古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプという人物が常に人々の注目を集めるのは、それが不動産開発業者として大成功して巨万の富を築いても、テレビ番組の有名人になっても、そして大統領になっても(しかも2期)、「融通無碍」であるからだ。その点では一貫している。変化を恐れない。「あの時と言っていることが違うじゃないか」「やっていることがでたらめだ」と非難されても、そうした批判に苦しむことなく、言動や姿勢を軽々と変更する。それがトランプの強さである。そんなことに苦しんでいても何にも物事が進まない、良いことはないということをトランプは分かっているようだ。最たる例は、エプスタイン文書公開をめぐる態度だ。選挙期間中は公開を主張し、政権を担ってからは、パム・ボンディ司法長官からトランプの名前があったという報告もあり、「顧客名簿のようなものない」「公開しない」と姿勢を変え、それに支持基盤の有権者たちから反発を受けると「弱虫ども」と批判した。それが再び、公開に姿勢を変えた。

 外交政策の面では、ウクライナ戦争をすぐに終わらせると主張してきたが、現在、先週終結の目途は立っていない。戦争勃発後、満4年となる2026年2月24日に何か動きがあるかもしれないと考えるが、ロシアは戦争継続可能な状況で、ウクライナが大反抗をすることができない中で、状況が膠着し、無駄に時間だけが過ぎており、死傷者が増えていく。ウクライナ国内のヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の支持率も下がっており、停戦の潮時ではないかと思う。トランプ支持の有権者たちはウクライナ支援に否定的であったが、トランプは大統領就任直後の会談ではゼレンスキー大統領を叱責したが、その後の会談ではウクライナ支援の継続を発表した。ここでも、トランプの融通無碍さが発揮されている。

 トランプの「融通無碍さ」は学術研究の対象になりにくいが、後の歴史家たちがどのような評価をするのかが楽しみだ。私のトランプに対する評価は「衰退するアメリカ帝国の墓堀人」である。

(貼り付けはじめ)

トランプが支持基盤を裏切り続ける理由(Why Trump Keeps Betraying His Base

-専門家集団(The Blob、ザ・ブロブ、既成の外交政策エリートや広範な官僚機構、学識経験者、シンクタンクなどの総体)が帰ってきた-そしてトランプ政権の外交政策の二転三転の理由を説明する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年7月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/07/21/trump-betray-base-foreign-policy-epstein-putin-ukraine-iran-syria-war/
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ドナルド・トランプ米大統領は2025年3月4日、ワシントンの米連邦議会議事堂で上下両院合同会議の演説を終えた後、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員にキスをした

トランプ政権とMAGA派支持者にとってこれは奇妙な瞬間だ。私が言っているのは、ジェフリー・エプスタインのスキャンダルのことではない。このスキャンダルは、この奇妙な政治カルトの少なくとも数名のメンバーに、深刻な欠陥を抱えた指導者トランプへの奴隷的な忠誠心を疑問視させるに至った。むしろ、トランプの外交政策における最近の転換について述べている。それは、彼がこれまでとってきた立場とは明らかに異なるものだ。

トランプは、2024年の大統領選で約束したように、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と合意し、ウクライナ戦争を「24時間以内(within 24 hours)」に終結させるどころか、ウクライナへのアメリカの援助を永久に停止するどころか、今やキエフへの軍事支援を増強すると約束し、さらにはウォロディミール・ゼレンスキー大統領にモスクワへの直接攻撃を促した(この助言は、このストーリーが発覚後、撤回された)。トランプはバイデン政権時代のようなレヴェルの支援を約束しておらず、この新政策が続くかどうか疑問視する十分な理由もあるが、それでもこれは衝撃的な変化であり、以前は忠実なMAGA派だった扇動的な連邦下院議員マージョリー・テイラー・グリーンやトランプ元側近のスティーヴ・バノンなどから厳しい批判を招いている。

同様に、エルブリッジ・コルビー国防次官などの当局者が長らく主張してきたように、ヨーロッパから手を引いてアジアに急激に軸足を移すのではなく、トランプはNATOへの新たな愛着も表明している。中東問題も放棄していない。イスラエルのやりたいことを何でもさせている(これは最近の歴代米大統領たちがしてきたことだ)。しかし先月、イスラエルの要請でイランとの戦争に突入し、アメリカ軍にイランの核開発計画を廃棄する試みとして爆撃を命じたが、失敗に終わった。ビル・クリストルなどトランプ支持者ではないネオコン派は当然ながら大喜びしたが、タッカー・カールソンなどかつてのトランプ支持者は落胆した。最後に、トランプは最近、NVIDIAが中国への最新チップ販売を再開することに同意した。これは、輸出規制によって中国の技術進歩を抑制しようとした過去の試みから手を引いていることを示唆している。

トランプが新人だと言っているのではない。彼は依然として経済に疎く、関税戦争(tariff war)に固執し、中国とのバランスを取るためにアメリカが必要とする主要同盟諸国との関係を依然として損なっており、かつて優位に立っていたアメリカの科学界を骨抜きにし、一流大学を弱体化させようとする、息を呑むほど愚かな試みを続けている。中国の指導者たちは、きっと大喜びしているに違いない。科学技術の優位性が世界覇権の鍵となる時代に、トランプ政権は一方的な軍縮行為(act of unilateral disarmament)に手を染めている。

トランプは、個人的に敵とみなした者への復讐を続け、認知能力の低下の兆候が顕著になりつつあり、アメリカ史上最も腐敗した政権を平然と率いている。高齢であるトランプが別人のようになることはないだろう。しかし、彼の最近の行動は、彼が約束した外交政策や支持者が期待していた外交政策とはかけ離れている。

こうした変化をどのように説明できるだろうか? 少なくとも3つの可能性が考えられる。

明白な説明の1つは、トランプが外交政策の「ブロブ(Blob)」を抑え込もうとしたにもかかわらず、再びトランプを打ち負かしているということだ。私の前著で述べたように、外交政策のエスタブリッシュメントはトランプの最初の任期中、政府の仕組みを理解しておらず、エスタブリッシュメントを打破するための明確な戦略も、自身のヴィジョンを忠実に実行に移す忠実な官僚集団も持たなかったため、トランプの努力の大半を阻んだ。したがって、貿易政策を除けば、アメリカの外交政策の本質はトランプの最初の任期中、ほとんど変化しなかった。いつも通り、トランプは自身の多くの失敗をいわゆる「ディープステート(deep state)」のせいにし、もし次の機会があれば改善すると誓った。

今回、トランプは、ピート・ヘグゼス国防長官のような写真映えする忠実な支持者や、マルコ・ルビオ国務長官やトゥルシー・ギャバード国家情報長官のような簡単に操れる日和見主義者たち(easily manipulated opportunists)を、閣僚の主要ポストやその他の影響力のある役職に任命することで、専門家集団を克服しようとした。

しかし、主要省庁のトップに従順な部下を置くことは、トランプの期待通りには機能していない。第一に、トランプは部下に明確で一貫性のある、一貫した指示を与えることができない、無能な管理者だ。第二に、多くの人が懸念していたように、ヘグセスは資格も能力もない無能な行政官であり、度重なる失態を犯し、彼のオフィスは機能不全に陥っていると、元側近は語っている。ルビオはネオコン的な傾向が強いイデオローグで、上司に逆らうことはしないものの、危険な方向に導こうとするだろう。

さらに言えば、元司令官たちを解任し、多くの文民職員を解雇することで主要機関の人員が不足し、効率が低下することはあっても、残留した人々の世界観を変えることも、トランプの本能に反する可能性のある政策の推進を阻止することもできない。結局のところ、専門家集団に対抗するには、大統領は賢く、経験豊富で、知識豊富な人材を重要なポストに多く配置し、彼らと協力して、異なる原則を反映した一貫した戦略を策定する必要がある。大統領にはこの目標を達成する機会が2度あったが、いずれも失敗に終わった。

別のより納得のいく説明は、トランプが現実に適応しているだけだというものだ。プーティンとの友好関係は、ロシアの指導者に対する自身の影響力をそれほど強めておらず、プーティンがトランプの意向で戦争を終わらせるつもりもないことにも気づいた。トランプは、プーティンは邪悪な指導者であり、決定的に打ち負かすべきだとするジョー・バイデン前大統領の見解には賛同しないだろうが、プーティンは最終的な勝利を確信している限り真剣に交渉しないだろうと認識し、バイデンのアプローチに近づいている。ウクライナへのアメリカの援助再開は、プーティンに合意を迫る圧力となるはずだが、トランプが約束している援助の規模は、その目的を達成するにはおそらく不十分だろう。それでも、この解釈では、トランプの最近の態度の変化は、彼が学びつつある証拠であり、ディープステートの影響力の残存を示すものではない。

中東についても同様のことが言えるだろう。バイデンと同様に、トランプもイスラエルに本格的な圧力をかけるつもりはなかった。だからこそ、ガザ地区に対するジェノサイド的な戦争は、アメリカの積極的な支援を受けて今もなお続いている。イランは、トランプとルビオが要求する核濃縮能力の放棄に決して同意するつもりはなかった。外交が凍結されていたため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、空爆によってイランの核開発計画を完全に排除し、イスラエルの地域的優位を確固たるものにできるとトランプを説得することに成功した。

しかしながら、この戦争はこれらの目的を達成することができず、イスラエルは依然としてこの地域で真の覇権を確立するには小国すぎる。しかし、この確かに寛大な解釈によれば、トランプは地域の情勢の進展に合わせてアメリカの政策を現実的に調整し、長期にわたる空爆作戦や地上軍のプレゼンスの増強を求める声に抵抗していたと言えるだろう。

中国に関して言えば、トランプ大統領と補佐官たちは、北京との全面的な経済戦争はアメリカ経済に甚大な打撃を与えるものの、中国の技術進歩を阻止することはできないと認識していたのかもしれない。もしそうであれば、NVIDIA製チップの輸出禁止を解除し、何らかの暫定的な貿易協定を交渉することは理にかなっていると言えるだろう。

この説明が正しく、トランプが変化する状況に適応しようとしていると信じたい。しかし、そこにはある程度の一貫性と戦略的ヴィジョンが暗示されているが、その内容は見極めが難しい。イスラエルによるガザ地区住民の殺害を支援し、フーシ派、レバノン、シリアへの爆撃をイスラエルが望む時に許しても、アメリカやイスラエルの安全保障は強化されない。イランへの爆撃は、イランの指導者たちに、潜在的な核兵器国のままでいるのではなく、核爆弾へと突き進むよう促す可能性が高い。ウクライナにパトリオットミサイルシステムやその他の兵器をさらに送っても、戦場の状況やプーチティンの政治的計算は変わらない。そして、政権は両陣営が受け入れ可能な政治的解決策を提示することも、解決策がないことを認めて歩み寄ることもしていない。(トランプ大統領は今年初めに後者の選択肢をほのめかしたが、最終的には撤回した。)確かに、トランプ大統領のホワイトハウスは(全ての大統領がそうであるように)出来事を考慮して政策を修正したが、そのさまざまな対応の背後にある十分に練られた戦略を見るにはかなり目を凝らさなければならない。

残る選択肢は3つ目のものだ。トランプ大統領の外交政策における最近の変化は、主に大統領のエゴによるものだ。ウクライナへの武器供与を増やしているのは、ウクライナの独立に新たな決意を固めたからではなく、プーティン大統領のせいで自分のイメージが下がったからだ。NATO事務総長マーク・ルッテから中世の廷臣並みのおべっかを浴びせられた後、NATOは問題ないと判断した。中東で無意味な戦争に突入したのは、結果に関わらず、何かを爆破すれば自分が主導権を握っているように見えるからだ。

トランプ大統領の関税に対する断続的なアプローチも、この説明と完全に一致している。彼が関税を好むのは、皆の注目を自分に釘付けにできるからだ。関税は上がったり下がったりし、一時停止されたりしてまた導入される。そのたびにメディアは大騒ぎし、再びトランプについて語り始める。

『フィナンシャル・タイムズ』紙のジャナン・ガネーシュをはじめとする一部の観察者たちは、トランプの一貫性や首尾一貫した世界観の欠如と、自身のイメージへの執拗なこだわりこそが、MAGA支持層に共通する教条主義的な過激主義(the doctrinaire extremism)よりも好ましいと考えている。なぜなら、関税と貿易赤字への執着を除けば、真の政策的信念や深く根付いた政策志向が欠如しているため、必要に応じて方針転換が容易になるからだ。

私はそうではないと考える。トランプは国益(the national interest)と彼の個人的利益(personal interest)を切り離すことができず、人材を見極める目も依然として乏しく、おべっかに弱いことでも知られているため、トランプ政権下でのアメリカの外交政策は、これまで以上に不安定で、内部的に一貫性がなく、逆効果になっていることが証明されている。

ワシントンは、かつて唯一の超大国だった頃は(様々な愚行[follies]で多大な代償を払ったとはいえ)これで済んでいたかもしれない。しかし、今日の世界情勢ははるかに容赦ない。大国としての歴史上、最も手強い競争相手と対峙している現代において、衝動的で気まぐれな指導者が、能力ではなく忠誠心で選ばれた部下に命令を下すようなことは、成功への道筋とはなり得ない。

アメリカ人は、ドイツ首相オットー・フォン・ビスマルクが「神は酔っ払い、愚か者、そしてアメリカ合衆国のために特別な摂理を持っている(God has a special providence for drunkards, fools, and the United States of America)」と言ったとされる言葉が正しかったことを願うしかない。アメリカはまさにそれを必要としているだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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