古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争が始まり、2年以上経過している。アメリカ連邦議会が最近、ウクライナ支援のための9兆円の予算を承認可決し、ジョー・バイデン大統領が署名して法律となった。ここまで、ウクライナは西側諸国の支援を受けながら戦争を継続しているが、苦戦を続けている。ロシアは最近になって、ウクライナ東部での攻勢を強めている。ウクライナへの支援が強化される前に、要衝を押さえておくという考えであろう。

ukrainewarsituation20240514001
ウクライナ戦争の戦況

 国際社会の動きで言えば、西側諸国(the West、ザ・ウエスト)がウクライナを支援する一方で、西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)はウクライナへの支援に消極的である。国連の場でも、国連総会におけるロシアに対する非難決議でも、西側以外の国々から反対、棄権が多く出た。西側諸国としては、西側以外の国々にウクライナ支援に賛成、積極的に参加してもらいたいところだ。しかし、グローバル・サウス諸国は、「自分たちには自分たちの問題があって、そちらの方の優先順位が高いのは当然だ」ということになる。インドを例に取ると、インドは経済成長著しい状態にあるが、そこで問題になるのは、資源高、特に石油価格の高騰である。インドは、アメリカとも同盟関係にあるが、ロシアからの安い石油を輸入している。インドにしてみれば、「他人の不幸を喜ぶ」ということになるが、これは、国際関係においては当然のことだ。

 西側諸国が西側以外の国々からの支援を受けようと思えば、手厚く支援をしなければならない。日本のODA外交はその一環である。西側以外の国々は、自分たちの有利な立場を利用して、より多くの支援を引き出そうとする。そのような動きをする。「狡猾、ズルい」という感覚を持つかもしれないが、繰り返すが、これは国際関係の実態である。そのような中を私たちは生きていかねばならないが、何よりも重要なのは、最悪の事態、戦争にならないようにすることだ。

(貼り付けはじめ)

グローバル・サウスにとってウクライナが優先課題ではない理由(Why Ukraine Is Not a Priority for the Global South

-貧困諸国は徐々に、「私たちの優先事項があなた方にとってより大きな意味を持つようになるまで、あなた方の優先事項が私たちにとってより大きな意味を持つことはないだろう」と言い続けている。

ハワード・W・フレンチ筆

2023年9月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/09/19/unga-ukraine-zelensky-speech-russia-global-south-support/

 

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領がニューヨークでの国連総会で演説を行うために国連ビルに到着(2023年9月19日)

今週、世界の指導者たちが年次国連総会のためにニューヨークに集まる中、彼らの演説のテーマの多くは非常に予測可能なものであるため、儀式化された国際的な議論の一部として理解される可能性がある。

気候変動と地球温暖化を防止する必要性についての議論が交わされ、その中には、海面上昇によって近い将来消滅する危険性のある小規模な島嶼諸国の指導者たちの感情的な訴えも含まれる。前時代のグローバリゼーションが後退しているように見える今、国際貿易に対する開放性を維持することが求められるだろう。権威主義的国家は、不干渉と強者による弱者の主権の尊重を求める常套句を繰り返すだろう。そしてもちろん、特定の地域であれ世界規模のものであれ、平和の促進を求める、真剣な声も上がるだろう。

一方、豊かな西側諸国からすれば、ロシアのウクライナ戦争ほど重要で大きな話題はないだろう。今年、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ウクライナの領土を吸収しようとする2年来のロシアの動きを食い止めようとする自国の努力に対する、アメリカや国際的な支援を強化する目的で、アメリカを訪問した

ウクライナの指導者ゼレンスキーの、国連への出席、そして今週後半にはワシントンでジョー・バイデン米大統領と会談する予定であることは、キエフとロシアの対立の国際的側面をまれなほど明確に浮き彫りにしている。それは、しばしばグローバル・サウスと呼ばれる地域の指導者多数が国連に到着した時期と一致するからである。

これまでの数カ月間、アメリカとヨーロッパの政治家や外交官たちは、グローバル・サウス諸国の政治家や外交官たちに対し、ロシアの侵略を非難する上で、原則として西側に肩を並べるよう懇請してきた。そしてほぼ同じ期間、西側諸国の当局者たちは、彼らの訴えに対する反応が弱かったことに困惑、落胆、悔しさを表明してきた。

このため、世界の貧困国や中所得国がなぜ明らかな大国の侵略事件にこれほど無関心なのかという問題は、魅力的かつ重要な問題であるにもかかわらず、これまで貴重なほとんど明確な思考の対象になってこなかった問題となっている。

一般的な見方では、グローバル・サウスの国々がロシアを批判することに消極的であるのは、弱者が長年採用してきた古くて論理的な戦略によるものだと思われている。つまり、いくつかの国々、例えば西側諸国に支配されているのであれば、より自由に動ける場所を手に入れるため、支配されている国々のライヴァル諸国を応援するというものだ。これは典型的なバランシング(balancing)であり、貧しい国々はロシアに対してだけでなく、過去数十年間の目覚ましい台頭の中で、中国に対しても同様のことを行ってきた。自分が弱ければ、パートナーを望むものだ。一般的に言えば、パートナーは多ければ多いほど喜ばしい。彼らがあなたの好意と支持を求めて競い合えば、猶更のことだ。彼らがいなかったら、何十年にもわたって国際システム、つまり、アメリカと西ヨーロッパを支配してきた勢力と手を組むことになるだろう。

この説明には真実が存在しているが、十分とは言えない。問題の核心に近づくためには、国際関係をめぐる標準的な言葉のいくつかを探らなければならない。グローバル・サウス(global south)はその1つであり、少しの精査にも耐えられない。他の人々が指摘しているように、このレッテルの下に日常的にまとめられている国々の多くは、特に南というわけではなく、イデオロギー的、経済的、民族的、言語的、あるいは人種的なものであれ、他の一貫した特質をほとんど共有していない。私は毎年春に大学でグローバル・サウスをテーマにした授業を担当しているが、毎年この命名法の問題に悩まされている。

ところで、西側諸国(the West)も、それ自体、あいまいで不正確な造語であり、注意深い思考にはあまり耐えられない。報道では、西側とはアメリカと東に拡大しつつある西ヨーロッパだけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、そしてしばしば日本、イスラエル、韓国、アパルトヘイトの時代には白人支配の南アフリカも含むと日常的に理解されてきた。

しかし、西側として知られるこの便宜的な用語の下にひとまとめにされている国々の苦境と同様に、広く使われているもう一つの用語がある。それは「発展途上世界(developing world)」です。ここでの問題は、不正確さ(imprecision)と言うよりも、婉曲表現(euphemism)だ。私たちが発展途上国に属する国について話すとき、それは実際に発展していることを前提としているが、多くの人にとっては実際にはまったくそうではない。西側諸国はロシアのウクライナ侵攻に反対する支持を集めようとする一方で、発展途上諸国の無理解や西側諸国に対する信頼の欠如を嘆くこともある。

しかし、その理由の1つ、そしておそらく最も重要な理由は、チラチラと見えている。この軽率な言葉の使用は、「発展途上(developing)」諸国の多くが経済的静止状態、もっとひどい場合は停滞と経済後退に陥っているという現実を見えなくしている。ここで、作為的な国の集まりとは対照的な、ある真の地理的地域が明らかに際立っている。それはアフリカである。

世界の多くの国が、一人当たり GDP だけでなく、人間開発、長寿、環境福祉、社会福祉などの指標を含む他の多くの点でも、「先進(developed)」諸国にますます後れをとっているのは事実だ。しかし、アフリカは明らかに人間の緊急事態(human emergency)であるにもかかわらず、それ以外のものとして扱われてきた。ブルームバーグ・ニューズによる最近の報道では、アフリカ大陸の相対的な窮状が印象的に記録されており、この報道ではアフリカが過去10年間にどのように地位を失ったかが数多く記録されている。

西側諸国は、主に短期的な、利己的な目的のために、アフリカに対して選択的ではあるが弱めの注意を払っている。その中で最も明白なのは、人口の点で、世界で最も急速に成長している大陸からの大規模な移民のスピードの減速と、イスラム過激派との戦いである。これらの目的はどちらも、西アフリカにおけるフランスの崩壊しつつある立場の中心となっている。西アフリカではつい最近まで、フランスはサヘル地域の旧植民地に対して並外れた影響力を保っていたが、元植民地で属国であった国々が、怒りをもって、古い形のパートナーシップを放棄するのを目にするだけのこととなった。

これは長い間、フランスが「協力(cooperation)」と呼んでいたもので、実際にはアフリカ諸国政府への財政、外交、安全保障上の支援を意味し、移民を食い止め、宗教的反乱勢力と戦うことを優先していた。もちろん、世界基準で極端に貧しい人々の生活水準も含め、これらの国々の経済を向上させるための持続的で公的な説明責任を果たす努力は、ほとんど道端に置き去りにされてきた。

これは本末転倒の措置ではなかったか、と問われる時期が来ている。移民と原理主義者のテロと反乱を引き起こし続けているのは、貧困(poverty)と持続的な低開発(persistent underdevelopment)が原因ではないか? これがフランスとアフリカの旧植民地だけに関係する状況だと考えるのは怠慢ということになるだろう。以前にも書いたように、ガーナは西アフリカ「協力」の成功例として何度も取り上げられてきたが、同様に繰り返し壊滅的な債務危機(crushing debt)に見舞われてきた。ガーナが、安定の防波堤(bulwark of stability)であり、しばしば西洋型の民主政治体制(Western-style democracy)として想像されているものの模範とされてきた、この地域において、現在、状況が再び悪化しているのだ。

ガーナの問題(低・低中所得国の他の経済不振諸国の問題と同様)の責任の一部は、間違いなく自国の政府と、公務員の汚職や肥大化した国家(bloated state)に関連した問題にある。しかし、同様に、私たちの国際システムには、貧しい人々や弱い人々の足を引っ張り、軽視し、彼らの発展の努力を妨げる長年の構造的な問題が存在するのは間違いない。しかし、世界の富裕層はむしろ他のことについて話したがるだけだ。

この現実に正面から向き合う代わりに、ヨーロッパ諸国とアメリカ(西側諸国)は最近、世界の貧しい人々の同情と協力を求める外交政策の優先事項をもう1つ付け加えた。それは、ロシアに奪われた領土を取り戻すためのウクライナの戦いである。ウクライナがロシアに奪われた領土の支配権を取り戻す戦いである。しかし今、アフリカだけでなく、グローバル・サウス(成長していない国々を意味する)でも、私たちは曲がり角に来ているようだ。貧困層が富裕層に対して、「私たちの優先事項があなた方にとってより大きな意味を持つまで、あなた方の優先事項が私たちにとってより大きな意味を持つことはない」と言うケースが増えているのだ。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり海外特派員を務めた。最新作に黒人として生まれて:アフリカ、アフリカの人々、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War.)』がある。ツイッターアカウント:@hofrench

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505