古村治彦です。
ジョー・バイデン大統領が現地時間の日曜日夜、声明を発表し、再選を目指さないこと、党の候補者としてカマラ・ハリス副大統領を支持すると述べた。先週後半から、バイデン撤退を求める声が大きくなり、マスコミの論調もトーンが上がっていたことは、このブログでも既にご紹介していたが、それが現実となった。投開票日まで残り110日を切り、民主党全国大会まで1カ月を切った段階での慌ただしい交代劇となった。
ジョー・バイデンとジル夫人
バイデンが発表した声明を読み、私は彼の無念さを感じた。相当な圧力を受けて、嫌々ながら撤退を決断したのだろうと思う。彼自身は、自分はまだまだ元気で大丈夫だと思っていただろうが、周囲の認識との差は大きかっただろう。人間は自分自身のこととなると分からないことが多くなるものだ。
声明文の中でバイデンは、「Democratic Party」という言葉を使わなかった。怒りのあまり、使えなかったのだろう。「my party」という言葉を使っている。バイデンの気持ちはこのようなものだろう。「いくら他の候補者が立たなかったとは言え、予備選挙で私は勝利して代議員を獲得している。その私をお前たち民主党の最高幹部たちは、引きずりおろそうとあの手この手で、脅したりすかしたりして説得、脅迫してくる。自分はそれに疲れたのだ。民主党が民主的ではないとは。カマラがいいというのなら、それでいいよ」ということが読み取れる。声明文の中で、「Democracy」とわざわざ強調しているところもあるのに、「Democratic
Party」とは使っていない。バイデンの無念は相当なものだろう。
ハリスは早速、連邦議会の民主党議員たちと話をして、支持を得ている。議員たちは11月に選挙があり、民主党に勢いがないと、選挙が厳しいということになる。民主党全体に勢いがないと見られると、選挙運動は停滞し、資金集めも難しくなる。議員たちにしてみれば、「バイデンじゃなければ何とかなる」ということになるだろう。
今回の撤退・交代劇は見方を変えれば、「民主党内のエリートたちが自分たちの利益のために、リーダーを無理やり引きずりおろした(表面上は円満に)」ということになる。バイデンはワシントン政治家として老獪な人物であり、喧嘩をしても得策ではないときは引くということができる人物である。民主党は禍根を残すことになる。なぜなら、民主党全国委員長は「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」を経て、候補者を選ぶと述べており、それならば、バイデン撤退についても「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」で明らかにしなければ、ハリスの候補者としての「正統性(legitimacy)」が完全に認められないということになるからだ。
カマラ・ハリスには、バラク・オバマとミシュエル・オバマから多大な支援が行われる。2008年、2012年のオバマ選対のスタッフ出身者が集められて、ハリス陣営が作られるという話が出ている。バイデンに対して、「猫の首に鈴を付ける(説得して撤退させる)」役を最終的に引き受けたのは、オバマだろう。バイデン陣営の政治資金については、ハリスはバイデンが指名した人物であり、ランニングメイトなのでバイデンに集まったお金が使えるということになりそうだが、一部には異論がある。「ハリスに対して出した訳ではないのだから返金すべき」という意見もある。今回のケールは極めて異例であり、まだ予断を許さない。
副大統領候補には何人か名前が挙がっているが、まだ決定打はない。マーク・ケリー上院議員(アリゾナ州)の名前が出るようになっている。ケリーは白人男性で、海軍のパイロットから宇宙飛行士になった人物。党は違うが、海軍パイロット出身で故ジョン・マケイン(共和党)の後釜的存在でもある。ハリスとは好対照な人物であり、注目される。
ハリスにはヒラリー・クリントンも支援をするという話も出ているが、これは逆効果だろう。ミシェルもあまり表に出ない方が良いかもしれない。有能な弁護士出身でセレブの大統領夫人経験者コンビがしゃしゃり出ると、格差が大きくなっているアメリカでは嫌われる。そして、何よりも、民主党内のニューヨーク王朝クリントン家、シカゴ王朝オバマ家の女王様方がご入来と捉えられる危険もある。
民主党は党綱領を発表しているが、ハリスらしさを出すために修正は必要となる。ハリスはカリフォルニア州司法長官(検事総長のような感じ)時代に、厳しい犯罪対策を行って、評価を上げたが、民主党内左派からは「厳し過ぎる」という批判が集まった。党内左派は支持しているが、ハリスに対して、反感を持っている人たちも多い。
カリフォルニア州は民主党にとって金城湯池の州だ。興味深いことに、それなのに、民主党出身の大統領でカリフォルニア州を地盤にした人はこれまで出ていない。共和党の側では、最近では、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンはカリフォルニア州を地盤にしていた。このジンクスが破れるかどうか、注目される。
(貼り付けはじめ)
ハリスはバイデンが辞任後、支持を固めようと躍起になっている(Harris races
to lock down support after Biden drops out)
マイケル・シュニール筆
2024年7月21日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/house/4785030-harris-support-biden-drops-out/

ジョー・バイデン大統領が再選をもう望まないと発表してからわずか数時間後、カマラ・ハリス副大統領はホワイトハウスへの立候補への支持を固めようと急いでいる。
ハリスは日曜日、連邦議事堂で、3つの主要な議員連盟(派閥)の会長たちと面会した。連邦下院進歩主義派議員連盟のプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)、連邦下院ヒスパニック議員連盟のナネット・バラガン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ニュー・デモクラット連合のアン・マクレーン・カスター連邦下院議員と会談した。3人全員がハリスを大統領選挙の指名候補として支持している。
ハリスは、マーク・ポーカン連邦下院議員(ウィスコンシン州選出、民主党)とも話した。ボーガンは、Xでの投稿で「彼女はウィスコンシン州で勝つ準備ができている!!!」と述べた。そして、ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ハリスのスタッフから話を聞いたと述べた。
ハフマンは日曜、本誌の短いインタヴューに対して。「彼女のティームは完全に活性化されており、電話は鳴り響き、電子メールのやり取りは爆発的に増加しており、この事態は順調に進んでいる。これはロケット・シップのように飛び立った」と述べた。
会話の感想を尋ねられ、ハフマンは「さあ、反撃開始だ(Let’s roll)」と答えた。
バイデンがもはや党の指名を求めないと発表したことを受け、ハリスが初期の大統領選挙活動を加速させようとしている中で、連邦議事堂での活発な全面的活動(full-court press)が行われた。
バイデンは、先月の討論会での悲惨なパフォーマンスをしたことで、懸念が高まる中、民主党から出馬の決断を再考するよう圧力が強まっていた。バイデン大統領は当初、自ら撤退はしないと一貫して反抗的だったが、日曜日に態度を翻し、ハリスの候補者指名を即座に支持した。
バイデン大統領はXへの投稿の中で、「2020年の民主党大統領選挙候補者としての私の最初の決断は、カマラ・ハリスを副大統領候補に選ぶことだった。そして、これは、私にとって最良の決断だった。今日、私はカマラが今年の民主党の候補者となることに全面的な支持を表明したい」と述べた。
ハリスはバイデンからの支持を歓迎し、声明で次のように述べている。「大統領の支持を得られたことは光栄なことであり、私の意図はこの指名を得て、勝ち取ることだ」。
今回の件に詳しい複数の関係者によると、ハリスはここ数カ月と同様、強行軍の遊説スケジュールを維持するとみられる。「AAPI勝利基金」、「コレクティヴPAC」、「ラティーノ勝利基金」などの主要な民主党PACは日曜日にハリス支持を表明しており、バイデン選挙運動のインフラはハリス支持に軸足を移している。
ハリスの支持拡大に向けた全速力の疾走(sprint)は、シカゴで開催される民主党全国大会まで1カ月を切った時点で始まっている。民主党所属の連邦議員の多くがハリスを指名候補として支持しているが、一部の主要人物は判断を保留している。ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれもバイデン氏を称賛したが、ハリス氏を支持するまでには至らなかった。このことに驚いている人たちもいる。
今後の道筋は依然として不透明なままだ。民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は日曜日、「党は今後数日以内に、11月にドナルド・トランプを倒すことができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための透明性があり、かつ秩序あるプロセス(transparent and orderly process)に着手する」と述べた。
ハリソンは続けて、「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と述べた。
ジャヤパルは日曜日、ハリスとの電話で「あなたが大統領になることを1000%確信している!」と伝えたと述べた。
ジャヤパルは続けて、「彼女は、11月に私たちを勝利に導く知性、経験、実績を持っている、そして、解決すべき課題を分かっている。さあ行こう!」と述べた。
バラガンもその意見に繰り返し、Xで次のように投稿した。「副大統領と話し合って、私は全力で取り組むと繰り返し述べた」。
「今日から、私と一緒にカマラ・ハリス副大統領を寄付で支援してください!」とバラガンは付け加えた。
(貼り付け終わり)
(終わり)


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