古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の決定によるヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束移送について、アメリカ国民の考えは割れている。支持と不支持が拮抗し、分からないと答える人たちも同じ割合で存在する。支持の理由としては、倒されるべき独裁者が倒された、ヴェネズエラ国民のためになった、ヴェネズエラの石油をアメリカの利益のために使える、中国とロシアの影響を南アメリカから排除できるといったもので、不支持の理由は、国際法に違反する行為だ、海外の問題には関与しないという選挙の公約に反する、連邦議会の承認を得ていないといったものだ。分からないと答える理由は、支持も不支持もその理由も含めて理解できるので態度を決められないということであろう。

 党派で見れば、共和党支持者は攻撃支持が多く、民主党支持者は攻撃不支持が多い。重要なのは「過度な関与」についてだ。具体的には、アメリカ軍がヴェネズエラに駐留するということになるが、このことについては党派に関係なく、アメリカ国民の多くが懸念を持っていることが明らかになった。アフガニスタンやイラクのようなことになるのが心配だということだ。

 トランプ大統領は、アメリカ軍をヴェネズエラに派遣して駐留するということはしないだろう。それは政治的な自殺行為となる。そして、あくまで外側からの圧力をかけて(二度目の攻撃もあるぞとほのめかしながら)、アメリカの利益になるようにヴェネズエラの政権を脅すことになる。トランプはヴェネズエラの石油をアメリカに持ってきてそれを売って利益をアメリカ国民とヴェネズエラ国民のために使うという発表を行った。結局、これがトランプのやりたかったことだ。アメリカ軍は駐留しないで、石油を分捕ってきてアメリカ国民に利益を分け与える。各世帯に2000ドル(約31万円)を支給するということを発表していたが、そのための原資ができたということになる。駐留はなしで儲かるとなれば、アメリカ国民の間でも支持は広がるだろう。

 2026年の中間選挙では共和党は厳しい戦いを強いられると予想されていた。しかし、トランプ大統領のバラマキがうまくいけば、共和党は劣勢を挽回することができるだろう。そして、トランプは影響力を保持することになる。最後の1年はレイムダックするだろうが、共和党の政治家たちへの影響力を残すことはできる。しかし、国際的には、アメリカの衰退は印象付けられることになり、アメリカ衰退の大きな流れを変えることはできないままである。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領のヴェネズエラ戦略についてアメリカ人は本当のところはどう考えているか(What Americans Really Think About Trump’s Venezuela Gambit

-新しい世論調査は変化するアメリカ世論を鮮やかに描き出している。

クリスティーナ・リュー筆

2026年1月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/06/trump-venezuela-maduro-public-opinion-poll/

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14日にワシントンのホワイトハウスに到着後に南庭園(サウスローン)を歩くドナルド・トランプ米大統領

ドナルド・トランプ米大統領は、ヴェネズエラへの最近の攻撃とニコラス・マドゥロ大統領追い落としを「素晴らしい」と称賛しているが、最新の世論調査によると、この動きをめぐってアメリカ国民の意見は依然として大きく分かれている。

先週末の作戦以前の世論調査では、アメリカ国民はヴェネズエラにおけるいかなるアメリカ軍の行動にも概ね反対していたことが示唆されていた。例えば、2025年12月にキュニピアック大学が実施した世論調査では、回答者の約63%が反対を表明したのに対し、2025年11月にCBSニューズ/ユーガヴが実施した調査では、なんと70%が反対を表明した。

しかし、ロイター社とイプソス社が月曜日に発表した最新の世論調査結果によると、今週末の展開に対するアメリカ国民の支持と不支持は、より均衡して分かれている。この世論調査は1月4日と5日に実施され、全国の成人1200人以上を対象に行われた。世界の注目を集めるようになった物議を醸す軍事作戦をアメリカ国民がどう見ているか、興味深い一面を示している。

アメリカの攻撃に対して複雑な反応を示しているのは、世界の指導者たちだけではないことが判明した。世論調査の結果は、アメリカ国民も幅広い見解を抱いており、明確にトップに立つ反応は存在しないことを示唆している。しかし、明確なのは、ホワイトハウスがヴェネズエラの内政問題に深く関与しすぎることへの警戒感だ。

世論調査を実施したイプソス・パブリック・アフェアーズの世論調査部門主任兼上級副会長アレック・タイソンは「アメリカ国民はあまり関与したくないと考えている。アメリカ軍がヴェネズエラに駐留することを望んでいない」と述べた。

タイソンは続けて、「これは政権にとって非常に狭い道筋を示している。アメリカ国民は肯定的な結果を受け入れる、あるいは期待しているかもしれないが、過度に関与することには非常に慎重だ」と述べた。

この課題はデータにも反映されている。調査回答者の33%がアメリカの軍事行動を支持し、不支持の34%とほぼ同数だった。また、深刻な不確実性も存在し、32%の人がどう感じるべきか分からないと回答した。

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世論は党派によってさらに大きく分かれている。例えば、共和党員の約3分の2がトランプ大統領の作戦を支持した。一方、民主党員は同じ割合の人が反対した。

世論調査は、ホワイトハウスによるヴェネズエラの独裁者ニコラス・マドゥロの追い落としが、ヴェネズエラの安定、生活の質、そして選挙の公正さにプラスの影響を与える可能性があるという、やや楽観的な見方を示している。しかし、こうした感情もまた党派によって分かれており、共和党員は軍事作戦の影響について概ね楽観的であったのに対し、民主党員ははるかに懐疑的であった。

そして、全般的に見て、より大きな懸念は、トランプ政権の作戦によってアメリカがヴェネズエラ情勢にさらに永続的に巻き込まれるのではないかという懸念と、それに伴う経済的損失やアメリカ軍人の生命への危険に対する懸念であるようだ。

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回答者のおよそ4分の3が、アメリカがヴェネズエラ情勢に「過度に関与する(too involved)」ことを懸念していると述べた。この意見は、民主党支持者の90%、共和党支持者の半数以上が共有している。

タイソンは「アメリカ国民はヴェネズエラへの関与について限定的、ここは強調しておくが限定的であるべきと考えていることを明確にしておきたい」と述べた。

ロイター・イプソスによる今回の調査で示された感情は、『ワシントン・ポスト』紙が最近行った世論調査の結果とほぼ一致している。この世論調査でも、軍事作戦に対する国民の反応はほぼ二分されていることが分かった。ワシントン・ポストによると、回答者の40%が攻撃を支持し、不支持は42%、不明は18%だった。

この調査では、トランプ大統領が以前示唆したように、ヴェネズエラを支配しようとするアメリカのいかなる試みも、アメリカ人は概して支持しないだろうことも示唆された。回答者の45%がそのような行動に反対すると回答し、30%は分からないと回答した。支持すると答えたのは、回答者の約4分の1に過ぎなかった。

この世論調査で最も顕著な結果の1つは、回答者の圧倒的多数、つまり94%が、ヴェネズエラ国民自身が将来の国の指導者を決めるべきだと考えていることだ。

※クリスティーナ・リュー:『フォーリン・ポリシー』スタッフライター。Blueskyアカウント:@christinalu.bsky.socialXアカウント:@christinafei

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