古村治彦です。

 昨日に続いて、UAEをテーマにした文章を掲載する。UAEOPECを離脱したことを昨日ご紹介した。UAEはイランに対して強硬な姿勢を保ち、イスラエルに近づいている。その象徴が、2026年5月13日のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のUAE公式訪問である。UAE側はネタニヤフ首相訪問を否定しているが、これは事実としてすでに報道されている。イランはUAEを厳しく非難している。
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 イスラエルは対空防衛システム「アイアンドーム」をUAEに供与しているということだ。これは、UAEにイスラエルの軍事要員が駐留していることを示している。アイアンドームの効果は限定的であろうが、アメリカ軍の役立たずぶりよりはだいぶお役に立ったということになるだろう。UAEは対イラン強硬姿勢が転じて、親イスラエルとなっている。イスラエルに接近している。そして、親イスラエルであることで、アメリカからの支援を受けようとしている。中東地域のイスラム教国の団結は崩れつつある。
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ムハンマド・ビン・ザイドUAE大統領

 イスラエル側からすれば、UAEを手駒として使えるようになる。UAEはイランの隣国である。UAEにアイアンドームを配備することができれば、更に「UAEの安全のためにイスラエル製のミサイルも配備しましょう」ということになる。このミサイルはイラン攻撃に使える。UAEがイスラエル製のミサイル攻撃をすれば、イランの報復はUAEに向かう。UAEもそこまで馬鹿ではないから、ミサイル配備は断るだろう。しかし、アイアンドームという「防御」システムで発射された迎撃ミサイルがペルシア湾を超えて、イランに着弾するということはある。「迎撃に失敗して、そのままイランに飛んでいってしまった」ということもできる。
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 イランを抑え、イスラム教国を分断し、中東地域を不安定化させるというのがイスラエル、正確にはネタニヤフ首相が望む姿である。そのためにUAEを利用している。中東知己の不安定化は世界にとって不幸である。石油価格が安定しない、石油自体を確保しにくいということになれば経済にも悪影響が出る。イスラエルの好戦的、独善的な姿勢が改められない限り、世界の不幸は続く。

(貼り付けはじめ)

イランとの戦争の中、UAEはイスラエルとの関係強化を選択し、サウジアラビアとの関係悪化のリスクを冒している(UAE chooses to deepen ties with Israel amid war with Iran, risking rift with Saudis

-専門家たちは、UAEはイスラエルを「他の国と同様(like any other country)」と捉え、安全保障上のパートナーと見なす現実的な見方をしている一方、リヤドをはじめとする湾岸諸国はイェルサレムをならず者国家(a rogue state)と見ている。

AFP通信、『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙スタッフ

2026年5月15日

『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙

https://www.timesofisrael.com/uae-chooses-to-deepen-ties-with-israel-amid-war-with-iran-risking-rift-with-saudis/

アラブ首長国連邦ドバイ発-イランからのミサイル攻撃によって経済的未来が脅かされたアラブ首長国連邦(UAE)は、イスラエルとの関係を強化し、かつての同盟国でありライヴァルとなったサウジアラビアとの溝を深め、テヘランに対して強硬な姿勢を取っている。

この賭けにより、人口の9割が外国人である観光大国UAEは、2800機以上のドローンとミサイルを迎撃するためのイスラエル製防空システムへのアクセスを得た。アナリストたちは、これは安定を基盤とした国家モデルを維持するために、防衛を最優先事項としたことを意味すると指摘する。

しかし、イスラエルとの協力強化は、UAEが最大の脅威と見なすイランをさらに刺激するリスクを孕み、湾岸諸国の多くと同様にイスラエルを地域における重大な存在のならず者と見なすサウジアラビアとの関係をさらに悪化させる恐れがある。

●安全保障協力(Security cooperation

UAEは将来を見据えており、経済復興を支える最良の安全保障パートナーとしてイスラエルを位置づけている」と英チャタムハウスの中東・北アフリカプログラム責任者サナム・ヴァキルは述べた。

安全保障と防衛の面において、この判断は功を奏したようだ。

火曜日、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使は、イスラエルが戦争中にアイアンドーム防空システムと人員をUAEに派遣したことを認めた。

戦争中、UAE当局は、攻撃が降り注ぐ中で空虚な連帯(hollow solidarity)を示すアラブ諸国を名指しこそしなかったものの、激しく非難してきた。

「建国以来、これほど深刻な脅威に直面したことはないのに、危機感が足りなかった」とUAE政府に近いレバノン系UAE人のメディア幹部で政策顧問のナディム・コテイチは語っている。

「しかし、この戦争では、イスラエルは必要な時にUAEのために姿を見せた」。

イスラエル軍やイスラエルの指導者たちは、アメリカと共同でイランに対する作戦を開始した目的は、イラン政権の軍事力を弱体化させ、核兵器や弾道ミサイル計画を含むイランの脅威を遠ざけ、イラン国民が政権を打倒するための「条件を生み出す(create the conditions)」ことだったと述べている。

トランプ大統領が4月に宣言した停戦は、戦争の主要な目標をほぼ達成しないまま終わった。

●微妙な問題が残り続けている(Sensitivities remain

UAE当局者は、戦後の湾岸地域におけるイスラエルとの協力関係を模範として挙げることがある。

先月、UAE大統領顧問のアンワル・ガルガシュは、イランの地域戦略の結果、湾岸地域におけるイスラエルとアメリカの影響力は増大する一方だと述べた。

しかし、今のところ、イスラエルと国交を正常化した湾岸諸国はバーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)のみであり、アラブ諸国にとってこれは非常にデリケートな問題である。

水曜日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イラン戦争中にUAEを秘密裏に訪問したと述べたが、アブダビ側はこれを即座に否定した。

アブラハム合意は当初、国交正常化の動きに勢いを与えたものの、2023年10月7日にハマス主導のテロリストがガザ地区で虐殺事件を起こし、戦争が勃発したことで、その流れは急停止した。この事件はアラブ世界全体に怒りを巻き起こし、ネタニヤフ首相はその怒りの対象となった。

キングス・カレッジ・ロンドンのアンドレアス・クリーク教授によると、ネタニヤフ首相がUAE訪問を公表したのは、イスラエルにおける、「選挙を控えた政治家としての力と才能(statesmanship in the run-up to the elections)」をアピールするためだったという。

前述のヴァキルはAFP通信に対して、「イスラエル側は両国関係を過剰に宣伝しようとしている。これはどちらかというと、実質的な安全保障と経済のパートナーシップに近い」と述べた。

ヴァキルはまた、UAEは今後もパートナーシップの多様化を進め、防衛と経済にとって重要なヨーロッパおよびアジアの同盟諸国との関係を拡大していくと述べた。

UAEとサウジアラビアの分裂(UAE-Saudi rift

中東地域での戦争勃発以来、UAEとイスラエルの関係は、この湾岸諸国サウジアラビアにとって課題となっている。

国際的な金融ハブとしての地位と、アメリカ軍の拠点を擁しイスラエルとの関係も深いアメリカにとっての主要同盟国としての地位のために、UAEはイランにとって格好の標的となっているとアナリストは指摘する。

イスラエルとの関係強化は、湾岸地域の安定に対する脅威としてイスラエルとイランのどちらがより大きいかをめぐるUAEとサウジアラビアの意見の相違を浮き彫りにし、昨12月のイエメン問題での対立以来、両国間の溝をさらに深めている。

アブダビは、たとえそれが伝統的な同盟関係を断ち切ることを意味するとしても、独自の道を歩む姿勢を示している。今月、サウジアラビア主導のOPECから離脱し、以前にはアラブ連盟(the Arab League)を激しく非難した。

また、イランに対してはより強硬な姿勢を取り、イランを敵とみなし、いかなる和平合意においても最大限の要求を表明している。

コテイチはUAEの立場について、「イスラエルの卓越性という考えに固執する人もいれば、より現実的で、イスラエルを他の国と同様に捉え、・・・地域に統合できると考える人もいる」と述べた。

サウジアラビアはアブラハム合意後、イスラエルとの関係正常化を検討していたが、ガザ戦争によってその努力は突然頓挫した。

現在、サウジアラビア王国は、湾岸諸国の多くと同様に、イスラエルをならず者とみなしている。

イスラエルは、2023年10月7日にハマスがガザ地区で約1200人を殺害し、251人を人質に取った虐殺事件を受けて、ガザ戦争を開始した。その後、イランの代理勢力であるレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派とも戦闘を繰り広げた。両組織はイランを支援するために戦闘に参加した。

イスラエルはさらに、イランの核・ミサイル脅威を排除するため、イランとの二度の戦争も経験している。

しかしながら、イスラエルが自国の存立に対する脅威を受け入れようとしない姿勢は、地域の一部の国々から強い反発を招いている。

最近の論説で、元情報機関長官のトゥルキ・アル・ファイサル王子は、イスラエルが「地域に自国の意思を押し付ける(to impose “its will on the region”)」ために、サウジアラビアとイランの間で「戦争を引き起こそうとしている(planning to “ignite war”)」と非難した。

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ベンヤミン・ネタニヤフ首相がイスラエルとUAEの関係を強調する一方で、UAEの指導者たちは慎重な姿勢を崩さない(As Netanyahu spotlights Israel’s ties to the UAE, its rulers prefer to be discreet

ジュリア・フランケル筆

2026年5月16日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/2026/05/16/israel-uae-netanyahu-gaza-palestinians/9fa7ffea-50e4-11f1-97e7-22c6c29ff0d8_story.html

イェルサレム発(AP通信)-イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の緊密な関係は、通常は秘密裏に管理されている。しかし今週、その関係が公になり、イラン核戦争が地域全体を巻き込む中で、同盟関係の根底にある緊張が浮き彫りになった。

イスラエルとUAEの関係強化に最初に注目を集めたのは、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使だった。イスラエルがUAEをイランの攻撃から守るため、アイアンドーム防空システムと運用要員を派遣したことを明らかにした。

その後、ネタニヤフ首相は、戦争中にUAEを密かに訪問していたと発言。これに対し、UAEは慌てて公式に否定した。

ネタニヤフ首相とトランプ政権は、地域における反イラン勢力を強化する一環として、両国間の同盟関係を大々的に宣伝しているが、湾岸諸国はこうした関係を控えめに扱う傾向にある。これは、イスラエルとの公的な関係が、この地域において依然として大きな論争の的となっていることを示している。

イスラエルとUAEの関係について知っておかねばならないことを如何に掲載する。

UAEは何故ネタニヤフ首相の訪問を否定したのか?(Why would the UAE deny Netanyahu’s visit?

ネタニヤフ首相が戦時中にアブダビを訪問していたことを明らかにしたことは、特にハッカビー大使がイスラエルとUAE両国間の軍事協力を確認した直後だったこともあり、波紋を呼んだ。イスラエルの治安責任者も訪問したとの報道が飛び交った。

UAEの国営通信社WAMは、訪問に関する「流布している報道(reports circulating)」を否定する記事を掲載した。WAM通信社は、イスラエルとの関係は「周知の、公式に宣言されたアブラハム合意の枠組みの中で行われており、不透明な、あるいは非公式な取り決めに基づくものではない」と述べた。

また、この記事では、イスラエル軍代表団がUAEを訪問したという事実も否定した。

「この件は、アブダビの戦時体制という姿勢を公然と覆すことになり、事態を複雑化させる。だからこそ、否定声明はこれほど迅速に、そして慎重に言葉を選んで発表されたのだ」とマルコム・H・カー・カーネギー中東センターに所属するサウジアラビア在住の研究員ヘシャム・アルガナムは述べた。

アラブ首長国連邦(UAE)は2020年にイスラエルとの国交を正常化したが、UAEの指導者たちはこの同盟関係をある程度秘密にしておきたいと考えている。

中東地域のアラブ諸国やイスラム諸国では、ユダヤ国家に対する反感が根強く残っている。こうした反感は、イランの支援を受けた武装組織ハマスが2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取ったガザ紛争によってさらに増幅された。

イスラエルによるガザ地区への攻撃は、ガザ地区の大部分を壊滅させ、ガザ保健省によると7万2700人以上のパレスティナ人を殺害した。ガザ保健省は民間人と戦闘員の死者を区別していない。この紛争は地域全体に波及し、イスラエルはレバノンとイエメンでイランの支援を受けた武装勢力に対し、死傷者と甚大な被害をもたらす作戦を展開し、カタールとシリアの武装勢力の標的を攻撃した。

「私たちは中東地域の醜いアヒルの子(the ugly duckling)だ」と、イスラエルの保守系シンクタンクであるイェルサレム安全保障外交センターのダン・ディカー所長は述べた。

アブラハム合意加盟国と広範な協議と関係を築いてきたディカーは、自身が頻繁に交渉する地域当局者は常に、物事を秘密裏に進めるよう求めたと語った。

●イスラエルとUAEの同盟関係はどのような基盤に基づいているのか?(What is the Israel-UAE alliance based on?

イスラエルとUAEは、イランとの戦争中に軍事的に協力した。イスラエルは、宿敵イランに地理的に近い国家であるUAEに防衛拠点を確保できたことで恩恵を受けた。一方、アラブ首長国連邦(UAE)は、アイアンドーム防空システムなどのイスラエル製軍事技術へのアクセスを得た。

この同盟は両国の経済にも恩恵をもたらしており、2020年以降、両国間の貿易は着実に増加している。

中東地域で長らく孤立していたイスラエルは、アラブ諸国とのパートナーシップによって正当性を獲得した。そしてUAEはワシントンにおける影響力を強めた。

UAEは、エジプト、ヨルダンに次いで、イスラエルと正式な外交関係を樹立した3番目のアラブ国家となった。

●ネタニヤフ首相は何故今回の訪問を公表したのか?(Why did Netanyahu publicize his visit?

ネタニヤフ首相は、イスラエルで選挙シーズンを控え、国内で激しい反対に直面している。中東地域における影響力のある仲介者(power broker)としての地位を支持層に示すことができれば、自身のイメージ向上につながると考えている。

イラン戦争は、ネタニヤフ首相の国内支持率向上にはほとんど貢献しなかった。支持率向上につながり、同時にトランプ大統領との緊張感のある関係を強化する可能性のある要因の1つは、アラブ首長国連邦(UAE)に倣って、より多くの地域大国がUAEに加わることだろう。イスラエルは現在、アブラハム合意への参加を目指し、アゼルバイジャンと協議中である。

しかし、ネタニヤフ首相がイスラエルとUAEの緊密な関係を公表することで、他国にとって模範となることを期待していたとしたら、あまり期待しない必要があるかもしれない。

アブラハム合意への参加を拒否してきた地域の大国であるサウジアラビアは、イラン戦争を通して異なるアプローチを採用してきた。サウジアラビア在住の学者アルガナムによると、サウジアラビアはテヘランとの対話ルートを維持し、パキスタンによる両国間の仲介を支持してきたという。

「その目的は、イスラエルに対して明確な立場を示すことではない。リヤドが主導権を握っておらず、制御もできない戦争に巻き込まれることを拒否することだ」とアルガナムは述べた。

アルガナムは更に次のように述べた。「リヤドがパートナー国とあらゆる選択肢をオープンに議論し、一つの路線に固執しないこと自体が戦略的なシグナルだ。地域安全保障体制は、ワシントンとテヘランが二国間交渉で合意した内容から引き継ぐのではなく、地域レヴェルで構築されるべきだ」

※イェルサレムを拠点とするフランケルは、イスラエル全土とイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区から報道を行っている。彼女の報道は、戦争、人権、避難民問題、刑事司法に焦点を当てている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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