古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 日本で、「もしトラ」という言葉が流行っている。このことはワシントン・ポストでも報じられている。「もしもトランプが大統領に返り咲いたらどうなるか」ということを述べる際に使われる言葉だ。昔、「経営学者ピーター・ドラッカーの経営理論を高校野球のマネージャーが学んだら、その高校野球のティームは甲子園に行けるのか」という題材の小説がアニメ化、ドラマ化され、「もしドラ」という言葉が流行ったが、その言葉を真似たものが「もしトラ」ということになる。

 「もしトラ」を心配しているのは、日本だけではないようだ。先進国首脳会議(G7)に加盟している先進諸国全体で心配しているようだ。「トランプが再び大統領になったら、自分たちにどんな要求をしてくるか分からない」ということで戦々恐々だ。トランプが訴えていた、各国の軍事費増額は、バイデン政権でも継続して要求され、先進諸国でその動きが出ている。日本も国防予算の倍増が決められ、そのための増税も行われている。トランプは各国にGDP比2%までの増額を求めていたが、その数字を上げてくるかもしれない。更に言えば、アメリカはNATOから脱退し、「お前ら、対ロシアはお前らの力だけでやれ」ということになるかもしれない。トランプがロシアのウラジーミル・プーティンとヨーロッパの頭を飛び越えて勝手に仲良くなって、「NATOは抜けるから後はよろしく」となったら、ヨーロッパ各国は恐慌状態になるだろう。そして、「やはりロシアとは仲良くしなくては」「資源を買うことで顧客になって仲良くしよう」という「新しい東方外交に舵を切る」だろう。

 問題は中国である。トランプは対中国強硬姿勢を見せるだろう。しかし、もちろん、「中国がアメリカに投資をして雇用を作り出してくれるならウエルカムだ」という交渉条件を付ける。中国はトランプを懐柔するために、投資をする。もちろん、アメリカがどんどん衰退していくことは織り込み済みだから、致命的にならない程度に、共倒れにならない程度に、「少しは延命策になるか」程度の投資をするだろう。そうなれば、中国との関係も良くなって、「ヤルタ2.0(米中露=トランプ・習近平・プーティン)三帝体制」ということになる。

 このように書くと、「もしトラ」といって怖がっているのは馬鹿らしくなる。「もしトラ」と言って怖がっているのは、ヨーロッパと日本の親米エスタブリッシュメントたち(アメリカの民主・共和両党のエスタブリッシュメント・エリートたちとつながっている売国者たち)である。トランプが大統領だった4年間に、核ミサイルは飛ばなかったし、アメリカが大規模な海外戦争を仕掛けもしなかった。そのことをよくよく考えねばならない。

(貼り付けはじめ)

G7はトランプに備えねばならない(The G-7 Must Prepare Now for Trump

-今夏のサミットは、単なる50周年記念式典以上のものにならねばならない。

ロビン・ニブレット筆

2024年3月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/19/g-7-trump-biden-election-prepare/

イタリアのジョルジア・メローニ首相が6月13日から15日にかけて主催するG7サミットの計画を立案している。世界をリードする民主政治体制国家のクラブであるG7の50回目のサミットということで、祝賀ムードが高まるだろう。

当然らそうなるだろう。 G7にはカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ、そして、1981年以降はヨーロッパ連合(EU)が加盟しており、現在、世界のGDPの54%、世界の国防支出の55%以上を占めている。 G7加盟諸国は何十年にもわたって、民主社会(democratic societies)や開かれた市場(open markets)の保護など、共通の外交政策上の優先事項を追求するために各国の経済力を調整することで、世界の舞台での重要性を更に高めてきた。

しかし、今度のサミットの重要性は、画期的な記念回以上のところにある。G7の未来、そして世界的な民主政治体制の結束の未来が今、危機に瀕している。

共和党の大統領候補ドナルド・トランプによる最近のNATO蔑視発言は、アメリカの同盟国に対する関与の信頼性を疑問視する声につながっている。トランプのNATOに対する不満の一因は、他のNATO加盟諸国の国防費が、アメリカに比べて歴史的に低いことにある。なぜアメリカ人がヨーロッパの防衛費に、ヨーロッパ人が進んで支出する以上の支出をしなければならないのだろうか?

しかし、G7はトランプ2期目の気まぐれに対して、より脆弱であることが判明するかもしれない。トランプ大統領にとって、アメリカの外交政策を他国と調整することは、アメリカの行動の自由に対する無意味な制約である。

ここに問題がある。アメリカは現在、イギリスを除くG7の全ての相手国との間の貿易で赤字を出している。2023年には、これらの赤字は3370億ドルに達し、アメリカの対中赤字(2790億ドル)を上回る。商品の貿易赤字は、トランプにとって外交政策の赤信号だ。だからこそ、彼は、アンゲラ・メルケルのドイツをウラジーミル・プーティンのロシアよりも大きなライバルとして扱い、アメリカの保護主義(protectionism)に対抗した、2018年のG7首脳会議の成果を台無しにした。

G7首脳たちは米大統領選挙について沈黙を守っている。現職の米大統領ジョー・バイデンの2期目の実現を期待できる可能性がある。しかし、現時点では、その可能性はせいぜい五分五分だ。その代わりに、彼らは今後3カ月を利用して、2期目のトランプ大統領誕生の打撃に耐えることがで、バイデン2期目の綱領としても機能する政策課題を策定すべきだ。

バイデンの1期目におけるG7の成果は印象的だった。2022年2月にプーティンがウクライナに本格的に侵攻して以来、G7はロシアに対して前例のない制裁措置を実施してきた。ロシア中央銀行がG7諸国の通貨で保有する約3000億ドルの準備金の凍結から、ロシア産原油が1バレルあたり上限60ドルを超えて販売された場合のタンカーへの保険提供の禁止まで、多岐にわたる。このようなことができるのは、世界の外貨準備の93%以上がG7各国の通貨で保有され、世界の外航船舶の90%以上がG7に本社を置く企業によって発行された損害保険でカバーされているからである。

中国の台頭に対する共通の懸念と、北京とモスクワの緊密な連携を反映し、G7は過去3年間、緊密な同盟国である韓国とオーストラリアとも、将来の経済成長の中心となる半導体や再生可能エネルギー投入のための「フレンドシェアリング(friendshoring)」サプライチェーンを開始するための努力を一貫して行ってきた。

トランプ新政権が、フリーライダーであることを理由にして、最も親密な同盟諸国を罰することに戻れば、こうした重要な仕事も全て終わりを迎えることになりかねない。しかし、G7メンバーの対米貿易不均衡を是正することは、短期的には不可能である。だからこそ、今度のG7サミットでは、敵対的なトランプ大統領の復活の可能性に備えることを優先しなければならない。

第一に、G7加盟諸国は、ウクライナの主権を守るための支援には期限を設けないという明確なシグナルをモスクワに送る必要がある。支援をめぐる紛いは現在、どちらの側が政治的、経済的に他方を上回ることができるかを示す激しい競争の陰に隠れている。アメリカの新たな支援が現在連邦議会で阻止されている中、欧州諸国とEUは既に、キエフに対する今後の複数年間の財政・軍事支援として約750億ユーロに加えて、更に770億ユーロの供出を約束することで、決意を示す重要な一歩を踏み出している。彼らは戦争が始まって以来すでに割り当てを行っている。

G7サミットではまた、凍結されたロシアの外貨準備から得られる利益を、G7の全メンバーがどのように引き出すかを決定する必要がある。これまでの障害は、これらの外貨準備の大部分がEUの銀行によって保有されていることである。一部の政府とヨーロッパ中央銀行は、稼いだ利子(昨年は44億ユーロ)を分配するという控えめなステップでさえ、確固たる法的根拠を欠いており、また世界的な基軸通貨としてのユーロの信頼性を損ないかねないと懸念している。こうした懸念を克服することは、G7の決意を強調することになる。トランプ大統領が誕生すれば、ウクライナを支援するためにアメリカが負担した費用の一部に充足させる取り決めを反故にすることを考えるかもしれない。

第二に、G7メンバーは韓国とオーストラリアを正式にグループに招待すべきである。もしバイデン政権2期目が発足すれば、韓国とオーストラリアの加盟はハイテクと再生可能エネルギーにおけるG7の総合力を強化するだろう。もし2期目のトランプ大統領が誕生しても、G7に入っておけば、この2つの民主的同盟諸国はトランプ大統領の重商主義的脅威の前に孤立することはなくなるだろう。

第三に、バイデン政権、EU首脳、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドが昨年発表した、インドから湾岸諸国とイスラエルを経てヨーロッパに至る、鉄道によるエネルギー供給システムとデータの回廊を建設する計画に、G7メンバーは初期の資金を割り当てるべきである。中国の「一帯一路」構想に対抗するこの遅ればせながら重要なプロジェクトは、インドと湾岸諸国の、若く急成長する経済と、ヨーロッパの裕福だが高齢化が進む市場をつなぐものだ。

ガザでの戦争はこの計画に疑問を投げかけているが、イスラエルにとってのメリットは、ネタニヤフ後の政権がパレスチナ人と持続可能な和平を築くための重要な追加的インセンティヴとなる。同時に、トランプ大統領の外交政策上の主要な成果である、イスラエルとアラブ諸国との関係を正常化した2020年のアブラハム合意を支援することになる。

G7は、中国やロシアとの新たな冷戦が長期化しそうな状況において、貴重な地政学的経済調整機関である。バイデン大統領の成果を確固たるものにするためであれ、トランプ大統領の世界的リスクを軽減するためであれ、G7の50周年記念サミットはその名に恥じないものでなければならない。

※ロビン・ニブレット:チャタム・ハウス特別研究員・元最高経営責任者。著書に『新しい冷戦:アメリカと中国との間の争いは如何にして私たちの世紀を形作るか(The New Cold War: How the Contest Between the U.S. and China Will Shape Our Century)』である。ツイッターアカウント:@RobinNiblett

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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