古村治彦です。

 ウクライナが国際的な関心を集めたのは、やはり2022年2月のロシアの侵攻によるウクライナ戦争からであった。ウクライナの地理的な条件や国内情勢は報道されてきたが、ここまで詳しく報道されることはなかった。戦争が始まってから、西側諸国が多くの支援を行っているが、一部に疑問を持たれているには、「ウクライナは長年ヨーロッパ連合やNATOに加盟申請をしてきているのに、どうして加盟が認められてこなかったのか」ということだ。NATOに関しては、元々が対ソ連の軍事同盟ということで、西ヨーロッパ諸国とアメリカで結成された組織であり、それが東方に拡大していった。ロシアと国境を接する東ヨーロッパ諸国も参加して、東方に拡大していった。ウクライナに関しては、ロシアが特に敏感で、もし参加を認めれば状況が不安定化するということで、参加は認められなかった。これはまぁ理解できることだ。

 それならばヨーロッパ連合に参加が認められてこなかったというのはどうしてか。それは、ウクライナが財政赤字を抱え、汚職にまみれた国で、とても「西側」の仲間に入ることができない国であったからだ。ウクライナは長年にわたり、ヨーロッパ連合加盟を申請してきているが、財政赤字の問題と汚職の問題をクリアしない限り、参加は認められない。ウクライナ戦争で、財政問題は仕方がないにしても、汚職問題は非常に厳しい。

 ウクライナでは戦争中も武器の横流しや徴兵逃れのための贈収賄が行われている。アメリカのUSAIDの協力(指示)を受けて、反汚職機関の整備を行っているようだが、ウクライナ政府内部での抵抗が大きいようだ。ゼレンスキーの側近たちも汚職を行っているという話もある。戦争が膠着状態になって、西側諸国(主にアメリカ)からの支援が横梨などされているということになれば、ウクライナ戦争への支援自体も再考されねばならない。

 戦争となれば莫大な予算が動く。それで汚職が起きる。これは中国太平洋戦争時代の日本でもあったことだ。日本の軍部の腐敗は酷かった。そのことの責任も取らずに、戦後ものうのうと生きた、戦前戦時中の政府高官たちや軍幹部たちの責任追及を徹底できなかったことが、現在の日本の衰退を真似ていると私は考えている。ウクライナも戦後、戦時中のウクライナ政府やウクライナ軍の腐敗について徹底追及しなければ、体質は変わらず、衰退し続けていくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

ウクライナは現在でも西側に参加するにはあまりにも汚職が蔓延している(Ukraine Is Still Too Corrupt to Join the West

-西側諸国の諸機関に参加することで戦争に勝利するという戦略は1つの高い、自分たちが作り出したハードルに直面している。

アンチャル・ヴォーラ筆

2024年7月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/29/ukraine-is-still-too-corrupt-to-join-the-west/

ウクライナは、西側諸国(the West)の政治共同体や安全保障制度に参加することでロシアを打ち負かすという戦略を採用しているが、西側の基準をはるかに超えた汚職との苦闘を続けているために、その戦略は台無しになっている。この問題はウクライナ国家の中枢にまで及んでいる。トップクラスの裁判官、政治家、役人たちが汚職容疑に直面し、国防省は、高値の卵や冬用ジャケットの調達、納入されなかった10万発の迫撃砲弾の購入、徴兵を逃れたい男性たちからの賄賂の受け取りなど、多くの汚職スキャンダルの中心となっている。

「トランスペアレンシー・インターナショナル」が発表した2023年の腐敗指数で、ウクライナは180カ国中104位となり、ウクライナが対等加盟(to join as an equal)を希望しているヨーロッパ連合(European UnionEU)加盟諸国よりもはるかに悪い結果となった。最も汚職の少ない国はデンマーク、ドイツは9位、エストニアは12位、フランスは20位だった。

過去10年間、ウクライナは汚職問題の是正に一定の成果を上げてきた。しかし、本誌がウクライナ、アメリカ、ヨーロッパの主要関係者たちに取材したところによると、ウクライナが欧米社会に完全に入り込み、望むような支援を受けるまでには、まだまだ多くのことを成し遂げなければならない。

EUは、ウクライナ人が親ロシア派の大統領に対して大規模な抗議行動を行った2014年以来、ウクライナの本質的な改革を支援してきた。その年、ウクライナ国民はヨーロッパを完全に受け入れるという希望を声高に表明し、ペトロ・ポロシェンコ大統領(当時)の下で、EUとの連合協定に調印し、「経済、司法、金融改革の追求(pursue economic, judicial, and financial reforms.)」を選択した。

NATOは、ウクライナの軍隊と国防機関の改革を支援してきた。2016年からは、「ウクライナがソヴィエト時代からNATOの基準に移行する(Ukraine transition from Soviet-era to NATO standards)」のを支援するための幅広い能力構築プログラムを含む包括的支援パッケージを通じて支援を組織してきた。

しかし、ウクライナの有力者の中には、改革要求は、戦争の当事者になることを恐れる一部の加盟諸国の政治的躊躇(political reticence)を隠すための「口実(an excuse)」にすぎないと指摘する人たちもいる。「ウクライナのNATO加盟を阻止している問題は、改革がないことではなく、いわゆるロシアのエスカレーションに対するアメリカとドイツの恐れだ(The issue that stops Ukraine’s inclusion in NATO is not the absence of reforms, but the fear in U.S. and Germany of the so-called Russian escalation)」と、ウクライナの元国防副大臣アリーナ・フロロワはキエフからの電話で本誌に語った。

米国防総省のある高官は匿名を条件に本誌のインタヴューに答え、政治的躊躇が理由であることは認めたが、汚職、軍に対する文民の監視の欠如(lack of civilian oversight over the armed forces)、政府機関の限られた透明性が大きな障害になっていると述べた。

この高官は、「防衛調達に関しては特に懸念がある。特定の指導者に近い人物に有利な契約を与えるケースもあった」と述べた。

ウクライナの2024年に適応された「年次国家計画(Annual National Program)」は、国防、法執行、統治の改革を求める重要な文書である。この計画の最重要目標の1つは、ヨーロッパ大西洋の手順と慣行に沿ってウクライナの防衛調達システムを改革することだ。国防部門における多くのスキャンダルは、国のために戦っているウクライナ国民の信頼を揺るがしただけでなく、西側支持者、特にウクライナの戦争努力に全軍事援助の99%を送ってきたNATO同盟諸国の信頼も揺るがした。

本誌は、ウクライナがロシアと戦っているにもかかわらず、ウクライナが防衛調達における汚職をチェックするための制度的手段を確立するのにNATOの専門家たちが支援していることを知った。ウクライナは、汚職撲滅が期待される国家物流実施機関(State Logistics OperatorDOT)と国防調達庁(Defense Procurement AgencyDPA)という2つの新たな調達機関を設立した。国家物流実施機関は食料、毛布、靴、軍が必要とするその他の日用品などの非致死性品を調達する一方、国防調達庁は軍需品を調達する。

2つの別個の機関の創設は、戦争のさなかにおける武器購入に関連する情報に秘密が含まれるためであり、それが公開されれば、敵対者が戦闘計画を立てるのに役立たせる可能性がある。NATOは、戦争が終われば両機関が統合されることを期待している。

ウクライナ議会議員で議会汚職防止委員会の副委員長であるヤロスラフ・ユルチシンは、それでもなお、最近まで新機関に割り当てられている全ての機能を果たしていた国防省の権限を各機関が縮小することになると示唆した。

ユルチシンは、本誌の取材に対して次のように答えた。「調達ルール(procurement rules)を定め、参謀の要望に応じておおよその購入金額を算出し、オークションを開催した。現在、これらの権力は分割されている。これにより、第一に、国防省は汚職のリスクを回避できるようになる」。

オレクシィ・レズニコフの後任として、2023年9月に任命されたウクライナ国防大臣ルステム・ウメロフは12月の演説で、新システムは「国際基準とNATOの原則に従って国際パートナーと連携して構築された(built according to international standards and NATO principles in coordination with our international partners)」と述べた。

ユルチシンは、ウクライナが公務員に対し資産を申告し、その情報を公的にアクセスできるようにする義務を復活させたと述べた。2022年2月にロシアが本格的な侵攻を開始したとき、この要件は一時停止されていた。しかし、この措置には「多かれ少なかれ平和な都市で働く人々」を除き、軍のメンバー全員が含まれているわけではないとユルチシンは付け加えた。

ウクライナは米国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)と協力して、政府と国民の間のインターフェースをデジタル化した。電子政府アプリおよびデジタル プラットフォームである「ディイア(Diia)」を使用すると、給付金の申請、税金の支払い、ビジネスの登録と運営、戦争で国を離れたウクライナ人への援助へのアクセスなどのサービスを利用して、「ウクライナ人がワンストップショップでオンラインで政府と関わることができる」。USAIDDiiaを「電子政府のゴールドスタンダード(the gold standard in e-government)」と表現し、ウクライナがこの技術を他国と共有することに取り組んでいることを指摘した。

上記の変化は注目すべきものではあるが、それらはウクライナがいつかヨーロッパ連合とNATOに加盟するための長い旅路のほんの小さな一歩とみなされている。「年次国家計画」ではまた、民主的管理(democratic control)の強化と、軍隊および広範な安全保障および防衛部門に対する監視の強化も求められている。『キエフ・インディペンデント』紙のジャーナリストであるダニーロ・モクリクは、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は国防省に対する政治的監督権を持っているが、国内の4大汚職防止機関の1つである国家汚職防止局が法的監督権を持っていると述べた。しかしモクリクは、どちらも十分ではないと主張した。

モクリクは、本誌の取材に対して電話で、「大統領による政治的な監視はかなりソフトだ。反汚職局による法的な監視は、限定的と言えるでしょう」と答えた。モクリクは国防省が大規模な汚職疑惑の渦中にあることが発覚した後に退任したレズニコフについて、「例えば、前次官や調達会社に対する手続きはあるが、上層部は退陣を求められるだけで、前国防相に対する刑事手続きはない」と述べた。

ウクライナの4機関が軍を含む中央政府当局の汚職を捜査している。しかし、活動家たちは、これらの機関のうち、少なくとも2つの機関の独立性に懸念があると述べた。例えば、「汚職対策局長は政府に非常に忠実であるようだ」とモクリクは付け加えた。

国内の法執行機関の改革に関してさえも、政府の動きはヨーロッパ連合やウクライナ国民の予想よりも遅い。ウクライナの閣僚たちは、ウクライナ当局者とヨーロッパ連合諮問使節団の代表者が起草した法執行機関改革の行動計画をまだ承認していない。

ユルチシンは次のように述べた。「行動計画は依然としてウクライナ閣僚会議によって承認される予定だ。内務省(Ministry of Internal Affairs)は承認を求める文書をウクライナ内閣に提出しなければならない。承認後に実施が開始されるため、現時点ではまだ何も行われていない。」

ヨーロッパ連合加盟のもう1つの主要な基準は独立した司法(independent judiciary)だ。昨年5月、ウクライナ検察は、300万ドル近い賄賂を受け取った疑いでウクライナの最高裁判所長官を拘束した。そして、2022年、中央公共当局に対する訴訟を検討する権限を持っていたキエフ地方行政裁判所は、裁判官の職権乱用が判明したことを受けて解体された。

非政府組織「キエフ汚職防止活動センター」の国際関係責任者であるオレナ・ハルシュカは本誌の取材に対して、中央政府機関に対する訴訟を扱う新しい裁判所はまだ設立されていないと述べた。また、別の活動家は本誌に対し、司法関係者の多くがより厳格な審査手続きに抵抗していると語った。

ヨーロッパ委員会のウクライナに関する2023年報告書の主要な調査結果の中で、ヨーロッパ委員会は「中央政府機関が関与する事件を処理し、適切に審査された裁判官を配置する新しい行政裁判所を設立する必要がある(new administrative court to handle cases involving the central government bodies and staffed by properly vetted judges needs to be established)」と指摘した。

専門家たちはまた、防衛の分野ではウクライナはもっとできると確信している。ウクライナの防衛調達における問題の1つは、致死的か、非致死的かにかかわらず、同じ物資に対する需要がウクライナの諸機関で競合していることであり、専門家たちはこれが供給業者の価格上昇を可能にしていると考えている。NATOは、ウクライナが汚職や不履行の可能性のある取引に巻き込まれることを避けるために、承認されたサプライヤーの登録簿を作成する必要があると提案した。

米国防総省のある高官は、「ウクライナは上昇軌道(upward trajectory)に乗っている。これらの改革を真剣に受け止めなければ、NATOの加盟国にはなれない」と述べた。

※アンチャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ヨーロッパ、中東、南アジアについての記事を執筆。『タイムズ』誌(ロンドン)中東特派員、アルジャジーラ・イングリッシュとドイッチュ・ウェルのテレビ特派員を務めた。ベイルートとデリーを拠点にして、20カ国以上の紛争と政治について報道してきた。ツイッターアカウント:Twitter: @anchalvohra

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