古村治彦です。

 2023年12月27日に単著の4冊目となる『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を発刊しました。203年を回顧し、2024年を予測するための一助となれば幸いです。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 今回は、このブログでもよくご紹介しているハーヴァード大学教授のスティーヴン・M・ウォルト教授の2024年の予測に関する論稿をご紹介する。2024年において、人々の関心が高いのは、ウクライナ戦争の行方、パレスティナ紛争の行方、米中関係である。アメリカ政治においてはやはりアメリカ大統領選挙の行方である。

ウォルト教授は、2022年2月24日から続くウクライナ戦争について、バイデンは選挙までは、負けを認めず、交渉に積極的であろうが、再選が決まれば、負けを認めて交渉を行うと予測している。トランプが大統領に当選すれば、ウクライナにどんな形でもロシアと停戦を行わせるとしている。物理的に、アメリカがウクライナを支援できなくなればウクライナ戦争は終わる。アメリカ連邦議会がウクライナ支援に予算が付けないとなれば、戦争は継続できない。

 パレスティナ紛争は、イスラエルとハマス以外のプレイヤーが消極的であるために、地域的な紛争に拡大することはないとウォルト教授は見ている。ただ、イランとイスラエルが事を構えるということになれば、アメリカはイスラエルに引きずり込まれる形で、地域の紛争に巻き込まれることになる。このようなことは誰もが避けたいところだ。ガザ地区が破壊され尽くせば、紛争は終わるだろうが、そこからの復興には10年単位の時間と大規模な支援が必要になる。

 米中関係は、両国がともにエスカレートさせないということでは一致しているとウォルト教授は見ている。アメリカはウクライナとパレスティナへの対応で精一杯であり、アジアで問題が起きれば能力を超えてしまうことになる。従って、台湾で2024年1月に選挙が実施されるが、台湾が中国を刺激しないように求めることになる。アジアは平穏を保つべきである。

 日本では元旦に北陸地方を中心とする震災が発生し、2日には東京の羽田空港で日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突し、火災が発生するという衝撃的な事故が起きた。先行きが不透明で、不安な状況であるが、せめて日本を取り巻く環境は波風が立たないことを願うばかりだ。

(貼り付けはじめ)

2024年について予想についてスティーヴン・ウォルトに聞く(Stephen Walt on What to Expect From 2024

-これからの12カ月の最初にあたってFP Live の年1回のシリーズ。

ラヴィ・アグロウアル筆

2024年1月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/01/fp-live-stephen-walt-look-ahead-global-elections-india-china-ukraine-israel-gaza-2024/

先週のFP Liveで、本誌コラムニストのスティーヴン・ウォルトは、2023年の最も重要な流れと展開を振り返った。彼の次の任務は、2024年に世界的な出来事がどのように展開するかを予測するという、非常に難しい課題だ。

本誌購読者は、このページの上部にあるボックスでビデオインタビューの全編を視聴できる。以下は、要約および編集された文字起こし原稿となっている。

ラヴィ・アグロウアル:2024年のリスクの中で、最も過小評価されているものは何か? 言い換えれば、まだ心配していないことで、私たちが心配すべきことは何か?

スティーヴン・ウォルト:1つは、中東紛争が大きくエスカレートする可能性だ。良いニューズは、今のところ、この地域の傍観者や第三者は誰もが関与することに熱心ではないように見えるということだ。ヒズボラとイスラエルが少し対立し、フーシ派はロケット弾を発射した。しかし全般的には、誰もがこの事態を限定的かつ限定的なものにとどめたいと考えているようだ。

紛争が継続し、これが何か月も続く場合、地域の大国のほとんどが傍観者でいる能力や意欲が低下する可能性がある。イスラエルとヒズボラの間で深刻な戦争が勃発し、それによってイランがより積極的に関与せざるを得なくなる可能性がる。もちろんそうなってしまうと、結果として、アメリカがイスラエル側に引きずり込まれることになる。突然、私たちが経験したことのない種類の地域紛争が勃発することになる。数十年の間、本当に見られなかった種類の紛争になるだろう。

ラヴィ・アグロウアル:今後数カ月、イスラエルとパレスティナの間でどのような展開が予想されるか? 1年後の状況はどうなっていると考えるか?

スティーヴン・ウォルト:残念なことに、1年後の状況はそれほど変わっていないと私は考える。その頃には、暴力行為は終わっているだろう。イスラエルによるガザでの作戦は、何らかの停戦や終結を迎えているだろう。ガザ地区のほとんど破壊されているだろう。つまり、これは最大規模の人道的危機(humanitarian crisis)であり、1年、それ以上の機関で終わることはない。

根本的な問題、つまりイスラエル人とパレスティナ人がこの地理的空間でどのように共存していくかという政治的問題は、1年経過しても解決するということはない。ある意味で、私たちは解決を先送りしてしまったことになる(have kicked the can down the road)。イスラエル政府が突然、「今、私たちは二国家間解決(two-state solution)を純粋に追求することに賛成する」と言い出すような変化は見られないと私は考える。改革され、新たに力を得たパレスティナ自治政府が現れるとは思えない。ハマスが排除されるとは考えられない。ハマスがパレスティナの抵抗の象徴として、ガザでもヨルダン川西岸でも以前より人気が出るかもしれない。憂鬱なニューズは、1年後、私たちがこの会話をするとき、この問題は現在と同じように難解で未解決のままだろう。

ラヴィ・アグロウアル:イスラエルがサウジアラビアとの関係を正常化させる可能性についてはどうか?

スティーヴン・ウォルト:今回の戦闘によって、その可能性はひとまず保留となったが、長期的には可能性がなくなったと私は考えない。アメリカの場合、主なインセンティヴは実はイスラエルとアラブの紛争とは関係なかった。サウジアラビアが少なくとも中国にある程度は媚びを売っていた時期に、リヤドを味方につけておくために、何らかの安全保障上の取り決めを仲介しようとしていた。アメリカの政治体制を通すと、イスラエルとの国交正常化と結びつける必要があった。サウジアラビアをアメリカの安全保障の軌道内にとどめ、中国と再編成させないというインセンティヴは、今も消えていない。

サウジアラビアは可能な限り最良の取引を望んでおり、アメリカから安全保障を得たいと考えている。イスラエルは、サウジアラビアとの国交正常化協定という象徴的な成果を得たいと考える。その可能性が戻ってくるであろうことは想像に難くない。問題は、その可能性がどれほど早く戻ってくるかということであり、それは紛争の行方とアラブの人々との関係によって大きく左右されるかもしれない。

ラヴィ・アグロウアル:ガザをめぐる怒りが中東、そしてアメリカの力学にどのような影響を与えるか、あなたはどのように感じているか?

スティーヴン・ウォルト:アラブ世界の世論は常に対立的で、多くの政府の態度や政策よりもイスラエルに同情的ではなかった。特にエジプトは、最終的にイスラエルと和平協定を結んだ。イスラエル政府とエジプト政府は基本的に、ここ何年もの間、共同でガザに蓋をしてきた。それは、多くのエジプト市民の意見と大きく対立している。それはサウジアラビアだけでなく、湾岸諸国の多くでも同様で、そうした差が、最も顕著なのはヨルダンだろう。

これはアメリカにとっての深刻な緊張を浮き彫りにする。アメリカは民主政治体制を支持し、国民が統治すべきだと言う一方で、中東に関して言えば、もし国民が実際に主導権を握っているとしたら、政策を形成するか、あるいはそれらの政策がどのようなものになるかについてより大きな声を上げるとしても、それらの政府の多くの立場は全く異なるものとなるだろう。

ラヴィ・アグロウアル:2024年に注目すべき出来事としてカレンダーに書き込んでいることはあるか?

スティーヴン・ウォルト:ある。それはNATOの創設75周年だ。しかし、NATOには2つの影が落とされている。1つはウクライナでの戦争がうまくいっていないことで、これは同盟の失敗と見なされるだろう。2つ目の影は、NATOの将来に疑念を投げかけ、NATOやヨーロッパ連合(EU)を愛していないドナルド・トランプの再選の可能性だ。

ラヴィ・アグロウアル:2024年を見る枠組みの1つは、歴史上最も多くの人々が投票に行く年だということだ。そして2024年は1月の台湾の選挙で始まる。もし現在与党の独立派政党が再選されれば、台湾海峡で様々な緊張が引き起こされ、最近の米中間の建設的な対話の一部を覆すことになるかもしれない。

スティーヴン・ウォルト:台湾の選挙の結果は非常に重要だ。与党・民進党の現職候補は、これまで独立について率直な発言をしてきた。最近は発言を控えめにしている。つまり、独立の見通しを推し進めることから身を引こうとしている。彼がアメリカやその他の国から一貫して受け取っているメッセージは、たとえ選挙で成功したとしても、野党が大きく分裂していることを考えれば、就任後に彼がすべき最後のこと(もっともやるべきではないこと)は、中国にこの地域でとてつもなく不安定になるような行動をとらせるようなことをすることだ、というものだ。

1年後も現状維持のままであろう。しかし、私たちが注目したい選挙であり、その余波に細心の注意を払いたい選挙であることは確かだ。

ラヴィ・アグロウアル:今年前半に行われるもう1つの大きな選挙はインドの選挙だ。ここ数年、インドの外交政策はかなり強硬になっています。2024年に向けてどのように発展していくと考えるか?

スティーヴン・ウォルト:ナレンドラ・モディ首相は圧倒的な強さで再選されると思う。それによって彼が国内外で取ってきた政策上の立場が強化されるだろう。それは、インドがより強力になるにつれて、さまざまな方法でより独立した立場を採用する。これは、ますます多極化する世界の新たな特徴を示している。そうだ、中国とのバランスを取るためにアメリカに近づきたいと考えているが、安価なエネルギーを入手してインド経済を助けるため、ロシアとも緊密な関係を持っている。これら2つの目標の間に緊張があるという事実は、多数の異なる勢力が競合する場合に政治がどのように機能するかを示しているに過ぎない。これはアメリカが慣れなければならないことだ。

ラヴィ・アグロウアル:インドネシアでは2024年にも大きな選挙がある。2億以上の人口を擁しながら、世界的な報道ではほとんど注目されることのない東南アジアのイスラム教徒が多数を占めるこの大国について、世界がどのように考えるべきか、より広い意味での影響について何か考えがあれば聞かせて欲しい。

スティーヴン・ウォルト:私たちは、その規模と経済成長ゆえに、インドネシアの軌道がどうなるかをより慎重に考えるべきだ。時間の経過とともに、より重要なプレイヤーになっていくだろう。アメリカや他の諸大国がアジアのパワーバランス(勢力均衡)を重視するようになれば、インドネシアがどのような方向性を打ち出すかは、非常に重要な意味を持つことになるだろう。

ラヴィ・アグロウアル:2024年に予定されている全ての選挙について考えるとき、何を一番懸念しているか?

スティーヴン・ウォルト:アメリカ人として、私が最も心配しているのは、2024年11月の選挙の結果だ。テクノロジーが次の選挙サイクルに大きな影響を与えるとは思えない。ソーシャルメディアやAIがそれらに影響を与える能力は、まだかなり限られていると思う。しかし、私はアメリカの分極化(polarization)の程度を懸念している。それによってアメリカ国民が、同じ事実について合意することが不可能になっている。

私たち全員が喜ぶべき 2023 年の傾向は、アメリカでインフレが実際に抑制されているようであり、アメリカ経済がほぼ全ての指数で著しく好調であることだ。しかし、ほとんどのアメリカ人はそうではないと考えている。人々は現在、既に同意している情報源からのみ情報を入手している。このような状況のほとんど全てにおいて、私が懸念しているのは、意見が集中し、自分たちが何を信じているかを誰もが知っているという点まで個別化されている傾向であると私は考えている。私たちが忘れているのは、おそらくそれが全てではないと考えることだ。なぜなら、私たちは別の視点を聞いたことがないからだ。

ラヴィ・アグロウアル:2024年のアメリカ選挙についてもう少し話をしたい。バイデン2.0やトランプ2.0が誕生した場合、世界にとってどのような影響があるだろうか?

スティーヴン・ウォルト:バイデン2.0はそのほとんどが継続されるだろう。劇的な変化は見られないだろう。もしバイデンが再選されれば、アメリカはウクライナ戦争の解決に向けた交渉に、より直接的に動き始めるだろう。大統領選挙前はウクライナが勝てないことを認めたがらないだろうが、選挙が終われば取引に関心を持つようになるだろう。トランプが当選すれば、ウクライナから距離を置き、基本的にどんな取引でも結ばせようとする動きが当選直後からすぐに起きるだろう。

アジアでは、この2つは同じになるだろう。トランプは中国に対して非常に懸念を持っていたが、バイデン政権はトランプの対中政策の一部を継続し、どちらかといえば倍増させている。バイデンはアジアで同盟を組織しようとすることに非常に効果的だった。トランプはそうした同盟関係を解体することはないだろう。アジアではより厳しい状況になるだろうが、アメリカの主要な関与は維持されるだろう。

ヨーロッパは本当に懸念すべき地域である。トランプはEUを愛していない。彼はNATOも時代遅れかもしれないと考えている。私がヨーロッパの指導者なら、トランプ大統領が誕生する可能性に対して多くのリスクヘッジを始めるだろう。

ラヴィ・アグロウアル:トランプが当選した場合、他国が頼れるガードレールはあるか?

スティーヴン・ウォルト:1つのガードレールは、他国が力を合わせてアメリカの行動に反対したり、制限しようとしたりすることだ。アメリカは非常に強力だが、最高権力者ではない(The United States is very powerful, but it is not supreme)。経済やその他の様々な分野では、世界の他の国々からの協力が必要だ。

別のガードレールはアメリカの統治システム内に存在するもので、それらは実際にトランプ大統領が第一期にできることに実質的な制限を課していた。エスタブリッシュメントはトランプが達成したことに対して実質的な制約を課した。彼らは、彼の集中力の持続時間が短いことを認識した。私の懸念は、彼らはトランプ政権第一期の経験から学び、官僚機構をさらに強力にコントロールしようとするが、トランプが再選された後にそうした試みが不可能になることということだ。

ラヴィ・アグロウアル:最後の質問。2024年の米中関係はどうなるだろうか?

スティーヴン・ウォルト:アメリカも中国も、来年にかけて関係が劇的に悪化しないようにすることに関心があると思う。アメリカは現在、ウクライナとガザ紛争への対応で精一杯だ。このような事態が起きている間、アジアのどこかで危機が発生するのは避けたいところだ。

同様に、中国経済も好調ではない。中国国家主席の習近平は明らかに中国政府内の混乱に大きな関心を持っている。中国が他国との間で抱えている緊張により、米中両国の関係は複雑化している。彼らはアジアの他の国々、そしてもちろんヨーロッパ諸国と関係修復をしようとしてきた。米中両国ともに、今後1年ほどはこの競争を多少なりとも抑えておきたいというインセンティヴを持っている。

※ラヴィ・アグロウアル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長。ツイッターアカウント:@RaviReports

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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