古村治彦です。
アメリカ連邦議会の上下両院で、イラン戦争停止を求める決議案が可決された。この決議案には法的拘束力はないが、アメリカ国内の民意を示すものとなった。連邦上院では現在、トランプ大統領の所属する共和党が過半数の議席を握っており、否決することもできたが、共和党から4名の上院議員が賛成に回り(民主党からは1名が反対に回った)、50対48で可決となった。連邦下院ではすでに可決されていたので、連邦上下両院での可決となった。各種世論調査では、アメリカ国民の6割がイラン戦争に反対しており、決議可決は民意を示すものとなったが、トランプ大統領にとっては痛手となった。その後、トランプと上院議員たちとの昼食会が開かれ、その場で、ビル・キャシディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)との激しい言い争いとなった。
キャシディ議員は「戦争は4週間で終わると言いながら、4カ月たっても終わっていない。何が起きているかを国民に示すべきだ」と発言し、トランプ大統領は「あんたは敗者だ」と発言した。キャシディ議員は今年11月の中間選挙で改選となるので、再選を目指して、共和党予備選挙を戦っていたが、トランプ大統領が支持する候補者に敗れて、共和党の候補者になれなかった。両者は大声で言い合いを展開することになった。キャシディ議員はその後、「適切な対応ではなかった(not appropriate)」と発言し、「It’s the Irish in me」と述べた。
「It’s the Irish in me」という言葉は「これは私の中にあるアイルランド人の血がそうさせるんだ」という意味になる。アイルランド系のイメージは、「大酒飲みで喧嘩早い」というものだ。キャシディ議員は喧嘩になってしまったのは、自分の中にあるアイルランド系の血がそうさせたのだということを述べたことになる。大酒飲みも喧嘩早いもよいことではないが、一種、これらを誇るときにも使われる表現のようだ。「自分は戦う男だ」ということを強調したかったのだろうと思う。
ドナルド・トランプ大統領の影響力は大きい。彼が気に入らない議員には指示を与えず、対抗馬を応援することで、議席を奪うということができる。歴代でもこれほどの影響力を持った大統領はいなかっただろう。トランプ大統領は独裁的な力を持つほどになったと言われるが、アメリカは「三権分立(Separation of Powers)」の国であり、立法府、行政府、司法府がお互いに「牽制と均衡(check and balance)」を行うように設計されている。従って、トランプ大統領にフリーハンドが与えられている訳ではない。そのことは以前にこのブログの記事でも書いた。
※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ
2026年06月09日 ドナルド・トランプが大統領になってもアメリカの権力分立は一面ではきちんと機能している↓
https://suinikki.blog.jp/archives/90549042.html
2026年06月09日 ドナルド・トランプが大統領になってもアメリカの権力分立は一面ではきちんと機能している↓
アメリカとトランプ大統領はイラン戦争で大きくつまずいた。和平交渉もアメリカのペースでは進まない。イラン戦争はアメリカの敗北ということになる。その尻拭いをさせられる世界は良い迷惑である。
(貼り付けはじめ)
トランプ氏、共和党議員と怒鳴り合い イラン対応批判に激怒
毎日新聞 6/25(木) 10:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/76cf37e1ce39102d14fcd11d9739d1c18cb11d53
トランプ米大統領は24日、連邦議会議事堂であった与党・共和党議員の昼食会に出席した。米メディアによると、トランプ氏は前日に上院が可決した対イラン軍事行動からの米軍撤収を求める決議案について不満を表明し、出席した議員と怒鳴り合いの口論になったという。
会合は非公開で行われた。報道によると、トランプ氏と口論したのはカシディ上院議員で、会合後の取材に当時の状況を説明した。カシディ氏は民主党主導の決議案に共和党から同調した4人のうちの一人。
米議会専門紙ヒルによると、決議案への支持をなじるトランプ氏に対し、カシディ氏が立ち上がって「あなたは米国民に何が起きているのか話していない。(戦闘は)4週間のはずだったのに、4カ月も続いた」などと反論した。激怒したトランプ氏は「座れ」「お前は選挙に負けた」などと罵倒して言い争いになったという。
トランプ氏はその後、記者団に「素晴らしい会合だった」と主張する一方、「好ましくない人たちもいる」と述べて不快感を示した。トランプ氏は会合前に投稿した自身のソーシャルメディアで、決議案を「無意味だ」と切り捨てる一方、賛成に回った共和党議員たちが「私の仕事をより難しくしている」と怒りをあらわにしていた。
トランプ氏は11月の中間選挙に向けて南部ルイジアナ州で先月行われた共和党の上院選予備選で自身に忠実な新人候補を支援し、カシディ氏を落選に追い込んだ。カシディ氏は連邦議会襲撃事件をめぐるトランプ氏の弾劾裁判(2021年)で有罪を支持し、トランプ氏の不興を買っていた。【ワシントン金寿英】
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米上院、対イラン戦争停止の決議案を初可決 両院そろってトランプ政権を批判
BBC JAPAN
2026年6月24日
サリーン・ハベシアン
https://www.bbc.com/japanese/articles/c802gd4nxvdo
米連邦議会上院は23日、ドナルド・トランプ大統領に対し、イランでの戦争を停止するか、軍事行動を継続する前に議会の承認を求めるよう指示する決議案を可決した。上院は与党・共和党が過半数を占めている。
決議案は賛成50、反対48で可決された。共和党議員の数人が民主党議員に同調し賛成に回った。議会として超党派で、イランとの紛争と、4月に合意した停戦に対して懸念を示す格好となった。
ただ、この決議は象徴的な意味合いが強い。これで上下両院での可決となったが、トランプ氏に送られ検討されることはなく、法的拘束力ももたない。
米国民に不人気な紛争が5カ月目に入ろうとするなか、共和党議員らは、トランプ氏が先週イランと合意した和平計画に対し懐疑的な見方を示している。
決議は「戦争権限法」に基づくもの。同法が1973年に制定されて以降、大統領に軍事行動の終結を指示する両院一致決議案が、連邦議会の両院で承認されたのは初めて。
両院一致決議は、大統領の署名を経て法律となる立法行為と異なり、議会の意向や意思を表明するもの。2019年には、イエメン内戦における敵対行為から米軍を撤退させることを求めた両院一致決議案が可決されたが、当時1期目のトランプ大統領は拒否権を行使した。
中東アナリストのローラ・ブルーメンフェルド氏は、今回の決議について、「法的拘束力がないため、手かせをはめるというより、手首を軽くたたく程度」とBBCにコメント。ただ、「米国民の心情を反映したものではある」とした。
アメリカでは、ガソリン価格の高騰を受け、イランとの戦争に対する不支持が広がっている。この日の両院一致決議案の可決は、戦争を終わらせるようホワイトハウスに圧力を強める点で重要な意味をもつ。
同様の決議案は下院でも今月初旬、215対208の賛成多数で可決された。共和党の4議員が民主党の全議員に加わって賛成した。
ホワイトハウス関係者は、イランとの間では4月7日に停戦で合意しており、米軍が撤退すべき敵対行為は存在しないとBBCに話した。また、決議案が上院で可決されたのは、共和党のミッチ・マコーネル、デイヴ・マコーミック両議員が欠席していたためだとした。
共和党から決議案に賛成したのは、ランド・ポール、リサ・マコウスキー、スーザン・コリンズ、ビル・キャシディの4上院議員。一方、民主党からはジョン・フェッターマン上院議員が唯一、反対に回った。
●共和党内の分裂が明らかに
今回の決議案の可決は、中間選挙を11月に控えるなか、トランプ氏を支える共和党で内部分裂があることを示す最新の事例となった。中間選挙では、共和党が両院で過半数を維持できるかが決まる。
共和党では最近、一部の議員がトランプ氏にあらがう動きを見せている。政権の意向に逆らって、「反武器化」基金の設立案に反対したり、ウクライナ支援を承認したりしている。
この日の決議案の採決は、アメリカとイランの戦争が始まって以降、戦争権限をめぐって民主党が上院で実施に持ち込んだ10回目のものだった。
同じ日、国防総省は議会に対し、約800億ドル(約13兆円)の予算を求めた。大部分はイランとの戦争費用に充てられる見通し。
連邦法の戦争権限法は、軍事行動を60日以上継続するには議会の承認が必要と定めている。アメリカとイスラエルは、イランへの空爆を2月28日に開始。ただしトランプ政権は、戦争期間のカウントは4月の停戦でいったんリセットされたと主張している。
政権はまた、国家安全保障を理由に、議会承認が必要になる期限を30日間延長もできる。
アメリカとイランは現在、停戦の継続で合意している。両国大統領が先週署名した覚書に基づき、敵対行為の終結に向けた協議を開始している。
覚書に基づき、両国の間では、イランの核開発計画の終了に関するより広範な合意のために60日間の交渉期間が設定されている。
(英語記事 Congress passes war powers measure
for first time, rebuking Trump's war with Iran)
(貼り付け終わり)
(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



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