古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。
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 2011年以来、内戦が続き、多くの難民が出ているシリアで、反体制派が攻勢を強め、シリア政府軍を各所で撃破し、首都ダマスカスまで到達し、バシャール・アサド政権が崩壊した。アサド大統領と家族はモスクワに飛行機で非難し、ロシアは「人道上の理由で」亡命(asylumexile)を受け入れた。1971年に父ハーフィズ・アル=アサドが打ち立てた独裁体制は半世紀で幕を閉じることになった。

 今回の反体制派の電光石火の攻勢とアサド政権の崩壊は、専門家たちの予想を超えていたようだ。シリアには、アメリカ、ロシア、トルコ、イランといった諸外国が介入し、国内の反体制派もいくつかのグループに分かれ、更に、イスラム国も入り込んで、複雑な様相を呈していた。その後、状況は落ち着いて、分断がそのまま凍結されるような形で、一種の静穏状態になっていたが、今回、HTS(ハヤト・タリハール・アル=シャーム)という反体制派のグループが攻勢を強め、それが成功したようだ。シリアには、クルド系のシリア民主軍やシリア国民軍など、いくつかの反体制グループがある。アサド政権が崩壊したことで、これからは新体制、新政権に動くことになるが、これが厄介である。

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 新体制、新政権構築のための会議に、誰がどのような資格で参加するか、誰を参加させないかを決めるところから始まるが、イスラム国の残党が参加したいと主張してきた場合にはどうするのか、現在のシリア政府の幹部だった人々で自前のグループを構築している人たちは参加できるのかということもある。憲法をどのように定めるか、誰が大統領職を継承するのか、そもそも、大統領制をそのまま続けるのかということが問題になる。そして、新体制、新政権のための会議を誰が主導するのか、主催するのかという問題もある。これは、中立的な仲介人を務めることができる外国、もしくは国連が出なければならないということも考えられる。アサド政権とイスラム国を共通の敵として戦ってきた、各反体制グループが協力できるのかということが問題になる。HTSは西側ではテロリスト認定を受けており、HTS主導の新体制では、西側との関係から経済制裁などの対象となる可能性もある。

 中東地域の各国はこのような突然の事態の急変や困難な状況の発生を憂慮して、アサド政権の延命を支持してきたようだ。そして、シリア政府支援は、ロシアやイランが担ってきた。しかし、ロシアもイランもそれぞれウクライナ戦争とイスラエルとの対立を抱えて、シリア支援まで行えないということになったようだ。アメリカのトランプ次期大統領は、「これは私たちの戦争ではない」として、関与しない方針だ。ジョー・バイデン政権が残り1カ月で何かできるということもない。これからは、シリアにおいて、ポスト・アサド政権の勢力争いが激化する可能性がある。中東地域の不安定要因が増えることになる。戦時内閣で、戦争の段階を引き上げてきたイスラエルの思い通りの展開になっているようだ。今回のHTSの間隙を突いての急襲のお膳立てをしたのはイスラエルだろう。中東での戦争はエネルギー価格にも影響を与えるため、世界は厳しい状況で2025年を迎えることになりそうだ。

(貼り付けはじめ)

世界はシリアをどのように誤解したか(How the World Got Syria Wrong

-国際社会はアサド政権の強さを誤って判断しており、対外的な政治プロセスへの執着は国内の出来事に取って代わられつつある。

チャールズ・リスター筆

2024年12月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/12/08/syria-assad-regime-collapse-geneva-astana-un-wrong/?tpcc=recirc_trending062921

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占領された中西部の都市ハマの通りでトラックが倒れたシリア前大統領故ハーフィズ・アル=アサドの像の頭を引っ張る(12月6日)

12月8日、バシャール・アル=アサド大統領はシリアから逃亡し、54年近い家族による統治に終止符を打ち、国内外の何百万人ものシリア人に幸福感と安堵感をもたらした。11月27日にアレッポ西方で始まった反政府勢力の武装攻撃は、12日間にわたり、政権の前線が劇的に次々と崩壊するきっかけとなった。反政府勢力が南下し始めると、全国のシリア人が蜂起し始めた。12月7日の夜までに、アサド大統領の敗北は決定的となった。

アサド政権の急速な崩壊に誰もが驚いた。国際社会は何年もの間、シリア人の変化要求が実現する可能性を全て無視し、その代わりに「紛争の凍結(frozen conflict)」という概念を採用し、徐々に注目と資源をシリア政策から遠ざけてきた。2023年、アラブ世界のほとんどの人々がアサドを再び受け入れ、その褒賞としてアサドにアラブ連盟への復帰の座を与え、彼とその政権に地域全域での注目を集める公的訪問を許可した。

実際のところ、国際社会は近年シリア情勢について誤った判断を行ってきた。地図に引かれた線と外交の停滞により、アサド大統領がここに留まり、統治を強化しているとの思い込みが生じたが、実際には政権は内部から崩壊し、分裂しつつあった。多くの意味で、アサド政権が2020年初頭以来深刻な軍事的挑戦に直面していないという事実が、腐敗が根付く状況を作り出した。

過去2週間にわたる出来事により、シリアに対する国際的なアプローチ全体がひっくり返った。現在、適応と再評価の迅速なプロセスが進行中だ。今週末、カタールのドーハで急遽開催された一連のハイレヴェル会合では、アラブ各国政府が新たな現実に適応するのに苦労している。

12月7日遅くにシリア人がダマスカス郊外を掌握し、アサド大統領が逃亡の準備をしている中、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、イラク、カタールの外相は停戦と政治交渉を呼び掛けた。1週間前には意味があったのに、数時間以内には意味がないと思われた。その後の現場での会議では、アラブ諸国が現場の出来事に単に当惑し、先を越されていることが明らかだった。

一方、国連とシリア担当特使ゲイル・ペダーセンは急遽行動を開始し、いわゆるアスタナ・グループ[Astana group](ロシア、イラン、トルコ)、アラブ諸国、アメリカ、ヨーロッパと集中的に関与して、チャートを作成した。国連安全保障理事会決議2254号 を中心に前進する道筋を進めようとした。

2015年12月に定められたその義務は、最終的には自由で公正な選挙につながる移行期間を求めている。ジュネーブでのシリア和平交渉再開の計画は既に始まっているが、アサド政権の代表者は参加せず、また、有意義な進展を阻止するためだけに出席していた。それにもかかわらず、迅速な行動喚起にもかかわらず、国連がどのような形式をジュネーブに持ち込むつもりなのか、誰が、何人のシリア人が参加するのか、正確には不明のままだ。

政治プロセスをめぐる審議が続いている一方で、現場では事態が急速に進展している。12月8日早朝、迅速かつ非暴力的な政権移行を実施するという計画のさなか、シリア南部の武装戦闘員がシリアのモハメッド・ガーズィ・アル=ジャラリ首相をダマスカスのフォーシーズンズホテルまで護送した。

その日遅く、最初の攻撃を開始した最も強力な武装集団であるハヤト・タハリール・アル=シャーム(Hayat Tahrir al-ShamHTS)の指導者アブ・モハメド・アル・ジョラニがダマスカスに到着し、シリアの有名なウマイヤ・モスクに向かい勝利を宣言した。アサド政権の沿岸部の中心地であるタルトゥースとラタキアでは、地元住民がアサド家の銅像を倒すために街頭に出て、反政府派戦闘員が軍事基地を占拠した。

HTSとその広範な軍事作戦連合に関係する4人の情報提供者によると、シリアの政治移行は既に進行しており、内部で管理されているという。彼らの見解は、海外で設計され決定される国連主導のプロセスは不必要であり、それを拒否するというものだ。ダマスカスに到着した彼らの1人は私に次のように述べた。「私たちは国際社会の支援を歓迎するが、私たちが既に実施しているプロセスを彼らに製造してもらう必要はない。別の人物は「私たちは過去の罠に足を踏み入れることを拒否する」と述べた。

内部と外部の関係者の異なるヴィジョンは重大な問題の存在を示している、同時に驚くべき速さの発展がいかに起こっているかを単純に反映している。

今のところ、国際社会にとっての優先事項は、武装グループと民間人を問わず、できるだけ多くの関係者とのコミュニケイション構築を行う必要がある。シリア全土の多くの町や都市は現在、長年存続してきた地方議会、宗教団体、国家機関によって運営されている。

ダマスカスで進行中と思われる移行期やジュネーブでの国連の協議計画にそれらがどのように適合するかは誰にも分からない。シリアの将来を決定するための国際主導の別のプロセスを考案する前に、地域当局者や国連当局者は、既にシリアを形成している現地勢力の声に耳を傾け、コミュニケイションをとることが賢明だろう。

※チャールズ・リスター:中東研究所シリア・プログラム、対テロリズム・過激主義研究プログラム上級研究員、ディレクター。「X」アカウント:@Charles_Lister

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アサドが倒れた。シリアと中東で次に何が起きるだろうか?(Assad Has Fallen. What’s Next for Syria and the Middle East?

-シリアの大統領は逃亡し、国の将来について計り知れない不安を残している。

エイミー・マキノン、ジョン・ホルティワンガー筆

2024年12月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/12/08/assad-flees-syria-damascus-fallen-rebels-capture-future/

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ダマスカスのウマイヤド広場でシリア反体制派の旗を振って喜ぶ女性(12月8日)

シリアのバシャール・アル=アサド大統領は現地時間の日曜日未明、反体制派連合による電光石火の進撃により、アサド一族による50年にわたる残忍な支配に突然の終止符を打ち、国外に逃亡した。このニューズは、ダマスカスの街角で歓喜を巻き起こしたが、同時に、深く問題を抱えたシリアの将来に対する計り知れない不安も呼び起こした。

イスラム主義勢力ハヤト・タハリール・アル=シャーム(Hayat Tahrir al-ShamHTS)が主導したこの驚くべき攻勢は、長年の戦闘で戦意喪失し混乱したシリア政府軍が急速な後退を見せる中、武装反体制派が2週間足らずでアレッポ、ハマ、ホムスの主要都市を制圧した。一方、アサドの最も強力な同盟諸国もまた、迅速な進撃に不意を突かれたようだ。ロシアはウクライナで泥沼にはまり、イランの代理勢力はイスラエルとの衝突で著しく弱体化した。

アサド政権の予期せぬ崩壊により、外交官たちは事態の把握に追われるとともに、武装グループ、イスラム過激派、外国勢力が影響力をめぐって長い間争ってきた、この国での突然の権力の空白がもたらす潜在的な影響を理解しようと躍起になっている。

国連シリア担当特使のゲイル・ペダーセンは日曜日、ダマスカスからは「矛盾したメッセージ(contradictory messages)」が出ていると述べたが、「流血を避ける(avoid bloodshed)」必要性を強調し、対話(dialogue)と暫定統治機構(transitional governing structure)の準備を呼びかけた。

国際社会にとって当面の優先事項は、化学兵器が武装勢力の手に渡るのを防ぐためにシリアでの化学兵器の備蓄を確保することだろう。

トルコのハカン・フィダン外相は日曜日の記者会見で、「可能性のある化学兵器の在庫や関連物資は全て確保しなければならない」と述べた。

イスラエル空軍は、シリアの化学兵器工場が反政府武装勢力の手に渡るのを防ぐために攻撃したと『イェルサレム・ポスト』紙は日曜日に報じた。

トルコは、HTSが主導する攻撃を許可したと広く信じられているが、公式には関与を否定しており、アサドがアンカラとの協力を拒否していることに不満を抱いている。勝利した反体制勢力の中でトルコ政府の主要な代理人は、HTSと複雑な関係を持つ民兵の連合体であるシリア国民軍(Syrian National Army)であり、アンカラは今後シリアで大きな影響力を行使する姿勢だ。

「シリアの新政権は秩序ある方法で樹立されなければならない。包括性の原則(principle of inclusiveness)は決して妥協してはならない。復讐を望むようなことがあってはならない」とフィダン外相は語り、トルコ政府はアサドとは接触していないと付け加えた。

今後数週間から数ヶ月の間に繰り広げられるであろう複雑な力学の1つを予感させる発言として、フィダン外相はクルド人主導のシリア民主軍(Syrian Democratic ForcesSDF)がトルコの将来に入り込む余地はないと述べた。トルコは、アメリカの支援を受け、シリア北東部の国土の約3分の1を支配するこのグループを、宿敵であるクルド労働者党(Kurdistan Workers’ PartyPKK)の延長と考えている。シリアのクルド人については、この国全体がそうであるように、前途は予断を許さない。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は土曜日にカタールで開催されたドーハ・フォーラムで演説し、モスクワはシリアで「テロリスト(terrorists)」が優勢になることがないよう、あらゆる手段を講じていると述べた。HTSは国連とアメリカによってテロリスト集団に指定されているが、指導者たちは近年、より穏健な姿勢を示そうとしている。

ラヴロフ外相は土曜日、首脳会談の傍らでイランとトルコの首脳たちと会談し、シリア情勢について話し合った。3カ国の当局者らはいずれも近年シリア情勢の形成に努めており、夕方にはアラブ5カ国の外相と再び会談し、シェラトンホテルの会議室で夜遅くまで集まり、会議を行った。

会談後に発表された共同声明の中で、外相たちは軍事作戦の停止と、2015年に採択され停戦と政治的解決を求めた国連安全保障理事会決議2254号に基づく危機の政治的解決を求めた。

日曜日の朝、アサド大統領の姿は既になく、後にロシア外務省の声明で出国が確認された。ロシアのインタファクス通信は、匿名のクレムリンの情報源の話として、アサドとその家族はモスクワに到着し、「人道的理由から(on humanitarian grounds)」ロシアへの亡命を認められたと報じた。

ワシントンに本部を置く中東研究所でシリア・プログラムのディレクターを務めるチャールズ・リスターは、「一方では、過去最悪の戦争犯罪人の1人が逃亡したことは驚くべきことだ。しかし、率直に言って、今のところ誰も展望を見いだせないような事態を招いた」と述べた。アサドは戦争犯罪で有罪判決を受けた訳ではないが、人権団体や多くの外国政府によって集められた広範な証拠が、アサド政権による広範な虐待を記録している。

もう1つの当面の懸念は、かつてシリアとイラクの広範囲に血なまぐさい支配を及ぼしたイスラム国が、この状況を利用しようとする可能性だとリスターは述べている。また、今後の交渉にHTSを含めるかどうかという問題もある。

土曜日、国連特使のペダーセンは、ジュネーブで緊急の協議を呼びかけたが、協議の中で誰が国や各派閥の代表となるかはまだ不明だ。

ペダーセンは日曜日、「HTSがリストアップされたグループであるという事実は、困難を生じさせている」と述べ、HTSのテロリスト指定を解除するための国連内のプロセスは、彼の責任を超えていると指摘した。

ペダーセンは、「私たちは、既に述べているように、可能な限り包括的なプロセスを確保できるよう努力を続けていく。しかし、正直に言うと、これは進行中の作業だ」と付け加え、現場の現実(realities on the ground)は「常に変化している(changing all the time)」と述べた。

シリア内戦は、影響力を競い合い、自国の利益を増進しようとして、紛争に参加している各種の勢力を支援する多くの他国が関与してきたことを特徴としている。

「私たちはまた、多くの外部アクターがシリアのコミュニティ内で自分たちの支持する政党や代理人を選び直す段階にあり、それは危険な点でもある」とリスターは言う。

2015年にロシアが反政府勢力の支配地域に懲罰的な空爆という形で紛争に介入したことは、アサドの権力掌握を強化する上で極めて重要であることを証明した。一方、イランの最も強力な代理人であるヒズボラはシリア政府軍とともに戦った。

不吉な前兆を感じて、イランは金曜日、シリアから軍司令官と要員の撤退を開始し、長年の同盟者であるアサドを彼自身の運命に委ねた。

英チャタムハウスの中東・北アフリカプログラム・ディレクターであるサナム・ヴァキルは、「イランは損切りをする選択をした。イランは空気を読んだ。反政府側に大きな勢いがあり、政府軍に戦う準備ができていないことを認識したのだ」と述べている。

アメリカは2014年にイスラム国に対する空爆で紛争に介入し、シリア民主軍を支援するために、シリア北東部に約900人の小規模部隊を駐留させた。

アサド政権の崩壊は、ドナルド・トランプが1月にホワイトハウスに戻ることになった時同時に起きた。トランプは最初の任期中、シリアからアメリカ軍を撤退させようとしたが、イランとロシアがその穴を埋めようとするだろうと警告した補佐官たちによって、その動きに反対するよう説得された。トランプはまた、アサドに対する攻撃を何度も命じた。

土曜日、トランプはシリアを「混乱(mess)」と表現し、アメリカの「友人」ではないと述べた。「アメリカはシリアと無関係であるべきだ。これは私たちの戦いではない(THE UNITED STATES SHOULD HAVE NOTHING TO DO WITH IT. THIS IS NOT OUR FIGHT)」とXへの投稿に書いた。

シリア政府の崩壊は、2023年10月7日にハマス主導でイスラエルが攻撃され、中東を根底から覆す連鎖が起きてからほぼ14カ月後のことだった。イランのいわゆる「抵抗の枢軸(Axis of Resistance)」は、イスラエルによるガザ地区とレバノンでの作戦で大きなダメージを受け、イスラエルによるイランへの直接攻撃は、イランのミサイル生産を狂わせ、多くの防空システムを破壊したと伝えられている。トランプが再び大統領に就任し、彼の支援者たちがイランへの最大限の圧力キャンペーンの再開を約束している今、テヘランは「深刻な弱点(profound weakness)」を抱えているとヴァキルは分析している。

ジョー・バイデン政権のイスラエルとヒズボラとの和平交渉の指南役(point person)であるアモス・ホフスタインは、土曜日のドーハ・フォーラムでのイヴェントで、シリアの将来が依然不透明である一方で、この状況は隣国レバノンにも「大きな影響(massive implications)」を与えると語った。

シリアは、レバノンを拠点とするヒズボラへのイランの武器輸送の主要な陸路(main land route)である。

ホフスタインは、「シリアで起きたことは、もちろん停戦開始の翌日に起きたことだが、ヒズボラにとって新たな弱点になっていると思う」と述べている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は日曜日、アサド政権の見事な政治的終焉を祝い、その業績を主張した。イスラエルとヒズボラの対立は、テヘランが支援する過激派組織を大きく衰退させた。戦闘の結果、ヒズボラの長年の指導者であるハッサン・ナスララが死亡し、ヒズボラの軍事力は大きく後退した。イスラエルとヒズボラは、最近の停戦合意にもかかわらず、戦闘を続けている。

歴代のイスラエル首相の顧問を務めたシャローム・リプナーは、イスラエルはアサド政権の崩壊を慎重に楽観視しているようだが、アサド政権が残した権力の空白を埋めるための競争を注意深く監視しているだろうと述べた。リプナーは「この事態が収まれば、誰が後を引き継ぐのか、様々な懸念があるのは明らかだ。これはイスラエルだけの問題ではなく、国際的な問題なのだ」と述べた。

エイミー・マキノンはカタールのドーハから、ジョン・ホルティワンガーはニューヨークから報告した。

※2024年12月8日更新。この記事はアサドの居場所についての最新のニューズを更新していく。

※エイミー・マキノン:『フォーリン・ポリシー』誌国家安全保障・情報諜報担当特派員。「X」アカウント:@ak_mack

※ジョン・ホルティワンガー:『フォーリン・ポリシー』スタッフレポーター。「X」アカウント:@jchaltiwanger

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(終わり)

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アサド政権はなぜこれほど急速に崩壊しているのか?(Why Assad’s Regime Is Collapsing So Quickly

-誰も見ていない間にシリア政権はますます空洞化(hollowing out)していた。

チャールズ・リスター筆

2024年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/12/05/syria-assad-regime-collapsing-quickly/?tpcc=recirc_trending062921

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トルコとシリア間のバブ・アル=ハワ国境ゲートのシリアのバシャール・アル=アサド大統領の引き裂かれた写真(2012年7月21日)

過去1週間にわたり、バシャール・アル=アサド政権の将来が真っ向から疑問視されている。

武装反体制派連合はシリア北部で攻勢を開始し、約250の都市、町、村を制圧し、支配下の領土を2倍以上に拡大した。シリア政権の前線が次々と崩壊し、シリア第二の都市アレッポは24時間で占領された。 5年近くにわたって国中の領土支配線が凍結された後としては、これらは劇的な、状況を一変させる発展ということになる。

しかし、それらは何も驚くべきことではない。アサドは自国の内戦に真に「勝利」したことがないだけでなく、これまでに、彼の支配も弱体化している。彼の立場はこれまで以上に脆弱になっている。

長年にわたり、シリアに関する常識としては、シリアの危機は凍結されており、敵対行為は過去のものであり、アサド政権は必然的に勝利者となると考えられてきた。それとともに国際的な注目は薄れ、シリア重視の外交はほぼ終了し、各国政府はシリアを対象とした政策や他の世界的課題に資源を徐々に振り向けた。一方、シリア情勢が悪化する中、アラブ諸国政府は2023年から集団的にアサドに再関与する措置を講じ、中東全域でアサドの地位を事実上正常化した。

アメリカの政策立案者にとって、地域のアクターたちがシリア問題を担当しているようだという事実は心強い兆候であり、安心材料だった。つい最近、ヨーロッパ連合のアサド孤立政策への反対とアサドの確固たる勝利への信念に動かされて、イタリア主導の欧州10カ国グループが協力してアサド政権への再関与と外交と難民のシリア帰還への道筋を探求している。

これら全ての展開は、シリアの状況は悪いものの、危機自体は凍結され封じ込められている、そしてアサド自身も自らの立場を強化しているだけでなく、固めているという仮定によって支えられていた。その仮定は間違っていた。

シリア経済は長年にわたって混乱に陥っている。2020年初頭に、それぞれが対立する側を支援するトルコとロシアが合意した停戦により紛争線が凍結されたとき、1ドルは約1150シリアポンドに相当した。反政府勢力の攻撃は1週間前に始まり、シリアポンドの価値は14750シリアポンドに下落した。1週間の新たな敵対行為を経た12月4日には、1ドルは1万7500シリアポンドになった。

10年以上にわたる戦争の後、国を安定させ、シリア民間人に休息を与えるどころか、2020年の合意成立以来、シリア人道危機は悪化しており、国連の報告によると、シリア人の少なくとも90%は現在貧困ラインの下で暮らしている。アサド政権による組織犯罪の容認は、わずか1種類の合成覚醒剤の販売から毎年少なくとも24億ドルの利益をもたらしているが、そのどれもがシリア国民の助けにはなっていない。実際、燃料と食料に対する国の補助金は近年大幅に削減されている。

しかし、アサドにはもはや国家破産から救ってくれる存在はいない。ロシア経済はウクライナ戦争の影響で大きな打撃を受けており、イラン経済も悪化している。

必ずしもこうである必要はなかった。もしアサド大統領が、2023年にシリアとの国交を正常化した中東の各国政府と建設的に関わっていたら、そして今年初めにトルコの正常化への寛容さを受け入れていたら、シリアは今日、著しく違った状況になっていただろう。

シリアの人道危機はかつてないほど悪化し、世界の援助意欲と能力もかつてないほど低下しているため、シリア国民は苦しんでいる。トンネルの先には光がないことを悟ったシリア人たちは街頭に戻り、アサド打倒を訴え始めた。

そして数カ月前、6年前の合意に基づいて政府と「和解(reconciled)」した元反体制派の戦士たちが再び政権軍に挑戦し、勝利を収め始めた。

一方、シリア経済が崩壊している中で、組織犯罪や産業レヴェルの麻薬生産と密売がアサド政権の治安機構の中核に侵入している。実際、アサド政権は現在、キャプタゴンとして知られるアンフェタミンの製造を専門とする世界最大の麻薬国家である可能性がある。

麻薬取引はシリアの精鋭部隊である第4師団(アサド大統領の弟マヘルが指揮官)によって運営されているが、そのネットワークは事実上シリアの軍と支持派民兵ネットワークの隅々まで広がっている。これにより、組織犯罪と軍閥主義(warlordism)により、シリア治安国家内にわずかに残っていた団結力が引き裂かれてしまった。

一方、ロシアのウクライナ戦争と、2023年10月以来のイスラエルとイランとその代理ネットワークを敵視している地域的な敵対行為により、ロシアとイランの注意はシリアの安全保障関係者を結びつけることから逸らされてしまっている。ロシアとイランの両国、そしてレバノンに本拠を置くヒズボラは、11月27日に反政府勢力の攻撃が始まったとき前線にいて、いずれも初期に死傷者を出した。

しかし、前線に組み込まれた外部主体として、混乱に陥るシリア政権軍をまとめるためにシリア支援者にできることはほとんどなかった。反政府勢力ハヤト・タハリール・アル=シャーム(Hayat Tahrir al-ShamHTS)民兵組織の計画は10月中旬から知られており、その計画を阻止しようとしてトルコが介入し、これに応じてロシアが数日にわたる大規模な空爆を実施したことを考えると、攻撃そのものに驚く人はいなかっただろう。

最近の出来事は、アサド政権軍の再建に対するロシアの8年間の投資が、攻撃の圧力を受ける中で効果的に戦う能力にほとんど影響を与えていないことも示している。ロシアの努力により、第25特別任務師団など一部の部隊内で効果的な能力がある程度強化されたものの、シリア軍全体としては依然としてバラバラで連携が不十分なままだ。ほぼ全ての点で、アサド政権の軍事機構は近年停滞しており、内部からは衰退し、外部は断片化している。アサド政権に忠実な民兵の不定形なネットワークはおそらく軍そのものよりも優れた軍事能力を示している。ロシアが近年アサド軍に追加した唯一の定性的能力は、自爆攻撃用無人機の使用であるが、規模と効果の点ではHTSの新たに明らかになったカタイブ・シャヒーン(またはファルコンズ旅団)無人機部隊が大幅に上回っている。過去1週間にわたって、政権の前線基地、戦車、大砲、上級指揮官に数百の装置を発射した。

これは、HTSと他の武装反政府勢力が2020年以来、自らの能力を強化するために集中的に取り組んできた、線の反対側の顕著な対照を浮き彫りにしている。特に HTS は、ここ数日の戦場での状況をほぼ一変させた全く新しい部隊を設立した。アサイブ・アル・ハムラ(またはレッド・バンド)として知られるHTSの特殊部隊型部隊は日中作戦の最前線部隊であり、その一方でサラヤ・アル・ハラリ(またはサーマル旅団)は毎晩結果的な成果をあげている。HTSによると、約500名の戦闘員全員が暗視スコープを備えた武器を携行しているという。

カタイブ・シャヒーンとして知られる別のHTS旅団は前線全域で政権軍の重兵器を破壊しているが、その爆発力はトラック自爆爆弾に匹敵する国産の巡航ミサイルも使用している。偵察用ドローンの編隊が年中無休で空を飛んでおり、HTSとその他の同盟者たちはシリア政権軍を完全に上回っている。

今後を展望すると、HTS主導の攻撃がハマ県中部で少なくとも2つの軸に沿って南下を続ける中、アサド政権は厳しく困難な戦いに直面することになる。シリア全土での政権の急激な人気の低下と反政府勢力の劇的な上昇も、全国の武装勢力が結集して行動を起こすよう促している。南部のダラア、中部のホムス、東部のデリゾールでは、政権側の町と軍事前線の全てが挑戦を受けている。

アサド大統領が最後に領土支配に対する複数の協調的な挑戦に対処しなければならなかったのは2015年だった。アサド政権は限界点にまで追い込まれており、アサド大統領を救うためにはロシアが軍事介入しなければならなかった。今ではそんな救世主(savior)はいないだろう。

※チャールズ・リスター:中東研究所シリア・プログラム、対テロリズム・過激主義研究プログラム上級研究員、ディレクター。「X」アカウント:@Charles_Lister

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める