古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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カテゴリ: ヨーロッパ政治

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は2022年2月24日の開戦から丸4年が過ぎようとしている。停戦の兆しは見えていない。戦線は膠着し、打開策は今のところない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は自身が二期目の大統領になれば24時間以内に停戦させると豪語したが、1年が経過しても戦争は終わっていない。アメリカとヨーロッパ諸国、日本などの西側諸国はロシアに対して制裁を加え、ウクライナに支援を行っているが、屁のツッパリにもなっていない。ウクライナが本気で停戦に臨まない程度に助けながら、戦争を続けさせている。なんと残酷なことだろう。トランプ大統領はアメリカのウクライナ支援に批判的であったが、政権発足後は支援を続けている。

 こうした中で、ヨーロッパ諸国の中で、アメリカに交渉の仲介を任せていても埒が明かないので、直接自分たちでプーティン大統領と交渉しようという動きが出ている。アメリカは頼りにならないということだ。アメリカに任せていては自分たちもいつまでもお金を出し続けねばならない。それは馬鹿げたことである。

更に言えば、ヨーロッパ諸国はロシアと完全に切れている訳ではないということを以下の論稿で知り、呆れるばかりだ。ヨーロッパの多くの企業はロシアでビジネスを続けており、ロシアからの資源も買っているということだ。それでいて、表ではロシアを非難し、ウクライナを助けるとしているが、決して軍隊を送ったり、強力な武器を送ったりはしていない。表向きの言葉だけは立派で勇ましいが、ヨーロッパ諸国はロシアと完全に切れてしまえば、自分たちの経済にも影響が出ると懸念して、自分たちで抜け穴を作り、ロシアとの関係を継続している。日本企業に対してロシアでのビジネスを行うなという圧力をかけてきて、自分たちはビジネスを続けている。ヨーロッパ諸国の見かけだけは立派だが実際の汚さには呆れ果てるしかない。口だけ勇ましいだけの役立たずである。

 それでも、アメリカ型よりならないと気づくだけでもまだましである。日本はアメリカに従属し尽くしてそのようなことを考えつくことすらできない。そして、アメリカの奴隷を続けて、悦に入って喜んでいる。ヨーロッパはその点では日本よりは優れている。比べる基準が低すぎるのでk褒められてもうれしくないだろうが。

 戦争をここまで長引かせたことを反省し、一日でも早く平和と安定が戻すことはヨーロッパ諸国に課せられた義務であり、世界に対する責務である。アメリカが全く頼りにならない今、ヨーロッパが動くのは当然のことだ。

(貼り付けはじめ)

ヨーロッパはウラジーミル・プーティン大統領への依存の準備を進めつつある(Europe Is Getting Ready to Pivot to Putin

-ヨーロッパの指導者たちはアメリカの圧力に直面しロシア大統領への働きかけを検討している。

アンシャル・ヴォ―ラ筆Anchal Vohra

2026年2月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/06/europe-russia-putin-trump-pivot-detente/

ヨーロッパの高官たちは『フォーリン・ポリシー』誌に対し、1月にスイスのダヴォスで開催された世界経済フォーラムに出席した際、アメリカ側とウクライナ和平交渉の現状について協議する時間があると考えていたと語った。しかし、実際には、グリーンランドをめぐるNATO加盟国との軍事衝突を回避することに集中せざるを得なかった。

その後、ヨーロッパではプランBの必要性が議論されている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領とイタリアのジョルジア・メローニ首相は共に、ヨーロッパが特に安全保障上不可欠な事項において、アメリカへの依存をゆっくりと、しかし確実に減らそうとする中で、ロシアとの直接交渉を追求している。

エマニュエル・マクロン大統領は2025年12月下旬、ヨーロッパはロシアと「適切に協議するための適切な枠組みを見つける(find the right framework to talk properly)」必要があると述べ、アメリカがロシアとウクライナの和平交渉を主導する中で欧州が後部座席に座っている現状は「理想的ではない(not ideal)」と述べた。

「ウラジーミル・プーティン大統領と話すことはまた有益になるだろう」とマクロンは付け加えた。メローニは、ロシア大統領と話す「時が来た(the time has come)」と考えていると述べた。メローニは、「ヨーロッパが現場の二者のうち一方とだけ話せば、貢献できる範囲が限られてしまうのではないかと懸念している」とも述べた。

主要問題に関するEU加盟27カ国の合意形成を担う欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は、1月27日、フォーリン・ポリシー誌を含む少数の記者団に対し、アメリカ主導の協議を阻害する可能性のある並行プロセスは支持しないものの、ヨーロッパは必要であればロシアと交渉する用意ができていなければならないと述べた。

ヨーロッパの戦略転換は、ドナルド・トランプ米大統領自身によって引き起こされた。トランプ大統領は、ヨーロッパの安全保障に直接関わる和平案を策定する中で、ヨーロッパを交渉の場から排除しただけではない。ロシア・ウクライナ戦争に関するトランプ大統領の28項目の和平提案は、ロシアを世界経済に再統合することを提案し、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、西ヨーロッパへのロシアのエネルギー供給の流れを回復することを約束した。

専門家たちはフォーリン・ポリシー誌に対し、トランプ政権の最初の計画は、パリ、ブリュッセル、ベルリンとの事前協議なしに、ロシアがヨーロッパに保有する凍結資産をアメリカとロシアの企業に利益をもたらすプロジェクトに活用することをモスクワに約束していたようだと語った。

ヨーロッパは岐路に立たされている(at a crossroads)。ロシアとの取引をトランプに委ね、結果に確信を持てないままにするか、それとも現実的なアプローチを取り、関係がかつてないほど悪化しているに中ではあるが、プーティン大統領に直接働きかけるかだ。

ウクライナ侵攻とNATO領土への脅威となるドローンの継続的な使用の後、ロシアとの関係回復というアイデアをヨーロッパは快く思わないかもしれないが、いかなる取引においてもこれが避けられない結果となる可能性があることを認識している。そして、彼らは既にその可能性を示唆している。トランプ政権の28項目の計画に対する最初の反応として、ヨーロッパ諸国が支持する提案は、経済関係に関する条項を書き換え、ロシアは「徐々に(progressively)」世界経済に再統合されると述べている。

EUによる制裁で起きる経済的締め付けと、管轄権下にある数十億ドル規模のロシアの凍結資産は、ヨーロッパ諸国にとって重要な交渉材料となる。つまり、EUは独自の合意を締結できる。しかし、ヨーロッパ諸国は、段階的かつ限定的な救済措置、つまりロシアの行動改善に対する段階的な報酬を望んでいる。プーティン大統領との交渉でトランプ大統領が譲歩するような形での譲歩ではない。

貿易専門家たちは、EUが潜在的な合意において有利な条件を模索する一方で、多くのヨーロッパ諸国はロシアとの貿易関係を完全に断絶しておらず、公式発表と実際の経済政策の間に深刻な乖離が生じていると指摘している。

制裁を含む国際貿易法の遵守について企業や個人に助言を行うダルシャク・S・ドラキアは、フォーリン・ポリシー誌に対し、EUのこれまでの戦略は「離脱(exit)」というよりは「ロシアとのビジネス関係の一時停止(“more of a pause” in business relations with Russia)」を反映したものだと述べている。ドラキアは、交渉が加速するにつれ、「アメリカとヨーロッパのビジネス界は、貿易関係の再開に大きな期待を抱いている(there is a lot of hope in the business community in the U.S. and in Europe that trade ties can be resumed)」と付け加えた。

ロシアによるウクライナ侵攻にもかかわらず、数千ものヨーロッパ企業がロシアから撤退しなかった。その理由として、法的障壁、現地での雇用義務、そして利益率を挙げた。ロシアにおける外国企業を追跡するプロジェクト「リーヴ・ロシア(Leave Russia)」によると、2300社以上の外国企業が何らかの形でロシアに残ることを決定した一方、完全に撤退したのはわずか547社だった。EU加盟国の中では、ロシアに残ることを選択した企業、あるいはまだ完全に撤退していない企業の中で、ドイツ企業が最も多く、377社だった。一方、撤退したのはわずか83社だった。フランスはドイツに次いで、完全に撤退した企業はわずか39社だった。一方、147社は何らかの形で事業を継続している。イタリア企業は140社以上が現在もロシア国内で事業を継続しているが、完全に撤退したのはわずか8社だった。

キエフ経済大学の開発副部長であり、「リーヴ・ロシア」プロジェクトの責任者でもあるアンドリー・オノプリエンコは、フォーリン・ポリシー誌に対し、ロシアで依然として事業を展開している多くの企業は「評判や倫理上の懸念よりも経済の継続性を優先し、EUの制裁目標への政治的整合性よりも、契約、株主の利益、法的複雑さといった観点​​から意思決定を行っている」と述べた。

オノプリエンコは続けて、「この傾向は、商業的インセンティヴが、完全な撤退を求める政治的要請を上回り続けていることを示唆している」と述べた。

EUの限界は長らく露呈しており、既存の制裁措置に様々な例外を認め、ロシア企業への対応は遅々として進んでいない。本格的な戦争勃発以降、EUは19の制裁措置を打ち出してきたが、そのたびに対象国を増やし、圧力を強めてきたものの、完全には行き届いていない。

ドラキアは次のように述べた「ヨーロッパはロシアの銀行への制裁から始め、その後、エネルギー輸入への制裁を徐々に強化してきた。これは主に、全てを尽くすこと、そしてロシアをイランや北朝鮮のような完全な禁輸国にしないことが目的だった。政治的には見苦しいが、ロシアを孤立させてのけ者(a pariah state)にするのではなく、何らかの圧力をかけ続けられるよう、統合を維持することが狙いだった」。

しかし、EUが課した財政的圧力は抑止力としては不十分だった。おそらく、ヨーロッパがロシア経済に数十億ドルもの資金を注ぎ込み続けたためだろう。スウェーデンのマリア・マルマー・ステネルガルド外相によると、EUは2022年以降、ロシアに輸入代金として3110億ユーロ(3667億ドル)を支払い、同期間にウクライナに1870億ユーロ(2205億ドル)の援助を行っている。

EUはパイプラインによるガス輸入を大幅に削減したが、液化天然ガス(LNG)輸入は2021年の20%から翌年には15%に減少したものの、2024年には戦前の水準まで回復した。2025年には、EUは依然としてLNG総輸入量の13%をロシアから輸入していた。

EUは依然としてロシアからの肥料輸入に依存している。EU全体の肥料輸入量に占めるロシアの割合は2025年第3四半期に13%に低下したが、ロシアは依然としてEU第2位の供給国だ。また、ロシア製の鋼板は依然として現地子会社を通じてEU内で販売されている。

ウクラインスカ・プラウダ紙の調査によると、ロシアのオリガルヒであるウラジミール・リシンが主権を握るノボリペツク・スティール(NLMKは、複数のヨーロッパ諸国に鋼板を輸出し続けている。ウクラインスカ・プラウダ紙は、ノボリペツク・スティール(NLMK)はロシアの防衛サプライチェインに深く関わっており、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルの製造会社を含むロシアの防衛部門の少なくとも22の施設に供給していると報じた。ノボリペツク・スチールとリシンはいずれもEUから制裁を受けていない。

ロシア・リーヴキャンペーンのオノプリエンコは次のように述べた。「ノボリペツク・スティール(NLMK)はEU理事会の制裁基準を満たしていないと判断された可能性がある。大手鉄鋼メーカーはEU諸国に経済的な足跡を残しており、雇用やヨーロッパのサプライチェインへの相互影響なしに単純な制裁を課すことは困難だ」。

ノボリペツク・スティール(NLMK)の関係者は匿名を条件にフォーリン・ポリシー誌の取材に応じ、EUは子会社が操業するベルギーなどの国々で雇用喪失の可能性に対する圧力に晒されていると語った。

さらに、ロシアのエネルギー大手ルクオイルは、これまでのところEUによる全面的な禁輸措置や資産凍結を免れている。前述のドラキアは次のように述べた「アメリカはルクオイルに全面的な制裁を課しているが、EUはルクオイルの子会社1社のみに制裁を課しており、ルクオイル自身には制裁を課していない。多くのヨーロッパ諸国がエネルギー需要をルクオイルに依存しており、EUは構成国や加盟国に過度の圧力をかけたくないのかもしれない」。

ルクオイルとノボリペツク・スティール(NLMK)に関する質問に対し、EU報道官は制裁に関する協議は機密扱いであり、加盟国の裁量に委ねられていると述べた。「制裁は加盟27カ国が全会一致で採択したものであり、EUは公にコメントすることはできない」。

フランスはイギリスと共にいわゆる有志連合(a so-called coalition of the willing)を率いており、将来の和平を監視するためにウクライナに部隊を派遣する意向表明に署名した。しかし一方では、フランスのエネルギー企業EDFの子会社であるフラマトムは、ロシアの国営原子力企業ロスアトム傘下のTVELとの合弁事業を推進し、ドイツで核燃料棒を製造しようとしている。

EU報道官は、「現在、ロスアトムは制裁対象リストに含まれていない」と付け加えたが、EUはロスアトムを含むロシアの原子力関連製品・技術へのアクセスを制限している。EUのカヤ・カラス外相は2025年8月、ヨーロッパ委員会を代表して、ヨーロッパ議会において、「ヨーロッパ委員会は、ロシアからの原子力輸入を段階的に、秩序正しく、かつ安全な方法で廃止することに尽力している」と述べた。

要するに、ヨーロッパ諸国はロシアからの輸入を遮断しようと試みたものの、依然として依存状態が続いている。制裁措置を講じる際には意見が分かれ、代わりに地域経済を優先する特例措置を設けている。多くのヨーロッパ企業はモスクワとのつながりを維持し、関係を再開することを望んでいる。EUとロシアの関係は、ロシアがウクライナに侵攻する前の、より希望に満ちた時代、つまり貿易によってプーティン大統領の強権的な傾向を抑制できるとヨーロッパが信じていた時代に戻ることはないだろう。しかし現状では、ヨーロッパは既に地域の強権国家と繋がりを持っており、経済的な譲歩は近いうちに避けられないものとなるかもしれない。

アンシャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とするフォーリン・ポリシー誌コラムニスト。ヨーロッパ、中東、南アジアについて執筆している。『タイムズ・オブ・ロンドン』紙で中東を担当し、アルジャジーラ・イングリッシュとドイチェ・ヴェレのテレビ特派員も務めた。以前はベイルートとデリーを拠点に、20カ国以上の紛争や政治を報道してきた。Xアカウント:@anchalvohra

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 ウクライナ戦争は2022年2月に始まってもうすぐ3年が過ぎようとしている。初期段階でウクライナ軍が善戦してロシア軍の進撃を止め、西側諸国がロシアに経済制裁を科して戦争は早期に集結するかと思われたが、結局、ロシアは経済制裁を受けても持ちこたえ、戦争は継続している。

西側諸国はウクライナに支援を続けているが、そのほとんどはアメリカが負担している。ウクライナ戦争停戦を訴えて当選した、ドナルド・トランプ次期大統領が正式に就任するのが2024年1月20日で、それ以降、ウクライナ戦争の停戦協議は本格化すると考えられる。現状は、ウクライナは東部や南部で奪われた地域を奪還できていないが、ロシア領内クルスク州の一部を占領している。地図を見てもらえれば分かるが、ロシアにとっては喉に刺さった小骨程度のことであるが、やはり、ここを奪還できるかどうかということは重要になってくる。ウクライナとしてはクルスク州を取引材料にして、ロシアから何らかの条件を引き出したいところだ。
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 ロシアとしては、停戦協議にはクルスク州を奪還してから応じたいところだ。アメリカの支援が切れる今年1月以降に攻勢をかけて、ウクライナ軍をロシア領内から撤退させ、それから停戦交渉をするということになる。また、自分たちで攻勢をかけなくても、トランプ大統領に停戦協議に応じたいが、クルスク州を奪還しない限り無理だと言えば、トランプ大統領が、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に圧力をかけてウクライナ軍を撤退させるということも外交交渉で出来るだろう。

 停戦後に、平和維持活動として、ポーランドとフランスがウクライナに将兵4万人を派遣するという計画があるという報道もある。ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナのNATO加盟の必要性を訴え、NATO加盟まで、外国の軍隊の駐留を求めるという発言があった。これはロシアを非常に刺激する発言であり、ポーランドとフランス両国の軍隊がウクライナに4万人も駐兵するということはロシアにとって受け入れがたいことだ。ウクライナとしては逆に、外交交渉の材料として、NATO加盟と外国軍隊の駐留を取引材料に仕える可能性もある。ここで重要なのはポーランドである。ポーランドは中欧の大国であるが、同時に、歴史的にヨーロッパ全体に不安定要因ともなる国家である。ポーランドは、反ロシアという点ではウクライナと共闘できるが、ウクライナの南西部ポーランド国境地帯ガリツィア地方には実質はカトリック教徒のユニエイトがおり、ウクライナとの関係が深い。ポーランドがウクライナ南西部の支配を狙っている可能性がある(ロシアがウクライナの頭部を持っていったんだから自分たちもという考え)。
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 ウクライナ戦争の停戦交渉はロシアの占領地域はそのままという現状を認めるところが前提となり、ウクライナのNATO加盟を認めるかどうか、外国軍駐留を認めるかどうかというところになるだろう。軍事同盟ではないEU加盟については、ロシアも認められるところがあるだろう。しかし、EU側が負担増大を懸念してウクライナの加盟を認めない。トランプ次期大統領がNATOからの脱退も示唆しており、NATOの力が弱体化し、西側諸国の国力も低下している中で、ウクライナは西側とロシアの間で両天秤をかけるという柔軟な動きが必要となってくる。

(貼り付けはじめ)

●「ポーランドとフランス、軍派遣を協議か 戦闘終結後のウクライナに」

毎日新聞 2024/12/12 09:37(最終更新 12/12 09:37

https://mainichi.jp/articles/20241212/k00/00m/030/036000c

 ポーランドのメディアは11日、同国とフランスが、ロシアとの戦闘終結後のウクライナで平和維持活動に当たる4万人規模の外国軍派遣の可能性を協議していると報じた。フランスのマクロン大統領は12日にポーランドの首都ワルシャワでトゥスク首相と会談する予定で、議題に上るとみられる。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、自国の安全を保証するには北大西洋条約機構(NATO)加盟が必要だとした上で、加盟までの間、外国軍が駐留する案を検討していると述べていた。

 マクロン氏とゼレンスキー氏は7日、トランプ次期米大統領を交えた3者会談をパリで行っており、こうした案を議論した可能性もある。

 フランスのルモンド紙は11月、フランスと英国が欧州各国からのウクライナへの派兵を議論していると報じた。米メディアによると、トランプ氏の政権移行チームでは、ロシアとの戦闘を凍結し非武装地帯が設けられた場合、欧州諸国が警備を担う案が浮上している。(共同)

 

 

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ウクライナのクルスク侵攻がもたらす地政学的チャンス(The Geopolitical Opportunity of Ukraine’s Kursk Offensive

-ウクライナのクルスク侵攻はワシントンに対して、より賢いアジアへの意向(pivot to Asia)を示す道となる。

A・ウェス・ミッチェル筆

2024年8月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/15/kursk-ukraine-russia-offensive-incursion-china-asia-us-geopolitics-strategy/?tpcc=recirc062921

写真

ウクライナのロシアへの奇襲侵攻の中、破壊された国境検問所を通過するウクライナの軍用車両(2024年8月14日)

現在、クルスク地方で進められているような、ウクライナのロシア本土への侵攻は、アメリカの地政学的課題を順序立てて解決するという広範な戦略の一環として、戦争をより迅速に終結させる好機である。ロシアの侵攻2日目に私が『フォーリン・ポリシー』誌に書いたように、このような順序立ての戦略は、中国、イラン、ロシアとの同時かつ多方面にわたる戦争を回避するための最良の選択肢である。ウクライナ人が最近の成果を強固なものにし、おそらくそれを土台にするのに必要な手段を与えることで、ワシントンはキエフがモスクワを交渉のテーブルにつかせるのを助け、西側諸国が再武装する時間を稼ぎ、アメリカがインド太平洋に関心を移すのを可能にするチャンスがある。しかし、そのためには、ジョー・バイデン政権が、ウクライナによるアメリカ製兵器の使用制限を撤廃し、紛争の明確かつ達成可能な最終状態を定義する必要がある。これはリスキーではあるが、中国かイランが二正面戦争でアメリカと対峙するまでウクライナに援助を垂れ流すという選択肢よりは望ましい。

クルスク攻防戦がチャンスを生み出すには、この攻防戦が2022年以降のウクライナのロシア侵攻作戦とどう違うのかを理解する必要がある。第一に、ウクライナで最も優秀で西側で訓練された部隊を含む少なくとも5個旅団(brigades)の要素に加え、戦車、大砲、無人機、戦闘機が関与しており、規模がはるかに大きい。

第二に、今回の侵攻は過去の侵攻よりもはるかに深い。詳細は確認されていないが、ウクライナ側は国境のロシア側にある70以上の村、鉄道路線、重要なガス中継ハブ、合計1000平方キロメートル(386平方マイル)以上を支配しているようだ。第三に、ウクライナ側は急襲(raid)に成功しても立ち去るどころか、更に兵力と装備を投入し、侵攻を強めているようだ。

まだ多くのことがうまくいかない可能性がある。1つは、ロシア軍が攻撃している他の戦線からウクライナの兵力を引き離す可能性があることだ。モスクワはクルスクへの新戦力の投入を遅らせているが、ロシア軍にはまだ多くの予備兵力がある。

それにもかかわらず、この侵攻によってロシアの意外な弱点が明らかになった。ロシアの国境はほとんど守られていなかった。ウクライナ軍は戦略的な奇襲を仕掛け、敵国に戦争を持ち込み、ウクライナに必要な士気を高めた。ウラジーミル・プーティンは今、この攻撃を厄介なものとして軽視し、徴兵制(政治的に不人気な行動)と国内治安部隊、そして再配置された少数の前線部隊でやり過ごすか、あるいはウクライナ人を退去させ、より大規模な再配置で国境の残りの部分を強化するかというディレンマに直面している。つまり、ウクライナの橋頭堡を封じ込めることはできても、追い出すことはできそうにない。

数的劣勢にもかかわらず、ウクライナ側が地歩を固める可能性は十分にある。これまでのところ、この戦争では、陣地戦(positional warfare)における攻撃よりも防御の方が思いのほか有利であることが明らかになっている。秋の雨季を間近に控え、ウクライナ軍は容易に離脱できないような強固な突出部を形成できる可能性がある。今後、ロシア側は、ウクライナの長くて、穴だらけの国境を監視するために、より多くの軍隊を配備することを避けられないだろう。

このような事態は戦略的に重要である。それは、これまでロシアが勝利のセオリーとしてきた、戦争を長引かせることが、より大規模でおそらくより強力な紛争当事者であるロシアに有利に働くという考えに疑問を投げかけるからだ。クルスク作戦が最終的に失敗したとしても、現在の膠着状態を逆転させ、ウクライナが相対的に有利になるようなウクライナの戦略を描くことができる。プロイセンの軍事理論家カール・フォン・クラウゼヴィッツが19世紀に記したように、「軽く保持された、あるいは無防備な地方の占領は、それ自体が有利であり、この有利さが敵に最終的な結果を恐れさせるのに十分であれば、それは平和への近道と考えることができる」。もしキエフが小規模でもロシアの国境地帯を占領し、保持することができれば、モスクワは自国の領土において、西側の制裁によってこれまで耐えてきたことよりも重大な痛手を被る可能性を考慮しなければならなくなる。

これらは全て、より広範なアメリカの戦略に影響を与える。私は以前から、ウクライナにおけるロシアの戦争に対するアメリカの最適なアプローチは、中国が台湾に対して準備するよりも速い時間軸で、ロシアに代理敗北を与える機会として利用することだと主張してきた。過去2回の国家防衛戦略で、アメリカは複数の主要な相手と同時に戦争する準備ができていないことが明らかになった。ロシアの継続的な侵略に対して集中的かつ規律ある方法で資源を使うことで、アメリカはヨーロッパに対するロシアの脅威を弱め、その上でインド太平洋における抑止力を強化するための余地(bandwidth)を確保するチャンスがある。

問題は、アメリカが敵国ほど時間をうまく使えていないことだ。ウクライナ戦争が始まって以来、アメリカの国防予算は比較的横ばいで推移している。中国はこの時間を利用して、自国の銀行業界を制裁から守り、エネルギー供給をアメリカが混乱させにくいルートへと方向転換し、台湾近辺に攻撃部隊を増強し、アメリカとの核バランスを達成する努力を加速させている。イランはこの間、国防予算を増やし、中東全域の代理勢力に軍備を提供し、核兵器開発期間をほぼゼロに縮めてきた。

敵国が24時間体制で武装している一方で、アメリカは自国の防衛産業基盤を、ウクライナを支援できる状態にまで引き上げるのに苦労している。国防総省の推計によれば、アメリカは毎月8万発の155ミリメートル榴弾砲の砲弾を生産する予定だ。ウクライナが防衛陣地を維持するだけでも月に少なくとも7万5千発が必要であること、そして1990年代半ばには、アメリカが月に80万発以上の砲弾を生産していたことを考えるまでは、この数字は印象的だろう。オランダと同規模の経済規模を誇るロシアは現在、アメリカとヨーロッパを合わせた量の3倍の弾薬を生産している。最近の試算によると、アメリカがウクライナに提供したパトリオットミサイル迎撃機、ジャヴェリン対戦車システム、スティンガー防空システムの在庫を補充するには、現在の生産レヴェルで5年かかるという。

ヨーロッパの状況は更に悪い。高飛車な美辞麗句を並べ立てながらも、ほとんどのNATO諸国は、戦争を抑止するための必須条件である戦争への備えについて、中途半端な努力しかしていない。再軍備への意欲を好転させると宣言したにもかかわらず、ドイツは過去2年間、国防予算の不足を容認してきた。最近ではウクライナ支援を半減させ、2025年の国防予算はドイツ国防省が要求した額ではなく、インフレを補うのがやっとというわずかな増額にとどめた。2022年と2023年のNATO首脳会議で、西ヨーロッパの同盟諸国がNATOの東側に師団規模の部隊を配備すると約束し、その後、東側の防空を改善すると約束したが、実現されていない。最近の報告書によれば、ヨーロッパには長期にわたる紛争を遂行するための「備え、産業能力、サプライチェーン、雑誌の充実度、兵站、質量、資源、そして特に『戦う意志(will of fight)』が欠けている」という。

要するに、ワシントンとその同盟諸国は、ロシアの侵攻という衝撃を受けてからの時間を賢く使わなかったが、敵対国は賢く使ったということだ。2年以上前から、主要先進諸国との長期にわたる紛争にどのような規模の努力が必要かは明白であった。それにもかかわらず、アメリカもその同盟諸国も、そのような事態に備えるために必要な準備に近いものは何もしてこなかった。

このような背景から、クルスク侵攻のようなウクライナのロシアへの侵攻は戦略的な意味を持つ。もしウクライナ側が、ロシアの小さな地域さえも危険に晒すことができることを証明できれば、時間さえかければ、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領に、キエフにとってより有利な条件で交渉のテーブルにつかせることができるかもしれない。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、これが作戦の目的だと明言している。プーティンは、「敵は将来的に交渉の立場を改善しようとしている」と発言し、それを認めた。

東ヨーロッパ戦争の最終段階で領土が果たしてきたユニークな役割を強調するのは価値があることだ。過去において、ロシアが戦争後に不利な条件を達成できなかったのは、相手がロシアの領土を保持していたときだけである。例えば、1921年のポーランド・ソヴィエト戦争終結時、ソヴィエト・ロシアはポーランド軍がソ連領の一部を占領した後に西進を終了した。これとは対照的に、フィンランド・ソヴィエト冬戦争では、フィンランド軍がほとんどの軍事戦に勝利したにもかかわらず、ソヴィエト領土を占領することができなかったため、フィンランド領土の大部分を割譲して終結した。

言い換えれば、ウクライナにとって領土は、ロシアに対する制裁緩和やその他の経済的インセンティヴよりも価値のある、最も重要な影響力なのである。したがって、西側諸国の目的は、ウクライナにとって可能な限り最良の条件で、できるだけ早く戦争を終結させる方法として、ゼレンスキーがロシアの領土を保持するのを支援することであるべきだ。

そのためには、バイデン政権はこれまでやりたがらなかった2つのことを実行する必要がある。第一に、戦場での優位性を維持するために必要な武器をウクライナに提供し、キエフがそれらの武器を使用する方法に対する制限を撤廃すべきである。これにはリスクがない訳ではなく、ロシアはNATOやアメリカを直接脅かす形で紛争をエスカレートさせて対応する可能性がある。しかし、これらのリスクは、代替案のリスクと対比させて考慮する必要がある。例えば、ヨーロッパが安定する前にアジアを優先しようとする試みや、イランに対する先制攻撃など、より劇的で危険な試みである。おそらく最悪は、現在の漸進的な路線を継続することであり、その場合、アメリカの軍事備蓄が枯渇した瞬間に台湾に対する中国の動きでアメリカ政府に直面する可能性があり、おそらくそれ自体がさらにエスカレートする可能性を秘めたシナリオとなるだろう。

第二に、ワシントンは戦争に対する明確で達成可能な政治目標を定義する必要がある。その目標は、2022年2月までのウクライナの国境内に主権を回復し、独自の外交政策を担当し、経済的に実行可能で軍事的に強力になることである。それは本質的に価値がある。また、将来のロシアのヨーロッパ侵略に対する防波堤(breakwater against future Russian aggression)として機能する可能性もあり、それによってアジアにより重点を置くというアメリカの目標を支援する。

これらの線に沿ってアメリカの目標を定義することは、バイデン政権の曖昧で不安定な戦争アプローチを放棄することを意味する。バイデン大統領は、最終目標について、ロシアの体制転換(regime change)であると繰り返し示唆した。明らかに達成可能ではないことに加えて、このような、アメリカの目標を組み立てると、戦場で交渉が望ましい地点に達したときにアメリカがウクライナを支援することが困難になる。外交とは、侵略に直面したときの降伏や甘い合理性のことではない。むしろ、クラウゼヴィッツが書いたように、それは国家が「敵軍を殲滅するよりも目標に向かうより短い道(shorter route to the goal than the destruction of the opposing armies)」を見つけるための重要な媒体である。

制限のない軍事援助の拡大と最終目標の明確化という両方の点で、ワシントンとその同盟諸国は緊迫感を持って行動する必要がある。時計の針はアメリカに不利に働いている。時間が賢明に活用されていないという単純な理由で、順序決定戦略は2022年当時よりもリスクが高まっている。しかし、配列決定のリスクは、代替手法のリスクよりも依然として低い。配列処理には、おそらく最後の一押しが必要となる。

だからこそ、ウクライナ人を助けると同時に、複数の大国が敵対する戦争でアメリカ軍を支援できるよう防衛産業基盤の整備を急ぐという、2つの側面からアプローチすることが重要だ。また、ワシントンがヨーロッパの同盟諸国に対し、戦争に備えて現在行っている以上のことを行うよう働きかけることも重要だ。そうでなければ、得られるのは短い猶予だけで、アメリカが戦争を抑止するためにアジアでの態勢を強化することはできない。

戦略は固定されたものではなく、状況に応じて決まる。アメリカとその同盟諸国は現実と差し迫った選択に目を覚ます必要がある。アメリカが真剣に戦争の準備を始めない限り、実際には一度に一つ、あるいはもっと悪いことに複数の戦争を同時に戦わなければならないことになるかもしれない。

A・ウェス・ミッチェル:「ザ・マラソン・イニシアティヴ(The Marathon Initiative)」代表。トランプ政権でヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補を務めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イギリスの総選挙の投開票が実施され、労働党が圧倒的な議席を獲得し、14年ぶりに政権交代となった。保守党は歴史的な惨敗を喫した。中道派の自由民主党や右派のリフォームUKは議席を増やした。議席数は労働党が412議席(214議席増)、保守党が121議席(252議席減)、自由民主党が71議席(63議席増)、スコットランド国民党が9議席(37議席減)、リフォームUKが5議席(5議席増)、緑の党が4議席(3議席増)などとなっている。興味深いのは得票率で、労働党は前回とほぼ同じ、保守党は19.9%減、自由民主党も横ばい、リフォームUKは12.3%増となった。得票率が横ばいでも獲得議席数が激増した労働党と自由民主党、得票率は半減だったのに議席減が壊滅的となった保守党、得票率が激増したが議席数には反映されなかったリフォームUKという構図になる。
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 今回の選挙について、労働党が獲得議席数では大勝利ながら、得票率では前回とほぼ同じで、横ばいだったことを考えると、「保守党が自滅した、しかも大規模に」ということになる。このようなことが起きるのは、単純小選挙区制(first-past-the-post voting system)であるからだ。単記非移譲式投票(single non-transferable voteSNTV)と呼ぶこともある。各選挙区の定数は1で、最多得票者が当選者となる。非常にシンプルだ。炭塵小選挙区制では、死票(wasted vote)が多く出るのが特徴で、それが欠点とされる。日本では衆議院選挙で小選挙区制が導入されたが、この時に比例代表での復活も可能な制度が導入された。日本の制度では死票が減少するが、「小選挙区で落選した候補者が復活するのはおかしい」という批判がなされる。完全な比例代表制度(proportional representationPR)を採用している国もあるが、少数政党が乱立し、過半数を握る単一政党が出にくいために、連立政権となり、政治が安定しないという批判もある。完璧な選挙制度は今のところ考え出されていない。
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死票が多く出る

 今回のイギリスの総選挙では、保守党への大きな批判があったのは確かで、それをうまく利用したのが労働党であり、選挙戦術として、勝利の可能性の高い選挙区に集中した自由民主党が勝利を収めたということになる。そして、保守党への不満・批判票はリフォームUKに流れたと推察される。リフォームUKは得票率だけならば、第3位になった。労働党、保守党とリフォームUKの合計得票率は3割超えというところで、拮抗している。リフォームUKが出ていなければ保守党の議席減、労働党の議席増はそこまで大きくなかったと考えられる。私が子供の頃は、アメリカとイギリスは二大政党制と習った。小選挙区制では二大政党以外は勝ち抜くのがなかなか大変だと言われているし、実際そうである。

政治学では、デュヴェルジェの法則(Duverger's law)というものがあり、フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェが主張したものだが、選挙区でM人が選出される場合には、候補者はM+1人になるというものだ。小選挙区制度ではM=1なので、2人が候補者となる。この考えは最初、候補者ではなく、政党数が収れんしていくと主張するもので、小選挙区制度の国では政党数は2つになる、ということになる。昔の日本では中選挙区制(multi-member district)を採用しており、一番大きな選挙区では5人が選出されるとなっていたので、6つの政党が存在できるということになる。55年体制下の日本で考えると、自民党、社会党、公明党、民社党、共産党、社民連が国政政党として存在した。

 イギリスでは第三党、中道の第三勢力を求める動きがあり、自由民主党が一定の勢力を持つことにつながっているようであるが、リフォームUKの出現がどこまで影響を与えるかが注目される。今回の投票率は約60%であり、これはこれまでと比べての低い数字となった。有権者の関心が低かったということもあるだろうが、政治に関する無関心が拡大しているということも考えられる。
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 労働党は大きな議席を得たが、国民生活の改善、物価高の抑制と移民対策、外交政策で成果を出すことが必要で、それがなければ、次の選挙では大敗を喫するということは十分に考えられる。

●イギリスのここ最近の選挙の概略的な結果表示●

■2010年

・保守党306議席(96議席増)36.1%

・労働党258議席(91議席減)29.0%

・自由民主党57議席(議席減)23.0%

■2015年

・保守党330議席(24議席増)36.9%

・労働党232議席(26議席減)30.4%

・スコットランド国民党56議席(50議席増)4.7%

・自由民主党8議席(49議席減)7.9%

■2017年

・保守党317議席(13議席減)42.3%

・労働党262議席(30議席増)40.0%

・スコットランド国民党35議席(21議席減)3.0%

・自由民主党12議席(4議席増)7.4%

■2019年

・保守党365議席(48議席増)43.6%

・労働党202議席(60議席減)32.1%

・スコットランド国民党48議席(13議席増)3.9%

・自由民主党11議席(1議席減)11.6%

■2024年

・保守党121議席(251議席減)23.7%

・労働党411議席(211議席増)32.1パーセント

・自由民主党72議席(64議席増)12.2%

・スコットランド国民党9議席(38議席減)2.5%

・リフォームUK5議席(5議席増)14.3%

(貼り付けはじめ)

イギリス労働党は全国総投票数のわずか34%で選挙において大勝利を収めた(Britain’s Labour pulled off a thumping election victory with just 34% of the national vote

ヴィッキー・マッキ―ヴァー筆

CNBC

2024年7月5日

https://www.cnbc.com/2024/07/05/uk-election-2024-britains-labour-pulled-off-a-thumping-election-victory.html

・イギリス労働党は全国総投票数のわずか34%を獲得し、一方で保守党は約24%を獲得した。

・中道派の自由民主党、右派のリフォームUK、緑の党は一般投票の約43%を獲得したが、確保した議席は総議席数の18%弱にとどまった。

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キア・スターマー英首相と妻ヴィクトリア・スターマーが選挙の結果を受けてダウニング街10番地で労働党の選挙活動参加者や活動家たちに挨拶(イギリスロンドン、2024年7月5日)

ロンドン発。イギリスの労働党が総選挙でイギリス議会の議席で巨大な過半数を勝ち取った。しかし、独特なイギリスの選挙制度では、わずか総投票数の34%で大勝が実現した。

選挙結果によると、野党労働堂は全650議席中412議席を獲得した。残り2議席はまだ結果が判明していない。この議席数は全議席数の約63%を占めることを意味している。しかし、労働党は全「一般」投票(“popular vote”)の僅か34%を獲得しただけだ。一方の保守党は総投票数の約24%を獲得した。

他方、中道派の自由民主党、右派のリフォームUK、緑の党を含む少数政党は合計で約43%の得票となったが、獲得議席は全議席の18%にとどまった。

これは、有権者が国内650の各選挙区の地元リストから候補者を1人だけ選ぶという英国の単純小選挙区制度、「先取り」制度(first past the post” system)が手助けをしているものだ。各選挙区で最も多くの票を獲得した人物が、イギリスの下院である庶民院(the House of Commons)議員に選出される。通常、下院で最も多くの議席を獲得した政党が新政府を樹立し、その党首が首相になる。

他の投票システムとは異なり、第2ラウンドや、第1候補者と第2候補者の順位付けはない。これは、小規模政党が一般投票の増加したシェアを議席につなげることが難しいことを意味する

アクサ・インベストメント・マネージャーズのG7担当エコノミストのガブリエラ・ディケンズは金曜日に発表したメモの中で、今回の選挙は「一般投票の3分の1強で過半数を大きく超える議席が得られたため、政治制度に対する警告サインとなった」と述べた。

彼女は、今回の選挙の投票率は60%にとどまったことを指摘している。これは、投票率が59.4%に低下した2001年に次いで、1918年以降、2番目に低い投票率だ。2019年の投票率から7.6%低下した。これは「広範な政治的断絶(broader political disconnect)」を示しているとディケンズは述べた。

ディケンズは「労働党の過半数を大きく超えての大勝は、労働党の人気復活によるものというよりも、私たちの投票システムの持つ特殊性と、票の分散とスコットランド国民党(Scottish National PartySNP)の崩壊の相互作用の結果である」と述べた。

そうは言っても、ディケンズは「投票はより一般的に左にシフトした」と付け加えた。

「労働党政権が今後5年間統治し、経済成長、投資、個人の実質所得を回復させることができれば、彼らは、将来的に真の改善が見られる立場に立つだろう」とディケンズは語った。

一方、パンテオン・マルコ・エコノミクスのイギリス担当首席エコノミストのロブ・ウッドは、投資家たちは「投票シェア、右派リフォームUKの結果、政治的忠誠を転換しようとする有権者の意欲がどのように政策に反映されるのかをよく吟味する必要がある」と述べた。

ナイジェル・ファラージ率いるリフォームUK党は一般投票の14%を獲得したが、確保した議席はわずか4議席だった。

ウッドは「通常、今回の労働党が獲得した過半数よりも大幅な議席数があれば、複数期の政権を保証することになるだろう。しかし、投票動向を考慮すると、スターマーの過半数は通常ほど安全であるとは言えない」と述べた。

ウッドは、労働党は「約束した変化を実現できることを証明するために、政策変更に迅速に取り組む必要があるだろう」と述べている。

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行いたしました。ウクライナ戦争について詳しく分析しました。是非お読みください。

 ヨーロッパには、ヨーロッパ連合(European UnionEU)とNATO(北大西洋条約機構)という大きな国家連合、協力の枠組みがる。NATOはヨーロッパを超えて、アメリカやトルコも加盟している。EUは元々が経済協力のための枠組みであったヨーロッパ経済共同体(European Economic CommunityEEC)が前身のため、経済活動がメインとなる。もちろん、軍事組織もあるが、それがメインではない。NATOは、冷戦下に、対ソ連の集団防衛を目的としたもので、ソ連崩壊後も存続し、現在はロシアの脅威に対抗する組織となっており、安全保障がメインだ。NATOがヨーロッパの防衛、安全保障のメインの枠組みということになり、これは、アメリカが大きな役割を果たすということになる。アメリカ側皮すれば、好意的に解釈すれば「アメリカにとって重要なヨーロッパ地域の安全保障に貢献する」ということになるが、悪く解釈すれば「ヨーロッパはアメリカのお金と軍隊にただ乗りして、自分たちをアメリカに守らせている」ということになる。ドナルド・トランプ前大統領は、アメリカ軍の引き上げ、ヨーロッパ諸国の負担増を求めたが、これはアメリカ国民の多くの意思を反映している。

 ヨーロッパは、2022年2月からのウクライナ戦争を受けて、自分たちの防衛について真剣に考えねばならなくなった。アメリカに頼るのか、アメリカに頼るにしてもどの程度頼るようにするか、自分たちでどれだけのことができるか、ロシアの脅威はどれくらいで、自分たちの負担はどれくらいになるか、負担をどのように分担するかということが問題になってくる。ヨーロッパの防衛のためには、各国の協力が不可欠であるが、以前に昇華した論稿にもあったが、それぞれの国の軍事装備の基準の違いやインフラの規格の違いなどから、協力は大変難しい状況だ。それでも、ウクライナ戦争を受けて、防衛協力について、真剣に考えねばならないようになっている。

 しかし、ここで考えねばならないことは、ロシアがヨーロッパ諸国にとって脅威とならないように対応するということだ。ロシアがヨーロッパを脅威と捉えて侵攻するということがないような状況を作ることも大切だ。戦争が起きない状況を作ることも真剣に考えねばならない。アメリカやイギリスが「作り出す」ロシアの脅威という幻想に踊らされないことが何よりも重要だ。これは日本にも言えることだ。「中国の脅威」「台湾危機」といった言葉に安易に踊らされないようにしたいものだ。

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何故ヨーロッパは軍事行動を合同して行えないのか(Why Europe Can’t Get Its Military Act Together

-ヨーロッパ大陸は、軍事的自立(military autonomy)への道のりで複数の障害に直面している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年2月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/21/europe-military-trump-nato-eu-autonomy/

ドナルド・トランプ前米大統領は選挙集会で、自身が防衛義務を怠っていると判断した国々について、ロシアに対し「やりたいことは何でもする(do whatever the hell they want)」よう促すと述べ、ヨーロッパに警鐘を鳴らした。ヨーロッパ諸国は既に、トランプの2度目の大統領就任の可能性について懸念していたが、今回の発言でこうした懸念がさらに高まった。ヨーロッパ委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は数日後、『フィナンシャル・タイムズ』紙に対し、ヨーロッパは「より荒れた(tougher)」世界に直面しており、「私たちはより多くの支出をしなければならないし、より賢く支出をしなければならないし、そしてヨーロッパのための支出をしなければならない」と語った。

しかし、疑問が残る。ヨーロッパは自らを守るために十分なことを実行するだろうか? ヨーロッパ諸国がアメリカの保護に過度に依存し(overly dependent)、十分な防衛力を維持しようとしないという、アメリカ側の不満には長い歴史があり、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで警鐘が鳴らされたが、ヨーロッパの使える軍事力が劇的に向上することはまだない。たしかに、NATO加盟諸国は現在、より多くの資金を費やしており、EUは最近、ウクライナへの追加的な500億ユーロの財政支援を承認した。しかし、数週間以上にわたって実戦部隊を維持するヨーロッパの能力は、依然として微々たるものだ。つまり、いくつかの重要な能力は依然としてアメリカに依存しており、NATO加盟諸国の一部には、自分たちが攻撃された場合、そのパートナーが助けようと努力したとしても、それほどのことができるのか疑問を持つ国もある。

確かに、ヨーロッパの高官たちのレトリックはより激しくなっている。デンマークのトロエルス・ルンド・ポウルセン国防相は最近、ロシアは「3年から5年以内に」NATOの相互防衛条項を試すかもしれないと警告し、別のNATOの幹部外交官は、もはや「ロシアがウクライナで止まってくれると考える余裕はない」と考えていると述べた。別の上級外交官によれば、ロシアが2030年までにNATO加盟諸国を攻撃する「意図と能力(intent and capability)」は、現時点では同盟内の「ほぼ総意(pretty much consensus)」だと述べた。ヨーロッパが独自に十分な能力を開発するには10年以上かかる可能性があるため、熱心な大西洋主義者たちは、アメリカの時間、注意力、資源に対する競合する全ての要求にもかかわらず、アメリカをヨーロッパにしっかりと関与させ続けたいと考えている。

ヨーロッパは行動を共にできるのか? ここでは、2つの確立された理論体系(well-established bodies of theory)が関連する。1つは、私が貢献しようとしている「力の均衡(balance of power)」(あるいは「脅威の均衡[balance of threat]」)理論である。この理論では、ヨーロッパの安全保障に対する深刻な外的脅威(external threat)、たとえば強力な軍事力と高度な修正主義的な野心を持つ大国が近隣に出現した場合、その脅威を抑止するために(あるいは必要であれば、その脅威を打ち負かすために)、これらの国のほとんどが力を合わせると予測している。このような衝動は、もしこれらの国々が、自分たちは他の誰にも保護を頼ることができないと理解すれば、より強くなるだろう。最近のヨーロッパの国防費の増加とスウェーデンとフィンランドのNATO加盟決定は、脅威に晒されている国々が完全に均衡(バランス)を取る傾向を示しており、この確立された傾向により、ヨーロッパが自らの防衛に対してより大きな責任を負う能力と意欲について、私たちがより楽観的になれるはずだ。

しかし、残念なことに、2つ目の理論体系がこの明るい結果を確実なものにはしていない。安全保障は「集合罪(collective good)」であるため、同盟関係にある国家は、自国の安全保障を維持するために、たとえ自国の貢献が少なくても、パートナーが十分な貢献をしてくれることを期待して、他国の努力を「バックパス(back-pass)」したり、もしくは、フリーライド(ただ乗り、free-ride)したりしたくなる。この傾向は、同盟の最強メンバーが集団的努力に不釣り合いなほど貢献する傾向がある理由を説明するのに役立つ。同盟の主要メンバーが攻撃を抑止または撃退するのに十分な働きをすれば、小規模なメンバーの貢献は余計なものになるかもしれない。結局のところ、同盟は彼らの努力を倍増させたとしても、それほど強くはならないのである。それゆえ、強力なアクターが自らの利己的な利益のために十分なことをしてくれると確信し、力の弱いアクターたちはより少ない貢献をする誘惑に駆られるのである。しかし、もし十分な数のメンバーが、より大きな負担を他のメンバーに負わせる誘惑に屈したり、他の利己的な利害が協力の必要性に打ち勝ったりすれば、同盟は安全確保に必要な統合能力(combined capabilities)と協調戦略(coordinated strategy)を生み出さないかもしれない。

これら2つのよく知られた理論を合わせると、NATOが今日直面しているディレンマが浮き彫りになる。良いニューズとしては、NATOのヨーロッパ加盟諸国はロシアよりもはるかに潜在的な力を持っているということだ。ヨーロッパの人口はロシアの3倍から4倍、経済規模はロシアの10倍にも達する。いくつかのヨーロッパ諸国は、優れた兵器を生産できる高度な軍事産業を持っており、冷戦後期には強大な地上軍と空軍を保有していた国もある(ドイツなど)。さらに驚くべきことに、NATOのヨーロッパ加盟諸国だけで、毎年少なくともロシアの3倍以上の防衛費を費やしている。人件費の高騰や努力の重複、その他の非効率を考慮したとしても、潜在的な能力が適切に動員され、指揮されることを前提にすれば、ヨーロッパにはロシアの攻撃を抑止したり、撃退したりするのに十分すぎるほどの潜在的戦力がある。ウクライナ戦争が始まって以来、ロシアの軍事力と国防生産能力は大幅に向上しているが、数が少なく、武装も不十分なウクライナ軍を打ち負かすのは難しい。バフムートやアブディフカを占領するのに数カ月かかる軍隊が、他の誰に対しても電撃戦(blitzkrieg)を成功させることはできない。

悪いニューズは、有能なヨーロッパ防衛力を構築するための持続的な取り組みが大きな障害に直面していることだ。第一に、NATOのヨーロッパ加盟諸国は主要な安全保障問題のレヴェル、あるいはその正体についてさえ意見が一致していない。バルト三国やポーランドにとっては、ロシアが最大の危険をもたらしていることは明らかである。しかし、スペインやイタリアにとっては、ロシアはせいぜいが遠い問題であり、不法移民の方が大きな課題である。アナリストの一部とは異なり、私はヨーロッパがこうした状況にあっても、ロシアに対して効果的な防衛を行うことを邪魔するとは考えない。しかし、負担の分担や軍事計画の問題をより複雑にしている。ポルトガルにエストニアを支援するよう働きかけるには、ちょっとした説得が必要だろう。

第二に、ヨーロッパに更なる努力を求める人々は、微妙なディレンマに直面している。深刻な問題があることを人々に納得してもらわなければならないが、同時に、その問題を解決するのにそれほど費用がかかったり困難であったりする訳ではないと納得してもらわなければならない。ロシアの軍事力を誇張し、ウラジーミル・プーティンを無限の野望を抱く狂人として描くことで、大規模な防衛力増強への支持を集めようとすれば、ヨーロッパが直面している課題は克服不可能に見え、アメリカに頼ろうという誘惑が強まるかもしれない。しかし、ロシアの力と野望がより控えめであり、それゆえ管理可能であると信じられれば、今大きな犠牲を払い、長期にわたって真剣な努力を維持するようにヨーロッパ各国の国民を説得することは難しくなる。より大きな自主性を機能させるためには、ヨーロッパの人々にロシアが危険であることを信じさせねばならないが、同時に、たとえアメリカの力が大幅に弱まったとしても、自分たちならこの問題に対処できると信じさせねばならない。このため、アメリカの全面的な関与を維持するために、ヨーロッパ諸国が自国を防衛することは単に不可能だと主張することは、ヨーロッパの真剣な取り組みを抑制し、アメリカがいずれにせよ関与を縮小することになれば、逆効果になりかねない。

第三の障害は、核兵器の曖昧な役割である。核兵器が大規模な侵略行為を抑止すると確信している場合、英仏の核戦力とアメリカの「核の傘(nuclear umbrella)」が、どんな状況下でも、ロシアの攻撃からNATOを守ってくれると考えるだろう(ウクライナはNATO加盟国ではないことを覚えておく価値がある)。そうであれば、大規模で高価な通常戦力を構築する必要はない。しかし、拡大核抑止の信頼性に確信が持てない場合や、低レヴェルの挑戦に対して核兵器使用の威嚇をする必要がない場合は、能力のある通常戦力が提供するような柔軟性を求めることになる。この問題は、1960年代の「柔軟な対応(Flexible Response)」をめぐる同盟内論争や1980年代の「ユーロミサイル(Euromissiles)」論争が示すように、冷戦期を通じてNATO内で争点となった。核兵器が存在し続けることで、通常戦力を停滞させる誘惑に駆られる国が出てくる可能性があるという点で、この問題は今日でも関連している。

第四に、ヨーロッパ諸国は武器の標準化や共通戦略や防衛計画の策定に協力する代わりに、依然として自国の防衛産業や軍隊に投資することを好んでいる。戦略国際​​問題研究所の2023年の報告書によると、2014年にロシアがクリミアを占領して以来、ヨーロッパ全体の国防費は急激に増加しているものの、共同調達努力(cooperative procurement efforts)に充てられる割合は、2021年まで着実に減少し、EUによって設定された、以前の目標である35%に近づくことはなかった。 EU諸国は、支出が少ないにもかかわらず、約178の異なる兵器システムを配備していると報告されており、アメリカよりも148も多い。単独で行動しようとする頑固な傾向は、ヨーロッパが潜在的な挑戦者に対して享受している膨大な潜在的資源の優位性を無駄にしており、もはや余裕のない贅沢である可能性がある。

最後の障害は、少なくとも現時点では、ヨーロッパの自立を奨励することに対するアメリカの長年の曖昧さである。アメリカは一般に、ヨーロッパのパートナー諸国が軍事的に強いが強力すぎないこと、政治的に団結しているが団結しすぎていないことを望んでいる。それは何故か? それは、NATOは、有能ではあるが従属的なパートナーの連合に対するアメリカの影響力を最大化したからである。アメリカ政府は、NATOの残りの国々が有用であるだけでなく、アメリカの要望に完全に従うのに十分な強さを持たせたいと考えており、これらの国々がより強くなり、一つの声で発言し始めれば、現状のNATOを維持するのは難しくなるだろう。ヨーロッパの依存と従順さを維持したいという願望により、歴代のアメリカ政権は、ヨーロッパの真の戦略的自治につながる可能性のあるあらゆる措置に反対するようになった。

しかし、そうした時代は終わりを告げようとしている。アメリカが「全てを持つことはできない」こと、そして集団的防衛(collective defense)の重荷をヨーロッパのパートナー諸国にもっと転嫁する必要があることを認識するのに、トランプ的である必要はない。しかし、過去の例を見る限り、ヨーロッパの指導者たちが、どんな状況下でもアメリカが「全面的(all-in)」に関与してくれると信じているのであれば、ヨーロッパがその責任を負うことはないだろう。1950年代初頭にヨーロッパ経済統合が推進された背景には、アメリカがやがて大陸から軍を撤退させ、ワルシャワ条約機構に対抗する能力が、大規模で統一されたヨーロッパ経済秩序の構築によって強化されるというヨーロッパ全体の懸念があったことは、思い出す価値がある。ヨーロッパ統合の背後にある安全保障上の衝動は、アメリカの残留が明らかになった時点で後退したが、アメリカの関与に対する疑念の高まりは、ヨーロッパの優れた経済力と潜在的な軍事力を、純粋に自己の利益のために、より効果的に動員する十分な動機を与えるだろう。

来年のホワイトハウスが誰になるかにかかわらず、アメリカ政府関係者たちはこの動きを後押しすべきである。以前にも主張したように、ヨーロッパの安全保障をヨーロッパに戻すプロセスは、大西洋間の新たな役割分担の一環として、徐々に行うべきである。アメリカへの依存度が下がれば、ヨーロッパはより精力的にバランスを取るようになり、この方向にゆっくりと、しかし着実に進むことで、同盟諸国は必然的に生じる集団行動のディレンマを克服する時間を得ることができる。ヨーロッパ諸国はロシアよりもかなり多くの軍事的潜在力を持っているため、これを完璧に行う必要はなく、かなり安全な状態にすることができる。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 下に紹介しているシェンゲン協定(Schengen Agreement)とは、ヨーロッパ諸国間で国境での審査や検査なしで国境通過を許可する協定だ。加盟している国(ヨーロッパの国)の国民であれば、加盟している国々の間を自由に往来できる。日本のパスポート所有者であれば、それに近い形で往来ができる。ヨーロッパ連合(European UnionEU)の加盟諸国とほぼ重なるが、EUに加盟していなくてもシェンゲン協定に加盟している国があるし、逆にEUに加盟していながら、シェンゲン協定には加盟していない国もある。

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シェンゲン協定に関するヨーロッパの現状

 今回ご紹介している論稿では、「ヨーロッパ諸国の間での武器や装備品の軍事移動が自由にできるようにすべきだ」という内容だ。ヨーロッパはEUNATOという枠組みでまとまっている(加盟していない国もあるが)。両組織共に、大雑把に言ってしまえば、「対ソ連(現在は対ロシア)でまとまる」ということになる。ロシアが戦車部隊と先頭にして退去として押し寄せてくるというイメージがあるようだ。

 それが、2022年2月からのウクライナ戦争で現実のものとなるかもしれないとヨーロッパ諸国で懸念が高まった。また、ロシアがウクライナ戦争への参戦はロシアに対する敵対行為となり、核兵器による攻撃の可能性も排除しないということになって、ヨーロッパ諸国、特に西ヨーロッパの先進諸国は及び腰となった。ウクライナが戦闘機をはじめとする、より効果の高い、より程度の高い武器の供与を求めているのに、西側諸国は、ロシアからの核攻撃が怖いものだから、ウクライナの要請を聞き流している。ヨーロッパ諸国の考えは、「自分たちにとばっちりが来ないようにする、火の粉が降りかからないようにする」というものだ。

 ヨーロッパ諸国はまた、アメリカの力の減退、衰退を目の当たりしている。そこで、「これまではアメリカに任してきたし、本気で取り組む必要がなかった、対ロシア防衛を本気で考えねばならない」という状況に追い込まれた。ロシアはヨーロッパの東方にあり、もし戦争となれば、ロシアに隣接する、近接する国々の防衛をしなければならないが、これらの国々は小国が多く、とても自分たちだけでは守り切れない。そこで、西ヨーロッパからの武器や装備人の支援が必要となる。しかし、これが大変に難しい。
 ヨーロッパはEUとして一つのまとまりになっているが、それぞれの国の制度が個別に残っているので、道路や鉄道の規格が異なるために、武器を陸上輸送するだけも大変なことだ。軍事移動の自由がかなり効かない状態になっている。まずはそこから何とかしなければならないということになる。

 今頃になって慌てているヨーロッパ諸国、NATOはお笑い草だが、ロシアが西ヨーロッパに手を出すと本気で心配して慌てだしているのは何とも哀れだ。経済制裁を止めて、エネルギー供給を軸にした以前の関係に戻れば何も心配はいらない。そのうちにこう考えるようになるだろう、「アメリカがいるから邪魔なんじゃないか」と。ヨーロッパのウクライナ戦争疲れからアメリカへの反発が大きくなっていくかもしれない。

(貼り付けはじめ)

「軍事シェンゲン圏」時代が到来(The ‘Military Schengen’ Era Is Here

-ヨーロッパ共通の軍事的野心の第一歩は自由な移動について理解することである。

アンチャル・ヴォーラ筆

2024年3月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/04/europe-military-autonomy-nato-schengen/

2024年1月下旬、ドイツ、オランダ、ポーランドの3カ国は、3カ国の間に軍事輸送回廊(military transport corridor)を設置する協定に調印し、ヨーロッパ全域の軍事的流動性(military mobility)を向上させるという、長い間議論されてきたがほとんど追求されてこなかった目標に大いに弾みをつけた。ドイツ国防省のシェムティエ・メラー政務次官は、この回廊によって軍事移動が「真の軍事シェンゲン圏(true military Schengen)への道を歩むことになる」と述べた。ヨーロッパの政策立案者たちが、シェンゲン圏内の人と商業物資のヴィザなし移動を、ヨーロッパ全域の軍隊と軍事装備の移動に適応させるというアイデアを浮上させたのは、これが初めてではない。しかし、このアイデアは現在、明らかに勢いを増している。

軍事シェンゲン圏構想が浮上したのは、ロシアによるクリミア併合の後だった(2014年)。ロシアによるクリミア併合から10年、ウクライナへの侵攻から2年が経過した今、ヨーロッパはロシアのウラジーミル・プーティン大統領が更に西側への軍事行使に踏み切る可能性に備える必要があることを認識しつつある。ヨーロッパの軍事関係者たつは、冷戦で学んだ教訓を掘り下げている。その中には、軍の機動性に関する具体的な教訓も含まれている。

しかし、複数の専門家、外交官、軍関係者が本誌に語ったところによると、その進展は望まれているよりもはるかに遅れている。ポーランドのNATO常任代表であるトマシュ・シャトコフスキは本誌に対し、「ルールの自由化は誰もが支持している。しかし、問題は2015年以来、私たちはそれについて話し続けてきたということだ」。彼らは、ヨーロッパは冷戦時代の緊張が戻ってきた可能性があることを認めており、ヨーロッパ諸国が兵員や物資を効果的に移動させるには「長い道のり(long way to go)」があると述べた。

ヨーロッパにおける軍事ミッションに関連するあらゆるものの通過には、官僚的なハードルから決定的な遅れの原因となるインフラのギャップまで、さまざまな障害がつきまとう。バルト三国であるエストニアのヨーロッパ連合(European UnionEU)議員で、外務委員会の副委員長を務めるウルマス・パエトは、軍事的機動性を10段階の中で3段階でしかないと評価し、現在、バルト三国に物資を送るには「数週間から少なくとも1週間以上」かかると述べた。

書類仕事は煩雑で大変だ。様々な国の様々な省庁から、時には国内の様々な地域から、いくつもの承認を得る必要がある。ほとんどの道路や橋は民間用に建設されたものであり、重い軍事機材の重量に耐えられるとは考えられない。中央ヨーロッパの燃料パイプラインは東部諸国に伸びていないため、燃料供給の遅れが長期化すれば、決定的な要因となりかねない。更に言えば、旧ソ連諸国の鉄道の軌間はヨーロッパの鉄道の軌間とは大きさが異なり、戦時に数千人の兵員や装備を列車から別の列車に移すことは、さらに時間のかかる作業となる。

軍事シェンゲン圏の最初の提唱者であり、この言葉を作ったと思われる、NATO司令官を務めたベン・ホッジス中将は、少なくともここ数年、軍事移動性について議論が盛り上がっているのは良いことだと評価している。ホッジス司令官は最近のミュンヘン安全保障会議に出席し、本誌の取材に対して、「現在、様々な国の様々な政府機関の閣僚たちが軍事シェンゲン圏について話しているのを聞くようになっている」と語った。

ホッジス元司令官は、危機に際して迅速に行動する能力は、軍事抑止ドクトリンの重要な部分であると述べた。彼は更に、軍隊が動員され、迅速に移動する能力は、敵にとって目に見えるものでなければならず、そもそも攻撃することを抑止するものでなければならない、と述べた。

ホッジスは「私たちは装備や兵力だけでなく、迅速に移動し、予備部品を供給し、燃料や弾薬を保管する能力など、真の能力を持たなければならない。ロシアに私たちがそうした能力を持っていることを理解させる必要がある」と述べた。

ホッジスは、ドイツ、オランダ、ポーランドの合意は素晴らしいスタートだと称賛し、このような回廊は他にも数多く検討されていると述べた。ブルガリアのエミール・エフティモフ国防長官は、同盟諸国はギリシャのアレクサンドロウポリスからルーマニアへの回廊と、アドリア海からアルバニアと北マケドニアを通る回廊を優先すべきだと述べた。

ホッジスは続けて、「彼ら(同盟諸国)はギリシャからブルガリア、ルーマニアまでの回廊を望んでいる。これら全ての回廊の目的は、インフラの面でスムーズなルートを確保するだけでなく、税関やすべての法的なハードルを前もって整理しておくことだ」と述べた。

ドイツ、オランダ、ポーランドの回廊は多くの構想の中の最初のものであり、ボトルネックを特定して解決し、将来の回廊のモデルとなる可能性があると期待されている。匿名を条件に本誌の取材に応じたあるドイツ軍幹部は、この回廊ではあらゆる問題を調査すると述べた。この軍幹部は、ドイツでは各州、つまり連邦州が領土内を通過する軍隊や危険な装備について独自の法律を定めているため、平時においては当局が連邦手続きを円滑化することも可能になると述べた。戦争時には、回廊は「単なる通り道以上のもの(much more than a road)」になるだろうと彼は付け加えた。

上述の軍幹部は「危機発生時にはおそらく10万人以上の兵士が出動するだろう。移動を停止し、休憩し、スペアパーツを保管する倉庫や燃料保管センターにアクセスできる場所が必要となるだろう。そのようなシナリオには、戦争難民の世話をするための取り決めも必要になるだろう」と述べた。

これは、3カ国の間でさえ難しいことだ。20数カ国の加盟国間の協力、特に武装した兵士や危険な機械が関係する協力には、更に数え切れないほどの規制が課されることになる。前述のウルマス・パエトは、「防衛は、『国家の権限(a national competence)』であり、各国は共有したいものを共有する」と述べた。軍事的な荷重分類があり、重戦車の重量に耐えられる橋がどこにどれだけあるかといったような重要なインフラの詳細については、各国はなかなか共有しない。

ヨーロッパ外交評議会(European Council of Foreign Relations)というシンクタンクの防衛専門家であるラファエル・ロスは、インフラの必要性に関するカタログは存在しないと述べた。ロスは「どこにどのようなインフラが必要なのか、明確になっていない」と本誌に語った。ヨーロッパ政策分析センター(Center for European Policy AnalysisCEPA)が2021年に発表した報告書によると、欧州では高速道路の90%、国道の75%、橋の40%が、軍事的に分類される最大積載量50トンの車両を運ぶことができる。ウクライナの戦場でロシアを相手にステルス性を証明したレオパルド戦車やエイブラム戦車は、重量がかなりある。

ホッジスは次のように語っている。「レオパルド戦車の重量は約75トンで、エイブラムス戦車はもう少し重い。これらの戦車のほとんどは、重装備輸送車(heavy equipment transportersHETs)の荷台に載せられて輸送され、HET1台あたりの重量は約15トンから20トンだ」。CEPAは、トラック、トレーラー、重戦車の組み合わせは120トンをはるかに超える可能性があると指摘し、軍事的移動に適したインフラはほぼ存在しないことになる。

EUは、軍民両用インフラに資金を提供する必要性を認めており、既に95件のプロジェクトへの資金提供を承認している。ポーランド大使とホッジスはともに、EUのインフラ資金調達手段であるコネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(Connecting Europe FacilityCEF)に割り当てられた資金が65億ユーロから17億ユーロに削減されたことを懸念していると述べた。

CEFを通じて資金提供される国境を越えた鉄道プロジェクト「レイル・バルティカ(Rail Baltica)」は、ヨーロッパの鉄道網をリトアニア、エストニア、ラトビアのバルト三国まで拡大する計画で、2030年までに機能する予定だ。しかし、資金面での懸念が現地のニューズで報じられている。更に、フランス、ベルギー、そしてドイツでさえも、ヨーロッパの集団的自衛権にGDPの大きな部分を費やすことが多い東ヨーロッパ諸国への中央ヨーロッパパイプラインの拡張に費用をかけることに強い抵抗がある。

EUの防衛協力を調整するヨーロッパ防衛庁は、陸空の移動に関する官僚的プロセスの標準化と事務手続きを簡素化するための共通フォームの開発に取り組んでいる。しかし、これは25の加盟国によって合意されているものの、これらの「技術的取り決め(technical arrangements)」を国内プロセスにまだ組み込んでいない加盟国は消極的である。

EUの27カ国、NATOの30カ国以上の全加盟国を合意に導くのは大変に困難だが、リトアニアのヴィリニュスで開かれた前回のNATO首脳会議以来、ホッジスには希望を抱くことができる理由がある。昨年7月、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は3つの地域防衛計画(regional defense plans)を発表した。ストルテンベルグ事務総長は、北は大西洋とヨーロッパ北極圏、中央はバルト海地域と中央ヨーロッパ、南は地中海と黒海における抑止力を計画・強化すると述べた。これらの計画によって、NATO加盟国は正確な防衛要件を評価し、それを各同盟国に配分し、その過程で具体的な後方支援の必要性を理解することができる。ホッジスは、これが「ゲームチェンジャー(game changer)」となることを期待している。

※アンチャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』誌コラムニストでヨーロッパ、中東、南アジアについて記事を執筆中。ロンドンの『タイムズ』紙中東特派員を務め、アルジャジーラ・イングリッシュとドイツ国営放送ドイチェ・ヴェレのテレビ特派員を務めた。以前にはベイルートとデリーに駐在し、20カ国以上の国から紛争と政治を報道した。ツイッターアカウント:@anchalvohra

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 古村治彦です。

 2022年2月24日にウクライナ戦争が始まって約1年半が経過した。ウクライナ政府は今年の春頃に春季大攻勢(Spring Offensive)をかけてロシアに大打撃を与えると内外に宣伝していた。春が終わり、暑い夏がやってきても(ヨーロッパ各国でも気温40度に達している)、戦争は膠着状態に陥っている。春季大攻勢は宣伝倒れに終わってしまったようだ。西側諸国もこれまで支援を続けているが、現状維持が精いっぱいというところだ。
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NATO加盟国地図

 ウクライナは戦争が始まる前からEUNATOへの参加を熱望してきた。NATO加盟諸国、特にアメリカが軍事支援を強化していたが、ウクライナのNATO加盟に消極的であった。それはウクライナがNATOに加盟し、その後に外国から攻撃を受けたら、NATO加盟諸国は自分たちが攻撃を受けたと見なし、即座に軍事行動を起こさねばならないからだ。ウクライナの仮想敵国はロシアであり、もし2022年のウクライナ戦争前にウクライナがNATOに入っていたら、ウクライナ戦争はロシア対NATOの全面戦争となっていたところだ。アメリカはウクライナへの軍事支援を強めながら、NATO加盟は認めないという、ウクライナもロシアもいたぶるような状態を長く続けていた。アメリカの火遊びが過ぎたのが現状である。

 ウクライナのNATO加盟に関しては、一時期、トルコがスウェーデンとの関係が悪化していたために、反対の姿勢を示していたが(全会一致が原則)、それが解消された。しかし、NATOは様々な条件を付け、更に時期も明確にしないという形で、ウクライナの加盟を保留している。ウクライナ戦争が終わっても、ウクライナがNATOに加盟できるかは不透明だが、ロシアの断固とした姿勢を前にして、NATO加盟諸国は躊躇している。
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EU加盟国地図

 ウクライナのEU加盟も難航している。こちらは軍事同盟という訳でもないし、「ウクライナをEU経済圏に入れてやればよいではないか」と多くの人たちが思っていることだろう。何よりもロシアのウラジーミル・プーティン大統領さえも、「EUは軍事同盟ではないから、ウクライナが加盟しても良い」と述べているほどだ。しかし、EU加盟も又厳しい状況だ。ウクライナは長年にわたり、EU加盟申請を行ってきたが、加盟候補国にすらなれない状況だった。経済状況、民主政治体制の状況、汚職の状況などでEU側が加盟を断ってきた。今回のウクライナ戦争を受けて、EUはやっとウクライナを加盟候補国として認めた。

 ウクライナのEU加盟のハードルになるのは、まず旺盛な農業生産力、特に小麦の生産力だ。ウクライナの安価な小麦がEU市場に流れ出れば、他のEU諸国の農業を破壊することになる。現在でも補助金頼みのEU各国の農業が壊滅することになる。しかも、ウクライナは経済力自体が低いために、EUから補助金を受けられる立場になる。これでは他の貧しい国々にとっては踏んだり蹴ったりだ。

 ウクライナ自体は国土も大きく、軍事力も戦争を経て強大なものとなる。そうした国が新たにEUに加盟することは、東ヨーロッパや中央ヨーロッパの国際関係に変化をもたらすことになる。東ヨーロッパの大国はポーランドであり、ポーランドがウクライナを取り込んで、反ロシアでタッグを組み、東ヨーロッパで影響力を持つと、EU自体とロシアとの間の関係の悪化にもつながる。また、他の国々は、ウクライナが入ることでの発言力の低下を懸念している。しかし、実質的には28カ国の加盟国があっても発言力があるのはドイツとフランスくらいのものではあるが。ウクライナが加盟することで支出する圃場金をどうするかということをまだ多少豊かな国々で話さねばならないが、ウクライナのような貧しい国が加盟するのは迷惑なことというのが本音である。
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 EU諸国はウクライナが加盟することでのデメリットを考え、二の足を踏んでいるが、言葉だけは立派だ。ウクライナ戦争が終わって、事態が落ち着いたら、「そんな話ありましたか?」ととぼけて知らんぷりをするだろう。その時になって、ウクライナは西側諸国、アメリカとヨーロッパに騙された、いいように弄ばれたということに気づくだろう。西側とロシアの間に会って、中立を保ちながら、うまくその状況を利用するということができなかったのは残念なことだ。日本も同様の状況に置かれている。調子に乗って、小型犬が吠え散らかすように虚勢を張って「中国と戦う覚悟を持って」などと平和ボケして叫んでいると大変な目に遭うだろう。後悔先に立たず、だ。

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EUはウクライナ参加の準備ができていない(The EU Isn’t Ready for Ukraine to Join

―キエフのNATOへの途が困難であると考えるならば、EU加盟への苦闘を目撃するまでその判断を待つべきだ。

イルク・トイロイジャー、マックス・バーグマン筆

2023年7月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/07/17/ukraine-eu-european-union-nato-membership-reform-subsidies-budget-reconstruction-agriculture-war-russia/?tpcc=recirc_trending062921

ウクライナはNATOEUの両方に加盟するための待機室にいる。リトアニアのヴィリニュスで開催されたNATO首脳会議は先週、「条件が整えば(considerations are met)」、将来的に同盟に加盟するという漠然とした声明を出しただけで終わり、キエフは失望した。

しかし、少なくともNATOは、同盟諸国間にまだ克服すべき障害があることを正直に示している。これは、EUとそのウクライナ加盟に関するメッセージとは対照的だ。ウクライナのNATO加盟が難航していると考えるならば、ウクライナのEU加盟が真剣に検討される際に何が起きるかがはっきりするまで、その判断を待った方が良い。

ブリュッセル(EU本部)は、ウクライナのEU加盟後の将来について大袈裟な言い回しを使い、キエフのEU加盟があたかも決定事項であるかのように語っている。2月にウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領がブリュッセルを訪問した際、EU首脳たちは戦時中の指導者との記念撮影のために互いに肘がくっつき合うほどに近づいた。シャルル・ミシェルヨーロッパ理事会議長は、ツイートでゼレンスキー大統領に挨拶を送った。その文言は、「お帰りなさい、EUへようこそ」というものだった。

ウクライナとの間でEU加盟について詳細な議論がなされる際に、焦点となるのは、加盟のためにウクライナが何をなすべきなのかということである。戦争によって深く団結したウクライナの人々は、EU加盟に必要な新しい法律の採択や規制の実施など、自分たちの役割を果たすために前進している。ウクライナ人は、司法改革から新しいメディア法の策定、汚職の取り締まりまで、EU加盟のための長い「やることリスト」のチェック済み項目をどんどん増やしている。

ウクライナはモルドヴァと共に、2022年6月にEU加盟候補国(EU candidate)の地位を獲得し、他の加盟待機国が何年もかかっていた複雑なプロセス(byzantine process)を大幅に短縮した。キエフは2023年10月に欧州委員会から最初の書面による進捗評価を受ける予定だ。この勢いを維持するため、ウクライナ政府関係者は年内にも加盟交渉を正式に開始するよう働きかけている。

EUの予算と再分配のプロセスに変更がなければ、あっという間に、キエフはEU予算の膨大な部分を吸い上げることになるだろう。

しかし、ウクライナがEU加盟に向けて急ピッチで取り組んでいる一方で、ブリュッセルとEU加盟諸国はウクライナを吸収するための準備をほとんど整えていない。そのため、ウクライナの加盟に関するEU首脳の大袈裟な美辞麗句は、彼らの行動と一致していない。戦禍に見舞われたウクライナのような規模、人口、低い所得水準、資金調達、復興ニーズを持つ国を吸収するには、EUの制度、政策、予算プロセスの大改革が必要だ。少なくとも、EU資金の分配をめぐって現加盟諸国間で厳しく悪意に満ちた対立を引き起こすだろう。

従って、EU首脳たちが真剣にウクライナの加盟を考えているのであれば、EU改革への取り組みは既に始まっているはずである。この問題の核心はEU予算である。EU予算は、農業補助金と貧困地域への開発プロジェクトという2つの大きな要素に支配されており、これらを合わせるとEUの長期予算の約65%を占める。この2つの問題を考えると、ウクライナの加盟は爆発的なインパクトとなる。ウクライナはヨーロッパで最も貧しい国の一つであり、一人当たりの所得はEU平均の10分の1、EU最貧国のブルガリアの半分以下である。また、ウクライナは現在、膨大なインフラ整備と復興のニーズを抱えている。これに、EUの補助金の対象となる大陸最大級の農業部門が加わる。

もしEUの予算と再分配のプロセスに変更がなければ、キエフはEU予算の膨大な部分を即座に吸い上げることになる。現在、それらの資金は東ヨーロッパをはじめとするあまり豊かではない加盟諸国に流れている。現在EU資金の恩恵を受けている国々の多くは、一夜にして純支出国に転落するだろう。このようなことがスムーズに進むと思うのであれば、あなたはヨーロッパの政治についてよく知らないということになる。

現在のEU内の資金再配分を考えれば、ウクライナの加盟支持に大きな亀裂が入ったのは、EU内部の純資金受給国が集中する東ヨーロッパで起きたことは不思議ではない。実際、ウクライナのヨーロッパ農産物市場へのアクセスをめぐる争いは、EUの農業補助金が再配分されるずっと前からすでに始まっている。ロシアの侵攻後、ブリュッセルはウクライナの穀物やその他の農産物のEU単一市場への参入を認め、ウクライナを支援した。安いウクライナ産品は、ウクライナ周辺のポーランド、ハンガリー、スロヴァキアの農民たちの収入を減少させることになった。ウクライナが収入を得るために必死だったにもかかわらず、ポーランドはEUの規則に違反し、ウクライナの穀物がポーランド領内に入るのを一方的に阻止した。EUは妥協案を提示し、ウクライナの農産物のEU入りを認めたが、歓迎されない競争の影響を最も受ける東ヨーロッパ5カ国を迂回することを義務付けた。

また、ウクライナの最大の軍事的・外交的支援国であるこれら東ヨーロッパ諸国の一部が、ウクライナのEU加盟の前提となるEU改革に真剣に取り組むことに反対しているのも驚くべきことではない。これらの国々は、多額の資金を失う可能性があるだけでなく、ウクライナの加盟に向けたEU改革には、EUの意思決定ルールの合理化も含まれる可能性が高く、個々の加盟国、特にハンガリーやポーランドのようにEUの決定に影響を与えるために拒否権を自由に行使してきた国の力が低下する可能性もある。

EU拡大は、歴史上最も成功した政治的、経済的、社会的政策の1つであり、EUを平和的に拡大し、27カ国、4億5000万人を含むまでになった。新規加盟国にとって、EUへの加盟はしばしば経済的な奇跡をもたらす。市場アクセス、EUからの資金提供、より良い統治に関するEUの規則、そして確かな未来を手に入れることでもたらされる自信などである。しかし、過去10年間、更なる拡大は凍結されてきた。その主な理由は、新規加盟国(通常は貧困国)の加盟に伴う再分配が、政治的に非常に困難だったからである。

2022年2月28日、ロシアの侵攻が始まってわずか4日後にゼレンスキーがEU加盟の正式な申請書を提出して以来、更なる拡大の問題が再び議題に上るようになった。ウクライナとモルドヴァの加盟に加え、EUの指導者たちは、ヨーロッパの安全保障と安定を確保するためには、まだEUに加盟していない国々、特にバルカン半島西部の各国も加盟させなければならないとの認識を強めている。

ウクライナの加盟がEU予算に与える爆発的な影響は、EUが財政連合(fiscal union)を結ぶという議論を迫ることになるだろう。言い換えると、ドイツやフランス、一部の小金持ち国家など、より裕福な加盟国による拠出金の大幅な増加、EU全体の所得税やその他の累進課税、EU独自の債務発行能力の大幅な増加、あるいは上記の全ての実施を意味する。明らかに、これは小さな議論ではない。

また、EUの更なる拡大は、既にハンディキャップを負っているEUの意思決定能力や新しい法律や政策の採択能力にも負担をかけるだろう。例えば、外交政策で必要とされる全会一致を27の主権国家(sovereign member states)の間で達成することは既に至難の業であり、ハンガリーのような非自由主義的でロシアに友好的な国家の存在によって更に複雑になっている。ウクライナや他の加盟を辛抱強く待っている国々が加われば、EUの加盟国は30カ国をはるかに超えるだろう。加盟国が拒否権を武器にしてきた長い歴史があり、他の加盟国がEUの機能を変えることなく意思決定の場に国を増やすことをためらう理由もそこにある。

例えば、ドイツは、外交政策など新たな政策分野への特定多数決方式(qualified majority)の拡大を推進している。全会一致を必要としなくなれば、EUの外交政策決定能力は大幅に効率化される。小国は、拒否権を失うことはEUにおける発言力を失うことになると懸念しているが、これは憲政史を学んだ人なら誰でも知っている議論である。この他、ヨーロッパ委員会の委員(現在は加盟国1カ国につき1人)やヨーロッパ議会の議席の配分に関する懸念もある。EUの拡大は、これらの分野でも改革を必要とするだろう。

EU拡大は、法の支配(rule of law)と民主政治体制(democracy)という未解決の問題にもスポットを当てることになる。EUは自らを民主政体国家の連合体として定義し、市民的権利に関する厳格な規則を定めているが、ハンガリーやポーランドにおける民主主義の衰退や法の支配の後退には深い懸念がある。特に西ヨーロッパ各国政府は、民主政治体制の衰退に対抗するEUの行動力を強化することなしにEUを拡大することに強い警戒感を抱いている。この懸念は、フリーダムハウスが発表した2023年の「世界の自由度」指数で、候補リストに完全に自由と評価された国が1つもないことから、特に深刻である。

ウクライナは、新たなEU拡大の波を起こすきっかけになるかもしれない。EU加盟には改革が必要であり、その改革はバルカン半島西部の各国の加盟を同様に妨げてきた障害の多くを取り除くことになる。ロシアによるウクライナへの残忍な攻撃は、EUが安全保障にとって不可欠な存在であることをヨーロッパの人々に示すことで、別の意味で既にEUの起爆剤となっている。国防に関する調査では、ヨーロッパの人々はEUがより大きな役割を果たすことを望んでいる。決定的に重要なのは、EU加盟各国市民のウクライナ支持率が信じられないほど高いままであることだ。ユーロバロメーターの世論調査によれば、制裁措置、数百万人の難民、エネルギーの切り離し、生活費の危機が1年続いた後でも、EU各国市民の74%がEUのウクライナ支援を支持している。

ウクライナ人はヨーロッパの未来のために戦っている。EUの指導者たちは今、ウクライナを加盟させる準備のために自らの役割を果たす必要がある。ウクライナの加盟を成功させるために必要なEUの制度やプロセスについて、長年の懸案であった改革を進めれば、EUの規模が拡大するだけではない。EUはより強くなる。

※イルク・トイロイジャー:戦略国際問題研究所ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア研究プログラム上級研究員、カルロス三世大学講師。ツイッターアカウント: @IlkeToygur

※マックス・バーグマン:戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)ヨーロッパ・大西洋・北ヨーロッパ研究センター部長、ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア研究プログラム担当部長。米国務省上級顧問を務めた経験を持つ。ツイッターアカウント:@maxbergmann
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 古村治彦です。

 イギリスの女王エリザベス二世が2022年9月8日に96歳で亡くなった。1952年に即位以来、約70年間もイギリス国王の座に君臨した。現在のイギリス国民の大部分はエリザベス女王の在位期間に生まれた人々ということになる。第二次世界大戦後の歴史と共に彼女の人生はあった。彼女の歴史は衰退し続けるイギリス、大英帝国の歴史であったとも言えるだろう。そして、彼女が死を迎えた2022年が、西側諸国(the West)とそれ以外の国々(the Rest)との戦いで西側諸国が敗れつつあるという大きな転換点であったということが何とも象徴的だ。西側諸国の優位の喪失とエリザベス二世の死がリンクする。

 19世紀から20世紀、1914年の第一次世界大戦までの大英帝国の繁栄は世界各地に築いた植民地からの収奪によって成されたものだ。その代表がインドと中国である。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と呼ばれる新興大国の中核を形成しているのはインドと中国である。大英帝国に収奪された2つの元植民大国が、西側以外の国々(the Rest)を率いて西側諸国に対抗する構図というのは何とも皮肉なものであり、「因果は巡る糸車」ということになる。

 後継のチャールズ三世時代には、英連邦(the Commonwealth)から離脱する国々が次々と出てくるだろう。これらの国々は元々植民地であり、イギリスに収奪された負の歴史を持っている。そうした負の歴史に光を当てさせずに、イギリスの素晴らしい面にばかり光を当てるという役割をエリザベス二世は担った。女王自身がイギリスのソフトパウア(Soft Power)の大きな構成要素(その他には、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ジェイムズ・ボンドなど)となった。イギリスのイメージアップに大きく貢献したということになる。しかし、その時代も終わる。イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、「the United KingdomUK)」ということになる。その内のスコットランドでは独立運動が盛んである。特にイギリスのEU脱退によって、この動きはより活発化している。英連邦の諸国の中から、国家元首をイギリス国王にする制度を止めて、共和国になろうという動きも出ているようだ。英連邦に入っていてもメリットがなく、新興諸大国(emerging powers)に近づいた方が良いと考える国々も出てくるのは当然だ。

 エリザベス二世の死は西側諸国の衰退とリンクし、それを象徴するものだ。西側近代500年の終焉の始まりとも言えるだろう。あの厳かな国葬は大英帝国の最後の弔いであった。そして、西側諸国の終わりを告げる鐘の音であったとも言えるだろう。

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英国女王エリザベス二世は彼女の帝国の数々の道義上の罪から逃れられるものではなかった(Queen Elizabeth II Wasn’t Innocent of Her Empire’s Sins

-亡くなった女王は国家とそのシステムを売り込むための権化となり、それを見事にやり遂げたが、その一方で、その過去を批判したり謝罪したりすることはなかった。

ハワード・W・フレンチ筆

2022年9月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/09/12/queen-elizabeth-ii-british-empire-colonialism-legacy/

1550年代後半、イギリスのエリザベス女王は、ヨーロッパの情勢を詳細に見て、ヨーロッパ大陸の近隣諸国が進めている新しい競争、すなわち遠く離れた場所での帝国(empire)建設に取り残されることを心配するようになっていた。

ポルトガル人とスペイン人は、早くからこの分野で優位に立っていた。ポルトガル人とスペイン人は、15世紀後半から西アフリカ人と金を取引して財を成し、その後、小さなサントメ島でプランテーション農業(plantation agriculture)と人種に基づく奴隷制(race-based chattel slavery)を組み合わせて熱帯産品を生産するという画期的な方法を完成させ道を示していた。砂糖の栽培と奴隷にされたアフリカ人の商業取引を基盤とする彼らのモデルは、瞬く間に大西洋の経済生活を数世紀にわたって支配するようになり、ヨーロッパ経済を活性化させ、西洋が他の国々に対して台頭する原動力となったのである。

エリザベス一世の時代までのイングランドの帝国主義的な史は、隣国アイルランドを支配することにとどまっていた。しかし、私たちが作家ウィリアム・シェイクスピアを主に連想する時代の君主エリザベス一世は、はるかに大きな舞台に憧れ、貴族やジョン・ホーキンスのような海賊に、英仏海峡を越えてポルトガルやスペインの船を襲い、西アフリカ沿岸から採取した金と人間の戦利品を手に入れるよう奨励した。

そうすることで、エリザベス一世は、後に大英帝国となる国家の初期の基礎を築いた。彼女の後継者たちは、1631年にロンドンの冒険商人組合(Company of Merchant Adventurers of London)というカラフルな名前の会社を設立し、その取り組みを更に推し進めた。ここでいう冒険とは、熱帯地方で金や奴隷を激しく追い求めることであった。やがて組合は、主要な地理的目標から全ての謎を取り除く形で、新たなブランドを立ち上げた。その名も「王立アフリカ貿易冒険家会社(王立アフリカ会社、the Company of Royal Adventurers Trading to Africa)」で、アフリカ大陸での有益な貿易を1000年間独占するという野心的な目標を掲げていた。

それと同じ10年間に、私は著書『黒人として生まれて:アフリカ、アフリカ人、近代国家の形成、1471年から第二次世界大戦まで』』で論じたのだが、大英帝国建設の最も重要な基礎となる行為は、大西洋の反対側で形作られたのである。そこでイギリスはバルバドス島を植民としたが、この島はカリブ海東部にある小島で、現在のロサンゼルス市の面積の3分の1ほどの大きさだ。

バルバドスでは、ポルトガル人がサントメ島で考案した道徳的には無防備だが経済的には無敵の経済モデルを、イギリス人はすぐに実行に移した。17世紀半ばまでに、白人の年季奉公人(white indentured servants)が、アフリカから鎖につながれて連れてこられ、意図的に死ぬまで働かされた奴隷男女とほぼ完全に入れ替わったが、その数は、北米本土にもたらされた奴隷の数とほぼ同数であり、バルバドスの砂糖栽培は事実上の金儲けのライセンスと化したのである。

西洋諸国の学校で一般的に教えられているヨーロッパの新世界帝国に関する初期の物語は、インカやアステカといった偉大なアメリカ先住民文明に対するスペイン人征服者たち(Spanish conquistadors)の有名な略奪行為で占められており、ガレオン船(galleons)に驚くほどの量の銀や金を積み込んでいたと教えられている。しかし、イギリス人がバルバドス島で証明したように、カリブ海で始まったアフリカ人奴隷を酷使したプランテーション農業は、更に大きな利益をもたらすものとなった。

カリブ海地域の黒人が奴隷制度によって受けた恐怖の大きさから、イギリスは伝統的に自分たちの帝国はインドを本拠としたと考えることを好んできた。しかし、ラジ(Raj、訳者註:イギリスによるインド支配)のはるか以前から、カリブ海地域、いわゆる西インド諸島は、経済史上最も豊かな植民地が次々と誕生することになった。1791年に始まったアフリカ人の反乱は、奴隷として働かされていた人々を解放し、アメリカ大陸で2番目に古い共和国であるハイチが誕生することになった。

ヨーロッパが近代において世界で最も豊かで強力な地域として台頭するために奴隷制度がいかに重要であったかについて、ヨーロッパでは長い間、そしてイギリスほどではないにせよ、歴史的な否定をするお題目として家内工業(cottage industry)の重要性の私的が存在してきた。家内工業を重視する陣営からは、奴隷の売買そのものは決して儲かるビジネスではなく、プランテーション農業はヨーロッパの成功にとってごくわずかな重要性しかなかったというメッセージが発せられてきた。

一見すると馬鹿げているように思える。しかしそのように主張するための理由はたくさんある。まず、かつてのフランスの指導者ナポレオン・ボナパルトが、非常に収益性の高い植民地サン=ドマングでの奴隷の反乱を鎮圧するために、フランス史上最大の大西洋横断遠征を行い、その結果、部隊が敗北した事実から始めるのが一般的だ。この奴隷社会の支配がいかに豊かな機会をもたらすかを知っていたスペインは、サン=ドマングのアフリカ人を打ち負かそうとしたが、同じ運命に見舞われることになった。

そして、この時代の大帝国を代表するイギリスは、この最高の獲物を手に入れるために、それまでで最大の海洋遠征隊を組織した。イギリス軍もまた、アメリカ独立戦争で失った犠牲者を上回る不名誉な敗北を喫した。しかし、イギリスでは、この時の遠征軍の連隊旗はどこにも掲げられていないし、ほとんどの学校でも、この歴史について触れることはない。

(もちろん、フランスは諦めなかった。すでに一度敗北を喫したナポレオンは、奴隷にされた人々を拘束し続けようと、サン=ドマングに再び遠征軍を送り込んだ。これも敗れ、その後すぐにフランスはルイジアナ購入権を当時のアメリカ大統領トマス・ジェファーソン率いるアメリカ政府に売却せざるを得なくなり、それによって若いアメリカの国土は2倍になった)

エリザベスという名を持つ二番目のイギリス女王の生涯を祝うために、奴隷制度が話題になることはあったが、それは彼女が大英帝国の終焉と20世紀に起こった脱植民地化(decolonialization)の波を統率していたことを指摘するためのものであった。かつて植民地化された人々の世界で長いキャリアを積み、奴隷制度とそれが世界に及ぼした多くの影響について多くの著作を残してきた人間として、帝国とその根源である奴隷化、支配、人間と天然資源の採取の詳細を急いで見過ごすことは非常に奇妙に感じられることなのである。

このコラムのほぼ全ての読者と同じように、私もまた、エリザベス二世の時代に全てを生きてきた。多くの人がそうであるように、彼女の穏やかで自信に満ちた表情はあまりにも稀であり、絶えず変化し、しばしば混乱する世界において拠り所となっていたことを認めるのは難しいことではない。私は、彼女の死後、彼女を悪く思ってはいない。しかし、彼女の帝国と、より一般的な数々の帝国については、また別の問題である。

現在、多くのイギリス人が、帝国以降の新たなイギリス政府が人種や民族の多様性を新たな高みに到達させたことに誇りを感じているのは良いことだ。しかし、このことも、テレビで流される強制的な記念行事も、その歴史のほとんど全てにおいて、イギリスが実践してきた「帝国」が隠しようのない人種至上主義(racial supremacy)と同義であったことを忘れさせるものであってはならない。事実、人種至上主義は大英帝国の中心的な前提の一つだった。

私たちまた、この帝国を民主政治体制と結びつけようとする口先だけの浅はかな論評に惑わされないようにしよう。これには優れた英単語がある。「たわ言(poppycock)」、つまりナンセンスという意味だ。この国の保守党の財務大臣は、新しい多様性の象徴であるクワシー・クワルテングである。彼は子供時代の1960年代にイギリスの植民地だったガーナから移住してきた。彼は2011年に出版した『帝国の亡霊:現代世界におけるイギリスの遺産』の中で次のように書いている。「民主政治体制という概念は、帝国の統治者たちの頭から遠く離れたところにあるはずはない。彼らの頭の中は、緩やかに定義された階級、知的優位性(intellectual superiority)、父権主義(paternalism)という考えでいっぱいだった」。

クワルテングが大英帝国を「良性権威主義(benign authoritarianism)」の一例と表現したが、そこから彼と私の考え方が分かれる。この持続的で利己的な神話は、そのほとんどが、あまり深く考えないという意図的な行為の結果として存続している。どちらかといえば、その歴史の圧倒的な大部分を通じて、奴隷制度(enslavement)から生まれたこの帝国は、民主政治体制に比べても、より人権とは無縁のものであった。

私は頻繁にアフリカについて書いているので、この議論を裏付けるためにアフリカ大陸の数多くの事例で埋め尽くすことができる。しかし、ここでは、大英帝国が無差別に他の人種を蹂躙したことを示す方が有益だろう。例えば、イギリスがアヘン貿易の軍事的拡大を通じて貿易のバランスを取り、中国に対する支配を拡大することを目的とした長期的な麻薬密売政策について、クワルテングはどう発言するだろうか?

この点を明らかにするのに重要な著作が2冊ある。1冊は既に古典であり、もう1冊は新刊である。1冊目は2000年に出版された壮大で画期的な著作『ヴィクトリア朝後期のホロコースト:エルニーニョ現象による飢饉と第三世界の構成(Late Victorian HolocaustsEl Niño Famines and the Making of the Third World)』である。この本の中で、歴史家マイク・デイヴィスは、19世紀後半にイギリスが一連の記録的な干ばつを利用して、遠く離れた多くの民族に対する領土拡張と政治支配の計画をいかに進めたかを記録している。

インドは特にターゲットとなった。ロバート・ブルワー=リットンやヴィクター・ブルース(後者はエルギン卿としてより有名)のようなイギリスの全権を持つ植民地当局者たちが、アフガニスタンや南アフリカでの戦争に必要な資金のために、食料の大量輸出と地方税の増税を厳しく監督し、一連の極めて壊滅的な飢饉をインドで引き起こした。その一方で、植民地行政官たちは、社会的・経済的に余剰な存在として蔑視する貧困層への救済プログラムを廃止した。人道的援助に反対する多くの人々は、このようなプログラムは瀕死の農民を怠惰にさせるだけだと主張した。

しかし、この本の中で最も大英帝国が非難される内容は、おそらく次の文章に集約されている。「イギリスのインド支配の歴史が1つの事実に集約されるとすれば、それは1757年から1947年までインドの1人当たりの所得が増加しなかったということである」。

もっと最近の本は、アフリカ研究専門家のキャロライン・エルキンス教授の新刊『暴力の遺産:大英帝国の歴史(Legacy of Violence: A History of the British Empire)』である。私は以前にもこの本を紹介したが、この本は20世紀に焦点が当てられており、エリザベス二世の時代に起こった大英帝国の蛮行が数多く含まれている。その中には、ケニアのキクユ族を支配するために、キクユ族を国内の最良の農地から追い出し、100万人以上を「大英帝国史上最大の収容所と捕虜収容所の群島」に閉じ込めた作戦も含まれている。

エルキンスの新作で最も目を見張る部分は、ケニアにおけるこれらの措置が、残忍な抑圧方法の長期にわたる実験の成果であることを彼女が説得的に示している点である。19世紀末から20世紀にかけて同じ植民地監督官が植民地を転勤しながら実行した。インド、ジャマイカ、南アフリカ、パレスティナ、イギリス領マレー、キプロス、現在のイエメンにあたるアデン植民などで暴力の使用、拷問、反乱の厳罰化といった技術の新たな創造や改良がおこなわれた。それらの技術はサントメからブラジルへ、そしてそこからカリブ海の弧を北上してアメリカ南部へと移動していった奴隷制に基づくポルトガルのプランテーションモデルが着実に改良されていったのと同じような方法の模倣であった。

もちろん、エリザベス二世を賞賛する多くの人々が言うように、エリザベス二世は、この名を冠した最初のイギリス女王とは異なり、国政に関する権力を持たなかったことは事実である。しかし、エリザベス二世は多くの旅を通じて、自国とそのシステムを売り込み、その一方で、過去のいかなる側面についても批判したり、謝罪したりすることはなかった。エリザベス二世の在位中に、世界はほぼ完全に脱植民地化され、多くの旧植民地が民主政治体制国家となり、国民の権利をある程度、真剣に考えるようになったことも事実ではある。

しかし、イギリスの支配が温和であったからとか、ロンドンの帝国臣民の権利(London’s imperial subjects)が「帝国」の本質と大いに関係があったなどと主張すべき時はとうに過ぎ去ってしまっているのだ。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学ジャーナリズム専攻大学院教授。長年にわたり海外特派員を務めた。最新刊は『黒人として生まれて:アフリカ、アフリカ人、近代国家の形成、1471年から第二次世界大戦まで』。ツイッターアカウント:Twitter: @hofrench

(貼り付け終わり)
(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回、ロシアによるウクライナ侵攻について、感情的になって「ロシアは許さない」「ウクライナ頑張れ」となるのは自然なことだと思う。しかし、少し落ち着いて国際政治を俯瞰して眺めてみると、何とも残酷な現実が見えてくる。それは、「国際政治は大国間政治(power politics)でしかない」ということだ。そのことを私たちに教えてくれるのは、『戦争と国際法を知らない日本人へ』(小室直樹著、徳間書店、2022年)だ。この本は『世紀末・戦争の構造』(徳間文庫、1997年)の再刊だ。何とも時機を得た再刊となった。

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戦争と国際法を知らない日本人へ ニュー・クラシック・ライブラリー

小室直樹(1932-2010年、77歳で没)については著者紹介を引用する。「1932年、東京都生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。 1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。 著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『国民のための戦争と平和』他多数。 渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』など」。
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 小室直樹は経済学、社会学、政治学など社会科学百般をその一身で「統合」した、不世出(ふせいしゅつ)の偉大な社会科学者だった。『戦争と国際法を知らない日本人へ』には巻末に副島隆彦先生による解説と小室直樹文献一覧が付いている。是非お読みいただきたい。

※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき・広報ページ」で公開中↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou/2311

1944年にアメリカの首都ワシントンのジョージタウン地区にある、ダンバートン・オークス・ガーデン(Dumbarton Oaks Garden)にアメリカ、イギリス、ソ連、中華民国の代表が集まり、国際連盟に代わる新たな国際機関の創設が決定した。それが国際連合(国連)である。この4か国にフランスが加わって、国連の中核メンバー国である、そして、安全保障理事会常任理事国(The United Nations Security Council Permanent Members)となった。第二次世界大戦の戦勝国クラブと言っても良い。以下のポスターを見てもらいたい。国連は連合国のことである。

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 国連安全保障理事会の常任理事国の圧倒的な力(拒否権、veto)を前にして、それ以外の国々ができることはほぼない。国連改革と言って、常任理事国(permanent members)の数を増やすとか、制度自体を廃止するということは現在の五大常任理事国にとっては利益を損なわれることであるし、第二次世界大戦の勝利と大きな犠牲の面からもそれはできない。それならば国連総会の権限を強化し、安保理決議も多数決でできるようにするということも考えられるが、それはそれでやはり常任理事国が反対するだろう。

 国連安全保障理事会での決議(resolution)には加盟国を拘束する力があるが、国連総会(The United Nations General Assembly)での決議は勧告であり、拘束力を持たない。朝鮮戦争において北朝鮮の朝鮮人民軍(+中国人民志願軍[抗美援朝義勇軍])との戦いで、アメリカ軍が主体となって国連軍(United Nations Command)が形成されたのは、国連安保理で非難決議が可決されたからだ(常任理事国のソ連が反対ではなく棄権したため)。現在の状況であれば、ロシア非難決議に対してロシアが反対するだろうから決議は可決されない。

 小室直樹は『』第4章で国連こそは「むき出しの列強政治(naked powers politics)」だと喝破した。この本のポイントはここにある。列強政治、大国間政治の前には私たちは何とも無力な存在である。ポイントについては副島先生が引用しているので、私もそれを使って引用する。

(貼り付けはじめ)

昭和6年(1931年)9月18日、日本軍は突如として行動を開始し、まもなく、満州を占領した。(引用者注。これが満州事変。世界はこれを日本の中国侵略だと決断した。この日が、いわゆる「日中15年戦争」の始まりの日 ) 

 さあ、国際連盟が騒いだの騒がないのって。……日本は(中国に関する)九カ国条約違反であると非難された。1922年に結ばれた九カ国条約とは、日、米、英、仏、伊、蘭、中、ベルギー、ポルトガルとの間で結ばれた条約であって、中国の独立と領土を保障している。……

 ……国際連盟を牛(ぎゆう)()っている英仏の肚(はら)は、日本ごとき軍事大国がひとたび決意した以上、その軍事行動を押しとどめる力なんか、どこの国にもないことをよく知っていた。

 ……だが、ここで、国際連盟の二面性──表ではウィルソン(米大統領)流の原理主義、裏では列(れっ)(きょう)政治──が、その(国際連盟の)命取りになった。

……連盟が健在のときにおいてすら、国際政治の本質はやはり大戦以前と同様、列強政治であった。仮面をかぶった列強(パウアズ)政治(disguised powers politics ディスガイズト・パウア・ポリティックス)と称される所以(ゆえん)である。国際連盟の機能が麻痺するにつれて、列強政治はますますその正体をあらわにしてきた。(158-166ページ)

=====

 戦争という非常事態に際して、当然のことながら、列強政治の色彩は、さらに決定的に強まった。カイロ会談、テヘラン会談、ヤルタ会談、ポツダム会談など。戦後世界を決定する会議は、米英ソの三者によって意思決定がなされた。ときたまフランスの参加が許され、まれにちょっぴり中国の発言がみとめられる。そのほかの諸国にいたっては、連合国の一員であろうがなかろうが、全くのお呼びなし……。

 国連は、軍事同盟である。国連の本質は、日本とドイツに対する軍事同盟である。

 ……1942年1月1日、日独伊枢軸国と交戦中の26カ国は、個別的休戦を結ばないことを宣言、同盟関係を確認しあった。この軍事同盟を国際連合と呼んだ。これが、国際連合の濫觴(らんしょう。始まり)。

 国際連合は、対枢軸(すうじく)軍事同盟として生まれた。(中略)国際連盟が、仮面をかぶった列強政治(disguised powers politics)だとすれば、国際連合は、むき出しの列強政治(naked[ネイキッド] powers[・パウアズ・] politics[ポリティックス])である。(176-180ページ)

(貼り付け終わり)

 国際政治はどんなに取り繕ってみても列強政治、大国間政治でしかない。国連はそのむき出しの場所だ。見かけがきれいであっても、その下には硬質の、残酷な大国間の駆け引きと論理が存在する。私たちはそのことを理解しておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

●「安保理常任理事国からのロシア解任、「選択肢」と英」

3/1() 23:04配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/088f06b5433bd13f426021bdd8e902f8794adb05

AFP=時事】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の報道官は1日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、5か国で構成する国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国からロシアを解任する案を、英政府として議論する用意があると表明した。

 報道官は記者団に対し、「首相はこれに関して立場を示していない」としながらも、「われわれはロシアが外交的に孤立することを望んでおり、それを達成するために全ての選択肢を検討するということは言える」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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●「ロシア非難決議否決 日本など80カ国超賛同も―国連安保理」

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022600292&g=int

 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日午前)、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、即時撤退を求める米国主導の決議案を採決に付したが、ロシアが拒否権を行使し否決された。理事国15カ国中、米欧など11カ国が賛成し、中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)は棄権した。

 米国は否決を見据え、決議案への賛同を示す共同提案国を理事国以外にも広く募り、日本を含む80カ国以上が名を連ねた。ロシアの国際的孤立を強調するのが狙いだ。

 トーマスグリーンフィールド米国連大使は、採決前、「簡単な投票だ。国連憲章を支持するなら『イエス』、ロシアの行動に同調するなら『ノー』か棄権だ」と迫った。

 結果、動向が注目された中国だけでなく、日米オーストラリアとの連携枠組み「クアッド」の一角であるインドも棄権に回った。インドのティルムルティ国連大使は「外交の道が断念されたのは遺憾だ」と理由を説明した。

 ウクライナのキスリツァ国連大使は会合での演説中、出席者に犠牲者への黙とうを要請。約10秒間祈りをささげた後、議場からは自然と連帯を示す拍手がわき上がった。ロシアのネベンジャ国連大使は鼻で笑ったが、ロシアの孤立を印象付けた。

 安保理決議案は否決されたが、米欧などは意思表示のため、国連総会で同内容の決議採択を目指している。ただ、総会決議に法的拘束力は無い。

 安保理は2014年にも、ウクライナ南部クリミア半島のロシア併合をめぐる住民投票を無効とする決議案採択を目指したが、ロシアが拒否権を発動して否決された。その際も中国は棄権している。

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ウクライナをめぐり国連を舞台にして米露が世界の世論を争う(U.S. and Russia Battle for World Opinion at U.N. Over Ukraine

-ブリンケンは今でも外交上の出口を探している。

コラム・リンチ、ロビー・グラマー、ジャック・デッチ筆

2022年2月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/17/us-russia-un-ukraine/

アメリカは、クレムリンがウクライナの首都キエフの占領を目指し、空、海、陸軍を派遣してウクライナへの侵攻を準備していると警告しており、アメリカとロシアは木曜日の国連安全保障理事会で緊迫した言葉による戦闘を展開した。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、ミュンヘン安全保障会議のためにベルリンを訪れていたが一時的にニューヨークに戻り、ロシアのセルゲイ・ベルシニン外務副大臣が輪番議長を務める国連安全保障理事会で演説を行った。これは事態の緊急性を示すものだった。

ブリンケン氏は15カ国が参加した安全保障理事会の席上、「今日、私たちは会議を開いているが、平和と安全に対する最も差し迫った脅威は、ロシアによるウクライナへの侵略である。アメリカの情報諜報機関の報告によれば、ウクライナに対する攻撃が今後数日のうちに行われることを示唆している」と述べた。ブリンケンは続けて「これは、何百万人もの人々の生命と安全、そして国連憲章(United Nations Charter)とルールに基づく国際秩序(rule-based international order)の根幹を脅かす危機的状況である」と発言した。

ブリンケン国務長官の国連安全保障理事会の出席は、「国連安全保障理事会を、ロシアに対する国際世論を結集し、その外交的孤立を演出するための世界に向けた劇場(global theater)として利用する」というアメリカの戦略の一部である。国連安保理はロシアにウクライナの国境を尊重するよう強制する力をほとんど持たない。ブリンケン国務長官は、ウクライナ国境から軍を撤退させるというロシアの主張を否定し、ロシアのメディアが「国民の怒りを最大化(maximize public outrage)」し、「戦争の正当化の根拠を作り上げる(lay the groundwork for an invented justification of war)」ための大規模な偽情報キャンペーンを行っている兆候など、米国が考えるロシアの戦争戦略について詳細に説明した。

ブリンケン長官は次のように予測した。「ロシア政府は、ロシア国民やウクライナ国内のロシア系住民を守るために、ロシアが対応しなければならないという宣言を出すだろう。ロシアのミサイルや爆弾はウクライナ全土に落下するだろう。通信は妨害され、サイバー攻撃によってウクライナの主要機関が機能しなくなるだろう。その後、ロシアの戦車と兵士は、すでに詳細な計画が立てられ、明確に設定された重要な目標に向かって前進するだろう。その目標には、280万人の市民が暮らす、ウクライナの首都キエフも含まれると考えている」。

バイデン政権は、ロシアの軍事計画を白日の下に晒すことによって、モスクワに戦争のための信頼できる口実を与えず、ウラジミール・プーティン大統領を説得して、外交的出口を選択させることができるという希望を表明している。ブリンケン国務長官は、来週ヨーロッパでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談することを提案した。また、NATO・ロシア協議会と欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Co-operation in EuropeOSCE)の会合を提案し、重要な国々の指導者たちによる首脳会談への道筋をつけることを目指している

ロシア代表のベルシニンは、「欧米諸国がロシアはウクライナを攻撃するとの根拠のない非難を行っている」と述べ反撃した。ベルシニンは安保理理事会の出席者たちに、「カメラに向かって大見得を切りたいという誘惑に負けないように」、そして「この会議をサーカスのようにしないように」と訴えた。

ベルシニンは、2月16日にロシアがウクライナに侵攻するという米国のリーク情報を嘲笑し、「いわゆる侵攻が行われるとされた日付は既に過ぎている。私たちからのあなた方への助言としては、厄介な状況に自ら進んで飛び込まないということだ」と述べた。

今月の国連安全保障理事会の議長を務めるロシアは、ウクライナ東部の一部を支配するロシアに支援された分離主義勢力と政治的な協議を行うことを政府に要求している、ミンスク合意をウクライナ側が遵守していないとを強調するために木曜日に会議を召集した。ベルシニンは「明らかなことを見ようとしない西側諸国のダチョウのような姿勢に、私たちは非常に失望していると言わざるを得ない」と述べた。

ウクライナに駐在しているミッコ・キンヌネン欧州安全保障協力機構特別代表は、ミンスク合意の全締約国が完全に合意内容を履行できていないと指摘し、一方の締約国に責任を押し付けるのは「適切ではない」と述べた。

ロシアのパブリック・ディプロマシー(public diplomacy)は、過去のアメリカの情報諜報活動の失敗(intelligence failure)によって利益を得ている。特にジョージ・W・ブッシュ(息子)元大統領が第一次湾岸戦争後、サダム・フセインが大量破壊兵器(weapons of mass destruction)を保有しているという誤った主張に基づいてイラクを侵攻したことから利益を得ている。当時のコリン・パウエル米国務長官が2003年2月に行った安全保障理事会での説明で、炭疽菌の模擬瓶を振り回して、イラクが大量の生物兵器をテロ兵器として使用する能力があると虚偽の説明をしたことを、ロシア当局者は頻繁に引き合いに出している。

ブリンケンは、アメリカの情報の信頼性に対する懸念に直ちに反論し、「アメリカの情報諜報活動が結果的にうまくいかなかった過去の事例を思い起こすことで、アメリカの情報に疑問を投げかける人がいることは承知している。しかし、明確にしておく。私が現在ここにいるのは、戦争を始めるためではなく、戦争を防ぐためなのだ」と述べた。

木曜日の会議に先立ち、ロシアは、ウクライナのドンバス地方でロシア語を話す人々に対して、ウクライナ軍が「大量虐殺」を行ったとする報告書を国連に提出したドンバス地方は、現在、ロシアの支援を受けた分離主義勢力が実効支配している。バイデン政権の最高幹部たちはこの主張に疑問を投げかけ、ロシアの侵攻の口実になる可能性があると指摘した。

ブリンケンは国連で次のように発言した。「ロシアはこの出来事を民族浄化(ethnic cleansing)や大量虐殺(genocide)と表現するかもしれない。この議場にいる私たちが重要視している概念、そして私の家族の歴史に基づいても非常に重要な概念を馬鹿にしている」。 ブリンケン米国務長官の継父はホロコーストの生存者だ。

アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は、国連での会議に先立つ水曜日、記者団に対し、「過去数週間にわたり、ロシア当局者とロシアのメディアが、侵略の口実になるような話を数多く報道機関に植え込んでいるのを目撃してきた。こうした行動は、ロシアがウクライナに対する軍事行動の口実にするために展開している偽りの物語(false narrative)である」と述べた。

一方、アメリカ連邦議会の指導的立場にある議員たちからは、戦争回避のための外交努力が挫折し、プーティンが侵略計画を続けるのではないかという懸念の声が上がっている。連邦上院外交委員会委員長ロバート・メネンデス連邦上院議員は木曜日にMSNBCの番組に出演し次のように述べた。「これはプーティン理解入門初歩であるが、残念ながら、プーティンによって外交の窓が閉ざされつつあり、彼が前進することはウクライナ人にとっても、ロシアにとっても悲劇的な間違いである。私は状況についてますます懸念を強めている」。

バイデン政権と西側諸国の政府高官たちによる戦争への警告が熱を高まる中で、ブリンケン米国務長官の演説は行われた。ワシントンとその同盟諸国は数週間前から、ロシアの偽旗作戦(false-flag operations)による侵攻の可能性を指摘し、ロシアのウクライナ攻撃を防ごうとしてきた。しかし、これまでのところ、ウクライナの首都キエフに近い隣国ベラルーシを含むウクライナの国境付近でのロシア軍の増派と展開は継続中だ。

ロイド・オースティン米国防長官は2月17日に、ブリュッセルのNATO本部で演説を行いその中で、ロシアが将兵やヘリコプターを増派し、黒海での態勢を強化し、血液バンクを前線に移動させたと述べ、軍事行動が迫っている可能性を示唆した。これは、民間企業マクサーの衛星画像と一致し、この48時間でロシア軍がベラルーシに野戦病院(field hospitals)を建設し、ウクライナ国境に届く範囲に攻撃ヘリを増派していることを示したものだ。

木曜日の朝、ウクライナ軍は、ロシア連邦議会が独立を認めるよう推進しているドネツク州とルハンスク州で、親ロシア派の分離主義勢力が発射した砲弾が少なくとも32発となったと発表した。キエフからポーランド国境に近い西部の都市リヴィウに移転した在ウクライナ米国大使館は、分離主義勢力が幼稚園と高校を襲い、少なくとも教師2名が負傷し、村の電力が途絶えたが、こうした攻撃はロシア軍が行ったものとして非難している。「ドンバスにおける侵略者は明らかだ。それはロシアだ」と駐ウクライナ米国大使館はツイッター上に投稿した。米国大使館は、この攻撃をミンスク合意の「憎むべき違反(heinous violation)」と呼んだ。

ヨーロッパ諸国の指導者たちもこのような意見に同調している。木曜日にキエフを訪れたリズ・トラス英外相は、現地でこの攻撃を知った後、「これはクレムリン作成の作戦書からそのまま出てきたものだ」とツイートした。

クレムリンがここ数カ月、ウクライナ国境付近での軍備増強を加速させて以来、ワシントンとモスクワの関係は確実に悪化している。先週、モスクワはアメリカ大使館で2番目に高い地位にある外交官をロシアから追放した。米国大使館のバート・ゴーマン次席公使は、視察が終わる前に国外退去を余儀なくされた。米国務省の報道官は、「ロシアによる我が国の次席公使に対する取り扱いは全くもって正当な根拠を欠いたものであり、私たちはこれをエスカレートした措置とみなし、対応を検討している」と述べた。

ロシアは昨年、ロシア駐在を許可するアメリカからの外交官の数を制限した。そのため、アメリカ政府はロシア国内の複数の米国領事館を閉鎖し、モスクワの米国大使館も人員削減を余儀なくされた。それに対して、バイデン政権はアメリカ駐在のロシアからの外交官の数を減らすという報復措置は取っていない。

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 古村治彦です。
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 ウクライナ情勢は緊迫の度を深めており、「全面戦争(full-scale war)」に進むのではないかという声が大きくなっている。全面戦争とは、ウクライナ対ロシアということになる。欧米諸国、つまりEUNATO加盟諸国はウクライナを応援し、軍隊を送ることまではしないが、物資や武器を送るということになる。ロシア軍は独立承認した2つの地域にロシア軍を派遣する。そこで衝突が起きるだけではなく、ロシア軍がウクライナの首都キエフに侵攻するということが全面戦争のシナリオということになりそうだ。

 ロシアがキエフにまで侵攻してウクライナを併合することにメリットがあるとは考えにくい。しかし、ロシアの行動の根底には西側の論理とは異なる、「不安感」と「被害者意識」があるので、ウクライナを併合したいとは考えているだろう。それでもそれを実際に行うかどうかは別問題だ。

ウクライナがNATOEUに加盟しないという確約ができれば、ロシアは併合という手段を取らないだろう。ウクライナがヨーロッパ、西側諸国とも政治的には距離を取り(経済的には緊密につながっても)、かつロシアに対してもある程度のつかず離れずということになれば、それが一番の落としどころということになる。

 話は横道にそれたが、それではウクライナとロシアとの間で全面戦争(ロシアがウクライナを降伏に持ち込むための戦争)となるかどうか、である。ウクライナとロシアとの間で全面戦争になって喜ばしいのは、金融市場関係、石油産業、武器産業、金(きん)関連産業だろうが、彼らが戦争を望めば、戦争になるだろう。戦争を演出するだろうし、戦争になるように追い込むだろう。しかし、ロシアのプーティン大統領が彼らの仕掛けに乗るとも考えにくい。今回は、「欧米諸国はいざとなったら何もしない、本気で助ける気はないのだ」ということを十分に世界に見せつける効果が得られればそれ以上のことをしないのではないか、それがプーティンにとっての未来への布石になるだろうと考える。

 アメリカが米軍を数万単位でウクライナに派遣し、首都キエフの防衛のために犠牲を払うという姿勢を見せれば、アメリカの勝ちであるが、そうでなければ、アメリカも大したことがないということを示すことになる。今のところ、アメリカは経済制裁でお茶を濁す姿勢だ。そうなると、アメリカの負け、ロシアの勝ちということになる。

(貼り付けはじめ)

プーティンがウクライナ東部をめぐる動きで緊張を高めている(Putin ratchets up tension with moves in eastern Ukraine

ブレット・サミュエルズ、ローラ・ケリー、モーガン・チャルファント筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/595238-tensions-between-russia-ukraine-escalate-as-putin-lays-groundwork-for

ロシアとウクライナの緊張関係は月曜日に劇的に悪化し、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、人口4千万人以上の国であるウクライナへの軍事侵攻の準備ができたと多くの専門家たちが見ている。

バイデン政権とアメリカの同盟諸国は、ヨーロッパでの戦争の引き金となりかねないロシアの侵攻を回避するため、数週間にわたり外交的な出口(offramp)を追求してきた。

しかし月曜日にプーティンが、ウクライナのドンバス地方にある、ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国と呼ばれる地域の独立を認める法令に署名したことで、外交的な窓は閉じられたと考えられる。両地域では分離主義勢力とウクライナ軍が長年にわたって戦ってきた。

数時間のうちに、ロシアの指導者プーティンはロシア軍にこれらの地域で作戦を実施するよう指示した。専門家たちは、ロシア軍がウクライナ領内で本格的な作戦を開始し、ウクライナ全域に対する更なる侵攻の前段階となることを予見させるものだと警告している。

ローズ・ゴッテモラー元NATO事務次長は、本誌とのインタヴューで、「まるで音楽で言うところのクレッシェンドが高まっているようだ」と語った。

プーティンは、両地域の独立承認に関する1時間ほどの発言の中で、西側諸国の専門家たちが分析しているように、ウクライナの独立性を疑い、歴史的・文化的にロシア的な国家であるとする歴史の書き換えを行ったのである。プーティンは、ウクライナは西側に利用されていると主張し、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領政権に矛先を向けた。

この高官は「私たちは戦車が出動するまで外交を続けるが、次に何が起こるかは分かるなどという幻想は抱いていない」と述べた。

欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Cooperation in EuropeOSCE)担当米国大使マイケル・カーペンターは、月曜日のプーティンの行動を「ウクライナに対するロシアの全面戦争(a full-scale Russian war against Ukraine)」を仕組むものだと呼んだ。

カーペンター大使は、ウィーンのOSCE本部に提出した声明の中で、「ロシアが何を主張しようとも、冷厳な真実は、ロシアが今まさに軍事行動の口実を作ろうとしていることだ」と述べた。

プーティンの演説の直後、バイデン大統領は、ドネツクとルハンスク地域への米国の投資、貿易、資金の流入を禁止し、同地域で活動する個人に対して制裁を科す権限を付与する大統領令に署名した。

記者団の取材に応じたアメリカ政府高官は、月曜日に更なる制裁が火曜日に行われる可能性があると示唆したが、詳細は明らかにしていない。ヨーロッパ連合(EU)もプーティン大統領の決定に関連した制裁を科すと表明している。

ホワイトハウスは数週間前から、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を再開した場合、懲罰的な経済制裁を科すと表明しており、月曜日の動きを受けて、その圧力は高まる一方だ。

前述のバイデン政権高官は、何がロシアの新たなウクライナ侵攻を構成するかという質問には直接答えず、アメリカは今後数時間から数日の間にロシアが取る措置を分析評価した上で、それに応じて対応するとだけ述べた。

この高官は「これから数時間、一晩中、ロシアの行動を観察し、評価するつもりだ。私たちは、ロシアが取る行動に対して、適切と思われる方法で対応するつもりだ」と述べた。

この高官は、ロシアは8年間ドンバスに軍隊を駐留させていると指摘したが、月曜日のプーティンの命令を受け手、ロシア軍がより露骨に活動するだろうと示唆した。

アメリカの制裁措置の発表と同時に、リンダ・トーマス=グリーンフィールド国連米大使は、ロシアのウクライナに対する脅威について国連安全保障理事会(U.N. Security Council)が緊急会合を開くようウクライナが要求していることを支持すると発言した。

会合は、安全保障理事会がロシアとの危機に焦点を当てるのがこの1カ月弱で3回目となり、ロシアが2月の安保理の輪番議長を務めている間に行われることになる。

トーマス=グリーンフィールドは声明の中で次のように述べている。「全ての国連加盟国は、次に何が起こるかに関心を抱いている。ロシアの行動は、第二次世界大戦以来、ある国が他国の国境を一方的に変更することはできないという原則を掲げてきた国際秩序を脅かすものだ。この原則は国連憲章(UN Charter)に明記されており、全ての加盟国が守ることを制約している」。

前述の政権高官は月曜日、「アメリカはロシアに対して、世界の平和と安定の維持に責任を負う最も重要な国際機関の場において、今日彼らが取った行動に対する答えを出すことを強制するために安保理を再び開催することには価値があるのだ」と述べた。

ホワイトハウスは、日曜日の夜遅く、外交への扉を開いたままにしておくことを示唆していた。その数時間前には、ホワイトハウス当局者がウクライナへの暴力的で破壊的な侵略の可能性を警告していた。

ジェン・サキ報道官によれば、バイデンは、ロシアがウクライナに侵攻しない限り、プーティンと会談することに「原則的に」同意したという。しかし、月曜日のモスクワの行動によって、米露首脳会談はテーブルから取り除かれてしまったようだ。

前述のバイデン政権高官は「ウクライナの北、東、南の各地域において、私たちが現場で目撃している全ての事実に基づいて、私たちの強い感覚は、ロシアが今後数時間から数日の間に起こりうる軍事行動の準備を続けていることだ」と述べた。

アントニー・ブリンケン国務長官は、木曜日にヨーロッパでロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談する予定だ。ラブロフは月曜日の早い段階でブリンケン国務長官と会談することを示唆したが、バイデン政権はロシアの最近の行動から外相レヴェル会談を進めるべきかどうかを議論しているようだ。

ジョージ・W・ブッシュ政権下で3年間にわたり、ヨーロッパ・ユーラシア問題担当の国務次官補代理を務めたデビッド・クレイマーは、ロシアの次の動きは様々な形を取りうる可能性が高いと警告した。モスクワが大規模なサイバー攻撃を行い、ウクライナを通るパイプラインを寸断しようとしたり、ウクライナ領内にさらに軍を送り込んだりする可能性があるとクレイマーは指摘している。

外交政策を専門とする非営利団体ヴァンダーバーグ・コアリション(Vandenberg Coalition)の諮問委員を務めるクレイマーは、「多くの危機が存在する」と語った。クレイマーは更に「しかし、第二次世界大戦以来のロシアによる最新の領土の強制的な奪取に対して何もしないことは妥協できるものではない。それはここで妥協すれば、プーティンの欲望が高まる一方になってしまうからだ」と述べた。

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バイデン大統領が、プーティン大統領が独立国家として承認したウクライナの分離地域への投資・貿易を禁止(Biden blocks investment, trade in areas of Ukraine recognized as independent by Putin

モーガン・チャルファント筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/595209-biden-to-block-investment-trade-in-areas-of-ukraine-recognized-as

ジョー・バイデン大統領は月曜日、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がモスクワが支援している分離主義勢力が支配する2つの地域の独立を認める法令に署名した数時間後に、ウクライナ国内の両地域にアメリカが新規に投資、貿易、融資を行うことを禁止する大統領令(executive order)に署名した。

プーティンが独立承認決定について長い演説を行った直後、ホワイトハウスが詳述した大統領令には、いわゆるドネツク人民共和国およびルハンスク人民共和国で活動すると判断した「いかなる人物に対しても制裁を科す(impose sanctions on any person determined to operate in)」権限をバイデンに与えるものでもある。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は声明の中で、「我々はロシアからのこのような動きを予期しており、直ちに対応する準備が整っている」と述べ、プーティンの行動を「ロシアの国際公約に対する露骨な違反(blatant violation of Russia’s international commitments)」と呼んだ。

バイデンは、月曜日に国家安全保障ティームと会談し、状況の最新情報を受け取っていたが、月曜日の午後遅くに命令に署名した。

制裁を科すという決定は、現在の危機を外交的手段で解決する窓口が閉じつつあることをアメリカが認めていることの兆候である。

バイデン政権は1週間以上前から、ロシアによるウクライナ侵攻がいつ起きてもおかしくないと警告しており、バイデン大統領は金曜日に記者団に対し、プーティンはウクライナ侵攻の決意を固めたと確信していると語った。アメリカは、ロシアがウクライナとその周辺に19万人規模の軍隊を派遣していると推定している。

しかし、バイデン政権は依然として外交の扉は開いており、日曜日にはバイデン大統領が、ロシアが侵攻を開始しない限り、プーティンとの会談に「原則的に(in principle)」同意したとさえ述べていた。その会談が実現するかどうかは不透明である。

新たな制裁が2つのウクライナから離脱した両共和国にどれほどの影響を与えるかは不明だ。

バイデン政権はヨーロッパの同盟諸国と協力し、ウクライナへの軍事侵攻があった場合にロシアに科す、より厳しい制裁枠組を別途用意している。

サキ報道官は次のように述べた。「次のことを明確にしておきたい。これらの措置は、ロシアがウクライナにさらに侵攻した場合に、同盟諸国やパートナー諸国と連携して準備してきた迅速かつ厳しい経済措置とは別のものであり、それに追加されるものである」。

サキ報道官は続けて、「私たちは、ウクライナを含む同盟諸国やパートナー諸国と、次のステップやロシアがウクライナとの国境沿いで続いている事態の悪化について、引き続き緊密に協議している」と述べた。

月曜日遅くに記者団の取材に応じたあるバイデン政権高官は、詳細は明かさなかったが、早ければ火曜日にも更なる措置が取られることを示唆した。

アントニー・ブリンケン国務長官は、プーティンの決定を非難する声明を発表し、ミンスク合意の下でのロシアの約束の拒否を意味し、「ウクライナの主権と領土の完全性に対する明確な攻撃」であると述べた。

ブリンケン国務長官は、新しい大統領令について「ロシアがこの露骨な国際法違反で利益を得ることを防ぐためのものだ」と述べた。

「今回の制裁はウクライナの人々やウクライナ政府に向けられたものではなく、これらの地域における人道的活動やその他の関連活動を継続することができる。ウクライナの主権と領土保全、そしてウクライナ政府と国民に対する我々の支持は揺るぎない」とブリンケン国務長官は述べた。

ホワイトハウスがこの計画を発表すると同時に、EUもウクライナのドンバス地方に属するドネツクとルハンスクの独立国家承認に関与した者に制裁を科すと発表した。

欧州委員会のウルスラ・フォン・ダー・ライエン委員長と欧州議会のシャルル・ミシェル議長は声明で、「ヨーロッパ連合は、国際的に認められた国境内におけるウクライナの独立、主権、領土保全への揺るぎない支持を改めて表明する」と述べた。

プーティンは月曜日に長時間にわたり、不穏な内容の演説を行った。その中でウクライナは歴史的に見てロシアの一部であると主張し、ロシアによるウクライナ侵攻の正当性を訴えたように見えたが、明確に侵攻を命じたわけでもなかった。

ロシアの指導者プーティンはドネツクとルハンスクの独立を宣言する命令に署名し、「友好」と相互援助協定を批准したとも述べた。

プーティンは次のように語った。「キエフで権力を掌握し維持している者たちに、敵対行為を直ちに停止する(stop hostilities immediately)よう要求する。さもなければ、血の海が続く可能性に対する全責任は、キエフを統治している政権の考えに帰することになる。これらの決定を宣言することで、私はロシアの全愛国的勢力の支持を得られると大きな自信を有している」。

その後、プーティンは「平和維持活動(peacekeeping operations)」を行うため、分離地域に軍隊を派遣することを命じ、緊張と紛争が差し迫ることへの恐怖をさらに増幅させた。

プーティン大統領の演説中、バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、その後、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相と電話会談を行った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 

 イギリス首相テレーザ・メイが総選挙実施を発表した時、野党に対して責任のある行動を取るように求めました。この選挙であなた方は罰を受けるのよ、という感じでした。しかし、実際に罰を受けてしまったのはテレーザ・メイ率いる保守党でした。総選挙実施発表直後は、保守党が大勝するという予想が出ていましたが、その後、過半数は維持するだろうとなり、更には過半数確保は難しいとなっていきました。選挙結果では保守党が勝利し、連立政権を組むことでメイ政権は続くことになりますが、勝利者はイギリス労働党と、時代遅れの社会主義者として冷遇されてきたジェレミー・コービン党首でした。

 

 アメリカではジョージ・W・ブッシュ、日本では小泉純一郎がリーダーであった時代、イギリスではニューレイバー(新しい労働党)を掲げたトニー・ブレアが首相でした。伝統的な労働党の路線を棄て、より中道的な政策へと転換しました。それが新しいものだと考えられてきました。古臭い社会主義の臭いのする政策は失敗だったとヘイリの如く捨てられました。

 

 日本でも新しいリベラル勢力として、一部保守的な政治家も取り込んで、民主党が生まれました。民主党は若い政党としてあっちにぶつかり、こっちにぶつかりしながらもなんとか野党として存在感を出し、参議院では自民党を追い越す議席を獲得することができるようになりました。そして、「国民の生活が第一」を掲げて、総選挙に大勝して、鳩山由紀夫政権が誕生しました。

 

 しかし、民主党内部、そして官僚、自民党からの攻撃の前に、鳩山政権は1年で瓦解し、その後は、自民党とどこが違うのか分からない、中途半端な菅直人政権、野田佳彦政権と続き、財務省の言いなりになり、増税一本槍となり、民主党は政権を失いました。また、国民からの支持も失い、この状況は現在も続いています。

 

 安倍政権がどれほどの失敗やスキャンダルを起こしても、「民進党よりもまし」と思われているというのは、民進党が国民に貢献していないということであって、このことは厳しく糾弾されるべきです。政権獲得から喪失までを分析し、反省しなければなりませんが、この時期に中心的役割を果たした人々が無反省に指導部に居座っているようでは話になりません。

 

 今回のイギリス労働党の躍進は民進党のお手本になるものです。緊縮財政に反対し、対外強硬、排外主義に反対し、「国民の生活が第一」の旗をもう一度掲げるべきです。

 

 また、イギリス労働党の再生(resurrection)は、党内の「異分子」と言われ、冷遇されてきた勢力が中心となったという点は自民党にもお手本になるものと思います。現在、自民党は安倍一強時代と言われています。安倍氏に代わって指導者になれる人材がいない(あれだけ国会議員の数がいるのに)という状況にあり、かつ官邸が力を持ち、異論を許さない状況にあります。そういった意味では、恐怖で支配する「一枚岩」という状況ですが、「一枚岩」は、状況の大きな変化に対応できません。イギリス労働党がブレア路線の人々ばかりであったなら、保守党との差異を打ち出すことができずに、潰れていたことでしょう。それと一緒で、安倍路線で一枚岩では、大きな変化の際に対応できる人材がいないということになります。

 

 ですから、少数派や異論を述べる人々は組織の中で必要とされます。今の自民党では、そのような多様性がないように見えますが、それでも、ジェレミー・コービンのように異論を堂々と語り続けることができる人が出てこなければ、自民党は変化に対応できないということになるでしょう。わが世の春はいつまでもは続かないということは歴史が証明しています。

 

 アメリカやイギリスで起きた動きは、やがて遅れて日本にもやってくるでしょう。日本の有権者や国民は愚かだという言説には私は与しません。変化を感じ取ってそれを行動で示すことができるものと確信しています。

 

(貼り付けはじめ)

 

労働党はジェレミー・コービンのものとなった(The Labour Party now belongs to Jeremy Corbyn)―ブレア時代は6月8日に本当の終焉を迎えた

 

『エコノミスト』誌

2017年6月10日

http://www.economist.com/news/britain/21723193-blair-era-truly-ended-june-8th-labour-party-now-belongs-jeremy-corbyn

 

テレーザ・メイは8週間前に総選挙の実施を発表した時、ジェレミー・コービンは、1983年のマイケル・フット以降、もしくは1935年のジョージ・ランズブリー以来、最弱の指導者であると多くの人々が考えていたコービン氏は番狂わせを演じ、復活した。イギリス議会におけるキングメイカーとなる可能性を持ち、労働党の強力な指導者となっている。

 

コービン氏が連立政権を組むことができる可能性は低い。イギリス国民は保守党に過半数に少し足りない議席を与えた。常識で考えれば、現在の与党が政権に就く第一のチャンスを持つ。しかし、スコットランド民族党と自由民主党といった野党勢力の多くが保守党よりも労働党と条件交渉をして連立政権を作る可能性も存在する。保守党が連立政権を構築できる場合、コービン氏は強力な野党勢力の強力な指導者となるだろう。コービン氏は過半数を少し超えただけの議席しか持たない連立政権率いる首相に圧力をかけ続けることができるだろう。

 

コービン氏はイギリスの左派を革命的に変化させている。1980年代中盤以降、労働党は、中道に進むことが政権獲得のための唯一の方法だと確信してきた。左翼的な政策である産業の国有化や「国家規模での解放の闘争」の支援を取り下げ、市場と西側の同盟諸国を重視する政策を掲げるようになった。コービン氏はこのような主張に反対する少数の議員の一人であった。トニー・ブレアと側近たちはコービン氏を、人々をイラつかせるような、過激な人物として処遇してきた。

 

労働党の国会議員たちの大多数はついこの間までブレアの採用した方法を支持してきた。2015年、コービン氏は労働党党首に選ばれたが、彼が勝つなど誰も考えていなかった。2016年、労働の国会議員の4分の3はコービン氏の留任に反対票を投じたが、このクーデターは失敗した。多くの議員たちにとって、コービン氏は占領軍のようであった。そして、少数の信念を持つ強硬左派の人々によってコービン氏は支えられていると考えられていた。コービン氏の首席ストラティジストである有名なセウマス・ミルンと労働組合連合(UNITE)の指導者レン・マクラスキーがコービン氏を支えてきている。また、最近まで労働党以外に所属していた活動家たちが作る草の根の圧力団体もコービン支援に参加し、勢いが出た。

 

労働党の国会議員たちは根本的に考え直すことになるだろう。コービン氏は可能性の限界を再構築し、可能性を拡大することに成功した。コービン氏は労働党が中道に進むよりも、労働党が真に信じているものを主張することで、選挙でうまくやることができるということを示している。労働党の前党首エド・ミリバンドは2015年の総選挙で敗北した。その理由の一つはミリバンドが弁解や謝罪ばかりしているように見えたからだ。

 

対照的に、コービン氏は常に社会主義者であり続けてきたことに誇りを持ってきた。彼はまた、タブロイド紙が、労働党が恐れるロットワイラー犬ではないということを示した。コービン氏とアイルランド共和国軍との関係についての記事が多く出され、その多くが真実であったが、有権者の多く、特に若い人たちにとってそれは気にするべきことではなかった。 ブレア時代は6月8日に本当に終焉したのだ。

 

コービン氏はこれから厳しい挑戦を受けることになる。労働党が連立政権を構築する場合、コービン氏は連立相手に対して妥協しなければならないだろう。野党である立場を選択する場合、党内から厳しい批判を受けることになる。労働党内部からは、コービン氏以外の指導者であれば選挙に勝てていただろうという声が上がっている。結局のところ、経済は弱いままで、人々は耐乏生活を強いられている。全国健康サーヴィスは繰り返し危機的状況に陥っている。 それにもってきて、テレーザ・メイは最近の歴史の中で、最悪の選挙戦を展開した。

 

こうした条件が揃っていたのだが、それでも労働党の躍進を予測することは難しかった。コービン氏は全ての予測を覆す強力な選挙戦を展開した。彼は選挙に勝てなかったが、保守党の指導者とは異なり、勝利者のオーラを身にまとっている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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