古村治彦です。
ドナルド・トランプ大統領は現在二期目であるため、次の大統領選挙には立候補できない。2028年の大統領選挙の共和党候補者として最有力なのはJ・D・ヴァンス副大統領だ。現在のところ、各種世論調査で2位を争っているドナルド・トランプ・ジュニア、マルコ・ルビオ国務長官に大差をつけてリードしている。
J・D・ヴァンスと彼を支える周辺人物たちは大統領選挙に向けて準備をしている。私はそのことを以下の記事で書いた。ヴァンスと周辺人物たちについては、拙著『』(ビジネス社、2025年)で詳しく解説している。是非お読みいただきたい。
※「2026年03月01日 J・D・ヴァンス副大統領は2028年の大統領選挙に向けてまずは地元のオハイオ州を固めていく」
https://suinikki.blog.jp/archives/90347241.html
ヴァンス副大統領は今回のイランに使嗾された、イランへの大規模攻撃に反対していた。そのことは報道が出ているし、このブログでも紹介した。トランプ大統領の決心を覆すことが出来ないと判断すると「大規模にそして迅速に(go big and go fast)」攻撃を行うようにと主張するようになったという報道が複数出ている。「ヴァンスが戦争反対の立場を変えた」という文脈での報道であるが、これは誤りだ。ヴァンスの真意は「攻撃を止めることが出来ないなら、戦争を短期間で終わらせるために、大規模でかつ迅速に攻撃を行う」ということである。ヴァンス副大統領の念頭には第一次湾岸戦争があっただろう。あの時は、アメリカ軍は圧倒的な物量と最先端の兵器で、イラク軍を鎧袖一触、良い表現ではないが、瞬殺と言える短期間での完勝であった。しかし、イラン戦争は世界中が目撃しているように、イランを屈服させることに失敗し、それどころか、アメリカやイスラエルが苦境に立たされるほどになっている。
今年2026年11月には連邦上下両院の選挙と一部の州で州知事選挙が実施される。現在のところ、トランプ大統領への支持率が上昇せず、それに伴い、共和党が劣勢の状態に置かれている。このままでは共和党の勢力は低下する。そうなると、共和党内部からトランプ大統領に対する批判も強まる。これまでは、トランプに従っていなければ自分の選挙が危ないということで面従腹背も含めて従っていたが、中間選挙で負けて、2028年の選挙にトランプは出ないとなれば、トランプの意向や支持を気にする必要もなくなる。トランプは「レイムダック化」して力を失うだろう。その際に重要になってくるのは、ヴァンス副大統領の存在である。ヴァンスとしては、トランプを支える姿勢を示しながら、同時に違いをきちんと印象付けるということもできなくてはいけない。非常に難しいかじ取りを行うことになる。
(貼り付けはじめ)
【分析】イランとの戦争から距離を置くバンス副大統領、その姿勢はますます顕著に
CNN日本版
2026.03.16 Mon posted at 14:49 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35245059.html
(CNN) 昨年6月、トランプ米大統領がイランの核開発計画をたたく攻撃を命じたわずか数時間後、バンス副大統領は日曜のテレビ番組2本にはしご出演し、作戦の成功を称賛した。バンス氏の言葉は熱烈で、「incredible(信じられない)」あるいは「incredibly(信じられないほど)」という単語を1分足らずの間に4回も使うほどだった。
今年1月には、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束するトランプ氏の作戦の数時間後にX(旧ツイッター)に現れ、作戦の合法性を強い調子で擁護した。
トランプ氏がイランとの戦争を開始して2週間が経つが、バンス氏は今回、こうした公の場での支持表明のような発言をまだ行っていない。
その姿勢は13日、記者から、開戦当初やその後、トランプ氏にどんな助言をしたかと聞かれた時も変わらなかった。
バンス氏は長々と答えたものの、戦争に対する個人的な見解を表明するのは避けた。
ノースカロライナ州で取材に応じたバンス氏は記者団に対し、「期待に添えないのは嫌だが、あの機密の部屋で正確に何と言ったかを大っぴらに話すようなことはしない」とコメント。ここで言う「機密の部屋」とはホワイトハウスのシチュエーションルーム(危機管理室)を指す。
さらに「一つには刑務所に行きたくないからだが、もう一つには、大統領は側近が米国メディアにべらべらしゃべるのを心配せず側近と話をできることが重要だと思うからだ」と続けた。(バンス氏が自らの見解を表明することがどうして犯罪になるのかは不明だ。バンス氏に投げかけられた質問は、トランプ氏への助言に関する一般的な内容で、機密扱いされる類いのものでは全くなかった)
奇妙な受け答えではあるが、バンス氏がいかにこの話題を避けているかをまざまざと示すものでもある。
実際、これまでのところ最もニュース価値が高いバンス氏のコメントは、この戦争が長期化しないと請け合った発言だった。
強い支持を打ち出さないバンス氏の姿勢は少し前から目立っていたが、それはさらに顕著になっている。
CNNの報道では、バンス氏は当初、中東での新たな戦争に反対する助言を行っていたものの、トランプ氏が軍事行動に傾いているのが明らかになると立場を変え、迅速かつ決定的な攻撃を提唱するようになった。バンス氏の当初の慎重姿勢は、非介入主義の利点を説いてきた過去の発言とも一致する。
バンス氏は上院議員だった2023年の寄稿で、トランプ氏が大統領として成功した大きな理由は、戦争に関与しなかったからだとつづった。24年には、特にイランとの戦争は米国の利益にならず、「リソースの多大な浪費」につながると指摘。20年にトランプ氏がイランの軍司令官の殺害を命じた際も、バンス氏は戦争への警鐘を鳴らしていた。さらに昨年の「シグナル・ゲート」で明らかになった非公開メッセージでは、イエメンの反政府武装組織フーシに対するトランプ氏の攻撃にも懐疑的だったことが示されている。
ただ、バンス氏はトランプ氏の副大統領という立場だ。ナンバー2を含め、周囲に卑屈なまでの忠誠を求めることが多いトランプ氏の下にあって、バンス氏が少なくとも一定の慎重姿勢を保っているのには驚かされる。
政権に批判的な人の目には、政治的打算が働いているように見えるだろう。つまり、バンス氏は28年の大統領選を見据えて保身を図っているとの見方だ。しかし、バンス氏の距離を置く姿勢は政治的なアキレス腱(けん)にもなり得る。
大半の世論調査で今回の戦争への支持が低迷するなか、ホワイトハウスはしばしば、MAGA(米国を再び偉大に)運動内での強固な支持を強調してきた。ところが、国内で2番目に強力なMAGA派の政治家であるバンス氏が、十分な政治的支持を打ち出すことすら渋っているのだ。
しかも、その姿勢をさして取り繕っているわけでもない。
1月の対ベネズエラ作戦後はすぐさまXで政権を擁護したバンス氏だが、ここ2週間はSNSで非常におとなしい。実際、戦争が始まってからの個人アカウントでの投稿はわずか8回にとどまる。(ただ、ここ数カ月のバンス氏が戦争開始前からSNSでの発信を減らしているように見えた点は指摘しておいて良いだろう)
バンス氏の個人アカウントや公式アカウントにはイランに関する投稿もあるが、大半は死亡した兵士について言及したり、トランプ氏の発言を共有したりする内容で、バンス氏自身の見解ではない。イランを巡るFOXニュースとのインタビューの内容も投稿している。
ただ、今月2日に行われたこのインタビューのテーマはイランだったが、バンス氏は戦争に関する見解の表明をおおむね避けた。
特徴的なのは、トランプ氏はどう考えているか、トランプ氏はどう言っているかをバンス氏が繰り返し強調したことだ。「大統領はこう見ていた」「大統領はこう判断した」「大統領はこう考えた」「大統領はこうしたかった」「大統領は極めて明確だ」「大統領はこう望んでいる」「大統領の目的は」「大統領は満足するだろう」――。
ある程度までは、それがバンス氏の仕事ではある。大統領の見解について話すのがバンス氏の役割なのだから。ただ、昨年6月のイラン核施設攻撃の後には、個人的な考えや感じ方をもっと語っていた。
FOXニュースへの出演で大きな注目を集めたのは、今回はイラクやアフガニスタンのような数十年単位のプロセスにはならないとバンス氏が請け合った点だ。
他の公の場でもイランに関する発言は少ない。9日に国際消防士協会で行った演説では、死亡した軍の要員に短く触れただけだった。ノースカロライナ州での13日の演説でも、話題を経済にほぼ絞った。
政権との間にずれがあるのではないかとの質問は、バンス氏本人以外にも向けられている。トランプ氏もヘグセス国防長官もこの問題について聞かれた際、バンス氏の立場は大統領とは異なっているとの見方に強く反論しなかった。
トランプ氏は9日、バンス氏と意見の相違があるのかと問われ、「そうは思わない。いや、我々はこの件で非常にうまくやっている」と答えた。
しかしその後、トランプ氏はやや含むところがある様子をほのめかし、「彼は哲学的に私と少し違うようだ。私ほど攻撃に熱心ではなかったように思うが、それでもかなり熱心だった」と振り返った。
ヘグセス氏は13日、バンス氏とトランプ氏の間に「亀裂」はあるかと聞かれ、正面からの答えを避けた。
「副大統領に関して言えば、素晴らしいメンバーであり、大統領や国務長官と並んでチームのリーダーでもある」。ヘグセス氏はそう述べ、このチームは大統領にさまざまな選択肢を与えていると言い添えた。「副大統領はその中で日々、重要な声を上げる存在だ。実際、その声は欠かすことができない」
どんな理由にせよ――哲学的な理由なのか政治的な理由なのか、それともその両方なのか――バンス氏は戦争に全面的には賛同していないとの見方を打ち消す材料を全く提供していない。そして政権側も、バンス氏が距離を保つことを容認している。
しかし戦争が長引くにつれ、いつまでその姿勢を維持できるかはまだ分からない。
◇
本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。
=====
J・D・ヴァンス副大統領はイラン戦争に関するドナルド・トランプ大統領への助言の詳細を明かすことを拒否した。それは「機密」だからだ(Vance declines to detail his advice to Trump on Iran war: It’s
‘classified’)
ジュリア・マンチェスター筆
2026年3月13日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/5783374-vance-trump-disagreement-iran/
J・D・ヴァンス副大統領は金曜日、アメリカ軍のイラン攻撃に関してドナルド・トランプ大統領にどのような助言をしたのかを明かさず、記者団に対し「機密(classified)」だと述べた。
ヴァンスは、ノースカロライナ州ロッキーマウントで記者団に対して、「皆さんを失望させるのは本意ではないが、皆さんの前で、あの機密の部屋(classified room,)で私が何を言ったのかを具体的に話すためにここにいるのではないと語った。ここで言及されている機密の部屋とはホワイトハウスのシチュエーションルーム(the White House Situation Room)のことだ。
「一つには、刑務所に行きたくないからだ。そしてもう一つは、米大統領が側近たちと直接話し合えること、そして側近たちがアメリカのメディアにその内容をペラペラ話さないことが重要だと考えているからだ」とヴァンスは続けた。
ヴァンス副大統領の発言は、イラン問題を巡ってヴァンス副大統領とトランプ大統領の間に意見の相違があるとの報道がここ数日相次いでいる中でなされた。ヴァンス副大統領は過去に、アメリカの長期にわたる海外紛争への介入に反対の立場を表明している。
トランプ大統領は月曜日、ヴァンス副大統領は開戦当初は「おそらく私ほど熱心ではなかった」と述べたものの、自分と副大統領は「この件に関しては非常にうまくやっている」と語った。
トランプは続けて、「彼は、哲学的に言えば、私とは少し違っていた。おそらく私ほど熱心ではなかったと思うが、それでもかなり熱心だった」と述べた。
トランプは次のように語った。「しかし、私はこれはやらなければならないことだと感じていた。他に選択肢はなかった。もし私たちがやらなければ、彼らが私たちにそうさせただろう」と大統領は述べた。「スティーヴ・ウィトコフ、ジャレッド・クシュナー、マルコ(・ルビオ)、ピート(・ヘグセス)、そして関係者全員との話し合いから、彼らは私たちを後押ししようとしていると感じた」。
ピート・ヘグセス国防長官は金曜日、報道された大統領とヴァンス副大統領の間の意見の相違について問われた際、ヴァンス副大統領を擁護し、政権にとって「欠かせない声(ndispensable voice)」だと述べた。
「彼は大統領や国務長官と並んで、このティームの素晴らしいメンバーであり、リーダーでもある」とヘグセス長官は国防総省での記者会見で記者団に語った。
「このティームの素晴らしさ、連携の取り方、大統領への選択肢の提示の仕方については、いくら褒めても褒め足りない」と長官は続け、「そして副大統領は、毎日、そのティームにおいて重要な役割を果たしている」と述べた。
=====
ピート・ヘグセス国防長官はイラン問題でJ・D・ヴァンス副大統領がドナルド・トランプ大統領と意見対立しているとの報道に対しヴァンスを擁護した(Hegseth defends Vance over reports of division with Trump over Iran)
ジュリア・マンチェスター筆
2026年3月13日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/5782614-hegeseth-defends-vance-iran/
ピート・ヘグセス国防長官は、イランにおけるアメリカ軍作戦を巡り、J・D・ヴァンス副大統領とドナルド・トランプ大統領の間で意見の相違があるとの報道について金曜日に質問された際、ヴァンス副大統領を政権内で「欠かせない声(indispensable voice)」と称賛し、ヴァンスを擁護した。
「ヴァンス副大統領は大統領や国務長官と並んで、このティームの素晴らしいメンバーであり、リーダーでもある」とヘグセス長官は国防総省での記者会見で述べた。
ヘグセスは「このティーム、その連携の取り方、大統領に選択肢を提供する能力については、いくら褒めても褒め足りない。そして、副大統領は、毎日、そのティームにおいて重要な役割を果たしている」と続けて述べた。
過去にアメリカの長期にわたる海外紛争への関与に反対してきたヴァンス副大統領が、イラン作戦の構想に懐疑的だったとの報道が出ている。
トランプ大統領は月曜日、ヴァンス副大統領は開戦当初は「やや消極的だったかもしれない(maybe
less enthusiastic)」と述べたものの、自身と副大統領は「この件に関して非常に良好な関係を築いている」と語った。
トランプ大統領は続けて、「彼は、哲学的に言えば、私とは少し違っていたと言えるだろう。彼は私ほど熱心ではなかったかもしれないが、それでもかなり意欲的だった」と語った。
トランプ大統領はさらに次のように語った。「しかし、私にはそれがやらなければならないことだと感じた。選択肢はないと感じた。もし私たちがやらなければ、彼らが私たちに同じことをしただろう。スティーヴ・ウィトコフ、ジャレッド・クシュナー、マルコ(・ルビオ)、ピート(・ヘグセス)、そして関係者全員との話し合いを通じて、彼らは私たちを後押ししようとしているように感じた」。
先週のフォックスニューズのインタヴューで、ヴァンスはイランへの攻撃が長期紛争に発展するという見方を否定した。
ヴァンスはフォックスニューズのインタヴューで、「ドナルド・トランプ大統領が、明確な終結も明確な目的もないまま、この国を何年も続く紛争に巻き込むことを許すはずがない」と語った。
ヴァンス副大統領は次のように語っている。「トランプ大統領の何が他と違うのか、そして率直に言って過去の共和党員や民主党員と何が違うのか、それは明確な目的がない限り、国を戦争に巻き込まないという点だ。彼はその目的を、イランが核兵器を保有できないようにし、核能力を再構築しようとしないという長期的な約束をさせることだと定義している。これは非常に明確で、非常にシンプルだ。そして、これはイラクやアフガニスタンで経験したような問題に陥らないことを意味すると思う」。
(貼り付け終わり)
(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』




コメント