古村治彦です。
2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体
最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。
中国経済は崩壊しているという言説は21世紀になって毎年聞かされている。日本が追い抜かれて遠く置いていかれて、「日本は安い、安い」と買いまくられるようになってもこの言説を頼りに自尊心を慰めている人たちがいる。名目GDPで言えば、日本は世界第2位ではなく、世界第5位に後退している。日本は他国のことを心配している暇はなく、また、中国経済が崩壊してしまえば、その悪影響を浴びてしまうのは日本である。
中国の経済成長のスピードは落ち着いてきている。中国政府は高度経済成長からの転換を図っている。中国政治において、『人民日報』紙の記事や論説を分析することは重要だ。たとえば、最高幹部クラスの動向、名前が出なくなってしばらくして更迭といったことが記事を一定期間分析することで分かる。また、中国政府が人々に知らせたい、周知させたい政策も分析することで分かる。重要な政策のキーワードの出た回数を統計的に分析するという手法もある。これらの手法を内容分析、コンテンツ分析(content analysis)という。
中国政府は、人民日報に「中財文」名義で一連の経済に関する論稿を発表した。一連の論稿を通じて、中国指導部が成長鈍化や地政学的制約、構造的成熟という時代状況に対して意図的に優先順位を再編し用としていることが明らかになった、
「中財文」は、中国共産党の指導や長期計画、国家と市場の融合が「管理された均衡」を生むと主張し、現在、国内需要の弱さ、地方財政の圧迫、デフレ傾向、需給ミスマッチといった実際に起きている問題を率直に認めている。これからの中国経済においては、「確実性」に重点を置き、貧困削減やグリーン開発、「一帯一路」といった開放的取り組みを通じて中国の台頭を世界善の力として描き、西側の政策不安定さと対比して方向性と一貫性の維持を強調している。そして、社会セーフティネット強化による予備的貯蓄の削減を通じて消費を間接的に刺激し、保育、介護、医療、教育など需要と供給のギャップが大きい分野への投資拡大を求めている。中財文は、需要喚起重視から事業の拡大・アップグレード重視へのシフトである。
中国は中長期的な計画を立て、突発的な事象に対応しながら物事を進めている。これは日本でも戦後の高度経済成長の間続けられたことである。それが安易なアメリカ礼讃、アメリカも法によって打ち崩されて「失われた30年」となった。アメリカは行き当たりばったりである。アメリカ型モデルの終焉と中国型モデル(もともとは日本型モデル)の台頭の時代を私たちは生きている。
(貼り付けはじめ)
北京の暗号化された社説が壮大な経済計画を明らかに(Beijing’s Coded
Editorials Reveal Big Economic Plans)
-『人民日報』紙は産業変容に向けた楽観的な計画を提示した。
リジー・C・リー、シェンイー・ワン筆
2025年10月14日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2025/10/14/china-peoples-daily-editorials-zhong-caiwen/
9月30日、中国の市民たちが「ゴールデンウイーク」の連休を迎える中、中国共産党(Chinese
Communist Party、CCP)の旗艦紙(flagship
newspaper)である『人民日報』紙は、綿密なタイミングを計った社説キャンペーンを開始した。権威ある論評が掲載される2面には、数日連続で「習近平経済思想指導による中国経済特集(Special Series on China’s Economy Under the Guidance of Xi Jinping
Economic Thought)」と題された論説が掲載された。それぞれの論説には、中財文というペンネームの書名が付けられていた。
中国の政治コミュニケーションシステムにおいて、こうしたペンネームは無作為なものではない。それは、共産党の諸機関が主要な政策方針を明確にし、検証するためのシグナルであり、集合的な声なのである。
2024年に、人民日報に初めて登場した「中財文」という名称自体は、同音異義語である。「中」は「中央」、「財」は金融と経済、「文」は「記事」または「論評」を意味する。これは、中国共産党の最高経済政策機関である中央財経委員会(Central Commission for Financial and Economic Affairs、CCFEA)の集合的な意見を表していると考えられる。
同様に、匿名の情報源が仮名システムと並行して使用され、公式メディアのインタヴュー対象者として取り上げられることも、シグナリングの役割を果たしている。2015年、当時の李克強首相が外遊中、人民日報は匿名の「権威ある人物(authoritative person)」、中央財経委員会委員長の劉鶴と多くの人々が理解している人物へのインタヴューを掲載した。この記事は「供給サイド構造改革(supply-side structural reform)」を提唱し、今後数年間の政策重点をデレヴァレッジ(訳者註:過剰な負債を減らすこと)と効率性(deleveraging and efficiency)へと転換することを示唆した。
このような回りくどい手法の使用は、中国政治における曖昧さと隠喩の文化(a
long-standing culture of ambiguity and allusion in Chinese politics)を長年反映しており、それが中国共産党のプロパガンダ活動を形成している。この慣行は、公式メッセージに組織的な権威を与えると同時に、より多元的でメディアに精通した言説にますます敏感になっている国民に向けて、そのトーンを和らげることを可能にしている。
1960年代以降、歴代の中国共産党指導者は、指導原則を明確に示したり、主要な政策転換の基盤を整えたりするために、匿名の執筆グループに依存してきた。その具体例としては、中ソ分裂期における毛沢東時代の論評から、1989年以降の改革再開を促した『解放日報』紙の「黄福平(Huang Fuping)」論文まで多種多様にある。例えば近年、中央規律検査委員会(Central
Commission for Discipline Inspection)は、規律上の優先事項を伝え、反腐敗運動(anti-corruption campaigns)に対する国民の理解を深めるために、「鐘紀軒(Zhong Jixuan)」という匿名の著者の論稿を発表した。
専門家の多くは、このシリーズを経済への信頼を高め、前向きな雰囲気を醸成するための単なる政治的な見せかけに過ぎないと断じている。その見方は間違ってはいないが、不完全である。各論文は目新しさに欠けるが、明快さでそれを補っている。これらを併せて読むと、中国指導部が経済移行をどのように捉えているかについて、これまでで最も体系的な説明の1つが提示されている。それは、危機への対応(a response to crisis)ではなく、成長の鈍化(slower
growth)、地政学的制約(geopolitical constraints)、そして構造的成熟(structural maturation)を特徴とする時代における、優先順位の意図的な再編である。
中財文シリーズの初期の論稿は、その後の論稿に続く主要な経済メッセージの統一的な概念的基盤を構築している。最初の論稿は、不安定な世界における中国の軌跡を考察する。地政学的不確実性の中で戦略的冷静さを保つ能力は、今や比較優位(comparative advantage)の一形態であると主張する。その根底にあるのは、世界は予測不可能(unpredictable)かもしれないが、計画性と継続性(planning and
continuity)に根ざした中国のモデルは、軌道を維持する上で優位な立場にあるということだ。
2番目の論稿は、その安定性(stability)を制度的構造に帰結させる。党の指導、理論的適応性、長期計画、そして国家協調と市場メカニズムの融合(party leadership, theoretical adaptability, long-term planning, and
the fusion of state coordination with market mechanisms)が相互に補完し合うものとして強調し、「管理された均衡(managed equilibrium)」とも呼べるものを提唱する。中財文によれば、このシステムは非常に優れているということだ。
3番目の論稿は現在に目を向け、異例の率直さで論じている。中財文は、国内需要の弱さ、地方自治体への財政圧力、デフレ傾向、そして「需給ミスマッチ」の継続(weak domestic demand, fiscal pressures on local governments,
deflationary tendencies, and persistent “supply-demand mismatch”)など、一連の経済の逆風を公然と認めている。
中国共産党中央メディアにおけるこうしたリスクの直接的な列挙は顕著であり、今月開催される第4回全体会議(4中全会)での第15次5カ年計画に関する議論を前に、期待感をコントロールしようとする試みを示唆している。しかし、この論文のレトリックの転換も同様に印象的である。これらの弱点を構造的な欠陥として捉えるのではなく、技術革新と産業再編の過渡的な兆候(transitional symptoms of technological upgrading and industrial
realignment)として捉えているのだ。
そのメッセージは、現在の「弱点(pain points)」は必要な変革の副産物(by-products)であり、システム全体の不調の兆候ではないということを伝えている。従って、この安心感は自信を示すと同時に、国内外の人々に対し、より緩やかながらもより安定した調整期への備えを促し、減速を変革の証、つまり短期的な摩擦(short-term friction)を乗り越えて長期的な回復力(long-term
resilience)を獲得する経済の証として再解釈している。
同様のメッセージが最終回でも再解釈され、シリーズは「確実性(certainty)」そのものを成長の資産(a growth asset)と定義し、中国を世界の善を担う力として描くこと(portraying
China as a force for global good)で締めくくられている。貧困削減(poverty
reduction)、グリーン開発(green development)、そして「一帯一路」などの取り組みを通じた開放性(openness through initiatives such as the Belt and Road Initiative)における中国の成果を称賛するとともに、世界に対しイデオロギーの違いを乗り越え、中国の台頭を自らの視点で捉えるよう促している。西側諸国の政変と政策の不安定さ(political turnover and policy volatility in the West)を背景に、中国の強みは方向性と一貫性を維持する能力(ability to sustain direction and coherence)にあると主張している。
10月3日号の中間回「中国の経済構造転換と高度化には大きなチャンスがある(China’s
Economic Transformation and Upgrading Contain Major Opportunities)」では、具体的な実務の詳細を取り上げている。化学、機械、繊維、軽工業といった伝統的なセクター(traditional sectors such as chemicals, machinery, textiles, and
light industry)は、依然として支配的な産業基盤の屋台骨(he backbone of a
still-dominant industrial base)であり、置き換えるのではなく、アップグレイド(upgraded)していく必要があると指摘している。
自動化、デジタル化、そして環境改善(automation,
digitalization, and environmental retrofitting)は、旧来の産業を生産性の高い研究施設へと変革するメカニズムとして位置付けられている。同時に、先進製造業、人工知能、ロボット工学、バイオ医薬品(advanced manufacturing, artificial intelligence, robotics, and
biopharma)は、「産業の自立(industrial self-reliance)」の新たな柱として位置づけられている。
これは、雇用の継続を通じて社会の安定を維持しながら、中国の製造業システムをバリューチェーンの上流へと徐々に移行させるという、共産党の二つの目標を明確に示している。
This clarifies the party’s dual goals:
preserving social stability through continuity of employment while gradually
shifting China’s manufacturing system up the value chain.
子の論説はさらに、技術革新こそが決定的な変数(the decisive
variable)であると述べている。研究開発の集中度(intensity of research and
development)が高まり、2024年には3兆6000億元(約5000億ドル、約75兆円)に達し、経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development、OECD)の水準に近づくと予測され、研究と産業応用の融合が進んでいること(the
growing integration of research with industrial application.)を称賛している。この論説では、中国で毎年500万人ものSTEM(科学・技術・工学・数学)系の卒業生が輩出されていることを指す「エンジニア配当(engineer
dividend)」に言及し、大規模に組織化された人的資本は国家の財産となるという指導部の信念を要約している。これは、自発性(spontaneity)ではなく、協調性(coordination)を通じて制度化された創造性(creativity institutionalized)という明確なヴィジョンである。その長所はスピード、連携、そして安全性といった明白なものだ。しかし、語られないのは、そのコスト、つまりボトムアップ型の実験や分散型のリスクテイクの余地の減少である。
この欠落は重大な結果をもたらす。草の根レベルの取り組みの欠如は、指導部が今や認めている経済の逆風の中で、ますます顕著になっている。深刻な財政的圧力にさらされている地方自治体は、多くの場合、予算の不足を補うために略奪的な料金徴収や恣意的な執行に頼り、民間セクターや起業家セクターに大きな負担をかけている。
That omission is consequential. The lack of
grassroots initiative has become increasingly visible in the very economic
headwinds the leadership now acknowledges. Local bureaucracies, under acute
fiscal pressure, have in many cases turned to predatory fee collection and
arbitrary enforcement to fill budget gaps, placing heavy strain on the private
and entrepreneurial sector.
多くのスタートアップ企業や小規模民間企業にとって、脆弱なマクロ環境と過剰な規制(the
combination of a weak macro environment and regulatory overreach)が相まって、慎重な雰囲気を生み出している。データガヴァナンス、国境を越えた情報の流れ、さらには学術連携にまで及ぶ中国政府の「セキュリティ第一(security first)」の考え方は、この状況を悪化させ、ヴェンチャーキャピタルの活動を鈍化させ、プライヴェートエクイティの流出を加速させている。
中国の技術革新推進における課題は、技術力ではなく、制度の弾力性(institutional
elasticity)である。つまり、統制を目的として設計されたシステムが、最終的に世界的な技術リーダーシップに求められる不確実性、長期的な実験、そして失敗への寛容さ(the kind of uncertainty, long-term experimentation, and tolerance
for failure)を育むことができるかどうかである。
この緊張関係は消費と社会投資(consumption and social
investment,)の領域にも及んでおり、そこでは論文における自信が曖昧さへと変わっていく。本分析は、持続的な需要の最大の障害(the principal obstacle to sustained demand)は流動性の不足(insufficient liquidity)ではなく、家計の信頼感の弱さ(diagnoses
weak household confidence)であると正しく診断している。提案されている解決策は、社会セーフティネットを強化して予備的貯蓄(precautionary savings)を減らし、間接的に消費を刺激する(stimulate
consumption indirectly)という、長年の処方箋と整合している。
この文書は、保育、高齢者介護、医療、教育(child care, elder
care, health care, and education)といった、需要と供給のギャップ(the
gap between need and provision)が依然として大きい分野への投資拡大を求めているものの、これらの目標をどのように実現できるかについてはほとんど示唆していない。地方政府は依然として財政的に逼迫しており、家計所得は停滞し、民間企業は依然として慎重な姿勢を崩していない。アナリストたちが指摘するように、「深刻な信頼の危機(massive crisis of confidence)」によって民間企業は投資や雇用に消極的になっており、経済界は民間セクター支援に関する公式の保証を依然として懐疑的に受け止めている。
一連の中財文の政策における最も示唆的なシグナルの1つは、これまでの需要の「喚起」重視(the
earlier emphasis on “boosting” demand)から、事業拡大とアップグレードへの重点転換(a focus on expansion and upgrading)にある。この変化は、補助金や下取りプログラム(subsidies and trade-in programs)といった従来の政策手段が概ね効果を発揮しなくなったという認識を反映している。家計が古い自動車、家電製品、電子機器を買い替えることを促すこれらの政策は、耐久財消費の短期的な急増をもたらしたが、持続的な勢いは限定的であった。雇用と所得の伸び悩みが消費の全面的な回復を阻み、ベース効果が高く限界収益が減少するため、その効果は今年後半には弱まる可能性が高い。
伝統的な景気刺激策の限界が明らかになるにつれ、議論はサーヴィス主導型消費(service-led
consumption)、特に文化・商業・スポーツ・観光などの分野へと移行している。これらの分野では、地方自治体が活動を活性化させる新たな取り組みを実験的に進めている。
サーヴィス主導型消費の分野は、トップダウン型プロジェクトが特徴の習近平時代において大きく制限されてきた地方の実験的取り組みにとって、最大の政治的余地を秘めている。これにより、地方当局者たちは国家の優先事項に沿いながら、地域の経済的圧力を緩和する、目に見える低リスクプロジェクトを推進できる。とはいえ、サーヴィスインフラ、労働力、制度的支援といった供給側の基盤整備が需要の大幅な回復に先行する必要があるため、短期的な効果は限定的だろう。
しかしながら、このアプローチは政治的意思のレヴェルにおける重要な理念転換を示している。再分配(redistribution)を成長の制約と見なす代わりに、国家はこれを新たな成長の原動力として位置づけるようになった。特に人々の生活向上につながるサーヴィス分野においてそのようになっている。医療、高齢者介護、教育、保育(health care, elder care, education, and child care)はいずれも市場と雇用に富む分野として描かれている。例えば、10月3日付の論稿は、60歳以上の国民が3億人を超える中国が、介護施設ベッドや医師・看護師の深刻な不足に直面していると指摘する。保育・教育から高齢者介護・医療サーヴィスに至るこうした「差し迫った生活課題(urgent livelihood concerns)」への対応は、数百万の新規雇用を生み出し、巨大な国内市場を開拓しうる。それでも、政治的意図と政策実行は必ずしも同義ではない。
次の優先事項は、インフラ整備が依然として国家にとって安定した成長の手段として最も重視されていることを明確に示していると言えるだろう。その目標は、鉄道や高速道路といった分野への物理的な投資と、スマートシティシステムといった技術革新を融合させ、インフラを経済の安定装置として、また発展途上の中部・西部地域への成長の波及経路として活用することだ。
都市化政策(urbanization policy)も同様の論理で進められている。全国の都市化率が頭打ちとなっていることから、重点は都市の拡大から都市の質、すなわち古い地域の改修、公共設備のアップグレード、治水対策の改善、公共交通機関の近代化へと移行している。この再構築は、不動産市場の低迷を変革の機会へと楽観的に転換するものだ。
しかし、この工学的な論理は、経済が直面するより根深い不調、すなわち地方自治体、民間企業、そして家計の間に絡み合う不況を完全に払拭することはできない。問題は景気循環的なものでも、新型コロナウイルス感染症のパンデミックや不動産価格の低迷の名残でもなく、構造的なものだ。
長年にわたり土地売却による資金調達に依存してきた結果、地方自治体は財政的に疲弊し、社会保障支出の能力が制約されている。民間部門は、言葉の上では保証されているものの、依然として規制の曖昧さに直面し、リスク選好度は低下している。一方、家計は人口動態の逆風と将来の所得増加への信頼感の低下を背景に、依然として警戒感を抱いている。
中財文の論稿の最終章では、人口動態の課題を認識しつつも、それを機会として捉え直している。医療、高齢者介護、教育への需要の高まりは、包摂的成長の新たな原動力となり得ると論じている。政府はこれらの分野を拡大することで、人口動態の圧力(demographic pressure)を、当局が「新たな質の高い生産力(new
quality productive forces)」と呼ぶものへと転換することを目指している。
労働力を吸収し、サーヴィス部門の技術革新を促進し、国内消費を支える、より強固な「ケア経済(care economy)」の可能性は確かに存在する。しかし、中財文のテクノクラート的楽観主義において未解決のまま、対処されていないのは、中国が直面する移行期の中心的なディレンマである。中国の過去の成功は、まさに国家協調、行政の動員、政策規律(state coordination, administrative mobilization, and policy
discipline)といったメカニズムの上に築かれたものであり、それが今、次の成長段階を阻害するリスクをはらんでいるのだ。
中財文の論稿は、回復力を強調する点で正しいが、真の回復力とは、中央集権的な統制だけでなく、適応を伴うものである。不確実性を受け入れ、権限を分散させ、国家、市場、そして社会の間の信頼を再構築する必要がある。
今後の道のりは、成長と再分配、中央主導と地方自治、短期的な確実性と長期的なダイナミズムといった、痛みを伴うトレードオフを伴うだろう。中国がこれらのトレードオフを乗り越えられるかどうかは、近代化の軌跡だけでなく、そのモデルが継続的に刷新できるかどうかも決定づけるだろう。
※リジー・C・リー:中国分析・アジア・ソサエティ政策研究所中国経済専門研究員。
※シェンイー・ワン:中国分析・アジア・ソサエティ政策研究所リサーチアシスタント。
(貼り付け終わり)
(終わり)
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『人類を不幸にした諸悪の根源 ローマ・カトリックと悪の帝国イギリス』

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



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