古村治彦です。

 ジェフリー・エプスタインの性犯罪に関するファイル公開で、アメリカ連邦議会では公聴会の席上で激しいやり取りがなされている。パム・ボンディ司法長官は民主党所属の連邦議員たちからの攻撃に対して反撃を行った。ボンディ司法長官の防衛ラインは、ドナルド・トランプ大統領に飛び火しないことで、トランプの周辺人物たちに関してはいざとなったら切り捨てることも視野に入っていると思われる。1回目の公開で50万ページ、今回の公開で300万ページという膨大な分量で、被害者の名前以外にも重要な部分は編集されているということで、編集されていない文書の閲覧が認められている議員たちが司法省に行って調べるということも難しいとなると、事件に関わった全員の名前が判明することはほぼないだろう。
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アラン・ダーショウィッツ(左)とジェフリー・エプスタイン

 ジェフリー・エプスタインが、アメリカ国内の「イスラエル・ロビー」と深い関係にあったことは分かっている。エプスタインの顧問弁護士を長年にわたって務めたアラン・ダーショウィッツ(元ハーヴァード大学法学教授)は、イスラエル・ロビーの一員と言える存在である。エプスタインとダーショウィッツが攻撃対象にしたのは、『イスラエル・ロビー』の共著者シカゴ大学教授ジョン・J・ミアシャイマーとハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトだった。『イスラエル・ロビー』は、アメリカ国内の親イスラエル諸組織(総称して「イスラエル・ロビー」)がいかにしてアメリカ政治に影響を与えてきたかを詳述した内容だ。もちろん、イスラエル・ロビーの後ろにはイスラエル政府、特に情報機関であるモサドが控えている。イスラエル・ロビーの活動が明らかにされてしまうと、アメリカ政界への影響力行使がやりにくくなる。イスラエル政府とイスラエル・ロビーが共著者であるミアシャイマーとウォルトを貶めよう、彼らの評判を落とそうとするのは当然のことだ。
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スティーヴン・M・ウォルト(左)とジョン・J・ミアシャイマー

 エプスタインは各名門大学に多額の資金提供を行い、学者たちにも食い込んでいた。彼の顧問弁護士であるアラン・ダーショウィッツはハーヴァード大学教授でもあった。彼らの工作によって、ウォルトは、ハーヴァード大学ジョン・F・ケネディ記念行政大学院(通称ケネディスクール)の学院長就任を妨害された。このことをミアシャイマーは証言している。

 こうしたことから、ジェフリー・エプスタインはイスラエル政府、情報機関モサドのエイジェントだったのではないかという疑惑も出ている。これについての確たる証拠は出ていない。しかし、周辺人物、協力者であったことは間違いない。
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ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェル
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ギレーヌ・マクスウェルとロバート・マクスウェル

 今回のエプスタイン・ファイル公開で、エプスタインの恋人で側近のギレーヌ・マクスウェルの父親ロバート・マクスウェルにもスポットライトが当たることになった。それは、マクスウェルが冷戦下における、国際スパイ、しかもトリプルエイジェントだったという話が現在も出残っているからだ。マクスウェルはチェコスロヴァキア出身のユダヤ人で、ナチス政権下の迫害を逃れ、若くしてイギリスに難民として渡り、イギリス軍に参加して、語学の才能を活かして昇進を重ねた。戦後は巨大な出版グループを作り上げ、新聞王ロバート・マー―ドックを向こうに回して戦い、メディア帝国を築いた。また、労働党所属で下院議員を務めたこともあった。ロバート・マクスウェルは社会主義にも親近感を持っていたという話もある。そして、彼は、イギリス情報部MI6、旧ソヴィエト連邦のKGB、イスラエルのモサドの3つの機関のスパイだったとも言われている。1991年にはスペインのカナリア諸島沖で所有するヨットから転落して死亡している。これも怪死と言われている。彼は、イスラエルに大いに貢献した人物として、イェルサレムのオリーヴ山に埋葬されている。

ジェフリー・エプスタインとロバート・マクスウェルは直接面識があったかどうかは定かではないが、ロバートの娘であるギレーヌを通じてつながり、両者ともにイスラエルのために働いたという共通点を持つ。エプスタイン事件は、富裕層のセックススキャンダルという側面以外にも、国際エリート層と情報機関の関係など、様々な側面を持つ事件ということが出来るだろう。

(貼り付けはじめ)

ジェフリー・エプスタインとイスラエルの関係とはどのようなものか?(What were Jeffrey Epstein’s links to Israel?

-新たな文書によると、この不名誉なアメリカ人金融家はイスラエルの諜報機関や入植者グループと関係があったと一部の人が考えていることが明らかになった。

サイモン・スピークマン・コーダル筆

2026年2月9日

アルジャジーラ

https://www.aljazeera.com/news/2026/2/9/what-were-jeffrey-epsteins-links-to-israel

米司法省が長年にわたるキャンペーンを経て、有罪判決を受けた性犯罪者に関する数百万点に及ぶ文書を公開したことで、悪名高いアメリカの金融家ジェフリー・エプスタインとイスラエルの関係がますます明確になりつつある。

これらの文書は、イスラエルの元首相エフード・バラクを含むエプスタインと世界のエリート層との交流について、より詳細な情報を明らかにしている。しかし、これらの文書には、「イスラエル国防軍友人の会(Friends of the Israeli Defense Forces)」や、入植者組織である「ユダヤ人国家基金(Jewish National Fund)」といったイスラエルの諸組織への資金提供、そしてイスラエルの海外諜報機関との関係も記録されている。

米司法省がエプスタインに関する数百万点に及ぶ文書を最後に公開してから10日、そして彼がアメリカ国内で拘束中に死亡してから10年半が経過した現在も、エプスタインと世界のエリート層との交流に関する詳細は、依然として世界のニューズの見出しを飾っている。

私たちにとって分かっていることを以下に掲載する。

(1)エプスタインはイスラエルのスパイだったのか?(Was Epstein a spy for Israel?

これらの文書は、エプスタインがイスラエルの情報機関の工作員だったと考える人々にとってさらなる証拠となるものの、依然として確言できるものではない。

FBIロサンゼルス支局が2020年10月に作成したメモによると、情報筋の1人がエプスタインを「モサドに雇われたエイジェント(was a co-opted Mossad agent)」だと信じるようになったということだ。

このメモによると、この悪名高い金融業者はイスラエルの情報機関のために「スパイとして訓練された(trained as a spy)」とされている。

情報筋はまた、エプスタインが長年顧問弁護士を務めた、ハーヴァード大学法学教授アラン・ダーショウィッツを通じて、アメリカおよび同盟諸国の情報機関と繋がりを維持していたと主張した。ダーショウィッツのネットワークには「裕福な家庭出身の多くの学生(many students from wealthy families)」が含まれていたという。メモには、ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子で特使を務めるジャレッド・クシュナーと、その弟ジョシュ・クシュナーの2人がダーショウィッツの元学生として挙げられている。

エプスタインのメールのやり取りからは、彼がエフード・バラクの上級補佐官やイスラエル軍情報部のヨニ・コーレンと広範囲に接触していたことも明らかになっている。コーレンはエプスタインのニューヨークの自宅を定期的に訪れており、2012年の癌治療費もエプスタインが支払ったとみられる。

イスラエルとのつながりはさらに遡る。エプスタインの元恋人で共謀者でもあるギレーヌ・マクスウェルの父親であるイギリスの新聞王ロバート・マクスウェルは、イスラエル情報機関とのつながりが長らく噂されていた。

マクスウェルはイスラエル経済に資金を注ぎ込み、1991年に会社の年金基金から数百万ドルを横領した後、ヨットから転落して謎の死を遂げたとされている。

エプスタイン自身も、イスラエルの諜報機関モサドがマクスウェルの死に関与したのではないかと疑っていたようだ。エプスタインが2018年に送ったメールの件名は「彼は逝去した」でマクスウェルに言及していた。

メッセージの中で、エプスタインはマクスウェルが以前イスラエルの諜報機関を脅迫したと主張し、「彼ら(モサド)が崩壊しつつある彼(マクスウェル)の帝国を救うために4億ポンドを提供しなければ、自分が彼らのためにしてきたことを全て暴露すると脅した」と記していた。

エプスタインはまた、マクスウェルが非公式の工作員(an informal operative)としてアメリカ、イギリス、ソ連に関する情報を収集していたとも主張した。

(2)エプスタインは各諜報機関の関心の対象だったのだろうか?(Would Epstein have been of interest to intelligence agencies?

世界のエリート層と強いつながりを持ち、彼らに関する機密情報も潜在的に持つ国際的な金融家であるエプスタインは、諜報機関が頼りにするタイプの人物だ。

キングス・カレッジ・ロンドンの講師であるアーロン・ブレグマンは「エプスタインがモサドに接触しなかったとは考えにくい」と述べた。ブレグマンとエジプトのモサド工作員とされるアシュラフ・マルワンとの関係は、書籍と映画『地球に落ちたスパイ』の原作となっている。

「アシュラフ・マルワンのケースと同じだ。イスラエルとエジプト両国間の和平が成立したため、エジプトに関する報道はもはや必要なかったにもかかわらず、モサドは彼と再び接触し、扉を開くために利用しようとしたのだ」とブレグマンは述べた。

彼自身も親イスラエル派として物議を醸す人物であるダーショウィッツは、エプスタインについて「どの情報機関も彼を本当に信頼することはないだろう(No intelligence agency would really trust him)」と述べ、これらの主張を否定している。ダーショウィッツはさらに、もしエプスタインが情報工作員であったなら、弁護士(つまり自分自身のこと)に報告していたはずだと付け加えた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ現首相も、エプスタインがモサド工作員だったという主張を否定し、ツイッターで「ジェフリー・エプスタインとエフード・バラクの異常に親密な関係は、エプスタインがイスラエルのために働いていたことを示唆するものではない。むしろその逆である」と投稿した。

バラクは長年にわたりネタニヤフの政敵の一人であった。

英国の諜報機関MI6のロシア担当部門をかつて率いていたクリストファー・スティールを含む他の情報筋は、エプスタインが「ロシアの組織犯罪者にリクルートされた」可能性が「かなり高い」と示唆している。また、ポーランド政府は、故人となった性犯罪者とロシア国家情報機関とのつながりについて調査を開始した。

(3)エプスタインと複数のイスラエル関連組織との関係について、私たちは何を知っているだろうか?(What do we know about Epstein’s relationship with Israel-linked organisations?

エプスタインは自身のCOUQ財団を通じて、少なくとも1回は「イスラエル国防軍友の会(FIDF)」と「ユダヤ国家基金(JNF)」に資金を提供しており、2006年には「イスラエル国防軍友の会」に2万5000ドル、「ユダヤ国家基金」に1万5000ドルを寄付した。

「イスラエル国防軍友の会」のウェブサイトによると、この組織はイスラエル軍兵士向けのプログラムに資金を提供している。同組織はウェブサイトを通じて、寄付者に対し、非武装民間人の殺害、被拘禁者の殺害、拷問、虐待行為で広く非難されている第97ネツァ・イェフダ大隊のような旅団や大隊への支援を呼びかけている。

「ユダヤ国家基金」はまた、歴史的にユダヤ人市民にイスラエル国内への上陸を特権的に認めながら、「環境保護主義(environmentalism)」を装ってパレスチナ人のアクセスを制限してきたとして非難されている。

活動家たちは、「ユダヤ国家基金」が過疎化した村落に植林事業を行うことでパレスチナ人コミュニティの強制移住を助長していると非難している。占領下のヨルダン川西岸、特にグシュ・エツィオン入植地群における入植活動を支援しているとの疑惑から、一部の国から慈善団体としての地位剥奪を求める声が上がっている。さらに、「ユダヤ国家基金」は環境活動が地域の生態系に悪影響を及ぼしているとの批判も受けている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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