古村治彦です。

 第二次政権が始まってからのドナルド・トランプ大統領は政策において評価が下がり続けている。厳しい移民政策について趣旨は理解できるが、取り締まりの行き過ぎがあった。また、高関税政策も保護主義的な経済政策には理解できるところもあるが、突然の高関税は世界を混乱させた。また、中国との関税戦争、貿易戦争は、中国のレアアース規制などの反撃もあり、引っ込めざるを得なかった。トランプに対しては、「TACOTrump Always Chickens Out、トランプはいつも最後には逃げる)」という言葉ができた。

 外交政策に関して言えば、「ドンロー主義」を掲げ、西半球をアメリカの勢力圏にするという考えは理解できるが、そのためにヴェネズエラ攻撃を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を連行するという暴挙に出た。また、キューバに対して経済封鎖を行い、人々を苦しめている。さらにはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に唆(そそのか)されて、イラン攻撃を行うという愚挙を行った。イラン側は体制が崩壊することはなく、世界の石油や天然ガスの重要な供給ルートにあるホルムズ海峡が封鎖されることになり、世界は混乱に陥った。先日、アメリカとイランは停戦60日間の暫定合意を結んだが、その先行きは不透明だ。イスラエルは早速合意内容に従わない姿勢を見せて、アメリカ側を苛立たせている。

 トランプ大統領は史上最低の大統領という評価を受けることになるだろうが、唯一、歴代でも史上最高レヴェルにあるのは金儲けだ。金儲けに関しては歴代大統領の中でも群を抜いて上手であり、巨額の利益を自身や家族にもたらしている。歴代大統領は自身の立場もあり、利益相反を避けるために、在任中は株式取引や資産形成は実施しないが、トランプはお構いなしだ。トランプ一族は大統領職を利用して巨額の資産を形成している。ポピュリズムの波を利用して大統領になり、結局、金儲けだけでしたということになれば、トランプは史上最低の大統領ということになる。しかし、これはトランプ個人の資質の問題ではない。違法でなければ、常識なんてくそくらえ、金儲けができるなら何でもやってしまえという、資本主義の行き過ぎた価値観がトランプとトランプ一族の背景にある。
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 現在のアメリカの問題はイデオロギーの問題ではなく、経済格差・教育格差による「上と下」の問題である。上下の格差、資産を持つ者と持たざる者の間の格差、中間層が減少し、上位1%対99%の格差の問題である。この行き過ぎた強欲が生み出した格差の根本に「金儲けになるなら何をしても良い」、市場至上主義がある。トランプはポピュリズムを利用し、大統領の地位に就いて、アメリカの一般国民のための政策ではなく、自身の私腹を肥やす帆を選ぶという極めて典型的な政治家、そして、強欲資本主義で生きていた人間の姿を見せている。もうアメリカには手の施しようがないというのが現状であり、トランプは金儲けをするくらいしかできることがないということなのだろう。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプの極めて無謀な2期目(Donald Trump’s Incredibly Reckless Second Term

-制約を剥ぎ取られ、利益追求へと転じた大統領だ。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/22/trump-family-corruption-immunity-loyalty-second-term-united-states/

ドナルド・トランプ大統領の2期目について見てみると、グリーンランドとカナダの併合を強引に推し進めようとしたこと、世界のほとんどの国に対する大規模な関税引き上げ、違法かつ効果のない残酷な移民取り締まり、そして国連の承認も議会の協議も明確な戦略もないまま突然戦争を始めたことなどが思い浮かぶ。従って、[ワシントン・ポスト』紙のオーナーであり、明らかに聡明で有能な実業家であるジェフ・ベゾスが今週、「彼(トランプ)は1期目よりも成熟し、規律正しくなったと思う(I think he is a more mature, more disciplined version of himself than he was in his first term)」と述べたのを聞いて驚いた。

トランプの1期目がより規律正しかったのは、彼自身が規律正しかったからではなく、制約があったからだ。彼は、たとえ不本意ながらも、共和党主流派や国家安全保障のエリートたちにしばしば従順だった。彼の初期の立法課題は、ポール・D・ライアン連邦下院議長によって形成され、ラインス・プリーバス大統領首席補佐官によって実行された。首席経済顧問のゲイリー・コーンは、トランプが長年望んでいた世界的な関税引き上げを繰り返し思いとどまらせた。周囲の将軍たちは、イランへの慎重な対応、NATOへの支持、ウクライナへの武器供与を促した。

しかし、トランプが最初の任期から得た教訓は、専門知識が重要だということではなかった。専門家たちの忠誠心が足りないということだった。2021年1月6日のテロ攻撃後、多くの側近がトランプから距離を置き、中には彼を非難する者もいた。そのため、今回は忠誠心こそが最大の資格である人物たちで周囲を固めた。経歴が華々しくないほど良い。なぜなら、そうした人々はトランプに全てを負っているからだ。プロセスは衝動に、手続きは本能に、政府は本能に取って代わられた(Process has given way to impulse, procedure to instinct, government to gut)。

しかし、トランプ1.0とトランプ2.0の最も顕著な違いは政策ではない。それは富の蓄積、その規模、厚顔無恥さ、そして抑制に対する露骨な軽蔑(It is enrichment—its scale, its brazenness, its open contempt for restraint)である。今週初め、司法長官代行は、司法省がトランプ、その家族、そして彼の企業に対し、過去の税金関連の不正行為に関するあらゆる監査や調査から免責を与えることを発表し、その免責は「永久に(forever)」続くと主張した。

その前の週、トランプは自身の株式ポートフォリオが第1四半期だけで約3700件の取引を行ったことを明らかにした。その多くは、不審なほど都合の良いパターンに従っていた。つまり、政府の措置や声明が発表される直前に、自身に有利な銘柄を購入していた。例えば、今年1月6日、トランプのポートフォリオはエヌヴィディア(Nvidia)株を50万ドル分購入した。その1週間後、エヌヴィディア(Nvidia)はアメリカ政府からH200チップの中国への販売許可を得た。

それだけではない。今週、商務省はトランプ一族が利害関係を持つ量子コンピューティング企業への投資を発表した。さらに、トランプ一族の暗号通貨ヴェンチャーへのUAEからの5億ドルの投資、この企業のステイプルコイン(stablecoin)を使ったUAEからの20億ドルの投資、トランプ・オーガナイゼーションによる相次ぐ不動産取引、そしてトランプ一族が出資し後に国防総省との契約を獲得したドローン企業なども忘れてはならない。1つの数字が全てを物語っている。ロイター通信の計算によると、2024年上半期から2025年上半期にかけて、トランプ・オーガナイゼーションの収入は5100万ドルから8億6400万ドルに増加した。これは規律(discipline)の存在を示唆している。大統領職を金儲けに利用することに専念した、容赦ない規律だ。

トランプ・オーガナイゼーションは、トランプ本人、家族、そして組織は、特定の投資の指示や影響力を行使する役割を一切担っていないと主張している。

より根本的な問題は、なぜこれが可能なのか、そしてなぜこれほど抵抗が少ないのかということだ。汚職研究者は長らく、先進民主政治体制国家では汚職は巧妙かつ組織的なものになると想定してきた。選挙献金(campaign donations)、ロビー活動ネットワーク(lobbying networks)、コンサルティング契約(consulting contracts)などがその例だ。トランプは、先進工業国家の精緻な仕組みを、はるかに粗雑な、昔ながらの個人的な不正行為を加速させるために利用した。

一般大衆は不安を感じているかもしれない。しかし、トランプの支持基盤であるMAGA支持者たちはそうではないようだ。そして、彼らこそがトランプを抑制できる唯一の支持層だ。極度に二極化した国(a hyperpolarized country)では、汚職はもはや客観的な道徳的欠陥として判断されない。それは部族によって選別される。もし私たちの側が汚職をすれば、それはフェイクニューズ(fake news)か、巧妙な政治(clever politics)か、あるいは正当化された報復(justified revenge)のいずれかだと見なされる。

これはアメリカの制度におけるより根深い弱点を露呈している。建国の父たち(the Founding Fathers)は壮大な憲法上の枠組みを築き上げたが、それは彼らが明文化しなかった前提に基づいていた。それは、公職者が成文化されていない市民規範に対する共通の関与を維持するという前提である。ジェイムズ・マディソンの「野心は野心によって相殺されなければならない(ambition must be made to counteract ambition)」という理念は、連邦議会が行政権力に対してその権限を厳重に守ることを前提としていた。マディソンは、政党が組織としての野心を1人の人物の個人崇拝(the personality cult)に明け渡すような事態は想定していなかった。

法的な安全策は、多くのアメリカ人が認識しているよりも脆弱である。大統領は、標準的な連邦利益相反法からほぼ免除されている。上述の行為の多くは、たとえ最高位の閣僚であっても重大な法的リスクに晒すことになる。大統領の場合、最高裁判所は「公務上の行為(official acts)」に対する唯一の救済策は弾劾であり、連邦上院の3分の2の賛成票が必要であると判決を下している。しかし、党派対立が激しい現代において、これはまさに奇跡的な事態と言えるだろう。

こうした不当な行為に対する成熟した対応は、復讐(revenge)ではなく、法の支配の回復(a restoration of the rule of law)である。トランプ政権終了後、アメリカ共和国にとって喫緊の課題は、規範を成文化し、大統領の倫理的免責特権を制限し、世界最高位の公職が二度と家族経営(family business)の場とならないよう、法的手段を見出すことである。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者。近著『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント: @FareedZakaria

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トランプ氏が米株売買3700回 NVIDIAやボーイング、利益誘導の疑念

日本経済新聞 2026527 5:26

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2206L0S6A520C2000000/

【ニューヨーク=川上梓、ヒューストン=赤木俊介】トランプ米大統領が米国企業の株式を活発に売買している。202613月期の取引は前年同期比10倍の3700件以上で総額数億ドルにのぼった。政権と近い企業の取引も多く、利益誘導の疑念を招いている。

イラン攻撃後の3月から急増

26日までに米政府倫理局(OGE)が公開した証券取引情報で判明した。トランプ氏は現在、複数の口座で売買しており、2613月期に有価証券や地方債を約3700回以上売買した。このうち株を取得した企業(株価指数連動型上場投資信託=ETFやファンドを除く)の数は約890社だった。

前年同期の売買は374回で1年間で10倍に増えている。前年同期はほぼ全てが地方債で、今年に入り、民間企業の売買を増やしたことが判明した。

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取引はイラン攻撃後の3月に急増し、1カ月の売買は2172回と1月と比べて3倍に増えた。

報告書は1000ドル以上の証券取引が対象で、米国債や不動産などの売買は含まない。同期間の取引総額は合計2億ドル〜7億ドル程度(約318億〜1110億円)に及ぶ。取引額別で売買が多いのは、15000ドル〜5万ドルの範囲で全体の7割を占めた。

巨大テック売却 半導体・SaaSは買い?

同期間の売買を業種別に分析すると13月期で巨大テックを売り越し、半導体やソフトウエア株を買い越している傾向がわかる。

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この期間には米半導体大手エヌビディアやクアルコム、ソフトのアドビ、オラクルのほか、イーベイなど電子商取引(EC)、ボーイングまで幅広く購入した。

人工知能(AI)投資でメモリー需要が高まる半導体やAIによる代替懸念で安値圏で推移する「SaaS(サース)」株を買い増す傾向が見て取れる。

一方、アルファベット、メタなど巨大テック「マグニフィセント7M7)」は売り越した。日本企業ではくら寿司の米国会社「くら寿司USA」の株式も取得した。

政府と近い企業の売買、専門家「監督が必要」

トランプ氏は米政府と取引の深い企業やトランプ氏に献金を行う企業の株式も多く取得している。政権が中国へのチップ販売を承認したエヌビディア、イラン戦争で国防総省と取引のある軍事テックのパランティア・テクノロジーズや、ロッキード・マーチンなどだ。

トランプ氏と一族は暗号資産(仮想通貨)、軍事ドローンや重要鉱物、原子力など政権が支援する産業への関与や投資を進める。

米国では大統領による証券売買は合法となっているが、政府と取引の深い企業の株で購入し利益を得るのは利益誘導との懸念がぬぐえない。

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タトル・キャピタル・マネジメントのマシュー・タトル氏は「政治家が幅広く取引に関与することの問題点と、監督が必要になっていることを浮き彫りにした」と指摘する。

トランプ氏の一族企業の広報担当者は問い合わせに返答しなかった。ブルームバーグ通信は同企業の広報担当の話として同氏や家族、企業は取引に一切関与しておらず、トランプ氏自身が取引について事前に通知されることもないとのコメントを報じた。

一方、提出資料にはエヌビディアやアップルなど個別銘柄の一部取引が資産アドバイザーや取引仲介会社ではなく、口座を保有する顧客本人によって売買が指示されたという記載がある。トランプ氏または側近や親族が関与していないとは言い切れない。

タトル氏は「取引件数とトランプ大統領の多忙な日程を考えると、投資アドバイザーが運営する口座である可能性が高い」と述べる。投資判断をAIなどが行い、自動的に取引を行っているとの声もある。

個別の株取引にトランプ氏がどこまで直接関与しているかはわからないが、資料にある証券取引の受益者はトランプ氏本人だ。資料には58日付の署名も確認できる。
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米政府倫理局の証券取引情報は12年から開示が義務づけられた。

歴代の大統領がどれだけ取引実績があったかは明確になっていないが、米メディアによればオバマ元大統領やバイデン前大統領は任期中に有価証券の売買を行っていなかった。米ニュースサイト「アクシオス」はトランプ氏を「大統領史上最も活発な株式トレーダー」と称した。

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(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める