古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2023年10月7日にガザ地区を実効支配するハマスによるイスラエルへの攻撃で、約1200人が殺害され、250人以上が拉致された。そのうちの一部は解放されたが、大部分は拉致されたままだ。被害者家族たちは即時の解放を求めている。イスラエルは人質の解放とハマスの壊滅を掲げて、ガザ地区に侵攻し、激しい攻撃を加えた。ガザ地区では民間人の死傷者が多数出ており、イスラエル軍の過剰な反撃に対しては国際的な非難が高まっている。イスラエルを全面的に支持し、これまでも手厚い支援を行っているアメリカでも、国内世論がイスラエルの過剰な反撃に対して嫌悪を示している。その世論を背景にして、ジョー・バイデン米大統領はイスラエルに対して不満を隠そうとはしていない。

 これまでも何度か行われた停戦交渉で拉致された人質の一部が解放されているが、イスラエルの軍事的な反撃が激しさを増しながら、半年を過ぎようとしているが、人質救出の目途は立っていない。イスラエル国内でもベンヤミン・ネタニヤフ首相の強硬路線に対する反対の声が上がるようになっている。ネタニヤフ首相は政権内部の極右勢力の閣僚たちを頼りに政権運営を行っているが、一番の問題は「ハマスを壊滅させることもできず(ハマス以外の過激派組織が成長することも含めて)、人質を救出することもできず」という状態にあることだ。
 軍事力だけで比べれば、イスラエルがガザ地区を徹底的に破壊して、再占領をすることは容易なことだ。しかし、ガザ地区再占領が今回の軍事作戦の目的ではない。人質を解放することが最優先だ。ハマスの壊滅はそれに比べれば重要度は低い。ネタニヤフ首相はそのことを履き違えている。しかも、軍事作戦を進めれば進めるほどに、国際的な非難の声は大きくなるばかりだ。イスラエルはガザ地区での作戦を中止し、一部部隊を撤退させた。ネタニヤフ首相はただガザ地区を破壊し、パレスティナ人の憎しみを増大させ、肝心の人質の救出にはつながっていない。半年も経ってこのような状態では、ネタニヤフ首相は大きな失敗をしたと言わざるを得ない。

 バカ極右が下手に軍事力を持つとどのようなことを起こすか、日本にとって良い教訓だ。

(貼り付けはじめ)

ネタニヤフ首相の戦争戦略は意味をなしていない(Netanyahu’s War Strategy Doesn’t Make Any Sense

-イスラエルの計画は、それ自体の条件から見てもつじつまが合わない。

アンチャル・ヴォ―ラ筆

2024年4月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/05/israel-gaza-war-netanyahu-strategy/

2023年11月、私はテルアヴィヴでハマスに人質として拘束されたリリ・アルバッグの父親エリ・アルバッグに会った。ベギン通りの真ん中で19歳の娘の写真を手にしながら、彼はハマスに圧力をかける政府の軍事作戦を支持すると言った。「ハマスが自ら人質を解放すると思うか?」 しかし、アルバッグは我慢の限界に達したようだ。2024年3月下旬、彼はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に最後通牒を突きつけ、家族たちはもう支援集会を開かず、反ネタニヤフ抗議運動の拡大に加わって街頭に集まると地元メディアに語った。

問題となっているのは、人質の家族が、親族の帰還(the return of their relatives)とハマスのイスラエルに隣接するガザ地区からの排除(Hamas’s removal from their neighborhood)を、この順で勝利と見なしている一方で、多くの人がこの2つの戦争目的が矛盾していることを以前から知っていたことだ。しかしネタニヤフ首相は軍事作戦開始以来、人質解放よりもハマスの排除を意図的に優先してきたが、実際にはどちらも達成するための一貫した計画はない。

ネタニヤフ首相は、戦争を終結させ、人質を解放し、平和をもたらす見通し、ヴィジョンを欠いたまま、ただ出来事に反応しているだけだと、軍事アナリストやイスラエル国民の一部から非難されることが増えている。

しかし、ネタニヤフは依然として憤慨している。抗議デモに対してネタニヤフ首相は、「勝利がもうすぐ訪れるこの時期に早期の選挙は国を麻痺(paralyze)させ、ハマスを利するだけだ」と述べた。彼は今、100万人以上のパレスティナ人が避難しているガザ地区南部のラファに目をつけている。このような攻撃は国際的な怒りを買うだけでなく、ハマスとの交渉をより難しくするだろう。

2023年10月7日、ハマスがイスラエルの町やキブツ(kibbutzim)を襲撃し、約1200人を殺害、250人以上を拉致した直後、ネタニヤフ首相は宣戦布告した(declared war)。ガザ地区を空爆することでハマスに圧力をかけ、捕虜を解放させ、同時にハマスを排除するというのが、人質の家族に対する基本的なメッセージだった。

しかし、ハマスは、ガザ地区をはじめとするパレスティナ地域だけでなく、レバノン、シリア、イランなどにも拠点を構え、国民から絶大な支持を得ている。ハマスは、どのように排除するつもりなのかという、より根本的な問題については、ネタニヤフ首相は口をつぐんだ。アメリカの情報諜報機関が毎年まとめている脅威評価によれば、イスラエルはハマスの何年にもわたる抵抗に直面する可能性がある。

何年にもわたる対反乱作戦の末、イスラエルの治安部隊がガザ地区でハマスを壊滅させることができたとしても、将来のどうようなグループの再来はどうなるだろうか? イスラエル国防軍(IDF)が更に長い期間をかけてハマスの分派を壊滅させたとしても、ネタニヤフ首相は、政治的解決の目処が立たないまま、武装抵抗をどのように排除するのだろうか?

安全保障担当のある政府高官は匿名を条件に本誌に次のように語った。「私たちはハマスの全24大隊のうち18大隊を壊滅させたが、ハマスの撲滅にはどれだけの距離があるだろうか? それは大きな疑問だ。ハマスを排除することは可能だが、その期限を決めることはできない。もちろん、他のグループが台頭する可能性もある」。

ガザ地区内でのイスラエルの軍事作戦は、ハマスのインフラと軍事能力に大きなダメージを与えたが、平和は保証されていない。イスラエルの世界的に有名な国防軍と治安機関が、10月7日の攻撃の2人の首謀者、モハメド・デイフとヤヒヤ・シンワルを逮捕することができていないという事実、今もガザの裂け目のどこかに2人が身を潜めているという事実が、イスラエルの限界と、ハマス指導部が今も受けている支援の大きさを物語っている。

2月にネタニヤフ首相がついに計画の概要を発表したが、詳細はほとんどなく、イスラエルの専門家たちによって「計画ではない(non-plan)」としてすぐに却下され、「現実から切り離されている(untethered from reality)」と形容され、ただの大騒ぎのように聞こえた。結局のところ、ガザ地区再占領への行程表(ロードマップ、roadmap)以上のものではなかった。

ネタニヤフ首相は、ガザ地区を当面の間、「安全管理(security control)」し、この地域が完全に非武装化されて初めて復興を許可すると述べた。また、パレスティナ人の非武装化を望んでおり、パレスティナの国家承認を否定している。いかなる合意も、イスラエル人とパレスティナ人の「直接交渉によって(through direct negotiations)」のみ達成されるとネタニヤフは語ったが、交渉の時期は明らかにしていない。報道によると、流布された計画では、戦後のガザ地区の文民行政は、ハマス以外の非敵対的な地元の各グループによって運営されることになっている。

パッと見たところでは、ハマスの残忍な攻撃を受けて恐怖に怯え、安全に暮らしたいと願うイスラエル国民にとっては理に適っている。しかし、よくよく考えてみると、辻褄が合わない。最初に、ネタニヤフ首相はイスラエル軍を無期限に派遣するつもりなのか、それとも必要なときに必要なだけイスラエル軍に自由に立ち入ることを望んでいるのか、明らかにしていない。前者はガザ地区の再占領を意味し、後者は事実上の支配を意味する。どちらの選択肢も、イスラエル国民やイスラエルの国際的パートナーにはまだ提示されていない。

たとえ、ネタニヤフ首相が、イスラエルが最近国交を結んだ、アラブ諸国からなる多国籍軍がガザ地区の治安維持を引き継ぐことに同意したとしても、そのような多国籍軍がパレスティナ人の間でどのような信頼を得られるかについては疑問が残る。ハマスの大隊を全て非武装化するのは短期的な課題かもしれないが、その残党や別組織と戦うには何年も、もしかしたら何十年もかかるだろう。治安維持部隊にとっては、反目する準国家を監視するよりは、反乱軍に対処する方がまだ扱いやすい仕事だが、イスラエル軍には大きな犠牲を強いることになる。イスラエルの高圧的な態度は、イスラエル国内でのパレスティナ人の攻撃を抑制するか、もしくは助長するかのどちらかだ。

イスラエルの元国家安全保障担当次席補佐官エラン・ラーマンは、パレスティナ人の非急進化(deradicalize)という目標は、永続的な和平に向けたものだと語った。ラーマンは、「私たちは一過性の現象であり、遅かれ早かれ圧力で崩壊するだろうというパレスティナ人の認識を変える必要があるため、非急進化がカギとなる」と述べた。学校やモスクでの非急進化プログラムは、「イスラエルの生存権を認めない」人々(those who do not “accept Israel’s right to exist”)を対象にしたものだ。

しかしパレスティナ人は、これもまた二国家共存による解決を遅らせるためのネタニヤフ首相の戦術だと言う。結局のところ、パレスティナ人は単にハマスのプロパガンダによってイスラエルに反対しているのではない。パレスティナ人の多くは、イスラエル国家と入植者による土地収奪の犠牲者であり、それは現在の戦争による苦しみ以前の問題なのだ。ネタニヤフ首相は、パレスティナ人の自決の考えをより生産的な形で形成する方法についての計画を明らかにしていない。

ネタニヤフ首相の、地元住民に最終的な文民統制権を与えるという提案もまた、軽率に思える。いったい誰を念頭に置いているのだろうか? あるイスラエル安全保障関係者は、イスラエルに友好的なアラブ諸国、特にアラブ首長国連邦に従順な現地人はテストに合格するだろう、と語った。しかし、そのような指導者はイスラエルの操り人形とみなされ、パレスティナ人の間では立場が弱いかもしれない。ヨルダン川西岸のマフムード・アッバス率いるパレスティナ自治政府(Palestinian Authority)のように、嘲笑の的になるかもしれない。

ネタニヤフ首相のハマス壊滅、ガザ地区の非武装化、パレスティナ人非武装化キャンペーンは、事実上ガザ地区の再占領に等しい。ガザ地区を再占領することは、イスラエル国民の多くが快く思っていないとしても、ネタニヤフ首相の、計画になっていない計画はそこに向かっている。イスラエル国防軍で報道官を務めたジョナサン・コンリカスは「イスラエル人は占領という言葉を使いたがらないが、他に選択肢はない」と述べている。

先月、アメリカは停戦を求める国連安全保障理事会の採決を棄権した。ガザ地区の再占領は亀裂を更に広げるだろう。言い換えれば、ネタニヤフ首相の戦略は、ガザ地区とその200万人の住民、ますます疎外されるアメリカ政府、国際的孤立の増大に対する責任という形で、悲惨な勝利に向かう可能性がある。

※アンチャル・ヴォ―ラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』誌コラムニストでヨーロッパ、中東、南アジアについて記事を執筆中。ロンドンの『タイムズ』紙中東特派員を務め、アルジャジーラ・イングリッシュとドイツ国営放送ドイチェ・ヴェレのテレビ特派員を務めた。以前にはベイルートとデリーに駐在し、20カ国以上の国から紛争と政治を報道した。ツイッターアカウント:@anchalvohra

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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