古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 

 2022年10月から続いていたイスラエルとハマスの紛争は途中にイランも巻き込み、中東地域を不安定化させた。ガザ地区では約7万の民間人が犠牲となった。イスラエル側にも多くの犠牲者が出ている。2025年に停戦合意が結ばれたが、先行きは不透明となっている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区への圧力を強め、紛争状態を長引かせようとしている。ハマス殲滅を大義名分に掲げているが、実際は、地震と家族が抱える汚職に関する裁判を避ける意味合いが大きい。先日、ついに大統領に対して、恩赦を求めるという事態になった。自身の個人的な利益、犯罪行為の処罰を避けるために紛争を続けるという国益を損なう行為をしているということになる。

 アメリカは常にイスラエルを支援してきた。それはイスラエルの建国以来ずっと続いている。それは、アメリカ国内におけるイスラエル系有権者の力の大きさということもあるが、中東地域において唯一の西洋型の民主政治体制国家を守るという大義名分もあった。しかし、最近では、アメリカ国民の間でイスラエル支持が縮小している。これをユダヤ人差別と見るのは早計だ。ユダヤ人とイスラエルを区別して考えるようになっている。特に、ネタニヤフ首相のような、個人の利益を国家の利益に重ねてしまうようなことに反対している。ドナルド・トランプ大統領は強力なイスラエル支持者であると見られているが、トランプはそのような単純な人物ではない。イデオロギーとか論理とか、そういうものに縛られる人物ではない。トランプがイスラエルを支持しているからと言ってそれが未来永劫続く訳ではない。ネタニヤフ首相に対しては良い顔をしながらも、裏では「切る」タイミングを考えている。アメリカとトランプ政権はイスラエルを安心させていない。これこそは外交の基本である。日本外交がこの基本ができていると言われると心許ない。

(貼り付けはじめ)

イスラエルはアメリカが依然として自国の味方かどうか疑問に思っている(Israel Is Wondering if America Is Still on Its Side

-アメリカの政策と国民の支持の変化を受けて、イスラエル人は答えを探し求めている。

アンチャル・ヴォーラ筆

2025年12月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/01/israel-trump-america-gaza-abraham-accords/

政治的立場を問わず、アメリカ国民の間でイスラエルへの批判が高まっているのと同様に、イスラエル人も、ワシントンの中東における最近の政策決定の多くがイスラエルにとって不利益となるかどうかを議論している。アメリカ政府はしばしば、イスラエルの政策を統制し、行動の自由を制限しようとしているとされている。イスラエルとアラブ諸国の報道機関は、アメリカがイスラエルを独立した主権国家としてではなく、51番目の州として扱っているのではないかと疑問を呈している。

イスラエル民主政治体制研究所の最近の世論調査によると、イスラエル人のほぼ半数が、アメリカはイスラエル政府よりも「安全保障上の決定に大きな影響力を持っている」と考えている。

アメリカにおいては、イデオロギーの違いを超えてイスラエルへの批判が高まっている。ピュー・リサーチ・センターによると、過去3年間で共和党支持者、特に若年層の間でイスラエルに対する否定的な見方が高まっている。アメリアでは伝統的に最も強力な親イスラエル派である福音派キリスト教徒たち(Evangelical Christians)も、イスラエルの圧力を受けたことで、「永遠の戦争(forever wars)」を終わらせるという約束を裏切ったとみられるドナルド・トランプ米大統領によるイラン爆撃に憤慨している。

反イスラエル・親トランプのMAGA基盤からは、さらに厳しい挑戦が巻き起こっている。フォックス・ニューズの元司会者タッカー・カールソン、トランプの前大統領顧問のスティーヴ・バノン、そして連邦下院議員マージョリー・テイラー・グリーンは、アメリカのイスラエル支援に疑問を呈している。しかし、広大なMAGAの世界に生きる他の人々は、こうした政策への不同意を口実に反ユダヤ主義的な発言を吐き出している。10月、カールソンは極右白人至上主義者のニック・フエンテスにインタヴューを行い、彼に発言の機会を与えた。フエンテスは露骨な反ユダヤ主義的な見解を述べ、アメリカのユダヤ人が同化を拒否し、「組織化されたユダヤ人(organized Jewry)」こそが国家統一の最大の障害だと非難した。

専門家たちは、トランプ政権下でもアメリカのイスラエル支援は継続されるものの、イスラエル政府はMAGA基盤に対し、イスラエルがアメリカの利益に合致しているという姿勢をより明確に示すために方針を変える可能性があると見ている。イスラエルの元国家安全保障担当副首相補佐官で、エルサレム戦略安全保障研究所(JISS)副所長のエラン・レーマンは「経済援助モデルから軍事面での相互協力モデルへの転換(from the model of economic aid to a model of mutual cooperation on the military side)が必要だ」と述べた。レーマンは「トランプ自身が情勢を完全に掌握している限りイスラエルとの関係は安全だ」とも述べている。

しかし、トランプこそが問題の最大の原因だと指摘する声もある。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との関係は、友好的とは程遠い。イスラエル人ジャーナリストであるバラク・ラヴィッドの著書『トランプの平和:アブラハム合意と中東の再構築(Trump’s Peace: The Abraham Accords and The Reshaping of The Middle East)』の取材に応じた際、トランプはネタニヤフについて「クソ野郎だ(Fuck him)」と述べた。より大きな懸念は、トランプのイスラエル支持が、歴史的に差別されてきたコミュニティへの支援や中東における民主政体国家であるイスラエル支持といった原則に基づくものではなく、自らを平和主義者として見せかけ、ノーベル賞受賞を確実なものにするためのものだという点だ。

実際、イスラエルの戦略コミュニティを大いに驚かせたように、トランプはアラブ諸国の指導者たちの主張にも耳を傾け、経済発展のためのアメリカからの支援拡大や武器供給を求める声にも耳を傾け、パレスティナ問題への関心を完全に放棄させないようにしている。第一次政権時代、トランプが占領下のゴラン高原を(シリアではなく)イスラエルの領土と認め、アメリカ大使館をテルアヴィヴからエルサレムに移転したにもかかわらず、アラブ諸国はトランプの耳元で効果的なささやきを続け、惜しみない称賛と豪華な航空機まで贈ってトランプの歓心を繋ぎ止めている。

トランプはラヴィッドに対し、ネタニヤフ首相がパレスティナとの紛争を終結させ、合意を成立させたいと考えているとは考えていないと述べた。一方、野党指導者のベニー・ガンツはそう望んでいると述べた。トランプの批判は主に、2020年のアメリカ大統領選挙でジョー・バイデンが勝利した後、ネタニヤフ首相がバイデンに送った祝辞から生まれたようだ。ラヴィッドはその後の会話で、トランプのネタニヤフ首相に対する口調ははるかに穏やかだったとも指摘しているが、本書の記述は、しばしば強固とされる両者の関係の暗い側面を明らかにしている。

トランプはここ数日、ネタニヤフ首相への支持を表明しており、今月はイスラエル大統領に対し、汚職事件での恩赦を求めた。しかし、専門家たちは、これはより大きな戦略の一環だと見ている。それは、ハマスの武装解除の遅延、あるいは確実性に関わらず、ネタニヤフ首相によるヨルダン川西岸併合を阻止し、停戦を維持するという戦略だ。

停戦合意の直後、トランプ大統領はマルコ・ルビオ国務長官やJD・ヴァンス副大統領を含む複数の政権メンバーを急派し、「ビビ・シット(Bibi-sit)」、つまり「ビビ」の愛称を持つネタニヤフ首相によるハマス攻撃を阻止するよう指示した。ハマスを壊滅させることはイスラエルの戦争目標だったが、ハマスが依然としてガザ地区の47%を支配しているため、イスラエル人の一部は、その目標を達成するのはトランプ大統領の責任だと指摘している。

JISSのヨシ・クーパーワッサー所長は「トランプは和平委員会の長だ。だから、ハマスの武装解除を実現させなければならない」と述べた。しかし、トランプの計画では武装解除のタイムラインやプロセスが明確ではなかったと認めた。

ガザ地区から約32キロ離れた場所に、アメリカは民軍調整センターを設置し、200人のアメリカ兵と西側諸国の代表者が行き交っている。この兵站センター設置の目的は、トランプの和平計画の次の段階を計画することだが、同時にイスラエルの政策と国防軍を外国勢力の監視下に置いて、彼らの手を縛ることにもなる。

他にも多くの政策面で意見の相違が生じている。最新鋭のF-35戦闘機をサウジアラビアに売却するというトランプの決定は、イスラエルの多くの人々を動揺させた。イスラエルはリヤドとの関係正常化に熱心だが、サウジアラビアは、この地域における質的な軍事的優位性を失いたくないと考えている。トランプ大統領によるシリア制裁の解除と、ジハード主義者で後に大統領となったアハメド・アル・シャラーの支持は、イスラエル国内で懸念を引き起こしている。

さらに、トランプ大統領がカタールとトルコを支持していることは、アメリカがハマスに影響を与える主要国と見なしている一方で、イスラエルはハマスに同調していると見なしており、その対応は困難を極めている。ネタニヤフ首相がドーハでハマス指導者たちを爆撃したことについてカタールに強制的に謝罪したとみられる事態を受け、今度はアメリカがガザ地区に展開する国際安定化軍(International Stabilization ForceISF)へのトルコの参加を支持していると報じられている一方、イスラエルはトルコの地上部隊の受け入れを拒否している。

アメリカの対イスラエル支援に亀裂が生じているのは誇張であり、トランプ大統領の政策は依然としてイスラエルに大きく有利に働いているという意見もある。

しかし、ガザ地区で6万9000人以上のパレスティナ人が死亡するなど死者数が増加していること、ヨルダン川西岸地区の併合とパレスティナ人の追放を推進するイスラエルの右派連合、アメリカがイスラエルのためにイランとの新たな戦争に介入するのではないかという懸念、そしてトランプの「MAGA」支持層におけるイスラエルへの支持の分裂といった様々な要因が重なり、初めてアメリカ国民がイスラエルへのアメリカの支援の根拠に疑問を抱き始めていることは否定できない。先月、レスリー・スタールとの「60ミニッツ」インタヴューで、トランプの義理の息子であり、中東問題における二大交渉担当者の1人であるジャレッド・クシュナーは、トランプは「イスラエルの行動は制御不能になりつつあり、今こそ強硬手段を取り、長期的な利益に反する行動を阻止すべき時だ」と感じていると述べた。

チャタムハウスのシニアコンサルティングフェローであるヨシ・メケルバーグは、イスラエル人はトランプ大統領の対イスラエル政策について様々な見解を持っていると述べた。しかし、アメリカ国民のイスラエル支持率の低下は「戦略的に非常に危険」であり、イスラエル政府の政策転換を促す必要があると主張するのは難しいとメケルバーグは述べた。イスラエルは武器の69%を米国からの供給で賄っており、あらゆる種類の外交支援もアメリカから受けているとメケルバーグは付け加えた。

アメリカがイスラエルの意向を全て考慮せずに地域政策を推進しようとすれば、イスラエルには頼る術がない。イスラエルは、大統領執務室にいる人物と協力するしかない。たとえ、人質の帰還という合意を成立させたことで絶大な人気を誇る大統領であっても、他方では国の司法制度に介入しているように見える。トランプは、ネタニヤフ首相の恩赦を求める権利などないと考えるイスラエル人の一部を怒らせたようだ。「トランプが、自分には恩赦を求める法的根拠がないという事実を全く認識せずに、ネタニヤフ首相の恩赦を求めたというのは奇妙な話だ」とメケルバーグは述べた。

一方、ネタニヤフ政権は、平和をもたらす形で戦争を終結させ、アメリカで失った支持の一部を取り戻すという先見の明のある政策転換を行うどころか、広報会社を雇ってオンライン上に親イスラエル的なコンテンツを作成し、アメリカ国内の世論を操作していると非難されている。

※アンチャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』コラムニスト。ヨーロッパ、中東、南アジアについて執筆している。『タイムズ・オブ・ロンドン』誌で中東担当を務めた。アルジャジーラ・イングリッシュとドイチェ・ヴェレのテレビ特派員も務めた。以前はベイルートとデリーを拠点に、20カ国以上の紛争や政治を報道してきた。Xアカウント:@anchalvohra

(貼り付け終わり)

(終わり)
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