古村治彦です。
ピート・ヘグセス国防長官が陸軍人事に介入し、アメリカ陸軍制服組トップのランディ・ジョージ陸軍参謀総長を更迭した。へぐセス国防長官はこれ以外にも、陸軍の文民(civilian)トップダン・ドリスコル陸軍長官と何度か衝突を繰り返している。そうした中で、ドリスコルと親しいジョージが辞任と現役からの退役を求められたという報道がデイル。ドナルド・トランプ大統領とホワイトハウスは現状について静観する構えを見せている。
ダン・ドリスコルについては拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年11月)で詳しく紹介した。ドリスコルは、J・D・ヴァンス副大統領とはイェール大学法科大学院以来の友人であり、お互いに軍務経験を持ち、地方の州立大学出身という共通点を持つ。ヴァンスが連邦上院議員当選後は、ドリスコルが補佐官を務めた間柄でもある。ヴァンスと親しいということは、当然のことながら、ピーター・ティールとも親しいということになる。
ドリスコルは、陸軍長官就任に際しての、連邦議会での公聴会で、「これまでの軍産複合体を構成する巨大企業(primeと呼ばれる)の1つを倒産させることが私の責務だ」という過激な発言を行ったが、将兵の数でいえばアメリカ5軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊)でも最大規模であり、武器や装備に関しても大規模である陸軍のトップとして、これまでの軍産複合体に喧嘩を売った。これはつまり、ヴァンスを通じて関係の深い、ピーター・ティールやイーロン・マスクが形成しようとしている、新・軍産複合体を使うという宣言である。実際に、ドリスコルは、ドローンの積極活用を進め、トランプ大統領から賞賛の言葉をかけられている。
このように見ていくと、アメリカ政府内の小さな事件が大きな構造の中での動きを示していることが分かる。ドリスコルは、トランプの後継者となるヴァンスの側近として、これからさらに重要な役割を果たすようになっていくだろう。
(貼り付けはじめ)
ピート・ヘグセス国防長官と対立したダン・ドリスコル陸軍長官が「辞任や退任」の計画はないと述べる(Army secretary who clashed with Hegseth says he has no plans to
‘depart or resign’)
フィリップ・ティモティジャ筆
2026年4月8日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/defense/5821970-driscoll-army-secretary-future/
ダン・ドリスコル陸軍長官は、昨年からピート・ヘグセス国防長官との間で度々緊張関係が続いているものの、陸軍長官を辞任するつもりはないと述べた。
ドリスコル長官は、『ザ・ヒル』誌への声明の中で、「ドナルド・トランプ大統領の下で働くことは生涯最高の栄誉であり、私はアメリカに世界最強の地上戦闘部隊を提供することに引き続き全力を注いでいる。陸軍長官を辞任するつもりはない」と述べた。
ドリスコル長官の発言は、2025年2月から務めているドリスコルの陸軍長官としての将来について、ホワイトハウス関係者の間で議論が交わされていたと報じられている中でなされた。これは、ヘグセス国防長官が、ドリスコル長官と親しいヴェテラン軍人であるランディ・ジョージ陸軍参謀総長を解任した後のことだ。
ドリスコルはイラクに派遣された経験を持つ元陸軍将校であり、ヴァンス副大統領の親しい友人である。
ドリスコルの立場について問われたホワイトハウスは、ヘグセス、ドリスコル両政治任用者を称賛した。
ホワイトハウス報道官のアンナ・ケリーは水曜日、『ザ・ヒル』誌に対する声明の中で、「トランプ大統領は、ヘグセス長官やドリスコル長官のような指導者の尽力により、アメリカ軍全体の即応性と戦闘能力の向上に効果的に注力する姿勢を取り戻した」と述べた。
ケリー報道官は「壮大な怒り作戦(Operation Epic Fury)』を通じて、アメリカ陸軍と国防総省全体の並外れた能力が存分に発揮され、全ての軍事目標が達成され、イランの軍事力は低下した」と、ペンタゴンを指す政権の常用名称を用いて述べた。
ドリスコル長官の発言は、『ワシントン・ポスト』紙が最初に報じた。
ヘグセスとドリスコルは、軍将校の昇進問題を含め、複数の面で対立してきた。国防長官はまた、テネシー州にあるキッド・ロックの邸宅付近で軍用ヘリコプター2機を操縦した陸軍の乗組員に対する停職処分を解除し、軍による当該隊員への調査を中止させた。
トランプ大統領は、過去にアメリカのドローン能力強化におけるドリスコルの功績を称賛していたが、イランとの戦争の最中、ヘグセスにも賛辞を送った。
トランプ大統領は月曜日、国防長官について「私が言えるのは、彼は非常に不当な扱いを受けたということだ。そして今、彼を不当に扱い、彼に反対していた同じ人々が私に電話をかけてきて、彼がいかに素晴らしい人選だったかを語っている」と語った。
トランプ大統領は「彼に反対していた人たち―連邦上院議員や私の友人たち―が、『大統領、あなたは正しいことをしていると考えませんでした』と言って私に電話をかけてくるなんて、なんて人選だったことだろう」とホワイトハウスで記者団に語った。
(貼り付け終わり)
(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



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