ。サンダースの方がウォーレンの党指名獲得野道のりの邪魔になっている。
(3)候補者たちはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を勝ち取ろうと戦った(Candidates
are battling to win over black voters)
サウスカロライナ州での民主党予備選挙の有権者の半数以上はアフリカ系アメリカ人だ。サウスカロライナ州での予備選挙で、民主党の背骨となる多様な人々の連合からの支持を得られる能力があるかどうか各候補者は試されることになる。
バイデンはサンダースからの挑戦を退けるために努力している。サンダースはアフリカ系アメリカ人の間での支持を急速に伸ばしている。そして、サウスカロライナ州でのバイデンの選挙運動の伸びを止めようとしている。
しかし、バイデンは討論会でこれまでにない力強いパフォーマンスを行い、土曜日のサウスカロライナ州での予備選挙には良い雰囲気で臨める。
バイデンは、アメリカ初のアフリカ系アメリカ人大統領であるオバマ大統領に仕えた実績を繰り返し強調してきた。バイデンは、アフリカ系アメリカ人社会の有力指導者であるジェイムズ・クライボーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)の名前も仄めかした。クライボーンは水曜日にバイデンへの支持表明を行うと見られている。
一方、サンダースは、アメリカの麻薬関連法と刑法システムを改善しなければならないと力説している。
実業家トム・ステイヤーは、最近の世論調査を見ると、サウスカロライナ州でのアフリカ系アメリカ人有権者の支持を集めている。ステイヤーがアフリカ系アメリカ人有権者の支持をどれくらい得られるかは、バイデンの結果にも影響を与えることになる。
火曜日の討論会に参加した残りの候補者たちは、アフリカ系アメリカ人有権者にとって重要な諸問題を繰り返し取り上げた。しかし、アフリカ系アメリカ人有権者からの支持を得て、投票箱に投票してもらうためには討論会以前に努力をしておくべきであった。
候補者たちはスーパーチューズデーを前にして、時に半狂乱になって、人々の関心と支持を求め続けた。
土曜日のサウスカロライナ州での予備選挙とそれから72時間後のスーパーチューズデー、これまでの時間は候補者たちにとって絶望の時間となる。
今回の討論会は、壇上に登場した7名の候補者の1人もしくはもっと多い数の人物たちにとって、最後の討論会となる可能性がある。そして、最後になるかもしれないという絶望感は、チャールストンで2時間の間、党勢がない状態で続いた討論会で垣間見えた。
討論会の多くの時間が、候補者たちがお互いを大声で非難し合うことで使われた。
CBSの司会進行役の人々は、討論会の間、時に完全にコントロールできない時があった。飛び入り参加自由で自由に発言ができ、お互いが大声で叫び合うという事が起きた。
このような状況になり、中道派も進歩主義派も共に不満を貯めることになった。どちらも自分が支持する候補者が公平な取り扱いを受けていないと感じた。
(5)討論会によって、候補者たちの間に否定的な感情に関する恐怖感が起きることになるだろう(Debate will raise fears about negativity among the candidates)
先週のラスヴェガスでの討論会は総力戦の様相を呈した。今回のチャールストンでの討論会は否定的な感情のレヴェルに関して総力戦の様相を呈したと言えるだろう。
候補者たちは勝利を得るためだけに戦ったのではなかった。候補者たちの中には敵意と憎悪を明らかにした人たちもいた。
クロウブシャーはブティジェッジを嫌っているように見えた。ウォーレンのブルームバーグ攻撃は露骨でかつ激しいものだった。進歩主義派の人々はサンダースとウォーレンがお互いを攻撃し合うことをこれから身もだえしながら見ることになる。中道派の民主党員たちは呆れながら、穏健派の候補者たちがサンダースにだけ攻撃目標を絞るのではなく、お互いを攻撃し合っているのか分からないと嘆くだろう。
クロウブシャーは火曜日の討論会で、「私たちがこれから数カ月を、党を分裂するために使うならば、私たちは次の4年間、ドナルド・トランプがこの国を分裂させることを見続けることになるでしょう」と懸念を表明した。
民主党がまとまるためにはまだ十分な時間が残っている。しかし、予備選挙が激しいやり合いのまま続いた後には、民主党の支持基盤が分裂し、憎悪が残る危険性は残っている。
=====
サウスカロライナ州での討論会での勝者と敗者(Winners and losers
from the South Carolina debate)
ナイオール・スタンジ筆
2020年2月26日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/the-memo/484661-winners-and-losers-from-the-south-carolina-debate
アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者7名が火曜日の夜にサウスカロライナ州チャールストン市での討論会に登場した。土曜日に同州で予備選挙が実施されるのを前にして激しい討論が行われた。
サウスカロライナ州での討論会は予備選挙のスケジュールにおいて最大の戦いの日となる来週のスーパーチューズデーを前にして最後の討論会となった。
最新の討論会で誰が勝者となり、敗者となったか?
●勝者
(1)ジョー・バイデン前副大統領(Former Vice President Joe
Biden)
バイデンは討論会でもこれまで比べてより強力なパフォーマンスを見せて希望をつないだ。
彼はサウスカロライナ州で審判の時を迎える。
アイオワ州とニューハンプシャー州での失望を招いた惨敗とネヴァダ州でのサンダースに大差をつけられての2位を受けて、バイデンはサウスカロライナ州では必ず勝たねばならない。
バイデンは先頭走者であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を討論会スタート直後から攻撃した。バイデンはサンダースの2つの弱点である、銃規制の投票に関する記録と2012年の大統領選挙で再選を目指した当時のオバマ大統領に対抗するために予備選挙に出馬することを考慮したことである。
バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者の支持をテコ入れしようとし、自分が人種的、経済的正義の問題について「長年にわたり」働いてきたことを繰り返し訴えた。
結局のところ、バイデンは自分自身を、ただ願望を語るだけの人物ではなく、物事を実際に実行するための政治的、戦略的な力を持っていると訴えた。
バイデンの華ストーンと態度は彼の発言内容よりも重要だった。
これまでの討論会に比べて、バイデンはより鋭く、熱意に満ちていた。
バイデンは素晴らしい討論のパフォーマンスを必要としていたが、最高のパフォーマンスを行うことができた。
(2)Sen. Elizabeth Warren (D-Mass.)
ウォーレンが現在予備選挙に残っている候補者の中で最も一貫した論旨を持つ話し手だ。
ウォーレンはニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグを今回の討論会でも標的に選んだ。前回のラスヴェガスでの討論会に比べて、ウォーレンはブルームバーグを完膚なきまでにやっつけることはしなかった。しかし、ウォーレンは職場での部下の女性たちの処遇についての疑問を投げかけた。
ウォーレンは、ブルームバーグの党指名獲得の可能性についてより幅広い主張を行った。
ウォーレンは「ブルームバーグ市長がどれほどのお金を持っているのかを私は気にしません。民主党の熱心な支持者たちは彼を決して信頼しません」と述べた。
ウォーレンはブルームバーグ程ではないがサンダースに対しても攻撃を加えたがそれはより微妙なものであった。彼女はサンダースに対して「メディケア・フォ・オール」を実現するための戦略を質問した。
ウォーレンは今回の予備選挙の期間で期待よりも低いパフォーマンスしかできていない。サウスカロライナ州で彼女が勢いを取り戻すことができると信じる理由はない。彼女はリアルクリアポリティックスの平均で遠く離された4位になっている。
それでも、ウォーレンは再び力強いパフォーマンスを行ったと言うことができる。
(3)Sen. Bernie Sanders (I-Vt.)
サンダースは火曜日の夜に明らかな敗北を喫しなかったことをもって勝利を収めた。
サンダースはこれまでのどの先頭走者よりも継続的な攻撃に直面した。
バイデンは、サンダースは何の実績も上げていないと述べた。ブルームバーグは、サンダースを党の指名候補にすることはトランプ大統領に再選をプレゼントすることと同義だと述べた。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、トランプ大統領対サンダースの戦いは「害悪」であり「人々を疲弊させる」ものだと批判した。
サンダースはこれらの批判全てに対して、自分の側は何もミスを犯すことなしに反論してみせた。キューバのフィデル・カストロは教育の面で成果を上げたという自身の発言が多くの民主党員、特にフロリダ州の民主党員に不快感を与えたことについて自己弁護を続けた。
より目の前にある現実は、サンダースはサウスカロライナ州で勝利を収める必要はないということだ。これによってサンダースはスーパーチューズデーに向けてより良い形で準備ができる。
ライヴァルたちはサンダースを手ひどくやっつけておく必要があった。チャールストンでの討論会では多くのパンチが浴びせられたが、誰もサンダースからノックダウンを奪えず、それほどのダメージすらも与えられなかった。
●どちらとも言えない
(1)エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)
クロウブシャーは再び手堅くまとめたが、出来が良かったというほどでもなかった。
クロウブシャーは自身の主張をうまく伝えることはできた。彼女は、自身の主要な主張である、「民主党はこの国の中間にいる人々を勝ち取る必要がある」ということを繰り返し訴えた。
しかし、クロウブシャーはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持獲得に苦しんでいる。サウスカロライナ州での民主党予備選挙の有権者の50%以上がアフリカ系アメリカ人有権者で占められている。
そして、2020年2月11日のニューハンプシャー州での3位が彼女の最高到達点だったのではないかという疑義は残ったままだ。
チャールストンでクロウブシャーはゲームの様相を変えてしまう瞬間を作ることができなかった。彼女にはそれが必要だったのであるができなかった。
(2)インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ(民主党)
ブティジェッジの攻撃、特にサンダースに対しての攻撃は時間の経過と共に鋭くなっていった。
しかし、サンダースに対抗するための中道派の主要な候補者の立場をブルームバーグとバイデンと共に争うという圧力もブティジェッジにはかかっている。
ブティジェッジは火曜日の夜にはすっかりお馴染みとなった丁寧さと建設的な話をアピールできた。しかし、彼は討論会で人々の注目を集める瞬間を作ることはできず、彼が獲得したくてもできない有権者を振り向かせて支持を得ることまではできなかった。
●敗者たち
(1)ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグ
酷すぎるということはなかった。しかし、良くもなかった。
先週のラスヴェガスでの討論会でのパフォーマンスがあまりにも酷すぎたと嘲笑を買い、それから多くの批判が寄せられてきた中でブルームバーグは討論会に参加した。
今回チャールストンで開催された討論会では少しは改善した。ニューヨーク市長時代の教育に関する成果など政策に重点を置いたテーマでは良いパフォーマンスを見せた。
しかし、ブルームバーグはやはり討論会には向いていない。一点を挙げれば、ラスヴェガスでの討論会の自分をパフォーマンスについての自虐的な冗談には誰からも反応がなかった。そして、ウォーレンからの攻撃に彼はまた苛立ってしまった。
ブルームバーグは討論会のスタートで、ロシアがサンダースの選挙運動を支援しようとしているという報道を使ってサンダースに攻撃を仕掛けた。これは先頭走者であるサンダースに対しての明らかにやり過ぎの攻撃であり、聴衆からは抗議の声が上がった。
ブルームバーグがテレビ広告に投下している膨大な資金量は彼を救ってくれているかもしれないが、彼の討論会でのスキルは全くもって何の役にも立たないものである。
(2)実業家トム・ステイヤー
ブルームバーグ同様、ステイヤーはテレビ広告に多額の資金を投入していることで何とか生き残っている状態だ。ブルームバーグと違う点は、彼はサウスカロライナ州での予備選挙で候補者登録をしている点だ。サウスカロライナ州での世論調査でステイヤーは3位につけている。
ステイヤーが直面している根源的な問題は、彼が立候補している理由を説明するということだ。彼はこれまで独自のセールスポイントを訴えるのに失敗してきたし、火曜日の夜もうまくいかなかった。
(3)CBSニュース
討論会の進行が時に酷いものとなった。進行役の人々に対してはSNS上でこれまで見たこともないほどの批判が寄せられた。
ある意味ではCBSニュースは板挟み状態に置かれたということになる。進行役が各候補者にお互いを攻撃し、やり合うことを許したが、ツイッター上では、討論会が混乱して内容が分からないという批判が多く出た。進行役が口を差し挟むと、過剰な介入だという批判の声が上がった。
CBSニュースが明らかに間違ったところがある。
ブルームバーグがニューヨーク市長時代に砂糖が入った清涼飲料水を禁止しようと試みたことについての質問が出た。そして、討論会の最後でそれぞれの候補者たちについての「誤解していたところ」を候補者たちに話させたのだが、ここでは気候変動について話すべきだった。結局、気候変動について今回の討論会ではテーマに出なかった。
討論会がほぼ終わりかけのところで、もう休憩も必要もないのにテレビ広告が流れたところにも混乱が見て取れた。結局のところ、CBSにとっては何事もうまくいかなかった夜となった。
(貼り付け終わり)
(終わり)
アメリカ政治の秘密
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
コメント