古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: アメリカ政治

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 このブログでは、アメリカでアレックス・ガーランド監督の映画「シヴィル・ウォー(Civil War)」が公開初週で興行成績1位を記録する大ヒットとなっていることを紹介した。アメリカ内戦(第二次南北戦争)について、アメリカ国民は、その可能性を肌で感じている。「そんな馬鹿なことがある訳がない」と考えるのも理解できるが、アメリカではそれだけ、人々の不満が溜まっており、社会の分断が進んでいる。

 アメリカの民間人が銃を保持できることは日本でも知られており(アメリカが州国憲法で保障されている)、そのために銃による犯罪が多く、犠牲者も多く出ているのだという主張につながる。また、政府に対する抵抗の権利も認められている。イギリス軍と戦って独立を勝ち取ったのは、ミニットマン(minutemen)自分たちで武装した民兵たち(militia)の活躍があったからだということもあり、民兵組織も認められている。武器や軍事訓練は、日本に住む私たちが想像するよりも身近にある。また、アメリカ軍の退役軍人たちも身近な存在だ。

こうして見ると、今回の大統領選挙で、ジョー・バイデン、ドナルド・トランプ、どちらが勝利を得ても、「不正選挙だ(選挙を盗まれた)」という不満が爆発すれば、武装勢力による反乱が起きる可能性は無視できない。彼らは警察力も凌駕する力を持つだろう。しかし、アメリカ軍が出動すれば、鎮圧されるだろう。問題は、アメリカ軍内に、どれほどの不満が溜まっていて、選挙結果によって、動くかどうかということだ。日本で言えば、226事件(1936年)のようなことが起き、最悪の場合には、アメリカ軍同士相撃つ(226事件の時は、皇軍相撃つという言葉が使われた)という最悪の状況になるかどうかだ。こうなれば、立派な内戦状態である。

 アメリカ内戦の可能性、分裂の可能性については、2019年に副島隆彦が著書『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒』(秀和システム)の中で指摘している。そんな馬鹿なということが一般的な受け止めであったが、5年経って、2024年大統領選挙が近づくにつれて、そうした危険性が肌で感じられるようになっている。
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国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒

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 あらゆる可能性を排除せず、起きるものと考えて、私たちは最悪の事態に備えることだ。アメリカ国内情勢が不安定になれば、アメリカの景気は崩れる、そして、アメリカ国債とドルへの信頼は大きく低下する。その時にこそ、「有事の金」ということになるだろう。「有事の金」として有事の際に使うためには、「平時の金」から備えておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

●「米国は新たな内戦の瀬戸際にあるのか」

CNN 2024.03.25 Mon posted at 18:37 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35216868.html

(CNN) 2024年に入ってから3カ月、どうやら政治の暴力にまつわる悲惨な予言は、今や我が国の主流派と同様に過激な非主流派からも共通して発せられるようだ。トランプ前大統領は、恐らくこれまでで最も声高に叫ぶ予言者だろう。もし自分に対する刑事告訴が24年大統領選の敗北につながることがあれば、「国に混乱が起きる」と警告している。最近では、見たところありふれた政治上の手続きでさえも、結果として暴力の兆しになることがある。米連邦最高裁が1月にバイデン政権の側に立ち、連邦政府の国境監視員に対してテキサス州が設置した蛇腹形鉄条網の撤去を認めた時には、選挙で選ばれた公職者の一部から内戦の前触れだと指摘する声が上がった。24年に向けた脅威に関する声明の中で、国土安全保障省は他の脅威と共に、同年の選挙が「潜在的暴力の重要事象」になると予想している。

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ブルース・ホフマン

22年の著書「アメリカは内戦に向かうのか」の中で、名高い政治学者のバーバラ・F・ウォルター氏は米国の状況について、誰が想定するよりも内戦に近づいていると主張する。原因は政治的過激主義と分極化、社会的及び文化的部族主義、大衆による陰謀論の受容、銃器並びに重武装した民兵組織の拡散、政府とリベラル志向の西側民主国家に対する信頼の衰えといった事象の有害な混在だ。重要な要因の中で、ウォルター氏は加速主義に言及。それは「現代社会はもはや救いようがなく、終焉(しゅうえん)を早めなければならないという終末論的な信念、あるいは新秩序を実現するためにこそ終焉を前倒しすべきとする考えを意味する」。

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ジェーコブ・ウェア

加速主義は白人至上主義者、白人ナショナリスト、人種差別主義者、反ユダヤ主義者、外国人嫌い、反政府の民兵といった層に支持され、革命を高らかに呼び掛ける思想と捉えられている。彼らが熱烈に信じているのは、現代の西側リベラル国家が大変に堕落した無能な存在であり、取り返しのつかない状態だという言説だ。それを破壊し、新たな社会と統治様式を作り上げなくてはならないと彼らは考える。

西側が崩壊の崖っぷちにいるとされる中、加速主義の支持者らは、民主主義を追い詰めて忘却の淵に落とし込むには暴力的な反乱が必要だと主張する。破壊を前倒しすることによってのみ、白人の支配する社会と新秩序の出現が可能になる。それが彼らの思考だ。対立と分極化を扇動するため、暴力的な攻撃を人種的少数派、ユダヤ人、リベラル派、外国人の侵入者、権力エリートに仕掛ける。そして既存の秩序に地殻変動的な崩壊を引き起こし、2度目の内戦を誘発するのが加速主義の常套(じょうとう)手段に他ならない。

しかしこのテロリスト戦略は、実際のところ長い伝統の一部となっている。過激で事態を不安定化させる極右の暴力が、そうした伝統を作り上げてきた。その理由を理解し、それらの事象をより広範な文脈で捉えるには、21年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件をある軌跡におけるもう一つの節目と見なす必要がある。その軌跡は1970年代後半に端を発し、80年代を通じて勢いを増した。95年のオクラホマシティー連邦政府ビル爆破事件の後、法執行機関による全国的な取り締まりに続いて進化は失速したが、バラク・オバマ氏が2008年に大統領に選出され、同年の金融不況が米国に衝撃を与えると、新たな目標が注入された。さらにその後、10年代に入るとそれはソーシャルメディアにより武器化された。熱狂的な言説と政治の分極化も追い風になり、米国を分断し続けた。

国家安全保障会議(NSC)の元メンバー、スティーブン・サイモン氏とジョナサン・スティーブンソン氏は、北アイルランドと中東における宗派間の争いについて深い知識を有する。彼らも同様に、米国が簡単に内戦に突入する恐れのある状況を説明している。彼らは執筆した記事の中で次のように書いた。米国は「今や『不安定均衡』の状態にあるようだ。これは本来物理学の用語で、わずかに移動した物体が別の力を引き起こし、元の位置から一段と遠ざかる現象を意味する」。この状態は、暴力行為が米国を混沌(こんとん)と無秩序に追いやるリスクを高める。加速主義者らが望んで止まない事態だ。

最も陰鬱(いんうつ)な評価はしかし、カナダ人ジャーナリストのスティーブン・マーシュ氏が22年の著書「The Next Civil War:The Dispatches from the American Future」の中で行ったものだろう。同氏は新たな米国の内戦は避けられないと主張している。「米国は終わりつつある。問題はどのようにして終わるかだ」(マーシュ氏)。同氏の見解では、「米国は宗派対立のようなものに陥っていく。そうした状況が見られるのは通常、暴力の歴史を抱える貧困国であって、世界で最も長続きする民主主義と世界一の経済力を誇る国ではない」。

過熱気味の人騒がせな主張かもしれないが、これらの不安の背後には一抹の真実以上のものが存在する。米メリーランド大学の民主主義・市民関与センターと米紙ワシントン・ポストが21年に調査したところ、民主党支持者のほぼ4分の1、共和党支持者の4割は政府に対する暴力の行使が「多少なりとも正当化できる」と考えていることが分かった。

この質問に対する回答の割合としては、過去20年以上で最も高い水準となった。これらの懸念がほとんど軽減されていないのは、最近ポスト紙とメリーランド大学の同センターが24年に入ってから行った新たな調査で分かる。「共和党支持者は21年の時点と比べ、議事堂に突入した人々により同情的で、トランプ氏に襲撃の責任はないと考える傾向も高まっている」と、ポスト紙は報じた。

しかし世論調査にしろ予測にしろ、実際に起きることを予言するわけではない。我々は内戦の可能性が比較的低いと考えているが、その理由の大部分は米国の政治的分断がもはや北部対南部のような明確な地理的分類に落とし込めない点にある。また分断は、奴隷制のような単一の争点を中心に繰り広げられているわけでもない。それでも米国は目下、別の種類の脅威に直面している。単純な赤い州(レッドステート:共和党の強い州)と青い州(ブルーステート:民主党の強い州)の違いや都市対地方の構図に従うことなく、異なる暴力の形態が、組織化された分離主義というよりも持続的な全国規模のテロ行為として顕在化する公算が一段と大きい。

忘れてはならないのは、民間の手にある銃器の数で、米国は世界のトップに立っているということだ。しかも他国を大きく引き離して。米国は世界人口の4%しか占めていないが、スイスを拠点とする独立系の調査プロジェクト、スモール・アームズ・サーベイによると、世界中の銃器のざっと4割がそこに集中している。米国で民間人が所持する銃器の数は推計3億9300万丁。国民1人当たり1丁以上所持している計算だ。実際のところ、米国における民間所有の銃器の数は、他の上位25カ国を合わせた数を上回る。20年に米国で購入された銃器の数は2300万丁近くと、記録が残るどの年よりも多かった。サイモン氏とスティーブンソン氏は、こうした米国における民間所持の武器の拡散が「リーダーのいない抵抗を一層実行可能なものにしている」と分析する。その抵抗は20世紀後半に民兵の理論家が支持。現在は極右や反権威主義的なブーガルー運動(アロハシャツを着た彼ら)が掲げるのが典型となっている。

事実、個人の銃所持の権利を認めた合衆国憲法修正第2条を最も熱烈に擁護する人々の一部は、新たな内戦に向けた自分たちの願望を表明している。銃の権利は1990年代初めの民兵運動を刺激し、ティモシー・マクベイが95年のオクラホマシティー連邦政府ビル爆破事件を起こすのを思い立つ上で重要な役割を果たした。この事件は2001年の米同時多発テロ発生まで、米国内で最も多数の死者を出したテロ攻撃だった。

仮に米国が実際の内戦を回避するとしても、様々な暗いシナリオを想像するのは難しいことではなく、広範にわたって一連の政治的暴力が起きる恐れがある。そうなれば国の安定は失われ、既存の分断は一段と固定化。政府が市民を守る能力にも深刻な問題が生じるだろう。米国における民主主義的規範の崩壊を扱った23年の著書の中で、当時外交問題評議会(CFR)の会長だったリチャード・ハース氏が提起した可能性は、米国が北アイルランドで長年続いた流血の宗派紛争「トラブルズ」のパターンに直面するというものだ。

ハース氏は次のように警告する。「仮に我々が恐れるべきモデルが存在するとすれば、それは北アイルランドとトラブルズに由来する。1960年代後半に始まった30年に及ぶ争いには、数多くの準軍事組織、警察、兵士が関与し、結果的に約3600人が死亡。地元の経済生産は激減した」。米国の主導的な白人至上主義者らは、内戦と暴動を誰よりも擁護する部類の人々だが、彼らは北アイルランドを手本として引き合いに出してきた。そして現地の有力なテロ組織、アイルランド共和軍(IRA)を、模倣する価値ありと見なしている。「すぐに我々自身にとっての『トラブルズ』が広がっていくだろう」。米国の極右暴力地下組織を率いた初期のリーダーの一人、ロバート・マイルズ氏は、古代スカンジナビア語の暗号名「Fafnir」を名乗り、80年代のオンラインフォーラムでそう書いている。「IRAの活動パターンはこの国の各地で見られるようになるだろう。(中略)すぐに米国はアイルランドの再現となる」(マイルズ氏)

最終的に2020年大統領選の結果を承認することには成功し、翌年1月6日に連邦議会議事堂への突入に加わった暴徒は1000人以上が逮捕された。これらの少なくとも半数は裁判で有罪を認める、もしくは有罪判決を受けている。また22年中間選挙の周辺の出来事は、大半が平和的なものだった。にもかかわらず、米国における極右テロの脅威は続いている。

長きにわたる歴史的な軌跡が議事堂襲撃事件で頂点に達し、陰謀論の拡散と横行は継続。人種差別主義、反ユダヤ主義、外国人嫌いも高まりを見せ、既に米国内の政治的、社会的言説に入り込んでしまった。容易に銃器が手に入る環境も相まって、銃乱射や重要インフラへの攻撃、爆破などといった政治的動機に基づく国内での暴力が新たに行使される可能性は、退けることも無視することもできないのが実情となっている。

ブルース・ホフマン氏は外交問題評議会(CFR)の対テロ及び国土安全保障担当シニアフェローで、ジョージタウン大教授。ジェーコブ・ウェア氏はCFRのリサーチフェローで、ジョージタウン大学とデセールス大学の非常勤教授を務める。本稿は一部、両氏の近著「God,Guns, and Sedition: Far-Right Terrorism in America」を出典とする。記事の内容は両氏個人の見解です。

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●「「5年以内に内戦の可能性」 米有権者4割が回答 保守系調査会社」

毎日新聞 2024/5/11 10:49(最終更新 5/11 20:07

https://mainichi.jp/articles/20240511/k00/00m/030/038000c

 米国が5年以内に内戦に陥る可能性があると答えた有権者は41――。こんな刺激的な調査結果が保守系の米世論調査機関「ラスムセン社」から発表された。米国では政治や社会の分断が先鋭化し、両極化した人々がお互いを非難し合っている。半年後に控える11月の大統領選を受けて、互いへの不満が爆発するのではないかとの懸念が結果に反映された。

 調査は421日から23日にかけて有権者1105人を対象に行われた。52日に公表された調査結果によると、今後5年以内に米国が内戦に見舞われる可能性を尋ねた質問に対し、「非常に起こりそうだ」「いくぶん起こりそうだ」と回答した人は合わせて41%だった。一方、「あまり起こりそうにない」と「全く起こりそうにない」は計49%。「分からない」は10%だった。

 党派別でみると、「起こりそうだ」と答えた人の割合は、共和党支持層の54%、民主党支持層の35%、無党派層の32%だった。

 大統領選は、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領を軸に展開している。どちらが勝った場合により内戦になりやすいかという質問では、「バイデン氏が勝った場合」が37%で最も高く、「トランプ氏が勝った場合」が25%。「どちらが勝っても変わらない」が30%だった。

 2020年の前回大統領選もバイデン氏とトランプ氏の対決だった。バイデン氏の勝利に終わったが、敗北を認めないトランプ氏の支持者らが2116日に連邦議会議事堂を襲撃して占拠し、警察官や暴徒の計5人が死亡する事件が起きている。【ワシントン西田進一郎】

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今回取り上げるヴィクトリア・ヌーランドについても詳しく書いています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカの強硬な対ロシア政策とウクライナ政策をけん引してきた、ヴィクトリア・ヌーランド政治問題担当国務次官(省内序列第3位)が退任することが、上司であるアントニー・ブリンケン米国務長官によって発表された。ロシア政府関係者は「ヌーランドの退任はアメリカの対ロシア政策失敗の象徴」と発言している。まさにその通りだ。ウクライナ戦争に向けて散々火をつけて回って、火がコントロールできなくなったら、責任ある職から逃げ出すというあまりにも無様な恰好だ。ヌーランドは職業外交官としては高位である国務次官にまで昇進した。しかし、その最後はあまりにもあっけないものとなった。

 アメリカ政治や国際関係に詳しい人ならば、ヌーランドが2010年代から、ウクライナ政治に介入し、対ロシア強硬政策を実施してきたことは詳しい。私も第3作『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で詳しく書いてきた。ヌーランドは家族ぐるみでネオコンであり、まさにアメリカの対外介入政策を推進してきた人物である。
 ウクライナ戦争はその仕上げになるはずだった。アメリカがロシアを屈服させるために、ウクライナに誘い込んで思い切り叩く、それに加えて経済制裁も行って、ロシアをぼろぼろにするということであった。しかし、目論見はものの見事に外れた。現在、ウクライナ戦争はウクライナの劣勢であり、アメリカが主導する西側諸国の支援もなく、情勢はロシア有利になっている。ヌーランドはまずこの政策の大失敗の詰め腹を切らされた形になる。

 そして、バイデン政権としては、ウクライナ問題で消耗をして、泥沼に足を取られている状態を何とかしたい(逃げ出したい)ということもあり、アジア重視に方針を転換しようとしている。対中宥和派であったウェンディ・シャーマン国務副長官が昨年退任し、国務次官ヌーランドが代理を務めていた。彼女としては、このまま国務副長官になるというやぼうがあったはずだ。しかし、バイデン政権は、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官(アジア政策担当トップ)を務めていたカート・キャンベルを国務副長官に持ってきた。先月には連邦上院で人事承認も行われた。ヌーランドは地位をめぐる政治的な争いに負けたということになる。また、アジア重視ということで、ヌーランドの重要性は失われて、居場所がなくなったということになる。

 ヌーランドは7月からコロンビア大学国際公共政策大学院で教鞭を執ることも発表された。ヌーランドが国務省j報道官時代に直接仕えた、ヒラリー・クリントン元国務長官がこの大学院の付属の国際政治研究所教職員諮問委員会委員長を務めており、ヌーランドは客員教員を務めることになっている。この大学院の大学院長であるカリン・ヤーヒ・ミロはイスラエルで生まれ育った人物で、国際関係論の学者であるが、アメリカに留学する前はイスラエル軍で情報将校を務めていたという経歴を持っている。ネオコンは、強固なイスラエル支持派でもあるということもあり、非常に露骨な人事である。

 ヌーランドがバイデン政権からいなくなるということは、ウクライナ戦争の停戦に向けての動きが出るということだ。アメリカは実質的にウクライナを助けることが難しくなっている。ウクライナ支援を強硬に訴えてきた人物がいなくなるということは、方針転換がしやすくなるということだ。これからのアメリカとウクライナ戦争の行方は注目される。

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長年の対ロシアタカ派であるヴィクトリア・ヌーランドが国務省から退任(Victoria Nuland, Veteran Russia Hawk, to Leave the State Department

-仕事熱心な外交官であり、ウクライナ支持を断固として主張してきたヌーランドは、国務省のナンバー4のポストから辞任する。

マイケル・クロウリー筆

2024年3月5日(改訂:3月7日)

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2024/03/05/us/politics/victoria-nuland-state-department.html

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2021年に連邦上院外交委員会で証言する政治問題担当国務次官ヴィクトリア・ヌーランド

国務省で序列4位の高官であり、ウラジーミル・V・プーティン政権のロシアに対する強硬政策を断固として主張してきたヴィクトリア・J・ヌーランドが、30年以上の政府勤務を終えて今月退職する。

アントニー・J・ブリンケン国務長官は火曜日、自由、民主政治体制、人権、そしてアメリカによるこれらの大義の海外での推進に対するヌーランドの「激しい情熱(fierce passion)」を指摘する声明の中で、ヌーランドの国務次官職からの辞任を発表した。

ブリンケンは、ウクライナに関するヌーランドの取り組みを指摘し、それは「プーティン大統領の全面的な侵略に対抗するために不可欠(indispensable to confronting Putin’s full-scale invasion)」であると述べた。

ヌーランドは報道官など国務省の役職を数多く歴任し、ディック・チェイニー副大統領の国家安全保障問題担当副大統領次席補佐官を務めたこともある。しかし、ヌーランドは、プーティンの領土的野心と外国の政治的影響力に対して強い抵抗を組織することを長年主張し、ロシアの専門家として名を残した。

オバマ政権時代には国務省のロシア担当高官として、ウクライナ軍の対戦車ミサイル武装を主張したが失敗したが、バイデン政権ではより多く、より優れたアメリカ製兵器をウクライナに送ることを最も支持してきた。

熟練した官僚的実務家であるヌーランドは、鋭い機知と率直な態度で自分の主張を展開し、同僚から賞賛と恐怖が入り混じった反応を引き出した。ブリンケン国務長官は声明の中で、「彼女はいつも自分の考えを話す」と穏やかな表現を使った。

ヌーランドは2014年、ウクライナ政治に関する電話での通話で、ヨーロッパ連合(European UnionEU)を罵倒するような発言をしたことがきっかけとして、多くの人々に知られるようになったが、その通話は録音され、その録音が流出した。アメリカ政府当局者たちはこの流出をロシアの仕業だという確信を持っている。

バイデン政権下、ヌーランドはアメリカのウクライナ支援に懐疑的な人々の避雷針(lightning rod)となった。テスラの共同創設者イーロン・マスク氏は昨年2月、ソーシャルメディアサイトXに、「ヌーランドほどこの戦争を推進している人はいない」と書いた。

ヌーランドはロシアを弱体化させ、更にはプーティンを打倒しようという共同謀議を企てていると見なされている、ワシントン・エスタブリッシュメントの代理人(化身)としてモスクワで非難された。ロシア政府当局者や露メディアは、2014年初頭にキエフの中央広場で、最終的にクレムリンが支援するウクライナ指導者を打倒した、当時欧州・ユーラシア問題担当米国次官補だったヌーランドがデモ参加者たちに食料を配った様子を常に回想している。

ロシアのセルゲイ・V・ラブロフ外相は昨年、「2014年にウクライナでヴィクトリア・ヌーランド国務次官がテロリストにクッキーを配った後、政府に対するクーデターが起きた」と述べた。ヌーランドさんはクッキーではなくサンドイッチを配ったと語っている。

ヌーランドの辞任は、クレムリン支援の英語ニュースサイトRTによって重大ニューズとして扱われ、トップページに赤いバナーと「ヌーランド辞任」という見出しが掲げられた。

RTはロシア外務省報道官マリア・ザハロワの発言を引用し、ヌーランドの辞任は「バイデン政権の反ロシア路線の失敗」によるものだと述べた。ザハロワは、「ヴィクトリア・ヌーランドがアメリカの主要な外交政策概念として提案したロシア恐怖症(Russophobia)が、民主党を石のようにどん底に引きずり込んでいる」と非難した。

ヌーランドは、バイデン政権の最初の2年半の間、国務次官を務めた。その間、国務副長官を務めたウェンディ・シャーマンの退任に伴い、国務副長官代理を兼務して過去1年の大半を費やした。

ヌーランドはシャーマンの後任としてフルタイムで当然の候補者と見なされていた。しかし、ブリンケン長官は、国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)アジア担当トップのカート・キャンベルを国務副長官に抜擢した。キャンベルの国務副長官就任は2月6日に連邦上院で承認された。

ブリンケン長官は、後任が決まるまで国務省のジョン・バス管理担当国務次官が代理としてヌーランドの職務を引き継ぐと述べた。

アナリストの一部は、ロシアのウクライナ侵略がバイデンの外交政策の多くを消耗させたにもかかわらず、キャンベルの選択を、バイデン大統領とブリンケン国務長官がアメリカと中国との関係の管理を最優先事項と考えていることの表れと解釈した。

ヌーランドは先月、人生の何百時間も費やしてきたウクライナの将来について公に語った。

ヌーランドは、ワシントンの戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)での講演で、「プーティ大統領がウクライナで勝利すれば、そこで止まることはないだろうし、世界中の独裁者たちは力ずくで現状を変えようと大胆になるだろう」と警告した。

ヌーランドは、「プーティンは私たち全員を待っていられると考えている。私たちは彼が間違っていることを証明する必要がある」と述べた。

2024年3月7日に訂正:この記事の以前の版ではヴィクトリア・ヌーランドの国務省での序列について誤って記述した。ヌーランドは序列第4位の役職であり、序列3位の外交官である。

※マイケル・クロウリー:『ニューヨーク・タイムズ』紙で国務省とアメリカの外交政策を取材している。これまで30カ国以上から記事を送り、国務長官の外遊に同行している。

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国務省の主要なリーダーであるヴィクトリア・ヌーランドがバイデン政権から離脱(Victoria Nuland, key State Dept. leader, to exit Biden administration

-長年外交官を務めてきたヌーランドはロシアに対する厳しい姿勢で知られていた。クレムリンはヌーランドの反ロシア姿勢を悪者扱いしてきた。

マイケル・バーンバウム筆

2024年3月5日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/national-security/2024/03/05/victoria-nuland-retires/

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2022年、キプロス。記者会見でメディアに対して話すヴィクトリア・ヌーランド

アントニー・ブリンケン国務長官は火曜日、ジョー・バイデン政権の最も強硬なロシア強硬派の1人で国務省序列第3位のヴィクトリア・ヌーランドが数週間以内に退任する予定であり、中東の危機を受けてアメリカ外交のトップに穴が開くと述べた。そしてウクライナでは大規模な大火災が発生する恐れがある。

ヌーランド政治問題国務次官は、以前はバラク・オバマ政権時代に国務省のヨーロッパ担当外交官のトップを務め、国務省の職員たちの間で広く人気があった。時には当たり障りのない態度や用心深さが報われる厳格な官僚制の中で、彼女はありのままの意見とクレムリンに対する厳しいアプローチで際立っており、クレムリンは彼女を悪者扱いした。

ヌーランドはウェンディ・シャーマンの退任後、昨年から7カ月間、国務省序列第2位の役職である国務副長官代理を務めていた。しかし彼女は、先月承認された元ホワイトハウスアジア戦略官トップのカート・キャンベルの国務副長官正式就任を巡る政権内争いに敗れた。バイデン大統領の決定は彼女の辞任の要因の1つであった。今回の人事異動により、国務省の最上級指導者トリオの中に女性は1人も残らないことになる。

ブリンケンは火曜日の声明で、ヌーランドが国務省内の「ほとんどの職」を歴任し、「幅広い問題や地域に関する百科全書的な知識と、私たちの利益と価値観を前進させるためのアメリカ外交の完全なツールセットを駆使する比類のない能力」を備えていたと述べた。

ヌーランドは1990年代にモスクワに勤務し、その後、ヒラリー・クリントン国務長官の下で国務省報道官になるまで、NATO常任委員代表を務めた。2013年末にキエフでクレムリン寄りの指導者に対する抗議活動が発生し、ロシアの不満の焦点となった際、彼女はヨーロッパ問題を担当するアメリカのトップ外交官として、キエフでのアメリカ外交で積極的な役割を果たした。記憶に残るのは、当時の大統領が打倒される前に、彼女がキエフ中心部マイダンでキャンプを張っていた抗議活動参加者たちにクッキーとパンを配ったことだ。

ヌーランドは、ドナルド・トランプが大統領に就任した後の2017年初頭に国務省を離れ、2021年に序列第3位の政治問題担当国務次官として復帰した。

ブリンケンは、ヌーランドの「ウクライナに関する指導層について、外交官や外交政策の学生が今後何年も研究することになる」と述べ、ロシアが2022年2月の侵攻に先立って軍を集結させる中、キエフを支援するヨーロッパ諸国との連合構築の取り組みをヌーランドが主導したと指摘した。

ロシア外務省はヌーランドの退職の機会を利用し、これはアメリカの対ロシア政策が間違っていたことを示す兆候だと宣言した。

ロシア外務省報道官マリア・ザハロワはテレグラムに「彼らは皆さんに理由を教えてくれないだろう。しかし、それは単純だ。バイデン政権の反ロシア路線の失敗だ。ヴィクトリア・ヌーランドがアメリカの主要な外交政策概念として提案したロシア恐怖症は、民主党を石のようにどん底に引きずり込んでいる。」と書いた。

職業外交官で管理担当国務次官を務めるジョン・バスが一時的にヌーランドの代理を務めることになる。

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反ロシア主張で知られる米幹部外交官であるヴィクトリア・ヌーランドが近く退職(High-ranking US diplomat Victoria Nuland, known for anti-Russia views, will retire soon

ブラッド・ドレス筆

2024年3月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/4509471-victoria-nuland-anti-russia-retire-ukraine/
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2023年1月26日、連邦議事堂にて。連邦上院外交委員会でロシアの侵攻について証言する政治問題担当国務次官ヴィクトリア・ヌーランド(中央)、国際安全保障問題担当国防次官補セレステ・ワーランダー(左)、米国際開発庁(U.S. Agency for International Development)ヨーロッパ・ユーラシア担当副長官エリン・マッキー。

ウクライナへの熱烈な支持と反ロシアで、タカ派の主張で知られるヴィクトリア・ヌーランド政治問題担当国務次官が数週間以内に退任する

アントニー・ブリンケン国務長官は火曜日にこのニューズを発表し、ヌーランドが「私たちの国と世界にとって重要な時期に外交を外交政策の中心に戻し、アメリカの世界的リーダーシップを活性化させた」と称賛した。

ブリンケンは声明の中で、「トリア(ヴィクトリア)を本当に並外れた存在にしているのは、彼女が堅く信じている価値、つまり自由、民主政治体制、人権、そしてそれらの価値観を世界中に鼓舞し推進する、アメリカの永続的な能力のために戦うことへの激しい情熱だ」と述べた。

ヌーランドは30年以上国務省に勤務し、6人の大統領と10人の国務長官の下で様々な役職を務めた。ヌーランドはキャリアの初期に、モスクワの米大使館で働き、モンゴル初の米国大使館の開設に貢献した。

ヌーランドは国務省の東アジア太平洋局にも勤務し、中国の広州に外交官として赴任した。 2003年から2005年まで副大統領(ディック・チェイニー)の国家安全保障問題担当補佐官を務め、その後、NATO常任委員代表を務めた。ヨーロッパ・・ユーラシア問題担当国務次官補を務め、2021年にジョー・バイデン大統領の下で国務次官に就任した。

ヌーランドはおそらく、2014年の事件で最もよく知られている。この事件では、彼女が駐ウクライナ米大使との通話中に「ファックEU」と発言した録音が漏洩し、世界中のメディアの注目を集めた。

ヌーランドのロシアに対する強い主張とウクライナへの支持は、彼女のその後のキャリアを決定付け、その間、キエフで親ロシア派の大統領が追放された後、モスクワがクリミア半島を不法併合した際の紛争で中心的な役割を果たした。

ヌーランドはロシアに対するタカ派的主張を理由に、アメリカの一部の右派から標的にされていた。彼女のコメントは、昨年クレムリンが非武装化されたクリミアに関する彼女のコメントを非難したことも含め、ロシア国内でも厳しい非難を集めた。

それでも、ブリンケンは、自分とバイデン大統領はヌーランドに感謝していると語った。ブリンケンは、彼女が「常にアメリカの外交官を擁護し、彼らに投資し、彼らを指導し、高揚させ、彼らとその家族が彼らにふさわしいもの、そして私たちの使命が求めるものを確実に得られるようにしている」と語った。

ブリンケンは火曜日、声明の中で次のように発表した。「ヌーランドは最も暗い瞬間に光を見出し、最も必要なときにあなたを笑わせ、いつもあなたの背中を押してくれる。彼女の努力は、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領の全面的なウクライナ侵略に対抗し、プーティン大統領の戦略的失敗を確実にするために世界的な連合を組織し、ウクライナが自らの足で力強く立つことができる日に向けて努力するのを助けるために必要不可欠だった」。

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ヴィクトリア・ヌーランド大使がコロンビア大学国際公共政策大学院の教員に加わる(Ambassador Victoria Nuland Will Join SIPA Faculty

2024年3月6日

https://www.sipa.columbia.edu/news/ambassador-victoria-nuland-will-join-sipa-faculty

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ヴィクトリア・ヌーランド大使は30年以上にわたりアメリカの外交官を務め、最後の3年間は政治問題担当国務次官を務めた。更には2023年7月から2024年2月まで国務副長官代理を務めた。ヌーランドは7月1日付で、コロンビア大学国際公共政策大学院(School of International and Public AffairsSIPA)国際外交実践担当キャスリン・アンド・シェルビー・カロム・デイヴィス記念教授に就任することが決定した。

ヌーランドはまた、国際公共政策大学院国際フェロープログラムの指揮を執る。このプログラムは、国際問題を研究するコロンビア大学の大学院生たちのための学際的なフォーラムを提供するものだ。更には、国際政治研究所(Institute of Global PoliticsIGP)客員教員に加わる。国際政治研究所は、国際政治研究所の使命を推進するための研究プロジェクトを実行する選ばれた学者と実務形で構成されている。

国務次官として、ヌーランドは地域および二国間政策全般を管理し、とりわけ世界中のアメリカ外交使節団を指導する国務省の複数の地域部門を監督した。

2021年に国務次官に就任する前、ヌーランドは民間のコンサルタント会社であるオルブライト・ストーンブリッジ・グループの上級顧問を務めていた。彼女はまた、ブルッキングス研究所、イェール大学、民主政治体制のための全米基金(National Endowment for DemocracyNED)でも役職を務めた。

国際公共政策大学院長カリン・ヤーヒ・ミロは次のように述べている。「ヴィクトリア・ヌーランド大使を私たちの教員として迎えられることを大変光栄に思う。ワシントンおよび海外での経験を反映した彼女の、苦心して獲得した多様な専門知識は、私たちの教室の教員として、また政策活動のリーダーとしての彼女の貢献をさらに高めることになるだろう。民主党と共和党の両政権の下で勤務した高官として、トリア(ヴィクトリア)は党派間の隔たりを乗り越える能力を実証しており、あまりに分断されている現在の社会を考えると、彼女は生徒たちのモデルとなるだろう。私は国際公共政策大学院コミュニティ全体を代表して、彼女を迎えることができて本当に嬉しく思う」。

ヌーランドの国務省からの退職は、3月5日にアントニー・J・ブリンケン米国務長官によって発表された。ヌーランドはオバマ政権下、国務省報道官(2011年5月-2013年4月)、ヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補(2013年9月-2017年1月)を務めた。国務省報道官時代は、当時のヒラリー・クリントン国務長官に直接仕えた。ヒラリー・クリントンは現在、国際公共政策大学院付属の国際政治研究所教職員諮問委員会委員長を務めている。

ヌーランドは、2005年6月から2008年5月まで、ジョージ・W・ブッシュ(息子)大統領の下で、アメリカ合衆国NATO常任委員代表を務めた。

ヌーランドは、ロシア語とフランス語に堪能であり、ブラウン大学で学士号を取得した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今年実施されるアメリカ大統領選挙についての分析も行いました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米大統領選挙共和党予備選挙は、ドナルド・トランプ前大統領が4連勝となった。既に有力なライヴァルたちは選挙戦から撤退し、ニッキー・ヘイリー元米国連大使・元サウスカロライナ州知事しか残っていない。先週末、サウスカロライナ州で共和党予備選挙が実施された。結果はトランプの圧勝となった。ヘイリーは地元サウスカロライナ州でも敗北を喫し、選挙戦からの撤退が話題に上がっている。トランプの共和党予備選挙の勝利と大統領選挙本選挙候補者指名が確実視されている。これで、大統領選挙本選挙は、民主党のジョー・バイデン大統領対共和党のドナルド・トランプ前大統領の戦いとなる。
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 共和党の反ポピュリズム勢力・反トランプ勢力の旗頭であるコーク一族は、ヘイリーに資金提供を行ってきたが、サウスカロライナ州共和党予備選挙でのヘイリーの敗北を受けて、資金提供を停止すると発表した。大統領選挙でトランプを止めることは不可能だということを敵であるコーク一族も認めたことになる。
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左がデイヴィッド・コーク(故人)、右がチャールズ・コーク(コーク系の総帥)

 コーク一族の資金ネットワークは、連邦下院共和党の議員たちで構成する、議員連盟であるフリーダム・コーカスの議員たちの当選と新しい議員たちの当選を目指すことになる。フリーダム・コーカスは日本では親トランプ派とされているが、実態は、コーク一族の資金が入っている反トランプ派である。それなのに、日本で親トランプ派とされているのは、共和党エスタブリッシュメントに反対する姿勢のために、親トランプ派の議員たちが入っているからである。フリーダム・コーカスは反トランプ派・反エスタブリッシュメントである。詳しく知りたい方は、私が翻訳した『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)と、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をお読みいただきたい。

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大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙の5つのポイント(Five takeaways from the South Carolina GOP primary

ナイオール・スタンジ筆

2024年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4487698-five-takeaways-from-the-south-carolina-gop-primary/

サウスカロライナ州チャールストン発。土曜日に行われた大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が対抗馬のニッキー・ヘイリーを打ち負かし、圧勝した。

アメリカ東部標準時の午後7時に投票が締め切られた瞬間、トランプの選挙戦での勝利が決まった。午後10時前に開票率が83%に達した時点で、トランプは、ヘイリーに21ポイントの差をつけて圧勝した。

大統領選挙ミシガン州共和党予備選挙は来週火曜日に行われる。そして、3月5日は10以上の州で投票が行われるスーパーチューズデーとなる。

サウスカロライナ州での予備選挙についてこれから5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプは地滑り的な勝利によって、候補者指名への最終経路に入った(Trump’s landslide puts him on a glide path to nomination

よほどの重大な出来事が起きない限り、トランプが2024年大統領選挙の共和党の指名候補となるのは間違いのないところだ。

トランプ前大統領はこれまでのところ、予備選挙が4州で行われ、4連勝している。サウスカロライナ州では、ヘイリーが知事として2度当選した実績があったが、トランプはヘイリーを叩きのめした。

コロンビアで行われたトランプの勝利演説では、サウスカロライナ州の共和党エスタブリッシュメントがどの程度トランプの後ろ盾になっているかが明らかになった。ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)とリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ヘンリー・マクマスター州知事(共和党)と一緒に壇上に立ち、トランプに代わって短いスピーチを行った。

チャールストンでは、ヘイリーがたった一人で壇上に立ち、少数の聴衆を前に演説した。

ヘイリーは、トランプは11月の大統領本選挙では当選不可能だと訴え続けている。しかし、彼女の主張が共和党の有権者の支持を得られると信じる根拠はない。

これは必ずしも前サウスカロライナ州知事ヘイリーの失敗ではなく、単に共和党の支持層が依然としてトランプに熱狂していることを反映している。

これまでのところ、どの州でもトランプ前大統領はライヴァルたちに得票率で二桁の差をつけて圧勝している。

候補者指名争いは、掛け声を除けば全て終わっている。

(2)ヘイリーは選挙戦から撤退しない(Haley isn’t quitting

数週間前、ヘイリーがサウスカロライナ州予備選挙を前に選挙戦から撤退するかどうか、疑問を持たれていた。

この当時、トランプの支持者たちは、ヘイリーが惨敗すれば、彼女は選挙戦を止めることになるだろうと予測していた。

しかし、この予測通りにはならなかった。

選挙後のサウスカロライナ州でのヘイリーの演説は、少なくともスーパーチューズデーまでは戦い続けるという断固とした宣言に等しかった。

彼女は、これまでに有権者たちに示してきた約束について言及し、「私は約束を守る女性」と述べた時、その夜最大の歓声を受けた。

彼女の主張の根拠は、多くのアメリカ人がバイデン大統領とトランプ氏の対決に興味を持てない状況にある中で、「この戦いをあきらめない(not going to give up this fight)」というものだ。

ヘイリーは語気と言葉を強め、このような激しい選挙戦は、「アメリカが分裂するだろう」結果をもたらすだろうと示唆した。

前知事ヘイリーは1月に、これまでで最高の献金額を記録したが、選挙戦を継続するための資金を持っている。そして、彼女には熱烈な支持者もいるが、その数はトランプ大統領の指名獲得への影響を与えるほどではない。

サウスカロライナ州での支持者の一人、ネル・パーカーは、ヘイリーは「明かりを灯し続ける資金がある限り選挙戦に留まるべきだ」と本誌の取材に語った。

(3)共和党は現在MAGAMake America Great Again)の政党になっている(The GOP is now the MAGA Party

トランプが共和党内を支配していることを示すのは、トランプのライヴァルたちにつけた票差だけではない。

サウスカロライナ州の共和党有権者のほとんどが、トランプの世界観全体を共有しているということだ。

AP通信の有権者調査「ヴォートキャスト」は、少なくとも初期の結果では、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に6人が、アメリカのウクライナに対する援助継続に反対していることを示した。これはヘイリーにとって悪いニューズであり、軍事的伝統の強い州においては印象的な結果となった。

この調査によると、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に7人が、トランプの行動に関する各種の捜査はトランプを弱体化させようとするものだというトランプの主張を受け入れている。

これらの数字を考慮すると、ここにいる共和党員の約10人中6人が自分たちを「アメリカを再び偉大に(MAGA)」 運動の支持者だと考えるのも不思議ではない。

共和党は良い意味でも悪い意味でも、今やトランプの党となっているのだ。

(4)トランプの暴言は本選挙への危険信号となる(Trump’s rhetoric still raises red flags for the general election

共和党のサウスカロライナ州予備選挙で大差をつけたにもかかわらず、11月の本選挙におけるトランプの当選可能性に関する疑問は消えない。

それは、トランプが直面している91件の刑事告発のせいだけではない。それはまた、彼が炎上させる性質(propensity to inflame)を持っているからでもある。

トランプはサウスカロライナ州での予備選挙前夜、金曜日に開催されたアフリカ系アメリカ人保守連合の年次総会で演説した際に、その傾向を再び示した。

トランプは、アフリカ系アメリカ人が自分の警察に捕まった際に撮影される顔写真(mugshot)を「受け入れてくれた」と述べた。これは、犯罪率の高いアフリカ系アメリカ人の有権者たちが、自分が起訴されたことについて共感を持ってくれるだろうということを、不器用に示唆しようとした発言だった。

トランプ前大統領は次のように述べた。「私は何の理由もなく、何でもないことで起訴された。そして多くの人が、だからこそアフリカ系アメリカ人の皆さんが私のことを好きなのだと言ってくれている。アフリカ系アメリカ人の皆さんはひどく傷つけられ、差別されてきたからこそ、私に共感してくれる。実際、アフリカ系アメリカ人の皆さんは私を差別されているように見ている。とても素晴らしいことだが、そこに何かがあるかもしれない」。

翌朝、ヘイリーはサウスカロライナ州キアワアイランドで予備選挙の投票を行った後、トランプによるこれらの発言を非難した。

ヘイリーは「これはドナルド・トランプがテレプロンプターを外したときに起こること、本当にうんざりしてしまう。これがドナルド・トランプが引き起こす混乱というものだ。これが、本選挙の日まで毎日やってくる不快感の原因だ」と述べた。

もちろん、更に別の論争が起きることになっても、トランプに固執している支持者が離れていくことはないだろう。しかし、彼の暴言(よく言えば無礼)は、説得されやすい有権者たちを獲得するチャンスを妨げている。

民主党がよく指摘するように、トランプは2016年と2020年の2度の本選挙で得票総数で敗れている。

(5)ヘイリーの攻撃は共和党支持層を超えてトランプの妨げになる可能性がある(Haley’s attacks could hinder Trump beyond the GOP base

ヘイリーの攻撃はトランプの共和党候補指名獲得への前進を妨げるものではないが、穏健派の共感を呼び、民主党が11月にトランプ前大統領に対して主張を展開して支持を集めるのに役立つ可能性がある。

土曜日の演説でヘイリーは、トランプが政敵たちを「人間のくず(vermin)」という言葉で表現することに異議を唱えた。

サウスカロライナ州での予備選挙までの数日間、ヘイリーはトランプが本選挙で勝つことはできないと述べ、最近のNATOに関する発言で彼がロシアのプーティン大統領に「味方(sided)」していると非難し、トランプをナルシストと評し、軍服を着たことがないと嘲笑した。

トランプ大統領の盟友たちは、ヘイリーがこの種の発言で、トランプに対して損害を与える可能性があるため、ヘイリーの選挙戦からの撤退を望んでいる。ナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、金曜日、サウスカロライナ州ロックヒルでのトランプの集会で本誌の取材に応じた際、この主張を展開した。

しかし、トランプ前大統領は、ヘイリーが自分よりも得票するという脅威の可能性を打ち砕いた。

しかし、民主党の攻撃広告の絶好の材料となるであろうヘイリーの言葉は、11月の大統領選挙本選挙に向けて、まだまだトランプを苦しめる可能性がある。

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●「米富豪コーク氏団体、ヘイリー氏の支援停止 米報道」

2024年2月26日 日経新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78750410W4A220C2EAF000/

【ワシントン=中村亮】米富豪チャールズ・コーク氏の政治団体は、11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いでニッキー・ヘイリー元国連大使の支援を停止する。米ポリティコが25日に報じた。ヘイリー氏への撤退圧力になる。

保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション」の首脳が25日、スタッフに宛てたメールでヘイリー氏支援のために資金を使うのをやめると伝えた。

「外部グループが彼女の勝利に向けた道を広げるために大きな貢献をできると思わない」と記した。代わりに11月に大統領選と同時実施の上院選や下院選に資金を振り向けるという。コーク氏の政治団体による動きは、ヘイリー氏の選挙資金が細る予兆となる可能性がある。資金集めが行き詰まると、指名争いから撤退を余儀なくされる公算が大きい。ヘイリー氏は24日、地元である南部サウスカロライナ州の予備選でトランプ前大統領に敗れた。前大統領が1月の中西部アイオワ州の党員集会から5連勝を果たし、ヘイリー氏は反転攻勢の糸口をつかめていない。

米メディアによるとヘイリー氏の選挙陣営は25日、最近24時間で100万ドル(約15000万円)以上の資金を集めたと明らかにした。敗北が続いても、資金集めの勢いが衰えていないとアピールする狙いがある。

ヘイリー氏は25日、中西部ミシガン州で支持者集会を開く。同州では27日に予備選を予定する。16州・地域が予備選を一斉に開く35日のスーパーチューズデーが指名争いの大きな山場になる。

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカの外交政策についても詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年11月にアメリカ大統領選挙が実施される。現段階で、民主党は現職のジョー・バイデン大統領、共和党はドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ、候補者に指名されることが確実視されており、2020年に続いて、バイデン対トランプの構図になる。各種世論調査を見てみると、両者の対決は接戦で、ややトランプ有利となっている。トランプが大統領に返り咲く場合、もしくはバイデンが大統領として二期目を迎える場合、どちらになっても、アメリカの外交政策は大きく変わらないというのが、今回下にご紹介している、ハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトの主張だ。

 アメリカにとって重要な外交政策の対象は、ウクライナ、中東、そして中国だ。トランプ前大統領はウクライナ戦争勃発後からウクライナへの支援に反対し、即時の停戦を行うようにロシアに働きかけるべきだ、自分にはそれができると主張している。ウクライナ、ロシア療法に圧力をかけてでも停戦すべきだと述べている。バイデン政権はウクライナ支援を行ってきたが、ウクライナ戦争の状況を好転させるまでには至らず、アメリカ国内での共和党の反対によって、ウクライナ支援を継続できない状況にある。結果として、停戦に向かうしかないという状況だ。

 中東に関しては、バイデン政権は、サウジアラビアに対して宥和的な姿勢を示しているが、サウジアラビアはバイデン政権との関係修復を望んでいない。アメリカはサウジアラビアとイスラエルとの間の国境正常化を行おうとしたが、その試みはとん挫している。対イスラエルに関しては、バイデン政権は、イスラエルの過剰な攻撃を止めるに至っていない。トランプも恐らく、イスラエルを止めることはできないし、まず、止めることはしないだろう。

 中国に関しては、トランプもバイデンも強力な競争相手として、敵対的に見ている。中国と対峙するために、アジア地域の同盟諸国に対して、負担の増加を求めており、それについて、同盟諸国は嫌気が差しながら、しぶしぶ従っている状況だ。

 バイデン政権の方が、トランプ政権に比べて、より理想主義的な外交を行うと見られていたし、公約でもそのようなものが多かった。しかし、現実としてはうまくいっていない。それは、アメリカの力が減退している中で、それに気づいている国々がアメリカに従わなくなっているからだ。世界の構造は大きく変化しつつある。そうした中で、アメリカにできることの範囲はどんどんと狭まっている。

(貼り付けはじめ)

トランプが再び大統領に就任してもアメリカの外交政策は大きく変わらないだろう(Another Trump Presidency Won’t Much Change U.S. Foreign Policy

-世界の恐怖はほとんどが誇張されているに過ぎない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年1月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/22/another-trump-presidency-wont-much-change-u-s-foreign-policy/

不測の事態が起きない限り、2024年の米大統領選は現職のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領の再戦となる。アメリカ国民の多くは、どちらも出馬しない方が幸せだと考えているが、2024年11月に直面するのはそのような選択ではないだろう。この選挙は既に、アメリカの民主政治体制と世界に対するアプローチに広範囲な影響を及ぼす、画期的な出来事として位置づけられている。

第一の問題、つまり国内で起こりそうな結果については、選択肢は明確だ。トランプは有罪判決を受けた詐欺師であり、性的虐待者であり、前任の大統領時代には無能な最高責任者であった。民主政治体制の原則と法の支配に対する彼の関与は存在せず、彼と共和党は2期目も、権力を、政敵を罰するために利用し、アメリカを事実上の独裁政治に向かわせるつもりであることが懸念される。女性の権利は更に縮小され、気候変動を食い止める努力は放棄され、裕福なアメリカ人や企業は、より広範な社会的・政治的影響をほとんど考慮することなく、自分たちの利己的な利益を自由に追求するようになるだろう。あなたがバイデンや彼の政策をどう思おうとも、彼がそのようなことをする可能性はない。私にとっては、それだけでトランプに反対票を投じる十分な理由ということになる。

しかし、外交政策に目を向けると、その違いはそれほど顕著ではない。現在、多くの人々がトランプ大統領の2期目がアメリカの外交政策に劇的な影響を及ぼすのではないかと懸念しているが、その違いは皆さんが思っているほど大きくはないだろう。トランプは1期目と同じように、不安定で、気まぐれで、粗野で、特にNATOの同盟諸国に対して対立的な態度をとるだろう。しかし、他の点では、トランプ大統領の2期目は、バイデンが更に4年間の任期で大統領を務めた場合とそれほど変わらないかもしれない。このことを理解するためには、現在の外交政策で間違いなく最も重要な3つの議題について、それぞれの人物がどのように対処する可能性があるかを考えてみればよい。ウクライナ、中国、中東である。

●ウクライナ(Ukraine

共和党の一部議員の反対や、キエフが戦争に勝利したり、失った領土を回復したりする能力について悲観的な見方が強まっているにもかかわらず、戦争が始まって以来、バイデン政権はウクライナに全面的に関与してきた。ウクライナ人とその西側の支持者たちは、トランプ大統領がアメリカの支援を打ち切り、ウクライナをヨーロッパからの援助に頼り、ロシア軍のなすがままにするのではないかと心配している。トランプは得意な大げささで、戦争を「1日で(in one day)」解決できると自慢し、ウクライナの勝利を望んでいるのかと聞かれると、言葉を濁した。従って、トランプ当選でアメリカの政策が大きく変わると多くの人々は思うかもしれない。

しかし、バイデンがもう1期当選すれば、たとえ追求の方法が違っても、同じような道をたどる可能性が高いのだ。戦争の潮流は2023年にウクライナに有利に傾き、これまで、ウクライナの支持者たちはウクライナの運命を逆転させ、ロシアが不法に征服し併合した領土を解放するための楽観的な計画を考え続けているが、彼らの希望はほぼ間違いなく幻想であり、米国防総省はおそらくそのことを分かっている。バイデンと彼のティームは選挙前にこのことを認めるつもりはないだろう。なぜなら、そうなればこれまでの戦争への対応に疑問符がつくからだ。しかし、もし大統領に再選されれば、キエフにもっと現実的な目標を採用し、和解に向かうよう圧力をかけるだろう。

私は、バイデンなら慎重なやり方でウクライナへ圧力をかけ、キエフが可能な限り最良の取引を行う手助けをしようとすると信じている。これとは対照的に、トランプ大統領はおそらく、北朝鮮の金正恩委員長との素人同士の仲良しな態度(amateurish bromance)で見せたような外交的手腕を発揮し(つまり、何もしない)、ウクライナとはさっさと手を切って逃げようとするだろう。しかし、より大きなポイントは、トランプ政権になっても、バイデン政権が続いても、2025年1月以降の戦争終結を交渉しようとするだろうということであり、その結果得られる合意は、キエフの戦争目的よりもロシアの戦争目的にかなり近いものになる可能性が高いということだ。

●中国(China

トランプはその最初の任期中、それまでの対中経済関与政策を決定的に変更し、米国経済に打撃を与え、是正されるはずだった二国間の貿易赤字にはほとんど何の効果もない、お粗末な貿易戦争(trade war)を開始した。バイデンはこのアプローチを改め、更に強化し、先端技術のいくつかの主要分野をマスターしようとする中国の努力を阻害することを意図して、ますます厳しい輸出規制を課した。あからさまな保護主義(protectionism)を拒否した、ある政権高官は、このアプローチを国家安全保障上の懸念に焦点を絞ったもの(つまり「高いフェンス(high fence)」のある「小さな庭(small yard)」)だと擁護した。しかし、庭の大きさはどんどん大きくなっており、中国に対するより対決的なアプローチは、超党派の強いコンセンサスを得ている数少ない問題の1つである。

このため、2024年11月にどのような結果が出ようとも、アメリカの対中政策は大きく変わることはないだろう。バイデン政権とトランプ前政権の公式声明は、中国をアメリカの世界的優位に対する主要な挑戦者の1つと見なしており、その見方は、どちらかと言えば、今日より顕著になっている。トランプは、アメリカの保護に過度に依存していると繰り返し非難している、アメリカのアジアの同盟諸国に対して、やや対立的な態度を取るかもしれないが、北京に本気で立ち向かうつもりなら、アジアの同盟諸国を見捨てることはできない。

結論は次の通りだ。中国との関係に関しては、バイデンもトランプも2期目には同じ合唱曲の歌詞を歌うことになるだろう。

●中東(The Middle East

アメリカの中東政策が大混乱に陥っていることを考えれば、バイデンもトランプも2025年には軌道修正を図りたいと考えるかもしれない。悲しいことに、どちらが大統領になっても将来、過去と異なる行動を取ることを期待する理由はない。実際、最も印象的なのは、この不安定な地域に対処する際、このまったく異なる2人の大統領がいかに似たような行動をとってきたかということである。

トランプは大統領として、イランの核開発に上限を設けていた核合意を破棄し、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転し、ワシントンのパレスティナ問題担当領事事務所を閉鎖した。彼はまた、熱狂的にイスラエルの入植者たちを支持する弁護士を駐イスラエル大使に任命した。彼の和平計画は、二国家解決(two-state solution)というアメリカの長年の目標を嘲笑するものであり、一方で素人外交官(そして娘婿)であるジャレッド・クシュナーのアラブ・イスラエル国交正常化計画を後押しするものだった。その結果、アブラハム協定(Abraham Accords)は、イスラエルとバーレーン、モロッコ、アラブ首長国連邦、スーダン(後者は現在内戦状態にある)との間に外交関係を樹立したが、ヨルダン川西岸とガザ地区でイスラエルの過酷な支配下に暮らす500万人のパレスティナ人の苦境には何も対処しなかった。

この状況を引き継いだバイデンは何をしたのか? 彼は事態を悪化させた。イランとの核合意に復帰することを選挙公約に掲げていたにもかかわらず、イランの選挙で強硬派が政権を握り、共同包括行動計画への復帰がさらに困難になるまで、彼は逡巡した。結果は次の通りだ。イランは今、かつてないほど核爆弾所有に近づいている。バイデンとアントニー・ブリンケン米国務長官はパレスティナ人について、トランプと同じように扱い、在エルサレム米総領事館の再開を遅らせ、和平プロセスの再開にはほとんど力を注がなく、ヨルダン川西岸で増加するイスラエル人入植者たちによる暴力行為には目をつぶった。入植者たちの行為は、イスラエル史上最も極右的な政府によって公然と支持されていないが、容認されてきた。

トランプと同様、バイデンとブリンケンはサウジアラビアの機嫌を取ることに集中し、亡命ジャーナリストのジャマル・カショギ殺害に関与したサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子を「不可触民(pariah)」として扱うというバイデンの選挙公約を完全に覆した。共和党政権と民主党政権にまたがって存在感を示すブレット・マクガーク(Brett McGurk、1973年-)の指導の下、アメリカは昨年、イスラエルとの国交正常化と引き換えにサウジアラビアに安全保障(およびその他の特典)を与える取引を完了させようとしていた。マクガークは、おそらく近年の米国政策で最も影響力のある唯一の設計者である。パレスティナ問題はまたしても脇に追いやられ、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は昨年秋、中東は「ここ数十年来で最も静かだ(quieter than it has been for decades)」と自画自賛した。

トランプに始まり、バイデンが続けたこれらの誤りは、世界中で見られる、逆噴射を引き起こした。2023年10月7日、ハマスの戦闘員たちはガザの野外刑務所を脱獄し、イスラエルの国境地帯に残忍な攻撃を仕掛けた。イスラエルの市民に対する彼らの不可抗力とも言える残忍な攻撃は重大な犯罪であったが、イスラエルの獰猛で不釣り合いな、そして間違いなく大量虐殺的な対応は、イスラエルのイメージ、アメリカの評判、そして世界の良心に対する、更に深刻な汚点である。

かつてブリンケン国務長官が「人権をアメリカの外交政策の中心に据える」と述べたアメリカは、この外交的・人道的大惨事にどう対応したのだろうか? ガザで既に2万3000人以上のパレスティナ人を殺戮したイスラエルに、何十億ドルもの軍事援助を急ぎ提供し(その過程でアメリカの法律を迂回したと報じられている)、停戦を求める国連安全保障理事会決議(U.N. Security Council resolutions)に何度も拒否権を行使し(vetoing)、イスラエルの大量虐殺を非難する南アフリカの国際司法裁判所への広範な文書による申請を「メリットがない(meritless)」として却下した。アメリカ政府高官はイスラエルに行動を慎むよう求めたと伝えられているが、アメリカの支援を縮小すると脅した訳ではない。予想通り、ベンヤミン・ネタニヤフ政権はアメリカの要請を無視してきた。

今年、誰が選挙で勝とうとも、何かが変わると期待する理由はない。バイデンもブリンケンも自称シオニストであり、どちらもイスラエルに軌道修正を迫るような意味のある圧力をかけることはないだろう。トランプはどちらの側にもあまり関心がないように見えたが、アメリカにおける政治的影響力のバランスを理解しており、彼の反イスラム偏重(anti-Muslim bias)はよく知られている。バイデンの2期目には、ある種の和平プロセス(peace process)を復活させる試みが見られるかもしれないが、それがアメリカのこれまでの努力以上のことを成し遂げられると騙されるべきではない。結局のところ、バラク・オバマ前大統領の二国家解決への努力を台無しにしたと言われるバイデンが、もう1期務めたとしても、二国家解決を達成する可能性はないだろう。トランプ大統領は、義理の息子であるジャレッド・クシュナーと同じように、資金の流れに従う可能性が高い。ウクライナや中国と同様、アプローチの類似性は、世界観や外交スタイルの違いを凌駕している。

明らかにしておきたいが、私は今回の選挙がアメリカの外交政策に難の影響も及ぼさないと言っているのではない。例えば、トランプが大統領になれば、アメリカをNATOから脱退させようとするかもしれないが、そのような動きは間違いなく外交・防衛政策当局からの多大な抵抗に直面するだろう。トランプは主に国内の課題、そして長引く法的問題に焦点を当てる可能性があり、その場合、既に限定されている外交問題への関心がより減ることになり、現状を強化する傾向があるだろう。トランプはその1期目で外交政策の人材の見極めが不十分であった(そして前例のない離職率を引き起こした)ため、その傾向がアメリカの政策実行を妨げ、外国政府がさらなるリスク回避につながる可能性がある。バイデン2とトランプ2の間には微妙な違いがあるだろうが、私は根本的な変革が起きる方には賭けない。

全体として、次の選挙は外交政策の重要な問題よりもアメリカの国内政治にはるかに大きな影響を与えるだろう。冒頭で述べたように、国内での利害は十分に大きく、明確であり、十分な懸念が存在するため、投票方法を決めるのにそれほど問題はないだろう。私は民主政治体制下での生活が好きなので、2024年11月には主要州で過半数の有権者が私の考えに同意してくれることを願うばかりである。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:

@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙に関して詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 1月の最終週に地元鹿児島に戻っておりました。家族の用事でバタバタしておりました。ブログの更新が滞りまして、申し訳ございません。今回からまた精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙は今年11月に投開票が実施される。それに向けて、まず民主、共和両党の候補者を決める予備選挙が実施される。民主党は現職大統領であるジョー・バイデンが二期目を目指すと表明した時点で、事実上、候補者に内定している。共和党側では、ドナルド・トランプ前大統領が立候補を表明して以来、最有力候補となっており、複数名の政治家たちが出馬したが既に多くが撤退を余儀なくされている。現在でも選挙戦に踏みとどまっているのは、元サウスカロライナ州知事で米国連大使を務めたニッキー・ヘイリーだ。
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 アイオワ州に続いて、ニューハンプシャー州で予備選挙が実施された。選挙の形式は、アイオワ州の党員集会とは異なり、普通の選挙と同じで、予備選挙と呼ばれる形式だった。

 ヘイリーはニューハンプシャー州にお金と時間を投入し、トランプをかなり追い上げた。事前の世論調査で数ポイント差まで追い上げたが、結果としては敗戦となった。ヘイリーは、地元サウスカロライナ州での支持率は低迷しており、一応、地元のサウスカロライナ州での予備選挙まで選挙戦を続け、地元で撤退宣言を行うだろうと私は見ている。これで、共和党予備選挙は事実上の終戦となり、トランプが大統領選挙の候補者に内定する。
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 これで、共和党のトランプと民主党のバイデンという2020年と同じ構図での大統領選挙本選挙ということになる。現在のところ、各種世論調査では、トランプが1ポイント、2ポイントで、バイデンをリードしている展開だが、これからバイデン陣営がどのような奇手を繰り出してくるか分からない。既に「トランプには大統領選挙に立候補する資格はない」という訴えを起こしての法廷闘争が起きている。この他にもメディアを使ってのネガティヴキャンペーンも行われるだろう。バイデンは、現職大統領の強みで、外交上の大きな成果を挙げてアピールすることも考えられる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争での大きな動きがあれば、バイデンの支持率も上がるだろうから、それを狙ってくるだろう。

 今回の大統領選挙でトランプ、バイデンのどちらが勝者となっても、アメリカ国内の分断が深まり、アメリカの統一が危ぶまれる事態が発生することも十分に考えられる。

(貼り付けはじめ)

トランプがニューハンプシャー州で勝利し、ヘイリーに打撃を与える(Trump wins New Hampshire in blow to Haley

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4424478-donald-trump-wins-new-hampshire-gop-primary-nikki-haley/

ディシジョンデスクHQによると、米大統領ニューハンプシャー州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が勝利を収めることが確実となった。主要なライヴァルであるニッキー・ヘイリーに対する大きな一撃となり、トランプが共和党の大統領選挙候補者指名を確実とすることにまた一歩近づいた。

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はヘイリーに特にダメージを与えることになる。それは、ヘイリーがニューハンプシャー州に彼女の持つ時間と資源のほとんどを投入してきて、更に同州で人気の高い知事クリス・スヌヌ(共和党)の支持を得ていたからだ。ある時点では、支持率において、ヘイリーはトランプに数ポイント差に迫っていた。

元米国連大使のヘイリーは、アイオワ州共和党党員集会において、彼女のライヴァルだったフロリダ州知事ロン・デサンティスの後塵を拝し、3位となった。予備選挙形式で最初に行われるニューハンプシャー州共和党予備選挙をわずか数日後に控えた時点で、デサンティスは選挙戦からの撤退を決めた。撤退を宣言する演説の中で、デサンティスはトランプ支持を表明した。そうした状況下、ヘイリーは結果として、最後まで残った、トランプに対する主要な挑戦者ということになった。

しかし、ここ数日の各種世論調査の結果を見ると、ヘイリーがトランプを追い落とすのはかなりの困難な道のりであることが明らかになっていた。ディシジョンデスクHQと本誌の集計した、ニューハンプシャー州での各種世論調査の平均では、トランプの支持率が51%に対して、ヘイリーは37%となっていた。

トランプはまた、かつてのライヴァルたちが彼の周りに結集したことで、上機嫌となった。アイオワ州党員集会の直前、ノースダコタ州知事ダグ・バーガム(共和党)はトランプを支持した。ティム・スコット連邦上院議員(共和党)とバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミも、ニューハンプシャー州共和党予備選の前にトランプ支持を表明した。

ヘイリーはウィル・ハード元連邦下院議員(テキサス州選出)やアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(共和党)など、予備選挙から撤退した、数名の支持を得たのみだった。

ニューハンプシャー州でのトランプ氏の勝利は、ヘイリー氏が地元サウスカロライナ州に向けて予備選の戦いを続けるかどうかという問題を提起している。アイオワ州とニューハンプシャー州の両州での勝利は、共和党内におけるトランプの優位性を強調するものであり、次の予備選挙は、ヘイリーにとって逃げ道を提供するものだ。

しかし、ヘイリー選対は、ニューハンプシャー州予備選の前に、サウスカロライナ州で戦うことを示唆していた。アドインパクトは月曜日にヘイリー陣営がサウスカロライナ州で木曜日から始まる広告の予約を入れたと報じている。

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ニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイント(5 takeaways from the New Hampshire primary

キャロライン・ヴァキール、ジュリア・ムラー筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4425725-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary/

ドナルド・トランプ前大統領は、アイオワ州の重要な党員集会で勝利したわずか1週間後の火曜日、全国初の予備選挙形式のニューハンプシャー州予備選でニッキー・ヘイリーを破って勝利を収めた。

ヘイリーは、前回のアイオワ州での成績からニューハンプシャー州でのトランプとの差を縮めたが、それでも、この記事の発表時点で、ディシジョンデスクHQが発表したように、トランプが約10ポイント差で勝利した。

共和党予備選挙は現在、2人の有力候補の直接対決となっており、先行するトランプが共和党の大統領選挙候補者指名を獲得するのはほぼ確実だ。

一方、ジョー・バイデン大統領はニューハンプシャー州の民主党予備選で追加候補者として、自党の挑戦者を破って勝利を収めた。

これからニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプが共和党大統領選挙候補としてほぼ確実な地位を固める(Trump cements status as almost certain GOP nominee

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利は、同州での最後の投票が終了した午後8時(米国東部標準時)に即座に予想されたもので、トランプが共和党大統領選挙候補になることがほぼ確実となった。

共和党員たちのほとんどは、このニューハンプシャー州でトランプが勝利すると予想しており、得票率で二桁の大差を予想する者さえいたが、ヘイリーが無党派層に強いことから、火曜日に向けて、この対決がどの程度の接戦になるのか注目されていた。

ディシジョンデスクHQとザ・ヒルがまとめたニューハンプシャー州の各種世論調査の平均では、トランプが51%、ヘイリーが37%だった。トランプは先週のアイオワ州党員集会で30ポイント差の圧勝を収め、フロリダ州知事ロン・デサンティスとバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミが選挙戦から脱落し、トランプ前大統領を支持することになった。

2023年11月に大統領選挙運動を断念したティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)も、ニューハンプシャー州予備選投開票日までの数日間、トランプを支持し活動した。

しかし、トランプ懐疑派や穏健派の共和党支持者たちがどの候補者を支持するのか疑問があったが、ニューハンプシャー州でトランプが勝利した後、これらの多くがトランプを支持すると明言した。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党院内総務率いる連邦上院共和党の幹部メンバーであるジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)はXに「もう十分だ。バイデンに勝つためには、共和党は1人の候補者を中心に据えて団結する必要があり、トランプ大統領が共和党有権者の選択であることは明らかだ」と書いた。

コーニン議員は更に「バイデンが引き起こした国境危機や記録的な高インフレのような失敗した国内政策や、敵対勢力を増長させ世界をより危険な場所にした失敗した外交政策を、あと4年も続くことがないように阻止しなければならない」と書いた。

(2)バイデンが予備選挑戦者たちを一蹴(Biden brushes off primary challengers

ジョー・バイデン大統領は火曜日にニューハンプシャー州予備選挙に出馬しなかったにもかかわらず(選挙の投票用紙に名前が掲載されない)、名前を書きこまねばならない候補(write-in candidate)となりながら、挑戦者たちを圧倒し、勝利すると草々に予想が出た。

ニューハンプシャー州民主党は、共和党の予備選と同じ火曜日に予備選を実施することで、ニューハンプシャー州を全米最初の予備選開催州の座から追い出そうとした民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の計画に反発し、バイデンの名前は投票用紙から外された。

バイデンは民主党全国委員会の規則に従う義務があり、民主党の予備選挙選挙戦への立候補をしないことを選択した。そして民主党は、火曜日のニューハンプシャー州での選挙戦は今年後半に実施予定の全国大会に出席する代議員には何の影響もないと述べた。

しかし、ニューハンプシャー州のバイデン支持者たちは、とにかく現職大統領であるバイデンを勝利に導こうとして、名前を書き込もうキャンペーンを開始し、予備選挙序盤の重要な州でバイデンを押し上げることの重要性を強調した。

ディシジョンデスクHQによると、共和党の予備選挙では共和党のトップランナーであるトランプが勝利した。バイデン大統領は民主党候補のマリアンヌ・ウィリアムソンとディーン・フィリップス連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)を打ち負かすと予測されていた。

バイデン大統領の書き込み作戦が功を奏しての予備選挙勝利は、バイデンの支持率が低迷する中で、民主党のライヴァルたちに対して、二期目を目指す戦いを続ける中で、党支持層の間でのバイデンの力強さを反映したものだ。

予備選挙での勝利予測が出た後、バイデン陣営は「2024年11月の大統領選挙投開票に向けて取り組んでいるが、今日ますます明らかになっていることが1つある。それはドナルド・トランプが大統領選挙本選挙での共和党候補となるだろうが、彼に真っ向から向かい、投票所でこれまでに自分に勝った唯一の人物である、ジョー・バイデンと対戦することになるということだ」と述べた。

(3)ヘイリーには一撃を加えられた(Haley dealt a blow

火曜日はトランプにとって良い夜になったが、ヘイリーにとっては、選挙戦に踏みとどまっている、最後の主要なトランプのライヴァル候補として、無党派層と共和党員の両方に働きかけようとしていたため、ニューハンプシャー州で打撃を受けた。

ニューハンプシャー州は、登録をしていない有権者が共和党予備選に投票できることから、ヘイリーが序盤の指名争いで好成績を収める絶好のチャンスを提供していた。しかし、ここ数週間の世論調査では、ヘイリーがトランプを数ポイントの差で引き離しているとの見方もあったが、結局、無党派と共和党支持者の両方を十分に納得させ、ヘイリーの選挙戦に結集させることはできなかった。

ヘイリーは、4期目を務めている、人気の高いニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)の支持を得たにもかかわらず、惨敗してしまった。

それでも、ヘイリー候補は、火曜日夕方の支持者向け演説で、予備選の全結果がまだ集計されていないにもかかわらず、「次は私の愛するサウスカロライナ州だ」と述べた。また、共和党大統領予備選から脱落するつもりはないだろうと予想されている。

しかし、ニューハンプシャー州での敗北は、トランプとヘイリーが来月のサウスカロライナ州での共和党予備選に備える中で、彼女の実行力に新たな疑問を投げかけている。世論調査では、元国連大使ヘイリーは地元でトランプから大きく引き離されている。

ディシジョンデスクHQと本誌がまとめたサウスカロライナ州における世論調査の支持率の平均では、トランプが61%、ヘイリーが27%となっている。

(4)トランプの勝利は共和党内部の分裂を浮き彫りに(Trump win highlights divide in GOP

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はかなり早く予想されたものの、トランプ前大統領は先週のアイオワ州のような地滑り勝利を楽しむことはできなかった。

記事掲載時点で74%の得票が報告されており、ディシジョンデスクHQは、トランプ54.8%に対し、ヘイリー44%と約10ポイントの差をつけている。

出口調査でも、トランプとヘイリーの支持層は大きく異なっていた。CNNの出口調査では、トランプ支持者の80%が、バイデン大統領が2020年の選挙で正当に当選していないと考えているのに対し、当選していると答えたのは17%だった。逆に、ヘイリー支持者の83%が、バイデン大統領は2020年の選挙に正当に勝利すると答えたのに対し、勝利しないと答えたのは15%だった。

また、CNNの出口調査では、前国連大使ヘイリーに投票した人の約40%が、彼女のライヴァルであるトランプに反対して投票したことが分かった。

トランプが共和党の大統領候補になった場合、最終的にはヘイリーの支持者の多くから支持を得る可能性が高いが、共和党予備選で示された分裂は、党がトランプを中心にまとまろうともがく中で、有権者間でグループがあることを示唆している。

(5)予備選の季節は短く、ドラマなど起きないだろう(Primary season looks short and drama-free

ヘイリーは敗北予想が出た後、「ニューハンプシャーにおいて全米で最初の予備選挙が実施された。全米で最後ではない。このレースはまだ終わっていない。まだ何十州も残っている」と発言し、予備選挙での選挙戦の継続を約束した。

しかし、党内では以前から、アイオワ州とニューハンプシャー州でトランプが連勝すれば、トランプ前大統領の共和党候補指名がほぼ確定するとの予測もあった。

トランプは2024年の選挙で事実上の現職として出馬しており、全米の世論調査では2桁のリードを誇っている。混戦模様の候補者たちは、トランプに代わる最有力候補となるべく何カ月も争ったが、トランプが発表した時点でレースは実質的に決まっていたと言う専門家たちもいる。

今月、共和党予備選挙の有力候補4人が立候補し、選挙戦を通じて、トランプとヘイリーの一騎打ちに移行した。

火曜日、ヘイリーは自身のキャンペーンが「半数近い票を獲得した」と宣伝したが、彼女のキャンペーンは今、それが指名候補としての競争力を証明し、サウスカロライナ州での2月の予備選挙とその後に向けたキャンペーンの燃料として十分かどうかという疑問に直面している。

そうでなければ、共和党の予備選シーズンは始まってわずか数週間で終わってしまうかもしれない。

アメリカ南部初のサウスカロライナ州での共和党予備選は2月24日に行われる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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