古村治彦です。
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2000年代にアメリカに留学していた時期、良く音楽を聴いていた。車の運転中には、ラジオをつけてFMの音楽番組を聞いていた。そこではその当時、アメリカで流行していた曲が流れていた。私はベタだと言われてしまうが、Maroon 5やColdplayが好きになった。
そうした中で、グウェン・ステファニ(Gwen Stefani、1969年-、51歳)という女性シンガーを知った。日本のポップカルチャーに傾倒し、「原宿(Harajuku)」「かわいい(kawaii)」「ハローキティ(Hello Kitty)」といった私でもなじみがある言葉を使った歌や、日本のポッポカルチャー、女子高生文化などを取り入れたミュージックヴィデオを作成していた。当時、びっくりもしたが、日本のポップカルチャーを好きになるアメリカ人のアーティストという存在には違和感はなかった。その描き方にはかなり違和感があったが。
最近、ステファニがある雑誌のインタヴューに応じ、その中で、「文化盗用(cultural
appropriation)」や「アジア人蔑視のミストレルショー」といった批判を受けていたと述べ、自分は文の交換(trade)を行ったのだと反論していた。
ミストレルショーとは白人の俳優が顔を黒く塗ってアフリカ系の人々に成りすまして見下しながら演じるという演劇、ショーであり、これが19世紀のアメリカで流行した。背の低い白人はアジア系に扮して、「ミカド」などと称していたこともあったらしい。
アジア系アメリカ人女性がステファニの歌唱やメイクについて、「現代のミストレルショーだ」と批判したこともあったらしい。
このことで思い出されるのは、私が子供の頃に顔を黒く塗って、アメリカのジャズというのか、アメリカ風の歌を歌うグループが存在したことだ。この人たちはアフリカ系アメリカ人を蔑視する意図はなく、尊敬を込めて、「あの人たちのようになりたい」ということで、そのような扮装をしたのだろうと推測される。しかし、途中でそのような扮装を止めたので、抗議があったということだろう。私が子供の頃は抱っこちゃん人形というものもあった。現在に比べて、人種について日本では知識が広がっていなかったということなのだろう。
文化には常に歴史が付きまとう。そうなると、どうしても反感や違和感が出てくる。どこで折り合いをつけるかだが、政治的な正しさ(political correctness)と野放図の間でうまくバランスを取っていくしかない。
(貼り付けはじめ)
グウェン・ステファニは長年にわたる文化の盗用という批判に対して自己弁護を行う(Gwen
Stefani defends herself against longtime cultural appropriation claims)
サラ・ポラス筆
2021年5月27日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/blogs/in-the-know/in-the-know/555784-gwen-stefani-defends-herself-against-longtime-cultural
歌手のグウェン・ステファニは、『ペイパー・マガジン』誌との最新のインタヴューで、彼女はキャリアを通じて日本文化を盗用してきたという批判について語った。
ステファニは彼女の「ハラジュク・ガールズ(Harajuku Girls)」について、「私たちが私たちの様々な文化を買ったり、売ったり、交換したりしなかったら、現在の文化が持つ美しさは得られなかったと思うわ」と述べた。ハラジュク・ガールズは4名の日本人少女によるグループだ。ハラジュク・ガールズは、「ホーラバック・ガール(Hollaback Girl)」のヒットで知られるステファニのツアーに出演し、メディアにも一緒に出ている。
解散したバンド「ノーダウト」のヴォーカルだったステファニは自身のステージ上でのパフォーマンスの中で、ハラジュク・ガールズがどれほど彼女の意識を高めるかについて説明した。彼女のパフォーマンスは日本に大きな影響を受けているとステファニは述べた。
ステファニはペーパー誌に次のように語った。「私は少女たちのグループと一緒にツアーをしたいと考えていました。私はそうしたことをしたことがなかったので。そして少女たちは日本人が良いと思っていました。それがハラジュク・ガールズなんです。なぜならこうした少女たちが私は大好きだから。彼女たちは私の友達なんです。夢が実現するならば、私は原宿に行ってライブをして、歩き回りたいんです」。
2005年、コメディアンのマーガレット・チョウはステファニの考えを批判し、事務・クロウ法時代(Jim Crow era)のアメリカで流行したミンストレル・ショー(minstrel
shows)と同じだと述べた。
チョウは自身のウェブサイトでハラジュク・ガールズについて次のように書いた。「そうしたものを私は好きになりたいし、素晴らしいものだと考えたいが、それができるとは思えない。私が言いたいのは、特定の人種に対するステレオタイプは時にかわいいもののように感じられるということだ。ミンストレル・ショーであることを指摘することで人々に嫌な思いをさせたいのではない」。
チョウは続けて、「私は、日本の女子中高生の制服は、顔を黒く塗ることと同じことだと考えている」と書いた。
ステファニは2016年にホワイトハウスでの公式晩餐会でライブを行った。ステファニは日本のスタイルを自身の音楽とファッションに取り入れてきた。音楽オーディション番組「ザ・ヴォイス」の審査員を務めたステファニはペーパー誌に対して、自分の決断について次のように自己弁護した。「私たちはお互いに学んでいます。お互いの文化を共有しています。お互いに高め合っています」。
ステファニは続けて「これらのルールが私たちをどんどん分断しているのが現状です」と述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)



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