古村治彦です。

 アメリカの政治・外交・安全保障専門高級誌として有名な『フォーリン・アフェアーズ』誌に「日本、ドイツ、カナダという“模範的な”アメリカの同盟諸国に核兵器を持たせることでアメリカの安全保障は改善される」という内容の論考が掲載された。2025年11月19日のことである。「核拡散(nuclear proliferation)」という言葉を聞いたことがある人は多いと思う。アメリカが核兵器開発を成功させ、1945年に連続して、日本の広島と長崎に対して使用し、数十万人の民間人を殺傷して以来、核兵器開発は進み、保有する国の数も増えている。国連安保理常任理事国である米ソ(現在は露)英仏中の5カ国は「核不拡散(nonproliferation)」を進める「NPT(核不拡散)条約体制」を構築し、核兵器の拡散を防ごうとしてきたが、実際には、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮といった国々で核兵器の開発・保有が実施されている。

 アメリカが一極支配を維持できない状況の中で、「同盟諸国の一部に核兵器を持たせて、アメリカの負担を軽くする」という議論が出ている。「選択的核拡散(selective proliferation )」という言葉を使っているが、「アメリカが選んだ同盟諸国に核兵器保有を認める」という主張である。下記論稿の筆者たちはその同盟諸国として、ドイツ、日本、カナダの名前を挙げている。これらの“模範的な”同盟諸国は、管理面や技術面から核兵器を保有しても大丈夫ということになる。そして、重要なことは、ドイツ、日本、カナダに核兵器を持たせることで、中国とロシアを牽制し、封じ込めることができるという主張だ。

 このような主張は、日本やドイツを独立国として扱い、世界における役割を尊重しているかのように見える。しかし、実際には、あくまで日本やドイツを「手駒」として利用し、核攻撃の危険をドイツや日本に分散して、アメリカを守ろうという主張である。中国とロシアにより近い場所に核兵器を配備することで、中国とロシアを抑え込もうということであり、実際に核攻撃が始まれば、アメリカではなく、核兵器を持つドイツや日本が至近の標的となることで、アメリカへの攻撃を防ぐという「弾除け」の役割を果たさせようということだ。

 核兵器を持たねば一流の国ではない、独立国ではないという情緒的な、根拠薄弱な主張に与することはできない。そして、そのような主張を「餌」にして、日本の核保有の機運を高めようという勢力こそは日本の将来を毀損する売国勢力であるということをここに宣言しておく。

(貼り付けはじめ)

アメリカの同盟諸国は核保有するべきだ(America’s Allies Should Go Nuclear

-選択的核拡散(selective proliferation)は国際秩序(the global order)を終焉させるのではなく、強化するだろう。

モリッツ・S・グレーフラス、マーク・A・レイモンド(Moritz S. Graefrath and Mark A. Raymond)筆

2025年11月19日

『フォーリン・アフェアーズ』誌

https://www.foreignaffairs.com/canada/americas-allies-should-go-nuclear

※モリッツ・S・グレーフラス(MORITZ S. GRAEFRATH)は、オクラホマ大学ウィック・キャリー国際安全保障助教授であり、ユーラシア・グループの国際問題研究所の非常勤研究員である。

※マーク・A・レイモンド(MARK A. RAYMOND)は、オクラホマ大学ウィック・キャリー国際関係学准教授であり、オクラホマ航空宇宙防衛イノベーション研究所国際安全保障政策担当副所長を務めている。

核拡散(nuclear proliferation)の見通しほど、専門家と政策立案者たちを恐ろしがらせるシナリオはほとんどない。ロシアがウクライナ侵攻において戦術核兵器(tactical nuclear weapons)の使用をちらつかせていること、ドナルド・トランプ米大統領の核実験に対する曖昧な姿勢、そしてロシアとアメリカの核兵器保有量を制限する2010年の新戦略兵器削減条約(新START)の期限切れが間近に迫っていることは、核兵器の根強い破壊力を世界に改めて認識させ、その使用に対する恐怖を再燃させている。アメリカの指導者たちは、核兵器の拡大(the spread of nuclear weapons)はアメリカの戦略的利益を著しく損ない、既に脆弱な国際秩序をさらに不安定化させると確信している。ここ数カ月、彼らは核拡散防止への取り組みを改めて強調しており、6月のイラン核施設への攻撃は、ワシントンが核兵器保有国を増やすことを阻止するために武力を行使する覚悟があることを示している。

数十年にわたり、アメリカは核不拡散(nonproliferation)を基盤とした核秩序に投資を続けてきた。弾道ミサイル迎撃条約(ABMT)のような冷戦時代の軍縮協定が失効した後も、その姿勢は変わらなかった。信頼できない国家や敵対国による核兵器の拡大に反対することは理にかなっているが、核兵器のさらなる拡散に全面的に反対することは、核兵器がもたらす重大な恩恵を覆い隠してしまう(Opposing proliferation among unreliable states and adversaries makes sense, but a blanket opposition to the further spread of nuclear weapons obscures the significant benefits they can bestow)。アメリカは核不拡散への厳格な固執を見直し、カナダ、ドイツ、日本といった少数の同盟国に核保有を促すべきだろう(The United States would do well to reconsider its strict adherence to nonproliferation and encourage a small set of allies—namely Canada, Germany, and Japan—to go nuclear)。ワシントンにとって、選択的核拡散(selective proliferation)は、これらのパートナー国が地域防衛(regional defense)においてより大きな役割を担い、アメリカへの軍事的依存度(military dependence on the United States)を低下させることを可能にする。一方、これらの同盟国にとって、核兵器の保有は、中国やロシアといった地域的な敵対国、そして従来の同盟関係への関与が弱まるアメリカからの脅威に対する、最も確実な防衛手段となる(For these allies, in turn, acquiring nuclear weapons provides the most dependable protection against the threats of regional foes, such as China and Russia, as well as a United States less committed to its traditional alliances)。

核兵器保有国が増加する世界という構想に懐疑論者や核兵器悲観論者は眉をひそめるかもしれないが、核拡散が選択的に進められるならば、そうした懸念はあまり根拠のないものとなる。カナダ、ドイツ、日本は、合理的な政策決定と国内の安定について、確かな実績があり、核事故や制御不能なエスカレーションの連鎖が起こる可能性は極めて低い。また、慎重に管理されれば、これらの国々における核拡散が、他国による核兵器開発の広範な動きにつながることはないだろうと考える十分な根拠がある。

選択的核拡散は、国際的な不安定化という恐ろしい新時代(a frightening new era of global instability)を到来させるのではなく、第二次世界大戦後の秩序を維持すること(uphold the post–World War II order)の一助となる。カナダ、ドイツ、日本が核兵器を保有すれば、世界の軍事力バランスは、ルールに基づく国際秩序に関与し、その主要規範、特に領土保全の侵害を阻止することに尽力する国家連合に有利な方向に再調整されることになるだろう(Were Canada, Germany, and Japan to acquire nuclear weapons, they would rebalance global military capabilities in favor of a coalition of states committed to the rules-based system and to stopping the erosion of its key norms, especially territorial integrity)。選択的核拡散は、アメリカとその同盟諸国に多大な恩恵をもたらしてきた1945年以降の、ますます脆弱になりつつある国際秩序を活性化させるだろう。

●ウィン・ウィン関係(A WIN-WIN

アメリカの高官たちは、大陸防衛の負担をヨーロッパの同盟諸国に移し、アメリカへの軍事的依存度を低下させる必要性を繰り返し強調してきた。東アジアにおける中国の台頭という地政学的課題に直面し、国内問題への対応に資源を割く必要に迫られているワシントンは、ヨーロッパのフリーライダー状態を終わらせることを最優先の戦略課題と捉えるようになった。今日、ヨーロッパが自国の安全保障を確保する能力を阻害し、ひいてはアメリカの大幅な撤退を阻んでいるのは、ドイツの核戦力の欠如(the lack of German nuclear forces)である。冷戦中、アメリカの指導者たちはヨーロッパからのアメリカ軍撤退を望んでいたが、ドイツが核抑止力(a nuclear deterrent)を獲得しない限り、ヨーロッパは自国の安全保障を確保できないと判断した。歴史家のマーク・トラクテンバーグが指摘するように、アメリカはイギリスとフランスの核戦力では、ヨーロッパがソ連とその膨大な核兵器を抑止できるという「必要な安心感を与えることはできない(could not provide the necessary degree of reassurance)」と正しく判断した。今日でも、同じ障害が依然として存在している。ドイツが独自の核兵器開発を進めるよう促すことは、最終的にアメリカの離脱(exit)を可能にするような、自立したヨーロッパの実現につながるだろう。

ドイツの指導者と国民は、アメリカへの軍事的依存が、自国をワシントンの気まぐれ(Washington’s whims)に翻弄される脆弱な状態に陥らせていることを認識している。2025年2月の首相就任直後、フリードリヒ・メルツ首相はアメリカからの「独立を達成する(achieve independence)」時が来たと宣言し、以来、実質的な再軍備(substantial rearmament)を声高に主張してきた。しかし、ドイツの通常戦力増強には長い年月を要するだろう。ベルリンは、メルツ首相をはじめとする欧州首脳が6月のNATO首脳会議で合意した、対GDP比5%という野心的な国防費目標をどのように達成するかについて、いまだ明確なヴィジョンを示していない。ウクライナへの軍需物資供与というドイツの継続的な義務と、国民の兵役への抵抗感は、迅速な通常戦力増強を阻害している。独立した核戦力を開発することは、アメリカが突然ヨーロッパから撤退する可能性からドイツを守ると同時に、5%の核兵器保有義務を果たすための実現可能で意義のある方法を提供するだろう。

日本の核拡散は、東アジアにおけるアメリカの主要目標、すなわち強力な地域同盟(strong local alliances)を通じた中国の封じ込め(the containment of China)という目標の達成に大きく貢献するだろう。ワシントンの視点からすると、北京がもたらす第一の脅威は、地域支配(regional dominance)を確立し、例えば半導体サプライチェインの混乱や東アジア、さらにはその周辺地域への前方基地(forward bases)の設置などによって、アメリカとその国益を深刻に脅かす軍事力を開発する可能性があることだ。このような中国の地域覇権(regional hegemony)は、アメリカにとって大きな脅威となるだろう。

日本は既に、海によって敵対国から隔てられた島国(an archipelago country)という地理的優位性を享受している。これに独自の核能力が加われば、外部からの脅威に対する日本の安全保障は事実上保証され、中国の支配下に置かれることもなくなるだろう(it does not fall under Chinese control)。自国の防衛力強化に加え、核武装した日本は、アメリカが提供できるよりも信頼性が高く、即効性のある拡大抑止力を東アジアにもたらすことになる。中国は東アジア情勢をめぐってワシントンが核戦争のリスクを冒す意思があるのか​​どうかを疑うかもしれないが、日本は地理的に近く、地域安定に直接的な利害関係を持っているため、その関与ははるかに信頼性が高い。

核武装した日本は、危機エスカレーションシナリオに新たな選択肢を加え、アメリカを直接巻き込むことなく、中国の侵略に効果的に対応することを可能にする。中国は日本への攻撃を検討する際、アメリカからの追加支援の有無にかかわらず、日本の報復がもたらす莫大なコストを考慮せざるを得なくなるだろう。核兵器を保有することで、日本、そしておそらく東アジア全体が、ワシントンの安全保障への関与の急激な変化に対応できるようになる。ドナルド・トランプ政権の最新の「国家防衛戦略(National Defense Strategy)」は、中国とロシアからの脅威よりも、アメリカ本土と西半球の防衛(the defense of the U.S. homeland and the Western Hemisphere)を優先しており、これは潜在的に大きな方向転換を示唆している。

北アメリカにおいて、カナダの核兵器保有はアメリカの国土安全保障を強化するだろう。NATOにおけるカナダ軍とアメリカ軍の統合、そして二国間防空システム「NORAD」の存在を鑑みれば、米加両国はほぼあらゆる想定される半球防衛シナリオにおいて共に戦うことになる。カナダはロシアや中国から領土保全に対する差し迫った脅威に直面していないものの、中露両国との関係は過去10年間で著しく悪化している。カナダの核抑止力は、アメリカが大陸の隣国であるカナダの防衛に介入する必要性を低下させ、アメリカの防衛能力を事実上解放し、潜在的な地政学的侵略の道筋を一つ排除する。また、カナダの核抑止力に対するアメリカの支持は、両国関係が緊張状態にある今、大陸防衛に対するワシントンの関与を示す重要な安心材料(crucial reassurance)となるだろう。

一方、カナダにとって、核兵器保有は、大陸防衛に対する共有された責任(shared responsibility)を受け入れていること、そしてオタワはアメリカの支援なしに潜在的な侵略者を抑止できることをアメリカに示すシグナルとなる。カナダのマーク・カーニー首相が3月に述べたように、カナダとアメリカの「古い関係」は「終わった」(Canada’s “old relationship” with the United States is “over”)。核保有は、大陸同盟を再構築し、カナダが単独で行動するための準備を整えることで、オタワをこの新たな世界へと導くことになるだろう。さらに、NATOの5%国防費目標達成という課題は、ドイツよりもカナダにとってより深刻であると言える。控えめな核抑止力は、この課題に対する解決策となるだけでなく、カナダの兵器庫における重要な戦略的資産にもなる。

カナダ、ドイツ、日本はそれぞれ、核兵器を独自に開発できる科学技術力と産業力(the scientific and industrial capacity)を有している。例えば、カナダは核分裂性物質の主要供給国(a major supplier of fissile material)としての役割を担っており、これはこれらの新たな核能力を実現するための共同努力の基盤となる。これら3つの同盟国が必要としているのは、そしてアメリカが提供できる、また提供すべきなのは、核保有国への移行に対する国民の支持と外交的支援、そして強固な指揮統制保障措置を確保するための技術的・教義的指導である(What the three allies would need—and what the United States can and should provide—is public support and diplomatic cover for their transition to becoming nuclear-armed states, as well as technical and doctrinal guidance to ensure robust command-and-control safeguards)。

●核問題の解決策(NUCLEAR FIX

伝統的に、核拡散は国際秩序の安定に対するリスクとして理解されてきた。国家が核能力を獲得すると、地域的および世界的な勢力均衡の変化(regional and global balances of power shift)が発生し、既存の安全保障体制に疑問が生じる。核抑止力を持つ国家は、抑制の試みから隔離されるため、略奪的な行動を取る可能性がある、というのが従来の考え方である。しかし、この従来の見方は誤りである―少なくとも単純化しすぎている―。なぜなら、全ての核拡散国が同じように行動すると仮定しているからだ。国際的なルールと規範を守ることに尽力する国家が核能力を獲得する場合、実際には、核拡散は国際秩序の安定性と強固さを高める(When states committed to defending international rules and norms acquire nuclear capabilities, proliferation, in fact, increases the stability and strength of the global order)。

カナダ、ドイツ、日本は、ルールに基づく国際秩序に尽力する主要国である。これら3カ国は、外交政策、ひいては国家アイデンティティを、良き国際市民としての役割という観点から構築している。これらの国々における選択的な核拡散は、軍事力の均衡を再構築し、潜在的な現状変更勢力を阻止することに尽力する核保有国による統一的な連合を形成するだろう。このような連合は、1945年以降の国際秩序のルール、規範、制度、そして征服禁止の規範のさらなる崩壊を防ぐのに役立つだろう。選択的核拡散は、物質的な安定をもたらすだけでなく、国際秩序に不可欠な規範的な安定の源泉を強化することになる。

したがって、選択的核拡散は、国際秩序の活性化への投資として捉え、理解されるべきである。事実上、カナダ、ドイツ、日本は、ロシアが修正主義に有利な状況を見出すに至った、そして、中国が同様の判断を下す可能性を示唆する空白を埋めることに貢献することになるだろう。

●恐れるな(BE NOT AFRAID

核拡散反対派が提起する典型的な懸念の多くは、アメリカの同盟諸国による選択的核拡散には当てはまらない。例えば、カナダ、ドイツ、日本の核兵器がならず者国家(rogue states)やテロ組織の手に渡ることを恐れる理由はない。これら3カ国はいずれも責任感、国家能力、国内の安定性において模範的な国(paragons)である。また、これらの国の合理性についても心配する必要はない。北朝鮮の金正恩委員長が核兵器に関して慎重かつ用心深く行動できるのであれば、オタワ、ベルリン、東京の指導者たちも同様の行動をとると合理的に期待できる。

もう一つの懸念は、少数の国が核能力を追求すれば、他の多くの国も同様の動きに出るということだ。しかし、この主張は説得力に欠ける。連鎖的な核拡散(knock-on proliferation)は、通常、既存の対立の結果であり、地理的な近接性に大きく左右される。例えば、インドの核拡散に対抗してパキスタンが核兵器開発を進めたことがその典型例である。カナダの核拡散が、例えばメキシコに核兵器開発を促す可能性は低い。ドイツの核拡散に対抗する最大の動機を持つと考えらえるヨーロッパ諸国、すなわちイギリスとフランスは、既に独自の核戦力を保有している。ポーランドのような他の潜在的な核拡散国は、多国間または二国間の核共有協定によって、独自の核兵器開発計画を断念するよう説得されるかもしれない。東アジアでは、日本が核兵器を取得すれば、韓国が長年抱いてきた核開発の野望を実行に移す可能性もあるが、ソウルがアメリカの安全保障体制に組み込まれていることで、その動機は大幅に低下している。日本の地理的優位性と、(韓国が核武装した北朝鮮との)膠着状態(a frozen conflict)に陥っていないという事実は、選択的核拡散において韓国よりも魅力的な候補国となっている。確かに、ソウルが核兵器開発に踏み切った場合、安全かつ信頼できる核兵器保有国となるだろう。台湾も理論的には同様の動きを望むかもしれないが、中国との地政学的な立場が不安定なため、この願望を実行に移す現実的な道筋はない。

 

 

核兵器による事故の可能性は、依然として妥当な懸念事項である。核兵器の拡大は、技術的には偶発的な核戦争の可能性を高めることは事実だが、そのリスクは極めて小さく、国際的な安定と安全保障に対する具体的な利益によって相殺される可能性が高い。冷戦の最盛期、すなわち戦略的・イデオロギー的な対立が激しかった時代でさえ、2つの超大国は核戦争を回避することに成功した。選択的核拡散の利点の1つは、カナダ、ドイツ、日本が、追加的なリスクを最小限に抑えるための体制を最も整えている国の1つであるという点である。これらの国々はいずれも高度に専門的な軍隊、軍隊に対する強固な文民統制、そして平和的な紛争解決に長けた外務省を有している。

その他の反対意見は、精査に耐えうるものではない。例えば、アメリカ専門家の中には、核拡散がアメリカの同盟諸国、特にドイツと日本に対するアメリカの影響力を弱めるという理由で、アメリカの核拡散に反対している。この主張は、戦略的手段(strategic instruments)と目的(objects)を混同している。ワシントンがヨーロッパと東アジアにおいて掲げる根本的な目標は、いずれの地域においても単一国家による支配を阻止することにある。同盟諸国に対するアメリカの影響力は、地域覇権国の台頭(the rise of a regional hegemon)を防ぐための間接的かつ不確実な道筋を提供するものの、ドイツと日本が核兵器を保有すれば、事実上その結果を招くことになる。言い換えれば、選択的核拡散はアメリカの影響力をいくらか犠牲にするが、それはあくまでも当初の目的達成と引き換えに過ぎない。

最も理解しやすい、そしておそらく最も克服困難な障害は、核拡散に対する国民の反対である。広島と長崎への原爆投下という日本の経験は、今なお国民の記憶に深く刻まれている。1945年以降の平和主義と原子力エネルギーに対する一般的な懐疑心は、多くのドイツ国民に核兵器保有に反対する傾向を強めている。そしてカナダは、自国領土への核兵器配備はおろか、核兵器保有にさえ長年抵抗してきた。この懸念を払拭するのは、疑う余地のないほどに困難であり、各国は懐疑的な市民に対し、核兵器の取得は彼らの安全を高めるだけでなく、ルールに基づく国際秩序全体の健全性を向上させることにもつながると説得しなければならないだろう。

●慎重に進める(PROCEED WITH CAUTION

選択的核拡散の実施は容易ではなくリスクも伴う。まず、カナダ、ドイツ、日本は核不拡散条約(NPT)から脱退する必要がある。NPTにおいて、各国は核兵器を開発しないことを約束している。国際法に基づき、適切な手続きを経てNPTから脱退することは、国際秩序を弱体化させるのではなく、国際安全保障を強化しようとする意思を示すことになる。可能な限り、NPTからの脱退については、主要な同盟諸国に事前に慎重に打診し、懸念を最小限に抑えるべきだ。全ての国が脱退を受け入れることを期待するのは非現実的だが、責任ある透明性のある方法で核拡散を進めることは、各国の善意を示すことになる。ここで、アメリカの外交的支援が特に重要になる。フランスやイギリスと連携し、新たな核保有国が国連安全保障理事会の制裁措置の対象とならないようにすることが重要だ。

懐疑的な国々に最大限の安心感を与えるため、核拡散国3カ国は、少なくともアメリカの核の傘下にある間は、「先制不使用(no first use)」政策の採用を検討すべきだ。NATOは冷戦時代にはそのような政策に踏み切ることをためらったが、カナダ、ドイツ、日本は少なくとも現時点ではそれほど厳しい安全保障上の課題に直面しておらず、現状維持(maintaining the status quo)への関与を示すためにこの措置を検討できるだろう。

選択的核拡散は、その潜在能力を最大限に発揮するためには慎重な管理を必要とするが、真の楽観主義に対する真の根拠(genuine ground for optimism)を提供する。その是非は今でも議論されているが、どの国が核兵器を保有するかは極めて重要である。もし核拡散国が同盟関係にあり、安定した政権を持ち、国際社会の責任ある一員であるならば、核兵器の増加はむしろ良いことかもしれない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める