古村治彦です。

 アメリカの景気減速が取り沙汰される中で、日本では利上げが行われ、株価が大きく下がり、その後、戻しているが、乱高下の不安定な状況になっている。アメリカでも株価が下落している。アメリカ国内ではインフレや生活苦で人々の不満が溜まっている。

 2020年の大統領選挙では、当時感染拡大が続いていた新型コロナウイルス感染拡大対策が重視された。もちろん、経済も重要な争点であったが、それよりも新型コロナウイルス感染拡大が主要なテーマとなった。シャットダウンや流通の停滞などで景気は停滞するのは仕方がないという受け止めだった。そして、新型コロナウイルス感染拡大の状況が落ち着けば景気は回復するという見通しが立っていた。

 今回、アメリカの景気後退の見通しがある中で、大統領選挙が戦われている。人々の生活に経済は密着している訳なので、経済問題は大きな争点となる。ここで重要なのは、「経済問題に関してはトランプ」という考えが有権者の間に根強いということだ。2016年の大統領選挙、そして、2020年の大統領選挙で、各種世論調査が実施されたが、その中で、経済に関しての質問で、トランプを支持する有権者が多かった。それは、2024年の大統領選挙でも同様のようだ。

 カマラ・ハリスは現職の副大統領なので、ジョー・バイデンの政策を大っぴらに批判することはできない。そして、彼女自身が何か経済関係で大きな仕事をしたということもない。そうなれば、「経済に弱いハリス」という評価になってしまう。それを覆すためには、新機軸を打ち出さねばならないが、それもできないとなれば、いくら検察官としての経歴が輝かしいものであろうが、何の意味もない。フレッシュだとか、有名人が応援しているとか、そんなものは人々の生活には何の役にも立たず、景気減退の対策にも何の意味もない。「政治とは生活だ」と田中角栄が喝破したが、カマラ・ハリスもそれくらいのことを言えるくらいの経綸を人々に示す必要がある。

(貼り付けはじめ)

民主党はハリスに経済に関する正しいメッセージを見つける必要があると警告(Democrats warn Harris must find right message on economy

エイミー・パーネス、トバイアス・バーンズ筆

2024年8月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business/4819601-harris-economic-message-trump-tie/

民主党は、ドナルド・トランプ前大統領がカマラ・ハリス副大統領を、バイデン大統領が候補者だったときに悩ませた物語と結びつける前に、ハリス副大統領が経済メッセージを確固たるものにする必要があると警告している。 

先月、バイデンが選挙戦から撤退する前は、経済が有権者にとっての主要な争点であり、一連の世論調査では、この問題でトランプが勝利していることが示されていた。調査では、有権者はバイデンよりも経済問題に関して、トランプを信頼していると結論づけた。

しかし、過去6週間、ニュースサイクルは、バイデンの悲惨な討論パフォーマンスを受けた民主党内の不確実性、トランプ暗殺未遂、トランプ前大統領によるJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)を副大統領候補と指名して、そして共和党全国大会で活躍した。

それから1週間も経たないうちに、バイデンからハリスへの政権交代が見出しを飾り、その後2週間にわたってハリスへの熱狂の波が続き、ハリス自身の賭け金に関する注目によって更に加速した。

その間、民主党は政策についてあまり心配する必要がなかったが、共和党はハリスの人種や民族を含むアイデンティティ政治に主に焦点を当ててきた。しかし、民主党は、共和党が経済政策を選挙戦の最前線に戻す前に、ハリスと副大統領候補のミネソタ州知事ティム・ウォルツ(民主党)が経済攻撃に乗り出す必要があると主張している。

民主党のストラティジストであるジョエル・ペインは次のように述べている。「大きな問題は、『そこでメッセージ合戦に勝てるか? 人々の感情を説得できるか、そして、未来についての会話で勝てるのか?』だ。この点では、伝統的に共和党が有利なのは明らかだ。しかし、この3年間を争点にする一方で、経済に関して、『将来的に誰を信頼するのか』という文脈を確認する必要がある」。

ある民主党の大口献金者によると、現時点ではハリスは経済やその他の最重要政策課題に関して「フリーパスを得ている(getting a free pass)」という。この大口献金者は、「しかし、彼らはすぐにしっかりとした経済的議論を行える準備ができている必要がある。バイデンはそのメッセージを明確に表現するのに苦労した」と警告を発した。

新型コロナウイルス感染拡大後のインフレ上昇に対応して、連邦準備制度理事会(FRB)が実施した利上げと量的引き締めの期間を経て、経済は大きな変化を迎える変曲点(inflection point)に近づき、問題としての緊急性が増している。

サーム・ルールとして知られる主要な景気後退指標は、先週、失業率が4.3%に上昇したことによって引き起こされた。市場ではFRBが景気刺激に着手するため次回会合で利下げすると広く予想されている。

バイデンの大統領選挙撤退後に行われた各種世論調査では、ハリスが経済全体の対応に関してトランプとの差を縮めていることが示されている。モーニング・コンサルト社が今月実施した世論調査では、有権者の50%が経済に関してトランプを信頼していると回答し、42%がハリスを信頼していると答えた。この問題に関して、51%がトランプ前大統領を信頼していると答えたのに対し、37%がバイデンを信頼していると答えた今年初めとは大きな違いだ。

最近のマリスト大学世論調査によると、どちらが経済をうまく処理するかについて、トランプが依然としてハリスに対して、51%対48%とわずかなリードを保っていることが明らかになった。

バイデンは、大統領任期中に異例の時期を経験し、経済から政治的勢いを得るのに苦労した。新型コロナウイルス感染拡大の余波は、経済パフォーマンスに関する従来の多くの想定を打ち砕いた。

連邦準備理事会が金利を引き上げ、バランスシートを削減したにもかかわらず、雇用水準は過去最高近くを維持した。中央銀行と多くのエコノミストは、2023年に景気後退が起こると予測したが、それは起こらなかった。企業利益は過去最高に急増し、経済成長は数四半期で予想を上回った。

しかし、高インフレが消費者の心理とバイデンの経済的支持率に重くのしかかり、バイデンはこうした目覚ましい指標を生かすことができなかった。5月時点では、バイデンの経済対応に信頼を寄せているアメリカ人はわずか38%だった。ギャラップ社の調査によると、この数字は、2023年には35%まで低下し、最近の大統領の中でその割合が低かったのは、2008年の金融崩壊直後のジョージ・W・ブッシュだけだった。

対照的に、トランプは、ギャロップ社の世論調査で、経済面での支持率は46%で、大統領任期を通じてほぼ同じ数字となった。トランプ前大統領は、比較的低い失業率とインフレ率を維持した。トランプの選挙陣営は、所得税に代わる可能性のある輸入品に対する10%の一般関税など、いくつかの思い切った経済提案を掲げ、経済に関する見出しを飾った。

トランプはまた、国内の賃金と雇用を増やす手段としての移民に対する深刻な制限についても話しており、ブルームバーグとの最近のインタヴューでは、それが彼自身の経済政策設計における「すべての最大の[要素]the biggest [factor] of all)」であると述べた。投資家たちは、本誌に対し、企業が安価な労働力へのアクセスに抵抗する可能性があると語り、一部の研究者は、トランプ大統領の政策がインフレを招くのではないかと懸念している。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、トランプ大統領の顧問たちは、経済に対して絶大な権限を持つ法的に独立したアメリカの中央銀行であるFRBの力を制限する計画さえ策定しているという。トランプは大統領任期中、ジェローム・パウエルFRB議長を定期的に批判しており、選挙活動でもパウエル議長を激しく非難してきた。

経済や反グローバライゼーションに関するトランプ前大統領のメッセージは、彼の支持者だけでなく、他の共和党候補者への支持を示唆する人々の共感を呼ぶことが証明されている。

JPモルガン・チェイスの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は今年初め、ある経済フォーラムに出席し、「一歩下がって正直になってみよう。NATOについてのトランプの主張はある意味正しかった。彼は移民についてはある意味正しかった。彼は経済を非常にうまく成長させた。貿易、税制改革は効果を発揮した。中国について彼の主張の一部は正しかった」と述べた。

トランプ陣営に近い関係者によると、ハリスは経済メッセージに取り組んでおり、バイデン大統領の顧問を務めたジーン・スパーリングたちを陣営に迎え入れている。

これまでのところ、ハリス陣営の経済スタンスは、バイデン陣営の経済スタンスとほぼ一致しており、保守的な提案を否定しながらも、雇用、医療、インフレ低下については多くの点で一致している。

火曜日にフィラデルフィアで選挙活動を行った際、ハリスは自身の経済メッセージを大々的に発表した。

ハリスは次のように述べた。「私たちは、全てのアメリカ人が家を持ち、起業し、富を築く機会を得る、広範な経済を構築する未来のために戦っている。私たちは、依然として高すぎる物価を引き下げ、アメリカの家族の生活費を引き下げ、彼らがただ暮らしていくだけでなく、出世するチャンスを得ることができる未来のために戦っている」。

ヴェテランの共和党系ストラティジストで、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)の2012年大統領選挙運動で顧問を務めたケヴィン・マッデンは、選挙は依然として「経済に関連した有権者の雰囲気やムードによって決まる可能性が高い。インフレとコスト上昇への懸念により景気は悪化している」と述べた。

マッデンは、ハリスは「バイデン政権の政策と記録を共有すべきだが、それはトランプがそれを確信した場合に限る」と述べた。

マッデンは「トランプとヴァンスがハリスに対する最初の対照的なメッセージでアイデンティティ政治と文化の問題を推し進めたことのマイナス面は、経済という最重要課題で、まだどちらを支持するか決めていない有権者たちの支持を得る機会を無駄にしてしまったことだ」と述べた。

木曜日の記者会見でトランプ前大統領は、経済問題に真っ向から言及し、最近の経済指標を背景に、アメリカは深刻な景気後退の瀬戸際にある可能性があると警告した。

トランプは、「私たちの経済は現在非常に悪い。私たちは文字通り大恐慌の真っただ中にいる可能性がある」と述べたが、経済学者の間で大恐慌を警告する人はほとんどいない。

投資家やエコノミストたちは、本誌の取材に対し、ハリス・ウォルツ陣営は慣れ親しんだ経済の物語から脱却し、ハリスが監督に貢献した予想外に好調な業績を活用すべきだと語った。

ウエストウッド・キャピタルの共同創設者であるダン・アルパートは、本誌の取材に対し、民主党は労働市場のよく知られた過剰パフォーマンスに焦点を当てるのではなく、賃金上昇率について厳しい数字を掲げることで、インフレ高進の物語をかき消しるべきだと語った。

アルバートは、電子メールで「新型コロナウイルス感染拡大前夜の2020年2月における全民間部門の平均週収が979ドルだったことをアメリカ国民に思い出させるべきだ。今日では1200ドルだ」と書いた。

「どれだけの雇用が創出されたかについて話すのは止めよう。アメリカ人は、それが新型コロナウイルス感染拡大後の再雇用によって歪められていることを知っている。彼らのポケットにあるお金に注目すべきだ」とアルバートは続けた。

アルパートはまた、個別の指標や論点を超えて、ハリスは組織労働者に対するバイデンの熱烈な支持に明らかな経済に対する労働者階級のヴィジョンを拡張し、最近のより大局的な政策規範から逸脱すべきだと述べた。

アルバートは次のように述べた。「これは、ハリスとウォルツが無視すれば、トランプが再選されることになる問題だ。それは、人口の下位3分の1の経済的、身体的不安定だ」と同氏は述べた。これはトランプ氏の強みであると同時に、共和党員としてのアキレス腱でもある。民主党は、富と所得の二極化の拡大をもたらしたクリントン時代の新自由主義支持を断固として否定する必要がある」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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