古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年の大統領選挙までは、「ドナルド・トランプとカマラ・ハリスではどちらが勝つか」という質問を受けることばかりだった。選挙が終わって1か月ちょっと過ぎている今まででは、「トランプが大統領になってアメリカはどうなるか、世界はどうなるか、日本はどうなるか」という質問を受ける。予言者ではない身としては答えるのに難しい質問ばかりだ。そこで、ハーヴァード大学のスティーヴン・M・ウォルトはどう考えているかを見ていきたい。ウォルトもまたトランプを「予測不可能だ(unpredictable)」と言っているのではあるが。是非下の論稿を読んで欲しい。

 対中国に関しては、核兵器を使った戦争も辞さないと考える人たちがいる一方で、関わるべきではない、国内問題を優先すべきだと考える人たちもいる。トランプはその間を行ったり来たりするだろうというのがウォルトの見立てである。私は、トランプは中国との戦争を望まないだろうと考える。そして、アメリカが中国と戦うまでには何段階かあり、その中には、日本がけしかけられる形で、中国と戦うという段階があると思われる。そうなれば、世界経済は崩壊してしまうだろうと考えると、トランプは経済面での中国との貿易戦争を行う可能性は高いが、実際の戦争はない。

トランプ自身は戦争を損だと考えると思われるので、ウクライナ戦争も、そして中東地域でも戦争の拡大を望まないだろう。ウクライナ戦争はトランプ政権下で停戦ということになり、NATOに関しては、各国の負担増大を強く望むことになるだろう。中東地域におけるイスラエルの動きは気になるところだ。イランはイスラエルとの全面戦争を望まないだろうが(これはイスラエルもそうだろう)、現状のように押しまくられている状態で、どこかで反撃ということも考えられる。核戦争の脅威があるという懸念がある限り、アメリカはイスラエルを見捨てることはできないだろうが、現在のベンヤミン・ネタニヤフ首相があまりにも戦争を拡大させるようであれば、アメリカは歯止めをかける動きに出るだろう。大きな戦争は起きないだろうが、アメリカの国力の低下と威信の低下によって、各地域での役割が縮小することによって、各地域内での未解決の問題に関して、「自力救済」を求める動きが出て、不安定化したり、小競り合いが起きたりすることがあるだろう。

 トランプは日本に対してあまり関心を持たないだろう。アメリカ国内への投資とアメリカからの輸入増大、更には防衛費の増額(アメリカの負担の軽減)にしか関心がないと言ってよい。現在、日本では防衛費負担増額のための増税が進められているが、これは「防衛費を対GDPの2%まで倍増させよ」というトランプ政権以来の「厳命」に沿った動きである。「予測不可能な」トランプである。「2%?それはまだ低すぎる、3%だ」ということを言ってくる可能性もある。「それに加えて、アメリカ国内に工場を作れ」ということにもなるだろう。更には、「アメリカが産出する石油と天然ガスを買え」という要求も出てくるだろう。これらについて「条件を交渉する」役割が石破茂首相には求められる。石破氏は、トランプにとって、「ゴルフもやらない、おべっかも言わない」初めての日本の首相となる訳だが、タフな交渉相手であるところを見せれば、かえって好意を持つ可能性はある。「話せる奴」という評価を得ることが重要だ。

 アメリカ国内においては、関税引き上げによる経済への影響は気になるところだ。物価高を引き起こし、インフレ懸念が高まる。経済成長と人々の収入の増大を伴う物価高は望ましいが、そうではない場合には、アメリカ国内に生活苦からの不安定な状況が生み出さされる可能性がある。予断を許さない状況だ。

(貼り付けはじめ)

2024年のアメリカの選挙が外交政策に及ぼす10の影響(The 10 Foreign-Policy Implications of the 2024 U.S. Election

-トランプ2.0について考えるべきこと

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年11月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/11/08/10-foreign-policy-implications-2024-election/

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ミシガン州グランドラピッズでの集会に登場する共和党大統領候補ドナルド・トランプ(11月5日)

映画ファンは、ある映画の続編が良いものであることはほとんどなく、第一作よりも暗い展開になることが多いことを知っている。トランプの大統領としての最初の作品は多くの人を失望させ、一部の人にとっては致命的であった。それが、2020年の選挙でトランプが負けた理由である。リメイク版は更に悪いものとなるだろう。2024年のアメリカ大統領選挙がもたらすであろう影響トップ10を以下に挙げていく。

(1)アメリカ政治はミステリーだ(U.S. politics is a mystery)。
まだ明らかでなかったとしても、今や、誰もアメリカの選挙政治がどのように機能するのか理解しておらず、このテーマに関する従来の常識の多くが大間違いであることは火を見るより明らかだ。世論調査は当てにならないし、「地上戦(ground game)」の重要性についての定説は当てはまらないし、何が起こるか分かっていると思っていた賢い人たちは皆、間違っているだけでなく、大きく外れていた。2016年と同様、ドナルド・トランプ前米大統領とそのティームも、私たちと同様に驚いたのではないかと思う。私の粗雑な見解では、アメリカのエリートたちは、国民(body politic)の中にどれほどの白熱した怒りと恐怖が存在し、その多くが自分たちに向けられているのかをまだ過小評価している。民主党にとって何が問題だったのか、なぜ専門家たちはまたもやそれを見逃してしまったのか、その場しのぎの分析が延々と続くだろう。しかし、同じ「専門家」たちはこれを解明するのに8年を費やしており、今でも検討中である。

(2)トランプは予測不可能であろう(Trump will be unpredictable)。その通りだ。トランプは、予測不可能であることで、他者を不安にさせ続けることができる資産とみなしており、彼の不規則な行動に対する評判は十分に高く、一貫性がないことを批判するのは難しくなっている。このため、支持者を含め、誰も彼が何をするか正確に知っていると自信を持ってはならない。彼が個人的な政治的・経済的利益にならないことはしないのは確実だが、それがどのように政策に反映されるかは計算ができない。選挙期間中、彼はおかしなことをたくさん言ったが、そのどれだけが威勢のよいハッタリで、どれだけが本心なのかはまだ分からない。

更に言えば、共和党内には、いくつかの重要な問題、とりわけ中国をめぐって、重要な分裂がある。リアリストたちは、ヨーロッパ(とおそらく中東地域)から離れて、アジアに集中し、台湾に対するアメリカの関与を強化したいと考えている。一方、アイソレイショニストやリバータリアンたちは、ほとんど全ての地域から離れ、アメリカの行政国家の解体(dismantling the administrative state back home)に集中したいと考えている。そして、これらの人々の中には、アジアでの核兵器の使用について、かなり恐ろしい考えを持っている人たちもいる。誰がどの役職に就くのかに注目して欲しいが、政権内部には両方の派閥が存在し、トランプはその間を単に行ったり来たりかもしれないので、これを知っていても全てが分かるものでもない。

また、トランプが外交問題にどれほどの関心を払うつもりなのかも不明だ。主に民主党のライヴァルへの復讐と、悪名高い「プロジェクト2025」に書かれた過激な国内政策の追求に力を注ぐのか、それとも世界中でアメリカの政策を変革しようとするのか? あなたの推測は私の推測と同じだ。しかし、覚えておいてほしい。トランプはまた、エネルギーと集中力が目に見えて衰えてきている人物でもある(しかも、これらは最初の任期中はそれほど印象的ではなかった)。彼の任命した人たちは、何かがうまくいかなくなり、責任を取らなければならなくなるまで、多くの自由裁量権(latitude)を持つだろう。結論としては、私を含め、誰もトランプが何をするか分かっていると自信を持つべきではないということだ。

(3)リベラルな覇権は死んだ(Liberal hegemony is dead)。
ジョー・バイデン米大統領、アントニー・ブリンケン国務長官、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官、カマラ・ハリス副大統領、そしてその他の人々は、冷戦終結以来アメリカの外交政策を導いてきたリベラルな覇権という戦略を復活させ、修正しようとしてきた。彼らの試みは以前のヴァージョン以上に成功せず、有権者は決定的な拒絶を示した。トランプに投票した人々は、民主政治体制を広めることに興味がなく、人権に関心がなく、自由貿易に懐疑的で、外国人を国内に入れたがらず、グローバルな制度に警戒心を抱いている。彼らは、トランプが公然と敵対している訳ではないにせよ、これら全てに無関心であることを知っている。

私がこの失敗した戦略に固執している民主党と共和党の両方を繰り返し批判してきたことを考えると、私が選挙結果に満足していると思う人がいるかもしれない。私は満足していない。なぜなら、トランプ大統領の外交・内政政策へのアプローチは、アメリカ国民を更に貧しく、より分断し、より脆弱なままにすると信じているからだ。そして、現在状況が悪いことが、状況が更に悪化することはないと意味することはないからだ。

(4)来るべき貿易戦争に気をつけろ(Beware the coming trade war)。

トランプ大統領が選挙戦で語った、1930年代にあった関税を全ての人に課すという話は、単なる威勢だけのハッタリだった可能性がある。ロバート・ライトハイザーのような保護主義者にこの問題を委ねるのか、それとも比較的開かれた市場とグローバルなサプライチェインに依存する新しい技術者仲間の意見に耳を傾けるのかにもよる。トランプは現代経済の仕組みについて洗練された理解を示したことがないため、もし彼が深刻な貿易戦争に踏み切った場合、多くの意図しない悪影響が予想される(財政赤字の増加、債券市場の圧力、インフレなど)。彼は自分自身を責めるしかないが、どこかで都合のいいスケープゴートを見つけるだろう。

(5)ヨーロッパは困難な状況にある(Europe is screwed)。
トランプはアメリカのヨーロッパの同盟諸国を戦略的資産とは見ておらず、以前から公然とEUを敵視している。過去にはEUを敵視し、ブレグジット(イギリスのEU離脱)は素晴らしいアイデアだと考えていた。なぜなら、EUは経済問題で声を一つにすることができて団結できるので、アメリカがEUを押し切ることが難しくなると理解していたからだ。共和党は、全てではないにせよ、ほとんどの形の規制に反対しており、イーロン・マスクのような人々は、ヨーロッパのデジタル・プライバシーに関するより厳しい規則に反対している。トランプはブリュッセルを無視し、アメリカがはるかに強い立場にあるヨーロッパ諸国それぞれとの二国間関係に焦点を当て、EU自体を弱体化させたり分裂させたりするためにできることは何でもやるだろう。この危険性によって、(フランスのエマニュエル・マクロン大統領が提唱し続けているように)ヨーロッパ諸国が結束して反対する可能性もあるが、それよりも可能性が高いのは、どの国も自分たちのために気を配るということだ。

NATOに関しては、トランプは完全に脱退することを決めるかもしれない。しかし、NATOはまだ多くのアメリカ人に人気があり、正式な脱退は国防総省や連邦議会共和党の一部から多くの反発を受けるだろう。それよりも可能性が高いのは、トランプがNATOにとどまりながら、ヨーロッパ諸国が十分なことをしていないと非難し続け、アメリカの兵器購入などにより多くの防衛費を費やすよう働きかけることだろう。そのようなアプローチを採用するアメリカ大統領は、トランプが初めてではないだろう。バイデン時代のぬるま湯の後、トランプ2.0はアメリカのヨーロッパのパートナー諸国にとって冷たいシャワーのように感じるだろう。

(6)ウクライナは本当に困難な状況にある(Ukraine is really screwed)。

もしハリスが当選していたら、ウクライナでの戦闘の終結を強く求めていただろうし、可能な限り最良の取引もやはりキエフにとってはかなり不利なものだっただろうと思う。しかし、彼女はウクライナに多少なりとも有利な条件を引き出すために、米国の支援が継続されるという見通しを利用しようとしただろうし、ロシアとの取引が成立した後も、いくらかは安全保障上の支援を提供しただろう。トランプ大統領は、米国の援助を打ち切り、ウクライナは自分たちの問題だとヨーロッパに言う可能性が高い。トランプは確かに、議会が再び大規模な支援策に賛成するよう説得するために政治資金を使うことはないだろう。世論は彼を支持するだろうし、彼の唯一の懸念は、ロシアがウクライナの他の地域を制圧し、彼が腑抜けで弱く、世間知らずだと思われることかもしれない。しかし、ロシアのプーチン大統領が恒久的な分裂を受け入れ、名目上は独立したもののNATO加盟には向かわず、傷ついたウクライナが残ることになれば、ほとんどのアメリカ人はページをめくって前に進むだろう。そうなれば、トランプは戦争終結の手柄を独り占めすることになる。

もしハリスが当選していたら、ウクライナでの戦闘の終結を強く求めていただろうし、可能な限り最良の取引もやはりキエフにとってはかなり不利なものだっただろうと思う。しかし、彼女はウクライナに多少なりとも有利な条件を引き出すために、アメリカの支援が継続されるという見通しを利用しようとしただろうし、ロシアとの取引が成立した後も、いくらかは安全保障上の支援を提供しただろう。トランプ大統領は、アメリカの援助を打ち切り、ウクライナはあなたたちの問題だとヨーロッパに言う可能性が高い。トランプは確かに、連邦議会が再び大規模な支援策に賛成するよう説得するために政治的資本を使うことはないだろう。世論は彼を支持するだろうし、彼の唯一の懸念は、ロシアがウクライナの他の地域を制圧し、彼が腑抜けで弱く、世間知らずだと思われることかもしれない。しかし、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領が恒久的な分裂を受け入れ、名目上は独立したもののNATO加盟には向かわず、傷ついたウクライナが残ることになれば、ほとんどのアメリカ人はページをめくって前に進むだろう。そうなれば、トランプは戦争終結の手柄を独り占めすることになる。

(7)中東紛争は続く(Middle East strife will continue)。

バイデンとブリンケンの中東への誤った対応は、非人道的で非効果的な政策から距離を置こうとしないハリスの姿勢と同じくらいに、選挙でハリスを苦しめた。とりわけこの立場は、トランプを人権や民主政治体制、法の支配を気にしない危険な過激派として描こうとする彼女の試みを台無しにした。しかし、トランプが大統領に就任したからといって、事態が好転すると錯覚する人はいないはずだ。彼は最初の任期中、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に望むものを全て与え、イランの核兵器保有を阻止する協定から離脱し、ガザ地区、レバノン、占領下のヨルダン川西岸地区で罪のない人々が直面している悲劇的な損失には涙ひとつ流さないだろう。イスラエルがイランを攻撃するのを手助けするのを嫌がるかもしれないが(特に、彼の友人であるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子がそうしないように助言するならば)、そうでなければイスラエルはパレスティナ人を根絶やしにしたり追放したりする青信号を持ち続けるだろう。

トランプ大統領が自らを偉大な和平交渉者(grand peacemaker)として位置づけ、失敗に終わったアブラハム合意に沿って、ある種のスーパーチャージされた大取引を追求していると想像する人もいるかもしれない。一期目の任期中に北朝鮮の指導者である金正恩と会談したのと同じように、トランプがイランの新大統領やその最高指導者とさえ喜んで会談すると発表するところを想像することさえできた。しかし、トランプには実際の交渉を行うための忍耐力も余裕もないため、このようなことは、音と怒りに満ちた、何の意味も持たない大々的な宣伝以外には何も生まれないだろう。

(8)縛られない中国(China unbound)。

前述したように、トランプ大統領のアドバイザーたちは中国をどう扱うかについて意見が一致していないため、トランプ大統領が中国にどう対処するか正確に知ることはできない。貿易問題で強硬手段に出るのはほぼ確実で、中国企業への半導体チップなどの技術移転規制を撤回するとは考えにくい。中国への敵意は、おそらくワシントンに残された唯一の超党派の問題であり、そのことがワシントンと北京の間の重要な取引交渉(grand bargain、グランド・バーゲン)を想像しにくくしている。

残念なことに、トランプ大統領はアジアの同盟諸国にも喧嘩を売る可能性が高く、台湾が直接脅かされたり攻撃されたりした場合に台湾を支持するかどうかについては、既に疑念をまき散らしている。中国に立ち向かうためには、アジアのパートナーが不可欠であり、それはアメリカが海を隔てているという明白な理由からである。中国政府関係者はトランプ大統領の再選にやや二律背反的な感情を抱いているかもしれない。しかし彼らは、トランプが衝動的で無能な経営者であり、1期目のアジアへのアプローチが支離滅裂で効果的でなかったことも知っている。トランプの2期目は、バイデンとブリンケンがアジアで達成した成果(これが彼らの外交政策における最大の成果だった)を覆す可能性が高く、北京はそれを歓迎するだろう。

(9)気候に関する危機()。

これは簡単なことだが、やはり憂慮すべきことだ。トランプは気候変動に懐疑的で、化石燃料の「掘れ、ひたすら掘れ」が正しいエネルギー政策だと信じている。この問題に対する世界的な進展は遅れ、アメリカにおけるグリーン転換を加速させる努力は後退し、人類の未来を確保するための長期的な努力は短期的な利益に道を譲ることになるだろう。このようなアプローチは、グリーン技術の優位性を中国などに譲り、アメリカの長期的な経済的立場を弱めるかもしれないが、トランプは気にしないだろう。

(10)分断社会における統一権力(Unified power in a divided society)。

トランプの勝利は国民の団結の証であり、ほとんどのアメリカ人がトランプを全面的に支持していることの表れだと見る人たちもいるだろう。この見方は重大な誤解を招く。民主党はMAGAのアジェンダを受け入れるつもりはないだろうし、特に国内においては、プロジェクト2025で概説された施策は、政治的な分裂をより拡大させるだろう。政敵を追及し、経口中絶薬ミフェプリストンを禁止して、中絶をほとんど不可能にし、ワクチン反対派を重要な公衆衛生機関の責任者に据え、何百万人もの人々を国外追放しようとし、市民社会の他の独立した機関を攻撃しても、国をまとめることにはつながらない。

同時に、統一された行政部を創設するという共和党の長期にわたる取り組みは今や実現に近づき、ホワイトハウス、連邦最高裁判所、連邦上院、そして連邦下院を完全に掌握している。統一されたチェックされていない権力の問題は、間違いを検出して時間内に修正することが難しいということだ。アメリカでは既に説明責任の仕組みが本来よりも弱くなっており、今回の選挙で更にその仕組みが弱体化することが確実視されている。

国民の健康、安全、女性の権利、中央銀行の自主性などに対する国内的な影響とは別に、分極化の深まりは政府の効果的な外交政策能力をも脅かしている。振り子がこれほど大きく揺れ続けているとき、どの国もアメリカが約束したことを政権1期以上続けてくれるとは期待できない。政府が国内の敵の根絶やしに夢中になり、有益な雇用を得ている何百万人もの住民を強制送還し、経験豊かな公務員を忠誠心のあるハッカーに置き換えるような状況では、対外的に賢明なアプローチを行う能力は必然的に弱まる。深く分裂したアメリカはまさに敵の望むところであり、トランプ大統領がそれを悪化させる以外のことをすると考える理由はない。

アメリカの世界的な役割の大きさを考えると、アメリカ人を含む世界の人々は、人間による被験者の規制を全く受けずに行われる大規模な社会実験に参加しようとしている。この実験でいくつかの前向きな結果が得られると信じたいが、たとえささやかな成果が得られたとしても、自らが負った一連の傷によって埋もれてしまうのではないかと懸念している。冬がやって来る。私が警告しなかったとは言わないで欲しい。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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