古村治彦です。
2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体
最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。
ドナルド・トランプ大統領が2期目の政権をスタートさせて、もうすぐ1年になる。2026年はアメリカ建国250周年という節目の年であるが、アメリカが良い状況になる見通しは立っていない(日本はもっと厳しい)。アメリカでは経済成長率よりも高いインフレ率で、生活費が上昇し、厳しい生活を強いられることにより、不満が溜まっている。手頃さ(affordability)という言葉がキーワードになっている。
アメリカのインフレ率の推移
アメリカのインフレ率の推移
アメリカの大都市(ニューヨークやロサンゼルス)では家賃相場が高騰し、家族で暮らすために日本で言えば2DKくらいの間取りで、月額100万円近くの家賃になっている(ピンキリではあるが)。アメリカ中西部や南部はそこまで高騰していないが、それでも数十万円ということになる。外食代も高いことは、アメリカ旅行をした人たちの体験談がインターネット上で読めるので参考にしてもらいたい。アメリカのインフレ率は2025年9月で3%なので、この数字だけ見れば高くはないが、2022年、2023年の高いインフレ率から継続していると考えると、コロナの感染拡大とウクライナ戦争やガザ地区をめぐる紛争といった事態を受けての、国際的な物価上昇といった出来事が起きる前からすれば相当厳しい状況になっている。
日米の経済成長率の推移
ジェフリー・エプスタイン事件に関する文書公開もまたアメリカ政治に重大な影響を与えるだろう。民主、共和両党のエスタブリッシュメント、大物政治家たちにダメージを与えるだろう。エプスタインの犯罪行為に関わっていなくても、顧客になっていなくても、彼との関係があったということで、有権者から厳しい審判を受ける政治家たちが出てくるだろう。そして、エプスタインの顧客リストにトランプ大統領の名前があったら、2026年の中間選挙での共和党の結果は厳しいものとなり、連邦議会上下両院での過半数を失うことになる。そうなれば、「トランプ大統領の支持を得れば選挙に勝てる」ということはなくなり、共和党の政治家に対する抑えも利かなくなり、トランプ政権のレームダック化が起きるだろう。国内基盤の弱体化は、国際的な舞台でのトランプの影響力を弱める結果になり、ロシアや中国との関係も変化していくことになる。先行き不透明であるが、アメリカにとって良いことが起きる見通しが立たないままで2025年が終わり、2026年を迎えることになる。
(貼り付けはじめ)
経済への懸念がありドナルド・トランプの支持率は低下(Trump’s poll
numbers slip amid concerns over economy)
キャロライン・ヴァキル筆
2025年11月30日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/5624360-trump-approval-ratings-fall/
ドナルド・トランプ大統領の支持率は2期目の1年目が終わりに近づくにつれ、ここ数週間で低下している。
「ディシジョン・デスク・HQ(DDHQ)」が行ったトランプ大統領の支持率に関する世論調査の平均によると、支持率は42%、不支持率は55%となっている。これは、約1カ月前の支持率平均が46%近く、不支持率が51%前後だったのと比べて低い。
トランプ大統領の支持率の推移(水色:支持率、オレンジ色:不支持率)
トランプ大統領は先週末、トゥルース・ソーシャルへの投稿で「私の『政治キャリア』で最高の世論調査結果」を得たと述べたが、専門家たちは異なる見解を示し、支持率低下の原因は、生活費の高さに対する不満と、政権が実施した米移民関税執行局(the U.S. Immigration and Customs Enforcement、ICE)による捜査への対応の遅れにあるとしている。
DDHQのデータサイエンス担当ディレクターであるスコット・トランターは、9、10カ月前、有権者たちは「共和党とトランプ大統領の方が経済と移民問題への対応に優れていると考えていた」と述べた。
トランターは続けて「現在、有権者は大統領と共和党のこの2つの主要課題への対応について、せいぜい賛否両論、あるいは否定的とさえ言えるだろう」と述べた。
もちろん、支持率は回復する可能性がある。最近、州兵2人が射殺された事件で、当局は容疑者がバイデン政権の再定住プログラムでアメリカに入国したアフガニスタン国籍であると発表したため、アメリカの移民政策は改めて厳しく精査されている。
それでも、最近の世論調査はトランプにとって憂慮すべき状況を示している。先週発表されたフォックス・ニューズの世論調査では、回答者の38%がトランプの経済政策を支持し、無党派層の間ではわずか4分の1にとどまっている。世論調査では、回答者の35%が関税問題への対応を支持し、34%が医療保険制度への対応を支持していることもわかった。
この世論調査では、国境警備に関しては支持率が53%と過半数を少し超えた程度を記録した。しかし、世論調査全体では支持率は41%だった。
ロイター・イプソスが今月発表した世論調査では、トランプ大統領の支持率は38%で、ロイター通信によると、これは2期目の大統領就任以来最低の数字だった。
マーケット大学法科大学院が今月発表した世論調査では、トランプ大統領の支持率は43%で、9月に実施した同様の世論調査と変わらず、無党派層では若干の支持率低下が見られた。
マーケット大学法科大学院の世論調査では、イスラエルとハマスの停戦(67%)と国境警備(54%)に関する支持率は高かったものの、政府閉鎖(25%)、性犯罪者ジェフリー・エプスタイン有罪判決に関する情報提供(26%)、経済(36%)、関税(37%)、移民問題(45%)への対応については低い評価となった。
ジョージ・ワシントン大学政治経営大学院の政治経営プログラムディレクターであるトッド・ベルトは「経済、特にインフレだ」と述べた。
ベルトは「人々はバイデン政権下で問題となっていたこの問題を解決するためにトランプを選んだが、彼はそれを実現せず、人々の忍耐は尽きつつあると思う」と述べた。
専門家たちは、トランプの経済とインフレに関する指標が下方修正された理由はいくつかあると考えている。その一部は、トランプが各国に課した関税によるもので、企業や消費者に影響を与えていると専門家たちは指摘する。トランプは牛肉、コーヒー、バナナなど特定の品目に対する関税を撤回した。
しかしながら、スコット・ベセント財務長官は先週、インフレ上昇の原因は関税にあるという見方に異議を唱え、「サーヴィス経済とサーヴィス」が原因だと指摘した。
ベセント長官はNBCニューズのクリステン・ウェルカー記者の番組「ミート・ザ・プレス」に出演し、「インフレが抑制されている多くの食品については、USTR(米国通商代表部)が貿易協定の締結に懸命に取り組んでいる。そして、6から8カ月前から準備が進められている貿易協定は、今、あなたが述べた食品の産地であるラテンアメリカ、中米の多くの国々と重なっている」と語った。
専門家たちはまた、トランプ政権が経済の進展を訴えようと努力しているにもかかわらず、消費者は生活費が高すぎると感じていると指摘している。これは、バイデン前大統領と彼の「バイデノミクス(Bidenomics)」をも悩ませた問題でもある。
マーケット大学ロースクール世論調査の責任者であるチャールズ・フランクリンは「こうした経済への懸念は、バイデン前大統領の政策がこれらの最も重要な問題の解決に役立っていないという認識に大きく起因していると思う」と述べた。
マリスト大学世論研究所所長のリー・ミリンゴフは、トランプ大統領がイスラエル・ガザ紛争、ロシアのウクライナ侵攻、ヴェネズエラ周辺での軍事プレゼンスの拡大といった国際問題に重点を置いていると指摘した。
専門家たちは、経済環境は少なくともある程度はトランプ大統領のコントロール外にあると認めている。
ベルトは次のように語った。「大統領のデスクの上には経済をコントロールするレヴァーは実際には存在しない。ドナルド・トランプは、経済刺激策として期待されるほど金利を引き下げていない連邦準備制度理事会(FRB)に不満を抱いているのは確かだ。しかし、無視できないのは関税だ」。
しかしながら、トランプ大統領は自身の世論調査の支持率は好調だと主張し、関税による政府への財源流入を誇示している。
トランプは土曜日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で、「私の経済政策における素晴らしい仕事はまだ十分に評価されていないが、いずれ評価されるだろう!状況は本当に好調だ」と述べた。
別のトゥルース・ソーシャルへの投稿では、トランプ大統領は「関税によってもたらされた数兆ドルの関税と、外国からの投資資金」を称賛した。また、「インフレはほとんど起こっていない」と示唆した。
ホワイトハウス報道官のアビゲイル・ジャクソンは『ザ・ヒル』誌への声明で、「世論調査は、大多数のアメリカ国民が大統領の常識的なアメリカ・ファースト政策のほぼ全てを支持していることを示している」と、述べ、トランプ大統領は「今世紀、2期目のこの時点で、同じ政党に所属するどの大統領よりも高い支持率を誇っている」ことを示唆した。
ジャクソンは続けて次のように述べた。「トランプ大統領は国境警備を行い、バイデンのインフレ危機に対処し、薬価を引き下げ、チップ、残業代、社会保障への課税を廃止し、インフレを抑制し、不法移民の犯罪者を国外追放し、アメリカの労働者を第一に考える重要な改革を実施した。トランプ大統領は日々、多くの公約を果たすために懸命に取り組んでおり、今後もそれを実現し続けるだろう」。
アメリカ労働統計局の消費者物価指数は、インフレ率が着実に上昇傾向にあることを示し、9月以降は3%で推移している。
専門家たちが大統領の支持を損なっていると考えているもう一つの問題は、政権の移民政策、特に米移民税関捜査局(ICE)の捜査である。ICEの捜査は、当局がヒスパニック系およびラテン系の人々に対して人種プロファイリングを行い、過度に強引な手段で拘留しているという懸念を引き起こしている。ICEの広報担当者は『ワシントン・ポスト』紙に対し、「ICEは肌の色、人種、民族性に基づいてではなく、アメリカに不法滞在している個人を対象とする取り締まりを行っている」と述べた。
いくつかの世論調査では、無党派層やラテン系といった主要な投票層がトランプ大統領の移民政策に反対していることが示唆されている。カリフォルニア大学バークレー校が10月にカリフォルニア州の有権者を対象に実施した調査では、無党派層の45%が、アメリカに不法入国する移民の数を減らすための現在の連邦法執行措置に反対し、57%がアメリカに不法滞在する全ての移民を強制送還するという連邦法執行の取り組みに反対している。
ピュー・リサーチ・センターが今週初めに発表したデータによると、ラテン系の65%が政権の移民政策に不満を持っていることが明らかになった。また、回答者の71%が、トランプ政権は合法的な滞在資格のない移民の強制送還に関してやり過ぎだと感じていることも分かった。
共和党のコア有権者はICEの捜査を好意的に受け止めているものの、「無党派層、特にかなりの数の有権者は、特にフォーカスグループでは、当初は『暴力犯罪者を追及すると思っていたのに、明らかにそれ以上のものだ』と言うだろう」と、DDHQデータサイエンスディレクターのトランターは述べた。
大統領が就任後に支持率の低下に苦しむのは珍しいことではない。専門家たちは、トランプの支持率の推移は、インフレへの不満から支持率が急落したバイデンのそれと似ていると指摘している。
トランプの支持率は、就任1年目のこの時点よりも高くなっている。ギャラップの世論調査によると、10月の支持率は41%だった。ちなみに、就任1年目の同時期の支持率は35から38%だった。
ベルトは、「ドナルド・トランプの支持率に関しては、天井は低く底は高い(a low
ceiling and a high floor)とよく言われる。どんなことがあっても彼と決別しようとしない人たちもいる」と述べた。
それでも専門家たちは、トランプが支持率の下降傾向を反転させるためにできることがあると見ている。関税政策の方針転換を継続し、メッセージングを見直すことなどだ。
「トランプは経済と住宅価格の高騰に再び焦点を当てる必要がある」とマリスト大学のミリンゴフは述べた。
ミリンゴフは続けて、「より多くの支持を獲得するためには、国民が投票した政策を反映するものでなければならない」と述べた。
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トランプにとって最大の課題はエプスタインではなくインフレだ(Inflation,
not Epstein, is Trump’s biggest challenge)
キース・ノートン筆
2025年11月20日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/opinion/campaign/5613180-inflation-voters-trump-epstein/
ジェフリー・エプスタインと、最近暴露されたドナルド・トランプに関するメールは、当然ながらニューズの話題を独占している。この事件はメディアにとって格好のネタだ。わいせつで恥ずべき内容に加え、政治的な二転三転というひねりが加えられている。トランプが標的となったことで、2016年の大統領選勝利以来、彼を嫌悪してきた層にとって、さらに格好のネタとなっている。
しかし、アメリカの有権者はこれらのメールを気にしているのだろうか? 言い換えれば、公共料金の高騰、食料品価格の高騰、健康保険料の高騰に直面している人たちが、この問題に執着する時間や関心を持っているだろうか?
確かに、この問題に関するトランプの支持率は低いかもしれないが、ケーブルテレビやポッドキャスト界のゴシップ好きを除いて、本当に重要なのだろうか?
答えは明白で、ノーだ。
インフレは国民にとって最大の懸念事項であり、しかも他のどの問題よりも大きな差をつけている。ハーヴァード大学・ハリスの最新の世論調査(トランプに概ね好意的)では、インフレを最も重要な問題として挙げる有権者は48%に上り、他のどの問題よりも圧倒的に上回っている。無党派層では51%がインフレを挙げている。
回答者全体の中で、移民問題はわずか10%、犯罪は8%、気候変動は全く関心がなく6%にとどまっている。
トランプの政策がインフレにプラスかマイナスかという質問に対し、無党派層の56%が状況を悪化させていると回答した。共和党員でさえ30%が、トランプの政策がインフレを悪化させていると考えている。これは、党派間の分断を考えると非常に大きな数字だ。
ユーガヴによる最近の世論調査では、トランプにとって概ね不利な結果が出ているが、過去3年間と同様に、インフレが最大の争点となっている。全回答者の27%がインフレを懸念しており、「雇用と経済」を12ポイントも上回っている。3位は医療で11%だった。医療保険料の上昇を考えると、これは少なくとも部分的にはインフレの代替指標と言えるだろう。さらに、回答者の40%が経済状況を「悪い」と回答しており、これには無党派層では47%が含まれている。一方、経済状況を「良い」または「非常に良い」と回答したのはわずか25%で、無党派層では22%だった。
有権者たちはインフレに対する怒りを声高に表明しており、長年にわたりそう訴えてきた。ユーガヴの週間ベンチマークを遡ると、インフレは2023年まで一貫して最大の争点であり、一貫して上昇している。2023年3月時点では17%だったこの割合は、2024年初頭には20%に上昇し、カマラ・ハリス氏の指名前夜には24%に達した。これは、2番目に重要な課題の2倍以上となっている。
2024年8月に行われた同じ世論調査では、なんと96%の有権者がインフレを「非常に」または「ある程度」重要だと回答し、77%が「非常に重要」と回答しました。これらの数字は、他のどの課題よりも高いものだった。
最近の選挙は明らかにインフレに左右された。ヴァージニア州とニュージャージー州の知事選では、電気料金の値上げが最優先事項となった。ニューヨーク市民は社会主義に投票したというより、家賃高騰に反対票を投じたようなものだ。
有権者たちの声ははっきりと聞こえるが、あまりにも多くの政治家や現実離れしたメディアの煽動家たちは耳を傾けていない。
ジョー・バイデンの再選に向けた討論会での大失敗以前から、インフレがバイデンの努力を台無しにしていたことは疑いようがない。彼は2023年秋まで、全国的にはトランプにわずかに遅れをとり、重要な激戦州では互角の展開を見せていた。バイデンの選挙戦略を台無しにしたと思われる2つの出来事が起きた。1つ目は10月のハマスによる攻撃だ。そして11月、人々は2024年の医療保険料の請求書を受け取り始め、その値上がりを目の当たりにした。
バイデン陣営とそのメディア仲間たちは、インフレが問題であることを否定するなど、猛烈な反撃に出た。問題が悪化するにつれ、彼らには解決策が見つからなかった。ハリスも同様で、マイナスになるバイデンから距離を置くことを恐れ、問題を回避しようと躍起になっていた。有権者たちは、臆病で無責任な民主党の行動を当然のこととして罰した。
しばらくの間、トランプも同じ道を辿っているように見えた。しかし、彼についてどう評価するかはさておき、彼は世論を敏感に察知する能力を持っている。その結果、当初の否定や本能的な防御姿勢にもかかわらず、トランプは世論に敏感になった。彼は現金還付を約束し、一部食料品への関税撤廃を約束した。特定の医薬品の価格についても合意を迫っている。
より広範で体系的なアプローチが必要な状況において、これはやや継ぎはぎ的な対応と言えるだろう。しかし、少なくともトランプは、眠っているようなバイデンとは違い、問題を認識している。トランプはもっと大胆な行動を取るべきだ。国家レヴェルの「手頃さタスクフォース(affordability task force)」を創設し、関税政策をより的を絞ったものにすべきだ。アメリカに必要なのは、安定したサプライチェーンとより強力なテクノロジー製造業セクターだ。使い捨てペンを再び偉大なものにしたり、ハロウィーンの衣装生産を国内に取り戻したりする必要はない。
トランプがしてならないのは、エプスタイン事件といういかがわしい袋小路に陥ることだ。真の経済問題を無視し、政治的な奇行に走るメディアと政界の既成勢力ほど、国民をうんざりさせるものはない。トランプは腰を据えて結果を出すべきである。そうすれば、勝利は必然的についてくる。
※キース・ノートン:長年共和党の政治コンサルタントを務め、公共問題・規制問題コンサルティング会社サイレント・マジョリティ・ストラテジーズの共同創業者。ペンシルヴァニア州の元共和党選挙キャンペーンコンサルタントも務める。
(貼り付け終わり)
(終わり)
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



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