古村治彦です。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が訪米し、ジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領(民主党の大統領選挙候補者にほぼ内定)と会談し、金曜日には共和党の大統領選挙候補者ドナルド・トランプ前大統領とフロリダ州で会談を持つことになっている。ネタニヤフ首相は米連邦議会で通算4度目の演説を行った。連邦議会での演説は、ひじょうに政治的な意味を持つ。今回、連邦下院のマイク・ジョンソン議長(共和党)が招待を主導したが、ネタニヤフ首相に批判的な連邦議会民主党に踏み絵を踏ませる形で、もし招待に反対したら、「反イスラエル的」として攻撃材料にするつもりだった。

 アメリカ政治で大きく見れば、共和党側はイスラエル支持・ネタニヤフ首相支持となり、民主党側はイスラエル支持・ネタニヤフ首相不支持ということになる。共和党側は、民主党内の根強いネタニヤフ首相不支持を利用しようとしている。

 今回のネタニヤフ首相の演説では終始、イスラエルの自己弁護が行われたが、私が気になった言葉は「proud Irish American Zionist」という言葉だった。これは、ネタニヤフ首相が自分とバイデン大統領とは50年近く友人であり、バイデンがネタニヤフ首相に対して、自分は「アイルランド系アメリカン人シオニストであることに誇りを持っている」と述べたと紹介している。ネタニヤフ首相は歴代の民主党所属の歴代大統領とは相性が悪く、バイデン大統領とはまだ相性が良かった。
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 ネタニヤフ首相の連邦議会演説では、民主党所属の連邦議員の半分近く135人が結成した。ナンシー・ペロシ元連邦下院議長やエリザベス・ウォーレン連邦所運議長など有力議員が欠席した。パレスティナ系アメリカ人唯一の連邦議員で、民主党進歩主義派のラシダ・タリブ連邦下院議員は演説に出席し、「戦争犯罪人(War Criminal)」「大量虐殺の罪(Guilty of Genocide)」と書かれたプラカードを掲げていた。カマラ・ハリス副大統領も欠席した。その後のハリス・ネタニヤフ会談で、ハリスは「イスラエルの自衛権は認めるが、今回の攻撃は過剰だ」と述べたと報じられている。
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 ネタニヤフ首相はトランプ前大統領にも目配りをして、「彼がやったことに感謝している。暗殺未遂があったが生き残ったことは素晴らしかった」と賞賛している。金曜日にトランプ前大統領との会談も予定されている。トランプの協力を得るということも、ネタニヤフにとっては重要だ。ネタニヤフは自身に関する汚職に関するスキャンダルを抱えている。紛争が落ちつけば、訴追は免れない。そのために、停戦に関して、非常に高い条件をつけている。考えてみると、トランプもバイデン、ハリスも早期の紛争停止を主張している。その邪魔をするということになれば、ネタニヤフに対する支持もなくなることになるだろう。

 今回のネタニヤフ訪米・連邦議会演説は高度に政治的なものであり、アメリカ政治、イスラエル政治、国際政治に複雑に絡んでいるということになる。

(貼り付けはじめ)

ネタニヤフ首相が米連邦議会演説から得たもの(What Netanyahu Got From His Speech in Congress

-イスラエルの指導者はガザ地区での戦争を擁護したが、彼の訪問はアメリカの政治の影に隠れた。

アダム・デイヴィッド・ミラー、アダム・イスラエレヴィッツ筆

2024年7月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/25/netanyahu-congress-speech-biden-israel-trump-republicans-democrats/

イスラエルのネタニヤフ首相は、10ヶ月近くも親イスラエルの大統領に反抗し、屈辱を与え、親イスラエルの民主党の大部分とアメリカ国民のかなりの部分を疎外させたにもかかわらず、長い間保留されていたホワイトハウスでの会談を実現させ、さらに、ウィンストン・チャーチル英首相が米連邦議会合同会議で行った3回の演説に勝るとも劣らない4回目の演説を行った。また、ジョー・バイデン大統領が2024年の大統領選から撤退することを決めたことで、イスラエル国内でもネタニヤフ首相の訪問は影を潜めた。

実際、この訪問は、実際に何を達成したかというよりも、それが何を反映したかという点でより重要なものとなった。それが今回の訪問と演説だ。私たちがアメリカとイスラエルのオペレーティングシステムと呼んでいるものは、まだ稼働している。アメリカの国内政治と政策は依然として、敵対的な近隣地域におけるユダヤ人国家の安全保障への深い関与によって形成されており、それがアメリカに対するイスラエルの影響力を維持し、アメリカのイスラエルに対する影響力を弱める現実となっている。しかし、ネタニヤフ首相のイスラエルがアメリカ政治において党派間の対立が深まり、分裂を招く問題となっているため、この体制は深刻なストレスに直面している。ハリス政権が樹立した場合に、特にパレスティナ人に対する政策に関して、イスラエルに対してより厳しいアプローチを取るかどうかはまだ分からない。しかし、共和党と同盟を結んだネタニヤフ首相にとって、ドナルド・トランプとの関係修復はこれまで以上に重要になっている。

(1)「イスラエルは間違いを犯さない」党(The Israel-can-do-no-wrong party

現在、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムの主力は共和党だ。これは明確にしておきたい。イスラエルに絶対に悪いことをしない共和党がいなかったら、ネタニヤフ首相はワシントンに招待されなかっただろう。そして共和党が現在トランプの政党になっているとすれば、共和党はネタニヤフのお気に入りの政党であるということだ。実際、アメリカとイスラエルの関係を扱い、管理するためのネタニヤフ首相の戦略の大部分は、彼の様々な任期中に右傾化してきたイスラエルと、民主党とは異なりイスラエルを支持するだけでなく支持する共和党との絆を強固にすることにかかっている。無批判に、さらには盲目的に。ネタニヤフ首相がその関係を築いたのは、共和党がホワイトハウスを支配している間に親イスラエル政策を促進するためだけでなく、民主党が政権を握っているときに、民主党から支持を得るためにでもあった。ネタニヤフ首相と民主党所属の各大統領との関係は、控えめに言っても波瀾万丈だった。ビル・クリントンは、誕生したばかりのネタニヤフ首相の生意気さと説教癖に激怒し、初の公式会談後、側近らに対し「ここにいるクソ大国気取りの野郎はなんて奴だ?(Who’s the fucking superpower here?)」と怒りを爆発させた。

そして間違いなく、ネタニヤフ首相と共和党との関係は共生関係(symbiotic)にある。共和党は福音派(evangelicals)の好意を集めるために、イスラエルに熱心に言い寄っており、できる限り親イスラエルの強い信条でアメリカ系ユダヤ人を引きつけようとしている。2015年、オバマ政権の核交渉とイランへの対処を弱体化させないにしても妨害するために、ネタニヤフ首相を連邦議会演説に招待したのは、共和党のジョン・ベイナー連邦下院議長だった。そして、マイク・ジョンソン現連邦下院議長が今年、ネタニヤフ首相を連邦議会での講演に招待したのは、共和党を確実に親イスラエルな唯一の政党として描き、民主党を攻撃しようとする試みであったことには、ほとんど疑いの余地はない。ジョンソン議長はつい先週、共和党が唯一の親イスラエル政党であると主張し、ネタニヤフ首相の演説を妨害した者は全員逮捕すると脅迫した。

それでも、共和党員全員がネタニヤフ首相に満足しているわけではない。実際、トランプ大統領は2020年、ネタニヤフ首相が2020年米大統領選挙が盗まれたという主張を支持しなかったことや、ヴィデオメッセージでバイデンを祝福したことに対して激怒していたと伝えられている。トランプ大統領は、インタヴューで『アクシオス』記者のバラク・ラビッドに対し、ヴィデオについて不満を述べ、「くそ野郎はくたばれ(Fuck him)」と発言した。トランプ大統領はガザ地区について多くを語っていないが、準備不足で泥沼状態に陥ったイスラエルを非難し、戦争を早く終わらせるよう促し、イスラエルが広報戦争に負けていると不満を述べた。ネタニヤフ首相は自分に問題があることを承知しているため、新たなヴィデオメッセージを作成し、今回は最近の暗殺未遂事件を受けてトランプ大統領への支持と祈りを表明した。金曜のマールアラーゴでの二人の会談は、多くの利益をもたらす可能性が低いこの旅行の中で最も重要な成果かもしれない。ネタニヤフ首相は、トランプ大統領の1期目の経験から、安全保障問題に関してはトランプ大統領がイスラエルに圧力をかける傾向が薄れ、イスラエルに自由裁量を与えたがるであろうことを分かっている。しかし、トランプ大統領がパレスティナのマフムード・アッバス議長から受け取った書簡を投稿し、称賛したことは、ネタニヤフ首相に、トランプ大統領は非常に予測不可能な(unpredictable)人物であることを思い出させるはずだ。

(2)民主党:イスラエルを非難するが、決して排除するわけではない(Democrats: Down on Israel but by no means out

民主党は、アメリカとイスラエルのオペレーティングシステムを維持する上でも重要な役割を果たしている。チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務は、3月にネタニヤフ首相の罷免を要求する内容の演説を行ったにもかかわらず、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務とともに、ネタニヤフ首相の連邦議会演説への共和党の招待状に結局のところ署名した。民主党は親イスラエル支持層の多くを疎外することを明らかに恐れており、大した戦いもせずにジョンソン連邦下院議長の罠にはまった。イスラエルが人質を取って虐待する過激派と戦っている中、民主党指導部は、ネタニヤフ首相に対する共和党の懸念にもかかわらず、ジョンソン連邦下院議長の招待に関して反対し、共和党から反イスラエルという批判を受けるつもりはなかった。

そして、進歩主義的な民主党議員の間だけでなく、多くの留保がなされている。クリス・ヴァン・ホーレン連邦上院議員、クリス・マーフィー連邦上院議員、クリス・クーンズ連邦上院議員などの民主党主流派は、ネタニヤフ政権に対してより厳しい政策を求めている。(この3人はいずれも、イスラエルへの軍事援助を一部制限することを提案している。ほとんどの民主党所属議員は、特にハマスとの戦いにおいて、以前からのイスラエル支持者であり続けている。更新された民主党の綱領は基本的に主流派的であり、より進歩主義的な党員が望むような批判は避けられている。それにもかかわらず、ネタニヤフ首相の議会演説に欠席した民主党議員の数はおよそ135人(2015年の演説の欠席者数58人の2倍以上)と推定され、ネタニヤフ首相のイスラエルに対する深い不満と疎外感を反映している。

(3)要素としてのハマス(The Hamas factor

アメリカの国内政治が、政権がイスラエルに対して圧力や影響力を行使することを制約する傾向があるとすれば、イスラエルとハマスの紛争の性質は、それを更に制限し、イスラエルの余裕を高める役割を果たす。イスラエルは、アメリカが外国テロ組織として指定したグループとの持続的な紛争(現在10カ月を数える)に従事している。ハマスの2023年10月7日の攻撃は、1200人のイスラエル人の命を奪い、連続的な性的暴力、レイプ、切断、拷問、人質の奪取と虐待を伴った。ハマスの急増は、同じくアメリカが指定したテロリスト集団であるヒズボラがもたらす脅威とともに、20万人のイスラエル人を避難させる結果となり、大統領と選挙で選ばれた議員の大多数が既に持っていた親イスラエル的な感覚をさらに強める結果となった。実際、バイデンがこの紛争に反応する様子を見れば明らかなように、彼はパレスティナ人が被った損失よりもイスラエル人が被った損失の方にはるかに深い共感を示している。そして、この強い親イスラエル、反ハマスの感情は、戦争遂行におけるイスラエルの戦術をめぐって、ワシントンが本格的な圧力をかけることに消極的であることを形作っている。

シューマーは3月の演説で、ネタニヤフ首相の交代を全面的に求めながら、ハマスの行動を「純粋で計画的な悪(pure and premeditated evil)」と表現し、罪のないパレスティナ市民がこれほど多く死んだのはハマスのせいだと非難した。ジョンソンも同様に、ハマスのことを「野蛮で邪悪(barbaric and evil)」であり、イスラエルとハマスの対立を「善と悪、光と闇の対立(between good versus evil, between light versus darkness)」と表現した。1973年、エジプトがシナイ半島でイスラエルを攻撃した際、アメリカがその影響力を行使して戦争開始から3週間後に停戦を迫ったのとは異なり、ハマスの攻撃と8人のアメリカ人を含む人質拘束は、バイデン政権をイスラエルの戦争目的に縛り付け、反対していたイスラエルの政策を変更する影響力を低下させた。イランがハマスの最強の支援者であるという事実は、イランに対するタカ派的な見解で悪名高い連邦議会の多くを味方につけることで、戦争継続を求めるイスラエルの主張を更に強める。

(4)ネタニヤフ首相のゲーム:時間稼ぎと政権維持のために動く(Netanyahu’s game: Buy time and remain in power

ネタニヤフ首相は、停戦の可能性について交渉したり譲歩したりするためにワシントンに来たわけではない。それどころか、国内での政治的地位を高め、バイデンやカマラ・ハリス副大統領との緊張関係を管理し、トランプとの関係を修復するために来たのだ。連邦議会での演説は、イスラエル国内の聴衆の前で自身の政治的持続力を示すための自己満足的な勝利の小道具となった。ネタニヤフ首相の演説にサプライズはなかった。それは、イスラエルの戦争目的に対する厳しく憤怒に満ちた擁護であり、右派の支持基盤を確保し、共和党の有力者を喜ばせ、イスラエルの敵を管理し立ち向かうためには彼一人が不可欠であることを強調するためのパフォーマンス的な演説だった。もともと、それ以外は誰も期待していなかったはずだ。

この訪問はネタニヤフ首相が望んでいたようにはならなかった。民主党大統領選挙候補者としてのハリスの台頭と、バイデンの撤退の影に隠れて、彼はアメリカではその日のメインイベントの主人公にはなれなかったし、おそらくイスラエル国内でもそうではなかった。 2期目を求めない理由を説明したバイデンの大統領執務室での演説は、ネタニヤフ首相の演説ではなく、その日の歴史を作った演説だった。ワシントンでの公式会談に関してネタニヤフ首相は、退任する大統領との機能的な関係の維持と、可能性のある新大統領との関係構築の間で微妙な針を通すことを強いられているが、その一方で、前大統領であるトランプの恩寵を取り戻そうと迎合している。

ネタニヤフ首相が成功するかどうかは、おそらく重要ではないかもしれない。彼の戦略は時間を稼ぐことだ。今週末、イスラエルの議会であるクネセト(Knesset)は夏季休会に入り、10月末にかけてユダヤ人の祝日が明けると再開される。ネタニヤフ首相が停戦協定に同意する意向があるなら、その時がそうする時だろう。国会休会により、ネタニヤフ首相は連立パートナーのイタマール・ベン・グヴィルやベザレル・スモトリヒによる不信任決議案から逃れられるが、両者は合意があれば、ネタニヤフ首相の連立政権を崩壊させると脅迫している。ネタニヤフ首相は、合意の第1段階(6週間の停戦期間中)で、できるだけ多くの人質を救出しようとするかもしれないが、その後、ハマスが合意を破棄するという非常にありそうな想定に基づいて、次のような選択肢を持つことになるだろう。右翼パートナーを連立に引き留めるために戦争を再開する。目標は、アメリカが大統領選挙と議会の選挙に気を取られている間に、ネタニヤフ首相が立場を強め、僅差の議会過半数を維持することだろう。

野心的だろうか? 確かにそうだが、問題外ということではない。ネタニヤフ首相が国会休会期間中も連立政権を維持できる限り、新たな選挙の実施が最も早く求められるのは、2025年初頭となり、イスラエルとアメリカの政治日程が都合よく一致することになる。実際、ネタニヤフ首相は次期米大統領が誰になるかに基づいて戦略と戦術を調整する立場に立つことになる。

※アダム・デイヴィッド・ミラー:カーネギー国際平和財団上級研究員。歴代の共和党、民主党政権で米国務省中東分析官・交渉担当を務めた。著作に『偉大さの終焉:なぜアメリカは偉大な大統領をもう一人も持たない(そして望んでいない)のか(he End of Greatness: Why America Can’t Have (and Doesn’t Want) Another Great President)』がある。ツイッターアカウント:@aarondmiller2

※アダム・イスラエレヴィッツ:カーネギー国際平和財団初級研究員。

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ネタニヤフは団結を訴えが、連邦議事堂の内と外で火の暴流が吹き荒れた(Netanyahu urges unity, but stirs a firestorm inside and outside Capitol

ラウラ・ケリー、マイク・リリス筆

2024年7月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/4791213-netanyahu-delivers-fiery-speech-congress/

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は水曜日、連邦議会で激しい演説を行い、連邦議事堂内で民主党所属の連邦議員たちのボイコットを誘発し、外で大規模な抗議活動を引き起こし、11月の選挙まで継続することが見込まれているイスラエル・パレスチナ関係をめぐる党派間の争いを激化させた。

異例の連邦議会合同会議に出席したネタニヤフ首相は、2023年10月7日にハマスが犯した残虐行為を暴力的に詳細に語った。イランや他の地域の敵対国によってもたらされている継続的な脅威について警告した。そして、これらの脅威を完全に根絶するために、アメリカの政策立案者たちにイスラエルの後ろで団結するよう訴えた。

ネタニヤフは、「文明の力が勝利するためには、アメリカとイスラエルが団結しなければならない。バイデン大統領の“イスラエルとの半世紀にわたる友情(half a century of friendship to Israel)”に感謝した。

ネタニヤフ首相は、イスラエルを中東におけるアメリカの最強の同盟国であり、防衛国(defense)と位置づけ、バイデンが一部の重火器を差し控えたり、反対派や抗議活動参加者たちがアメリカの軍事支援を停止するよう呼びかけたりすることに反対し、アメリカの軍事支援の継続と加速を求めた。

ネタニヤフ首相は、「今回の戦争を含め、アメリカの支援に深く感謝しているが、これは例外的な瞬間だ。アメリカの迅速な軍事援助は、ガザ戦争の終結を劇的に早め、中東における広範な戦争の防止に役立つ可能性がある」と述べた。

ネタニヤフ首相のワシントン訪問とそのメッセージを取り巻く雰囲気は、2015年にネタニヤフ首相が連邦議会で行った最後の大規模な演説で、テヘランと核合意を結ぶ努力をめぐってバラク・オバマ政権を非難したときとは一線を画したものとなった。

ネタニヤフ首相は戦争中のバイデン大統領の支援に感謝する一方、金曜日にフロリダ州で共和党大統領候補であるトランプ前大統領との会談に先立って、トランプにも敬意を表し、11月の選挙に向けて、ネタニヤフ首相が共和党と民主党の間で慎重な立場を取っていることが浮き彫りとなった。

「アメリカ人と同様に、イスラエル人もトランプ大統領があの卑劣な攻撃、アメリカの民主政治体制に対する卑劣な攻撃から無事生還したことに安堵した」とイスラエルの指導者は7月13日のペンシルヴァニア州での選挙集会での暗殺未遂事件について語った。

しかし、ネタニヤフ首相が連邦議事堂に登壇しただけで、彼の極右的な政策課題、特にガザ地区でのハマスとの戦争への対応をめぐって、共和党と民主党の間の、そして民主党内部の既に起きている鋭い溝がより深まることになった。

連邦議事堂周辺では、こうした緊張を見逃すことはできなかった。何千人もの活動家がナショナル・モールに集まり、戦争犯罪者とみなされている人物に抗議した。民主党の大統領候補となる可能性が高いカマラ・ハリス副大統領は、通常は外国指導者を歓迎するために立つネタニヤフ首相の背後の壇上にいなかった。

また、ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)を含む多数の民主党所属連邦議員は、ネタニヤフ首相が過激な極右派を増長させ、ヨルダン川西岸のパレスティナ人に対する暴力を煽り、二国間解決(two-state solution)の可能性を妨げているとして、演説をボイコットした。

これらの批判者たちは、ネタニヤフ首相がハマスの排除という目標を追求する中で、ガザ地区全域に広範な破壊が発生し、戦闘で数万人のパレスティナ人が死亡するという人道的大惨事の責任があると見ている。

ネタニヤフ首相は水曜日、イスラエルは市街戦史上、戦闘員と比較して民間人の死亡数を最少に抑えたと述べ、こうした批判者たちを一蹴した。これに対して控え目な拍手が起きた。これが、ネタニヤフ首相を最悪の人物と批判したジェリー・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の発言のきっかけとなった。ナドラーはユダヤ人の歴史における最悪の指導者だと述べた。

ナドラー議員は演説後、MSNBCに出演し、演説におけるネタニヤフ首相の不誠実(dishonesty)を非難した。ナドラーは「彼は平和を望んでいると言っているが、彼の政治的関心は戦争をできるだけ長く続けることだ」と語った。

演説に出席した数十人の民主党連邦議員はネタニヤフ首相の発言の間、ほとんどが着席したままだった。

唯一のパレスティナ系アメリカ人の連邦議員であるラシダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は更に一歩進んで、片面に「戦争犯罪者(War Criminal)」、もう片面に「大量虐殺の罪(Guilty of Genocide)」と書かれたプラカードを掲げ、議場にいた共和党議員の一部からブーイングを浴びた。彼女は、ガザ紛争で150人の家族親族を失ったパレスティナ系アメリカ人、ハニ・アルマドホンをゲストに招いていた。

また、出席した人質となっている人たちの家族たちは、ネタニヤフ首相のメッセージにほとんど熱意を示しておらず、アメリカ人8人を含む​​ハマスに拘束されたままの120人を帰国させるための停戦協定締結に向けたあらゆる努力が挫折したと非難した。

伯父がいまだハマスの人質となっているザヒロ・シャハール・モールは、水曜日のネタニヤフ首相の演説に先立ち、民主党連邦議員団を前にして次のように語った。「生きている人質より死んだ人質のほうがましだと考える人がいることは、イスラエルではよく知られている。生きている人質より死んだ人質の方が、はるかに恥が少ないと考えるそのような人物の一人が、アメリカ連邦議会を自分のひねくれた策略に巻き込もうとする大胆さを持っている」。

あるいは、107日に母親が殺害され、妹が今もガザに拘束されているガットは、ネタニヤフ首相が自分の記録を擁護している間に、頭を抱えることもあった。

ガットは「彼の話を聞くのは、イスラエルを引き裂いている9カ月の戦争について、ネタニヤフが話すのを聞くのと、連邦議会で人々が彼よりも人質のために多くの仕事をしたことを称賛するのを聞くのは、私にとっては残念なことだ。怒りを感じている」と述べた。

しかし、ネタニヤフ首相の最も鋭敏な批判者たちが出席していなかったこともあり、議場にいた議員たちは圧倒的にネタニヤフ首相のメッセージを受け入れ、首相が反イスラエル抗議活動の一環として星条旗を燃やすことを非難したとき、何度もスタンディングオベーションと「USAUSA」の大合唱が起こった。また、大学のキャンパスを襲撃し、連邦議事堂の外で起きている抗議活動に怒りを向けた。

ネタニヤフ首相はデモ参加者たちに「あなた方は正式にイランにとって有益な働きをする、愚か者(idiots)になった」と語り、イランがアメリカを脅かす一歩としてイスラエルの破壊を応援しているという発言の共通テーマを強調した。

ネタニヤフ首相は「中東の中心で、イランの前に立ちはだかっているのは、一つの誇り高き親米民主政体国家、私の国、イスラエル国家です」と述べた。

連邦議事堂からわずか数ブロックのところで、戦争犯罪容疑でネタニヤフ首相の逮捕を求めるデモ参加者が結集していた。ネタニヤフ首相の演説後、デモ参加者のグループがユニオン駅の外でアメリカの国旗を降ろし、パレスティナ国旗を掲げたことで、警察と衝突した。

水曜日の演説は、特に2023年10月7日の同時多発テロをきっかけに、ネタニヤフ首相の指導力をめぐる数カ月にわたる連邦議会での議論の集大成となった。

民主、共和両党の連邦議員たちは、イスラエルの自衛権を支持することで事実上一致しているが、民主党連邦議員の多くは、人道的危機を引き起こしたガザでのネタニヤフ首相の積極的な軍事対応と、国際法に違反するヨルダン川西岸でのイスラエル入植地の拡大を率直に非難してきた。

今年3月には、アメリカ史上最高位のユダヤ系政策立案者であるチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(民主党)が議場で爆発的な演説を行い、ネタニヤフ首相のリーダーシップは和平の障害であると非難し、彼に代わる新たな選挙をイスラエルで実施するよう求めた。

シューマーの厳しい言動を受けて、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は数日以内に、ネタニヤフ首相の連邦議会演説への招待状の草案を作成した。この草案は、最終的にシューマー上院院内総務と連邦下院少数党(民主党)院内総務ハキーム・ジェフリーズ(ニューヨーク州選出、民主党)によって支持されたが、署名は草案を受け取ってから数週間後に行われた。

この遅れは、民主党内の亀裂を反映しており、ネタニヤフ首相の攻撃的な軍事戦略を支持する民主党内の親イスラエル派と、パレスティナ人の窮状により同情的でネタニヤフ首相が民間人の命を守るのにあまりにも少なすぎると非難する議員たちと対立している。

バイデンは人質を奪還し、パレスティナ国家への交渉を行う最善の方法として、イスラエルとハマスの段階的な停戦合意を推進している。ネタニヤフ首相を批判する人々は、ネタニヤフ首相が協定署名の障害になるとみているが、一つの難点は、ハマスが戦後のガザ地区の統治に自らも含めることを主張していることであり、アメリカはこれに反対している。

ネタニヤフ首相はこうした主張に短くうなずき、「私たちが述べているように、私たちは彼らの釈放を確保するために集中的な努力をしている。私はこれらの取り組みのいくつかは成功すると確信しており、そのうちのいくつかは現在実施されている」と述べた。

しかし、彼はそれに続いて、パレスティナの文民政権(civilian administration)が統治する「非武装化され、非急進化された(demilitarized and deradicalized)」ガザ地区を求めた。

「ハマスが武装解除し、降伏し、人質全員を返還すれば、戦争は明日終わる可能性がある。しかし、もしそうでなければ、イスラエルはハマスの軍事能力を破壊し、ガザ地区での支配を終わらせ、人質全員を帰国させるまで戦うだろう」とネタニヤフ首相は述べた。

ネタニヤフは「それが完全な勝利を意味するものであり、私たちはそれ以上のことでは妥協しません」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める