古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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カテゴリ: アメリカ政治

 古村治彦です。

 政治学分野における、近代以降の古典的名作の1つとされるのがニコロ・マキャベリの『君主論』だ。現在の緻密な研究書とは異なるが、古典的名著として読み継がれている。ニコロ・マキャベリの主張の柱は、「愛されるよりも恐れられる方がよい」ということがある。政治指導者は被支配者から愛されることに越したことはないが、「恐れられる」(公正に悪いことは罰する)ということの方が重要で、その方が被支配者を支配しやすいということになる。「恐れられる」ためには、首尾一貫した判断や行動が必要となる。気まぐれや気分でその時度の行動を変えるということは許されない。そうなれば、人々は「恐れる」というよりも「何をしてよいのか分からない」ということになり、反発を覚えるようになる。これは、個人生活でもよくあることだが、「同じことをしてもあの人は怒られないのに、私ばかり怒られる」という不満が大きくなるということはよくあることだ。

 良い君主とは良い判断をして失策をしない、失策をしてもすぐにリカヴァリーをするということも大切だ。そのためには首尾一貫した戦略が重要になってくる。現代のような複雑で動きが早い状況だとそれも難しいが、首尾一貫した戦略があれば、大きな失敗はしなくて済むだろう。マキャベリは国益のためならば信義を破る(簡単に言えば嘘をつく)ことも容認した。

 これらのことから考えると、トランプはあまり良い評価に張らないということになる。首尾一貫した戦略がないために、失策を重ねている。イラン戦争がその最たる例だが、トランプは海外では戦争を起こさないという公約で選挙に当選している。それなのに、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に騙されたということはあるが、イラン戦争を始めてしまった。首尾一貫した考え、戦略があれば、戦争を始めることはなかっただろう。物価高が続き、格差拡大は酷いという中で、支持率が低下し、逆転を狙ってのことだっただろうが、逆転を狙うような状況になってしまっているのはそれだけでもう負けである。また、発言や考えをころころと変えて、「狂人理論」で相手を翻弄するということでもあったが、最近では、「どうせ最後には尻尾を巻いて逃げる」ということを見透かされて、強気に出られてうまくいかないということが続いている。

 トランプの第1期目は「恐れられて」いた。しかし、現在は「呆れられて」いる。アメリカが偉大ではなくなりつつあるのは、トランプだけの責任ではないし、大きな流れは止められない。それならば、その流れを緩やかにするために戦略を練るということもできるだろうが、それもしないとなると、流れは止められないどころか、加速していきそうである。トランプの2期目はこれから中間選挙を迎える。これは中間試験の意味合いもあるが、あまり良い成績は取れそうにない。

(貼り付けはじめ)

マキャベリがドナルド・トランプについて何を言うだろうか(What Machiavelli Would Say About Trump)

-米大統領は「極めて悪い君主(a very bad prince)」になるための手本を示している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年9月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/23/trump-machiavelli-leadership-military-iran-war-power-principles/

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ニコロ・マキャベリの肖像画

ポール・クルーグマンは先週、自身のニューズレター・プラットフォーム「サブスタック」に興味深い記事を投稿した。そこでクルーグマンは、諸外国がドナルド・トランプ米大統領に対する恐れを急速に失いつつあり、トランプの気まぐれで略奪的な外交姿勢に対抗するために結束し始めていると指摘している。クルーグマンの指摘はもっともだが、私が特に注目したのは、クルーグマンがニコロ・マキャヴェッリの成功する君主についての格言である「君主は愛されるよりも恐れられる方がよい(it is better to be feared than loved)」を引用した点だ。理想を言えば、君主は愛されることと恐れられることの両方を目指すべきだが、マキャヴェッリはそれを成し遂げるのは困難だと説いている。したがって、どちらかを選ばなければならないなら、恐れられる方が望ましい。なぜなら、人間は気まぐれで、その愛情は当てにならない(men are fickle and their affections are unreliable)からだ。しかしながら、恐れ(fear)というものは「決して逃れられない罰への恐怖(by a dread of punishment that never fails)」によって維持されるものだ。

クルーグマンが指摘するように、トランプが他者を脅し威圧する力は、彼自身の失策(イランとの戦争など)や、政権全体の無能さや一貫性のなさによって損なわれてきた。私が言いたいのは次のことだ。数カ月後には気が変わって合意を破棄しかねない相手と交渉したり、合意に達したりすることに、一体何の意味があるのか?

そして、トランプがマキャヴェッリの助言に反した行動を取っているのはこれだけではない。実際、『君主論』の重要な箇所を注意深く読めば(数週間前、私のリアリズムの授業の学生たちがそうしたように)、トランプが多くの点で「いかにして極めて悪い君主になるか」の典型例であることが明らかだ。

まず、マキャヴェッリは「愛されるより恐れられる方がよい」と論じた後、それ以上に悪い事態があることを指摘している。それは、憎まれたり軽蔑されたりすることだ(hated or despised)。そうした事態を避けるため、マキャベリは君主に対し、臣民の財産や女性に手を出さないよう戒めている。トランプは間違いなく前者のルールを破っている。公費を使って私腹を肥やし、誤った経済政策によって多くのアメリカ人の生活を脅かしてきたからだ。さらに、彼自身の不品行な私生活やジェフリー・エプスタインとの親密な関係は、女性に対する極めて略奪的な態度を露呈させている。こうした態度は、テイト兄弟のような女性嫌悪主義者には受けるかもしれないが、同時にかなりの数のアメリカ人が抱く深い憎悪の一因ともなっている。

軽蔑されることについてはどうだろうか? マキャベリは、君主が「気まぐれ、軽薄、女々しい、臆病、優柔不断」と見なされると軽蔑の対象となる(rendered despicable by being thought changeable, frivolous, effeminate, timid, and irresolute)」と警告している。トランプを「女々しい(effeminate)」と評する人はいないだろうが、他の形容詞は彼に十二分に当てはまる。マッチョな虚勢を張ってはいるものの、トランプの態度の揺れや一貫性のなさは今や周知の事実となっており、より強固な意志を持つ指導者たち(例えば中国の習近平国家主席など)はそれを見抜き、巧みに利用してきた。第2期政権の初期にトランプに屈服した企業トップ、大学学長、法律事務所などは、臆病かつ愚かに見える一方で、彼に立ち向かった人々は勇敢かつ先見の明があるように映る。トランプはかつてほど恐れられなくなっただけでなく、今や憎悪と軽蔑の対象になりつつある。

マキャベリはまた、君主は過度に「リベラル(liberal)[漢代を意味する]」であってはならず、「ケチだという評判を気にしてはならない(must care little for the reputation of being a miser)」とも論じている。この助言は直感に反するように聞こえるかもしれない。なぜケチであることが権力の維持に役立つのか。しかし、『君主論』の第16章を注意深く読めば、彼の主張の核心は、賢明な君主は財政を慎重に管理すべきであり、浪費によって臣民の忠誠を買おうとしてはならないという点にあることが分かる。もし浪費に走れば、やがて資源を使い果たし、「重税を課したり、強引な手段で金銭を搾取したり、あらゆる手段を講じて資金を調達したりせざるを得なくなる(be forced to impose heavy taxes, become exortionate, and do everything possible to obtain money)」だろう。そして、そうした行為こそが、臣民から憎まれる原因となるのだ。

トランプは私生活において債権者への支払いを踏み倒すようなケチ(a cheapskate who many have alleged liked to stiff creditors in his private life)だったと言われているかもしれないが、大統領としては常習的な浪費家(as president, he’s a chronic spendthrift)である。公平を期すために言えば、巨額の財政赤字を出し、富裕層への減税を行い、軍事費を過剰に支出して国家債務を増大させた大統領は彼が初めてではないし、連邦上下両院の共和党議員たちの積極的な協力なしには、こうした政策のいずれも実行できなかったはずである。

しかし、これまでのどの歴代大統領も、自身の個人的な娯楽(ゴルフなど)にこれほど多額の公金を費やしたことはない。また、5000ドルの小切手を支給すると約束することで、自党への投票と引き換えに国民に金銭を支払おうとした最初の大統領でもある。はっきり言えば、これは違法であるだけでなく、実質的には国民自身の税金を使って国民を買収するに等しい行為であり、財政赤字をさらに拡大させることになる。債券市場の見解もマキャベリの教えも一致している。トランプの財政規律の欠如(Trump’s lack of fiscal discipline)は極めて賢明ではない。

マキャベリは『君主論』の中で一章を丸ごと軍事問題に割き、君主を志す者に対して軍事の術を熟知するよう説いている。彼がこの問題にこれほど注力したのは、もちろん戦乱の絶えないルネサンス期のイタリアにおいて軍事力が中心的な役割を果たしていたからだ。現代では求められる能力も異なると言えるだろう。現代の政治指導者に、軍隊全体はおろか、部隊や艦船の指揮の仕方まで知っていることなど誰も期待していない。もっとも、軍事的な「評判(street cred)」をつけようとして滑稽な振る舞いをするようでは逆効果である。

しかし、軍事力の役割と限界、そして戦争の成否を分ける条件について確かな理解を持つことは、現代の政治家にとっても依然として不可欠だ。軍事面での対応を誤り、重大な戦略的失策を犯した結果、そのキャリアを終えることになった、世界の指導者(数人の米大統領を含む)の例は枚挙にいとまがない。中には命を落とした人物さえもいる。

トランプによるイランとの破滅的な対立は、マキャベリの助言がいかに賢明であったかを裏付けている。兵役を逃れた大統領が、無能な国防長官を任命し、従順な指揮官を要職に据え、さらに外交の重要ポストを、経験が不足している義理の息子や国際情勢の知識が皆無の不動産専門弁護士に任せた。

彼は自身の誕生日にワシントンで軍事パレードを行うことに固執する一方で、イランとの開戦に伴う利害得失の慎重な検討を怠った。その結果、今や勝利の見込みのない紛争の泥沼(quagmire)にはまり込んでいる。この紛争は世界経済に甚大な被害を及ぼし、中東地域をはじめとする地域でのアメリカの立場を弱め、さらには次の中間選挙での民主党の勝利を後押しする可能性さえある。大統領に軍事の専門家であることを求めるべきではないかもしれないが、マキャベリであれば、トランプのように軍事の術に対してあまりに無知で能天気な指導者を、冷ややかな目(askance)で見ることだろう。

さらに、正義の問題もある。マキャベリは、君主は断固たる態度で統治すべきであり、相応の理由があるならば(命を奪うことを含め)罰を与えることを躊躇してはならないと確信していた。しかし彼は、君主がそうするのはあくまで「適切な正当化の理由と明白な根拠がある場合(there is a proper justification and manifest reason for it)」に限られると強調している。言い換えれば、正義の執行は正当なものでなければならない。君主は時に残酷な振る舞いを強いられることもあるだろうが、それは恣意的、利己的、あるいは個人的な理由によるものであってはならない。さもなければ、再び民衆の憎悪を招くことになりかねないからだ。

言うまでもなく、司法省を武器化し、自分が個人的な敵とみなす人々(自分の第一次政権の元メンバーの一部を含む)への報復に利用しようとするトランプの動きは、リチャード・ニクソン元大統領やJ・エドガー・フーバー元FBI長官による同様に疑わしい行為の域をはるかに超えている。ジャック・スミス元特別検察官、ジェームズ・コミー元FBI長官、アンソニー・ファウチ元国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長などに対して彼が仕掛けた報復の数々は、正義(そして必要に応じて罰)は適切かつ正当な方法で行使されるべきだというマキャベリの警告に反するものだ。マキャベリは、指導者が時に非情な振る舞いをせざるを得ないことを理解していたが、恣意的な残酷さについては、危険かつ誤ったものとして反対していた。

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ワシントンでホワイトハウス勤務のスタッフにささやきかけるドナルド・トランプ米大統領(2020年9月26日)

しかし、話はそれだけではない。マキャベリは欺瞞(deception)の必要性を認め、君主は時に約束を破る必要があるかもしれないと主張している。彼の言葉を借りれば、「賢明な君主は、約束を守ることが自らの利益に反する場合には、それを守るべきではない(a prudent ruler ought not to keep faith when by so doing it would be against his interest)」のである。それは何故か? 他者も同様に行動するからだ。つまり、彼らにとって別の場所に利益があるならば、あなたとの約束を守ろうとはしないだろう。

詐欺や虚偽、約束破りを繰り返してきたトランプのこれまでの経緯を見れば、彼がその助言を深く心に刻んでいるように思えるかもしれない。しかし、マキャベリの助言はもっと微妙なニュアンスを含んでいる。マキャベリは、時に欺瞞が必要であることや、君主が道徳的原則に反するように見える行為を避けるべきではないことを認めつつも、指導者はそうした性質を徹底して隠すべきだと強調している。彼の言葉は次の通りだ。

「したがって、君主が前述の(徳のある)資質を全て備えている必要はないが、それらを備えているように見せかけることは極めて重要である。・・・君主は、前述の・・・資質に満ちていない言葉を口にしないよう細心の注意を払わねばならず、その言動において、慈悲、誠実、高潔、人間味、そして信心深さを体現しているように見せかけるべきである」。

言い換えれば、成功する君主とは、「巧みに装い、本心を隠す達人(a great feigner and dissembler)」でなければならない。つまり、約束を破ったり、不誠実あるいは残酷な振る舞いを繰り返したりすることはできないということだ。そうすれば、あなたが危険で信用できない人物であることが、すぐに周囲に露呈してしまうからだ。

公平を期して言えば、トランプの政治的成功の大部分は、実際とは全く自分(トランプ)を人々に信じ込ませるという驚くべき能力によるものだ。トゥルース・ソーシャルに投稿される、彼を軍の英雄や宗教的指導者などに見立てた数々の奇妙な投稿も、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」を信奉する支持者たちの間で、そうした神話を維持し続けるためのものだと言えるだろう。

しかしながら、彼が今直面している問題は、その「お決まりの芸風」が飽きられ、彼がこれまで装ってきたような人物とは程遠いことが明らかになってきた点だ。トランプが記者団に対し、生活費の負担(affordability)など気にしないと話したり、「アメリカ国民の経済状況など考えもしない。誰のことも考えていない」と発言したりした際など、公の場での「仮面」が剥がれ落ちる場面が何度もあった。これほど真実を突いた言葉もないだろう。

マキャベリが説いた​​「成功するリーダーシップの指針」は、しばしば政治の「闇の術策」を記した非道徳的(不道徳的ではなく)な手引きだと誤解されがちだ。そのため、特に狡猾で道徳的節操に欠ける政治家を「マキャベリ的(Machiavellian)」と呼ぶ傾向がある。しかし、マキャベリが「目的は手段を正当化する(the end justifies the means)」と記した際、彼が念頭に置いていたのは、極めて具体的かつ道徳的に正当化しうる目的だった。彼が君主に成功を求めたのは、秩序と安定をもたらし、内乱や外部からの干渉から国家を守るためにそれが必要だと信じていたからだ。君主が「善ならざる者となる術を学ばなくてはならない(learn how not to be good)」の、自身の楽しみや利益、あるいは放縦のためではなく、あくまで国家を存続させるためなのだ。

それゆえ、賢明な君主は、必要な場合にのみ悪事を行う。「善ならざる者となる術を学び、事態の必要性に応じてその知識を行使したり、あるいは行使しなかったりすることを学ばねばならない(One must learn how not to be good, and to use this knowledge and not use it, according to the necessity of the case)」とマキャベリは書いている。目的が手段を正当化することはあっても、どんな目的でも良いということではなく、ましてやリーダーの個人的な気まぐれが正当化されることなど決してない。

在任期間が5年を超えた今、トランプはその原則を繰り返し踏みにじってきた。彼の大統領職はアメリカを「より偉大な国」にはしなかった。それどころか、国内の分断は深まり、腐敗が進み、信用は低下し、海外からの尊敬も大きく失われた。トランプが数多くの国際的なパートナーシップや、かつて世界をリードしていたアメリカの科学・学術機関を破壊し尽くそうとしていることで、国の長期的な未来さえも危うくなっている。

その代わりに彼が残したものとは何か? 自身と家族の個人資産を20億ドル以上増やしたことに加え、ホワイトハウスに新しい舞踏室を建設したり、可能な限り多くの公共施設に自分の名前を冠しようとしたりしている。

マキャベリは君主による統治を支持していなかった。その逆に、共和制という統治形態を強く支持していた。それでも、彼は、「王の自由と安全を支える数多くの優れた制度」を備えた「秩序ある(well-ordered)」フランス王国の美点さえも称賛していたほどだ。したがって、彼の著作の中で『君主論』はある種の異色作と言える。その理由の1つは、『君主論』がある意味で「失敗に終わった就職活動」の一環として書かれたものだからだ。マキャベリはフィレンツェの新たなメディチ家政権の覚えをめでたくしようと(そしてかつての公職に復帰しようと)してこの本を執筆した。それゆえ、『君主論』はロレンツォ・デ・メディチ(おそらく彼自身は一度もこの本を読まなかっただろう)へのへつらいに満ちた献辞から始まっている。

しかし、もしマキャベリが現代に生きていたとしたら、気まぐれで自己中心的な権力者による支配よりも秩序ある共和制の方が望ましいことの好例として、ドナルド・トランプを挙げるのではないだろうか。それどころか、彼は自身の名著の改訂版にトランプを登場させ、「君主がなすべきではないこと」を示す典型的な事例として取り上げるかもしれない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。彼は、現代世界を理解・展望する上で不可欠な主要概念を解説する5部構成のニューズレター・シリーズ『新しい地政学(The New Geopolitics)』著者。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 昨年出した拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年)で、シリコンヴァレーを拠点とした「新・軍産複合体(Neo Military-Industrial Complex)」が作られているということを明らかにした。私がアメリカで新・軍産複合体の形成が進んでいるということを本として発表したのは、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(終話システム、2021年)からだ。それから数年が経過し、その姿が明らかになりつつある。書籍へのリンクはページの下にあるので、そこで是非お買い上げいただき、お読みください。

新・軍産複合体は戦車やミサイル、戦闘機ではなく、ドローンとソフトウェア、AIが主力製品である。そして、アメリカ国家も大きな防衛システムにテック産業を中心に参画させようとしている。それが、ドナルド・トランプ大統領がぶち上げた「ゴールデンドーム計画」である。これは、アメリカの国全体を1つのドームで覆うようにして(物理的にではなく)、防衛システムを構築するということであり、そのためにはビッグデータ解析などのプログラムが必要になる。そこに、トランプ大統領を支持し、2016年の大統領選挙で当選させたピーター・ティールのパランティア社やトランプと就かず離れずの盟友イーロン・マスクのスペースX社、VR開発の若き天才と称賛され、ティールやマスクの支援を受けてドローン開発企業を立ち上げ成功したパルマー・ラッキーのアンドゥリル社が参画することがすでに決まっている。

 先週、ピート・ヘグセス国防長官が現役将校を前にした演説(「軍の現状」という題名)を行い、」その中で、将官クラスの人員を20%削減するという内容があり、日本でも報道された。重要なことは、「プロジェクト・メリディアン(経線、子午線の意味)」の立ち上げを発表したことだ。これは、自律型(AI)兵器や最先端技術の兵器利用の開発・試験。実践配備のための大枠を答申することを目的としている。

このプロジェクトの共同座長に、イーロン・マスク、パルマー・ラッキー、そして、ニュート・ギングリッジ元連邦下院議長が就任し、120日後に報告書を発表するといとになった。マスクとラッキーについては繰り返さないが、ギングリッジは下院議長を退いて長いが、アメリカ政界に隠然たる影響力を保持している。共同座長にマスクとラッキーが任命されていることの意味は大きい。なぜならば、アメリカ軍と共同で兵器開発やソフトウェア開発を行うのは彼らの創業した企業群であり、そこにはピーター・ティールのパランティア社も絡んでくるのは理の当然だからだ。ここから「自律型戦軍」が立ち上がると、マスクやラッキーの影響力も大きく働く部隊が誕生するということになる。シリコンヴァレーのテック企業が国家プロジェクトに参画し、大きな利益を得る。それが新・軍産複合体の構造ということになる。

 シリコンヴァレーの起業家たちはリバータリアンと呼ばれる、市場と自由を至上とし、国家の介入を嫌う、国家に関わることを嫌うとされてきた。しかし、実際には国家と深く結びつくことで技術開発を進め、巨額の利益を得るという形になっている。新自由主義時代の次は国家の時代が戻ってくる。それをシリコンヴァレーが先取りしていると言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

ピート・ヘグセス国防長官が軍事兵器開発プロジェクトにイーロン・マスクを起用(Pete Hegseth Taps Elon Musk For Military Weapons Development Project)

アントニオ・ペケーノ四世(『フォーブス』誌スタッフ、テック産業などの特報担当ニューズ記者)筆

2026年9月30日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/antoniopequenoiv/2026/09/30/pete-hegseth-taps-elon-musk-for-military-weapons-development-project/

●重要事項(Topline)

ピート・ヘグセス国防長官は、スペースX社の経営者であるイーロン・マスクを「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian[子午線・経線・頂点の意味])」の共同リーダーに指名した。この億万長者である実業家は、アメリカ軍向けの新たな兵器や技術の開発について調査・特定・提案を行うこの新イニシアティヴにおいて、主導的な役割を担うことになる。

●重要な事実(Key Facts)

・ヘグセス長官は、マスクが、アンドゥリル(Anduril)社およびオキュラス(Oculus)社の共同創業者であるパルマー・ラッキー、そして、元連邦下院議長ニュート・ギングリッチ(ジョージア州選出、共和党)と共に、このプロジェクトを共同で主導する。

・「プロジェクト・メリディアン」の立ち上げに関する覚書には、このプロジェクトが「将来の戦場を研究し」、アメリカ軍将兵が「そうした環境で優位に立つ」ための兵器や技術を特定し、さらに「それらの能力の開発、試験、実戦配備を開始する(start developing, testing and fielding these capabilities)」ための解決策を提案すると記されている。

・覚書の中でマスクの名は明示されていないが、「プロジェクト・メリディアン」は「国防総省外の重要な視点を活用し、トップクラスの技術者、イノヴェーター、ビジネスリーダー、政策立案者、国家安全保障の専門家からなるグループの知見を取り入れる」としている。

・このプロジェクトの調査結果と提言は2027年1月28日までにヘグセス長官のオフィスへ提出される予定だ。

●注目すべきポイント(What To Watch For)

アメリカ国防総省のウェブサイトによると、このプロジェクトの提言は、機密指定されていない報告書として一般に公開される予定だ。

●重要な背景(Key Background)

国防総省によるこのプロジェクトは、昨年「政府効率化省(Department of Government Efficiency、DOGE)」を率いたことに続く、マスクとトランプ政権との新たな関わりを示すものとなる。DOGEにおいて、マスクは「特別政府職員」として組織を主導したが、法的に定められた130日間の任期満了をもって退任した。「プロジェクト・メリディアン」におけるマスクの役割は、公式な役職というよりは、むしろ助言を行う立場に近いものと見られる。マスクは2024年の大統領選挙でドナルド・トランプを支持・献金し、トランプの2期目の初期には自ら「親密な相棒(First Buddy、ファースト・バディ)」という呼称を受け入れていた。しかし、連邦財政赤字を拡大させると主張してトランプの「一つの美しい予算案(Big Beautiful Bill)」を激しく批判したことで、両者の関係は決裂した。マスクが新党結成を示唆し、さらにこの予算案への批判を続けたのに対し、トランプはテスラ社やスペースX社への連邦補助金を打ち切ると警告した。両者の対立は2025年6月に決定的となった。当時、マスクは未公開の「エプスタイン文書」にトランプの名前が含まれており、それこそが文書が公開されない理由だと主張した。その後、両者の関係は修復に向かい、今週ホワイトハウスで開催されたハイテク・サミットでは、マスクが重要な役割を果たした。このサミットは、人工知能(AI)とそれが人類にもたらす短期的な存続の危機に対する懸念が高まる中で開催された。

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ニュート・ギングリッチが国防総省の「将来の戦争」に関する120日間のタスクフォースで共同リーダーに指名される(Newt Gingrich Tapped by Pentagon to Co-Lead 120-Day Future of Warfare Task Force)

コリン・ラッグ筆

2026年10月1日

『コリン・ラッグ・ニューズ』

https://www.collinruggnews.com/newt-gingrich-tapped-by-pentagon-to-co-lead-120-day-future-of-warfare-task-force/

ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長が、国防総省の「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian)」を共同主導する人物として選出された。これは、将来の戦場におけるアメリカの優位性を確保するために必要な兵器、自律型システム、および先端技術を特定することを目的とした、120日間の取り組みだ。ピート・ヘグセス国防長官は、ヴァージニア州クワンティコ海兵隊基地で行った「軍の現状(State of the Force)」に関する演説の中でこの人事を発表し、ギングリッチをイーロン・マスクやパルマー・ラッキーといった著名なテクノロジー業界のリーダーたちと並ぶ役割に据えた。

この戦略パネルは、21世紀型の防衛能力を開発・試験・実戦配備するための、実行可能な提言をまとめることを目指している。ヘグセス長官は、軍事戦略の抜本的な見直しの一環としてこの諮問プロジェクトを立ち上げ、ロボット工学、人工知能(AI)、最先端の作戦用ハードウェアを軍がどのように運用すべきか、そのあり方を再構築する任務を民間出身のリーダーたちに託した。

「プロジェクト・メリディアンは、イーロン・マスク、パルマ―・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチという、我が国屈指の英知を持つ3名によって共同主導される」。

●プロジェクト・メリディアンの内部:現代の戦闘に向けた120日間の青写真(Inside Project Meridian: The 120-Day Blueprint for Modern Combat)

「プロジェクト・メリディアン」の使命は、高強度紛争においてアメリカ軍が直面し得る具体的な作戦上のギャップを特定することにある。単なる理論的な研究にとどまらず、この諮問グループは即座に実行可能な導入プロセスを確立しなければならない。ヘグセス長官は、この委員会が全軍にわたり重要技術を試験・実戦配備するための実行可能な計画案を提示し、最終的に包括的な公開報告書と機密扱いの付録を作成することになると述べた。

このタスクフォースは、軍の指揮系統における大規模な構造改革と並行して活動する。ヘグセス長官は、戦闘軍全体にロボット・自律型システムを迅速に展開・拡大させることを目的に、「Autowarcom(オートウォーコム)」と称される新たな4つ星大将級の統合戦闘軍「自律型戦軍」を創設した。これにより、自律型システムに関するドクトリンが、高レヴェルの戦闘計画策定に直接組み込まれることになる。

●何故ギングリッチなのか? 政策のヴェテランがテック業界の巨人たちに合流(Why Gingrich? Policy Veteran Joins Tech Industry Giants)

イーロン・マスクやパルマー・ラッキーといったテック業界の有力者が、スペースX社やアンドゥリル・インダストリーズ社(両社とも国防総省と最大41億6000万ドル規模の契約を締結)を通じて防衛産業で大きな存在感を示す一方で、ニュート・ギングリッチは、数十年にわたる国家安全保障戦略および連邦議会工作の経験をもたらしている。ギングリッチはテック業界との直接的なビジネス上のつながりこそないが、軍事政策や防衛プロジェクトには長年関与し続けており、空軍大学(Air University)から名誉博士号も授与されている。

ギングリッチは長年にわたり、積極的な外交政策の姿勢を提唱してきた。その一例として、2005年当時からイランの脅威に対して一貫して厳しい態度を取ってきたことが挙げられる。ギングリッジが加わることで、政治・ドクトリン面での経験と民間セクターの迅速な開発能力が融合し、政策面での実績と商業的な製造力がバランスよく組み合わされることになる。

●防衛技術の優先順位をめぐるバランス調整(Balancing Defense Tech Priorities)

国防総省が防衛生産、ソフトウェア統合、無人プラットフォームのあり方を検討する中、このイニシアティヴは極めて重要な戦略的バランスの調整を迫られている。

・実戦配備の迅速化:数年を要する調達サイクルを短縮し、最前線の戦闘員向けに迅速な試作・実証(prototyping)を行う。

・自律型システムの大量展開:陸・海・空にまたがる多正面紛争シナリオに対応するため、自律型ハードウェアを大量に配備する。

・宇宙・サイバー領域での優位性確保:通信やリアルタイムの標的捕捉を支える軌道上での作戦上の優位性を維持する。

●再編をめぐる対立:文民改革派 vs. 軍上層部The Restructuring Divide: Civilian Reformers vs. Senior Brass

国防総省の主要な見直しは常に職業軍人が主導するものだという誤解が広く存在しますが、「プロジェクト・メリディアン」はこの前例を覆すものだ。共同リーダー3名はいずれも現役軍人としての経歴を持たず、ギングリッチはヴェトナム戦争時に学生および父親であることを理由とした徴兵猶予を受けており、マスクとラッキーは民間産業を通じて影響力を築いてきた。

今回の任命は、国防総省全体で大規模な組織・人員削減が進められる中で行われた。ヘグセスは、軍の将官(陸・空・海兵隊の将軍および海軍の提督)のポスト約800のうち20%を1月までに削減する計画を発表した。これは当初示唆されていた10%削減の倍にあたる。ヘグセスは、こうした将官の整理・削減は、肥大化した官僚機構や重複する階層を排除し、作戦上のヴィジョンを民間セクターのイノヴェーターや信頼できる政治家へと転換するために不可欠であると説明している。

■ニュート・ギングリッチ:防衛政策のドクトリン、長期的地政学戦略、そして、立法・行政間の連携調整

■イーロン・マスク:民間ロケット打ち上げシステム、宇宙領域での作戦、および軌道上防衛インフラ

■パルマ―・ラッキー:自律型兵器システム、AI搭載戦闘プラットフォーム、および巡航ミサイルの拡張可能な生産体制

提言策定までの期間はわずか120日間であり、ギングリッチをはじめとする共同リーダーたちは、1月に予定される指揮官ポストの削減が実施される前に、軍の近代化の優先順位を抜本的に見直すという極めて厳しいスケジュールに直面している。

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ピート・ヘグセス国防長官による将校への演説から得られる7つのポイント:戦争の未来、信仰、そして新たな地盤(7 takeaways from Hegseth’s address to officers: Warfare’s future, faith and a new base)

フィリプ・ティモティジャ、エレン・ミッチェル筆

2026年9月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/6121765-pete-hegseth-takeaways-command-warfare-base/

ピート・ヘグセス国防長官は水曜日、現役の将校たちに向けた広範な演説の中で、矢継ぎ早にいくつかの発表を行った。

演説の冒頭、長官は自身の「十八番(bread and butter)」とも言えるテーマに終始した。すなわち、文化戦争(culture-war)をめぐる不満の表明、国防総省(DOD)からの「ウォーク(woke:社会正義や多様性に過度に配慮する姿勢)」の排除、イランとの戦争に関する報道をめぐるメディアへの批判、そして「戦士精神(warrior ethos)」の復活とアメリカ軍の「再建(rebuilt)」の宣言だ。

しかし一方で、長官は注目すべき発表もいくつか行った。それらは、信仰を重視する自身の姿勢を反映したものや、新たな戦闘軍(combatant command)の創設、大学との連携、そして各州知事が誘致を競い合うことになるであろう国内の新規軍事基地の構想などが含まれていた。

ヴァージニア州クワンティコ海兵隊基地で行われたヘグセス長官の52分間にわたる演説の要点は以下の通りだ。

(1)自律型戦闘に特化した新たな統合軍(New combatant command focused on autonomous warfare)

ヘグセス長官は、ドローンや防衛用ロボット技術といった自律型戦闘能力(autonomous warfare)の開発に特化した、新たな4つ星大将が指揮する戦闘軍の創設を発表した。

ヘグセス長官によると、この組織は「現代の軍事史上、平時における最も迅速な転換」として、戦闘軍全体に自律型・ロボット技術の能力を拡大・展開するための「軍種(陸・海・空軍など)に匹敵する権限」を持つことになる。運用開始は来年10月1日を目指している。

「自律型戦闘軍」、通称「AutoWarCom(オートウォーコム)」は、当初、元海兵隊員で現在は国防総省の「国防イノヴェーション・ユニット(Defense Innovation Unit、DIU)」を率いるオーウェン・ウェストと、海軍特殊部隊SEALsの上級曹長であるマックス・ストラサイザーが主導する。その後、4つ星大将の指揮官が発表される予定だ。

「この司令部は、専任の人員、予算、調達権限を有し、将校および下士官・兵のための専門的な軍務キャリアパスを構築することになる」と、ヘグセスは水曜日の覚書で述べた。

ヘグセス長官は覚書の中で、この新しい司令部が演習や過酷な環境下で「現実的な対抗勢力(realistic opposition)」を相手に装備や部隊編成の試験を行い、戦場で何が有効かを見極めることになると説明した。

(2)「プロジェクト・メリディアン」と戦争の未来(Project Meridian and warfare’s future)

ヘグセス長官は、戦争の未来を検討する国防総省の新たな取り組み「プロジェクト・メリディアン」を、スペースX社およびxAI社のCEOであるイーロン・マスク、アンドゥリル社の共同創業者パルマー・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチ元連邦下院議長(ジョージア州選出、共和党)が主導することを明らかにした。

ヘグセス長官は、このプロジェクトの目的は、アメリカのイノヴェーター、上級指導者、技術者らの力を結集し、数十年先を見据えて「明日の紛争に向けた独創的な解決策を予測すること」にあると述べた。

「意図的に未来志向のものにしている」とヘグセスはこのプロジェクトについて語り、新たな戦略や政策を策定するためのものではないことを明確にした。

「将来の紛争を最も的確に予測できる人々が、必ずしも国防総省内にいる訳ではないということを認める謙虚さを持つべきだ」とヘグセスは述べた。「自ら問いを立て、自らそれに答えることには、明白なバイアスやリスクが伴うからだ」。

ヘグセス長官によると、マスク、ラッキー、ギングリッチは、エミール・マイケル国防次官(研究・工学担当)の指揮の下、「地下から月の彼方に至るあらゆる将来の戦場において、私たちの子供や孫の世代が必要とする兵器やシステムを、創造的な制約や制限にとらわれることなく発見、開発、実戦配備すること」に注力することになる。

ヘグセス長官が発表を行った際、これら3人の男性は全員ペンタゴン(米国防総省)に同席しており、ヘグセス長官は「プロジェクト・メリディアン」に関する最初の会合を、このイヴェントの直後に同省内の機密情報取扱施設(SCIF)で行うと述べた。

(3)各州に対して「次なる偉大なアメリカ軍基地」の誘致を求める(States invited to bid for ‘next great American’ base)

ヘグセスは各州知事に対し、「次なる偉大なアメリカ軍基地」の受け入れ先となるための誘致提案を行うよう呼びかけた。

「我々は全米の知事および州兵総監に対し、この偉大な共和国のために立ち上がり、最高の提案を提示するよう呼びかける」とヘグセス国防長官は述べた。

「もしもあたなの州が、1万5000人から2万5000人の偉大なアメリカ軍将兵を受け入れる名誉を望むなら、その理由と具体的な実現方法を示して欲しい。煩雑な手続きを排除し、用地を提供し、軍人の家族を最大限に歓迎する体制を整える」と、彼は演説の中で語った。

ワシントン州のエヴェレット海軍基地は1990年代に開設された、アメリカ国内で最後に建設された基地である。この基地には、複数の誘導ミサイル駆逐艦や沿岸警備隊の艦船が配備されている。

ヘグセス長官は、新しい基地は「無機質な政府施設」にはならないと述べ、ペンタゴンは「ダイナミックかつ自立した戦力投射の拠点」を計画・設計していくと主張した。

ペンタゴンによると、この基地は商用電力網から独立し、独自の発電設備、自律型システム、高度な防空機能を備えたものになるということだ。

「自家発電、近代的な防空システム、最先端技術を備えた、数十万エーカー(数千平方キロメートル)規模の施設だ。まさに要塞(fortress)だと考えていただきたい」とヘグセス長官は語った。将兵には「最高級の兵舎や世界水準の訓練施設」が提供され、その家族には「質の高い住宅、学校、保育、医療施設を備えた活気あるコミュニティ」が用意されることになる。

ヘグセス長官は、国防総省のエネルギー・施設・環境担当次官補であるデール・R・マークスに対し、国防総省が進める基地の最適地の特定、評価、選定、および準備に向けた取り組みを主導するよう指示した。

「破壊的技術の急速な進歩、対等な敵対国間での戦略的連携の強化、そして国防や国土の重要インフラに対する執拗かつ巧妙なサイバー攻撃の継続、これらにより、現代的かつ強靭な態勢の構築が不可欠となっている」とヘグセス長官は水曜日の覚書で述べた。

(4)基地を民間送電網から切り離す「フォートレス・アメリカ」構想(‘Fortress America’ takes bases off civilian grid)

水曜日に明らかにされたもう1つの新たな取り組みが「要塞化されたアメリカ(Fortress America、フォートレス・アメリカ)」構想である。ヘグセス長官はこの構想について、「アメリカ本土のための国家的な保険(a national insurance policy for the American homeland)」になると主張した。

「フォートレス(Fortress)」とは、「強靭性、部隊リソース、エネルギー供給、生存性のための連邦業務(Federal Operations for Resilience, Troop Resources, Energy Supply and Survivability)」の頭文字をとったものであり、ヘグセス長官によれば、この構想の下ではアメリカ内の全ての主要軍事施設が、民間の送電網から独立して独自の電力を供給することになるという。

「敵対勢力がサイバー攻撃や破壊工作、あるいはその他の手段で送電網を停止させたとしても、私たちの基地の明かりは消えない。航空機は飛び続け、指揮センターの機能が停止することもない」とヘグセス長官は語った。

この取り組みはまた、レアアース(希土類)、特殊金属、半導体、推進剤といった重要なサプライチェインを国内回帰させることも意図している。これらは全て「アメリカで採掘され、米国で精製され、米国の労働者によって米国で製造される」ものとなる。

加えて、ヘグセス長官は、弾薬、燃料、医薬品、血液といった極めて重要な物資について、国防総省が戦略的備蓄を積み増すと述べた。その備蓄量は、「世界の供給網が寸断されたとしても、実際の戦争では間違いなく寸断されるものだが、アメリカが戦い続けられるほど十分な規模」にするという。

これを実現するため、ヘグセス長官は、アメリカ軍が「アメリカ国内のあらゆる施設をサイバー侵入、破壊工作、ドローン攻撃に対して強靭化し(hardening)、高地や電波領域、衛星、周波数帯といった優位性を確保している」と語り、国防総省こそが「国家全体の保険(the insurance policy for the entire nation)」になるだろうと主張した。

(5)士官候補生のための非アイヴィーリーグ大学と連携(New non-Ivy League partnerships for cadets)

ヘグセス国防長官はまた、士官候補生の層を拡大するために、新たに5つの大学と提携すると発表した。

「アメリカズ・コア・オブ・カデッツ(America’s Corps of Cadets)」と呼ばれるこの軍事訓練プログラムには、ルイジアナ州立大学、リバティ大学、タスキーギ大学、ミシシッピ州立大学、ヒルズデール・カレッジが参加する。

ヘグセス長官は、「私たちには、士官学校や上級軍事大学といった教育機関から輩出される士官がさらに必要であり、今日、それを実現する」と述べた。

ヘグセス長官によれば、各校は「卓越した軍事大学(distinguished military college)」として位置づけられ、「士官候補生の規律、戦術教育、軍事組織のあり方において、極めて高い水準を維持すること」が求められるという。

アメリカ軍の士官の多く​​は、陸軍士官学校(ウェストポイント)、海軍兵学校(アナポリス)、空軍士官学校といった士官学校から任官しており、テキサスA&M大学やシタデル(サウスカロライナ州の軍事大学)などの上級軍事大学がそれに続いている。

水曜日に公表された国防総省の覚書によると、ヘグセス長官のオフィスは30日以内に実施に着手し、4カ月以内には、アンソニー・タタ国防次官(人事・即応担当)がこのプログラムの主導的な担当部署へと移行することになる。

「アイヴィーリーグからリベラルアーツ・カレッジに至るまで、私たちの大学は、反米的かつDEI(多様性・公平性・包摂性)を崇拝する『ウォーク(Woke)』思想の工場(anti-American DEI [diversity, equity and inclusion] worshipping woke factories)と化してしまった。不屈の精神や勇気といった資質は、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)や社会正義に取って代わられた」とヘグセス氏は述べた。「神と国家は、チェ・ゲバラやクリティカル・セオリー(批判理論)と置き換えされたのだ」。

(6)宗教問題担当室の設置(Creates Office of Religious Affairs)

ヘグセス長官は最後の宣言の中で、国防総省内に「トップに直属する」宗教問題担当室を設置すると表明した。

「最先端技術、新たな基地や駐留体制、そしてより優れた教育の仕組み、これらは全て、私たちの共和国にとって最も不可欠な要素である『信仰(faith)』がなければ不完全なものに過ぎない」とヘグセス長官は集まった軍人たちに語りかけた。

ヘグセス長官は、部隊がどこに派遣されようとも「最高水準の宗教的支援(first-class religious support)」を提供することは国防総省の「神聖な責務(a sacred duty)」であると述べ、この問題を二の次として扱ってきた過去の政権を厳しく批判した。

「ポリティカル・コレクトネスや世俗的ヒューマニズムは発言権を得たが、従軍牧師(chaplains)はそうではなかった。予算は削減され、資源や人員の必要性は無視され、基地内の礼拝所は荒廃した」とヘグセス長官は主張した。「信仰や宗教に関する決定は、個室にこもる世俗的なキャリア官僚や、お役所仕事の規則を振りかざす弁護士たちによってなされてきた」。

ヘグセス長官は、水曜日から「宗教問題担当室(Office of Religious Affairs)」が「長官への直通ルート」を持つことになり、この部局は「予算の確保、インフラ整備の要求、そして宗教的支援の強化」を行うことになると述べた。

ヘグセス長官は頻繁に自身の信仰について言及しており、軍人の精神的な健康は、身体的・精神的な健康と「同等に重要である」と明言している。

ヘグセス長官は今年初め、アメリカ軍の従軍聖職者団(Chaplain Corps)の制度を刷新し、聖職者である将校が階級章を着用するのを廃止し、代わりに自身の宗教的所属を示す記章を着用すると発表した。これは従軍聖職者団組織に対する2つの大きな変更点の1つだ。

(7)ヘグセス長官が将官の削減を擁護(Hegseth defends officer cuts)

演説の冒頭で、ヘグセス長官は国防総省における将官(陸軍・空軍の将官および海軍の提督)の20%を削減するという自身の計画を擁護し、国防総省においてこの大規模な刷新は長らく必要とされていたものだと主張した。

「メディアはこれを粛清(a purge)と呼ぶが、私はこれを説明責任(accountability)であり、長らく遅れていた措置、率直に言えば、最低限必要なことだと捉えている。いつものことだが、メディアが非難の言葉として投げかけるものを、私はむしろ成果(an accomplishment)として誇りに思っている」とヘグセス長官は述べた。

ヘグセス長官は「私は申し上げたい、その組織文化を助長してきた当の本人たちを使って、文化を変えることなどできない。どの階層においても、人事はすなわち政策そのものなのだ」と語った。

この動きは陸軍、海軍、空軍の全軍にわたる上級幹部職に影響を及ぼすものであり、ヘグセス長官が将官の数を10%削減する措置を主導してから1年を経て実施されるものとなる。

彼はすでに各軍種にわたり20人以上の高級将校を解任または退任に追い込んでおり、こうした人事異動は、与野党双方の連邦議会議員に動揺を与えている。

ヘグセス長官は演説の中で次のように述べた。「昨年の演説は、あの将軍たちに向けたものではなかった。あれはあなた方、つまり私たちの軍の屋台骨であり、最前線に立つ現在および将来のリーダーたちに向けたものだった」

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は沈滞ムードに入り、限定的に軍事攻撃が行われているが、大規模な軍事衝突は起きていない。停戦交渉も停滞ムードだ。国連総会に合わせて、イラン代表団とアメリカ代表団がニューヨークで会談を持ち、トランプ大統領が会談について評価したということはあるが、中間選挙までに一定の成果を出すという見通しは立っていない。トランプ大統領としては支持率低迷が続き(支持率が約40%、不支持率が約59%)、打開策を求めているが非常に難しい。対イラン政策については支持率が約32%、不支持率が約63%となっている。参考までに、ウクライナ問題については、支持率が約34%、不支持率が約59%となっている。

イラン戦争停戦は原油価格に対する影響を考えても、世界経済、私たちの日常生活にとって重要である。イラン戦争は完全に失敗であった。アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は完全に戦争の見通しを見誤った。アメリカでは対外戦争について不支持が多い状況で(ウクライナ戦争への支援にも反対が多い)、イラン戦争を始めたことで、トランプ大統領はドツボにはまった。アメリカ軍は強大で高性能な武器でイランを攻撃し、最高指導者アリ・ハメネイを含む政治の最高指導部層をはじめ多くの人々を殺傷し、イラン国内のインフラなどに大きな被害を与えた。しかし、イランからの反撃で湾岸諸国にあるアメリカ軍基地は破壊され、湾岸諸国にも被害が出た。アメリカ軍は湾岸諸国を防衛することに失敗した。さらに、イラン側の抵抗、ホルムズ海峡封鎖などもあり、予想外に戦争が長引くことで、武器を含む装備品や物資の欠乏に陥り、将兵の士気も低下している。

 イラン戦争でアメリカは負けている。戦闘で勝っているが、戦争では負けている。「出口」をきちんと想定せず、「アメリカが攻撃すれば、イランは耐えられずに崩壊するだろう」という根拠薄弱な前提で戦争を始めた時点でアメリカとイスラエルは負けていたのだ。そして、世界に大きな悪影響を与えている。イラン側はハマス、ヒズボラ、フーシ派を使い、弱点を突いている。サウジアラビアはアメリカに「見捨てられた」という感覚を持っているだろう。そして、ますます中国に近づくということになる。イランの体制転換を起こすことができなかったことで負けなのだ。アメリカは人命や戦費を浪費していく。一方、ライヴァルである中国は無駄なことをせずに、資源を成長に正しく使うことができる。その点でもアメリカは負けている。

 私はトランプが彼の持つ底知れない無神経さと屈託のなさで「失敗しました」と認める方が状況はまだましになるだろうと考えていた。しかし、いくら何でもそれはできない相談のようだ。中間選挙での敗北もあり、トランプ政権については厳しい状況が続いていく。そして、アメリカ政治は2028年の大統領選挙に向かって進んでいく。

(貼り付けはじめ)

ほぼ全ての指標においてアメリカは対イラン戦争に負けつつある(By Nearly Every Metric, the U.S. Is Losing the Iran War)

-ある専門家は「アメリカが主要な戦略目標の達成に失敗したことは明白だ」と述べた。

ジョン・ホルティヴァンガー筆

2026年9月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/09/17/trump-united-states-losing-iran-war/

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ワシントンのホワイトハウスでイランとの戦争について語るダン・ケイン統合参謀本部議長を見つめるドナルド・トランプ米大統領(4月6日)

3月初旬、ドナルド・トランプ米大統領は、対イラン戦争においてアメリカはすでに「勝利した(won)」ものの、まだ「任務を完遂する(finish the job)」必要があると述べた。それから数カ月が経過し、地域全体で戦闘が激化し外交が停滞する中、その「任務(job)」は未完のまま、終わりの見えない状況が続いている。

トランプは水曜日、「願わくは戦争は終結に向かっている」と語り、イランが合意を望んでいるとの見方を示唆した。しかし、現地で起きている現実はそうした楽観論(optimism)を裏切るものであり、テヘランが合意を熱望しているという証拠もほとんどない。

アメリカはこの戦争で軍事的な成功を収めてはいるものの、全体として見れば、この紛争はワシントンにとって戦略的な災厄(strategic disaster)であった。戦闘によってアメリカ軍の深刻な脆弱性(vulnerabilities)が露呈し、兵力は分散を余儀なくされたほか、これまでに推定381億ドルの費用を費やし、世界的なエネルギー危機も引き起こした。この戦争はアメリカの有権者から極めて不評であり、連邦議会では紛争終結に賛成する共和党議員が増加している。ある共和党連邦下院議員に至っては、この戦争をめぐってピート・ヘグセス国防長官の弾劾を求める動きさえ見せている。

しかし、これほどの代償を払ったにもかかわらず、アメリカがイランに関して達成できたことはほとんどなく、むしろ事態が悪化した側面さえある。代理勢力を通じた地域への影響力行使能力、軍事力、体制の強固さ、核開発計画の状況など、ほぼあらゆる指標において、アメリカはこの戦争に敗北しつつある。さらに、テヘランはホルムズ海峡を長期にわたって封鎖できることを証明した。これは彼らが長年誇示してきた能力ではあるが、実際に実証されたことはこれまでなかった。

「2月に時計の針を戻し、アメリカが当時何を目指していたかを見れば、アメリカが主要な戦略目標の達成に失敗したことは明白だ」。ユーラシア・グループの上級アナリストでイラン情勢の専門家であるグレゴリー・ブリューは『フォーリン・ポリシー』誌にそう語った。

●代理勢力(Proxies)

トランプ大統領は2月下旬、イランに対する本格的な戦闘作戦の開始を発表した際、「テロを行う代理勢力がもはや地域や世界を不安定化させたり、アメリカ軍を攻撃したりできないようにする」と述べた。同様に、統合参謀本部議長のダン・ケイン大将も3月初旬、アメリカは「現在および将来にわたり、イランが国境の外で力を行使する能力を解体すること」を目指していると語った。開戦から1カ月後、国民向けのゴールデンタイムの演説において、トランプ大統領はさらに、アメリカは「アメリカを脅かしたり、国境の外へ武力を行使したりするイラン政権の能力を組織的に解体しつつある」と述べた。

しかし、アメリカがこれを達成したことを示す証拠はない。紛争開始時には開かれていた水路であるホルムズ海峡の支配権をめぐる争いが数カ月にわたって続いているという事実は、中東地域およびより広い世界における事態の推移に影響を及ぼすテヘランの能力が依然として健在であることを示している(これについては後述する)。

開戦から数カ月が経過しても、テヘランの代理勢力は依然として大きな脅威であり、地域の混乱と原油価格の高騰を助長し続けている。イランが支援するイエメンのフーシ派反政府勢力は今月、サウジアラビアが支援するイエメン政府軍に対する猛攻を展開し、紅海沿岸にある港湾都市モカやペリム島などの戦略的要衝を制圧するなど、大幅な領土拡大を果たした。その結果、フーシ派は、紅海とアデン湾を結び、アラビア半島とアフリカ大陸を隔てるもう1つの重要な水路であるバブ・エル・マンデブ海峡の実質的な支配権を掌握するに至った。

バブ・エル・マンデブ海峡は、開戦前から重要な海上交通路だったが、ホルムズ海峡の閉鎖に伴い、その重要性はさらに高まりまった。テヘランとフーシ派は、アメリカが戦争を続ければバブ・エル・マンデブ海峡が封鎖される可能性があると数カ月前から警告してきたが、今やその脅しを実行に移せる状況にある。

一方、フーシ派とサウジアラビアの間では交戦が続いており、2014年に始まったものの2022年の停戦合意以降は概ね沈静化していた内戦に関連する緊張が再燃している。現在、イエメンが本格的な内戦状態に逆戻りするのではないかという懸念が高まっている。

サウジアラビアは先週、全長750マイル(約1200キロ)に及ぶ東西石油パイプラインを一時停止した。これは、イラク国内のイラン支援武装勢力によるものとサウジアラビア側が断定したドローン攻撃でこのパイプラインが損傷しただが、いつ稼働が再開されるかは不透明だ。このパイプラインはサウジアラビアの東部から紅海沿岸のヤンブー港まで原油を輸送するものであり、その一時停止は世界の石油供給量の約4%に影響を及ぼしている。

確かに、ハマスやヒズボラ(後者は長らく中東地域におけるテヘランの最強の同盟勢力と見なされてきた)といったイランの他の代理勢力は、数年前と比べて著しく弱体化している。しかし、これはほぼ全面的に、ガザ地区やレバノンにおけるイスラエルの軍事行動によるものだ。

●弾道ミサイルとドローン(Ballistic missiles and drones)

トランプ政権は、イランの弾道ミサイルおよびドローン関連の能力を破壊することも戦争の目的として掲げていた。4月、ヘグセスは、イランのミサイル計画は機能的に破壊され、イランは「もはやミサイルを製造できない(no longer build missiles)」状態にあると述べた。トランプもまた、イラン軍は「完全に壊滅した(totally destroyed)」と主張している。

確かに、イラン軍はこの戦争によって甚大な打撃を受けている。空爆が始まって以来、イラン軍や情報機関の幹部多数が殺害され、産業能力は低下し、通常戦力の海軍も大部分が壊滅した。

しかし、テヘランが依然としてミサイルやドローンを用いて地域各地の標的を攻撃し続けているという事実は、この目標がいまだ達成されていないこと、そしてトランプ政権が自らの軍事的成果を大幅に誇張していたことを示している。

また、イラン軍の弱体化の程度に関するトランプ政権の公的な主張は、情報機関による分析結果とも矛盾している。報道によれば、イランは開戦当初にアメリカ軍がミサイル施設や発射拠点を標的として数千回に及ぶ攻撃を行ったにもかかわらず、地下施設での弾道ミサイル生産を再開した。また、ドローンは製造が容易でコストも低いことから、イランのドローン運用能力を完全に破壊することは、そもそも困難なことだった。

●体制転換(Regime change)

トランプ政権は、イランの現体制を打倒することを主要な目標とすべきかどうかについて態度を揺れ動かしてきたが、開戦当初、イラン指導部の打倒がホワイトハウスの重要な目標の1つであったことは明らかだった。

トランプは2月28日、「誇り高きイランの偉大な国民の皆さん、今夜私はこう申し上げたい。皆さんの自由の時は近づいている」と述べた。「私たちの任務が終わった暁には、自分たちの手で政府を引き継ぐ。それは皆さんが手にするものとなるだろう。これはおそらく、何世代にもわたって訪れることのない唯一の好機となるはずだ」。

前最高指導者アリ・ハメネイ師を含むイランの最高幹部らが殺害されたものの、体制は依然として強固に維持されており、多くの面でむしろ硬直化(calcified)している。

「体制転換が目標であったとするならば、アメリカの行動はほぼ完全に逆効果(counterproductive)だった。体制は今や、より強固に定着している。国内での立場に対する自信を深め、より大胆になっている。現在の体制を主導しているのは軍や治安部門の指導者層であり、彼らは現実的な側面を持ち合わせているとはいえ、一様に西側諸国に対して敵対的であり、アメリカや西側諸国全般との広範な和解には関心を示している」と前述のグレゴリー・ブリューは指摘した。

●核開発プログラム(Nuclear program)

他のどの問題よりも、トランプはイランの核開発計画をこの戦争の主要な焦点として繰り返し取り上げてきた。トランプ大統領は、テヘランによる核兵器の保有を阻止するために戦争を継続する必要性を主張する一方で、アメリカがイランの核開発プログラムを「完全に抹消した(obliterated)」かのように誤解を招く発言も行っている。

アメリカの攻撃によってインフラが破壊され、国内の重要人物たち(トップクラスの科学者たちを含む)が殺害されたことで、イランの核開発プログラムが後退したのは疑いようのない事実だが、イランは依然として約440キログラム(約970ポンド)の高濃縮ウラン(highly enriched uranium、HEU)を保有している。専門家たちは繰り返し強調しているが、正確な所在が不明なこの備蓄にイランがアクセスできる限り、イランの核開発プログラムは脅威であり続け、無力化されたとは見なせない。

国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は今週、イランの核開発計画に対する同機関の監視体制が今年に入って「悪化(deteriorated)」したと懸念を表明した。「私たちは6カ月以上にわたり、イラン国内での現地検証活動を行っていない」とグロッシは述べ、IAEAがイランのウラン備蓄に関する「情報の継続性(lost continuity of knowledge)」を失ってから「1年以上が経過している(well over a year)」ことを強調した。

「この核物質に関する情報が不足し、それを検証するための施設へのアクセスもできないという状況は、核拡散の観点から深刻な懸念事項であり、極めて緊急に対処する必要があります」とグロッシは語った。

トランプは、アメリカの高濃度ウラニウム(HEU)備蓄を回収すべきかどうかについて発言を二転三転させており、過去のアメリカの攻撃によって瓦礫の下に埋もれ、アクセス不能になっている可能性を示唆したこともある。「私たちはそれを回収するつもりだ。私たちには必要ないし、欲しくもない。回収後は恐らく廃棄するだろうが、彼らに持たせる訳にはいかない」とトランプは5月に述べている。

また、戦略国際問題研究所(the Center for Strategic and International Studies、CSIS)の最近の分析によると、核関連施設と疑われる「ピッケックス・マウンテン(Pickaxe Mountain)」において、2026年に建設活動の「急増(surge)」が見られたことが衛星画像で明らかになっている。

先週、トランプ氏はピッケックス・マウンテンでの建設活動の報告を受け、アメリカが行動を起こす可能性があることを示唆した。「ピッケックスで何らかの動きがあることは把握している」とトランプは述べ、「イランには小細工を弄さないよう(not to get cute)忠告しておく。さもなければ、私たちは彼らを徹底的に叩くことになるだろうから」と語った。

そうした勇ましい言葉とは裏腹に、トランプ政権の実際の行動は、イランの核開発問題がホワイトハウスの優先順位リストにおいて後回しにされつつあることを如実に示している。核問題に進展が見られないことや、より広範な戦争において当初の目標を達成できなかったことを受け、トランプ政権は関心を他の目標へと移しているのだ。

トランプ政権はイランを経済的に追い詰めるべく動き出しており、海軍による海上封鎖に加え、「オペレーション・エコノミック・アウトキャスト(Operation Economic Outcast、経済的追放作戦)」と名付けた金融制裁などの措置を講じ、テヘランをさらに孤立させようとしている。スコット・ベセント財務長官は8月下旬にこの取り組みを発表した際、「私たちの目標は、テヘランが孤立無援の状態に陥るまで、この専制的な体制を支えるあらゆる経済的生命線を断ち切ることにある」と述べた。

しかし、イラン指導部は数十年にわたりアメリカの経済的圧力に耐え抜いてきた実績がある。そのため、今回のアプローチによって事態が実際に動き、将来の交渉でイラン側が譲歩するようになるのかどうかについては疑問の声も上がっている。

●ホルムズ海峡のコントロール(Control of Hormuz)

この戦争は今や、本質的にはホルムズ海峡における石油と海上輸送路をめぐる争いとなっている。

前述のグレゴリー・ブリューによれば、8月初旬にはホルムズ海峡を1日あたり約400万〜500万バレルの石油が通過していたが、現在その量は約1000万バレルに迫っているという。これはアメリカにとって好ましい状況であり、イランの石油輸出が完全に停止していることから、海軍による海上封鎖が功を奏していることも示唆している。一方で、ホルムズ海峡の通航量は開戦前の約5分の1にとどまっており、このことは、現在の状況が「極めて多大なリソースを投入することによって維持・管理されている」という事実を浮き彫りにしている。

このプロセスでは、アメリカ海軍や航空戦力が、小規模な船団を組んで海峡を通過するタンカーの防衛にあたっている。この体制により、過去1カ月間で海峡を通る石油の輸送量は着実に増加した。グレゴリー・ブリューによれば、これはエネルギー市場における「全面的な危機(general crisis)」の発生を遅らせる役には立っているものの、「リスクそのものを排除するものではない(not removing the risk)」という。

石油の国際的な指標であるブレント原油の価格は、木曜日の時点で1バレルあたり約104ドルだった。戦争が始まった2月直前の価格は、およそ72ドルだった。

トランプがこの戦争はアメリカにとって好ましい形で終わると考えているかという点について、ホワイトハウス当局者は『フォーリン・ポリシー』誌に対し、匿名を条件に次のように語った。「イランからは絶えず連絡があり、合意を強く求めている」ものの、大統領は「イランが核兵器保有の意図を恒久的に放棄するような、好条件の合意を結ぶ用意があるだけだ」とのことです。またこの当局者は、トランプは「適切な状況下(right circumstances)」であれば対話に応じる姿勢はあるが、「イラン側と交渉する必要はない」とも述べている。

「歴代大統領とは異なり、トランプ大統領はイラン政権にいいようにあしらわれることはない。トランプ大統領は、避けられないイランの崩壊という事態の推移を静観することに満足している」とこの当局者は語った。

※ジョン・ホルティヴァンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@jchaltiwanger.bsky.social、Xアカウント:@jchaltiwanger

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルの姦計は「特別な同盟関係(special alliance)」だ。アメリカは毎年数千億規模の軍事支援をイスラエルに行っている。イスラエルは中東地域におけるアメリカの強力な同盟国として存続している。アメリカ国内には強力な「イスラエル・ロビー(the Israel Lobby)」が存在し、アメリカ政府の対イスラエル政策に重大な影響を与える。イスラエルに対して有利な政策に賛成する連邦議員に対しては投票行動や政治献金で手厚く支援をし、反対する議員には激しい落選運動を行う。いつしか、アメリカ政界、アメリカ社会において「イスラエルを批判すること」はタブーとなり、そのタブーに触れた人物は「反ユダヤ主義(antisemitism)」の烙印を押されて、政界や社会から抹殺されるまでになった。「特別な同盟関係」であるが、実際にはイスラエルに対する過剰な保護と過剰な用語を与える歪(いびつ)な関係になった。

 しかし、アメリカ国内において、イスラエルに対する疑問や批判の声が大きくなっている。特に若い世代においてそれは増大している。若者たちの間で民主社会主義(Democratic Socialism)への支持が高まるのと軌を一にしている。この関係については、アメリカ政治の専門家たちによる研究分析を待ちたいと思う。2024年のハマスによるイスラエル攻撃は強く非難されるのは当然だ。しかし、その後のイスラエルによる過剰な攻撃によるガザ地区の破壊と民間人の大量殺害については、ハマスの攻撃を理由にして正当化されるべきではない。さらに言えば、2024年のハマスの攻撃をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事前に察知していながら放置したという疑惑も出ている。イスラエルの極右勢力の凶暴な攻撃性はついにアメリカのドナルド・トランプ大統領を引き込んでの(洗脳をしての)、イラン攻撃二位まで行きついた。その結果は現状の通り、世界に大きな苦難を与えている。

 こうした中で、アメリカ国内でもイスラエルに対する非難が起こり、イスラエルとの関係を見直す動きも出ている。ドナルド・トランプ大統領は親イスラエルであるが、J・D・ヴァンス副大統領はイラン攻撃に反対し、戦争後にはベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談でネタニヤフ首相を激しく非難し、厳しい言葉で詰問したという報道も出ている。アメリカの将来の世代は、これまでのアメリカ・イスラエル関係を許さないという考えを持っている。そして、そのことは政治の世界にも反映されていく。

 極右勢力が国家のかじ取りをすることは最終的にはその国家の利益にはならない。イスラエルがそのことを教えてくれる。私たちが学ぶべきはこのことであり、日本に引き付けて考えてみると、現在の高市早苗政権はまさにイスラエルのネタニヤフ政権と似ており、その無思慮な政策によって国際的な孤立状態にあるのは偶然ではなく、必然ということになる。また、私たちは日米関係についても良く考えてみなければならない。現在の歪な日米関係では日本の将来を開くことはできない。そのことを私たちは認識すべきなのである。

(貼り付けはじめ)

アメリカ・イスラエル同盟の終焉The End of the U.S.-Israel Alliance

-イランに対する共同戦争がその頂点となるかもしれない。

ジョシュ・レイファー筆

2026年6月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/06/15/israel-united-states-special-relationship-palestine-netanyahu-trump/

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、歴代の首相たちが夢にまで見た事態を実現させたようだ。アメリカ・イスラエル両国の戦闘機がテヘラン上空を編隊飛行し、イスラエル軍の将校がフロリダにあるアメリカ中央軍司令部に常駐する。建国の父ダヴィド・ベングリオンの時代から、イスラエルの指導者たちは、国家の永続的な存続を保証してくれるであろう世界最強の超大国の後ろ盾(backing from the world’s preeminent superpower)を求めてきた。しかし、現在見られるような協力関係の深さを想像できた人間は誰一人いなかっただろう。もし「老指導者(the Old Man)」の愛称で親しまれたベングリオンを、スデ・ボケルの砂漠の眠りから呼び覚ますことができたなら、彼はこのニューズを大いに喜ぶに違いない。

しかしながら、見かけは往々にして実態とは異なるものだ。ある意味で、アメリカ・イスラエル関係は今や絶頂期にあると言える。しかし別の角度から見れば、すでに破局的な衰退の時期(a period of terminal decline)に入っている。過去半世紀にわたり、いわゆる「特別な同盟関係(special alliance)」を支えてきた政治的、イデオロギー的、そして社会的な柱が崩れ始めているからだ。かつて連邦議会(Capitol Hill)において圧倒的な力を誇った「イスラエル擁護複合体(the Israel-advocacy complex)」、米イスラエル公共問題委員会(the American Israel Public Affairs Committee、AIPAC)のようなロビー団体、名誉毀損防止同盟(the Anti-Defamation League、ADL)のようなユダヤ人コミュニティ組織、そして「イスラエルのためのキリスト教徒連合(Christians United for Israel、CUFI)」のようなキリスト教シオニスト団体からなるネットワークが、今や揺らぎ始めている。極度の分極化(hyperpolarization)が進む今日の情勢下で、彼らはまず民主党内の進歩主義派から挑戦を受け、現在ではMAGA連合内の新孤立主義派からもますます強い圧力を受けている。

世論も劇的に変化した。イスラエルへの支援が国益にかなうと考えるアメリカ人は半数に満たず、パレスティナ人に対してイスラエル人よりも同情的な見方をするアメリカ人が初めて多数派となった。また、アメリカ人とイスラエル人が文化的・宗教的価値観を共有しているという前提も、もはや自明のことではなくなっている。アメリカがキリスト教的性格を薄め、多様性を増していく一方で、イスラエル社会はより伝統主義的な傾向を強め、その公共文化は内向きなものとなっている。さらに、アメリカの右派・左派双方において、反ユダヤ主義が社会の周縁(the margins)から政治の主流へと浸透し始めている。ポピュリズムが台頭するこの時代、特に若者や現状に不満を抱く人々の間では、反ユダヤ主義が反エスタブリッシュメント(anti-establishment)としての信憑性を示す証しであると見なされるようになっている。

こうした変化は、2023年10月7日のハマスによる攻撃以前からすでに進行していた。しかし、その後のイスラエルによるガザ地区の破壊、荒廃した同地への封鎖と飢餓の強要、そして占領下ヨルダン川西岸地区における入植者による暴力の激化、これら全てが2年以上にわたりソーシャルメディアでライブ配信されたのだが、これらによって、そうした変化は劇的に加速した。その結果、現代のアメリカ政治において至る所で見られる現象となった、反イスラエルの反発の波が巻き起こった。もしアメリカとイスラエルによる対イラン共同戦争がこの「特別な同盟関係」の頂点をなすものだとするならば、その後に待ち受けているのは「転落(the fall)」ということになるだろう。

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イェルサレムにおいて、イスラエルのイツハク・ラビン首相(右から2人目)が、エジプトとイスラエル間の「シナイII協定」の文書に目を通す傍ら、アメリカのヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官(右から3人目)が見守っている(1975年9月2日)

この「特別な同盟関係」は常に特別なものであった訳ではない。イスラエルを国家として承認したのはハリー・トルーマン大統領だったが、後任のドワイト・D・アイゼンハワー大統領はイスラエルに対して冷ややかだった。冷戦初期におけるアメリカの戦略的計算を狂わせることを懸念したのがその理由だ。ジョン・F・ケネディ大統領はアイゼンハワーの武器禁輸方針を転換し、アメリカ製兵器をイスラエルに供給した最初の米大統領となった。また、リチャード・ニクソン大統領(正確にはその補佐官のヘンリー・キッシンジャー)は1973年、軍事支援の緊急空輸を主導してイスラエルを救い、中東戦争における敗北の危機を回避させた。それでもなお、この関係には限界があった。ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュの各政権は、イスラエルの指導者たちに対して「ノー」と言う術を心得ていた。時には今日では衝撃を与えかねないほど強硬な言葉で、あるいは実質的な不利益をほのめかして拒絶することもあった。彼らは「イスラエル擁護複合体」を恐れることはほとんどなかった。当時の同勢力は、1990年代半ば以降に見せるような強大な影響力と比べれば、まだ「ウェルター級」程度の規模に過ぎなかったからである。

冷戦の終結は、アメリカとイスラエルの関係をより緊密なものへと変えた。もはやその関係は、世界規模の大国間の均衡(global great-power equilibrium)というアメリカのより広範な配慮によって抑制されることはなくなった。国際関係論の学者たちが「戦略的利益の共同体(community of strategic interests)」と呼ぶものが形成されたのである。イスラエルは、中東地域におけるアメリカ主導の新たな国際秩序の「執行者(enforcer)」としての役割を担うようになった。さらに「テロとの戦い(the global war on terrorism)」が開始されると、アメリカとイスラエルの利害は一段と合致するようになった。従順なアメリカのメディアが反射的に追随した論調の中で、両国の指導者は自国の利益を同一のものと位置づけ、敵対勢力、オサマ・ビン・ラディンとアルカイダであれ、ヤーセル・アラファトとパレスティナ解放機構(PLO)であれ、過激派・テロリストという「同じコインの裏表(two sides of the same radical, terrorist coin)」であると見なした。

こうした戦略的利益の重なり合いは、さらに、広く共有された「価値観」という意識によっても支えられていた。アメリカが対外的な民主政治体制の推進に乗り出したまさにその時、イスラエルの指導者たちは、イスラエルがこの地域で唯一の民主政体国家であるという独自性を誇示していた。対テロ戦争を文明間の争いという観点で捉える人々にとって、イスラエルは、ユダヤ・キリスト教的価値観に基づく西側諸国と、その敵であるイスラム主義勢力との戦いにおける最前線の防波堤であった。一方、アメリカのリベラル派は、権威主義的なアラブ政権、保守的な神権政治国家(conservative theocracies)、そしてイスラム過激派という「暗黒の海(a black sea)」に囲まれながらも、イスラエルを「開かれた社会(open society)」の模範的な存在と見なす傾向があった。ビル・クリントンからジョージ・W・ブッシュに至るまで、アメリカの対中東政策は、大西洋主義的なリベラル介入主義者(Atlanticist liberal interventionists)と、より強硬な姿勢をとるその「親戚」とも言うべきネオコン(新保守主義者)との間で、交互に主導権が争われる状況にあった。

拡大を続けるイスラエル擁護複合体にとって、当時は活動を展開するのに有利な状況だった。AIPAC(米イスラエル公共問題委員会)は、超党派でイスラエルへのほぼ全会一致の支持を取り付けることができたほか、AIPACと連携するシンクタンクは、共和党政権と民主党政権の間で人材が行き来する「回転ドア(a revolving door)」のような関係を維持していた。一方、パレスティナ人の権利を擁護する側には、それに対抗しうる組織的な基盤が欠如しており、今日とは異なり、主流メディアで作品が取り上げられるパレスティナ人作家もごくわずかだった。また、イスラエル・ロビー(the Israel lobby)の力に対する批判は、極左と極右の境界が曖昧になるような陰謀論的な言説の領域に追いやられるのが常だった。さらに、ホロコースト追悼の機運が最高潮に達していた時期(1993年にはアメリカ・ホロコースト記念博物館が開館)でもあり、「反ユダヤ主義」のレッテルを貼られることは、キャリアを終わらせかねないほど深刻な事態を招くものだった。

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ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプに対するイスラエル軍の攻撃で破壊された建物の残骸(5月19日)

ワシントンにおける超党派の合意を打ち砕いたのは、パレスティナを支持する左派ではなく、イスラエルを支持する右派だった。その転換点となったのが2015年だ。当時も現在と同じように、争点はイラン問題だった。バラク・オバマ政権が核合意の成立を目指す中、イスラエル擁護複合体は、圧倒的な人気を誇る民主党の大統領に対して「戦争(war)」を仕掛けた。AIPACは核合意阻止のロビー活動に約4000万ドルを投じた。共和党のジョン・ベイナー連邦下院議長は、大統領に事前の通知を行うことなく、ネタニヤフ首相を連邦議会上下両院合同会議での演説に招待した。この動きは、政治的意図に基づく手続き違反であり、基本的な礼節を欠く行為だと広く見なされた。演説台に立ったネタニヤフ首相は、オバマ政権が進めていた合意案について、「中東情勢を悪化させるだけだ(only change the Middle East for the worse)」と激しく非難した。

イスラエル擁護複合体による猛攻によっても、核合意を阻止することはできなかった。それどころか、彼らがそれまで辛うじて保っていた「超党派(bipartisanship)」という体裁を自ら破壊する結果となった。イスラエル支持団体は、やがて公然と共和党の一翼として機能し始めた。特にユダヤ人コミュニティの主要団体が、大多数のユダヤ系アメリカ人の見解を代表するという建前を捨て、右派の有力献金者の意向を優先するようになったことがその要因だ。トランプ政権の1期目は、イスラエルをめぐるこうした党派的分断をさらに深めることとなった。トランプは、ワシントンにあるPLO事務所の閉鎖、在イスラエル米大使館のイェルサレム移転、ゴラン高原に対するイスラエルの主権の承認など、歴代政権のどの路線よりもはるかに右寄りで、強硬かつ親イスラエル的な姿勢を取った。民主党の一般党員をイスラエルから遠ざけるという点において、トランプは、いかなる親パレスティナ活動家よりも大きな影響を及ぼしたと言えるだろう。

2015年は、イスラエルの歩みにおける転換点でもあった。激しい選挙戦の過程で、ネタニヤフは急進的な姿勢を強めていったように見えた。彼はイスラエル右派における「責任ある大人」というイメージを捨て、世界的に台頭していた権威主義的ポピュリズムのスタイルを取り入れた。それまでパレスティナとの交渉による解決(a negotiated settlement with the Palestinians)を口先だけで唱えていたネタニヤフは、領土拡大を極限まで追求する姿勢へと大きく舵を切った。2019年に汚職の容疑で起訴されると、彼は権力の座にとどまるために、なりふり構わぬ行動に出るようになった。イスラエル政界で最も極端な勢力と選挙協力関係を築き、準ファシスト的なラビであるメイル・カハネの支持者や、強硬派のメシア主義的入植者たちを容認するどころか、彼らを閣僚に据えて権限を与えた。

イスラエル国内における民主政体の後退、そしてヨルダン川西岸地区の占領深化とガザ封鎖を背景に、イスラエルのリベラル派と価値観を共有していると主張できるアメリカのリベラル派は、ごくわずかになっていた。その一方で、ネタニヤフ政権下のイスラエルしか知らない新しい世代の進歩主義派が台頭してきた。この世代はそれ以前のどの世代よりも多様性に富んでおり、南アジア、東南アジア、中東地域からの移民の子供たちが大きな割合を占めていた。彼らの多くは、親イスラエル政策というアメリカの伝統を拒絶し、イスラエルに対して反感を抱く傾向にあった。また、アメリカの政治文化の拠り所となっていた「ホロコースト(Holocaust)」という大きな物語(meta-narrative)に対しても、何の愛着も感じていなかった。アメリカのユダヤ系若者の間でも、イスラエルへの支持をユダヤ系アイデンティティの柱とすることに異議を唱える動きが広がり、中には再燃した反シオニズム運動の有力な指導者となる人も現れた。

同じ時期、ミズーリ州ファーガソンでのマイケル・ブラウン殺害事件からミネアポリスでのジョージ・フロイド殺害事件に至るまでの間、アメリカの進歩主義派は「人種問題との真剣な向き合い(racial reckoning)」を経験し、アイデンティティや権力に対する理解を劇的に変化させた。この変化は、民主党左派内におけるイスラエルをめぐる議論に大きな影響を及ぼすことになった。2016年、つまり10月7日の出来事よりずっと前の時点で、「ムーブメント・フォー・ブラック・ライヴス(Movement for Black Lives)」は政策綱領を発表し、その中でパレスティナに対するイスラエルの政策を「ジェノサイド(genocide)」と断定していた。

近年、MAGA(「アメリカを再び偉大に」)を掲げる右派の一部もまた、進歩主義派左派と同様に、アメリカ・イスラエル関係を否定する姿勢を見せ始めている。ただし、その批判の論拠は異なる。若年層やネット上の右派の一部を覆う反ユダヤ主義的な権力者共同謀議論とは別に、MAGA連合内の「抑制(restraint)」を志向する派閥に属する人々が、イスラエルに対するアメリカの支援を見直すべきだと主張し始めた。彼らは、この同盟国同士の間に共通の利益は存在しない(あるいはもはや存在しない)と主張し、イスラエルとその支持者たちが米国の外交政策決定に過大かつ不当な影響力を行使していると非難している。彼らは、ワシントンによる「帝国的管理(imperial management)」からの撤退の一環として、かつての同盟諸国へのアメリカによる援助を大幅に削減すべきだと主張しており、イスラエルとの関係だけを例外として維持すべき理由はないと考えている。

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フェニックスでのイヴェント後に保守派のコメンテーターのタッカー・カールソンと握手を交わすドナルド・トランプ前米大統領。カールソンはその後、アメリカ・イスラエル関係を厳しく批判する論客となっている(2024年10月31日)

かつての超党派による親イスラエルの合意が崩壊した今、民主・共和両党の周辺部では、新たな「反イスラエル」の合意形成が進みつつある。民主党にとって、2028年大統領選挙に向けた予備選挙は、ほぼ間違いなくイスラエルに関する「信任投票(a referendum)」の場となるだろう。活動家たちはすでに、候補者に対し、AIPACやイスラエル擁護に関わるその他の団体と距離を置くよう圧力をかける上で、大きな成果を上げている。2020年の予備選挙における合言葉が「国民皆保険制度(universal healthcare)」であったとすれば、2028年には「イスラエルへの軍事援助への条件付け、あるいは打ち切り」が同様の役割を果たすことになるだろう。左派の間では、イスラエルへの敵対姿勢、それも強硬であればあるほど、進歩主義派が関心を寄せる他の問題における信頼性を測る「リトマス試験紙(a litmus test)」となりつつある。

共和党の中では、イランとの戦争がもたらす余波次第で状況が大きく変わるだろう。もしアメリカ人が経済的・外交的な痛みを被り、その記憶が長く残るようなことになれば、イスラエルとその支持者たちがその責任を問われることになる。そのようなシナリオは、ネオアイソレイショニストや「抑制」派を勢いづかせる可能性が高い。現時点で彼らの旗振り役となっているのは、J・D・ヴァンス副大統領である。しかし、もし彼がイランをめぐる失態で傷つくようなことがあれば、その座を狙う他の人物たちが控えている。その中には、現時点では大統領選への野心が取り沙汰される程度にとどまっているものの、保守派の論客タッカー・カールソンも含まれる。また保守陣営においては、イスラエルへの軍事支援の是非も議論の俎上に載ることになるだろうが、これはMAGA支持層の多くが受け入れられる基本姿勢でもある。

それでは、こうした状況下でネタニヤフ首相の立場はどうなるのだろうか? イスラエルにとって勝ち目のない新たな支援パッケージをめぐる政治的闘争に直面するのを避けるため、ネタニヤフ首相は、いずれ実施されるアメリカの軍事支援削減を、あたかも自らの提案であるかのように位置づけ始めている。ネタニヤフは、今後10年間でイスラエルをアメリカの支援に依存しない体制へと移行させると公約した。ヘリテージ財団は、その具体的な方策を盛り込んだ提案を策定している。そこでは、アメリカ製装備品の購入時にイスラエルへ割引を適用するという現行の仕組みを、兵器技術の共同開発へと転換することが提唱されている。これは、冷戦初期にアメリカがイスラエルに対して実施していた武器禁輸措置への回帰などでは決してない。

しかし、ネタニヤフは、この「特別な同盟関係」が終焉を迎えた後のイスラエルの将来について、楽観視し過ぎているかもしれない。同盟関係を当然のものと見なしてきた彼こそが、その急速な衰退を招いた最大の責任者と言えるだろう。彼がその座を去る時、イスラエルは以前よりも厳しい状況に置かれているはずだ。

※ジョシュ・レイファー:『ハアレツ』紙コラムニスト。著書に『砕かれた石板:アメリカ・ユダヤ人の世紀の終わりとユダヤ人生活の未来(Tablets Shattered: The End of an American Jewish Century and the Future of Jewish Life)』がある。

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 古村治彦です。

 2026年9月9日から10日までの2日間、共和党が全国大会(national convention)を開催した。開催地はテキサス州ダラスだった。アメリカの二大政党である民主党(Democratic Party)、共和党(Republican Party)の全国大会は、大統領選挙が実施される年に開催され、それぞれの党の大統領選挙の候補者と副大統領候補者(running mateと呼ばれる)を正式決定し、選挙に向けて機運を盛り上げる一大イヴェントとなっている。これまで民主党が中間選挙の年に開催したことはあるが(3回あったがそのうちの2回は中間選挙後の12月で反省会の意味合いが強かった)、共和党が中間選挙の年に全国大会を開催したのは史上初めてのことだ。

 中間選挙前の全国大会開催、開催地がテキサス州ということで、支持率を下げているトランプ大統領と共和党が金城湯池であるテキサス州を固め、劣勢を挽回するための機会のためという解説が多い。もちろん、それもあるだろう。しかし、今回、全国大会を開催するというのは異例なことだ。トランプ大統領は二期目であり、次の大統領選挙には出られない。今回の中間選挙は自身がかかわる最後の国政選挙になる。そこで何とか勝利を考えるのは当然であるが、たとえ勝利をしても、次の選挙がない大統領への人々の関心は薄れる。それよりは次の選挙、2028年の大統領選挙に関心は移っていく。二期目の後半はどの大統領もレイムダック化(lame duck)する。あとはもう辞めるだけの大統領の影響力はそがれてしまうことになる。わざわざ全国大会を開催してまで中間選挙にテコ入れをする必要はない。私は今回の全国大会は2028年の大統領選挙に向けた機運づくり、「ドナルド・トランプ大統領の後継者はJ・D・ヴァンス副大統領だ」という雰囲気づくりが大きな目的だったと考える。

 実際に、最終日にヴァンス副大統領が登壇し25分ほどの演説を行ったが、聴衆は「48」という数字を叫んだ。これは「第47代大統領のトランプの次の48代大統領はヴァンスだ」ということを意味する。ヴァンスは演説の中で、捕手草の根運動の活動家だった故チャーリー・カークとの友情について言及する中で、「チャーリーは戦争を嫌悪していた(hated war)」と述べつつ、小さな違いで自分たちへの支持まで辞めるようなことはしないように訴えた。これは、トランプ支持者の中でもイラン戦争への支持が少ない中で、そうした人々に配慮し、「自分も本当は戦争に反対だった」ということを伝え、「自分を支持して欲しい」と訴えたということになる。それが支持者たちに伝わり、「48」の掛け声になった。

 トランプ大統領はレイムダック化を見据えて、ヴァンスにチャンスを与えて、恩を売ることで(お前の大統領就任を手助けしてやったぞということにして)、地震の大統領退任後に備えているということになるのだろう。今回の全国大会ではトランプ大統領のトランプ配当5000ドルに注目が集まったが、2028年大統領選挙に向けたスタートという側面があったことも忘れるべきではない。

(貼り付けはじめ)

共和党支持者たちが2028年を既に見据えている中で共和党全国委員会主催の全国大会のフィナーレは「ヴァンスが一番大事」という雰囲気になる(RNC finale ‘all about Vance’ as GOP base looks to 2028)

ジュリア・ミュラー、ジュリア・マンチェスター筆

2026年9月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6083650-vance-rnc-keynote-2028-chatter/

2028年の大統領選挙への出馬の可能性が取り沙汰される中、J・D・ヴァンス副大統領はダラスで開催された共和党全国委員会主催の全国大会の最終夜において、会場の聴衆を熱狂させた。

木曜夜の基調演説の間、「48(第48代大統領を指す、2028年に勝利するということ)」というコールが起きる場面もあった。この演説は、トランプ大統領の後継として次期選挙への出馬を決断した場合に不可欠となる党の支持基盤に対し、ヴァンス副大統領が自らの魅力をアピールする絶好の機会となった。

ヴァンスは聴衆に対しての反応の中で、「まずはこの11月の選挙に集中して取り組まねばならない。その次のことは、その後に考えることになる」と述べた。

MAGA運動の事実上の後継者(heir apparent)と幅広く見られているヴァンスは、共和党が中間選挙での勝利に注力する中、自分自身の将来の計画については明言を避けてきた。しかし、会場の参加者たちは、欠席していたマルコ・ルビオ国務長官と並び、2028年に向けてヴァンスに注目していると次々に口にした。

演説後、2028年について質問されたテキサス州からの参加者キム・シモンズは、「ティーム・ヴァンスがここにいる」と語った。

同じくテキサス州からのマーサ・マッカラーさんは「ヴァンスが一番だ」と述べた。

テキサス州から参加したデブラ・シェイバーとロージー・スワンソンは、党の次期大統領選の候補者ペアについて質問され、声を揃えて「ヴァンス・ルビオ」と答えた。

テキサス州コリン郡からのデドラ・タイエは「どちらもいい」と語った。

副大統領の演説前、ヒューストンからの参加者ミシェル・テイラーは、「ヴァンスを見るのが今から待ちきれない。彼は素晴らしい」と話した。

2016年の大統領選挙でトランプと争ったルビオは、国際舞台で活動する中でその存在感を高めてきた。全国大会の期間中は海外に滞在していたが、今週、コロンビアのニュース番組に対し、現時点では再び大統領選挙に出馬する計画はないと語った。

テキサス州から参加したノラ・ネメス=オーデンスは、ヴァンスとルビオのペアについて、「どちらが正副の役割を担うにせよ、その2人がペアを組むのであれば、どちらの順序でも構わない」と述べた。

「他にも有力な候補者はいると思うが、私たちがまだ知らないだけだろう。しかし、あの2人が最も効果的にメッセージを伝えている」と彼女は語った。

また、今回の全国大会が共和党にとって豊富な選択肢を提示する場となったことを強調する声もありました。

ミネソタ州から参加したバーブ・ノヴァックは、「これから選挙までの間に多くのことが起こるだろうし、2人とも極めて有能だ。だから、共和党には人材の厚みがあると思う」と述べた。

「レース・トゥ・ザ・ホワイトハウス(Race to the WH)」がまとめた世論調査の平均値(2028年の共和党予備選挙を想定)では、ヴァンスが40%で圧倒的な首位に立ち、ルビオが約22%で続いた。支持率が二桁に達したのはこの2人だけで、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が約9%で3位につけた。

ヴァンスは今年初めに開催された保守派の政治会議「CPAC(保守政治活動会議)」での2028年大統領選挙に関する模擬投票で勝利し、ルビオがそれに続いた。共和党全国委員会(RNC)が初めて開催した今回の中間年全国大会では、同様の模擬投票は行われない見通しだ。

先月発表されたエマーソン・カレッジと本誌による調査では、民主党候補との対決において、ルビオがヴァンスを上回る結果を示した。ただし、ピート・ブティジェッジ前運輸長官との対決では例外的に、ブティジェッジが共和党候補の2人に対して5ポイントリードした。

ヴァンス副大統領は木曜日の演説で、トランプ政権の実績を挙げることで、共和党と民主党の対比を強調しようと試みた。

「私たちの政権の政策全てに同意して欲しいと言っているのではない。急進派との違いや、この18カ月間の成果を認識して欲しい」とヴァンスは述べた。

ヴァンスはまた、保守派活動家だった故チャーリー・カークとの友情について振り返り、中東地域を含む「戦争を嫌悪した(hated war)」というカーク遺志に触れながら、現政権に不満を抱く有権者に語りかけた。

「チャーリーがしたことを見習っていただきたい。赤ん坊を産湯と一緒に捨ててはいけない(Do not throw the baby out with the bathwater 訳者註:些細な不満で本質的な価値まで捨ててはいけない)。1つの政策で私たちと意見が合わないからといって、国を狂った連中に明け渡してはならない」とヴァンスは語った。

トランプ・ジュニアやテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)など、将来のホワイトハウス入りが取り沙汰される他の有力者たちも、2日目の登壇者に名を連ねた。

クルーズ氏は民主党を「アメリカの存続に関わる脅威(existential threat)」と位置づけ、さらに、トランプが支持するテキサス州のケン・パクストン州司法長官(共和党)を最新の世論調査でリードしつつある民主党のジェームズ・タラリコを批判した。

●テキサス州への注力GOING BIG ON TEXAS

予想以上に接戦となっている連邦上院選挙を背景に、党全国大会の開催期間中は両日とも「ローン・スター・ステート(Lone Star State 訳者註:テキサス州の愛称)」に対する関心の高さが際立った。

テキサス州のグレッグ・アボット知事、ダン・パトリック副知事、モニカ・デ・ラ・クルーズ連邦下院議員、ブランドン・ギル連邦下院議員に加え、共和党の連邦下院議員選挙候補3名や、民主党から共和党へ転身したダラス市長も登壇した。

パクストンは初日の夜、ステージに向かって天井から吊り下げられたアメリカ国旗とテキサス州旗の下で聴衆に向けて演説を行い、トランプの2度にわたる発言でも(賛否両面を含む形で)言及された。

トランプは木曜日、パクストンの「服装や話し方、見た目」は「好きではない」と改めて批判しつつも、パクストンを全米「最高」の州司法長官だと称賛した。

「彼が今後私と話をしてくれるかどうかは分からないが、彼が勝ってさえくれれば、そんなことはどうでもいい」とトランプは語った。「彼と話す必要などない。彼は私たちと同じように投票するはずだ・・・彼に投票しなければならない」。

党全国大会最終日の演説で、大統領は初日に述べた多くの主張を繰り返した。その中にはパクストンへの批判も含まれていた。しかし、トランプは党全国大会の多くの登壇者が強調していた重要な論点、すなわち「中間選挙は共和党の存亡をかけた戦いである(the midterms are an existential fight for the GOP)」という点を強く訴えた。

「彼らはこの国を破滅させるだろう。だから11月3日の投票日には、私の頼みを聞いて欲しい。必ず投票所へ足を運んで投票して欲しい。そして、私が投票用紙に載っているつもりで投票して欲しい。ある意味で、私はそこにいる」とトランプは述べた。

さらにトランプは、11月の本選挙で投票を行うことを聴衆に誓わせた。最後に彼は、投票しない者は「地獄に落ちる(go to hell)」と語った。

党全国大会後も、ヴァンスがスポットライトを浴びることは間違いない。

ヴァンスは、金曜日にはニューヨーク市を訪れ、歴代大統領たちと共にグラウンド・ゼロで911同時多発テロの25周年記念行事に出席する予定だ。また来週にはミズーリ州カンザスシティに向かい、不正行為対策に向けたトランプ政権の取り組みについて演説を行うことになっている。

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バンス米副大統領、民主党打倒を訴え 共和党大会、閉幕

時事通信 国際報道部2026年09月11日12時26分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2026091100392&g=int

 【ダラス(米テキサス州)時事】11月の米中間選挙に向け、米南部テキサス州ダラスで開かれた与党共和党の党大会は10日、2日間の日程を終えて閉幕した。この日はバンス副大統領が演説し、「11月にこの国は過激派のものではないというメッセージを送る必要がある」と述べ、野党民主党打倒を呼び掛けた。トランプ大統領も9日に続き登壇し、大会を締めくくった。

 バンス氏は「われわれには国民として生まれながらに持つ権利がある。11月に共和党候補者を当選させることで、この権利を守るために戦う」と強調した。トランプ氏も「私が候補者として出馬しているつもりでいてほしい」と聴衆に語り、投票所に足を運ぶよう訴えた。

 共和党はトランプ氏の求めを受け、4年ごとの大統領選挙の年に開く党大会を中間選挙に合わせて行う異例の対応を取った。トランプ氏を前面に押し出し、同氏の岩盤支持層「MAGA(マガ)」に投票を促すと同時に、民主党を「共産主義者」と断じて脅威をあおり、結束を固める戦略だ。

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J・D・ヴァンスが2028年を見据えトランプの「MAGA」運動継承に向けたオーディションを実施(JD Vance auditions to inherit Trump’s MAGA movement with 2028 on horizon)

-J・D・ヴァンスは木曜日にダラスで開催された共和党全国大会で演説を行い注目が集まった。この演説は、2028年の大統領選に向けたヴァンスの可能性を占う初期のテストと見なされている。

ネイサン・レイン、ナンディタ・ボウズ、スティーヴ・ホランド筆

2026年9月11日

『インディペンデント』紙(イギリス)

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/vance-trump-charlie-kirk-rally-b3048453.html?utm_source=taboola&utm_medium=personalized-push

J・Dヴァンス副大統領は木曜日、ダラスで開かれた共和党の集会で、トランプを熱烈に支持する聴衆を前に、ナショナリスティックな誇りを強調する演説を行い、2028年の大統領選挙に向けた自身の可能性を予感させるような姿を見せた。

11月の中間選挙を控え、支持率の低下や先行きへの不透明感に直面する中、共和党内ではドナルド・トランプ大統領の政治運動を誰が引き継ぐのかについて、検討する動きが強まっている。

ヴァンスに続いて登壇したトランプは、副大統領の演説内容についてその場では特に評価をせず、代わりに支持者たちに対し、11月3日の選挙で共和党に投票するよう呼びかけまた。

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ダラスでのJ・D・ヴァンスとドナルド・トランプ

その後、大統領専用機「エアフォース・ワン」の機内で、トランプは記者団に対し、ヴァンスの演説は「大変良かった(very well)」と述べ、ヴァンスを「非常に才能がある人物(very talented guy)」「偉大な副大統領(a great vice president)」と評した。

トランプは後継者候補をまだ指名していないが、ヴァンスやマルコ・ルビオ国務長官は、2028年の大統領選挙における有力候補として取り沙汰されている。

ヴァンスは聴衆に対し、安全と繁栄はアメリカ人が生まれながらにして持つ権利(「アメリカ人の生得権(American birthright)」)であると説き、民主党がその実現を阻んでいると主張した。

「政策上の些細な点で私たちと意見が合わないからといって、この国を狂った連中に明け渡してはならない」とヴァンスは語った。

●MAGA支持者たちが「48」と連呼しJ・D・ヴァンスが2028年を見据える場面があった(JD Vance gets a taste of 2028 as MAGA faithful chant ‘48’)

ヴァンスの演説(約40分)は、あらかじめ用意された原稿に沿った内容が大半を占め、トランプの即興的で自由奔放なスタイルとは対照的に、大統領候補指名大会での演説のように感じられた。

抗議者がメキシコの国旗を掲げた際に、原稿から離れて即興で発言する場面もあった。

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共和党の中間選挙向け全国大会で演説を妨害した抗議者に対してJ・D・ヴァンス副大統領がメキシコ行きの航空券を買ってやると発言した

「それなら、友よ、あなたがメキシコをそんなに愛しているなら、さっさとあっちへ行くんだな」とヴァンスが言い放つと、会場からは「USA、USA、USA」というシュプレヒコールが湧き起こり、ヴァンスはその抗議者に飛行機のチケットを買ってやると申し出た。

一部の支持者は「48、48」と叫んだ。これは、ヴァンスが2028年に第48代大統領になる可能性を示唆するものだが、ヴァンスは、その前に共和党が11月の中間選挙で勝利する必要があると強調した。

テキサス州プレイノ在住のバーバラ・ジョンソンさん(58歳)は、「JD」という掛け声に加わり、ヴァンスが党の次の旗手となるにふさわしい「実に説得力のある主張(pretty dang good argument)」を展開したと語った。

「彼には天性の才能(a gift)があり、この国のリーダーになり得る人物であることを、ますます証明しつつあると思う」とジョンソンはロイター通信に語った。

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ダラスでメキシコ国旗を投げつける抗議者

ヴァンスの演説に先立ち、共和党は民主党を危険な過激派(dangerous extremists)として繰り返し描いた。テキサス州選出のテッド・クルーズ連邦上院議員は、根拠を示すことなく、民主党が共産主義者とイスラム主義者による「新しく危険な『赤と緑の同盟』(new and dangerous red-green alliance)」を形成していると非難した。

●共和党は党全国大会の焦点を「文化戦争」に合わせようと試みた(The GOP tried to focus the convention on culture wars)

2日間にわたる党大会を通じ、共和党は移民、犯罪、文化的な問題に重点を置くことで有権者の士気を高めようと試み、その中でイスラム教徒の政治家たちを頻繁に標的とした。

ヴァンスはジョー・バイデン政権の実績を批判し、次のように述べた。「国がより汚く、貧しく、危険で、繁栄から遠ざかっていることに気づいただけで、人種差別主義者呼ばわりされることには、もううんざりしていた」。

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演説でジョー・バイデン政権を批判するヴァンス

有権者たちが主要な懸念事項として挙げる諸問題、たとえばインフレ、生活費高騰、そして燃料価格を押し上げ、トランプが当初予想していた4~5週間をはるかに超えて長期化しているイランとの戦争などについては、それほど多くの関心が向けられなかった。

●大きな注目を集めたものの、党大会はトランプ氏がいまだ絶対的な指導者であることを改めて印象づけたDespite the hype, the convention reminded everyone that Trump is still the boss

ヴァンスはこれまで共和党内の反介入主義派(anti-interventionist wing)と足並みを揃えており、以前はイランとの紛争に反対していた。

保守派の活動家チャーリー・カークの死去から1年となるこの日、ヴァンスは「チャーリーは戦争を嫌悪していた(Charlie hated war)」と語ったものの、6カ月前にアメリカがイランとの戦争に踏み切った決定について直接言及したり、その決定と距離を置いたりすることはなかった。

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ヴァンスは演説の中で殺害された右派活動家チャーリー・カークに触れて「チャーリーは戦争を嫌悪していた(Charlie hated war)」と述べた

この日はヴァンスが主役となる日とされていたにもかかわらず、2万人収容の会場全体で視覚的に圧倒的な存在感を放っていたのはトランプだった。会場にはトランプの巨大な写真が掲げられ、その中にはペンシルヴァニア州バトラーでの暗殺未遂事件直後に拳を突き上げた姿を捉えた写真も含まれていた。

続いてトランプが登壇した。前夜に2時間の演説を行った後だったため短く済ませると約束していたものの、実際には25分間にわたって演説を行い、その内容は政敵やメディアに対するお決まりの不満をぶちまけるものとなった。

演説の途中、トランプは聴衆に対し、自身を「アメリカ史上最高の大統領(the greatest president in the history of the United States)」と表現するフレーズを復唱させた。

最後にトランプは、11月の選挙で投票しなければ「地獄に落ちる(go to hell)」と支持者たちに告げ、投票を促す率直なメッセージで演説を締めくくった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年11月3日に投開票が実施されるアメリカの中間選挙まで2カ月を切った。多くのメディアで報じられているように、連邦下院では民主党が過半数を奪還、連邦上院では接戦という状況になっている。ドナルド・トランプ大統領の支持率は40%を切るところまで落ちている。不支持率は50%台後半となっている。イラン戦争の支持率は30%台前半、不支持率は60%を超えている。共和党としては何とか敗北を最小限度にとどめたいところだ。現状では連邦下院は民主党に過半数を奪われるという見通しだが、「クック・ポリティカル・レポート(the Cook Political Report)」の情勢分析では、全435議席(過半数は218議席)で、共和党は209議席、民主党は205議席を固めており、21議席が接戦となっている。接戦の議席で民主党が13以上を獲得して民主党が過半数ということになる。私は民主党が過半数を握るが議席数の差は小さいものとなるのではないかと考えている。
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 こうした状況で、共和党は中間選挙前にテコ入れのための全国大会(national convention)をテキサス州ダラスで開催している。共和党優勢州のテキサス州の連邦上院議員選挙で、民主党の候補である州下院議員のジェイムズ・タラリコが共和党の候補である州司法長官のケン・パクストンをリードしているという状況が象徴しているように、共和党優勢の週で苦戦が続く中で、何とか共和党優勢州を固めようという意図が透けて見える。

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 これまで、民主、共和両党は4年に1度、大統領選挙の年に全国大会を開催してきた。全国大会は大統領選挙の候補者を正式に決め、大々的に発表して盛り上げる機会として機能してきた。もちろん、中間選挙前に行ってはいけないということはないが、前例のないことだ。トランプ大統領は二期目であり、中間選挙が終われば、もう大きな選挙はない。どの大統領でもそうだが、二期目の中間選挙が終わると、注目は次の大統領選挙に集まり、人々の関心は薄れ、離れていく。この状態をレイムダック(lame duck)と呼ぶが、日本語では「死に体」と物騒な言葉を使う場合もある。そして、中間選挙は多くの場合、現職大統領の所属する党に厳しい結果となる。ここで、時間とお金を使って全国大会を開催してまで盛り上げる必要はない。今回の共和党全国大会の資金はピーター・ティールやイーロン・マスクから出ており、J・D・ヴァンスの後継指名も含まれているのではないかと私は勝手に推測している。

 そうした中で、トランプ大統領は1時間45分の演説を行い、健康と活力をアピールした。80歳の人物が1時間45分も演説ができるだろうか。これは余計なことだが、トランプは肥満体であるが、相当な筋肉量があるのだろうと推測する。そして、演説の仲で最も人々の関心を引いたのは、「共和党が連邦上下両院で過半数を維持すれば」という条件で、「トランプ配当(Trump dividend)」を全成人に1人当たり5000ドル配布すると述べたところだ。

これは日本円に換算すると約76万5000円となる。夫婦ならば約153万円が支給されることになる。アメリカの成人の数は約2億7000万人である。この計画を実施するためには約1兆3500億ドルの資金が必要となる。日本円に換算すると約206兆5500億円となる。日本の国家予算約122兆円をはるかに超える金額である。

アメリカの国家予算は約7兆ドル、日本円で約1000兆円となる。アメリカのGDPは、約31兆ドル、日本円で約4700兆円となる。日本のGDPは約4兆ドル、約600兆円である。200兆円というお金はアメリカの国家予算の約5分の1(20%)、GDPから見れば約4.2%を占める規模である。日本のGDP(約600兆円)と国家予算(約122兆円)に引き付けて考えてみると、25兆円から30兆円くらいということになるだろう。日本では消費税の時限的引き下げの財源約5兆円のことで大騒ぎである。もっとも、それだけのお金を配ろうというのは史上最大規模の選挙買収ということになる。

 共和党は小さな政府を志向し、民主党の福祉政策に対して、「ばらまき」と批判してきた。しかし、共和党所属の大統領が史上最大の国家予算を連邦議会に求め、大盤振る舞いを行等としている。現在、左派で勢力を伸ばしている民主社会主義勢力は教育や公共交通の無償化や安い公営住宅の建設拡大などを訴えているが、トランプもまたそれに負けじと大盤振る舞いを打ち出した。このブログでも何度も紹介しているが、急進的な右派と急進的な左派は主張が似てくるという馬蹄理論(horseshoe theory)がそのまま当てはまる状況である。

 共和党が連邦議会で過半数を握っても、共和党には財政規律に厳しい議員たちも多く、1人に5000ドルを配るというトランプのアイディアが実現する可能性は低い。民主党側では民主社会主義勢力や進歩主義派から賛成が出そうであるが、エスタブリッシュメント系はシングルマザーや高齢者などターゲットを絞って手厚く支援をするべきということで反対に回るだろう。そうなれば、トランプは連邦議会で反対する議員たちを攻撃することになるだろう。ポピュリズムの真骨頂であるエスタブリッシュメント攻撃、エリート攻撃ということになるだろう。

 ここまで長々と書いたが、トランプ配当5000ドルはただ単に破れかぶれ、もう負けては見えているのでド派手なことをぶち上げただけということも考えられる。その方がトランプらしいとも言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が共和党が連邦議会で過半数を維持すれば5000ドルの「トランプ配当」を支給すると公約する(Trump pledges $5K ‘Trump dividend’ if Republicans hold onto Congress)

マロニー・ウィルソン筆

2026年9月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/6080741-trump-dividend-november-pledge/

ドナルド・トランプ大統領は水曜日、11月の選挙で共和党が連邦議会の過半数を維持することを条件にして、アメリカの成人に対して5000ドルを支給すると公約した。

テキサス州ダラスで開かれた共和党の中間選挙前の全国大会で次のように述べた。「ここに私は約束する。もし共和党が連邦下院と連邦上院の両方で勝利すれば、経済面での私たちの圧倒的な強さと成功のおかげで、アメリカの全ての成人市民に対し、5000ドルの配当金(a dividend)を支給するつもりだ」。

この給付の合法性(legality)は不明確だ。アメリカの成人人口は約2億7000万人だ。

トランプは水曜日の集会参加者たちに対し、提案した「トランプ配当金」を支給できる理由として、「私たちが素晴らしい成果を上げ、国家が莫大な利益を上げているからだ」と語った。

トランプは、この給付金はアメリカ国内でのみ使用可能であると付け加えたが、具体的な仕組みについては明らかにしなかった。

「そのお金を使うためにカナダへ行って欲しくない」とトランプは述べた。「中国やドイツへ行って欲しくもない」。

トランプは、ダラスの会場で行った長時間の演説の冒頭で、この発表について「演説の最良の部分(the best part of the speech)」になるだろうと思うと予告していた。

トランプ大統領がこうした構想を打ち出したのは今回が初めてではない。昨年も、関税収入を原資とする2000ドルの「配当小切手(dividend checks)」を国民に配布すると約束したがその詳細は曖昧なままだった。

こうした措置の実施に連邦議会の承認が必要かどうかは明らかになっていない。トランプは、関税を原資とする小切手の配布に連邦議会の承認は必要ないと「確信している(believe)」と述べたが、国家経済会議(National Economic Council、NEC)のケヴィン・ハセット委員長は後に連邦議会の関与が必要になるだろうとの見解を示唆した。
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トランプ氏、米成人に5000ドル支給へ-中間選挙で共和党勝利なら

9/10(木) 11:24配信 ブルームバーグ日本語版

https://news.yahoo.co.jp/articles/ef71980c385f29ae921c1b8e0d177e97e09270e8

https://news.yahoo.co.jp/articles/ef71980c385f29ae921c1b8e0d177e97e09270e8?page=2

(ブルームバーグ): トランプ米大統領は、共和党が議会の上下両院で過半数を維持した場合、米国の成人市民全員に5000ドル(約76万7000円)の配当を支給すると約束した。11月の中間選挙で有権者に共和党への支持を促す異例の策だ。

共和党が議会の過半数を失う瀬戸際に立つ中、この提案は事実上、金銭的な恩恵を示して米国の有権者に支持を促すものだ。トランプ氏はダラスで開かれた中間選挙に向けた共和党の集会で、ゴールデンタイムに行った演説を通じてこの案を打ち出した。

トランプ氏は9日、支持者に対し「われわれの経済が驚異的な強さと成功を収めていることから、米国の成人市民全員に5000ドルの配当を支給する」と表明。「これはトランプ配当と呼ばれることになる」とし、「あとは勝つだけだ」と語った。

さらに、この提案は共和党が議会の上下両院で過半数を維持することが条件だとしたが、財源については明らかにしなかった。実施には議会の承認が必要となる。米国ではすでに40兆ドルに上る公的債務が借り入れコストを押し上げている。

トランプ氏はまた、支給金について「米国内で使わなければならない」との条件を設ける考えを示したが、この要件をどう徹底するかについても説明しなかった。

トランプ氏の説明通りに実施すれば、この措置にかかる費用は1兆ドルを大幅に上回る。

トランプ氏は以前にも、消費者に関税収入を原資とする配当を支給する案を打ち出していたが、議会では支持が広がっていない。有権者への直接給付を盛り込んだ法案も同様に、成立までには高いハードルがある。

それでも「トランプ配当」の提案は、投票日を前にトランプ氏が直面する政治的な危機と、それを何としても回避したい同氏の切迫感を浮き彫りにした。

世論調査でトランプ氏の支持率が過去最低水準に落ち込み、政治的立場を問わず米国民がイラン戦争や経済への対応に懸念を抱く中、民主党が議会の一方または両院を掌握する事態を避けるには、支持を一気に盛り上げる必要がある。
民主党が議会の一方または両院で過半数を握れば、トランプ氏の政策遂行が阻まれ、トランプ氏本人や政権が議会による新たな調査にさらされることになる。

原題:Trump Floats $5,000 Payment to US Adults If GOP Wins Midterms、Trump Promises $5,000 Payment to US Adults if GOP Wins Midterms(抜粋)

(c)2026 Bloomberg L.P.

(貼り付け終わり)

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ダン・ドリスコル陸軍長官が辞任の見通しとなった。それに合わせて、デイヴ・フィッツジェラルド陸軍次官代理も辞任の見通しだ。ドリスコル長官については、上司に当たるピート・ヘグセス国防長官との間での軋轢が取り沙汰されてきた。しかし、ついにドリスコル長官が陸軍を去ることになった。

 ドリスコル長官については拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)で詳しく取り上げている。ドリスコルは、ノースカロライナ大学卒業後に陸軍に入隊し、4年間勤務し(イラクにも派遣されている)、陸軍少尉で除隊している。その後はイェール大学法科大学院に進み、ここでJ・D・ヴァンス副大統領と知り合い友人となった。地元でヴェンチャーキャピタリストをしていたが、ヴァンスが連邦上院議員に当選すると補佐官となった。ヴァンスとは、軍隊経験(海外派遣あり)、地方の州立大学出身からイェール大学法科大学院、ヴェンチャーキャピタリストという共通点を持ち、まさに盟友と言える存在である。
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ピート・ヘグセス(左)とダン・ドリスコル(中央)

 ドリスコルは有能であったがために、ヘグセス長官に疎まれた。ドリスコルはトランプ大統領からの信任も厚く、ウクライナ戦争に関して、ロシアとウクライナの交渉仲介を任されるということもあった。陸軍の近代化、特にドローン導入では成果を挙げている。これは当然だ。なぜならば、ヴァンス副大統領との盟友ということになれば、ペイパル・マフィアの総帥にしてパランティア社創業者ピーター・ティール、スペースX社のイーロン・マスク、アンドゥリル社のパルマー・ラッキーとの関係も深いということになり、ドローンに関して、スムーズに仕事を進めることができるからだ。また、ドリスコルは人事承認のための議会での公聴会で「これまでの軍産複合体(Military-Industrial Complex)を打破するのが詩文の使命だ」と述べたこともある。連邦議員たちの間でも評価が高かった。それほど有能な部下というのは上司、特に評価の低い上司にとっては脅威に感じられる。

ヘグセス長官は、「ドリスコルが自分に取って代わる存在だ」と考えるようになり、ドリスコルに近いとされる将校や将官たちの昇進を妨げたり、解任したりということが起きた。ドリスコルが陸軍出身であることから彼を評価し、また、ドリスコルに評価される将校や将官が多かったのは当然のことだ。これで陸軍の人事がおかしくなった。結局、ドリスコルが身を引くことになったが、ヘグセス長官の評価は一段と低くなった。これは見方を変えると、トランプがイラン戦争の責任を全部おっかぶせて解任をしやすくなったということもあるが、そうなればトランプ政権にとっては大きな痛手ということになる。

 ドリスコルはヴァンス副大統領が大統領になる場合には、政権の重要なポジションを任されることは確実だ。連邦議会での評価も高いとなれば、人事承認が必要な役職での起用も考えられる。今回の辞任はドリスコルにとって痛手にはならず、かえって評価を高めることになるだろう。

(貼り付けはじめ)

米陸軍長官が辞任、国防長官と数カ月にわたり緊張関係

BBC NEWS JAPAN

2026年9月1日

https://www.bbc.com/japanese/articles/c1l6vy7y85no

アメリカのダン・ドリスコル陸軍長官が、在任1年半で辞表を提出した。BBCが提携する米CBSが8月31日、確認した。

CBSによると、ドリスコル氏は、ピート・ヘグセス国防長官との数カ月にわたる確執の末に辞表を提出したという。

現在41歳のドリスコル氏は、米史上最年少の陸軍長官だった。ドナルド・トランプ大統領の「ドローン屋」と言われることもたびたびあった。

ホワイトハウスはCBSの取材に声明で回答。ドリスコル氏について、「アメリカを再び強くする」というトランプ氏の政策推進において「非常に効果的」な存在だったとした。また、軍事作戦では「卓越したリーダーシップ」を発揮したとした。

BBCはホワイトハウス、国防総省、陸軍に取材を申し込んでいる。

軍では最近、主要幹部の辞任が相次いでいる。ドリスコル氏はその最新の事例となった。

4月には、ジョン・フェラン海軍長官が突然辞任。ランディ・ジョージ陸軍参謀総長、デイヴィッド・ホドネ陸軍大将、ウィリアム・グリーン陸軍少将らも軍を去っている。

ヘグセス氏は国防長官に就任以来、軍高官を10人以上解任している。それには、海軍作戦部長や空軍副参謀総長も含まれる。

ドリスコル氏とヘグセス氏の水面下での摩擦は、詳しいことは明らかになっていない。CBSによると、ヘグセスが辞任を求めたとされるジョージ氏は、ドリスコル氏の親しい友人だという。

●副大統領と友人関係

陸軍長官は、陸軍の文民指導者のトップ。現役兵に加え、州兵および予備役兵も指揮する。

トランプ氏による国内各都市への州兵派遣では、ドリスコル氏が重要な役割を果たした。

ドリスコル氏はかつて陸軍に所属していた。2007年には将校を務め、2009年には機甲小隊を率いて数カ月間、イラクに派遣された。

陸軍長官になると、戦場で活用可能な新たなテクノロジーを積極的に取り入れ、トランプ氏の「ドローン屋」として知られるようになった。

昨年は、ロシアとウクライナの戦争の終結を目指す協議で、主導的な役割を担った。複数の外国を訪れ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。

ドリスコル氏は、J・D・ヴァンス副大統領とも親しい。両者はイェール大学ロースクールで出会った。

ドリスコル氏は陸軍長官在任中、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局の局長代理も務めていた。

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ピート・ヘグセス国防長官がダン・ドリスコル陸軍長官の辞任を通じて陸軍に自身の意向を強いる(Hegseth imposes his will on Army with Driscoll resignation)

フィリプ・ティモティジャ、サラ・デイヴィス筆

2026年9月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/6064658-hegseth-consolidates-pentagon-power/

ダン・ドリスコル陸軍長官の辞任は、ピート・ヘグセス国防長官が就任から20カ月近くを経て、国防総省に対して自身の意向をますます強く反映させるようになっている現状を浮き彫りにしている。

ドリスコル長官の予想より早い退任は、ヘグセス長官との数カ月にわたる緊張関係の末のことだった。ヘグセス長官は、国防総省の官僚的な組織構造を刷新する取り組みの一環として、数十人の軍高官を更迭したり、その昇進を停滞させたりしてきた。

元陸軍州兵将校であるヘグセス長官は、国防総省に着任して以来、特に陸軍に関心を寄せてきた。現在、陸軍には文民・制服組の双方において、連邦上院の承認を受けたトップが不在の状態にある。

陸軍予備役大佐として退役したケビン・キャロルは、「彼は間違いなく権力を集中させており、ラニーヴ大将のような、自分に対して忠実な人物を陸軍参謀総長代行などのポストに起用している」と指摘している。キャロルは、ヘグセス長官が陸軍参謀総長代行に指名したクリストファー・ラニーヴ大将について言及している。

ヘグセス長官は4月、ランディ・ジョージ陸軍参謀総長を解任したが、この動きは連邦議会の一部の共和党議員を動揺させた。

退役海軍少将のマーク・モンゴメリーによると、これにより陸軍は「異例の状況(unusual condition)」に置かれることになる。モンゴメリーは、ドリスコル長官の辞任について「残念ではあるが予想通りだ」と述べた。その背景には、4月初旬のジョージ陸軍参謀総長解任をめぐるヘグセス長官との対立や、最近のクリス・ドナヒュー将軍(在ヨーロッパ・在アフリカ米陸軍司令官)の退役といった経緯がある。

在任期間が2年に満たなかったジェイムズ・ミンガス陸軍参謀次長も、10月に理由が明かされないまま退役しました。その後任として、トランプ大統領とヘグセス長官は、ヘグセス長官の元軍事顧問であるラニーヴを選出した。

国防総省はラニーヴ大将を陸軍参謀総長として承認させるように動いているが、ラニーヴについては与野党双方の上院議員から反対論が出ている。

現在、「民主政治体制防衛財団(the Foundation for Defense of Democracies、FDD)」の上級研究員を務めるモンゴメリーは、ヘグセス長官が前例のない人事異動を強行しており、それによって陸軍の力が弱まっていると指摘した。

モンゴメリーは火曜日、本誌のニューズサイトに対し、「ヘグセス長官は、陸軍の即応態勢を弱体化させていると考える」と語った。その理由として、重大な戦力不足を挙げ、この不足はイランとの大規模な戦闘作戦を遂行する統合軍の能力に影響を及ぼしているほか、ロシア、中国、あるいは北朝鮮と戦うことになった場合にも同様の困難をもたらすだろうと述べた。

本誌が先週最初に報じたところによると、ヘグセス長官はドリスコル長官の後任として、自身の上級アドヴァイザーであり国防総省の首席報道官を務めるショーン・パーネルを検討している。この件に詳しい情報筋が火曜日に本誌に語ったところによれば、パーネルはここ数日、この指名の可能性についてホワイトハウスと連絡を取り合っているという。

国防長官室や統合参謀本部での勤務経験を持つキャロルは、パーネルが連邦上院の承認を得るには苦労する可能性があると指摘した。キャロルは、パーネルが2021年、3人の子供の親権をめぐる法廷闘争に敗れた後、ペンシルヴァニア州での連邦上院議員選挙への出馬を取り止めた経緯に言及した。

元陸軍将校でヴェンチャーキャピタリストでもあるドリスコルは、陸軍に対し、装備の近代化、隊員の生活環境の改善、そしてウクライナ軍からドローン戦の知見を学ぶことなどを推進してきた。

こうした取り組みの一部は、超党派の評価を得ていた。4月には、ある民主党の連邦議会スタッフが本誌の取材に対し、陸海空三軍の各長官の中でドリスコルが最も優れた仕事をしていると語っていた。

火曜日には、民主党と共和党の双方から、ドリスコルの退任に対する不満の声が上がった。

連邦上院軍事委員会のメンバーであるマイク・ラウンズ連邦上院議員(サウスダコタ州選出、共和党)は記者団に対してドリスコル長官の退任を知って「失望した」と述べた。

ラウンズ議員は「私も他の人たちと同じ噂を耳にしている。つまり、ドリスコルは、自身の部下になるトップクラスの将軍たちが解任されたことに不満を抱いていたという話だ」と語り、「そうした話を聞くのはこれが初めてではない」と付け加えた。

連邦下院軍事委員会のメンバーであり、過去にヘグセス長官を批判したこともあるドン・ベーコン連邦下院議員(ネブラスカ州選出、共和党)は、憲法上ヘグセス長官には3つ星や4つ星の将軍を解任したり昇進を阻止したりする権利があるものの、だからといってそれが「道徳的に正しいわけでも、賢明なことでもない」と述べた。

元空軍准将であるベーコン議員は火曜日、CNNに出演した際、「多くのアメリカ人は、より高い品位、そして何よりも敬意を求めていると思う」と語った。「敬意とは、誰かを解任する際にはその理由を説明すべきだということだ。しかし、ここではそうしたことが行われていない」。

連邦下院外交委員会の筆頭委員であるグレゴリー・ミークス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、「国防総省」および「全軍」の状況を懸念していると述べた。

「彼らが行っているのは、キャリアを通じて合衆国を支持し守るという厳粛な宣誓を立ててきた人々を・・・追い出すことのようだ。それも、かつてはフォックスニューズのコメンテーターであり、現在はその地位に据えられた人物によってだ。その人物は、追い出そうとしている将軍が持つ知識や能力には遠く及びもしない。比較にもならない」とミークス議員は火曜日に記者団に語った。

ミークス議員はさらに、辞任すべきなのはヘグセス長官の方だと付け加えた。

ドリスコル長官の議会対応に詳しい関係者たちは、ドリスコルが超党派の支持を集めていたことが、ヘグセス長官との主導権争いにおいては必ずしもプラスには働かなかったと指摘した。

ドリスコル長官の辞任について、匿名を条件に語ったトランプ政権の元高官は、火曜日に本誌に対して次のように述べた。「人事承認手続きの際には強みとなっていた要素の1つが、長期的には彼にとってマイナスに働いた可能性がある。それは、既存の人間関係に基づいた超党派の支持を得ていたという点だ」。

連邦下院軍事委員会のメンバーであるリッチ・マコーミック連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は、ドリスコルの退任をめぐる懸念を一蹴した。

「『今、この時』において、また外国の敵対勢力に対して戦闘を遂行する能力という点では、戦術レベルの指揮官たちの方がはるかに重要だ。従って、私たちの体制は万全だと言える」とマコーミックは本誌に語った。「陸軍はしっかりと準備を整えてきた」。

マコーミック議員はまた、ヘグセス長官が陸軍将校4名の准将(1つ星将官)への昇進を阻止した決定についても言及した。

マコーミック議員は、「私の理解では、彼らが政治的であることへの懸念があったようだ。私たちは、大統領の信任があってこそ職務に就いている」と述べた。

ヘグセス長官は最近、陸軍将校4名の昇進を阻止したが、その中にはジョージ大将やドナヒュー大将とつながりのある人物も含まれていたと本誌は以前報じている。

「次期准将昇進者リストに対するヘグセス長官の介入は全く不適切であり、違法である可能性さえある。ドリスコル長官としては、そうしたことには一切関わりたくなかったのだろう」とモンゴメリーは火曜日に語った。

他の共和党議員たちも、ドリスコル長官のリーダーシップに感謝の意を表した。

スティーヴ・ウォマック連邦下院議員(アーカンソー州選出、共和党)は月曜日遅く、ドリスコル長官を「陸軍に常識と規律をもたらした、変革をもたらすリーダー(a transformative leader who brought common sense and discipline)」と称賛した。

連邦下院軍事委員会のメンバーであるパット・ハリガン連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)は、ドリスコル長官が職務に持ち込んだ「切迫感(urgency)」を評価し、陸軍の近代化に向けたドリスコル長官の取り組みに言及した。

ハリガン議員は「『修理する権利(Right to Repair)』から調達プロセスの近代化、そして兵士への信頼と能力の付与に至るまで、ダンは既得権益化したシステムに立ち向かい、あまりにも長い間疑問視されてこなかった前提に挑戦しようとした」と述べた。ハリガン議員は月曜日遅くこのように記し、ドリスコル議員を「友人」と呼んだ。

ヘレン・ハスキーズとアレクサンダー・ボルトンがこの記事の作成に貢献した。
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ダン・ドリスコル陸軍長官がピート・ヘグセス国防長官との数カ月にわたる縄張り争いの後で辞任する(Army Secretary Driscoll resigns after months-long turf war with Hegseth)

フィリプ・ティモティジャ筆

『ザ・ヒル』誌

2026年8月31日

https://thehill.com/policy/defense/6062211-army-secretary-driscoll-to-depart-pentagon/

内部の事情に詳しい2人の関係者が本誌の取材で明らかにしたところによると、ダン・ドリスコル陸軍長官は数日中に国防総省での職を離れる見通しとなった。ドリスコル長官は、ピート・ヘグセス国防長官との間で数カ月にわたって続いた主導権争いに巻き込まれたが、ついにトランプ政権を去ることになる。

1人の関係者が月曜日に本誌に語ったところによると、ドリスコルはトランプ大統領と陸軍の「現状(current state)」について話し合い、その後で辞表を提出した。

ホワイトハウスのアンナ・ケリー報道官は月曜日、本誌へのの声明で次のように述べている。「ドリスコル長官は、歴史的な軍事作戦において卓越したリーダーシップを発揮し、即応態勢と戦闘能力の重視を回復させ、ロシアとウクライナ間の交渉を支援するなど、陸軍省においてトランプ大統領の『アメリカを再び強くする(Make America Strong Again)』という政策課題を推進する上で、極めて大きな成果を上げた」。

ケリー報道官はさらに、「最高司令官(大統領)や国防長官と連携したドリスコル長官の尽力のおかげで、アメリカ陸軍はかつてないほど強力なものとなっています」と付け加えた。

ドリスコルが国防総省を去れば、陸軍は連邦上院の承認を受けたトップを欠くことになる。ヘグセスに近いクリストファー・ラニーヴ将軍は、4月にヘグセス国防長官がランディ・ジョージ陸軍参謀総長を解任して以来、陸軍参謀総長代行を務めている。

ドリスコルの広報担当者はコメントを拒否した。

事情に詳しいある関係者によると、デイヴ・フィッツジェラルド陸軍次官代理も今週中に職を辞任する見込みだ。

J・D・ヴァンス副大統領の強力な盟友であり、ジョージ前陸軍参謀総長と緊密な協力関係を築いていたドリスコルは、レイバー・デー(9月の労働者感謝の祝日)の「頃」に退任することに前向きだったが、ホワイトハウスは少なくとも11月の中間選挙までは留任することを望んでいたと本誌は以前報じていた。

ドリスコル長官は陸軍に対し、装備の更新や、ウクライナ軍から学んだ民間技術の活用による戦闘能力の近代化、そして隊員の生活環境の改善を強く進めてきた。

本誌の以前の報道によると、ヘグセス長官とドリスコル長官の間では数カ月にわたり主導権争いが続いており、昨年、トランプ大統領がロシア・ウクライナ戦争の終結を目指してウクライナ当局との交渉役にドリスコル長官を指名した際、両者の緊張はさらに高まった。

ヘグセス長官は国防総省のトップに就任して以来、ドリスコル長官の側近を含め、20人以上の軍高官を解任している。

ヘグセス長官は4月初旬にジョージ陸軍参謀総長を更迭したが、この動きは、2月にドリスコル長官の顧問であるデイヴィッド・バトラー大佐の解任を命じたことと併せ、連邦議会の一部の共和党議員に動揺を与えた。なお、陸軍参謀次長のジェームズ・ミンガス大将は2025年10月に退任した。

本誌が先週最初に報じたところによると、ヘグセス長官はドリスコル長官の後任として、自身の上級アドヴァイザーであり国防総省の首席報道官も務めるショーン・パーネルを検討している。

ドリスコルの辞任については、『ウォールストリート・ジャーナル』紙が先んじて報じた。

陸軍参謀総長代行を務めるラニーヴ大将が連邦上院軍事委員会を通過するには共和党連邦上院議員全員の支持が必要となるが、与野党双方の上院議員から反対論が出ている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2026年11月の中間選挙が近づき、話題になることが多くなっている。ドナルド・トランプ大統領の支持率も「中間選挙が近づく中で下落」というような表現をされることが多い。中間選挙(midterm election)は、政権に対する「中間試験(midterm exam)」の意味合いが強く、これまで、政権を握っている党に不利な結果が出ることが多かった。現在のトランプ大統領の支持率は約39%、不支持率は約59%となっている。支持率が40%を切るのは厳しいが、「何があってもトランプを支持する人たち」がそれくらいはいるということになる。中間選挙では連邦下院の全議席(435議席)と連邦上院(10っ議席)の約3分の1の議席の選挙が実施される。また、一部州の知事選挙も実施される。それ以外にも地方の選挙も実施される。注目はやはり連邦議会の選挙だ。大統領の支持率が低いと結果に反映されるということがあり、今回で言えば共和党が不利な状況となっている。
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 現状では連邦上院では共和党が53議席、民主党系が47議席、連邦下院では共和党が217議席、共和党系無所属が1議席、民主党が212議席、欠員が5議席となっている。現在までの各種世論調査を見てみると、民主党に追い風が吹いているようであるが、上下両院で民主党が過半数を奪取できるかどうかは微妙な情勢だ。連邦下院では民主党が217議席、共和党が218議席となり、僅差で共和党、連邦上院では50対50となり、同数の場合には、連邦上院の議長役となる副大統領が1票を投じることになるので、上院もかなりの僅差で共和党が過半数ということになる。しかし、これだけの僅差となると、議会運営は難しくなる、日本の様に党議拘束ということはないので、全員が一致しての投票行動ということはあまりないからだ。

 民主社会主義勢力は「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of America、DSA)」という組織を結成している。これは民主党とは別組織であるが、この組織の会員が民主党員として各種の予備選挙に出て勝利し、民主党の候補者になっている。2016年大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員の躍進以来、民主社会主義の躍進は続いている。しかし、民主党の候補者になることまではできるが、本選挙で勝てるかどうかという問題はある。社会主義という言葉、民主社会主義が掲げる政策に対しての支持は無党派層に広く浸透してはいない。「過激、急進的」ということで忌避されることもある。また、民主党内部にも穏健、中道、エスタブリッシュメントがある以上、民主党内部にも拒否反応がある。DSAは独自の政治勢力、最終的には政党として民主党とは別で行動すべきと考える人たちもいる、一方で、これまでうまくいっているのでそのまま続けるべきという意見もある。

 現状では、民主社会主義勢力は都市部を中心に大学教育を受けた若者たちを中心に支持を拡大している。今回の中間選挙で民主党内部での影響力を大きく拡大することは確実となっている。これもまたアメリカの国力の衰退や帝国としての終わりが近づくという、大きな構造変化によって出てきた現象であると言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

民主社会主義の勢いが高まる中、アメリカ民主社会主義者(DSA)は自らに問いかけている。「次はどうするのか?」(Amid a democratic socialist surge, the DSA asks itself: What’s next?)

-アメリカ民主社会主義者(、Democratic Socialists of America DSA)の指導部にとって、2026年の予備選挙は、期待していた以上の勝利をもたらすものとなった。今、彼らはその影響力をさらに拡大しようとしている。

カレン・タマルティ筆

2026年8月3日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2026/08/03/amid-democratic-socialist-surge-dsa-asks-itself-whats-next/

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週末にシカゴで開かれたアメリカ民主社会主義者(DSA)の会合にメンバー約600人が参加した

シカゴ発。アメリカの民主社会主義運動(democratic socialist movement)の指導者たちにとって、2026年は、彼らがかつてはあえて期待することさえしなかったほどの成功を収めた年となっている。

「自分の生きている間にこんなことが可能になるとは思ってもみなかった」とシカゴで週末に開催され、600人のメンバーが集まった3日間の会議の最中、インタヴューに応じた「アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of America、DSA)」の共同議長アシック・シディークは述べた。「私たちが収めつつある成果を目の当たりにして、驚きを感じているメンバーも確かにいるが、それは決して何もないところから突然生まれたものではない」。

シディークが述べるところでは、DSAの会費を支払う会員たちは非常に若く、「DSAの基準で言えば、私はもう年長者だ。私は30代ではあるのだが」ということだ。

「サミット」と銘打たれたこのDSAの集会では、参加者同士が「同志(comrades)」と呼び合っていた。彼らをここに集めた思想を物語るものとして、「ICE(移民関税執行局)を廃止せよ(Abolish ICE)」と書かれたTシャツや、「地主(や大家)どもクソ食らえ(Land Lords Suck)」と主張するバッジ、さらには19世紀のスローガンである「労働は、それが生み出したすべてのものに対する権利を有する(Labor is entitled to all it creates)」と記されたポスターなどが販売されていた。展示ホールのテーブルの1つには、「ディア・リーダー(鹿の指導者、Deer Leader)」と名付けられた雄鹿の剥製が置かれており、その角の間にはDSAの赤い野球帽が挟まれていた。

しかし、祝賀ムードが漂う一方で、ある深刻かつ戦略的な問いがそこにはあった。それは、「次はどうするのか?」という問いだ。

昨年、民主社会主義者のゾーラン・マムダニがニューヨーク市長に選出されて以来、DSAの全国運営組織が正式に公認、あるいは地方支部が支援した候補者たちは、市議会議員選挙から連邦議員選挙に至るまで数多くの予備選挙で次々と勝利を収めてきた。その中には、現職のヴェテラン議員を打ち負かしたケースも含まれている。

DSAの会員数は全国で12万人近くにまで増加していて、これはドナルド・トランプが2期目の大統領に当選した2024年当時の2倍以上の規模だ。先週発表されたCNNの世論調査では、民主党員および民主党支持層の成人の3分の1が、自らを「民主社会主義者」であると認識していることが明らかになった。

こうした数字こそが、民主党エスタブリッシュメントが「政治的な自殺願望(political death wish)」とみなす事態を懸念する理由となっている。先月実施された『ワシントン・ポスト』紙とイプソス社による調査では、民主党員の4人に3人が大統領候補として民主社会主義者を支持することに前向きな姿勢を示したが、全米の一般有権者で同様の考えを持つ人は半数に満たないという結果だった。

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DSAの会員数は全国規模で約12万人と急拡大している

DSAのメンバーも、これが難題であることを認めている。それは単に大統領選レヴェルの話にとどまらない。彼らの綱領における長期的な目標の多く―例えば刑務所制度の廃止、国境の開放、国防総省の予算削減、そして連邦上院の廃止など―は、エスタブリッシュメントの考え方から大きくかけ離れている。

しかし、彼らは、ニューヨーク市のような民主党の圧倒的な地盤以外の地域であっても、民主社会主義者の候補者を擁立することをためらうべきではないと主張している。そうした候補者の1人がフランチェスカ・ホンだ。彼女は、重要な激戦州であるウィスコンシン州で8月11日に行われる知事選挙の民主党予備選挙において、混戦を抜け出しリードしている状況だ。

会員数1万5000人を擁するDSAニューヨーク市支部の元共同議長ジェレミー・コーハンは「左派が予備選挙に勝って本選挙で負ければ災厄となるだろうが、中道派が予備選挙に勝って本選で負けた2016年もまた災厄だった」と述べた。彼はこの発言の中で、党エスタブリッシュメントの王朝の旗手だったヒラリー・クリントンと、民主社会主義というブランドを全国的なレヴェルにまで押し上げたバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で繰り広げられた激しい争いに言及した。

コーハンは「勝利するためにはこれらのリスクを取らねばならない」とコーハン氏は述べた。

DSAのメンバーは、大きな自律性を持つ支部に所属しており、多くのメンバーはさらに、互いに意見の対立も多い十数個の「コーカス(caucus、党内グループ)」のいずれかにも参加している。今後、彼らにとっての重要な問いとなるのは、民主党を左傾化させるために揺さぶりをかけるべきか、それとも彼らが「ダーティ・ブレイク(dirty break、汚れた決別)」と呼ぶような、党との決別を行うべきか、ということだ。

ヒューストン支部から参加した正看護師であるセレナ・エルミタニオは、DSAの理事会に相当する27名で構成される「全国政治委員会(National Political Committee)」のメンバーだ。彼女はまた、DSA内部のマルクス主義的かつ労働運動を重視するグループ「ブレッド・アンド・ローゼズ・コーカス(Bread & Roses caucus)」のメンバーでもある。

エルミタニオは、民主党との完全な決別は「戦術として理にかなっている」と述べた。なぜなら、そうしなければDSAは、労働者の懸念を代弁しない既存の体制内組織内部の「下位のパートナー(a junior partner)」に甘んじることになるからだ。

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会議に参加するDSAメンバーのケイティ・シムズ(右)

これとは反対の立場を取るのが、ニューヨーク州イサカ支部のメンバーであるケイティ・シムズだ。彼女はDSAの選挙活動を統括し、「改革派(reformist)」とされる「ソーシャリスト・マジョリティ・コーカス(Socialist Majority Cacus)」のメンバーでもある。(DSAのメンバーは、自分たちが中道や穏健と評されることを嫌う。)

シムズは、「私たちは民主党の支持層を取り込もうとしている。慕って、うまくいっている活動を止めるのは理にかなっていない」と述べた。

もう一つの課題は、政府運営する医療制度といったDSAの主要な理念には賛同しているものの、「民主社会主義者」という肩書きを掲げない候補者を当選させるために、ヴォランティア主導の選挙活動を今後も投入すべきかどうかという点だ。

例えば、火曜日に行われたミシガン州の重要な連邦上院議員選挙民主党予備選挙において、DSAの活動家や現場の支援者たちは、進歩主義候補のアブドゥル・エルサイードを非公式に支援している。エルサイードは自らを社会主義者ではなく、「資本主義の仕組みを理解している資本家」だと主張しているが、DSAのメンバーたちは支援した。

しかし、他の地域ではDSAの支部はそれほど寛容ではない。オーランド支部は最近、支部の支持を求めていた郡委員会候補者に対し、支持を得るためにウェブサイトに「民主社会主義者」という言葉を掲載する必要があると伝えたと支部メンバーのクリフ・コノリーは述べた。コノリーによれば、その10分後には、この候補者のウェブサイトのトップに「労働者家族のために戦う民主社会主義者」という文言が掲げられたということだ。

DSAの注目度の高い全国的な支持を獲得するには、候補者は一連の基準を満たす必要があるとDSAの幹部たちは述べている。その基準とは、単なる「進歩主義派(progressive)」にとどまらず、自らを「民主社会主義者」であると明確に位置づけていること、DSAの強力な支部があり強固な組織的基盤による支援を受けられる地域で出馬すること、親イスラエル・ロビーからの資金提供を拒否すること、そして、米移民関税執行局(ICE)の廃止やule

ルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立といったDSAの政策的立場を支持すること、などだ。

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連邦議事堂に姿を見せたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は大統領選挙においてDSAの支持獲得の最有力候補と目されている(2026年7月)

また、DSA全国委員会は支持を求める候補者に対して厳格な面接プロセスを課しており、指導部によれば、このプロセスはマムダニの勝利以降、さらに要求の高さが上がっているということだ。

当面の課題の一つは、2028年の大統領選挙に向けた支持決定のプロセスを策定することであり、早ければ来年3月か4月までの決定を目指している。

もし出馬を決断すれば、支持獲得の最有力候補となるのはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)だ。しかし、DSAの大統領選検討委員会委員長であるアレックス・ペリテリは、仮に支持を決定するとしても、それはDSAにとってより長期的な戦略の一環になるだろうと述べている。

DSA指導部は、現在の構成員の多くを占める「若年層、都市部居住者、大卒者」というグループを超えて、組織と運動の裾野を広げる必要性を認識している。彼らは、大統領選挙への全国的な取り組みがその助けになると考えている。

「候補者を擁立することの魅力は、全米の何百万人もの人々にアプローチするためのプラットフォームが得られる点にある」とペリテリは述べた。彼自身、2016年の大統領選挙でサンダースのために戸別訪問を行ったことが政治活動の始まりとなった。

しかし彼らは、2028年の選挙は長い道のりの始まりに過ぎないと明確に述べている。ペリテリは「私たちは選挙を社会主義運動とDSAを成長させるための手段だと捉えている」と付け加えて述べた。「私たちの目標は資本主義から社会主義への移行を実現することであり、それは一度の選挙運動で達成できるものではない」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 私はブログや著書の中で、馬蹄理論(horseshoe theory)を紹介した。2016年のアメリカ大統領選挙において、共和党ではドナルド・トランプ、民主党ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)が人気を集め、トランプ主義と進歩主義がこの大統領選挙のポイントになった。そして、この両者の主張が実は近いものとなっており、大きくは反エリート・反エスタブリッシュメントのポピュリズムと、エスタブリッシュメントの戦いという構図になっていることが明らかになった。民主党の予備選挙で苦戦し、本選挙で敗れたヒラリー・クリントンは、バーニー・サンダースとドナルド・トランプが代表するポピュリズムに敗れたということになる。この全く相いれないトランプとサンダースが既存の政治に対する抗議の声を集めるポピュリストであり、彼らの主張が似てくるということを説明するのに使われるのが馬蹄理論である。その概念図は以下の通りだ。
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 現在、民主党内部で勢力を伸ばしているのが民主社会主義(Democratic Socialism)だ。都市部を中心に、若者たちの間で支持が拡大しており、民主社会主義を標榜する候補者たちが、連邦議員選挙や地方選挙で民主党の予備選挙に勝利して候補者になっている。しかし、そもそもはリベラリズムこそは、そのような既存の政治や権益に反対し、因習を打破し、個人の幸福を増幅させるためのイデオロギーであった。ところが、現在では、エスタブリッシュメント、体制派のイデオロギーとなって、人気を失っている。下記論考の著者ザカリアはリベラリズムの失敗について次のように書いている。

(引用貼り付けはじめ)

ウールドリッジが指摘する第二の失敗は、リベラル派自身の地位に関わる問題であるだけに、より耳の痛い話だ。リベラリズムは「メリトクラシー(meritocracy、能力主義)」を信奉している。歴史的に見れば、これはリベラリズムの最も崇高な理念の1つだった。生まれや人種、カースト、階級ではなく、才能と努力によって人が成功を収めるべきだと主張してきた。しかし時が経つにつれ、能力主義によって選ばれたエリート層は、それ自体が一種の「貴族階級(aristocracy)」へと硬直化してしまった。

リベラル派のエリート層は社会正義を掲げながらも、卒業生の子供を優先的に入学させる「レガシー入試(legacy admissions)」の撤廃にはほとんど何もしようとしない。彼らは貧困層の社会的地位向上を望むが、それが自分たちの住む緑豊かな住宅街への住宅増設を伴うとなれば話は別だ。個人の能力や功績を称賛する一方で、個人の人間性よりも集団的アイデンティティ(group identity)に基づいて人を判断しがちな、巨大な多様性推進の官僚機構(a vast diversity bureaucracy)を作り上げてしまった

(貼り付け終わり)

 「リムジン・リベラル」という言葉がある。リムジンのような高級車に乗り、大邸宅に住みながら、口を開けば、平等や福祉について語る金持ちのリベラルを揶揄する言葉である。ハリウッドの映画スターや人気歌手でもリベラルな主張しながら煌びやかな暮らしをしているということについて、人々は矛盾や偽善を感じている。彼らが正当に得た利益でどのような暮らしをしようがそれは勝手であり、何も悪いことではないのであるが、「お前たちの言っていることは口先だけだ」と捉えられてしまう。

 リベラリズムが再生し、再び人々の支持を得るためには、「口先だけ」と捉えられないようにすることであり、そのためには以前は持っていた「急進性」を再び取り戻すことだ。そのためには民主社会主義の主張を取り入れ、批判にも真摯に向き合うことが必要ということになる。

(貼り付けはじめ)

リベラリズムは急進的にならねばならない(Liberalism Must Get Radical)

-かつては攻撃対象であった「エスタブリッシュメント(the establishment)」のイデオロギーとなった。それがリベラリズムは敗北しつつある理由だ。

ファリード・ザカリア筆

2026年6月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/06/26/liberalism-socialism-populism-mamdani-democratic-primary-elections-burnham-revolution-wooldridge/

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ニューヨーク・ブルックリンにて、ニューヨーク市選出の連邦議会候補クレア・バルデス(マムダニが民主党予備選挙で支持した3人の進歩主義派候補の1人)の開票を見守る集会で、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニが演説を行った(2026年6月23日)

大西洋を挟んで起きた最近の2つの出来事が、ある共通の問題を浮き彫りにしている。イギリスでは、威厳あるキア・スターマーの後任首相として有力視されているのがアンディ・バーナムであり、彼は「ビジネスに友好的な社会主義(business-friendly socialism)」を信条に掲げている。一方ニューヨークでは、民主党予備選挙で民主社会主義者が目覚ましい勝利を収めた。これは、急進的な左派勢力が、抗議の声を政治的権力へと転換する道を見出したことを示唆している。

まず断っておくが、左派が一様に社会主義に向かって突き進んでいる訳ではない。ニューヨーク市外の多くの予備選挙では、穏健派の民主党員が勝利を収めている。市外の激戦区の1つでは、退役軍人のケイト・コンリーが圧勝した。しかしながら、ある種のリベラリズムが、その勢いや自信を失いつつあり、自らが代表すると主張する人々とのつながりも希薄になっていることは確かだ。

エイドリアン・ウールドリッジの近著『革命的中道(The Revolutionary Center)』は、啓蒙時代から現代に至るリベラリズムの知的歴史を描いた素晴らしい1冊だが、この本の中で著者は、かつてリベラリズムが政治において最も急進的な勢力であったことを想起させている。当時、それは世襲の特権、独占的権力、検閲、貴族制、聖職者の権威、そして閉鎖的なギルドといったものに挑む存在だった。それは、エスタブリッシュメント側のイデオロギーではなく、むしろエスタブリッシュメントを打ち砕くための「破城槌(battering ram)」のような役割を果たしていた。

今日、リベラリズムは権力と同一視されるようになった。名門大学、財団、メディア機関、大企業、そして官僚機構といった権力中枢と結びついている。ウールドリッジは、こうした状況が2つの深刻な失敗を招いたと主張している。

第一の点は「受動性(passivity)」だ。現代のリベラリズムは、少なくとも1990年代以降、自由市場と自由な個人を称揚してきた。実際には、それは経済活動と私生活の双方で規制を撤廃し、その結果生じる事態を「自由の代償(the price of freedom)」として受け入れることを意味していた。市場においては、これが企業の統合や格差の拡大を野放しにする結果を招いた。私生活においては、リベラルは、特定の行動が社会を破壊しかねないものであると指摘することに躊躇するようになった。

その結果がリベラル的宿命論(liberal fatalism)だ。薬物依存や精神疾患を抱えた人々が街頭で野宿生活を送っていても、リベラルはそれを単なる住宅問題として片付けることが多い。何百万人もの人々が肥満関連の病気に苦しんでいるが、リベラルは、消費者を加工食品中毒に陥らせている企業を追及するよりも、「食品砂漠(food deserts、生鮮食品を入手しにくい地域)」のせいにすることを選びがちだ。ソーシャルメディア企業もまた、消費者の注意を奪い合うという点で同様の手法を採用している。

ウールドリッジは、「リベラル・パターナリズム(父権主義、liberal paternalism)」の復権を提唱している。この言葉は、現代人の耳には耳障りだ。しかし、リベラルな社会とは、個人の権利を尊重すると同時に、個人に責任を求める社会であるべきだ。自由は国家によってのみ脅かされるのではなく、依存症、独占、犯罪、無知、そして何らかへの依存によっても破壊され得るということを理解すべきだ。

これは社会主義を擁護する主張ではない。より真の姿に近いリベラリズムを求める主張だ。リベラル派が市場を支持すべきなのは、市場が強者による支配や格差の拡大を許容するからではなく、真の競争があれば「持たざる者(弱者)」が強者に挑むことが可能になるからだ。健全な市場とは、4社程度の企業が業界をひそかに分割し、弁護士やロビイスト、アルゴリズムを駆使して新規参入者を排除するような市場ではない。新規参入者が台頭し、消費者が選択を行い、労働者が自由に移動し、既存の企業が失敗し得るような市場こそが健全なのである。

ウールドリッジが指摘する第二の失敗は、リベラル派自身の地位に関わる問題であるだけに、より耳の痛い話だ。リベラリズムは「メリトクラシー(meritocracy、能力主義)」を信奉している。歴史的に見れば、これはリベラリズムの最も崇高な理念の1つだった。生まれや人種、カースト、階級ではなく、才能と努力によって人が成功を収めるべきだと主張してきた。しかし時が経つにつれ、能力主義によって選ばれたエリート層は、それ自体が一種の「貴族階級(aristocracy)」へと硬直化してしまった。

リベラル派のエリート層は社会正義を掲げながらも、卒業生の子供を優先的に入学させる「レガシー入試(legacy admissions)」の撤廃にはほとんど何もしようとしない。彼らは貧困層の社会的地位向上を望むが、それが自分たちの住む緑豊かな住宅街への住宅増設を伴うとなれば話は別だ。個人の能力や功績を称賛する一方で、個人の人間性よりも集団的アイデンティティ(group identity)に基づいて人を判断しがちな、巨大な多様性推進の官僚機構(a vast diversity bureaucracy)を作り上げてしまった。

これが最も顕著に表れているのが初等・中等教育の現場である。真にリベラルな政治とは、まず子供を起点に考えるものだ。アメリカの子供たちを置き去りにしながら自らの権力を拡大させるだけの組織―労働組合、官僚機構、教育委員会、大学の学部など―があれば、それらすべてに立ち向かう姿勢が必要だ。

民主社会主義者や右派ポピュリストが支持を広げているのは、まさにこの点においてだ。彼らは、人々が「自分のために戦ってくれる誰か(someone to fight for them)」を求めていることを理解している。彼らが提示する解決策は、時に誤ったものであるかもしれない。左派は階級闘争(class warfare)、保護主義、国家統制を掲げ、右派は保護主義、民族的怨嗟(ethnic resentment)、人種的な過去への郷愁を煽る。しかし、彼らは既得権益に果敢に挑む「アウトサイダー」のように映る。自由が単なる無秩序を意味するように思える世界において、彼らは人々を守る存在として提示される。

リベラリズムが直面する危機を脱する道は、リベラリズムを放棄することではない。その「急進的な精神(radical spirit)」を取り戻すことだ。リベラル派は今一度、独占、世襲による特権、閉鎖的なシステム、そして不公平な仕組みを憎む存在となるべきだ。真の競争、真の能力主義、そして真の機会均護を擁護しなければならない。市場を圧殺する企業権力、内部関係者を保護する政府権力、そして個人の尊厳の代わりに集団的アイデンティティを優先する官僚機構を生み出す文化的権力―これら全てに立ち向かうべきだ。

ウールドリッジが論じるように、「中道」とは単に左派と右派の中間地点にあるものではない。それ自体が独自のやり方で革命的である必要がある。リベラリズムが掲げた偉大な約束は、人々を自由の名の下に放置し、衰退させることではなかった。人々が自らの人生を豊かに花開かせるために必要な手段、ルール、そして責任を与えることこそが、その約束だった。

リベラリズムは、凝り固まった権力に対する反乱として始まった。それが今後も生き残るためには、再びそのような存在へと立ち返るしかない。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)



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 古村治彦です。

 ジョージア州選出のジョン・オソフ連邦上院議員(民主党)が11月の本選挙に向けた選挙集会で、トランプ大統領の個人秘書ナタリー・ハープの名前を出して、トランプ大統領を揶揄したことで注目が集まっている。トランプ政権側は、オソフ議員を口汚く罵っている。その内容は以下の記事にある。ナタリー・ハープは現在30代半ば(1991年生まれ)の女性だ。ハープは骨肉腫を患い、未承認治療薬を利用して改善した、これは未承認治療を合法化する法律に署名したトランプ大統領のおかげだという内容を2019年にフォックス・ニューズに出演して述べたことで、トランプ大統領の目に留まり、2020年の共和党全国大会でも演説を行うまでになった。
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ナタリー・ハープ



その後はテレビ局で働いていたが、2024年の大統領選挙でトランプ陣営に参加した。そして、トランプ大統領の個人秘書となった。ハープは、トランプのSNSの発信を手伝い、トランプが後述する内容を代わりに打ち込むということを行っている。また、トランプにとっての最側近の地位にあり、情報を選別して伝える役割を果たしているということだ。下世話になってしまうが、若い女性が世界の最高権力者の近くにいるということは、どうしても色々と勘繰りたくなるものである。以下のイギリス紙『インディペンデント』紙のウェブサイト掲載記事にあるヴィデオ映像を見ると、その「親密さ」がどうしても際立ってしまう。

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/trump-natalie-harp-new-nickname-b3034437.html←クリックするとページに移動します

 オソフ議員は、「無用な戦争をして、人々の省察を苦しめているのに、トランプはきちんとした仕事をしていない」ということを述べており、これだけならばここまで注目を浴びることはなかった。そこに、若い女性が秘書として親密な関係を持ち、その秘書と遊びまわっているというようなことを述べたために注目を浴びることになった。ホワイトハウス側の口汚い罵倒は、かえって、トランプが実際のそのようになっていることを示しているとも言える。ナタリー・ハープの存在が政治的にどうこうということにはならないだろうが、トランプにとっての「情報の門番」の役割を果たしているというのは気になるところである。このような役割は通常であれば、大統領首席補佐官(White House Chief of Staff)が担うのであるが、スージー・ワイルズ首席補佐官の存在感や影響力が落ちていることがあるのではないかと推測される。もちろん、そこまでのことではなく、ただの埋め草記事程度ということもありうるが。

(貼り付けはじめ)

ナタリー・ハープとは何者か? オソフ上院議員がトランプ大統領の側近を巡り個人的な対立を激化させる(Who is Natalie Harp? Ossoff ignites personal feud over Trump’s aide)

ベツィ・クライン、アレハンドラ・ジャラミロ筆Betsy Klein

2026年8月17日

CNN

https://edition.cnn.com/2026/08/17/politics/ossoff-natalie-harp-trump

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連邦議事堂でのジョン・オソフ連邦上院議員(2026年1月)

2028年大統領選挙の有力候補と見なされている民主党の有力議員がドナルド・トランプ大統領の最側近を攻撃したことで個人的な対立が起きた。この対立は、中間選挙の重要な激戦区にも波及する可能性がある。

11月に再選を控えるジョージア州選出のジョン・オソフ連邦上院議員は、アトランタで開かれた選挙集会での演説中、トランプが最高司令官としての務めを本当に果たしたいと考えているのかを激しく問い質す中で、トランプの側近でありながら一般にはあまり知られていない人物の名を挙げた。

オソフは集会で次のように述べた。「空母『リンカーン』の乗組員たちが彼の戦争を戦い、彼が私たちの弾薬や石油の備蓄を無駄に費やしている間、大統領は会議中に居眠りをし、ゴルフをプレーし、株式の売買を行っている」。

オソフ議員は続けて述べた。「彼はこの職務を遂行する気などないのだ。彼が望んでいるのは、自身の舞踏室を建設することや、カタールの首長から贈られた、防備も手薄と思われる『空飛ぶ宮殿』でナタリーと共に旅をすることだ」。ここで言及されたナタリーとは、大統領の個人秘書であるナタリー・ハープのことだ。

オソフのこの批判に対し、聴衆からは歓声が上がり、X上のコメントでも、特にハープの名前を挙げた点に注目が集まった。

月曜日、この民主党上院議員の発言について尋ねられたトランプ大統領は、オソフ議員をコメディアンのキャラクター「ピーウィー・ハーマン(Pee-wee Herman、訳者註:pee-weeとは「とても小さい」「子供向けの」を意味する俗語)」になぞらえ、大統領執務室でCNNのクリステン・ホームズ記者に対し、「(政治などより)他のことをする方がずっといい」と語った。その後、話題をホワイトハウスの建設工事へと転じ、「素晴らしい施設を建設している」と述べるとともに、自身の進めるイースト・ウィング(東棟)のプロジェクトについて、「単なる舞踏室などというものではない」と誇らしげに語った。

ホワイトハウスは以前からオソフ議員の発言を注視しており、月曜日朝には報道担当部門を通じてオソフ議員を激しく非難した。

ホワイトハウスのコミュニケーション・ディレクターを務めるスティーヴン・チャンはソーシャルメディアへの投稿で、「ジョン・ジャックオフ(Jon Jackoff、訳者註:jackoffは男性の示威行為を示す卑俗n表現)は、政界きっての『カック(cuck、訳者註:妻を他の男性に寝取られた男性の意味。頼りない男性、意志薄弱な男性を指す言葉)』な負け犬に違いない。国のために尽くす勤勉な人々を貶めるのではなく、ジョンは自らの魂の奥底を見つめ直し、なぜ自分がこの国を憎む惨めな人間なのかを自問すべきだ」と書いた。

ホワイトハウス報道官デイヴィス・イングルは、オソフ議員を「バラク・オバマのコスプレをした、見ていて痛々しい、女々しい演劇少年(cringeworthy, feminine theatre kid cosplaying as Barack Obama)」であり、「軽量級の敗者(lightweight loser)」だと評した。

これらの罵倒は、ホワイトハウスがオソフ議員をいかに注視しているかを浮き彫りにしている。オソフ議員は中間選挙を「汚職、生活費の高騰、そして失敗に終わった世界的なリーダーシップ」に対する信任投票と位置づけており、2028年の大統領選挙への出馬の可能性も取り沙汰されているからだ。

オソフ議員は再選を目指し、激戦州(パープル・ステート)であるジョージア州において、トランプの支持を受け、また親密な関係にあるマイク・コリンズ連邦下院議員と対決する。6月のFOXニューズの世論調査では、ジョージア州の登録有権者の間でオソフ議員がコリンズ議員を13ポイントリードしていたが、両党の選挙ストラティジストたちは、今後数カ月の間に接戦になると見ている。

オソフ議員によるトランプ大統領への挑発行為が、ソーシャルメディア上での反論以外の反応―例えばコリンズ議員への資金援助の強化など―を引き出すかどうかは、現時点では不明だ。計画に詳しい2人の人物によると、トランプは自身の政治資金管理団体(PAC)である「MAGA Inc.」を通じて、今後の選挙戦で使用する4億ドルの資金を確保しており、数週間以内に数百万ドル規模の資金を投入することをすでに承認しているということだ。

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ワシントンDCのイースト・ポトマック・パークにあるゴルフ場を視察するドナルド・トランプ大統領とダグ・バーガム内務長官に同行するホワイトハウス補佐官ナタリー・ハープ(中央)(2026年6月28日)

この出来事を契機にしてハープへの注目も再び高まった。ハープは、週末のマール・ア・ラーゴやニュージャージー州ベッドミンスターのゴルフクラブへの移動に頻繁に同行するなど、大統領から最も信頼される個人補佐官の1人であり、そして情報源として頭角を現している。イランからの脅威を受けてトランプがエアフォース・ワンからこっそり抜け出し、より小型の航空機に乗り換えた際も、同行したごく少数の側近の中に彼女の姿があった。

ハープは、トランプにとって情報の「門番(gatekeeper)」のような役割を担うようになっている。彼女が大統領の目に留まったのは2019年のことだ。Foxニューズのインタヴューで、骨肉腫を患いながらも生命の危機に瀕する事態を乗り越えた自身の経験を語り、その生還はトランプの「試す権利(訳者註:未承認の治療薬を試験的に使用する権利)」政策のおかげだと述べたことがきっかけだった。

「私はもう、がんで死ぬことはない。トランプ大統領のおかげで、がんと共に生きている」と彼女は番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演して語った。この出演を機に、「信仰と自由(Faith and Freedom)」会議や2020年の共和党全国大会で登壇する機会を得て、さらにワン・アメリカ・ニューズ・ネットワーク(OANN)での役割も担うようになり、トランプを支持・擁護する人物としての地位を確固たるものにした。そして2022年には、大統領の個人秘書として働き始めた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、ハープは2023年にトランプへ称賛や個人的な内容を含む手紙を多数送り、周囲の人々を「動揺(unnerved)」させたということだ(ニューヨーク・タイムズの報道によれば、ある手紙には「私にとって重要なのはあなただけ」、別の手紙には「あなたに喜びをもたらしたい」と記されていた)。

現在、ハープはプリンターを携えてトランプに随行しており、大統領はソーシャルメディアへの投稿やテキストメッセージの多くを口述し、ハープが打ち込んでいる。こうした「親密さ(proximity)」が、彼女に影響力を持つ地位(a position of influence)をもたらしているのだ。

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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