古村治彦です。
日本は石油や天然ガスを輸入に頼っており、国際情勢の変化に大きな影響を受ける。1970年代の石油ショックがそうであったように、今回のイラン戦争からも大きな影響を受けている。石油はアラブ首長国連邦とサウジアラビア、クウェート、オマーンといった中東諸国、天然ガスと石炭はオーストラリア、インドネシア、マレーシア、アメリカといった国々から輸入している。
日本はエネルギーの輸入国の多角化を進め、1970年代の石油ショックからは備蓄に努め、それらは成果を挙げている。ロシアからの天然ガスのパイプラインは重要な施策である。アメリカとしては天然ガスの輸出をさらに増やしたいところだろう。イラン戦争による石油価格の高騰、資源価格の上昇、円安もあり、日本のエネルギー輸入は厳しい状況にある。多角化を進めるのも難しいところがある。
世界を見てみると、現状では、石油の使用の制限を国民に呼びかけている国が多い。しかし、日本では、補助金を出して、価格を下げて、ガソリンの使用を奨励している。これは全く理解できないことだ。高い石油が少ししか入ってこないということであれば、本来であれば、節約を呼びかけ、補助金を見直し、公共交通や物流などの生活を支える分野に手厚くし、自家用の使用については少し控えてもらう、もしくはご近所で助け合う、と言った方向に舵を切るべきであるが、高市早苗政権はそのようなことを行っていない。また、円安についても弥縫策ばかりで、円安傾向に歯止めがかからない。これでは輸入価格は上昇するばかりである。高市政権の無為無策のために、日本の国富は必要以上に削られているということが現状である。日本政府、高市政権は日本国民を信用していない。使用制限や節約を呼びかければパニックになる、もしくは政権の支持率が下がるということを危惧していると考えられるが、日本国民はそこまで馬鹿ではない(高市政権に大きな議席数を与えるなど心配の面はあるが)。
原発再稼働については、原発の耐用年数や安全性を考え、厳しい再稼働基準を設けて、全国にある原発のうち、この基準をクリアしたものだけ再稼働を行うということを考えるべきではないかと思う。データや文書の管理が不適切ということが起きているが、そのようなことでは再稼働は難しい。日本の人口減少ということも考えて、原発の必要性についても国民的な議論が必要になるだろう。
日本のエネルギー政策については、原発の安全管理については厳しく批判されるべきであるが、輸入国の多角化や備蓄に関しては間違っていなかった。そのおかげで、イラン戦争の影響があっても、ガソリン不足ということは起きていない。しかし、先人たちの遺してくれた備えに甘えて、放埓なことを続けていれば、立ち行かなくなることは明白だ。
(貼り付けはじめ)
湾岸危機は日本にエネルギー戦略の見直しを迫っている(The Gulf Crisis
Is Forcing Japan Into an Energy Rethink)
-東京は何十年にもわたり混乱に備えてきたが、選択肢が狭まっていることを認識した。
ジェイムズ・バリー筆
2026年6月2日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/06/02/gulf-energy-iran-oil-crisis-japan-strategy-nuclear/
中東地域のエネルギー供給混乱から自国を守るための日本の10年にわたる戦略は、正しかったことが証明されたと同時に、機能不全に陥った。東京は長年にわたり、湾岸地域の価格変動リスクに晒される困難を軽減するために、おそらく世界で最も洗練された液化天然ガス(LNG)多角化戦略を構築してきた。
ホルムズ海峡をめぐる危機は、それらの懸念が全て正しかったことを裏付けた。また、日本が長年かけて構築してきた回避策の多くを封じる事態ともなっている。現在、日本のパイプラインが空になっているということではないが、戦略的な選択肢は尽きかけており、今後数カ月の間に下される決断が、今後一世代にわたる日本のエネルギーのあり方を決定づけることになるだろう。
現時点で日本においてガソリンが不足しているということではない。東京や大阪で直ちに停電が予定されている訳でもないし、JERAのCEOも、JERAのLNG輸送のうちホルムズ海峡を経由するのは約5%に過ぎないと述べている。今回の危機は、主に供給量ではなく価格に関するものだ。しかし、物理的な供給状況以上に懸念されるのは、戦略的な状況だ。長期契約は不可抗力条項の適用を受けており、スポット価格は極めて高騰している。
根本的な脆弱性は地理的条件に起因している。日本は化石燃料の国内埋蔵量がほとんどないエネルギー資源に乏しい島国であり、石油の約95%(そのうち約70%はホルムズ海峡を経由)とLNGの約11%を中東に依存している。今回の混乱の規模がその深刻さを物語っている。3月3日、東京エリアの2026年度ベースロード電力先物価格がわずか2営業日で34%急騰し、1kWhあたり16.38円という史上最高値を記録した。その直後にカタール・エナジーが不可抗力を宣言したことは、これが一時的な価格高騰ではなく、構造的な変化であることを裏付けた。
理論上は4月8日にアメリカとイランの間で停戦が発効したが、恒久的な解決に向けた交渉は未決着のままだ。5月28日には暫定的な枠組みに関する報道があったが、双方の説明は食い違っており、合意には至っていない。極めて重要な点として、ホルムズ海峡は依然として閉塞状態にある。報道された枠組みでは、イランは30日以内に海峡から機雷を撤去することになっているが、こうした制約が続けば、価格の高止まりが2027年まで続く可能性があるとゴールドマン・サックスは警告している。
日本の調達先多角化(diversification)の取り組みにおける最大の成果と目されていたのが、カタール・エナジー社との間で締結された画期的な27年間の供給契約だった。これは、世界で最も信頼できる生産者の1つから長期にわたり安定供給を確保するという、究極の長期ヘッジ(リスク回避)として結ばれたものだ。しかし、契約締結から間もない3月初旬、カタールは地域の情勢不安を理由に不可抗力条項の発動を宣言した。
日本政府にとって、これは単なるビジネス上のつまずき以上の事態となった。この契約は、長期的な供給量を確保することで、価格変動の激しいスポット市場への依存を減らすことを意図したものだった。ところが実際には、日本側の買い手は最悪のタイミングで、再びそのスポット市場に頼らざるを得ない状況に追い込まれた。リスクに対する戦略的な判断は正しかったが、その解決策は、対処しようとしたリスクと同様に脆いものであったことが露呈した。
中東情勢が不安定になっている中で、北方の選択肢も同様に制約を受けている。長年にわたり、ロシアの「サハリン2」プロジェクトは日本のエネルギー安全保障の柱となってきた。地理的に近く、供給が安定しており、ホルムズ海峡を経由しないという利点があったからだ。このプロジェクトは現在、日本のLNG総供給量の約9%を担っている。
ウクライナ侵攻以来、アメリカ政府は日本に対し、「サハリン2」プロジェクトから撤退するよう絶えず圧力をかけてきた。日本は「サハリン2」は国家の存続に関わる問題だとして、これに抵抗し続けている。現在の危機的状況は、その主張をかつてないほど説得力のあるものにしている。今撤退すれば、すでに逼迫している世界市場で代替の調達先を探さなければならなくなる。日本政府は、主要7カ国(G7)としての責務と、自国の電力供給という冷厳な現実との板挟みになっているが、その結果、判断の天秤は「撤退せずにとどまる」方向へと決定的に傾いている。
中東情勢の不安定化や、政治的に極めて扱いにくい存在となったロシアを背景に、日本は伝統的にオーストラリアを安定した調達の拠り所としてきた。オーストラリアは日本にとって最大のLNG供給国であり、そのパートナーシップは数十年にわたる相互信頼の上に築かれている。しかし、この関係でさえも今、圧力に直面している。オーストラリア政府は、国内でのエネルギー不足や、地元産業向けの価格引き下げを求める政治的圧力などを背景に、2027年から輸出を制限する計画を進めているからだ。
日本政府にとって、残された時間は極めて限られている。2027年に予定されている輸出制限により、最も信頼できる供給ルートの1つが縮小し始める前に、日本は代替となる供給量を確保しなければならず、その猶予はおよそ1年しかない。3月14日、赤澤亮正経済産業大臣がLNGの増産を正式に要請した際、日本側がとった緊急の対応は、事態の切迫さを物語っていた。オーストラリア側の反応は丁寧だったが、輸出制限を招いているのと同様の国内事情が事態を複雑にした。シドニー(国内)と東京(日本)のどちらのエネルギー供給を優先するかという選択を迫られた際、オーストラリアはシドニーを優先する姿勢を示した。
対外的な選択肢が軒並み厳しい状況にある中、日本は国内に活路を見出そうとしてきたが、その道は自国の規制や政治の歴史によって阻まれている。設備容量で世界最大の原子力発電所である柏崎刈羽原子力発電所は、解決策の1つとなるはずだった。この原子力発電所の原子炉を再稼働させれば、輸入LNGへの依存を大幅に減らし、ホルムズ海峡のリスクに直面することなく、安定したベースロード電源を確保できるからだ。
しかし現時点では、その解決策はまだ緒に就いたばかりだ。7基ある原子炉のうち再稼働したのは6号機のみであり、それさえも、3月18日に予定されていた再稼働が3月中旬の発電機不具合で遅れ、商業運転開始に至ったのは4月になってからだった。これは東京電力にとって、福島第一原発事故以来、初めて稼働させた原子炉となった。残る6基は停止したままだ。規制上のハードル、安全上のトラブル、そして地元住民の反対といった、10年以上にわたりこの発電所を悩ませてきた要因が重なり、再稼働が阻まれているためだ。全国的に見ても、2013年以降に再稼働が認められた原子炉はわずか15基にとどまり、大半の原子炉は停止したままの状態が続いている。
日本が直面している苦境は、日本だけのものではない。ヨーロッパのエネルギー安全保障にも直接的な影響が及んでおり、その需給バランスは極めて厳しい現実に晒されている。ロシアからのパイプライン経由のガス供給が途絶えて以来、ヨーロッパは利用可能なLNGカーゴ(輸送船)の確保において、日本と直接競合する関係になっている。3月初旬には、アジアとヨーロッパのスポットLNG価格差(JKMとTTFのスプレッド)がアジア側で100万英熱量単位(MMBtu)あたり5ドル以上に拡大した。これは2022年以降で、大西洋側向けのLNGをアジアへ振り向ける動きを促す最も強力なシグナルとなった。つまり、本来であればオランダ、ベルギー、あるいはイギリスの受入基地に向かうはずだったLNGが、東京、大阪、名古屋へと引き寄せられていることを示している。
ヨーロッパのガス貯蔵量が容量の約30%にとどまり、アジアのスポット価格がすでに過去3年で最高値となる25ドル/MMBtuを超えている中、これら2つの地域は限られた供給を奪い合う形で、リアルタイムの競合状態にある。日本がヨーロッパの価格を上回って支払う金額は、そのまま世界全体の価格下限を押し上げる要因となっている。もし日本が原子力発電所の再稼働や長期契約の確保を通じてスポット市場への依存を減らせなければ、大西洋方面からのLNG調達を巡る恒久的な競合相手であり続けることになる。その結果、2026から2027年の冬に向けて、ヨーロッパの産業界にとって不利な価格水準が維持されることになる。
ロシアへの依存を巡る地政学的な圧力は、依然として強まっている。国内の原子力発電所再稼働の動きは始まったばかりであり、再稼働したのは1基のみで、残りの多くの施設は停止したままとなっている。日本の取る選択肢は狭まっている。それは特定の選択肢が消滅したからではなく、あらゆる選択肢が同時に圧力に晒されているからだ。
今後6カ月の間に日本政府が下す決断は、現在の危機が去った後も長く影響を及ぼす極めて重要なものとなるだろう。もはや、意図的に曖昧な態度をとることで先延ばしにできるような問題ではなくなっている。特に、以下の3つの選択については、これ以上決断を避けることはできない。
第一は「サハリン2」を巡る問題だ。日本は、G7の同盟国としてその立場に伴うコストを受け入れるのか、それとも地政学的な責務よりも国内の電力供給を優先する、エネルギー安全保障上の脆弱性を抱えた国となるのか、決断を迫られている。ワシントンの意向と、需給の法則の双方を同時に満たすような立場は存在しない。
第二の課題は原子力だ。柏崎刈羽原子力発電所6号機はついに運転を再開しましたが、依然として停止中の多数の原子炉の1つに過ぎない。地元住民の反対を押し切って広範な再稼働を加速させるには、歴代政権が温存してきた政治的資本をあえて投じる覚悟を持つ政権が必要となる。高市早苗首相は就任以来、原子力発電の本格的な再開をエネルギー安全保障と結びつけ、その意欲を示している。さもなければ、危機的な高値でLNGを調達し続ける事態を余儀なくされるだろう。
第三の課題はオーストラリアだ。日本は、2027年に予定されている輸出規制の影響が本格化する「前」に、供給の確約を取り付ける必要がある。そのためには、日本側がオーストラリア側に提供できる「見返り」をまだ持っている今のうちに、交渉を開始しなければならない。
過去10年間にわたる日本の調達先多角化戦略は、決して間違っていたということはない。単に、危機が到来した時点でその取り組みが未完であっただけのことだ。ホルムズ海峡での混乱は、日本の先見性の欠如を露呈させたわけではない。それは、正しい現状認識と、未完のままの対策との間に生じていた「ギャップ」を浮き彫りにした。現在、日本はそのギャップの代償として、週に10億ドルをはるかに超えるコストを支払っている。問われているのは、日本政府がこのギャップを埋めるために必要な困難な決断を下せるかどうか、あるいは、何ら抜本的な対策を講じないまま、同じ脆弱性を抱えつつ単に高い代償を支払う結果に終わるのか、ということだ。
※ジェイムズ・バリー:上級エネルギー市場ライター・編集者。彼は世界のガスおよびLNG市場を担当し、英国外務・英連邦・開発省向けにエネルギー地政学に関する講座を担当している。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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