古村治彦です。
2026年4月1日のアメリカ国内のプライムタイム(夜間の良い時間帯)において、ドナルド・トランプ大統領がイランについての演説を行った。メディアでは何か新しい内容が話されるのではないかという予想もあったが、実際には具体性に欠けた内容であった。記者とのやりとりやSNS上で発信される発言以上の内容はなく、イランに対して「石器時代に戻してやる」という脅しを行ったがそれ以上の内容はなかった。一部には、アメリカのNATO脱退について言及されるのではないかという予想もなされていたが、それもなかった。即時の停戦、もしくは大規模な地上軍を使っての攻撃についての言及がなく、市場は失望から原油価格が上昇し、株価は下落した。
イラン戦争はアメリカ国民の支持を得ていない。トランプ大統領の支持率はじりじりと下がり続けている。支持率は40%台中盤の数字を維持してきたが、それが40%台から30%台後半の数字を記録するようになっている。平均すれば支持率は40%程度、不支持率は55%程度となっている。世界的な石油価格上昇の影響はアメリカ国内経済にも波及し、アメリカ国内の状況は厳しさを増している。現状の厳しさの最大の要因はイラン戦争であるが、トランプ大統領の支持率の低迷がイラン戦争決断の理由の1つだったことは考えられる。イランを早期に叩き、核開発を阻止し、邪悪な体制を倒したということになれば、支持率は一気に上昇しただろう。しかし、このような目論見は完全に外れた。トランプの決断は失敗だったということになる。今となっては、戦争のエスカレーションをさせないことが重要になっているが、イスラエルがトランプの意向を無視することも考えられる。
今回のトランプ演説には大きな効果はなかった。言葉だけで状況を改善することはできない。決断と行動が必要である。時間が経過すればするほど、決断と行動の選択肢は狭くなっていく。最後には逃げるようにして、最後っ屁のように「勝利宣言」をして逃げ出さねばならなくなる。そうなれば、トランプ政権と共和党は終わりだ。2028年の大統領選挙にまで影響を与える。これからのトランプ政権は無力化することになる。そして、更に支持率上昇の賭けに走ることになる。世界はさらに不安定さの中に進むことになる。
(貼り付けはじめ)
イランに関するドナルド・トランプ大統領による演説の5つのポイント(Five
takeaways from President Trump’s address on Iran)
ナイオール・スタンジ筆
2026年4月1日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/5812338-trump-address-iran-war/
ドナルド・トランプ大統領は水曜夜、イランとの戦争開始から1カ月以上が経過した時点で、プライムタイムにイラン戦争に関する演説を行った。
イスラエルと連携して戦争を開始したトランプ大統領の決断は、ますますリスクの高いものに見えるようになっている。
この紛争は開始当初から国民の支持を得られていない。ガソリン価格の高騰と金融市場の混乱は、アメリカ国民の負担を増大させている。
各種世論調査では、トランプ大統領の支持率は2期目の最低水準、あるいはそれに近い水準まで低下している。
トランプ大統領と支持者たちは、イランに対する行動を起こした大統領の手腕を称賛し、アメリカ軍が達成した成果を強調している。
以下に、トランプ大統領の演説の主なポイントを挙げる。
(1)見出しの主張:「完了間近」(The headline claim:
“Nearing completion”)
トランプ大統領は約19分間の演説を実施したが、その内容は既に発言したりソーシャルメディアに投稿したりした内容の繰り返しに過ぎなかった。
ホワイトハウスがこの演説で意図した見出しは、トランプ大統領が「アメリカの核心的戦略目標が完了間近である(core strategic objectives are nearing completion)」と主張した点だったようだ。
その後、トランプ大統領は「私たちは非常に速いペースでこれを完了させるつもりだ。私たちは終了に非常に近づきつつある」と付け加えた。
この発言は、イラクやアフガニスタン、あるいは一世代前のヴェトナムで見られたような泥沼化(quagmire)が再び起こる危険性はないとアメリカ国民を安心させることを目的としている。
しかし、トランプ大統領の発言には具体的な内容がほとんどなかった。彼が言及した目標は、本質的に主観的なものだ。
また、トランプ大統領の発言には、イランに対してさらなる破壊行為を示唆する、これとは対照的な一面もあり、結果的に同じくらい注目を集めている。
(2)言及されなかった点で注目される演説(A speech notable for
what was not said)
ニュースという観点から見ると、この演説は期待外れだった。
演説開始直前の数分間は憶測が飛び交ったが、―今思えば、それはあまりにも行き過ぎだった。
トランプ大統領がNATOからの脱退に踏み切るか、イランの濃縮ウランを掌握するために地上部隊の投入に踏み切るかという予測は、いずれも誤りだった。
トランプ大統領は、イランの長年にわたる対米敵対行為を改めて強調し、バラク・オバマ前大統領時代に締結された核開発に関する合意を批判し、イラン海軍と空軍に与えた損害を誇らしげに語った。
問題は何か? トランプ大統領がこれまで戦争について述べてきたことを少しでも知っている人にとっては、これらの発言は全く驚くべきことではなかったということになる。
トランプ大統領にとって最大の政治的困難は、なぜ今この戦争が必要なのかという明確な根拠を示せていないように見えることだ。
この失敗は、共和党内の一部の議員をも困惑させている。先月、トム・ティリス連邦上院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)は、ABCの番組「ディス・ウィーク」に出演した際、この戦争の「主要な目的(primary
objective)」は何かと問われた。
ティリスは「分からない。目的が分からないこと、これが本当に問題だと私は考える」と答えた。
これは、トランプ大統領が水曜夜に明らかに解決できなかった問題である。
(3)市場からの最初の反応はマイナス評価だった(An initial
thumbs-down from the markets)
トランプ大統領は、自身の言動に対する市場の反応を常に非常に重視している。
Trump always places a great deal of
importance on reaction to his words and deeds on the markets.
水曜夜の反応は、彼にとって決して満足のいくものではなかっただろう。
彼の発言後、原油価格は急騰した。演説直前に1バレル100ドルをわずかに下回っていたブレント原油は、演説終了から約1時間後には106ドルを超えた。WTI原油も4%以上上昇した。
アメリカの主要3指数全てにおいて、株価先物も急落し、約1%下落した。
確かに、市場はすぐに回復する可能性があり、先物市場は特に急激な方向転換に影響を受けやすい。
しかし、市場のネガティブなセンティメントは、紛争からの脱却に向けた明確な時間軸が示されなかったことと、トランプ大統領の演説における好戦的な要素という2つの要因によって引き起こされたようだ。
後者には、イランに「極めて厳しい(extremely hard)」打撃を与えるという約束が含まれていた。
「今後2、3週間で、彼らを本来あるべき石器時代に戻すつもりだ」とトランプ大統領は付け加えた。さらに「その間、協議は継続することになる」と述べた。
(4)トランプ大統領はガソリン価格の高騰について国民を安心させようと努めイランに責任を押し付けようとしている(Trump tries to reassure public — and blame Iran — on gas prices)
戦争が継続する中で、燃料費の高騰はアメリカ国民を苦しめている。アメリカにおけるレギュラーガソリン1ガロンあたりの平均価格は、紛争開始前よりも1ドル以上高くなっている。
水曜日、トランプ大統領は、アメリカ国民が経験している物価上昇は「短期的な上昇(short-term
increase)」に過ぎないという主張を改めて繰り返した。
さらに、価格上昇の責任をイランに直接押し付けようとし、「イラン政権が近隣諸国の商業石油タンカーに対して狂気じみたテロ攻撃を仕掛けたことが、全ての原因だ」と述べた。
これについてトランプは、「イランに核兵器を任せることは決してできないという、さらなる証拠だ」と述べた。
イランは、ペルシア湾岸諸国の石油施設を攻撃し、攻撃を受けた場合にはホルムズ海峡を封鎖しようとするだろうと広く予測されていた。ホルムズ海峡の再開が実現していないことは、トランプ大統領にとって大きな課題となっている。
演説の後半で、トランプ大統領は「この紛争が終われば、海峡は自然に開通し、ガソリン価格は急速に下落するだろう」と主張した。
(5)NATO加盟諸国にとっては比較的束の間の休息と言える状態になった(A brief respite — relatively speaking — for NATO allies)
トランプ大統領がNATO、そしてその主要同盟諸国に本気で打撃を与えるだろうという予測は誇張だったことが証明された。
トランプがこうした、同盟諸国との緊張関係に言及したのは、最近のソーシャルメディアへの投稿とほぼ同じ内容の発言だけだった。
彼は、現在燃料不足に苦しんでいる多くの国々は、「イランの首脳部排除に関与することを拒否した国々だ。私たちは自らそれをやらざるを得なかった」と述べた。
トランプは続けて、そうした国々はアメリカから石油を購入するか、「遅ればせながら勇気を振り絞って・・・海峡へ出ていって石油を入手すべきだ」と付け加えた。
この発言は、近年のどの米大統領も発言しないような内容だったが、NATO加盟諸国の一部が覚悟していたような全面的な非難には程遠いものだった。
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ドナルド・トランプは最新の世論調査で支持率が過去最低を記録しコア支持層からの支持を失いつつある(Trump losing support from core supporters as approval drops to
record low in new polling)
サラ・フォーティンスキー筆
2026年4月1日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/5810850-trump-approval-hits-new-low/
今週発表されたYouGov・エコノミスト誌の世論調査で、ドナルド・トランプ大統領の支持率は過去最低を記録した。これは、大統領の支持基盤からの支持低下が主な要因となっている。
最新の調査によると、トランプの支持率は35%、不支持率は58%となっている。支持率と不支持率の差はマイナス23ポイントになっている。
これは、先週のマイナス18ポイント、その前の週のマイナス19ポイント、さらにその前の週のマイナス15ポイントから大幅に低下したことを意味する。また、この数字は、バイデン前大統領の同時期の支持率マイナス6ポイント、トランプ大統領の1期目の同時期の支持率マイナス11ポイントと比べても著しく低い。
バイデン前大統領の支持率と不支持率の差の最低値もマイナス23ポイントで、これは大統領在任中に2回しか記録されておらず、いずれも任期最終年だった。
トランプ大統領の支持率と不支持率も、過去最高水準に近い水準にある。YouGovとエコノミスト誌の調査によると、トランプ大統領の支持率は、2期にわたって一度しか今回の水準を下回っていない。それは2017年11月にアメリカ国民の34%が支持した時だ。
同様に、不支持率も現在の水準を上回ったのは一度だけで、2026年2月に59%が不支持を表明した時である。
トランプ大統領の支持率低下は、主に支持基盤からの支持の弱まりによるものであり、これはイランにおけるアメリカ軍の軍事行動の強化、一部政府機関の閉鎖、そして株価の下落といった状況下で起こっている。
最新の調査によると、2024年の大統領選挙でトランプに投票した有権者のうち、大統領の職務遂行を支持する人は76%、不支持は19%となっている。両方の差は57ポイントだ。3週間前の調査では支持が84%、不支持が12%であり、その差は72ポイントであった。3週間で支持と不支持の差は15ポイント低下している。
最新の世論調査によると、トランプ大統領の65歳以上の有権者における支持率は、2期目に入ってから最低を記録した。支持率は40%、不支持率は57%で、差はマイナス17ポイントとなっている。先週の数字はマイナス10ポイントで、就任当初はマイナス1ポイントだった。
30歳以下の有権者の支持率も急激に低下しており、今週はマイナス40ポイント。先週はマイナス25ポイント、その前の週はマイナス39ポイント、さらにその前の週はマイナス29ポイントだった。
若年層の支持率は、2期目開始時のプラス5ポイントから、2025年10月には最低のマイナス54ポイントにまで落ち込んだ。
今回の調査は3月27日から30日にかけて実施され、回答者数は1679人、誤差は3.2ポイントだ。
(貼り付け終わり)
(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



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