古村治彦です。

 岸田文雄首相は第一次補正予算案を発表した。予算規模は36兆円となり、新たに22兆円の国債を発行する。新型コロナウイルス感染拡大対策として、子どもがいる世帯への給付金とレストランなどへの支援が主な柱だ。新型コロナウイルス感染拡大が日本では他国に比べて抑えられており、その理由はまだ定かではないが、イヴェントの制限緩和や飲食店での飲食の制限緩和などが行われている。

 海外で感染者数が増えている国が多い中で、日本は感染者数を抑えて少しずつではあるが、以前に近い生活を行えるようになりつつある。そうした中で、「大規模な財政支出を行う必要があるのか、日本はそんなことをしなくても普通に戻っていくのだからしなくても良いのではないか」という主張があるようだ。しかし、日本経済も大きく傷ついており、財政出動は必要な施策だ。

 岸田首相は10月31日の総選挙で議席を多少減らしたものの、自公で300議席近くを確保して一応の勝利ということになり、党内基盤は固まった。甘利明幹事長は小選挙区で落選したために、幹事長を辞任した。3A(麻生太郎、安倍晋三、甘利明)の一角が崩れた。安倍晋三元首相は細田博之代議士が衆議院議長になったことで派閥を継承して安倍派となった。自民党内最大派閥の領袖となり、すっかり「元老」気取りで、岸田首相にあれやこれやと「指南」しているようだ。岸田首相とは当選同期という気安さもあると思われる。岸田首相は慇懃に対応しているようだ。慇懃さや丁寧さは宏池会の真骨頂だろうが、保守傍流はそれを「バカにされている」と毛嫌いしてきたが、安倍首相にはそれを感得する力はないようだ。

 安倍元首相が自民党総裁選挙で支援した高市早苗代議士は自民党政調会長に起用されたが、早速「蚊帳の外」に置かれているようだ。親分の安倍元首相がしゃしゃり出てきては動きづらいだろう。しかし、どうも自民党内の「安部派包囲網・大宏池会再結成」の動きも影響しているようだ。麻生太郎副総裁が勇退で、麻生派が河野太郎に禅譲となり、河野派ということになる。河野太郎も父河野洋平も元々は宏池会に属していた。河野洋平の父河野一郎は鳩山一郎派を受け継ぎ、河野一郎派を作っていた。それが中曽根康弘派となった。河野洋平は中曽根派を飛び出し、更には自民党を離党して新自由クラブを結成した。その後は自民党に戻ったが、中曽根派には戻らずに宏池会に参加した。河野派は宏池会と協力関係になれば、大宏池会実現に向けた第一段階ということになる。

 安倍派は安倍晋三元首相がまだ年齢が若いので、しばらくは派閥の領袖の座を譲ることはない。しかし、若手では福田達夫総務会長が控えている。安部派は、元は福田赳夫派だったこともあり、「福田派に戻せ」という動きも出てくるだろう。

 保守傍流に対して、「寛容と忍耐」「隠忍自重」で耐えしのいできた保守本流の動きがこれから重要になるが、それはまたアメリカがそのように動いてよいと許可を出しているからということでもある。アメリカを見ていないと日本政治を理解することは難しい。

(貼り付けはじめ)

●「自民・高市氏、存在感乏しく 意思決定、蚊帳の外?」

12/2() 7:10配信

時事通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/711bdf0ff829a8c0bfe18f2a0d5483b1f6316531

 自民党の高市早苗政調会長の存在感が乏しくなっている。

 9月の党総裁選で保守派の論客として注目を集めたが、衆院選直後の給付金に関する与党調整をめぐり、岸田文雄首相(党総裁)は茂木敏充幹事長に全面委任。定例化しつつある党最高幹部の会合にも高市氏は加わっていない。背景には首相の警戒感もあるようだ。

 高市氏は総裁選の1回目の議員票で2位に食い込んだ。政調会長に就くと、古屋圭司元国家公安委員長ら保守系を政調幹部に起用。衆院選公約には敵基地攻撃能力の保有や憲法改正など「高市カラー」を随所にちりばめた。

 一方、衆院選後は埋没気味だ。定例の記者会見を設定していないため発信の機会がそもそも少ないが、総裁選で争い、政策面で差のある首相との距離感も影響している可能性がある。

 岸田政権発足後、高市氏が首相と個別に協議したのは、確認された範囲で107日が最後。先週、党本部で開かれた「新しい資本主義実行本部」の初会合に首相と茂木氏が出席する中、高市氏の姿はなく、「首相肝煎りの会議に顔を見せないとは」(岸田派ベテラン)との声が上がった。

 ◇首相「トロイカ」重視

 これに対し、首相は麻生太郎副総裁、茂木氏と11月だけで3回会談。松野博一官房長官を加えた4者会合も1回開いた。党関係者は首相の意図について「高市氏の独走を懸念している」と明かした上で、それぞれ派閥を率いる麻生、茂木両氏との「トロイカ体制」には「高市氏を押さえ込む狙いがある」との見方を示した。

 「さまざまな意見を聞いてベストな財政政策を発信したい」。高市氏は121日、積極財政派が中心となる党財政政策検討本部の役員会でこう訴えた。

 役員会には高市氏の後ろ盾の安倍晋三元首相も出席。日本の失業率は低水準だと指摘し、「積極的な財政出動の成果だ。しっかり議論し、政府の政策に資するものにしたい」と強調した。今後、安倍、高市両氏の要求が強まれば、首相が苦慮する場面も出てきそうだ。

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●「安倍元首相、辞任後初めて官邸へ 岸田首相、エントランスで出迎え」

小手川太朗20211130 1533

朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASPCZ53DPPCZUTFK00Z.html

 安倍晋三元首相は30日、首相官邸で岸田文雄首相と面会した。自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会、95人)の会長に就任したことの報告で訪れた。安倍氏が官邸を訪問するのは、昨年9月に首相を辞任して以降初めてという。

 面会は約20分間。面会後、安倍氏は記者団に「党内の最大の政策グループとして、これからも岸田政権をしっかりと支えていくということについて、派の総意としてお伝えした」と述べた。

 関係者によると、安倍氏が就任あいさつとして面会を申し入れた。面会では、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」をめぐって政府が強化した水際対策について、安倍氏が首相に「(対応が)早くて良かった」と伝えたという。

 首相はエントランスホールまで出向き、安倍氏を出迎えた。今月11日に菅義偉前首相が官邸を訪問した際も同様に出迎えていた。(小手川太朗)

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補正予算案、国債22兆円発行へ…経済対策強化で昨年度に次ぐ規模

2021/11/25 09:03

読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211125-OYT1T50055/

 政府は26日にも決定する2021年度補正予算案で、国の借金となる国債を22・1兆円程度、新たに発行する方針を固めた。21年度の国債発行額は43・6兆円の予定だった。経済対策を強化する狙いがあり、リーマン・ショック時の09年度(52・0兆円)を上回り、20年度(108・6兆円)に次ぐ規模になりそうだ。

 補正予算案の追加歳出は一般会計で36・0兆円程度となる見通しだ。19日に決定した新たな経済対策の分が31・6兆円を占めるほか、地方に配る地方交付税交付金を3・5兆円程度、追加する。財源となる歳入は、21年度の税収の見通しを6・4兆円程度、上方修正する。当初予算で57・4兆円と見積もっていたものの、企業業績の回復などで20年度の60・8兆円を上回り過去最高となる公算が大きい。20年度の歳入から歳出を差し引いた「剰余金」も6兆円程度、活用する。

 歳入増でも追加歳出を賄いきれないため、赤字国債と公共事業などに使い道が限られる建設国債を発行することにした。

 岸田内閣として初めての経済対策は、国の財政投融資や地方の支出を加えた財政支出が55・7兆円となり、閣議決定した経済対策としては過去最大となった。

 補正予算案では、特別会計にも0・4兆円を計上する。「16か月予算」として補正予算案と一体的に編成する22年度予算案に、新型コロナウイルスの感染再拡大に備えて5兆円の予備費を確保する。

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安倍元首相「補正予算で30兆円程度確保を」岸田首相との会談で

20211117 1911

NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211117/k10013351771000.html

岸田総理大臣と安倍元総理大臣が会談し、安倍氏は、岸田総理大臣に対し、今年度の補正予算案の編成にあたって、財政支出が必要ないわゆる「真水」で30兆円程度を確保するよう求めました。

岸田総理大臣は17日夕方、議員会館にある安倍元総理大臣の事務所を訪れ、およそ30分間、会談しました。

会談で岸田総理大臣は、安倍氏に対し、特使としてマレーシアを訪問するよう要請したほか、対ロシア外交や北朝鮮による拉致問題をめぐって意見を交わしました。

一方、安倍氏は、岸田総理大臣に対し、今年度の補正予算案の編成にあたって財政支出が必要な、いわゆる「真水」で30兆円程度を確保するよう求めました。

このあと岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し、「先日の衆議院選挙を振り返っていろいろと報告をした。安倍元総理大臣は、派閥の会長になられたので祝意を申し上げた」と述べました。

そのうえで「経済、外交、昨今の動きについて意見交換をさせていただいた。具体的には控えるが、これからの政治の動きの中で話題になるさまざまな課題について、有意義な意見交換ができた」と述べました。

(貼り付け終わり)

(貼り付けはじめ)

日本の新しい首相は3160億ドル規模の支出パッケージで経済拡幅を促進(Japan's new PM looks to spur recovery with $316 billion spending package

モニク・ビールズ筆

2021年11月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/asia-pacific/583220-japans-new-pm-looks-to-spur-recovery-with-316-billion

岸田文雄首相の第一次補正予算案には、過去最大の財政出動となる3160億ドルの新規支出が含まれている。

ブルームバーグ通信によると、岸田首相の内閣は36兆円規模の支出パッケージを承認した。これは22兆円の政府債券を発行してパッケージの支出に充てる、ということだ。

ブルームバーグ通信は更に、1兆円以上は子供がいる世帯への現金給付として使われ、数兆円は新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けたレストランや各種ビジネスに補助金として支払われると報じている。

日本では新型コロナウイルス感染拡大対策が進み、状況はコントロールされているが、なぜこのような膨大な予算が必要なのかという疑問が出ている。ブルームバーグ通信は、「新型コロナウイルス感染拡大に関連する規制の多くは解除され、ワクチン接種率は75%を超え、日本経済は自力で回復できると見込まれている」と指摘している。

鈴木俊一財務大臣は、ブルームバーグ通信の取材に対し次のように答えた。新たな借り入れによって国の借金は増大するが「私たちは必要な行動を行った」。彼は続けて「しかし、それは日本の財務状況をより厳しいものにする」とも述べた。

先週、岸田首相は記録的な56兆円(4900億ドル)規模の財政パッケージを発表した。

岸田首相は10月に菅義偉の後任として選ばれた。菅は9月に首相辞任を表明した。

岸田首相と自民党は来年のいくつかの選挙で自分たちの権力を更に固めようとしている。

(貼り付けおっわり)

(終わり)
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