古村治彦です。
アメリカとイスラエルの姦計は「特別な同盟関係(special alliance)」だ。アメリカは毎年数千億規模の軍事支援をイスラエルに行っている。イスラエルは中東地域におけるアメリカの強力な同盟国として存続している。アメリカ国内には強力な「イスラエル・ロビー(the Israel Lobby)」が存在し、アメリカ政府の対イスラエル政策に重大な影響を与える。イスラエルに対して有利な政策に賛成する連邦議員に対しては投票行動や政治献金で手厚く支援をし、反対する議員には激しい落選運動を行う。いつしか、アメリカ政界、アメリカ社会において「イスラエルを批判すること」はタブーとなり、そのタブーに触れた人物は「反ユダヤ主義(antisemitism)」の烙印を押されて、政界や社会から抹殺されるまでになった。「特別な同盟関係」であるが、実際にはイスラエルに対する過剰な保護と過剰な用語を与える歪(いびつ)な関係になった。
しかし、アメリカ国内において、イスラエルに対する疑問や批判の声が大きくなっている。特に若い世代においてそれは増大している。若者たちの間で民主社会主義(Democratic Socialism)への支持が高まるのと軌を一にしている。この関係については、アメリカ政治の専門家たちによる研究分析を待ちたいと思う。2024年のハマスによるイスラエル攻撃は強く非難されるのは当然だ。しかし、その後のイスラエルによる過剰な攻撃によるガザ地区の破壊と民間人の大量殺害については、ハマスの攻撃を理由にして正当化されるべきではない。さらに言えば、2024年のハマスの攻撃をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事前に察知していながら放置したという疑惑も出ている。イスラエルの極右勢力の凶暴な攻撃性はついにアメリカのドナルド・トランプ大統領を引き込んでの(洗脳をしての)、イラン攻撃二位まで行きついた。その結果は現状の通り、世界に大きな苦難を与えている。
こうした中で、アメリカ国内でもイスラエルに対する非難が起こり、イスラエルとの関係を見直す動きも出ている。ドナルド・トランプ大統領は親イスラエルであるが、J・D・ヴァンス副大統領はイラン攻撃に反対し、戦争後にはベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談でネタニヤフ首相を激しく非難し、厳しい言葉で詰問したという報道も出ている。アメリカの将来の世代は、これまでのアメリカ・イスラエル関係を許さないという考えを持っている。そして、そのことは政治の世界にも反映されていく。
極右勢力が国家のかじ取りをすることは最終的にはその国家の利益にはならない。イスラエルがそのことを教えてくれる。私たちが学ぶべきはこのことであり、日本に引き付けて考えてみると、現在の高市早苗政権はまさにイスラエルのネタニヤフ政権と似ており、その無思慮な政策によって国際的な孤立状態にあるのは偶然ではなく、必然ということになる。また、私たちは日米関係についても良く考えてみなければならない。現在の歪な日米関係では日本の将来を開くことはできない。そのことを私たちは認識すべきなのである。
(貼り付けはじめ)
アメリカ・イスラエル同盟の終焉The End of the U.S.-Israel
Alliance
-イランに対する共同戦争がその頂点となるかもしれない。
ジョシュ・レイファー筆
2026年6月15日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/06/15/israel-united-states-special-relationship-palestine-netanyahu-trump/
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、歴代の首相たちが夢にまで見た事態を実現させたようだ。アメリカ・イスラエル両国の戦闘機がテヘラン上空を編隊飛行し、イスラエル軍の将校がフロリダにあるアメリカ中央軍司令部に常駐する。建国の父ダヴィド・ベングリオンの時代から、イスラエルの指導者たちは、国家の永続的な存続を保証してくれるであろう世界最強の超大国の後ろ盾(backing from the world’s preeminent superpower)を求めてきた。しかし、現在見られるような協力関係の深さを想像できた人間は誰一人いなかっただろう。もし「老指導者(the Old Man)」の愛称で親しまれたベングリオンを、スデ・ボケルの砂漠の眠りから呼び覚ますことができたなら、彼はこのニューズを大いに喜ぶに違いない。
しかしながら、見かけは往々にして実態とは異なるものだ。ある意味で、アメリカ・イスラエル関係は今や絶頂期にあると言える。しかし別の角度から見れば、すでに破局的な衰退の時期(a period of terminal decline)に入っている。過去半世紀にわたり、いわゆる「特別な同盟関係(special alliance)」を支えてきた政治的、イデオロギー的、そして社会的な柱が崩れ始めているからだ。かつて連邦議会(Capitol Hill)において圧倒的な力を誇った「イスラエル擁護複合体(the
Israel-advocacy complex)」、米イスラエル公共問題委員会(the American
Israel Public Affairs Committee、AIPAC)のようなロビー団体、名誉毀損防止同盟(the Anti-Defamation League、ADL)のようなユダヤ人コミュニティ組織、そして「イスラエルのためのキリスト教徒連合(Christians United for Israel、CUFI)」のようなキリスト教シオニスト団体からなるネットワークが、今や揺らぎ始めている。極度の分極化(hyperpolarization)が進む今日の情勢下で、彼らはまず民主党内の進歩主義派から挑戦を受け、現在ではMAGA連合内の新孤立主義派からもますます強い圧力を受けている。
世論も劇的に変化した。イスラエルへの支援が国益にかなうと考えるアメリカ人は半数に満たず、パレスティナ人に対してイスラエル人よりも同情的な見方をするアメリカ人が初めて多数派となった。また、アメリカ人とイスラエル人が文化的・宗教的価値観を共有しているという前提も、もはや自明のことではなくなっている。アメリカがキリスト教的性格を薄め、多様性を増していく一方で、イスラエル社会はより伝統主義的な傾向を強め、その公共文化は内向きなものとなっている。さらに、アメリカの右派・左派双方において、反ユダヤ主義が社会の周縁(the margins)から政治の主流へと浸透し始めている。ポピュリズムが台頭するこの時代、特に若者や現状に不満を抱く人々の間では、反ユダヤ主義が反エスタブリッシュメント(anti-establishment)としての信憑性を示す証しであると見なされるようになっている。
こうした変化は、2023年10月7日のハマスによる攻撃以前からすでに進行していた。しかし、その後のイスラエルによるガザ地区の破壊、荒廃した同地への封鎖と飢餓の強要、そして占領下ヨルダン川西岸地区における入植者による暴力の激化、これら全てが2年以上にわたりソーシャルメディアでライブ配信されたのだが、これらによって、そうした変化は劇的に加速した。その結果、現代のアメリカ政治において至る所で見られる現象となった、反イスラエルの反発の波が巻き起こった。もしアメリカとイスラエルによる対イラン共同戦争がこの「特別な同盟関係」の頂点をなすものだとするならば、その後に待ち受けているのは「転落(the fall)」ということになるだろう。
イェルサレムにおいて、イスラエルのイツハク・ラビン首相(右から2人目)が、エジプトとイスラエル間の「シナイII協定」の文書に目を通す傍ら、アメリカのヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官(右から3人目)が見守っている(1975年9月2日)
この「特別な同盟関係」は常に特別なものであった訳ではない。イスラエルを国家として承認したのはハリー・トルーマン大統領だったが、後任のドワイト・D・アイゼンハワー大統領はイスラエルに対して冷ややかだった。冷戦初期におけるアメリカの戦略的計算を狂わせることを懸念したのがその理由だ。ジョン・F・ケネディ大統領はアイゼンハワーの武器禁輸方針を転換し、アメリカ製兵器をイスラエルに供給した最初の米大統領となった。また、リチャード・ニクソン大統領(正確にはその補佐官のヘンリー・キッシンジャー)は1973年、軍事支援の緊急空輸を主導してイスラエルを救い、中東戦争における敗北の危機を回避させた。それでもなお、この関係には限界があった。ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュの各政権は、イスラエルの指導者たちに対して「ノー」と言う術を心得ていた。時には今日では衝撃を与えかねないほど強硬な言葉で、あるいは実質的な不利益をほのめかして拒絶することもあった。彼らは「イスラエル擁護複合体」を恐れることはほとんどなかった。当時の同勢力は、1990年代半ば以降に見せるような強大な影響力と比べれば、まだ「ウェルター級」程度の規模に過ぎなかったからである。
冷戦の終結は、アメリカとイスラエルの関係をより緊密なものへと変えた。もはやその関係は、世界規模の大国間の均衡(global great-power equilibrium)というアメリカのより広範な配慮によって抑制されることはなくなった。国際関係論の学者たちが「戦略的利益の共同体(community of strategic interests)」と呼ぶものが形成されたのである。イスラエルは、中東地域におけるアメリカ主導の新たな国際秩序の「執行者(enforcer)」としての役割を担うようになった。さらに「テロとの戦い(the
global war on terrorism)」が開始されると、アメリカとイスラエルの利害は一段と合致するようになった。従順なアメリカのメディアが反射的に追随した論調の中で、両国の指導者は自国の利益を同一のものと位置づけ、敵対勢力、オサマ・ビン・ラディンとアルカイダであれ、ヤーセル・アラファトとパレスティナ解放機構(PLO)であれ、過激派・テロリストという「同じコインの裏表(two sides of
the same radical, terrorist coin)」であると見なした。
こうした戦略的利益の重なり合いは、さらに、広く共有された「価値観」という意識によっても支えられていた。アメリカが対外的な民主政治体制の推進に乗り出したまさにその時、イスラエルの指導者たちは、イスラエルがこの地域で唯一の民主政体国家であるという独自性を誇示していた。対テロ戦争を文明間の争いという観点で捉える人々にとって、イスラエルは、ユダヤ・キリスト教的価値観に基づく西側諸国と、その敵であるイスラム主義勢力との戦いにおける最前線の防波堤であった。一方、アメリカのリベラル派は、権威主義的なアラブ政権、保守的な神権政治国家(conservative theocracies)、そしてイスラム過激派という「暗黒の海(a black sea)」に囲まれながらも、イスラエルを「開かれた社会(open
society)」の模範的な存在と見なす傾向があった。ビル・クリントンからジョージ・W・ブッシュに至るまで、アメリカの対中東政策は、大西洋主義的なリベラル介入主義者(Atlanticist liberal interventionists)と、より強硬な姿勢をとるその「親戚」とも言うべきネオコン(新保守主義者)との間で、交互に主導権が争われる状況にあった。
拡大を続けるイスラエル擁護複合体にとって、当時は活動を展開するのに有利な状況だった。AIPAC(米イスラエル公共問題委員会)は、超党派でイスラエルへのほぼ全会一致の支持を取り付けることができたほか、AIPACと連携するシンクタンクは、共和党政権と民主党政権の間で人材が行き来する「回転ドア(a revolving door)」のような関係を維持していた。一方、パレスティナ人の権利を擁護する側には、それに対抗しうる組織的な基盤が欠如しており、今日とは異なり、主流メディアで作品が取り上げられるパレスティナ人作家もごくわずかだった。また、イスラエル・ロビー(the Israel lobby)の力に対する批判は、極左と極右の境界が曖昧になるような陰謀論的な言説の領域に追いやられるのが常だった。さらに、ホロコースト追悼の機運が最高潮に達していた時期(1993年にはアメリカ・ホロコースト記念博物館が開館)でもあり、「反ユダヤ主義」のレッテルを貼られることは、キャリアを終わらせかねないほど深刻な事態を招くものだった。
ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプに対するイスラエル軍の攻撃で破壊された建物の残骸(5月19日)
ワシントンにおける超党派の合意を打ち砕いたのは、パレスティナを支持する左派ではなく、イスラエルを支持する右派だった。その転換点となったのが2015年だ。当時も現在と同じように、争点はイラン問題だった。バラク・オバマ政権が核合意の成立を目指す中、イスラエル擁護複合体は、圧倒的な人気を誇る民主党の大統領に対して「戦争(war)」を仕掛けた。AIPACは核合意阻止のロビー活動に約4000万ドルを投じた。共和党のジョン・ベイナー連邦下院議長は、大統領に事前の通知を行うことなく、ネタニヤフ首相を連邦議会上下両院合同会議での演説に招待した。この動きは、政治的意図に基づく手続き違反であり、基本的な礼節を欠く行為だと広く見なされた。演説台に立ったネタニヤフ首相は、オバマ政権が進めていた合意案について、「中東情勢を悪化させるだけだ(only change the Middle East for the worse)」と激しく非難した。
イスラエル擁護複合体による猛攻によっても、核合意を阻止することはできなかった。それどころか、彼らがそれまで辛うじて保っていた「超党派(bipartisanship)」という体裁を自ら破壊する結果となった。イスラエル支持団体は、やがて公然と共和党の一翼として機能し始めた。特にユダヤ人コミュニティの主要団体が、大多数のユダヤ系アメリカ人の見解を代表するという建前を捨て、右派の有力献金者の意向を優先するようになったことがその要因だ。トランプ政権の1期目は、イスラエルをめぐるこうした党派的分断をさらに深めることとなった。トランプは、ワシントンにあるPLO事務所の閉鎖、在イスラエル米大使館のイェルサレム移転、ゴラン高原に対するイスラエルの主権の承認など、歴代政権のどの路線よりもはるかに右寄りで、強硬かつ親イスラエル的な姿勢を取った。民主党の一般党員をイスラエルから遠ざけるという点において、トランプは、いかなる親パレスティナ活動家よりも大きな影響を及ぼしたと言えるだろう。
2015年は、イスラエルの歩みにおける転換点でもあった。激しい選挙戦の過程で、ネタニヤフは急進的な姿勢を強めていったように見えた。彼はイスラエル右派における「責任ある大人」というイメージを捨て、世界的に台頭していた権威主義的ポピュリズムのスタイルを取り入れた。それまでパレスティナとの交渉による解決(a negotiated settlement with the Palestinians)を口先だけで唱えていたネタニヤフは、領土拡大を極限まで追求する姿勢へと大きく舵を切った。2019年に汚職の容疑で起訴されると、彼は権力の座にとどまるために、なりふり構わぬ行動に出るようになった。イスラエル政界で最も極端な勢力と選挙協力関係を築き、準ファシスト的なラビであるメイル・カハネの支持者や、強硬派のメシア主義的入植者たちを容認するどころか、彼らを閣僚に据えて権限を与えた。
イスラエル国内における民主政体の後退、そしてヨルダン川西岸地区の占領深化とガザ封鎖を背景に、イスラエルのリベラル派と価値観を共有していると主張できるアメリカのリベラル派は、ごくわずかになっていた。その一方で、ネタニヤフ政権下のイスラエルしか知らない新しい世代の進歩主義派が台頭してきた。この世代はそれ以前のどの世代よりも多様性に富んでおり、南アジア、東南アジア、中東地域からの移民の子供たちが大きな割合を占めていた。彼らの多くは、親イスラエル政策というアメリカの伝統を拒絶し、イスラエルに対して反感を抱く傾向にあった。また、アメリカの政治文化の拠り所となっていた「ホロコースト(Holocaust)」という大きな物語(meta-narrative)に対しても、何の愛着も感じていなかった。アメリカのユダヤ系若者の間でも、イスラエルへの支持をユダヤ系アイデンティティの柱とすることに異議を唱える動きが広がり、中には再燃した反シオニズム運動の有力な指導者となる人も現れた。
同じ時期、ミズーリ州ファーガソンでのマイケル・ブラウン殺害事件からミネアポリスでのジョージ・フロイド殺害事件に至るまでの間、アメリカの進歩主義派は「人種問題との真剣な向き合い(racial reckoning)」を経験し、アイデンティティや権力に対する理解を劇的に変化させた。この変化は、民主党左派内におけるイスラエルをめぐる議論に大きな影響を及ぼすことになった。2016年、つまり10月7日の出来事よりずっと前の時点で、「ムーブメント・フォー・ブラック・ライヴス(Movement for Black Lives)」は政策綱領を発表し、その中でパレスティナに対するイスラエルの政策を「ジェノサイド(genocide)」と断定していた。
近年、MAGA(「アメリカを再び偉大に」)を掲げる右派の一部もまた、進歩主義派左派と同様に、アメリカ・イスラエル関係を否定する姿勢を見せ始めている。ただし、その批判の論拠は異なる。若年層やネット上の右派の一部を覆う反ユダヤ主義的な権力者共同謀議論とは別に、MAGA連合内の「抑制(restraint)」を志向する派閥に属する人々が、イスラエルに対するアメリカの支援を見直すべきだと主張し始めた。彼らは、この同盟国同士の間に共通の利益は存在しない(あるいはもはや存在しない)と主張し、イスラエルとその支持者たちが米国の外交政策決定に過大かつ不当な影響力を行使していると非難している。彼らは、ワシントンによる「帝国的管理(imperial management)」からの撤退の一環として、かつての同盟諸国へのアメリカによる援助を大幅に削減すべきだと主張しており、イスラエルとの関係だけを例外として維持すべき理由はないと考えている。
フェニックスでのイヴェント後に保守派のコメンテーターのタッカー・カールソンと握手を交わすドナルド・トランプ前米大統領。カールソンはその後、アメリカ・イスラエル関係を厳しく批判する論客となっている(2024年10月31日)
かつての超党派による親イスラエルの合意が崩壊した今、民主・共和両党の周辺部では、新たな「反イスラエル」の合意形成が進みつつある。民主党にとって、2028年大統領選挙に向けた予備選挙は、ほぼ間違いなくイスラエルに関する「信任投票(a referendum)」の場となるだろう。活動家たちはすでに、候補者に対し、AIPACやイスラエル擁護に関わるその他の団体と距離を置くよう圧力をかける上で、大きな成果を上げている。2020年の予備選挙における合言葉が「国民皆保険制度(universal healthcare)」であったとすれば、2028年には「イスラエルへの軍事援助への条件付け、あるいは打ち切り」が同様の役割を果たすことになるだろう。左派の間では、イスラエルへの敵対姿勢、それも強硬であればあるほど、進歩主義派が関心を寄せる他の問題における信頼性を測る「リトマス試験紙(a litmus test)」となりつつある。
共和党の中では、イランとの戦争がもたらす余波次第で状況が大きく変わるだろう。もしアメリカ人が経済的・外交的な痛みを被り、その記憶が長く残るようなことになれば、イスラエルとその支持者たちがその責任を問われることになる。そのようなシナリオは、ネオアイソレイショニストや「抑制」派を勢いづかせる可能性が高い。現時点で彼らの旗振り役となっているのは、J・D・ヴァンス副大統領である。しかし、もし彼がイランをめぐる失態で傷つくようなことがあれば、その座を狙う他の人物たちが控えている。その中には、現時点では大統領選への野心が取り沙汰される程度にとどまっているものの、保守派の論客タッカー・カールソンも含まれる。また保守陣営においては、イスラエルへの軍事支援の是非も議論の俎上に載ることになるだろうが、これはMAGA支持層の多くが受け入れられる基本姿勢でもある。
それでは、こうした状況下でネタニヤフ首相の立場はどうなるのだろうか? イスラエルにとって勝ち目のない新たな支援パッケージをめぐる政治的闘争に直面するのを避けるため、ネタニヤフ首相は、いずれ実施されるアメリカの軍事支援削減を、あたかも自らの提案であるかのように位置づけ始めている。ネタニヤフは、今後10年間でイスラエルをアメリカの支援に依存しない体制へと移行させると公約した。ヘリテージ財団は、その具体的な方策を盛り込んだ提案を策定している。そこでは、アメリカ製装備品の購入時にイスラエルへ割引を適用するという現行の仕組みを、兵器技術の共同開発へと転換することが提唱されている。これは、冷戦初期にアメリカがイスラエルに対して実施していた武器禁輸措置への回帰などでは決してない。
しかし、ネタニヤフは、この「特別な同盟関係」が終焉を迎えた後のイスラエルの将来について、楽観視し過ぎているかもしれない。同盟関係を当然のものと見なしてきた彼こそが、その急速な衰退を招いた最大の責任者と言えるだろう。彼がその座を去る時、イスラエルは以前よりも厳しい状況に置かれているはずだ。
※ジョシュ・レイファー:『ハアレツ』紙コラムニスト。著書に『砕かれた石板:アメリカ・ユダヤ人の世紀の終わりとユダヤ人生活の未来(Tablets Shattered: The End of an American Jewish Century and the
Future of Jewish Life)』がある。
(貼り付け終わり)

『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』







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