古村治彦です。

 アメリカで都市部、そして若者を中心にして民主社会主義(Democratic Socialism)が勢力を伸ばしている。この動きは2016年頃から始まった。2016年の大統領選挙は、共和党側で泡沫候補扱いだったドナルド・トランプが一気に大統領候補者に選ばれた。一方、民主党側ではヒラリー・クリントン元国務長官が大統領選挙候補者の大本命、一気に女性初の米大統領へという期待が高まっていた。その中で、若者たちを中心に、出馬表明を行ったバーニー・サンダース連邦上院議員を支持する動きが高まった。アメリカで「社会主義」という言葉はネガティヴな響きを持つ。ヨーロッパや日本の混合的な経済政策や健康保険政策などを「社会主義的」として忌避するほどだ。

サンダースは民主社会主義者を自認し、ヨーロッパや日本のような再分配や富裕層への課税強化などを長年にわたり主張してきた。その一貫した姿勢が、リベラルな振りをしながら実際には新自由主義的だったビル・クリントン政権やバラク・オバマ政権、民主党主流派・エスタブリッシュメントに不満を募らせていた若者たちを惹きつけることになった。そして、ニューヨークの財界と深い関係にあるヒラリーへの攻撃となった。民主党側では大統領選挙予備選挙でヒラリーが圧勝すると見られていたが、サンダースが健闘し、ヒラリーを追い詰めることになった。ヒラリーが最終的に勝利し、党大会で指名を受けるということになっても、若者たちはブーイングをし、デモを行い、サンダースが協力を求めてもそれを聞かず、民主党は分裂状態となり、結果として、ヒラリーは本選挙でトランプに敗れた。民主党を支持してきたラストベルトの白人労働者たちがトランプ支持、共和党支持となったのが象徴的だった。

 2018年の中間選挙では、ニューヨークの連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で全く無名の若い女性で民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)が10期連続当選、下院議長も狙える位置にいた現職議員ジョセフ(ジョー)・クローリーを破って本選挙でも勝利し、史上最年少の女性下院議員となったのが象徴的だった。AOCはサンダースの大統領選挙から政治に参加するようになった。民主社会主義拡大の動きはこれ以降も進んだ。サンダースやAOC以外にも主流派・エスタブリッシュメントを批判する「進歩主義的」な議員たちは増加していった。
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(左から)サンダース、マムダニ、AOC

 2025年のニューヨーク市長選挙でゾーラン・マムダニが民主党予備選挙、本選挙で勝利したことは民主社会主義拡大の勢いを物語るものとなった。そして、今年の中間選挙は地方選挙でも民主社会主義を標榜する候補者たちの勝利が続いている。以下に長くなるが、関連記事をいくつか紹介する。コロラド州デンヴァーの選挙区ではメラット・キロス、ニューヨークの選挙区では、マムダニ市長が支援した、ダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエ、クレア・ヴァルデス、ブラッド・ラウダーが予備選挙で勝利した。
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(左から)ヴァルデス、ラウダー、マムダニ、アヴィラ・シュヴァリエ

 民主社会主義は民主政治体制の中で社会主義を実現することを目指し、暴力革命は否定している。富の再分配や平等の実現を目指している。資本主義から社会主義への変化・移行を漸進的、非暴力的に行うということを目指している。以下の記事の中から、民主社会主義活動団体「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」について、重要な部分を抜粋する。

(引用貼り付けはじめ)

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

(中略)

DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。

シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。

(引用貼り付け終わり)

 抜粋する部分を読むと、民主社会主義が目指している政策について概略が分かる。最低賃金の引き上げや家賃凍結などは日本でも実施を検討して欲しい政策である。私が気になったのは、DSAの綱領の刷新案の中で、「連邦上院の廃止」と「大統領や最高裁判所を連邦議会に従属する形にする」という点だ。これは、アメリカを一院制(unicameralism)にし、三権分立(separation of powers)から、立法権(Legislative power)が行政権(Executive power)と司法権(Judicial power)に優越するという形を目指すということだ。

 これは、ジャン・ジャック・ルソー流の独裁(dictatorship)を生み出す危険性がある。ルソーは直接民主政治(direct democracy)を理想としていた。これは「人民主権(popular sovereignty)」ということである。そして、選挙の結果として表現されたものが「一般意志(general willVolonté générale)となり、その無誤謬性、絶対性によって決定がなされ、それに反対する少数派には結果が強制されるということになった。これは社会主義体制にも援用されている。これは非常に危険である。実際にフランス革命がのちに独裁と暴力を生み出してしまったのはこれらの考えによる。理想社会を実現するために、暴力と強制が正当化されるということにもなりかねない。民主社会主義の漸進的な変革は良いとしても、このような人民独裁を生み出しかねない考えというのは警戒を要すると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

極左勢力がデンヴァーでも勝利を継続:コロラド州予備選挙の主なポイント(Far left extends victory streak into Denver: Key takeaways from Colorado’s primaries

ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル筆

2026年6月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5948845-takeaways-colorado-primaries/

火曜日、コロラド州デンヴァーを選挙区とする連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で、民主社会主義者のメラット・キロスが、進歩派の現職ダイアナ・デゲット議員を破るというもう1つの大きな番狂わせ(major upset)が起きた。この結果は共和党を喜ばせる一方、11月の本選挙を控えた民主党連邦下院指導部には懸念を抱かせるものとなるだろう。

元弁護士であるキロスは、「イスラエル国家の廃止を求めることは反ユダヤ主義にあたる」とする考えを批判する書簡を執筆したことを理由に解雇された経歴を持つ。今回、下院議員を15期務める現職で、連邦議会進歩派議員連盟(the Congressional Progressive CaucusCPC)のメンバーでもあるデゲットを打ち負かした。この勝利は、ニューヨーク市の激戦区における連邦下院予備選で民主社会主義者が勝利を収めてからわずか1週間後のことだった。

先週、ニューヨークでの予備選(現職議員2人が落選する結果となった)を受けて、民主党内は党内の緊張関係を軽視する姿勢を見せていた。しかし、デンヴァーでのキュロスの勝利により、党は最近の極左勢力の躍進や党内で生じている亀裂を、もはや単なる些細なこととして片付けるのが難しくなるだろう。

キロスの勝利は、中間選挙を控え、民主党の極左メンバーと苦戦を強いられている他の民主党候補者とを結びつけようとしている共和党にとっても、政治的な贈り物(a political gift)となる。

反エスタブリッシュメントの機運は、コロラド州知事選の民主党予備選挙でも鮮明になった。この選挙では、州司法長官のフィル・ワイザーが当初は本命視されていたマイケル・ベネット連邦上院議員を破った。一方、ジョン・ヒッケンルーパー連邦上院議員は予備選で進歩派のジュリー・ゴンザレス州上院議員を退け番狂わせを回避した。

コロラド州の予備選挙における主なポイントは以下の通りだ。

(1)DSAがまたも勝利を収める(DSA nabs latest win

先週ニューヨークでの予備選挙で相次いで勝利を収めた後、アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of AmericaDSA)はデンヴァーでも新たな試練を乗り越え勝利した。そこでは、29歳の民主社会主義者であるキロスが68歳の現職デゲットを破った。

連邦議会の「進歩派連邦議員連盟」のメンバーであり、地元選出の連邦議員として最長の在任期間を誇るデゲットは、30年にわたりコロラド州第1選挙区の議席を維持してきた。しかし、連邦下院での長い在任期間ゆえに、彼女は今回、連邦下院における新たな視点を求める声が高まる中で、キロスに対してのある種の脆弱性を露呈することになった。対立候補のキロスは、デゲットがワシントンでの活動を開始した当時にはまだ生まれてさえいなかった人物だ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)やアメリカ民主社会主義者(DSA)の支援を受けたキロスは、近年、大卒の若年層有権者が流入している選挙区で序盤からリードを奪った。Decision Desk HQのデータによると、東部夏時間の午後10時30分に勝敗が確定した時点で、開票率78%、キロスはデゲットを約4ポイントリードしていた。

キロスの勝利は、いわゆる「マムダニ効果(Mamdani effect)」の証拠となる。DSAは先週、支持基盤が集中し、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニがその主張を最も力強く代弁しているニューヨーク州の予備選挙で、注目を集める勝利を収めたばかりだった。なお、DSAは政党ではなく、所属候補者は民主党から出馬するものの、党の主流派や組織運営の方針とは意見が全く異なる。

DSAは今後数週間、ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州などでも予備選挙という試練に直面することになる。専門家たちは、ニューヨークのような「青い(民主党支持の強い)地域」での勝利を過大評価することには慎重な姿勢を示しているが、コロラド州での予備選挙勝利は、左派的な政策アプローチに対する有権者の意欲が高まっていることを示す新たな兆候と言える。

共和党はこの予備選挙の結果に即座に反応し、極左勢力が民主党というブランドを乗っ取ろうとしていることの新たな証拠だと主張した。

「民主党における社会主義勢力の台頭は、もはや『ディープ・ブルー』(民主党の圧倒的強固な地盤)に限った話ではない。急進派が激戦区を次々と掌握し、民主党にとって必勝を期すべき議席を手の届かないものにしているほか、連邦下院の主導権を奪還する可能性をも潰してしまっている」と共和党連邦下院選挙対策委員会の広報担当マイク・マリネラは声明で述べた。

(2)反エスタブリッシュメントの民主党候補たちが重要な勝利を収める(Antiestablishment Democrats notch key wins

火曜日、反エスタブリッシュメントの民主党候補たちがいくつかの重要な勝利を収めた。

デンヴァーを擁する連邦下院第1選挙区で、民主社会主義者を自認するキロスが議会進歩派議員連盟(CPC)の現職デゲットを破ったことは、党内の反エスタブリッシュメント・新興勢力にとって最大の勝利となった。

この勝利は、キロスのイスラエルに関する一部の主張が党内で物議を醸していたにもかかわらず実現したものだ。彼女は以前、イスラエルの消滅を求めたりイスラエル政府を批判したりすることを「反ユダヤ主義的(antisemitic)」と見なす考え方を批判する書簡をアメリカの法律事務所宛てに送付していた。

また、コロラド州知事選の民主党予備選挙では、ワイザーがベネットを破った。これは、選挙戦当初、ベネットが圧倒的優位と見られていた政治情勢からすれば、予想外の結果だった。

ワイザーは厳密には民主党主流派の一員であり(コロラド州選出の有力民主党公職者の1人であり、民主社会主義者とは程遠い人物だ)、州司法長官という立場にあるが、ワシントンDCの現職政治家に対する予備選挙参加の有権者の不満を巧みに取り込んだ。

ワイザーは、自身がトランプ政権を66回も提訴した実績を強調する一方で、ベネットが大統領の閣僚指名の一部を承認したことを激しく批判した。さらに、ワイザーはベネット連邦上院議員が億万長者たちに「借りがある(言いなりになっている)[beholden]」と示唆し、自分自身は一般のコロラド州民のために戦う姿勢を強調した。

ベネットの政策スタンスの一部はワイザーよりも急進的なものだったが、彼の政策綱領や連邦上院議員としての経歴だけでは有権者の支持を勝ち取るには不十分だった。

しかしながら、ベネットが職を失うことにはならない。彼は連邦上院議員にとどまり、2028年の改選に臨むことになる。

一方、元コロラド州知事、元デンヴァー市長のヒッケンルーパーは、進歩派の州上院議員であるゴンザレスの挑戦を退けた。

(3)激戦が予想される連邦下院選挙(Races set for competitive House seats

デゲットの地盤であるデンヴァーの選挙区では、この秋、キロスが「民主党の堅い議席」とも言えるこの議席を容易に獲得する見通しだ。しかし、火曜夜の予備選挙の結果、連邦下院の主導権を巡る重要な戦いにおいて、いくつかの激戦区となる可能性のある選挙戦の構図も固まった。

コロラド州第8選挙区では、現職のゲイブ・エヴァンス連邦下院議員(共和党)が、今年改選を迎える共和党議員の中で最も苦戦が予想される1人と見られている。デンヴァー北部の郊外を選挙区とするこの議席について、クック・ポリティカル・レポートは「接戦(toss-up、トスアップ)」と評価している。

この秋、エヴァンスはマニー・ルティネル州下院議員(民主党)と対決することになる。ルティネルは火曜日の民主党予備選挙で、シャノン・バード元州下院議員を破った。弁護士であり、かつては米陸軍工兵隊でエコノミストとして勤務した経歴を持つルティネルには、11月の本選挙で民主党が議席を奪還できる最大の好機の1つを確実にものにするという重圧がかかっている。

コロラド州第5選挙区も、この秋の選挙で激戦となる可能性がある。クック・ポリティカル・レポートは今年に入り、この選挙区の情勢評価を「共和党確実(solid、ソリッド)」から「共和党優勢(likely、ライクリー)」へと民主党寄りに修正した。

現在、現職のジェフ・クランク連邦下院議員(共和党)が保持しているこの議席は、過去3回の大統領選挙のサイクルを通じて、一貫してリベラル(民主党)寄りへと変化してきた。この秋クランクに挑む候補者としては、予備選挙を勝ち抜いた元陸軍軍人のジェシカ・キリンが選ばれた。

民主党が連邦下院の主導権を握るには3議席を純増させる必要がある。

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ニューヨーク州議会選、民主社会主義者が相次ぎ勝利(Democratic socialists rack up wins in New York state Legislature races

アシュレイ・フィールズ筆

2026年6月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5938202-democratic-socialists-new-york-mamdani-primary-elections/

火曜日に行われたニューヨーク州議会の予備選挙で民主社会主義を掲げる候補者たちが次々と勝利を収めた。ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主党)による政治的支援が、この「青い波(the blue wave、民主党の躍進)」を後押しした。

Decision Desk HQDDHQ)」によると、民主社会主義を掲げる候補者たちは、彼らを標的としたスーパーPAC(政治活動委員会)による巨額の資金投入があったにもかかわらず、州上院で2議席、州下院で4議席を獲得した。

パレスティナ系アメリカ人のエイバー・カワスが州上院第12選挙区の民主党予備選挙で勝利したほか、現職のジャバリ・ブリスポート州上院議員(民主党)は第25選挙区で78%以上の得票率を記録し、再選を確実にした(同選挙区の共和党予備選挙は中止された)。

DDHQによると、民主社会主義を掲げるジェシカ・ゴンザレス=ロハス候補も第13選挙区の予備選挙でリードしているが、最終的な結果はまだ確定していない。

「シティ・アンド・ステイト・ニューヨーク」の報道によると、ゴンザレス=ロハスは声明の中で、「力を合わせれば、働く家族を主軸に据え、地域社会に真の成果をもたらす未来を築くことができる」と述べている。

他にも、民主社会主義と関わりのある候補者が勝利を収めた。クリスチャン・テイトとサマンサ・カッタンは、それぞれニューヨーク州下院の予備選挙で勝利し、11月の本選挙では共和党の対立候補が不在となっている。また、DDHQの予測では、イオン・ハントリーが現職のステファニ・ジナーマン州下院議員を22ポイントの大差で破った。

現職の民主社会主義者であるダイアナ・モレノ(マムダニ氏の後任として州下院議員に就任)も、予備選挙で79%近い得票率を記録し、州議会への復帰を果たす見通しだ(DDHQ予測)。彼女は11月の本選挙で共和党の対立候補と対決することになる。

DDHQの集計によると、イラパ・サイリトゥパックも州議会予備選挙でリードしている。

現職議員の中で予備選挙を勝ち抜く可能性があるのはジョーダン・ライトだけで、DDHQのデータではライトが第70選挙区の予備選挙で首位に立っている。

「富裕層への課税(taxing the rich)。移民関税執行局(ICE)の排除(Kicking out ICE [Immigration and Customs Enforcement])。無償の保育の保証(Guaranteeing free childcare)。ニューヨーク市民が住居を維持すること(Keeping New Yorkers in their homes)」。ニューヨーク市のDSAは投票日の火曜朝、ソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、自らが支持する候補者たちへの後押しを行った。

DSAはさらに「社会主義の旗手たちを当選させこの政策課題を実現しよう」と呼びかけた。

「ニューヨーク・フォーカス」によると、DSAに反対するスーパーPAC(政治活動委員会)が290万ドルを投じて激しい反対運動を展開したものの、DSA系候補の選挙運動費用がいずれも20万ドルのラインを超えることはなかった。

DSA系候補に対抗する穏健派の挑戦者を支援するスーパーPACのストラティジストのジェフ・レブは「ニューヨーク・フォーカス」に対し、次のように語った。「ゾーランこそが起爆剤(the catalyst)となった。彼の勝利が人々を目覚めさせた」。

DSAには勢い(momentum)がある。彼らはニューヨークで過去最多の候補者を擁立しており、勝利の方程式を見出したと考えている。だからこそ、人々の反応が得られている」とレブは付け加えた。

マムダニにとって、連邦議会選挙でも大きな成果を挙げた。彼が支持を表明していた民主社会主義者のクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエがいずれも現職を破って勝利を収めた。
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エスパヤットがニューヨーク州の連邦下院民主党予備選でママダニ氏支持の候補に敗れる(Espaillat ousted in New York House primary by Mamdani-backed candidate

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931226-espaillat-loses-new-york-house-primary/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、民主社会主義者のダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、民主党予備選挙で現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(民主党)を破った。これはニューヨーク市の社会主義運動にとって大きな勝利となる。

連邦下院第13選挙区をめぐるこの選挙戦は、ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主社会主義者)にとって、その影響力を試す重要な機会の1つだった。マムダニは、5期目を務める現職のエスパヤットに対抗するアヴィラ・シュヴァリエを支持していた。

昨年の歴史的な市長選での勝利に続き、マムダニがアヴィラ・シュヴァリエの選挙活動に同行したことは、彼女の陣営に大きな弾みを与えた。ハーレム、ワシントン・ハイツ、ブロンクスの一部を含むこの選挙区において、マムダニの支持は、アヴィラ・シュヴァリエがエスパヤットを追い抜く助けとなったと見られる。

この予備選挙の結果により、エスパヤットの下院議員としての任期は終了することになる。エスパヤットは2016年に選出され、不法移民としての経歴を持つ初の連邦議会議員として知られている。現在は連邦議会ヒスパニック議員連盟の会長を務めるほか、連邦議会進歩主義議員連盟のメンバーでもある。

民主党の地盤が極めて強固なこの選挙区において、アヴィラ・シュヴァリエが今年11月の本選挙で議席を獲得することはほぼ確実な情勢だ。
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ニューヨーク州連邦下院民主党予備選挙でヴェラスケス氏の後任にマムダニが支援した候補者(Mamdani’s pick set to replace Velázquez in House after New York primary win

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931196-valdez-wins-ny-house-primary-mamdani/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、ニューヨーク州議会議員のクレア・ヴァルデスが、ニューヨーク州の激戦となっている連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で勝利する見通しだ。
ニューヨーク州第7選挙区の予備選挙は、市内で最も進歩的な地域の1つにおいて有権者を二分する激しい争いとなった。

ヴァルデスは、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニやアメリカ民主社会主義者(DSA)の支持を受けていた。一方、予備選挙のライヴァルであるブルックリン区長のアントニオ・レイノソは、ブルックリンとクイーンズの一部を代表する連邦下院議席の後任として、現職のニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(民主党)から支持を得ていた。

ヴェラスケスは1992年にプエルトリコ系女性として初めて連邦下院議員に選出され、110期以上にわたる在任期間を経て引退を表明したため、この議席は後任を巡る選挙戦となっていた。

同じく30年以上にわたって務めたニューヨーク州選出の民主党議員ジェリー・ナドラーが引退する第12選挙区と同様、この議席は、ニューヨーク州における民主党の世代交代を巡る議論の中心にあるいくつかの議席の1つだ。

この選挙区は民主党の地盤が極めて強固であるため、ヴァルデスはこの秋の本選挙でも勝利する可能性が極めて高いと予想されている。
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マムダニが支援したラウダーがニューヨーク州連邦下院議員民主党予備選挙でゴールドマンを破る(Mamdani-backed Lander ousts Goldman in New York House primary

by Julia Mueller - 06/23/26 9:06 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/5931205-lander-beats-goldman-new-york-house-primary/
Decision Desk HQ
DDHQ)の予測によると、元ニューヨーク市会計監査官ブラッド・ランダーが、現職のダン・ゴールドマン連邦下院議員(民主党)に予備選挙で挑戦し、勝利する見通しとなった。

DDHQのデータによれば、ランダーは開票率47%の時点で約63%の支持を集め、現職候補に圧勝した。

昨年、ニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙で大きく引き離されて3位に終わったランダーだが、今秋の選挙では民主党の地盤であるこの議席を確実に手にする軌道に乗っている。今回の勝利は、ランダーを支援したニューヨーク市長ゾーラン・マムダニにとっても重要な成果となった。

リーバイ・ストラウス社の後継者であり、連邦議会進歩派議員連盟(CPC)のメンバーでもあるゴールドマンが、親イスラエル・ロビーからの長年の支援をめぐって苦境に立たされる中、進歩派であるランダーは強力な挑戦を仕掛けた。なお、ゴールドマンにはニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)や連邦下院民主党指導部が支持を表明していた。

この選挙戦は、ニューヨークにおける民主党の進むべき方向性をめぐる対立軸を浮き彫りにした。ゴールドマンがより中道かつ既成勢力寄りの政策を掲げたのに対し、ランダーは進歩派の立場を強く打ち出した。

リーバイ・ストラウス社の後継者であるゴールドマンは、2024年の予備選挙では約40ポイントの大差をつけて再選を果たしたが、先月実施されたエマーソン・カレッジの世論調査では、2026年の予備選挙においてランダーが30ポイント以上リードしているという結果が出ていた。

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民主社会主義者について知っておくべきこと(What to know about democratic socialists

ジュリア・ミュラー、タラ・サター筆

2026年6月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5941564-democratic-socialists-primaries-mamdani-sanders/

民主社会主義者たちは、エスタブリッシュメントの枠組みを超えた左派的な理想を掲げ、中間選挙を前に大きな勝利を収めて主流派の民主党員を動揺させるなど、国政の舞台で勢力を拡大している。

ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニは、昨年の歴史的な選挙での勝利により、民主社会主義運動を全国的な注目の的へと押し上げ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)やバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)などと肩を並べる存在となった。

最近の予備選挙を経て、ワシントンDCでは民主社会主義者が市長選での勝利を確実にしており、ロサンゼルスでも別の候補者がこの秋の市長選挙本選挙へと駒を進めた。火曜日に行われたニューヨーク州の連邦下院議員予備選挙では、マムダニが支持した2人の民主社会主義者が勝利を収めた。そのうちの1人は連邦下院の有力な進歩派議員を破っており、民主社会主義運動の勢いが増していることを示している。

民主社会主義の思想を支持する人々は、進歩的な変革を求め、いわゆる資本家階級による主導を拒絶している。また、全米各地で候補者を支援する草の根の活動家組織「アメリカ民主社会主義者(DSA)」は、2026年および2028年の選挙に向けて、その政治的組織力を強化している。

知っておくべきポイントは以下の通りだ。

(1)DSAは社会の「変革」を目指す(DSA aims to ‘transform’ society

DSAは、労働者階級に重点を置いてアメリカ政治を「変革」することを目指している。彼らは、既存の利益追求型構造や資本主義の枠組み(existing profit-driven structures and capitalist frameworks)を否定しつつ、経済的平等と社会正義(economic equality and social justice)を促進している。

DSAの共同議長であるアシク・シディークは木曜日の『ザ・ヒル』とのインタヴューで「私たちは社会を根本から全面的に変革しようとしているが、可能な限り全員で意思決定を行いながらそれを進めたいと考えている」と語った。

DSAはこの運動の主要な組織的基盤だが、有権者が党員登録できる政党ではなく、非営利の活動家団体だ。また、候補者の中には、この組織の正式な構成員でなくとも、民主社会主義の理念に共鳴している人もいるだろう。

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

ワシントンDCでは、DSAの地元支部が犯罪対策として警察以外の代替策への投資を目指しており、移民関税執行局(ICE)と地元警察との「日常的な連携」を現職市長の失策の1つとして批判している。進歩派の民主党市長候補であるジャニース・ルイス・ジョージは、連邦政府による権限の濫用に対して徹底的に抵抗する姿勢を打ち出しており、これに対しトランプ大統領は、もし今秋の選挙で「狂った社会主義者」が選出されれば、連邦政府がワシントンDCを「取り戻す(take back)」可能性があると警告している。

ロサンゼルスでは、DSA所属の市長候補ニティア・ラマンが、ホームレス問題や住宅費高騰に対して進歩的な政策を打ち出している。DSAロサンゼルス支部は市長選においてまだ特定の候補を支持していないが、DSAロサンゼルス支部の目標には警察予算の削減や刑務所の廃止などが含まれている。

オカシオ=コルテスは「グリーン・ニューディール」の推進者として有名だ。これは、高速鉄道の整備、「炭素の社会的費用」ルールの導入、そして大恐慌時代の政策をモデルにした公的な雇用創出プログラムの確立など、環境および経済にわたる広範な改革を提案する法案だ。

DSAは以前からアメリカ合衆国憲法に対して批判的な姿勢をとっており、2024年の声明では、アメリカ政府の運営の基礎となるこの文書について、「エリートによる支配を明示的に固定化する政治秩序を確立するものだ」と述べている。

DSAは2024年の綱領において、究極の目標は「全ての人に市民的・政治的・民主的権利を保障し、単一の連邦議会における比例代表制に基づき、政治における金の影響力を排除する、新たな民主的憲法」を制定することだと述べている。

ウェブサイトに掲載されたDSAの綱領では、非市民や有罪判決を受けた人々への完全な投票権の付与、ワシントンDCの州昇格、比例代表制導入による二大政党制の解消、連邦下院議席数の拡大、大統領の一般投票による選出、そして最高裁判所による司法審査権の制限などが求められている。

保守寄りのシンクタンクであるマンハッタン研究所の出版物『シティ・ジャーナル』は最近、DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。
シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。
「しかし、私たちが明確にしておきたいのは、人々が政府、職場、地域社会に対して完全な民主的統制(democratic control)を持つ『民主社会主義的社会(a democratic socialist society)』のあり方に関する、より広範で長期的なヴィジョンと、統治に関する短期的なヴィジョンとを混同すべきではないということだ。後者については、私たちの候補者が掲げる実際の政策綱領をご覧いただきたい」。

(2)主要な選挙戦で勢いを増す候補者たち(Candidates gain momentum in key races

シディークは、DSAの成長は近年、「指数関数的なカーヴ(an exponential curve)」を描いていると述べている。

1980年代に左派の提唱団体として登場したDSAだが、2016年に無所属のサンダース(当時DSAの会員ではなかったが、自らを民主社会主義者と称していた)が大統領選挙に出馬した際、主流派政治の表舞台へと躍り出た。DSAによれば、その年のトランプの勝利がきっかけとなり、さらに数千人が新たに参加したということだ。

DSAニューヨーク支部は、2018年の選挙でジョー・クロウリー連邦下院議員(当時、ニューヨーク州選出、民主党)に挑んだオカシオ=コルテスを支持した。オカシオ=コルテスは、同様にDSAのメンバーであり、いわゆる進歩派グループ「スクワッド(Squad)」の一員であるラシダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)などと共に連邦議会入りを果たし、その次の選挙サイクルではコリ・ブッシュ連邦下院議員(ミズーリ州選出、民主党)も隊列に加わった。

シディークによると、10年近く前には約5000人だった会員数は現在10万人を超え、全米に200の支部を擁するまでに拡大している。

そして、マムダニの歴史的な勝利に続き、今回の中間選挙サイクルにおいても、DSAの候補者たちが注目すべき勝利を収めている。

今月、ワシントンDCではルイス・ジョージが予備選挙で穏健派の対立候補を上回る成績を収め、トランプの2期目を通じて首都の舵取りを担うことが事実上確実となった。その1週間前には、ラマンがロサンゼルス市長選挙の本投票(11月実施)への進出を決め、現職のカレン・バス市長(民主党)と対決することになった。

今週に入り、マムダニとDSAニューヨーク支部の支援を受けた民主社会主義者の候補者であるクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、ニューヨーク州の連邦議会予備選で大勝した。特にアヴィラ・シュヴァリエは、現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を破るという結果を残した。

DSAニューヨーク支部は木曜日、火曜夜の予備選挙投票終了後、会員が400人以上増加したと発表した。

しかし、今後数週間は、DSAの支持基盤の大部分が集中するニューヨーク州以外での運動の力が試される時期となるかもしれない。デンヴァー、デトロイト、南フロリダでDSA候補者が連邦議会議員選挙の予備選挙に臨むからだ。

(3)躍進は民主党との亀裂を浮き彫りにする(Rise underscores rift with Democratic Party

ニューヨーク市で行われた火曜日の予備選挙では、民主社会主義運動の勢力拡大に伴い、連邦議会選挙は民主党内の分裂を浮き彫りにした。

マムダニは、民主党予備選挙での勝利後、2025年の市長選挙でマムダニに重要な支持を与えた連邦議会ヒスパニック議員連盟会長のエスパイヤット議員ではなく、アヴィラ・シュヴァリエを支持した。また、退任するニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の後任として、ヴェラスケスが支持した候補者ではなく、ヴァルデスを支持した。

今回の選挙は、世代交代から経済政策に至るまで、民主党の将来に関する幅広い議論の中で、民主党内で意見の相違が生じていることを浮き彫りにした。

シディークは、ザ・ヒルのインタヴューで、2024年の選挙において左派的な政策や候補者が不足していると感じたことへの不満を表明した。また、カマラ・ハリス(当時副大統領)の敗因として、イスラエルによるガザ地区での戦争に起因する人道危機や気候変動といった問題に対するハリスの姿勢を挙げた。

「私たちが考えるハリスの敗因の1つは、予備選挙の段階で左派的な主張をしたり、より踏み込んだ要求をしたりする存在がいなかったことだ。その結果、パレスティナ問題(ガザ地区でのジェノサイドなど)が進行中であったにもかかわらず、選挙戦ではほとんど議論されなかった。また、気候変動、その他の主要な課題といった問題が、十分に取り上げられなかった。全体として右傾化(a slide to the right)が進み、それによって民主党の支持基盤の多くが離反し、普段は投票に行かない層も全く意欲をかき立てられなかった」とシディークは語った。

DSA運動の勢いが増す中、DSAは2028年の大統領選挙への挑戦も視野に入れている。

DSA運動から有力候補として名前が挙がっている人物の中で最も著名なのがオカシオ=コルテスです。

シディークによると、組織内では大統領候補の擁立に関する議論が行われており、DSAには「議論を重ね、最終的には誰を擁立するかについて集団的な決定に至るというプロセス」があるということだ。

「アメリカでは物事が非常に急速に変化している。先週私たちが手にしたような勝利は、こうした政治的立場を代表する人物が、大統領選挙で十分に有力な候補になり得るという期待を、私たちに抱かせてくれていると思う」とシディークは述べた。

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●「米民主党左派、中間選挙の候補者3割に 反イスラエル・物価高で支持」

202672 5:47

日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01CZR0R00C26A7000000/

democraticsocialismnikkei20260702001

西部コロラド州の下院選の民主党予備選で勝利宣言したメラット・キロス氏(630日)=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】米民主党内で「民主社会主義者」や「進歩派」と呼ばれる急進左派が全米で勢いを増している。11月の中間選挙に向けて党候補を決める予備選は6割が終わり、このうち3割弱で左派系候補が勝利した。

主流の穏健派が次々と敗れる事態で、2028年の米大統領選にも影響が及びかねない。米ジョンズ・ホプキンズ大のダニエル・シェロズマン教授は民主党の現状について「これほど多くの左派系がメンバーになる状況はこれまでなかった」として「内部では亀裂が生じている」と指摘する。

29歳の若手、ベテラン破る

「私たちが戦えば変化は必ず起きる」。西部コロラド州で630日に投開票された連邦下院議員候補を選ぶ党予備選では、急進左派で29歳のメラット・キロス氏が約30年間も議席を維持してきたベテラン現職を破り、記者会見で気勢を上げた。

選挙戦では企業からの政治献金を拒否し、バリスタとして働く庶民的な姿勢を訴えた。弁護士としてニューヨークの法律事務所に務めていた際、「イスラエルの国家消滅を求めるのは反ユダヤ主義だ」とする見解に異議を唱えて解雇された経験も持つ。

コロラド州では同日実施の知事候補を選ぶ党予備選でも、左派色が強い候補が本命視されていた穏健派を破った。

democraticsocialismnikkei20260702002

民主党が党候補を決める全米での予備選は3月に始まり、9月までに終わる。コロラド州の結果を受けて、11月に改選する米連邦議会上院(改選33議席と補選の2議席)と下院(定数435議席)のうち、300超の選挙区で党候補が固まった。

日本経済新聞社の集計によると、このうち左派系が党候補の座を手中にした選挙区は80超あり、およそ27%を占めた。左派がつくる政治グループ、プログレッシブ・コーカス(進歩派議員連盟)などが支援した候補を集計した。

■全米に広がる「マムダニ旋風」

躍進の背景にあるのが、所得格差の拡大や長引く物価高だ。バイデン前政権を支えた主流の穏健派が「富裕層や大企業の利益に重きを置き、労働者や生活者を置き去りにした」と批判し、党指導部は人々の不満に応えていないと主張する。

経済面では公共サービス料金の無償化や国民皆保険の導入、大企業への規制強化などを政策に挙げる。

公共サービス料金の無償化などは米国では急進的に映る。だが米調査会社ギャラップによると、資本主義に肯定的な見方を示す民主党支持者の割合は2010年の51%から25年には42%に減少した。大企業に肯定的な見方も46%から17%にまで減った。

民主社会主義者を自称する左派は「資本主義の弊害を減らし、より平等な社会を実現しよう」と訴える。

イスラエルに批判的な姿勢や国防費の抑制といった主張なども支持を集めている。米国では若年層を中心にイスラエル支援に不満を持つ人の割合が大きい。

ギャラップによると、民主党支持者でイスラエルよりもパレスチナに共感すると答えた人は26年に65%と、その逆(17%)を大きく上回る。歴史的にイスラエル寄りの傾向が続いていたが、23年から逆転した。

democraticsocialismnikkei20260702003

性的少数者の権利擁護を訴える恒例のパレードに参加したマムダニ市長(628日、ニューヨーク)=AP

急進左派の代表格がニューヨーク市長のマムダニ氏だ。家賃の引き上げを禁じるなどして全米の注目を集める。623日にニューヨーク州で実施された連邦議会下院の予備選では、マムダニ氏が支援した急進左派の3人が勝利し、全米に衝撃を与えた。

主流派は左派候補の台頭は、無党派層や穏健な民主支持層を遠ざけると警戒する。激戦区で共和党に勝つには中道派の支持取り込みが欠かせないからだ。穏健派の民主下院グループは「私たちは資本主義者であり、社会主義者ではない」と訴える。

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中間選挙で左派への支持が鮮明になれば、2028年の大統領選にも波及する。急進左派の若手代表格でZ世代から初めて下院議員になったマックスウェル・フロスト氏は「進歩派から我々の次期大統領候補を選ぶのが希望であり、そうなるだろう」と予告する。

トランプ米大統領は民主党の左傾化を中間選挙の争点にしようと動き始めた。「彼らは『社会民主』という言葉を使うが、実際には共産主義だ。建国以来、米国にとっての最大の脅威だ」などと再三、主張している。

急進左派は国内問題を重視し、対外関与を控えようとする傾向がある。共和党だけでなく、民主党でも内向き姿勢が強まれば、日本や世界に影響する。

(貼り付け終わり)

(終わり)



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