古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『サイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)が発売になりました。電子版も同時発売になりまして、担当の編集者から「電子版は出足好調」という報告を貰いました。紙の方は分かりません。お買い上げいただき、お読み只いた方々にはお礼を申し上げます。ありがとうございます。まだの方は是非お読みください。よろしくお願いいたします。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 バイデン政権は600兆円規模の予算を提案した。これから連邦議会で審議が行われる。これだけ大規模な予算は戦後例がないほどのものだ(戦時中はまた別だ)。これまで、「大きな政府は悪」「なんでも市場に任せておけばうまくいく」という考えから、振り子が逆に触れた形になっている。今回の予算はインフラ整備と格差縮小に主眼が置かれている。

 民主党内でも進歩主義派は歓迎している。しかし、民主党中道穏健派と共和党は反対している。やはり財源が問題になってくる。バイデン政権は富裕層と企業への増税を財源にしようとしている。それでも赤字国債の発行を止めることはできない。国債の発行額の増加によるインフレ懸念がある。

 連邦下院は2020年の選挙で共和党が議席数を増やしたがそれでも民主党が過半数を握っている。連邦上院は民主党50議席、共和党50議席、議長役の副大統領が民主党なので、民主党が過半数を握っているが、その差はほぼないという状態になっている。連邦上院では民主党の中道穏健派の動きが重要になってくる。この議員たちが反対に回れば、予算は否決されてしまうことになる。バイデン大統領は自ら連邦上院議員たちと会談を持つなどして根回しを行っている。

 今回の提案された予算がそのまま可決されることはない。かなり削られるところもあるだろう。削られることを見越して提案だけはしている部分もあるだろう。予算をめぐる攻防戦がこれから始まる。

(貼り付けはじめ)

バイデンの予算提案は経済における政府の役割を拡大させる(Biden budget expands government's role in economy

二ヴ・エリス筆

2021年5月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/555836-biden-budget-expands-governments-role-in-economy

バイデン大統領の予算提案は、政府がこれからの数年間、より広範な役割を果たすようにすることを示している。ホワイトハウスの進歩主義的な政策の推進という意図を強調しているものでもある。ホワイトハウスは税制と社会的なセーフティネットの改革という進歩主義的な政策を推進したいと考えている。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、金曜日に発表される予算提案は、政府支出を約25%増加させることによって、経済における政府の割合を高めることになるだろう、ということだ。この支出水準は第二次世界大戦以降最高のレヴェルとなる。第二次世界大戦時、増加率は40%増であった。

戦後、経済における大惨事が起きた場合を除き、支出の伸び率は15%から22%の範囲に収まってきた。

今回の予算提案は、レーガン革命から振り子がどれほど反対側に振れているかを示す最新の兆候ということになる。レーガン革命では、政府の存在は成長と機会に対して阻害要因となると規定した。

バイデンは自分のことを穏健中道派だと主張している。バイデンは緊急事態においては政府には役割があるが、通常の時期においても、インフラ建設、格差の縮小、家族や貧困に陥っている人々の支援といった役割があると述べている。

バイデンが今年初めに明らかにした予算についての基本的な考えの中核には、インフラ再建と家族への支援という2つの前提条件があり、それが予算に反映されるだろう。

2兆3000億ドル規模のアメリカン・ジョブ・プランと1兆8000億ドル規模のアメリカン・ファミリーズ・プランのような提案では、道路、港湾、橋梁といった伝統的なインフラへの投資、グリーンエネルギーシステムの構築、労働者家庭に対する育児への資金的な支援や有給休暇制度の拡充にも投資がなされる。

バイデンは2022年の予算について非軍事部門の予算を16%増額している。住宅補助、教育、農業、退役軍人などに対しての予算を増額している。

長年にわたり政府は重要な仕事から遠ざけられてきたと主張している進歩主義派は、バイデンが提案している各プランはこれまで長い間停滞してきたものだと述べている。

 

 

進歩主義派の団体「タックス・マーチ」の上級部長マウラ・クイントは次のように述べている。「予算については良いものだと考えています。私たちが長い間目にしてきたのは、人々を助けることができるはずの政府が縮小されてきたということです。基本的に、政府の規模は巨大なものにする必要があると私は考えています。そして、巨大な投資をすれば、国民一人一人によりよく奉仕できるようになると思います」。

進歩主義派の各グループは、格差の拡大、据え置かれたままの賃金、人種や性差に関する不公平など社会的な諸問題の存在を指摘し、政府はより大きな役割を果たすべきで、その予算は富裕層と企業への増税で賄うべきだと主張している。

しかし、このアプローチには当然批判もある。

右派のシンクタンクであるアメリカン・アクション・フォーラムの所長で、アメリカ連邦議会予算局の局長を務めたダグラス・ホルツ=イーキンは「偉大な社会プランとリンドン・ジョンソン大統領の時の予算にこれほど似たものは見たことがない」と述べた。

ホルツ=イーキンは肥大化した連邦政府は経済に悪影響を与えると主張している。

ホルツ=イーキンは「このような肥大化した支出はお役所仕事そのものとなる。その受益者を規定し、どのように支出するかを決定するためにより多くの既成が必要となり、そのためにコストも増大する」と述べた。

政府支出の更なる増大には、それを賄うために、より重い税金と借金が伴うことになる。

バイデンの計画では、これからの数年間で1兆ドルを超える赤字が出る、そして、アメリカの債務負担は2020年代の終わり頃には史上最悪となると報じられており、これが財政赤字に反対するタカ派を苛立たせている。

民間団体「責任ある連邦政府予算委員会」の会長を務めるマヤ・マクギネスは赤字を伴う提案について「危険だ」と述べている。

マクギネス発のように語っている。「今回の予算提案は政府支出の巨大な拡大を伴っている。それは歴史的なレヴェルになっている。そのもたらす良い点についてはアピールがなされているが、それには高い値札が付いていることを忘れてはならない。バイデン政権はそれらについてどのように支払うかを完全には明らかにしていない」。

今回の予算はバイデンが大統領として既に発表した重点政策がいくつも含まれている。しかし、それが意味するところは彼が選挙期間中に約束したその他の多くの政策は考慮されていないということである。その中には医療制度において公的なオプションを創設するというものがあり、それが今回の予算には入っていない。

左派のシンクタンクであるセンター・フォ・アメリカン・プログレスの予算専門家セス・ハンロンは「バイデン大統領から、医療分野を含む、更なる予算提案がなされるでしょう」と語っている。

木曜日、バイデンは彼の経済プランは経済の再活性化に貢献すると主張した。この経済プランによって、本年のアメリカの経済成長は1980年代初頭以来、見たことがない水準にまで及ぶだろうと予測している。しかし、成長を促進し、中国のような競争相手に勝つために、バイデンは更なる投資が必要であるとも主張している。

バイデンは木曜日午後、訪問先のクリーヴランドにある短期大学で演説し次のように述べた。「これまでにない、何十年に一度というくらいの大規模投資となる。民間部門はこのような投資はできない。私たちはこれまで長い間、このような公共投資を無視してきた」。

バイデンは「新型コロナウイルス感染拡大が明らかにしたのは、我が国の根幹と働く人々に対する投資がどれほど必要であるかということだ」と述べた。

ホワイトハウス報道官ジェン・サキは火曜日、報道されたバイデン大統領の予算提案の総額を認めることを拒否した。しかし、サキは新型コロナウイルス感染拡大と雇用創出を克服するということがバイデン大統領にとって最重要課題であり、それが予算に反映されるだろうと述べた。

サキは大統領専用機エアフォース・ワンに同乗した記者団に対して次のように述べた。「アメリカン・ジョブ・プラン、アメリカン・レスキュー・プラン、アメリカン・ファミリーズ・プランといった予算提案は、私たちアメリカ国民により良い財政基盤を与えることになるでしょう」。

これまでの全ての大統領の予算提案と同様、バイデン大統領の予算提案は、大統領からのメッセージが含まれた文書であると見られている。これから連邦議会と、12の支出関連法案の可決について厳しい交渉を行い、2021年10月1日から始まる2022年会計年度で政府を機能させ続けるようにしなければならない。

連邦上院歳出委員会委員長パトリック・リーヒ連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、民主党)は火曜日、6月の段階で連邦議会は予算の総額について大まかなところを決める必要がある、それは提案された数字とは大きく異なるものとなるだろうと述べた。

共和党はプレスリリースを発表し、予算提案について「すでに死文化して到着」したものであると主張した。共和党側は予算関係の高官たちが金曜日に予算を出してくるということを見越してプレスリリースを発表した。

ホルツ=イーキンは次のように述べている。「この予算提案が法律となって可決される機会はほぼないと言えるだろう。民主党側はこの予算提案をメモリアルデー(5月31日)の前の金曜日に既に投げ捨てている。この予算提案はすでに死文化している。民主党側はそれを知っている」。

バイデンはこれまでの共和党側との交渉で、インフラ整備提案のうち、5000億ドル分を削っている。共和党側は原案の半分以下に予算を削るなら支持するというサインを出しているだけだ。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)やキルステン・シネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)のような民主党内の穏健中道派の議員たちは、バイデンの税金に対する提案に関して疑義を呈し、予算復活過程を通じて、連邦上院が可決させようとしている予算内の支出を減らすことを要求している。

子の過程から共和党は締め出されている。しかし、議席数が50対50の連邦上院において、予算を可決させるには民主党所属の議員全員の賛成票が必要となる。

バイデンの予算提案は政治状況を変化させている。しかし、連邦議会で審議されていない段階では、その程度はまだそこまで大きくはない。

バイデンは細心のインタヴューで次のように語った。「リスクを大きくしないようにしなければならない。予算を小さいままにし続ければ、アメリカの国際舞台でのステータスと競争力を変える方法はないということになる」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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