古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしています。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されています。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いです。

 金融の世界で財を成し、アメリカをはじめとする欧米の上流社会に幅広い人脈を形成した、性加害者ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein、1953-2019年、66歳で没)の事件がアメリカ政治の中心的なテーマになっている。ドナルド・トランプ政権だけではなく、アメリカとはじめとする欧米の上流社会、エスタブリッシュメントを揺るがすことになる可能性が高い。ドナルド・トランプは選挙期間中、エプスタイン事件に関する文書の公開を主張していた。大統領就任後に、パム・ボンディ司法長官が調査し、2025年にはボンディ司法長官が「顧客名簿はデスクの上にある」と発言したことで、後悔への機運が高まった。しかし、その後の報道で、2025年5月に顧客名簿にトランプが名前が掲載されていたことをトランプに報告したとされている。最終的に、トランプ政権は顧客名簿は存在せず、事件は終わったものとする発表を行った。この決定に対して、トランプを支持したMAGA派が猛反発、連邦議会でも特にトランプ派として行動してきた、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員などが激しく非難した。これに対して、トランプは「お前らの支持なんかいらない」「弱虫どもめ」と発言し、火に油を削ぐことになった。民主党側は、トランプ攻撃の材料として、エプスタイン事件関連文書の公開を求めてきた。
jeffreyepsteinghislainemaxwell001
ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェル

 エプスタイン事件の概要は次の通りだ。始まった時期は定かではないが、エプスタインは未成年の十代の女性たちを騙し、嘘の勧誘を行って、自身の邸宅や所有するプライヴェートな島の施設で、男性たちに性的なサーヴィスをさせていたというものだ。その被害者の数は1000人を超えると推定されている。エプスタインの恋人で、マネジャー役をしていたギレーヌ・マクスウェル(Ghislaine Noelle Marion Maxwell、1961年-、63歳)が共犯だった。エプスタインたちは性的なサーヴィスを受けている現場の写真やヴィデオを撮影し、脅迫にも使ったとされている。2005年にフロリダ州で当時未成年だった複数の女性たちからの告発があり、逮捕されたが、買春1件の告発となり、批判を浴びた。2008年には禁固18カ月の判決を受けたが、司法取引もあり、警備の緩い刑務所に収監され、1日に12時間も外出を許されるという特別待遇もあった。この時、事件の訴追から結審までをまとめ上げた連邦検察官が第一次トランプ政権で労働長官を務めたアレクサンダー・アコスタだった。
jeffreyepsteinincidenttimeline001

 その後、2018年に再び事件の詳細がマスコミで報道されて、事件に注目が集まった。これは、第一次トランプ政権下でのことで、トランプ攻撃のためのものだった。実際に、労働長官だったアレクサンダー・アコスタは事件に関して批判を浴び、労働長官を辞任している。2019年7月にエプスタインは人身売買の容疑で逮捕され、拘置所に収監され、8月に自殺した。2021年に共犯のギレーヌ・マクスウェルに懲役20年の刑が宣告された。2024年1月に裁判所が裁判記録を公開するなどして事件に三度(みたび)注目が集まることになった。

 人々の関心は「誰がエプスタインの提供した未成年による性的サーヴィスを利用したのか」「ドナルド・トランプは未成年による性的サーヴィスを利用したのか」ということに尽きる。これまでに多くの大富豪や有名人の名前が出てきて、エプスタインとの不適切な関係を否定しながらも、社会的な責任を取らされることになっている。「エプスタイン顧客リスト」に名前があれば社会的に抹殺される。実際に、イギリスのチャールズ国王の弟アンドルー王子は王室を追い出され、称号をはく奪され、関係を断たれた。アンドルー王子については、このブログでもご紹介した。アメリカの政界、経済界、学術界、芸術界、芸能界で、眠れぬ日々を過ごしている人物たちが多くいることだろう。

 トランプ大統領がエプスタインと1980年代から友人関係にあったことは既に知られている。問題は未成年による性的なサーヴィスを受けていたかということだ。状況証拠としてはその可能性を否定できない。「エプスタイン顧客ファイル」に自分の名前がなければ、トランプ大統領は進んで公開したと考えられるからだ。もしくは、一部を何とか理由をつけて非公開にして、民主党攻撃に使ったことだろう。それをしていないというのは、ファイルに名前があったと考えられるからだ。トランプ大統領の来歴から考えて、このようなスキャンダルはあるだろう、だからショックという訳でもない、と支持者の多くは考えるだろう。それでも、未成年との性交渉があったというのは2026年の中間選挙の選挙戦で共和党には大きなダメージとなる。トランプ人気で躍進してきた共和党が選挙で敗北ということになれば、「脱トランプ」の動きが始まり、トランプ政権のレームダック化が早まることになる。12月中にエプスタイン文書が公開される。これから注目していかねばならない。

(貼り付けはじめ)

富裕層や権力者たちがエプスタインにノーと言えなかった理由(Why the rich and powerful couldn't say no to Epstein

BBC
2025年11月28日

https://www.bbc.com/news/articles/cy7v6xl4me8o

これは2019年のワシントンにおける重大な出来事の一つだった。

ドナルド・トランプの元弁護士マイケル・コーエンが、元顧客について連邦下院委員会で証言する様子に全ての注目が集まっていた。

委員会の民主党側委員のステイシー・プラスケットがコーエンへの質問準備をしていた際、携帯電話で誰かとメッセージをやり取りしている様子がカメラに捉えられた。

今週、このやり取りのもう一人の人物、つまり有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの人物像が明らかになった。

召喚状に基づき遺産管理団体が公開したメールには、エプスタインがプラスケットにトランプ・オーガニゼーションの従業員について尋ねるよう促していたことが記されていた。プラスケットが実際に尋ねた後、エプスタイン氏は「よくやった」と返信した。

●エプスタインの影響力の程度(The extent of his influence

思い返してみると、この事件は多くの人々の心に影響を与えた。それは、故エプスタインがアメリカのエリート層にどれほどの影響力を持っていたかを浮き彫りにしているからだ。

米ヴァージン諸島選出のプラスケット連邦下院代議員は、エプスタインから助言を求めていたことを否定し、その日は選挙区の有権者であるエプスタインを含む多くの人々にメッセージを送信していたと述べた。

プラスケット代議員は元弁護士として、たとえ嫌いな人であっても、あらゆる情報源から情報を得ることを学んだと述べている。

プラスケットは「エプスタインの常軌を逸した行動には嫌悪を抱いている。私は彼の被害者たちを強く支持し、被害者たちの勇気に感銘を受けている。私は長年、エプスタインの文書全体が公開されるべきだと信じ、支持してきた」とBBCに語った。

プラスケットによると、2人のやり取りはエプスタインが性的人身売買で逮捕される前に行われたという。しかし、それは2008年に売春斡旋で有罪判決を受けた後のことだった。

エプスタインが所有するアメリカ領内の島は、『マイアミ・ヘラルド』紙によるわずか1年前の告発調査でも、彼が複数の未成年少女を性的虐待した場所の1つとして挙げられていた。

プラスケットとエプスタインとのやり取りからわずか6カ月後、この悪名高き金融業者は獄中で死亡した。検死官によると自殺とされている。

彼の死と、それをめぐって渦巻く権力者共同謀議論は、ワシントンとウォール街に波紋を広げ、彼のかつての友人の何人かを失脚させるような清算の引き金となるだろう。

staceyplaskett001

連邦下院代議員ステイシー・プラスケットはエプスタインが有罪判決を受けたにもかかわらず、彼と連絡を取り続けていた多くの著名人の1人だ

彼らのやり取りは、2万ページ以上に及ぶ個人文書の最新公開資料の1つに過ぎない。この文書は、エプスタインが有罪判決と『マイアミ・ヘラルド』紙による暴露後も、エリート層との交友関係を維持していたことを改めて示している。

他の友人がエプスタインとの関係を断ったにもかかわらず、なぜ、そしてどのようにしてこれらの関係が維持されたのかは、エプスタインの影響力だけでなく、アメリカ社会の最上層における交友関係の力学についても多くを物語っている。

『ザ・スパイダー:ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの犯罪網の内幕(The Spider: Inside the Criminal Web of Jeffrey Epstein and Ghislaine Maxwell)』の著者バリー・レヴィンは「彼は極悪非道なモンスター(a diabolical monster)だったが、同時に、世界で最も影響力のある人物たちとの驚くべきネットワークを維持できたという点で、ある意味では聡明でもあった」と述べた。

レヴィンは「彼にはある種のカリスマ性があり、それが人々を惹きつける力となっていた」と語った。

●「彼は入手した情報を利用していた」('He would use information that he gained'

レヴィンは、エプスタインは自身を「人間収集家(people collector)」と考え、取引目的で人脈を築いていたと語っている。

レヴィンは「彼は入手した情報を利用していた。・・・最終的には、彼らからの便宜を図ったり、資金を提供したり、あるいはもっと暗い意味では、これらの人物たちを脅迫したりすることを意図していたのだろう」と述べた。

エプスタインとピーター・マンデルソン卿の関係はイギリスで特に厳しく調査されており、マンデルソン卿は最終的に9月に駐アメリカ英大使の職を解任された。

連邦議会が公開した文書によると、マンデルソン卿は2016年末までこの小児性愛者と連絡を取り続けていた。これはマイアミ・ヘラルドによる暴露記事が出る前だったが、マンデルソン卿が有罪判決を受けた後のことだ。

2015年11月のメールには、エプスタインが誕生日を迎えた後に「63歳。よくやってきたな」と書いている。

マンデルソン卿は90分も経たないうちに返信し、「そう。アメリカでもっと長く過ごすことで、長生きしようと決めた」と書いた。

マンデルソン卿はエプスタインの犯罪や不正行為について一切知らなかったと強く否定し、連絡を取り続けていたことについて遺憾の意を表明している。

petermandelsonjeffreyepstein001
マンデルソン卿(左)とジェフリー・エプスタイン

●エプスタインの多様な学者、起業家、政治家との交友関係(Epstein's eclectic circle of scholars, entrepreneurs and politicians

エプスタインの遺産管理団体が公開した文書は、著名な学者、実業家、政治家など、彼の多様な交友関係を明らかにしている。

レヴィンは、エプスタインのあまり親しくない知人の中には、彼の虐待について知らなかった、あるいは彼の影響力のある人脈に感銘を受けて見過ごしていた人もいるだろうと言っても言い過ぎではないと述べた。

レヴィンは、「人は忘れてしまう存在だ」と述べ、「エプスタインは実力者たちの間で非常に高い評価を受けていたため、多くの人が彼の有罪判決を軽視したのではないかと思う」と語った。

ジャーナリストや彼を知る人々は、彼の富にただ魅了されただけだったのかもしれないと示唆している。

「ニューヨーク・ソーシャル・ダイアリー」の創設者デイヴィッド・パトリック・コロンビアは、エプスタインの最初の有罪判決後の2011年、ニュースサイト「デイリー・ビースト」に次のように語った。「懲役刑はもはや問題ではない。ニューヨーク社会で疎外される唯一のものは貧困(poverty)だ」。

jeffreyepsteinmugshot001

性犯罪者登録簿に掲載されたジェフリー・エプスタインの2017年のマグショット

米財務長官を務め、その後はハーヴァード大学学長も務めたラリー・サマーズは、エプスタインに恋愛相談を持ち掛けた。マイアミ・ヘラルドの調査報道が報じられた2018年11月にも、サマーズは女性からのメールをエプスタインに転送し、どう返答すべきか尋ねたと見られる。

エプスタインは「彼女はもうすでに甘えん坊みたいになっている :) 良い感じだ」と返答した。

サマーズと元親友のやり取りが先週、再びサマーズを苦しめ、公職から退き、ハーヴァード大学での教職を辞任すると発表した。

サマーズは「私は自分の行動を深く恥じており、それが引き起こした苦痛を認識している」と述べた。

larrysummers101
ハーヴァード大学元学長ラリー・サマーズ(写真)は、エプスタインに恋愛に関する助言を求めていた

エプスタインは、著名な言語学者ノーム・チョムスキーを資金面で支援していたとも報じられている。チョムスキーとは長年にわたり何度もメッセージのやり取りをし、自宅に滞在するよう招いていた。

チョムスキーへのお世辞は双方に向けられたものだった。大量のメールの中に含まれていた日付不明の支持の手紙の中で、チョムスキーはエプスタインを絶賛し、「2人は何度も長く、しばしば綿密な議論を重ねた」と述べている。

96歳のチョムスキーは以前、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に対し、エプスタインが「エプスタインから一銭も受け取ることなく」、口座間の資金移動を手伝ってくれたと語っていた。

チョムスキーは次のように述べた。「私はエプスタインを知っていて、時々会っていた。ジェフリー・エプスタインについて分かっていたのは、彼が犯罪で有罪判決を受け、刑期を終えていたということだけだった。アメリカの法律と規範に従えば、それは白紙(a clean slate)の状態ということになる」。

チョムスキーはBBCのコメント要請に応じなかった。

レヴィンによると、チョムスキーはエプスタインの著名な金融顧客の1人であり、エプスタインは顧客が数十億ドルの貯蓄をできるように手助けしたということだ。

レヴィンは、エプスタインがそうすることができた理由は、「ウォール街で最も高給取りの人たちよりも税法と金融についてある程度理解していた」からだと述べた。

noamchomsky201
日付のない書簡の中で、言語学者チョムスキーはエプスタインを絶賛し、2人は「何度も長く、しばしば深い議論」を重ねたと述べた

●関係を断った人間たち(The ones who cut ties

エプスタインの2万3000ページに及ぶ文書全体を通して、おそらく他の誰よりも頻繁に登場する人物がいる。

トランプはエプスタインとの関係を断ち切っており、これらのメッセージの送受信は一切行っていない。

2002年、トランプはエプスタインを「素晴らしい人物(terrific guy)」と評した。エプスタインは後に「私は10年間、ドナルドの親友だった」と述べている。

しかし、2人の関係は悪化した。トランプは、エプスタインが初めて逮捕される2年前の2000年代初頭に、2人は仲たがいしたと述べている。2008年には、トランプは「エプスタインのファンではなかった」と発言していた。

トランプは、エプスタインの性的人身売買については一切知らないと否定している。ホワイトハウスはまた、トランプが「数十年前、女性従業員に不快な態度を取った」として、エプスタインを自身のクラブから追い出したと述べている。

donaldtrumpjefferyesptein201

エプスタインとトランプの間には1980年代後半にまで遡る長い歴史がある

レヴィンは、エプスタインの有罪判決後に彼とのやり取りで恥ずかしい思いをした人は多いものの、それが彼の犯罪に関与したことを意味するものではないと述べた。

レヴィンは次のように語っている。「もちろん、誰もがジェフリー・エプスタインと連絡を取ったり、一緒に時間を過ごしたりした日を後悔している。権力、特権、略奪。これは現代における最も信じ難い出来事の1つだ」。

しかし、エプスタインが「気持ち悪い」人物だとすぐに理解したという人が少なくとも1人は存在している。

トランプ大統領の商務長官ハワード・ラトニックは、エプスタインと10年間にわたり、隣同士で暮らしていた。ラトニックは『ニューヨーク・ポスト』紙のポッドキャストで、エプスタインとの最初の出会いが最後の出会いだったと語った。

howardlutnick101
トランプ大統領の商務長官ハワード・ラトニックは、エプスタインを「気持ち悪い(gross)」と思ったと述べた

ラトニックが2005年にアッパー・イースト・サイドの邸宅に引っ越した直後、エプスタインはラトニックと妻を地震の広い邸宅の招待し、中を案内したということだ。

エプスタインのダイニングルームで、キャンドルに囲まれたマッサージ台を見たラトニックは、どれくらいの頻度で使っているかとエプスタインに尋ねた。

「エプスタインは『毎日』と答えた。それから、私に不自然なほどに近づいて、『ちゃんとしたマッサージをね』と言った」とラトニックは語った。

ラトニックは、妻と顔を見合わせ、席を立ってその場を去ったと語った。

ラトニックは「二度とあの気持ち悪い人と一緒に部屋にいないと決めた」と述べた。

=====

トランプがエプスタイン文書関連法案に署名:この次に何が起きるか?(Trump signs Epstein documents bill: What’s next?

アシュリー・フィールズ筆

2025年11月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5614523-donald-trump-jeffrey-epstein-files-bill-signed/

ドナルド・トランプ大統領は水曜日夜に「エプスタイン文書透明性法(the Epstein Files Transparency Act)」に署名した。これにより、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関する約10万の文書がまもなく公開される。

ロウ・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とトーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)が提出したこの法案は、パム・ボンディ司法長官に対し、エプスタインへの司法省の捜査に関連する情報(エプスタインの聴取記録や、エプスタインの性的人身売買疑惑の計画について知っている、あるいは関与した関係者たちに提供された免責協定など)を精査し、公開するための厳格な期限を定めている。

法案本文に記載されている通り、ボンディ司法長官は30日以内に、検索・ダウンロード可能な形式でファイルを公開しなければならない。

これには、FBIと米連邦検事局が保有する、エプスタイン事件に関連する非機密記録、文書、通信、捜査資料が含まれる。議員たちは、ボンディに対し、被害者の氏名、画像、肖像を一般公開されるファイルから削除するための猶予を与えた。

しかしながら、法案本文には、「政府関係者、公人、外国高官を含むいかなる者に対しても、羞恥心、評判の毀損、または政治的配慮を理由として、いかなる記録も差し控え、遅延、または削除してはならない」と記されている。

司法省は、進行中の捜査や訴追を危うくする可能性のある情報を秘匿することもできる。

ここ数日、ラリー・サマーズ元財務長官、ステイシー・プラスケット連邦下院代議員(ヴァージン諸島選出、民主党)、そして王室の称号を剥奪されたアンドルー元王子は、連邦下院監視・政府改革委員会が今月初めに電子メールなどのファイルを公開したことを受け、エプスタインとの通信記録の影響を受けている。

被害者たちは、この性犯罪者の取引に関わっている富裕層が他にもおり、明らかにする必要があると訴えている。

エプスタインに関連する文書に名前が挙がっているトランプ大統領は、自身と他の共和党員には隠すことは何もないと述べ、今週初めには共和党議員に対し法案への支持を促した。

トランプ大統領は水曜日にトゥルース・ソーシャルへの投稿で次のように述べた。「全員が知っている通り、私はマイク・ジョンソン連邦下院議長とジョン・スーン連邦上院多数党(共和党)院内総務に対し、それぞれ連邦下院と連邦上院でこの法案を可決するように要請した。この要請により、可決はほぼ全会一致で可決された。私の指示により、司法省はすでに5万ページ近くの文書を連邦議会に提出した」。

トランプ大統領は以前、この事件に関するさらなる情報の公開に反対し、ボンディ司法長官に対し、民主党とエプスタインとの潜在的なつながりについて調査を開始するよう指示していた。連邦議員たちが認めているように、この調査は予定されている情報公開の障害となる可能性がある。

共和党の連邦上院議員たちは水曜日、連邦下院と連邦上院が前日に法案前進に圧倒的多数で賛成票を投じたことを受けて、司法長官に対し、ファイルの開示を遅らせないよう警告した。

=====

「エプスタイン文書透明性法」:その内容は?(‘The Epstein Files Transparency Act’: What’s in it?

アシュリー・フィールズ筆

2025年11月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5612631-epstein-files-transparency-act/

政府閉鎖による長引く議論の後、エプスタイン文書透明性法案は、24時間以内に連邦上下両院で反対票1票のみで可決され、トランプ大統領のデスクに送られた。

トランプ大統領は数カ月にわたりこの法案に反対していたが、週末に劇的な方針転換を見せ、支持派が自身の反対にもかかわらず法案を可決させるのに十分な票数を獲得したことが明らかになると、共和党議員たちに法案への支持を求めた。

しかしながら、この法案の共和党主要提案者であるトーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出)は、トランプ大統領が法案に署名したとしても、司法省がエプスタイン文書の一部情報の公開を阻止する方法を見つける可能性があると懸念を表明している。

この法案がトランプ政権に要求している事項は次の内容だ。

(1)30日間の期限(30-day timeline

トランプ大統領が署名し、法案が成立した場合(トランプは既に署名を明言)、パム・ボンディ司法長官は30日以内に「連邦捜査局(FBI)および連邦検事局を含む司法省が保有する、エプスタインに関連する全ての非機密となっている記録、文書、通信、捜査資料を、検索およびダウンロード可能な形式で一般公開する」必要がある。

これには、全ての捜査、起訴、身柄拘束に関する事項が含まれる。

エプスタインは2019年、裁判を前に拘留中に自殺したが、共犯者のギレーヌ・マクスウェルは有罪判決を受け、20年の刑に服している。マクスウェルは今年初め、トランプ大統領の元個人弁護士であるトッド・ブランシュ司法副長官との異例の面会後、警備の緩い施設に移送された。

この法案はまた、マクスウェルに関連する全ての情報に加え、「エプスタインの犯罪行為、民事和解、免責合意、司法取引、または捜査手続きに関連して名前が挙がったり言及された政府関係者」を含むその他の情報も公開するよう命じている。

(2)免責合意、不起訴合意、および秘密和解(Immunity deals, nonprosecution agreements and sealed settlements

法案の条文には、エプスタインまたはその共犯者に提供された免責合意、不起訴合意、司法取引、または秘密和解について、司法省は公開しなければならないと記載されている。

エプスタインまたはその関係者に対する起訴、不起訴、捜査、または捜査拒否の決定に関連する内部文書も開示されなければならない。

条文には、「政府関係者、公人、外国高官を含む、いかなる者に対しても、羞恥心、評判の毀損、または政治的配慮を理由として、いかなる記録も差し控え、遅延、または編集してはならない」と記されている。

(3)編集された記録(Redacted records

この法律により、ボンディ司法長官は、被害者の個人を特定する情報、死亡、身体的虐待、または負傷の画像、そして進行中の連邦捜査または継続中の訴追を危うくする文書を差し控えたり、編集したりすることが認められている。

この最後の条項は、マシー連邦下院議員やハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)をはじめとする関係者から懸念を引き起こしている。彼らは、トランプ大統領がエプスタイン被告と関係のある民主党員に対する新たな捜査開始を要求していることは、ボンディ司法長官が捜査に関連するとされる文書を隠蔽する口実を与える可能性があると指摘している。

法案本文によると、訴追目的の文書隠蔽は「限定的かつ一時的なもの」でなければならないとされている。

国防や外交政策を脅かす文書も削除の対象となる。

しかしながら、法案では、全ての削除は「連邦官報に掲載され、連邦議会に提出された正当な理由書を添付しなければならない」とされている。

全ての非機密情報が公開された後、ボンディは15日以内に、公開および隠蔽された全ての記録の種類、法的根拠を含む削除の概要、そして公開された資料に名前または言及されている全ての政府関係者および重要な公的地位にある人物のリストを記載した報告書を連邦上下両院の司法委員会に提出しなければならない。

=====

エプスタイン被害者:トランプは「私たちに謝罪する義務がある」(Epstein survivor: Trump ‘owes us an apology’

アシュリー・フィールズ筆

2025年11月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5612501-jena-lisa-jones-epstein-survivor-trump-files/

性犯罪者ジェフリー・エプスタインによる虐待の被害者であるジェナ=リサ・ジョーンズは火曜日、エプスタインの性的人身売買疑惑に関する文書の公開を遅らせたことについて、トランプ大統領は被害者に謝罪する義務があると述べた。

ジェナ=リサ・ジョーンズはCNNの番組「ザ・ソース・ウィズ・ケイトラン・コリンズ」に出演し、「トランプは確かに私たちに謝罪する義務がある。そして、それが、この必要のない長期化したプロセスに対する反省を示す一つの方法だと考える」と述べた。

ジョーンズはさらに、トランプがエプスタインの取引について透明性を提供し、この犯罪行為に関与した富裕層のリストを明らかにしてくれることを期待して投票したと付け加えた。

ジョーンズはコリンズに「これらのファイルの公開は、私にとって長い間非常に重要なことだった。トランプがそれを実行してくれたら、動機が何であれ、誰かが何かをしてくれるだろう、私たちと連帯するために公開してくれるだろうと本当に期待していた」と語った。

ジョーンズは次のように語った。「しかし、トランプは完全に豹変した。それに、彼は私たちの弁護士などとも協力していた。だから、私たちを助けてくれていたのに、完全に敵に回ってしまい、それが民主党の策略ではないと分かっているのに『民主党の策略(Democratic hoax)』と呼ぶのは、本当に辛かった」。

ジョーンズはさらに、「つまり、トランプは事件について単なる政治的駆け引き(a political play)の材料だと思っていたということだ。そして、それは間違っていたと思う」と付け加えた。

トランプ大統領は、民主党がエプスタイン事件の文書公開を推し進め、政権の立法府による成果を阻害しようとしていると非難した。当初、トランプ大統領は、この悪名高い金融家の遺産に関する文書や司法省の捜査から得られた非機密情報を公開しようとする動きに強く反対していたが、週末にかけて態度を一変させた。

トランプ大統領は日曜の夜、トゥルース・ソーシャルへの投稿し、「金曜の夜、大統領専用機エアフォースワン機内でフェイクニューズのメディアに述べたように、連邦下院共和党はエプスタインの文書公開に賛成票を投じるべきだ。なぜなら、私たちには隠すことは何もないからだ。共和党の偉大な成功、特に民主党の「閉鎖」に対する最近の勝利から目をそらすために、過激左翼の狂信者たちが仕掛けたこの民主党の捏造から脱却すべき時が来た」と述べた。

その後、連邦下院は火曜日にエプスタイン文書透明性法案をわずか1人の反対票だけで可決し、連邦上院でも全会一致で可決された。法案は今後、署名の意向を示しているトランプ大統領に送られ、最終承認を得ることになる。

この法案は、司法省に対し、この事件に関連する全ての非機密記録と文書の公開を命じている。

リサ・マコウスキー連邦上院議員(アラスカ州選出、共和党)は法案可決に先立ち声明を発表しその中で、「政府の最高レヴェルにおいて、透明性と誠実性を強化する必要がある。エプスタインの違法行為に関与した全ての人間が裁判にかけられ、これらの恐ろしい犯罪の被害者が心の整理をつけるべき時が既に来ている」と述べた。

エプスタインの被害者たちは、採決に先立ち連邦議事堂で超党派の議員団に加わり、法案の成立を強く支持した。

シャーリーン・ロシャール氏は水曜日にCNNの「ディス・モーニング・ウィズ・アウディ・コーニッシュ」に出演し、「彼らが正しい判断を下し、全てを公開してくれることを願っている。特に私たち自身に関する文書だけでも公開して、私たちに何が起こったのかを知らせて欲しい」と述べた。

ロシャールは「世界に知られたくはないが、本当にこれが私たちに起こったという証拠が欲しい。ブラックブックなどにも、その証拠はいくつかある」と語った。

ロシャールは続けて、「しかし、私たちにも様々な形で同じことが起こったという証拠を望んでいる。そして、他の少女たちの上に、二度とこんなことを繰り返し起きないように、助けたいと考えている」と述べた。

=====

エプスタイン元被告の被害女性ら、性加害者まとめた「顧客リスト」作成中

時事通信 202509041631分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=20250904047861a&g=afp

エプスタイン元被告の被害女性ら、性加害者まとめた「顧客リスト」作成中

【ワシントンAFP=時事】少女らへの性的人身取引の罪で起訴され勾留中に自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告の被害者たちは3日、未成年の少女を虐待したエプスタイン元被告の仲間たちをまとめた独自の「顧客リスト」を作成中だと発表した。(写真は、米首都ワシントンで開催されたジェフリー・エプスタイン元被告とギレーヌ・マクスウェル受刑者の被害者への支援を表明する集会「Stand with Survivors Rally」で、抗議をする参加者)

 かつて故エプスタイン元被告の友人だったドナルド・トランプ大統領は、事件をめぐる政治的な動揺の鎮静化を図った。

 トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「民主党による終わりのないでっち上げだ」と主張。エプスタイン事件を使用して政権の実績から国民の関心をそらそうとしていると訴えた。

 トランプ氏の発言に先立ち、エプスタイン元被告の被害女性8人が連邦議会議事堂で感情に訴える記者会見を開いた。被害者の中には、自分が受けた性的虐待について初めて公にした人や、エプスタイン元被告に紹介された当時、14歳だった人もいた。

 エプスタイン事件の連邦起訴状に「未成年被害者1」と記されているマリーナ・ラセルダさんは、「私たちはまだ子どもだった」と語った。

 ラセルダさんはニューヨークにあるエプスタイン元被告の邸宅で「高齢の男性」にマッサージをし、300ドル(現在のレートで約4万4500円)の報酬を受け取ったという。

 ラセルダさん「夢の仕事が最悪の悪夢へと変わった」と述べた。

 被害女性8人は、司法省に対しエプスタイン事件の捜査ファイルすべてを公開するよう求めるとともに、議会に対しファイルの公開を義務付ける法案を可決するよう強く求めた。

 16歳の時に勧誘され、エプスタイン元被告に対するマッサージをさせられたヘイリー・ロブソンさんは「でっち上げではない。虐待は実際にあった」と主張。

 「彼に逆らったら、悪いことが起こると分かっていた」と語った。

 エプスタイン元被告は2019年、少女らへの性的人身取引の罪で起訴され勾留中、ニューヨークの拘置所で死亡した。

 トランプ氏支持者の多くは長年エプスタイン事件に執着しており、「ディープステート」のエリートたちが民主党とハリウッドに巣食うエプスタイン元被告の仲間たちを守っていると揺るぎなく信じている。

 連邦捜査局(FBI)と司法省が7月、エプスタイン元被告は自殺で、著名人を脅迫しておらず、「顧客リスト」も保持していないと発表したことで、トランプ氏支持者の多くはさらに憤慨した。

 被害女性8人の一人、リサ・フィリップスさんは、他の被害女性たちと協力して独自にエプスタイン元被告の顧客リストを作成中だと述べた。

 「私たちは(エプスタイン元被告の仲間の)名前を知っている。私たちの多くは彼らから虐待を受けた」「私たちの誰もが知っているエプスタイン元被告の世界に入り浸っていた人物の名前を内々にまとめる」と続けた。

 フィリップスさんは、「私たちは同情を求めているのではない。責任を問うている」と訴えた。

 ■「時間切れ」

 ロブソンさんは、自分と他の被害女性はエプスタイン事件に「誰が関与していたかを知っている」と述べ、法執行機関の不作為を非難した。

 「私たちは顧客を知っており、あなたたちが立ち上がって行動を起こすのを20年間も待っていた」「どうなると思う? もう時間切れだ。今こそ私たちは行動を起こす」と述べた。

 記者会見に出席した共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、もしリストを渡されたら「連邦議会議事堂の下院議場に上がり、ここにいる女性たちを虐待したすべての人物の名前を言うつもりだ」「そうすることを誇りに思うだろう」と述べた。

 一方、エプスタイン被告の被害者を何人も弁護してきたブラッド・エドワーズ弁護士は、人脈が広いエプスタイン被告が、少女を紹介した「顧客」のリストを保管していたとは考えられないと主張。

 「彼が顧客の名前を書き留めていたとは思えない」「『これが私が女性を紹介した人たち全員だ』といったリストは存在しない。あの組織はそういう風には機能していなかった」と述べた。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、司法省によるエプスタイン事件のファイル調査で、元被告の友人だったトランプ氏の名前は数百件見つかっているが、犯罪に関与した証拠は一切見つかっていない。【翻訳編集AFPBBNews】
=====
トランプ氏を追い込むエプスタイン問題 消えぬ「顧客リスト」の亡霊

日本経済新聞

2025725 4:00 [会員限定記事]

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23DG60T20C25A7000000/

【ニューヨーク=芦塚智子】少女買春などの罪で起訴され、2019年に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏を巡る陰謀論がトランプ大統領を厳しい状況に追い込んでいる。MAGA(米国を再び偉大に)と呼ばれるトランプ氏の岩盤支持層には陰謀論の信奉者が多く、新事実が明らかにされないことをトランプ政権による裏切りと受け取っている。トランプ氏は問題から関心をそらそうと躍起だ。

エプスタイン氏と「顧客リスト」陰謀論とは

米メディアによると、エプスタイン氏は大学中退後に金融業界でキャリアを積み、資産運用の会社を設立して財を成した。政財界や芸能界に幅広い人脈を持ち、トランプ氏やクリントン元大統領、英国のアンドルー王子、イスラエルの元首相らと交友関係があった。

エプスタイン氏の「裏の顔」が最初に明らかになったのは05年。米南部フロリダ州で14歳の少女の家族が性的虐待を告発。複数の少女が金銭の見返りに同氏の邸宅で性行為を要求されたと訴えた。起訴されたものの司法取引で軽い刑に終わった。

19年になって連邦検察に未成年を買春し性的虐待を加えたとして再び起訴された。02年から05年にかけてフロリダ州とニューヨークの邸宅で数十人の少女を買春した罪に問われた。被害者は1000人に上るとされる。

公判開始前の同年8月、エプスタイン氏が拘置所内で自殺しているのが見つかった。当時、交友関係のあった著名人にも性犯罪に関与した疑いで捜査が広がる可能性が注目されていただけに、「口封じのために殺害された」との陰謀論が広がった。

エプスタイン氏は7月にも自殺を試みていたのに拘置所の監視対象から外されていたことなど、不可解ともいえるほどに監視がずさんだったことも疑念を深めた。

エプスタイン氏は少女買春をあっせんした「顧客リスト」を保有し、著名人の脅迫に使っていたとの噂もささやかれてきた。実際に存在するかは不明であるにもかかわらず、リストの行方も関心の的となった。

なぜMAGAが怒っているのか

エプスタイン氏の問題が再燃したのは、司法省と米連邦捜査局(FBI)が7月上旬に公表した声明がきっかけだ。

データや資料を精査した結果、エプスタイン氏の「顧客リスト」は存在せず、死因は自殺だったと断定した。被害者保護の観点などから、これ以上の情報公開は適切でないとした。これにMAGA支持層が猛反発した。

エプスタイン氏に関する陰謀論は保守、リベラル両派に信奉者がいる。保守派はクリントン氏ら、リベラル派はトランプ氏とエプスタイン氏との交友を問題視してきた。

とりわけMAGAはエリートや既得権益への反感が強く、エプスタイン氏の人脈をその象徴とみなしてきた。「ディープステート(闇の政府)」のリベラル派エリートの名前が顧客リストに載っていると信じ、政府の隠蔽を疑ってきた経緯がある。

子供を人身売買するリベラル派エリートの闇の組織があり、トランプ氏は戦うために大統領になったなどと信じる陰謀論信者集団「Qアノン」も絡んでいる。

 

FBIのパテル長官やボンジーノ副長官も、以前は陰謀論を支持する発言をしていた。ボンディ司法長官は今年2月に顧客リストが「いま私の机の上にある」と述べて期待をあおった。ボンディ氏は後に資料全般の意味だったと発言を訂正し、政権による「真相解明」を期待していたMAGAの落胆と反発を招いた。

トランプ氏の熱心な支持者である共和党のグリーン下院議員は21日、X(旧ツイッター)に「支持基盤の人々にディープステートの国家反逆的な犯罪や選挙介入、脅迫、裕福で権力を持つエリートの邪悪な陰謀団について語るなら、あらゆる人民の敵を倒さなくてはならない」と投稿。「そうでなければ、支持基盤は背を向けて戻ってこない」とトランプ氏に行動を促した。

トランプ氏が火消しに躍起な理由

トランプ氏はエプスタイン氏を巡る陰謀論を「でっち上げ」と一蹴し、火消しに躍起になっている。トランプ氏はSNSで、陰謀論は民主党がでっち上げたものだと主張し「ばかな共和党員が(民主党の)わなに落ちた」と批判した。陰謀論を信じる人の支持はいらないとまで述べた。

MAGAの不満は収まらない。米メディアはMAGA運動が始まって以来の深い亀裂だと分析する。共和党内には、この問題が尾を引けば26年の中間選挙に影響しかねないとの警戒が広がっている。

ニューヨークの電光掲示板に映されたエプスタイン氏の情報公開を求める広告=ロイター

トランプ氏は17日、連邦大陪審によるエプスタイン事件の審理内容の公開を裁判所に請求するようボンディ氏に指示し、情報公開に前向きな姿勢を示した。連邦地裁は23日、公開を拒否した。司法省はエプスタイン氏の共犯者の女性受刑者と面会して聞き取りをすることも表明した。

さらにトランプ氏は22日、16年の米大統領選にロシアが介入したとされる「ロシア疑惑」のでっち上げを指示したとして、オバマ元大統領を捜査するよう司法省に求めた。エプスタイン問題から支持者の関心をそらす狙いとの見方が広がる。

トランプ氏とエプスタイン氏の交友関係は周知の事実だ。トランプ氏は02年の米誌のインタビューで「15年以上知っている。素晴らしい男だ」と語っていた。その後関係を断ったと説明している。エプスタイン氏と交友があった著名人は多く、交友だけでは致命傷にはなりにくい。

トランプ氏には26年の中間選挙に向けて、自身とエリート層とのつながりや怪しげな陰謀論との関わりにスポットライトを当てられたくない思惑があるとみられる。主要メディアをフェイクニュースと決めつけ、時に陰謀論に乗じるような姿勢をみせてきたトランプ氏に、重いツケが回ってきた面もある。

=====

富豪慈善家の性犯罪と怪死…謎の「エプスタイン事件」世界に走る激震

MITメディアラボ・伊藤穣一氏も交流

現代ビジネス 2019.08.31

平 和博(桜美林大学教授)

https://gendai.media/articles/-/66826

10代の少女らへの性的虐待で逮捕され、裁判開始前に自殺した米富豪、ジェフリー・エプスタイン被告の事件の余波が、その死後も広がっている。数百人規模ともいわれる少女らへの深刻な性的虐待疑惑と、舞台となったフロリダやニューヨークなどの豪邸、トランプ大統領、クリントン元大統領、英国のアンドルー王子などのそうそうたる顔ぶれとの交友関係。そのコントラストが国際的な関心の的となってきた。

一方でその人脈はアカデミズムの著名研究者らにも広がり、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学といった名門校に豊富な資金が流れていたことも、メディアの注目を集める。性犯罪者と巨額の寄付。性犯罪被害の深刻さに加えて、寄付金の「金の色」の問題をめぐっても議論を呼んでいる。

「エプスタイン事件」とは何か?

エプスタイン被告は証券大手のベアー・スターンズを経て、投資や財務コンサルティングなどで財を成したといわれ、米下着大手「ヴィクトリアズ・シークレット」を傘下に持つエル・ブランズ創業者のレスリー・ウェクスナー氏も同被告の顧客とされる。

エプスタイン被告はニューヨーク・マンハッタン、フロリダのパームビーチ、ニューメキシコ、さらにパリやヴァージン諸島にも邸宅を所有。遺言書に記された財産の総額は57,767万ドル(約612億円)に上っていた。同被告が逮捕されたのは今年76日、自家用ジェットでパリから米ニュージャージーの空港に到着したタイミングだった。

人脈も幅広く、エプスタイン被告のアドレス帳には著名人の名前と連絡先が次々に登場するという。その一人、トランプ大統領は2002年のインタビューで、エプスタイン被告とは「15年来のつきあい」と語っていた。

また、クリントン元大統領は、複数回にわたってエプスタイン被告の自家用機に搭乗した記録が明らかになっている。さらに、英国のアンドルー王子は1990年代からの交流があるという。このほかに、イスラエルのエフード・バラク元首相の名前も挙がる。

エプスタイン被告の事件は、2001年ごろまでさかのぼる。パームビーチなどの邸宅にマッサージのアルバイトと称して10代の女子中高生らを招き入れ、1200300ドル(約21000円〜32000円)ほどの報酬で性的行為に及んでいたという。さらに知り合いの紹介にも報酬を支払い、被害はねずみ算式に拡大。少女の勧誘は米国内にとどまらず、欧州や南米にも及んでいた、といわれる。

jeffreyepsteinislandresidence001

犯行現場のひとつとされる、エプスタイン被告が所有するリトルセントジェームズ島の別荘(Photo by gettyimages

2005年に被害者少女の保護者が警察に相談して問題が発覚。エプスタイン被告は2008年、少女の売春勧誘、売春斡旋で有罪判決を受ける。

だが、当時の捜査で100人を超す被害少女が特定され、終身刑の可能性があったにもかかわらず、司法取引の結果は、13カ月の禁固刑。性犯罪者としての当局への登録は義務付けられたものの、収監先も監視の緩やかなパームビーチ郡の刑務所で、1日12時間、週6日は外出し、自らのオフィスに滞在することを許されていた。

エプスタイン被告にとって寛大なこの司法取引をまとめたフロリダ州の連邦検事が、トランプ政権で労働長官を務めたアレクサンダー・アコスタ氏だった。

有罪判決から10年が経過した201811月、地元のマイアミ・ヘラルドが調査報道で改めてこの司法取引の疑惑を追及。この間に被害者らによる約20件の民事訴訟も起こされていた。

報道をきっかけに、トランプ大統領に批判的な共和党の有力上院議員、ベン・サッセ氏が解明要求の声を上げ、司法省が調査を開始。エプスタイン被告の再度の逮捕、起訴に至る。その結果、起訴から4日後の今年712日、アコスタ氏は労働長官の辞任を表明する。

だが、未成年への性的搾取の罪などで最大45年の刑期の可能性があったエプスタイン被告は、翌月の810日朝、収監先のニューヨークの拘置施設内で死亡しているのが発見された。自殺とみられている。

揺れるMIT

エプスタイン事件の影響は、政財界にとどまらない。アカデミズムの世界にもまた、事件の波紋が広がっている。

米東海岸の名門、マサチューセッツ工科大学(MIT)学長のラファエル・レイフ氏は822日、同大学がエプスタイン被告から、過去20年にわたり、約80万ドル(約8400万円)の寄付を受けていたことを明らかにした。

寄付金は、同大学の先端テクノロジーの研究所「メディアラボ」と、量子コンピューターの研究などで知られる機械工学部のセス・ロイド教授に配分されていたという。レイフ氏はこの寄付金が、MITの正規の手続きを経ていたにもかかわらず「判断に誤りがあった」とし、検証作業を行うとしている。

メディアラボ所長の伊藤穣一氏はこれに先立つ同月15日、エプスタイン被告からの資金受領と交友を認め、被害者らへの謝罪を表明していた。メディアラボへの寄付に加え、ベンチャー投資を行う伊藤氏の個人ファンドに資金を受けていたという。

伊藤氏は、エプスタイン被告をメディアラボに招いたり、同被告の複数の居宅を訪れたりしていたが、その犯罪行為については関知していなかった、としている。メディアラボへの寄付金と同額を被害者支援のNPOに寄付し、個人ファンドへの資金はエプスタイン被告側に返還する、と表明した。

itohjouichi001
MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏(Photo by gettyimages)

ロイド氏も同月23日、ブログで被害者への謝罪を表明。2012年と2017年の2度、同被告の財団から寄付を受けていたとしている。

エプスタイン被告をめぐっては、メディアラボの創設メンバーの一人でもあるマーヴィン・ミンスキー氏(2016年に死去)の名前も取り沙汰される。ミンスキー氏はMIT人工知能研究所(現コンピューター科学・人工知能研究所[CASIL])の共同創設者であり、「AIの父」とも呼ばれる。

ネットメディア「ヴァージ」は89日、エプスタイン被告の被害者の法廷証言資料をもとに、この被害者が10代の時に、同被告のヴァージニア諸島の邸宅で性的行為を強要された相手として、英国のアンドルー王子や元米ニューメキシコ州知事、ビル・リチャードソン氏らとともに、ミンスキー氏の名前が挙げられている、と報じた。アンドルー王子とリチャードソン氏は、ともに関与を否定している。

この騒動への反発の動きも出ている。メディアラボの准教授で同ラボ傘下のシビックメディアセンター所長、イーサン・ザッカーマン氏は同月20日、年度末をもって辞任する考えを明らかにした。

メディアラボでは2017年から「不服従賞」を主催。2018年の同賞は性的被害に対する抗議運動「#MeToo」のリーダーたちに贈られており、ザッカーマン氏は「悲惨な皮肉だ」とした。同センターの客員研究員のネイサン・マティアス氏も、やはり年度末で辞任するとしている。

アカデミズムの「人脈」

エプスタイン被告の資金の流入先は、同じボストン近郊のハーバード大学にも及んでいる。

エプスタイン被告はプレスリリースなどで、同大学の進化生物学の教授、マーティン・ノワク氏の進化ダイナミクス・プロジェクトの立ち上げを支援した、と表明している。プロジェクトの立ち上げは2003年、寄付額は650万ドル(約68,900万円)とされている。ハーバード大学は、寄付はすべて支出済みで返却の予定はない、としている。
harvarduniversity201
ハーバード大学(Photo by gettyimages)

これに加え、ゲノム解析の権威で、DNA配列による「マンモス復活」プロジェクトでも知られる、ハーバード大学教授、ジョージ・チャーチ氏も、科学メディア「スタット」のインタビュー記事(85日付)で、2005年から2007年にかけてエプスタイン被告からの寄付を受けた、として謝罪している。

チャーチ氏とノワク氏は遺伝子編集ツール「CRISPR(クリスパー)」による共同研究を進める関係で、エプスタイン被告との面会にも、多くの場合、ノワク氏が立ち会っていたという。チャーチ氏はスタットのインタビューで、エプスタイン被告との交友を続けたのは「視野狭窄だった」として、被害者への謝罪を述べている。

マイアミ・ヘラルドの調査報道によれば、エプスタイン被告が過去20年間に自らの三つの財団などを通じて政財界や大学などに提供した資金の総額は、3,000万ドル(約318,000万円)。ただ、残る一つの財団の支出はわからず、全体像は把握できていないとしている。

エプスタイン被告は、その寄付先や「人脈」を繰り返し喧伝した。ただ、当事者が否定しているものなどもあり、その実態が不明なケースも含まれている。

財団を通じて寄付を行ったとする大学や研究機関として挙げられているのは、ハーバード大学のほか、プリンストン大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学、コーネル大学、ペパーダイン大学、オハイオ州立大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、サンタフェ研究所、ロックフェラー大学、ペンシルベニア大学など。

支援する著名科学者としては、ミンスキー氏やチャーチ氏のほか、英国の理論物理学者、故スティーブン・ホーキング氏や、「クォークの父」といわれるノーベル物理学賞受賞者、故マレー・ゲルマン氏らの名前も挙げている。この中には、2017年のノーベル物理学賞を受賞したキップ・ソーン氏の名前もある。だが、同氏は2006年にエプスタイン被告のカンファレンスに出席した以外の付き合いも寄付もないとしている。

「人脈」のキーパーソン

エプスタイン被告はどのように、これらアカデミズムの「人脈」を広げていったのか。キーパーソンとして名指しされているのが、著名な出版エージェント、ジョン・ブロックマン氏だ。

ブロックマン氏は、進化生物学者のリチャード・ドーキンス氏や認知科学者のダニエル・デネット氏、進化生物学者のジャレド・ダイアモンド氏ら、科学分野の名だたる作家たちのエージェントで、その幅広い人脈で知られる。

自らもブロックマン氏とその長男が出版エージェントを務めるという、テクノロジーライター、エフゲニー・モロゾフ氏が、ニューリパブリックへの寄稿(823日付)で「エプスタイン人脈」におけるブロックマン氏の存在をまとめている。

johnbrockman001

出版エージェントのジョン・ブロックマン氏(Photo by gettyimages

モロゾフ氏によれば、ブロックマン氏のコミュニティの中核は、代表を務めるエッジ・ファウンデーションと、オンラインサロン「エッジ」だという。モロゾフ氏の調べでは、2001年から2015年にかけて、エッジ・ファウンデーションはエプスタイン被告の複数の団体から合わせて638,000ドル(約6,760万円)の資金を受けており、寄付金がエプスタイン被告関連のみ、という年も多かったという。

「エッジ」の参加者にはミンスキー氏ら著名な科学者に加え、グーグル創業者のラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏といった起業家、ブライアン・イーノ氏、ピーター・ガブリエル氏らのアーティスト、ジャーナリストらの名前が挙げられており、MITの伊藤氏、ロイド氏、ハーバード大のチャーチ氏らの名前もある。

モロゾフ氏自身もその一人。そして、ブロックマン氏から、エプスタイン被告との面会を持ちかけられたことがあったが、断った、と明かしている。エプスタイン被告は資金提供を行い、ブロックマン氏は人脈を提供するという関係だったようだ。

寄付金の「色」をどう考えるか?

エプスタイン被告は、自ら「科学の慈善家」と称していたという。ではアカデミズムの側は、性犯罪者登録をされているような人物からの寄付をどう考えるべきか。

今回の騒動では、特にエプスタイン被告への有罪判決が出された2008年以降の寄付や交友について、メディアの追及が目立つ。それ以前の時点では、同被告の性犯罪の実態を、外部から伺い知ることは困難なためだ。

ハーバード大学は返還の意思がないことを明らかにしている。一方でMITメディアラボは、同被告の寄付と同額を被害者団体に寄付するとしている。

ただ、受け取った寄付金の扱いをどうすべきか、という統一した基準も法的な義務も現状では存在しない——米サンタクララ大学応用倫理センター所長のジョーン・ハリントン氏はマイアミ・ヘラルドのインタビューに、そう答えている。「これは全くの倫理上の問題になる」と。

エプスタイン被告から2007年に250万ドルの寄付を受けていたオハイオ州立大学は、1990年の1,000ドルの寄付に至るまで、同被告関連の寄付のすべてを検証し直し、「適切な対応を取る」としている。ハリントン氏は、このような透明性の確保が、大学のレピュテーションと将来の寄付金への担保にもなる、と指摘する。

前例となるのが、性的暴行で2018年に禁固刑が言い渡されている米コメディアンのビル・コスビー被告と、やはり性的暴行で裁判が継続中の元映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン被告のケースだ。

南カリフォルニア大学は201710月、ワインスタイン被告の疑惑が明らかになった段階で、同被告の寄付500万ドルを返還した。寄付金は女性映画製作者の養成を目的としたものだった、という。またアトランタの女子大、スペルマン大学は2015年、コスビー夫妻からの2,000万ドルによって創設した教授職を廃止し、基金を妻の財団に返還した、という。

だがラトガース大学は201710月、フェミニズムとメディアの研究を目的としたワインスタイン被告の寄付10万ドルを「女性の平等の推進に活用する方が有効だ」として、返還はしないことを明らかにしている。

組織の使命と価値に照らして受け取った金をどう扱うべきかが重要、とハリントン氏は指摘する。「金の色」の問題をどう扱うか。それは、組織の在り方を問い直す契機にもなるようだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める