古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: アメリカ政治

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。

ドナルド・トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムに対する関税を25%から50%に倍増させる政策を正式に発効した。トランプ大統領が高関税を志向するのは、アメリカの国内産業を保護し、法律的な権限を拡大することが理由だ。具体的には、通商拡大法第232条に基づいて適用される関税が、ほとんど監視を受けずに貿易制限を行うための新たな手段となる可能性がある。
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トランプ大統領は、金属輸入税の引き上げが国家安全保障を守るために必要だと述べている。また、外国が米国市場に流入させている低価格の過剰鋼材に対抗し、アメリカの製鉄所を再稼働させる効果を期待している。しかし、下記論稿によると、専門家たちは、トランプ大統領の主張は誤りで、アメリカの鉄鋼輸入は過去1年で減少していることを指摘している。実際、アメリカの製鉄所の稼働率は近年よりも高くなっている。日本製鉄のUSスティール買収の判断もそうしたことが影響しているのだろうと考えられる。

トランプ関税によって、鉄鋼業が復活するのかということだが、これは難しいだろう。既に中国やインドの後塵を拝している状況だ。ドル安に誘導して(ドルの価値を下げて)、人件費の対外競争力を下げる必要があるが、それは、労働者たちの生活を改善することにはつながらない。輸入品が高くなることで、アメリカ国内の物価は高くなる。物価上昇率が給料の上昇率を上回れば、生活は苦しくなる。現在のアメリカの状況はまさにこれだ。トランプ大統領としては、石油や天然ガスのエネルギー増産で物価上昇を抑えることを考えているようだが、そう簡単にはいかない。
 直近では、日本とアメリカの関税をめぐる交渉では赤澤大臣が何度もワシントンと東京の間を往復して交渉を行っているが、妥結には至っていない。アメリカはこれから15カ国に対して関税通知書を送付するとしている。日本が送付対象に入っているかは分からないが、ギリギリのところに来ている。トランプとしては、高関税を受け入れるか、受け入れないならアメリカの国益に資する内容の譲歩を引き出すという強気の交渉態度であろうが、日本としては日本の国益のために交渉を続けている。これが故安倍晋三政権時代だったら、このような粘り腰は発揮されず、アメリカの国益のために、さっさと妥協がなされていただろう。石破政権は参院選でも苦しい状況にあり、選挙後は政局になることが考えられるが、粘り腰で、世界構造の大転換に臨んでもらいたい。そして、私たちは再び、対米隷従の安部は路線に戻ってはならない。それは大いなる退化である。
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ドナルド・トランプ大統領の関税は鉄鋼産業を改善させない(Trump’s Tariffs Won’t Fix the Steel Industry

-鉄鋼とアルミニウムの価格が上昇しても、国内の製鉄所に大きな利益をもたらすことはなく、むしろ製鉄所に打撃を与えるだろう。

キース・ジョンソン筆

2025年6月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/05/trump-trade-tariffs-steel-aluminum/

ドナルド・トランプ米大統領は水曜日、鉄鋼とアルミニウムへの関税(tariff)を25%から50%に倍増する措置を正式に発効させた。しかし専門家たちは、この関税はトランプ大統領のアメリカ産業再建計画を阻害し、海外のパートナーとの進行中の貿易交渉を複雑化し、何十年にもわたって世界の鉄鋼業界を悩ませてきた構造的な問題への対策には全く役立たないと指摘している。

トランプ大統領の視点から見ると、この関税には国内産業を優遇するだけでなく、先週裁判所が無効とした関税権限よりも、より防御力の高い法的権限を用いて実施できるという利点がある。これは、水曜日に鉄鋼とアルミニウムに適用された通商拡大法第232条の権限など、実績のある貿易権限への転換の一環となる可能性が高い。これらの権限は、ホワイトハウスに、ほとんど監視や法的手段を必要とせずに貿易制限を課す広範な裁量を与えている。

トランプ大統領は大統領令の中で、金属およびそれらから作られる全ての製品に対する輸入税の倍増は「こうした輸入品が米国の国家安全保障を損なう恐れがないようにするため(so that such imports will not threaten to impair the national security)」必要だと述べた。さらに、「関税の引き上げは、低価格で余剰となった鉄鋼やアルミニウムを米国市場に流出させ続ける諸外国に、より効果的に対抗し、最終的にアメリカの製鉄所の操業再開を促すだろう(The increased tariffs will more effectively counter foreign countries that continue to offload low-priced, excess steel and aluminum)」と付け加えた。

しかし、トランプ大統領が大幅な関税引き上げの根拠として挙げた2つの論拠はいずれも誤りだ。アメリカの鉄鋼輸入量は、トランプ大統領による最初の関税導入後も含め、過去1年間で減少しており、急増している訳ではない。また、アメリカの製鉄所(steel mills)の稼働率は近年よりも高い。

ケイトー研究所の国際貿易弁護士スコット・リンシカムは「トランプ大統領の主張は的外れだが、232条に基づく貿易措置によって、そうする必要がないことが分かった」と述べた。

トランプ大統領は、歴代大統領の多くと同様に、鉄鋼産業を特別に保護主義的に捉えている。これは、サーヴィスとデータの世界ではますます重要性を失っている、煙突駆動型経済(smokestack-powered economy)への数十年にわたるノスタルジーを反映している面もあるが、トランプ大統領の最初の任期が、鉄鋼産業の弁護士、特に通商代表部(U.S. trade representativeUSTR)代表のロバート・ライトハイザーに翻弄されたことも一因となっている。

しかし、最新の大統領令で強調したように、トランプ大統領は就任以来、製鉄所から造船所に至るまで、あらゆる経済安全保障問題(matters of economic security)全てを国家安全保障問題(matters of national security)と捉えてきた。だからこそ、カナダ産木材やメキシコ製自動車シートといった深刻な脅威に対する国家安全保障関連の関税調査も行われている。

リンシカムは次のように語っている。「これは、第232条がいかに無法であるかを如実に示している。彼らは何でも国家安全保障上の脅威だと主張し、どんな理由でも正当化することができ、裁判所がその判断に異議を唱える可能性は極めて低い」。

トランプ大統領の鉄鋼関税の皮肉な点は、存在しない問題に対処する一方で、解決策を切実に求めている問題、すなわち中国などの国々、そして間もなくインドでも発生する鉄鋼生産の過剰な供給能力には対処していないことだ。さらに事態を悪化させているのは、トランプ大統領の新たな関税が、今年初めに導入された軽めの関税と同様に、鉄鋼製品全般に加え、半製品および完成品の輸入も対象としているという事実だ。今回の増税は、ヨーロッパや中国を問わず、既にどの競合相手よりも高い鉄鋼価格を支払っている鉄鋼使用企業の価格を引き上げているだけだ。

金属・鉱物コンサルティング会社CRUグループの主任鉄鋼アナリストであるジョシュ・スポーレスは「関税は国内の鉄鋼価格を引き上げるだけだ」と述べた。

トランプ大統領が輸入品を値上げして以来、アメリカの鉄鋼とアルミニウムの価格は高騰の一途をたどっており、桁(大梁)、パイプ、板、釘、アルミ箔など、あらゆる素材を扱う企業の競争力に悪影響を及ぼしている。経済学者たちは、鉄鋼関税が経済全体にどれだけの純雇用喪失をもたらすかを依然として定量化しようとしている。

トランプ大統領が関税で掲げる表向きの目標は、鉄鋼業界を強化し、自動車、造船、その他の旧来型産業におけるアメリカ製造業の競争力を高めることだが、実際はその逆である。最初の痛みはおそらく石油産業でも感じられるだろう。石油産業もトランプ大統領が好む産業の一つだが、石油産業は既に貿易戦争による原油価格暴落の痛手を被っており、石油掘削は危険な賭けとなっている。

スポーレスは、アメリカの石油・天然ガス産業に必要なパイプ、チューブ、ケーシングの約半分は輸入に頼っていると指摘した。いわゆる「産油国産品(oil country goods)」は、アメリカの鉄鋼輸入量の中で常に最大のカテゴリーの1つだ。関税の有無に関わらず、これらの製品を国内生産するための魔法のスイッチは存在しない。鉄鋼は必需品であり、価格が大幅に上昇しただけだ。あるいは、スポ―レスの言葉を借りれば、「需要が価格とは無関係に発生するという非弾力性に大きく起因していると言える」だろう。

造船や自動車製造についても同様だ。これらはトランプ大統領が優先課題としているもう1つの分野であり、適切に実施すれば大量の鉄鋼を消費する。造船業の問題は、商船であれアメリカ海軍艦船であれ、長期契約が不足していることだ。関税率を気まぐれに引き上げたところで、アメリカの製鉄所が超大型タンカーに使われるような鉄鋼を生産できるとは限らない。

スポーレスは「関税だけで、そのようなプレートを生産するための投資が促進されるとは思えない」と語った。

自動車も同様だ。自動車に使用される鋼材は特殊で、徹底的な品質テストを受けている。数十億ドル規模の投資が関税決定に左右される可能性は低く、関税決定はツイート1つで覆される可能性があり、実際に覆されたこともある。

スポ―レスは、「関税は鋼材価格を上昇させるだけだ。自動車品質の製鉄所を稼働させるには5年ほどかかる」と述べた。

一方、トランプ大統領の最新の貿易攻撃は、数十、数百もの潜在的な貿易相手国との協議の最中に放たれた。これらの国は皆、恐怖に陥り、そのほとんどが調整を進めている。今年、様々な理由で多くの関税を課せられたメキシコとカナダは、両国ともこの関税のエスカレーションの理由を解明しようと努めている。メキシコは報復措置をちらつかせている一方、カナダの新政権は慎重ながらも対応の準備を整えている。

将来の貿易交渉の予備的枠組みに合意したイギリスは、今回の鉄鋼関税が二国間休戦に支障をきたすのではないかと懸念している。特に、イギリスの製鉄所の多くが実際にはインド資本であることから、その懸念は高まっている。ヨーロッパ連合(EU)は最初の鉄鋼関税発動後、報復措置を控えており、交渉の進展に依然として期待を寄せているものの、念のため数十億ドル規模のバッテリー関税対策を再び検討している。

ヨーロッパの交渉担当者、そして鉄鋼業界の専門家全般を悩ませているのは、業界の問題の大部分が中国の過剰生産能力にあるにもかかわらず、トランプ大統領の最新の措置では、それに全く対処されていないことだ。中国は年間10億トン以上の鉄鋼を生産しており、これは世界全体の半分以上に相当する。依然として主要生産国であるアメリカの生産量は約8000万トンである。

近年、アメリカとヨーロッパは、中国の影響力と環境への影響を制限するような鉄鋼生産と貿易に関する妥協点を模索してきた。しかし、ヨーロッパの貿易専門家たちやアメリカの環境保護主義者たちにとって残念なことに、それは壁にさらにレンガを追加することよりも後回しにされている。

※キース・ジョンソン:『フォーリン・ポリシー』誌地経学・エネルギー専門記者。Blueskyアカウント:@kfj-fp.bsky.socialXアカウント:@KFJ_FP

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(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。
※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 今回ご紹介する論稿は、第2次ドナルド・トランプ政権に対する批判をまとめるとこういう内容になるという論稿をご紹介する。著者はハーヴァード大学のスティーヴン・M・ウォルト教授だ。簡単に言えば、能力がないので政策決定や遂行で行き当たりばったりになり、言うことを変えて、他国からの信用を失う。それがアメリカの力を失わせることになるというものだ。
 トランプ政権はポピュリズム政権であり、アメリカ・ファーストを掲げる。ポピュリズムは、既存の政治に対する一般大衆・有権者の反感・異議申し立てが原動力になり、ワシントンの既存政治を変えるために、アウトサイダーを自分たちの代表としてワシントンに送り込むということだ。今回のアウトサイダーはドナルド・トランプだ。トランプはこれまでの外交や政治を大きく変えようとしている。それは、既存の政治勢力やエスタブリッシュメントから見れば、行き当たりばったりで、言うことが変わるということになる。それが「国を破滅させる」という表現になる。

しかし、考えてみて欲しい。なぜ、人々がアウトサイダーをワシントンに送り込むという決断を下したのか。それは、これまでの民主党、共和党の政治がうまくいっていないという判断があったからだ。「彼らは失敗した。だから交代させる。もちろん、これまでの方法ではない、別の方法をやらせる」ということになる。アメリカの失敗と衰退がトランプを登場させたのであって、トランプが失敗を引き起こしたのではない。

しかし、同時に、これまでにも何度も書いてきたことだが、トランプは独特のバランス感覚で、過激な発言とは裏腹に、押したり引いたり、妥協したり、時には部下に責任をかぶせるような形で撤回したりということで、意外と常識的な線を保つ。これに対して、忠実な支持者たちは不満を持つが、離反しない程度を保っている。

アメリカの衰退は既にどうしようもないところまで来ている。トランプは何とかしようともがいている。それが行き当たりばったり、言うことがころころ変わるということになる。トランプに対応する際には慌てず、冷静に対応することが肝要だ。
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どのように国を破滅させるか(How to Ruin a Country

-ドナルド・トランプによるアメリカ外交政策の破壊を段階に合わせて解説する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年4月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/04/07/trump-ruin-us-foreign-policy-country/

このコラムを定期的に読んでいる皆さんは、私が国際舞台におけるアメリカの行動をしばしば批判していることをご存知のことと思う。ジョージ・W・ブッシュ大統領の外交政策は大失敗だったと私は考えていた。バラク・オバマ大統領の8年間は期待外れ、ドナルド・トランプ大統領の最初の任期は大混乱、ジョー・バイデン大統領の4年間は戦略と道徳の失策によって汚点が付けられた。しかし、残念ながら、トランプと彼が任命した人物たちは、わずか3カ月足らずで、彼ら全員を無能な外交政策の狂信的な行動で凌駕している。シグナルゲート事件が起こらなかったとしても、これは真実だっただろう。

明確に申し上げたい。トランプが外国のために行動しているとは思わないし、意図的にアメリカの安全と繁栄を損なおうとしているとも考えていない。ただ、そうであるかのように振舞っているだけだ。トランプは、便利な「アメリカ外交政策を台無しにする5ステップガイド」に従っていると言えるかもしれない。

●ステップ1:追従者たちと忠誠者たちを大量に任命する。(Step 1: Appoint a lot of sycophants and loyalists.

国を滅ぼしたいなら、まずは愚かで有害な行為を誰にも止められないようにすることから始めるべきだ。つまり、無能で、盲目的に忠誠を誓い、あなたの庇護に完全に依存している、あるいは芯や信念に欠ける人物を任命し、独立心があり、信念を持ち、仕事が得意そうな人物を排除しなければならない。

ウォルター・リップマンが賢明に指摘したように、「皆が同じ考えを持つと、誰も深く考えなくなる(When all think alike, no one thinks very much)」。だからこそ、誤った指導者は国を窮地に追い込みやすくなる。反対勢力の不在は、ヨシフ・スターリンがソ連経済を誤った運営をし、毛沢東が悲惨な「大躍進政策(Great Leap Forward)」を開始することを許し、アドルフ・ヒトラーがヨーロッパの他の国々に宣戦布告することを可能にした。強力な国内反対勢力の不在は、2003年のブッシュ大統領のイラク侵攻を助長した。自国の外交政策を台無しにしたいなら、反対意見を無視し、追従者に頼るのは良い出発点だ。実際、ステップ1はプログラム全体にとって極めて重要である。愚かなことをたくさんやるなら、誰にも反論したり制約したりできないようにしたいはずだ。

●ステップ2:できるだけ多くの国家と喧嘩をする。(Step 2: Pick fights with as many states as possible.

国際政治は本質的に競争的であり、だからこそ国家は多くの友好的な相手と比較的少数の敵に囲まれた方が良い。したがって、成功する外交政策とは、他国からの支持を最大化し、直面する敵の数を最小化するものとなる。非常に有利な地理的条件にも助けられ、アメリカは世界の他の地域で重要な同盟諸国からの支持を得ることに驚くほど成功してきた。その成功の重要な要素は、巨大な影響力を行使しながらも、過度に攻撃的・好戦的に振舞わなかったことである。対照的に、ヴィルヘルㇺ二世治下のドイツ、ソヴィエト連邦、毛沢東主義の中国、リビア、サダム・フセイン政権下のイラクは全て、好戦的で威嚇的な行動を取り、近隣諸国やその他の国々が自国に対して力を合わせるよう促した。しかし、賢明な大国は、不必要な反感を買わないように、ヴェルヴェットの手袋でその拳を包むのである。

代わりにトランプは何をしているのか? わずか3カ月足らずの間に、トランプ政権はヨーロッパの同盟諸国を繰り返し侮辱し、同盟国の1つ(デンマーク)の領土を差し押さえると脅し、コロンビア、メキシコ、カナダ、その他数カ国と無用の喧嘩をした。トランプとJD・ヴァンス副大統領は、大統領執務室でウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領を公然といじめ、マフィアのボスのようにウクライナに強要し続け、アメリカの援助継続と引き換えに鉱業権を譲り渡すように求めている。大げさに言えば、トランプ政権は米国国際開発庁(USAID)を解体し、世界保健機関(WHO)から脱退し、世界最大の経済大国の政府はもはや恵まれない社会を援助することに関心がないことを明確にした。それに比べて中国を良く見せる良い方法があるだろうか?

そして先週、トランプ大統領は政治的スペクトラム全体にわたる経済学者からの度重なる警告を軽視し、同盟国と敵対国のリストに挙がる国々に対し、奇怪な関税を次々と課した。ウォール街はトランプ大統領の無知な決断を瞬時に受け止め、景気後退予測が高まる中、アメリカ史上最大の2日間の株価急落を記録した。この突拍子もない決断は、緊急事態への対応でも、他国から押し付けられたものでもない。自ら招いた傷であり、たとえ株式を1株も保有していなくても、何百万人ものアメリカ人を貧困に陥れることになるだろう。

地政学的な影響も深刻だ。一部の国は既に報復措置を講じており、世界的な景気後退のリスクをさらに高めている。しかし、反撃しない国でさえ、アメリカ市場への依存を減らし、アメリカ抜きで互恵的な貿易協定の構築を目指すようになるだろう。前回のコラムで述べたように、アジアの同盟諸国との貿易戦争を始めることは、政権が表明している中国との競争意欲と矛盾する。

●ステップ3:ナショナリズムの力を無視する。(Step 3: Ignore the power of nationalism.

トランプは熱烈なナショナリストを自称したがる(もっとも、国全体の利益よりも私腹を肥やすことに関心があるようだが)。しかし、他国も同様に強いナショナリズム的な感情を持っていることを認識していない。トランプが他国の指導者を批判し、領土を奪うと脅し、さらには併合を示唆する発言を続けると、ナショナリストたちの反感を買い、これらの国の政治家たちは、トランプに立ち向かえば国内での人気が高まることにすぐに気づくだろう。このように、トランプによるカナダへの威圧と貶めの不器用な試みは、カナダ国民の怒りを買い、自由党の復活を招いた。これはまさに、ジャスティン・トルドー前首相と後任のマーク・カーニー首相がナショナリズムという切り札を効果的に使ったからである。その直接的な結果として、アメリカへの旅行を希望するカナダ人が減少し(アメリカの観光産業にとって不利な状況である)、政府は他国との新たな経済・安全保障協定の締結も模索している。カナダのような友好的な隣国を我々に敵対させるには、驚くべきレヴェルの外交的無能さが必要だが、トランプはその任務を果たした。

●ステップ4:規範を破り、合意を破棄し、予測不可能になる。(Step 4: Violate norms, abandon agreements, and be unpredictable.

強大国の賢明な指導者たちは、規範や規則、制度が、互いの関係を管理し、弱小国をコントロールするための有用なツールになることを知っている。大国は必要であればルールを書き換えたり、反故にしたりするが、あまりに頻繁に、あるいはあまりに気まぐれなことをすれば、他国はより信頼できるパートナーを探さざるを得なくなる。北朝鮮やフセイン政権下のイラクのように、慢性的なルール破りという評判を得た国家は危険視され、排斥されるか封じ込められる可能性が高い。

トランプとその部下たちは、こうしたことをまったく理解していない。彼らは、国際制度や国際規範はアメリカの力を制限する厄介なものでしかなく、予測不可能であることが他国のバランスを崩し、アメリカの影響力を最大化すると信じている。彼らは、国家間の関係を形成する制度は、そのほとんどがアメリカの利益を念頭に置いて考案されたものであり、こうした取り決めが通常、他国を管理するワシントンの能力を高めていることに気づいていない。ルールを破ったり、主要な国際機関から脱退したりすることは、他国が自国に有利なようにルールを書き換えることを容易にするだけだ。

さらに言えば、予測不可能であることはビジネスにとって悪影響を及ぼす。アメリカの政策が一夜にして変わるようでは、企業は賢明な投資判断を下すことができない。また、信頼性の低さという評判が広まれば、他国は将来的にアメリカとの協力を躊躇するだろう。トランプ大統領が約束にほとんど意味がないことを何度も実証しているのに、トランプ大統領が何かすると約束したからといって、分別のある国がなぜ行動を調整するなどと考えられるだろうか?

●ステップ5:アメリカの力の基盤を揺るがす。(Step 5: Undermine the foundations of American power.

現代世界において、経済力、軍事力、そして国民の幸福は、何よりもまず知識にかかっている。アメリカが何十年にもわたって世界最強の経済大国であり続け、軍事力も強大である主な理由は、その科学技術力(scientific and technological edge)にある。強力な研究機関の必要性こそが、中国がこの分野に数兆ドルを注ぎ込み、世界クラスの大学や研究機関をますます多く設立している理由だ。したがって、アメリカを偉大な国にしたいと願う大統領は、科学の進歩と革新においてアメリカを最前線に維持するためにあらゆる手段を講じるはずだ。

その代わりにトランプは何をしているのか? 政府の要職に科学知識に乏しい人物たちを起用することに加え、第二次世界大戦以降、アメリカにおける知識の創造と科学の進歩に拍車をかけてきた研究機関に対する公開捜査を宣言した。コロンビア大学やハーヴァード大学、プリンストン大学やブラウン大学を、極めて疑わしい理由で標的にしただけではない。米平和研究所を閉鎖し、ウッドロー・ウィルソン国際学者研究センターを解体し、保健福祉省を粛清し、全米科学財団を解体し、数十億ドルの医療研究費を差し止めると脅した。その結果はどうなるだろうか? 科学研究プログラムは閉鎖され、博士課程は削減された。外国人科学者は他の共同研究者を探すだろうし、アメリカは優秀な頭脳の持ち主をこの国で研究させ、働かせることができなくなるだろう。実際、アメリカを拠点とする科学者の中には、自分たちの研究が十分に支援され、尊敬される国に移住する者も出てくるだろう。トランプ大統領は、アメリカの権力、威信、影響力の重要な要素を薪割り機に投入しようとしている。

守るべきなのは自然科学や医学だけではない。社会科学者、地域研究プログラム、人文科学を攻撃することも危険だ。なぜなら、これらの研究分野は、社会が社会問題に対処するための新しいアイデアを生み出す場だからだ。また、新しいアイデアや政策提案が検証され、批判され、誤りが暴かれ、修正される場でもある。偉大な国家を目指すなら、あらゆる政治的立場の学者が既存の経済政策、政治慣行、社会状況を調査し、疑問を投げかけることも必要だ。そうすることで、国民や指導者は何がうまく機能し、何が機能していないかを理解し、代替案を提案・評価できるようになる。政治家があらゆる政治的立場からの反対意見を黙らせたり、無視したりすると、愚かな政策が採用される可能性が高くなり、失敗したとしても修正される可能性が低くなる。だからこそ、独裁者は権力を集中させようとする際に、たとえそれが必然的に国を愚かで貧しくすることになっても、常に大学やその他の独立した知識源を攻撃する。

言い換えると、トランプ政権は、意思決定のあり方について私たちが知っていることのほとんど、そして世界政治について私たちが知っていることの多くを侵害している。集団思考(groupthink)を歓迎し、誠実な政策議論よりも指導者への盲目的服従(blind obedience)を優先している。国家が脅威に対してバランスを取ろうとする自然な傾向を無視し、現在の同盟諸国を疎外し、場合によっては敵に転じるリスクを冒している。ナショナリズムの永続的な力を見落とし、歴史と経済学入門で教えられている保護主義の有害な影響を否定している。アメリカを再び偉大にするどころか、これらの誤りはアメリカを貧しく、弱体化し、尊敬を失わせ、世界における影響力を弱めることになるだろう。

紳士淑女の皆さん、これこそが国の外交政策を台無しにする方法だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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第2次ドナルド・トランプ政権が発足して、まだ半年も経っていないが、既に数多くのことが起きており、また、トランプが起こしており、それに右往左往する毎日と言っても過言ではないだろう。こうした状況に少々疲れているというのが本音だ。「トランプ疲れ(Trump Fatigue)」と言ってもよいだろう。

 第2次トランプ政権が発足する前、高関税やウクライナ戦争停戦へ向けた仲介ということは実行するだろうと考えていた。イスラエルとハマス、イランとの戦闘、ガザ地区の状況については、ジョー・バイデン前政権よりも、よりイスラエル側に立った姿勢となるだろうとは考えていたが、ジェットコースターのように、アメリカが攻撃してみたり、停戦の仲介をしてみたりというようなことが起きるとは思っていなかった。

 下記論稿にあるように、国際関係論やあメリカ政治の専門家であっても、第2次トランプ政権の動きを予測することは難しかった。そして、これからどのようになるかということを正確に予測することは難しい。

 私がこれまでのトランプの動きを見ていて、「過激な発言や過激な行動をした後は必ず引く」「最低限の線は越えない」ということがあると考えている。今回のイランの核開発関連施設に対するアメリカ空軍機での攻撃でも世界に衝撃が走ったが、非常に「管理された」攻撃であると考える。アメリカの攻撃はイスラエルとは違い、イランの都市を狙ったものではなかった。また、一部報道では、イラン側は重要な資源や機材は移動させていたということだ。これは、アメリカがイランに対して、事前に攻撃を通知していたことを示唆している。また、イラン側がカタールにある米軍基地を攻撃する際にも、予め通知していたために、死傷者は出なかった。このように、アメリカとイランは大国らしく今回の状況に対応している。

 中東情勢にとって一番の脅威となっているのはイスラエルだ。イスラエルが中東地域を、そして、世界中に戦争の脅威を与えている。イスラエルがイランに対しての攻撃を行わなければ、今回の状況は生まれていない。現在のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、戦争状態が落ち着いて、退陣するとなれば、家族ぐるみで、汚職などのスキャンダルで逮捕され、これから刑務所暮らしをしなければならない。私から見れば、ネタニヤフは戦争に戦争を重ねて、個人の身の安全を確保している。そして、政権内の極右派を利用している。より正確には、お互いが利用し合っている。イスラエルがアメリカの意向を無視して、不羈奔放に行動することは、世界を危機に陥れる許し難い行為だ。私は、イスラエルとネタニヤフ政権を区別すべきと考えている。このような危険な勢力は一掃されるべきだ。同じことは、ウクライナにも言える。

第2次トランプ政権が成立していろいろなことが起きて、私たちはうんざりしながら、不安を感じている。しかし、トランプは、ギリギリのところで行き過ぎないというバランス感覚があると私は考えている。しかし、ウクライナやイスラエルのような、不確定要素があると、不測の事態が起きる可能性がある。両国については、事態をエスカレートさせないために、政権の交代が肝要と考える。
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ドナルド・トランプ大統領の二期目について私が間違っていたこと(What I Got Wrong About Trump’s Second Term

-私はこれを完全に予想していなかった。その理由は次の通りだ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年3月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/03/10/walt-got-wrong-trump-second-term/

学者や政治評論家たちは、時折自らの予測を振り返り、何が間違っていたのかを考察すべきだ。トム・フリードマン、ジョー・スカーボロー、レイチェル・マドウ、ジャナン・ガネーシュ、ファリード・ザカリア、グレン・グリーンウォルド、アン・アップルバウムといった著名な評論家たちが、前年の予測を誤解したり、見誤っていたりした点を毎年振り返ることができたら、素晴らしいと思わないだろうか? 誰もが絶対的な存在ではない。フィリップ・テトロックの言うように、知識豊富な専門家たちでさえ未来を予測するのは難しいものだ。自らの過ちを振り返ることは常に有益であり、公に行うことで、誰もがその過ちから学ぶことができる。私は過去にも何度かこうした自己批判を行ってきた。そして今、また1つ、自己批判をすべき時が来た。続きを読んで欲しい。

2024年1月、私は「トランプが再び大統領になっても、アメリカの外交政策は大きく変わらないだろう」という記事を『フォーリン・ポリシー』に書いた。2025年3月時点では、それはかなり愚かな予測に聞こえる。問題の一部はクリックベイトの見出し(私が書いたものではない)にあり、実際、当時私が書いたことの一部は正しかったことが証明された。ドナルド・トランプ米大統領はNATOに対して強硬な姿勢を取り(場合によってはNATOから撤退する可能性もある)、ウクライナの和平合意を推進するだろうと私は述べた。しかし同時に、第2次バイデン・ハリス政権も、より慎重かつ責任ある形ではあったものの、和平合意を模索していただろうとも考えていた。カマラ・ハリス前副大統領が当選していたら、まさにそうしていただろうと私は今でも信じている。

トランプの中東政策はバイデンの政策とよく似ているだろうと思っていたが、今のところ、その通りになっている。ジョー・バイデン前大統領と同様に、トランプはイスラエルのやりたい放題を容認している。唯一の違いは、トランプは公平な姿勢を装うことさえせず、民族浄化を単に見て見ぬふりをするのではなく、公然と容認している点だ。また、トランプは中国に対して強硬な姿勢を取っている。これはバイデンが4年間の在任期間中に行ったこと、そしてハリスもほぼ確実にそうしたであろうことだ。トランプは最終的に北京と何らかのグランド・バーゲン(大いなる取引)を試み、台湾を売り渡すことになるかもしれないが、まだその兆候はない。見出しの裏側を読み、記事そのものを読んでみると、それほど馬鹿げた話には思えない。

そうは言いながら、私がいくつか重要な点を間違えたことは間違いない。

私は、主要な民主政体同盟諸国に対するトランプの敵意を過小評価していた。NATO加盟諸国がアメリカの保護に過度に依存していると考えているのは明らかだった(これは近年の米大統領全員が共有している見解だ)。しかし今や、トランプがこれらの国々が体現する民主政治体制の原則に積極的かつ深く敵対し、それらの国々の内部で非自由主義的な勢力を公然と奨励していることは明らかだ。数週間前に書いたように、政権によるヨーロッパ極右の融和は、ヨーロッパ全土で一種の体制転覆(a form of regime change)を推進し、事実上MAGA化を図り、ヨーロッパ連合を有意義な政治機関として破壊しようとする試みだ。トランプがハンガリーのヴィクトル・オルバン首相のような非自由主義的な指導者と親和性があることは知っていたし、スティーヴ・バノンのような人々が極右運動の国境を越えた連合を築こうとしていることも知っていたが、私はそれらの勢力を十分に真剣に受け止めていなかった。

第二に、トランプが和平合意を推進し、最終的にはウクライナへのアメリカの支援を削減するだろうと考える理由は十分にあったものの、彼がロシアのウラジーミル・プーティン大統領の立場をこれほど熱心に受け入れ、ウクライナが戦争を始めたと非難し、あるいはウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領を公然と攻撃するとは予想していなかった。実際、トランプの行動には何らかの戦略的な根拠があるのか​​もしれない。つまり、戦争を止め、最終的にロシアと中国の間に亀裂を生じさせる唯一の方法は、プーティンの望むものを全て与えることだと、彼は心から信じているのかもしれない。しかし、だからと言って、このアプローチが意図した通りに機能するとは限らない。また、この行動がアメリカの地位とイメージに及ぼす長期的な影響も無視している。ハリス政権であれば、ウクライナに対し、より現実的な目標を掲げ、停戦を求めるよう圧力をかけただろうと私は依然として考えている。しかし、ハリスはウクライナ政府とNATOと協力して、可能な限り最良の合意を導き出し、ウクライナを安易に見捨てることはなかっただろう。

第三に、トランプが極めて型破りな経済政策に賭ける意向を私は過小評価していた。関税の脅威を交渉材料として使うことは予想していたが、貿易戦争を始めればアメリカ経済に打撃を与え、自身の政治プログラム全体を危険に晒すことをトランプ(あるいは彼の顧問たち)は理解していると思っていた。昨年11月の選挙後、トランプの経済ティームの大半が(トランプは理解していないが)、基本的なマクロ経済学を理解している良識ある人々のように見えたので、私は一時的に安心していた。そして、ピーター・ナヴァロのような変人は影響力が薄いだろうと思っていた。しかし今となっては、その考えが間違っていたと思う。より深く理解しているべき当局者たちがトランプのナンセンスを繰り返すばかりで、ナヴァロの主張は大統領の耳に届いているようだ。もしトランプに投票したのであれば、物価上昇、財政赤字の拡大、投資ポートフォリオの縮小、そしてセーフティネットの崩壊を歓迎してくれることを願っている。

最後に、トランプのルールや規範に対する軽蔑は、大統領選挙に出馬するずっと前から既に確立されていたものの、第二次世界大戦後の秩序において最も確立された原則のいくつかを彼が軽視する姿勢には驚かされる。グリーンランドの武力奪取、パナマ運河地帯の再占領、カナダ併合、ガザ地区のパレスティナ人の民族浄化といった脅しは、いずれも数十年にわたり広く受け入れられてきた原則の重大な侵害である。これらの原則は、アメリカが概ね尊重し、頻繁に擁護し、多大な恩恵を受けてきたものでもある。更に言えば、トランプがこれらのルールを破っているのは、アメリカが深刻な国家非常事態に直面しているからではない(そうなれば、他国がワシントンに一時的な猶予を与えやすくなる)。彼は、独裁政治(autocracy)が台頭し、指導者たちがやりたい放題の世界の方がアメリカにとってより良い場所になると考えているため、秩序全体を破壊しようとしている。アメリカを国際秩序の守護者から悪意あるならず者国家に変えるなんて、私の予想外のことだったと率直に認める。

もし過去に戻って以前のコラムを書き直せるなら、別の(そしてもっと力強い)警告を発するだろう。弁明しておくと、トランプがアメリカ国内政治に及ぼす影響は有害だと確かに述べていたし、選挙直前に掲載したコラムでは、トランプをアメリカの憲法秩序と民主政治体制そのものに対する深刻な脅威と評した。しかし、当時でさえ、トランプの国内政策がどれほど過激で自滅的なものになるか、そして連邦議会や多くの企業幹部がどれほど喜んでそれに屈服するかを過小評価していた。また、究極の「選挙で選ばれていない政府高官(unelected government official)」であるイーロン・マスクが、トランプ2.0において、他に類を見ないほど破壊的な役割を果たすとは予想していなかった。

しかし、トランプの再選が大きな問題となることは明らかだった。ああ、もし私がこのことについて間違っていたらどんなに良かったことか。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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 ドナルド・トランプ大統領は、イラン国内の3カ所の核開発関連施設攻撃を承認した。中東地域は緊迫の度を高めている。イランがホルムズ海峡の封鎖まで踏み切れば、世界経済に大きなダメージを与えることになる。アメリカが石油を増産しても需要に追い付かないだろう。そして、アメリカは逆にそうした機会(原油価格の急激な高騰)を利用して、高値で同盟諸国に原油を売りつけるだろう。

 トランプ大統領に強くイラン攻撃を進言したのは、マイク・ハッカビー(Mike Huckabee、1955年-、69歳)駐イスラエル米大使だ。マイク・ハッカビーという名前はアメリカ政治に詳しい人だったら名前を知っているだろう。マイク・ハッカビーは1996年から2007年までアーカンソー州知事を務めた。2008年の大統領選挙では、共和党予備選挙に出馬し、善戦した。ハッカビーは福音派の牧師という一面も持つ。娘のサラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders、1982年-、42歳)は2017年から2019年まで、第1次ドナルド・トランプ政権で、ホワイトハウス報道官を務め、2022年からは父と同じ、アーカンソー州知事を務めている。

 福音派(Evangelicals)はキリスト教プロテスタントの一派で、聖書にもとづく信仰を基盤とし、聖書で起きるとされることを信じている。従って、聖書に書かれているパレスティナの地でユダヤ人による国家が建設されることを徹底的に支持している。そして、その後に来るのはハルマゲドン、善と悪の最終決戦で、自分たちが救われて、自分たち以外は地獄に落ちて責め苛まれることになるという信仰を持っている。これを敷衍すれば、彼らはハルマゲドンの到来を待ち望んでいる。彼らの世界観からすれば、核兵器の使用を伴う世界規模での戦争はハルマゲドンにつながるということになる。
 トランプ派、こうした考えを持つ、福音派のハッカビーを駐イスラエル米大使にした。そして、今回のイランに対する攻撃の前に、ハッカビーは、トランプを「激励する」内容の文章を送り、トランプはそれをSNSに投稿した。マイク・ハッカビーの「激励」には、トランプを1945年のハリー・トルーマン大統領になぞらえる描写がある。これはつまり、「あなたはトルーマンがやったように、核兵器使用の決断をする」ということになる。トランプにイランに対する核兵器使用を決断することを示唆している。

 トランプのイラン攻撃は、核開発関連施設に限定されたもので、イランからの報道によると、核開発の原材料などは攻撃前に別の場所に移動してあったということだ。私は今回の攻撃は「管理された」攻撃だと考えている。マイク・ハッカビーを代表とする福音派=キリスト教シオニストたちとイスラエルの顔を立てつつ、事態がエスカレートしないようにしたいということだと考える。しかし、不測の事態が起きればどうなるかは分からない。アメリカでも大きな勢力を持つ福音派をトランプも無視はできなかっただろうが、それ以上のことは望まないだろう。

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ハッカビーがトランプはイランに核攻撃を仕掛け、「天」からの導きに従うべきだと示唆(Huckabee Suggests Trump Should Nuke Iran, Follow Guidance From “Heaven”

-福音派の牧師であり駐イスラエル米大使でもあるハッカビーが、トランプに対し、戦争に関する導きを「天から聞くだろう(will hear from heaven)」と語った。

シャロン・ジャン(『トゥルースアウト』誌)筆

2025年6月17日

『トゥルースアウト』誌

https://truthout.org/articles/huckabee-suggests-trump-should-nuke-iran-follow-guidance-from-heaven/

駐イスラエル米大使マイケル・ハッカビーは、ドナルド・トランプ大統領に対し、イランに対して核爆弾を使用するべきだと示唆し、イスラエルのイラン戦争に関する決定を下す際には「天から聞こえる(hear from heaven)」声に耳を傾け、その導きに従うよう強く求めた。

火曜日、トランプ大統領はSNSのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、ハッカビー大使から送られてきたという長文のテキストのスクリーンショットを投稿した。ハッカビーは福音派(evangelical)でキリスト教シオニスト(Christian Zionist)であり、トランプはハッカビーを「偉大な人物!(Great Person!)」と称賛している。
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ハッカビーは、この文章の中で、トランプが現在、アメリカをイラン攻撃にさらに関与させるべきかどうかという決断を下している現状は、1945年にハリー・トルーマン大統領が直面した決断に似ていると述べている。1945年、トルーマン大統領は広島と長崎に2発の原爆を投下し、日本の何十万人もの罪のない人々を殺害し、2つの都市を壊滅させた。

ハッカビーはさらに、トランプを説得するのではなく「勇気づける(encourage)」のだと述べた。さらに次のように書いた。「神はペンシルヴァニア州バトラーで、あなたをこの1世紀、いやおそらく史上最も影響力のある大統領にするために生かした。私の生涯で、あなたのような立場に就いた大統領はいない。1945年のトルーマン大統領以来だ」。

この支離滅裂なメッセージは、イスラエルがイランの核兵器開発計画を標的として開始した戦争において、トランプがイランに核爆弾を使用するべきだと示唆していることを考えると、極めて皮肉なものだ。ただし、これまでの標的と犠牲者の大半は民間人だ。

ハッカビーはまた、トランプに対し「神の声(HIS voice)」に耳を傾けるよう促し、この問題について「天から聞くだろう(will hear from heaven)」と述べている。これは明らかに神の声を指している。

アメリカの多くの福音派キリスト教徒たち(evangelical Christians)と同様に、ハッカビーもキリスト教シオニストであり、終末の預言(the end-times prophecy)とイエス・キリストの再臨(second coming of Jesus Christ)を実現するためには、イスラエルがパレスティナを支配しなければならないという信念を抱いている。そうなれば、キリストは新時代にイスラエルを統治し、全ての人々がキリストを崇拝するか、滅ぼされて地獄に堕ちるかのどちらかになる。

キリスト教シオニストの一部は、パレスティナの完全支配を目指すイスラエルを破壊しようとするイランのような敵国に対し、イスラエルは優位を主張すべきだと公然と説いている。ハッカビーは、占領下のヨルダン川西岸地区をユダヤとサマリアと呼ぶことや、「パレスティナ人など存在しない」と発言したことで激しく批判されている。

10年以上にわたり米国にイランとの戦争を訴えてきたリンジー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)は、ハッカビー氏の発言を称賛し、「まさにその通りだ」と述べた。

Sen. Lindsey Graham (R-South Carolina), who has spent over a decade urging the U.S. to enter into a war with Iran, praised Huckabee’s text, saying it is “spot on.”

「今こそ中東におけるこの恐ろしい章を終わらせ、新たな章を始める時だ」とグラハム議員は述べ、イランの政権交代という古くからのネオコンの幻想に言及しているようだ。

It is now time to end this terrible chapter in the Middle East and start a new chapter,” said Graham, seemingly referring to an old neo-conservative fantasy of regime change in Iran.

この文書は、トランプ大統領を刺激してイランに極端な武力を行使させようとするものだが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプ大統領にイラン攻撃を公然と促し、現在のアメリカ軍による防衛支援に加えてイスラエルにさらなる支援を与えているという微妙な時期に出されたものだ。

トランプ大統領が火曜日に、イランは核兵器の開発を進めていないというアメリカ情報機関の評価を一蹴した発言と同様に、ハッカビーがより高次の目的を掲げたことは、ジョージ・W・ブッシュ大統領がイラク戦争を開始した際の奇妙な理由を彷彿とさせる。アメリカによるイラク侵攻開始からわずか数カ月後、ブッシュ大統領はイスラエル・パレスティナ首脳会談で、「神からの使命に突き動かされている(driven with a mission from God)」と述べたと報じられている。

トランプ大統領の次の動きは不透明だ。彼は繰り返し、イランに核合意という政権の要求に屈服させることが目標だと述べている。火曜日、彼はトゥルース・ソーシャルに「完全なる降伏(COMPLETE SURRENDER)」と投稿した。

トランプ大統領は、JD・ヴァンス副大統領か、中東担当特使のスティーヴ・ウィトコフを交渉に派遣する可能性があると述べている。『アクシオス』誌が引用した情報源の話によると、トランプ大統領は火曜日にホワイトハウスのシチュエーションルームで国家安全保障ティームと戦争について会議を行う前に、イランへの攻撃を検討していたと伝えられている。

※シャロン・ジャン:『トゥルースアウト』誌政治、気候、労働担当ニューズライター。『トゥルースアウト』誌に参加する前、『パシフィック・スタンダード』誌、『ザ・ニューリパブリック』誌などに記事を掲載してきた。環境学で修士号を取得している。ツイッターとブルースカイでアカウントを持っている。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 第2次ドナルド・トランプ政権の重要政策は南部国境警備で、不法移民対策だ。その一環として、政権発足直後から、米移民・関税執行局(ICE)による大規模な捜査、摘発、強制送還を行っている。これに対して、最近になって、ロサンゼルスでの抗議活動が行われ、トランプ政権自体に対する抗議活動が全米に広がっている。トランプの政策は軒並み不支持率が高いが、移民対策だけは支持率が高い。そのために、厳しい取り締まりを続けると私は考えていた。

 しかし、アメリカで生活をしてみると分かるが、不法移民がいなければビジネスが立ち行かないという産業分野がある。レストランの下働きやホテルでシーツを替えたり、部屋の掃除をしたりするメイド、農場で農作業を行う人々、建設現場で働く人々など、低賃金で、長時間の労働を強いられる厳しい労働において、不法移民は重要な労働力となってきた。不法移民が低賃金で働くことで、サーヴィスや物の値段が抑えられている。

私がロサンゼルスに住んでいた時、毎朝、あるホームセンターの一角にヒスパニック系の人々がたむろしている様子を見ていた。それは、その日にそこで仕事を得ようとしている人々だった。彼らは不法移民だった。彼らは偽造されたソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保障番号)のカードを持っていて、それで仕事をしようとしていた。アメリカでは何にでもソーシャル・セキュリティ・ナンバーが必要で、私もティーチング・アシスタントをする際に取得した。

 トランプ大統領はこうした特定のビジネス分野に関して、不法移民の捜査の一時停止を示唆した。それに対して、厳しい取り締まりを行うべきだと主張する政治家たちもいる。第2次トランプ政権の国境問題担当の責任者トム・ホーマンは、「良い暮らしをしたいということで人々がやってくるのは理解できる。ここに仕事がなければ来なくなる」という趣旨の発言をしている。アメリカ人が不法移民と同じ条件で働くならば、事業者たちもアメリカ人を雇うだろう。それでは実際にはどうだろうか。それは無理だ。厳しい労働環境で仕事を続けられる人は少ないだろうし、そもそも低賃金だ。アメリカ人が働いてくれない以上、不法移民に頼らざるを得ない。

 私は、アメリカ大統領選挙期間中、トランプはアメリカ人にきちんと働けということを言っているのだと感じた。トランプは「自分が製造業で仕事を作ってやる。みんなが働きたいと言うから。仕事があるのだから文句を言わずに働いてきちんと生活しろ」と述べていると感じた。しかし、それも限界がある。非常に厳しい仕事をアメリカ人はやりたがらないし、そもそもできない。ここに大きな矛盾がある。大きな声でスローガンだけを叫ぶ時期は過ぎつつある。アメリカ人は楽に稼ぐと考えを改めねばならないだろうが、おそらく無理だろう。そして、そうやって国は衰退していく。近代ヨーロッパの世界支配が始まって、覇権国となった国々に共通しているのは、最後には金融や投資に向かって、衰退していったということだ。アメリカもそうなっているし、日本もそうなっている。そうやって衰退していく。

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ドナルド・トランプ政権によるICEの特定産業への捜査一時停止についてコットン議員は次のように述べた:「いかなる種類の執行も撤回すべきではないと思う」(Cotton on Trump ICE pause on select industries: ‘I don’t think we should pull back on any kind of enforcement’

エルヴィア・リモン筆

2025年6月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5351853-tom-cotton-trump-ice-pause-select-industries/?tbref=hp

トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は日曜日、ドナルド・トランプ政権が米移民・関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)に対し、農業、ホテル、飲食業界の労働者に対する強制捜査の一時停止を指示したことを受け、ICEは「いかなる種類の執行も手控えるべきではない」と述べた。

コットン議員はCBSニューズの「フェイス・ザ・ネイション」に出演し、マーガレット・ブレナンに対して、アーカンソー州内の農業産業の状況を考え、この措置に賛成かと問われた際、「職場における強力な執行が必要だ(we need to have robust worksite enforcement)」と述べた。

コットン議員は次のように述べた。「いかなる種類の執行も手控えるべきではないと思う。あらゆる産業における職場における執行は前進していく必要がある。そして、最前線で働くICE職員は、政治指導者たちの支援を必要としている」。

国土安全保障省(Department of Homeland SecurityDHS)は土曜日、ニューズネイション(NewsNation)への声明で、強制送還政策の転換を認めた。これはトランプ大統領がトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で「変化は起こる(changes are coming)」と示唆してから数日後のことだ。

トランプ大統領は木曜日に「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー産業の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、非常に優秀で長年働いてくれる労働者が奪われており、それらの仕事の代わりはほとんど不可能だと主張している」と書いた。

トランプはさらに「これは良くない。農民を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は起きる!」と付け加えた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、国土安全保障省当局者たちは、強制退去と拘留に関してはホワイトハウスの指示に従うと述べた。

国土安全保障省(DHS)のトリシア・マクラフリン報道官は、「大統領の指示に従い、最悪の犯罪者である不法移民たちをアメリカの街から排除するために引き続き取り組んでいく」と述べた。

=====
トランプ大統領がICEに特定産業への捜査を一時停止するよう指示した(Trump directs ICE to pause raids against certain industries

アシュレイ・フィールズ筆

2025年6月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5350734-trump-ice-hotel-agriculture-restaurant-raids/

ドナルド・トランプ政権は、米移民・関税執行局(ICE)に対し、農業、ホテル、飲食業界の労働者に対する強制捜査を一時停止するよう指示したとニューズネイション(NewsNation)が確認した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙が最初に報じたところによると、ICEの上級職員であるテイタム・キングは木曜日、地域の指導者たちに宛てたメッセージで、「本日より、農業(水産養殖および食肉加工工場を含む)、レストラン、そしてホテル経営における全ての現場強制捜査・捜査活動を一時停止するように」と述べた。

国土安全保障省(DHS)は、トランプ大統領がトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で「変化が起きる」と示唆した数日後、ニューズネイションへの声明で、国外退去政策の転換を認めた。

トランプ大統領は木曜日に「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー業界の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、非常に優秀で長年働いてきた労働者の職が奪われており、それらの仕事の代わりを見つけることはほぼ不可能だと主張している」と書いた。

トランプ大統領は「これは良くない。農民を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は起きる!」と付け加えた。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、国土安全保障省当局者たちは、強制退去と拘留に関してはホワイトハウスの指示に従うと述べた。

国土安全保障省のトリシア・マクラフリン報道官は「大統領の指示に従い、最悪の犯罪者である不法移民たちをアメリカの街から追放するために引き続き尽力する」と述べた。

当局はここ数日、カリフォルニア州全域で複数の職場への家宅捜索を実施しており、一部の従業員が米移民・関税執行局(ICE)によって迅速に拘留されたため、事業主たちは動揺している。

カリフォルニア州の収容施設における非人道的な環境と過密状態への懸念が高まる中、家宅捜索を受けて全米で大規模な抗議活動が勃発している。

トランプ大統領は、ロサンゼルスで騒乱が続く中、州兵と海兵隊をカリフォルニア州に派遣した。
=====
ホーマンはドナルド・トランプ政権が職場における移民執行を強化すると述べている(Homan says Trump administration to ramp up workplace immigration enforcement

アシュレイ・フィールズ筆

2025年6月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5347195-homan-says-trump-administration-to-ramp-up-workplace-immigration-enforcement/

ドナルド・トランプ大統領の国境担当責任者トム・ホーマンは水曜日、「セマフォー」とのインタヴューで、職場における移民操作執行が「大幅に拡大する(massively expand)」と述べた。

ホーマンの発言は、ロサンゼルスの抗議者たちがトランプ政権による広範な国外追放推進に抗議するデモを続ける中、米移民・関税執行局(ICE)の職員たちがネブラスカ州の食肉加工工場で働いていたとされる不法移民数十人を強制送還した数日後に行われた。

ホーマンはセマフォーに「彼らはより良い生活と仕事を求めてここに来ており、その気持ちは理解できる」と語った。

ホーマンは「こうした磁石を取り除けば取り除くほど、来る人は減る。仕事が見つからなければ、ほとんどの人は来ないだろう」と付け加えた。

移民研究センターによると、合法的な滞在資格を持たない移民のほとんどは、配達ドライヴァー、農業、サーヴィス業などの分野で仕事を見つけることができる。

農家や食品配達会社は、合法的な滞在資格を持たない移民の強制送還に不満を表明し始めており、強制送還は労働力と事業運営を脅かすと主張している。

トランプは木曜日のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、「我が国の偉大な農家やホテル・レジャー産業の人々は、我が国の非常に積極的な移民政策によって、優秀で長年働いてきた労働者の職が奪われ、その仕事の代わりはほとんどいないと主張している」と述べた。

「多くの場合、非常に愚かなバイデンの国境開放政策によって我が国への入国を許可された犯罪者が、これらの仕事に応募している。これは良くない。私たちは農家を守らなければならないが、犯罪者たちをアメリカから追い出さなければならない。変化は必ずやってくる」と付け加えた。

しかしながら、3月にドアダッシュ(DoorDash)は、移民政策の変更が自社のビジネスモデルに悪影響を及ぼす可能性があると警告した。

ドアダッシュは米証券取引委員会(SEC)への提出書類の中で、「移民法、労働法、雇用法を含む特定の法律や規制の変更、あるいはプラットフォームへのアクセスを制限し、アクセスを低下させるような変更(プラットフォームへのアクセスを制限、または特定の法域におけるダッシュ利用者(Dasher)への柔軟性提供を制限する変更を含む)は、ダッシュ利用者のプール減少につながり、ダッシュ利用者獲得の競争激化や採用・雇用コストの上昇につながる可能性がある」と述べている。

さらに、「ダッシュ利用者の獲得、既存の​​ダッシュ利用者を有利な条件で維持、または既存のダッシュ利用者によるプラットフォームの利用維持・増加に失敗した場合、加盟店や消費者の需要に応えられなくなり、当社の事業、財務状況、および業績に悪影響が及ぶ可能性がある」と付け加えている。

火曜日にICEの強制捜査を受けたネブラスカ州の事業主は、従業員たちの身元確認のため、国土安全保障省が管理するシステムであるE-Verifyを利用して、従業員たちが合法的にアメリカに滞在していることを確認するよう努めていると語った。

しかしながら、当局は家宅捜索の後、システムが「壊れている(broken)」と告げ、求職者たちを適切に処理する方法が分からなくなってしまった。

グレン・バレー・フーズのチャド・ハートマン社長はAP通信の取材に「一体どうすればいいのか? これは政府によって運営されている、あなたたちのシステムだ。なのに、システムが機能していないから私を家宅捜索するのか?」と語った。

米移民・関税捜査局(ICE)の職員は、採用の最善の方法を見つけるのを手伝うと彼に伝えた。一方、トランプ大統領は木曜日、強制送還によって混乱を招く可能性のある農場労働者たちのための「常識的な(common sense)」政策を保証する大統領令に署名すると約束した。

トランプ大統領は記者団に対して、「私たちの農家は大きな打撃を受けている。彼らには非常に優秀な労働者がいる。彼らは20年間、私たちのために働いてきた。彼らはアメリカ市民ではないが、素晴らしい人材に成長した」と語った。

トランプは「農民とその住民全員を連れ戻し、彼らを送還することはできない。なぜなら、彼らは持つべきものを持っていないかもしれないし、持っていないかもしれないからだ」と述べた。
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