古村治彦です。
日本では太平洋戦争以後、徴兵制度はなくなった。私の祖母は終戦時に女学校を卒業して働いていた世代で、徴兵制度のことを覚えていて、私が成人の年齢(20歳)になった時に、「昔は徴兵検査を受けていたよ」と言っていたことを思い出す。男性は徴兵検査を受けて初めて一人前、という風潮があったそうだ。
アメリカに留学中に、韓国や台湾からの留学生たちと親しくなったが、彼らは徴兵され、軍務に着いた経験を持っていた。陸軍や海軍、空軍の話をたまに聞くことがあった。ある女性の留学生からは彼女のお兄さんが生まれつき体が弱く、徴兵に適さない健康状態で、どうしても徴兵に行って一人前に見られたいと言って聞かなかったという話を聞いた。戦前の日本と同じく、徴兵されて一人前という風潮がまだまだ根強いようだ。
アメリカではヴェトナム戦争までは徴兵が行われていた。徴兵忌避者(draft
dodgers)は国内や外国に逃げるということもあったそうだ。ヴェトナム戦争後に徴兵は停止となったが、1980年にジミー・カーター政権下で、選抜調整システムが導入され、18歳から26歳までの男性は名簿に登録するということになった。アメリカ軍は志願制を取っているが、志願兵だけでは足りないという状況になったら、この名簿に載っている人々から徴兵されるということになる。2004年には一般徴兵制(男女の名簿登録)の導入が連邦議会で提案されたが、法案の議論まで至らずに、導入されなかった。
民主党側は徴兵名簿への女性の登録に積極的であり、共和党の一部も賛成しているが、社会的保守派と呼ばれる共和党議員たちは強硬に反対している。民主党側は、「軍務の範囲が拡大し、語学担当は情報諜報分析担当まで広がっており、女性の能力も必要だ」と主張している。反対派は「女性たちは望んでいない」「危険すぎる」ということで反対している。アメリカ軍は既に女性が軍務に就き、最前線にも配属される場合があり、戦死や戦傷を追う人も実際にいる。ヨーロッパではウクライナでの戦争もあり、各国で徴兵制度の導入や復活の動きが始まっている。ヨーロッパの場合は、男女ともに徴兵されるようだ。イスラエルも徴兵制度であり、女性が徴兵されている。
ウクライナやロシアでは徴兵によって若者たちが軍務に就いており、その数が足りなくなって、対象が拡大していると言われている。そして、徴兵を逃れようと国外逃亡を図る人々も多く出ているようだ。国家はある意味で非常に怖い存在だ。「完全動員(full mobilization)」という号令がかかれば、国民はひったくられるようにして、集められ、強制的に国家のために働かされることになる。日本では日本国憲法によってそのようなことを国家(政府)に禁止しているが、憲法を変えるということはそういうことができる範囲を広ゲルということも含まれており、私たちは気を付けるべきだ。現在の日本でも、自民党の政治家たちやそれらに近い人々があらゆる理屈をこねて徴兵制度導入を目論んでいるが、私たちは注意しておかねばならない。
(貼り付けはじめ)
女性に徴兵を義務付けることをめぐり炎上騒動が勃発(Firestorm erupts
over requiring women to sign up for military draft)
アレクサンダー・ボルトン筆
2024年6月20日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/defense/4730560-senate-democrats-require-women-draft/
連邦上院民主党は、年次国防権限法案(annual defense
authorization bill)に女性の徴兵登録を義務付ける文言を追加したため、共和党や社会保守派の反発を招き、11月の投票日までに法案を連邦上院議場で可決する可能性が複雑になっている。
ロジャー・ウィッカー連邦上院議員(ミシシッピ州、共和党)が率いる保守派が、女性に徴兵登録を義務付ける規定を削除しようとするのは確実で、その場合、ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)とジャッキー・ローゼン連邦上院議員(ネヴァダ州選出、民主党)、他の民主党所属の連邦議員たちは再選レースを戦っている中で、厳しい投票となる。
ローゼンの対抗馬として、連邦上院議員選挙に立候補している共和党のサム・ブラウン候補は、ネヴァダ州の選挙運動で、既にこの問題を争点にしている。
即席爆発装置(improvised explosive device)の爆発により重度の火傷を負った退役軍人であるブラウンは、女性の徴兵への参加を義務付ける投票について、ヴィデオでローゼンを非難した。
ブラウンは、最近ソーシャルプラットフォームXに投稿し、「私の顔を見て欲しい。これは戦争の高額な代償だ(Look at my face. This is the high cost of war)」と書いた。
ブラウンは妻に対して「エイミーと私は軍務を志願した。そして、奉仕する全ての人に敬意を表したい」と述べた。そして、続けて、「しかし、アメリカの娘たちに徴兵登録を強制することはとても“容認できない”。ジャッキー・ローゼンは恥を知るべきだ」と述べた。
これらのコメントの下に投稿されたヴィデオの中で、ブラウンは戦場で女性が直面するだろう危険性の証拠として、自身の顔の傷を挙げた。
ブラウンは、「私の顔を見て欲しい。これは戦争の高額な代償であり、今週、ジャッキー・ローゼンが私たちの娘たちに徴兵への参加を義務付けることに投票したことを知った。この件について、皆さんは、また私から話を聞くことになるだろう」と述べた。
ジョシュ・ホウリー連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は、法案に女性への参加を義務付ける規定は「馬鹿げている(insane)」だと批判した。
ホウリー議員は、バイデン政権が国防総省で起きている、ウォーク議題(woke
agenda、訳者註:リベラルな議題)を実行しようとしていると非難した。
ホウリー議員はフォックス・ニューズに出演し、「徴兵に女性を入れるべきではない。女性たちが望んでいないのに軍務を強制されるべきではない」と語った。ホウリー議員は、民主党が軍隊を使っての実験(experiment with the military)を望んでいることを批判し、「普通の人々は、“娘たちを放っておけ”と考えている」と語った。
ホウリーは、2021年と2022年の国防権限法案から女性の登録を義務付ける文言を削除する取り組みを主導した。
マイク・ペンス前副大統領の関連団体も水曜日、この問題について介入した。
「アメリカの自由推進(Advancing American Freedom)」というグループは、ミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(ケンタッキー州選出)とマイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)に書簡を送った。その中で、「戦争を戦うために女性に徴兵登録を義務化するというアメリカ合衆国の考えは、全く支持できず、何としても反対しなければならない」と主張した。
連邦上院軍事委員会の共和党側のトップであるウィッカー議員は、法案から女性の徴兵登録の文言を削除するよう努めると述べた。
ウィっか―議員は、「私は女性の徴兵登録義務化に反対だ。今は、それについて、連邦議会の両院の議場で、議論を始める時期ではないと思う。私たちの現状は、徴兵の実施には程遠いし、差し迫った本当の問題について話し合う必要があるときに、枝葉末節にかまけることになると私は考える」と述べた。
ウィッカー議員は、「議場での討論や委員会の出会議で、そうした文言が法案からなくなることを願っている」と続けて述べた。
しかし、連邦上院軍事委員会のジャック・リード委員長(ロードアイランド州選出、民主党)は政策変更案を擁護し、女性は最前線の歩兵として勤務しなくても、多くの種類の軍務に就くことができると主張した。
リード議員は、「今日、我が国の軍隊では、女性が目覚ましい活躍をしている。もし、徴兵が必要な状況になったとしたら、18歳以上の健康な国民全員が必要になると考える」と語った。
リード議員は、「徴兵が実際に行われるということは、私たちが非常に深刻な状況にあることを意味する」と付け加えた。
リード議員は「大量の歩兵が必要だった第二次世界大戦当時とは違う。私たちは、サイバー専門家、情報諜報アナリスト、言語学者などを必要としている。ちょっと待って欲しい、男性よりもこの仕事ができる女性はたくさんいます」と主張した。
リード議員は、共和党がこの提案に激しく反対しているのは、「筋が通らない(just
doesn’t make any sense)」と述べた。
連邦上院の補佐官たちは、この問題は党派を超えていると指摘し、共和党所属の議員の一部は、女性が18歳になったときに男性と同様に選択兵役制度(Selective Service System)に登録することを義務付けることに概ね賛成している。
連邦上院共和党は既に、11月の選挙までの議会日程が減りつつあることを考慮すると、チャック・シューマー連邦上院多数院(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)が法案を近いうちに議場に提出するかどうかについて疑問の声を上げている。
ウィッカー議員は「法案が議場に提出されることを願っている。公の場で議論することは非常に重要だ。民主党執行部がこの法案を提出しないのではないかという噂を耳にするが、それを覆してほしい」と述べている。
共和党側のマコーネル院内総務は月曜日、民主党側のシューマー院内総務に対し、国防権限法案を「遅滞なく(without delay)」提出するよう求めた。
共和党側の指導者であるマコーネル院内総務は、今月初めに、連邦上院軍事委員会が国防権限法案を取りまとめたことを称賛したが、その後、民主党が法案を審議するプロセスを長引かせる可能性があると示唆した。
マコーネルは「しかし委員会の行動直後、連邦上院民主党幹部たちは国防の要件を真剣に受け止め始める用意があるという期待を打ち砕いた」と述べた。
女性に徴兵資格を求める投票は、モンタナ州やネヴァダ州といった共和党優勢の州や激戦州の民主党に再び打撃となる可能性がある。
共和党連邦上院議員委員会委員長のスティーブ・デインズ議員(モンタナ州選出、共和党)は前回議会で、女性に選抜兵役制度への登録を義務付ける規定を国防権限法(NDAA)から削除する2022年の修正案を支持した際、この問題を取り上げた。
デインズ議員は「モンタナ州の勇敢な男女は、自発的に我が国の軍隊に加わり、モンタナ州が持つ、豊かな軍務奉仕の遺産を受け継いでいる。私たち国の娘たちに徴兵を強制する必要はない」と述べている。
ホウリー議員は、2021年の国防権限法の女性の徴兵に関する文言を無効にする修正案を提案した。ホウリーの行動は民主党に対し、2021年12月の修正案の採決を行わずに最終的にこの問題を法案から削除するよう圧力をかけた。
ホウリー議員はまた、2022年には、共和党のテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出)、マイク・リー上院議員(ユタ州選出)、マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)、ロジャー・マーシャル(カンザス州選出)、ジョン・ブーズマン(アーカンソー州選出)、ジェームズ・ランクフォード連邦上院議員(オクラホマ州選出)、デインズ上院議員(モンタナ州選出)が共同提案した、女性に選抜兵役制度への登録を義務付ける文言を削除する国防法案修正案を提案した。
(貼り付け終わり)
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